(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】2段階バルブ閉鎖ロッカーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
F01L13/00 301F
F01L13/00 301V
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513961
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 IB2022058531
(87)【国際公開番号】W WO2023037321
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュウォーラー、ジョン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ガブリエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】マンデル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】グロン、ジュニア、ジー. マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モリッシー、トレバー
【テーマコード(参考)】
3G018
【Fターム(参考)】
3G018AB03
3G018AB09
3G018BA12
3G018CA12
3G018CB06
3G018DA28
3G018FA11
3G018GA06
(57)【要約】
バルブ作動システムが、エンジンバルブに運動を伝えるためのロッカーと、ロッカーに運動を付与するように配置された運動源と、ロッカー停止アセンブリであって、ロッカー停止アセンブリがロッカーを部分的なバルブリフトに対応する位置に維持する稼働モードと、ロッカー停止アセンブリが、ロッカーが完全閉鎖バルブ位置に対応する位置に移動することを可能にする非稼働モードとで動作するように構成されている、ロッカー停止アセンブリと、主イベントピークリフトに続いてロッカー停止アセンブリを非稼働モードにリセットし、それによって遅延バルブ閉鎖を達成するためのロッカー停止リセットアセンブリと、を含む。ダンパアセンブリが、ロッカー停止アセンブリと相互作用し、ロッカー及びバルブ運動の遅延吸気バルブ閉鎖ドウェルへの円滑な移行を提供し得る。バルブキャッチアセンブリが、少なくとも1つのバルブの着座速度を制御し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのバルブ作動システムであって、前記バルブ作動システムが、
前記少なくとも1つのバルブに運動を伝えるためのロッカーと、
前記ロッカーに運動を付与するように配置された運動源であって、前記運動源が、前記少なくとも1つのエンジンバルブの主イベントピークリフトを規定する、運動源と、
ロッカー停止アセンブリであって、前記ロッカー停止アセンブリが前記ロッカーをバルブリフトに対応する位置に維持する稼働モードと、前記ロッカー停止アセンブリが、前記ロッカーが完全閉鎖バルブ位置に対応する位置に移動することを可能にする非稼働モードとで動作するように構成されている、ロッカー停止アセンブリと、
前記主イベントピークリフトに続いて前記ロッカー停止アセンブリを前記非稼働モードにリセットし、それによって遅延バルブ閉鎖を達成するためのロッカー停止リセットアセンブリと、を備える、バルブ作動システム。
【請求項2】
前記ロッカー停止アセンブリが、前記ロッカー内に配設されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項3】
前記ロッカー停止アセンブリが、前記ロッカーのカム側に配設されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項4】
ロッカー停止アセンブリが、液圧作動ピストンを備える、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項5】
前記ロッカー停止リセットアセンブリが、エンジンクランクシャフト又はカムの所定の回転角度で前記ロッカー停止アセンブリを前記非稼働モードにリセットするように適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項6】
前記ロッカー停止リセットアセンブリが、前記運動源と前記ロッカーとの間のラッシュを占有するように延出するように適合されたプランジャを備え、前記プランジャは、前記プランジャがリセット位置に延出するときに、前記ロッカー停止アセンブリを前記非稼働モードにリセットするように更に適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項7】
前記ロッカー停止リセットアセンブリが、前記運動源の閉鎖プロファイルの一部の間、前記ロッカー停止アセンブリを前記稼働モードに保持するように適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項8】
前記運動源が、単一のカムローブである、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項9】
前記ロッカー停止アセンブリと相互作用するように配置され、前記ロッカー及びバルブ運動の遅延吸気バルブ閉鎖ドウェルへの円滑な移行を提供するように適合された、ダンパアセンブリを更に備える、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項10】
前記ダンパアセンブリが、前記ロッカーに対して固定されたハウジング内に配設されている、請求項9に記載のバルブ作動システム。
【請求項11】
前記ロッカーと相互作用するように配置され、前記少なくとも1つのバルブの着座速度を制御するように適合された、バルブキャッチアセンブリを更に備える、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項12】
前記バルブキャッチアセンブリが、前記ロッカーに対して固定されたハウジング内に配設されている、請求項11に記載のバルブ作動システム。
【請求項13】
前記バルブキャッチアセンブリが、前記ロッカーのカム側の突出部と相互作用するように配置されている、請求項11に記載のバルブ作動システム。
【請求項14】
前記ロッカー停止アセンブリ及び前記ロッカー停止リセットアセンブリが、前記ロッカーのカム側に配設されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項15】
前記ロッカー停止アセンブリ及び前記ロッカー停止リセットアセンブリが、少なくとも1つの液圧通路を通して連結されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項16】
前記運動源が、閉鎖ランプを有するサブベースサークルカムプロファイルを含み、ロッカー停止リセット機構が、ロッカーアームがサブベースサークル閉鎖ランプに従うような速度で前記ロッカー停止アセンブリが落ちることを可能にするように適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項17】
前記ロッカー停止リセット機構が、運動源のリフトに基づいて前記ロッカー停止アセンブリを前記非稼働モードにリセットし、かつ前記運動源から独立した速度で落ちるように適合されている、請求項1に記載のバルブ作動システム。
【請求項18】
前記ロッカー停止リセット機構が、前記稼働モードにおいて前記ロッカー停止アセンブリ内に液圧流体を保持し、かつ前記非稼働モードにおいて前記ロッカー停止アセンブリから周囲に液圧流体を排出するように適合された、ばね付勢されたリセットピストンを備え、前記リセットピストンが、ロッカー停止アセンブリが落ちている間開放したままであるように適合されている、請求項17に記載のバルブ作動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遅延吸気バルブ閉鎖(late intake valve closing、LIVC)を提供するシステムを含む、内燃エンジンバルブ作動システムに関する。本開示はまた、バルブ閉鎖タイミングシステム及びバルブキャッチシステムに関する。本開示は更に、そのようなシステムに関連する方法に関する。
