(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】遠心分離用ピストン及びそれを含む遠心分離装置
(51)【国際特許分類】
B04B 11/05 20060101AFI20240808BHJP
B04B 5/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B04B11/05
B04B5/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535171
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 KR2022012343
(87)【国際公開番号】W WO2023027423
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0112893
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524067288
【氏名又は名称】ビーエスエルレスト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジュン ソク
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AA03
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE13
4D057BA22
4D057BC11
(57)【要約】
本開示は、遠心分離用ピストン及びそれを含む遠心分離装置に関する。一実施形態に係る遠心分離用ピストンは、内部本体面を含むピストン本体、外部バルブ面及びリセス部分を含むバルブ、及び前記リセス部分に位置して前記内部本体面に接触し、前記外部バルブ面を前記内部本体面から離隔させるように構成して遠心分離時に前記内部本体面と前記外部バルブ面との間を密封するように構成される内部密封部を含む。一実施形態では、遠心分離用ピストンは、内部本体面上に位置し、第2開口に向かう前記バルブの移動を制限するように構成された第1固定部をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離用ピストンであって、
外部本体面及び内部本体面を有するピストン本体であって、前記ピストン本体は、前記内部本体面により規定された中空部分を含み、前記ピストン本体は、前記外部本体面に位置する第1開口、前記外部本体面の少なくとも一部により規定されて前記内部本体面及び前記中空部分に連結された第2開口、及び前記第1開口及び前記中空部分を連結する第1通路を含む、前記ピストン本体と、
前記第1通路を開放又は遮断するように構成され、前記内部本体面から離隔するように前記中空部分に位置するバルブとして、前記バルブは、前記内部本体面と外部バルブ面との間に前記第1通路及び前記第2開口に流体連結された第2通路を規定する前記外部バルブ面を有し、前記バルブは、前記外部バルブ面に形成されたリセス部分を含む前記バルブと、
前記リセス部分に位置し、前記内部本体面に接触して前記外部バルブ面を前記内部本体面から離隔させるように構成され、遠心分離時に前記内部本体面と前記外部バルブ面との間を密封するように構成された第1内部密封部と、
を含む、ピストン。
【請求項2】
前記内部本体面上に位置し、前記第2開口に向かう前記バルブの移動を制限するように構成された第1固定部をさらに含む、請求項1に記載のピストン。
【請求項3】
前記バルブは、
前記リセス部分を含む第1バルブ本体部分と、
前記第1バルブ本体部分に連結された第2バルブ本体部分と、
を含み、
前記第1固定部は、
前記内部本体面上に位置するベース部と、
前記ベース部から突出して前記第1バルブ本体部分と接触するように構成された突出部分と、
を含む、請求項2に記載のピストン。
【請求項4】
前記内部本体面と前記外部バルブ面との間の間隔の大きさが5μm~150μmにあるように前記第1バルブ本体部分及び前記突出部分が接触する、請求項3に記載のピストン。
【請求項5】
前記第2通路は、
前記内部本体面と前記第1バルブ本体部分との間に規定された第1サブ通路と、
前記内部本体面と前記第2バルブ本体部分との間に規定された第2サブ通路と、
を含み、
前記バルブは、前記第1固定部と接触し、前記第1サブ通路から前記第2サブ通路に少なくとも1つの物質の移動を抑制又は遅延するように構成される、請求項3に記載のピストン。
【請求項6】
前記内部本体面は、第1内部本体面及び前記第1内部本体面からリセスされ、前記第1内部本体面と第1段差を形成する第2内部本体面を含み、前記第1固定部は前記第2内部本体面上に位置する、請求項2に記載のピストン。
【請求項7】
前記内部本体面上に位置し、第1部分及び前記第1部分に反対となる第2部分を含む第2内部密封部と、
前記内部本体面上に位置し、前記第2内部密封部の第1部分を支持して前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成される第1固定部と、
をさらに含む、請求項1に記載のピストン。
【請求項8】
前記内部本体面上に位置し、前記第2内部密封部の第2部分を支持し、前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成された第2固定部をさらに含む、請求項7に記載のピストン。
【請求項9】
前記ピストン本体は第1係合部を含み、
前記第2固定部は、前記第1係合部と係合するように構成された第2係合部を含む、請求項8に記載のピストン。
【請求項10】
前記第2固定部は締結部を含む、請求項8に記載のピストン。
【請求項11】
回転軸を有する遠心分離装置であって、
前記回転軸に対して回転するように構成されたシリンジであって、前記シリンジは、生体組織を保持できる容器を含むシリンジと、
前記容器の内部に移動可能に位置する遠心分離用ピストンと、
を含み、
前記ピストンは、
外部本体面及び内部本体面を有するピストン本体であって、前記ピストン本体は、前記内部本体面により規定された中空部分を含み、前記ピストン本体は、前記外部本体面に位置する第1開口、前記外部本体面の少なくとも一部により規定されて前記内部本体面及び前記中空部分に連結された第2開口、及び前記第1開口及び前記中空部分を連結する第1通路を含む、前記ピストン本体と、
