(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-19
(54)【発明の名称】家具金具用の少なくとも1つの構成要素を製作するための方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/01 20060101AFI20240809BHJP
A47B 88/427 20170101ALI20240809BHJP
A47B 88/43 20170101ALI20240809BHJP
B21D 53/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B21D5/01 Q
A47B88/427
A47B88/43
B21D53/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504134
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 AT2022060255
(87)【国際公開番号】W WO2023000004
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オラフ イゼレ
【テーマコード(参考)】
3B160
4E063
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB51
3B160AB52
3B160EA07
3B160EA13
4E063AA01
4E063CA08
4E063MA04
4E063MA30
(57)【要約】
家具金具用の少なくとも1つの構成要素(1)、特に好適には引出し用引出しガイド(4)用の、特にレールを製作するための方法において、少なくとも1つの構成要素(1)、好ましくはレールの半製品(10)として、0.5mm~1.5mmの範囲内の肉厚(20)を有する平らな、好ましくは金属製の薄板(5)、特に好適には鋼板(5)であって、長手延在方向(6)と、2つの表面(7)と、薄板(5)の幅(8)により離間させられた2つの側面(9)とを有する薄板(5)を準備する方法ステップと、薄板(5)の少なくとも一方の表面(7)に、好ましくは少なくとも1つの型押しパンチ(11)および/または少なくとも1つの型押しロール(12)によって、長手延在方向(6)に対して横方向に、好ましくは実質的に直交して配置される少なくとも1つの窪み(13)を設ける方法ステップと、薄板(5)を曲げ加工し、これによって、長手延在方向(6)に対して直交する横断面(14)で見たとき、少なくとも1つの構成要素(1)、好ましくはレールの形材(15)を形成する方法ステップと、曲げ加工された薄板(5)を少なくとも1つの窪み(13)の領域で力学的に分離する、好ましくは破折する、特に好適には曲折して分割する方法ステップとを上記時系列順で実施することを特徴とする、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具金具用の少なくとも1つの構成要素(1)、特に好適には引出し用引出しガイド(4)用の、特にレールを製作するための方法において、
- 前記少なくとも1つの構成要素(1)、好ましくはレールの半製品(10)として、0.5mm~1.5mmの範囲内の肉厚(20)を有する平らな、好ましくは金属製の薄板(5)、特に好適には鋼板(5)であって、長手延在方向(6)と、2つの表面(7)と、前記薄板(5)の幅(8)により離間させられた2つの側面(9)とを有する薄板(5)を準備する方法ステップと、
- 前記薄板(5)の少なくとも一方の表面(7)に、好ましくは少なくとも1つの型押しパンチ(11)および/または少なくとも1つの型押しロール(12)によって、前記長手延在方向(6)に対して横方向に、好ましくは実質的に直交して配置される少なくとも1つの窪み(13)を設ける方法ステップと、
- 前記薄板(5)を曲げ加工し、これによって、前記長手延在方向(6)に対して直交する横断面(14)で見たとき、前記少なくとも1つの構成要素(1)、好ましくはレールの形材(15)を形成する方法ステップと、
- 前記曲げ加工された薄板(5)を前記少なくとも1つの窪み(13)の領域で力学的に分離する、好ましくは破折する、特に好適には曲折して分割する方法ステップと
を上記時系列順で実施することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの窪み(13)によって、前記薄板(5)の両方の側面(9)を互いに繋ぎ、かつ/または前記薄板(5)の両方の前記表面(7)に、互いに反対側に位置する、好ましくは両方の前記表面(7)のうちの少なくとも一方の表面に対して直交する方向で互いに上下に位置する少なくとも2つの窪み(13)を配置する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記曲げ加工された薄板(5)を少なくとも2つの窪み(13)、好ましくは互いに上下に位置する少なくとも2つの窪み(13)において力学的に分離する、好ましくは破折する、特に好適には曲折して分割する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構成要素(1)を、前記形材(15)の少なくとも1つの終端面(17)、好ましくは2つの終端面(17)に実質的にバリのない先細り部(16)を備えて形成し、好ましくは、該先細り部(16)は、実質的に三角形(19)、好ましくは等脚三角形(19)の形態の、前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して平行な先細り部断面(18)を有し、該先細り部断面(18)は、特に好適には凸状かつ/または凹状に形成されていることが特定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記曲げ加工された薄板(5)を前記少なくとも1つの窪み(13)の領域で分離切断なし、打抜きなしかつ裁断なしに破断し、前記少なくとも1つの窪み(13)を、前記曲げ加工された薄板(5)の曲折中の目標破断箇所として使用し、好ましくは、前記少なくとも1つの構成要素(1)を後加工なしに形成することが特定されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記薄板(5)は、0.6mm~0.8mmの範囲内の肉厚(20)