【0002】
内燃エンジンにおいてLIVCを提供するエンジンバルブ作動システムは、動作条件に基づいてエンジンの有効圧縮比を変更することによって、改善された燃費及びより低い運転コストを提供することが知られている。LIVCは、ある特定の動作条件において燃費をわずかに改善することが示されている。
【0003】
そのようなシステムはまた、異なる動作条件に基づいてエンジンの有効圧縮比を変更することによって、エンジン後処理システムにおける熱管理を提供することにより有利であり得る。LIVCは、動作条件に基づいて温度を上昇させることが示されている。
【背景技術】
【0004】
ロッカーアーム内で落ちるロストモーションピストンを使用するロストモーションLIVCシステムがある。しかしながら、そのようなシステムに関する1つの制限は、ピーク主イベント吸気バルブリフトが修正される必要があることであり、これは、いずれの動作条件(LIVC有効対LIVC無効)においても性能に影響を与え得る。したがって、ピーク吸気バルブ主イベントリフトの修正を必要としないロストモーションLIVCシステムを提供することが有利である。
【0005】
多くの既知の可変バルブ作動(variable valve actuation、VVA)システムは、LIVCミラーサイクルを達成するように設計されている。例えば、単一の運動源(VVAカムプロファイル)がLIVC用に構成されたロストモーションVVAシステムが既知である。この場合、単一運動源は、LIVCを達成するために通常のカムプロファイルの閉鎖部分にリフトを追加しなければならず、通常の閉鎖タイミング(すなわち、LIVC動作を伴わない閉鎖)を提供するために、このLIVCリフトをキャンセル(又は喪失)しなければならない。そのようなシステムの例は、米国特許第6,883,492号(オーバーヘッドハウジング内のマスタ-スレーブピストン配置)、米国特許第7,484,483号(ロッカーとバルブブリッジとの間のタペット内のマスタ-スレーブピストン配置)、米国特許第5,829,397号(プッシュチューブとロッカーとの間のタペット内のマスタ-スレーブピストン配置)、米国特許第7,905,208号(落下バルブブリッジ)、及び米国特許第6,510,824号(落下ロッカーピボット)に見られ得る。しかしながら、そのようなシステムは、性能及び低温始動に関して欠点を有し得る。更に、そのようなシステムのコスト及び複雑さは、しばしば、それらの使用を実行不可能にするか又は高額なものにする。したがって、先行技術のVVAシステムよりも安価で複雑でないLIVCシステムを提供することが有利である。
【0006】
いくつかの静止動力システムは、ミラータイミングが所望される特定の動作条件において高い割合の時間を費やすため、固定ミラーサイクルを使用する。しかしながら、そのようなシステムは、LIVCと通常の閉鎖タイミングとの間で切り替える能力を有していないため、ある特定の動作条件において性能の影響を受ける。
【0007】
米国特許出願公開第20030213443号(
図1)は、吸気ロッカーを開放位置に保持し、それによってLIVCミラーサイクルを達成するように設計された別個のオーバーヘッドハウジングを有するシステムを開示している。しかしながら、そこに開示されている電子制御式高速ソレノイドバルブの使用は、このシステムを高価なものにし、ソフトウェア又は高速ソレノイドバルブの故障は、バルブとピストンの接触及びエンジン損傷につながる場合がある。したがって、機械的リセットシステムに基づくLIVCの解決策は、信頼性を高め、バルブとピストンの接触のリスクを低減し、コストを低減する。
【0008】
米国特許第7,156,062号(
図2)は、中間ロストモーションアクチュエータと、ロストモーションシステムとは独立してバルブトレイン要素(例えば、ロッカーアーム)に作用する自動調整バルブキャッチ(self-adjusting valve catch、SAVC)とを有するシステムを説明している。米国特許第8,453,613号(
図3)は、ロストモーションシステムとは独立してバルブトレイン要素に作用する改良されたSAVCを有するシステムを説明している。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、先行技術のシステムの上述の欠点の全てではないにしても多くを克服するLIVCシステムを含み得るバルブ作動システムの実施形態を説明する。ロストモーションLIVCシステムでは、上述したように、ピーク主イベントリフトがしばしば修正される。補助ロッカーベースのLIVCシステム(例えば、米国特許第7,392,772号及び米国特許第11,131,222号)では、別個のカムローブが必要とされ、主イベントと補助LIVCイベントとの間で管理される必要がある切り替えが存在する。本開示で説明される実施形態の1つの利点は、LIVC能力を含む吸気バルブ運動に関連付けられる全てのリフトが、単一のカムローブに由来し得ることである。したがって、先行技術の別個のカムローブ及び切り替えの必要性が排除される。
【0010】
LIVCを達成するために、本開示の実施形態は、ロッカー停止部を利用して、ピーク主イベントリフトに続いて吸気ロッカーアームの位置を保持し、バルブを開いたままにし(典型的には、典型的には3mmと完全バルブリフトとの間)、後の閉鎖イベントを達成する、バルブ作動システムを提供し得る。本開示はまた、液圧リセットなど、吸気バルブの所定の閉鎖クランク角タイミングを達成するために使用される異なるシステム及び方法を説明する。更に、バルブキャッチ又はサブベースサークルカム閉鎖ランプを使用することによって着座速度を制御するための異なるシステム及び方法が、本明細書に開示される。
【0011】
開示される実施形態におけるロッカー停止部は、閉鎖イベントの発生前のクランク角度の特定の期間にわたってロッカー及びバルブを開放したままにする液圧アクチュエータピストンである。一実施形態では、ロッカー停止アクチュエータピストンは、ロッカーアーム内に位置付けられ得、オーバーヘッドの静止部分、例えば、ロッカーシャフト台座内に展開されたダンパアセンブリと協働するように配置され得る。ダンパの使用は、LIVCドウェルへの円滑な移行を確実にする。代替的な実施形態では、ロッカー運動停止アクチュエータピストンは、ロッカーアームのバルブ側又はカム側に接触するように固定ハウジング内に位置付けられ得る。
【0012】
ロッカーアーム、したがってバルブ閉鎖タイミングは、この場合、別個のシステムに基づいて制御され得る。例えば、上述したように、また先行技術の教示によれば、これは、電子制御式高速ソレノイドバルブを使用して行うことができる。しかしながら、本開示によれば、クランク角ベースのリセット機構が、アクチュエータピストンを一定の延出位置にそうでなければ維持する(それによってロッカーアーム/バルブを開放位置に保持する)高圧容積部から液圧流体を放出することによって、所定の吸気バルブ閉鎖タイミングを提供し得る。
【0013】
様々な実施形態では、リセットは、ロッカーアームに対するカムの相対位置によってトリガされる。ロッカー停止アクチュエータピストンがロッカーを静止状態に保持するため、カムが通常の閉鎖位置に近づくとき、カムは依然としてロッカーから離れるように移動している。ロッカーとカム(又はカムに接続されたプッシュロッド)との間のリセット機構を使用して、ロッカーアーム及びバルブが完全に閉鎖することが可能となるように、クランク角度に対するアクチュエータピストンのリセットのタイミングをとることができる。
【0014】
一実施形態では、運動停止アクチュエータピストンがリセットされた後のバルブ着座速度は、バルブキャッチ(ダンパと同様の構造)によって制御される。バルブキャッチは、バルブキャッチへのオイル供給を選択的に切り替えることによって、LIVCモードにおいてのみ稼働され得る。この実施形態では、バルブキャッチは、エンジンオーバーヘッド環境の静止部分に配設されてもよく、ロッカーアームと係合して、衝撃荷重及びバルブトレインの動態を制御するように構成されてもよい。別の実施形態では、サブベースカムプロファイルに閉鎖ランプが提供され、リセット機構は、ロッカーアームがサブベースの閉鎖ランプに従うような速度でアクチュエータピストンが落ちることを可能にする。
