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特表2024-530341発毛を促進するためのミロタムヌス種抽出物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】発毛を促進するためのミロタムヌス種抽出物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240808BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20240808BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q1/10
A61Q7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513934
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 IB2022057886
(87)【国際公開番号】W WO2023031730
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21382795.9
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボネル, クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ドメネク, ヌリア アルミニャーナ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタラマン, サイレシュ クマール
(72)【発明者】
【氏名】チザム, レベッカ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC211
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB01
4C083BB21
4C083BB53
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC14
4C083CC23
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD08
4C083DD11
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD34
4C083DD39
4C083DD41
4C083DD44
4C083EE22
(57)【要約】
毛、特に睫毛及び/又は眉毛の毛の発毛を促進する及び/又は増加させる、及び/又は脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用。植物抽出物及びそれを含む組成物を調製する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発毛を促進する、及び/又は脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の美容上の非治療的使用。
【請求項2】
睫毛の毛を長くするための、ミロタムヌス種の植物抽出物の美容上の非治療的使用。
【請求項3】
眉毛の毛の密度を増加させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の美容上の非治療的使用。
【請求項4】
毛の定着を向上させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の美容上の非治療的使用。
【請求項5】
前記毛が、睫毛又は眉毛の毛である、請求項1又は4に記載の美容上の非治療的使用。
【請求項6】
少なくとも1種のミロタムヌス種の植物抽出物を前記対象に投与することを含む、発毛を促進する、及び/又は脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させる方法。
【請求項7】
前記毛が、睫毛又は眉毛の毛である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記睫毛の毛を長くする方法である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記眉毛の毛の密度を増加させる方法である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、毛の定着を向上させる方法である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項11】
前記抽出物が、ミロタムヌス種の地上部から得られる、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記植物抽出物が、ミロタムヌス・フラベリフォリア種の植物抽出物である、請求項1~5若しくは請求項11のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出物が、抽出溶媒として水を使用する固体/液体抽出において得られる、請求項1~5、11若しくは12のいずれか一項に記載の使用、又は請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抽出物が、亜臨界水を抽出溶媒として使用して得られる、請求項13に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記植物抽出物が、ミケリアニン及びケンペロール-3-O-グルクロニド;ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、及びトレハロース;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、及びルテオリン-7-O-グルクロニド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、及びアルブチンを含む、請求項1~5若しくは11~14のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記植物抽出物が、ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド及びイソラムネチン-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、及びナリンゲニン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、及びピセイド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、及びコニフェルアルデヒド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含む、請求項1~5若しくは11~14のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記植物抽出物が、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1~5若しくは11~14のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記植物抽出物が、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含む、請求項17に記載の使用又は請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記植物抽出物が、局所適用によって、好ましくは毛を有する皮膚に接触させることによって投与される、請求項1~5若しくは11~18のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記植物抽出物が、睫毛ライン及び/又は眉毛、好ましくは睫毛ラインへの適用によって投与される、請求項1~5若しくは11~19のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
毛包真皮乳頭細胞の増殖を誘導する、毛の形成のためにケラチノサイト細胞及び/又は関連ケラチンの増殖を誘導する、毛包内の血流を増加させる、及び/又は毛包中のXVIIコラーゲン及びα6β4インテグリンの合成を増加させることによって、発毛が促進される、及び/又は毛の太さが増加する、及び/又は脱毛が防止される、請求項1~5若しくは11~20のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出物が、水性抽出物である、請求項1~5若しくは11~21のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抽出物が、水混和性有機溶媒を更に含む組成物中にある、請求項22に記載の使用又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記水混和性有機溶媒はポリオールであり、例えば、C2~C10脂肪族ヒドロカルビルジオール又はグリセリンである、請求項23に記載の使用又は請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記水性抽出物と前記有機混和性溶媒との重量比が、1:1~1:10である、請求項23若しくは請求項24に記載の使用又は請求項23若しくは請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記抽出物が、少なくとも1種の化粧品として許容される賦形剤又は成分を含む化粧用組成物中にある、請求項1~5若しくは11~25のいずれか一項に記載の使用又は請求項6~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記化粧用組成物が、ローション、シャンプー、美容液、又はマスカラ組成物からなる群から選択される、請求項26に記載の使用又は請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が、眉毛若しくは睫毛用の美容液、又は睫毛用のマスカラ組成物の形態である、請求項27に記載の使用又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抽出物の濃度が、約0.5~約5%(w/w)である、請求項28に記載の使用又は請求項28に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1種の化粧品として許容される賦形剤又は成分が、ビタミン、ミネラル、タンパク質、ペプチド、脂肪酸、抗酸化剤、抗炎症剤、暗色化剤、及び/又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項26~29のいずれか一項に記載の使用又は請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ミロタムヌス種から植物抽出物を得るためのプロセスであって、ミロタムヌス種の植物材料を亜臨界水による抽出に供することを含み、前記抽出が、
i)ミロタムヌス種由来の前記植物材料を、少なくとも120℃、又は約120~220℃の温度、及び前記水を液体状態に維持するのに適した温度圧力で、亜臨界水と少なくとも10分間接触させて、水性植物抽出物を形成する工程と、
ii)前記水性植物抽出物から前記植物材料を分離する工程と、を含む、プロセス。
【請求項32】
前記植物材料が、前記植物の茎及び/又は葉を含む、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記植物材料が、抽出前に乾燥される、請求項31又は32のいずれかに記載のプロセス。
【請求項34】
前記乾燥植物材料と前記水の体積との重量比が、1:10~1:40g/mLである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記温度が、約140℃~約160℃である、請求項31~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記水性植物抽出物を水混和性有機溶媒と混合する工程を含む、請求項31~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記水混和性有機溶媒がポリオールであり、例えば、C2~C10脂肪族ヒドロカルビルジオール又はグリセリンである、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記水性植物抽出物と前記水混和性有機溶媒との重量比が、1:1~1:10の重量比である、請求項36又は37に記載のプロセス。
【請求項39】
請求項31~35のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる水性植物抽出物。
【請求項40】
イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項39に記載の水性植物抽出物。
【請求項41】
イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含む、請求項40に記載の水性植物抽出物。
【請求項42】
イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドの各々の濃度が、少なくとも0.05ppmである、請求項40又は41に記載の水性植物抽出物。
【請求項43】
請求項39~42のいずれか一項に記載の水性植物抽出物と、水混和性有機溶媒と、任意選択的に(追加的に)水と、を含む、組成物。
【請求項44】
前記水混和性有機溶媒がポリオールであり、例えば、C2~C10脂肪族ヒドロカルビルジオール又はグリセリンである、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記ポリオールが、全組成物の重量に基づいて50~90重量%の量で存在する、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
請求項39~42のいずれか一項に記載の水性植物抽出物、又は請求項43~45のいずれか一項に記載の組成物と、少なくとも1種の化粧品として許容される賦形剤若しくは成分と、を含む、化粧用組成物。
【請求項47】
約0.01~20重量%、約0.1~5重量%、又は約0.5~4重量%、又は約1~3重量%の量で、請求項43~45のいずれか一項に記載の組成物を含む、請求項46に記載の化粧用組成物。
【請求項48】
前記少なくとも1つの化粧品として許容される賦形剤又は成分が、界面活性剤、ヘアコンディショニング剤、皮膚軟化剤、乳化剤、保湿剤、レオロジー調整剤、ビタミン、発毛促進剤、ふけ防止剤、保湿剤、毛固定剤、毛着色剤、酸化剤、毛染料、毛漂白剤、顔料、及びこれらの組合せから選択される、請求項46又は請求項47に記載の化粧用組成物。
【請求項49】
前記化粧用組成物が、クリーム、多重エマルジョン、溶液、液晶、無水組成物、水性分散液、油、乳液、バルサム、フォーム、ローション、ゲル、クリームゲル、含水アルコール溶液、ヒドログリコール溶液、ヒドロゲル、リニメント剤、石鹸、シャンプー、コンディショナー、美容液、多糖フィルム、軟膏、ムース、ポマード、粉末、バー、ペンシル、スプレー、又はエアロゾルの群から選択される形態である、条項46~48のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項50】
ミロタムヌス種の植物抽出物と、少なくとも1種のワックスと、任意選択的に少なくとも1種の顔料と、を含むマスカラ組成物。
【請求項51】
液相と少なくとも1種の乳化剤とを更に含む、請求項50に記載のマスカラ組成物。