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記薄板(5)を少なくとも一方の側面(9)の領域で、好ましくは前記薄板(5)の曲げ加工中に折り曲げて、折曲げ部(21)を形成する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの窪み(13)を前記薄板(5)に、40°~140°、好ましくは75°~105°の範囲内、特に好適には実質的に90°の開き角(24)を有する溝(22)またはプロファイル加工部(23)の形態で加工する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの窪み(13)は、三角形(19)、台形(26)、楕円セグメント(27)および/または円セグメントの形態の、前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して平行な窪み断面(25)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
構成要素(1)あたり、両方の前記表面(7)に対を成して配置されるそれぞれ正確に4つの窪み(13)を平らな前記薄板(5)に加工し、前記構成要素(1)を、前記曲げ加工された薄板(5)の前記4つの窪み(13)にわたる2回の、好ましくは連続した破折によって形成する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記薄板(5)に、両方の前記表面(7)に対を成して配置される多数の窪み(13)を設け、次いで、多数の構成要素(1)を力学的に破折する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
家具キャビネットに引出しを可動に支持するための引出し用引出しガイド(4)であって、
- 前記家具キャビネットに固定すべき少なくとも1つのキャビネット側レール(2)と、
- 前記引出しに結合すべき少なくとも1つの引出し側レール(3)であって、前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)に対して相対的に長手方向(30)に移動可能に支持された少なくとも1つの引出し側レール(3)と
を備え、
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、前記長手方向(30)に対して直交する横断面(14)で見たとき、平らな少なくとも1つの薄板(5)から形成された形材(15)を有する、
引出し用引出しガイド(4)において、
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、構成要素(1)として、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法によって製作されており、これによって、前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)の前記形材(15)の少なくとも1つの終端面(17)、特に2つの終端面(17)が、先細り部(16)を備えて形成されている
ことを特徴とする、引出し用引出しガイド(4)。
【請求項13】
前記先細り部(16)は、60°~140°、好ましくは75°~105°の範囲内、特に好適には実質的に90°の角度(31)を有し、好ましくは、少なくとも1つの終端面(17)、好ましくは両方の終端面(17)は、実質的にバリなしに形成されていることが特定されている、請求項12記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、前記家具キャビネットまたは少なくとも1つの家具部分への組付け時に少なくとも部分的に前記家具キャビネットまたは前記少なくとも1つの家具部分に当付け可能である固定面(33)を備えた少なくとも1つの固定区分(32)を有し、該少なくとも1つの固定区分(32)は、固定手段(36)、好ましくはねじを貫通させるための、好ましくは円形の少なくとも1つの開口(35)を有し、該少なくとも1つの開口(35)は、前記固定面(33)から、好ましくは0.5mm~1.5mm、特に好適には0.6mm~0.8mmの前記固定区分(32)の材料厚さにより離間させられた第2の面(38)で、該第2の面(38)から横方向に突出した隆起部(39)によって取り囲まれている、請求項12または13記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、前記形材(15)の少なくとも1つの形材面(40)の領域で折り曲げられて、折曲げ部(21)を形成している、請求項12から14までのいずれか1項記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの先細り部(16)は、実質的に三角形(19)、好ましくは等脚三角形(19)の形態の、前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して平行な先細り部断面(18)を有し、好ましくは、該先細り部断面(18)は凸状かつ/または凹状に形成されていることが特定されている、請求項12から15までのいずれか1項記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項17】
前記形材(15)は、該形材(5)を補強するための、好ましくは前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して直交方向に向けられた少なくとも1つの型押し部(41)を有し、好ましくは、該少なくとも1つの型押し部(41)は、実質的に直交する少なくとも2つの形材面(40)にわたって延在しており、かつ/または前記形材(15)の内側領域(42)の方向および外側領域(43)の方向に交互に配置された少なくとも2つの型押し部(41)が設けられていることが特定されている、請求項12から16までのいずれか1項記載の引出し用引出しガイド(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具金具用の少なくとも1つの構成要素、特に好適には引出し用引出しガイド用の、特にレールを製作するための方法に関する。さらに、本発明は、請求項12の前提部に記載の、家具キャビネットに引出しを可動に支持するための引出し用引出しガイドに関する。
