(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-19
(54)【発明の名称】トランジスタ、電気デバイス、およびトランジスタを生産するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240809BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240809BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240809BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240809BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01L29/78 301H
H01L27/088 B
H01L29/78 301X
H01L29/78 652T
H01L29/78 658E
H01L29/78 652H
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505172
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2022069468
(87)【国際公開番号】W WO2023006410
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520404964
【氏名又は名称】エピノバテック、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】EPINOVATECH AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、オルソン
【テーマコード(参考)】
5F048
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AC03
5F048BA15
5F048BB05
5F048BF03
5F102GA03
5F102GB01
5F102GB04
5F102GC01
5F102GC03
5F102GD01
5F102GD10
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GL08
5F102GM04
5F102GM08
5F102GQ05
5F102GQ09
5F102GQ10
5F102GR07
5F102GS09
5F102GT08
5F102HC01
5F102HC16
5F140AC23
5F140BA06
5F140BA16
5F140BB04
5F140BB18
5F140BB19
5F140BC12
5F140BF01
5F140BF04
5F140BK13
(57)【要約】
ソース(10)、ボディ(12)、およびドレイン(14)を含むトランジスタ(1)であって、トランジスタ(1)は、複数の半導体層(20)をさらに含み、複数の半導体層(20)の層は、AlGaNまたはGaNで作製され、複数の半導体層(20)は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、トランジスタ(1)は、Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ(1’)であって、複数の半導体層(20)の一部は、pドープされ、NMOSトランジスタ(1’)のボディ(12)の一部を形成する、Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ(1’)、またはPチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ(1’’)であって、複数の半導体層(20)の一部は、Pドープされ、PMOSトランジスタ(1’’)のソース(10)もしくはドレイン(14)の一部を形成する、Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ(1’’)のいずれかである、トランジスタ(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース(10)、ボディ(12)、およびドレイン(14)を含むトランジスタ(1)であって、前記トランジスタ(1)は、
複数の半導体層(20)をさらに含み、前記複数の半導体層(20)の層は、AlGaNまたはGaNで作製され、前記複数の半導体層(20)は、1つおきの層がそれら層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、前記トランジスタ(1)は、
Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ(1’)であって、前記複数の半導体層(20)の一部は、pドープされ、前記NMOSトランジスタ(1’)の前記ボディ(12)の一部を形成する、Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ(1’)、または
Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ(1’’)であって、前記複数の半導体層(20)の一部は、pドープされ、前記PMOSトランジスタ(1’’)の前記ソース(10)もしくは前記ドレイン(14)の一部を形成する、Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ(1’’)のいずれかである、トランジスタ(1)。
【請求項2】
前記複数の半導体層(20)は、一対の半導体層の繰り返しを含み、半導体層の各対は、
10%未満のAl含有量を有する、低Al含有層(22)、および
15%超のAl含有量を有する、高Al含有層(24)を含む、請求項1に記載のトランジスタ(1)。
【請求項3】
前記複数の半導体層(20)の各層は、3nm~10nmの厚さを有する、請求項1または2に記載のトランジスタ(1)。
【請求項4】
前記トランジスタ(1)は、主に前記複数の半導体層(20)の前記層に平行の方向に電流を流すように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のトランジスタ(1)。
【請求項5】
前記トランジスタ(1)は、主に前記複数の半導体層(20)の前記層に垂直の方向に電流を流すように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のトランジスタ(1)。
【請求項6】
ナノワイヤ(40)は、前記トランジスタ(1)の前記ボディ(12)の少なくとも一部を閉じ込める、請求項5に記載のトランジスタ(1)。
【請求項7】
ゲートコンタクト(62)は、前記トランジスタ(1)の前記ボディ(12)の少なくとも一部を閉じ込める前記ナノワイヤ(40)の周りを包み、これにより、前記ゲートコンタクト(62)は、ラップアラウンドゲート(42)を形成する、請求項6に記載のトランジスタ(1)。
【請求項8】
前記トランジスタ(1)の前記ボディ(12)の少なくとも一部を閉じ込める前記ナノワイヤ(40)はまた、前記トランジスタ(1)の前記ソース(10)および前記ドレイン(14)の少なくとも一部を閉じ込める、請求項6または7に記載のトランジスタ(1)。
【請求項9】
前記トランジスタ(1)のソース(10)、ドレイン(14)、およびボディ(12)はすべて、前記複数の半導体層(20)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のトランジスタ(1)。
【請求項10】
前記トランジスタ(1)は、NMOSトランジスタ(1’)であり、
前記NMOSトランジスタ(1’)のソース(10)は、nドープGaN層(30)を含み、
前記NMOSトランジスタ(1’)のドレイン(14)は、nドープGaN層(30)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のトランジスタ(1)。
【請求項11】
電気デバイス(50)であって、
少なくとも1つのNチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ(1’)であって、前記少なくとも1つのNMOSトランジスタ(1’)は、複数の半導体層(20)を含み、前記NMOSトランジスタ(1’)の前記複数の半導体層(20)の各層は、AlGaNまたはGaNで作製され、前記NMOSトランジスタ(1’)の前記複数の半導体層(20)は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するように前記アルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、前記NMOSトランジスタ(1’)の前記複数の半導体層(20)は、前記NMOSトランジスタ(1’)のpドープされたボディ(12)の一部を形成する、少なくとも1つのNチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ(1’)と、