【請求項52】
少なくとも1種のレオロジー調整剤を更に含む、請求項50又は51に記載のマスカラ組成物。
【請求項53】
前記少なくとも1種のレオロジー調整剤が、増粘剤、及び/又は皮膜形成剤を含む、請求項52に記載のマスカラ組成物。
【請求項54】
前記少なくとも1種のワックスが、オリザ・サティバ(oryza sativa)、ブランワックス、カルナルバヤシ(copernicia cerifera)ワックス、及びシェラックワックスからなる群から選択される、請求項50~53のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項55】
少なくとも1種の顔料を含み、前記顔料が金属酸化物である、請求項50~54のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項56】
脂肪酸、グリセロール及び/又はポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル、アンホアセテート、及びアルキルホスフェートからなる群から選択される少なくとも1種の乳化剤を含む、請求項51~55のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項57】
アクリル酸又はメタクリル酸から重合された架橋ホモポリマー、及び微生物多糖類、特にジウタンガムからなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤を含む、請求項53~56のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項58】
アクリル酸コポリマー、ポリエチレンポリマー、並びにポリビニルピロリドン(PVP)、エチレン酢酸ビニル、ジメチコンガム、及びポリウレタンのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の皮膜形成剤を含む、請求項53~57のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項59】
前記植物抽出物が、ミロタムヌス種の地上部から得られる、請求項50~58のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項60】
前記植物抽出物が、ミロタムヌス・フラベリフォリア種の植物抽出物である、請求項50~59のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項61】
前記植物抽出物が、抽出溶媒として水を使用する固体/液体抽出において得られる、請求項50~60のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項62】
前記植物抽出物が、抽出溶媒として亜臨界水を使用して得られる、請求項61に記載のマスカラ組成物。
【請求項63】
前記植物抽出物が、ミケリアニン及びケンペロール-3-O-グルクロニド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、及びトレハロース;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、及びルテオリン-7-O-グルクロニド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、及びアルブチンである、請求項50~62のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項64】
前記植物抽出物が、ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、及びイソラムネチン-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース及びルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、及びナリンゲニン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、及びピセイド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、及びコニフェルアルデヒド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドである、請求項50~62のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項65】
前記植物抽出物が、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項50~62のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項66】
前記植物抽出物が、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含む、請求項65に記載のマスカラ組成物。
【請求項67】
前記植物抽出物が、水性植物抽出物である、請求項50~66のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項68】
前記抽出物が、請求項39~42のいずれか一項に記載の水性植物抽出物である、請求項67に記載のマスカラ組成物。
【請求項69】
前記植物抽出物が、水混和性有機溶媒を更に含む組成物中にある、請求項50~68のいずれか一項に記載のマスカラ組成物。
【請求項70】
前記有機水混和性溶媒が、ポリオール、例えばC2~C10脂肪族ヒドロカルビルジオール又はグリセリンである、請求項69に記載のマスカラ組成物。
【請求項71】
前記水性植物抽出物と前記有機混和性溶媒との重量比が、1:1~1:10である、請求項69又は70に記載のマスカラ組成物。
【請求項72】
前記植物抽出物が、請求項43~47のいずれか一項に記載の組成物中にある、請求項69に記載のマスカラ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発毛を促進する、及び/又は脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させるためのミロタムヌス(Myrothamnus)種の植物抽出物の使用に関する。一実施形態では、毛は、眉毛及び/又は睫毛の毛である。植物抽出物及びそれを含む組成物を調製する方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
毛、特に睫毛及び眉毛の毛は、ヒトの美観において重要な役割を果たす。睫毛及び眉毛は、顔の顕著な特徴である。睫毛及び眉毛は、目を保護し、顔の表情に影響を与える役割を果たす。これらの毛は、比較的ゆっくりと成長し、短い平均長を有する。多くの文化では、長くて太い睫毛が特に重視され、求められている。睫毛の長さ及び太さを増加させることによって、睫毛の見た目を向上させることに関心が集まっている。更に、眉毛の太さを増加させることによって、人の眉毛の見た目を向上させることに関心が集まっている。
毛の損傷及び/又は喪失は、ヒト対象においてよく起こる問題であり、ヒトの全体的な外観に大きな影響を及ぼす可能性がある。睫毛及び眉毛の毛は、例えば、対象が疲れているときに手で目をこするとき、指/手による接触に起因して特に損傷を受けやすい。スタイリング中の機械的又は化学的ストレスは、毛を弱くし、損傷させる可能性がある。脱毛は、他の多くの原因(例えば、遺伝的素因、老化、及び/又は疾患)を有し得る。毛の強度を高め、脱毛を防止し、又は発毛を促進することができる処置に大きな関心が寄せられている。
【0003】
毛は、表皮(皮膚の最外層)から真皮(皮膚の最深層)まで延びる皮膚の毛包から成長する。毛の長さ及び太さは、毛包再生及び毛繊維の合成という主に2つの生物学的プロセスに依存する。
【0004】
毛周期は、成体の皮膚において生じる幹細胞媒介プロセスであり、毛包の周期的な破壊及び再生を含む。毛周期は、成長(成長期)、それに続く退行(退行期)、及び休止(休止期)の3つの定義された段階からなる。成長期は、毛周期の最も長い段階である。この段階で細胞増殖が始まり、毛包が形成され、毛が連続的に形成される。退行期では、増殖の休止及び細胞アポトーシスの増加が起こる。毛は成長を停止し、毛包は短くなる。最後に、休止期(resting phase)として記載される休止期(telogen phase)において、毛が抜け落ちる。[Alonso L及びFuchs E(2006年)The hair cycle.J.Cell Sci.119:391-393]。
【0005】
新しい毛の成長は、成長期への再進入を必要とし、このプロセスは、バルジとして知られる毛包外毛根鞘(ORS)の特殊な部分に存在する多能性上皮幹細胞の活性化を伴う。毛包真皮乳頭細胞(HFDPC)として知られる真皮細胞は、バルジに存在する[Beaudoin GM 3 rd,Sisk JM,Coulombe PA and Thompson CC.(2005年)Hairless triggers reactivation of hair growth by promoting Wnt signaling.Proc Natl Acad Sci USA.102-14653-14658]。成体毛包におけるHFDPCは、毛包発達を誘導することによって、発毛サイクルにおいて重要な役割を果たす[Drikell RR,Clavel C,Rendl M及びWatt FM.(2011年)Hair follicle dermal papilla cells at a glance.J.Cell Sci.124:1179-1182]。
【0006】
毛繊維は、主にタンパク質(毛重量の65~95%)から構成され、ケラチンが最も豊富である。この繊維は、皮質、毛表皮、及び髄質の3つの一般的な層からなる。中心髄質は、スポンジ様の外観を有する多角形細胞を含む。髄質の周囲で、皮質は、縦方向の配向を有する角化繊維細胞の層を形成し、ケラチンフィラメントで充填されている。加えて、皮質は、毛繊維の色を決定するメラノソームを含む。毛繊維の最外層である毛表皮は、角質細胞の複数の層からなる。毛表皮は、薄くて半透明であり、光が皮質色素に透過することを可能にする。毛繊維のこの複雑な構造を形成するケラチンタンパク質は、毛包に位置するケラチノサイトの増殖活性の結果である。これらのケラチノサイトは、真皮乳頭(DP)において見出され、この増殖活性に関与する他の細胞と共に発毛を進展させる。
【0007】
発毛を促進するための組成物及び方法は、当該技術分野において既知である。しかしながら、既知の方法は、効果がない可能性があるか、又は望ましくない副作用を有する可能性がある。
【0008】
Minoxidil(登録商標)(ロゲイン)、Finasteride(登録商標)(プロペシア)、及びDutasteride(登録商標)(アボダート)を含む薬物は、脱毛のための承認された処置である。しかしながら、それらの有効性は主にホルモン関連脱毛症(すなわち、アンドロゲン性脱毛症)に限定され、それらは医学的処方を必要とする。また、人体に適用される化粧用調製物における合成化学物質の使用についての関心が高まっている。ヒトの眼球及び周囲の膜は、身体の他の領域上のヒトの皮膚と比較して特に敏感であるので、ヒトの眼に近接する領域のための化粧用調製物、例えば、睫毛又は眉毛の成長を促進するために設計された調製物などを開発することは、特定の課題を提示する。睫毛用の化粧品は、眼球又は眼の膜に直接適用されることを意図されていないが、使用者は、適用中に化粧用調製物の一部を眼球内に誤って移す場合がある。更に、化粧品に利用される合成化学製品の生産によって、例えば、使用後に化粧品を身体から洗い流すことによって、又はそのような製品の未使用量を埋立地に廃棄することによって引き起こされる環境への影響についての関心が高まっている。
【0009】
睫毛にボリュームを与えるマスカラは、睫毛の外観を向上させるための最も一般的な製品の1つである。しかしながら、短い睫毛を有する者は、マスカラのみでは太く見える睫毛を実現することが難しく、エクステンションを使用することを選択する場合がある。睫毛エクステンションは、多くの場合、エクステンションを睫毛ライン付近のまぶたに結合するための粗い接着剤の使用を伴い、したがって、天然睫毛に損傷を引き起こす可能性がある。まぶたの膨張、睫毛の喪失、まぶたの皮膚刺激、又はまぶたの感染など、睫毛エクステンションの使用に関連する様々なリスクが報告されている。睫毛の成長を促進し、睫毛の外観を向上させることができるマスカラ組成物が望まれている。
【0010】
マイクロ着色及びマイクロブレーディングは、眉毛の密度及び鮮明度を改善するために使用される入れ墨手順である。しかしながら、それらは、痛み及び感染の危険性のような、任意の入れ墨手順に関連する不都合を引き起こす。
【0011】
上記の問題に対する天然の持続可能かつ有効な解決策が必要とされている。いくつかの薬草調製物は、睫毛及び眉毛における発毛を促進することが提案されている。しかしながら、それらの有効性は制限され得る。
【0012】
欧州特許第2764894B1号は、発毛を誘導するためのブラックベリー植物の葉からの抽出物を提供する。この抽出物は、成長期(すなわち、毛包の活発な成長期)に急速に入る前に、目に見える休止期(すなわち、棍状毛の脱落)を誘導すると言われている。抽出物を得るために使用される抽出剤としては、エタノール又はエタノールとアルコールとの組合せが挙げられる。エタノール及びアルコール抽出は、製造及び生産並びに輸送物流において固有の可燃性の危険を有する。エタノールは、環境に優しい溶媒と考えられており、良好な抽出能力を有するが、化粧品市場の一部の部門及び一部の消費者にとって望ましくない。
【0013】
米国特許出願公開第20190224160A1号は、ケラチノサイト成長刺激剤と組み合わせて、コレウス・フォルスコリ(Coleus forskohlii)のみに由来するフォルスコリンを少なくとも含む、睫毛の成長を促進するための組成物を開示している。ケラチノサイト成長刺激剤は、フキタンポポ(Tussilago farfara)花抽出物、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)抽出物、アカキナノキ(Cinchona succirbra)樹皮抽出物、オランダガラシ(Nasturtium officinale)、キンレンカ(Tropaeolum majus)を含む群から選択される少なくとも1つの植物性抽出物を含む。
【0014】
国際公開第2017032711号は、睫毛の成長を促進するための化粧品組成物であって、リョクトウ(Vigna radiata)の植物抽出物、緑豆の芽の抽出物、及びN末端からC末端までアミノ酸配列Gly-His-Lysを含むペプチドを含む組成物を開示している。
【0015】
ミロタムヌス種は、「フッカツソウ」として知られる植物の科に属する南アフリカ原産の耐乾燥性の低木である。この植物は、地域の季節的な湿潤期及び乾燥期に適応している。乾燥期では、植物が休眠状態になるにつれて葉が乾燥し、その間に植物は雨が戻るのを待つ。最初の降雨時に、植物は復活し、急に活気づき、急速に葉を水和させ、開花する。フッカツソウは、機械的ストレス及び干ばつストレスを回避する多くの方法を有しており、美容的特性及び/又は薬学的特性を有する活性物質を探す科学界にとって関心が持たれている。ミロタムヌスは南アフリカでお茶として消費され、精油も使用のために抽出される。現地の食及び医学の伝統におけるその使用は、南アフリカでよく知られている。ミロタムヌスは、スキンケアのために化粧品産業において使用されており、US200701341934A1、FR29978536B1及びKR1305698B1などのいくつかの特許/特許出願の主題である。
