(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】電極シート位置ずれ制御方法、装置、電極シート、セル、電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514450
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 CN2022072060
(87)【国際公開番号】W WO2023133809
(87)【国際公開日】2023-07-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲燦▼斌
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 仕平
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 秋▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】常 文
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲卿▼
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ 浩冉
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB11
5H028BB15
5H028BB17
5H028CC07
5H028CC08
(57)【要約】
本願は電池の技術分野に関し、電極シート位置ずれ制御方法、装置、電極シート、セル及び電池を開示する。該電極シート位置ずれ制御方法には、陽極シートの切欠き孔の位置情報を取得することにより、該切欠き孔の位置情報と該陽極シートの標定幅に基づいて、該陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算し、陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ該タブ位置情報と該陰極シートの標定幅に基づいて、該陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算し、陽極シートと陰極シートに積層処理を行う時、該第一シート幅偏差値に基づいてそれに対応する陰極シートのシート送り位置を調整し、該第二シート幅偏差値に基づいて該陰極シートのスライス幅を補償する。本願は重ね合わせた後の陰極シートと陽極シートの縁部を所定の距離に保持することができ、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極シート位置ずれ制御方法であって、
前記方法は、
陽極シートの切欠き孔の位置情報を取得し、かつ前記切欠き孔の位置情報及び前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算すること、
陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ前記タブ位置情報と前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算すること、
前記陽極シートと前記陰極シートに積層処理を行う時、前記第一シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのシート送り位置を調整し、前記第二シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのスライス幅を補償することにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持すること、を含む
ことを特徴とする電極シート位置ずれ制御方法。
【請求項2】
前記切欠き孔の位置情報及び前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算することは、
センサが陽極シートの切欠き孔を検出した時、隣接する二つの前記陽極シートの切欠き孔の距離に基づいて前記隣接する二つの陽極シートにおける前の陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記検出幅及び前記陽極シートの標定幅に基づいて前記前の陽極シートのシート幅偏差値を計算することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
カメラで撮影された画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得すること、
前記センサが陽極シートの切欠き孔を検出せず、かつ現在検出された陽極シートがカメラの撮影条件を満たす場合、前記現在検出された陽極シートの切り目画像を取得し、かつ前記切り目画像に基づいて前記現在検出された陽極シートの検出シート幅の偏差値を取得すること、及び
前記検出シート幅偏差値と前記標定位置偏差値との差分値を計算し、前記差分値は前記現在検出された陽極シートのシート幅偏差値であること、を更に含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記のカメラで撮影された画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得することは、
センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出しかつカメラの撮影条件を満たす場合、前記切欠き孔に対応する切り目画像を取得し、前記切り目画像と前記陽極シートの切欠き孔の標定位置に基づいて、標定位置偏差値を取得すること、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、
前記センサと前記カメラとの第一距離を取得すること、
前記センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した時の位置情報を取得し、前記位置情報は第二距離を含むこと、及び
前記カメラの現在撮影した切欠き孔の位置情報に対応する距離が前記第一距離と前記第二距離の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した以外の場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、
現在の陽極シートの切欠き孔に対応する前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第一切り目距離を含むこと、
前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第二切り目距離を含むこと、及び
前記第二切り目距離が前記第一切り目距離と前記陽極シートの標定幅の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記タブ位置情報及び前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算することは、
センサが前記陰極シートのタブを検出した時、各前記タブに対応する位置情報を記録すること、
前記センサにより検出されたタブの数が予め設定された閾値より大きい場合、前記記録されたタブの位置情報に基づいて前記予め設定された閾値の枚数の陰極シートの平均幅を計算すること、及び
前記陰極シートの標定幅と前記平均幅との差分値を計算し、前記差分値は前記陰極シートのシート幅偏差値であること、を含む、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電極シート位置ずれ制御装置であって、
前記装置は、
陽極シートの切欠き孔の位置情報を取得し、かつ前記切欠き孔の位置情報及び前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算するための第一計算モジュールと、
陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ前記タブ位置情報及び前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算するための第二計算モジュールと、
前記陽極シートと前記陰極シートに積層処理を行う場合、前記第一シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのシート送り位置を調整し、前記第二シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのスライス幅を補償することにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持するための電極シート位置ずれ処理モジュールと、を含む、
ことを特徴とする電極シート位置ずれ制御装置。
【請求項9】
前記第一計算モジュールは、