少なくとも1つのPチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ(1’)であって、前記少なくとも1つのPMOSトランジスタ(1’)は、複数の半導体層(20)を含み、前記PMOSトランジスタ(1’)の前記複数の半導体層(20)の各層は、AlGaNまたはGaNで作製され、前記PMOSトランジスタ(1’)の前記複数の半導体層(20)は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するように前記アルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、前記PMOSトランジスタ(1’)の前記複数の半導体層(20)は、前記PMOSトランジスタ(1’)のpドープされたソース(10)またはドレイン(14)の一部を形成する、少なくとも1つのPチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ(1’)と、を含み、
前記電気デバイス(50)の前記少なくとも1つのNMOSトランジスタ(1’)および前記少なくとも1つのPMOSトランジスタ(1’’)は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)回路(52)を形成するために接続される、電気デバイス(50)。
【請求項12】
前記CMOS回路(52)の前記少なくとも1つのNMOSトランジスタ(1’)および前記少なくとも1つのPMOSトランジスタ(1’’)は、前記同じ複数の半導体層(20)を共有する、請求項11に記載の電気デバイス(50)。
【請求項13】
前記電気デバイス(50)の前記CMOS回路(52)の前記少なくとも1つのPMOSトランジスタ(1’’)のうちの少なくとも1つおよび/または前記少なくとも1つのNMOSトランジスタ(1’)のうちの少なくとも1つは、請求項2~10のいずれか一項に記載のトランジスタである、請求項11または12に記載の電気デバイス(50)。
【請求項14】
トランジスタを生産するための方法(100)であって、前記方法(100)は、
AlGaNまたはGaNの第1のnドープ層をエピタキシャル成長させること(S102)と、
複数の半導体層(20)をエピタキシャル成長させること(S104)であって、前記複数の半導体層(20)は、前記第1のnドープ層の上で成長し、前記複数の半導体層(20)の各層は、AlGaNまたはGaNで作製され、前記複数の半導体層(20)は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、前記複数の半導体層(20)は、成長したpドープである、エピタキシャル成長させること(S104)と、
AlGaNまたはGaNの第2のnドープ層をエピタキシャル成長させること(S108)であって、前記第2のnドープ層は、前記複数の半導体層(20)の上で成長し、これにより前記第1のnドープ層、前記複数の半導体層(20)、および前記第2のnドープ層は、半導体構造の一部を形成する、エピタキシャル成長させること(S108)を含み、前記方法(100)は、
前記第1および第2のnドープ層のうちの一方をソースコンタクト(60)に、ならびに前記第1および第2のnドープ層のうちの他方をドレインコンタクト(64)に、電気的に接続すること(S110)であって、これによりトランジスタソース(10)およびトランジスタドレイン(14)が、前記第1および第2のnドープ層によって形成される、電気的に接続すること(S110)と、
ゲートコンタクト(62)を半導体構造の上に配置すること(S112)であって、前記ゲートコンタクト(62)は、前記複数の半導体層(20)を介した、前記ソース(10)と前記ドレイン(14)との間の電気伝導が、前記ゲートコンタクト(62)によって制御可能であるように、電場を前記複数の半導体層(20)に印加するように構成され、これによりトランジスタボディ(12)が、前記複数の半導体層(20)によって形成される、配置すること(S112)とをさらに含む、方法(100)。
【請求項15】
前記複数の半導体層(20)からナノワイヤ(40)をエッチングすること(S106)をさらに含む、請求項14に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明概念は、概して、トランジスタ、電気デバイス、およびトランジスタを生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaNトランジスタは、多くの場合、高出力および/または高周波で動作する電気デバイスのために使用される。GaNの大きいバンドギャップに起因して、そのようなトランジスタは、例えば、Siトランジスタよりも、高い温度で機能し得る。しかしながら、依然として更なる改善の余地がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明概念の目的は、新規タイプのGaNベースのトランジスタを可能にすることである。本発明概念の更なる目的は、電力効率の良い電気デバイスを可能にすることである。本発明概念の更なる目的は、高出力および/または高周波で動作する電力効率の良い電気デバイスを可能にすることである。本発明概念のこれらおよび他の目的は、独立クレームに規定されるように本発明によって少なくとも部分的に満たされる。好ましい実施形態は、従属クレームに明記される。
【0004】
本文書においては、天然元素の略語が、周期表に従って使用される。例えば、Alはアルミニウムを意味し、Gaはガリウムを意味し、Asはヒ素を意味し、Mgはマグネシウムを意味し、Oは酸素を意味し、Siはケイ素を意味する。
【0005】
第1の態様によると、ソース、ボディ、およびドレインを含むトランジスタであって、該トランジスタは、
複数の半導体層をさらに含み、複数の半導体層の層は、AlGaNまたはGaNで作製され、複数の半導体層は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、トランジスタは、
Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタであって、複数の半導体層の一部は、pドープされ、NMOSトランジスタのボディの一部を形成する、Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタ、または
Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタであって、複数の半導体層の一部は、pドープされ、PMOSトランジスタのソースもしくはドレインの一部を形成する、Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタのいずれかである、トランジスタが提供される。
【0006】
NMOSトランジスタは、ドープされたn/p/n、例えば、n+/p/n+であるソース/ボディ/ドレインを含み得る。故に、ソースは、nドープされ得(例えば、強nドープ、n+によって示される)、ボディは、pドープされ得、ドレインは、nドープされ得る(例えば、強nドープ、n+によって示される)。NMOSトランジスタは、ゲートコンタクト、およびゲートコンタクトとボディとの間の電気絶縁体をさらに含み得る。ゲートコンタクトに対する印加バイアスは、電気絶縁体の下で、ボディ内に電場を作成し得る。印加バイアスは、以て、ボディを介したソースとドレインとの間の電子の伝導を制御し得る。
【0007】
PMOSトランジスタは、ドープされたp/n/p、例えば、p+/n/p+であるソース/ボディ/ドレインを含み得る。故に、ソースは、pドープされ得(例えば、強pドープ、p+によって示される)、ボディは、nドープされ得、ドレインは、pドープされ得る(例えば、強pドープ、p+によって示される)。PMOSトランジスタは、ゲートコンタクト、およびゲートコンタクトとボディとの間の電気絶縁体をさらに含み得る。ゲートコンタクトに対する印加バイアスは、電気絶縁体の下で、ボディ内に電場を作成し得る。印加バイアスは、以て、ボディを介したソースとドレインとの間の正孔の伝導を制御し得る。
【0008】