【0015】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのバルブ作動システムが、少なくとも1つのバルブに運動を伝えるためのロッカーと、ロッカーに運動を付与するように配置された運動源であって、運動源が、少なくとも1つのエンジンバルブの主イベントピークリフトを規定する、運動源と、ロッカー停止アセンブリであって、ロッカー停止アセンブリがロッカーを部分的なバルブリフトに対応する位置に維持する稼働モードと、ロッカー停止アセンブリが、ロッカーが完全閉鎖バルブ位置に対応する位置に移動することを可能にする非稼働モードとで動作するように構成されている、ロッカー停止アセンブリと、主イベントピークリフトに続いてロッカー停止アセンブリを非稼働モードにリセットし、それによって遅延バルブ閉鎖を達成するためのロッカー停止リセットアセンブリと、を備え得る。
【0016】
本開示の更なる態様によれば、ロッカー停止アセンブリは、ロッカー内又はバルブトレイン内の他の場所に配設されてもよい。ロッカー停止アセンブリは、ロッカーのカム側に配設され得る。ロッカー停止アセンブリは、液圧作動ピストンを備え得る。
【0017】
更なる態様によれば、ロッカー停止リセットアセンブリは、エンジンクランクシャフト又はカムの所定の回転角度でロッカー停止アセンブリを非稼働モードにリセットするように適合され得る。ロッカー停止リセットアセンブリは、運動源とロッカーとの間のラッシュを占有するように延出するように適合されたプランジャを備え得、プランジャは、プランジャがリセット位置に延出するときに、ロッカー停止アセンブリを非稼働モードにリセットするように更に適合されている。ロッカー停止リセットアセンブリは、運動源の閉鎖プロファイルの一部の間、ロッカー停止アセンブリを稼働モードに保持するように適合され得る。更なる態様によれば、運動源は、単一のカムローブであり得る。
【0018】
更なる態様によれば、バルブ作動システムは、ロッカー停止アセンブリと相互作用するように配置され、ロッカー及びバルブ運動の遅延吸気バルブ閉鎖ドウェルへの円滑な移行を提供するように適合された、ダンパアセンブリを備え得る。ダンパアセンブリは、ロッカーに対して固定されたハウジング内に配設され得る。
【0019】
更なる態様によれば、ロッカー停止アセンブリ及びロッカー停止リセットアセンブリは、ロッカーのカム側に配設され得る。ロッカー停止アセンブリ及びロッカー停止リセットアセンブリは、少なくとも1つの液圧通路を通して連結され得る。
【0020】
更なる態様によれば、運動源は、閉鎖ランプを有するサブベースサークルカムプロファイルを含み得、ロッカー停止リセット機構は、ロッカーアームがサブベースサークル閉鎖ランプに従うような速度でロッカー停止アセンブリが落ちることを可能にするように適合されている。ロッカー停止リセット機構は、運動源のリフトに基づいてロッカー停止アセンブリを非稼働モードにリセットし、かつ運動源から独立した速度で落ちるように適合され得る。ロッカー停止リセット機構は、稼働モードにおいてロッカー停止アセンブリ内に液圧流体を保持し、かつ非稼働モードにおいてロッカー停止アセンブリから周囲に液圧流体を排出するように適合された、ばね付勢されたリセットピストンを備え得、リセットピストンは、ロッカー停止アセンブリが落ちている間に開放したままであるように適合されている。
【0021】
本開示の他の態様及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになり、上記の態様は、包括的又は制限的であるとみなされるべきでない。上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、本開示の発明的態様の実施例を提供することを意図しており、決して、添付の特許請求の範囲で定義された範囲を限定又は拘束するものと解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示に説明される特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。これらの特徴及び付随する利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することから明らかになるであろう。ここで、単なる例として、同様の参照番号が同様の要素を表す添付の図面を参照して、1つ以上の実施形態を説明する。
【
図1】前述の米国特許出願公開第20030213443号において説明されているような先行技術のバルブ作動システムを図示する。
【
図2】前述の米国特許第7,156,062号において説明されているような先行技術のバルブ作動システムを図示する。
【
図3】前述の米国特許第8,453,613号おいて説明されているような先行技術のバルブ作動システムを図示する。
【
図4】本開示の態様によるバルブ作動システムの例示的な高位構成要素及びサブ構成要素を図示する概略図である。
【
図5】本開示の態様によるバルブ作動システムの側面斜視図である。
【
図6】本開示の態様によるバルブ作動システムの上部正面斜視図である。
【
図7】全て本開示の態様による、ロッカーアームの運動源側に配設されたロッカー停止アセンブリ及びロッカー停止リセットアセンブリと、固定ハウジング内に配設されたダンパアセンブリとを含む例示的なバルブ作動システムの(ロッカーアーム枢動平面に直交する平面における)断面図である。
【
図8】本開示の態様によるロッカーアーム及びロッカー停止リセットアセンブリの(ロッカーアーム枢動平面に平行な平面における)断面図である。
【
図9】全て本開示の態様による、ロッカーアーム、ロッカー停止アセンブリ、及び固定ハウジング内に配設されたダンパアセンブリの(ロッカーアーム枢動平面に平行な平面における)断面図であり、ロッカーアームはバルブリフト位置にある。
【
図10】本開示の態様による、ロッカーアームが(
図9に示されるような)バルブリフト位置にあるときのロッカー停止リセットアセンブリの(ロッカーアーム枢動平面に平行な平面における)断面図である。
【
図11】全て本開示の態様による、ロッカーアーム、ロッカー停止アセンブリ、及び固定ハウジング内に配設されたダンパアセンブリの(ロッカーアーム枢動平面に平行な平面における)断面図であり、ロッカーアームは停止した減衰位置にあり、ダンパアセンブリは減衰移行モードにある。
【
図12】全て本開示の態様による、ロッカーアーム、ロッカー停止アセンブリ、及び固定ハウジング内に配設されたダンパアセンブリの(ロッカーアーム枢動平面に平行な平面における)断面図であり、ロッカーアームは停止位置にあり、ダンパアセンブリは緊密接触ドウェル位置にある。
【
図13】本開示の態様による、リセットモードにあるロッカー停止リセットアセンブリの断面図である。
【
図14】アクチュエータピストンがアクチュエータボア内に完全に後退しているロッカー停止アセンブリの断面図である。
【
図15】本開示の態様によるバルブ作動システムで達成されるクランク角の関数としてのカムプロファイル並びに通常の及びLIVCリフトプロファイルの例示的なグラフ表現である。
【
図16】本開示の態様による第2の例示的なバルブ作動システムの側面斜視図である。
【
図17】
図16の第2の例示的なバルブ作動システムの上部正面斜視図である。
【
図18】本開示の態様による、リセットモードにあるロッカー停止リセットアセンブリの断面図である。
【
図19】本開示の態様による、ロッカーアームがバルブリフト位置にある状態の、例示的なロッカー停止アセンブリ、ダンパアセンブリ、及びバルブキャッチを示す(ロッカーアーム枢動平面に平行な平面における)断面図である。
【
図20】ロッカーアーム、ロッカー停止アセンブリ、及び固定ハウジング内に配設されたダンパアセンブリの断面図であり、ロッカーアームは停止した減衰位置にあり、ダンパアセンブリは減衰移行モードにある。
【
図21】全て本開示の態様による、ロッカーアーム、ロッカー停止アセンブリ、及び固定ハウジング内に配設されたダンパアセンブリの断面図であり、ロッカーアームは停止位置にあり、ダンパアセンブリは緊密接触ドウェル位置にある。
【
図22】本開示の態様による、リセットモードにあるロッカー停止リセットアセンブリの断面図である。
【
図23】本開示の態様によるバルブキャッチモードにおけるロッカーアームの断面図である。
【
図24】本開示の態様によるバルブ作動システムで達成されるクランク角の関数としてのカムプロファイル並びに通常の及びLIVCリフトプロファイルの例示的なグラフ表現である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図4は、本開示によるバルブ作動システムの構成要素の概略図である。