【0002】
特に家具産業あるいは家具業界で用いられる構成要素、例えばレールの製作における一般的な問題は、レールまたはこれに類するものの製作のために必要となる金属の所要量にある。材料使用が増えることで、重量が増すと共に大量生産におけるコストが増大してしまう。したがって、金属を可能な限り少なく使用することが所望されている。なぜならば、特に原料を資源効率よく使用することによって、環境的な利点も経済的な利点ももたらされるからである。
【0003】
金属を節約するための手段は、肉薄の金属薄板を使用することである。この場合、有利には、レールの重量を減じることもできる。先行技術では、特に家具産業で用いられるレールが、通常、分離切断を介して、例えば規定の幅の鋸刃によって定尺切断され、これによって、規定の寸法を有するレールが形成される。しかしながら、この場合には、大量の金属が廃生成物として生じてしまう。家具産業には、このような金属スクラップを阻止することによって材料節約を達成する必要性が長らく存在している。
【0004】
管および押出し形材を製作するための方法は、すでに独国特許出願公開第102007018927号明細書に基づき公知である。同明細書では、定尺切断プロセスステップ後の怪我のリスクと変形の量とを分離スクラップを生じさせることなく最小限に抑えるために、管または押出し形材に設けられた面取り部が使用される。
【0005】
半製品を引き続き搬送するためには、半製品自体しか使用されないが、管および押出し形材は、次いで、各々の要求分野に適合させられなければならず、半製品の構造上の構成が一次成形プロセスによって規定されているという欠点が先行技術にはある。これに対して、規定のタスク、個別の目的、構造上の構成ならびに特定の課題を有する特定のタスク分野に対する方法は与えられていない。
【0006】
更なる方法が、米国特許出願公開第2009/019804号明細書、独国特許出願公開第19641144号明細書、独国特許出願公開第102007018927号明細書、米国特許第2,222,842号明細書ならびに独国特許出願公開第2030561号明細書に基づき公知である。
【0007】
したがって、本発明の客観的な技術的な課題は、先行技術の欠点が少なくとも部分的に取り除かれていて、特に家具金具用の構成要素の製作中の金属廃物の削減の点で優れている、先行技術に比べて改善された、家具金具用の少なくとも1つの構成要素を製作するための方法と、改善された引出し用引出しガイドとを提供することである。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0009】
したがって、本発明によれば、
- 少なくとも1つの構成要素、好ましくはレールの半製品として、0.5mm~1.5mmの範囲内の肉厚を有する平らな、好ましくは金属製の薄板、特に好適には鋼板であって、長手延在方向と、2つの表面と、薄板の幅により離間させられた2つの側面とを有する薄板を準備する方法ステップと、
- 薄板の少なくとも一方の表面に、好ましくは少なくとも1つの型押しパンチおよび/または少なくとも1つの型押しロールによって、長手延在方向に対して横方向に、好ましくは実質的に直交して配置される少なくとも1つの窪みを設ける方法ステップと、
- 薄板を曲げ加工し、これによって、長手延在方向に対して直交する横断面で見たとき、少なくとも1つの構成要素、好ましくはレールの形材を形成する方法ステップと、
- 曲げ加工された薄板を少なくとも1つの窪みの領域で力学的に分離する、好ましくは破折する、特に好適には曲折して分割する方法ステップと
を上記時系列順で実施することが特定されている。
【0010】
これによって、家具産業における従来の構成要素、例えばレールまたはこれに類するものにおいて、形材材料からのレールの切削分離プロセスによって生じる材料廃物を効果的に阻止することができることが初めて可能となる。このことは、大量生産において、金属スクラップの廃棄処理手間および/またはリサイクル手間の減少、綺麗な構成要素およびより清潔な加工環境、より少ない後加工手間ならびに生産における大幅なコスト節約に結び付く。なぜならば、加工ステップならびに打抜き廃物または例えば分離工具の切断幅に起因する分離廃物が、製作された各々の構成要素によって累積されるからである。
【0011】
力学的な分離、例えば、鋸刃のような切断工具を用いない破断、曲折または分割は、家具産業の分野、特に構成要素、例えばレールにおいて、これまで知られていなかった。なぜならば、特に従来では、レールまたはこれに類するものの複雑なジオメトリ構成を損なってしまうことを、まず初めに、形材の大きな材料厚さならびに大きな横断面直径と同時に形材のジオメトリ忠実度および精度に課される高い要求に基づき、切削分離プロセスを利用することによって可能な限り少なくするという骨の折れる苦労あったからである。本発明によれば、少なくとも1つの構成要素の形材のジオメトリが、横断面においてならびに長手延在方向にわたって精確に維持され続けることも保証される。
【0012】
少ない肉厚を有する特に軽量の構成要素は、特に有利には、本方法によって少ない力消費および低い塑性変形で製作することができる。この場合には、構成要素の、審美的に好印象を与える見栄えも十分に付与されている。
【0013】
(例えば平鋼として存在している)薄板が曲げ工程前に窪みに関してプロファイル加工されると、少なくとも1つの構成要素を形成するための曲げ工程において、複雑なジオメトリも可能となる。この場合、少なくとも1つの窪みが、少なくとも1つの構成要素の形材の複雑なジオメトリに追従し、これによって、構成要素を特に効率よく大量生産することができる。少なくとも1つの構成要素の形材は、少なくとも1つの窪みによって、特に曲げ工程前の加工に基づき、望ましくないほどには損なわれない。
【0014】
力学的な分離という専門用語は、例えば切削分離プロセスに起因して材料廃物を生じさせない全ての分離プロセスを意味している。
【0015】
構成要素は、例えば、特に家具金具としての引出し用引出しガイド用のレール、例えばキャビネット側レールまたは引出し側レールを成していてもよいし、フラップ金具または別種の家具金具、例えばヒンジ用のバンドアーム、作動アーム、ヒンジ部材、ハウジング部材またはこれに類するものを成していてもよい。
【0016】