Pドーピングは、GaNベースの材料において達成するのが困難であり得る。Pドーピングのために使用されるMgなどのドーピング原子は、多くの場合、水素不純物または窒素空孔によって不動態化される。したがって、自由正孔濃度は、ドーピング濃度が高い場合でさえ低くなり得る。不動態化を除去する(またはドーピング原子を活性化する)ため、成長後のアニーリング、例えば、低水素濃度の雰囲気内での成長後のアニーリングが使用され得る。
【0009】
複数の半導体層は、pドープGaNベースの材料の成長後のアニーリングの必要性を除去または低減し得るということが認識である。これは、第1の態様によるNMOSおよびPMOSトランジスタなどの新規のタイプのトランジスタを可能にする。nドープおよびpドープ両方の領域(n/p/nまたはp/n/pドープされたソース/ボディ/ドレイン)を含むトランジスタは、成長後のアニーリング中に劣化し得る。例えば、成長後のアニーリングに起因する材料の拡散は、ドーピングプロファイルを変化させ得(nドーパントは、例えば、名目上pドープ領域へ拡散し得るか、またその逆)、および/または、材料プロファイルを変化させ得る(Alは、Alに富んだ領域からGaに富んだ領域へ拡散し得るか、またはGaは、Gaに富んだ領域からAlに富んだ領域へ拡散し得る)。
【0010】
複数の半導体層は、Kozodoyらの[Appl. Phys. Lett. 75,2444(1999)]によって説明されるように、価電子バンド端の変動を通じてpドーピングを強化し得る。価電子バンド端の変動は、ここでは複数の半導体層内のAl含有量の変動によって引き起こされる。バンド端がフェルミエネルギーをはるかに下回る場合、受容体はイオン化され得、バンド端がフェルミレベルに近い場合、結果として生じる正孔が蓄積し得る。価電子バンド端は、ここでは複数の半導体層の層に垂直の方向に変動し得る。価電子バンド端の変動の結果として、正孔濃度も変動し得る。しかしながら、平均正孔濃度は、価電子バンド端が変動しないバルク膜内よりも高くなり得る。価電子バンド端の変動は、複数の半導体層内の変動するバンドギャップ、ならびにバンド屈曲に起因する分極効果に起因し得るということを理解されたい。
【0011】
複数の半導体層は、Kozodoyらの[Appl. Phys. Lett. 75,2444-2446(1999)]によってさらに説明されるように、正孔移動度も強化し得る。
【0012】
第1の態様によるトランジスタは、従来のトランジスタに勝る1つまたは複数の利点を有し得る。成長後のアニーリングの必要性が除去または低減され得るため、トランジスタは、nドープ領域およびpドープ領域の組み合わせに基づき得る。これは、トランジスタ設計に大きな柔軟性を与える。さらに、成長後のアニーリングの必要性が除去または低減され得るため、トランジスタのサイズは、トランジスタの性能を劣化させる拡散なしに、より小さくなり得る。特徴部が小さくなるほど、例えば、ドープ領域が小さくなるほど、拡散の影響はより深刻になり得る。
【0013】
さらに、複数の半導体層に起因するpドープ領域内の高い正孔濃度は、トランジスタにとっていくつかの利点を有し得る。複数の半導体層の一部が、pドープされ、トランジスタのボディを形成する、NMOSトランジスタの場合、トランジスタのボディ内の高い正孔濃度は、有利な効果を有し得る。Ziabariらの[Chinese Journal of Physics,51(4), 844-853]によって説明されるように、トランジスタのボディ内の高い正孔濃度は、例えば、短チャンネル効果を改善し得る。複数の半導体層の一部が、pドープされ、トランジスタのソースまたはドレインを形成する、PMOSトランジスタの場合、トランジスタのソースおよび/またはドレイン内の高い正孔濃度は、有利な効果を有し得る。高い正孔濃度は、上記ソースおよび/またはドレインへのオーミックコンタクトを作るのを促進し得る。
【0014】
さらに、高い正孔移動度は、トランジスタの高速スイッチングおよび/または高い動作周波数を促進し得る。スイッチング速度および/または高い動作周波数は、バリスティック輸送によってさらに改善され得る。バリスティック輸送により、移動度は、室温でバルクGaN膜と比較して9桁改善され得る。バリスティック輸送は、AlGaNの特定の合金組成でAlGaN/GaNヘテロ構造の超格子によって達成され得る。
【0015】
第1の態様によるNMOSまたはPMOSトランジスタは、電力効率の良い電気デバイスを提供し得る相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術を促進するということが更なる認識である。CMOSデバイスにおいては、PMOSおよびNMOSトランジスタは、1つのタイプのトランジスタ(例えば、NMOS)がオンにされるとき、他のタイプのトランジスタ(例えば、PMOS)がオフにされ、またその逆も然りであるように、対で接続され得る。故に、電力は、主に、スイッチング中に消費され得、静的動作中には消費されない。CMOSデバイスは、第1の態様によるNMOSトランジスタおよび第1の態様によるPMOSトランジスタから製造され得る。代替的に、CMOSデバイスは、第1の態様によるNMOSトランジスタおよび任意のタイプのPMOSトランジスタから製造され得る。代替的に、CMOSデバイスは、任意のタイプのNMOSトランジスタおよび第1の態様によるPMOSトランジスタから製造され得る。
【0016】
トランジスタのソース、ボディ、およびドレインは、同じ半導体構造の一部であり得るということを理解されたい。しかしながら、半導体構造は、複数の半導体層とは別の部分を含み得る。
【0017】
複数の半導体層は、一対の半導体層の繰り返しを含み得、半導体層の各対は、
10%未満のAl含有量を有する、低Al含有層、および
15%超のAl含有量を有する、高Al含有層を含む。
【0018】
故に、低Al含有層は、AlxGa1-xNの層であってもよく、x<0.1である。同様に、高Al含有層は、AlxGa1-xNの層であってもよく、x>0.15である。すべての低Al含有層が同じ組成を有すること、およびそれらがゼロのAl含有量を有すること、すなわち、それらがGaNを含むこと、すなわち、x=0であることが好ましい。すべての高Al含有層が同じ組成を有すること、およびそれらが20%~40%のAl含有量を有すること、すなわち、それらがAl0.2Ga0.8NからAl0.4Ga0.6Nの範囲に及ぶ材料を含むこと、すなわち、0.2<x<0.4であることが好ましい。4つの層を含む複数の半導体層の例は、Al0.2Ga0.8N/GaN/Al0.2Ga0.8N/GaN、またはAl0.3Ga0.7N/GaN/Al0.3Ga0.7N/GaNであり得る。
【0019】
代替案として、半導体層の各対は、低および高Al含有層を含み得るが、すべての低Al含有層は、必ずしも同じAl含有量を有さなくてもよい。同様に、すべての高Al含有層は、必ずしも同じAl含有量を有さなくてもよい。故に、複数の半導体層は、例えば、Al0.2Ga0.8N/Al0.05Ga0.95N/Al0.16Ga0.84N/GaN、またはAl0.3Ga0.7N/Al0.09Ga0.91N/Al0.22Ga0.78N/Al0.02Ga0.98N/Al0.2Ga0.8N/Al0.07Ga0.93Nであり得る。
【0020】
低Al含有量を有する層は、一次近似として、高Al含有量を有する層よりも小さいバンドギャップを有する。これは、価電子バンド端の変動を生じさせ得る。しかしながら、低Al含有層と高Al含有層との間の分極効果および/または歪み効果は、価電子バンド端の変動を修正し得る。例えば、変動する価電子バンド端における局所エネルギー最小値および局所エネルギー最大値は、高Al含有層と低Al含有層との間の界面に存在し得る。例示するために、水晶の表面が、基板から複数の半導体層を通って上方に進むGa面であると仮定して(これは、MOCVDがサファイア上での成長を開始するために使用される場合であり得る)、局所エネルギー最小値は、低Al含有層が高Al含有層へと遷移する伝導バンド内の界面(この領域をAとラベル付けする)に現れ得、局所エネルギー最大値は、高Al含有層が低Al含有層へと遷移する界面(この領域をBとラベル付けする)に現れ得る。上記説明は、参照により本明細書に含まれる[Appl. Phys. Lett. 75,2444-2446(1999)]の2445頁の説明と同様である。
【0021】
本文書が、複数の半導体層がpドープされることに言及するとき、それは、複数の半導体層がA領域においてはpドープされるがB領域においてはpドープされないものとして構築され得るということに留意されたい。そのようなドーピングは、最も高い正孔移動度を生じさせ得る。しかしながら、それはまた、当然ながら、複数の半導体層が複数の半導体層の層全体を通してpドープされるものとして構築され得る。
【0022】