前記第1通路を開放又は遮断するように構成され、前記内部本体面から離隔するように前記中空部分に位置するバルブとして、前記バルブは、前記内部本体面と外部バルブ面との間に前記第1通路及び前記第2開口に流体連結された第2通路を規定する前記外部バルブ面を有し、前記バルブは、前記外部バルブ面に形成されたリセス部分を含む前記バルブと、
前記リセス部分に位置し、前記内部本体面に接触し、前記外部バルブ面を前記内部本体面から離隔させるように構成され、遠心分離時に前記内部本体面と前記外部バルブ面との間を密封するように構成された第1内部密封部と、
を含む、遠心分離装置。
【請求項12】
前記ピストンは、
前記内部本体面上に位置し、第1部分及び前記第1部分に反対となる第2部分を含む第2内部密封部と、
前記内部本体面上に位置して前記第2内部密封部の第1部分を支持し、前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成された第1固定部と、
前記内部本体面上に位置し、前記第2内部密封部の第2部分を支持し、前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成された第2固定部と、
前記第2固定部と締結されるように構成されるプランジャと、
をさらに含み、
前記第2内部密封部は、前記プランジャと接触して前記内部本体面と前記プランジャとの間を密封するように構成された、請求項11に記載の遠心分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠心分離用ピストン及びそれを含む遠心分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸引及び切開によって生体から取得した脂肪組織は、不純物(例えば、オイル)の混合物を含んでいるため、純粋な脂肪の塊りを取得するために生体から取得した脂肪組織から不純物を除去する技術が開発されている。例えば、公開特許公報第10-2015-0122102号は、脂肪吸入移植用注射器のピストンを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の一様態は、生体から取得した脂肪組織から不純物を除去して純粋な脂肪の塊りを取得する遠心分離用ピストン及びそれを含む遠心分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態に係る遠心分離用ピストンは、外部本体面及び内部本体面を有するピストン本体であって、前記ピストン本体は、前記内部本体面により規定された中空部分を含み、前記ピストン本体は、前記外部本体面に位置する第1開口、前記外部本体面の少なくとも一部により規定されて前記内部本体面及び前記中空部分に連結された第2開口、及び前記第1開口及び前記中空部分を連結する第1通路を含む、前記ピストン本体と、前記第1通路を開放又は遮断するように構成され、前記内部本体面から離隔するように前記中空部分に位置するバルブとして、前記バルブは、前記内部本体面と外部バルブ面との間に前記第1通路及び前記第2開口に流体連結された第2通路を規定する前記外部バルブ面を有し、前記バルブは、前記外部バルブ面に形成されたリセス部分を含む前記バルブと、前記リセス部分に位置し、前記内部本体面に接触して前記外部バルブ面を前記内部本体面から離隔させるように構成され、遠心分離時に前記内部本体面と前記外部バルブ面との間を密封するように構成された第1内部密封部とを含む。
【0005】
一実施形態において、前記ピストンは、前記内部本体面上に位置し、前記第2開口に向かう前記バルブの移動を制限するように構成された第1固定部をさらに含むことができる。
【0006】
一実施形態において、前記バルブは、前記リセス部分を含む第1バルブ本体部分と、前記第1バルブ本体部分に連結された第2バルブ本体部分と、を含み、前記第1固定部は、前記内部本体面上に位置するベース部と、前記ベース部から突出して前記第1バルブ本体部分と接触するように構成された突出部分とを含むことができる。
【0007】
一実施形態において、前記内部本体面と前記外部バルブ面との間の間隔の大きさが5μm~150μmにあるように前記第1バルブ本体部分及び前記突出部分が接触することができる。
【0008】
一実施形態において、前記内部本体面は、第1内部本体面及び前記第1内部本体面からリセスされ、前記第1内部本体面と第1段差を形成する第2内部本体面を含み、前記第1固定部は前記第2内部本体面上に位置することができる。
【0009】
一実施形態において、前記ピストンは、前記内部本体面上に位置し、第1部分及び前記第1部分に反対となる第2部分を含む第2内部密封部と、前記内部本体面上に位置し、前記第2内部密封部の第1部分を支持して前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成される第1固定部と、をさらに含むことができる。
【0010】
一実施形態において、前記ピストンは、前記内部本体面上に位置し、前記第2内部密封部の第2部分を支持し、前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成された第2固定部をさらに含むことができる。
【0011】
一実施形態において、前記ピストン本体は第1係合部を含み、前記第2固定部は、前記第1係合部と係合するように構成された第2係合部を含むことができる。
【0012】
一実施形態において、前記第2固定部は締結部を含むことができる。
【0013】
一実施形態に係る遠心分離装置は回転軸を有し、遠心分離装置は、前記回転軸に対して回転するように構成されたシリンジであって、前記シリンジは、生体組織を保持できる容器を含むシリンジと、前記容器の内部に移動可能に位置する遠心分離用ピストンとを含み、前記ピストンは、外部本体面及び内部本体面を有するピストン本体であって、前記ピストン本体は、前記内部本体面により規定された中空部分を含み、前記ピストン本体は、前記外部本体面に位置する第1開口、前記外部本体面の少なくとも一部により規定されて前記内部本体面及び前記中空部分に連結された第2開口、及び前記第1開口及び前記中空部分を連結する第1通路を含む、前記ピストン本体と、前記第1通路を開放又は遮断するように構成され、前記内部本体面から離隔するように前記中空部分に位置するバルブとして、前記バルブは、前記内部本体面と外部バルブ面との間に前記第1通路及び前記第2開口に流体連結された第2通路を規定する前記外部バルブ面を有し、前記バルブは、前記外部バルブ面に形成されたリセス部分を含む前記バルブと、前記リセス部分に位置し、前記内部本体面に接触し、前記外部バルブ面を前記内部本体面から離隔させるように構成され、遠心分離時に前記内部本体面と前記外部バルブ面との間を密封するように構成された第1内部密封部とを含む。
