IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フラバ ベスローテン ヴェンノーツハップの特許一覧

特表2024-530351センサ装置および機械を監視するセンサシステム
<>
  • 特表-センサ装置および機械を監視するセンサシステム 図1
  • 特表-センサ装置および機械を監視するセンサシステム 図2
  • 特表-センサ装置および機械を監視するセンサシステム 図3
  • 特表-センサ装置および機械を監視するセンサシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】センサ装置および機械を監視するセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514494
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2021074456
(87)【国際公開番号】W WO2023030660
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517258925
【氏名又は名称】フラバ ベスローテン ヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】FRABA B.V.
【住所又は居所原語表記】Jan Campertstraat 11,6416 SG Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルパース, アーニャ
(72)【発明者】
【氏名】メンヒ, インゴ
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト, トビアス
(72)【発明者】
【氏名】プリッツカウ, ディミトリ
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA28
2F073AA31
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BB04
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DE02
2F073DE13
2F073EE01
2F073FF01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
(57)【要約】
本発明は、ジャイロスコープセンサユニット(20)および/または加速度センサユニット(22)と、無線信号によるデータ伝送のための無線インタフェース(18)と、を含むセンサ装置(12)、ならびに複数のそのようなセンサ装置(12)を含む、機械(1)を監視するセンサシステム(10)に関する。
本発明によるセンサ装置は、距離決定ユニット(26)を備え、距離決定ユニット(26)は、受信した無線信号(FS)を分析して、受信した無線信号(FS)が送信されたアンテナ装置(7)までのアンテナ距離(AA)を無線信号(FS)に基づいて決定するように構成されている。決定されたアンテナ距離(AA)は、追加のセンサを必要とせずに、センサ装置(12)の空間位置に関する追加の情報を提供する。これにより、機械の動作について、比較的簡単に高い信頼性での監視が可能になる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャイロスコープセンサユニット(20)および/または加速度センサユニット(22)と、
無線信号によるデータ伝送のための無線インタフェース(18)と、を備えるセンサ装置(12)であって、
前記センサ装置(12)には距離決定ユニット(26)が設けられており、前記距離決定ユニット(26)は、受信した無線信号(FS)を分析して、前記無線信号(FS)に基づいて、前記受信した無線信号(FS)が送信されたアンテナ装置(7)までのアンテナ距離(AA)を決定するように構成されている、センサ装置(12)。
【請求項2】
前記無線データインタフェース(18)は、5G移動無線インタフェースである、請求項1に記載のセンサ装置(12)。
【請求項3】
機械(1)を監視するセンサシステム(10)であって、
複数の請求項1または2に記載の前記センサ装置(12)と、
