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特表2024-530359スノーボードビンディング用の2つの位置決めマウント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】スノーボードビンディング用の2つの位置決めマウント
(51)【国際特許分類】
   A63C 10/28 20120101AFI20240808BHJP
【FI】
A63C10/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536332
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 AU2022050981
(87)【国際公開番号】W WO2023023754
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2021221821
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073234
【氏名又は名称】ディーエルティー グループ ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】マッカーサー,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マーキス,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ,ハリソン
(57)【要約】
スノーボードに搭載されたベースプレートを含み、スノーボードをスクーティングするための第1のロック位置を規定し、スノーボードに乗るための第2のロック位置を規定する回転可能に設定可能なディスクと係合する、スノーボードビンディング用のマウントである。ビンディングのアタッチメントは設定可能なディスク上で回転し、第1のロック位置または第2のロック位置と選択可能に係合するための半径方向に作動するロックを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スノーボードビンディングをスノーボードに取り付けるためのマウントであって、
回転軸を画定する中央ハブ、及び周辺に位置決められた第1のロッキング部を含む、前記スノーボードに固定して取り付け可能なベースプレートと、
周辺に位置決められた第2のロッキング部を含むセッティングディスクと、
前記セッティングディスクの上に着座し、前記スノーボードビンディングに取り付け可能であり、前記回転軸を中心に回転可能である、回転ディスクアセンブリであって、前記第1のロッキング部及び前記第2のロッキング部と係合可能であり、前記回転ディスクアセンブリの回転を抑制する位置決めロックを含む、回転ディスクアセンブリと、を備え、
前記セッティングディスクは、前記中央ハブを中心に回転可能であり、前記ベースプレートに対して選択可能な既定角度で固定できる、マウント。
【請求項2】
前記中央ハブに固定して取り付け可能なセッティングロックをさらに備え、前記セッティングロックは、さらに前記回転ディスクアセンブリが回転することを可能にしながら、回転ディスクアセンブリを垂直に拘束する、請求項1に記載のマウント。
【請求項3】
前記ベースプレートは、さらに、一連の上向周辺歯を含み、前記セッティングディスクは、さらに、前記ベースプレートの前記歯と係合するための一連の下向周辺歯を含み、前記セッティングディスク歯との前記ベースプレート歯の係合は、相互に対して前記選択可能な既定角度で前記ベースプレート及び前記セッティングディスクを拘束し、前記ベースプレートに対して、前記セッティングディスクの回転運動を防止する、請求項1または2に記載のマウント。
【請求項4】
前記位置決めロックはロッキングピンを備え、前記第1のロッキング部は、前記スノーボードに対して前記回転ディスクアセンブリを回転可能に位置決めるために、前記ロッキングピンと係合するための第1のロック穴を備え、そして、前記第2のロッキング部は、前記スノーボードに対して前記回転ディスクアセンブリを回転可能に位置決めるために、前記ロッキングピンと係合するための第2のロッキング穴を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項5】
前記位置決めロックは内向歯を備え、前記第1のロッキング部及び第2のロッキング部は、前記位置決めロックの前記内向歯と係合して、前記スノーボードに対する前記位置決めロック及び前記回転ディスクアセンブリの回転運動を防止する外向歯を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項6】