特に目に近いような敏感な顔領域の毛、すなわち睫毛及び/又は眉毛の毛に関して、発毛及び毛の太さを増加させることができる天然の美容上の非治療的処置を見出すことが必要とされている。望ましくは、そのような処置は、マイナスの副作用をほとんど又は全く有さず、及び/又は毛及びその関連する皮膚に美容効果を提供する。
本発明は、これらの必要性のうちの一部又は全部を満たし、上記で特定した問題の一部又は全部を解決することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第2764894号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0224160号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/032711号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/01341934号明細書
【特許文献5】仏国特許発明第29978536号明細書
【特許文献6】韓国登録特許第1305698号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Alonso L及びFuchs E(2006年)The hair cycle.J.Cell Sci.119:391-393
【非特許文献2】Beaudoin GM 3 rd,Sisk JM,Coulombe PA and Thompson CC.(2005年)Hairless triggers reactivation of hair growth by promoting Wnt signaling.Proc Natl Acad Sci USA.102-14653-14658
【非特許文献3】Drikell RR,Clavel C,Rendl M及びWatt FM.(2011年)Hair follicle dermal papilla cells at a glance.J.Cell Sci.124:1179-1182
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様において、本発明は、発毛を促進する、脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させるための、ミロタムヌス種の抽出物の使用を提供する。特に、使用は、美容上の非治療的使用であり得る。特に、毛は、睫毛及び/又は眉毛の毛であり得る。本発明は、睫毛の長さを増加させるため及び/又は眉毛の太さを増加させるため(すなわち、毛の密度を増加させるため)のミロタムヌス種の抽出物の美容上の非治療的使用を提供する。「天然」と考えられる美容処理は一般に環境に優しく、消費者はそのような処理に特別な関心を持っているので、ミロタムヌス抽出物の使用は特に有利である。
【0019】
別の態様において、本発明は、発毛を促進及び/又は増加させる、脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させる方法を提供し、本方法は、ミロタムヌス種の植物抽出物を対象に投与することを含む。特に、本方法は、美容上の非治療的方法であり得る。特に、毛は、睫毛又は眉毛の毛であり得る。本発明は、ミロタムヌス種の植物抽出物を対象に投与することを含む、睫毛の長さを増加させる及び/又は眉毛の太さを増加させる(すなわち、毛の密度を増加させる)美容上の非治療的方法を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、ミロタムヌス種から植物抽出物を得るためのプロセスであって、ミロタムヌス種の植物材料を亜臨界水による抽出に供することを含む、プロセス法を提供し、抽出は、
i)植物材料を、少なくとも120℃の温度、及び水を液体状態に維持するのに適した圧力で、亜臨界水と少なくとも10分間接触させて、水性植物抽出物を形成する工程と、
ii)水性植物抽出物から植物材料を分離する工程と、を含む。
【0021】
別の態様において、本発明は、ミロタムヌス種から植物抽出物を得るための上述のプロセスによって得られる/得ることができる水性植物抽出物を提供する。
【0022】
別の態様において、本発明は、水性植物抽出物と、少なくとも1種の化粧品として許容される賦形剤又は成分と、含む化粧用組成物を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、ミロタムヌス種からの植物抽出物と、少なくとも1種の顔料と、を含むマスカラ組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ミロタムヌス属の植物、すなわち、ミロタムヌス種からの植物抽出物の驚くべき特性の発見に基づいており、この特性は、抽出物を美容上の非治療適用に供する。
【0025】
定義
本発明の文脈において、「毛」は、対象の頭皮、皮膚、睫毛、眉毛、口ひげ領域、及び/又は顎ひげ領域の毛を含む。特に、毛は、眉毛及び/又は睫毛の毛である。「皮膚」とは、最上層又は角質層から最下層又は皮下組織までの、両方を含む、皮膚を構成する複数の層であると理解される。これらの層は、とりわけ、ケラチン生成細胞、繊維芽細胞、メラニン形成細胞、肥満細胞、ニューロン及び/又は脂肪細胞などの異なる種類の細胞から構成される。「皮膚」という用語は、哺乳動物の皮膚、例えばヒトの皮膚を含み、毛を含む皮膚を含む。
【0026】
本明細書で使用される際、「約」という用語は、例えば、測定可能な値(例えば、特定の成分の量若しくは重量、又は温度)を指す場合、指定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は特に±0.1%の変動を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、包括的又は制約がなく、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外せず、代替の実施形態として、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という句を包含することが意図され、「からなる(consisting of)」は、指定されていないいかなる要素又はステップをも除外し、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、検討中の組成物又は方法の本質的又は基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の列挙されていない要素又はステップの包含を許容する。
【0028】
抽出物
本発明は、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用に関する。「植物抽出物」及び「抽出物」という用語は、本明細書において互換的に使用され、ミロタムヌス種の植物材料から抽出された1つ以上の化合物を含有する生成物を指す。具体的には、生成物は、ミロタムヌス種の植物材料を固体/液体抽出に供することによって得られ、それによって、植物材料(固体)中に含有される1つ以上の植物化学化合物が、植物材料から溶媒(液体)中に抽出され、それらは植物材料から溶媒中に溶出する。生成物は、抽出溶媒及び1つ以上の植物化学物質化合物を含む組成物であり得る。固体/液体抽出プロセスは、分離工程と、任意選択的にそれに続く1つ以上の精製工程と、を含むことができる。したがって、抽出物は、分離工程後に得られた生成物又は精製工程後に得られた生成物であり得る。分離工程において、溶媒と1つ以上の植物化学物質化合物とを含む組成物は、植物材料から分離される。抽出物は、抽出溶媒と1つ以上の植物化学物質化合物とを含む、分離された組成物である。溶媒中の植物化学物質化合物の溶解性は温度依存性であってもよく、したがって、この組成物は溶液であってもよく、又は抽出に使用される温度よりも低い温度に冷却する場合、植物性化合物の一部が沈殿してもよい。溶媒が水である場合、抽出溶媒及び1つ以上の植物化学物質化合物を含む組成物は、本明細書において「水性植物抽出物」又は「水性抽出物」とも呼ばれる。溶媒及び1つ以上の植物化学物質化合物を含む組成物の精製(例えば、分画、濃縮、又は乾燥による)は、例えば、濃縮物(例えば、粘性形態)又は固体(例えば、粉末)であり得る抽出物を提供する。
【0029】
ミロタムヌス種は、2つの種、すなわち、M.フラベリフォリア(M.flabellifolia)及びM.モスカータ(M.moschata)を含む小さな乾生性低木の顕花植物の属である。特に、抽出物は、M.フラベリフォリアの抽出物であり得る。M.フラベリフォリアは、文献においてM.フラベリフォリウスとも称される。
【0030】
典型的には、ミロタムヌス種由来の植物材料は、植物の地上部、特に茎及び/又は葉を含む。植物材料は、主成分として茎及び/又は葉を含むことができ、例えば、茎及び/又は葉は、植物材料の50、80、又は90重量%超を構成する。植物材料は、茎及び/又は葉のみを含むことができ、すなわち、これらは唯一の成分であり、他の植物材料は存在しない。
【0031】
典型的には、植物材料は乾燥形態である。植物材料を乾燥させて、均質化、操作、及び貯蔵をより容易にすることができる。乾燥植物材料又は乾燥形態の植物材料とは、10重量%未満の水、5重量%未満の水、2重量%未満の水、又は1重量%未満の水の含水率を有するように乾燥した植物材料を意味する。含水率は、例えば、AOAC(Association of Official Analytical Chemists)公定法AOAC934.06-1934(1996年)により測定することができる。しかしながら、乾燥していない植物材料が使用されてもよい。
【0032】
有利には、植物材料は抽出前に粉砕又は破砕される。粉砕された植物材料は、例えば、100pm~50mmの範囲の粒径で、0.01又は0.1~10mmの平均粒径を有することができる。より具体的には、平均粒径は0.2~5mmの範囲である。平均粒径は、例えばふるい分析を含む方法などの従来の方法によって決定することができる。当該技術分野で公知の任意の適切な粉砕/破砕技術が、植物材料の所望の粒子サイズを得るために使用され得る。特に好適な植物材料は、例えば上述の粒径を有する粉末形態の乾燥植物材料である。
【0033】
植物材料を中性物質と混合して、溶媒抽出のためにより乾燥させ、かつ/又はより多孔質にすることができる。適切な中性材料としては、グラフェン、シリカゲル、C18樹脂、珪藻土、及び中性アルミナが挙げられる。
【0034】
抽出に使用するのに適した溶媒には、水、1~4個の炭素原子の低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなど)及びグリコール並びにそれらの組合せが挙げられる。有利には、ミロタムヌス種からの抽出物は、唯一の抽出溶媒として水を使用して得ることができる。この場合、植物材料中の化合物は植物材料から水中に溶解して水性抽出物(本明細書では水性植物抽出物とも呼ばれる)を形成する。水性抽出物を精製して、例えば濃縮物又は粉末である抽出物を形成することができる。したがって、有利には、抽出プロセス中の有機溶媒の使用を回避して、ミロタムヌス種からの抽出物を得ることができる。
【0035】
任意の従来の固体/液体抽出方法、例えばソックスレー、パーコレーション、及び浸漬を使用して、ミロタムヌス種の植物材料から植物抽出物を得ることができる。溶媒の温度は、その溶媒に適切であるように選択されるべきである。水が抽出溶媒として使用される場合、好ましくは、60℃を超える温度で使用される。典型的には、乾燥植物材料/溶媒の比(乾燥植物材料の重量(g)/溶媒の体積(mL))は、1:5~1:50、又は1:10~1:30、又は1:15~1:25、又は1:5~1:15の範囲である。特に、比は、1:10又は1:20である。
【0036】
一実施形態において、ミロタムヌス種の抽出物は、抽出溶媒として亜臨界水を使用する固体/液体抽出にミロタムヌス種の植物材料を供することによって得られる。亜臨界水は、100℃のその自然沸点よりも高い(すなわち、大気圧でのその沸点よりも高い)温度で、圧力によって液体状態で保持される水である。亜臨界水は、374℃の臨界点温度までの温度を有することができる。亜臨界水は、「加圧低極性水」、「加圧熱水」又は「圧縮熱水」とも呼ばれる。水を加圧下でその沸点より高い温度に加熱すると、極性などのその重要な特性が変化する。好ましくは、亜臨界水が抽出溶媒として使用される場合、それは、プロセスにおいて使用される唯一の抽出溶媒であり、すなわち、抽出は、任意の他の溶媒(有機又は無機)の非存在下で亜臨界水を用いて行われる。
【0037】
より具体的には、ミロタムヌス種からの抽出物は、ミロタムヌス種の植物材料を亜臨界水による抽出に供することによって得られ、抽出は、少なくとも120℃の温度及び水を液体状態に維持するのに適した圧力で、少なくとも10分間、植物材料を亜臨界水と接触させて、水性植物抽出物を形成する工程を含む。より具体的には、ミロタムヌス種からの抽出物は、
i)ミロタムヌス種の植物材料を、少なくとも120℃の温度、及び水を液体状態に維持するのに適した温度圧力で、亜臨界水と少なくとも10分間接触させて、水性植物抽出物を形成する工程と、
ii)水性植物抽出物から植物材料を分離する工程と、を含むプロセスによって得ることができる。
【0038】
典型的には、乾燥植物材料/亜臨界水の比(乾燥植物材料の重量(g)/水の体積(mL))は、1:5~1:50、又は1:10~1:30、又は1:15~1:25、又は1:5~1:15の範囲である。特に、比は、1:10又は1:20であり得る。
【0039】
特に、抽出は、約120~約220℃、約130~約180℃、約140~約160℃、又は約145~約155℃の温度の亜臨界水を使用して行うことができる。特に、亜臨界水は、約150℃の温度であり得る。
【0040】
亜臨界水が抽出溶媒である場合、抽出は、加圧可能な容器、典型的にはステンレス鋼容器中で行われる。抽出中、加圧可能な容器内の圧力は、亜臨界水が液体状態で維持されるような圧力でなければならない。これを達成するのに必要な圧力は水の温度に依存して変化する。当業者であれば、必要な圧力を決定することができるであろう。典型的には、圧力は0.5MPa~20MPaの範囲である。圧力は、少なくとも約1MPaであり得る。圧力は、約5~約15MPa又は約8~約13MPaであり得る。圧力は、10、11、及び12MPaであり得る。
【0041】
植物材料を亜臨界水と接触させる工程は、少なくとも約10分間行われる。この時間は、植物材料が亜臨界水と接触している時間であり、水が静止していても植物上を流れていてもよい。この期間は、本明細書では抽出時間とも呼ばれる。抽出時間は、例えば、使用される植物材料及び水の量に依存して変化する。典型的には、抽出時間は、10分~約5時間で変化する。例えば、抽出時間は、少なくとも約15分、又は少なくとも約30分、又は少なくとも約1時間、又は少なくとも約2時間、又は少なくとも約3時間であり得る。特に、抽出時間は、約10分~約2時間、より具体的には20分~90分である。抽出時間は約45~75分又は約1時間であり得る。
【0042】
亜臨界水抽出は、バッチモード(「静的モード」とも呼ばれる)又は動的モード(「フロースルー」とも呼ばれる)で行うことができる。バッチモードでは、植物材料をバッチで亜臨界水に曝露する(すなわち、接触させる)。バッチモードでは、使用される亜臨界水の体積は、植物材料のサンプルのための全てのバッチに使用される亜臨界水の総体積である。バッチモードでは、抽出時間は、植物材料のサンプルの全てのバッチにわたって植物材料が亜臨界水に曝露される合計時間である。動的モードでは、植物材料は水の連続流にさらされる。動的モードでは、使用される亜臨界水の体積は、植物材料のサンプルに使用される亜臨界水の総体積である。動的モードでは、抽出時間は、植物材料が植物材料のサンプル用の亜臨界水の流れに曝露される合計時間である。植物抽出物のより迅速で大規模な生産のために、有利には、抽出は動的モードで行われる。抽出は、亜臨界水抽出を可能にする当該技術分野で知られている任意のシステムで行うことができ、例としては、バッチ抽出器又は連続抽出器を含むシステムが挙げられる。