【0014】
一実施形態において、前記ピストンは、前記内部本体面上に位置し、第1部分及び前記第1部分に反対となる第2部分を含む第2内部密封部と、前記内部本体面上に位置して前記第2内部密封部の第1部分を支持し、前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成された第1固定部と、前記内部本体面上に位置し、前記第2内部密封部の第2部分を支持し、前記第2内部密封部を前記内部本体面に固定させるように構成された第2固定部と、前記第2固定部と締結されるように構成されるプランジャとをさらに含み、前記第2内部密封部は、前記プランジャと接触して前記内部本体面と前記プランジャとの間を密封するように構成されることができる。
【発明の効果】
【0015】
一実施形態に係る遠心分離用ピストン及びそれを含む遠心分離装置は、生体から取得した脂肪組織に対して遠心分離を行っている間に、ピストン前方空間と後方空間との間に改善された密封を提供することができる。一実施形態に係る遠心分離用ピストン及びそれを含む遠心分離装置の効果は以上で言及されたものなどに限定されず、言及されない他の効果は、下記の記載によって当業者にとって明確に理解できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の特定の実施形態の様態、特徴、及び利点は、添付する図面を参照して以下の詳細な説明から明白になるのであろう。
【0017】
【0018】
【
図2】一実施形態に係る遠心分離装置の断面図である。
【0019】
【
図3】一実施形態に係る遠心分離用ピストンの斜視図である。
【0020】
【
図4】一実施形態に係る遠心分離用ピストンの分解側面図である。
【0021】
【
図5】一実施形態に係る遠心分離用ピストンの分解断面図である。
【0022】
【
図6】一実施形態に係るピストン本体の断面図である。
【0023】
【0024】
【
図8A】一実施形態に係る第1固定部の断面図である。
【0025】
【
図8B】一実施形態に係る第1固定部の平面図である。
【0026】
【
図9】一実施形態に係る遠心分離用ピストンの第1状態の断面図である。
【0027】
【
図10】一実施形態に係る遠心分離用ピストンの第2状態の断面図である。
【0028】
【
図11】一実施形態に係る遠心分離用ピストンの第3状態の断面図である。
【0029】
【
図12】一実施形態に係る遠心分離用ピストン及びプランジャの断面図である。
【0030】
【
図13】一実施形態に係る遠心分離装置の一例示的な動作を説明する図である。
【
図14】一実施形態に係る遠心分離装置の一例示的な動作を説明する図である。
【
図15】一実施形態に係る遠心分離装置の一例示的な動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付する図面を参照しながら実施例を詳細に説明する。しかし、実施例には様々な変更が加えられてもよく、特許出願の権利範囲がこのような実施例によって制限されたり限定されることはない。実施例に対する全ての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものとして理解しなければならない。
【0032】
実施例で用いられる用語は、単に、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されることはない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0033】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0034】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施例の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施例の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0035】
また、実施例の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該の構成要素の本質や順番、又は順序などが限定されない。いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されていると言及されたときには、その構成要素は、他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されているが、各構成要素の間に更なる構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」され得るものと理解されなければならない。
【0036】
いずれかの実施例に含まれる構成要素と共通の機能を含む構成要素は、他の実施例で同じ名称を用いて説明することにする。逆の記載がない以上、いずれかの実施例に記載した説明は他の実施例にも適用され、重複する範囲で具体的な説明は省略することにする。
【0037】
【0038】
図1を参照すると、遠心分離装置100は、遠心分離の環境内で生体(例えば、人)から取得された生体組織(例えば、脂肪組織)から不純物(例えば、オイル、血液、薬液、及びその他の不純物)を除去して純粋な脂肪組織を取得することができる。遠心分離装置100は、実質的にフラットなベース101、ベース101の周辺に円周方向に配列されている複数のキャビティ102、ベース101に回動可能に連結された複数のヒンジ103、複数のヒンジ103それぞれに連結されて回転軸Xの周辺に配列された複数のホルダ105、及び複数のホルダ105のうち少なくとも1つのホルダ105に位置する少なくとも1つのシリンジ104を含む。ベース101は、実質的に、ベース101の中心部に位置している回転軸Xを含んでもよい。複数のホルダ105のそれぞれは、対応するキャビティ102内外に、対応するヒンジ103によってスイングしてもよい。複数のホルダ105は、ベース101と共に回転軸Xの周辺に回転することができる。