前記回転ディスクアセンブリは、さらに、前記位置決めロックの運動を誘導するためのロックハウジングと、前記第1のロッキング部または前記第2のロッキング部と係合するために、前記位置決めロックを内向きに付勢するバネとを備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項7】
前記位置決めロックに取り付けられ、また前記ロックハウジングに枢動可能に取り付けられたプッシュプレートをさらに備え、前記プッシュプレートを押すことで、前記位置決めロックが後退し、前記位置決めロックは前記第1のロッキング部または前記第2のロッキング部から係脱する、請求項6に記載のマウント。
【請求項8】
前記位置決めロックを後退させ、前記位置決めロックが前記第1のロッキング部または前記第2のロッキング部から係脱させるための引き手リングをさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項9】
横力を加えることによって、前記ロッキングピンの着脱を可能にするソフトロックをさらに備える、請求項5~7のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項10】
前記ソフトロックは、歯を伴う第1の面と、前記歯、及び前記第1のロッキング部の前記ロッキング穴と係合するためのピンと、前記位置決めロックの前記ロッキングピンと係合するための穴を伴う第2の面と、を含む、請求項9に記載のマウント。
【請求項11】
前記回転ディスクアセンブリは、前記回転ディスクアセンブリに取り付けられたビンディングアタッチメントを介して、前記スノーボードビンディングに取り付け可能であり、前記ビンディングアタッチメントは、前記スノーボードビンディングと係合する下向フランジを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項12】
前記フランジは、前記スノーボードビンディングとともに前記回転ディスクアセンブリの相対的回転を防止するために、前記スノーボードビンディングと係合するための歯を備える、請求項11に記載のマウント。
【請求項13】
ベースを通過する取り付け穴を伴うベース、前記取り付け穴の周りの周辺レッジ、及び前記取り付け穴から前記ベースの側面まで延在するチャネルを備え、前記チャネルを通過する前記ロックハウジングを伴い、前記取り付け穴内に位置決めされた請求項11または12に記載のマウントをさらに備える、スノーボードビンディング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スノーボードに関し、具体的には、2つの位置の間で容易に移動できるスノーボードビンディングマウント用のマウントに関する。
【背景技術】
【0002】
スノーボードは、名目上、ライディング位置でボードを横断して横に位置決められたライダーの足で乗られる。ほとんどのスノーボードは、所望の角度で固定して設定できるブーツビンディングを含む。ほとんどのライダーは、0~30度の角度、名目上、15度で選ばれる。角度の調整は通常、斜面外で行われ、ビンディングマウントの一部を分解し、工具を使用することが必要である。
【0003】
同様に、斜面を滑り降りるだけでなく、スキーリフトの列に並ぶ、スキーリフトに乗る、または平坦なエリアを横断する等、他の状況下でもスノーボーダーは自分のスノーボードを移動させる必要がある。スノーボーダーは、通常、自分の後足のブーツをそのビンディングから取り外して、スクーターと同様に、そのビンディングに保持された前足でスノーボードを前に押し出す。これは、ボードを横断して横に位置する前足で行うことが困難になる。理想的には、前足は、横方向のライディング位置と、縦方向のスクーティング位置との間で移動可能にするべきである。
【0004】
この問題は、長い間にわたって認識されており、多くの解決策が提案されているが、様々な不備により、広く採用されているわけではない。既知の試みとして、多くの場合、露出機構を用いるので、大きくなり、また扱いにくくなり、そのサイズに起因して、スノーボードの順応性を低下させる、または、ビンディングが持ち上がり、ひいては、不必要に重心を上げてしまう。いくつかの解決策として、一般的な寒冷湿潤なスノーボードの運転条件に適切ではない電子機器を組み込むことがある。
【0005】
本発明の目的は、上記の問題を軽減する、または、少なくとも公衆に有用な代替案を提供する、回転式スノーボードブーツビンディングマウントを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様では、本発明は、スノーボードビンディングをスノーボードに取り付けるためのマウントを提供し、マウントは、回転軸を画定する中央ハブ、及び周辺に位置決められた第1のロッキング部を含む、スノーボードに固定して取り付け可能なベースプレートと、周辺に位置決められた第2のロッキング部を含む、中央ハブを中心に回転可能なセッティングディスクと、セッティングディスクの上に着座し、スノーボードビンディングに取り付け可能であり、回転軸を中心に回転可能である、回転ディスクアセンブリであって、第1のロッキング部及び第2のロッキング部と係合可能であり、回転ディスクアセンブリの回転を抑制する位置決めロックを含む、回転ディスクアセンブリと、を備え、セッティングディスクは、中央ハブを中心に回転可能であり、ベースプレートに対して選択可能な既定角度で固定できる。