さらに、少なくとも1つの構成部材によって、切削分離プロセスに起因するバリがないことに基づき、家具の使用者および/または構成要素を取り付ける組立工の怪我のリスクがより少なくなり、後加工が不要になるというプラスの特性が得られる。さらに、例えば分離工具は摩滅現象に基づき、制限された寿命を有している。本発明では、構成要素の大量生産中の保守作業および/または維持作業を大幅に減じることができる。少なくとも1つの構成要素の長手方向延在長さは、少なくとも1つの窪みの位置決めに関して柔軟に適合させることができる。薄板は、すでに適切な長さ寸法で前もって存在している必要はない。
【0017】
少なくとも1つの構成要素は、例えば家具レール、キャビネット側レール、中間レール、引出し側レール等を成していてよい。分離切断なし、切りくずなしかつ好適にはバリなしの力学的な破折工程における冷間硬化によって、少なくとも1つの窪みが目標破断箇所として働くことができる。この場合、少なくとも1つの窪み周辺の領域に、構成要素の特に有利な材料特有の特徴が得られる。
【0018】
構成要素の破折工程は、分離切断なしの分離工具、例えばプランジャまたはこれに類するものによって行われてもよいし、手で行われてもよい。特に好適には、少なくとも1つの構成要素を残りの材料から加圧および/または引張によって(例えば互いに引き離すことを介して)遠ざけるために、半自動的または自動的な液圧式駆動装置または空気圧式駆動装置が使用される。この場合、(バリの発生および後加工ステップを伴う)打抜き工具、鋸または砥石車は不要となる。少なくとも1つの窪みは、曲げ荷重が加えられる場合、少なくとも1つの構成要素を形成するための規定の破折縁部として作用することができる。この場合には、引張/圧縮荷重が少なくとも1つの窪みに集束させられる。
【0019】
少なくとも1つの窪みは、例えば圧刻パンチのような型押しパンチまたは圧刻ロールのような型押しロールを介して帯材形態の薄板に加工されてよい。通常、力学的な分離(破折)後には、構成要素の形材の終端面に少なくとも1つの面取り部の形態の先細り部が配置されている。好適には、少なくとも1つの窪みは2つのフランクを備えている。破折工程後には、一方のフランクが少なくとも1つの構成要素に割り当てられている。
【0020】
また、冒頭に記載したように、家具キャビネットに引出しを可動に支持するための引出し用引出しガイドであって、
- 家具キャビネットに固定すべき少なくとも1つのキャビネット側レールと、
- 引出しに結合すべき少なくとも1つの引出し側レールであって、少なくとも1つのキャビネット側レールに対して相対的に長手方向に移動可能に支持された少なくとも1つの引出し側レールと
を備え、
少なくとも1つのキャビネット側レールおよび/または少なくとも1つの引出し側レールは、長手方向に対して直交する横断面で見たとき、平らな少なくとも1つの薄板から形成された形材を有する、
引出し用引出しガイドにおいて、
少なくとも1つのキャビネット側レールおよび/または少なくとも1つの引出し側レールは、構成要素として、本発明に係る方法によって製作されており、これによって、少なくとも1つのキャビネット側レールおよび/または少なくとも1つの引出し側レールの形材の少なくとも1つの終端面、特に2つの終端面が、先細り部を備えて形成されている
ことを特徴とする、引出し用引出しガイドに対しても保護が求められる。
【0021】
しかしながら、本方法の使用は、引出し用引出しガイドと異なる別種の家具金具に適用可能である。
【0022】
長手方向は、通常、薄板の長手延在方向と同一である。特に好適には、先細り部は、少なくとも1つの構成要素の形材全体にわたって終端面に延在している。
【0023】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に規定してある。
【0024】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つの窪みによって、薄板の両方の側面を互いに繋ぎ、かつ/または薄板の両方の表面に、互いに反対側に位置する、好ましくは両方の表面のうちの少なくとも一方の表面に対して直交する方向で互いに上下に位置する少なくとも2つの窪みを配置することが特定されている。
【0025】
互いに上下に位置する窪みによって、構成要素の特に対称的な終端面を形成することができる。この場合、互いに反対側に位置しかつ/または相並んで配置された窪みは、通常、互いに異なる深さおよび/または窪みジオメトリを有していてよい。
【0026】
有利には、曲げ加工された薄板を少なくとも2つの窪み、好ましくは互いに上下に位置する少なくとも2つの窪みにおいて力学的に分離する、好ましくは破折する、特に好適には曲折して分割することが特定されている。
【0027】
しかしながら、通常、力学的な分離工程のために、ただ1つの窪みしか利用しないことも可能である。
【0028】
少なくとも1つの構成要素を、形材の少なくとも1つの終端面、好ましくは2つの終端面に実質的にバリのない先細り部を備えて形成し、好ましくは、この先細り部は、実質的に三角形、好ましくは等脚三角形の形態の、薄板の長手延在方向に対して平行な先細り部断面を有し、この先細り部断面は、特に好適には凸状かつ/または凹状に形成されていることが特定されていると有利であると判った。
【0029】
先細り部は、通常、少なくとも1つの窪みを加工することによる冷間硬化と、力学的な分離プロセスステップにおける塑性変形との組合せによって得られ、通常、形材の終端面全体にわたって延在している。
【0030】
本発明の有利な実施形態によれば、曲げ加工された薄板を少なくとも1つの窪みの領域で分離切断なし、打抜きなしかつ裁断なしに破断し、少なくとも1つの窪みを、曲げ加工された薄板の曲折中の目標破断箇所として使用し、好ましくは、少なくとも1つの構成要素を後加工なしに形成することが特定されていることが特定されている。
【0031】
力学的な分離の技法は通常任意である。力学的な分離中には切りくずは生じず、必ずしも必要ではないが、場合により切削による後加工が設けられていてよく、これによって、少なくとも1つの構成要素を、例えば家具レールとして直接使用することができる。
【0032】
薄板は、0.6mm~0.8mmの範囲内の肉厚を有すると有利であると判った。
【0033】
従来の構成要素、例えばレールで使用される1.5mmを下回る肉厚によって、特に軽量の構成要素が与えられている。この構成要素は、特に有利には本発明に係る方法によって力学的に分離することができ、少ない材料消費を伴う。
【0034】
