(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】イオン化合物及びその応用、ペロブスカイト前駆体溶液、ペロブスカイト材料、太陽エネルギー電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
C07C 211/63 20060101AFI20240814BHJP
C07C 211/64 20060101ALI20240814BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20240814BHJP
C07D 215/10 20060101ALI20240814BHJP
C07D 209/44 20060101ALI20240814BHJP
C07D 223/04 20060101ALI20240814BHJP
C07D 213/20 20060101ALI20240814BHJP
C07D 211/14 20060101ALI20240814BHJP
H10K 30/50 20230101ALI20240814BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20240814BHJP
【FI】
C07C211/63 CSP
C07C211/64
C09K3/00 C
C07D215/10
C07D209/44
C07D223/04
C07D213/20
C07D211/14
H10K30/50
H10K30/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549916
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 CN2022099567
(87)【国際公開番号】W WO2023240629
(87)【国際公開日】2023-12-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李▲ハン▼芳
(72)【発明者】
【氏名】蘇碩剣
(72)【発明者】
【氏名】梁偉風
(72)【発明者】
【氏名】陳長松
(72)【発明者】
【氏名】林翔玲
(72)【発明者】
【氏名】劉召輝
(72)【発明者】
【氏名】陳国棟
(72)【発明者】
【氏名】郭永勝
【テーマコード(参考)】
4H006
5F251
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB91
4H006AB92
5F251AA11
5F251XA32
(57)【要約】
本出願は、イオン化合物及びその応用、ペロブスカイト前駆体溶液、ペロブスカイト材料、太陽エネルギー材料、太陽エネルギー電池及び電力消費装置を提供する。このイオン化合物の構造は、式(1)~(3)のいずれか一つのように示され、このイオン化合物は、ペロブスカイト材料の安定性を向上させ、さらに太陽エネルギー電池の効率と安定性を向上させることができる。
【化37】
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化合物であって、前記イオン化合物の構造は、式(1)~(3)のいずれか一つのように示され、
【化1】
ここで、X
1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R
1とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、7~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX
1は、Hではなく、
X
2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R
2とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、7~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X
3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX
3は、Hではなく、
Y
-は、フッ素含有アニオンである、イオン化合物。
【請求項2】
R
1とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、7~20であり、且つ一つのみのN原子を含み、及び/又は
R
2とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された縮合芳香族複素環を形成し、前記縮合芳香族複素環の環原子数は、8~20であり、且つ一つのみのN原子を含む、請求項1に記載のイオン化合物。
【請求項3】
X
3は、毎回現れ、それぞれH、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX
3は、Hではない、請求項1に記載のイオン化合物。
【請求項4】
式(3)の構造は、以下のように示され、
【化2】
X
3は、直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基から選択されたいずれか一つである、請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン化合物。
【請求項5】
前記イオン化合物の構造は、式(B)~(E)に示され、
【化3】
ここで、X
4は、毎回現れ、それぞれCR
3R
4から独立して選択され、X
5は、毎回現れ、それぞれCR
5から独立して選択され、
R
3~R
5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR
3又は少なくとも一つのR
4は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択され、式(C)と式(D)のうちの少なくとも一つのR
5は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン化合物。
【請求項6】
R
3~R
5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR
3又は少なくとも一つのR
4は、炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から選択され、式(C)と式(E)のうちの少なくとも一つのR
5は、炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から選択される、請求項5に記載のイオン化合物。
【請求項7】
Y
-は、フッ素含有ホウ酸イオン又はフッ素含有リン酸イオンから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン化合物。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン化合物をイオン液体とする応用。
【請求項9】
式(3)~(5)のいずれか一つに示すイオン化合物のペロブスカイト材料の製造における応用であって、
【化4】
ここで、X
1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R
7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(5)のうちの少なくとも一つのX
1は、Hではなく、
X
2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R
6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X
3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX
3は、Hではなく、
Y
-は、フッ素含有アニオンである、応用。
【請求項10】
ペロブスカイト前駆体溶液であって、前記ペロブスカイト前駆体溶液の成分は、式(3)~(5)に示すイオン化合物のうちの少なくとも一つ及びペロブスカイト前駆体を含み、
【化5】
ここで、X
1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R
7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX
1は、Hではなく、
X
2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R
6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X
3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX
3は、Hではなく、
Y
-は、フッ素含有アニオンである、ペロブスカイト前駆体溶液。
【請求項11】
ペロブスカイト材料であって、前記ペロブスカイト材料の成分は、式(3)~(5)に示すイオン化合物のうちの少なくとも一つ及びペロブスカイト化合物を含み、
【化6】
ここで、X
1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R
7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX
1は、Hではなく、
X
2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R
6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X
3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX
3は、Hではなく、
Y
-は、フッ素含有アニオンである、ペロブスカイト材料。
【請求項12】
前記イオン化合物と前記ペロブスカイト化合物における鉛元素の物質との量の比は、(1~10):100である、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のペロブスカイト材料の製造方法であって、