【0007】
好ましくは、マウントは、さらに、中央ハブに固定して取り付け可能なセッティングロックを備え、セッティングロックは、さらに回転ディスクアセンブリが回転することを可能にしながら、回転ディスクアセンブリを垂直に拘束する。
【0008】
好ましくは、ベースプレートは、さらに、一連の上向周辺歯を含み、セッティングディスクは、さらに、ベースプレートの歯と係合するための一連の下向周辺歯を含み、セッティングディスク歯とのベースプレート歯の係合は、相互に対して選択可能な既定角度でベースプレート及びセッティングディスクを拘束し、ベースプレートに対して、セッティングディスクの回転運動を防止する。
【0009】
位置決めロックは好ましくはロッキングピンを備え、第1のロッキング部は、スノーボードに対して回転ディスクアセンブリを回転可能に位置決めるために、ロッキングピンと係合するための第1のロック穴を備え、そして、第2のロッキング部は、スノーボードに対して回転ディスクアセンブリを回転可能に位置決めるために、ロッキングピンと係合するための第2のロッキング穴を備える。
【0010】
位置決めロックはまた内向歯も備え得、第1のロッキング部及び第2のロッキング部は、位置決めロックの内向歯と係合して、スノーボードに対する位置決めロック及び回転ディスクアセンブリの回転運動を防止する外向歯を備える。
【0011】
好ましくは、回転ディスクアセンブリは、さらに、位置決めロックの運動を誘導するためのロックハウジングと、第1のロッキング部または第2のロッキング部と係合するために、位置決めロックを内向きに付勢するバネとを備える。
【0012】
プッシュプレートは、位置決めロックに取り付けられ、またロックハウジングに枢動可能に取り付けられ得、プッシュプレートを押すことで、位置決めロックが後退し、位置決めロックは第1のロッキング部または第2のロッキング部から係脱する。代替として、位置決めロックを後退させ、位置決めロックを第1のロッキング部または第2のロッキング部から係脱させるための引き手リングが挙げられる。
【0013】
マウントは好ましくはさらにソフトロックを備え、歯を伴う第1の面と、該歯、及び第1のロッキング部のロッキング穴と係合するためのピンと、位置決めロックのロッキングピンと係合するための穴を伴う第2の面と、を含む。
【0014】
好ましくは、回転ディスクアセンブリは、回転ディスクアセンブリに取り付けられたビンディングアタッチメントを介して、スノーボードビンディングに取り付け可能であり、ビンディングアタッチメントは、スノーボードビンディングと係合する下向フランジを備える。フランジは、スノーボードビンディングとともに回転ディスクアセンブリの相対的回転を防止するために、スノーボードビンディングと係合するための歯を備え得る。
【0015】
本発明は、さらに、ベースを通過する取り付け穴を伴うベース、取り付け穴の周りの周辺レッジ、及び取り付け穴からベースの側面まで延在するチャネルを備え、チャネルを通過するロックハウジングを伴い、取り付け穴内に位置決めされた上記に説明したマウントをさらに備える。
【0016】
上述の態様のいずれか1つが、上述の他の態様のいずれかの特性のいずれかを含み得、必要に応じて、下記に説明される実施形態のいずれかの特性のいずれかを含み得ることに留意されたい。
【0017】
本発明の好ましい特性、実施形態、及び変形形態は、本発明を実施する当業者に十分な情報を提供する以下の「発明を実施するための形態」から理解され得る。「発明を実施するための形態」は、決して、前述の「発明の概要」の範囲を制限するものとして見なされない。「発明を実施するための形態」は、以下のようないくつかの図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の好ましい実施形態による、ライディング位置における、スノーボードビンディングマウントに搭載されたスノーボード及びビンディングを示す。
図2】スクーティング位置における、スノーボードビンディングマウントに搭載されたスノーボード及びビンディングを示す。
図3】上から見た、ロック解除用のプッシュパッドを伴う、切り離された状態のスノーボードビンディングマウントを示す。
図4A】上から見た、ロック解除用の引き手リングを伴うスノーボードビンディングマウントを示す。
図4B】下から見た、ロック解除用の引き手リングを伴うスノーボードビンディングマウントを示す。
