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特表2024-530379細長い構造体の位置および/または向きを制御するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】細長い構造体の位置および/または向きを制御するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20240814BHJP
   E02D 7/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B63B35/00 L
E02D7/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023555347
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022056256
(87)【国際公開番号】W WO2022189590
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2027739
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441294
【氏名又は名称】デルタ ラボラトリーズ ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーレ, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】オーステルロー, ダビアン
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050AA01
2D050CB12
2D050EE15
(57)【要約】
細長い構造体の位置および/または向きを制御する方法が提供される。この方法は、グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置および/または向きを制御する方法である。この方法は、構造体とグリッパとの間の相互作用力を示す力データを受け取るステップと、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップ、特に、構造体および/または船舶の位置および/または向きを互いに関して制御するステップとを含む。構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップは、構造体および船舶の位置および/または向きを力データに基づいて制御することを含む。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記構造体、前記グリッパ、前記船舶または前記構造体を支持する巻上げシステムに関する1つまたは複数の条件に基づいて調整すること
を含む方法。
【請求項2】
荷重データ、挿入データ、船舶データ、構成データおよび力データのうちの少なくとも1つを取得することであり、前記荷重データが、前記構造体を支持する前記巻上げシステムに加わっている荷重を示し、前記挿入データが、前記水底層中への前記構造体の挿入深さまたは前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示し、前記船舶データが、前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示し、前記構成データが、アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を示し、前記力データが、前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す、前記取得すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記荷重データ、前記挿入データ、前記船舶データ、前記構成データおよび前記力データのうちの前記少なくとも1つに基づいて調整すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記水底層中に前記パイルを配置する動作段階に基づいて調整することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を調整することが、
前記結合の前記剛性を、第1の剛性設定から第2の異なる剛性設定に調整すること、および/または
前記結合の前記減衰を、第1の減衰設定から第2の異なる減衰設定に調整すること
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す力データを受け取ること、ならびに
前記構造体および/または前記船舶の位置および/または向きを制御すること、特に、前記構造体および前記船舶の位置および/または向きを互いに関して制御すること
を含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記力データに基づいて制御することを含む、
方法。
【請求項6】
前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記船舶と前記グリッパとの間のアクチュエータを前記力データに基づいて制御すること、特に、前記アクチュエータを、前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御するように制御することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アクチュエータを制御することが、前記アクチュエータの駆動装置の力および/もしくはトルクを制御すること、ならびに/または前記アクチュエータの可動部品の相対位置および/または移動を制御することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記構造体データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記船舶データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
地球座標における前記構造体の位置、向きおよび移動ならびに/もしくは前記構造体を配置する前記水底層に対する前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ること、ならびに/または
前記船舶の位置および/もしくは移動、特に、地球座標における前記船舶の位置および/もしくは移動ならびに/または前記構造体を配置する前記水底層に対する前記船舶の位置および/もしくは移動を示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の位置および/または向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを、地球座標に関しておよび/または前記水底層に関して制御することをさらに含む、
請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサから荷重データを受け取ることをさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記荷重データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アクチュエータの1つもしくは複数の可動部品の相対位置および/もしくは移動を示す構成データを受け取ること、ならびに/または
前記船舶の位置および/もしくは移動、特に、前記構造体を配置する前記水底層に対する前記船舶の位置および/もしくは移動を示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、特に下記の場合に、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記構成データおよび/または前記船舶データに基づいて制御することをさらに含む、
前記アクチュエータの可動部品の前記相対位置および/もしくは移動が所定の空間および/もしくは速度範囲外にあることを前記構成データが示している場合、ならびに/または
所定の空間および/もしくは速度範囲外に前記船舶が配置されていることおよび/もしくは移動していることを前記船舶データが示している場合、
請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記構造体を配置する前記水底層上もしくは前記水底層中の位置を決定し、前記構造体および前記船舶の前記位置および/もしくは前記向きを前記位置の周りで対称に制御すること、ならびに/または
前記グリッパを介して接続された前記構造体および前記船舶を含むアセンブリの質量中心および/もしくは慣性中心を決定し、前記構造体および前記船舶の前記位置および/もしくは前記向きを、前記質量中心および/もしくは前記慣性中心の周りで対称に制御すること
をさらに含む、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、および
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を動的に調整すること
をさらに含む、請求項5から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記結合の前記剛性を、第1の剛性設定から第2の異なる剛性設定にもしくは前記第2の剛性設定から前記第1の剛性設定に調整すること、および/または
前記減衰を、第1の減衰設定から第2の異なる減衰設定にもしくは前記第2の減衰設定から前記第1の減衰設定に調整すること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記結合の前記剛性を、前記第1の剛性設定と前記第2の剛性設定との間の1つもしくは複数の剛性設定に調整すること、および/または
前記結合の前記減衰を、前記第1の減衰設定と前記第2の減衰設定との間の1つもしくは複数の減衰設定に調整すること
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記力データに基づいて、ならびに/または、受け取っているときに、構造体データ、船舶データ、荷重データ、構成データおよび挿入データのうちの1つもしくは複数に基づいて調整することを含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を示す荷重データと、
水底層中への前記構造体の挿入深さおよび/または前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示す挿入データ
のうちの少なくとも一方を受け取ること、ならびに
前記結合の前記剛性および/または前記結合の前記減衰を、前記荷重データと前記挿入データのうちの少なくとも一方に基づいて調整すること
をさらに含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、それぞれの前記第1の設定とそれぞれの前記第2の設定との間のそれぞれの1つまたは複数の設定に、少なくとも前記荷重データおよび/または前記挿入データに基づいて調整すること
を含む、請求項16に従属するときの請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記船舶を水体に配置すること、
前記船舶の巻上げシステムから前記構造体を支持すること、
前記グリッパを介して前記構造体を前記船舶に接続すること、
前記水体の前記水底層上および/または前記水底層中に前記構造体を配置すること、
前記構造体を前記水底層中に打ち込むこと、ならびに
前記グリッパおよび/または前記船舶から前記構造体を分離すること
を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の傾きを0からの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを、前記構造体の傾きを示す傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること
をさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記構造体の傾きを示す傾き測定データを受け取ること、および
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の前記傾きをゼロからの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを前記傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること
を含む方法。
【請求項23】
前記構造体の前記傾きを制御することが、前記構造体の鉛直度が前記既定の許容差の範囲内にあることを保証するために、前記グリッパに対する運動補償制御ループまたは位置制御ループに入力を提供することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
傾き測定データが、絶対地球座標系における前記構造体の前記傾きを示す、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記構造体、前記グリッパ、前記船舶または前記構造体を支持する巻上げシステムに関する1つまたは複数の条件に基づいて調整すること、
システム。
【請求項26】
前記プロセッサがさらに、下記を実行するように構成された、
荷重データ、挿入データ、船舶データ、構成データおよび力データのうちの少なくとも1つを取得することであり、前記荷重データが、前記構造体を支持する前記巻上げシステムに加わっている荷重を示し、前記挿入データが、前記水底層中への前記構造体の挿入深さまたは前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示し、前記船舶データが、前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示し、前記構成データが、アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を示し、前記力データが、前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す、前記取得すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記荷重データ、前記挿入データ、前記船舶データ、前記構成データおよび前記力データのうちの前記少なくとも1つに基づいて調整すること、
請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサから力データを受け取ること、ならびに
前記力データに基づいて、前記船舶の制御システムおよび/または前記船舶と前記グリッパとの間のアクチュエータを、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御するように制御すること、特に、前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを互いに関して制御すること、
システム。
【請求項28】
船舶に装着可能なまたは装着されたグリッパであり、パイル、特に、前記グリッパによって把持されている間に水底層に配置するパイルなどの細長い構造体を前記グリッパを介して前記船舶に接続するための前記グリッパをさらに備える、請求項25から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記グリッパが前記船舶に装着されており、かつ前記細長い構造体を前記船舶に接続しているときに前記船舶と前記構造体との間の結合を決定するように、および前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定するように構成されており、
前記システムが、前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を動的に調整するように、および/または前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方の動的調整を可能にするように構成されている、
請求項27に従属しているときの請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサ、
前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された構造体データセンサ、
前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された船舶データセンサ、
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサ
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項25から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記構造体の傾きを示す傾き測定データを受け取ること、および
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の前記傾きをゼロからの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを前記傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること、
システム。
【請求項32】
前記構造体の前記傾きを制御することが、前記構造体の鉛直度が前記既定の許容差の範囲内にあることを保証するために、前記グリッパに対する運動補償制御ループまたは位置制御ループに入力を提供することを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
請求項25から32のいずれか一項に記載のシステムを備える船舶。
【請求項34】
請求項1から24のいずれか一項に記載の方法ステップを請求項25から32のいずれか一項に記載のシステムに実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項35】
請求項34に記載のコンピュータプログラム製品をその上に記憶したコンピュータ可読媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、海底に構造体を設置する分野に関する。特に、本開示は、グリッパ(gripper)を介して船舶に接続された、パイル(pile)、詳細には水底層(water bottom formation)に配置するパイル、より詳細にはモノパイルなどの細長い構造体(elongated structure)の位置および/または向きを制御する方法に関する。本開示はさらに、グリッパを介して船舶に接続されたこのような細長い構造体の位置および/または向きを制御するためのシステム、該システムを含む船舶、ならびにコンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読媒体に関する。特に、本開示は、海底へのモノパイルのフローティング設置(floating installation)のための制御システムおよび方法に関する。
背景
【0002】
現在、構造体を海底に設置すること、特に、洋上風力タービン発電機用の構造体を海底に設置することがかなり活発に行われている。洋上風力タービン発電機用の基礎の構築は、パイルまたはモノパイルなどの大型の管状構造体を船舶から海底に設置することを含む。
【0003】
海底にパイルを設置することに関して、主な範囲は、海底の(例えば、緯度、経度および高度におけるパイルの位置、パイルの鉛直度に関して表現された、または例えばWGS-84、ITRFなどの知られている地上測地系で表現された)地球座標における予め知られている正確に整合された絶対位置(単純にするためにここではX-Yによって示される)にパイルを設置することである。さらに、目標は、パイルの鉛直度に関する1つの要件でパイルを設置することである。ほとんどの場合、今日の現状技術に基づくパイルは、地球座標における鉛直からの最大0.2~0.25度のオフセットをどの方向にも超えない鉛直許容差で設置されるはずである。
【0004】
この分野に属するモノパイルは、5メートルから最大11~12メートルの範囲の直径および最大約110メートルの長さを有する極めて大きな管状(中空)構造体であると考えることができる。このようなパイルの重量は、1500~3500メートルトン(「T」)など、2000T程度またはそれ以上であり、将来、パイルはこれよりも大きくなると予想される。
【0005】
パイルの設置は、モノパイルを船から海底に降ろす「フローティング」設置を含むことがある。本業界においてこの設置はまだまれにしか行われていない。フローティング設置は非常に難しく、潜在的に極めて危険であると考えられているため、モノパイルなどの基礎は現在、主に、海底に固定された船舶であるジャッキアップ船によって設置されている。ジャッキアップベースの設置にははるかに多くの時間がかかり、このことが、技術的課題を解決することができるという条件付きながら、それにもかかわらずフローティング設置の方が好ましいことがある理由である。
【0006】
船舶上でのパイルの転倒は破局的損傷を生じさせることがあり、容易に死亡事故につながりうる。
【0007】
フローティング設置について考えると、さらなる課題は、パイルの操作が、含まれている大きな慣性のために、船舶動的位置決めシステム(vessel dyanmic positioning system)(「DPシステム」)の動作に対して重大な影響を有しうることである。
【0008】
パイルを制御し、このような要件でのモノパイルの設置を可能にするために、本業界によって、いくつかのモノパイルグリッパフレームが提案されている。
【0009】