【0043】
植物材料を亜臨界水と接触させる工程の間に、植物材料から成分が亜臨界水中に抽出される。より具体的には、植物材料は亜臨界水に溶解し、その結果、水性植物抽出物を形成する。同様に、溶媒として水を使用する従来の溶媒抽出法は、水性植物抽出物を形成する。溶媒抽出プロセスは、植物抽出物から植物材料(すなわち、任意の溶解していない植物材料)を分離する工程を含むことができる。典型的には、この工程は簡単である。例えば、亜臨界水抽出の場合、加圧可能な容器内に植物材料を保持しながら、加圧可能な容器から水性植物抽出物を放出することを単に含むことができる。他の適切な分離技術は当該技術分野で公知であり、例えば、濾過、沈降、デカンテーション、又は遠心分離が挙げられる。濾過は、1000μm未満、又は20μm未満、又は10μm未満、又は1μm未満、又は0.1μm未満の孔径を有するフィルタを使用して行うことができる。濾過は、例えば孔径が減少する複数のフィルタを使用して、連続的な濾過操作で行うことができる。濾過後に残った残留物(溶解していない植物材料)は、より多くの抽出溶媒と再度接触させてもよい。この濾過-再接触ステップは、1回だけ行ってもよく、あるいは繰り返してもよく、例えば、1~5回繰り返してもよい。亜臨界水抽出の場合、好ましくは、水性植物抽出物が冷却して抽出物成分を沈殿させる前に、分離を行う。
【0044】
植物抽出物を植物材料から分離した後、それを精製することができる。本発明の文脈において、「精製する」とは、精製、部分精製、及び/又は分画を意味する。植物抽出物の精製のためには、当該技術分野において周知の多数の技術が存在する。いくつかの非限定的な例としては、固液抽出、液液抽出、固相抽出(solid-phase extraction、SPE)、膜濾過、限外濾過、透析、電気泳動、溶媒濃縮、遠心分離、超遠心分離、高圧を伴う若しくは伴わない液相若しくは気相クロマトグラフィ(サイズ排除、アフィニティーなどを含む)、凍結乾燥、蒸発、様々な「担体」(PVPP、炭素、抗体などが挙げられる)を用いた沈殿、又はそれらの様々な組合せが挙げられる。一実施形態において、植物抽出物は濃縮されて、植物抽出物の濃縮物を形成する。あるいは、植物抽出物は乾燥されて、植物抽出物の固体形態を形成する。植物抽出物は、10重量%以下の水、5重量%以下の水、2重量%以下の水、又は1重量%以下の水を含有するように乾燥され得る。これは、例えば、水分含有量決定法AOAC(2000)によって測定することができる。適切な濃縮及び/又は乾燥方法は、当該技術分野において周知である。例としては、減圧蒸発、蒸発、減圧蒸留、蒸留、オーブン乾燥、天日干し、及び凍結乾燥(すなわち、フリーズドライ)、噴霧乾燥、噴霧化又は流動床乾燥機が挙げられるが、これらに限定されない。濃縮又は乾燥は、担体又は他の賦形剤を用いて又は用いずに、植物抽出物に対して行うことができる。抽出物は、濃縮物、又は固体、例えば、非晶質固体、結晶性若しくは部分結晶性固体であり得、任意選択的に粉末の形態であり得る。
【0045】
したがって、本発明はまた、上記のプロセスのいずれかによって得られた/得ることができるミロタムヌス種の植物抽出物を提供する。特に、ミロタムヌス種の植物抽出物は、水による抽出を含む上記のプロセスのいずれかで得られる/得ることができる。ミロタムヌス種の植物抽出物は、亜臨界水による抽出を含む上記のプロセスのいずれかで得られてもよい/得ることができてもよい。本明細書に記載される抽出プロセスの詳細は、本明細書に提供される植物抽出物の定義に適用する又は組み込むことができる。
【0046】
植物抽出物は、植物によって産生される化合物である植物化学物質を含み、例えばポリフェノール、アミノ酸、有機酸、及び糖を含むことができる。
【0047】
植物抽出物は、ミケリアニン及びケンペロール-3-O-グルクロニド;ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、及びトレハロース;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、及びルテオリン-7-O-グルクロニド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、及びアルブチン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、及びケンペロール-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、及びケルセチン-3-O-ガラクトシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、及びシリンガ酸;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、シリンガ酸、及びクエルシトリン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、シリンガ酸、クエルシトリン、イソクエルシトリン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、シリンガ酸、クエルシトリン、イソクエルシトリン及びトリプタミンを含んでもよい。
【0048】
植物抽出物は、溶媒として水を使用する固体/液体抽出によって得られてもよく/得ることができてもよく、ミケリアニン及びケンペロール-3-O-グルクロニド;ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、及びトレハロース;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、及びルテオリン-7-O-グルクロニド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、及びアルブチン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、及びケンペロール-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、及びケルセチン-3-O-ガラクトシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、及びシリンガ酸;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、シリンガ酸、及びクエルシトリン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、シリンガ酸、クエルシトリン、イソクエルシトリン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、ケンペロール-3-O-グルコシド、ケルセチン-3-O-ガラクトシド、シリンガ酸、クエルシトリン、イソクエルシトリン及びトリプタミンを含んでもよい。
【0049】
植物抽出物は、ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、及びイソラムネチン-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース及びルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、及びナリンゲニン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、及びピセイド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、及びコニフェルアルデヒド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含んでもよい。
【0050】
植物抽出物は、溶媒として水を使用する固体/液体抽出によって得られてもよく/得ることができてもよく、ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、及びイソラムネチン-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース及びルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、及びナリンゲニン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、及びピセイド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、及びコニフェルアルデヒド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含んでもよい。
【0051】
植物抽出物は、ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、及びイソラムネチン-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース及びルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、及びナリンゲニン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、及びピセイド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース及びルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、及びコニフェルアルデヒド;ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含んでもよい。
【0052】
植物抽出物は、溶媒として水を使用する固体/液体抽出によって得られてもよく/得ることができてもよく、ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、及びイソラムネチン-3-O-グルコシド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース及びルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、及びナリンゲニン;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、及びピセイド;又はミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース及びルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、及びコニフェルアルデヒド;ミケリアニン、ケンペロール-3-O-グルクロニド、トレハロース、ルテオリン-7-O-グルクロニド、アルブチン、イソラムネチン-3-O-グルコシド、ナリンゲニン、ピセイド、コニフェルアルデヒド、及びナリンゲニン-7-O-グルコシドを含んでもよい。
【0053】
組成物
上記のように、水による抽出によってミロタムヌス種から得られる植物抽出物は、水性形態、すなわち、水性植物抽出物の形態であり得る。植物材料から抽出された成分は、水性植物抽出物中に完全に溶解していてもよく、又は溶解していなくてもよい。有利には、水性植物抽出物を水混和性有機溶媒と混合して、抽出された成分を溶液中に保持することができる。本発明の植物抽出物を得るためのプロセスは、本明細書で定義される水性植物抽出物を、水混和性有機溶媒と混合することを含むステップを含むことができる。得られる組成物は、水性植物抽出物及び水混和性有機溶媒を含む。例えば、水をこの組成物に添加して、水混和性溶媒の必要な濃度を得ることができる。本明細書に記載されるミロタムヌス種の植物抽出物を得るためのプロセスは、本明細書で定義される植物抽出物を、水混和性有機溶媒及び任意選択的に水と混合することを含む工程を含むことができる。得られる組成物は、植物抽出物を、水混和性有機溶媒及び任意選択的に水と共に含む。これらの溶液は、「ストック溶液」として使用することができ、例えば化粧品組成物の調製に使用することができる。
【0054】
水混和性有機溶媒は、好ましくは化粧品として許容される有機溶媒であり、ポリオールであってもよい。好適なポリオールとしては、2つのアルコール官能基(-OH基)を含有する有機化合物であるグリコール、例えば、C2~C10脂肪族ヒドロカルビルジオール又はトリオール、グリセリンが挙げられる。C2~C10脂肪族ヒドロカルビルジオールには、各異性体形態のC2~C10又はC2~C8アルカンジオールが含まれ、これらは置換又は非置換であり得る。置換されている場合、アルカンジオールは、例えば、ハロ基、ヒドロキシル基、エステル基、ニトロ基、シアノ基、ハロアルキル基、スルホニル基及びカルボニル基から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。水混和性有機溶媒は、1,2-プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセロール、又はカプリリルグリコール、及びこれらの混合物から選択することができる。特に、ポリオールはグリセロール[本明細書ではグリセリン(glycerine又はglycerin)とも呼ばれる]である。
【0055】
植物抽出物及びポリオール及び任意選択の(追加的)水を含む組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量%、又は50重量%~90重量%、又は50重量%~80重量%、又は55重量%~80重量%のポリオール濃度を有することができる。典型的には、残りは、植物抽出物及び水で構成される。例えば、組成物は50重量%までの水を含むことができる。好ましくは、ポリオールはグリセリンである。植物抽出物及びポリオール及び水を含む組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、又は50重量%~90重量%、又は50重量%~80重量%、又は55重量%~80重量%のポリオール濃度を有することができる。典型的には、残りは、植物抽出物及び水で構成される。例えば、組成物は50重量%までの水を含むことができる。好ましくは、ポリオールはグリセリンである。
【0056】
抽出物、又は上記のように、抽出物、水混和性有機溶媒、及び任意選択的に水を含む組成物は、対象への投与に適した組成物に組み込むことができる。
【0057】
組成物は、少なくとも1つの化粧品として許容される賦形剤若しくはアジュバントと共に、抽出物、又は上記のように、抽出物、水混和性有機溶媒、及び任意選択的に水を含む組成物を一緒に含む化粧用組成物であってもよい。これらの組成物は、当業者に知られている従来の手段により調製され得る[「Harry’s Cosmeticology」,Seventh edition,(1982),Wilkinson J.B.,Moore R.J.,ed.Longman House,Essex,GB]。
【0058】
化粧用組成物は、投与すべき植物抽出物の美容上有効な量、並びに植物抽出物の投与量を含有し、美容上有効な量並びに投与量は、年齢、患者の状況、状態の性質若しくは重症度、処置及び/若しくはケアされる障害若しくは疾患、投与の経路及び頻度、並びに使用される化合物の特定の性質を含む多数の因子に依存する。
【0059】