図5】スノーボードビンディングマウントの分解図を示す。
図6】スノーボードビンディングマウントを受けるように適応するスノーボードビンディングを示す。
図7A】上から見た、スノーボードビンディングマウントのベースプレートを示す。
図7B】下から見た、スノーボードビンディングマウントのベースプレートを示す。
図8A】上から見た、スノーボードビンディングマウントのセッティングディスクを示す。
図8B】下から見た、スノーボードビンディングマウントのセッティングディスクを示す。
図9A】上から見た、スノーボードビンディングマウントの回転ディスクアセンブリを示す。
図9B】下から見た、スノーボードビンディングマウントの回転ディスクアセンブリを示す。
図10A】上から見た、スノーボードビンディングマウントのビンディングアタッチメントを示す。
図10B】下から見た、スノーボードビンディングマウントのビンディングアタッチメントを示す。
図11A】上から見た、スノーボードビンディングマウントのセッティングロックを示す。
図11B】下から見た、スノーボードビンディングマウントのセッティングロックを示す。
図12A】スノーボードビンディングマウントをスノーボード及びスノーボードビンディングに取り付ける手順のうちの一場面を示す。
図12B】スノーボードビンディングマウントをスノーボード及びスノーボードビンディングに取り付ける手順のうちの一場面を示す。
図12C】スノーボードビンディングマウントをスノーボード及びスノーボードビンディングに取り付ける手順のうちの一場面を示す。
図12D】スノーボードビンディングマウントをスノーボード及びスノーボードビンディングに取り付ける手順のうちの一場面を示す。
図12E】スノーボードビンディングマウントをスノーボード及びスノーボードビンディングに取り付ける手順のうちの一場面を示す。
図12F】スノーボードビンディングマウントをスノーボード及びスノーボードビンディングに取り付ける手順のうちの一場面を示す。
図13A】スクーティング位置からライディング位置にスノーボードビンディングマウントを移動させることに関わる内部機構を示す。
図13B】スクーティング位置からライディング位置にスノーボードビンディングマウントを移動させることに関わる内部機構を示す。
図13C】スクーティング位置からライディング位置にスノーボードビンディングマウントを移動させることに関わる内部機構を示す。
図13D】スクーティング位置からライディング位置にスノーボードビンディングマウントを移動させることに関わる内部機構を示す。
図14A】上から見た、スノーボードビンディングマウントのソフトロックを示す。
図14B】下から見た、スノーボードビンディングマウントのソフトロックを示す。
図15】ベースプレートに適合したソフトロックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の以下の詳細な説明は添付図を参照する。可能な限り、同じ参照符号は、図面及び以下の説明の全体にわたって使用され、同じ要素及び同様の部分を指す。図面に示される特定の部分の寸法は、明瞭化または例証の目的のために、修正及び/または誇張されている場合がある。
【0020】
本発明は、ライダーの足がスノーボード上に横に位置決められるライディング位置と、ライダーの足がスノーボード上に縦方向に位置決めされるスクーティング位置との間で移動可能であるスノーボードビンディングマウントを提供する。マウントはコンパクト設計であり、マウントをビンディング内で適合することを可能にし、ビンディングの高さ、またはスノーボードの剛性に対して最小の影響をもたらす。
【0021】
図1及び図2は、スノーボード10及びフロントブーツビンディング20に関連する、スノーボードビンディングマウント30、または略してマウントを示す。マウント30が前足ビンディングだけとともに使用されるため、後足ビンディングは示されない。マウント30は、スノーボード10に固定して取り付けられ、ビンディング20に固定された回転部を含み、ビンディング20がスノーボード10に対して回転することを可能にする。マウント30はビンディング20内に適合し、したがって、これらの図では、わずかに部分的に見える。さらに、マウント自体の詳細は後続の図に見られる。マウント30は、その回転位置をロック/ロック解除するためにプッシュプレート110を含む。スノーボードは、その長さに沿った縦軸11と、その幅を横断する横軸12とを有すると考えることができる一方、ビンディングは、ライダーの足と整列する結合軸21を有すると考えることができる。図1では、ビンディング30は、結合軸21がスノーボードの横軸12に対して傾斜角度/ライディング角度22になるライディング位置に位置決められる。一方、図2では、ビンディング30は、結合軸21がスノーボードの縦軸11と一致するスクーティング位置に位置決めされる。使用中、ライダーはプッシュプレート110を押し付け、マウント30をロック解除して、ライディング位置とスクーティング位置との間で回転を可能にする。
