(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法及び機器
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240808BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240808BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20240808BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20240808BHJP
【FI】
B61L25/02 G
G06T7/00 350C
G06T7/20
G06T7/70 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531737
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 ES2022070236
(87)【国際公開番号】W WO2022254057
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524050497
【氏名又は名称】オスティリオン,エス.エル.ユー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】バリオ クレスポ,ヘクトル
【テーマコード(参考)】
5H161
5L096
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB02
5H161BB06
5H161DD20
5H161GG02
5H161GG22
5L096CA04
5L096CA05
5L096FA69
5L096HA04
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
本発明は、鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法及び機器に関し、本機器は、線路(6)及び線路の受動要素(5)の画像をキャプチャするために、列車(2)に組み込まれた、高キャプチャ率を伴う高解像度ビデオカメラ(1)と、列車(2)の速度及び位置を判定するために、人工知能技術及びディープニューラルネットワークに基づき、単一のカメラまたは複数のカメラ(1)に接続された光プロセッサ(3a,3b,3c)、好ましくは、信号検出器(3a)、文字リーダー(3b)、及びオプティカルフローメーター(3c)と、処理情報の説明を表示するスクリーン(4)と、鉄道交通制御センターのスクリーン(4)及び/または他のリモートデバイスにデータを送信するための通信モジュールと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両で現存するシステムの追加システムとして適用可能な鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法であって、少なくとも、以下のステップ、すなわち、
-列車(2)の前方に設置された1つ以上のビデオカメラ(1)を用いて、線路(6)、及び前記線路(6)に存在する受動要素(5)の1つの画像をキャプチャするステップと、
-前記列車(2)の速度及び位置を判定することが可能である人工知能技術及びディープニューラルネットワークに基づいて、光プロセッサ(3a,3b,3c)を用いて、前記単数のカメラまたは複数のカメラ(1)によってキャプチャされた光信号(1a)の情報を処理するステップと、
-前記処理された位置及び速度の情報(i)を少なくとも1つの制御センター(7)に送信するステップと、
-前記列車(2)の前記処理された位置及び速度の情報(i)のスクリーン(4)を表すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記単数のカメラまたは複数のカメラ(1)からの前記光信号(1a)は、前記線路(6)のパッシブ信号または物体(5)を検出する信号検出器(3a)と、前記線路(6)の前記信号(5)の文字及び標識を解読する文字リーダー(3b)と、オプティカルフローメーター(3c)と、によって処理されることを特徴とする、請求項1に記載の鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法。
【請求項3】
前記光プロセッサ(3a,3b,3c)によって処理された前記位置及び速度の情報(i)を、他の交通制御センターに伝送するために、前記列車(2)の通信システムに送信するステップを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法。
【請求項4】
鉄道車両で現存するシステムの追加システムとして適用可能な鉄道車両の位置及び速度を検出するための機器であって、
-列車(2)に組み込まれた、高解像度かつ高キャプチャ率の1つ以上のビデオカメラ(1)と、