前記ジャイロスコープセンサユニット(20)の測定データおよび/または前記加速度センサユニット(22)の測定データ、ならびに前記センサ装置(12)のうちの少なくとも2つの前記アンテナ距離(AA)が提供される位置決定ユニット(30)と、を備えており、
前記位置決定ユニット(30)は、提供された前記測定データおよび前記アンテナ距離(AA)に基づいて、少なくとも2つのセンサ装置(12)についての位置データであって、前記少なくとも2つのセンサ装置(12)の互いの相対的空間位置を示す位置データを決定するように構成されている、センサシステム(10)。
【請求項4】
センサ装置校正ユニット(32)をさらに備え、前記センサ装置校正ユニット(32)は、前記少なくとも2つのセンサ装置(12)の前記アンテナ距離(AA)に基づいて、少なくとも1つのセンサ装置(12)の前記ジャイロスコープセンサユニット(20)および/または前記加速度センサユニット(22)の校正を実行するように構成される、請求項3に記載のセンサシステム(10)。
【請求項5】
遠心力補償ユニット(34)をさらに備え、前記遠心力補償ユニット(34)は、
少なくとも1つの前記センサ装置(12)の位置データに基づいて、監視しようとする機械(1)の回転軸(D)までの回転軸距離(DA)を決定して、
前記決定された回転軸距離(DA)と、前記複数のセンサ装置(12)のそれぞれの前記ジャイロスコープセンサユニット(20)の前記測定データおよび/または前記加速度センサユニット(22)の前記測定データと、に基づいて、前記複数のセンサ装置(12)のそれぞれに作用している遠心力を推定して、
前記推定した遠心力に基づいて、前記複数のセンサ装置(12)のそれぞれの前記ジャイロスコープセンサユニット(20)の前記測定データおよび/または前記加速度センサユニット(22)の前記測定データの補正を実行するように構成される、請求項3または4に記載のセンサシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロスコープセンサユニットおよび/または加速度センサユニットと、無線信号によるデータ伝送のための無線インタフェースと、を備えるセンサ装置に関する。また、本発明は、機械、特に、掘削機、クレーン、またはブルドーザなどの建設機械を監視するセンサシステムに関し、センサシステムは複数のセンサ装置を備える。
【背景技術】
【0002】
ジャイロスコープセンサユニットおよび/または加速度センサユニットを備えたセンサ装置は、たとえば角速度センサ、ジャイロ装置、加速度計、加速度センサ、加速計、周期振動センサ、震動センサ、Gセンサ、Bメータまたは慣性測定ユニットとも称される。
【0003】
そのようなセンサ装置、およびそのようなセンサ装置を備えたセンサシステムは、機械の動作を監視するために頻繁に使用される。その際、センサシステムの個々のセンサ装置は、通常、その機械の相互に移動可能な異なる部分のそれぞれに配置される。
【0004】
本明細書において、無線インタフェースという用語は、無線データ伝送を可能にするすべてのインタフェースを参照する。典型的な無線インタフェースとして、例えば、RFIDインタフェース、WLANインタフェース、移動無線インタフェース、ブルートゥース(登録商標)インタフェース、またはIrDAインタフェースが挙げられる。
【0005】
掘削機の動きを監視するセンサシステムは、米国特許出願公開第2018/0372498号明細書から既知である。センサシステムは、掘削機の相互に移動可能な部分のそれぞれに配置された複数の慣性測定ユニットを備える。複数のセンサ装置のセンサデータは、複雑な評価アルゴリズムを用いて融合され、掘削機の空間位置および掘削機の個々の部品、特にバケットの空間位置を決定する。センサシステムの精度を向上させるためには、GPS装置、レーダ装置、またはカメラ等の他の形態の複数のセンサ装置を使用することが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景を鑑みて、本発明の課題は、機械の動作について、比較的簡単で信頼性の高い監視することを可能にするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有するセンサ装置によって解決される。
【0008】