センサが陽極シートの切欠き孔を検出した時、隣接する二つの前記陽極シートの切欠き孔の距離に基づいて前記隣接する二つの陽極シートにおける前の陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記検出幅と前記陽極シートの標定幅に基づいて前記前の陽極シートのシート幅偏差値を計算するための第一計算ユニット、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第一計算モジュールは、
カメラで撮影した画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得するための第一取得ユニットと、
前記センサが陽極シートの切欠き孔を検出せず、かつ現在検出された陽極シートがカメラの撮影条件を満たす場合、前記現在検出された陽極シートの切り目画像を取得し、かつ前記切り目画像に基づいて前記現在検出された陽極シートの検出シート幅偏差値を取得するための第二取得ユニットと、及び
前記検出シート幅偏差値と前記標定位置偏差値との差分値を計算するための第二計算ユニットであって、前記差分値が前記現在検出された陽極シートのシート幅偏差値である第二計算ユニットと、を更に含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第一取得ユニットは具体的に、
センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出しかつカメラの撮影条件を満たす場合、前記切欠き孔に対応する切り目画像を取得し、前記切り目画像と前記陽極シートの切欠き孔の標定位置に基づいて、標定位置偏差値を取得することに用いられる、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、
前記センサと前記カメラとの第一距離を取得すること、
前記センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した時の位置情報を取得し、前記位置情報は第二距離を含むこと、及び
前記カメラの現在撮影した切欠き孔の位置情報に対応する距離が前記第一距離と前記第二距離の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した以外の場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、
現在の陽極シートの切欠き孔に対応する前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第一切り目距離を含むこと、
前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第二切り目距離を含むこと、及び
前記第二切り目距離が前記第一切り目距離と前記陽極シートの標定幅の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記第二計算モジュールは具体的に、
センサが前記陰極シートのタブを検出した時、各前記タブに対応する位置情報を記録すること、
前記センサにより検出されたタブの数が予め設定された閾値より大きい場合、前記記録されたタブの位置情報に基づいて前記予め設定された閾値の枚数の陰極シートの平均幅を計算すること、及び
前記陰極シートの標定幅と前記平均幅との差分値を計算し、前記差分値は前記陰極シートのシート幅偏差値であること、に用いられる、
ことを特徴とする請求項8~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
電極シート位置ずれ制御装置であって、
前記装置は、センサ、カメラ及びコントローラを含み、前記コントローラはそれぞれ前記センサ及び前記カメラに接続され、
前記センサは陽極シートの切欠き孔の位置情報を検出するために用いられ、及び陰極シートのタブ位置情報を検出するために用いられ、
前記カメラは陽極シートに対応する切り目画像を撮影するために用いられ、
前記コントローラは、少なくとも一つのプロセッサ、及び前記少なくとも一つのプロセッサと通信接続されたメモリを含み、
前記メモリに前記少なくとも一つのプロセッサにより実行可能な指令が記憶され、前記指令が前記少なくとも一つのプロセッサにより実行されることにより、前記少なくとも一つのプロセッサが前記切欠き孔の位置情報、前記タブ位置情報及び前記切り目画像に基づいて請求項1~7のいずれか一項に記載の電極シート位置ずれ制御方法を実行する、
ことを特徴とする電極シート位置ずれ制御装置。
【請求項16】
電極シートであって、
前記電極シートは陽極シート及び陰極シートを含み、前記陽極シート及び前記陰極シートは請求項1~7のいずれか一項に記載の電極シート位置ずれ制御方法により位置ずれ処理を行うことにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持する、
ことを特徴とする電極シート。
【請求項17】
セルであって、
セパレータ、請求項16に記載の陰極シート及び陽極シートを含む、
ことを特徴とするセル。
【請求項18】
電池であって、
電解質、外装缶及び請求項17に記載のセルを含む、
ことを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に電極シート位置ずれ制御方法、装置、電極シート、セル及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の発展及び電池関連技術の継続的な向上に伴い、人々の電池に対する性能要求はますます高くなる。電極シートは電池の重要な構成構造として、電池の充放電効率に影響を与える。積層する時に、陰極シートが陽極シートの二本の切り目の間にあることを保証する必要があり、陽極切り目を正確に確定することができない時に、陰極シートが陽極切り目を超えることにより、電極シートが自然に積層することができずかつ陰極シートと陽極シートがずれることによる電池の安全問題を引き起こす。したがって、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良の問題を改善することは、セルの歩留まりを向上させることに重要な意味を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の実施形態は上記問題を少なくとも部分的に改善し、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良の確率を効果的に低減し、セルの歩留まりを向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本願の実施形態が採用する技術的解決手段は以下のとおりである。第一態様において、本願の実施例は電極シート位置ずれ制御方法を提供し、前記方法は、陽極シートの切欠き孔の位置情報を取得し、かつ前記切欠き孔の位置情報と前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算すること、陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ前記タブ位置情報と前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算すること、前記陽極シートと前記陰極シートに積層処理を行う時、前記第一シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのシート送り位置を調整し、前記第二シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのスライス幅を補償することにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持することを含む。本願の提供する実施例は重ね合わせた後の陰極シートと陽極シートの縁部を所定の距離に保持させ、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させ、かつ各陰極シートをそれぞれ補償することができ、各陰極シートに差異性偏差補償を行うことができ、最後に陰極シートのシート幅を良好な一致性に保持する。
【0005】
いくつかの実施例において、前記切欠き孔の位置情報及び前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算することは、センサが陽極シートの切欠き孔を検出した時、隣接する二つの前記陽極シートの切欠き孔の距離に基づいて前記隣接する二つの陽極シートにおける前の陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記検出幅及び前記陽極シートの標定幅に基づいて前記前の陽極シートのシート幅偏差値を計算することを含む。本実施例はセンサにより陽極シートの切欠き孔を検出し、検出された切欠き孔情報に基づいて陽極シートのシート幅偏差値を計算し、それにより該シート幅偏差値に基づいて陰極シートのシート送り位置を補償し、それにより各陰極シートのシート送り位置を補償することができ、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させる。