本発明の有利な変化形態は、薄板を少なくとも一方の側面の領域で、好ましくは薄板の曲げ加工中に折り曲げて、折曲げ部を形成することにある。
【0035】
折曲げ部によって、構成要素自体の重量を二倍にすることなく、肉厚を局所的に二倍にして、構成要素の所望の領域における強度特性および/または安定性特性を高めることができる。
【0036】
少なくとも1つの窪みを薄板に、40°~140°、好ましくは75°~105°の範囲内、特に好適には実質的に90°の開き角を有する溝またはプロファイル加工部の形態で加工すると特に好適である。
【0037】
例えば、少なくとも1つの窪みに対して同一のまたは異なる深さおよび/またはジオメトリを利用して、引裂きおよび/または破折のための規定の目標破断箇所として機能させることができる。
【0038】
本発明の一実施例では、少なくとも1つの窪みは、三角形、台形、楕円セグメントおよび/または円セグメントの形態の、薄板の長手延在方向に対して平行な窪み断面を有することが特定されている。
【0039】
特に好適には、少なくとも1つの窪みは、薄板の形材への曲げ工程後、両方の表面の間に0.05mm~0.2mm、好ましくは0.08mm~0.12mmが残るように存在している。特に好適には、少なくとも1つの窪みは台形を有している。この場合、両方の表面の間の台形の最小の辺長さは、0.1mm~0.4mm、好ましくは0.15mm~0.25mmである。
【0040】
本発明の好適な実施例によれば、構成要素あたり、両方の表面に対を成して配置されるそれぞれ正確に4つの窪みを平らな薄板に加工し、構成要素を、曲げ加工された薄板の4つの窪みにわたる2回の、好ましくは連続した破折によって形成することが特定されている。
【0041】
これによって、力学的な分離工程を促進することができるだけでなく、材料節約を最大化することができる。
【0042】
薄板に、両方の表面に対を成して配置される多数の窪みを設け、次いで、多数の構成要素を力学的に破折すると有利であると判った。
【0043】
これによって、大量の構成要素を時間効率よく連続して、好ましくは同一の半製品にわたって中断なしに製作することができる。
【0044】
さらに、好適には、先細り部は、60°~140°、好ましくは75°~105°の範囲内、特に好適には実質的に90°の角度を有し、好ましくは、少なくとも1つの終端面、好ましくは両方の終端面は、実質的にバリなしに形成されていることが特定されていることが特定されている。
【0045】
先細り部のジオメトリは、少なくとも1つの窪みのジオメトリを介して柔軟に調整することができる。
【0046】
更なる実施形態では、少なくとも1つのキャビネット側レールおよび/または少なくとも1つの引出し側レールは、家具キャビネットまたは少なくとも1つの家具部分への組付け時に少なくとも部分的に家具キャビネットまたは少なくとも1つの家具部分に当付け可能である固定面を備えた少なくとも1つの固定区分を有し、この少なくとも1つの固定区分は、固定手段、好ましくはねじを貫通させるための、好ましくは円形の少なくとも1つの開口を有し、この少なくとも1つの開口は、固定面から、好ましくは0.5mm~1.5mm、特に好適には0.6mm~0.8mmの固定区分の材料厚さにより離間させられた第2の面で、この第2の面から横方向に突出した隆起部によって取り囲まれていることが特定されていてよい。
【0047】
隆起部によって、開口の周縁部が強化される。この場合、ねじ頭の下面から生じる力をより大きな面に分配することができる。隆起部によって、固定区分の肉薄の金属内へのねじ頭の沈み込みを減じることができる。したがって、こうして、開口の周縁部の損傷のリスクを減じることができ、材料を節約することができる。
【0048】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つのキャビネット側レールおよび/または少なくとも1つの引出し側レールは、形材の少なくとも1つの形材面の領域で折り曲げられて、折曲げ部を形成していることが特定されている。
【0049】
折曲げ部によって、レール/構成要素の重量に対するレールまたは別種の構成要素の耐力の比を高めることができる。
【0050】
特に好適には、少なくとも1つの先細り部は、実質的に三角形、好ましくは等脚三角形の形態の、薄板の長手延在方向に対して平行な先細り部断面を有し、好ましくは、この先細り部断面は凸状かつ/または凹状に形成されていることが特定されていることが特定されている。
【0051】
好適な実施形態によれば、形材は、この形材を補強するための、好ましくは薄板の長手延在方向に対して直交方向に向けられた少なくとも1つの型押し部を有し、好ましくは、この少なくとも1つの型押し部は、実質的に直交する少なくとも2つの形材面にわたって延在しており、かつ/または形材の内側領域の方向および外側領域の方向に交互に配置された少なくとも2つの型押し部が設けられていることが特定されていることが特定されている。
【0052】
少なくとも1つの型押し部は、少なくとも1つの構成要素の安定性および/または強度を特に効率的な材料所要量で促進する。
【0053】
以下に、本発明の更なる詳細および利点を図面の説明に基づき図示の実施例を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1a】走行キャリッジを含めた特に好適な実施例による引出し用引出しガイドを前方から見た図である。
【
図1b】走行キャリッジを省いた特に好適な実施例による引出し用引出しガイドを前方から見た図である。
【
図2a】
図1aに示した実施例による、家具金具の構成要素としてのキャビネット側レールと引出し側レールとを備えた引出し用引出しガイドの斜視図である。
【
図2b】引出し側レールの斜視的な拡大した詳細部分図である。
【
図3a】レールを製作するためのプロセス中の、プロファイル加工された状態における窪みを有するレールの折曲げ加工後および折曲げ加工前の状態の斜視図である。
【
図3b】窪みの斜視的な拡大した詳細部分図である。
【
図4a】
図3aに示した実施例によるレールの斜視図である。
【
図4b】半製品の分離を行った後のレールの斜視図ならびにそれを側方から見た図である。
【
図5】
図4bに示した実施例によるレールの斜視図、それを側方から見た図およびならびにレールと半製品との間の破折箇所の詳細図である。
【
図6】力学的な分離プロセスステップ中の、