ペロブスカイト前駆体、前記イオン化合物と溶媒を混合し、ペロブスカイト前駆体溶液を得るステップと、
前記ペロブスカイト前駆体溶液に対してアニール処理を行い、前記ペロブスカイト材料を得るステップとを含む、製造方法。
【請求項14】
太陽エネルギー電池であって、請求項11又は12に記載のペロブスカイト材料を含む、太陽エネルギー電池。
【請求項15】
電力消費装置であって、請求項14に記載の太陽エネルギー電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池分野に関し、具体的には、イオン化合物及びその応用、ペロブスカイト前駆体溶液、ペロブスカイト材料、太陽エネルギー電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電技術とペロブスカイト材料の迅速な発展につれて、光電気化学とペロブスカイト材料を結びつける基礎でペロブスカイト太陽エネルギー電池を発展させた。ペロブスカイト太陽エネルギー電池は、ペロブスカイト材料を採用して吸光層を製造し、他の材料により吸光層が製造された太陽エネルギー電池に比べ、ペロブスカイト太陽エネルギー電池は、多くの利点を有する。一方で、ペロブスカイト材料自体は、整っている構造を有し、可視スペクトルに対する吸収範囲が非常に大きいとともに、二酸化チタンなどの半導体とのエネルギー準位マッチング効果が良好であり、可視光の利用を最大限にすることができ、製造されたペロブスカイト太陽エネルギー電池の効率が高い。他方で、ペロブスカイト太陽エネルギー電池の正孔伝送層は、固体であってもよく、製造方法は、簡便でショートカットであり、コストが低く、パッケージングの難度は、他の正孔層が液体である太陽エネルギー電池より大幅に低減し、且つペロブスカイト太陽エネルギー電池の原料ソースは、比較的広く、大面積フレキシブル電池と透明電池などを製造することができる。
【0003】
ペロブスカイト吸光層は、一般的には溶液法によって膜を形成し、膜形成中において、ペロブスカイト材料の構造単位は、並べる時に誤差の発生を回避できず、形成された吸光層における結晶体に欠陥が存在することを引き起こし、ペロブスカイト太陽エネルギー電池における励起子の発生と分離、キャリアの拡散及び電荷の輸送などのプロセスに直接影響を与え、さらにペロブスカイト太陽エネルギー電池の効率と安定性を低減させる。
【0004】
そのため、従来の技術は、依然として改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑み、本出願は、イオン化合物及びその応用、ペロブスカイト前駆体溶液、ペロブスカイト材料、太陽エネルギー電池及び電力消費装置を提供し、このイオン化合物は、ペロブスカイト材料の安定性を向上させ、さらに太陽エネルギー電池の効率と安定性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様によれば、本出願は、イオン化合物を提供し、前記イオン化合物の構造は、式(1)~(3)のいずれか一つのように示される。
【0007】
【0008】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R1とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、7~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R2とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、7~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0009】
本出願のイオン化合物には、一つの孤立電子対を有するN原子が含有され、且つ特定の環構造を形成し、且つパラフィンと有機的に結合する。ここで、N原子上の孤立電子対は、ペロブスカイト材料における空孔を含む鉛イオンと配位することができ、それによって非放射複合を減少させる。パラフィンは、ペロブスカイト材料における形成された遊離Hと結合でき、遊離しているHと遊離しているヨウ素イオンなどがヨウ化水素酸などの酸性物質を形成することを回避する。これとともに、芳香族複素環又は脂環は、パラフィンと有機的に結合し、イオン化合物に優れている疏水性を有させ、環境における水蒸気が結晶境界又は他の欠陥部位を通過してペロブスカイト材料内部に入ってペロブスカイト材料分解を引き起こすことを効果的に阻止することができる。それによってペロブスカイト層の安定性を向上させ、欠陥を減少させ、さらに太陽エネルギー電池の効率及び安定性を向上させることができる。
【0010】
R1とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、7~20であり、且つ一つのみのN原子を含み、及び/又は
R2とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された縮合芳香族複素環を形成し、前記縮合芳香族複素環の環原子数は、8~20であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0011】
そのうちのいくつかの実施例では、X3は、毎回現れ、それぞれH、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではない。
【0012】
そのうちのいくつかの実施例では、式(3)の構造は、以下のように示される。
【0013】
【0014】
X3は、直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基から選択されたいずれか一つである。
【0015】
そのうちのいくつかの実施例では、前記イオン化合物の構造は、式(B)~(E)に示される。
【0016】
【0017】
ここで、X4は、毎回現れ、それぞれCR3R4から独立して選択され、X5は、毎回現れ、それぞれCR5から独立して選択され、
R3~R5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR3又は少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択され、式(C)と式(D)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択される。
【0018】
そのうちのいくつかの実施例では、R3~R5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR3又は少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から選択され、式(C)と式(E)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から選択される。
【0019】
そのうちのいくつかの実施例では、Y-は、フッ素含有ホウ酸イオン又はフッ素含有リン酸イオンから選択される。
【0020】
第二の態様によれば、本出願は、第一の態様のイオン化合物をイオン液体とする応用を提供する。
【0021】
第三の態様によれば、本出願は、式(3)~(5)のいずれか一つに示すイオン化合物のペロブスカイト材料の製造における応用を提供する。
【0022】
【0023】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0024】
第四の態様によれば、本出願は、ペロブスカイト前駆体溶液を提供し、前記ペロブスカイト前駆体溶液の成分は、(3)~(5)に示すイオン化合物のうちの少なくとも一つ及びペロブスカイト前駆体を含む。
【0025】
【0026】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0027】
第五の態様によれば、本出願は、ペロブスカイト材料を提供し、前記ペロブスカイト材料の成分は、式(3)~(5)に示すイオン化合物のうちの少なくとも一つ及びペロブスカイト化合物を含む。
【0028】
【0029】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、前記脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、前記芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0030】
第六の態様によれば、本出願は、第五の態様のペロブスカイト材料の製造方法を提供し、
ペロブスカイト前駆体、前記イオン化合物と溶媒を混合し、ペロブスカイト前駆体溶液を得るステップと、
前記ペロブスカイト前駆体溶液に対してアニール処理を行い、前記ペロブスカイト材料を得るステップとを含む。
【0031】
第七の態様によれば、本出願は、太陽エネルギー電池を提供し、前記太陽エネルギー電池は、第五の態様によるペロブスカイト材料を含む。
【0032】
第八の態様によれば、本出願は、電力消費装置を提供し、前記電力消費装置は、第七の態様による太陽エネルギー電池を含む。
【0033】
上記説明は、ただ本出願の技術案の概要であり、本出願の技術手段をより明瞭に承知するために、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本出願の上記と他の目的、特徴と利点がより明らかで理解しやくなるように、以下では、特に本出願の具体的な実施の形態を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下の好ましい実施の形態の詳細な記述を読むことによって、様々な他の利点とメリットは、当業者にとって明瞭で明らかになる。図面は、好ましい実施の形態の目的を示すためのものに過ぎず、本出願を限定するものと考えられない。そしてすべての図面において、同じ図面の符号を用いて同じ部材を表す。
【
図1】本出願の一実施の形態の太陽エネルギー電池の概略図である。
【