【0006】
いくつかの実施例において、前記方法は、カメラで撮影された画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得すること、前記センサが陽極シートの切欠き孔を検出せず、かつ現在検出された陽極シートがカメラの撮影条件を満たす場合、前記現在検出された陽極シートの切り目画像を取得し、かつ前記切り目画像に基づいて前記現在検出された陽極シートの検出シート幅偏差値を取得すること、前記検出シート幅偏差値と前記標定位置偏差値との差分値を計算し、前記差分値は前記現在検出された陽極シートのシート幅偏差値であること、を更に含む。本実施例はセンサ検出が無効になる場合、カメラにより偏差計算を行い、それにより陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を効果的に回避することができ、セルの歩留まりを向上させる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記カメラで撮影された画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得することは、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出しかつカメラの撮影条件を満たす場合、前記切欠き孔に対応する切り目画像を取得し、前記切り目画像と前記陽極シートの切欠き孔の標定位置に基づいて、標定位置偏差値を取得することを含む。本実施例は切り目画像及び陽極シートの切欠き孔の標定位置によりカメラで撮影された画像の切欠き孔の標定位置に対応する標定位置偏差値を取得し、前記標定位置偏差値を正確に取得することができ、それにより前記陽極シートのシート幅偏差値を正確に計算し、陰極シートのシート送り位置を正確に補償することができる。
【0008】
いくつかの実施例において、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、前記センサと前記カメラとの第一距離を取得すること、前記センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合の位置情報を取得し、前記位置情報は第二距離を含むこと、前記カメラの現在撮影した切欠き孔の位置情報に対応する距離が前記第一距離と前記第二距離の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む。本実施例はセンサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出する時の撮影条件を限定し、それにより該条件に基づいてカメラが撮影するようにトリガすることができ、センサの検出が無効になる場合であっても、陽極シートに対応するシート幅偏差値を取得することができることを確保し、それにより陰極シートのシート送り位置を補償することを実現する。
【0009】
いくつかの実施例において、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した以外の場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、現在の陽極シートの切欠き孔に対応する前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第一切り目距離を含むこと、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第二切り目距離を含むこと、前記第二切り目距離が前記第一切り目距離と前記陽極シートの標定幅の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む。本実施例はセンサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した以外のときの撮影条件を限定し、それにより該条件に基づいてカメラが撮影するようにトリガすることができ、センサの検出が無効になった場合であっても、陽極シートに対応するシート幅偏差値を取得することができることを確保し、それにより陰極シートのシート送り位置を補償することを実現する。
【0010】
いくつかの実施例において、前記タブ位置情報及び前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算することは、センサが前記陰極シートのタブを検出した場合、各前記タブに対応する位置情報を記録すること、前記センサが検出したタブの数が所定の閾値より大きい場合、前記記録されたタブの位置情報に基づいて前記所定の閾値の枚数の陰極シートの平均幅を計算すること、及び前記陰極シートの標定幅と前記平均幅との差分値を計算し、前記差分値は前記陰極シートのシート幅偏差値であること、を含む。本実施例は陰極シートのタブを検出することにより、タブに基づいて陰極シートの幅を取得し、これにより、シート幅偏差値を計算することにより陰極シートの幅を均一に補償することができ、陰極シートの幅の一致性を良好にするだけでなく、陰極シートのタブを検出し、陰極シートの幅を動的に調整し、タブの位置ずれを補正することができる。
【0011】
第二態様において、本願の実施例は電極シートずれ制御装置を提供し、前記装置は、陽極シートの切欠き孔の位置情報を取得し、かつ前記切欠き孔の位置情報及び前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算するための第一計算モジュールと、陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ前記タブ位置情報及び前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算するための第二計算モジュールと、及び前記陽極シート及び前記陰極シートに積層処理を行う場合、前記第一シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのシート送り位置を調整し、前記第二シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのスライス幅を補償することにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持するための電極シートずれ処理モジュールと、を含む。本願の提供する実施例は重ね合わせた後の陰極シートと陽極シートの縁部を所定の距離に保持させ、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させ、かつ各陰極シートをそれぞれ補償することができ、各陰極シートに差異性偏差補償を行うことができ、最後に陰極シートのシート幅を良好な一致性に保持する。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第一計算モジュールは、センサが陽極シートの切欠き孔を検出した時、隣接する二つの前記陽極シートの切欠き孔の距離に基づいて前記隣接する二つの陽極シートにおける前の陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記検出幅及び前記陽極シートの標定幅に基づいて前記前の陽極シートのシート幅偏差値を計算するための第一計算ユニット、を含む。本実施例はセンサにより陽極シートの切欠き孔を検出し、検出された切欠き孔情報に基づいて陽極シートのシート幅偏差値を計算し、それにより該シート幅偏差値に基づいて陰極シートのシート送り位置を補償し、それにより各陰極シートのシート送り位置を補償することができ、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させる。
【0013】
いくつかの実施例において、前記第一計算モジュールは、カメラで撮影された画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得するための第一取得ユニットと、前記センサが陽極シートの切欠き孔を検出せず、かつ現在の検出された陽極シートがカメラの撮影条件を満たす場合、前記現在の検出された陽極シートの切り目画像を取得し、かつ前記切り目画像に基づいて前記現在の検出された陽極シートの検出シート幅偏差値を取得するための第二取得ユニットと、前記検出シート幅偏差値と前記標定位置偏差値との差分値を計算するための第二計算ユニットであって、前記差分値が前記現在の検出された陽極シートのシート幅偏差値である第二計算ユニットと、を更に含む。本実施例はセンサ検出が無効になる場合、カメラにより偏差計算を行い、それにより陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を効果的に回避することができ、セルの歩留まりを向上させる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第一取得ユニットは具体的には、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出しかつカメラの撮影条件を満たす場合、前記切欠き孔に対応する切り目画像を取得し、前記切り目画像と前記陽極シートの切欠き孔の標定位置に基づいて、標定位置偏差値を取得することに用いられる。本実施例は切り目画像及び陽極シートの切欠き孔の標定位置によりカメラで撮影された画像の切欠き孔の標定位置に対応する標定位置偏差値を取得し、前記標定位置偏差値を正確に取得することができ、それにより前記陽極シートのシート幅偏差値を正確に計算し、陰極シートのシート送り位置を正確に補償することができる。