トランジスタは、複数の半導体層の各層が、3nm~10nmの厚さを有するように構成され得る。層は、すべて同じ厚さを有し得、例えば、すべての層が3nmの厚さを有するか、すべての層が6nmの厚さを有するか、またはすべての層が10nmの厚さを有する。代替的に、複数の半導体層は、異なる厚さの層を含み得る。例えば、すべての低Al含有層は、3nm~10nmの厚さを有し得、すべての高Al含有層は、3nm~10nmの厚さを有し得、低Al含有層の厚さは、高Al含有層の厚さとは異なる。例えば、半導体層の各対は、例えば、6nm厚の低Al含有層および5nm厚の高Al含有層を含み得る。
【0023】
3~10nmの厚さ範囲において、pドーピングの強化が最も効率的であり得る。例えば、低Al含有層と高Al含有層との間の分極効果および/または歪み効果は、上記厚さ範囲において最も効果的であり得る。
【0024】
トランジスタは、主に複数の半導体層の層に平行の方向に電流を流すように構成され得る。故に、電流は、バンド端の任意の変動によって妨げられることなく流れ得る。そのようなトランジスタは、横型トランジスタと呼ばれ得る。横型トランジスタは、従来の処理技術、例えば、従来のCMOS技術と互換性があり、したがって、費用対効果の高い様式で生産され得る。横型トランジスタは、ソースに接続されるソースコンタクト、ボディに接続されるゲートコンタクト、およびドレインに接続されるドレインコンタクトを含み得る。ソースコンタクト、ゲートコンタクト、およびドレインコンタクトは、トランジスタを含む半導体構造上に、横並びに、例えば、同じ平面内に配置され得る。
【0025】
代替的に、トランジスタは、主に複数の半導体層の層に直交の方向に電流を流すように構成され得る。電荷キャリアはここでは、例えば、熱活性化によって、複数の半導体層内の大きいバンドギャップ層の上を通り過ぎ得る。代替的に、または追加的に、電荷キャリアは、例えば、量子トンネリングによって、複数の半導体層内の大きなバンドギャップ層を通過し得る。故に、電流は、トランジスタを含む半導体構造の垂直方向に、すなわち、エピタキシャル成長方向に流れ得る。例えば、電流は、トランジスタを含む集積回路(IC)チップを通って垂直に流れ得る。そのようなトランジスタは、縦型トランジスタと呼ばれ得る。縦型トランジスタは、ソースコンタクト、ゲートコンタクト、およびドレインコンタクトを、横並びではない様式で配置するのが容易であり得るため、小フットプリントを有し得る。例えば、1つのコンタクトは、半導体構造の上側にあり得る一方、別のコンタクトは、半導体構造の裏側にあり得る。縦型トランジスタは横型トランジスタとは異なって製造され得るが、製造方法論は、依然として、大部分は従来のCMOS技術に基づき得るということを理解されたい。
【0026】
さらに、トランジスタは、ナノワイヤがトランジスタのボディの少なくとも一部を閉じ込めるように構成され得る。例えば、ソース、ボディ、およびドレインを含む半導体構造が、エピタキシャル成長し得る。1つまたは複数のナノワイヤは、次いで、ボディの少なくとも一部を通って、上からエッチングされ得る。以て、トランジスタのボディは、ナノワイヤ内に閉じ込められ得る。したがって、ナノワイヤは、好ましくは、トップダウン製造されたナノワイヤであり得る。しかしながら、ナノワイヤは、代替的に、例えば、選択領域成長またはナノ粒子支援成長を通じて製造される、ボトムアップ製造されたナノワイヤであり得るということを理解され得たい。ドーピングプロファイル、材料界面、表面状態などは、ボトムアップナノワイヤよりもトップダウンナノワイヤにおいてより制御可能であり得る。ナノワイヤは、例えば、5nm~100nmまたは10nm~50nmなど、100nmよりも小さい直径を有し得る。ナノワイヤの軸長は、200~1000nmであり得る。200nmのバリスティック輸送が、室温での窒化ガリウム内で実証されている。そのような直径は、トランジスタのボディ内で量子閉じ込め効果を生じさせ得る。
【0027】
トランジスタのボディをナノワイヤに閉じ込めさせることは、有利であり得る。例えば、電荷キャリアは、量子閉じ込め効果に起因して、増加した移動度を有し得る。トランジスタは、以て、短いスイッチング時間を有し得、および/または高周波で動作され得る。さらに、トランジスタは、トランジスタのボディがナノワイヤに閉じ込められるとき、小フットプリントを有し得る。故に、多くのトランジスタが小さい領域内に設置され得る。
【0028】
ボディの一部を閉じ込めるナノワイヤを有するトランジスタの第1の例は、
ソース、ボディ、およびドレインを含むトランジスタであり、本トランジスタは、
複数の半導体層をさらに含み、複数の半導体層の層は、0%以上のアルミニウム含有量を有するAlGaNで作製され、複数の半導体層は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、複数の半導体層の一部は、pドープされ、トランジスタは、
Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタであり、複数の半導体層は、PMOSトランジスタのソースまたはドレインの一部を形成し、トランジスタは、主に複数の半導体層の層に直交の方向に電流を流すように構成され、ナノワイヤは、トランジスタのボディの少なくとも一部を閉じ込める。第1の例は、例えば、
図10にあるように作製され得る。
【0029】
ボディの一部を閉じ込めるナノワイヤを有するトランジスタの第2の例は、
ソース、ボディ、およびドレインを含むトランジスタであり、本トランジスタは、
複数の半導体層をさらに含み、複数の半導体層の層は、0%以上のアルミニウム含有量を有するAlGaNで作製され、複数の半導体層は、アルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化し、その結果として1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するように構成され、複数の半導体層の一部は、pドープされ、トランジスタは、Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタであり、複数の半導体層は、NMOSトランジスタのボディの一部を形成し、トランジスタは、主に複数の半導体層の層に直交の方向に電流を流すように構成され、ナノワイヤは、トランジスタのボディの少なくとも一部を閉じ込める。第2の例は、例えば、
図9にあるように作製され得る。
【0030】
上記の第1および第2の例において、ナノワイヤは、追加的に、複数の半導体層の少なくとも一部を閉じ込め得る。故に、複数の半導体層における閉じ込め効果は、トランジスタの性能をさらに強化し得る。複数の半導体層の少なくとも一部をナノワイヤに閉じ込めることによって、電流は、量子閉じ込め効果により複数の半導体層に直交して流れることを支援され得る。ここでは、量子閉じ込め効果は、電荷キャリアのエネルギー状態を大きいバンドギャップ層のバンド端により近づけ得、その結果として、大きいバンドギャップ層がより容易に横断され得る。そのような強化は、複数の半導体層がトランジスタのソースまたはドレイン内に存在するとき、関連性がある。そのような強化はまた、複数の半導体層がトランジスタのボディ内に存在するとき、関連性がある。
【0031】
上記の第1および第2の例において、ナノワイヤは、複数の半導体層の層に直交の方向に延び得る。
【0032】
上記の第1および第2の例において、ナノワイヤは、追加的に、トランジスタのソースまたはドレインの少なくとも一部を閉じ込め得る。故に、トランジスタのソースまたはドレインにおける閉じ込め効果は、トランジスタの性能をさらに強化し得る。
【0033】
トランジスタのボディをナノワイヤに閉じ込めることの代替案は、トランジスタのボディをマイクロピラーに閉じ込めることであり得るということを理解されたい。マイクロピラーは、例えば、5nm~500nmなど、1μmよりも小さい直径を有し得る。たとえ閉じ込め効果が小さいとしても、小フットプリントを有するトランジスタなど、他の利点が依然として存在し得る。
【0034】
トランジスタは、ゲートコンタクトが、トランジスタのボディの少なくとも一部を閉じ込めるナノワイヤの周りを包み、これにより、ゲートコンタクトが、ラップアラウンドゲートを形成するように構成され得る。ラップアラウンドゲートは、ナノワイヤの周囲に沿ってボディを取り囲み得る。故に、ラップアラウンドゲートは、ボディ内の電荷キャリアを効率的に制御し得る。ラップアラウンドゲートは、低い漏れ電流を確実にし得、および/または他の短チャンネル効果を克服し得る。
【0035】