図2】本出願の一実施の形態の太陽エネルギー電池を電源として用いる電力消費装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では、図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳細に記述する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明瞭に説明するためのものに過ぎないため、例のみとして、それによって本出願の保護範囲を限定してはならない。
【0036】
特に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0037】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「第一」、「第二」などは、異なる対象を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示し又は暗示し又は指示された技術的特徴の数、特定の順序又は主従関係を暗黙的に明示すると理解されるべきではない。本出願の実施例の記述において、特に具体的な限定が明確化されない限り、「複数」の意味は、二つ以上である。
【0038】
本明細書に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的かつ非明示的に理解することができる。
【0039】
本出願の実施例の記述において、用語である「及び/又は」は、ただ関連対象を記述する関連関係であり、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。また、本明細書における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0040】
本出願の実施例の記述において、用語である「複数」は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指し、「複数枚」は、二枚以上(二枚を含む)を指す。
【0041】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などにより指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願の実施例の記述を容易にしと記述を簡略化するために過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願の実施例を限定するためのものと理解されるべきではない。
【0042】
本出願の実施例の記述において、特に明確に規定、限定されていない限り、技術用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通又は二つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0043】
本発明では、用語である「パラフィン基」は、パラフィンの一つの水素が失われた後に形成された基を指し、例えばメタンの一つの水素が失われた後に形成されたメチル基である。用語である「パラフィン」は、炭素原子がいずれも炭素と炭素との単結合によって繋がり且つ環を形成せず、他の原子価結合がいずれも水素と結合することによって形成されたパラフィンを指し、直鎖パラフィンと分岐鎖パラフィンとを含む。
【0044】
本発明では、「パラフィン基」の炭素原子数は、1から50であってもよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50を含み、1~50つの炭素原子を包含するパラフィン(即ちC1~C50パラフィン)の一つの水素が失われた後に形成された基を指し、「C1~C50パラフィン」の非制限性実例は、メタン、エタン、n-プロパン、イソプロパン、n-ブタン、イソブタン、2-エチルブタン、3,3-ジメチルブタン、n-ペンタン、イソベンタン、ネオベンタン、1-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2-エチルペンタン、4-メチル-2-ペンタン、n-ヘキサン、1-メチルヘキサン、2-エチルヘキサン、2-ブチルヘキサン、n-ヘプタン、1-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘプタン、2-エチルヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンを含む。言い換えれば、「C1~C50パラフィン基」の非制限性実例は、上記パラフィンの一つの水素が失われた後に形成された基を含む。
【0045】
本発明では、「環原子数」は、環状に結合された原子の数を表し、この環は、置換基により置換される時に、置換基に含まれる原子は、環になった原子内に含まれない。以下に記載の「環原子数」について、特に説明されない条件で同様であり、例えば、ベンゼン環の環原子数は、6であり、ナフタレン環の環原子数は、10であり、チオフェンの環原子数は、5である。
【0046】
本発明では、基が「パラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基」から選択される時に、基の分子における他の部位と連結する部位は、芳香環基部位に位置し、同様に、基が「パラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基」から選択される時に、基の分子における他の部位と連結する部位は、脂環式アルキル基部位に位置し、基が「芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基」及び「脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基」から選択される時に、基の分子における他の部位と連結する部位は、パラフィン基部位に位置する。他の場合に基において連結部位が明示されない時に、基における連結可能な部位を連結部位として任意に選択することを表す。
【0047】
本発明では、置換基と繋がる単結合は、該当する環を貫通し、この置換基が環の任意に選択された位置と連結でき、例えば次の構造式におけるRがベンゼン環のいずれか一つの置換可能な部位と繋がることを示す。
【0048】
【0049】
本発明では、「置換又は置換されない」は、定義された基が置換されてもよく、置換されなくてもよいことを表す。
【0050】
背景技術に記載のように、膜形成中において、ペロブスカイト材料の構造単位は、並べるプロセスにおいて誤差の発生を回避できず、形成された吸光層における結晶体に欠陥が存在することを引き起こし、バルク欠陥と界面欠陥とを含み、さらにペロブスカイト太陽エネルギー電池の効率と安定性を低減させる。
【0051】
従来技術では、一般的に界面不動態化の方法を採用して電池デバイス効率と安定性を高め、一般的にペロブスカイト層表面に一層の機能不動態化層を追加し又はペロブスカイト材料内に機能抑制剤を直接に添加することによって、ペロブスカイト材料における欠陥の発生を抑制する。しかしながら、本出願の技術者は、実際の生産研究開発プロセスにおいてまとめ、従来技術で一般的に五環複素環を含むイオン化合物を採用して機能不動態化膜を製造し又はペロブスカイト材料内に直接に添加するが、製造された太陽エネルギー電池の光変換効率及びその安定性を有限に高めることを発見し、大量の創造的な実験を経た後に、本出願の技術者は、イオン化合物における環の構造及びそのヘテロ原子種類と数がペロブスカイト材料における欠陥に対する抑制と修復に、重要な影響を与えることを発見した。
【0052】
それによって、本出願の技術者は、大量の創造的な実験によって、本出願におけるペロブスカイト材料の安定性をさらに向上させることができるイオン化合物を取得し、さらに太陽エネルギー電池の効率と安定性を向上させる。
【0053】
本発明では、一実施の形態は、イオン化合物を提供し、イオン化合物の構造は、式(1)~(3)のいずれか一つのように示される。
【0054】
【0055】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R1とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、脂肪族複素環の環原子数は、7~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R2とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、芳香族複素環の環原子数は、7~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0056】
上記イオン化合物には、一つのみのN原子が含まれ、且つ特定の環構造を形成し、且つパラフィンと有機的に結合する。ここで、N原子上の孤立電子対は、ペロブスカイト材料における空孔を含む鉛イオンと配位することができ、それによって非放射複合を減少させる。パラフィンは、ペロブスカイト材料における形成された遊離Hと結合でき、遊離しているHと遊離しているヨウ素イオンなどがヨウ化水素酸などの酸性物質を形成することを回避する。これとともに、芳香族複素環又は脂環は、パラフィンと有機的に結合し、イオン化合物に優れている疏水性を有させ、環境における水蒸気が結晶境界又は他の欠陥部位を通過してペロブスカイト材料内部に入ってペロブスカイト材料分解を引き起こすことを効果的に阻止することができる。それによってペロブスカイト層の安定性を向上させ、欠陥を減少させ、さらに太陽エネルギー電池の効率及び安定性を向上させることができる。
【0057】
そのうちのいくつかの実施例では、R1とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、この脂肪族複素環の環原子数は、7~20であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0058】
説明すべきこととして、上記範囲は、連続的であり、且つこの範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含むと見なされ、実施例におけるポイント値を含むが、それらに限らない。上記のような「環原子数が7~20である」のうちの環原子数は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であってもよい。