【0015】
いくつかの実施例において、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、前記センサと前記カメラとの第一距離を取得すること、前記センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合の位置情報を取得し、前記位置情報は第二距離を含むこと、及び前記カメラの現在撮影した切欠き孔の位置情報に対応する距離が前記第一距離と前記第二距離の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む。本実施例はセンサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出する時の撮影条件を限定し、それにより該条件に基づいてカメラが撮影するようにトリガすることができ、センサの検出が無効になる場合であっても、陽極シートに対応するシート幅偏差値を取得することができることを確保し、それにより陰極シートのシート送り位置を補償することを実現する。
【0016】
いくつかの実施例において、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した以外の場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、現在の陽極シートの切欠き孔に対応する前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記前回検出された陽極シートの切り目画像は第一切り目距離を含むこと、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第二切り目距離を含むこと、及び前記第二切り目距離が前記第一切り目距離と前記陽極シートの標定幅の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む。本実施例はセンサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した以外の時の撮影条件を限定し、それにより該条件に基づいてカメラが撮影するようにトリガすることができ、センサの検出が無効になった場合であっても、陽極シートに対応するシート幅偏差値を取得することができることを確保し、それにより陰極シートのシート送り位置を補償することを実現する。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第二計算モジュールは具体的に、センサが前記陰極シートのタブを検出した場合、各前記タブに対応する位置情報を記録すること、前記センサが検出したタブの数が所定の閾値より大きい場合、前記記録されたタブの位置情報に基づいて前記所定の閾値の枚数の陰極シートの平均幅を計算すること、及び前記陰極シートの標定幅と前記平均幅との差分値を計算し、前記差分値は前記陰極シートのシート幅偏差値であること、に用いられる。本実施例は陰極シートのタブを検出することにより、タブに基づいて陰極シートの幅を取得し、これにより、シート幅偏差値を計算することにより陰極シートの幅を均一に補償することができ、陰極シートの幅の一致性を良好にするだけでなく、陰極シートのタブを検出し、陰極シートの幅を動的に調整し、タブの位置ずれを補正することができる。
【0018】
第三態様において、本願の実施例は電極シート位置ずれ制御装置を提供し、前記装置は、センサ、カメラ及びコントローラを含み、前記コントローラはそれぞれ前記センサ及び前記カメラに接続され、前記センサは陽極シートの切欠き孔の位置情報を検出するために用いられ、及び陰極シートのタブ位置情報を検出するために用いられ、前記カメラは陽極シートに対応する切り目画像を撮影するために用いられ、前記コントローラは、少なくとも一つのプロセッサ、及び前記少なくとも一つのプロセッサに通信接続されたメモリを含み、前記メモリに前記少なくとも一つのプロセッサにより実行可能な指令が記憶され、前記指令は前記少なくとも一つのプロセッサにより実行され、それにより前記少なくとも一つのプロセッサは前記切り目位置情報、前記タブ位置情報及び前記切り目画像に基づいて前記のような電極シート位置ずれ制御方法を実行する。本願の提供する実施例は重ね合わせた後の陰極シートと陽極シートの縁部を所定の距離に保持させ、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させ、かつ各陰極シートをそれぞれ補償することができ、各陰極シートに差異性偏差補償を行うことができ、最後に陰極シートのシート幅を良好な一致性に保持する。
【0019】
第四態様において、本願の実施例は電極シートを提供し、前記電極シートは陽極シート及び陰極シートを含み、前記陽極シート及び前記陰極シートは前記のような電極シート位置ずれ制御方法により位置ずれ処理を行うことにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持する。本願の実施例が提供する電極シートの陰極シートと陽極シートの縁部は所定の距離を保持することができ、位置ずれ不良の確率が低い。
【0020】
第五態様において、本願の実施例はセルを提供し、セパレータ、及び前記のような陰極シート及び陽極シートを含む。本願の実施例が提供するセルは良好な歩留まりを有する。
【0021】
第六態様において、本願の実施例は電池を提供し、電解質、外装缶及び前記のようなセルを含む。本願の実施例が提供する電池は安全性が高く、安定性が高い。
【0022】
本願の実施例は電極シート位置ずれ制御方法、装置、電極シート、セル及び電池を提供し、陽極シートの切欠き孔の位置情報と陽極シートの標定幅により陽極シートに対応する第一片の幅偏差値を計算し、陰極シートのタブ位置情報と陰極シートの標定幅により陰極シートに対応する第二片の幅偏差値を計算する。積層処理時に、第一シート幅偏差値によりそれに対応する陰極シートのシート送り位置を補償し、第二シート幅偏差値により該陰極シートのスライス幅を補償する。本願の提供する実施例は、重ね合わせた後の陰極シートと陽極シートの縁部を所定の距離に保持させ、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させることができ、また、本願の実施例における補償方式は各陰極シートをそれぞれ補償し、各陰極シートに差異性偏差補償を行うことができ、最後に陰極シートのシート幅を良好な一致性に保持する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
一つ又は複数の実施例はそれに対応する図面により例示的に説明され、これらの例示的な説明は実施例を限定するものではなく、図面において同じ符号を有する素子は類似する素子として示され、特別な説明がない限り、図面における図は比例制限を構成しない。
【
図1】
図1は本願の実施例が提供する積層機の構造概略図である。
【
図2】
図2は本願の実施例が提供する前記切り目画像の概略図である。
【
図3】
図3は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御装置の構造概略図である。
【
図4】
図4は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法に提供される前記第一シート幅偏差値を計算する方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法に提供される前記第二シート幅偏差値を計算する方法のフローチャートである。
【
図7】
図7は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照して本願の技術的解決手段の実施例を詳細に説明する。以下の実施例は本願の技術的解決手段をより明確に説明するためのものに過ぎず、したがって示例だけとして、これにより本願の保護範囲を制限することができない。
【0025】
別途の定義がない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学用語は本願の技術分野に属する当業者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書に使用される用語は具体的な実施例を説明するために用いられるだけであり、本願を限定することを意図しない。本願の明細書及び特許請求の範囲と上記図面の説明における用語「含む」及び「有する」とそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」をカバーすることを意図する。