浮かんでいる船舶からパイルを設置するときには、運動補償付きの(motion compenseted)パイルグリッパフレームが必要である。このようなパイルグリッパフレームは、パイルに影響を与える力および運動を発生させる制御システムを有する。しかしながら、この制御システムは、既存のDPシステムの制御システムおよびアクチュエータに対する外部影響も生じさせる。系(例えば船舶、DPシステム、パイルグリッパ、パイルおよび海底)の結合は、例えば、パイルが海底に挿入されており、したがって海底との間である高い結合剛性(coupling stiffness)を経験し、一方で、DPシステムが例えば高精度モード(このモードは、指定された位置に船舶をしっかりと維持するようにDPシステムが構成されていることを特徴とする)にある可能性がある場合に、望ましくない状況につながりうる。その場合、船舶、運動補償付きパイルグリッパ、パイルおよび海底間の結合された結合は、この結合された動的系における望ましくない不安定(例えば制御の不安定)につながりうる。このような不安定は、DPシステムもしくはパイルグリッパまたはその両方による静止位置保持性能における大きな位置ドリフトおよび偏差を生じさせうる。その場合、これらは、パイル設置動作を妨げ、潜在的に危険な状況につながりうる(例えば落下パイルの転倒につながりうる)。DPシステムへのコマンドの送信と船舶の測定可能な応答の受取りとの間に存在することがあるDPシステムの時間遅れは一般に大きすぎて、不安定な状況を安定させる目的にDPシステムへの能動制御入力を効果的に使用することができない。この問題の1つの可能な軽減策が、例えばこのような瞬間においてDPシステムをより精度の低いものにするためにDPシステムを「デチューンして」、このような不安定を回避することであることがある。しかしながら、このようなデチューニングは、例えばパイル配置およびパイル鉛直度の正確さなど、設置の正確さの重大な損失に帰着することがある。
【0010】
したがって、起こりうる大量の故障条件下でも動作の安全性および設置の正確さを向上させる方法およびシステムが望まれている。
【0011】
さらに、ジャッキアップ船は海底に固定されているため、能動運動補償は不要である。最近、いくつかの団体が、ジャッキングシステムおよび/または船舶を海底に係留することもしくは船舶を錨で海底に固定することを必要とせずに浮かんでいるクレーン船からモノパイルを設置することができるようにするための運動補償付きパイル-グリッパおよび関連設置方法の開発を開始した。例えばWO2019/172572A2、NL2020536B1、WO2019/125172A2、NL2022205B1、NL2018066B1、EP3517479A1を参照されたい。これらのシステムは、普通は自由度2(X-Y)の可動パイル-グリッパを甲板上に配置することによる「運動補償」に基づく。グリッパ内を通ってパイルが鉛直方向に移動することを可能にするため、鉛直Z軸は制限なしに維持される。通常、パイルをZ方向に受動的に案内するためにローラが使用される。このようなローラは、「ローラボックス」内の、パイルをしっかりと握持するグリッパの周囲に円形に配置されている。その場合、パイルグリッパのアクチュエータシステムはローラボックスを水平座標X、Y内で移動させる。
【0012】
船舶の位置および向きの測定に由来するセンサ信号に基づいて可動装置に命令する位置制御スキームによって洋上運動補償システムを実施することが知られている。このような信号は通常、慣性計測システム(IMU)および/または慣性とGPS測定との組合せに由来し、組み合わされたときにはこれが時に運動基準ユニット(Motion Rererence Unit)(MRU)と呼ばれる。本業界ではさまざまな方法が知られている。
【0013】
いくつかの知られている着想は、例えばAU2012233801A1、AU2014281920A1、EP3382335A1に開示されているものなどの別個のパイル測定装置を使用することがある。WO2019125172A2は、一般に、これを、制御システム、例えば船舶GPSデータの可能な入力およびパイル測定装置を用いて水平面においてパイル-グリッパを位置決めする制御システムと統合することもできるとの考察を開示している。
【0014】
本開示の文脈では、パイル設置シーケンスが、後により詳細に論じる以下の要素を含むことがある。
【0015】
- 「パイル直立」:パイル締付けツール、例えばCA2892993A1に開示されたパイル締付けツール、および例えばWO2021002750にA1に基づく直立装置を用いて、甲板上および甲板の上方でパイルを水平位置から鉛直位置に直立させること。直立させた後、パイルは、船舶の隣に配置されたクレーン上に懸架され、少なくとも部分的に水中に沈められる;
【0016】
- 「パイルローディング」:甲板の上方から設置位置(直立)、この場合には地球座標における船舶の隣の設置位置へのパイルの移送(リフト)を意味し、通常は、パイルをパイルグリッパに向かって移動させるクレーン旋回運動によって実行される。次いで、甲板の高さまたは甲板の高さ付近に設置されたパイルグリッパへのパイルの挿入。この場合、パイルグリッパは、ほぼ最終設置位置にまたは最終設置位置の近くに既に配置されていてもよい。この配置は、DPシステムによる船舶の位置決めとも組み合わされて達成される。パイルローディングは、パイルグリッパでパイルを握持することも含むことがある。グリッパの中心軸をパイルと整列させるために、パイルローディング中にグリッパによってパイルを「追跡する」ことができる。パイルによってグリッパおよび船舶構造体に加わる力(この力は、波、風、海流もしくは船舶の運動、または波、風および海流によって船舶に加わる力などの外部因子によって生じること、あるいはこれらの外部因子の影響を受けることがある。一般に、これらの因子は、パイルおよび/または船舶の条件に関係すると言われることがある)が最小になるようにグリッパの剛性および減衰(damping)を変化させることを可能にするために、本開示の実施形態では、この動作を、例えばパイルグリッパのアクチュエータシステムの力制御を用いて実行することができる。良好な追跡性能を保証するため、「追跡」中、このような剛性および減衰設定は異なってもよい。「パイル降下」:パイルを海底に降ろすこと。本開示の実施形態では、これを、例えば、細長い構造体の剛性および減衰を船舶、グリッパまたは地球座標系のいずれかに関して変化させるためのアクチュエータシステムの力制御を用いて実行することができる;
【0017】
- 「パイル配置」:パイルの底部を、最終的に、海底の指定された最終位置またはその近くに配置すること。本開示の実施形態では、これを、例えば剛性および減衰を制御するためのアクチュエータシステムの力制御、ならびに例えばパイルが海底に接触し始めたときの海底に対する船舶およびパイルグリッパの水平運動を補償するランプアップ(ramping-up)運動制御を用いて実行することができる。このステップ中に、この運動制御を例えば、センサからまたは動作工程に関する他の情報からの入力に基づいて、例えばクレーンから懸架されたパイルから底に固定されたパイルに遷移する間、運動制御をゆっくりとランプアップするようにスケーリングすることができる。この運動補償のランプアップを制御するために、例えばクレーンフックにおける荷重など、追加のセンサまたは測定もしくは間接測定を使用することができる。最終配置の間、例えばパイル傾き制御を使用して、パイルが正確に鉛直であることを保証することができる。このようなパイル傾き制御は、直接または間接パイル傾き測定、例えば船舶座標、パイルグリッパ座標系または地球固定座標系における直接または間接パイル傾き測定に関して使用することができる;
【0018】
- 「パイル自重進入」:(自重進入深さにおいて)パイルをクレーンで支持する必要がもはやなくなるまで、およびパイルとクレーンとの結合からパイルの頂部を解放するなど、フランジ付きパイル直立ツール(flanged pile up-ending tool)(FPUT)をパイルから取り外すまで、パイルをさらに降下させること。本開示の実施形態では、このステップの間、例えば運動補償制御を傾き制御と組み合わせて使用することができる。この作動システムの力制御を、例えば、パイル、パイル-グリッパおよび船舶間の結合剛性および/または減衰をオンライン調節するために使用することもできる;
【0019】
- 「パイルバランシング」:直立クランプ(FPUT)を取り外した後、パイルは、船舶の隣の海底に立っており、パイルグリッパを介して船舶のみに結合されている。制御システムは、パイルが転倒しないこと(すなわちひっくり返らないこと)、および例えば船舶の運動の逸脱またはパイルもしくは船舶に加わる外力に起因する全ての外乱が補償されることを保証する。本開示の実施形態では、このステップが例えば、いずれかの座標系、例えば地球座標系において剛性および/または減衰を調整するためのアクチュエータシステムの力制御を含むことがあり、運動補償制御およびさらに傾き制御を含むことがある。あるいは、傾き制御の代わりに、パイルおよび/または船舶に加わる外乱の大きさおよび方向から独立してこの結合系が常に平衡状態に留まるようにパイルと船舶の結合質量のバランスをとる特別な制御方法を使用することもできる。この設置ステップの終わりには、例えばAU2014281920A1に開示されているものなどの打込み用のパイル打込み機をパイルに設置する必要がある;
【0020】
- 「パイル打込み」:運動補償下でパイルを挿入深さまで打ち込むこと(またはこれは時に「ハンマリング」と呼ばれる)。パイル打込み中に、本開示の実施形態では、例えばアクチュエータシステムの力制御を使用して、パイルを船舶から分離するなど、パイルと船舶との間の剛性および/または減衰を調整することができる。正確さと分離との間の最適なトレードオフを見つけるために剛性および/または減衰を連続的にまたは時に応じて調整するなどのために、このような分離剛性および減衰をパイル打込み中の変数として設定することができる。通常、この剛性は、パイルと船舶との間の界面で低減され、パイルはより深く海底に挿入される。これは、パイルおよびパイルの制御をDPシステムから「分離し」、DPシステムを高剛性設定に保つことを可能にする。
【0021】
- 「グリッパ後退」:パイルをパイルグリッパから解放すること。最初に、グリッパ内の所定の位置にパイルを保持しているローラボックスを開き、次いでグリッパを開き、運動補償下でパイルからのグリッパの後退を制御する。この段階において、本開示の実施形態では力制御を使用することができ、パイルの「追跡」に切り換わるとき、この力制御は通常「より高剛性」に設定されることになる。ローラボックスをパイルから分離した後、パイルとの衝突を回避するために、パイルを追跡するための追跡制御が必要である。アクチュエータの力制御(あるいはインピーダンス制御またはアドミタンス制御と呼ばれることもある)における高剛性設定は良好な追跡性能の達成に役立つであろう。
【0022】
- 「緊急停止」:システムのエラーが動作の「安全停止」につながるであろうモード。このモードにおいて、本開示の実施形態では、例えばパイルバランシングモードにあるときにパイルが転倒することを防ぐために、「スターコントローラ(star controller)」(または結合船舶-モノパイルコントローラ)を起動することができる。
【0023】
- 「緊急復旧」:本開示の実施形態において、緊急復旧は、パイルの傾きおよび船舶の位置を安定させるために、船舶とパイルの結合質量中心のバランスをとる「スターコントローラ」を起動することである。緊急復旧モードは、DPシステムの潜在的な完全故障下での安全防護対策として使用することもできる;
【0024】
以上を考えると、これによってかなりの改良が提供される。
概要
【0025】
一態様では、細長い構造体の位置および/または向きを制御する方法が提供される。
【0026】
この方法は、グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置および/または向きを制御する方法である。この方法は、
構造体とグリッパとの間の相互作用力(interaction force)を示す力データを受け取るステップと、
構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップ、特に、構造体および/または船舶の位置および/または向きを互いに関して制御するステップと
を含む。構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップは、構造体および船舶の位置および/または向きを力データに基づいて制御することを含む。一例として、アクチュエータシステムを、インピーダンスまたはアドミタンス制御アーキテクチャにおいて、力の適用から独立して、異なる剛性および減衰特性を与えることができるように構成されたものとすることができる。その場合には、水平船舶運動を補償するために、運動補償制御が、このようなインピーダンスまたはアドミタンス制御システムに入力設定点を提供することができる。その場合には、パイルが正確に鉛直であることを保証するために、傾き制御機能が、運動補償制御に入力を提供することができる。そのため、結合の剛性(および/または減衰)の変動/適合は、ことによると他にもあるが、船舶、パイルまたはグリッパの条件に依存することがある。それに加えて、またはその代わりに、剛性(および/または減衰)の変動/適合は、設置工程の動作段階(水底層中にパイルを配置する動作段階)に依存することもある。この細長い構造体は、パイル、特に、水底層上および/または水底層中に配置するパイルであってもよい。パイルはモノパイルであってもよい。
【0027】
船舶は、この方法の少なくとも一部分の間、浮かんでいる船舶であってもよく、またはジャッキアップされた船舶など水底層に関して固定された船舶であってもよい。それに加えて、またはその代わりに、船舶は、水底層に例えば錨によって係留されているなど、限定された自由度で浮かんでいるものであってもよい。水底層は、例えば海底(大洋底を含む)、湖底または河床などとすることができる。
【0028】
構造体とグリッパとの間またはグリッパと船舶との間の相互作用力を示す力データは、構造体とグリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサからの力データ、および/またはアクチュエータ電流データ、アクチュエータトルクデータなどのアクチュエータ動作データ、例えば、アクチュエータ入力電流、トルク、出力された力、出力トルクのうちの1つもしくは複数を検出するように構成された1つもしくは複数のセンサからのアクチュエータデータを含むことができる。
【0029】
本明細書では、構造体、例えばモノパイルの向きが構造体の傾きを含む。構造体の傾きは、絶対的に、すなわち地球座標および/または重力に対して決定されることが好ましいことがある。構造体の傾きは、船舶および/またはグリッパの向きに対して決定してもよい。このように取得した構造体の相対傾きデータを、船舶および/またはグリッパの絶対位置および/または向きデータと併合して、構造体の絶対傾きデータを決定することができる。同様に、このことは、必要な変更を加えれば、構造体に対する船舶および/またはグリッパの向き、ならびに/または船舶および/またはグリッパの絶対向き、すなわち地球座標および/もしくは重力に対する船舶および/またはグリッパの向きにも当てはまる。
【0030】
構造体および船舶の位置および/または向きを、慣例に従って位置データに基づいて制御するのではなく力データに基づいて制御することは、制御におけるより大きな感度を可能にし、利点、特に応答時間に関する利点をもたらし、制御パラメータを指定する際のより大きな自由度を可能にし、結合の剛性および減衰を規定することを可能にする。これについては後に詳細に説明する。
【0031】
構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップは、船舶とグリッパとの間のアクチュエータを力データに基づいて制御することを含むことができる。特に、このことは、アクチュエータを、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するように制御することを含むことができる。
【0032】
したがって、結合の剛性(または減衰)の変動/適合は、ことによると他にもあるが、グリッパの条件に依存することがある。それに加えて、またはその代わりに、剛性(および/または減衰)の変動/適合は、設置工程の動作段階(水底層中にパイルを配置する動作段階)に依存することもある。
【0033】
アクチュエータを、位置情報(位置差データを含む)だけに基づいて制御するのではなしに力データに基づいて制御することは、アクチュエータおよび/またはグリッパの仕様および/または許容差に対する制御の調整を改良することを可能にする。このことがリスクおよび/または損害を防ぐことがある。アクチュエータを制御することが、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するのに十分であることがある。しかしながら、それに加えて、またはその代わりに、構造体および船舶の位置および/または向きを制御することが、船舶の動的位置制御システムおよび/または係船索テンショニングシステムを使用することを含んでもよい。
【0034】
アクチュエータを制御するステップは、アクチュエータの駆動装置の力および/もしくはトルクを制御すること、ならびに/またはアクチュエータの可動部品の相対位置および/または移動を制御することを含むことができる。この方法は、いくつかのアクチュエータの駆動装置の力および/もしくはトルクを制御すること、ならびに/またはいくつかのアクチュエータの可動部品の相対位置および/もしくは移動を制御することを含むことができ、これは、並列または直列のいずれであってもよい。一例として、駆動装置またはモータの電流を比例制御することによって、駆動装置によるロータリアクチュエータのトルクを制御することができる。このようなトルク制御への入力は、力測定および力コントローラからのものとすることができる。このような力コントローラへの入力は、ロータリアクチュエータを、インピーダンス制御スキームにおいて、例えば異なる剛性および減衰を正確に与えるように構成するなどのために、制御システムからのものとすることができる。あるいは、上記の例の電流と同様に、液圧駆動トレインを用いて圧力を使用することもできる。
【0035】
アクチュエータの駆動装置の力および/またはトルクを制御することは、制御値(例えば設定値および/もしくは達成値)を力データと比較することを可能にすること、または単純にすることができる。
【0036】
これらの方法のうちのいずれの方法でも、グリッパの少なくとも一部分の位置を船舶に対して調整することは、構造体の部分を調整することができ、これは、構造体の位置を全体として調整することができ、または、特に、構造体が固定点を有する場合、例えばパイルが水底層中にまたは水底層上にある場合には、構造体の向きを固定点の周りで調整することを達成することができる。
【0037】
少なくとも1つの方法を実行することが、力コントローラおよび/または構造体向きコントローラを使用することを含むことがあり、これは、1つまたは複数のフィードバックループを(実行することを)含むことがある。例えば、力コントローラは、アクチュエータの出力において所望の力またはトルクを達成するために、アクチュエータの力またはトルクを、そのようなアクチュエータの測定トルクまたは力に基づいて調節することができる。このことは、摩擦などのアクチュエータのいくつかの非線形性、好ましくは全ての非線形性を補償することができることを保証することがある。一構成では、構造体の所望の位置および/または向きを達成するために、構造体の位置および/または向きを、構造体のそのような位置および/または向きの測定に基づいて調節することができる、アクチュエータコントローラを含んでもよいグリッパ位置コントローラの出力によって、このような所望の力またはトルクを提供することができる。そのため、構造体位置コントローラは、力コントローラとの組合せで、構造体位置コントローラへの帰還率(例えば利得)を例えば可変利得を使用して調整することによって結合の剛性および/または減衰を調節するインピーダンスコントローラの働きをすることができる。構造体位置コントローラは、その所望の位置および/または向きを傾きコントローラから受け取ることができ、このコントローラは、絶対地球座標における所望の傾きを達成するために構造体の向き、特に傾きを構造体傾き測定に基づいて調節し、この所望の傾きは、ゼロに設定されることが好ましいことがある。
【0038】
この方法は、
構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取る追加のステップを含むことができ、
その場合、構造体および/または船舶の位置および/または向きを制御するステップは、構造体および船舶の位置および/または向きを構造体データに基づいて制御することをさらに含むことができる。
【0039】
構造体データを受け取るステップは、グリッパおよび/または船舶に対する構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ることを含むことができる。しかしながら、構造体データを受け取るステップは、その上および/またはその中に構造体を配置する水底層に対する構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つの構造体データを受け取ることを含むことが好ましい。このような水底層は地球絶対座標で表すことができる。前者の場合には、(船舶および構造体の互いに関する制御などの)相対制御を改良することができ、このことは、例えば、アクチュエータ動作空間および/またはセンサ検出空間の設定された境界内に制御を維持することを単純にすることができる。後者の場合には、構造体の位置および/または向きの制御の正確さを向上させることができ、このことは、設置許容差を満たすのに役立つことがあり、それに加えて、またはその代わりに、安全許容差を満たすのに役立つことがあり、および/または潜在的に危機的でかつ/もしくは悪条件の状況の早期の警告信号を検出するのに役立つことがある。
【0040】
同様に、この方法は、
船舶の位置および/または移動を示す船舶データを受け取る追加のステップを含むことができ、
その場合、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップは、構造体および船舶の位置および/または向きを船舶データに基づいて制御することをさらに含むことができる。