【0022】
図3図5は、スノーボードビンディングマウント30を単独で示し、主要構成要素の識別を可能にする。図3は、上から見た、ロック解除用のプッシュパッド110を伴うマウント30を示す。図4Aは、上から見た、ロック解除用の引き手リング100を伴うマウント30を示す。一方、図4Bは、下から見た、マウント30を示す。図5はマウントの分解図を提供する。
【0023】
マウント30は、ねじ(示されない)によって、スノーボードに固定して取り付けられるマウンティングプレート40を備える。マウンティングプレート40は、位置決めロック90と係合して、マウントをスクーティング位置に保持する外向ロッキングセクション42を含む。位置決めロック90は、回転ディスクアセンブリ60の一部であるロックハウジング63の内部に保持される。位置決めロック90は、引き手リング100、またはロックハウジング63に枢動可能に搭載されたプッシュパッド110のいずれか一方を用いて、ロック解除できる(すなわち、ロッキングセクション42から係脱される)。セッティングディスク50は、設定可能角度でベースプレート40の上に着座し、位置決めロック90と係合して、マウントをスクーティング位置に保持するロッキングセクション52を含む。位置決めロック90が引き手リング100またはプッシュパッド110を用いてロック解除されるとき、回転ディスクアセンブリ60は、スクーティング位置とライディング位置との間で自由に回転する。次に、再度、位置決めロック90がロッキング位置に移動するとき、マウントが適所に保持され、そして、ベースプレート40のロッキングセクション42に係合して、スクーティング位置で保たれる、またはセッティングディスク50のロッキングセクション52に係合して、ライディング位置で保たれる、のいずれか一方が生じる。ビンディングアタッチメント70は、スノーボードビンディング20に固定して取り付けられ、同様に、回転ディスクアセンブリ60に固定して取り付けられ、その結果、スノーボードビンディング20は、回転ディスクアセンブリとともに移動する。セッティングロック80は、ベースプレート40にねじ込まれ、セッティングディスク50を適切な位置に保持する。
【0024】
図6は、スノーボードビンディングマウント30を受けるように適応するスノーボードビンディング20を示す。ビンディングは、表現上の利便性のために簡略化され、ブーツアタッチメント等のファインディングマウントと関連付けられない特徴を示すわけではない。ビンディング20は、ヒールロケーター24を伴う平面ベース23と、周辺レッジ26を伴う中央取り付け穴25とを含む。そのような装置は、穴25の中の1つの位置だけに設定できる従来のマウントを受ける従来のビンディングマウントに共通している。さらに、本発明のビンディングマウント30はロックチャネル27を含み、ロックチャネル27により、ロッキング機構が、ビンディングの外部で動作し、取り付け穴30の中のビンディングマウントと係合することを可能にする。レッジ26は、ビンディングアタッチメント70の底部で対応するレッジ76と係合して、ビンディング20をビンディングマウント30に固定する。いくつかの既存のマウントを修正して、ロックチャネル27を追加することによって、本発明のビンディングマウント30を受けることができる。
【0025】
図7A及び図7B図11A及び図11Bは、さらに詳細に、様々な構成要素を説明する。
【0026】
図7A及び図7Bは、それぞれ、上から見た、下から見た、スノーボードビンディングマウント30のベースプレート40を示す。ベースプレート40は、ねじを使用して、ベースプレートをスノーボードに固定するための取り付け穴41を含む。取り付け穴は細長く、かつ波形であることで、さらなる穴をスノーボードに設置する必要がなく、ベースプレートのわずかな再位置決めを可能にする。ロッキング部42は、位置決めロック90のロッキング歯93及びロッキングピン94の機構と係合するために、外向ロッキング歯43及びロッキング穴44を含む。周辺歯45は、セッティングディスク50の対応する周辺歯55と係合して、2つの部分の相対運動を防止する。中央ハブ46を使用して、他の構成要素を整列させ、回転を支持する。ねじ穴47は、凹部48に着座するセッティングロック80の取り付けを可能にする。角度設定マーク49は、傾斜角度/ライディング角度の設定を容易にすることを可能にする。
【0027】