【0026】
本願の実施例の説明において、技術用語「第一」、「第二」等は異なる対象を区別するために用いられるだけであり、相対的な重要性を指示するか又は暗示するか又は指示された技術的特徴の数量、特定の順序又は主従関係を暗示的に示すと理解されるべきではない。
【0027】
本明細書で言及された「実施例」は、実施例を組合わせて説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも一つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置に該フレーズが出現することは必ずしも同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と排他的で独立した又は候補的な実施例でもない。当業者であれば、本明細書に記載された実施例を他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解することができる。
【0028】
図1に示すように、
図1は本願の実施例が提供する積層機の構造概略図である。該積層機10は、陽極シート100、セパレータ110、陰極シート120、センサ200、カメラ210、カッター220及びシート送り機構230を含む。
【0029】
電池積層の分野において、一般的にはセパレータ110を用いて陽極シート100と陰極シート120を隔離し、かつ順次積層してそれに一定の厚さを有するセルを形成させる。積層処理の過程において、陽極シート100と陰極シート120の縁部距離が要求範囲内に保持されることを要求し、それにより陽極シート100と陰極シート120の位置ずれを回避する。関連技術はセンサにより各セルの陽極余白位置を検出し、前記セルの陽極余白位置はすなわちセルにおける陽極シートと陰極シートが積層された後に前記陽極シートの余分な空白位置であり、さらに陰極シート送り全体の位置補償を行う。関連技術は電極シートごとに差異性偏差補償を行うことができず、かつセンサ検出が失効した後に偏差計算を行うことができず、それによりシート送りの位置ずれ不良を引き起こす。これに鑑みて、本願の実施例は陽極シート100の切欠き孔位置を検出することにより、陰極シート120のシート送り位置を補償し、かつ陽極シート100に対応するセンサ200が陽極シート100の切欠き孔位置を検出できない場合、カメラ210により撮像された画像により陽極シート100の検出シート幅の偏差値を取得し、さらに陰極シート120のシート送り位置を補償する。また、陰極シート120のタブ位置を検出し、タブの位置情報に基づいて陰極シート120のシート幅を取得し、ここでタブにより陰極シート120のシート幅を補償し、陰極シート120と陽極シート100のシート幅が所定の範囲内にあることを確保することができる。また検出された前記タブ位置に基づいてタブの位置ずれを補正する。
図1に示す積層機10は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法に適用することができる。積層機10が動作する時、既に切り目及び切欠き孔がある陽極シート100とセパレータ110を複合した後、センサ200は該切欠き孔を絶えず検出しかつ位置決めし、同時にカメラ210は切欠き孔を撮影して陽極シート100の切欠き孔とカメラ標定位置の偏差値を識別する。陰極シート120に対応するセンサ200は陰極シート120のタブに検出位置決めを行い、陰極シートのシート幅偏差値を計算した後、カッター220は計算された陰極シート偏差値に基づいて陰極シート120のシート幅を補償し、適切な幅の陰極シート120を切り取る。シート送り機構230は切欠き孔により位置決めされた偏差値に基づいて陰極シート120のシート送り位置を補償し、ここで、切欠き孔により位置決めされた偏差値はセンサ200により検出された陽極シートの切欠き孔位置情報及び標定幅に基づいて計算して得られた前記陽極シートの前記第一シート幅偏差値であってもよく、前記標定幅は陽極シート幅の設定値であり、該値はプロセスに基づいて設定することができ、さらにカメラ210により撮影された画像により陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記検出幅に基づいて計算して前記第一シート幅偏差値を取得することができる。前記第一シート幅偏差値は陰極シート120のシート送り位置を補償するための値を指し、それは陰極シート120のシート送り位置を補償するために用いられる。これにより、陰極シート120を陽極シート100の正確な位置に搬送することができる。
【0030】
ここで、センサ200は複数を含み、それぞれ陽極シート100と陰極シート120に対応する位置に設置され、センサ200は陽極シート100の切欠き孔の位置情報及び陰極シート120のタブの位置情報を検出するために用いられる。
【0031】
ここで、カメラ210はCCD(Charge coupled Device、電気結合素子)カメラであってもよい。カメラ210は陽極シート100に対応する切り目画像を撮影するために用いられ、
図2に示すように、前記切り目画像は切り目及び切欠き孔を含み、前記切り目は陽極シート100を貫通して材料の搬送方向に垂直した痕であり、切り目により陽極シート100の枚数を分割することができ、例えば隣接する二本の切り目の中間の陽極シートは一枚の陽極シートである。前記切欠き孔は前記切り目に設置された孔であり、孔の長さは切り目の長さより小さくてもよく、一般的に前記切欠き孔は前記切り目と重なり合う。
【0032】
図3に示すように、
図3は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御装置の構造概略図であり、該電極シート位置ずれ制御装置30は前記のような積層機10、コントローラ300及び上位機400を含む。前記コントローラ300はそれぞれ前記積層機10、前記上位機400と通信接続され、前記コントローラ300は単独の個体として積層機10から独立して設置されてもよく、前記積層機10の一部として積層機10に集積されてもよい。
【0033】
本願の実施例において、前記積層機10は前記陽極シート100に対応するセンサ200により陽極シート100の切欠き孔位置情報、陰極シート120のタブ位置情報を検出し、さらに前記カメラ210により陽極シート100の切り目画像を検出する。ここで、前記コントローラ300は指令を前記積層機10に送信することにより前記陽極シート100に対応するセンサ200が陽極シート100の切欠き孔位置を検出し、前記陰極シート120に対応するセンサ200がタブ位置を検出するように制御することができ、前記コントローラ300はさらに指令を前記積層機10に送信することによりカメラ210が画像を撮影するように制御することができる。カメラ210で撮影された切り目画像を上位機400に伝送することができ、上位機400は該切り目画像を処理し、切り目偏差を取得し、前記切り目偏差はカメラで撮影された画像の切欠き孔標定位置に対応する偏差値であり、すなわち前記標定位置偏差値であり、かつ前記切り目偏差をコントローラ300に送信する。前記コントローラ300は前記切欠き孔位置情報、前記タブ位置情報及び前記切り目画像を取得し、かつ前記切欠き孔位置情報、前記タブ位置情報及び前記切り目画像に基づいて電極シートの位置ずれを制御し、前記陰極シート120が前記陽極シート100の正確な位置に配置されることを保証する。例えば、前記コントローラ300は陽極シートの切欠き孔位置情報を取得し、かつ前記切欠き孔位置情報と前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算することができ、前記標定幅は陽極シート幅の設定値であり、該値はプロセスに基づいて設定することができ、陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ前記タブ位置情報と前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算し、前記陽極シートと前記陰極シートに積層処理を行う時、前記第一シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのシート送り位置を調整し、前記第二シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのスライス幅を補償することにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持するために用いられる。
【0034】
ここで、前記コントローラ300はプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)であってもよい。前記上位機400は具体的にはデスクトップコンピュータ、ノートパソコン、タブレットパソコン、スマートフォン等の装置であってもよい。