トランジスタのボディの少なくとも一部を閉じ込めるナノワイヤはまた、トランジスタのソースおよびドレインの少なくとも一部を閉じ込め得る。ここでも、閉じ込め効果は、高移動度およびバリスティック輸送を生じさせることなど、利点を提供し得る。さらに、トランジスタのソースおよびドレインをナノワイヤに閉じ込めさせることは、トランジスタの小フットプリントを結果としてもたらし得る単一ナノワイヤトランジスタを促進し得る。
【0036】
トランジスタのソース、ドレイン、およびボディはすべて、複数の半導体層を含み得る。故に、トランジスタのnドープ領域もまた、複数の半導体層を含み得る。複数の半導体層が、電子ならびに正孔に高移動度を生じさせ得るということが可能である。さらに、NMOSトランジスタがボディ内に複数の半導体層を含み、PMOSトランジスタがソースおよびドレイン内に複数の半導体層を含む、CMOS回路を製造するとき、材料構造がNMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの両方について同じであることが有利であり得る。故に、例えば、複数の半導体層を含む1つの単一半導体構造が、エピタキシャル成長し得、NMOSまたはPMOSトランジスタを作成することは、単に、どのドーピングシーケンスが選択されるか(例えば、n/p/nまたはp/n/p)の問題であり得る。ドーピングは、ここでは、エピタキシャル成長の後に行われ得る。結果的に、効率的な製造プロセスが達成され得る。
【0037】
トランジスタは、NMOSトランジスタであってもよく、
NMOSトランジスタのソースは、nドープGaN層を含み、
NMOSトランジスタのドレインは、nドープGaN層を含む。
【0038】
そのようなトランジスタは、様々な利点を有し得る。例えば、nドープGaNへの高品質のオーミックコンタクトを作るのが容易であり得る。
【0039】
第2の態様によると、電気デバイスであって、
少なくとも1つのNチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタであって、少なくとも1つのNMOSトランジスタは、複数の半導体層を含み、NMOSトランジスタの複数の半導体層の各層は、AlGaNまたはGaNで作製され、NMOSトランジスタの複数の半導体層は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、NMOSトランジスタの複数の半導体層は、NMOSトランジスタのpドープされたボディの一部を形成する、少なくとも1つのNチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタと、
少なくとも1つのPチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタであって、少なくとも1つのPMOSトランジスタは、複数の半導体層を含み、PMOSトランジスタの複数の半導体層の各層は、AlGaNまたはGaNで作製され、PMOSトランジスタの複数の半導体層は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、PMOSトランジスタの複数の半導体層は、PMOSトランジスタのpドープされたソースまたはドレインの一部を形成する、少なくとも1つのPチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタと、を含み、
少なくとも1つのNMOSトランジスタおよび少なくとも1つのPMOSトランジスタは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)回路を形成するために接続される、電気デバイスが提供される。
【0040】
故に、複数の半導体層(必ずしも同じ複数の半導体層ではないが)が、pドーピングを強化するためにNMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの両方において使用されるCMOS回路が提供され得る。上記PMOSおよびNMOSトランジスタが、1つのタイプのトランジスタ(例えば、NMOS)がオンにされるとき、他のタイプのトランジスタ(例えば、PMOS)がオフにされ、またその逆も然りであるように、対で接続されるとき、少なくとも1つのNMOSトランジスタおよび少なくとも1つのPMOSトランジスタは、CMOS回路を形成するために接続され得る。故に、電力は、主に、スイッチング中に消費され得、静的動作中には消費されない。結果的に、第2の態様による電気デバイスは、電力効率の良い電気デバイスであり得る。
【0041】
利点は、複数の半導体層がpドーピングを強化するためにNMOSトランジスタまたはPMOSトランジスタのいずれかにおいて使用されるCMOS回路についても達成され得るということを理解されたい。そのようなCMOS回路は、例えば、NMOSトランジスタまたはPMOSトランジスタのいずれも複数の半導体層を含まない対応するCMOS回路よりも電力効率が高い場合がある。
【0042】
本デバイスは、CMOS回路の少なくとも1つのNMOSトランジスタおよび少なくとも1つのPMOSトランジスタが同じ複数の半導体層を共有するように構成され得る。
【0043】
故に、例えば、複数の半導体層を含む1つの単一半導体構造がエピタキシャル成長し得、CMOS回路のNMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの両方が、同じ複数の半導体層から製造され得る。結果的に、効率的な製造プロセスが達成され得る。例えば、共有された複数の半導体層は、例えば、横型トランジスタにおいて、NMOSトランジスタのソース、ボディ、およびドレイン、ならびにPMOSトランジスタのソース、ボディ、およびドレインを通り抜け得る。故に、各トランジスタのソース、ボディ、およびドレインは、複数の半導体層を共有し得、NMOSおよびPMOSトランジスタもまた、複数の半導体層を共有する。代替的に、共有された複数の半導体層は、NMOSトランジスタのボディおよびPMOSトランジスタのソースまたはドレインを通り抜け得る。故に、NMOSおよびPMOSトランジスタは、各々個々のトランジスタでは、ソース、ボディ、およびドレインが必ずしも同じ複数の半導体層を含まないとしても、複数の半導体層を共有し得る。
【0044】
NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタは、共有された複数の半導体層が、元々は、1つの単一の複数の半導体層としてエピタキシャル成長する場合、同じ複数の半導体層を共有し得る。たとえトランジスタが、例えば、エッチングによって、それらの間の複数の半導体層の一部を除去することによって分離されているとしても、トランジスタは、依然として、同じ複数の半導体層を共有すると見なされ得る。
【0045】
電気デバイスのCMOS回路の少なくとも1つのPMOSトランジスタのうちの少なくとも1つおよび/または少なくとも1つのNMOSトランジスタのうちの少なくとも1つは、第1の態様によるトランジスタであり得るということを理解されたい。
【0046】
第3の態様によると、トランジスタを生産するための方法であって、
AlGaNまたはGaNの第1のnドープ層をエピタキシャル成長させることと、
複数の半導体層をエピタキシャル成長させることであって、複数の半導体層は、第1のnドープ層の上で成長し、複数の半導体層の各層は、AlGaNまたはGaNで作製され、複数の半導体層は、1つおきの層がその層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、複数の半導体層は、成長したpドープである、エピタキシャル成長させることと、
AlGaNまたはGaNの第2のnドープ層をエピタキシャル成長させることであって、第2のnドープ層は、複数の半導体層の上で成長し、これにより第1のnドープ層、複数の半導体層、および第2のnドープ層は、半導体構造の一部を形成する、エピタキシャル成長させることを含み、本方法は、
第1および第2のnドープ層のうちの一方をソースコンタクトに、ならびに第1および第2のnドープ層のうちの他方をドレインコンタクトに、電気的に接続することであって、これによりトランジスタソースおよびトランジスタドレインが、第1および第2のnドープ層によって形成される、電気的に接続することと、
ゲートコンタクトを半導体構造の上に配置することであって、ゲートコンタクトは、複数の半導体層を介した、ソースとドレインとの間の電気伝導が、ゲートコンタクトによって制御可能であるように、電場を複数の半導体層に印加するように構成され、これによりトランジスタボディが、複数の半導体層によって形成される、配置することとをさらに含む、方法が提供される。
【0047】
本方法は、故に、NMOSトランジスタを生産し得る。
【0048】