【0059】
そのうちのいくつかの実施例では、R1とNは、互いに連結されて、置換されず又はC1~C20パラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、この脂肪族複素環の環原子数は、7~10であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0060】
そのうちのいくつかの実施例では、R1とNは、互いに連結されて、置換されず又はC1~C10直鎖パラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、この脂肪族複素環の環原子数は、7~10であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0061】
そのうちのいくつかの実施例では、R2とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された縮合芳香族複素環を形成し、縮合芳香族複素環の環原子数は、8~20であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0062】
そのうちのいくつかの実施例では、R2とNは、互いに連結されて、置換されず又は直鎖パラフィンにより置換された縮合芳香族複素環を形成し、縮合芳香族複素環の環原子数は、8~20であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0063】
そのうちのいくつかの実施例では、R2とNは、互いに連結されて、置換されず又はC1~C20直鎖パラフィンにより置換された縮合芳香族複素環を形成し、縮合芳香族複素環の環原子数は、8~15であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0064】
そのうちのいくつかの実施例では、R2とNは、互いに連結されて、置換されず又はC1~C10直鎖パラフィンにより置換された縮合芳香族複素環を形成し、縮合芳香族複素環の環原子数は、10~15であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0065】
そのうちのいくつかの実施例では、X3は、毎回現れ、それぞれH、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではない。
【0066】
そのうちのいくつかの実施例では、X3は、毎回現れ、それぞれH、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではない。
【0067】
そのうちのいくつかの実施例では、X3は、毎回現れ、それぞれH、又はC1~C20直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~10である芳香環基、又はC1~C20直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~10である脂環式アルキル基、又は環原子数が6~20である芳香環により置換された炭素原子数が1~10である直鎖パラフィン基、又は環原子数が6~20である脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~20である直鎖パラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではない。
【0068】
そのうちのいくつかの実施例では、X3は、毎回現れ、それぞれH、又はC1~C10直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~10である芳香環基、又はC1~C10直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~10である飽和脂環式アルキル基、又は環原子数が6~10である芳香環により置換された炭素原子数が1~10である直鎖パラフィン基、又は環原子数が6~10である飽和脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~10である直鎖パラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではない。
【0069】
上記脂環式アルカンの非限定性実例は、シクロヘキサンと、シクロオクタンとを含む。
【0070】
そのうちのいくつかの実施例では、式(3)の構造は、以下のように示される。
【0071】
【0072】
X3は、直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又は直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基から選択されたいずれか一つである。
【0073】
そのうちのいくつかの実施例では、X3は、C1~C20直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である芳香環基、又はC1~C20直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~20である脂環式アルキル基から選択されたいずれか一つである。
【0074】
そのうちのいくつかの実施例では、X3は、C1~C10直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~10である芳香環基、又はC1~C10直鎖パラフィンにより置換された環原子数が6~10である脂環式アルキル基から選択されたいずれか一つである。
【0075】
そのうちのいくつかの実施例では、イオン化合物の構造は、式(B)~(E)に示される。
【0076】
【0077】
ここで、X4は、毎回現れ、それぞれCR3R4から独立して選択され、X5は、毎回現れ、それぞれCR5から独立して選択され、
R3~R5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR3又は少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択され、式(C)と式(D)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択される。
【0078】
そのうちのいくつかの実施例では、R3~R5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~20である鎖状アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR3又は少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~20である鎖状アルキル基から選択され、式(C)と式(D)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~20である鎖状アルキル基から選択される。
【0079】
そのうちのいくつかの実施例では、R3~R5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~20である直鎖アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR3又は少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~20である直鎖アルキル基から選択され、式(D)と式(E)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~20である直鎖アルキル基から選択される。
【0080】
R3~R5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR3又は少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から選択され、式(C)と式(D)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~15である直鎖アルキル基から選択される。
【0081】
そのうちのいくつかの実施例では、R3~R5は、毎回現れ、それぞれH又は炭素原子数が1~10である直鎖アルキル基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(B)のうちの少なくとも一つのR3又は少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~10である直鎖アルキル基から選択され、式(C)と式(D)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~10である直鎖アルキル基から選択される。
【0082】
そのうちのいくつかの実施例では、Y-は、フッ素含有ホウ酸イオン又はフッ素含有リン酸イオンから選択される。
【0083】
説明すべきこととして、「Y-」における符号「-」は、負原子価の形成を代表するが、具体的な原子価数値を限定せず、本出願では、「Y-」の具体的な原子価数値に対して特別な要求がなく、上記イオン化合物におけるY-とそれに含有されるカチオンの部分との原子価代数和は、0であればよい。
【0084】
一具体例では、Y-は、テトラフルオロホウ酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンから選択される。
【0085】
上記イオン化合物の製造ステップは、以下のステップS100を含む。
【0086】
ステップS100、(T1)~(T3)のいずれか一つの化合物をY-含有塩と反応させ、上記イオン化合物を得る。
【0087】
【0088】
ここで、K-は、ハロゲンイオンを表す。Br-、Cl-、I-を含むが、それらに限らない。
【0089】