【0039】
図2は、一実施形態に係る遠心分離装置の断面図である。
【0040】
図2を参照すると、遠心分離装置100は、遠心分離の環境内で、回転軸Xに対して回転するように構成されたシリンジ104を含む。シリンジ104は、生体組織BMを保持できる円筒状の容器1041、容器1041の第1端部(例えば、
図2において前方端部)に位置して少なくとも1つ以上の第1物質(例えば、血液、薬液、水、及びその他の純粋な脂肪の塊りに比べて相対的に比重の大きい物質)が通過して除去されるように構成されたコネクタ1042、及び容器1041の第1端部の反対となる第2端部(例えば、
図2において後方端部)に位置するフランジ1043を含む。コネクタ1042は、外部除去装置(図示せず)にカップリングされるように構成された締結部1042A、及び第1物質が通過する排出及び注入通路1042Bを含む。フランジ1043が形成されている容器1041の第2端部は、シリンジ104の外部に対して開放されてもよい。生体から取得された生体組織BMは、排出及び注入通路1042Bを介して容器1041の内部に位置し、その生体組織BM上(例えば、
図2において右側)にピストン106が配置される。使用の際に、ピストン106は生体組織BMを加圧し、生体組織BMから分離する少なくとも1つ以上の第2物質(例えば、オイル及びその他の純粋な脂肪組織に比べて相対的に比重の小さい物質)が遠心力のない状態でピストン106の内部を介して容器1041の第2端部に向かって排出されることができる。
【0041】
図2は、一実施形態に係る遠心分離装置の断面図である。
図3は、一実施形態に係る遠心分離用ピストンの斜視図である。
図4は、一実施形態に係る遠心分離用ピストンの分解側面図である。
図5は、一実施形態に係る遠心分離用ピストンの分解断面図である。
図6は、一実施形態に係るピストン本体の断面図である。
図7は、一実施形態に係るバルブの断面図である。
図8Aは、一実施形態に係る第1固定部の断面図である。
図8Bは、一実施形態に係る第1固定部の平面図である。
【0042】
図2~
図7、
図8A及び
図8Bを参照すると、遠心分離用ピストン106は、ピストン本体110、第1外部密封部121、第2外部密封部122、バルブ130、第1内部密封部140、第2内部密封部150、第1固定部160、及び第2固定部170を含む。
【0043】
ピストン本体110は、容器1041内で移動するように構成される。例えば、ピストン本体110は、遠心分離の環境内で、回転軸Xから遠ざかる方向に移動するように構成され、生体から取得した生体組織BMを加圧することができる。
【0044】
ピストン本体110は外部本体面111及び内部本体面114を有し、内部本体面114により規定された中空部分113を含む。
【0045】
外部本体面111は、ピストン本体110の前方を実質的に形成する前方本体面111A、ピストン本体110のサイドを実質的に形成するサイド本体面111B、及びピストン本体110の後方の少なくとも一部を実質的に形成する後方本体面111Cを含む。前方本体面111A、サイド本体面111B、及び後方本体面111Cは、一体にシームレスに形成されてもよい。
【0046】
前方本体面111Aは、第1前方本体面111A-1、及び第1前方本体面111A-1及びサイド本体面111Bに対してそれぞれ傾斜した第2前方本体面111A-2を含む。第1前方本体面111A-1は、例えば、ピストン106がコネクタ1042に隣接する容器1041の部分(例えば、前方部分、
図2の左側部分)に位置するとき、コネクタ1042とピストン106との間の空間を加圧し、その空間に存在できる物質(例えば、空気、血液、薬液及び水)を排出及び注入通路1042Bを介して排出させることを促進(facilitate)することができる。第1前方本体面111A-1及び第2前方本体面111A-2は、例えば、ピストン106が遠心分離の環境内にある時、ピストン106の前方にある物質を圧迫し、ピストン106がシリンジ104の前方に移動するとき前記物質をガイドする。第1前方本体面111A-1及び第2前方本体面111A-2は、実質的に円錐台の形状を形成してもよい。
【0047】
ピストン本体110は、前方本体面111A上にある物質を中空部分113中に流入させる第1開口115を含む。第1開口115は、例えば、第2前方本体面111A-2に形成されてもよい。
【0048】
ピストン本体110は、第1開口115及び中空部分113を流体連結する第1通路P1を含む。第1通路P1は、例えば、実質的に円筒状を有するピストン本体110の半径方向に延びてもよい。
【0049】
サイド本体面111Bは、容器1041の内部壁に対面してもよい。ピストン本体110は、サイド本体面111Bに形成された外部リセス112を含んでもよい。例えば、外部リセス112は、サイド本体面111Bの第1部分に形成された第1外部リセス112A及びサイド本体面111Bの第1部分とは異なる第2部分に形成されている第2外部リセス112Bを含んでもよい。
【0050】
後方本体面111Cは、中空部分113及びピストン本体110の外部にそれぞれ流体連結された第2開口116を規定する。第2開口116は、中空部分113内の物質をピストン本体110の外部に流出するようにする。第2開口116の大きさは、第1開口115の大きさよりも大きい。
【0051】
内部本体面114は、第1内部本体面114A、第2内部本体面114B、第3内部本体面114C、第4内部本体面114D、及び第5内部本体面114Eを含む。
【0052】
第1内部本体面114A、第2内部本体面114B、及び第3内部本体面114Cは、サイド本体面111Bに実質的に平行している。第1内部本体面114A、第2内部本体面114B、及び第3内部本体面114Cは、第2開口116に向かう方向に順に配置されてもよい。第1内部本体面114A、第2内部本体面114B、第3内部本体面114C、第4内部本体面114D、及び第5内部本体面114Eは、一体にシームレスに形成されてもよい。
【0053】