-前記列車(2)の速度及び位置を判定することが可能である人工知能技術及びディープニューラルネットワークに基づいて、前記列車(2)の前記単数のカメラまたは複数のカメラ(1)に接続された光プロセッサチップ(3a,3b,3c)が設けられたハードウェアと、
-前記処理された位置及び速度の情報(i)の説明を表示する少なくとも1つのスクリーン(4)と、
-前記光プロセッサ(3a,3b,3c)を伴う前記ハードウェアからのデータ及び情報(i)を、前記スクリーン(4)に及び/または他のリモートデバイスに送信するための通信モジュールと、
を備えることを特徴とする機器。
【請求項5】
前記機器は、光プロセッサとして、少なくとも、
-信号検出器(3a)と、
-文字リーダー(3b)と、
-オプティカルフローメーター(3c)と、
を備えることを特徴とする、請求項4に記載の鉄道車両の場所及び速度を検出するための機器。
【請求項6】
前記光プロセッサ(3a,3b,3c)を伴う前記ハードウェアからのデータ及び情報(i)を、前記スクリーン(4)に及び/または他のリモートデバイスに送信するための通信モジュールは、前記列車(2)の通信システム自体に属する、請求項4または5に記載の鉄道車両の位置及び速度を検出するための機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の目的
本発明は、本明細書の表現に現れるように、鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法及び機器に言及し、これは、意図される機能に、下記に詳細に説明される利点及び特徴を与え、そして、現在の最先端の技術を改善するものである。
【0002】
より具体的には、本発明の目的は、鉄道車両で現在するシステムへの追加システムとして設計された方法と、該方法を実行する機器とに注目し、本発明の目的は、必要なときいつでも、また安価な方法で、列車の位置を知らせることを可能にすることであり、本発明に関して、人工知能技術を使用することによって光学認識に基づいており、本発明は、いくつかの利点の中でも、その動作のための列車の機器から全体的に独立しているシステムを構成し、本発明は、キロメートルマーカーまたは駅の標識等のパッシブな線路信号の一部だけに部分的に依存する。
【0003】
本発明の応用分野は、鉄道工業の分野の範囲内で発意され、特に、位置及び速度の制御システムの分野に注目する。
【背景技術】
【0004】
現代の鉄道交通制御システム(例えば、ERTMSレベル3、欧州鉄道輸送管理システム-ERTMS)は、線路上の各列車の位置に関する正確かつ定期的な情報が必要である。この位置は、線路上の運行能力を改善する移動ブロックのシステムを維持する必要がある。
【0005】
現在、列車のこの位置特定は、線路上に設置された電子ビーコンによって実現される。しかしながら、これらのビーコンは比較的高価な設備であり、その機能を実現するのに高い信頼性が必要になる。
【0006】
加えて、列車は、衛星測位システムまたはオドメトリー測位システムが装備され得、これは、さらに、それ自体のエラー及び故障モードに影響する。
【0007】
したがって、鉄道交通は、線路上の列車の位置特定の信頼性を改善する追加かつ独立したシステムを有することが可能であることから著しく利点を得るだろう。そして、本発明の目的は、人工知能モデルの使用に基づいて、この目的のために、現在、他の分野のために開発されている製品だけに利用されているシステムを開発することである。
【0008】
他方では、また最新の最先端技術に関して、少なくとも出願者の一部には、本明細書で特許請求されるものによって提示されるものに等しいまたはそれと同様である技術的な及び構成的な特徴を提示する鉄道車両の位置及び速度を検出するための任意の方法及び/または機器の存在が確認されていないことに留意されたい。
【0009】
こうしたことから、鉄道分野で適用可能な本発明の目的に近い方法及びシステムを説明するいくつかの文献が知られていることに留意されたい。そして、それらの文献は、以下に最も近い例として言及できる。
【0010】
欧州特許出願公開第16713405号明細書では、列車制御及び列車保護システムCBTC(通信ベース列車制御)で運行する鉄道車両の位置を特定するための方法及び装置が言及されている。
【0011】
欧州特許出願公開第17728152号明細書では、位置特定デバイスを動作させるための方法、及び位置特定デバイス自体が言及されている。
【0012】
欧州特許出願公開第14380039号明細書では、誘導車両間の情報を交換するための通信方法及び通信システムが言及されている。
【0013】
欧州特許出願公開第17702842号明細書では、鉄道の分岐器または線路エリアの占有状態を監視するための装置が言及されている。
【0014】
欧州特許出願公開第16756823号明細書では、停止点に対する車両の位置を判定するためのシステム、コンピュータープログラム製品、及び方法が言及されている。
【0015】
欧州特許出願公開第16187965号明細書では、鉄道網の線路に沿って列車位置特定システムが言及されている。