そのうちのいくつかの実施例では、Y-含有塩は、Y-含有金属塩であってもよく、そのうちの金属カチオンは、K+、Na+、Li+などを含むが、それらに限らない。
【0090】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ステップS100における反応は、アルコール溶媒において行い、アルコール溶媒は、メタノール、エタノール及びプロパノールのうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0091】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ステップS100における反応は、60℃で12h反応する。さらに、(T2)を例にして例を挙げて上記(T1)~(T3)のいずれか一つの前記化合物の製造方法を説明し、具体的にステップS110を含む。
【0092】
ステップS110、化合物(T2-1)を化合物(T2-2)と反応させ、(T2)を得る。
【0093】
【0094】
ここで、R2、X2の意味は、上記と同じであり、K-は、ハロゲン基を表す。Br、Cl、Iを含むが、それらに限らない。
【0095】
上記ステップS110における反応の反応メカニズムは、Menshutkin応を参照する。
【0096】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ステップS110における反応は、アルコール溶媒において行い、アルコール溶媒は、メタノール、エタノール及びプロパノールのうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0097】
(T1)と(T3)は、上記合成構想を参照して製造してもよい。本出願の一実施の形態は、上記イオン化合物を提供してイオン液体として応用する。
【0098】
本出願のイオン化合物は、液体形式で安定的に存在することができ、イオン液体を形成し、太陽エネルギー電池を製造するために用いられる時に、ペロブスカイト材料の安定性を向上させ、さらに太陽エネルギー電池の効率及び安定性を向上させることができる。
【0099】
本出願の一実施の形態は、式(3)~(5)のいずれか一つに示すイオン化合物のペロブスカイト材料の製造における応用を提供する。
【0100】
【0101】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0102】
式(1)、式(3)の意味は、上記と同じである。
【0103】
そのうちのいくつかの実施例では、式(4)において、X2は、炭素原子数が1~25であるパラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、この芳香族複素環の環原子数は、6~25であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0104】
そのうちのいくつかの実施例では、式(4)において、X2は、炭素原子数が1~25である直鎖パラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、この芳香族複素環の環原子数は、6~20であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0105】
そのうちのいくつかの実施例では、式(4)において、X2は、炭素原子数が1~10である直鎖パラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、この芳香族複素環の環原子数は、6~15であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0106】
そのうちのいくつかの実施例では、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、この脂肪族複素環の環原子数は、6~20であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0107】
説明すべきこととして、上記範囲は、連続であり、且つこの範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含むと見なされ、実施例におけるポイント値を含むが、それらに限らない。上記のような「環原子数が6~20である」のうちの環原子数は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であってもよい。
【0108】
そのうちのいくつかの実施例では、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はC1~C20パラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、この脂肪族複素環の環原子数は、6~10であり、且つ一つのみのN原子を含む。
【0109】
そのうちのいくつかの実施例では、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はC1~C10直鎖パラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、この脂肪族複素環の環原子数は、6~10であり、且つ一つのみのN原子を含む。そのうちのいくつかの実施例では、式(3)~式(5)に示すイオン化合物の構造は、式(A)~(F)に示される。
【0110】
【0111】
ここで、X4、X5及びR3~R5の意味は、上記と同じである。
【0112】
そのうちのいくつかの実施例では、式(3)~式(5)に示すイオン化合物の構造は、式(a)~(f)のいずれか一つのように示され、
【0113】
【0114】
R4とR5の意味は、上記と同じであり、且つ式(a)のうちの少なくとも一つのR4は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択され、式(C)と式(D)のうちの少なくとも一つのR5は、炭素原子数が1~30である鎖状アルキル基から選択される。
【0115】
本発明の一実施の形態は、ペロブスカイト前駆体溶液をさらに提供し、このペロブスカイト前駆体溶液の成分は、式(3)~式(5)に示すイオン化合物のうちの少なくとも一つ及びペロブスカイト前駆体を含む。
【0116】
【0117】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0118】
式(3)~式(5)に示すイオン化合物の構造は、上記と同じである。
【0119】
上記ペロブスカイト前駆体は、当分野でよく使われるペロブスカイト化合物を製造するペロブスカイト前駆体であってもよい。例えば、ペロブスカイト化合物の分子式は、ABX3であり、ここで、Aは、一価のカチオンであり、リチウムLi、ナトリウムNa、カリウムK、セシウムCs、ルビジウムRb、アミン基又はアミジン基における一つ又は複数のカチオンを含み、Bは、二価のカチオンであり、鉛Pb、スズSn、タングステンW、セレンSe、ロジウムRh、ゲルマニウムGe、ヒ素As、インジウムIn、アンチモンSbにおける一つ又は複数のカチオンを含み、Xは、一価のアニオンであり、ヨウ素I、臭素Br、塩素Clにおける一つ又は複数のアニオンを含み、それに応じて、そのペロブスカイト前駆体におけるA、B、Xの成分配合率は、ABX3を満たし、Aのハロゲン化物と、Bのハロゲン化物とを具体的に含み、Aのハロゲン化物は、Aのヨウ化物、又はAの臭化物、又はAの塩化物のうちの一つ又は複数を含み、Bのハロゲン化物は、Bのヨウ化物、又はBの臭化物、又はBの塩化物のうちの一つ又は複数を含み、例えばヨウ化鉛、ホルムアミジニウムヨージド、ヨウ化セシウム、臭化鉛、ホルムアミジニウムブロミド、臭化セシウム、塩化鉛、ホルムアミジン塩酸塩及び塩化セシウムのうちの少なくとも一つである。
【0120】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ペロブスカイト前駆体の成分配合率は、公式FA(1-x)CsxPb(I1-yBry)3に合致し、0<x<1、0≦y≦1である。
【0121】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ペロブスカイト前駆体溶液は、溶媒をさらに含み、上記ペロブスカイト前駆体溶液の濃度は、0.8mol/L~1.5mol/Lである。
【0122】
さらに、溶媒は、有機溶媒であり、DMF(N、N-ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(1-メチル-2-ピロリドン)から選択された一つ又は複数であってもよい。
【0123】
本出願の一実施の形態は、ペロブスカイト材料をさらに提供し、このペロブスカイト材料の成分は、式(3)~式(5)に示すイオン化合物のうちの少なくとも一つ及びペロブスカイト化合物を含む。
【0124】
【0125】
ここで、X1は、毎回現れ、それぞれH、又は炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、R7とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された脂肪族複素環を形成し、脂肪族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、式(1)のうちの少なくとも一つのX1は、Hではなく、
X2は、炭素原子数が1~50であるパラフィン基から選択され、R6とNは、互いに連結されて、置換されず又はパラフィンにより置換された芳香族複素環を形成し、芳香族複素環の環原子数は、6~50であり、且つ一つのみのN原子を含み、
X3は、毎回現れ、それぞれH、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である芳香環基、又はパラフィンにより置換された環原子数が6~50である脂環式アルキル基、又は芳香環により置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基、又は脂環式アルカンにより置換された炭素原子数が1~50であるパラフィン基から独立して選択されたいずれか一つであり、且つ式(3)のうちの少なくとも一つのX3は、Hではなく、