【0041】
構造体/構造体データに関する説明と同様に、船舶データを受け取るステップは、船舶およびグリッパおよび/または構造体の互いに対する位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す船舶データを受け取ることを含むことができる。しかしながら、船舶データを受け取るステップは、その上および/またはその中に構造体を配置する水底層(したがって地球基準座標系)に対する船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す船舶データを受け取ることを含んでもよいことが好ましい。
【0042】
構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ることは、慣性計測センサ(IMU)データ、移動参照ユニット(MRU)データ、全地球航法衛星システム(GNSS)データ、全地球測位システム(GPS)データ、レーザ測距データ、光検出および測距(LIDAR)データ、音響航法および測距(SONAR)データ、カメラデータ、深さゲージデータ、USBLデータ、トッドワイヤ(todd-wire)データおよびパイル傾きコントローラデータのうちの1つまたは複数を受け取ることを含むことができる。このようなデータはいずれも、構造体上で直接に取得されたもの、または例えばカメラ、ライダもしくはレーダによるものなどリモートセンシングを含む技法によって間接的に取得されたものとすることができる。
【0043】
船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す船舶データを受け取ることは、慣性計測センサ(IMU)、全地球航海衛星システム(GNSS)、全地球測位システム(GPS)センサ、レーザ測距センサ、光検出および測距(LIDAR)システム、音響航法および測距(SONAR)システム、カメラ、深さゲージ、USBLデータ、トッドワイヤデータのうちの1つまたは複数からのデータ、および動的位置決め制御システム、船舶スラスタコントローラ、係船索テンションセンサからのデータなどを受け取ることを含むことができる。
【0044】
船舶および/もしくは構造体の位置および/もしくは向きならびに/または移動データのロバストな推定値を計算するため、この方法は、カルマンフィルタ、粒子フィルタ、拡張カルマンフィルタまたは統計学に基づく他の方法などの知られているセンサ融合アルゴリズムによるセンサ融合を使用することができる。このようなセンサ融合では、同じ物理量のさまざまな測定値が入力として並列で使用されることがあり、最もロバストで正確な出力測定値が、制御システム内でさらに使用するために出力上に提供されることになる。
【0045】
この方法はさらに、
地球座標における構造体の位置、向きおよび移動、ならびに/またはその上および/もしくはその中に構造体を配置する水底層に対する構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取るステップ、ならびに/または
船舶の位置、向きおよび/もしくは移動、特に、地球座標における船舶の位置および/もしくは移動、ならびに/またはその上および/もしくはその中に構造体を配置する水底層に対する船舶の位置および/もしくは移動を示す船舶データを受け取るステップを含むことができる。
【0046】
この場合、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップは、構造体および船舶の位置および/または向きを、地球座標に関しておよび/または水底層に関して制御することをさらに含むことができる。
【0047】
したがって、この方法は、決定、ならびに/または構造体および/もしくは船舶を、絶対位置に対する絶対座標および/もしくは相対座標に関して制御することを可能にし、この絶対位置は、構造体および/または船舶の位置および/または向きを含むことができる。このことは、設置許容差を満たすのに役立つことがあり、それに加えて、またはその代わりに、安全許容差を満たすのに役立つことがあり、および/または潜在的に危機的でかつ/もしくは悪条件の状況の早期の警告信号を検出するのに役立つことがある。このような状況は、この方法を実行しているシステムの所望のおよび/または達成可能な応答特性に影響を及ぼしうる。特に、後に示すように、船舶と構造体との間の結合の剛性および/または減衰を船舶データに基づいて調整することが所望であることがある。船舶と構造体との間の結合の剛性および/または減衰のこのような調整は、インピーダンスコントローラの形態のモノパイル位置コントローラによって提供されてもよく、これは、このコントローラにおいて1つまたは複数の利得を調整することによって達成されてもよい。
【0048】
この方法はさらに、構造体を支持する巻上げシステム、例えばクレーンに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサから荷重データ、例えばクレーン荷重データを受け取ることを含むことができ、その場合、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップは、構造体および船舶の位置および/または向きを荷重データに基づいて制御することをさらに含むことができる。例えば、荷重データを使用して、パイル降下動作段階中に運動補償コントローラの利得を調整することができる。
【0049】
そのため、上述の結合の剛性(または減衰)の変動/適合は、ことによると他にもあるが、巻上げシステムの条件に依存することがある。それに加えて、またはその代わりに、剛性(および/または減衰)の変動/適合は、設置工程の動作段階(水底層中にパイルを配置する動作段階)に依存することもある。
【0050】
巻上げシステムはクレーンを含むことができ、荷重データはクレーン荷重データを含むことができる。
【0051】
このことは、クレーンから支持された構造体を制御することおよび/または安定させることを改良することができ、特に、構造体とその上におよび/またはその中に構造体を設置する水底層との間の接触を確立しているときまたを確立している間に、クレーンから支持された構造体を制御することおよび/または安定させることを改良することができる。この接触の確立において、巻上げシステムに加わる荷重および/または構造体の動的振る舞いは、短時間におよび/または小さな位置変化にわたって、設置手順に比べて、および/または時定数、時間制約、空間制約、移動特性などのうちの1つもしくは複数に比べて、大幅に変動する傾向がある。
【0052】
構造体および船舶の位置および/または向きを力データと荷重データの両方に基づいて制御することは、異なる構成および動的振る舞い間の遷移中、特に、構造体が巻上げシステムによって支持された(特に、巻上げシステムから懸架された)巻き上げられた構成から、少なくとも主としてグリッパ、船舶および巻上げシステムとは別個の別の構造体、特に、水底層に立つ別の構造体によって構造体が支持されたオフロード構成への遷移中の制御を改良することができる。
【0053】
この荷重データは、巻上げシステムに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサ、圧力センサ、例えば液圧システム内の圧力センサからの荷重データ、および/またはうねり補償システムからのうねり補償データを含むことができ、うねり補償システムは、巻上げ駆動装置の荷重および/またはトルクを検出するための1つまたは複数のセンサを含んでいてもよい。
【0054】
この方法はさらに、アクチュエータの1つもしくは複数の可動部品の相対位置および/もしくは移動を示す構成データを受け取ること、ならびに/または
船舶の位置、向きおよび/もしくは移動、特に、その上におよび/もしくはその中に構造体を配置する水底層に対する船舶の位置、向きおよび/もしくは移動を示す船舶データを受け取ることを含むことができる。
【0055】
この場合、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップは、構造体および船舶の位置および/または向きを構成データおよび/または船舶データに基づいて制御することを含むことができる。これは特に、アクチュエータの可動部品の相対位置および/もしくは移動が所定の空間および/もしくは速度範囲外にあることを構成データが示している場合、ならびに/または所定の空間および/もしくは速度範囲外に船舶が配置されていることおよび/もしくは移動していることを船舶データが示している場合に実行することができる。例えば船舶に運動を適用するために、DPシステムへの外力入力を使用することができる。あるいは、DPシステム入力への外部位置または向き訂正を使用することもできる。
【0056】
アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を示す構成データを受け取るステップは、アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を検出するように構成されたアクチュエータの構成センサから構成データを受け取ることを含むことができる。移動を示す構成データは、移動の開始、移動の停止、速度、加速/減速(例えば速度の1次時間微分)、加速/減速率(例えば速度の2次時間微分)など、移動の変化を示すデータを含むことができる。
【0057】
本明細書に開示されたいずれの方法実施形態でも、構造体および/または船舶の位置および/または向きは、地球座標に関して、ならびに/またはその上におよび/もしくはその中に構造体を設置する水底層の少なくとも一部分に対して決定することができる。あるいは、構造体の位置および/または向きは、船舶の位置および/もしくは向きに対して決定することができ、またはその代わりに、グリッパ構造体の位置および/もしくは向きに対して決定することができる(例えば、構造体の位置は、船舶の位置に対して決定することができ、および/または構造体の向きは、船舶の向きに対して決定することができる)。好ましい実施形態は、例えば、全ての測定値を、絶対地球座標に関して表されるように再計算することである。
【0058】
本明細書に記載の方法はいずれも、構造体を配置する水底層上もしくは水底層中の位置を決定するステップ、および構造体および船舶の位置および/もしくは向きを位置の周りで対称に制御するステップ、ならびに/または
グリッパを介して接続された構造体および船舶を含むアセンブリの質量中心および/もしくは慣性中心を決定し、構造体および船舶の位置および/もしくは向きを、質量中心および/もしくは慣性中心の周りで対称に制御するステップを含むことができる。「スターコントローラ」の実施形態では、このような結合された運動目的を達成することができる。
【0059】
したがって、船舶と構造体との結合系のドリフトオフを防ぐことができる。このような方法では、構造体が船舶に関して移動するのではなしに、船舶が構造体に関して移動することがある。このアセンブリの慣性中心は、構造体が水底層上におよび/または水底層中に配置される(特に水底層中に打ち込まれる)ときの構造体の摩擦および/または安定性によって、さまざまな量に決定されることがあることに留意されたい。構造体および船舶の位置および/または向きを、質量中心および/または慣性中心の周りで対称に制御することは、「スターコントローラ」とも呼ばれる結合船舶-モノパイルコントローラ(VMPC)によって実行することができる。このようなVMPCは、VMPCが、この結合動的系を安定させるために、船舶および構造体のそれぞれの質量を使用してアセンブリの質量中心および/または慣性中心を決定することができるように、配置することができる。それに加えて、またはその代わりに、VMPCは、VMPCが、水底層上のまたは水底層中の所与の位置を使用して、構造体および船舶の位置および/または向きをこの位置の周りで対称に制御することができるように、配置することもできる。それに加えて、またはその代わりに、VMPCは、VMPCが、船舶および構造体に対する風、波、海流などのうちの1つまたは複数などの環境面に関する構造体の形状、幾何学的配置向きのうちの少なくとも1つを使用して、構造体および船舶の位置および/または向きを所与の位置の周りで対称に制御することができるように、配置することもできる。言い換えると、構造体の形状、幾何学的配置および向きのうちの少なくとも1つに基づいて、さらに、例えば風、波および/または海流を含む環境面に基づいて、結合構造体-船舶系の位置および向きのうちの少なくとも一方を所与の位置の周りで対称に制御することができる。
【0060】
本明細書に開示された他のいずれかの方法実施形態と適当に組み合わせることができる一態様では、グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置および/または向きを制御する方法であって、 船舶と構造体との間の結合を決定するステップと、この結合の剛性および/または減衰を決定するステップとを含む方法が提供される。
【0061】
この場合、この方法はさらに、
結合の剛性を、第1の剛性設定から第2の異なる剛性設定におよび/もしくは第2の剛性設定から第1の剛性設定に調整するステップ、ならびに/または
減衰を、第1の減衰設定から第2の異なる減衰設定におよび/もしくは第2の減衰設定から第1の減衰設定に調整するステップ
を含むことができ、好ましくは、結合の剛性および/もしくは減衰を、第1の剛性設定と第2の剛性設定との間の1つもしくは複数の剛性設定および/または第1の減衰設定と第2の減衰設定との間の1つもしくは複数の減衰設定に調整することを含む。
【0062】
例えば、この結合を、比較的に高い剛性および/もしくは高い減衰から比較的に低い剛性および/もしくは低い減衰に調整すること、ならびに/または比較的に低い剛性および/もしくは低い減衰から比較的に高い剛性および/もしくは高い減衰に調整すること。剛性と減衰は一緒にまたは別々に調整することができる。
【0063】
結合の剛性および/または減衰の調整によって、結合を異なる状況に適合させることができる。例えば、データのうちの1つまたは複数のデータの特定の値の付近の比較的に大きな逸脱または比較的に小さな逸脱が予想される(べき)状況、および/またはそのような逸脱を許容することができる状況もしくは許容できない状況。
【0064】
このことは、構造体および船舶の位置および/または向きを制御するステップの全体にわたる動的制御を可能にし、さらに、互いに関するまたは互いに関するものではない力データならびに/または構造体および船舶の位置および/もしくは向きのこのような制御に適していると本明細書で識別されたデータのうちの1つもしくは複数のデータ、例えば、絶対データであるのかまたは相対データであるのかにを問わない力データ、構造体データ、船舶データ、荷重データ、構成データ、挿入データ、およびことによるとこれらのデータのうちのいずれか1つデータに基づいて、構造体および船舶の位置および/または向きを制御することを含む動的制御を可能にする。
【0065】
結合の剛性および/または減衰を調整することは、本明細書で識別されたデータ、例えば力データ、構造体データ、船舶データ、荷重データ、挿入データのうちの1つまたは複数に基づくことができる。
【0066】
それに加えて、またはその代わりに、本明細書に開示された方法のステップはいずれも、人間の入力を許すことおよび/または人間の入力を必要とすること、例えば人間の介入を許すことがあり、特に、結合の剛性および/または減衰を調整することは、調整の時間および/または程度を決定するための入力など人間の入力を含むことができる。
【0067】
結合を決定し、剛性および/または減衰を調整するこのような方法は、特に、
構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を示す荷重データ、例えばクレーンからのクレーン荷重データと、
水底層中への構造体の挿入深さおよび/または水底層から突き出た構造体の長さを示す挿入データ
のうちの少なくとも一方を受け取るステップ、ならびに
結合の剛性を、第1の剛性設定と第2の剛性設定との間に調整するステップ、および/または結合の減衰を、第1の減衰設定と第2の減衰設定との間に調整するステップ
を含むことができ、
好ましくは、結合の剛性および/または減衰を、それぞれの第1の設定とそれぞれの第2の設定との間のそれぞれの1つまたは複数の設定に、少なくとも荷重データおよび/または挿入データに基づいて調整することを含む。
【0068】
このことは、水底層ならびに/またはグリッパおよび/もしくは船舶に対する構造体の構成の変動に対する、グリッパの制御およびその効果の適合を可能にする。荷重データ(の受取り)の例は本明細書の他の場所に示されている。挿入データは例えば、構造体の長さデータ、ならびに縦および/または横振動の共振周波数データなどの構造体の振動データのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0069】
本明細書に記載された方法はいずれも、船舶を水体に配置するステップを含むことができ、さらに、船舶の巻上げシステムから構造体を支持する追加のステップ、グリッパを介して構造体を船舶に接続する追加のステップ、特に、構造体が巻上げシステムによって支持されている間、グリッパを介して構造体を船舶に接続する追加のステップ、水体の水底層上および/または水底層中に構造体を配置する追加のステップ、構造体を水底層中に打ち込む追加のステップ、ならびにグリッパおよび/または船舶から構造体を分離する追加のステップを含むことができる。力データは、グリッパを介して構造体が船舶に接続されている時間の少なくとも一部の間に力センサから受け取ることができる。
【0070】
これはさらに、これらの「追加のステップ」のうちの1つもしくは複数のステップ間に、および/またはこれらの「追加のステップ」のうちの1つもしくは複数のステップの実行中に、結合の剛性および/または減衰を、第1の設定と第2の設定との間で調整するステップを含むことができる。第1の設定と第2の設定との間の調整は、結合の剛性および/または減衰を、第1の設定と第2の設定との間の1つまたは複数の設定に調整することを含むことができ、この調整の少なくとも一部分は実質的に段階的であってもよく、または実質的に連続的であってもよい。
【0071】
本明細書に開示された他のいずれかの方法実施形態と適当に組み合わせることができる一態様では、グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置および/またはや向きを制御する方法が提供され、この方法は、
構造体とグリッパとの間の相互作用力を示す力データを受け取るステップと、
この力データに基づいて、構造体および船舶の相対位置、構造体および船舶の相対向き、構造体および/または船舶の位置、ならびに構造体および/または船舶の向きのうちの少なくとも1つを制御するステップと
を含む。構造体および/または船舶の位置および/または向きは、地球座標に関して、ならびに/またはその上におよび/もしくはその中に構造体を設置する水底層の少なくとも一部分に対して決定することができる。構造体は例えばモノパイルなどのパイルであってもよい。
【0072】
本明細書では、少なくとも上記のことに関連した一態様において、グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置および/または向きを制御するためのシステムが提供され、このシステムは、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、少なくとも、コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータを備え、このプロセッサは、コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、
構造体とグリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサから力データを受け取るステップと、
力データに基づいて、船舶の制御システムおよび/または船舶とグリッパとの間のアクチュエータを、構造体および/または船舶の位置および/または向きを制御するように制御するステップ、特に、構造体および船舶の位置および/または向きを互いに関して制御するステップと
を含む実行可能動作を実行するように構成されている。
【0073】
このシステムはさらに、船舶に装着可能なまたは装着されたグリッパであり、パイル、特に、グリッパによって把持されている間に水底層に配置するパイルなどの細長い構造体をグリッパを介して船舶に接続するためのグリッパを備えることができる。
【0074】
このシステムは、グリッパが船舶に装着されており、かつ細長い構造体を船舶に接続しているときに船舶と構造体との間の結合を決定するように、ならびに結合の剛性および/もしくは減衰を決定するように構成されていてもよく、その場合、このシステムは、結合の剛性および/もしくは減衰を、比較的に高い剛性および/もしくは高い減衰の第1の設定と比較的に低い剛性および/もしくは低い減衰の第2の異なる設定との間に調整するように構成されていてもよく、ならびに/または結合の剛性および/もしくは減衰を、比較的に高い剛性および/もしくは高い減衰の第1の設定と比較的に低い剛性および/もしくは低い減衰の第2の異なる設定との間に調整することを可能にするように構成されてもよく、結合の剛性および/もしくは減衰を、第1の設定と第2の設定との間の1つまたは複数の設定に調整することを含むことが好ましい。
【0075】
このシステムはさらに、
構造体とグリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサ、
構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された構造体データセンサ、
船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された船舶データセンサ、
構造体を支持する巻上げシステム、例えばクレーンに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサ
のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0076】