図4のこの概要による例示的なシステムの特定の実装形態の詳細は、
図5~
図24を参照して以下に続く説明からより明らかになるであろう。本開示による例示的な実施形態の高位構成要素及びサブ構成要素は、運動源(又はカム)1と、バルブロッカーアセンブリ7と、バルブシステム13と、コントローラ14と、固定ハウジング19とを含み得る。これらの高位構成要素の各々の例示的なサブ構成要素、並びにそれらの機能的相互作用及び/又は関係も図示されている。例えば、ロッカーバルブアセンブリ7は、運動伝達機構又はロッカーアーム3と、ロッカーアーム3の運動を制限するように配置及び適合されたロッカー停止アセンブリ5と、ロッカー停止アセンブリ5をリセットするように適合されたリセット機構2とを含み得る。更なる例として、固定ハウジング19は、エンジンオーバーヘッド環境における静止構造(すなわち、ロッカーアーム運動に対して静止しているロッカーシャフト台座)であってもよく、バルブ着座速度を制御するために液圧ダンパ18及びバルブキャッチ16を支持してもよく、これらの各々は、LIVC及び他のバルブ運動を達成するためにバルブロッカーアセンブリ7と相互作用してもよい。本開示によるこれらの高位構成要素、サブ構成要素、及びそれらの相互作用の特定の実装形態は、
図5~
図24の図及び以下に続く説明から更に明らかになるであろう。
【0024】
再び
図4を参照すると、カム又はカムによって駆動されるプッシュチューブであり得る運動源1が、ロッカーアセンブリ7を駆動するための運動を生成するように配置及び適合されている。運動伝達機構3(例えば、ロッカーアーム)は、カム1からバルブ12へ運動を伝達する。好ましい実施形態では、ロッカーアーム3は、以下に説明するように、リセット機構2及び運動停止アクチュエータ5を担持する。バルブロッカーアセンブリ全体が参照符号7で示されている。カム1は、バルブロッカーアセンブリ7上のフォロワと直接接触してもよく、又はロッカーアセンブリ7に運動を伝達するためにタペット若しくはプッシュチューブと組み合わせて動作してもよい。バルブロッカーアセンブリ7は、ロッカー停止部を展開状態に維持してバルブリフトドウェルを達成し、かつ適切なクランクシャフト又はカム回転角度でロッカー停止部をリセットして(落として)更なる(遅延)バルブ閉鎖を達成するように構成されたリセット機構2を含み得る。一実施形態では、ロッカー停止リセット機構2は、ロッカーアーム3の運動源カム側に配設されてもよく、運動源1とロッカーアーム3との間に位置決めされてもよい。リセット機構2は、リセット機構2を運動源1に対して付勢するように配置された内部ばねを有し得る。この構成は、リセット機構2が、第2のモードの遅れた(遅延)閉鎖11(以下に説明する)によって生成される任意のラッシュを取り上げることを可能にする。
【0025】
プログラム可能なエンジン制御モジュール(engine control module、ECM)などのようなコントローラ14が、ロッカー停止アセンブリ5への液圧流及び圧力を制御することによってアクチュエータエネルギー4の制御を提供して、ロッカー停止アセンブリ5を展開(延出)状態に保ち、したがって、バルブを部分的に持ち上げられた状態に留めさせる運動源不一致6を生じることができる。ロッカー停止リセット機構2は、バルブ12が開放しているときに制御された液圧オイル4の供給によって加圧されると、運動停止アクチュエータ5からの液圧流体の流れに対するチェックとして動作し得る。ロッカー停止リセット機構2は、リセットモードにトリガされると、ロッカー停止機構5からのアクチュエータエネルギー(液圧流体)4を遮断、リセット、又はパージして、バルブ閉鎖を達成し得る。ロッカー停止リセット機構2は、カムプロファイルの閉鎖部分上の特定のクランク角度でトリガするように適合及び配置され得る。以下に詳述されるように、ロッカー停止リセット機構2は、カムプロファイルに従うリセットピストン又はプランジャを含み得る。リセットピストンが、カムプロファイルの閉鎖部分に従うときに特定の量を超えて延出するとき、リセットピストン上の1つ以上のリセットポートが、ロッカー停止機構からの液圧流体の流れを可能にし、ロッカー停止ピストンが落ちること又はロッカー停止ピストンのリセットをもたらす。これにより更に、ロッカーはバルブ閉鎖運動を続けることが可能となる。以下で更に詳細に図示される実施形態では、リセット機構2は、カム側のラッシュ調整を含むことができる。
【0026】
運動停止部5は、ロッカーアセンブリ7内に摺動可能に配設されたアクチュエータピストンであってもよく、液圧エネルギー/圧力4がアクチュエータピストンを延出させない限り、通常は後退位置に付勢されている。アクチュエータは、バルブ12がピークリフトで開放される程度まで運動源1に従って延出する。動作中、オイルは、リセット機構2によって運動停止アクチュエータ5内でチェックされ、液圧ダンパ18に対して反応し、リセット機構2が運動停止アクチュエータ5内のオイルを完全にパージさせるまで、運動伝達機構、この場合はロッカーアセンブリ7をコックして開放した状態に保つ。
【0027】
認識されるように、ロッカー停止機構5の動作は、稼働されたとき、運動源1とロッカーアーム3との間に不一致6を生じる。換言すれば、ロッカー停止機構5が稼働されたとき、ロッカーアームは、運動源1の閉鎖プロファイルに従わず、部分的なバルブリフトに対応する位置に留まり、したがって所望のLIVC動作を実施する。ロッカーアーム3がバルブ12に向かって支えられ、それによってバルブ12を開放したままに保ち、カム1がそのバルブ閉鎖プロファイルを通して回転し始めてロッカーアーム3及びバルブを閉鎖位置に命令すると、ロッカー3のカム側とカム1(又はプッシュチューブ若しくは他のバルブトレイン構成要素)との間にギャップ/不一致6が形成され始める。このギャップの結果として、リセット機構2内のリセットピストンは、リセットモードに達するまでギャップを相殺するように延出し始めてもよく、それによってロッカーアーム及びバルブは、完全に閉鎖した位置を継続し、したがってLIVCを達成する。
【0028】
更に
図4を参照すると、バルブロッカーアセンブリ7は、バルブシステム13を第1の(進角若しくは通常閉鎖)モード9又は第2の(遅延若しくは遅れた閉鎖)モード11のいずれかで動作させる。通常閉鎖モード9は、バルブロッカーアセンブリ7及びロッカーアーム3が、カム閉鎖プロファイルを通じて運動源1によって命令されるように動作し、ロッカー停止部5が非作動、非トリガモード8で動作することを特徴とする。一方、遅延閉鎖モード11は、バルブロッカーアセンブリ7及びロッカーアーム3が、カム1によって命令されるように動作することを特徴とするが、カム閉鎖プロファイルの間、ロッカー停止部5が稼働されてバルブを部分的に持ち上げられた状態に留めさせ、続いてリセット機構2がリセットされてロッカー停止部をリセットし、後れた又は遅延バルブ閉鎖を達成する。参照符号10は、第2のモードに対応し、このモードでは、バルブシステム13は、バルブ開放中にカム1の回転運動によって命令されるが、カム(1)が実際に命令している状態を超えて開放状態に留まり、それによってロッカー3とカム1との間のギャップ6を開放し、このギャップ6はリセット機構2によって占有される。参照符号11は、第1のモード9と同じバルブ開放プロファイルに対応する第2のモード10の遅れたバルブ閉鎖プロファイルを表すが、この場合、ロッカーアーム3は、リセット機構2によって解放されるまで開放したまま支えられ、バルブ12を通常よりも遅く閉鎖させる細長い閉鎖プロファイル(又はドウェル)をもたらす。このLIVCドウェルは、ピークカムリフト又はより低いリフト、典型的には少なくとも3mmのバルブリフトで生じ得る。当技術分野で既知であるように、1つ以上のバルブ12は、バルブブリッジによって更に係合されてもよく、ポペットバルブ12セットは、バルブばねのセットによって閉鎖位置に向かって付勢されてもよい。
【0029】
本開示の更なる態様によれば、コントローラ14は、ソレノイドバルブ及び液圧リンクを介して、第2のモード10の遅れた閉鎖イベント11中にロッカーアームの着座速度を最小限に抑えるために、自動調整バルブキャッチ16を選択的に稼働させることができる。バルブキャッチ16は、前述したように、第1及び第2のモード8及び10の両方においてアクティブであってもよい。自動調整バルブキャッチは、固定ハウジング19内に配設されてもよく、ロッカーアーム3と協働するように配置され得る。