【0035】
具体的には、
図3に示すように、前記コントローラ300は、一つ又は複数のプロセッサ310及びメモリ320を含み、
図3において一つのプロセッサ310を例とする。プロセッサ310とメモリ320はバス又は他の方式により接続されてもよく、
図3においてバスにより接続されることを例とする。
【0036】
メモリ320は不揮発性コンピュータの読み取り可能な記憶媒体として、不揮発性ソフトウェアプログラム、不揮発性コンピュータの実行可能なプログラム及びモジュールを記憶することに用いることができ、例えば本願の実施例における電極シート位置ずれ制御方法に対応するプログラム指令/モジュールである。プロセッサ310はメモリ320に記憶された不揮発性ソフトウェアプログラム、指令及びモジュールを実行することにより、コントローラ300の様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち下記方法実施例の電極シート位置ずれ制御方法を実現する。例えば、
図4に示す方法を実行する。
【0037】
メモリ320はプログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含むことができ、プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、少なくとも一つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができる。データ記憶領域は電極シート位置ずれ制御装置の使用に基づいて前記作成されたデータ等を記憶することができる。また、メモリ320は高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、さらに不揮発性メモリを含むことができ、例えば少なくとも一つの磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、又は他の不揮発性メモリである。いくつかの実施例において、メモリ320はプロセッサ310に対して遠隔に設置されたメモリを選択可能に含み、これらの遠隔に設置されたメモリはネットワークを介して電極シート位置ずれ制御装置に接続することができ、該ネットワークの実例はインターネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク、企業内部ネットワーク及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0038】
前記一つ又は複数のモジュールはメモリ320に記憶され、一つ又は複数のプロセッサ310により実行される場合、下記任意の方法実施例における電極シート位置ずれ制御方法を実行する。
【0039】
本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御装置30は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法を実行するために用いられ、実行方法に対応する機能モジュール及び有益な効果を備え、本願の実施例に詳細に説明されない技術的詳細は、本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法を参照することができる。
【0040】
図4に示すように、
図4は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法のフローチャートである。この方法は、
図1及び
図3に示した機器に適用することができる。前記方法は各電極シートに差異性偏差補償を行うことができ、かつセンサ検出が無効になる時も電極シートの偏差を計算し、電極シートを補償することができる。具体的には、前記方法は以下のステップを含むことができる。
【0041】
S11、陽極シートの切欠き孔位置情報を取得し、かつ前記切欠き孔位置情報及び前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算する。
【0042】
電極シートは陽極シート(負極シートとも呼ばれる)及び陰極シート(正極シートとも呼ばれる)を含み、正極シートは正極活物質が塗布された第一塗布領域及び正極活物質が塗布されていない正極タブを有し、負極シートは負極活物質が塗布された第二塗布領域及び負極活物質が塗布されていない負極タブを有する。セルは、複数の正極タブを含む正極タブ群と、複数の負極タブを含む負極タブ群とを有する。電極シートは間隔を隔てて設置された複数のタブを有する。
【0043】
本願の実施例において、各前記陽極シートにいずれも切欠き孔が設けられ、前記切欠き孔の形状及び大きさは本願の実施例において特に限定されない。前記切欠き孔の位置情報は前記切欠き孔の前記電極シートでの具体的な位置を指し、センサにより前記切欠き孔の位置情報を検出することができ、前記切欠き孔は前記陽極シートを貫通する孔であり、センサは切欠き孔を検出する時、陽極シートの一部の位置に透過する光が存在し、他の位置に透過する光が存在しなければ、この条件に基づいて、センサは前記切欠き孔の位置、即ち前記切欠き孔の位置情報を検出することができる。前記切欠き孔を検出する目的は前記陽極シートの幅を取得することであり、前記陽極シートの幅は上記積層機の材料搬送方向に隣接する二つの切欠き孔の間の距離と理解することができ、取得された前記陽極シートの幅に基づいて、陰極シートのシート送り位置を正確に決定することができる。前記陽極シートの標定幅は陽極シートの幅の設定値を指し、該値はプロセスに基づいて設定される。前記第一シート幅偏差値は陰極シートのシート送り位置を補償するための値である。前記シート送り位置は積層過程において前記陰極シートが配置された位置を指し、該位置を補償することにより、陰極シートが正確な位置に配置される。ここで、第一シート幅偏差値は一番目の陰極シート以外の各陰極シートのシート送り位置をそれぞれ補償するために用いられる。各陰極シートはいずれもそれに対応する前記第一シート幅偏差値を有する。一番目の陰極シートはセンサが一回目に検出した時にシート送り位置を確認したため、最初の陰極シートはシート送り位置補償を行う必要がない。
【0044】
本願の実施例はセンサにより陽極シートの切欠き孔の位置情報を検出し、切欠き孔の位置情報及び前記標定幅に基づいて前記第一シート幅偏差値を計算することができる。しかしながら、切欠き孔を製造する時に該切欠き孔が完全に打ち抜かず、それによりセンサが切欠き孔を検出することができないことをもたらし、又は材料ベルトがずれることにより切欠き孔がセンサの検出範囲にない時にもセンサが切欠き孔を検出することができないことをもたらし、この時にカメラで撮影された画像により陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記第一シート幅偏差値を計算することができる。
【0045】
具体的には、
図5に示すように、前記切欠き孔の位置情報及び前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算することは以下を含む。
【0046】
S111、カメラで撮影した画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得する。
【0047】
前記センサが陽極シートの切欠き孔を一回目検出した時、即ち現在一番目の陽極シートであると考えられ、この時に固定距離によりカメラが撮影するようにトリガし、該撮影された画像は切り目を含む画像であり、該画像の検出に基づいて切り目位置情報を取得し、さらに前記切り目位置情報及び標定切り目に基づいて偏差値を算出し、該偏差値は前記カメラで撮影した画像の切欠き孔標定位置に対応する前記標定位置偏差値である。ここで、前記標定切り目 は切り目を作る時に既に検出して取得された切り目情報を指す。前記切り目位置情報はカメラが現在撮影した画像における切り目が位置する位置を指す。切り目位置の画素点と前記標定切り目に対応する画素点に基づいて前記偏差値を計算することができる。
【0048】
前記標定位置偏差値はカメラで撮影された画像の切り目の位置情報を補正するために用いられ、それにより切り目の位置を正確に決定することができ、すなわち陰極シートのシート送り位置の補償値を正確に取得することができる。
【0049】
ここで、前記センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した時、固定距離によりカメラが撮影するようにトリガし、前記固定距離はカメラ撮影の一つの条件を満たすことを指す。具体的には、前記センサと前記カメラとの第一距離を取得し、該第一距離はセンサとカメラの位置に関連し、センサからカメラまでの距離を指し、具体的には前記センサと前記カメラが陽極シートに垂直な方向にそれぞれ前記陽極シートに投影した位置の間の距離を指す。前記陽極シートに対応するセンサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した時の位置情報を取得し、前記位置情報は第二距離を含み、前記第二距離は切欠き孔位置とセンサとの距離を指す。前記カメラの現在撮影した切欠き孔の位置情報に対応する距離が前記第一距離及び前記第二距離の和に等しい時、カメラの撮影条件を満たすと決定し、即ち前記固定距離を満たし、この時にカメラが撮影するようにトリガする。