用語「美容上有効な量」とは、所望の効果を提供するための、本発明の抽出物の非毒性であるが十分な量を意味すると理解される。本発明の抽出物又はストック溶液は、所望の効果を達成するために、美容上有効な濃度で本発明の化粧用組成物において使用され、例えば、組成物の総重量に対して、0.00000001%(重量)~20%(重量)の量、0.000001%(重量)~15%(重量)、0.00001%(重量)~10%(重量)、又は0.0001%(重量)~5%(重量)、又は0.1~4%(重量)、又は1~3%(重量)の量である。
【0060】
一実施形態では、上記の抽出物、又は抽出物、水混和性有機溶媒、及び任意選択的に水を含む組成物は、化粧用組成物中に2%(重量)の量で存在する。
【0061】
本発明の化粧用組成物は、所望の投与形態を配合物化するために必要な化粧品的又は薬学的に許容される賦形剤を任意に含む、局所適用のための組成物であり得る。局所用組成物は、毛を有する皮膚などの哺乳動物のケラチン組織、特にヒト頭皮への局所適用に適した組成物である。特に、局所用組成物は、コンディショナー、トリートメント、ヘアトニック、スタイリングジェル、ムース、シャンプー、ヘアスプレー、ポマード、セッティングローション、カラーリング、及びパーマネントウェーブ組成物などのヘアケア組成物である。本発明の目的に特に関連するのは、トニック、コンディショナー、トリートメント、及びスタイリングジェルであり、これらは、ジェル、ローション、チンキ、スプレー、ムース、クレンジング組成物又はフォームの形態であってもよく、個々の必要性に応じて、例えば、ローション、チンキ、ムース、若しくはスプレーとして1日1回、又はコンディショナー若しくはトリートメントとして週に1回若しくは2回適用されてもよい。特に、本発明の文脈において適切な組成物は、ローション、シャンプー、美容液、又は睫毛マスカラである。好ましくは、化粧用組成物は、美容液又は睫毛マスカラである。「美容液」という用語は、当業者に周知であり、透明、ゲルベース、又は液体である組成物を指す。美容液は、流動性のテクスチャを有し、標準的なケア製品よりも活性剤が濃縮されている。本明細書で使用するとき、用語「マスカラ」は、睫毛を強化するために使用される化粧品を指す。マスカラは、例えば、睫毛を暗くし、濃くし、長くし、及び/又は画定し得る。
【0062】
化粧用組成物は、マスカラ組成物であり得る。本発明のマスカラ組成物は、マスカラの基本的な配合要素を組み込んでいるという点で、現在知られているマスカラと同様である。
【0063】
マスカラ組成物は、(i)本明細書に記載の植物抽出物、又は本明細書に記載の植物抽出物、水混和性有機溶媒、及び任意選択的に水を含む組成物と、(ii)少なくとも1種の化粧品として許容される賦形剤又はアジュバントと、を含む。少なくとも1種の化粧品として許容される賦形剤又はアジュバントは、少なくとも1種のワックスと、任意選択的に少なくとも1種の顔料と、を含む。マスカラ組成物は、(i)本明細書に記載の植物抽出物、又は本明細書に記載の植物抽出物、水混和性有機溶媒、及び任意選択的に水を含む組成物、並びに少なくとも1種のワックス、及び任意選択的に少なくとも1種の顔料を含む。典型的には、マスカラ組成物はエマルジョンであり、液相(例えば水)及び少なくとも1種の乳化剤を含む。マスカラ組成物は、増粘剤及び/又は被膜形成剤などの少なくとも1種のレオロジー調整剤を更に含むことができる。
【0064】
本明細書で使用するとき、「ワックス」という用語は、室温(約25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち105Pa)で固体であり、可逆的な固体/液体の状態変化を受け、30℃超、いくつかの実施形態では、約55℃超、最大約120℃、又は更には約200℃もの融点を有する親油性脂肪族化合物を意味することが意図される。ワックスという用語は、動物由来のワックス、植物由来のワックス、鉱物由来のワックス、及び合成由来のワックスを含む。動物由来のワックスの例としては、蜜蝋及びラノリンワックスが挙げられる。植物由来のワックスの例としては、ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリカリーワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、木ロウ、ウルシワックス、綿ワックス、ヒマワリワックスが挙げられる。鉱物由来のワックスの例としては、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、オゾケライト、及びセレシンが挙げられる。合成由来のワックスの例としては、ポリオレフィンワックス、例えば、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ合成によって得られるワックス、ワックス状コポリマー及びそれらのエステル、並びにシリコーンワックス及びフルオロワックスが挙げられる。好適なワックスとしては、コメヌカロウ(Oryza Sativa Bran Cera)、カルナウバヤシ(Copernica Cerfifera)ワックス、及びシェラックワックスが挙げられる。ワックスという用語は、動物又は植物由来の高融点水素化油を更に含んでもよい。例としては、C-C32直鎖又は非線形脂肪鎖からなる脂肪の接触水素化によって得られる水素化ホホバワックス及び水素化油、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化コプラ油、水素化ラノリン、及び水素化パーム油が挙げられる。マスカラ組成物は、少なくとも1種のワックスを含むことができ、組成物中のワックスの総量は、マスカラ組成物の総重量に基づき、0.5~20重量%又は1~10重量%又は2~8重量%又は4~7重量%である。
【0065】
顔料は、鉱物及び/又は有機であってもよく、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。鉱物顔料としては、金属酸化物、特に、任意選択的に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、又は酸化セリウム、及び酸化鉄、特に黒色酸化鉄、酸化チタン又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、及びフェリックブルーを挙げることができる。有機顔料としては、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びコチニールカルミン又はバリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウムに基づくレーキが挙げられる。マスカラ組成物は、少なくとも1種の顔料を含むことができ、組成物中の顔料の総量は、マスカラ組成物の総重量に基づき、1~20重量%又は5~15重量%又は8~12重量%である。
【0066】
マスカラ組成物に使用するのに好適な乳化剤としては、水相中で脂肪族化合物を乳化するのに適したアニオン性、両性、及び非イオン性乳化剤が挙げられる。本発明の特定の実施形態において、乳化剤は、脂肪酸、グリセロール及び/又はポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル、アンホアセテート、及びアルキルホスフェートから選択される。本発明の特定の実施形態において、乳化剤は、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸peg-200グリセリル、ステアレス-2、ステアレス-20イソセテス-20、及びセチルリン酸カリウム、並びにココアンホ酢酸二ナトリウムから選択される。好適な乳化剤としては、Glucate SS、Arlatone MAP160、及びこれらの混合物が挙げられる。マスカラ組成物は、少なくとも1種の乳化剤を含むことができ、組成物中の乳化剤の総量は、マスカラ組成物の総重量に基づき、0.01~8重量%、又は0.05~8重量%、又は0.05~5重量%、0.05~0.5重量%、又は0.1~0.20重量%である。
【0067】
マスカラ組成物は、レオロジー調整剤を含んでもよい。レオロジー調整剤としては、粘度増加ポリマー性天然及び誘導体化ガム、樹脂増粘剤、ゲル化剤、又は懸濁剤が挙げられる。粘度を増加させるために、組成物は、合成又は天然であり得る1つ以上のレオロジー調整剤を含み得る。
【0068】
例として、C10~C32アルコールなどの脂肪アルコール、例えばC12~C22アルコール、天然油、並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマー、例えば、カルボマーが挙げられる。例示的な天然油としては、鉱油(主にC15~C40直鎖及び分岐脂肪族アルカン、少量のシクロアルカンを含む)、天然由来エステル、天然アルカン、又は植物油が挙げられる。例示的な合成レオロジー調整剤としては、アクリル系ポリマー及びコポリマーが挙げられる。アクリル系レオロジー調整剤の1つのクラスは、アクリル酸を単独で、又は他のエチレン性不飽和モノマーと組み合わせてフリーラジカル重合することによって生成される、カルボキシル官能性のアルカリ膨潤性及びアルカリ可溶性増粘剤(alkali-soluble thickener、AST)である。ポリマーは、溶媒/沈殿及びエマルション重合技術によって合成することができる。このクラスの例示的な合成レオロジー調整剤としては、アクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマーと、アクリル酸、置換アクリル酸、並びにアクリル酸及び置換アクリル酸の塩及びC1~C30アルキルエステルの1つ以上のモノマーから重合されたコポリマーとが挙げられる。本明細書に定義されるように、置換アクリル酸は、分子のα及び/又はβ炭素原子上に位置する置換基を含有し、一態様では、置換基は、独立して、C1~-4アルキル、-CN、及び-COOHから選択される。任意選択で、例えば、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリルなどの他のエチレン性不飽和モノマー、及びそれらの混合物を、骨格に共重合させることができる。前述のポリマーは、任意選択で、エチレン性不飽和を含有する2つ以上の部分を含有するモノマーによって架橋される。一態様では、架橋剤は、1分子当たり少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する多価アルコールのポリアルケニルポリエーテルから選択される。他の例示的な架橋剤は、スクロースのアリルエーテル及びペンタエリスリトールのアリルエーテル、並びにそれらの混合物から選択される。これらのポリマーは、米国特許第5,087,445号、同第4,509,949号、及び同第2,798,053号により完全に開示されている。
【0069】
一態様では、ASTレオロジー調整剤又は増粘剤は、アクリル酸又はメタクリル酸から重合された架橋ホモポリマーであり、一般に、カルボマーのINCI名により言及される。市販のカルボマーは、Lubrizol Advanced Materials,Inc.から入手可能なCarbopol(登録商標)ポリマー934、940、941、956、980、及び996を含む。更なる態様では、レオロジー調整剤は、アクリル酸、置換アクリル酸、アクリル酸の塩及び置換アクリル酸の塩の1つ以上のモノマーから選択される第1のモノマーと、アクリル酸又はメタクリル酸の1つ以上のC10~C30アルキルアクリレートエステルから選択される第2のモノマーとから重合される架橋コポリマーから選択される。一態様では、モノマーは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,288,814号に開示されているような立体安定剤の存在下で重合させることができる。前述のポリマーのうちのいくつかは、INCI命名法の下でアクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマーと指定され、Carbopol(登録商標)1342及び1382、Carbopol(登録商標)Ultrez 20及び21、Carbopol(登録商標)ETD 2020及びPemulen(登録商標)TR-1及びTR-2の商品名でLubrizol Advanced Materials,Inc.から市販されている。
【0070】
別の態様では、レオロジー調整剤は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,205,271号に開示されているような架橋された直鎖ポリ(ビニルアミド/アクリル酸)コポリマーであり得る。
【0071】
組成物における使用に適した別のクラスの合成レオロジー調整剤は、一般に疎水性修飾アルカリ膨潤性及びアルカリ可溶性エマルジョン(HASE)ポリマーと称される疎水性修飾ASTを含む。典型的なHASEポリマーは、pH感受性又は親水性モノマー(例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸)、疎水性モノマー(例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1~C30アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン)、「会合性モノマー」、及び任意選択の架橋性モノマーから重合されたフリーラジカル付加ポリマーである。会合性モノマーは、エチレン性不飽和重合性末端基、疎水性末端基で終端する非イオン性親水性中間セクションを含む。非イオン性親水性中間セクションは、ポリオキシアルキレン基、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドセグメントの混合物を含む。末端疎水性末端基は、典型的にはC8~C40脂肪族部分である。例示的な脂肪族部分は、直鎖及び分岐鎖アルキル置換基、直鎖及び分岐鎖アルケニル置換基、炭素環式置換基、アリール置換基、アラルキル置換基、アリールアルキル置換基、及びアルキルアリール置換基から選択される。一態様では、会合性モノマーは、ポリエトキシ化及び/又はポリプロポキシル化脂肪族アルコール(典型的には、分岐鎖又は非分岐鎖C8~C40脂肪族部分を含有する)と、カルボン酸基(例えば、アクリル酸、メタクリル酸)、不飽和環状無水物モノマー(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸)、モノエチレン性不飽和モノイソシアネート(例、α,α-ジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネート)又はヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマー(例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール)との縮合によって調製することができる。ポリエトキシ化及び/又はポリプロポキシル化脂肪族アルコールは、C8~C40脂肪族部分を含有するモノアルコールのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物である。C8~C40脂肪族部分を含有するアルコールの非限定的な例は、カプリルアルコール、イソオクチルアルコール(2-エチルヘキサノール)、ペラルゴンアルコール(1-ノナノール)、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール(C16~C18モノアルコールの混合物)、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、モンタニルアルコール、メリシル、ラクセリルアルコール、ゲジルアルコール、及びC2~C20アルキル置換フェノール(例えば、ノニルフェノール)などである。
【0072】