【0030】
本開示の更なる態様によれば、コントローラ14は、制御又はソレノイドバルブ及び液圧リンクを介して、カム駆動閉鎖プロファイルとLIVCドウェルとの間の円滑な移行を提供する液圧ダンパ18を選択的に稼働し得る。液圧ダンパは、固定ハウジング19内に配設され、ロッカーアーム停止部5と協働し得る。
【0031】
図4に関して説明される高位構成要素及びサブ構成要素の詳細及び相互関係は、
図5~
図24における特定の例及び実装形態の以下の説明から更に明らかになるであろう。
【0032】
図5及び
図6は、ロッカーシャフト台座102と、ロッカーシャフト台座102に対して枢動移動するようにロッカーシャフト上に装着されたロッカーアーム104とを備えるバルブ作動システム100の第1の実施形態を図示する。明確にするために、ロッカーシャフトは、
図5及び
図6の図から省略されているが、認識されるように、ロッカーシャフトは、典型的には、ロッカーシャフト台座102に固定されており、ロッカーアーム104のジャーナルを通って延出し、ロッカーシャフト上でのロッカーアーム104の枢動移動を容易にする。ロッカーアーム104は、カム(又は運動源)側106及びバルブ側108を含む。本開示の態様によれば、ロッカーアーム104の運動源側106は、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110及びロッカー停止リセットアセンブリ112を更に含み、かつ収納し、その詳細は以下で説明される。ロッカーアーム104内の液圧通路154が、ロッカーシャフト内のポート(当該技術分野で既知であるように、上流ポンプ及びオイルリザーバからオイルを更に受容する)から受容した加圧液圧流体をロッカー停止リセットアセンブリ112に提供し得る。ロッカーアーム104内の更なる通路130が、ロッカー停止リセットアセンブリとロッカー停止アクチュエータアセンブリ110との間の液圧リンクを提供し得る。ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110は、液圧によって又は機械的に作動されると、ロッカーアーム104の枢動移動を選択的に制限又は停止するように機能する(すなわち、
図5で見て時計回り方向の移動を制限する)。したがって、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110は、ロッカーアーム104のバルブ側108がバルブ完全閉鎖に対応する位置に達するのを停止するように機能する(すなわち、したがって、LIVCを容易にするためにピークリフト後の時間にわたって、バルブを非閉位置又は部分的にリフトされた位置に保持する)。
【0033】
同様に
図5及び
図6に示されるように、また更に
図7を参照すると、本開示の態様によれば、ロッカー停止リセットアセンブリ112は、リセットプランジャばね116によって非リセット位置(すなわち、上側リセット本体140に対する最大下方変位)に向かって付勢され得るリセットプランジャ114を含み得る。リセットプランジャ114は、バルブ運動源(図示せず)に向かって延出する。リセットプランジャ114は、プッシュチューブに動作可能に接続され得、プッシュチューブは更に、カムと動作可能に関連付けられ、カムによって作動される。ロッカー停止リセットアセンブリ112は、例えば、適切なクランク又はカム回転角度でロッカー停止アクチュエータアセンブリ110から液圧流体を排出することによって、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110のリセットを提供するように適合及び配置されており、したがって、ロッカー停止アセンブリピストン120のボア132内へのリセット(後退)を可能にし、その結果、ロッカーアームの閉鎖運動が継続し、その結果、LIVC動作においてバルブが閉鎖する。
【0034】
本開示の更なる態様によれば、ダンパアセンブリ118が、ロッカーシャフト台座内に収納されるか又はロッカーシャフト台座から延在し得、時には、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110、ロッカーアーム104の移動、したがってバルブ端部108及びバルブの運動を制御するように機能する。以下で更に詳細に説明するように、ダンパアセンブリ118は、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110と相互作用して、通常の(すなわち、主イベント)バルブ作動運動とLIVCイベントとの間の移行など、バルブ運動の円滑な移行を提供するように適合及び配置されている。更なる通路133が、ロッカーシャフトからダンパアセンブリ118に液圧流体を供給し得る。
【0035】
ここで
図7を参照すると、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110、ロッカー停止リセットアセンブリ112、及びダンパアセンブリ118の更なる詳細が、ロッカーアーム104の運動源端部106(
図5)を通る断面図で図示されている。特に、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110は、ロッカーアーム104の運動源側106に形成されたアクチュエータボア132内に摺動可能に配設されたアクチュエータピストン120を含み得る。当該技術分野で既知であるように、アクチュエータピストン120のラッシュ調整を可能にするラッシュ調整ねじ122及びラッシュ調整ナット124が提供される。アクチュエータばねリテーナ126がラッシュねじ122上に摺動可能に配設され得、アクチュエータばね128が、ラッシュねじ122上の肩部とアクチュエータばねリテーナ126との間に配設されており、それにより、アクチュエータピストン120の任意の液圧作動(すなわち、ボア132内の好適な液圧圧力)がない場合、アクチュエータピストン120は、アクチュエータボア132内に後退するように付勢される。
【0036】
ロッカー停止アクチュエータアセンブリ110の作動は、以下に詳述されるように、バルブトレインの構成要素内の様々な通路を備える液圧作動回路又はリンクを介して制御され得る。液圧作動回路は、アクチュエータボア132と液圧連通する第1の液圧通路130を含み得る。
図7には示されていないが、第1の液圧通路130は、ロッカー停止アセンブリを作動させるために第1の液圧通路130及びアクチュエータボア132への液圧流体の選択的な(例えば、ソレノイドバルブの制御下での)供給を可能にし得るロッカーアーム内の追加の通路(すなわち、通路158を通路130に接続するフライカット領域)によって第2の液圧通路158(
図8)と流体連通している。認識されるように、そのような追加の通路は、ロッカー停止リセットアセンブリの状態(リセットモード又は非リセットモード)にかかわらず、通路158から通路130及びアクチュエータボア132への流体連通を提供し得る
【0037】
ロッカー停止リセットアセンブリ112は、上側リセット本体140と、別個の下側リセット本体144とを備え、これらの両方は、ねじ付き取付具でロッカーアーム104に締結され得、その両方は、リセットプランジャ114の摺動移動を案内し、可能にする内部ボアを有する。上側リセット本体140は、リセットプランジャ114のラッシュ調整を容易にするラッシュ調整ねじ(及び対応するラッシュ調整ナット142)を備え得る。下側リセット本体144は、リセットプランジャ114が下側リセット本体144から出てバルブ作動運動源(例えば、プッシュチューブ及びカム、図示せず)に向かって(すなわち、
図7の下方に)延出するように、ロッカーアーム104に固定して取り付けられている(例えば、ねじ係合)。リセットプランジャばね116は、リセットプランジャ114が付勢されて運動源と接触するように(すなわち、
図7において下方に付勢されるように)、下側リセット本体144に形成され及びリセットプランジャ114の下部部分に形成されたそれぞれの肩部の間に位置決めされている。リセットプランジャ114の上方への(すなわち、上側リセット本体140内に形成された長手方向チャネル内への)進行は、下側リセット本体肩部150とリセットプランジャ肩部152との間の緊密な接触が生じるときに制限される。示されるように、リセットプランジャ114は、その中に形成され、周囲大気との流体連通を提供するように構成された排出通路146と、エンジンオーバーヘッド環境内のオイル戻り経路(すなわち、オイルパンへの適切な通路を介したオーバーヘッド環境内への及びそれを通した滴下/流れ)と、を更に備える。