第1内部本体面114Aと第2内部本体面114Bとの間に第1段差S1が形成される。例えば、第2内部本体面114Bは、第1内部本体面114Aからリセスされるように形成されてもよい。例えば、第1内部本体面114Aは、第2内部本体面114Bから突出するように形成されてもよい。一実施形態において、第2内部本体面114Bは、第1内部本体面114Aから突出するように形成されてもよい。一実施形態において、第1内部本体面114A及び第2内部本体面114Bは、実質的に第1段差S1なしに一体にシームレスに形成されてもよい。
【0054】
第2内部本体面114Bと第3内部本体面114Cとの間に第2段差S2が形成される。例えば、第3内部本体面114Cは、第2内部本体面114Bからリセスされるように形成されてもよい。例えば、第2内部本体面114Bは、第3内部本体面114Cから突出するように形成されてもよい。一実施形態において、第3内部本体面114Cは、第2内部本体面114Bから突出するように形成されてもよい。一実施形態において、第2内部本体面114B及び第3内部本体面114Cは、実質的に第2段差S2なしに一体にシームレスに形成されてもよい。
【0055】
第4内部本体面114Dは、第2前方本体面111A-2に実質的に平行している。第4内部本体面114Dは、第1内部本体面114A及び第5内部本体面114Eに対して傾斜するように形成されてもよい。第5内部本体面114Eは、第1前方本体面111A-1に実質的に平行している。第5内部本体面114Eは、第4内部本体面114Dに対してリセスされるように形成されてもよい。
【0056】
ピストン本体110は、第1係合部117を含む。第1係合部117は、第2固定部170と少なくとも部分的に係合することができる。第1係合部117は、サイド本体面111Bに形成されてもよい。第1係合部117はスロットを含んでもよい。一実施形態において、第1係合部117は突起を含んでもよい。
【0057】
第1外部密封部121及び第2外部密封部122は、ピストン本体110及び容器1041の間を密封している。第1外部密封部121及び第2外部密封部122はそれぞれ環状であってもよい。第1外部密封部121は第1外部リセス112Aに位置し、第2外部密封部122は第2外部リセス112Bに配置する。
【0058】
バルブ130は、ピストン本体110の前方の空間とピストン本体110の後方の空間との間の少なくとも1つ以上の物質の流動を許容又は遮断することができる。例えば、バルブ130は、遠心分離の環境内で、回転軸Xから遠ざかる方向にピストン本体110に対して移動し、ピストン本体110の前方の空間とピストン本体110の後方の空間との間に形成された流体通路を遮断することができる。例えば、バルブ130は、バルブ130に遠心力が作用しない環境又はバルブ130に作用する遠心力が異なる力(例えば、重力、摩擦力、
図12に示すプランジャ107を用いて流体通路を遮断せずピストン106をプッシュすることで発生するピストン106の前方空間の圧力、及び/又は
図12に示すプランジャ107を用いて流体通路を遮断せずユーザの手でピストン106をプッシュすることにより発生するピストン106前方空間の圧力)の合計よりも小さい環境内で、フランジ1043に向かって容器1041の後方に向かってピストン本体110に対して移動し、ピストン本体110の前方の空間とピストン本体110の後方の空間との間に形成されている流体通路を開放することができる。バルブ130の重さは、ピストン本体110の重さと実質的に同一であるか、ピストン本体110の重さよりも大きくてもよい。
【0059】
バルブ130は、バルブ130の前方部分を実質的に形成する第1バルブ本体部分131、及びバルブ130の後方部分を実質的に形成する第2バルブ本体部分132を含む。第1バルブ本体部分131は、第1外部バルブ面133A、第2外部バルブ面133B、第3外部バルブ面133C、及び第4外部バルブ面133Dを含む。第2バルブ本体部分132は、第5外部バルブ面134A及び第6外部バルブ面134Bを含む。第1外部バルブ面133A、第2外部バルブ面133B、第3外部バルブ面133C、第4外部バルブ面133D、第5外部バルブ面134A、及び第6外部バルブ面134Bは、バルブ130の外部バルブ面133を形成する。
【0060】
第1外部バルブ面133Aは、第1バルブ本体部分131の前方部分の少なくとも一部を実質的に形成する。第1外部バルブ面133Aは、第4内部本体面114Dを実質的に対面する。第1外部バルブ面133Aは、例えば、第5内部本体面114Eにリセスされるように形成された第4内部本体面114D上のリセスに少なくとも部分的に配置されてもよい。第2外部バルブ面133Bは、第1バルブ本体部分131の前方部分の少なくとも一部を実質的に形成してもよい。第2外部バルブ面133Bは、第1外部バルブ面133A及び第3外部バルブ面133Cに対して傾斜するように形成されてもよい。第2外部バルブ面133Bは、第5内部本体面114Eを実質的に対面する。第3外部バルブ面133Cは、第1バルブ本体部分131のサイド部分を実質的に形成してもよい。第3外部バルブ面133Cは、第1内部本体面114A、第2内部本体面114B及び/又は第3内部本体面114Cを実質的に対面してもよい。第4外部バルブ面133Dは、第1バルブ本体部分131の後方部分の少なくとも一部を実質的に形成してもよい。第4外部バルブ面133Dは、第3外部バルブ面133Cと第5外部バルブ面134Aとの間に形成されてもよい。
【0061】
第5外部バルブ面134Aは、第2バルブ本体部分132のサイド部分を実質的に形成している。第5外部バルブ面134Aは、第1内部本体面114A、第2内部本体面114B、及び/又は第3内部本体面114Cを実質的に対面してもよい。第6外部バルブ面134Bは、第2バルブ本体部分132の後方部分を実質的に形成してもよい。
【0062】
第1外部バルブ面133A、第4外部バルブ面133D、及び第6外部バルブ面134Bは互いに実質的に平行している。第3外部バルブ面133C及び第5外部バルブ面134Aは互いに実質的に平行している。
【0063】