本明細書による別の態様では、本明細書に記載されたシステムを備える船舶が提供される。
【0077】
本明細書による別の態様では、本明細書に記載または指示されたいずれか1つの方法実施形態の方法ステップを本明細書に記載されたシステムに実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。本明細書による関連態様では、このコンピュータプログラム製品をその上に記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
上述の態様は、以下において、いくつかの実施形態を示す図面に関して、追加の詳細および利益とともに、例としてさらに説明される。
【0079】
図1】船舶(A1)、モノパイル(P)および海底(S)を示すシステムの説明図である。本項および以下の説明では、モノパイル(P)が、細長い構造体の非限定的な例として使用されている。船舶(A1)は、クレーン(A2)、グリッパ(G)および制御システム(C)を備える。船舶およびモノパイル(P)は、風(W1)および波(W2)の力による外乱を受ける。モノパイルは海底(S)に設置されている。モノパイルは、地球基準系の正確な位置(X,Y座標)のZに沿った所与の高さに、Zと鉛直に整列して設置される必要がある。
図2】動作段階Iを示す図である。この動作段階では、モノパイル(P)が、クレーンのみによって支持され、グリッパ(G)に挿入されており、海底の方向に向かって降ろされる。
図3】動作段階IIを示す図である。この動作段階では、モノパイル(P)が、その自重によって海洋底(S)(自重進入深さ)に完全に支持される。パイルは、自重進入深さ(SWP)まで海底に入っており、クレーンが取り外された後は船舶(A1)およびグリッパ(G)のみによって支持される。
図4】動作段階IIIを示す図である。この動作段階では、パイル(P)を海洋底(S)に打ち込むためにパイル(P)の頂部に打込みハンマー(H)が設置されている。ハンマー(H)は、補償される必要があることがあるパイルに追加の質量を加える。
図5】船舶絶対位置センサ(S1)、グリッパ相対位置および力センサ(S2)、モノパイル位置および絶対傾きセンサ(S3)、クレーン荷重センサ(S4)ならびにモノパイル挿入深さ測定機能(S5)を含むセンサスート(sensor suite)を示す図である。希望に応じて、および本明細書の他の場所に記載されているように、より多数の、より少数のおよび/または異なるセンサ(図示せず)を使用することができることに留意されたい。グリッパ相対位置および力センサS2は、グリッパの相対位置および現在の力の指示を出力するように構成されたものとすることができる。さらに、モノパイル位置および絶対傾きセンサS3は相対センサとして実現することができ、この相対センサは、例えば船舶または例えばグリッパに対するモノパイルの位置および傾きを測定し、次いで座標変換を使用して絶対基準系における位置および傾き測定値を計算する。船舶上に配置する代わりに、S3を、グリッパ上またはシステムの他の構造体上に配置することもできる。いずれにせよ、絶対傾きセンサS3は、モノパイルの絶対傾きの指示を出力するように構成されたものとすることができる。クレーン荷重センサS4は、クレーン荷重の指示を出力するように構成されたものとすることができる。モノパイル挿入深さセンサS5は、海底へのモノパイルの挿入深さの指示を出力するように構成されたものとすることができる。
図6】制御システムを示す図である。示された実施形態では、コントローラ(C1)が、船舶絶対位置センサ(S1)、グリッパの位置および力(S2)、モノパイルの位置および絶対傾き(S3)、クレーン荷重センサ(S4)およびモノパイル深さ(S5)の情報を使用して、モノパイルの位置を安定させる好ましいやり方でアクチュエータ(Y1)を移動させる。より多数の、より少数のおよび/または異なるセンサを使用することができる。それぞれのセンサは、複数のセンサからなるものとすることができ、前記センサの最も正確で信頼性の高い測定値を導き出すために、それらのセンサの出力はセンサ融合によって融合される。オプションのヒューマンユーザインタフェース(H1)は、異なる動作モード間でコントローラが変化することを可能にする。コントローラはさらに、例えば上に規定された動作段階などの動作モード間でのこのような変化を自動的に実行する監視機能を有することができる。
図7】本発明の好ましい実施形態を示す図である。この実施形態には、全制御システム(C)が、外側の2つのループの代わりに使用することができる1つの並列ループを含む3つの入れ子フィードバックループを示す「入れ子制御ループ」方式で示されている。一般に、この全制御システムは、本開示の他の場所で詳述されるように、少なくとも、下記の2つの入れ子フィードバックループを有することができる:力制御ループとすることができる、モノパイルへの結合の剛性および減衰の調節に寄与するための内側フィードバックループ、ならびに運動補償用の外側フィードバックループ。外側フィードバックループは、結合の必要な剛性および/または減衰を決定し、適切な設定点を内側フィードバックループに提供することができ、内側フィードバックループは次いで、これらの設定点に従って力制御を実行する。モノパイルの傾き制御用に、上述の2つのフィードバックループを取り囲む第3のフィードバックループを提供することができる。(灰色の)差込み図は、灰色で示されたシステムのより詳細な典型的実施形態を示しており、この例示的な「IMU、GPSおよび/またはモータエンコーダ測定」ブロックは、示されているような多数のサブシステム、すなわち、少なくとも1つのIMU(慣性計測ユニット)、少なくとも1つのGPS受信器(全地球測位システム受信器)、例えばMarineStar、PPPまたはRTK訂正などの1つまたは複数の外部訂正信号のオプションを含む。しかしながら、他のサブシステムおよび/または組合せ(図示せず)を提供することもできる。参照のため、運動補償コントローラへの入力を提供する1つのセンサ融合ブロックが示されている。
図8】個々の入れ子サブシステムの代わりに、監視コントローラを通して構成された単一のMIMOコントローラ(Multiple Input Multiple Output controller)を使用する、代替表現で示された、本発明による一実施形態である制御システムを示す図である。監視コントローラは、MIMOコントローラ内の状態を変化させるように、および/または制御利得、変数または動作モードを変化させるように構成されたものとすることができる。モノパイル傾き測定および関連PIコントローラ(比例-積分コントローラ)がMIMO「の外側に」示されているのは単に参照のためであり、これらを、上述のサブシステムのうちの他のサブシステムなどのようにMIMO構造体の内側に含めることもできる。この例では、力コントローラ(FC)がその制御出力信号をモータ、例えばグリッパのモータに送る。このモータは、例えば、電気モータ、液圧モータおよび/または(オプションとして従来のハイドロモータと2次制御ハイドロモータの両方を含む)ハイドロモータタイプのモータとすることができる。
図9】動作段階I中の制御システムの構成を示す図である。制御システムは、モノパイルを追跡し、グリッパを用いてモノパイルを握持する。制御システムは、剛性を設定することによってパイルの過大な移動を減衰させる。モノパイル位置コントローラはインピーダンスコントローラの働きをし、剛性および/または減衰は、例えばクレーン荷重の関数として変化させることができ、例えば、クレーン荷重を降ろすことによって剛性をランプアップすることができる。ここで、監視コントローラは、コントローラ設定および利得、ならびに動作状態を動的に調整することができる。
図10A】基準構成(図10A)にある動作段階II中の制御システムの構成、および代替構成(図10B)として示された動作段階II中の制御システムの構成を示す図である。他の構成を提供することもできる。これらの実施形態では、船舶が安全動作位置にある場合に、制御システムが、高剛性位置制御設定および傾きコントローラを用いてモノパイルを直立させる。船舶が、その安全動作位置内にない(例えば作業空間限界または過大なDPドリフトに達した)場合、コントローラは、「スターコントローラ」とも呼ばれる結合船舶-モノパイルコントローラ(船舶-モノパイル位置コントローラ(vessel-monopile position contoroller)-VMPC)を用いて船舶およびモノパイルを安定させる。
図10B】基準構成(図10A)にある動作段階II中の制御システムの構成、および代替構成(図10B)として示された動作段階II中の制御システムの構成を示す図である。他の構成を提供することもできる。これらの実施形態では、船舶が安全動作位置にある場合に、制御システムが、高剛性位置制御設定および傾きコントローラを用いてモノパイルを直立させる。船舶が、その安全動作位置内にない(例えば作業空間限界または過大なDPドリフトに達した)場合、コントローラは、「スターコントローラ」とも呼ばれる結合船舶-モノパイルコントローラ(船舶-モノパイル位置コントローラ(vessel-monopile position contoroller)-VMPC)を用いて船舶およびモノパイルを安定させる。
図11】動作段階III中の制御システムの構成を示す図である。パイル打込みの間、制御システムはモノパイルを鉛直に保ち、この実施形態ではさらに、モノパイル位置コントローラの剛性および/または減衰を、海底におけるモノパイル進入深さの関数として低減させる。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図面は略図であり、必ずしも一定の倍率では描かれていないこと、および本発明の理解に不必要な詳細は省かれていることがあることに留意されたい。特に指定されていない限り、用語「上方へ」、「下方へ」、「下方に」、「上方に」などは図面に描かれた向きの実施形態に関する。さらに、少なくとも実質的に同一の要素または少なくとも実質的に同一の機能を実行する要素は同じ符号によって示されており、有用な場合には、アルファベットの添え字によって個々に区別されている。
【0081】
さらに、特に指定されていない限り、「分離可能な」および「取外し可能に接続された」のような用語は、対応するそれぞれの部品を、本質的にいずれの部品も損傷または破壊することなく分離することができることを意味することが意図されており、例えば、部品が一体である(例えば1つの部片として溶接または成形されている)構造体は除外され、嵌合コネクタ、締め具、解除可能な自己締付け特徴などによってまたは嵌合コネクタ、締め具、解除可能な自己締付け特徴などとして部品が結合された構造体は含まれる。
【0082】
以下では、本明細書に開示されたシステムの実施形態および変形実施形態について説明する。
【0083】
一実施形態は、本明細書では「X-コントロールボックス(X-Control BOX)」の異名でも呼ばれる制御システムと、コンピュータ(コンピューティング装置)およびセンサを含むハードウェアスートとを含み、このハードウェアスートは、安全で正確なパイル設置を可能にするための、既存の運動補償付きパイル-グリッパに対するレトロフィットを可能にする。X-コントロールボックスは、MRUおよびIMUならびにGPS/GNSSシステム、ならびにモノパイルの姿勢測定用のカスタムセンサなどの外部センサとも組み合わせて使用される。X-コントロールボックスとこのような外部センサとの組合せはX-コントロールスートと表示される。X-コントロールボックスおよびX-コントロールスートは、浮かんでいるクレーン船から海底への(構造体、特に細長い構造体の非限定的な例としての)モノパイルの安全で高精度の設置を可能にする。
【0084】
X-コントロールスートが取り付けられたグリッパは、X-Y方向の少なくとも1つまたは少なくとも2つの運動度を必要とすることがあり、また、制御システムに入力信号を提供するために1つまたは複数の力センサを必要とすることがある。それに加えて、またはその代わりに、モータ電流などの他の入力信号が使用されることもある。
【0085】
X-コントロールボックスまたは一般的な制御システムは、主制御システム(中央力制御システム)として内側力ループを使用し、これは、(a)例えば、過度にもしくは不十分に規定された状況を防ぐことによって、例えば制御の不安定が防止され、またはさらには、制御の不安定が起こることができないようそれが不可能にされるように、船舶-モノパイル界面(結合)の剛性および/または減衰を変更することができること、ならびに(b)波および風によって誘起された運動を運動補償するためのパイルグリッパの1つまたは複数の運動が起こることができることによると、このパイルグリッパの1つまたは複数の運動が船舶とモノパイルとの間の結合剛性から独立して起こることができること、を目指している。これによって、DPシステムの運動および反応をパイルグリッパの運動から分離することができる。この剛性および/または減衰の変更は、例えば外力および/または外部条件に依存することがある。
【0086】
一般に、例えば内側力ループによって、制御システムは、モノパイルと船舶との間の適当な結合剛性および/または減衰を、(例えばクレーンに吊り下がっているときにパイルを安定させるための)クレーン荷重データ(ことによると瞬時クレーン荷重データ)に基づくオプションとして、またはグリッパとモノパイルとの間で測定されている力の大きさに基づく(一般に外力および/もしくは外部条件に基づく)オプションとして計算する。
【0087】
制御システムは、好ましいオプションとして、モノパイルと船舶との間の適当な結合剛性および/または減衰を、(海底によって高剛性に保持されているときにパイルを分離するためおよびDPシステムの不安定を回避するために)海底へのモノパイルの挿入深さデータ(ことによると瞬時挿入深さデータ)に基づいて計算する。それに加えて、またはその代わりに、結合剛性および/または減衰は、他の因子および/またはデータに基づいて、例えば、パイルと波との間の相互作用、波の大きさ測定、風の強度測定、またはモノパイルと船舶の相対運動の測定を含むモノパイルおよび/もしくは船舶の運動の測定に由来する力の大きさに基づいて計算することもできる。
【0088】
いくつかの例において、制御システムは、船舶の動的位置決めシステム(「DPシステム」)が故障した条件、ドリフトする条件または全く存在しない条件下であっても結合船舶-モノパイル系を使用してパイルの直立を安定させるための運動応答を計算することができる。
【0089】
パイルグリッパ制御システムの今日の焦点が運動補償のための位置決めタスクだけに置かれていることが、後に説明するいくつかの重大な欠点を有するという点で、このようなシステムは、知られているシステムから逸脱する。さらに、パイルが海底に実質的に挿入されている間、船舶動的位置決めシステムが高剛性精度設定でパイル設置を支援することができないことはこれまで解決されていない。さらに、現在のシステムは、全ての動作ステップおよび段階(例えば本開示の他の場所に記載された動作段階)の間に力情報を使用して、パイル、グリッパおよび船舶間の結合の剛性および減衰パラメータを絶えず調整することをしない。このような調整は、パイルグリッパに加わる外力のかなりの低減につながりうる。
【0090】
以下では、本開示のさまざまな態様について説明する。先行技術およびフローティングパイル設置に関する鍵となるいくつかの課題を識別することができる。
【0091】
クレーン旋回運動によってパイルグリッパにパイル、例えばモノパイルを入れるときのバンプフォース(bump-force)は、かなりの大きさであることがあり、パイルグリッパ駆動システムが位置制御されている場合にはパイルグリッパ駆動システムを損傷するリスクを冒すことがある(位置制御システムは通常、良好な位置追跡性能に到達するために「高剛性」に設計される);
【0092】
クレーンに懸架されており、パイルグリッパに挿入されているときに(依然として波および風の力を受けている間に)、および/または海底に着くまでパイルを海底に降ろしている間にパイル(例えばモノパイル)に減衰を適用することによってパイル(例えばモノパイル)からエネルギーを除去することは、純粋に位置制御されたグリッパによっては可能ではない。したがって、パイルとグリッパとの間に、グリッパ駆動システムおよび/またはパイル自体に損傷を与えうる大きな界面力(interface force)が生み出される;
【0093】
クレーンから懸架されたパイル(例えばモノパイル)が海底に降ろされるとき、パイル(例えばモノパイル)は、ある点で(特にパイルが海底に着き始めたときに)クレーンをオフロードする。次に、(例えばグリッパを介した)運動補償が単純に「オンに切り換えられた」場合、運動補償があまりに早くオンに切り換えられた場合には、それは、パイルとグリッパ/船舶との間のかなりの界面力につながりうる。これは、その場合にはグリッパが、船舶、したがって船に堅く取り付けられたクレーンに対する相対運動を生み出すためである。他方で、運動補償があまりに遅く「オンに切り換えられた」場合には、それは、パイルの転倒につながりうるパイル傾きのかなりのリスクにつながりうる;
【0094】
パイルがその自量によって海底にあり、クレーンが(例えばツールを交換するために)取り外されたとき、パイルグリッパの位置コントローラは、パイルの傾きが生じた場合にパイルの傾きを検出することだけができ、この傾きは次いでさらに、(パイルが船舶/グリッパを押すことによる)船舶のドリフトを引き起こしうる。このドリフトは、運動補償付きパイルグリッパがその能動作業空間のストローク端限界に急速に到達しうる状況につながりうる。これは、パイルをそれ以上制御することができず、したがって損傷(ことによると破局的損傷)を生み出しうる非常に危険な状況に急速に至りうる。この影響は、動的位置決めドリフト(DPドリフト)が時折発生することによって潜在的に増幅される。DPドリフトはいつでも起こりうることが知られており、DPシステムおよびその構成に高度に依存する;
【0095】
高精度DPシステムの場合であってもドリフトは定期的に起こりえ、数メートルの範囲に及びうる。これが、グリッパの典型的な作業空間も数メートル、例えばXおよびY方向に±3または±4メートルの範囲にある理由である。
【0096】
クレーンに取り付けられていないときにパイルのバランスをとっている間に、位置制御されたグリッパは、DPドリフトによって、そのストローク端限界の1つに向かって急速に(例えば何十秒または数分、例えば1~3分のうちに)移動する。実際にストローク端限界のいずれかに到達した場合、パイルは制御不能となるため容易に転倒しうる;
【0097】
DPシステムは通常遅すぎて、転倒しているまたは「転倒しようとしている」(モノ)パイルの動力学的振る舞いに対してうまく反応することができない(1分程度の時定数を有する)。したがって、パイル-グリッパが制御に関してDPシステムと統合されている条件下であっても、DPシステムの応答が単独で、悪条件のパイルが転倒するのを防ぐ可能性は非常に低い;
【0098】
したがって、船舶の質量および慣性に近い質量および慣性を有する(モノ)パイルのバランスを長期間にわたってうまくとることは非常に困難であり、特に、有意に非ゼロである風および波を含む好ましくない気象条件下ではそうである;
【0099】
パイル上にパイル打込み機が設置されると、パイル打込み機のないパイルに比べて、結合質量はいっそう増大し、質量中心はシフトする可能性があり、DPシステムは、静止位置保持のための良好な位置決め振る舞いを保証するために非常に高精度となるように配置される必要がある;
【0100】
海底にパイルを打ち込んでいるとき、パイルと海底との間の剛性の増大は、DPシステム不安定(特に外部制約による制御の不安定)の発生につながりうる。DPシステム不安定の発生は、DPシステムの大きなドリフトオフおよび振動を引き起こしうる。これは次いで、パイル、パイルグリッパおよび/または船舶上にかなりの力を生み出しうる。このような状況は、パイルがどの方向にも転倒し、潜在的にかなりの損傷を生み出しうる制御不能なケースにつながりうる。このような不安定が起こる可能性が最も高いのはパイル-土剛性が増大するときである。代替として、DPシステム精度設定を緩くすることができることを論じることができる。しかしながら、この調整があまりに早く実行された場合には、それがドリフトの原因となることがあり、むしろモノパイルを傾けることがあり、かつ/またはグリッパのストローク端に至ることがあり、ストローク端に至ることは、最良のケースでも許容差の外側での設置につながることがある。この調整があまりに遅く実行された場合、おそらく不安定は既に起こっており、少なくとも大部分のケースでパイルの転倒を回避することができない。
【0101】
特に図に関して以下のことに留意されたい。
【0102】
下でより詳細に説明する本発明の実施形態は、運動補償付きグリッパの制御システムの中心要素としてのパイルグリッパの駆動装置のうちの少なくともいくつかに対して力制御ベースの手法を実施することによって、上述の課題のうちの1つまたは複数を解決する。これは、パイルとグリッパ/船舶系との間の界面力を直接に検出すること、したがって潜在的に悪条件の状況またはパイルの悪条件化につながりうる状況に対してより急速に反応することを可能にする。さらに、この力制御手法は、結合剛性および/または減衰を変更することができるインピーダンスまたはアドミタンス制御を実施する実現可能性に通じる。さらに、傾き制御を使用して、動作中のパイルの傾きを、好ましくはゼロにまたはゼロ付近の予め定められた許容差内に維持することを保証することができる。
【0103】
さらに、一実施形態では次いで、所望の運動補償を実行して、グリッパ、したがってグリッパに挿入されたパイルに対する、海洋および風によって誘起された船舶の位置ドリフトの影響を排除するために、制御システムおよびことによるとセンサスートが、中央力制御システムの周りの外部位置制御ループを使用する。ここでさらにインピーダンス制御を達成することができる。この運動補償制御ループは、所望の剛性および/または減衰を計算し、そのような剛性/減衰を達成するための所望の力を内側力制御ループに提供する。加えて、提供された力はさらに、運動補償制御のために適切な応答を実行することを担う。
【0104】