本発明では、センサ装置は距離決定ユニットを備える。その距離決定ユニットは、受信した無線信号を分析して、その無線信号に基づいて、受信した無線信号が送信されたアンテナ装置までのアンテナ距離を決定するように構成されている。例えば、無線信号の伝搬遅延および/または無線信号の振幅を分析して、距離が決定され得る。決定されたアンテナ距離は、追加センサを必要とすることなく、センサ装置の空間位置についての追加の情報を提供する。
【0009】
追加の位置情報は、特に、本発明による複数のセンサ装置をセンサシステムにおいて使用する際に、個々の機械部品の互いの相対的空間位置を、比較的簡単に高い信頼性で決定することを可能にする。それにより、機械の比較的簡単で信頼性の高い監視が可能になる。追加の位置情報は、ジャイロスコープセンサユニットの測定データおよび/または加速度センサユニットの測定データの補正も可能にする。それにより、個々のセンサ装置、したがって、それぞれの機械部品の空間的方向が特に正確に決定され得る。
【0010】
無線データインタフェースは、5G移動無線インタフェースであることが好ましい。このことは、5G無線信号の特性によりアンテナ距離の比較的正確な決定が可能になる一方で、センサ装置の近隣に追加の無線基地局を設置することなく、センサ装置の比較的高帯域幅のインターネットへの直接接続が可能になる。
【0011】
上述の技術的課題は、さらに、機械を監視するセンサシステムにより解決され、そのセンサシステムは、上述した本発明による複数のセンサ装置を備える。
【0012】
本発明では、センサシステムは、ジャイロスコープセンサユニットの測定データおよび/または加速度センサユニットの測定データと、少なくとも2つのセンサ装置のアンテナ距離と、が提供される位置決定ユニットを備える。位置決定ユニットは、提供されたジャイロスコープセンサユニット測定データおよび/または加速度センサユニット測定データと、提供されたアンテナ距離と、に基づいて、少なくとも2つのセンサ装置の位置データを決定するように構成されている。決定された位置データは、少なくとも2つのセンサ装置の互いの相対的空間位置を示す。ジャイロスコープセンサユニットの測定データおよび/または加速度センサユニットの測定データは、通常、それぞれのセンサ装置の空間的方向を示す。センサ装置のそれぞれの空間的方向およびセンサ装置のそれぞれのアンテナ距離に基づいて、位置データは、主に幾何学的関係により決定可能である。位置データは、少なくともそれぞれのセンサ装置間の距離を示す。位置データは、それぞれのセンサ装置の機械参照系座標における3D座標である相対3D座標を示すことが好ましい。地球参照系座標における3D座標である絶対3D座標がセンサ装置の1つについて既知であるとき、相対3D座標は、位置決定ユニットまたは後続のデータ処理装置により、絶対3D座標に容易に変換可能である。位置データを決定するために追加のセンサ装置は不要であることから、本発明によるセンサシステムでは、機械の動作について、比較的簡単で信頼性の高い監視が可能になる。
【0013】
センサシステムは、少なくとも1つのセンサ装置校正ユニットを備えることが好ましい。その少なくとも1つのセンサ装置校正ユニットは、少なくとも2つのセンサ装置のアンテナ距離に基づいて、少なくとも1つのセンサ装置のジャイロスコープセンサユニットおよび/または加速度センサユニットの校正を実行するように構成されている。2つのセンサ装置間の距離と2つのセンサ装置のアンテナ距離とが既知であるとき、幾何学関係を用いて2つのセンサ装置の空間的方向を決定可能である。そして、それぞれのセンサ装置のジャイロスコープセンサユニットおよび/または加速度センサユニットは、ジャイロスコープセンサユニットの測定データおよび/または加速度センサユニットの測定データにより示される空間位置が、距離から決定された空間位置と一致するように校正され得る。2つのセンサ装置間の距離が既知であることを保証するために、例えば、あらかじめ決定された機械状態を設定可能である。代替として、2つのセンサ装置間の距離は、1つ以上の追加のセンサ装置により検出可能である。センサシステムは、1つの中央センサ装置校正ユニットを備えることが可能である。その校正ユニットは、例えば、中央データ処理装置に配置可能であり、いくつかの、好ましくは全てのセンサ装置の校正を実行するように構成される。代替として、各センサ装置に、少なくとも1つの他のセンサ装置のアンテナ距離が提供されて、少なくとも1つの他のセンサ装置までの距離が既知であるとともに、それぞれのセンサ装置自体の校正だけを実行するように構成された別個のセンサ装置校正ユニットを設けることも考えられる。センサ装置校正ユニットは、特に正確で信頼性の高い測定データを提供することを可能にする。これにより、本発明によるセンサ装置により特に信頼性の高い機械の監視を可能にする。