第1外部バルブ面133A及び第2外部バルブ面133Bは、一体にシームレスに形成されてもよい。第2外部バルブ面133B及び第3外部バルブ面133Cは、互いに対して不連続的に形成されてもよい。第3外部バルブ面133C及び第4外部バルブ面133Dは一体にシームレスに形成されてもよい。第4外部バルブ面133D、第5外部バルブ面134A、及び第6外部バルブ面134Bは、一体にシームレスに形成されてもよい。一実施形態において、第1外部バルブ面133A、第2外部バルブ面133B、第3外部バルブ面133C、第4外部バルブ面133D、第5外部バルブ面134A、及び第6外部バルブ面134Bは、一体にシームレスに形成されてもよい。
【0064】
バルブ130は、第1バルブ本体部分131に形成されたリセス部分135を含む。リセス部分135は、例えば、第2外部バルブ面133Bと第3外部バルブ面133Cとの間に形成されてもよい。
【0065】
第1内部密封部140は、ピストン本体110と第1バルブ本体部分131との間を密封するように構成されてもよい。第1内部密封部140は、リセス部分135に少なくとも部分的に配置される。第1内部密封部140は、例えば、第4内部本体部分114Eと第2外部バルブ面133Bとの間、又は、第4内部本体部分114Eと第3外部バルブ面133Cとの間を密封する。第1内部密封部140は実質的に環状であってもよい。
【0066】
バルブ130が遠心分離の環境内で遠心力を受けて回転軸Xから遠ざかる方向にピストン本体110に対して移動し、第1外部バルブ面133A及び第2外部バルブ面133Bがそれぞれ第4内部本体面114D及び第5内部本体面114Eを実質的に対面するとき(例えば、
図9参照)、第1内部密封部140は、第2外部バルブ面133B及び第5内部本体面114Eを互いに離隔させ、第2外部バルブ面133Bと第5内部本体面114Eとの間に間隙(例えば、
図9に示す間隙G)が実質的に存在する状態で保持させながら、ピストン本体110とバルブ130との間を密封するように構成されることができる。第1内部密封部140は、例えば、第1内部密封部140がない構造において、ピストン本体110の内部本体面114(例えば、第5内部本体面114E)及び/又はバルブ130の外部バルブ面(例えば、第2外部バルブ面133B)が製造上の公差によって互いに実質的に接触しないため、発生し得る漏出(leak)を実質的に防止又は減少することができる。
【0067】
第2内部密封部150は、ピストン本体110とプランジャ(例えば、
図12のプランジャ107)との間を密封するように構成される。第2内部密封部150は、プランジャ(例えば、
図12のプランジャ107)の少なくとも一部の外部面と接触してもよい。第2内部密封部150は、第2内部本体面114B上に配置されてもよい。第2内部密封部150は実質的に環状であってもよい。
【0068】
第1固定部160は、第2内部密封部150を第2内部本体面114Bに固定させることができる。第1固定部160は、第2内部本体面114B上に配置されてもよい。図示されない例として、第1固定部160は、第3内部本体面114Cが第2内部本体面114Bから突出するように形成された構造で、第2内部密封部150が第2段差S2に対して支持されるように第2内部密封部150を第2内部本体面114Bに固定させることができる。
【0069】
第1固定部160は、バルブ130の移動を制限する。例えば、バルブ130に遠心力が作用しない環境又はバルブ130に作用する遠心力が異なる力(例えば、重力、摩擦力、
図12に示すプランジャ107を用いて流体通路を遮断せずピストン106をプッシュすることによって発生するピストン106の前方空間の圧力、及び/又は
図12に示すプランジャ107を用いて流体通路を遮断せずユーザの手でピストン106をプッシュすることによって発生するピストン106の前方空間の圧力)よりも小さい環境内で、バルブ130は、ピストン本体110に対して第2開口116に向かって移動し、第1固定部160は、バルブ130が中空部分113内に位置するよう中空部分113からバルブ130の離脱を防止することができる。
【0070】
第1固定部160は、第1ベース部分161、及び第1ベース部分161から突出する突出部分162を含む。第1ベース部分161は、第2内部本体面114B上に位置する。第1ベース部分161は、第1段差S1に対して支持され得る。第1ベース部分161は、第2内部密封部150の第1部分151(例えば、
図5において左側部分)を支持できる。突出部162は、第1バルブ本体部131の一部(例えば、第4外部バルブ面133D)と接触するように構成される。第1ベース部分161及び突出部分162は、第1固定部160の実質的な環状構造を形成してもよい。
【0071】
突出部分162は、第1ベース部161の内周面から突出している。突出部分162は、第1ベース部161の内周面の円周方向に沿って少なくとも部分的に形成されてもよい。突出部分162は、第1ベース部161の内周面に沿って延在して流出入開口163を形成する。流出入開口163は、例えば、バルブ130の一面(例えば、第6外部バルブ面134B)が突出部分162と接触するとき、流出入開口163を通した物質の流出入を許容し得る。
【0072】
第2固定部170は、第2内部密封部150を第2内部本体面114Bに固定させることができる。第2固定部170は、第3内部本体面114C上に配置されてもよい。第2固定部170は、第2内部密封部150が第1固定部160によって支持されるよう、第2内部密封部150を第2内部本体面114Bに固定させることができる。図示されない例として、第2内部密封部150が第1段差S1により支持されるよう、第2固定部170は第2内部密封部150を第2内部本体面114Bに固定させてもよい。第2固定部170は、第1固定部160と協同して第2内部密封部150を固定させ得る。
【0073】
第2固定部170は、第3内部本体面114C上に位置する第2ベース部171を含む。第2ベース部171は、第2内部密封部150の第2部分152(例えば、
図5において右側部分)を支持する。第2ベース部171は、第2固定部170の実質的な環状構造を形成してもよい。
【0074】
第2固定部170は、外部締結手段(例えば、
図12に示すプランジャ107)と締結するように構成された第1締結部172を含む。第1締結部172は、第2ベース部171の内部面に少なくとも部分的に形成されてもよい。第1締結部172は、例えば、ネジ山を含んでもよい。
【0075】