図8A及び図8Bは、それぞれ、上から見た、下から見た、スノーボードビンディングマウント30のセッティングディスク50を示す。セッティングディスク50を使用して、傾斜角度22を設定する。ハブ穴56により、ディスク50はベースプレート40のハブ46で回転することを可能にし、ロッキング部52は、ベースプレートのロッキング部42に対する所望の位置に位置決められる。適所に設置されると、ディスク50がベースプレート上で下がるため、周辺歯55は、ベースプレートの周辺歯45と係合して、さらなる回転を阻止する。ロッキング部52は、位置決めロック90のロッキング歯93及びロッキングピン94の機構と係合するために、外向ロッキング歯53及びロッキング穴54を含む。角度設定スケール59は、ベースプレートの角度設定マークと併用して、傾斜角度/ライディング角度の設定を容易にすることを可能にする。
【0028】
スノーボードビンディングマウント30の回転ディスクアセンブリ60について、上から見たものが図9Aに示され、下から見たものが図9Bに示される。アセンブリは、2つの接続セクション、すなわち回転ディスク61及びロックハウジング62を含む。その名称のとおり、回転ディスク61は、スクーティング位置とライディング位置との間でマウントが移動するときに回転するマウント30の一部である。ディスク61は、(下記に説明される)セッティングロックと係合する傾斜壁64を伴う取り付け穴63を含む。ねじ穴66により、ビンディングアタッチメント70の取り付けを可能にすることにより、ビンディングは調和して回転できる。辺縁65はビンディングアタッチメントを特定するのを助ける。位置決めロック90がロックハウジング62の内部に着座し、引き手リング100によって、ロック解除位置に後退する。バネ95は位置決めロック90をロック位置に戻すように作用し、ロック位置では、ロッキング部92は、ベースプレート40のロッキング部42またはセッティングディスク50のロッキング部52と係合する。ロッキング部は、ベースプレート40及びセッティングディスク50のロッキング歯43及び53と係合するロッキング歯93と、ベースプレート及びセッティングディスクのロッキング穴44及び54と係合するロッキングピン94と、を含む。図1図3に見られるように、旋回アーム68により、ロッキングリング100を、枢動可能に搭載されたプッシュプレート110と交換することを可能にする。
【0029】
図10Aでは上から見た状態で、また図10Bでは下から見た状態で示されるビンディングアタッチメント70を使用して、スノーボードビンディングマウント30をスノーボードビンディング20に取り付ける。ビンディングアタッチメントはねじ穴76を伴うディスク71を備え、ねじ穴76により、ねじ穴66を介して、ディスク71を回転ディスクアセンブリ60に取り付けることを可能にする。取り付け穴75は、正確な場所に対する回転ディスクアセンブリの辺縁65と係合する。フランジ78はマウント30の外側周縁を形成し、ビンディング20のレッジ26に着座し、それら2つを一緒に固定する。フランジの下縁にある歯79は、ビンディングアタッチメント及びビンディングの相対的回転を防止する。ビンディングアタッチメントの変動について、既存の取り付け穴を有する異なる製造業者のビンディングに、マウントを適合させることを可能にすることが容易に想定される。ビンディングアタッチメントは、異なる直径であり、異なる深さのフランジ、異なる歯を伴うフランジもしくは歯がないフランジを有し得る、または全くフランジがない場合があり、そして、ビンディングの上面に取り付けられ得る。様々な取り付け法により、ビンディングアタッチメントとビンディングとの間で生じるグリップ力は、ビンディングとスノーボードとの間で生じる摩擦グリップ力よりも大きくなることが確実になる。これにより、ビンディングアタッチメントが回転ディスクアセンブリと調和して回転するとき、ビンディングも調和して回転することが確実になる。
【0030】
最後に、図11Aでは上から見た状態で示され、また図11Bでは下から見た状態で示されるセッティングロック80は、マウント30の全てを一緒に保持する。ねじ穴87により、セッティングロック80は、ベースプレートの凹部48の中に着座する下側円筒部を伴うベースプレート40に固定されることを可能にする。適所に設置されると、セッティングディスクの回転は不可能になる。上側円錐部84は、回転ディスクアセンブリ60の傾斜壁64と係合して、回転ディスクアセンブリ60を位置決めると同時に、位置決めロックが係脱するとき、さらに、ディスクアセンブリが回転することを可能にする。
【0031】
図12A図12Fは、スノーボードビンディングマウント30をスノーボード10及びスノーボードビンディング20に取り付ける手順のうちの一場面を示す。スノーボード10が示されないが、縦軸11及び横軸12によって表される。様々な構成要素が各ステップで適合されるとき、事前に適合した構成要素は隠れているため、読者は、言及された構成要素のさらなる詳細に関して、前の図及び前述の段落を再び参照することを望み得る。
【0032】