本構造は、有機金属気相成長(MOVPE)によってエピタキシャル成長し得る。しかしながら、他のエピタキシャル成長方法、例えば、分子線エピタキシ(MBE)が、代替的に使用され得る。本構造は、1回の成長セッションまたは数回のセッションにおいてエピタキシャル成長し得る。例えば、本構造の一部は、1回のセッションにおいてエピタキシャル成長し得、次いで、部分的にエッチングされ、次いで、エピタキシャル成長は、第2のセッションにおいて継続し得る。
【0049】
本方法は、複数の半導体層からナノワイヤをエッチングすることをさらに含み得る。
【0050】
故に、トランジスタボディ内の複数の半導体層は、ナノワイヤに閉じ込められ得る。
【0051】
例えば、ナノワイヤは、第2のnドープ層、複数の半導体層、および第1のnドープ層からエッチングされ得、その結果として、上記ナノワイヤは、第2のnドープ層から、複数の半導体層を介して、第1のnドープ層内へ延びる。
【0052】
故に、トランジスタのソースおよびドレインは、トランジスタのボディに加えて、ナノワイヤに閉じ込められ得る。
【0053】
第2の態様による電気デバイスは、第1の態様によるトランジスタと同じ利点、または同様の利点を有し得る。同様に、第3の態様による方法は、第1の態様によるトランジスタと同じ利点、または同様の利点を有し得る。
【0054】
本発明概念の上記の、ならびに追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、以下の例証的かつ非限定的な説明を通じてより良好に理解されるものとする。図面において、同じ参照番号は、別途記載のない限り、同じ要素に対して使用されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図7】ソースおよびゲートコンタクトを例証する図である。
【
図8】ソース、ドレイン、およびゲートコンタクトを例証する図である。
【
図10】PMOSトランジスタを例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
添付の図面と連携して、本発明の技術的内容および詳細な説明が、好ましい実施形態に従って以後説明されるが、これは特許請求される範囲を限定するために使用されない。本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性および完全性のために提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝える。
【0057】
図1および
図2は、横型トランジスタ1の断面図を例証する。
図1は、NMOSトランジスタ1’を例証し、
図2は、PMOSトランジスタ1’’を例証する。例証されたトランジスタ1の各々が、複数の半導体層20を含む。複数の半導体層20は、AlGaNまたはGaNの層を含む。アルミニウム含有量は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するように各々の連続する層の間で変化する。1つおきの層、例えば、偶数の層は、低Al含有層22であってもよく、間の層、例えば、奇数の層は、高Al含有層24であってもよい。用語“高”および“低”は、本明細書内では相対的な語で解釈されるべきである。低Al含有層22は、10%未満のAl含有量を有し得、高Al含有層24は、15%超のAl含有量を有し得る。例えば、各低Al含有層22は、GaN層またはA
l0.05Ga
0.95N層であってもよい。さらに、各高Al含有層24は、Al
0.2Ga
0.8N、またはAl
0.3Ga
0.7Nであってもよく、またはその間の任意の組成を有し得る。故に、複数の半導体層20は、一対の半導体層の繰り返しを含み得、半導体層の各対は、低Al含有層22および高Al含有層24を含む。繰り返しは、周期的な繰り返しであってもよい。
【0058】
複数の半導体層20の各層22、24は、3nm~10nmの厚さを有し得る。例えば、各層は、6nmまたは8nmの厚さを有し得る。
【0059】
図1および
図2に例証される複数の半導体層20は、例えば、MOVPEによって、基板(図示せず)、例えば、Si、SiC、またはサファイア基板上でエピタキシャル成長し得る。複数の半導体層20は、エピタキシャル成長中、n型またはp型ドーパントでドープされ得る。複数の半導体層20は、エピタキシャル成長後、例えば、特定の領域において、さらにドープされ得る。特定の領域は、例えば、気相からの拡散を通じて、またはイオン注入を通じてドープされ得、そのような領域は、
図1および
図2内では破線で例証される。
【0060】
図1は、エピタキシャル成長中にpドープされる複数の半導体層20を含む半導体構造を例証する。nドープ領域は、その後、NMOSトランジスタ1’のソース10およびドレイン14を形成するために、エピタキシャル成長後に作成されている。nドープ領域は、NMOSトランジスタ1のボディ12を形成するpドープ領域によって分離される。ソースコンタクト60は、ソース10に電気的に接続し、ドレインコンタクト64は、ドレイン14に電気的に接続する。ゲートコンタクト62は、半導体構造上に配置され、ボディ12を介したソース10とドレイン14との間の電気伝導がゲートコンタクト62によって制御可能であるように、NMOSトランジスタ1’のボディ12に電場を印加するように構成される。例証では、ソースコンタクト60、ゲートコンタクト62、およびドレインコンタクト64は、NMOSトランジスタ1’を含む半導体構造上に横並びに配置される。例証では、ゲートコンタクト62は、ソースコンタクト60とドレインコンタクト64との間に配置される。ソースコンタクト60およびドレインコンタクト64は、金属、例えば、それぞれソース10およびドレイン14内へ部分的に拡散される金属を含み得る。ゲートコンタクト62は、金属または別の導電性材料、例えば、ドープポリシリコンを含み得る。電気絶縁体、例えば、酸化物が、半導体構造をゲートコンタクト62の金属(または他の導電性材料)から分離し得る。
【0061】
図2は、エピタキシャル成長中にnドープされる複数の半導体層20を含む半導体構造を例証する。pドープ領域は、その後、PMOSトランジスタ1’’のソース10およびドレイン14を形成するために、エピタキシャル成長後に作成されている。pドープ領域は、NMOSトランジスタ1’のボディ12を形成するnドープ領域によって分離される。ソースコンタクト60は、ソース10に電気的に接続し、ドレインコンタクト64は、ドレイン14に電気的に接続する。ゲートコンタクト62は、半導体構造上に配置され、ボディ12を介したソース10とドレイン14との間の電気伝導がゲートコンタクト62によって制御可能であるように、PMOSトランジスタ1’’のボディ12に電場を印加するように構成される。例証では、ソースコンタクト60、ゲートコンタクト62、およびドレインコンタクト64は、PMOSトランジスタ1’’を含む半導体構造上に横並びに配置される。例証では、ゲートコンタクト62は、ソースコンタクト60とドレインコンタクト64との間に配置される。ソースコンタクト60およびドレインコンタクト64は、金属、例えば、それぞれソース10およびドレイン14内へ部分的に拡散される金属を含み得る。ゲートコンタクト62は、金属または別の導電性材料、例えば、ドープポリシリコンを含み得る。電気絶縁体、例えば、酸化物が、半導体構造をゲートコンタクト62の金属(または他の導電性材料)から分離し得る。
【0062】
図1および
図2において、トランジスタ1’、1’’のソース10、ドレイン14、およびボディ12はすべて、複数の半導体層20を含む。さらに、例証されたトランジスタ1’、1’’は、主に複数の半導体層20の層に平行の方向に電流を流すように構成される。例えば、電流は、ソースコンタクト60からソース10に入り得る。電流の一部は、次いで、複数の半導体層20の層に直交して少なくともいくらかの距離を流れ得、複数の半導体層20の層の後は、電流は主に横に流れ得る。故に、電流は、主に、トランジスタ1’、1’’のボディを通って複数の半導体層20の層に平行の方向に流れ得る。実際、電流は、トランジスタ1’、1’’のボディを通って複数の半導体層20の層に平行の方向に流れ得る。電流は、ドレイン14およびドレインコンタクト64を通って出ることができる。電流の一部は、次いで、トランジスタ1’、1’’のドレイン14内の複数の半導体層20の層に直交して少なくともいくらかの距離を流れ得る。
【0063】