図3aに示した実施例によるレールの斜視図、それを側方から見た図およびレールと半製品との分離領域の拡大した詳細部分図である。
【
図7】半製品からのレールの分離を行った後の、
図4bに示した実施例によるレールの斜視図、それを側方から見た図ならびに半製品およびレールにそれぞれ先細り部を備えた終端面の拡大した詳細部分図である。
【0055】
図1aには、家具キャビネットに引出しを可動に支持するための引出し用引出しガイド4が示してある(図中、見やすさの理由から、家具部分は図示せず)。この引出し用引出しガイド4は、家具キャビネットに固定すべきキャビネット側レール2と、引出しに結合すべき引出し側レール3とを備えている。この引出し側レール3は、キャビネット側レール2に対して相対的に長手方向30に移動可能に支持されている。キャビネット側レール2と引出し側レール3とは、この実施形態では引出し用引出しガイド4の形態で存在している家具金具用の構成要素1としてのそれぞれ1つのレールを成している。
【0056】
キャビネット側レール2と引出し側レール3との間には、この引出し側レール3をキャビネット側レール2に対して相対的にガイドするための走行キャリッジが配置されている。通常では、キャビネット側レール2および/または引出し側レール3に配置された中間レールが補足的に設けられていてよい。
【0057】
キャビネット側レール2と引出し側レール3とは、長手方向30に対して直交する横断面14で見たとき、平らな薄板5から形成された形材15を有している。キャビネット側レール2と引出し側レール3とは、引出し用引出しガイド4用のレール1を製作するための方法によって製作されている。この方法については、
図3a~
図7により詳しく説明する。
【0058】
図1bは、走行キャリッジが図示目的で取り除かれている点でしか
図1aと異なっていない。これによって、引出し側レール3の打抜き部が明らかとなる。この打抜き部は、互いに直交する2つの形材面40に材料接続的に結合されていて、補強部としても、走行キャリッジ用のストッパとしても働く。
【0059】
図2aには、引出し側レール3とキャビネット側レール2とから成るアセンブリが、部分的に進出させられた位置で示してある。キャビネット側レール2の形材15は、薄板5の長手延在方向6に対して直交方向に向けられた、形材5を補強するための6つの型押し部41を備えている。この場合、それぞれ形材15の内側領域42の方向および外側領域43の方向に交互に配置された型押し部41に対する2つの群が設けられている。しかしながら、通常では、ただ1つの群および/または2つ以上の交互の型押し部41から成る群も可能である。
【0060】
キャビネット側レール2と引出し側レール3とは、それぞれ形材15の2つの形材面40の領域で折り曲げられて、折曲げ部21を形成している。通常、ただ1つのレール1が複数の折曲げ部21を有していてもよく、かつ/または単に1つ以上の折曲げ部21を備えていてもよい。折曲げ部21は、形材15の曲げ工程前、曲げ工程後かつ/または好適には曲げ工程中に形成されてよい。
【0061】
キャビネット側レール2は、家具キャビネットへの組付け時にこの家具キャビネットまたは少なくとも1つの家具部分に当付け可能である固定面33を備えた固定区分32を備えている。この固定区分32は、ねじの形態の固定手段36を貫通させるための円形の4つの開口35を備えている。これらの開口35は、固定面33から、通常では薄板の肉厚20に対して異なっていてよい固定区分32の材料厚さにより離間させられた第2の面38で、この第2の面38から横方向に突出した隆起部39によって取り囲まれている。
【0062】
キャビネット側レール2の端領域に設けられていて、折曲げ部21を貫通した打抜き部によって、形材15の裂開(側面9同士の間の角度の増大)が特に効果的に阻止される。また、キャビネット側レール2および引出し側レール3のリブ付け部41も、形材15の抵抗モーメントもしくは形材15の安定性/強度を高めることによってレールの裂開を阻止していて、形材15の、特に長手方向30での変形を阻んでいる。
【0063】
通常、キャビネット側レール2の両方の端領域には、キャビネット側レール2を家具部分に結合するために使用することができる2つの打抜き部が設けられている。特に好適には、一方の打抜き部は、側面9に対して直交方向に向けられており、他方の打抜き部は、曲げ部によって側面9に対して平行に配置されている。
【0064】
図2bには、引出し用引出しガイド4の引出し側レール3の拡大した詳細部分図が示してある。引出し側レール3の形材15は、互いに直交する2つの形材面40にわたって延在する型押し部41を備えている。
【0065】
通常、引出し側レール3およびキャビネット側レール2(
図2a参照)の形材15の少なくとも一方の終端面17、好適には両方の終端面17は、先細り部16を備えて形成されている(
図6参照)。図中、見やすさの理由から、この先細り部16は明らかでない。
【0066】
図3aは、レール1を製作するための方法であって、
- レール1の半製品10として、平らな金属製の薄板5であって、長手延在方向6と、2つの表面7と、薄板5の幅8により離間させられた2つの側面9とを有する薄板5を準備し、
- 薄板5の、この実施例では両方の表面7に、長手延在方向6に対して直交して配置された窪み13を設け、
- 薄板5を曲げ加工し、これによって、長手延在方向6に対して直交する横断面14で見たとき、レール1の形材15を形成し、
- 曲げ加工された薄板5を窪み13の領域で力学的に分離し、レール1を、更なるレール1を製造するために使用されてよい残りの材料から曲折によって力学的に破折して分割してよい、
方法を説明している。
【0067】
金属製の薄板5は鋼から形成されている。しかしながら、通常、例えばアルミニウムまたはこれに類するものも使用可能である。また、ただ1つの窪み13しか薄板5に加工せずかつ/または窪み13を長手延在方向6に対して相対的に90°に等しくない角度で配置することも可能であり、これによって、レールが、裁断なく切りくずを出さずに形成される。
【0068】
断面図では、窪み13の2つの可能な幾何学的な構成が明らかである。この場合、長手延在方向6に対して平行な窪み断面25でもって楕円セグメント27の形態の溝22の形態の窪み13と、窪み断面25において60°の開き角24を有する三角形19としてのプロファイル加工部23の形態の窪み13とが、薄板5に加工されている。
【0069】
薄板5は0.7mmの肉厚20を有している。