第2固定部170は、第2係合部173を含む。第2係合部173は、ピストン本体110の少なくとも一部(例えば、第1係合部117)と係合する。第2係合部173は、第2ベース部171の外部面に少なくとも部分的に形成されてもよい。第2係合部173は、例えば、突起を含んでもよい。
【0076】
図9は、一実施形態に係る遠心分離用ピストンの第1状態の断面図である。
図10は、一実施形態に係る遠心分離用ピストンの第2状態の断面図である。
図11は、一実施形態に係る遠心分離用ピストンの第3状態の断面図である。
【0077】
図9~
図11を参照すると、遠心分離用ピストン106は、第1通路P1と第2通路P2との間の疎通を遮断する第1状態(例えば、
図9)から第1通路P1と第2通路P2との間の疎通を許容する第2状態(例えば、
図10)に移転してもよい。遠心分離用ピストン106は、第1状態から(例えば、第2状態を経て)バルブ130の移動を制限する第3状態(例えば、
図11)に移転してもよい。遠心分離用ピストン106は、第3状態から第2状態に移転してもよい。遠心分離用ピストン106は、第2状態から第1状態に移転してもよい。遠心分離用ピストン106は、第3状態から第1状態に移転してもよい。
【0078】
ピストン106の第1状態において、遠心分離の環境内で第1重さを有するバルブ130に作用する遠心力は、第1重さよりも小さい第2重さを有するピストン本体110に作用する遠心力よりも大きくてもよい。遠心分離の環境内でバルブ130に作用する遠心力がバルブ130に作用する異なる力(例えば、重力、摩擦力、
図12に示すプランジャ107を用いて流体通路を遮断せずピストン106をプッシュすることによって発生するピストン106の前方空間の圧力、及び/又は
図12に示すプランジャ107を用いて流体通路を遮断せずユーザの手でピストン106をプッシュすることによって発生するピストン106前方空間の圧力)の合計よりも大きければ、バルブ130は、ピストン本体110に対して第2開口116から遠ざかる方向(例えば、ピストン本体110の前方)に移動してもよい。バルブ130に設置された第1内部密封部140は、ピストン本体110の内部本体面114と接触し、ピストン本体110とバルブ130との間の第2通路P2(例えば、
図10において、第5内部本体面114Eと第2外部バルブ面133Bとの間の第1サブ通路P21)を遮断することができる。第1内部密封部140は、ピストン本体110の内部本体面114のうち少なくとも一部(例えば、第5内部本体面114E)及びバルブ130の外部バルブ面133のうち少なくとも一部(例えば、第2外部バルブ面133B)の間を離隔させ、これらの間に間隙Gを形成し得る。
【0079】
ピストン106の第2状態において、遠心分離の環境内又は遠心力が作用しない環境内で、バルブ130は、ピストン本体110に対して第2開口116に向かう方向に(例えば、ピストン本体110の後方に)移動する。バルブ130に設置された第1内部密封部140は、ピストン本体110の内部本体面114と接触解除し、ピストン本体110とバルブ130との間の第2通路P2(例えば、
図10において第5内部本体面114Eと第2外部バルブ面133Bとの間の第1サブ通路P21)を開放する。ピストン本体110の前方にある少なくとも1つの物質は、第1開口(例えば、
図3の第1開口115)を介して第1通路P1に進入し、第1通路P1及び第2通路P2(例えば、第1サブ通路P21及び第2サブ通路P22)を介して流動し、第2開口116を介してピストン本体110の後方に排出することができる。
【0080】
一実施形態に係る遠心分離用ピストン106は、通路P1、P2を遮断する第1状態(例えば、
図9)及びバルブ130の移動を制限する第3状態(例えば、
図11)の間、又は通路P1、P2を開放する第2状態(例えば、
図10)とバルブ130の移動を制限する第3状態(例えば、
図11)との間で状態変化する。
【0081】
ピストン106の第2状態で、遠心分離環の境内で又は遠心力が作用しない環境内において、バルブ130は、ピストン本体110に対して第2開口116に向かう方向(例えば、ピストン本体110の後方)に移動する。
【0082】
ピストン106の第3状態で、ピストン本体110の内部本体面114(例えば、
図6に示す第2内部本体面114B)上に位置する第1固定部160によってバルブ130の移動が制限される。例えば、第1バルブ本体部分131及び第2バルブ本体部分132のうち、第1バルブ本体部分131の少なくとも一部(例えば、第4外部バルブ面133D)は、第1ベース部161の少なくとも一部又は突出部分162の少なくとも一部と接触してもよい。第1固定部160は、ピストン本体110の内部本体面114(例えば、第2内部本体面114B及び第3内部本体面114C)上にそれぞれ位置する第2内部密封部150及び第2固定部170により支えられることができる。
【0083】
ピストン106の第3状態で、第1バルブ本体部分131の第4外部バルブ面133Dが第1ベース部161と接触すると、第1サブ通路P21を介して流動する少なくとも1つの物質は、第2サブ通路P22に移動することが抑制又は遅延される。
【0084】
図12は、一実施形態に係る遠心分離用ピストン及びプランジャの断面図である。
【0085】
図2及び
図12を参照すると、遠心分離装置100は、ピストン本体110、第1外部密封部121、第2外部密封部122、バルブ130、第1内部密封部140、第2内部密封部150、第1固定部160、及び第2固定部170を含む遠心分離用ピストン106、及びプランジャ107を含む。第2固定部170は、第2ベース部171及び第1締結部172を含む。
【0086】
プランジャ107は、ピストン106と結合するように構成されてもよい。例えば、プランジャ107は、ピストン106と結合した後、容器1041内でピストン106の前方に位置する物質(例えば、血液、薬液、及び水)を加圧してコネクタ1042の排出及び注入通路1042Bを介して、容器1041から前記物質を排出させるようにしたり容器1041内に入るようにすることができる。
【0087】
プランジャ107は、プッシュロード1071、プッシュロード1071の一部分(例えば、
図12において右側の端部面)に形成されたハンドル1072、プッシュロード1071の他部分(例えば、