【0050】
S112、センサが陽極シートの切欠き孔を検出したか否かを判断する。
【0051】
陽極シートの切欠き孔が検出されると、下記ステップS 113を実行する。陽極シートの切欠き孔が検出されず、かつ現在検出された陽極シートがカメラの撮影条件を満たすと、下記ステップS114及びステップS115を実行する。
【0052】
ここで、前記切欠き孔が製造時に完全に打ち抜かないか、又は材料ベルトのずれ等の原因で切欠き孔がセンサの検出範囲内にないと、この時にいずれもセンサが陽極シートの切欠き孔を検出しないことを引き起こす。陽極シートの切欠き孔が検出された場合、検出された切欠き孔の情報に基づいて前記第一シート幅偏差値を取得し、陽極シートの切欠き孔が検出されない場合、カメラで撮影された切り目画像に基づいて前記第一シート幅偏差値を取得する。これにより、本願の実施例は陰極シートのシート送り位置の補償値を正確で、確実に取得することができ、シート送り位置ずれ不良の確率を減少させる。
【0053】
S113、隣接する二つの前記陽極シートの切欠き孔の距離に基づいて前記隣接する二つの陽極シートにおける前の陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記検出幅及び前記陽極シートの標定幅に基づいて前記前の陽極シートのシート幅偏差値を計算し、前記シート幅偏差値は上記積層機の材料搬送方向に沿う距離と理解することができる。
【0054】
ここで、前記検出幅は切欠き孔に基づいてリアルタイムに検出された陽極シートの幅を指す。前記検出幅と前記標定幅との差分値を計算し、該差分値は前記第一シート幅偏差値である。
【0055】
例えば、現在一番目の陽極シートのシート幅差値を要求する必要がある場合、二番目と一番目の切欠き孔位置に基づいて一番目の検出幅
【数1】
を取得し、該検出幅
【数2】
と設定幅
【数3】
との差を求め、一番目のシート幅偏差値を取得し、即ち
【数4】
該
【数5】
は二番目の陰極シートのシート送り位置を補償するために用いられる。
【0056】
S114、前記現在検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、かつ前記切り目画像に基づいて前記現在検出された陽極シートの検出シート幅偏差値を取得する。
【0057】
前記切り目画像は上記CCDカメラにより撮影して取得することができる。前記検出シート幅偏差値はカメラで撮影された画像に基づいて検出された陽極シートのシート幅偏差値を指す。該検出シート幅偏差値を取得する方式は、切り目画像により取得された陽極シートの検出幅に基づいて、該検出幅と標定幅との差分値を計算し、該差分値は前記検出シート幅偏差値である。
【0058】
ここで、現在検出された陽極シートがカメラの撮影条件を満たすことは現在の陽極シートの切欠き孔に対応する前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得することを含み、前記前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第一切り目距離を含む。前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第二切り目距離を含む。前記第二切り目距離が前記第一切り目距離と前記陽極シートの標定幅との和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定する。例えば、前記第一切り目距離は
【数6】
であり、前記第二切り目距離は
【数7】
であり、前記陽極シートの標定幅が
【数8】
であり、
【数9】
であると、カメラが撮影するようにトリガする。前記第一切り目距離と前記第二切り目距離はいずれもそれぞれカメラで撮影された陽極シートの切り目と同一の原点との距離であり、隣接する二つの陽極シートの切り目距離に基づいてその差分値を計算することができ、該差分値は前記隣接する陽極シートにおける前の陽極シートの幅を表すことができる。
【0059】
いくつかの実施例において、カメラ撮影により前記検出片幅偏差値を直接取得することができる。上記から分かるように、二番目から上記の
【数10】
によりカメラが撮影するようにトリガすることができるため、前回の撮影位置に基づいてさらに一つの標準的なシート幅
【数11】
を経過すればカメラが撮影するようにトリガして陽極シートの切欠き孔とカメラ標定位置の偏差値、すなわち上記検出シート幅偏差値を得ることができる。
【0060】
S115、前記検出シート幅偏差値と前記標定位置偏差値との差分値を計算し、前記差分値は前記現在検出された陽極シートのシート幅偏差値である。
【0061】
前記陽極シートのシート幅偏差値は、前記第一シート幅偏差値である。例えば、二番目の陽極シートの切欠き孔が検出されなければ、上記のことによりその検出シート幅偏差値
【数12】
を取得することができ、その対応する第一シート幅偏差値を
【数13】
に計算する。ここで、
【数14】
はカメラで撮影した画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値であり、
【数15】
は前記第一シート幅偏差値である。
【0062】
上記主に二種類の方式で検出して前記陽極シートによる前記陰極シート送り位置を補償する値を取得し、それにより陰極シートを陽極シートの適切な位置に配置することができる。
【0063】
S12、陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ前記タブ位置情報及び前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算する。
【0064】
前記タブ位置情報は陰極シートでのタブの具体的な位置を指し、本願の実施例において、タブの位置を検出することにより前記陰極シートの幅を取得する。前記陰極シートの標定幅は陰極シート幅の標定値を指し、この値はプロセスに応じて設定される。第二シート幅偏差値とは、陰極シートのシート幅を補償するための値である。
【0065】
本願の一つの実施例において、
図6に示すように、前記タブ位置情報及び前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算することは以下を含む。
【0066】
S121、センサが前記陰極シートのタブを検出した時、各前記タブに対応する位置情報を記録する。
【0067】
S122、前記センサにより検出されたタブの数が予め設定された閾値より大きい場合、前記記録されたタブの位置情報に基づいて前記予め設定された閾値の枚数の陰極シートの平均幅を計算する。
【0068】
S123、前記陰極シートの標定幅と前記平均幅との差値を計算し、前記差値は前記陰極シートのシート幅偏差値である。
【0069】
ここで、前記タブに対応する位置情報とは、センサにより検出された陰極シートでのタブの位置であり、具体的にはセンサとタブとの距離であってもよい。前記予め設定された閾値はシステムカスタム又は人為的に設定することができ、例えば10などである。
【0070】
下記式に基づいて前記陰極シートの平均幅を計算することができ、
【数16】
ここで、mは現在検出された陰極シートの枚数であり、
【数17】
は現在検出されたm枚目の陰極シートの位置であり、kは設定された平均シート幅による枚数であり、
【数18】
は(m-k)枚目の陰極シートの位置である。
【0071】
陰極シートに対応するセンサにより検出された陰極シートの枚数mがkより大きいか否かを判断し、大きければ、上記式に基づいて前記平均幅を算出する。
【0072】
前記陰極シートのシート幅偏差値は
【数19】
であり、
【数20】
は前記陰極シートの標定幅である。
【0073】
本願の実施例において、一組の陰極シートのタブ位置情報に基づいて陰極シートの幅を取得し、例えば5-10枚の陰極シートが一組である。平均を求める方式により陰極シートの幅をより正確に決定することができ、後に陰極シートのシート幅偏差値を計算する時にもより正確であり、それにより陰極シートのシート幅を正確に補償することができる。なお、陰極シートのシート幅を計算する方式は上記平均を求める方式に限定されず、さらに他の計算方式、例えば補間の方式等を採用することができる。
【0074】
本願の実施例は陰極シートのタブにより陰極シートのシート幅を均一に補償することにより、陰極シートのシート幅の一致性が高い。また、陰極シートの幅を動的に調整すると、さらにタブずれ制御を実現し、タブずれを補正することができる。
【0075】
S13、前記陽極シートと前記陰極シートに積層処理を行う時、前記第一シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのシート送り位置を調整し、前記第二シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのスライス幅を補償することにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部が所定の距離を保持する。