図8に関して更に詳細に説明されるように、リセットポート148が、リセットプランジャ114内に形成され、排出通路146と流体連通する半径方向開口部(すなわち、半径方向に延在するポート)として提供されている。
【0038】
図8は、ロッカー停止リセットアセンブリ112及びロッカーアーム104の更なる詳細を断面図で図示する。示されるように、ロッカーアーム104は、既知の技術を使用してロッカーアームシャフト(図示せず)から選択的に加えられる液圧流体を受容するように構成された第4の液圧通路154を含む。チェックバルブアセンブリ156が、第4の液圧通路154及び第2の液圧通路158との一方向流体連通を提供する。上側リセット本体140に形成されたスピルポート160が、アクチュエータボア132、第1の液圧通路130、及び第2の液圧通路158によって確立された容積部との選択的な(すなわち、下側リセット本体144の位置に応じた)液圧連通を提供する。
【0039】
以下で更に詳細に説明するように、ロッカーアーム停止アセンブリ110の延出モードでは、リセットプランジャ114は、上側リセット本体140に対して
図7に示される下部位置にあってもよく、リセットプランジャ114の外径は、第2の液圧通路158を封止してもよく、それによって、アクチュエータボア132、第1の液圧通路130、及び第2の液圧通路158によって確立された容積部を封止する。そのような動作中、第4の液圧通路154からの加圧された液圧流体は、アクチュエータボア132に入り、アクチュエータピストンばね128によって加えられる付勢に打ち勝ち、それによってアクチュエータピストン120をアクチュエータボア132から延出させる。
【0040】
本開示の態様によれば、ロッカー停止リセットアセンブリ140は、ロッカーアーム停止アセンブリ110のリセットモードを容易にし、リセットプランジャ114が(バルブ作動運動を加えることに起因して)上部リセットハウジング140内で並進する(すなわち、
図7において下方に移動する)と、リセットプランジャ114内に形成されたリセットポート148は、スピルポート160と周期的に整列する。そのような動作中、アクチュエータボア132内に捕捉された液圧流体は、第1の液圧通路130、第2の液圧通路158、スピルポート160、リセットポート148、及び排出通路146によって確立された流路を介して逃げることが可能となり、それによってアクチュエータピストン120をアクチュエータボア132内に再び後退させることを可能にする。
【0041】
ダンパアセンブリ118は、ダンパピストン134及びベース136を備える。第3の液圧通路133が、ロッカーシャフト台座102内に提供されており、ベース136の開口部135を通して、ベース136とダンパピストン134との間の空間内に液圧流体を供給する。更に示されるように、ダンパピストン134はまた、突出部137であって、突出部137がベース136に当接したときに開口部135と整列され、開口部135を封止可能である、突出部137を含む。加圧された液圧流体のダンパアセンブリ118への提供は、連続的であってもよく、又は適切な制御デバイス(例えば、ソレノイド)によって選択的に切り替えられてもよい。液圧流体がダンパピストン134とベース136との間の空間内に存在するとき、アクチュエータピストン120によってダンパピストン134に加えられる下方への圧力によって、液圧流体が開口部135を通って第3の液圧通路133内に戻るように逃げる。ダンパピストン134及び突出部137の連続した下方への並進は、突出部と開口部135との間の流れ面積を徐々に減少させ、それによって、突出部137がベース136に当接し、それによってダンパピストン134の任意の更なる並進を停止させるような時点まで、液圧流体の流れ、したがってダンパピストン134の並進速度を徐々に減速させる。
【0042】
図15は、
図5~
図14に図示される実施形態と併せて使用するのに好適な吸気カムプロファイル170を図示する。特に、カムプロファイル170は、当該技術分野で既知であるように、内燃エンジンの燃料供給されたシリンダにおける正の動力発生を容易にする主吸気イベント172を図示する。カムプロファイル170は、
図5~
図8のバルブ作動システム100のLIVC動作中に用いられる第2の閉鎖ランプ174を含む、いわゆるサブベースサークル特徴を更に含む。通常の主イベント172の動作中、液圧流体は、アクチュエータボア132に提供されず、それによってアクチュエータピストン120の延出を防止する。その結果、アクチュエータピストン120は、ダンパピストン134と係合せず、それにより、ロッカーアームは通常の方法で、すなわちLIVC動作なしで第1の閉鎖ランプ176に従って閉鎖することが可能となる。しかしながら、LIVC動作中、アクチュエータピストン120がその延出位置に維持され、それによってエンジンバルブを開放位置180に維持して所望のLIVC動作を提供するように、液圧流体がアクチュエータボア132に提供される(かつその中に捕捉される)。アクチュエータピストン120及びダンパピストン134(
図7)の相互作用は、主イベントリフト172とLIVCドウェル180との間の円滑な移行178を提供する。以下で更に詳細に説明するように、ロッカー停止リセットアセンブリ112のその後の動作は、アクチュエータピストン120を落とし、それによって、第2の閉鎖ランプ174によって命令される閉鎖イベント182を提供する。
【0043】
図5~
図8に図示される実施形態の更なる動作、特にLIVC動作中の動作を、
図9~
図15を参照して更に示す。
図9は、(
図15に示されるような)主イベント172の開放ランプ中かつLIVC移行178の前のアクチュエータピストン120及びダンパピストン134の状態を図示する。この時間の間、主イベントリフト172は、アクチュエータピストン120とダンパピストン134との間に十分な空間を提供し、それにより、液圧流体がアクチュエータボア132を充填し、それによって、アクチュエータピストン120をその最大位置まで(この例では、アクチュエータピストンばねリテーナ126とラッシュねじ122に形成された肩部162との間の緊密な接触によって決定されるように)延出させる。
【0044】
図9に更に示されるように、アクチュエータピストン120の延出と同時に、第3の液圧通路133を介してダンパアセンブリ118に提供され、例えば、制御バルブ及び/又はロッカーシャフト上のポートの制御下にある液圧流体は、開口部135を通って流れてベース136とダンパピストン134との間の空間を充填し、それによってダンパピストン134をそのボアから外に、すなわちロッカーアーム104及びアクチュエータピストン120に概ね向かって(すなわち
図9では上方に)延出させる。
図9に更に示されるように、開口部135に加えて、チェックされた通路164がベース136内に提供されてもよく、それにより、流体は、バルブ開放中にベース136とダンパピストン134との間の空間をより迅速に充填し得る。
【0045】
図10は、
図9に描示されるのと同じ期間中、すなわち、バルブ開放中かつLIVC移行178の前のリセットアセンブリ及びプランジャ114の動作を図示する。この時間の間、主イベント172によって提供されるバルブリフトは、リセットプランジャばね116によって加えられる任意の付勢に打ち勝ち、それによって、示されるように、下側リセット本体144のそれぞれの肩部150、152とリセットプランジャ114との間の緊密な接触まで、リセットプランジャ114を上方に並進させる。特に、リセットプランジャ114のこの上方への並進は、リセットポート148を、スピルポート160を越えて進行させ、スピルポート160は代わりに、示されるように、リセットプランジャ114の外径によって封止される。その結果、アクチュエータボア132内の液圧流体は、排出されることが防止され、代わりに、アクチュエータピストン120をその延出位置に維持する。
【0046】
ここで
図11を参照すると、主イベント172の閉鎖ランプ中に、完全に延出したアクチュエータピストン120及びダンパピストン134が互いに接触するときのアクチュエータピストン120及びダンパピストン134の状態が示されている。