例示的なHASEポリマーは、米国特許第3,657,175号、同第4,384,096号、同第4,464,524号、同第4,801,671号、及び同第5,292,843号に開示されている。加えて、HASEポリマーの広範なレビューは、Gregory D.Shay,Chapter 25,「Alkali-Swellable and Alkali-Soluble Thickener Technology A Review」,Polymers in Aqueous Media-Performance Through Association,Advances in Chemistry Series 223,J.Edward Glass(ed.),ACS,pp.457-494,Division Polymeric Materials,Washington,D.C.(1989)に見出され、この関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。市販のHASEポリマーは、Rohm&Haasから、Aculyn(登録商標)22(INCI名:アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)44(INCI名:PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)、Aculyn46(登録商標)(INCI名:PEG-150ステアリルアルコール/SMDIコポリマー)、及びAculyn(登録商標)88(INCI名:アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー)の商品名で、並びにLubrizol Advanced Materials,Inc.からNovethix(商標)L-10(INCI名:アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)の商品名で販売されている。
【0073】
別の実施形態では、酸膨潤性会合性ポリマーをレオロジー調整剤として使用することができる。そのようなポリマーは、一般に、カチオン特性及び会合特性を有する。これらのポリマーは、酸感受性アミノ置換親水性モノマー(例えば、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド)、会合性モノマー(上記で定義)、低級アルキル(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ポリエチレングリコールのビニル及び/若しくはアリルエーテル、ポリプロピレングリコールのビニル及び/若しくはアリルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールのビニル及び/若しくはアリルエーテル、(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸のポリプロピレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールエステル、並びにそれらの組合せから選択される他のフリーラジカル重合性コモノマーを含むモノマー混合物から重合されたフリーラジカル付加ポリマーである。これらのポリマーは、任意選択で架橋させることができる。酸感受性とは、アミノ置換基が、典型的には0.5~6.5の範囲の低いpH値でカチオン性になることを意味する。例示的な酸膨潤性会合性ポリマーは、NouryonからStructure(登録商標)Plus(INCI名:アクリレート/アミノアクリレート/C10~C30アルキルPEG-20イタコネート)の商品名で、及びLubrizol Advanced Materials,Inc.からCarbopol(登録商標)Aqua CC(INCI名:ポリアクリレート-1クロスポリマー)の商品名で市販されている。一態様では、酸膨潤性ポリマーは、(メタ)アクリル酸の1つ以上のC1~C5アルキルエステル、C1~C4ジアルキルアミノC1~C6アルキルメタクリレート、PEG/PPG-30/5アリルエーテル、PEG20~25C10~C30アルキルエーテルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートと架橋したヒドロキシC2~C6アルキルメタクリレートのコポリマーである。他の有用な酸膨潤性会合性ポリマーは、米国特許第7,378,479号に開示されている。
【0074】
疎水性修飾アルコキシ化メチルグルコシド、例えば、Lubrizol Advanced Materials,Inc.からそれぞれ、Glucamate(登録商標)DOE-120、Glucamate(商標)LT、Glucamate(商標)VLT、及びGlucamate(商標)SSE-20の商品名で入手可能なPEG-120メチルグルコースジオレエート、PEG-120メチルグルコーストリオレエート、及びPEG-20メチルグルコースセスキステアレートもまた、レオロジー調整剤として好適である。
【0075】
アラビアゴム、ガッチ(gahatti)ゴム、及びトラガカントゴムなどの木及び低木の浸出液から得られる多糖類、並びにペクチン;アルギネート及びカラギーナンなどの海藻抽出物(例えば、ラムダ、カッパ、イオタ、及びその塩);寒天などの藻類抽出物;キサンタン、ゲラン、及びウェラン(wellan)などの微生物多糖;エチルヘキシルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースセルロースエーテルなどの、セルロースエーテル;フェヌグリークガム、カシアガム、ローカストビーンガム、タラガム、グアガムなどの、ポリガラクトマンナン;コーンスターチ、タピオカデンプン、米デンプン、小麦デンプン、ジャガイモデンプン、及びソルガムデンプンなどのデンプンも、好適なレオロジー調整剤として本明細書の組成物に用いることができる。増粘剤として使用される特に好適なレオロジー調整剤は、ジウタンガムである。
【0076】
レオロジー調整剤は、単独で又は組み合わせて使用することができ、組成物の総重量に基づいて、活性物質基準で、0.001~50重量%、例えば、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%、例えば、最大20重量%、又は最大10重量%、又は最大3重量%で組成物中に存在し得る。
【0077】
マスカラ組成物は、皮膜形成剤であるレオロジー調整剤を含んでもよい。皮膜形成剤は、マスカラ組成物中の少なくとも1種の溶媒(例えば、水及び/又は有機溶媒など)に溶解し、マスカラ組成物が毛に適用された後、少なくとも1種の溶媒が毛上で蒸発、吸収、及び/又は消散し、皮膜形成剤は毛上に皮膜を残す。皮膜形成剤の使用は、マスカラのもちを改善し、マスカラに耐移り性を付与することができる。被膜形成剤は、当該技術分野において周知であり、眼の周りで使用するために化粧品として許容される任意のものであってよい。有用な皮膜形成剤の例としては、天然ワックス、ポリマー、例えばアクリル酸コポリマー、ポリエチレンポリマー、及びポリビニルピロリドン(PVP)のコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ジメチコンガム、並びに樹脂、例えばシェラック、ポリテルペン、及び種々のシリコーン樹脂、例えばトリメチルシロキシシリケートが挙げられる。皮膜形成剤は、PVP、アクリル酸コポリマー、及びポリウレタンであり得る。好適な皮膜形成剤は、例えば、限定されないが、Avalure(商標)UR450ポリマーなどのポリウレタンである。一態様では、皮膜形成剤は、マスカラ組成物の総重量に基づき、約0.1~約50重量%、又は約0.5~約20.0重量%の範囲の量で使用することができる。
【0078】
更に、化粧用組成物は、ビタミン、ミネラル、タンパク質、ペプチド、脂肪酸、抗酸化剤、抗炎症剤、暗色化剤、及び/又はそれらの混合物などの他の活性成分を含んでもよい。特に、化粧用組成物は、発毛を促進する、及び/又は脱毛を防止するための他の有効成分を含んでもよい。本発明の文脈において好適な非限定的な例は、Hallstarによって市販されている、Growth Oleoactif(登録商標)[INCI:ヒマワリ(Helianthus Annuus)]種子油(及び)ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3(及び)ベニバナ(Carthamus Tinctorius)(サフラワー)(及び)ローゼル(Hibiscus Sabdariffa)花抽出物];Sedermaによって市販されている、Widelash(商標)[INCI:グリセリン、水(水)、パンテノール、ビオチノイルトリペプチド-1];Symriseによって市販されている、SymPeptide(登録商標)Xlash[INCI:グリセリン(及び)アクア(及び)ミリストイルペンタペプチド-17]、SymLash(登録商標)1631[INCI:ペンチレングリコール(及び)イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis Galbana)抽出物];Lipotrueから市販されている、Anargy(商標)[INCI:水(及び)ブチレングリコール(及び)オリゴペプチド-2(及び)ベンサミアナタバコ(Nicotiana Benthamiana)ヘキサペプチド-40sh-ポリペプチド-9(及び)ベンサミアナタバコヘキサペプチド-40 sh-ポリペプチド-86]。Lucas Meyerによって市販されている、Capixyl(商標)[INCI:ブチレングリコール(及び)アクア(及び)デキストラン(及び)アセチルテトラペプチド-3(及び)ムラサキツメクサ(Trifolium Pratense)(クローバー)花抽出物];Nanovetoresによって市販されている、Nano lashes[INCI:水、ホホバ(Simmondsia Chinensis)種子抽出物、ポリソルベート20、ヒドロキシプロピルグアー、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム];Spec-chemによって市販されている、Specped SC-MH16[INCI:水、グリセリン、ミリストイルヘキサペプチド-16、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン]、ミリストイルペンタペプチド-17[INCI:ミリストイルペンタペプチド-17]、SpecPed(登録商標)BT1[INCI:ビオチノイルトリペプチド-1]、SpecPed(登録商標)LashLD[INCI:ビオチノイルトリペプチド-1、グリセリン、水、カプリリルグリコール及びエチルヘキシルグリセリン、パンテノール、トレハロース]、SpecPed(登録商標)MP17P[INCI:ミリストイルペンタペプチド-17];Sedermaによって市販されている、Procapil(商標)[INCI:ブチレングリコール(及び)アクア(及び)PPG-26-ブテス-26(及び)PEG-40水素化ヒマシ油(及び)アピゲニン(及び)オレアノール酸(及び)[ビオチノイルトリペプチド-1];Mibelleによって市販されている、AnaGain(商標)[INCI:エンドウ(Pisum Sativum)(エンドウマメ)芽抽出物(及び)イソマルト(及び)水]、PhytoCellTec(商標)Malus Domestica Hair[INCI:リンゴ(Malus Domestica)果実細胞培養抽出物(及び)キサンタンガム(及び)グリセリン(及び)レシチン(及び)フェノキシエタノール(及び)アクア/水]、Santenergy(商標)[INCI:バイオフラボノイド(及び)ペンチレングリコール(及び)アルコール(及び)水]、RootBioTec(商標)HW[INCI:バジル(Ocimum Basilicum)毛根培養抽出物(及び)アルコール(及び)水/水]、RootBioTec(商標)HO[INCI:バジル毛根培養抽出物(及び)ヒマワリ(Helianthus Annuus)(ヒマワリ)種子油(及び)ココヤシ(Cocos Nucifera)(ココナッツ)油;Vytrus Biotechによって市販されている、[INCI:ウコン(ウコン)カルス培養馴化培地(及び)]水];Solabiaによって販売されている、[INCI:グリセリン(及び)水(及び)オランダガラシ(Nasturtium Officinale)抽出物(及び)キンレンカ(Tropaeolum Majus)抽出物];Peptronによって市販されている、Alotide(商標)[INCI:リン酸アスコルビル銅サクシニルトリペプチド-34];Ichimaru Pharcosによって市販されている、BURGEON-UP[INCI:水(及び)アルコール(及び)オランダガラシの葉/茎抽出物];Exysmolによって市販されている、Capalgin(登録商標)[INCI:ヤハズツノマタ(Chondrus Crispus)抽出物];BASFによって市販されている、Dermosaccharides(登録商標)GY[INCI:水(及び)グリセリン(及び)グリコーゲン(及び)フェノキシエタノール(及び)メチルパラベン]、Trichogen(商標)VEG LS 9922[INCI:水(及び)オタネニンジン(Panax Ginseng)根抽出物(及び)アルギニン(及び)アセチルチロシン(及び)ゴボウ(Arctium Majus)根抽出物(及び)加水分解大豆蛋白(及び)ポリクオタニウム-11(及び)ペグ-12ジメチコン(及び)パントテン酸カルシウム(及び)グルコン酸亜鉛(及び)ナイアシンアミド(及び)オルニチンHCl(及び)シトルリン(及び)グルコサミンHCl(及び)ビオチン];CLRによって市販されている、Follicusan(商標)DP[INCI:水(及び)変性アルコール(及び)パンテニールエチルエーテル(及び)イノシトール(及び)乳蛋白(及び)ラクトース(及び)アセチルシステイン(及び)アセチルメチオニン(及び)クエン酸ナトリウム(及び)クエン酸];Greentechによって市販されている、Hairline(登録商標)[INCI:プロパンジオール(及び)水(水)(及び)テンダイウヤク(Lindera Strychnifolia)の根の抽出物];Provitalによって市販されている、Kerascalp(商標)[INCI:プロパンジオール(及び)グリセリン(及び)ユカン(Phyllanthus emblica)果実抽出物]、Baicapil(商標)[INCI:プロパンジオール(及び)水(及び)アルギニン(及び)乳酸(及び)ツルマメ(Glycine Soja)(ダイズ)胚芽抽出物(及び)コムギ(Triticum Vulgare)(コムギ)胚芽抽出物(及び)コガネバナ(Scutellaria Baicalensis)根抽出物(及び)安息香酸ナトリウム(及び)グルコノラクトン(及び)グルコン酸カルシウム);Seppicによって市販されている、BIOENERGIZER(商標)P BG PF[INCI:水/水、ブチレングリコール、パンテノール、プロピレングリコール、ペルベチア・カナリクラタ(Pelvetia Canaliculata)抽出物、ラミナリア・ディギタータ(Laminaria Digitata)抽出物];Ashlandによって市販されている、Protectagen(商標)[INCI:水(及び)グリセリン(及び)加水分解米タンパク質];Givaudanによって市販されている、Redensyl(登録商標)[INCI:グリセリン(及び)水(及び)メタ重亜硫酸ナトリウム(及び)ヨーロッパカラマツ(Larix Europaea)抽出物(及び)グリシン(及び)亜鉛塩化物(及び)チャノキ(Camellia Sinensis)葉抽出物];B&Gから市販されている、GANOTHER(登録商標)[INCI:グリセリン(及び)水(及び)霊芝(キノコ)(Ganoderma Lucidum)菌糸発酵体濾液];Silabによって市販されている、Hairgenyl(登録商標)[INCI:出芽酵母(Saccharomyces Cerevisiae)抽出物]、Anageline(登録商標)[INCI:加水分解されたルピナスタンパク質];Shanghai GREAF Biotechによって市販されている、Hairdian AP[INCI:プロパンジオール(及び)コノテガシワ(Thuja Orientalis)抽出物(及び)ショウガの根抽出物(Zingiber Officinale)ムラサキツメクサ(Trifolium Pratense)(クローバー)葉抽出物(及び)チョウセンヨモギ(Artemisia Argyi)葉抽出物]である。