【0070】
図3bには、窪み13の好適なジオメトリを有する薄板5の拡大した詳細部分図が示してある。窪み13は、台形26の形態の、薄板5の長手延在方向6に対して平行な窪み断面25を有している。両方の窪み13は、薄板5の両方の側面9を互いに繋いでいて、薄板5の両方の表面7で互いに反対側に位置してかつ両方の表面7のうちの少なくとも一方の表面に対して直交する方向で互いに上下に位置して配置されている。
【0071】
図3cには、側方から見た2つの窪み13が示してある。通常、レール1あたり、両方の表面7に対を成して配置されるそれぞれ正確に4つの窪み13が、平らな薄板5に加工され、これによって、レール1が、曲げ加工された薄板5の4つの窪み13にわたる連続した2回の破折によって形成される。薄板5には、両方の表面7に対を成して配置される多数の窪み13が設けられてよく、これによって、次いで、多数のレール1を力学的に破折することができる。
【0072】
窪み13の加工は、この実施形態では型押しパンチ11と型押しロール12とを介して行われる。通常、ただ1つの型押しロール12または型押しパンチ11しか設けられていなくてもよいし、(好適には)2つの型押しロール12または型押しパンチ11が設けられていてもよく、これによって、窪み13が、曲げ工程および/または折曲げ工程前に薄板5に加工される。
【0073】
図4aには、残りの形材材料からの分離プロセスステップ前の引出し側レール3として設けられたレール1が斜視図で示してある。類似して、レール1はキャビネット側レール2として形成されて提供されてよい。
【0074】
図4bには、曲げ加工された薄板5が、互いに上下に位置する2つの窪み13において曲折を介した破折と分割とによって力学的に分離されていることが示してある。これによって、レール1は、形材15の終端面17にバリのない先細り部16を備えて形成されている。通常、第2の終端面17も同様に形成されている。残りの形材材料はすでに先細り部16を有している。この先細り部16は、後加工なしに後続のレール1に使用することができる。通常、先細り部16の形状を適合させるかまたは場合により望ましくない張出し部を取り除くために、切削による後加工ステップ、例えばやすり仕上げまたは研削が設けられていてよい。
【0075】
図5には、窪み13にわたる破折が行われた後のレール1が示してある。この場合、先細り部16は、等脚三角形19の形態の、薄板5の長手延在方向6に対して平行な先細り部断面18を有している。通常、切りくずなしの分離プロセスによって、塑性変形を介して先細り部16に隆起部状の端区分が残っていてもよいし、先細り部断面18が凸状または凹状に形成されていてもよい。しかしながら、分離工程のために、材料廃物を伴う切りくず除去のプロセスステップは不要である。
【0076】
図6には、2つの窪み13にわたる破断中のレール1が示してある。この場合、曲げ加工された薄板5は、窪み13の領域で分離切断なし、打抜きなしかつ裁断なしに破断される。窪み13は、曲げ加工された薄板5の曲折中の目標破断箇所として使用される。しかしながら、残りの形材材料に対するレール1の引離しも可能である。レール1は後加工なしで形成されるものの、レール1に課される要求に応じて、なおも後加工ステップに全く供されてよい。
【0077】
図7には、窪み13にわたる破折後のレール1が示してある。この場合、レール16の先細り部16は、長手延在方向6に対して直交する視認方向で90°の角度31(
図3c参照)を有している。この場合、終端面17はバリなしに形成されている。破折工程用にただ1つの窪み13しか使用しない場合には、例えば45°の角度31が利用されてもよい。この場合には、先細り部16が、等脚三角形19と異なり、直角三角形19として形成されていてよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具金具用の少なくとも1つの構成要素(1)、特に好適には引出し用引出しガイド(4)用の、特にレールを製作するための方法において、
- 前記少なくとも1つの構成要素(1)、好ましくはレールの半製品(10)として、0.5mm~1.5mmの範囲内の肉厚(20)を有する平らな、好ましくは金属製の薄板(5)、特に好適には鋼板(5)であって、長手延在方向(6)と、2つの表面(7)と、前記薄板(5)の幅(8)により離間させられた2つの側面(9)とを有する薄板(5)を準備する方法ステップと、
- 前記薄板(5)の少なくとも一方の表面(7)に、好ましくは少なくとも1つの型押しパンチ(11)および/または少なくとも1つの型押しロール(12)によって、前記長手延在方向(6)に対して横方向に、好ましくは実質的に直交して配置される少なくとも1つの窪み(13)を設ける方法ステップと、
- 前記薄板(5)を曲げ加工し、これによって、前記長手延在方向(6)に対して直交する横断面(14)で見たとき、前記少なくとも1つの構成要素(1)、好ましくはレールの形材(15)を形成する方法ステップと、
- 前記曲げ加工された薄板(5)を前記少なくとも1つの窪み(13)の領域で力学的に分離する、好ましくは破折する、特に好適には曲折して分割する方法ステップと
を上記時系列順で実施することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの窪み(13)によって、前記薄板(5)の両方の側面(9)を互いに繋ぎ、かつ/または前記薄板(5)の両方の前記表面(7)に、互いに反対側に位置する、好ましくは両方の前記表面(7)のうちの少なくとも一方の表面に対して直交する方向で互いに上下に位置する少なくとも2つの窪み(13)を配置する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記曲げ加工された薄板(5)を少なくとも2つの窪み(13)、好ましくは互いに上下に位置する少なくとも2つの窪み(13)において力学的に分離する、好ましくは破折する、特に好適には曲折して分割する、請求項
1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構成要素(1)を、前記形材(15)の少なくとも1つの終端面(17)、好ましくは2つの終端面(17)に実質的にバリのない先細り部(16)を備えて形成し、好ましくは、該先細り部(16)は、実質的に三角形(19)、好ましくは等脚三角形(19)の形態の、前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して平行な先細り部断面(18)を有し、該先細り部断面(18)は、特に好適には凸状かつ/または凹状に形成されていることが特定されている、請求項