地球座標における船舶の絶対位置および回転を例えばIMUおよびGPSシステムを介して感知することに基づくことがあるこのような(ことによると入れ子にされた)運動補償制御に加えて、一実施形態はさらに、必要な鉛直設置許容差の範囲内でモノパイルを設置することができることを保証する、または、少なくとも、必要な鉛直設置許容差の範囲内でモノパイルを設置することができることを保証するように構成された、専用パイル傾きコントローラを含む。
【0105】
さらに、DPシステムが故障もしくは動作不良である状況または他の理由によりストローク端に近づいている状況から回復するために、本明細書に開示された制御システムの実施形態は、パイルおよび船舶のバランスを一緒にとるモードを含む。
【0106】
この力および位置制御の提案された固有の新しい組合せは、船舶/グリッパとパイルとの間の界面の剛性および/または減衰を能動的に調整することを可能にする。駆動装置の力制御手法と外部位置制御ループとの組合せによって、インピーダンス制御を実現することができる。その結果、タスクおよび動作ステップに応じて剛性および減衰の程度(インピーダンス)を変更することによって、パイルと船舶とを結合することまたは分離することができる。動作ステップに応じた異なる剛性および/または減衰設定の非限定的な例は以下のようなものであることがある。
【0107】
- パイルがクレーンに懸架されているとき、海洋底に到達する(「パイル降下」)前に、制御システムにおいて「柔軟性」(低剛性)および/または能動「減衰」を使用して、過大な力を、ことによると位置決めの正確さをある程度犠牲にして軽減することができる;
【0108】
- パイルが海底の土の中に達し、その自量によって土の上(および/または部分的に土の中で)安定し始めた(「パイル自重進入」)ときに、剛性および減衰を、パイルを安定させるように調整すること(好ましくはオンラインで調整すること)ができる;
【0109】
- クレーンがパイルを部分的にオフロードすると、クレーン荷重に関する測定情報は、運動補償制御の少なくとも一部分(およびことによると剛性と減衰のうちの一方または両方)を、ことによると海洋底上および/または海洋底中にパイルが既に支持されている程度に応じて、ゆっくりとランプアップまたはランプダウンするように制御システムを構成することを可能にすることができ、このことは、発揮される力をより小さくすること、および船舶、クレーン/フック、パイル-グリッパとモノパイルとの間の相反する(未遂の)相対運動を最小にすることにつながる;
【0110】
パイルが完全に自立しているとき(「パイルバランシング」)、制御システムは、その力制御システム内の力偏差を急速に検出することができ、いくつかの位置および/または向き測定センサからの、地球絶対系に関係した、例えば地球絶対系で表されたセンサデータを使用して最適な運動補償を計算することができ、好ましくは同時に、パイル傾きが維持されることを保証することができる。このことは、好ましくは常に、系内の力の大きさを調整すること、特に、系内の力の大きさを最小化することを可能にする。パイルの傾きは測定によって導き出すことができ、その傾きを、オンラインで制御システムに、(例えば制御システムのサンプルレートに関連したまたは制御システムのサンプルレートにある)リアルタイムでフィードすることができる。
【0111】
好ましい実施形態では、パイルグリッパコントローラがこれらの手段によって退けることができない過大なDPドリフト事象が起こった場合に、オプションの専用「結合船舶-モノパイルコントローラ」が、例えば監視制御システムによって使用可能にされる。この結合船舶-モノパイルコントローラ(または制御)は、(モノ)パイルの質量を考慮すること、ならびに/または次いで(モノ)パイルの質量を使用して船舶位置に影響を与えることおよびDPシステムが回復するのを助けることができる。このオプションのコントローラはさらに、DPシステムが部分的にもしくは完全に機能していないまたは存在しない状況下で、例えばパイルバランシングの間、パイル/船舶系を長期間にわたって安定させることができる。このようにすると、システムは、DPドリフトオフを効果的に打ち消すことができ、パイルが悪条件化することを防ぐことができる安全でロバストな解決策を提供する。同時に、公称動作下で、システムは、非常に正確なパイル傾きを保証することができる。これは、パイル傾きは制御システム内で能動的に使用され、したがって本業界が必要とする許容差の範囲内でパイル傾きを達成することができるためである。
【0112】
後の段階では、パイルが海底に打ち込まれる(「パイル打込み」)ときに、モノパイルの挿入深さからのセンサデータが、船舶/グリッパと(モノ)パイルとの間の剛性および/もしくは減衰を、グリッパシステムの機械的インピーダンスを変更することによって変更することを可能にすることができ、または、モノパイルの挿入深さからのセンサデータを、船舶/グリッパと(モノ)パイルとの間の剛性および/もしくは減衰を、グリッパシステムの機械的インピーダンスを変更することによって変更する目的に使用することができる。パイルが海底内へ進むにつれて、システムは、剛性および/または減衰をゆっくりとかつ継続的に引き下げて、挿入深さの増大とともにパイルを船舶からゆっくりと分離することができる。このことは、静止位置の保持のために高精度設定が選択されている場合であってもDPの不安定が始まることを防ぎ、このことは動作全体に対しても好ましい。機械的結合インピーダンスの調整は、大きな気象条件範囲でパイルを安全に設置することを可能にする。
【0113】
最後の段階において、パイルが挿入深さまで完全に挿入されたとき(「グリッパ後退」)、およびグリッパを開く必要があるときに、船舶はパイルから完全に分離される。しかしながら、(例えば波に起因する船舶の過大な運動による)パイルグリッパの損傷を防ぐために、本発明の制御システムでは、より高剛性のアクチュエータ設定を用いたより良好な運動補償を優先するように、優先順位を戻すことができる。このことは、次いでグリッパとパイルとの間の相対運動を最小化することを可能にし、パイルからのグリッパの安全で破損のない引抜きを可能にし、またはこれを単純にする。
【0114】
図1は、参照用のシステム説明図を示している。水に浮かんでいる船舶(A1)は、クレーン(A2)、グリッパ(G)および制御システム(C)を備える。グリッパ(G)はモノパイル(P)を保持している。船舶およびモノパイル(P)は、風(W1)および波(W2)の力による外乱を受ける。モノパイルは海底(S)に設置されている。モノパイルは、地球基準系の正確な位置(X,Y座標)にZと鉛直に整列して設置される必要がある。
【0115】
モノパイル(P)は、地球座標の正確なX,Y位置に設置される必要があり、いくつかの主要な設置段階の間に同時に船舶(A1)、クレーン(A2)およびパイルグリッパ(G)によって設置される。
【0116】
第1の段階では、モノパイル(P)を海底に降ろす前にモノパイル(P)がクレーン上に懸架される。この段階は、水上に突き出た自由に吊り下がったパイルから、水線(water-line)の内側に突き出たパイル、グリッパに入ったパイル、およびグリッパによって完全に握持されたパイルまでの全ての遷移を含む。グリッパは通常、いくつかの開き扉(単純にするためにこの図には示されていない)を有する。通常、パイルは、クレーンの旋回運動によって、および次いで周囲の大きな扉を閉め、ローラボックスおよび/または他のグリッパ部分を用いて扉に掛け金をかけることによって、グリッパに挿入される。パイルグリッパとパイルとの間の相対運動をできるだけ小さく維持するために、この挿入の間、パイルグリッパによってパイル位置を能動的に追跡することができる。
【0117】
次いで、グリッパを、対応するアクチュエータおよび駆動システムによって、単純にするためにXおよびYで表される1つまたは2つの自由度で水平方向に能動的に移動させることができる;
【0118】
鉛直方向Zは普通、受動的であり、パイルは、この軸に沿っていくつかのローラ伝いに自由にかつ受動的に移動することができる。
【0119】
図2は、動作段階I(「パイルローディング」、「パイル降下」)を示しており、この動作段階では、モノパイル(P)がクレーンA2のみによって支持され、グリッパ(G)に挿入されている。
【0120】
図1は動作段階IIを示しており、この動作段階では、モノパイル(P)が、その自重によって海底または「海洋底」(S)に完全に支持される(「パイルバランシング」)。パイルは、自重進入深さ(SWP)まで海底に入っており、船舶(A1)およびグリッパ(G)のみによって支持される。
【0121】
図4は、動作段階IIIを示しており、この動作段階では、パイル(P)を海洋底(S)に打ち込むためにパイル(P)の頂部に打込みハンマー(H)が設置されている(「パイル打込み」)。ハンマー(H)は、補償される必要があるパイルに追加の質量を加える。
【0122】
ここで、(モノ)パイルは説明のために使用されているのであり、同じ段階および問題が、全体に比較的に長くて薄い(すなわち細長い)他の構造体(の設置)にも当てはまること、または底部が固定された他の構造体の設置にも等しく当てはまることがあることに留意されたい。
【0123】
段階I(図2)中の動作の1つの困難な部分は、グリッパ(G)にパイルを挿入すること(「パイルローディング」)であり、別の困難な部分は、海底(S)までパイルを降ろすこと(「パイル降下」および「パイル自重進入」)である。
【0124】
典型的な動作の段階II(図3)では、パイル(P)が既に海底に完全に降ろされており、クレーンが分離されている。この場合には、パイル(P)が、海洋底(S)を除けば、船舶(A1)およびグリッパ(G)のみによって支持されており、パイル(P)は、クレーン(A2)の接続なしでバランスがとれている必要がある(「パイルバランシング」)。パイル直立補助具からパイル打込み機にツールを交換するため、クレーンは通常、分離される。
【0125】
段階Iから段階IIへの遷移に困難が伴うのは、段階Iでは、海底にパイルを降ろす前に運動補償を使用することができない(グリッパGは船舶およびクレーンと一緒に移動する)のに対して、パイルが海底に接触した後は、パイル(P)のバランスをとり、パイル(P)が転倒する(すなわちひっくり返る)のを防ぐため、ならびに海底に対する船舶のXおよびY位置の相対変化を補償するために、能動運動補償を使用しなければならないためである。
【0126】
段階Iでは、パイル(P)が、その自重進入深さ(SWP)まで海底中に降下する。SWPは、その深さまでパイルがその自重によって沈む挿入深さであり、SWPは、海洋底、ならびにパイルの質量および幾何学的配置に依存する。
【0127】
第3の動作段階である段階III(図4)では、パイルをその最終設置深さまで海底(S)に打ち込むことを可能にするため、パイル(P)の頂部にパイル打込み機またはハンマー(H)が設置される。
【0128】
パイルを打ち込んでいる間、ハンマー(H)が(Z方向において)パイル(P)に受動的に従うことを可能にするため、ハンマー(H)とクレーン(A2)との間の接続は緩く維持される必要がある。
【0129】
この動作段階IIIの主要な課題は、パイル(P)と海底(S)との間の剛性がある値に達したときに、船舶(A1)の動的位置決めシステムに対する高利得設定が、船舶(A1)、グリッパ(G)、パイル(P)およびハンマー(H)からなる接続系の制御の不安定につながりうることである(これは、係留された船舶に似ている)。
【0130】
海底(S)にモノパイル(P)を設置することに困難が伴うのは、全段階の間、波(W1)および風(W2)外乱が船舶(A1)およびモノパイルに作用するためである。クレーンによる支持なしで(または海底への進入深さが十分でない状態で)モノパイルが海底に立っているとき、モノパイルは不安定であり、転倒しうる。
【0131】
船舶(A1)が係留もジャッキアップもされていないとき、船舶(A1)に作用するモノパイル(P)の力によって船舶(A1)はドリフトしうる。その結果としてモノパイルは転倒しうる。
【0132】
船舶(A1)が動的位置決めシステム(DPシステム)を利用しているとき、パイル(P)を通した船舶(A1)と海底(S)との間の結合は、動作の段階IIIにおける不安定の原因となりえ、または、そうでなければ、動作の段階Iまたは段階IIにあるときに、船舶(A1)、グリッパ(G)およびパイル(P)アセンブリのドリフトを引き起こしうる。このドリフトは、正確なX,Y位置にパイルが設置されない原因となりえ、かつ/またはこのドリフトによってパイルは傾きうる(ことによるとパイルは転倒しうる)。
【0133】
DPシステムの動作モードは、本明細書を読んでいる洋上作業分野の技術者には知られていると考えられる。DPシステムは、船舶位置のドリフトをある程度補償するため、および現場の上方での静止位置保持を実行するために、調整可能なスラスタを用いて船舶を配置することを可能にする。DPシステムは主に、海流などの低周波外乱および海洋および風環境の長周波変化に対して作動する。しかしながら、それぞれのDPシステムは、その範囲内でDPシステムがその設定点付近でドリフトするウォッチサークル(watch-circle)を有する。非公称ケースでは最大数十メートルの偏差を含む、通常のウォッチサークルの外側に突出しうる大きなドリフトが観察されている。
【0134】
本開示は主に、少なくとも船舶(A1)に対するX-Y方向の水平運動を実行する能力を有するパイルグリッパ(G)の機械的実現形態とインタフェースすることができる制御システム(C)ならびに関連センサおよび測定スート(S1~S5)(図5)を対象としている。制御システム(C)のタスクは、クレーンによって支持されていないときにモノパイルの直立を安定させること、および、いくつかの実施形態では、DPシステムがない場合またはDPシステムの反応が遅すぎる場合に船舶がドリフトすることを防ぐことである。さらに、いくつかの実施形態では、制御システム(C)のタスクが、船舶(A1)とパイル(P)との間の結合剛性および/または減衰を能動的に変化させることである。
【0135】
図5は、船舶絶対位置センサ(S1)、グリッパ相対位置および力センサ(S2)、モノパイル位置および絶対傾きセンサ(S3)、クレーン荷重センサ(S4)ならびにモノパイル挿入深さ測定機能(S5)を含むセンサスートを示している。
【0136】
本発明の好ましい実施形態のセンサおよび測定スートは以下のセンサおよび測定機能を含む。
【0137】
-(S1)船舶絶対位置センサおよび関連測定機能。これらのセンサは、3つの加速度計および3つのジャイロスコープを統合したユニットであり、地球基準系におけるそれ自体の運動を測定するためのユニットなどの少なくとも1つの慣性計測ユニット(IMU)、地球座標系における絶対姿勢推定のための少なくとも1つのGPS受信器を含むことができ、さらに、船舶絶対位置測定機能に併合(融合)することができる、例えばGPSベースの訂正信号用の、複数のIMUおよびGPSまたはGNSSシステム、ならびに他の外部センサを含むことができる。船舶絶対位置センサは、微分補正付きの冗長GPS/GNSSシステムと組み合わされた2つの冗長慣性計測ユニット(IMU)を含むことが好ましい。しかしながら、S1センサは、より多数の、より少数のおよび/または異なるセンサを含むことができる。S1センサは、船舶の甲板上および/またはグリッパの位置の近くに配置することができ、正確さを高めるためにGPS訂正信号とともに追加の入力を使用することができる。いずれにせよ、センサS1は、船舶の絶対位置および/または向き(姿勢)の指示を出力するように構成される。
【0138】
-(S2)グリッパ相対位置測定または力測定機能を与えるグリッパ相対位置測定センサおよびグリッパ力センサ。グリッパの位置測定は例えば、グリッパ水平運動を作動させるグリッパアクチュエータに設置されたエンコーダまたはホールセンサによって実行することができる。グリッパ力センサは例えば、ローラボックスのX-Y運動を担うグリッパアクチュエータとそれぞれの可動グリッパ構造体との間に設置された力感知要素とすることができる。この測定には業界標準のロードセルを使用することができ、またはその代わりに、例えば電気式駆動装置のモータ(電機子)電流または液圧で作動する機械の圧力センサなどの他の測度から荷重を推測することを可能にする情報を使用することもできる。力感知は、2つの主要な軸のグリッパの水平移動のうちの一方を作動させる役割を担う少なくとも1つの駆動トレインの少なくとも一部分の出力において、またはそれぞれの個々の駆動トレイン上で実施されることが好ましい。
【0139】
-(S3)モノパイル位置および絶対傾きセンサならびに測定機能。これは、地球座標系における位置および絶対モノパイル傾きを、直接測定によって、または測定を組み合わせることにより間接的に導き出す。パイル(P)の絶対傾きは、IMUおよび/もしくはGPS/GNSSデータから、ならびに/またはパイル(P)またはハンマー(H)に直接に適用することができる他のセンサから直接に受け取ることができ、ならびに/あるいは、測定値を組み合わせることによって、例えば測距データ測定値と船舶絶対位置とを組み合わせることによって取得することもできる。これは例えば、例えばLIDAR、例えば、図5に示されているように船舶からパイルに向かって測定されたLIDAR、ならびに/または(S1)からのセンサデータと組み合わされたLIDARおよび/もしくはその代わりにパイル傾きシステム用の専用絶対位置(位置および回転)測定センサと組み合わされたLIDAR(この場合には通常、GPS/GNSSおよび/またはIMUにも基づく)などの、レーザ測距データ、カメラデータおよび/または他の距離測定値から取得することができる。これは、パイルグリッパ自体に設置されたセンサから取得することもできる。
【0140】
-(S4)クレーン荷重センサおよび測定機能。これは、クレーンにおけるモノパイルの荷重を、ロードセルなどの現在知られている方法を用いて、および/またはクレーン巻上げシステムのモータ電流を介して直接におよび/または間接的に測定する。クレーン荷重測定値は、ケーブル(フック)とモノパイル界面との間に直接に装着された荷重センサから取得されることが好ましい。
【0141】
-(S5)モノパイル挿入深さ測定機能は、本業界で知られている複数の手法によって実現することができる。挿入深さを測定する単純な1つの手法は、動作段階III中のパイルが海底(S)に打ち込まれているときにハンマー(H)の変位を監視することによる、クレーンシステムを介した手法である。しかしながら、他の直接および/または間接測定方法も可能であり、それらの方法を考えることができる。挿入深さ測定値は、船舶-海底測距データ(例えばSonar)と、グリッパ(G)とパイル(P)との間の界面であるグリッパローラボックスのZローラから取得された(ことによると直接に取得された)エンコーダデータなどのグリッパデータとの組合せを含むことが好ましい。
【0142】
- 上記のセンサおよび測定機能はいずれも、本発明に対する適用可能性を失うことなくセンサによって直接にまたは間接的に実現することができ、測定機能を実行するための測定データを送るために使用されるまたは測定データを送るのに必要な全てのセンサは、安全上の理由から、完全にハードウェア冗長(hardware redundant)および/またはホットスワッパブル(hoto-swappable)であることが好ましい。
【0143】
追加の測定機能、例えばパイルの少なくとも一部分の絶対位置測定(X,Y座標)を使用することもできる(図示せず)。
【0144】
図2は、制御システムを示している。示されたこのシステムでは、コントローラ(C1)が、船舶絶対位置センサ(S1)、グリッパの位置および力(S2)、モノパイルの位置および絶対傾き(S3)、クレーン荷重センサ(S4)およびモノパイル深さ(S5)の情報を使用して、モノパイルの位置を安定させる好ましいやり方でアクチュエータ(Y1)を移動させる。動作段階に応じて、コントローラは、これらのセンサのうちのいずれかのセンサ、一部のセンサまたは全てのセンサを使用することができる。オプションのヒューマンユーザインタフェース(H1)は、異なる動作モード間で(例えば1つの動作段階から別の動作段階への遷移において)コントローラが変化することを可能にする。
【0145】
したがって、示されたセンサスート(S1~S5)は最終的に、船舶の絶対位置(S1)およびクレーン荷重(S4)、モノパイルの絶対傾き(S3)、モノパイルの絶対挿入深さ(S5)、ならびに機械式グリッパのいくつかの可動軸、好ましくは全ての可動軸の相対位置および力(S2)を処理し、それらを示す。この情報はコントローラ(C1)に渡される。
【0146】
コントローラは、機械式グリッパアクチュエータの位置および力(Y1)を決定する。
【0147】
ユーザインタフェース(H1)は、制御システムの機能を変更することを可能にする。
【0148】
モノパイル設置の間、3つの全ての段階にわたって、提案された制御システムの好ましい実施形態は、主要な3つの動作段階に関係したいくつかのタスクを遂行し、それらの段階間の円滑な遷移を保証する。具体的には、- 段階I中に、制御システム(C)は、パイルのエネルギーが放散されること、およびパイルグリッパ(P)にパイルを安全に挿入することができることを保証し、
【0149】
- 段階Iから段階IIへの遷移中に、制御システム(C)は、運動補償制御のランプアップが、海底(S)へのパイルの降下およびフックのオフロードと同期することを保証し、
【0150】
- 段階II中に、制御システムは、モノパイルが鉛直を保っていることおよび/または鉛直を保つことを保証し、
【0151】
- 段階IIから段階IIIへの遷移中に、制御システム(C)はモノパイルを安定に保ち、
【0152】
- 段階IIIにおいて、制御システムは、海底への挿入が進むにつれて、モノパイルが、船舶およびDPシステムから徐々に分離されることを保証する。
【0153】
全制御システムに関して不可欠とまではいかないが、ことによると普通は全制御システムに関して意味があると考えられる、ここに示されていない全パイル-グリッパ系の制御機能は全て、「標準慣行(standard practice)」であると考えることができる。このような機能および特徴には、限定はされないが、例えば、アクチュエータを動作させる、グリッパがデータを受け取る準備する、システムのオンとオフを切り換える、データを記録するなどの制御システム特徴が含まれ、さらに、「標準」SCADAシステム、ヒューマンマシンインタフェース、グラフィカルユーザインタフェース、および産業用制御システム分野の技術者によって適用可能であると考えられる他の全ての標準システムが含まれるであろう。ここに記載されていないこのような特徴は全て、パイルグリッパを完全に動作させため、ならびにデータを記録すること、部分を移動させること、扉を開くこと、安全システムを起動させること、熱監視および制御を起動させること、予熱などの全ての標準タスクを実行および調整するために必要とされるであろう。それらの部分は、本発明に不可欠であるとはみなされず、さまざまな多くの形態をとり、したがって本開示でこれ以上詳細に説明することはしない。