図12Aでは、ベースプレート40は、取り付け穴41を介して、ねじ(示されない)で、スノーボードに取り付けられる。ベースプレートが整列されることにより、ロッキング部42は、スノーボードの横軸12と整列する。ベースプレートは名目上スノーボードの縦軸11の中心上にあるが、ライダーの好みに応じて、一方の側に位置し得る。穴41により、適所でわずかな調整を可能にする。
【0033】
図12Bでは、セッティングディスク50は、回転位置でベースプレート40に設置され、結合軸21が設定され、所望の傾斜角度22を実現する。示されるように、15度の傾斜角度は、セッティングディスクの角度設定スケール59及びベースプレートの角度設定マーク49を用いて設定されている。ベースプレートの周辺歯45及びロッキングディスクの周辺歯55(見えない)は、所望されるように、傾斜角度を3度刻みで調整することを可能にする。結合軸21がマウントの中心点を通過し、セッティングディスク50の中心点と、ロッキング部52の中間点との間にある線に垂直である。
【0034】
図12Cでは、回転ディスクアセンブリ60が適所に設置されることにより、ロックハウジング62及びプッシュプレート110は横軸12と整列する。この位置では、ソフトロック90は、ベースプレートのロッキング部42と係合できる(両方の部品とも隠れている)。
【0035】
図12Dでは、セッティングロック80は、ねじ穴87を通り、ベースプレートの対応するねじ穴47の中に入るねじ(示されない)を用いて適合される。適合されると、セッティングディスク50の回転運動は不可能になる。セッティングロックの上側円錐部84は、回転ディスクアセンブリ60の傾斜壁64と係合して、回転ディスクアセンブリを位置決めることと、回転ディスクアセンブリが垂直に移動するのを防止することと、の両方の働きをするのと同時に、回転ディスクアセンブリが回転することをさらに可能にする。
【0036】
図12Eでは、ビンディング20は、回転ディスクアセンブリ60の上にわたって設置される。回転ディスクアセンブリは取り付け穴25の中に着座し、ロックハウジング62はロックチャネル27(隠れている)を通って突出する。
【0037】
最後に、図12Fでは、ビンディングアタッチメント70は、ねじ穴76を通り、回転ディスクアセンブリのねじ穴66の中に入るねじ(示されない)を用いて適所に適合して保持される。ビンディングアタッチメントのフランジは、ビンディング取り付け穴のレッジと係合して、ビンディングがビンディングアタッチメント及び回転ディスクアセンブリと調和して回転することを確実にする。
【0038】
ここで、ビンディング20はビンディングマウント30に固定して取り付けられ、そして、図12F及び図2に示されるように、スクーティング位置に保たれると同時に、位置決めロック90が係合する。図1に示されるように、位置決めロック90は、プッシュプレート110を用いて係脱され、ビンディング20がライディング位置まで回転することを可能にし得る。次に、位置決めロックは、再度、(プッシュプレートが押されていない状態になると、バネ作用を受けて)係合され、ビンディングをライディング位置に維持できる。
【0039】
図13A図13Dは、スクーティング位置からライディング位置にスノーボードビンディングマウントを移動させることに関わる内部機構を示す。スクーティング位置及びライディング位置では、位置決めロックのロッキング部92は、各々、ベースプレート40及びセッティングディスク50のロッキング部42、52と係合する。位置決めロックを引き出すいくつかの作業がないと、これらの位置でマウントを回転させることが不可能になる。その理由として、位置決めロックのロッキング歯93及びロッキングピン94の両方が、ベースプレート及びセッティングディスクのロッキング歯43,53及びロッキング穴44,54と係合するためである。ロッキングピン94により、ロッキング穴44及び54に係合することによって、回転位置が効果的に設定されるが、位置決めロックをしっかり保持しない。ロッキング歯93は、ロッキング歯44及び54と併用して、適所に設定されると、位置決めロックがしっかり保持され、回転できないことが確実になる。
【0040】
図13Aでは、マウントは、スクーティング位置でロックされ、位置決めロック90のロッキング部92は、ベースプレート40のロッキング部42と係合する。
【0041】
図13Bでは、位置決めロックは係脱されており、図13Cに示されるように、位置決めロック(及び取り付けビンディング20)が、ライディング位置に回転することを可能にする。
【0042】
図13Dでは、位置決めロック90のロッキング部92は、セッティングディスク40のロッキング部52と係合して、マウントをライディング位置に固定する。
【0043】