Y-は、フッ素含有アニオンである。
【0126】
上記ペロブスカイト化合物は、当分野でよく使われるペロブスカイト化合物であってもよい。
【0127】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ペロブスカイト化合物の分子式は、ABX3であり、ここで、Aは、一価のカチオンであり、リチウムLi、ナトリウムNa、カリウムK、セシウムCs、ルビジウムRb、アミン基又はアミジン基における一つ又は複数のカチオンを含み、Bは、二価のカチオンであり、鉛Pb、スズSn、タングステンW、セレンSe、ロジウムRh、ゲルマニウムGe、ヒ素As、インジウムIn、アンチモンSbにおける一つ又は複数のカチオンを含み、Xは、一価のアニオンであり、ヨウ素I、臭素Br、塩素Clにおける一つ又は複数のアニオンを含む。
【0128】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ペロブスカイト化合物は、Pb元素を含有し、上記イオン化合物とペロブスカイト化合物における鉛元素の物質との量の比は、(1~10):100である。
【0129】
本出願の一実施の形態は、上記のペロブスカイト材料の製造方法をさらに提供し、以下のステップS10~S20を含む。
【0130】
ステップS10、ペロブスカイト前駆体、イオン化合物と溶媒を混合し、ペロブスカイト前駆体溶液を得る。
【0131】
ステップS20、上記ペロブスカイト前駆体溶液に対してアニール処理を行い、ペロブスカイト材料を得る。
【0132】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ペロブスカイト前駆体溶液の濃度は、0.8mol/L~1.5mol/Lである。
【0133】
そのうちのいくつかの実施例では、上記溶媒は、有機溶媒であり、DMF(N、N-ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(1-メチル-2-ピロリドン)から選択された一つ又は複数であってもよい。
【0134】
そのいくつかの実施例では、上記アニール処理の温度は、70℃~200℃であり、時間は、3min~60minである。
【0135】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ペロブスカイト材料は、膜状形式で存在し、ステップS20において、アニール処理の間に、上記ペロブスカイト前駆体溶液を基材上に塗布するというステップをさらに含む。
【0136】
そのうちのいくつかの実施例では、上記塗布ステップは、回転塗布法、ナイフコーティング法とスリット塗布法などを採用してもよい。
【0137】
本発明の一実施の形態は、太陽エネルギー電池を提供し、この太陽エネルギー電池は、以上に記載のペロブスカイト材料を含む。
【0138】
図1は、本出願の一実施の形態による太陽エネルギー電池10の概略図である。
図1を参照するように、太陽エネルギー電池10は、順に積層設置された第一の電極11、電子伝送層12、ペロブスカイト層13、正孔伝送層14、第二の電極15を含む。ペロブスカイト層13の成分は、以上に記載のペロブスカイト材料を含む。
【0139】
そのうちのいくつかの実施例では、上記ペロブスカイト層13の厚さは、300nm~600nmである。
【0140】
そのうちのいくつかの実施例では、第一の電極11は、透明導電電極であり、さらに、第一の電極11の材質は、FTO、ITO、AZO、BZO、IZOであってもよく、また複合導電膜であってもよく、複合導電膜は、積層設置された透明ポリマー基材及び透明無機導電膜を含み、透明無機導電膜の材質は、FTO、ITO、AZO、BZO又はIZOであってもよく、透明ポリマー基材の材質は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)などであってもよい。
【0141】
電子伝送層12の成分は、当分野でよく使われる電子伝送材料であってもよく、TiO2、SnO2、ZnO、[6,6]-フェニル基-C61-酪酸イソブチル(PCBM)のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0142】
正孔伝送層14の成分は、当分野でよく使われる正孔伝送材料であってもよく、2,2′,7,7′-テトラキス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9′-スピロビフルオレン(Spiro-OMeTAD)、ポリトリアリールアミン(PTAA)、NiOx、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルホン酸塩(PEDOT:PSS)、WO3のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0143】
そのうちのいくつかの実施例では、第二の電極15の成分は、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Cr、Bi、Pt、Mg、MoO3、ITO、FTO、AZOのうちの一つ又は複数を含む。
【0144】
具体的には、上記太陽エネルギー電池10の製造ステップは、第一の電極11表面に電子伝送層12、ペロブスカイト層13、正孔伝送層14及び第二の電極15を順に形成することを含む。
【0145】
本発明の一実施の形態は、電力消費装置をさらに提供し、この電力消費装置は、上記太陽エネルギー電池を含む。
【0146】
上記太陽エネルギー電池の光変換効率が高く且つ安定性がよく、電力消費装置の効率及び耐用年数を向上させることができる。
【0147】
そのうちのいくつかの実施例では、上記太陽エネルギー電池は、電力消費装置の電源として用いられてもよく、電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。
【0148】
さらに、上記電力消費装置は、移動体機器、例えば携帯電話、ノートパソコンなど、電動車両、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含んでもよいが、これらに限らない。
【0149】
図2は、一例とする電力消費装置である。この電力消費装置20は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。
【0150】
別の例の電力消費装置は、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンなどであってもよい。
【0151】
以下は、具体的な実施例である。
【0152】
[実施例1]
(1)以下のような化合物(1)、N-オクチル-4-メチルキノリニウムテトラフルオロボレートを提供する。
【0153】
【0154】
具体的な製造プロセスは、以下の通りである。
【0155】
5.73g(1mol)4-メチルキノリン(CAS:491-35-0)、8.5g(1.1mol)ブロモオクタン(CAS:111-83-1)と40mLメタノールを取って250mL三口丸底フラスコ内に加え、70℃で6h反応し、反応混合物を250 mL回転蒸発フラスコ内に注入し、減圧して1h蒸留し、粗生成物を得、そして110℃の真空乾燥箱内に置いて12h乾燥し、中間体N-オクチル-4-メチルキノリニウムブロミド塩を得た。
【0156】
18.4g(1 mol)KPF6(CAS:17084-13-8)、26.9g(0.8 mol)中間体N-オクチル-4-メチルキノリニウムブロミド塩と100mLメタノールを250mL三口フラスコ内に加え、60℃で攪拌して12h反応し、混合物を分液漏斗内に移し、メタノールで5回洗い流し、さらに無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、吸引濾過して濾液を収集し、回転蒸発器でメタノールを除去し、110℃の真空乾燥箱内で12h乾燥し、化合物(1)を得た。
【0157】
化合物(1)に対して核磁気水素スペクトルテストを行い、核磁気水素スペクトルデータは、以下の通りである。
【0158】
1H NMR: δ 0.87 (3H, t, J = 7.0 Hz), 1.17-1.39 (10H, 1.23 (tt, J = 6.9, 6.5 Hz), 1.24 (tt, J = 7.0, 6.9 Hz), 1.25 (tt, J = 7.0, 6.5 Hz), 1.28 (h, J = 7.0 Hz), 1.32 (tt, J = 7.0, 6.8 Hz)), 1.90 (2H, tt, J = 7.6, 6.8 Hz), 2.58 (3H, s), 4.54 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.48-7.64 (2H, 7.54 (td, J = 8.5, 1.7 Hz), 7.57 (ddd, J = 8.5, 3.9, 1.5 Hz)), 7.74 (1H, dd, J = 5.4, 0.4 Hz), 7.98 (1H, ddt, J = 3.9, 1.7, 0.5 Hz), 8.91-9.10 (2H, 8.97 (dd, J = 5.4, 0.5 Hz), 9.04 (ddt, J = 8.4, 1.5, 0.4 Hz))。
【0159】
(2)太陽エネルギー電池の製造について、具体的なステップは、以下の通りである。
【0160】
ステップ1、大きさが2cm×2cmであるFTO導電ガラスを取り、レーザーエッチングした後に絶縁領域を残し、そして脱イオン水、台所用洗剤、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エタノール、脱イオン水を順に用いて20min超音波し、さらにN2でブロー乾燥して必要に備える。
【0161】
ステップ2、SnO2前駆体溶液を3000rpmの速度できれいなFTO基底上に回転塗布し、150℃で15minアニールし、SnO2基底を形成し、自然に冷却して必要に備える。
【0162】