【0154】
図7は、本発明の好ましい実施形態を示しており、全制御システム(C)が、外側の2つのループの代わりに使用することができる1つの並列ループを含む3つの入れ子フィードバックループを示す「入れ子制御ループ」方式で示されている。(灰色の)差込み図は、灰色で示されたシステムのより詳細な典型的実施形態を示しており、この「IMU、GPSおよび/またはモータエンコーダ測定」ブロックは、示されているような多数のサブシステム、すなわち、少なくとも1つのIMU、1つのGPS受信器、測定信号の出力を形成するグリッパ機構(エンコーダなど)に由来するフィードバック信号と一緒にセンサ融合アルゴリズムにフィードされる例えばMarineStar、PPPまたはRTKserviceなどの外部訂正信号のオプションを含む。しかしながら、他の実施形態では、より多数の、より少数のおよび/または他のサブシステムを使用することができる。
【0155】
本発明による好ましい全制御システム(C)(C1)は、パイルグリッパの動作の成功を担い、必要な設置成果に到達するためのパイルの能動運動補償および位置決めの実行を担うシステムである。好ましい制御システムは、例えば図7に示されているように配置され、鍵となる以下の要素を含む。
【0156】
- 監視コントローラ(SC)。これは、さまざまな動作段階にわたってさまざまな制御動作の調整を監視する。監視コントローラは、完全自動で実施することができ、またはその代わりに、オペレータによってヒューマンマシンインタフェース(H)を通して提供された人間入力に依存することもできる;
【0157】
図7には示されていないにもかかわらず、監視コントローラ(SC)を、任意のまたは全てのシステムに(一方向または二方向に)リンクすることができ、ことによると、監視コントローラ(SC)は、その動作にとって、または後の後処理および/もしくは実際の設置成果の分析のために重要でありうる必要な任意のまたは全てのデータを記録することができる;
【0158】
- このようなデータは、例えば、少なくとも、任意のまたは全てのサブシステム、終了スイッチ、エンコーダ、位置センサなどに関係したデジタルステータスデータ、デジタルデータに変換することもできる圧力、トルク、電流などの任意のまたは全てのサブシステムのアナログデータ、後に説明するさまざまなセンサのうちの任意のまたは全てのセンサデータ、および制御システムにとって重要な他の任意のまたは全てのデータの中から選ばれた、「判断」を実行するのに必要な、または人間オペレータに対する表示および潜在的な記録のために必要なデータを含みうる、またはそのようなデータでありうる;
【0159】
- ヒューマンマシンインタフェース(H)。これは、1人または複数人のオペレータに情報を提供するものであり、さらに、1人または複数人のオペレータから、タスクの実行に影響を与えるようなヒューマンコマンドを受け取るように構成される;
【0160】
- 力制御サブシステム(FC)。これは、パイル-グリッパの能動運動補償に関連したパイル-グリッパのいずれかのまたはそれぞれの可動部品に含まれる駆動装置のうちの少なくとも1つの駆動装置またはそれぞれの駆動装置の力、対応するそれぞれのトルクを制御する。図には明示されていないにもかかわらず、FCの1つまたは複数の利得および/またはパラメータ、好ましくは全ての利得および/またはパラメータを、監視コントローラによって調整することができる。しかしながら、本発明の別の好ましい実施形態では、このサブシステムの利得およびパラメータが一定のままであってもよい。
【0161】
- 位置制御サブシステム(PC)。これは、パイル-グリッパ可動部品のうちの一部のまたは全ての可動部品(特にパイルを含むローラボックス)の位置を、船舶に関して、したがって地球座標系に関して制御する。この位置制御サブシステム(PC)は、グリッパの1つまたは複数の可動部品の見かけの剛性および減衰に能動的に影響を与えることができることを保証する調整可能な利得およびパラメータにより、インピーダンス制御サブシステム(Impedance Control sub-system)(IMPC)の働きをすることもできる。このようなパラメータ変更は監視制御システムによって実行され、センサフィードバックおよび/または人間入力に基づくことができる。
【0162】
- 傾き制御サブシステム(IC)。これは、モノパイルの傾きを制御するサブシステムであり、パイルの傾きを(好ましくは常に)必要な設置許容差内に保つことができるように構成される。この図には示されていないにもかかわらず、この傾き制御サブシステムを「オン」または「オフ」に切り換えることができ、さらに、その利得およびパラメータを、監視コントローラによってオンザフライで調整することができる。
【0163】
- 本発明の第4の機能サブシステム。これはオプションであり、一態様では、これを他の制御システム内で使用することもでき、これは、船舶およびモノパイルのそれぞれの質量を使用してこの結合動的系を安定させることができるように配置された結合船舶-モノパイルコントローラ(VMPC)である。動作時、それは、傾き制御サブシステム(IC)を無効にすることができる。これは、傾き制御サブシステム(IC)が、始まった一切の船舶ドリフトオフを急速に打ち消すことができる力を船舶に加えるため、または船舶の動的位置決めシステム(DPシステム)ドリフトを意図的に打ち消すために、パイル傾きの意図的なオフセットを生み出すためである。
【0164】
- 監視コントローラによって、一部のまたは全ての制御サブシステムを、センサフィードバックに基づいて、および/またはヒューマンマシンインタフェース(H)を通した人間選択に基づいて独立して起動することができる。
【0165】
- 監視コントローラ(SC)は、全体システムのセンサ入力を使用して、どの制御システムを、いつ、および、その基礎をなすコントローラのためのどのパラメータセットとともに起動するかを選択することができる。本発明の好ましい実施形態では、監視コントローラ(SC)が、少なくとも、クレーン荷重測定(S4)からのリアルタイム入力を受け取り、さらに、少なくとも部分的にクレーン荷重測定(S4)に由来するものであってもよいモノパイル挿入深さ測定(S5)からの測定値を受け取る。
【0166】
- 制御システムは、いつでも、全てのサブシステムを起動することができ、またはサブシステムのうちのいずれか1つもしくはサブシステムの組合せだけを起動することができ、その場合には、調整可能な利得が、一部のまたは全ての動作段階にわたって成功した安全な設置を保証するように調整される;
【0167】
- さまざまなサブシステムの実際の一部のまたは全てのコントローラは、例えば標準比例(P)、積分(I)および微分(D)動作によって、任意の組合せで、ならびに標準慣行が必要とするのと同じ数の段階を有するように実施することができ、より先進の標準コントローラを使用することもできる。
【0168】
一部のもしくは全ての制御サブシステムは、独立した入力を受け取り、独立した出力を提供することができ、または一部のもしくは全ての制御サブシステムをカスケード化もしくはグループ化することができ、または一部のもしくは全ての制御サブシステムを、一般性を失うことなしに、図8に示されているものなどの単一の多入力多出力(MIMO)制御システムにまとめることができる。サブシステムコントローラの任意の組合せをMIMOシステムにグループ化することができ、これらのサブシステムはいずれも、本発明への適用可能性を失わない限り、このようなMIMO実施態様に含まれていてもよくもしくは含まれていなくてもよく、またはこのようなMIMO実施態様の外に留まってもよくもしくは留まらなくてもよい。
【0169】
図8は、個々の入れ子サブシステムの代わりに、監視コントローラを通して構成された単一のMIMOコントローラを使用する、代替表現で示された、本発明による一実施形態としての制御システムを示している。モノパイル傾き測定および関連PIコントローラがMIMO「の外側に」示されているのは単に参照のためであり、これらを、上述のサブシステムのうちの他のサブシステムなどのようにMIMO構造体の内側に含めることもできる。力コントローラ(FC)はその制御出力信号をモータに送る。このモータは、電気モータ、液圧モータまたはハイドロモータタイプのモータとすることができる。
【0170】
主要なサブシステムである力制御(FC)サブシステムは、所望のトルクまたは力設定点を入力として受け取り、出力として制御信号をアクチュエータに送るように配置される。このアクチュエータは、このような出力をグリッパ可動部品に対する等価のトルクまたは力を機械的に生み出すように処理するように構成されている。
【0171】
- アクチュエータの機械出力は、XもしくはY運動(またはその両方)を担うパイル-グリッパの可動構造体に直接に適用することができ、あるいは減速機を介して出力構造体に結合することができる。アクチュエータは、全てのバリエーション(同期、非同期、ステッパなど)の電気モータ、全てのバリエーション(例えば1次制御もしくは2次制御タイプ)の液圧モータ(ハイドロモータ)、本分野で現在知られている全てのバリエーションの液圧シリンダ、または適用するのに適しているとみなされる他の任意のアクチュエータなど、当技術分野で現在知られている任意のアクチュエータとすることができる。本発明の好ましい実施形態は、小さな減速比(例えば10:1から100:1までの間の減速比)を有する減速機を含む電気式アクチュエータからの実際のトルクを測定するように、および、この減速機の出力トルクをセンサによって直接に測定し、このトルクを力制御サブシステム(FC)にフィードバックするように構成された力制御サブシステムである。
【0172】
- トルク制御サブシステム用の力および/またはトルクセンサは、標準工業部品(ロードセル)を介して、例えば歪ゲージ測定に基づいて実現することができ、またはその代わりに、個々の駆動トレインの出力におけるトルクを測定するのに適した他の測定原理によって測定することができる;
【0173】
- あるいは、間接法を使用して、所与のアクチュエータの出力トルクをその入力に基づいて推定することもできる。このような間接法は本分野で知られており、例えば、直流電気モータを流れる(電機子)電流の測定に基づくものとすることができる。さまざまな解決策を実施することができる。
【0174】
- 出力された力および/またはトルクを測定すること、好ましくは、出力された力および/またはトルクを、グリッパに運動を適用する機械式アクチュエータの機械出力において直接に測定することに加えて、アクチュエータの位置変化を測定し、それを、力制御システムおよび/もしくは監視コントローラ、ならびに/または含まれる他の制御サブシステムにフィードバックすることもできる。本発明の好ましい実施形態では、電気式駆動装置のエンコーダフィードバック信号が位置制御サブシステム(PC)にフィードされる;
【0175】
- 本発明の好ましい実施形態では、力制御サブシステムが、アクチュエータ駆動トレインごとに1つのコントローラがある一連のPIまたはPIDコントローラとして実現される;
【0176】
- 1つのアクチュエータ駆動トレイン、例えばグリッパのX変位用の1つのアクチュエータ駆動トレインは、ラックアンドピニオン構成の複数の電気モータの複数のアクチュエータ、あるいは直列もしくは並列に接続されたまたは任意の直列および並列構成の複数の液圧アクチュエータの複数のアクチュエータなどの複数のアクチュエータを備えることができる。それに加えて、またはその代わりに、グリッパの両水平方向の(サブ)セットを制御する一組のアクチュエータを有するなど、アクチュエータ駆動トレインを変位方向と結合することもできる;
【0177】
本発明の好ましい実施形態では、所与の基準位置入力に従うように、および力制御サブシステムに向かって出力を生成するように配置された力制御サブシステムの周囲で、グリッパ位置制御(PC)サブシステムが入れ子にされている。具体的には下記のとおりである。
【0178】
- 位置制御サブシステムは、船舶上に固定された静止部品に関するグリッパ可動部品の位置決めに関する位置情報を送るセンサおよび測定機能(S2)から情報を受け取る。例えば、グリッパを配置するタスクが与えられたアクチュエータの1つに装着されたモータ絶対ロータリエンコーダを介して、出力シャフト(ピニオン歯車)の位置をラックに沿って測定することができ、それによって、制御システムは、ラックからおよびその基準位置からのピニオン歯車の相対または絶対位置決を推測することができる。それに加えて、またはその代わりに、ラックに沿ったモータ変位の直接線寸法を測定することができる。アクチュエータから位置フィードバックを提供することに加えて、またはその代わりに、同等にまたは追加的に、システムのさまざまな要素の速度情報を提供することもできる。
【0179】
- 動作のさまざまな段階の全体を通じて必要な座標系などの正確で必要な座標系において測定位置情報を解釈するため、システムによって測定された位置、速度または加速度情報を再計算して、異なる基準系における等価の位置、速度または加速度にすることができる。このような再マッピングは、慣性計測ユニット(IMU)などの他のいくつかのセンサまたは取得されたGPS/GNSSデータの助けを借りて実行することができる。本発明は、このようなセンサのうちのいずれか1つ、または、例えば制御システムの「IMU、GPSおよび/またはモータエンコーダ測定」ブロックの詳細を示す図7の灰色の差込み図に示されたものなどのこのような複数のセンサのうちのいずれか1つを使用することができる。センサ融合のための現在知られているさまざまな方法(例えばカルマンフィルタ、オブザーバなど)を使用して、コントローラが必要とする一部のまたは全ての関連入力変数のよりロバストな推定値を取得することができる;
【0180】
本発明の好ましい実施形態では、モノパイル位置コントローラ(PC)が、入力として、船舶の瞬時絶対位置および/または速度および/または加速度、一部のまたは全てのアクチュエータの瞬時位置および/または速度および/または加速度、ならびに起動信号ならびに利得および他の変数セットを、監視制御システムを介して受け取る;
【0181】
- 位置コントローラは、その比例、積分および/または微分利得を調整することにより、位置制御部分の「剛性」および「減衰」を監視制御機能を通して実行時に調整することができるように配置される。これが、位置制御サブシステム(PC)がインピーダンス制御サブシステムとも呼ばれることがあること、または実際のセンサ選択によっては位置制御サブシステム(PC)をアドミタンス制御サブシステムと解釈することもできることの理由である;
【0182】
- 位置制御サブシステムは、パイル-グリッパがパイルの中心点を地球座標の所望の絶対位置に置くようにパイル-グリッパの位置が制御されることを保証することができる。
【0183】
本発明の好ましい実施形態では、位置制御サブシステムが、傾き制御サブシステム(IC)の出力からフィードを受ける。これはオプションと考えることもできるが、全体システムの性能を大幅に向上させる。
【0184】
- 傾き制御サブシステムは、絶対地球座標系におけるパイル傾きの測定値を受け取ることができる。絶対地球座標で提供されない場合には、傾きコントローラ内で入力測定値を再計算してその値を対応する測定信号にマップすることができる。図7は、モノパイル傾き測定のための単一の入力を有する単一のブロックを示しているが、実際には、実際のパイル傾きのロバストな推定または測定を達成するように計算された複数のセンサからの複数の入力を使用することができる。
【0185】
- 例えば、パイル傾きは、LIDARシステムによって船舶から測定し、次いで、それを、船舶INS(慣性航法システム)、IMUまたはGPS/GNSS情報と一緒に再計算して、絶対地球座標におけるパイル傾き測定値にすることができる。それに加えて、またはその代わりに、パイル傾きは、直接に取得すること、例えばパイル上に直接に設置された傾斜センサから直接に取得することができ、または、本分野の現在の標準慣行である他の傾き測定方法によって取得することもできる。
【0186】
- パイル傾き制御サブシステムは、その利得パラメータおよび「オン/オフ」信号を監視制御システムから受け取ることができ、入力としてモノパイルの所望の傾き設定点を受け取る。本発明の好ましい実施形態ではこの所望の傾き設定点がゼロ設定点である。
【0187】
- パイル傾き制御サブシステムの実際のコントローラは、現在知られている任意の標準制御構造を用いて実現することができる。好ましい実施形態では、これが、可変パラメータを有するPIDコントローラを用いて実現される。
【0188】
本発明の好ましい実施形態では、さらに、専用結合船舶-モノパイルコントローラ(VMPC)が、モノパイル位置制御および傾き制御サブシステムと並列に実施される。このコントローラは、必要な場合に結合グリッパ-船舶系を安定させるグリッパ運動を生じさせるように配置される。監視コントローラが例えば、パイル傾きの大きな偏差もしくは例えば船舶のドリフトオフをそのINSシステムを介して検出した場合、または、例えば、その作業空間を通したグリッパの絶え間ない伝搬および作業領域端限界に達するリスクを検出した場合、または、例えば、パイル転倒の可能性を示すシステムの別の異常を検出した場合、あるいはこれらの組合せである場合には、このシステムを起動して、パイル質量とともに船舶を再配置するようなやり方でパイル質量をシフトすることにより、船舶位置を安定させることができる。この目的上、コントローラは、上記の図に示されていないシステム(例えば終了スイッチなど)の測定データを使用することができ、センサ入力(S1~S5)のうちの任意のセンサ入力またはそのような入力の処理結果を使用することができる。結合船舶-モノパイルコントローラは、下記のうちの1つまたは複数を実行するように配置されることが好ましい。
【0189】
- DPシステムの故障下でパイルのバランスをとる、
【0190】
- モノパイル傾きを適用するのと引換えに絶対地球座標における船舶位置に影響を与える、
【0191】
- 設置の中止が不可避である可能性があるシナリオにおいてパイル傾きを安全な脱出姿勢に移動させる;
【0192】
本発明の好ましい実施形態では、監視コントローラによる結合船舶-モノパイルコントローラ(VMPC)の起動が、位置および傾き制御サブシステムの停止に関連し、または位置および傾き制御サブシステムの停止を引き起こす;
【0193】
VMPCを起動する代わりに、またはVMPCを起動するのに加えて、監視コントローラは次いで、さらに、船舶DPシステムに訂正信号を送って、船舶ドリフトを停止させる所与の状況の漸進的改善を引き起こすようにすること、またはDPシステム自体の支援によってグリッパ終点をその中心作業空間に再び移動させるようにすることができる。
【0194】
制御システムは、設置が実行される動作段階に応じて、そのサブシステムのうちの任意のサブシステムの起動および構成を変更することができる。
【0195】
以下に、モノパイル設置が経る3つの主要な段階の全てに対する好ましい制御システム構成を示す。
【0196】
動作段階I(図2)の間、本発明の好ましい実施形態は図9に示されているように構成される。
【0197】
- 制御システムは、モノパイルを追跡し、グリッパを用いてモノパイルを握持する。パイルの過大な移動は制御システムによって減衰される。モノパイル位置コントローラはインピーダンスコントローラの働きをし、剛性および減衰はクレーン荷重の関数として変化する。
【0198】
- 段階I中に、制御システムは、船舶絶対位置センサ(S1)、グリッパセンサ(S2)およびモノパイルセンサ(S3)を使用して、モノパイルの移動を追跡し、グリッパを用いてモノパイルを握持する。モノパイルは依然としてクレーンによって持ち上げられている;
【0199】
- パイル(P)は、船舶およびグリッパ(ならびにクレーン)の移動を結合することにより所望の海底絶対位置に配置される。この目的のため、制御システム(C)からクレーンへの専用制御リンクを実施することができる;
【0200】
- モノパイルの過大な揺動は、船舶に対するモノパイルの速度、位置および力のうちの1つまたは複数を測定すること、ならびに位置制御ループ剛性および/または減衰を調整することにより、制御システムによって減衰される;
【0201】
- モノパイルが海底に接触した後、制御システムは徐々に、クレーンによってモノパイルが安定した状態からグリッパによってモノパイルが安定した状態へと遷移し、このことは、クレーンとの衝突を発生させないように、(波によって誘起された船舶、パイルの運動および風によって誘起された運動を補償する)海洋運動補償を開始することを可能にする。図9に示された入力に加えて、位置コントローラ部分はさらに、別の第2の専用入力信号を設定点として受け取ることができる;
【0202】
- 力軽減から運動補償制御へと徐々に遷移するために、グリッパの界面剛性は、(S4によって測定された)クレーン荷重の関数として、監視コントローラによって、「柔」から「剛」に変化するように制御されることが好ましい。これは、側荷重によってクレーンを傷つけることを回避する。
【0203】
- 段階Iの終わりに、パイルは海底に完全に支持される。パイルは自重進入深さ(SWP)まで沈み込んでおり、グリッパの運動補償システムは、良好なパイル位置安定化を実行するためにそのコマンドを実行する準備ができている。クレーンのフックは取り外すことができる。
【0204】
したがって、図9は、動作段階Iの間の制御システムの構成を示している。制御システムは、モノパイルを追跡し、グリッパを用いてモノパイルを握持する。パイルの過大な移動は制御システムによって減衰される。モノパイル位置コントローラはインピーダンスコントローラの働きをし、剛性および減衰はクレーン荷重の関数として変化し、クレーン荷重を小さくするにつれて剛性はランプアップする。
【0205】