【0016】
欧州特許出願公開第16704000号明細書では、鉄道車両の冷却運動を検出するためのデバイス及び方法と、該デバイスを伴う鉄道車両と、が言及されている。
【0017】
欧州特許出願公開第16703946号明細書では、誘導車両、具体的には鉄道車両の位置を判定するための位置特定方法及びデバイスが言及されている。
【0018】
または、欧州特許出願公開第13762778号明細書では、鉄道車両の位置を特定するための方法が言及されている。
【0019】
しかしながら、前述の発明のいずれかが、個別に、または組み合わせて理解され、本発明の方法及び/または機器の対象を説明するとは思われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】欧州特許出願公開第16713405号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第17728152号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第14380039号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第17702842号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第16756823号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第16187965号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第16704000号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第16703946号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第13762778号明細書
【発明の概要】
【0021】
本発明によって提案された鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法及び機器は、上記に説明した目的に対する最適な解決策を表し、それを可能にし、便利に区別する特徴的な詳細は、本発明の説明に付随する最後にある請求項に含まれる。
【0022】
本発明によって提案されるものは、上記に指摘したように、該方法を実行する方法及び機器であり、それらの方法及び機器は、鉄道車両で現存するシステムへの追加システムとして設計され、必要なときいつでも、列車の位置を知ることを可能にする目的があり、これは、人工知能技術を使用することによって光学認識に基づいており、いくつかの利点の中でも、列車機器から完全に独立して、またキロメートルマーカーまたは駅の標識等、線路上に存在するパッシブ信号の一部だけに部分的に依存して動作するシステムであることを意味する。
【0023】
したがって、本発明の方法及び機器の対象では、光学認識手段を使用して、電磁サポートで事前に使用した他の形態の情報を交換し、光学認識手段が既存のカメラシステムに適応することを可能にし、これらの鉄道車両が既に有している従来のシステムに冗長性を提供する追加かつ独立したシステムを作成することが可能になり、より信頼性が高く頑強になる。
【0024】
これに関して、かつ、より具体的には、本発明の方法の目的を実行する機器は、列車に設置され、いくつかの光プロセッサに接続される、高解像度かつ高キャプチャ率の1つ以上のビデオカメラを備えるシステムから成る。いくつかの光プロセッサは、具体的には、少なくとも3つのもの、すなわち、信号に加えて、また、線路上にパッシブに存在する他の物体も検出して、それが信号であるかどうかを区別する信号検出器と、信号の文字を検出するとき文字を解読して、列車の位置を判定する文字リーダーと、列車に対して相対的な線路上の物体の運動パターンを検出及び解読して、列車の速度を判定するオプティカルフローメーターと、が挙げられる。
【0025】
これらの3つのプロセッサは、該検出を実行するために、人工知能技術及びディープニューラルネットワークに基づいている。
【0026】
3つのプロセッサの間の編成により、列車システム及び線路のインフラストラクチャの状態に関係なく、列車の速度及び位置を提供することが可能になる。
【0027】
さらに、位置情報はスクリーン上に送信され及び表され、位置情報は、好ましくは、少なくとも1つの交通制御センターにおいて線路マップ上で重なって配置され、また、必要である場合、他の交通制御センターにも伝送するために、列車通信システムに送信される。
【0028】
列車の位置及び速度を検出するための機器は、さらに、有利に、安価で、かつ容易に既存システムに統合され、これは、両方とも、完全な解決策として、すなわち、カメラ、コンピューター、及びソフトウェアを含む、または、列車が既に機器に適切な単一のカメラもしくは複数のカメラを有する場合、部分的な解決策として、コンピューター及びソフトウェアだけを含む。
【0029】
他方では、既存の位置特定システムと比較して、本発明の機器は以下の利点をもたらす。