【0076】
前記積層処理とは、上記積層機等の機器により陽極シートと陰極シートを隔離して順次積層してセルを形成する過程である。この過程で上記計算された第一シート幅偏差値に基づいて陰極シートのシート送り位置を決定することができ、具体的には一番目の陽極シートの第一シート幅偏差値は二番目の陰極シートのシート送り位置を決定し、二番目の陽極シートの第一シート幅偏差値は三番目の陰極シートのシート送り位置を決定し、このように類推する。前記第二シート幅偏差値は陰極シートのスライス幅を補償するために用いられ、設定された陰極シートのスライス幅が狭ければ、前記第二シート幅偏差値を増加させ、設定された陰極シートのスライス幅が広ければ、前記第二シート幅偏差値を減少させる。各陰極シートのシート幅をそれぞれ補償することができる。ここで、上記シート送り位置を調整する過程と陰極シートのシート幅を補償する過程は同時に行うことができ、ここでその実行順序を限定しない。
【0077】
ここで、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部は所定の距離を保持し、すなわち、重ねられて放置された後の陰極シートの縁部と陽極シートの縁部は所定の距離のずれを有し、該所定の距離は2±0.9mmであってもよい。
【0078】
本願の実施例は電極シート位置ずれ制御方法を提供し、重ね合わせた後の陰極シートと陽極シートの縁部を所定の距離に保持し、陰極シートと陽極シートの位置ずれ不良を回避し、セルの歩留まりを向上させることができる。また、本願の実施例における補償方式は各陰極シートをそれぞれ補償し、各陰極シートに差異性偏差補償を行うことができ、陰極シートのシート幅を良好な一致性に保持させる。最後に、陰極シートの幅を動的に調整する場合、さらにタブの位置ずれ制御を実現し、タブ位置ずれを補正することができる。
【0079】
図7に示すように、
図7は本願の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御装置の構造概略図である。前記電極シート位置ずれ制御装置40は第一計算モジュール41、第二計算モジュール42及び電極シート位置ずれ処理モジュール43を含む。
【0080】
第一計算モジュール41は陽極シートの切欠き孔の位置情報を取得し、かつ前記切欠き孔の位置情報と前記陽極シートの標定幅に基づいて、前記陽極シートに対応する第一シート幅偏差値を計算するために用いられる。第二計算モジュール42は陰極シートのタブ位置情報を取得し、かつ前記タブ位置情報と前記陰極シートの標定幅に基づいて、前記陰極シートに対応する第二シート幅偏差値を計算するために用いられる。電極シート位置ずれ処理モジュール43は前記陽極シートと前記陰極シートに積層処理を行う時、前記第一シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのシート送り位置を調整し、前記第二シート幅偏差値に基づいて前記陰極シートのスライス幅を補償することにより、重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部を所定の距離に保持するために用いられる。
【0081】
ここで、第一計算モジュール41は第一計算ユニット411を含み、前記第一計算ユニット411はセンサが陽極シートの切欠き孔を検出した場合、隣接する二つの前記陽極シートの切欠き孔の距離に基づいて前記隣接する二つの陽極シートにおける前の陽極シートの検出幅を取得し、かつ前記検出幅及び前記陽極シートの標定幅に基づいて前記前の陽極シートのシート幅偏差値を計算するために用いられる。
【0082】
いくつかの実施例において、第一計算モジュール41はさらに第一取得ユニット412、第二取得ユニット413及び第二計算ユニット414を含む。前記第一取得ユニット412はカメラで撮影した画像の切欠き孔標定位置に対応する標定位置偏差値を取得するために用いられる。前記第二取得ユニット413は前記センサが陽極シートの切欠き孔を検出せず、かつ現在検出された陽極シートがカメラの撮影条件を満たす場合、前記現在検出された陽極シートの切り目画像を取得し、かつ前記切り目画像に基づいて前記現在検出された陽極シートの検出シート幅偏差値を取得するために用いられる。前記第二計算ユニット414は前記検出シート幅偏差値と前記標定位置偏差値との差分値を計算するために用いられ、前記差分値は前記現在検出された陽極シートのシート幅偏差値である。ここで、第一取得ユニット412は具体的にはセンサが陽極シートの切欠き孔を初めて検出しかつカメラの撮影条件を満たす場合、前記切欠き孔に対応する切り目画像を取得し、前記切り目画像と前記陽極シートの切欠き孔の標定位置に基づいて、標定位置偏差値を取得するために用いられる。
【0083】
ここで、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、前記センサと前記カメラとの第一距離を取得すること、前記センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した場合の位置情報を取得し、前記位置情報は第二距離を含むこと、及び前記カメラが現在撮影している切欠き孔の位置情報に対応する距離が前記第一距離と前記第二距離の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定すること、を含む。
【0084】
ここで、センサが陽極シートの切欠き孔を一回目に検出した以外の場合、前記カメラの撮影条件を満たすことは、現在の陽極シートの切欠き孔に対応する前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記前回検出された陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第一切り目距離を含むこと、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像を取得し、前記現在の陽極シートの切欠き孔の切り目画像は第二切り目距離を含むこと、及び前記第二切り目距離が前記第一切り目距離と前記陽極シートの標定幅の和に等しい場合、カメラの撮影条件を満たすと決定する。
【0085】
ここで、第二計算モジュール42は具体的に、センサが前記陰極シートのタブを検出した場合、各前記タブに対応する位置情報を記録すること、前記センサが検出したタブの数が予め設定された閾値より大きい場合、前記記録されたタブの位置情報に基づいて前記予め設定された閾値の枚数の陰極シートの平均幅を計算すること、前記陰極シートの標定幅と前記平均幅との差分値を計算し、前記差分値は前記陰極シートのシート幅偏差値であること、に用いられる。
【0086】
なお、上記電極シート位置ずれ制御装置は本発明の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法を実行することができ、実行方法に対応する機能モジュール及び有益な効果を備える。電極シート位置ずれ制御装置の実施例に詳細に説明されていない技術的詳細は、本発明の実施例が提供する電極シート位置ずれ制御方法を参照することができる。
【0087】
本願の実施例は電極シートを提供し、前記電極シートは陽極シート及び陰極シートを含み、前記陽極シート及び前記陰極シートは上記電極シート位置ずれ制御方法により位置ずれ処理を行うことができ、それにより重ね合わせた後の前記陰極シートと前記陽極シートの縁部が所定の距離に保持する。本願の実施例が提供する電極シートは、陰極シートが陽極シートにおける正確な位置にあることを保証することができ、電極シートの歩留まりを向上させる。
【0088】
本願の実施例はセルを提供し、該セルはセパレータ及び上記実施例における電極シートを含む。前記セルは歩留まりが高く、安定性が高いなどの利点を有する。
【0089】
本願の実施例は電池を提供し、該電池は電解質、外装缶及び上記セルを含む。前記電池は歩留まりが高く、安定性が高いなどの利点を有する。
【0090】
最後に説明すべきことは以下のとおりである。以上の実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではなく、本願の構想で、以上の実施例又は異なる実施例における技術的特徴を組み合わせることができ、ステップは任意の順序で実現することができ、かつ前記のような本発明の異なる態様の多くの他の変化が存在し、簡潔にするために、それらは詳細に提供されず、前述の実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば理解すべきであるのは、それが依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部の技術的特徴を同等置換することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではない。
【国際調査報告】