上述のとおり、図10は、基準構成(A)にある動作段階II中の制御システムの好ましい実施形態の構成、および代替構成(B)として示された動作段階II中の制御システムの好ましい実施形態の構成を示している。船舶が安全動作位置にある場合に、制御システムは、高剛性位置制御設定および傾きコントローラを用いてモノパイルを直立させる。船舶が、その安全動作位置内にない(例えば作業空間限界または過大なDPドリフトに達した)場合、コントローラは、結合船舶-モノパイルコントローラ(VMPC)を用いて船舶およびモノパイルを安定させる。
【0206】
動作段階II(図3)の間、本発明の好ましい実施形態を、図A「基準」構成に示されているように構成することができる。
【0207】
- 段階IIの間、モノパイルは海底によって支持され、クレーンは解放されている。
【0208】
- 船舶が安全動作位置にある場合に、制御システムは、高剛性位置制御設定および傾きコントローラを用いてモノパイルを直立させる。船舶が、その安全動作位置内にない(例えば作業空間限界または過大なDPドリフトに達した)場合、コントローラは、結合船舶-モノパイルコントローラ(VMPC)を用いて船舶およびモノパイルを安定させる;
【0209】
- 制御システムは、センサS1、S2およびS3を使用してモノパイルの直立を安定させる;
【0210】
- S1システムからのセンサ測定値は、地球座標における絶対船舶位置を提供し、S2システムからのセンサ測定値は、グリッパアクチュエータシステムからの位置および速度情報を提供し、これらの情報は、必要に応じて必要な座標における情報に再計算され、S3システムからのセンサ測定値は、前述の絶対モノパイル傾きを提供する。
【0211】
- 結合船舶-モノパイルコントローラは、以下の状況のうちの1つまたは複数の状況が監視コントローラによって検出されるたびに始動される。
-- 船舶ドリフトオフ、
-- グリッパ軸の組合せのうちのいずれか1つで作業空間限界に達したこと、
-- DPシステムの故障、
-- 過大なDPシステムドリフトオフ、
-- 残りの制御システムによって打ち消すことができない過大なモノパイル傾き;
【0212】
- 船舶位置が、安全エリア内および公称動作条件内にある場合、制御システムは、絶対モノパイル位置および傾き測定値ならびに前述の残りの測定データのうちの少なくともいくつかを使用して、モノパイルを継続的に直立させる。
【0213】
- 船舶位置が、安全エリア内および動作条件内にない場合、制御システムは、船舶測定センサおよびモノパイル測定値(センサS1からセンサS4および/またはS5までの任意の組合せ)を使用してモノパイルと船舶の両方を安定させる。次いで、モノパイルの質量を使用して船舶を間接的に移動させる。船舶が、安全エリア上および公称動作条件内に戻ると、制御システムはモノパイルを直立させ、パイル運動補償モードを継続する。
【0214】
- これらの構成間の切換えのため、図10に示されたスイッチ(SW1)を起動させる。疑問を回避するために言うと、このスイッチは、単純な「オン/オフ」機能とすることができ、または2つの並列制御システム間で権限を徐々に移すようなより複雑なものとすることができる。スイッチ(SW1)は、制御システムが動作させることができ、および/または例えばヒューマンマシンインタフェースH1(図示せず)を介して人間が動作させることができる。
【0215】
図10(B)には、この段階における本発明の可能な構成をさらに示す代替制御システム構成が示されている。
【0216】
- 結合船舶-モノパイルコントローラの起動に加えて、またはその代わりに、制御システム(C)はさらに、訂正信号を船舶DPシステムに送信することができ、これによって、船舶DPシステムは、この訂正信号を力信号と解釈することにより、または位置信号により(もしくはこの訂正信号を位置信号と解釈することにより)、または速度もしくは加速度信号により(もしくはこの訂正信号を速度もしくは加速度信号と解釈することにより)、またはこれらの任意の組合せにより、および、そのスラスタを、その状況に資するようなやり方で起動することにより、動作ステータスに応答することができる;
【0217】
- しかしながら、しばしば、対応するDPシステムが遅すぎて、このような非公称状況から回復するように十分に速く反応することができないことが考えられる。これが、本発明の一実施形態において、DPシステム信号を送信することとVMPCコントローラを並行して起動することとの組合せを使用することができる理由である;
【0218】
- DPシステムに送信された情報を監視コントローラが使用して、VMPC、力、位置および/または傾きコントローラの利得および起動パターンを調整することもできる。
【0219】
- DPシステムに情報を送信するのに加えて、さらに、DPシステムからの追加情報を監視コントローラが使用して、状況を改善するために、その起動、状態および/またはパラメータを変更するように、そのサブシステムのうちのいずれかのサブシステムに影響を与えることができる。
【0220】
図11は、動作段階III中の制御システムの構成を示している。パイル打込みの間、制御システムはモノパイルを鉛直に保ち、さらに、モノパイル位置コントローラの剛性および/または減衰を、海底におけるモノパイル進入深さの関数として低減させる。
【0221】
動作段階III(図4)の間、本発明の好ましい実施形態は図11に示されているように構成される。
【0222】
- 段階III中に、モノパイルは、例えばこの場合にはパイルの頂部に設置されたパイル打込み機またはハンマー(H)の起動によって海底に打ち込まれる(パイル打込み);
【0223】
- パイルが海底(S)に打ち込まれている間、制御システムは、その力制御機能、その位置制御機能、および好ましくはさらにその傾き制御機能を起動することによってモノパイルを直立に保つ;
【0224】
- 監視コントローラ(SC)は、海底へのモノパイルの挿入深さに関する測定入力を受け取る(モノパイル挿入深さ測定)。
-- 疑問を回避するために言うと、この測定入力は、例えばパイルもしくはパイル打込み機に配置されたセンサによって、および/またはパイルを取り囲むグリッパ上に設置されたセンサによって直接に測定されたものとすることができ、あるいは、例えば船舶の下の深さ測定、パイルのz軸に沿って転がるローラジョイントのエンコーダ信号、または当業者が無理なく使用することができる信号の他の組合せなど、いくつかの測定を組み合わせることによってより間接的に取得されたものとすることもできる;
【0225】
- パイル打込み中に、パイルは徐々に、グリッパによる直立安定状態から海底自体による直立安定状態へと遷移する。これは、パイルがより深く挿入されるにつれて、海底が、パイルとより高剛性の界面を発達させるためである;
【0226】
- 精度が最大になるように構成されている可能性が高い(したがって高剛性のモノパイルから外乱として外部制約を受け取る)DPシステムの不安定の開始を回避するため、監視制御システムは、その時点ではグリッパのインピーダンスコントローラのような働きをしている位置制御ループの制御利得を調整することによって、モノパイルとグリッパおよび/または船舶との間の界面剛性を徐々に低減させる。
-- 疑問を回避するために言うと、グリッパ位置制御システムにおいて剛性および/または減衰を利得調整によって能動的に低減させる代わりに、パイルを保持している界面における剛性および/または減衰を能動的にまたは受動的に低減させることもできる。しかしながら、この界面は、所望の動作限界内での動作を許容するために十分な作業空間を有するべきであると考えられる。さらに、例えば駆動トレイン内で液圧シリンダが使用される場合には、剛性を受動的に変化させることもできる。そのような場合には、駆動トレインに段階的に追加することができる追加の液圧リザーバ(例えばガス入りばね)を直列に結合することによって、剛性の低減を達成することができる。しかしながら、このような剛性の変更は漸進性がより低く、本発明のより好ましくない実施形態または好ましくない実施形態であると考えることができる。
【0227】
- パイル打込みシーケンスの一部の間、または好ましくはパイル打込みシーケンス全体の間、グリッパコントローラは、波および風に起因して船舶および/またはパイルによって誘起された運動を補償する;
【0228】
- パイル打込みの終了に近づいて、パイルが、海底のターゲット挿入深さにまたはターゲット挿入深さ付近にしっかりと挿入されたときには、船舶/グリッパおよびその制御システム(DP)からパイルを十分に隔離するように、パイルとグリッパおよび/または船舶との間のインピーダンスを、重大な動的相互作用によってもDPシステムの不安定が生じえない十分に低いものに設定することができる。
【0229】
しかしながら、疑問を回避するために言うと、モノパイル設置シーケンスは、決定的に重要なこれらの3つの段階だけではなくそれ以外の段階も有し、含まれる他の動作シーケンス中のコントローラの動作原理は、パラメータおよび関係の変更はあるものの上述の原理に似ている。
【0230】
最終的に設置されたモノパイルから船舶を後退させるときには、グリッパを開き、グリッパを後退させる。船舶は自由に現場から離れることができる。このステップ中にも、提案された発明の着想を変更することなく、監視コントローラによって、人間入力を使用しまたは使用せずに、剛性および/もしくは減衰パラメータならびに利得パラメータのさまざまな変更を実行することができる。
【0231】
以上では制御システムについて説明したが、本開示の全体を通じてなされた制御システムに関する一切の言説は、対応する制御方法にも同様に当てはまることが理解される(その逆も同じである)。
【0232】
さらに、本開示は、特許請求の範囲内においていくつかの様式で変更されうる上述の実施形態に限定されない。
【0233】
コンピュータシステムとともに使用するプログラム製品としてさまざまな実施形態を実施することができ、その場合、プログラム製品のプログラムは、(本明細書に記載された方法を含む)実施形態の機能を規定する。一実施形態では、さまざまな非一過性コンピュータ可読記憶媒体上にプログラムを格納することができ、その場合、本明細書で使用されるときには、表現「非一過性コンピュータ可読記憶媒体」が、一過性の伝搬信号を唯一の例外として全てのコンピュータ可読媒体を含む。別の実施形態では、さまざまな一過性コンピュータ可読記憶媒体上にプログラムを格納することができる。例示的なコンピュータ可読記憶媒体には、限定はされないが、(i)その上に情報が永続的に記憶される非書込み可能記憶媒体(例えばコンピュータ内のリードオンリーメモリ装置、例えばCD-ROMドライブによって読むことができるCD-ROMディスク、ROMチップまたは任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリ)、および(ii)その上に変更可能な情報が記憶される書込み可能記憶媒体(例えばフラッシュメモリ、ディスケットドライブ内のフロッピーディスクもしくはハードディスクドライブ、または任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)が含まれる。
【0234】
特に明記されていない限り、特定の実施形態に対してまたは特定の実施形態に関して論じた要素および態様を、他の実施形態の要素および態様と適当に組み合わせることができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記構造体、前記グリッパ、前記船舶または前記構造体を支持する巻上げシステムに関する1つまたは複数の条件に基づいて調整すること
を含む方法。
【請求項2】
荷重データ、挿入データ、船舶データ、構成データおよび力データのうちの少なくとも1つを取得することであり、前記荷重データが、前記構造体を支持する前記巻上げシステムに加わっている荷重を示し、前記挿入データが、前記水底層中への前記構造体の挿入深さまたは前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示し、前記船舶データが、前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示し、前記構成データが、アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を示し、前記力データが、前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す、前記取得すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記荷重データ、前記挿入データ、前記船舶データ、前記構成データおよび前記力データのうちの前記少なくとも1つに基づいて調整すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記水底層中に前記パイルを配置する動作段階に基づいて調整することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を調整することが、
前記結合の前記剛性を、第1の剛性設定から第2の異なる剛性設定に調整すること、および/または
前記結合の前記減衰を、第1の減衰設定から第2の異なる減衰設定に調整すること
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す力データを受け取ること、ならびに
前記構造体および/または前記船舶の位置および/または向きを制御すること、特に、前記構造体および前記船舶の位置および/または向きを互いに関して制御すること
を含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記力データに基づいて制御することを含み、
前記方法がさらに、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記力データに少なくとも部分的に基づいて動的に調整すること
を含む方法。
【請求項6】
前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記船舶と前記グリッパとの間のアクチュエータを前記力データに基づいて制御すること、特に、前記アクチュエータを、前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御するように制御することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アクチュエータを制御することが、前記アクチュエータの駆動装置の力および/もしくはトルクを制御すること、ならびに/または前記アクチュエータの可動部品の相対位置および/または移動を制御することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記構造体データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記船舶データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
地球座標における前記構造体の位置、向きおよび移動ならびに/もしくは前記構造体を配置する前記水底層に対する前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ること、ならびに/または
前記船舶の位置および/もしくは移動、特に、地球座標における前記船舶の位置および/もしくは移動ならびに/または前記構造体を配置する前記水底層に対する前記船舶の位置および/もしくは移動を示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の位置および/または向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを、地球座標に関しておよび/または前記水底層に関して制御することをさらに含む、
請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサから荷重データを受け取ることをさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記荷重データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アクチュエータの1つもしくは複数の可動部品の相対位置および/もしくは移動を示す構成データを受け取ること、ならびに/または
前記船舶の位置および/もしくは移動、特に、前記構造体を配置する前記水底層に対する前記船舶の位置および/もしくは移動を示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、特に下記の場合に、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記構成データおよび/または前記船舶データに基づいて制御することをさらに含む、
前記アクチュエータの可動部品の前記相対位置および/もしくは移動が所定の空間および/もしくは速度範囲外にあることを前記構成データが示している場合、ならびに/または
所定の空間および/もしくは速度範囲外に前記船舶が配置されていることおよび/もしくは移動していることを前記船舶データが示している場合、
請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記構造体を配置する前記水底層上もしくは前記水底層中の位置を決定し、前記構造体および前記船舶の前記位置および/もしくは前記向きを前記位置の周りで対称に制御すること、ならびに/または
前記グリッパを介して接続された前記構造体および前記船舶を含むアセンブリの質量中心および/もしくは慣性中心を決定し、前記構造体および前記船舶の前記位置および/もしくは前記向きを、前記質量中心および/もしくは前記慣性中心の周りで対称に制御すること
をさらに含む、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記結合の前記剛性を、第1の剛性設定から第2の異なる剛性設定にもしくは前記第2の剛性設定から前記第1の剛性設定に調整すること、および/または
前記減衰を、第1の減衰設定から第2の異なる減衰設定にもしくは前記第2の減衰設定から前記第1の減衰設定に調整すること
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記結合の前記剛性を、前記第1の剛性設定と前記第2の剛性設定との間の1つもしくは複数の剛性設定に調整すること、および/または
前記結合の前記減衰を、前記第1の減衰設定と前記第2の減衰設定との間の1つもしくは複数の減衰設定に調整すること
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記力データに基づいて、ならびに/または、受け取っているときに、構造体データ、船舶データ、荷重データ、構成データおよび挿入データのうちの1つもしくは複数に基づいて調整することを含む、請求項5から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を示す荷重データと、
水底層中への前記構造体の挿入深さおよび/または前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示す挿入データ
のうちの少なくとも一方を受け取ること、ならびに
前記結合の前記剛性および/または前記結合の前記減衰を、前記荷重データと前記挿入データのうちの少なくとも一方に基づいて調整すること
をさらに含む、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、それぞれの前記第1の設定とそれぞれの前記第2の設定との間のそれぞれの1つまたは複数の設定に、少なくとも前記荷重データおよび/または前記挿入データに基づいて調整すること
を含む、請求項15に従属するときの請求項19に記載の方法。
【請求項19】
前記船舶を水体に配置すること、
前記船舶の巻上げシステムから前記構造体を支持すること、
前記グリッパを介して前記構造体を前記船舶に接続すること、
前記水体の前記水底層上および/または前記水底層中に前記構造体を配置すること、
前記構造体を前記水底層中に打ち込むこと、ならびに
前記グリッパおよび/または前記船舶から前記構造体を分離すること
を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の傾きを0からの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを、前記構造体の傾きを示す傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること
をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記構造体の傾きを示す傾き測定データを受け取ること、および
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の前記傾きをゼロからの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを前記傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること
を含む方法。
【請求項22】
前記構造体の前記傾きを制御することが、前記構造体の鉛直度が前記既定の許容差の範囲内にあることを保証するために、前記グリッパに対する運動補償制御ループまたは位置制御ループに入力を提供することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
傾き測定データが、絶対地球座標系における前記構造体の前記傾きを示す、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記構造体、前記グリッパ、前記船舶または前記構造体を支持する巻上げシステムに関する1つまたは複数の条件に基づいて調整すること、
システム。
【請求項25】
前記プロセッサがさらに、下記を実行するように構成された、