図3は、CMOS回路52を含む電気デバイス50の断面図を例証する。CMOS回路52は、NMOSトランジスタ1’およびPMOSトランジスタ1’’を含む。NMOSトランジスタ1’は、複数の半導体層20を含み、PMOSトランジスタ1’’は、複数の半導体層20を含む。例証において、CMOS回路52のNMOSトランジスタ1’およびPMOSトランジスタ1’’は、同じ複数の半導体層20を共有する。NMOSトランジスタ1’およびPMOSトランジスタ1’’は、両方とも横型トランジスタである。例証において、共有された複数の半導体層20の各層は、NMOSトランジスタ1’およびPMOSトランジスタ1’’の両方を通り抜ける。さらに、CMOS回路52の各トランジスタ1’、1’’内で、ソース10、ボディ12、およびドレイン14は、複数の半導体層20を共有する。
【0064】
図3におけるCMOS回路52内の共有された複数の半導体層20は、nドープとしてエピタキシャル成長する複数の半導体層20であってもよい。PMOSトランジスタ1’’は、
図2と併せて説明されるように、次いで、ソース10およびドレイン14をpドープすることによって生産され得る。NMOSトランジスタ1’は、図に示されるように、第一に、NMOSトランジスタ1’のボディを形成するために、ある領域をpドープし、第二に、NMOSトランジスタ1’のソース10およびドレイン14を形成するために、上記pドープ領域内で、2つの領域をnドープすることによって、生産され得る。
【0065】
図4~
図6は、縦型トランジスタ1の断面図を例証する。
図4および
図5は、NMOSトランジスタ1’を例証し、
図6は、PMOSトランジスタ1’’を例証する。
【0066】
図4は、NMOSトランジスタ1’を例証し、pドープされたボディ12は、様々なAl含有量の複数の半導体層20を含み、nドープされたソース10およびドレイン14は、複数の半導体層20を含まない。代わりに、ソース10およびドレイン14は、1つの単一材料、例えば、GaNを含み得る。故に、例証されるように、NMOSトランジスタ1’のソース10は、nドープGaN層30を含み得、
NMOSトランジスタ1’のドレイン14は、nドープGaN層30を含み得る。
【0067】
図5は、NMOSトランジスタ1’を例証し、pドープされたボディ12は、様々なAl含有量の複数の半導体層20を含み、nドープソース10およびドレイン14の両方も、同じ複数の半導体層20を含む。
【0068】
図6は、PMOSトランジスタ1’’を例証し、pドープされたソース10およびドレイン14の両方が、様々なAl含有量の複数の半導体層20を含み、nドープされたボディもまた、同じ複数の半導体層20を含む。
【0069】
図4~
図6に例証されるように、ナノワイヤ40は、トランジスタ1のボディ12の少なくとも一部を閉じ込め得る。図は、トランジスタ1のボディ12内の複数のナノワイヤ40を示す。ナノワイヤ40は、ボディ12を通る電流の少なくとも一部がナノワイヤ40を通り抜けるように構成され得る。故に、複数のナノワイヤのうちのナノワイヤ40は、トランジスタ1のボディ12の少なくとも一部を閉じ込め得る。
図4~
図6の各々において、トランジスタ1のボディ12は、複数のナノワイヤ40によって閉じ込められているものとして見られ得る。ナノワイヤ40は、エッチングされ得る、例えば、ボディ12のエピタキシャル成長後、しかしながらソース10またはドレイン14のエピタキシャル成長前にエッチングされ得る。ナノワイヤ40は、100nmよりも小さい直径を有し得る。ナノワイヤ40の間の中間スペースは、電気絶縁材料、例えば、酸化物または鉄ドープ窒素ガリウムGaN:Feで充填され得る。中間スペースのそのような充填は、ナノワイヤ40をエッチングした後、および更なるエピタキシャル成長の後に行われ得る。図において、ナノワイヤ40は、ボディ12内にのみ延びる。代替的に、ナノワイヤ40は、当然ながら、ソース10および/またはドレイン14内へも延び得る。図に見られるように、複数の半導体層20は、ナノワイヤ40の軸方向に積層され得る。
【0070】
図4~
図6に例証されるトランジスタ1はすべて、主に複数の半導体層20の層に直交の方向に電流を流すように構成される。図において、これは、ソースコンタクト60およびドレインコンタクト64を複数の半導体層20の反対側に有することにより実装される。ゲートコンタクト62は、次いで、ソースコンタクト60またはドレインコンタクト64と同じ側(図では、ソースコンタクト60と同じ側)に配置され得る。それにもかかわらず、ゲートコンタクト62は、複数の半導体層20を介した、ソース10とドレイン14との間の、電流などの電気伝導がゲートコンタクトによって制御可能であるように、ボディ12および(この場合は)ソースコンタクト60の両方に近接して配置され得る。図において、ゲートコンタクト62とソースコンタクト60との近接性は、ゲートコンタクト62によって作成される電場がソースコンタクト60とドレインコンタクト64との間の電流路を開閉し得るようなものであり得る。
【0071】
図7は、ゲートコンタクト62および2つのソースコンタクト60の上面図を例証する。コンタクトは、各コンタクトのフィンガーが他方のコンタクトのフィンガーと絡み合わされた状態で互いにかみ合わされる。
図7は、
図4~
図6に示されるトランジスタ1のうちの任意の1つの上面図を例証するものとして見られ得る。
図4~
図6の断面図に示される2つのソースコンタクト60は、
図7の上面図に示されるかみ合わされたソースコンタクト60のフィンガーのうちの2つの断面として見られ得る。同様に、
図4~
図6の断面図に示されるゲートコンタクト62は、
図7の上面図に示されるゲートコンタクト62のフィンガーの断面として見られ得る。
図7に示されるコンタクト構成への追加または代替として、ゲートコンタクト62は、ソースコンタクト60を取り囲み得る。
【0072】
図8は、ゲートコンタクト62、ソースコンタクト60、およびドレインコンタクト64の上面図を例証する。コンタクトは、各コンタクトのフィンガーが他方のコンタクトのフィンガーと絡み合わされた状態で互いにかみ合わされる。
図8は、
図1~
図2に示されるトランジスタ1のうちの任意の1つの上面図を例証するものとして見られ得る。
【0073】
図9および
図10は、それぞれ、トランジスタ1の断面図を例証し、ナノワイヤ40がトランジスタ1のボディ12を閉じ込める。故に、図において、ボディ12は、単一ナノワイヤ40の一部である。そのようなトランジスタ1は、単一ナノワイヤトランジスタと呼ばれ得る。さらに、図において、トランジスタ1のボディ12を閉じ込めるナノワイヤ40はまた、トランジスタ1のソース10およびドレイン14を閉じ込める。故に、図において、ソース10、ボディ12、およびドレイン14は、単一ナノワイヤ40の一部である。
【0074】
図9は、単一ナノワイヤNMOSトランジスタ1’を例証し、pドープされたボディ12は、様々なAl含有量の複数の半導体層20を含み、nドープされたソース10およびドレイン14は、複数の半導体層20を含まない。ソース10およびドレイン14は、1つの単一の材料、この場合は、nドープGaN層30をそれぞれ含み得る。代替案として、単一ナノワイヤNMOSトランジスタ1’の複数の半導体層20は、当然ながら、ソース10および/またはドレイン14内へ延び得る。
【0075】
図10は、単一ナノワイヤPMOSトランジスタ1’’を例証し、pドープされたソース10およびドレイン14の両方が、様々なAl含有量の複数の半導体層20を含み、nドープされたボディ12は、複数の半導体層20を含まない。例証において、nドープされたボディ12は、単一層、例えば、GaN層を含む。代替的に、pドープされたボディ12は、複数の半導体層20を含み得る。
【0076】
図9および
図10は、トランジスタ1のボディ12を閉じ込めるナノワイヤ40の周りを包むゲートコンタクト62をさらに例証する。故に、
図9および
図10の両方において、ゲートコンタクト62は、ラップアラウンドゲート42である。図は、ソースコンタクト60およびドレインコンタクト64がナノワイヤ40の周りを包むことをさらに示す。
【0077】
図11は、CMOS回路52を含む電気デバイス50の断面図を例証する。CMOS回路52は、NMOSトランジスタ1’およびPMOSトランジスタ1’’を含む。NMOSトランジスタ1’は、pドープされたボディ内に複数の半導体層20を含み、PMOSトランジスタ1’’は、pドープされたソース10内に複数の半導体層20およびpドープされたドレイン14内に複数の半導体層20を含む。例証されたCMOS回路52は、インバータである。例証されたインバータなど、インバータは、NMOSトランジスタ1’およびPMOSトランジスタ1’’を含み得る。さらに、入力が、NMOSトランジスタ1’およびPMOSトランジスタ1’’両方のゲートコンタクト62に接続され得る。NMOSトランジスタ1’のソースコンタクト60は、V
ssに接続され得、PMOSトランジスタ1’’のソースコンタクト60は、V
DDに接続され得る。NMOS1’およびPMOS1’’トランジスタのドレインコンタクト64は、互いに、および出力に接続され得る。故に、入力における信号は、出力においては反転され得る。