【0014】
センサシステムは、少なくとも1つの遠心力補償ユニットを備えることが有益である。その遠心力補償ユニットは、少なくとも1つのセンサ装置の位置データに基づいて、監視される機械の回転軸までの回転軸距離を決定する。そして、回転軸距離と、それぞれのセンサ装置のジャイロスコープセンサユニットの測定データおよび/または加速度センサユニットの測定データに基づいて、それぞれのセンサ装置に作用している遠心力を推定する。さらに、その推定された力に基づいて、それぞれのセンサ装置のジャイロスコープセンサユニットの測定データおよび/または加速度センサユニットの測定データの補正を実行するように構成されている。特に、遠心力補償ユニットは、遠心力の作用によってジャイロスコープセンサユニットおよび/または加速度センサユニットに生じる測定誤差を補償するように、ジャイロスコープセンサユニットの測定データおよび/または加速度センサユニットの測定データを補正するように構成されている。回転軸距離の簡単で信頼性の高い決定を可能にするために、1つのセンサ装置は、機械回転軸に対して固定距離で取り付けるように設計することが好ましい。その結果、回転軸までの距離は、このセンサ装置までの距離から直接導出され得る。1つのセンサ装置は、このセンサ装置までの距離が機械回転軸までの距離と実質的に同一となるように、機械回転軸に直接取り付けるように設計することがより好ましい。センサシステムは、1つの中央遠心力補償ユニットを備えることが可能である。この中央遠心力補償ユニットは、例えば、中央データ処理デバイス内に配置可能であり、いくつかの、好ましくはすべてのセンサ装置の測定データの補正を実行するように構成される。代替として、各センサ装置に、それぞれのセンサ装置自体の校正だけを実行するように構成された別個の遠心力補償ユニットを設けることも考えられる。遠心力補償ユニットは、特に正確で信頼性の高い測定データを提供することを可能にする。それにより、本発明によるセンサ装置により、機械の特に信頼性の高い監視を可能にする。
【0015】
本発明による複数のセンサ装置を有する本発明によるセンサシステムの実施形態について、図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、掘削機に配置された本発明による複数のセンサ装置と、移動無線アンテナ装置とを有する本発明によるセンサシステムを概略図である。
図2図2は、図1のセンサシステムおよび移動無線アンテナ装置における、センサシステムの個々のセンサ装置と移動無線アンテナ装置との間のアンテナ距離、センサシステムの個々のセンサ装置間のセンサ装置距離、およびセンサ装置と機械回転軸との間の回転軸距離を示す概略上面図である。
図3図3は、図1のセンサ装置の構成を示す概略図である。
図4図4は、図1のセンサシステムの中央データ処理装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、下部走行体2と、下部走行体上で回転軸Dを中心として回動可能に支持された上部旋回体3と、上部旋回体3に枢動可能に取り付けられたブーム4と、ブーム4に枢動可能に取り付けられたアーム5と、アーム5に枢動可能に取り付けられたバケット6とを有する掘削機1を示している。
【0018】
図1にはまた、本実施形態では5G移動無線アンテナ装置であるアンテナ装置7を示す。これは、5G規格に準拠して移動無線信号FSを送受信するように構成されることを意味する。
【0019】
本発明によるセンサシステム10は、掘削機1に配置されて、掘削機1の空間位置および空間的方向、並びに掘削機1の個々の部品である下部走行体2、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、およびバケット6の空間位置および空間的方向を検出する。
【0020】
本実施形態では、センサシステム10は、データ伝送ネットワーク14を介して相互接続された4つのセンサ装置12_1~12_4を備える。第1センサ装置12_1は上部旋回体3に配置され、第2センサ装置12_2はブーム4に配置され、第3センサ装置12_3はアーム5に配置され、第4センサ装置12_4はバケット6に配置されている。本実施形態では、第1センサ装置12_1は、回転軸Dに直接配置されている。