ステップ3、濃度が1.25MであるFA0.85Cs0.15Pb(I0.9Br0.1)3ペロブスカイト前駆体溶液内に化合物(1)を加え、化合物(1)とPbとのモル比は、1%であり、ペロブスカイト前駆体溶液を形成し、シールして必要に備える。
【0163】
ステップ4、紫外線オゾン処理を15min経た後のSnO2基底表面をきれいに吹き、イオン液体を含むペロブスカイト前駆体溶液を取り、4000rpmの回転速度で20s回転塗布し、真空引きを30s行い、そして120℃のホットステージ上で45minアニールし、自然に冷却した後にペロブスカイト吸光層を得、厚さは、500nmである。
【0164】
ステップ5、ペロブスカイト吸光層上に3000rpmの回転速度でSpiro-OMeTAD溶液を回転塗布し、200nm厚さの正孔伝送層を形成した。
【0165】
ステップ6、熱蒸着法を採用し、パターンを有するマスクプレートを用いて正孔伝送層上にAg電極を堆積し、ペロブスカイト太陽エネルギー電池を得、A1と記す。
【0166】
(3)製造された太陽エネルギー電池の性能をテストした。具体的なステップは、以下の通りである。
【0167】
規格模擬太陽光(AM1.5G、100mW/cm2)で、製造された太陽エネルギー電池(即ち静置時間は、0hである)に対して光電変換効率テストを行った。テスト結果は、表1に示される。さらに太陽エネルギー電池を室温25℃に置き、湿度が85%である環境において200h静置し、そしてJ-Vテストを再度行い、その安定性を検証した。具体的な結果は、表1に示される。
【0168】
表1において、VOCは、開路電圧であり、JSCは、短絡電流であり、FFは、充填因子であり、PCEは、エネルギー変換効率である。
【0169】
[実施例2]
実施例2は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(2)に置き換えることで区別される。化合物(2)の構造は、以下のように示される。
【0170】
【0171】
化合物(2)の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの1-メチルイソインドール(CAS:72590-71-7)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルのブロモブタン(CAS:105-65-9)に置き換え、KPF6を等しいモルのNaBF4に置き換えることである。
【0172】
得られた化合物(2)に対して核磁気テストを行った。核磁気水素スペクトルデータは、以下の通りである。
【0173】
1H NMR: δ 0.89 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.39 (2H, qt, J = 7.1, 7.0 Hz), 1.83 (2H, tt, J = 7.5, 7.0 Hz), 2.58 (3H, s), 3.60 (2H, t, J = 7.5 Hz), 4.96 (2H, d, J = 14.4 Hz), 7.34 (1H, dd, J = 8.4, 1.5 Hz), 7.77 (1H, t, J = 8.4 Hz), 8.74-8.93 (2H, 8.79 (s), 8.87 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz))。
【0174】
製造された太陽エネルギー電池は、A2として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0175】
[実施例3]
実施例3は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(3)に置き換えることで区別される。化合物(3)の構造は、以下のように示される。
【0176】
【0177】
化合物(3)の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルのN-ブチルヘキサメチレンイミン(CAS: 15753-35-2)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルの臭化メチル(CAS: 74-83-9)に置き換え、KPF6を等しいモルのNaBF4に置き換えることである。
【0178】
得られたターゲット産物化合物(3)に対して核磁気テストを行った。核磁気水素スペクトルデータは、以下の通りである。
【0179】
1H NMR: δ 0.89 (3H, t, J = 6.5 Hz), 1.35 (2H, tq, J = 6.6, 6.5 Hz), 1.43-1.65 (4H, 1.51 (ddddd, J = 15.2, 4.7, 4.5, 2.3, 1.6 Hz), 1.55 (ddddd, J = 15.2, 9.7, 8.8, 2.3, 1.6 Hz)), 1.81-2.07 (6H, 1.88 (tt, J = 7.7, 6.6 Hz), 1.94 (ddddd, J = 13.5, 8.8, 6.8, 5.4, 2.3 Hz), 1.98 (ddddd, J = 13.5, 5.2, 4.7, 2.3, 1.5 Hz)), 2.97 (3H, s), 3.10 (2H, t, J = 7.7 Hz), 3.18-3.39 (4H, 3.26 (ddd, J = 13.2, 5.4, 5.2 Hz), 3.31 (ddd, J = 13.2, 6.8, 1.5 Hz))。
【0180】
製造された太陽エネルギー電池は、A3として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0181】
[実施例4]
実施例4は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(4)(CAS:343952-33-0)に置き換えることで区別される。構造は、以下のように示される。
【0182】
【0183】
製造された太陽エネルギー電池は、A4として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0184】
[実施例5]
実施例5は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(5)(CAS:886439-34-5)に置き換えることで区別される。化合物(5)の構造は、以下のように示される。
【0185】
【0186】
製造された太陽エネルギー電池は、A5として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0187】
[実施例6]
実施例6は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(6)に置き換えることで区別される。化合物(6)の構造は、以下のように示される。
【0188】
【0189】
化合物(6)の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの3、5-ジメチルアニリン(CAS: 108-69-0)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルの塩酸(CAS: 7647-01-0)に置き換えることである。
【0190】
得られたターゲット産物化合物(6)に対して核磁気テストを行った。核磁気水素スペクトルデータは、以下の通りである。
【0191】
1H NMR: δ 2.27 (6H, s), 6.47 (2H, dd, J = 2.7, 2.3 Hz), 6.73 (1H, t, J = 2.7 Hz)。
【0192】
説明すべきこととして、化合物(6)におけるアミノ基上の遊離水素は、核磁気共鳴画像において表示されなかった。
【0193】
製造された太陽エネルギー電池は、A6として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0194】
[実施例7]
実施例7は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(7)に置き換えることで区別される。化合物(7)の構造は、以下のように示される。
【0195】
【0196】
化合物(7)の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの4-メチルベンゼンプロピルアミン(CAS:54930-39-1)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルの塩酸(CAS: 7647-01-0)に置き換え、KPF6を等しいモルのNaBF4に置き換えることである。
【0197】
得られたターゲット産物化合物(7)に対して核磁気テストを行った。データは、以下の通りである。
【0198】
1H NMR: δ 1.63 (2H, tt, J = 7.5, 7.3 Hz), 2.24 (3H, s), 2.51-2.70 (4H, 2.57 (t, J = 7.5 Hz), 2.64 (t, J = 7.3 Hz)), 7.04 (2H, ddd, J = 8.0, 1.4, 0.5 Hz), 7.19 (2H, ddd, J = 8.0, 1.3, 0.5 Hz)。
【0199】
説明すべきこととして、化合物(7)におけるアミノ基上の遊離水素は、核磁気共鳴画像において表示されなかった。
【0200】
製造された太陽エネルギー電池は、A7として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0201】
[実施例8]
実施例8は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(8)に置き換えることで区別される。化合物(8)の構造は、以下のように示される。
【0202】
【0203】
化合物(8)の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの2-アミノアントラセン(CAS: 613-13-8)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルの塩酸(CAS: 7647-01-0)に置き換え、KPF6を等しいモルのNaBF4に置き換えることである。