【0078】
図12は、トランジスタ1を生産するための方法100のフローチャートを例証する。方法100は、本明細書ではステップS102~S112を含むものとして説明される。しかしながら、ステップのうちのいくつかは、図に示されるように、任意選択であるということを理解されたい。当業者には容易に理解されるように、ステップのうちの少なくともいくつかは、図に示されるものとは異なる順序で実施され得るということを理解されたい。方法100は、例えば、
図4、
図5、または
図9のNMOSトランジスタ1’のうちの任意の1つを生産するために使用され得る。
【0079】
本方法によると、第1のnドープ層、複数の半導体層20、および第2のnドープ層は、例えば、MOVPEによってエピタキシャル成長する。エピタキシャル成長は、基板、例えば、Si、SiC、またはサファイア基板上で起こり得る。
【0080】
方法100によると、AlGaNまたはGaNの第1のnドープ層は、エピタキシャル成長するS102。n型のドーパントは、MOVPEの気相内に導入され得る。例えば、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、およびNH3などの前駆体が、成長のために使用され得る。
【0081】
複数の半導体層20は、第1のnドープ層の上でエピタキシャル成長しS104、複数の半導体層の各層20は、AlGaNまたはGaNで作製され、複数の半導体層20は、1つおきの層がそれらの層の隣接する互いに対向する層よりも低いアルミニウム含有量を有するようにアルミニウム含有量が各々の連続する層の間で変化するように構成され、複数の半導体層20は、成長したpドープである。本明細書では、p型のドーパントは、MOVPEの気相内に導入され得る。アルミニウム含有量は、エピタキシャル成長中に前駆体流を変化させることによって、例えば、TMG/TMA比を変化させることによって、変化され得る。
【0082】
この時点で、エピタキシャル成長は、任意選択的に、停止され得る。基板は、成長チャンバから除去され得る。1つまたは複数のナノワイヤ40は、次いで、複数の半導体層20からエッチングされ得るS106。1つまたは複数のナノワイヤ40は、ナノワイヤ40の軸が複数の半導体層20に垂直であるように、複数の半導体層20に垂直にエッチングされ得る。これは、例えば、ナノインプリントリソグラフィによって複数の半導体層20の上面をリソグラフィパターニングし、次いで、露出した領域をエッチングすることによって行われ得る。エッチングは、例えば、フッ化水素酸を使用した、湿式エッチングによって、または、乾式エッチングによって、例えば、反応性イオンエッチングによって行われ得る。エッチングされたナノワイヤ40は、NMOSトランジスタ1’のボディ12の一部を閉じ込め得る。
【0083】
ナノワイヤ40が自立して使用されることになる場合、基板は、成長チャンバへと戻され得、エピタキシャル成長が継続し得る。場合によっては、継続したエピタキシャル成長の前に、ナノワイヤ40を埋め込むこと、例えば、それらを酸化物または半絶縁性鉄ドープ窒素ガリウム内に埋め込むことが有利であり得る。継続したエピタキシャル成長中に成長する金属は、次いで、埋込材料によって支持され、
図4~
図6に例証されるように、いくつかのナノワイヤ40を接続するため、例えば、いくつかのナノワイヤ40を同じソース10に接続するために横に広げられ得る。
【0084】
方法100は、AlGaNまたはGaNの第2のnドープ層をエピタキシャル成長させることS108をさらに含み、第2のnドープ層は、複数の半導体層20の上で成長する。上記エピタキシャル成長S108は、故に、エッチングS106が実施されない場合、以前の成長ステップS102、S104と同じ成長セッションにおいて実施され得る。代替的に、エッチングS106が実施される場合、上記エピタキシャル成長S108は、別の成長セッションにおいて実施され得る。
【0085】
第1のnドープ層、複数の半導体層20、および第2のnドープ層は、半導体構造の一部を形成する。
【0086】
エピタキシャル成長S102、S104、S108の後、第1および第2のnドープ層のうちの一方は、ソースコンタクト60に、第1および第2のnドープ層農地の他方は、ドレインコンタクト64に、電気的に接続されるS110。例えば、基板への裏側コンタクトは、第1のnドープ層を電気的に接続するために使用され得る。代替的に、溝が第1のnドープ層へ至るまでエッチングされ得、ソース60またはドレイン64コンタクトなどの電気的コンタクトは、溝の中に置かれ得る。第2のnドープ層は、上から電気的に接続され得る。nドープ層を電気的に接続することは、1つまたは複数の好適な金属を上記nドープ層に蒸着またはスパッタリングさせることを含み得る。さらに、上記金属は、上記金属を上記nドープ層内へ拡散させるためにアニーリングされ得る。こうして、高品質のオーミックコンタクトがもたらされ得る。上記金属は、例えば、Ag、Au、Ti、Ni、Al、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、Ni/AuまたはTi/Al/NiVが使用され得る。
【0087】
ゲートコンタクト62は、半導体構造上に配置されS112、ゲートコンタクト62は、複数の半導体層20を介したソース10とドレイン14との間の電気伝導がゲートコンタクト62によって制御可能であるように、複数の半導体層20に電場を印加するように構成される。ゲートコンタクト62を半導体構造上に配置することは、電気絶縁体、例えば、酸化物を、半導体構造上に堆積させ、次いで金属を上記絶縁体上に堆積させることを含み得る。
【0088】
ゲートコンタクト62は、複数の半導体層20上に配置され得る。例えば、複数の半導体層20を閉じ込めるナノワイヤ40の外側面上(例えば、ラップアラウンドゲートを形成するため)。代替的に、ゲートコンタクト62は、ゲートから印加される電場が複数の半導体層内の電気伝導を制御するのに十分に強力であるように、複数の半導体層20に近接して配置され得る。例えば、ゲートコンタクト62は、複数の半導体層20に近接して、第2のnドープ層上、または半導体構造の上面に配置され得る。ゲートコンタクト62はさらに、ソースコンタクト60またはドレインコンタクト64に近接して配置され得る。
【0089】
上に説明したトランジスタは、当業者により容易に理解されるように、多くの異なるやり方で実装され得る更なる指針として、以下について留意されたい。
pドーピングが記載されるとき、それは、例えば、前駆体ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp2Mg)からのMgによってドープされることを指し得るということを理解されたい。ドーピング強化は、複数の半導体層20がMgによってpドープされるときに見られ得る。しかしながら、同じ強化機構が他のpドーパントにも当てはまり得る。
【0090】
nドーピングが記載されるとき、それは、例えば、前駆体SiH4からのSiによってドープされることを指し得るということを理解されたい。しかしながら、GaNベースの材料は、少なくともいくつかの状況においては、本質的にn型であり得る。故に、nドープ領域は、必ずしも活発にドープされなくてもよい。
【0091】
nドープ領域へのソースコンタクト60およびドレインコンタクト64は、1つまたは複数の金属を含み得る。そのようなコンタクトの1つの例は、Ti/Al/NiVである。そのようなコンタクトの別の例は、TiまたはTaのコンタクト層、5重量%未満の銅を有するAlまたはアルミニウム‐銅合金による被覆層、Ni、Ti、Pt、Pd、Moのバリア層、およびAuのキャップ層を伴う多層である。
【0092】
pドープ領域へのソースコンタクト60およびドレインコンタクト64は、Ni/Au二重層またはNi/Ti/Auなど、1つまたは複数の金属を含み得る。
【0093】
n-GaNへのゲートコンタクト62は、例えば、Ti/Al/NiVを含み得、p-GaNへのゲートコンタクトは、Ni/Au二重層またはNi/Ti/Auを含み得る。しかしながら、別の導電性材料、例えば、ドープポリシリコンが使用され得るということを理解されたい。電気絶縁体、例えば、酸化物が、半導体構造をゲートコンタクトの金属(または他の導電性材料)から分離し得る。電気絶縁体は、例えば、Al2O3、HfO2、またはY2O3であってもよい。
【0094】
上記において、本発明概念は主に、限られた数の例を参照して説明されている。しかしながら、当業者により容易に理解されるように、上に開示されるものとは別の例が、添付のクレームによって規定されるように、本発明概念の範囲内で等しく可能である。
【国際調査報告】