図15に図示される例を参照すると、これは、およそ6mmの吸気バルブリフト(ゼロのバルブラッシュを仮定する)又はおよそ520度のクランク角で生じる。更に、この例では、ダンパピストン134のストローク長(すなわち、ダンパピストン134が完全に延出したときのダンパピストン134とベース136との間の距離)は、2mmであると仮定される。
【0047】
液圧ダンパピストン134が完全に延出したアクチュエータピストン120によって押し下げられると、液圧流体は、液圧ダンパベース136の開口部135を通って押し出される。液圧ピストン下部突出部137と開口部135との間のカーテン流れ面積は、ダンパピストン134が下方に移動するにつれて徐々に減少し、第3の液圧通路133内に戻る液圧流体の流れを絞り、LIVC「バックポーチ」ドウェル180(
図15)への円滑な移行178を提供する。次に、ドウェル180は、ダンパピストン134がベース136との緊密な接触を確立したときに提供され、それによって、完全に延出したアクチュエータピストン120が、ロッカーアーム(及び、その結果、吸気バルブ)を開放位置に保持する。
図12は、このLIVCバックポーチリフト状態又はドウェル180を図示しており、ここでは、ダンパピストン134は、ベース136上で底に達しており、一方でアクチュエータピストン120はその完全に延出した位置に留まっている。
図15の例に示されるように、ドウェル180は、約60~70度のクランク角の間、およそ3.5mmの吸気バルブリフトにおいて維持される。
【0048】
移行期間178及びLIVCドウェル180の間、不一致若しくは隙間184(又は
図24の1284)が、吸気バルブにおいて維持されるリフトとカムプロファイル170との間に生じる。
図13に示されるように、これは、リセットプランジャ114が、リセットプランジャばね116によって加えられる付勢下で、カムプロファイル170(
図15)に従い、それによって、上側リセット本体140内に形成された長手方向チャネル内で下方に並進することを可能にする。これは、
図13において、下側リセット本体144とリセットプランジャ114との間に生じた隙間によって図示されている。ロッカーアーム104及び吸気バルブがLIVCドウェル180に維持されている間にリセットピストン114がカムプロファイル170に従うこのプロセスは、リセットポート148がスピルポート160と整列し始める時間まで続く。
図13に示されるように、リセットポート148とスピルポート160との間にわずかな重なりが提供されるとすぐに、アクチュエータボア132(並びに第1の液圧通路130及び第2の液圧通路158)内に捕捉された加圧流体は、スピルポート160、リセットポート148及び排出通路146によって提供される流路を通して大気に排出可能である。次に、これは、アクチュエータピストン120が、スピルポート160、リセットポート148、及び排出通路146を通る流体排出の速度によって決定される速度でアクチュエータボア132内に後退して戻ることを可能にする。アクチュエータピストン120が後退すると、ロッカーアーム104はカムに向かって回転し、一方、リセットプランジャ114は同時にカムプロファイル170に従う。この場合、リセットピストン114は、ロッカーアーム104がバルブ閉鎖に向かって回転し続ける間、リセットポート148及びスピルポート160がこのわずかに重なり合う位置決めに維持されるように「ためらう」。このようにして、バルブリフト閉鎖イベント182は、カムプロファイル170の閉鎖ランプ174によって効果的に命令される。この漸進的なバルブ閉鎖プロセスは、
図14に図示されるように、アクチュエータピストン120がアクチュエータボア132内に完全に後退するまで継続する。
【0049】
図16及び
図17は、バルブ作動システム1200の第2の実施形態を図示する。
図5、
図6、
図16及び
図17に描示される同様の参照符号は、実質的に同じように構造化され、動作する構造を指す。したがって、ロッカー停止アクチュエータアセンブリ1110及びダンパアセンブリ1118は、第1の実施形態におけるロッカー停止アクチュエータアセンブリ1110及び1118と実質的に同様であり得る。対照的に、以下で説明するように、リセットアセンブリ1212は、
図5及び
図6に図示される第1の実施形態と比較して、いくらか異なって構造化され得、動作し得る。加えて、自動調整バルブキャッチ(self-adjusting valve catch、SAVC)1300が、
図16及び
図17に図示される第2の実施形態において提供される。SAVCアセンブリ1300は、構成及び動作において、米国特許第8,079,338号に開示されている自動調整バルブキャッチと実質的に同様であり得、その開示及び教示全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
図18は、第2の実施形態によるリセットアセンブリ1212及びロッカーアーム1104の更なる詳細を断面図で図示する。ここでも、ロッカーアーム1104は、第4の液圧通路1154と、チェックバルブアセンブリ1156と、第2の液圧通路1158と、を含み、一方で、ロッカー停止リセットアセンブリ1112アセンブリは、この場合も、上側リセット本体1140と下側リセット本体1144と、を備える。しかしながら、この実施形態では、リセットプランジャ1214は、下側リセット本体1144内に形成された長手方向チャネルのみを通って延出し、リセットポート1248がその中に形成されたリセットプラグ1241が提供される。この場合、リセットプラグ1241は、リセットポート1248が上側リセット本体1140に形成されたスピルポート1160と連続的に整列するように、上側リセット本体1140に形成された長手方向チャネル内に固定して維持される。リセットプラグ1241は、リセットポート1248と流体連通する中央通路1242を更に備える。
【0051】
リセットピストン1245が、上側リセット本体1140内に形成された長手方向チャネル内に摺動可能に配置されている。示されるように、リセットピストン1245は、リセットプラグ1241の中央通路1242と整列する中央上部面1247を有する。リセットピストン1245は、中央上部面1247の周縁から延在し、リセットピストン1245の内部領域との流体連通を提供する、1つ以上のチャネル1249を更に備える。リセットピストン1245は、リセットピストン1245とリセットプランジャ1214との間に配設されたリセットピストンばね1251によってリセットプラグ1241と接触するように付勢される。示されるように、リセットピストン1245の内部領域は、リセットプランジャ1214内に形成された排出通路1246と更に流体連通している。リセットピストンばね1251によって加えられる付勢力が、中央通路1242を通してリセットピストン1245に加えられる任意の対抗する液圧力よりも大きい場合、リセットピストン1245は、リセットプラグ1241に当接したままであり、それによって、中央開口部1242、チャネル1249、及び排出通路1246を通るいずれの流体の流れも防止する。
【0052】
図24は、
図16~
図23に図示される第2の実施形態と併せて使用するのに好適な吸気カムプロファイル1270を図示する。特に、カムプロファイル1170は、上記で説明したような主吸気イベント1172を図示する。カムプロファイル1270は、閉鎖ランプ1176を更に備える。この場合も、通常の主イベント1172の動作中、液圧流体は、アクチュエータボア1132(
図19)に提供されず、それによってアクチュエータピストン1120の延出を防止する。その結果、アクチュエータピストン1120は、ダンパピストン134と係合せず、それにより、ロッカーアームは通常の方法で、すなわちLIVC動作なしで閉鎖1176することが可能となる。しかしながら、LIVC動作中、アクチュエータピストン1120がその延出位置に維持され、それによってエンジンバルブを開放位置1280に維持して所望のLIVC動作を提供するように、液圧流体はこの場合もアクチュエータボア1132に提供される(かつその中に捕捉される)。アクチュエータピストン1120及びダンパピストン1134の相互作用は、同様に、主イベントリフト1172とLIVCドウェル1280との間の円滑な移行1278を提供する。以下で更に詳細に説明するように、リセットアセンブリ1212のその後の動作は、アクチュエータピストン1120を落とし、それによって、以下で更に詳細に説明するように、SAVC1300によって制御される閉鎖イベント1282及びバルブ着座プロファイル1283を提供する。