1記載の方法。
【請求項5】
前記曲げ加工された薄板(5)を前記少なくとも1つの窪み(13)の領域で分離切断なし、打抜きなしかつ裁断なしに破断し、前記少なくとも1つの窪み(13)を、前記曲げ加工された薄板(5)の曲折中の目標破断箇所として使用し、好ましくは、前記少なくとも1つの構成要素(1)を後加工なしに形成することが特定されている、請求項
1記載の方法。
【請求項6】
前記薄板(5)は、0.6mm~0.8mmの範囲内の肉厚(20)を有する、請求項
1記載の方法。
【請求項7】
前記薄板(5)を少なくとも一方の側面(9)の領域で、好ましくは前記薄板(5)の曲げ加工中に折り曲げて、折曲げ部(21)を形成する、請求項
1記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの窪み(13)を前記薄板(5)に、40°~140°、好ましくは75°~105°の範囲内、特に好適には実質的に90°の開き角(24)を有する溝(22)またはプロファイル加工部(23)の形態で加工する、請求項
1記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの窪み(13)は、三角形(19)、台形(26)、楕円セグメント(27)および/または円セグメントの形態の、前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して平行な窪み断面(25)を有する、請求項
1記載の方法。
【請求項10】
構成要素(1)あたり、両方の前記表面(7)に対を成して配置されるそれぞれ正確に4つの窪み(13)を平らな前記薄板(5)に加工し、前記構成要素(1)を、前記曲げ加工された薄板(5)の前記4つの窪み(13)にわたる2回の、好ましくは連続した破折によって形成する、請求項
1記載の方法。
【請求項11】
前記薄板(5)に、両方の前記表面(7)に対を成して配置される多数の窪み(13)を設け、次いで、多数の構成要素(1)を力学的に破折する、請求項
1記載の方法。
【請求項12】
家具キャビネットに引出しを可動に支持するための引出し用引出しガイド(4)であって、
- 前記家具キャビネットに固定すべき少なくとも1つのキャビネット側レール(2)と、
- 前記引出しに結合すべき少なくとも1つの引出し側レール(3)であって、前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)に対して相対的に長手方向(30)に移動可能に支持された少なくとも1つの引出し側レール(3)と
を備え、
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、前記長手方向(30)に対して直交する横断面(14)で見たとき、平らな少なくとも1つの薄板(5)から形成された形材(15)を有する、
引出し用引出しガイド(4)において、
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、構成要素(1)として、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法によって製作されており、これによって、前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)の前記形材(15)の少なくとも1つの終端面(17)、特に2つの終端面(17)が、先細り部(16)を備えて形成されている
ことを特徴とする、引出し用引出しガイド(4)。
【請求項13】
前記先細り部(16)は、60°~140°、好ましくは75°~105°の範囲内、特に好適には実質的に90°の角度(31)を有し、好ましくは、少なくとも1つの終端面(17)、好ましくは両方の終端面(17)は、実質的にバリなしに形成されていることが特定されている、請求項12記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、前記家具キャビネットまたは少なくとも1つの家具部分への組付け時に少なくとも部分的に前記家具キャビネットまたは前記少なくとも1つの家具部分に当付け可能である固定面(33)を備えた少なくとも1つの固定区分(32)を有し、該少なくとも1つの固定区分(32)は、固定手段(36)、好ましくはねじを貫通させるための、好ましくは円形の少なくとも1つの開口(35)を有し、該少なくとも1つの開口(35)は、前記固定面(33)から、好ましくは0.5mm~1.5mm、特に好適には0.6mm~0.8mmの前記固定区分(32)の材料厚さにより離間させられた第2の面(38)で、該第2の面(38)から横方向に突出した隆起部(39)によって取り囲まれている、請求項1
2記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのキャビネット側レール(2)および/または前記少なくとも1つの引出し側レール(3)は、前記形材(15)の少なくとも1つの形材面(40)の領域で折り曲げられて、折曲げ部(21)を形成している、請求項1
2記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの先細り部(16)は、実質的に三角形(19)、好ましくは等脚三角形(19)の形態の、前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して平行な先細り部断面(18)を有し、好ましくは、該先細り部断面(18)は凸状かつ/または凹状に形成されていることが特定されている、請求項1
2記載の引出し用引出しガイド(4)。
【請求項17】
前記形材(15)は、該形材(5)を補強するための、好ましくは前記薄板(5)の前記長手延在方向(6)に対して直交方向に向けられた少なくとも1つの型押し部(41)を有し、好ましくは、該少なくとも1つの型押し部(41)は、実質的に直交する少なくとも2つの形材面(40)にわたって延在しており、かつ/または前記形材(15)の内側領域(42)の方向および外側領域(43)の方向に交互に配置された少なくとも2つの型押し部(41)が設けられていることが特定されている、請求項1
2記載の引出し用引出しガイド(4)。
【国際調査報告】