【0079】
化粧用組成物はまた、Minoxidil(登録商標)(ロゲイン)、Finasteride(登録商標)(プロペシア)、及びDutasteride(登録商標)(アボダート)からなる群から選択される成分を含んでもよい。
【0080】
用途
本発明は、属ミロタムヌス種の植物由来の植物抽出物の驚くべき特性の発見に基づく。特に、この特性は、植物抽出物を美容上の非治療的適用に供する。美容上の非治療的適用は、審美的外観を改善又は維持する目的を有し、特に、本発明は、毛の審美的外観を改善又は維持するための、特に、睫毛及び/又は眉毛の毛の審美的外観を改善又は維持するための植物抽出物の使用に関する。
【0081】
属ミロタムヌスの植物からの植物抽出物は、毛包細胞の増殖を刺激することができ、すなわち、それによって新しい毛の生成を刺激し、発毛を促進することが発見された。また、これらの抽出物は、内皮細胞における新しい血管の生成を刺激し、ケラチノサイト細胞の増殖を刺激し、それによって発毛及び強度を促進することができることが発見された。更に、抽出物は、毛包におけるコラーゲンXVII及びα6β4インテグリンの発現を増加させ、それによって毛の定着を向上させることが発見された。結果として、本発明の植物抽出物は、発毛を促進する、脱毛を防止する、及び/又は毛の太さを増加させることができる。
【0082】
本発明は、発毛を促進するための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。「発毛を促進する」という用語は、発毛を刺激又は強化することを意味し、毛の密度(すなわち、皮膚1cm当たりの毛の数)を増加させること、すなわち、人体の所与の領域において成長させることを指す。任意選択的に又は追加的に、その用語はまた、毛繊維の長さを増加させること、すなわち、同じ期間ミロタムヌス種の抽出物を使用しない場合の長さと比較して、所与の領域の毛の長さを同じ期間増加させることを指す。
【0083】
毛の密度は、ミロタムヌス種の抽出物が使用される場合、ミロタムヌス種の抽出物の使用前の密度と比較して、少なくとも10%、又は少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、又はそれ以上増加し得る。
【0084】
毛の長さは、長さが平均長である場合、ミロタムヌス種の抽出物が使用される場合、同じ期間、ミロタムヌス種の抽出物を使用しない場合の平均長と比較して、少なくとも10%、又は少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%以上増加し得る。
【0085】
本発明は、睫毛及び眉毛の発毛を促進するための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。
【0086】
本発明は、睫毛の毛を長くするための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。
【0087】
本発明は、睫毛の毛の密度を増加させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。
【0088】
本発明は、眉毛の毛を長くするための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。
【0089】
本発明は、眉毛の毛の密度を増加させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。
【0090】
本発明は、脱毛を予防するための、ミロタムヌス種の植物抽出物を提供する。脱毛は、正常な平均1日脱毛又は加齢による脱毛であり得る。脱毛は、例えば毛をスタイリングすることによって引き起こされる機械的ストレス、又は特に睫毛及び眉毛の毛の場合、手又は指でこすることによって引き起こされる機械的ストレスに起因し得る。特に、本発明は、睫毛及び眉毛における脱毛を予防するための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。
【0091】
「予防」又は「予防する」という用語は、本明細書で使用される場合、ミロタムヌス種の植物抽出物が脱毛を予防、遅延、又は妨害する能力を指す。「予防」という用語は、「低減」という用語と交換可能であり得、すなわち、失われた毛の量を低減する植物抽出物の能力を指す。
【0092】
本発明は、毛の定着を向上させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用を提供する。この結果、毛は、例えば機械的応力に対してより弾力的になる。
【0093】
本発明は、毛の太さを増加させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物を提供する。「太さ」という用語は、毛を説明するために使用される場合、毛髪の平均直径又は断面積を指す。特定の実施形態では、毛の太さは、ミロタムヌス抽出物が使用される場合、ミロタムヌス抽出物の使用前の太さと比較して、少なくとも10%、又は少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%増加する。
【0094】
ミロタムヌス種の植物抽出物は、毛包真皮乳頭細胞及びケラチノサイト細胞の増殖を誘導し、毛包内の血流を増加させ、毛包中のXVIIコラーゲン及びα6β4インテグリンの合成を増加させることができることが示されている。したがって、本発明はまた、毛包真皮乳頭細胞の増殖を誘導する、毛の形成のためにケラチノサイト細胞及び/又は関連ケラチンの増殖を誘導する、毛包内の血流を増加させる、毛包中のXVIIコラーゲン及びα6β4インテグリンの合成を増加させることによって、発毛を促進する、及び/又は脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させるための、ミロタムヌス種の植物抽出物の使用に関する。
【0095】
一態様において、本発明は、少なくとも1種のミロタムヌス種の植物抽出物を活性成分として対象に投与することを含む、発毛を促進する、及び/又は脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させる方法を提供する。対象は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。好ましくは、本方法は美容上であり、非治療的である。
【0096】
上記の使用及び方法において、植物抽出物が、上記のような組成物中に含有されてもよい。
【0097】
植物抽出物は、好ましくは局所適用によって投与される。本明細書で使用するとき、「局所適用」は、植物抽出物(又は植物抽出物を含む組成物)を、毛を有する皮膚などの哺乳動物のケラチン組織と接触させることを意味する。特に、皮膚は、頭皮などの毛を有する皮膚、口ひげ又は顎ひげ、眉毛、及び睫毛の皮膚などの顔の皮膚である。より具体的には、抽出物又は組成物は、睫毛ライン及び/又は眉毛に、好ましくは睫毛ラインに適用される。
【0098】
本発明の上記した方法について、適用又は投与の頻度は、各対象の必要に応じて大幅に変動し得るが、推奨される適用は、月1回~1日10回、好ましくは週1回~1日4回、より好ましくは週3回~1日2回、更により好ましくは1日1回である。
【0099】
本発明はまた、本発明による方法と、発毛を促進及び/又は増加させる、及び/又は脱毛を予防する、及び/又は毛の太さを増加させるための他の方法との組合せに及ぶ。
【0100】
上記の使用及び方法によって提供される毛の審美的外観の改善又は維持は、健康な対象、並びに皮膚、毛、爪及び/又は粘膜の疾患及び/又は障害を呈する対象の両方に適用することができる。したがって、本発明の方法は、脱毛症に罹患していない対象、又は退行期脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、全身性脱毛症、抜毛症、休止期脱毛症、若しくは瘢痕性脱毛症に罹患している対象に適用することができる。また、本発明の使用は、脱毛症に罹患していない対象、又は退行期脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、全身性脱毛症、抜毛症、休止期脱毛症、若しくは瘢痕性脱毛症に罹患している対象に限定される。
【0101】
別の態様では、医薬として使用するための、ミロタムヌス種の植物抽出物が提供される。特に、脱毛又は薄毛に関連する状態、例えば、限定されないが、脱毛症(退行期脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、全身性脱毛症、抜毛症、休止期脱毛症、瘢痕性脱毛症を含む)の処置に使用するためのミロタムヌス種の植物抽出物が提供される。別の態様では、治療有効量のミロタムヌス種の植物抽出物を対象に投与することを含む、脱毛又は薄毛に関連する状態、例えば、限定されないが、脱毛症(退行期脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、全身性脱毛症、抜毛症、休止期脱毛症、瘢痕性脱毛症を含む)を処置する方法が提供される。
【0102】
本発明を以下の非限定的な実施例において更に説明する。
【実施例
【0103】
実施例1
従来の水性抽出によって得られる抽出物
従来の抽出を、約1.27~0.22mm片に切り刻まれた葉を有する乾燥ミロタムヌス・フラベリフォリア茎に対して行った。植物材料を、1:10(乾燥植物材料:水、w/v)の比で水による抽出に供した。抽出は、撹拌しながら、45℃で4時間行った。得られた溶液を室温(25℃)に冷却し、10μmフィルタで濾過した。濾過した溶液は植物抽出物であり、次いでこれを100%グリセリンで1:5(抽出物:グリセリン、w/w)の比で希釈し、得られた組成物を混合してストック溶液を形成した。
【0104】
実施例2
亜臨界水抽出により得られる抽出物
亜臨界水抽出(SWE)を、約1.27~0.25mmの粗い粉末に粉砕した葉を有する乾燥ミロタムヌス・フラベリフォリア茎に対して行った。この粉末を亜臨界水で1:20(粉末:水、w/v)の割合で抽出した。亜臨界水を10~11MPaの範囲の圧力下で、150℃の温度で1時間保持した。その後、得られた溶液を室温(25℃)まで放冷し、10μmのフィルタで濾過した。濾過した溶液は植物抽出物であり、次にこれをグリセリンで1:5の比(抽出物:グリセリン、w/w)に希釈した。得られた組成物を混合してストック溶液を形成した。
【0105】
実施例3
抽出物の組成分析
実施例1及び2のストック溶液を、植物化学物質における差異について評価した。総ポリフェノール含量(TPC)を、個々の植物化学物質の特定と共に分析した。
【0106】
総ポリフェノール含量は、フォリン-チオカルト法によって判定した。簡単に説明すると、2mLの抽出物を5mLの蒸留水と混合した後、1mLのフォリン-チオカルト試薬を加えて3分間よく混合し、3分後、5mLの10%炭酸ナトリウム溶液を加えて反応を停止させた。室温で30分後、分光光度計を用いて760nm及び850nmで吸光度を測定した。没食子酸を標準として用いて検量線を得た。
【0107】
液体クロマトグラフィとタンデム質量分析LC/MS-MSを、より特異的な植物化学物質を特定するために使用した。10マイクロリットル(10μL)の抽出物を、2mLのLC-MSバイアル中で、100μLの10mMのHCL及び890μLの超純水と混合し、サンプルを100倍に希釈した。注入体積は2μLであった。この分析に使用した移動相は、アセトニトリル(溶媒A)中の0.1%ギ酸及び超純水(溶媒B)中の0.1%ギ酸を含んでいた。流速は、40℃のカラム温度で、0.2mL/分であった。
【0108】
実施例1の水性植物抽出物のフォリン-チオカルト法による総ポリフェノール含量は652mgGAE/Lであり、一方、実施例2のストック溶液の総ポリフェノール含量は763mg GAE/Lであった。実施例1及び実施例2のストック溶液中で特定された全ての化合物を表1に列挙する。ND表示は、試料中に検出されない化合物を示す。
【表1】
【0109】
実施例4
毛包真皮乳頭細胞におけるインビトロ増殖アッセイ
実施例1及び2に記載されるように得られたミロタムヌス・フラベリフォリアストック溶液(「試験生成物」)を、増殖サプリメントを補充した乳頭細胞増殖培地中に0.5、1、2、2.5、及び5%(v/v)で溶解し、0.2μmシリンジフィルタを通して濾過した。
【0110】
成体ヒト頭皮由来の毛包真皮乳頭細胞(HFDPC)を、5%CO加湿空気中、37℃で5日間、乳頭細胞増殖培地中で1mL当たり3×10細胞の密度まで増殖させた。その後、それらを分割し、次いで処置のために播種した。
【0111】
HFDPCを、培養培地中の96ウェルCell Carrierブラックプレート(PerkinElmer)に1mL当たり45000細胞/の密度で培養物に播種した。5%CO加湿空気中、37℃で24時間インキュベートした後、培地を除去し、新鮮な培養培地に試験生成物及びビヒクル対照の希釈物を添加した。培地のみで処理された細胞を陰性対照として使用した。ウシ胎児血清(FBS)を陽性対照として使用した。
【0112】
24時間のインキュベーション後、生細胞及び死細胞を、同時染色によって生細胞と死細胞とを区別するLIVE/DEAD(登録商標)生存/細胞毒性キット(Thermo Fisher Scientific製)を用いて定量した。
【0113】
試験生成物を、各実験において4つの複製物を含む3つの独立した実験においてアッセイした。
表2は、以下の式に従って陰性対照中の細胞の総量(全量)を正規化した生HFDPC及び死HFDPCのパーセンテージを示す。
【数1】
表2はまた、以下の式に従って増殖の量を示す。
【数2】
【表2】
【0114】
結果は、M.フラベリフォリア抽出物は、陰性対照(非処理細胞)と比較して、生細胞の数を増加させ、死細胞の数を減少させる。続いて、抽出物はHFDPCに対して増殖効果を有する。
【0115】
実施例5
ケラチノサイト細胞におけるインビトロ増殖アッセイ
ケラチノサイトは、毛繊維中で最も豊富なタンパク質であるケラチンを発現し、毛の新規の形成に寄与する。
【0116】
ミロタムヌス・フラベリフォリアストック溶液を、Mix C39016-CaCl溶液を補充したケラチノサイト増殖培地に0.5、1、2、2.5、及び5%(v/v)で溶解し、0.2μmシリンジフィルタで濾過した。
【0117】
ヒト表皮ケラチノサイト細胞(HEK)を、ケラチノサイト増殖培地中、37℃、5%CO加湿空気中で7日間、4500細胞/cmの密度まで増殖させた。この後、それらを分割し、次いで処置のために播種した。
【0118】
HEKを、培養培地中の96ウェルCell Carrierブラックプレート(PerkinElmer)に、培養培地1mL当たり70000細胞の密度で播種した。5%CO加湿空気中、37℃で24時間インキュベートした後、培地を除去し、新鮮な培養培地に試験生成物の希釈物を添加した。培地のみで処理された細胞を陰性対照として使用した。上皮増殖因子(EGF)を陽性対照として使用した。24時間のインキュベーション後、生細胞及び死細胞をPrestoBlue(登録商標)細胞生存試薬で定量した。
【0119】