【0053】
再び
図18を参照すると、(
図24に示されるような)主イベント1172の開放ランプ中かつLIVC移行1278の前のリセットプランジャ1214及びリセットピストン1245の状態が示されている。すなわち、第2の液圧通路1158及びリセットポート1248内に流体が存在するにもかかわらず、リセットピストンばね1251の付勢は、リセットピストン245を中央通路1242と封止係合状態に維持するのに十分であり、これは更に、前述したように、アクチュエータピストン1120がアクチュエータボア1132から外に延出することを可能にする。
【0054】
図19に更に示されるように、アクチュエータピストン1120の延出と同時に、第3の液圧通路1133を介してダンパアセンブリ1118に提供される液圧流体は、開口部1135を通り、突出部1137を通過して流れ、ベース1136とダンパピストン1134との間の空間を充填し、それによって、上記で説明したようにダンパピストン1134を延出させる。更に示されるように、第3の液圧通路1133は更に、この実施形態では、ダンパアセンブリ1118と本質的に同一に、但しこの実施形態では逆の方法で動作するSAVCアセンブリ1300まで延在する。すなわち、示されるように、SAVCアセンブリ1300は、第3の液圧通路133と流体連通するSAVCボア304内に配設された摺動可能なSAVCベース1302を備える。内部チャンバ1307が、SAVCベース1302内に形成されており、開口部1306が(示されるように任意選択的なチェックされた通路とともに)、第3の液圧通路1133と内部チャンバ1307との間の流体連通を提供する。SAVCプランジャ1308が、内部チャンバ内に配設されており、SAVCプランジャばね1310によって開口部1306に向かって上方に付勢される。SAVCプランジャ1308は、開口部1306と整列する突出部1309を更に備える。示されるように、第3の液圧通路1133によって提供される液圧圧力は、流体を内部チャンバ1307に進入させ、その流体は、SAVCプランジャばね1310によって加えられる任意の付勢力に打ち勝つように十分に加圧されており、それによって、突出部1309を開口部1306から係合解除させる。加えて、米国特許第8,079,338号において説明されているように、SAVCプランジャ1308を通過する加圧された液圧流体の漏出は、SAVCプランジャ1308の内部領域及びSAVCボア1304の壁によって形成される空間内に充填される流体の実質的に一貫した体積をもたらす。
【0055】
ここで
図20を参照すると、主イベント1172の閉鎖ランプ中に、完全に延出したアクチュエータピストン1120及びダンパピストン1134が互いに接触するときのアクチュエータピストン1120及びダンパピストン1134の状態が示されている。
図24に図示される例を参照すると、これは、この場合も同様に、およそ6mmの吸気バルブリフト(ゼロのバルブラッシュを仮定する)又はおよそ1520度のクランク角で生じる。更に、この例では、ダンパピストン1134のストローク長は、同様に2mmであると仮定される。
【0056】
上記で説明したように、完全に延出したアクチュエータピストン1120とダンパピストン1134との間の継続的な相互作用は、LIVC「バックポーチ」ドウェル1280への円滑な移行1278を提供する。この場合も同様に、ドウェル1280は、ダンパピストン1134がベース1136とともに底に達したときに提供され、それによって、完全に延出したアクチュエータピストン1120がロッカーアーム(及びしたがって、吸気バルブ)を開放位置に保持する。
図21は、このLIVCバックポーチリフト状態又はドウェル1280を図示し、ここでは、ダンパピストン1134は、ベース1136上で底に達しており、一方でアクチュエータピストン1120はその完全に延出した位置に留まっている。
図24の例に示されるように、ドウェル1180は、約20~30度のクランク角の間、およそ3.5mmの吸気バルブリフトにおいて維持される。
【0057】
この場合も同様に、移行期間1278及びLIVCドウェル1280の間、不一致又は隙間1276が、吸気バルブにおいて維持されるリフトとカムプロファイル270との間に生じる。
図22に示されるように、これは、リセットプランジャ1214が、リセットプランジャばね1116によって加えられる付勢下で、カムプロファイル1170、特に閉鎖ランプ1176に従い、それによって、下側リセット本体1144内に形成された長手方向チャネル内で下方に並進することを可能にする。これは、
図22において、下側リセット本体1144とリセットプランジャ1214との間に生じた隙間によって図示されている。ロッカーアーム1104及び吸気バルブがLIVCドウェル1280に維持されている間にリセットピストン1214がカムプロファイル1270に従うこのプロセスは、リセットピストンばね1251によって加えられるばね力がリセットピストン1245に加えられている液圧圧力よりも低下し、それによってリセットピストン1245を下方に並進させるような時間まで続く。これは更に、スピルポート1160、リセットポート1248及びチャネル1249を通って排出通路1246に入る流体経路を開放する。この場合、上記で説明した「ためらう」実施形態とは異なり、圧力面積の大幅な増加と、圧力低下の大部分がリセットピストン1245内に形成されたチャネル1249にわたって生じるという事実とに起因して、リセットピストン1245を押す液圧圧力が大きく増加するため、スピルポート1160は、実質的に開放したままである。その結果、アクチュエータピストン1120は、アクチュエータボア1132内にかなり迅速に後退し、これは更に、同様に、ロッカーアーム1104及び吸気バルブを等しく迅速に閉鎖させ、バルブ着座中の望ましくない衝撃につながる可能性がある。
【0058】
このために、SAVCアセンブリ1300は、ロッカーアーム1104に係合し、漸進的なバルブ着座イベント1283を提供するように動作する。特に、ロッカーアーム1104が運動源に向かって回転すると、ロッカーアームの延長部1340がSAVCベース1302に係合し、それによってSAVCベース1302をSAVCボア1304内に押し込み、内部チャンバ1307内の液圧流体を圧縮する。しかしながら、同時に、SAVCプランジャ308の背後に捕捉された流体の体積は、SAVCプランジャ1308がSAVCボア1304内に更に退くことを防止する。その結果、SAVCベース1302が下方に変位されると、SAVCプランジャ1308の相対的な移動の欠如により、液圧流体が内部チャンバ1307の減少する容積部から開口部1306を通って押し出され、第3の液圧通路1133内に戻る。SAVCベース1302がSAVCプランジャ1308に近づくにつれて、突出部1309と開口部1306との間の連続的に減少する流れ面積は、逃げる液圧流体に対する抵抗を増加させ、それによって、SAVCベース1302の更なる下降を円滑に減速させる。このプロセスは、
図23に示されるように、突出部1309が開口部1306に完全に係合して封止し、それにより、液圧流体が更に逃げること及びSAVCベース1302の更なる下降が防止されるまで継続する。
図23に更に示されるように、漸進的なバルブ閉鎖プロセスはまた、アクチュエータピストン1120がアクチュエータボア1132内に完全に後退するまで継続する。
【0059】
特定の実施形態が示され説明されてきたが、当業者は、本教示から逸脱することなく変更及び修正を行うことができることを理解するであろう。したがって、上記で説明された教示のありとあらゆる修正、変形、又は均等物は、上記で開示された基本的な基本原理の範囲内にあると考えられる。
【0060】
例えば、説明された実施形態におけるロッカー運動停止アクチュエータピストンは、ロッカーアーム内に配設されているが、他の配置が本開示の範囲内であることが認識されるであろう。例えば、ロッカー運動停止アクチュエータピストンは、固定ハウジング(ロッカーシャフト台座)内に位置付けられ、ロッカーアームのカム側に接触するように配置されてもよい。代替的に、ロッカー運動停止部は、ロッカーアームのバルブ側に配設され、その中又は固定ハウジング内に配設されるように配置及び適合されてもよい。
【国際調査報告】