【0021】
図2は、ブーム4が完全に伸長され、アーム5が完全に伸長された状態の掘削機1の概略上面図を示している。図2はまた、個々のセンサ装置12_1~12_4とアンテナ装置7との間のアンテナ距離AA_1~AA_4、隣接するセンサ装置12_1~12_4間のセンサ装置距離SA_12、SA_23、SA_34、ならびに例示的に第4センサ装置12_4と回転軸Dとの間の回転軸距離DA_4を概略的に示す。
【0022】
図3に、センサ装置12_1~12_4の構成を概略的に示す。本実施形態におけるセンサ装置12_1~12_4は本質的に同一の構造を有するので、図3および以下の説明において、それがセンサ装置12_1~12_4のすべて、またはセンサ装置12_1~12_4のうちの任意の1つに関する場合に限り、インデックス1~4を伴わない参照番号である汎用的な参照番号が簡略化のために使用される。
【0023】
各センサ装置12は、データ伝送ネットワーク14に接続する有線インタフェース16と、無線信号FSをよるデータ伝送のため無線インタフェース18と、を備える。本実施形態では、無線インタフェース18は5G移動無線インタフェースであり、これは、5G規格に準拠して移動無線信号を送受信するように構成されることを意味する。
【0024】
本実施形態では、各センサ装置12は、3つの空間軸に沿った回転速度を検出して、対応するジャイロスコープセンサユニット測定データを提供するように構成された3軸のジャイロスコープセンサユニット20と、3つの空間軸に沿った加速度を検出して、対応する加速度センサユニット測定データを提供するように構成された3軸の加速度センサユニット22と、をさらに備える。
【0025】
各センサ装置12は、計算ユニット24をさらに備える。計算ユニット24は、ジャイロスコープセンサユニット20および加速度センサユニット22に接続され、ジャイロスコープセンサユニット測定データおよび加速度センサユニット測定データを処理するように構成される。計算ユニット24は、アンテナ装置7から受信した無線信号FSを分析して、各センサ装置12からアンテナ装置7までのアンテナ距離AAを、無線信号FSに基づいて決定するように構成された距離決定ユニット26を備える。
【0026】
本実施形態では、センサシステム10は、上部旋回体3上に配置された中央データ処理装置28をさらに備える。中央データ処理装置28は、データ伝送ネットワーク14を経由して全てのセンサ装置12に接続され、ジャイロスコープセンサユニット20のジャイロスコープセンサユニット測定データ、加速度センサユニット22の加速度センサユニット測定データ、および距離決定ユニット26により決定された個々のセンサ装置12のアンテナ距離AAにアクセスできる。
【0027】
中央データ処理装置28は、位置決定ユニット30を備える。位置決定ユニット30は、センサ装置12から提供される測定データおよびアンテナ距離AAに基づいて、個々のセンサ装置12についての個々の位置データを決定するように構成されている。それぞれの位置データは、センサ装置の互いの相対的空間位置を示す。位置決定ユニット30はさらに、位置データを個々のセンサ装置12に提供するように構成される。
【0028】
本実施形態では、個々の位置データは、それぞれのセンサ装置12からそれぞれの他のセンサ装置12までのセンサ装置距離SAを含む。任意の2つのセンサ装置12間のセンサ装置距離SAは、2つのセンサ装置12のアンテナ距離AAおよび2つのセンサ装置の測定データから、幾何学的関係を用いて簡単に決定可能である。例えば、図2に示されるセンサ装置距離SA_12は、次式で決定され得る。
【0029】
【数1】
【0030】
ここで、角度α_12および角度β_12は、第1センサ装置12_1の測定データおよび第2センサ装置12_2の測定データから導出可能である。同様に、2つのセンサ装置12間の他の全てのセンサ装置距離SAは、それぞれのセンサ装置12のアンテナ距離AAと、それぞれのセンサ装置12の測定データから導出され得る角度αおよび角度βとに基づいて決定され得る。
【0031】
位置データは、それぞれのセンサ装置12について、機械参照系に対する座標を意味する相対3D座標、および/または地球参照系に対する座標を意味する絶対3D座標も含むことが好ましい。
【0032】