図14A及び図14Bは、それぞれ、上から見た、下から見た、スノーボードビンディングマウントのソフトロック120を示す。ソフトロックは、ベースプレート40のロッキング部42と係合して、そのロッキング挙動を修正する。ソフトロックがなく、直前の段落に説明したように、マウントをスクーティング位置から解放するために、位置決めロック90を引き出す必要がある。これは、プッシュプレート110または引き手リング100のいずれか一方で行われ、位置決めロックが不注意に係脱されないことを確実にする。ソフトロックが適所にある場合、ライダーは、回転力をライダーの足に加えることによって、位置決めロックを係脱することを可能にする。これは、スクーティング位置からライディング位置に移行するプロセスを簡略化して速くする。ライディング位置からロック解除することは、さらに、乗りながら、不注意の着脱を防止するために、位置決めロック90を引っ張ることが必要になる。図15は、ベースプレート40、セッティングディスク50、及び位置決めロック90に関連する、ソフトロック120を示す。
【0044】
ソフトロック120は、ベースプレート40の歯43と係合するための歯123と、ベースプレートのロッキング穴44と係合するためのピン124とを備える。ソフトロックは、ねじ穴121を通るねじ(示されない)を用いて、ベースプレートと適所に保持される。ベースプレートに適合すると、ソフトロックはベースプレートの歯43及びロッキング穴44を効果的にブロックし、代わりに、位置決めロック90のロッキングピン94に「ソフトに」係合するためにソフトロッキング穴125を提供する。ロッキングピン94及びソフトロッキング穴の係合により所望の回転位置が確実になるが、ロッキングピンは全体的に固定されていない。ライダーがその足を回転させることによって、横向きに圧力を加えることによって、ロッキングピン94をソフトロッキング穴125から外すことができる。ガイド126は、ロッキングピン94がソフトロッキング穴から係脱した後、ロッキングピン94に対する経路を提供する。
【0045】
ここで、読者は、スクーティング位置と設定可能なライディング位置との間で移動可能であるスノーボードビンディング用のマウントを提供する本発明を認識するであろう。コンパクト設計は、ビンディングの高さを増大させることなく、またはスノーボードの剛性に影響を与えることなく、マウントをビンディングに組み込むことを可能にする。
【0046】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に対してさらなる利点及び改善をかなり良好にもたらし得る。最も実用的で好ましい実施形態になるように考えられることに関して、本発明を示し、説明してきたが、本発明の範囲内で本実施形態から逸脱し得ることが認識され、本発明は本明細書に開示される詳細に限定されないが、いずれの及び全ての同等のデバイス及び装置を含むように、「特許請求の範囲」の全範囲内に含まれるように従ったものである。本明細書の全体にわたる先行技術のいずれかの説明は、全く、そのような先行技術が広範囲に知られている、またはこの分野における共通の一般知識の一部を形成すると認めたものと見なすべきではない。
【0047】
本発明の明細書及び請求項(存在する場合)では、「備える(comprising)」という用語、及びその派生語(「備える(comprises)」及び「備える(comprise)」を含む)は、規定された整数の1つを含むが、1つ以上の整数の含有を除外するわけではない。
【符号の説明】
【0048】
10 スノーボード
11 縦軸
12 横軸
20 スノーボードビンディング
21 ビンディング軸
22 傾斜角度/ライディング角度
23 ベース
24 ヒールロケーター
25 取り付け穴
26 レッジ
27 ロックチャネル
30 スノーボードビンディングマウント
40 ベースプレート
41 取り付け穴
42 ロッキング部
43 ロッキング歯
44 ロッキング穴
45 周辺歯
46 ハブ
47 ねじ穴
48 凹部
49 角度設定マーク
50 セッティングディスク
52 ロッキング部
53 ロッキング歯
54 ロッキング穴
55 周辺歯
56 ハブ穴
59 角度設定スケール
60 回転ディスクアセンブリ
61 回転ディスク
62 ロックハウジング
63 取り付け穴
64 傾斜壁
65 辺縁
66 ねじ穴
68 枢動アーム
70 ビンディングアタッチメント
71 ディスク
75 取り付け穴
76 ねじ穴
77 ロック用空隙
78 フランジ
79 歯
80 セッティングロック
84 上側円錐部
87 ねじ穴
88 下側円筒部
90 位置ロック
92 ロッキング部
93 ロッキング歯
94 ロッキングピン
95 バネ
100 引き手リング
110 プッシュプレート
120 ソフトロック
121 ねじ穴
123 歯
124 ピン
125 ソフトロッキング穴
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15
【国際調査報告】