HEK定量化は、Thermo Fisher Scientificからの細胞透過性レザズリン系溶液PrestoBlue(登録商標)を使用することによって蛍光によって定量化した。
【0120】
実施例1及び2のストック溶液を、各実験において4つの複製を含む3つの独立した実験においてアッセイした。
結果
表3は、陰性対照に対して正規化されたHEK細胞の細胞増殖値を示す。
【表3】
結果は、M.フラベリフォリア抽出物がケラチノサイト細胞増殖を増加させることを実証している。
【0121】
実施例6
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)における新しい血管形成のインビトロ研究
毛包は、毛を有する皮膚の血流から栄養を得る。毛包の最適な灌注は、栄養を増加させ、新しい毛の生成を刺激し、発毛及び強度を改善する。毛包において新しい血管を生成することができる化合物は、睫毛の成長及び強度の美容処置のための良好な候補である。新しい血管形成のインビトロ評価は、三次元管様構造を形成する内皮細胞の能力の測定を含む。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、細胞外マトリックス成分との特異的結合を媒介して、HUVECの形態学的変化及び遊走を誘導する差次的な力を生成し、管様構造の形成をもたらす。この研究の目的は、三次元管状構造を形成する内皮細胞の能力を測定することによって、新しい血管管を生成する本発明の化合物の有効性を評価することである。
【0122】
96ウェルプレートを冷細胞外マトリックス溶液(血管新生アッセイキットPromoKine)で予めプレコーティングし、37℃で1時間インキュベートする。インキュベーション後、HUVEC細胞をウェル当たり15000細胞の密度で予めコーティングしたウェルに播種した。直ちに、細胞を、0.5%(v/v)の最終ウェル濃度を達成する培地に溶解した実施例2のストック溶液で処理した。血管内皮増殖因子(VEGF)を5ng/mlの最終ウェル濃度で陽性対照として使用し、培地のみで処理した細胞を基礎対照として使用した。細胞を5%CO中、37℃で4時間処置し、その後、製造者のプロトコルに従って染色色素(血管新生アッセイキット、ProMoKine)で染色した。簡潔に述べると、細胞を洗浄し、次いで、染色色素溶液を添加した。5%CO加湿空気中、37℃で30分間インキュベートした後、Operetta(登録商標)共焦点顕微鏡(PerkinElmer,Inc)を使用して蛍光画像を補足し、新しい管形成をImageJソフトウェアによって評価した。
【0123】
新しい血管管形成は、取得された各画像における異なるパラメータの測定によって評価された。第1に、ImageJは、接合部、セグメント、及び分岐などのネットワークの構成要素を検出した。接合部は、管の分岐に適合するノードであり、セグメントは、2つの接合部によって画定された管であり、分岐は、1つの接合部によってのみ画定された要素に対応する。その後、ソフトウェアは、より複雑な構造を定量化した。
-セグメント長:検出された各セグメントのピクセル数
-マスタセグメント数:分岐接続のないジャンクションによって区切られたセグメントの数
-マスタジャンクション数:少なくとも3つのマスタセグメントをリンクするジャンクションの数
メッシュ数:セグメント又はマスタセグメントによって区切られた要素の数
【0124】
新しい血管管形成の増加を考慮するために、測定されるパラメータのうちの2つ以上が増加される必要がある。
【0125】
本明細書中の結果は、基礎条件によって正規化されたパーセンテージとして表される異なる測定パラメータである。
【表4】
異なる測定されたパラメータの平均値は、HUVEC細胞における基礎条件に対するパーセンテージである。
【0126】
結果は、本発明の植物抽出物が、試験濃度でHUVEC細胞における基礎条件に対して管様構造形成を増加させることを確認する。それらの結果はまた、本発明の植物抽出物によって達成される増加が陽性対照の増加と同様であることを実証する。
【0127】
実施例7
頭皮外植片におけるコラーゲンXVII及びインテグリンβ-4免疫染色のエクスビボ研究
毛の定着は、異なる細胞の基底膜領域への接着に依存し、ヘミデスモソームが主な結合単位である。ヘミデスモソームは、XVII型コラーゲン、α6β4インテグリンの2つのサブユニット、及びCD151によって形成される細胞-マトリックス接合部である。XVII型コラーゲン及びα6β4インテグリンの両方が、基底膜ゾーンと直接相互作用して、脱毛を回避するのを助ける。更に、コラーゲンXVIIタンパク質分解は、毛包老化に関連する。毛包は、コラーゲンXVIIタンパク分解を特徴とする小型化プロセスによって、老化中に小型化し、しばしば皮膚から消失し、薄毛及び脱毛をもたらすことが証明されている[Matsumura Hら、「Hair follicle aging is driven by transepidermal elimination of stem cells via COL17A1 proteolysis」Science.2016年2月5日;351(6273):aad4395]。XVII型コラーゲン及びα6β4インテグリンを増加させることができる化合物は、睫毛及び眉毛の老化、強度、及び喪失の美容処置のための良好な候補である。この研究の目的は、頭皮外植片における毛包の異なる領域におけるコラーゲンXVII及びインテグリンβ-4(β4)の増加を測定することによって、毛の定着を改善する本発明の抽出物の化合物の有効性を評価することであった。
【0128】
頭皮外植片を調製し、湿潤5%CO雰囲気中、37℃で8日間、BEM培地(BIO-EC)中に維持した。実施例2のストック溶液の2%(w/w)希釈物を、0日目、4日目、及び6日目に外植片に局所的に適用した。培地のみで処理された頭皮外植片を、基礎対照として使用した。8日目に、外植片を収集し、2つの部分に切断した。半分を緩衝ホルマリン溶液中で固定し、半分を-80℃で凍結した。
【0129】
緩衝ホルマリン中で24時間固定した後、外植片を脱水し、パラフィンを含浸させた。次いで、外植片を包埋し、ミクロトーム(Leica)を使用して5μm厚の切片を作製した。切片を組織学的スライドガラス上に載せた。コラーゲンXVII免疫染色を、モノクローナル抗コラーゲンXVII抗体(Abcam)を用いて室温で1時間、Vectastain Kit Vector増幅系アビジン/ビオチンを使用して実施し、VIP(Vector laboratories,Ref.SK-4600)(酸化されると紫色染色を与えるペルオキシダーゼの基質)によって明らかにした。免疫染色を顕微鏡観察によって評価し、画像解析によって半定量化した。
【0130】
凍結外植片を、クリオスタット(Leica)を使用して7μm厚の切片に切断した。次いで、切片をシラン化ガラススライド上に載せた。インテグリンβ4免疫染色を、凍結皮膚切片に対して、モノクローナル抗インテグリンβ4抗体(Chemicon)を用いて室温で1時間行い、AlexaFluor488(Life technologies)によって明らかにした。核をヨウ化プロピジウムで対比染色した。免疫染色は手動で行い、画像解析によって半定量化した。
【0131】
コラーゲンXVII及びインテグリンβ4の顕微鏡観察をカメラ(Olympus)で画像化し、CellSensソフトウェアで分析した。毛包の異なる領域を、以下の目的の領域:真皮-表皮接合部、漏斗部、上毛根鞘、バルジ、下毛根鞘、及び毛球を規定することによって研究した。これらの領域の各々において、コラーゲンXVII及びインテグリンβ4を定量した。
【0132】
本明細書における結果は、基礎対照に対する毛包領域におけるコラーゲンXVII及びインテグリンβ4の増加のパーセンテージである。
【表5】
ベース対照に対する毛包の異なる領域におけるコラーゲンXVII及びインテグリンβ4の増加のパーセンテージ(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)
【0133】
結果は、本発明の植物抽出物が、毛包に沿ってコラーゲンXVII及びインテグリンβ4の発現を増加させることによって毛の定着を刺激することを実証する。
【0134】
実施例8
睫毛用マスカラ
本発明による睫毛用マスカラを以下のように調製した。
相Aの成分を85℃で加熱しながら撹拌下で混合し、次いで相Bの成分中に分散させた。続いて、相D成分を添加した。
相Eの成分を90℃で加熱しながら混合した。相Eを相A~Dの混合物にゆっくりと添加し、最後に相Fを添加することによってエマルジョンを作製した。
【表6】
【0135】
実施例9
睫毛用美容液
相Aの成分を一緒に混合した。次いで、相Bからの成分を撹拌しながら添加した。混合物を相Cの成分で中和し、最後に成分Dを添加した。
【表7】
実施例10
白人女性ボランティアにおける長期適用後のミロタムヌス種抽出物の睫毛長の増加の評価のためのインビボ研究
研究は、56日間行われる。ボランティア団は、25~50歳の31人の白人女性ボランティアからなっていた。研究の全ての個人は、半顔設計で活性生成物及びプラセボ生成物を適用し、一方の半分側の睫毛に実施例9の活性美容液及び実施例8のマスカラを適用し、他方の半分側に(同じ配合物を有するが、ミロタムヌス種抽出物を有さない)プラセボ美容液及びマスカラを適用した。美容液を睫毛の根元に朝及び夜に適用し、マスカラを朝にのみ56日間適用した。処置期間中、全てのボランティアは、朝に適用された美容液及びマスカラを除去するために、夜にのみクレンザー製品(Beiesdorf製のEucerin(登録商標)DermatoCLEAN)を使用し、夜に美容液を適用する前に使用した。対象は、対象自身の基準としての役割を担い、56日目に得られた結果を初回時に得られた結果と比較した。更に、活性配合物で得られた結果をプラセボ美容液で得られた結果と比較した。睫毛長を測定することによって、組成物の有効性を評価した。
【0136】
生成物使用の56日前後に、ソフトウェアCameraScan(Orion Concept)を用いて、顔の20度からの側方マクロ写真を撮影した。上眼瞼の睫毛が白色パッチ上に横たわるように眼を閉じて写真を撮影した。取得は平行偏光で行い、画像はImage J(National Institutes of Health)ソフトウェアによって分析した。撮像された睫毛を5つのセクションに分割し、各セクションの最長の睫毛を測定のために選択した。結果を表8に示す。
【表8】
生成物適用の56日後の平均睫毛長の増加開始時点に対する統計的有意性:開始時点に対する独立スチューデントt検定を使用して計算されたp<0.05
【0137】
結果は、本発明の美容液及びマスカラの適用の56日後、開始時点と比較して、睫毛の平均長が統計的に有意に増加することを実証している。更に、睫毛長の増加は、プラセボ配合物よりも活性配合物で高くなっている。
【0138】
実施例12
白人女性ボランティアにおける長期適用後のミロタムヌス抽出物の眉密度改善の評価のためのインビボ研究
研究は、56日間行われる。ボランティア団は、25~50歳の28人の白人女性ボランティアからなっていた。本研究の全ての個体に、実施例9の活性美容液及び(ミロタムヌス種を除いて同じ成分を有する)プラセボ美容液を半顔設計で適用した。56日間の研究の間、1日2回(朝及び夜)、美容液を眉に適用した。更に、処置期間中、全てのボランティアは、朝に適用された美容液を除去するために、夜にのみBeiesdorf製のクレンザー製品Eucerin(登録商標)DermatoCLEANを使用し、夜に美容液を適用する前に使用した。対象は、対象自身の基準としての役割を担い、56日目に得られた結果を初回時に得られた結果と比較した。更に、活性美容液で得られた結果をプラセボ美容液で得られた結果と比較した。
【0139】
組成物の有効性を、眉密度測定によって評価した。生成物使用の56日前後に、ソフトウェアCameraScan(Orion Concept)を用いて顔の35度からの側方マクロ写真を撮影した。得られた画像をImage Jソフトウェアで分析した。眉領域を選択し、二値画像に変換した。白色画素を計数し、以下の結果を示した。
【表9】
生成物適用の56日後の平均眉密度の増加開始時点に対する統計的有意性:開始時点に対する独立スチューデントt検定を使用して計算されたp<0.1
結果は、本発明の美容液の適用の56日後、開始時点と比較して、眉の密度が統計的に有意に増加することを実証している。
【0140】
実施例13
白人女性ボランティアにおける長期適用後の睫毛湾曲角の評価のためのインビボ研究
研究は、56日間行われる。25歳~50歳の31人の白人女性ボランティアからなるボランティア団を研究に含めた。研究の全ての個人は、半顔設計で活性製品及びプラセボ製品を適用し、一方の半分側の睫毛に活性美容液及びマスカラを適用し、他方の半分側にプラセボ美容液及びマスカラを適用した。美容液は、朝に1回及び夜に1回、睫毛の根元に適用し、マスカラは、朝にのみ56日間適用した。処置期間中、全てのボランティアは、朝に適用された美容液及びマスカラを除去するために、夜にのみクレンザー製品(Beiesdorf製のEucerin(登録商標)DermatoCLEAN)を使用し、夜に美容液を適用する前に使用した。活性マスカラ及び美容液は、それぞれ実施例8及び9に記載されている。プラセボマスカラ及び美容液は、ミロタムヌス種抽出物を除いて、活性マスカラ及び美容液と同じ成分を有していた。対象は、対象自身の基準としての役割を担い、56日目に得られた結果を初回時に得られた結果と比較した。以下の式を用いて睫毛の湾曲角の変化を判定することによって、組成物の有効性を評価した。
【数3】
睫毛湾曲の減少は、有益な効果として見られる。
【0141】
生成物使用の前(初期)及び56日後に、ソフトウェアCameraScan(Orion Concept)を用いて顔の90度からの側方マクロ写真を撮影した。取得は平行偏光で行い、画像はImage J(National Institutes of Health)ソフトウェアによって分析した。各画像の一番上の睫毛を選択し、睫毛の中点で湾曲角を測定した。
【表10】
生成物適用56日後の平均睫毛湾曲角の変化開始時点に対する統計的有意性:開始時点に対する独立スチューデントt検定を使用して計算されたp<0.001
【0142】
結果は、本発明の組成物の適用の56日後に、開始時点と比較して、睫毛の平均湾曲角が統計的に有意に減少することを実証している。
【0143】
実施例14
睫毛及び眉毛の脱毛の評価のためのインビボ研究
研究は、28日間行われる。25歳~50歳までの31人の白人女性ボランティアを研究に含めた。本研究における全ての個体は、半顔設計で活性生成物及びプラセボ生成物を適用した。睫毛については、一方の半分側の睫毛に活性美容液及びマスカラを、他方の半分側にプラセボ美容液及びマスカラを使用した。美容液は朝に1回、夜に1回睫毛の根元に適用し、マスカラは朝に1回だけ28日間適用した。同じパターンの活性及びプラセボ半設計を使用して、眉毛を美容液で処置した。美容液を28日間、朝及び夜に眉毛に適用した。処置期間中、全てのボランティアは、美容液を除去するために夜間のみクレンザー製品を使用し、朝及び夜の美容液適用前にマスカラを適用した。活性美容液及びマスカラは、実施例8及び9に記載されている。更に、活性配合物で得られた結果をプラセボ配合物で得られた結果と比較した。組成物の有効性を、睫毛及び眉毛から失われた毛の総数によって評価した。
【0144】
睫毛及び眉毛の喪失を毎日計数し、活性生成物及びプラセボ生成物について喪失した毛の数を計数するために、各眉毛及び睫毛を別々に洗浄した。表11に示す結果は、各条件及び位置に応じて失われた全てのボランティアの毛の数の合計に対応する。
【0145】
【表11】
【0146】
結果は、本発明の美容液及びマスカラの適用の28日後に、プラセボと比較して、有効な処置が適用された場合に失われた睫毛及び眉毛の毛の数が減少することを実証する。
【国際調査報告】