-システムの独立性:光学システムは、衛星測位システム、ホイールオドメトリー、またはオントラックラジオビーコンに頼ることなく、列車の位置及び速度を判定できる。
-コスト効率の高さ:本システムは、コンピューターを利用し、手頃な価格なサブシステムに依存する。それは線路上の各区間に複数の機器が必要ではない。
-統合の容易さ:本システムは、列車及び線路の両方が評価されるERTMSレベルに関係なく、任意のタイプの線路上で走行する全てのタイプの列車に容易に統合される。
【0030】
なされている説明を補完するために、また、本発明の特徴のさらに深い理解を容易にするために、図面は、本明細書に付随し、本発明の一部を構成し、そして、例示的な非制限の文字を用いて、以下に表されているレイアウトのセットを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による、鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法を実行するための機器を備える要素のセットの表現をブロック図で示す。
【
図2】鉄道車両の先頭に、機器に含まれるカメラが設置されている鉄道車両の概略図を示し、破線によって、それらが線路のいくつかの受動要素と判断しているキャプチャの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
前述の図を考慮して、また採用された番号付けに従って、図では、下記に詳細に示され及び説明される内容を含む、本発明による鉄道車両の位置及び速度を検出するための方法を実行するための機器の非限定的な実施形態の例を見ることができる。
【0033】
したがって、他方では、本発明の対象である鉄道車両または列車(2)の位置及び速度を検出するための方法であって、少なくとも、以下のステップ、すなわち、
-列車(2)の前方に設置された1つ以上のビデオカメラ(1)を用いて、線路(6)、及び線路(6)に存在する受動要素(5)の1つの画像をキャプチャするステップと、
-列車システム及び線路のインフラストラクチャの状態に関係なく、列車(2)の速度及び位置を判定することが可能である人工知能技術及びディープニューラルネットワークに基づいて、光プロセッサ(3a,3b,3c)を使用して、単数のカメラまたは複数のカメラ(1)によってキャプチャされた光信号(1a)の情報を処理するステップと、を含む。好ましくは、光信号は、線路(6)の信号または物体または受動要素(5)を検出する信号検出器(3a)と、線路(6)の信号(5)の文字及び標識を解読する文字リーダー(3b)と、オプティカルフローメーター(3c)と、によって処理される。
【0034】
また、本方法は、
-処理された位置及び速度の情報(i)を少なくとも1つの制御センター(7)に送信するステップと、
-列車(2)の処理された位置及び速度の情報(i)のスクリーン(4)を表すステップと、
を含む。
【0035】
好ましくは、本方法は、また、光プロセッサ(3a,3b,3c)によって処理された位置及び速度の情報(i)を、必要である場合、他の交通制御センターに伝送するために、列車(2)の通信システムに送信する別のステップを含む。
【0036】
そして、一方、図に見られるように、前述の方法を実行する機器は、本質的に、
-列車(2)に組み込まれた、好ましくは列車(2)の先頭の前部に組み込まれた、高解像度で高キャプチャ率の1つ以上のビデオカメラ(1)であって、線路(6)及び受動要素(5)の画像をキャプチャする、ビデオカメラ(1)と、
-列車(2)の速度及び位置を判定することが可能である人工知能技術及びディープニューラルネットワークに基づいて、列車(2)に設置され、列車(2)の単数のカメラまたは複数のカメラ(1)に接続された光プロセッサチップ(3a,3b,3c)が設けられたハードウェアであって、光プロセッサチップ(3a,3b,3c)は、カメラ(1)によってキャプチャされた光信号(1a)を収集し、好ましくは、少なくとも、
-信号検出器(3a)と、
-文字リーダー(3b)と、
-オプティカルフローメーター(3c)と、を備える、ハードウェアと、
-処理された位置及び速度の情報(i)の説明を表示する少なくとも1つのスクリーン(4)と、
-光プロセッサ(3a,3b,3c)を伴うハードウェアからのデータ及び情報(i)を、スクリーン(4)に及び/または他のリモートデバイスに送信するための少なくとも1つの通信モジュールであって、該モジュールは、列車(2)の通信システム自体に属し得る、または属しない場合がある、通信モジュールと、
を備える。
【0037】
本発明の性質及び本発明を実現する方法が十分に説明されているが、当業者が本発明の範囲及び本発明から生じる利点を理解するために、さらに広範囲の説明をする必要があると考えられていなく、根拠のある範囲内で、例として示されるものと細部にわたって異なる他の実施形態で実現され得、そして、その実施形態は、本発明の基本原理が改正、変化、または修正されないという条件で、求められるある程度の保護を得ることを知らせたい。
【国際調査報告】