図12において左側の外部面)に形成され、第1締結部172と締結されるように構成された第2締結部1073、及びプッシュロード1071の半径方向に延びてピストン本体110の一部(例えば、後方本体面111C)と対面するシート(seat)1074を含む。第1締結部1072及び第2締結部1073のいずれか1つの締結部は雄ネジ山を含み、他の1つの締結部は雌ネジ山を含んでもよい。
【0088】
図13~
図15は、一実施形態に係る遠心分離装置の一例示的な動作を説明する図である。
【0089】
図2及び
図13~
図15を参照して一実施形態に係る遠心分離装置100の一例示的な動作を説明する。
【0090】
図2を参照すると、容器1041の前方(例えば、コネクタ1042)が位置する端部分を介して人体から取得した生体組織BMが流入され、その生体組織BMの後方にピストン106が配置されてもよい。図示していないが、生体組織BMが容器1041の外部に排出されないようにコネクタ1042の排出及び注入通路1042Bは閉鎖される。遠心分離の環境内で、シリンジ104及びピストン106は回転軸Xに対して回転することができる。
【0091】
図13を参照すると、遠心分離の際にピストン106の前方にある生体組織BMは、生体組織BMを構成している複数の物質層に物質の比重に応じて分離されることができる。例えば、生体組織BMは、回転軸Xから遠くにあるコネクタ1042からピストン106に向かっている方向から見たとき、順次に、第1比重を有する少なくとも1つの第1物質(例えば、血液、薬液、水分)から構成された第1層RL、第1比重よりも小さい第2比重を有する少なくとも1つの第2物質(例えば、第1物質及び第3物質が除去された脂肪組織)から構成された第2層FL、及び第2比重よりも小さい第3比重を有する少なくとも1つの第3物質(例えば、空気、オイル)から構成された第3層OLに分離されてもよい。
【0092】
図14を参照すると、ピストン106及びプランジャ107は互いに結合されることができる。例えば、ピストン本体110の内部本体面(例えば、
図6に示す第3内部本体面114C)上に位置する第2固定部170の第1締結部172及びプランジャ107のプッシュロード1071に形成された第2締結部1073が互いに締結されてもよい。プランジャ107及び第2締結部1073が締結されてプランジャ107によりピストン106がプッシュされれば、ピストン106の前方にある少なくとも1つの物質(例えば、第1物質)は、コネクタ1042を介して容器1041の外部に排出され、その物質の層(例えば、
図13に示す第1層RL)が容器1041内から除去される。
【0093】
図15を参照すると、ピストン106及びプランジャ(例えば、
図14に示すプランジャ107)が結合解除されることができる。プランジャがピストン106から結合解除された状態で、ピストン106に相対的に近所に位置している第3物質(例えば、空気、オイル)の第3層OLは、様々な方式に基づいてピストン106の後方に排出される。例えば、ピストン106の前方に第2物質(例えば、第1物質及び第3物質が除去された脂肪組織又は脂肪の塊り)の第2層FL及び第3物質の第3層OLが存在する状態で、シリンジ104及びピストン106は、相対的に低い遠心加速度(例えば、約200g)の遠心分離の環境内に配置されるとき、遠心力によってピストン106が移動して発生するピストン106前方の圧力がバルブ130の密閉力よりも大きくなり、第3層OLの第3物質がピストン106内に形成された通路(例えば、
図10に示す第1通路P1及び第2通路P2)を介してピストン106の後方に排出される。
【0094】
一方、第2状態(例えば、
図10)及び第3状態(例えば、
図11)でピストン本体(例えば、
図2~
図7、
図8A及び
図8Bに示すピストン本体110)の内部本体面(例えば、第5内部本体面114E)及びバルブ(例えば、
図2~
図7、
図8A及び
図8Bに示すバルブ130)の外部バルブ面(例えば、第2外部バルブ面133B)の間の第1サブ通路P21の流動空間の大きさ(例えば、間隙)がピストン106の前方空間にある第2層FLの第2物質(例えば、脂肪組織)の大きさよりも小さいように、ピストン本体の内部本体面(例えば、第5内部本体面114E)及びバルブの外部バルブ面(例えば、第2外部バルブ面133B)の間の間隙の大きさは約5μm~約150μmの範囲内にある。例えば、第1固定部(例えば、
図2~
図7、
図8A及び
図8Bに示す第1固定部160)は、前記間隙の大きさ範囲を保持するようにバルブ(例えば、
図2~
図7、
図8A及び
図8Bのバルブ130)の移動を制限する。第1サブ通路P21の流動空間が第2層FLの第2物質の大きさよりも小さくて第1サブ通路P21が開放されれば、第2層FLの第2物質は、ピストン106内に形成された通路(例えば、
図10に示す第1通路P1及び第2通路P2)を介してピストン106後方に排出できず、ピストン106の前方に配置されてもよい。一実施形態において、前記間隙の大きさ範囲は、バルブ130の質量及び/又はピストン106に加えられる遠心力が調節されることで実質的に保持され得る。
【0095】
異なる例として、容器1041の後方(例えば、フランジ1043)に空圧装置を結合し、ピストン106内に形成された通路(例えば、
図10に示す第1通路P1及び第2通路P2)を開放した状態で、空圧装置を用いてピストン106前方にある第3層OLの第3物質をピストン106の後方に排出してもよい。
【0096】
一実施形態において、プランジャ107及び/又はその他の操作道具をピストン106に結合せずピストン106をシリンジ104の前方に押すと、ピストン106前方の圧力が増大してピストン106の前方にある第3層OLの第3物質をピストン106の後方に排出してもよい。第3物質が除去されてシリンジ104からピストン106が除去された後、第2層FLの第2物質が取得されることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば前記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合せわせられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0098】
従って、他の実現、一実施形態及び請求の範囲と均等なものなども後述する請求の範囲の範囲に属する。
【国際調査報告】