【0204】
得られたターゲット産物に対して核磁気テストを行った。データは、以下の通りである。
【0205】
1H NMR: δ 6.87 (1H, ddd, J = 8.9, 1.9, 0.5 Hz), 7.37-7.58 (3H, 7.44 (dddd, J = 8.0, 7.5, 1.2, 0.5 Hz), 7.47 (dddd, J = 7.9, 7.5, 1.2, 0.5 Hz), 7.51 (ddt, J = 8.9, 1.6, 0.4 Hz)), 7.73-7.90 (3H, 7.79 (dddt, J = 7.9, 2.6, 1.2, 0.5 Hz), 7.83 (dddt, J = 8.0, 1.5, 1.2, 0.5 Hz), 7.84 (tt, J = 1.9, 0.4 Hz)), 8.17 (1H, ddquint, J = 2.6, 1.9, 0.5 Hz), 8.37 (1H, ddh, J = 1.6, 1.5, 0.5 Hz)。
【0206】
説明すべきこととして、化合物(8)におけるアミノ基上の遊離水素は、核磁気共鳴画像において表示されなかった。
【0207】
製造された太陽エネルギー電池は、A8として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0208】
[実施例9]
実施例9は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の化合物(9)に置き換えることで区別される。化合物(9)の構造は、以下のように示される。
【0209】
【0210】
化合物(9)の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの(1-メチルシクロヘキシル)メチルアミン(CAS: 3913-98-2)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルの塩酸(CAS: 7647-01-0)に置き換えることである。
【0211】
得られたターゲット産物に対して核磁気テストを行った。データは、以下の通りである。
【0212】
1H NMR: δ 1.01 (3H, s), 1.15-1.44 (10H, 1.23 (dt, J = 12.8, 6.5 Hz), 1.29 (dtt, J = 11.8, 10.3, 2.8 Hz), 1.31 (dquint, J = 11.8, 2.8 Hz), 1.37 (dtt, J = 11.3, 6.5, 2.8 Hz), 1.37 (dtt, J = 11.3, 6.5, 2.8 Hz), 1.36 (dt, J = 12.8, 2.8 Hz)), 2.60 (2H, s)。
【0213】
説明すべきこととして、化合物(9)におけるアミノ基上の遊離水素は、核磁気共鳴画像において表示されなかった。
【0214】
製造された太陽エネルギー電池は、A9として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0215】
[比較例1]
比較例1は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の以下のような化合物に置き換え、ペロブスカイト前駆体溶液において、この化合物とPbとのモル比が3%であることで区別される。
【0216】
【0217】
上記化合物の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの2-メチルピロール(CAS: 636-41-9)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルのブロモブタン(CAS:105-65-9)に置き換え、KPF6を等しいモルのNaBF4に置き換えることである。
【0218】
得られたターゲット産物に対して核磁気テストを行った。データは、以下の通りである。
【0219】
1H NMR: δ 0.88 (3H, t, J = 6.6 Hz), 1.33 (2H, h, J = 6.6 Hz), 1.71 (2H, tt, J = 7.4, 6.6 Hz), 2.18 (3H, s), 3.66 (2H, t, J = 7.4 Hz), 5.93-6.07 (2H, 5.98 (dd, J = 3.2, 1.6 Hz), 6.01 (dd, J = 3.2, 3.0 Hz)), 6.98 (1H, dd, J = 3.0, 1.6 Hz)。
【0220】
製造された太陽エネルギー電池は、B1として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0221】
[比較例2]
比較例2は、比較例1と基本的に同じであり、比較例2のペロブスカイト前駆体溶液において、下記化合物とPbとのモル比が1%であることで区別される。
【0222】
【0223】
製造された太陽エネルギー電池は、B2として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0224】
[比較例3]
比較例3は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の以下のような化合物に置き換えることで区別される。
【0225】
【0226】
上記化合物の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの2-メチルピラジン(CAS: 109-08-0)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルのブロモブタン(CAS:105-65-9)に置き換え、KPF6を等しいモルのNaBF4に置き換えることである。
【0227】
得られたターゲット産物に対して核磁気テストを行った。データは、以下の通りである。
【0228】
1H NMR: δ 0.89 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.35 (2H, qt, J = 7.1, 7.0 Hz), 1.85 (2H, tt, J = 7.0, 6.8 Hz), 2.75 (3H, s), 4.35 (2H, t, J = 6.8 Hz), 8.41-8.67 (3H, 8.47 (dd, J = 6.9, 1.8 Hz), 8.54 (dd, J = 1.8, 0.5 Hz), 8.61 (dd, J = 6.9, 0.5 Hz))。
【0229】
製造された太陽エネルギー電池は、B3として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0230】
[比較例4]
比較例4は、実施例1と同じであり、実施例1における化合物(1)を同等のモル数の以下のような化合物に置き換えることで区別される。
【0231】
【0232】
上記化合物の製造は、実施例1における化合物(1)の製造を参照し、相違点は、4-メチルキノリンを等しいモルの4-メルカプトピリジン(CAS: 4556-23-4)に置き換え、ブロモオクタンを等しいモルのブロモブタン(CAS:105-65-9)に置き換え、KPF6を等しいモルのNaBF4に置き換えることである。
【0233】
得られたターゲット産物に対して核磁気テストを行った。データは、以下の通りである。
【0234】
1H NMR: δ 0.89 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.35 (2H, qt, J = 7.1, 7.0 Hz), 1.80 (2H, tt, J = 7.4, 7.0 Hz), 4.37 (2H, t, J = 7.4 Hz), 7.79 (2H, ddd, J = 6.9, 1.9, 0.5 Hz), 8.66 (2H, ddd, J = 6.9, 1.7, 0.5 Hz)。
【0235】
製造された太陽エネルギー電池は、B4として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0236】
[比較例5]
比較例5は、実施例1と基本的に同じであり、比較例5ではペロブスカイト前駆体溶液内にイオン化合物(1)を添加しないことで区別される。他のステップ即ち条件は、実施例1と同じである。
【0237】
製造された太陽エネルギー電池は、B5として記し、具体的な結果は、表1に示される。
【0238】
各実施例及び比較例のテスト結果は、以下の表1に示される。
【0239】
【0240】
表1における結果から分かるように、本出願のイオン化合物を採用してペロブスカイト層を製造する時に、ペロブスカイト層の安定性を向上させることができ、欠陥を減少させ、さらに太陽エネルギー電池の効率及び安定性を向上させることができる。
【0241】
最後に説明すべきこととして、以上の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述各実施例を参照しながら本出願について詳細に説明したが、当業者として理解すべきこととして、彼らは、依然として前述各実施例に記載された技術案を修正し、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して同等の置き換えを行うことができ、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではなく、それらは、いずれも本出願の請求項と明細書の範囲に含まれるべきである。特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各項技術的特徴は、いずれもいずれか方式によって組み合わせられてもよい。本出願は、明細書に開示された特定の実施例に限らず、特許請求の範囲内に属するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0242】
10太陽エネルギー電池、11第一の電極、12電子伝送層、13ペロブスカイト層、14正孔伝送層、15第二の電極、20電力消費装置
【国際調査報告】