中央データ処理装置28は、センサ装置校正ユニット32をさらに備える。そのセンサ装置校正ユニット32は、センサ装置12のアンテナ距離AAに基づいて、センサ装置12のうちの1つ以上のジャイロスコープセンサユニットの校正20および/または加速度センサユニット22の校正を実行するように構成されている。2つのセンサ装置12間のセンサ装置距離SAが既知であって、例えば、定義された掘削機状態が設定されたとき、図2に示される角度α_12および角度β_12は、例えば、アンテナ距離AA_1、アンテナ距離AA_2およびセンサ装置距離SA_12から次式で決定可能である。
【0033】
【数2】
【0034】
【数3】
【0035】
決定された角度α_12および角度β_12に基づいて、第1センサ装置12_1および第2センサ装置12_2のジャイロスコープセンサユニット20および/または加速度センサユニット22は、2つのセンサ装置12の測定データから導出され得る角度α_12および角度β_12が、アンテナ距離AAおよびセンサ装置距離SAに基づいて決定される角度α_12および角度β_12に一致するように、それぞれ校正され得る。同様に、他の全てのセンサ装置12のジャイロスコープセンサユニット20および/または加速度センサユニット22も、それぞれのアンテナ距離AAおよびそれぞれのセンサ装置距離SAに基づいて校正可能である。
【0036】
中央データ処理装置28は、遠心力補償ユニット34をさらに備える。遠心力補償ユニット34は、位置決定ユニット30により決定された位置データに基づいて、個々のセンサ装置12について回転軸Dからの回転軸距離DAを決定するように構成されている。本実施形態では、第1センサ装置12_1は回転軸Dに直接配置されるので、第1センサ装置12_1の回転軸距離DA_1はゼロであり、残りのセンサ装置12_2~12_4の回転軸距離DA_2~DA_4はそれぞれ、それぞれのセンサ装置12と第1センサ装置12_1との間のセンサ装置距離SAに実質的に等しい。遠心力補償ユニット34は、さらに、決定された回転軸距離DAと個々のセンサ装置12の測定データとに基づいて、回転軸Dを中心として回転しているときに個々のセンサ装置12に作用する遠心力を決定する。そして、決定された遠心力に基づいて、個々のセンサ装置12のジャイロスコープセンサユニット測定データおよび/または加速度センサユニット測定データの補正を実行するように構成される。
【0037】
本実施形態において提供される中央データ処理装置28の機能は、1つ以上のセンサ装置12の計算ユニット24により、全体的にまたは部分的に実行可能であることに明示的に留意されたい。特に、位置決定ユニット30、センサ装置校正ユニット32、および/または遠心力補償ユニット34は、センサ装置12のうちの1つの計算ユニット24に含まれ得る。さらに、いくつかの分散した位置決定ユニット、センサ装置校正ユニット、および/または遠心力補償ユニットが存在して、センサ装置12のうちのいくつかについてのみ対応する機能を実行することも考えられる。例えば、各センサ装置12は、別個の位置決定ユニット、センサ装置校正ユニット、および/または遠心力補償ユニットを有し得、それらは、それぞれのセンサ装置12自体だけについて対応する機能を実行する。
【0038】
さらに、本発明によるセンサシステムは、任意の種類の機械の監視に汎用的に使用され得ることが明示的に指摘される。特に、本発明によるセンサシステムは、他の建設機械を監視するために、例えば、クレーンまたはブルドーザを監視する用途も可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 掘削機
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 アンテナ装置
10 センサシステム
12 センサ装置
14 データ伝送ネットワーク
16 有線インタフェース
18 無線インタフェース
20 ジャイロスコープセンサユニット
22 加速度センサユニット
24 計算ユニット
26 距離決定ユニット
28 中央データ処理装置
30 位置決定ユニット
32 センサ装置校正ユニット
34 遠心力補償ユニット
AA アンテナ距離
D 回転軸
DA 回転軸距離
FS 無線信号
SA センサ装置距離
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】