荷重データ、挿入データ、船舶データ、構成データおよび力データのうちの少なくとも1つを取得することであり、前記荷重データが、前記構造体を支持する前記巻上げシステムに加わっている荷重を示し、前記挿入データが、前記水底層中への前記構造体の挿入深さまたは前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示し、前記船舶データが、前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示し、前記構成データが、アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を示し、前記力データが、前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す、前記取得すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記荷重データ、前記挿入データ、前記船舶データ、前記構成データおよび前記力データのうちの前記少なくとも1つに基づいて調整すること、
請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
船舶に装着可能なまたは装着されたグリッパであり、パイル、特に、前記グリッパによって把持されている間に水底層に配置するパイルなどの細長い構造体を前記グリッパを介して前記船舶に接続するための前記グリッパと、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサから力データを受け取ること、
前記力データに基づいて、前記船舶の制御システムおよび/または前記船舶と前記グリッパとの間のアクチュエータを、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御するように制御すること、特に、前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを互いに関して制御すること、
前記グリッパが前記船舶に装着されており、前記細長い構造体を前記船舶に接続しているときに、前記船舶と前記構造体との間の結合を決定し、前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記力データに少なくとも部分的に基づいて動的に調整すること、
システム。
【請求項27】
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサ、
前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された構造体データセンサ、
前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された船舶データセンサ、
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサ
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項24から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記構造体の傾きを示す傾き測定データを受け取ること、および
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の前記傾きをゼロからの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを前記傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること、
システム。
【請求項29】
前記構造体の前記傾きを制御することが、前記構造体の鉛直度が前記既定の許容差の範囲内にあることを保証するために、前記グリッパに対する運動補償制御ループまたは位置制御ループに入力を提供することを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
請求項24から29のいずれか一項に記載のシステムを備える船舶。
【請求項31】
請求項1から23のいずれか一項に記載の方法ステップを請求項25から32のいずれか一項に記載のシステムに実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項32】
請求項31に記載のコンピュータプログラム製品をその上に記憶したコンピュータ可読媒体。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記構造体、前記グリッパ、前記船舶または前記構造体を支持する巻上げシステムに関する1つまたは複数の条件に基づいて調整すること
を含む方法。
【請求項2】
荷重データ、挿入データ、船舶データ、構成データおよび力データのうちの少なくとも1つを取得することであり、前記荷重データが、前記構造体を支持する前記巻上げシステムに加わっている荷重を示し、前記挿入データが、前記水底層中への前記構造体の挿入深さまたは前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示し、前記船舶データが、前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示し、前記構成データが、アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を示し、前記力データが、前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す、前記取得すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記荷重データ、前記挿入データ、前記船舶データ、前記構成データおよび前記力データのうちの前記少なくとも1つに基づいて調整すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記水底層中に前記パイルを配置する動作段階に基づいて調整することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を調整することが、
前記結合の前記剛性を、第1の剛性設定から第2の異なる剛性設定に調整すること、および/または
前記結合の前記減衰を、第1の減衰設定から第2の異なる減衰設定に調整すること
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す力データを受け取ること、ならびに
前記構造体および/または前記船舶の位置および/または向きを制御すること、特に、前記構造体および前記船舶の位置および/または向きを互いに関して制御すること
を含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記力データに基づいて制御することを含み、
前記方法がさらに、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記力データに少なくとも部分的に基づいて動的に調整すること
を含む方法。
【請求項6】
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、少なくとも2つの入れ子フィードバックループによる制御を含み、前記少なくとも2つの入れ子フィードバックループが、前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を前記力データに基づいて動的に調整するための第1のフィードバックループとしての内側フィードバックループと、運動補償用の第2のフィードバックループとしての外側フィードバックループとを含み、前記第2のフィードバックループが、前記結合の必要な剛性および/または減衰を決定し、前記結合の前記必要な剛性および/または減衰に基づいて前記第1のフィードバックループに設定点を提供するように構成された、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの入れ子フィードバックループがさらに、前記構造体の傾き制御用の第3のフィードバックループを含み、前記第3のフィードバックループが前記第1および第2のフィードバックループを取り囲む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記船舶と前記グリッパとの間のアクチュエータを前記力データに基づいて制御すること、特に、前記アクチュエータを、前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御するように制御することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記アクチュエータを制御することが、前記アクチュエータの駆動装置の力および/もしくはトルクを制御すること、ならびに/または前記アクチュエータの可動部品の相対位置および/または移動を制御することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記構造体データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記船舶データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
地球座標における前記構造体の位置、向きおよび移動ならびに/もしくは前記構造体を配置する前記水底層に対する前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示す構造体データを受け取ること、ならびに/または
前記船舶の位置および/もしくは移動、特に、地球座標における前記船舶の位置および/もしくは移動ならびに/または前記構造体を配置する前記水底層に対する前記船舶の位置および/もしくは移動を示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の位置および/または向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを、地球座標に関しておよび/または前記水底層に関して制御することをさらに含む、
請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサから荷重データを受け取ることをさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記荷重データに基づいて制御することをさらに含む、
請求項5から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アクチュエータの1つもしくは複数の可動部品の相対位置および/もしくは移動を示す構成データを受け取ること、ならびに/または
前記船舶の位置および/もしくは移動、特に、前記構造体を配置する前記水底層に対する前記船舶の位置および/もしくは移動を示す船舶データを受け取ること
をさらに含み、
前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御することが、特に下記の場合に、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを前記構成データおよび/または前記船舶データに基づいて制御することをさらに含む、
前記アクチュエータの可動部品の前記相対位置および/もしくは移動が所定の空間および/もしくは速度範囲外にあることを前記構成データが示している場合、ならびに/または
所定の空間および/もしくは速度範囲外に前記船舶が配置されていることおよび/もしくは移動していることを前記船舶データが示している場合、
請求項5から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記構造体を配置する前記水底層上もしくは前記水底層中の位置を決定し、前記構造体および前記船舶の前記位置および/もしくは前記向きを前記位置の周りで対称に制御すること、ならびに/または
前記グリッパを介して接続された前記構造体および前記船舶を含むアセンブリの質量中心および/もしくは慣性中心を決定し、前記構造体および前記船舶の前記位置および/もしくは前記向きを、前記質量中心および/もしくは前記慣性中心の周りで対称に制御すること
をさらに含む、請求項5から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記結合の前記剛性を、第1の剛性設定から第2の異なる剛性設定にもしくは前記第2の剛性設定から前記第1の剛性設定に調整すること、および/または
前記減衰を、第1の減衰設定から第2の異なる減衰設定にもしくは前記第2の減衰設定から前記第1の減衰設定に調整すること
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記結合の前記剛性を、前記第1の剛性設定と前記第2の剛性設定との間の1つもしくは複数の剛性設定に調整すること、および/または
前記結合の前記減衰を、前記第1の減衰設定と前記第2の減衰設定との間の1つもしくは複数の減衰設定に調整すること
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記力データに基づいて、ならびに/または、受け取っているときに、構造体データ、船舶データ、荷重データ、構成データおよび挿入データのうちの1つもしくは複数に基づいて調整することを含む、請求項5から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を示す荷重データと、
水底層中への前記構造体の挿入深さおよび/または前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示す挿入データ
のうちの少なくとも一方を受け取ること、ならびに
前記結合の前記剛性および/または前記結合の前記減衰を、前記荷重データと前記挿入データのうちの少なくとも一方に基づいて調整すること
をさらに含む、請求項5から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、それぞれの前記第1の設定とそれぞれの前記第2の設定との間のそれぞれの1つまたは複数の設定に、少なくとも前記荷重データおよび/または前記挿入データに基づいて調整すること
を含む、請求項17に従属するときの請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記船舶を水体に配置すること、
前記船舶の巻上げシステムから前記構造体を支持すること、
前記グリッパを介して前記構造体を前記船舶に接続すること、
前記水体の前記水底層上および/または前記水底層中に前記構造体を配置すること、
前記構造体を前記水底層中に打ち込むこと、ならびに
前記グリッパおよび/または前記船舶から前記構造体を分離すること
を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記構造体の傾きを0からの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを、前記構造体の傾きを示す傾き測定データに基づいて制御すること
をさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
水底層中に配置する細長い構造体であり、グリッパを介して船舶に接続された前記細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御する方法であって、前記方法が、
前記構造体の傾きを示す傾き測定データを受け取ること、および
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の前記傾きをゼロからの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを前記傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること
を含む方法。
【請求項24】
前記構造体の前記傾きを制御することが、前記構造体の鉛直度が前記既定の許容差の範囲内にあることを保証するために、前記グリッパに対する運動補償制御ループまたは位置制御ループに入力を提供することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
傾き測定データが、絶対地球座標系における前記構造体の前記傾きを示す、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記グリッパを介して接続されているときの前記船舶と前記構造体との間の結合を決定すること、
前記結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、および
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記構造体、前記グリッパ、前記船舶または前記構造体を支持する巻上げシステムに関する1つまたは複数の条件に基づいて調整すること、
システム。
【請求項27】
前記プロセッサがさらに、下記を実行するように構成された、
荷重データ、挿入データ、船舶データ、構成データおよび力データのうちの少なくとも1つを取得することであり、前記荷重データが、前記構造体を支持する前記巻上げシステムに加わっている荷重を示し、前記挿入データが、前記水底層中への前記構造体の挿入深さまたは前記水底層から突き出た前記構造体の長さを示し、前記船舶データが、前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを示し、前記構成データが、アクチュエータの1つまたは複数の可動部品の相対位置および/または移動を示し、前記力データが、前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を示す、前記取得すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記荷重データ、前記挿入データ、前記船舶データ、前記構成データおよび前記力データのうちの前記少なくとも1つに基づいて調整すること、
請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
船舶に装着可能なまたは装着されたグリッパであり、パイル、特に、前記グリッパによって把持されている間に水底層に配置するパイルなどの細長い構造体を前記グリッパを介して前記船舶に接続するための前記グリッパと、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータと
を備える、
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサから力データを受け取ること、
前記力データに基づいて、前記船舶の制御システムおよび/または前記船舶と前記グリッパとの間のアクチュエータを、前記構造体および/または前記船舶の前記位置および/または前記向きを制御するように制御すること、特に、前記構造体および前記船舶の前記位置および/または前記向きを互いに関して制御すること、
前記グリッパが前記船舶に装着されており、前記細長い構造体を前記船舶に接続しているときに、前記船舶と前記構造体との間の結合の剛性と減衰のうちの少なくとも一方を決定すること、ならびに
前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を、前記力データに少なくとも部分的に基づいて動的に調整すること、
システム。
【請求項29】
前記コントローラが、少なくとも2つの入れ子フィードバックループを含む制御システムを実施し、前記少なくとも2つの入れ子フィードバックループが、前記結合の前記剛性と前記減衰のうちの前記少なくとも一方を前記力データに基づいて動的に調整するための第1のフィードバックループとしての内側フィードバックループと、運動補償用の第2のフィードバックループとしての外側フィードバックループとを含み、前記第2のフィードバックループが、前記結合の必要な剛性および/または減衰を決定し、前記結合の前記必要な剛性および/または減衰に基づいて前記第1のフィードバックループに設定点を提供するように構成された、
請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも2つの入れ子フィードバックループがさらに、前記構造体の傾き制御用の第3のフィードバックループを含み、前記第3のフィードバックループが前記第1および第2のフィードバックループを取り囲む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記構造体と前記グリッパとの間の相互作用力を検出するように構成された力センサ、
前記構造体の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された構造体データセンサ、
前記船舶の位置、向きおよび移動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された船舶データセンサ、
前記構造体を支持する巻上げシステムに加わっている荷重を検出するように構成された荷重センサ
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項26から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
グリッパを介して船舶に接続された細長い構造体の位置と向きのうちの少なくとも一方を制御するためのシステムであって、前記システムが、
コンピュータ可読プログラムコードが実施されたコンピュータ可読記憶媒体と、前記コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサとを備えるコンピュータであり、前記コンピュータ可読プログラムコードの実行に応答して、前記プロセッサが、下記を含む実行可能動作を実行するように構成された、前記コンピュータ
を備える、
前記構造体の傾きを示す傾き測定データを受け取ること、および
前記構造体を前記水底層中に配置するバランシング段階の間、前記構造体の前記傾きをゼロからの既定の許容差の範囲内に保つように、前記傾きを前記傾き測定データに基づいて制御することであり、前記水底層中に能動的に打ち込まれる前の前記バランシング段階の間、前記構造体が、前記水底層によって完全に支持される、前記制御すること、
システム。
【請求項33】
前記構造体の前記傾きを制御することが、前記構造体の鉛直度が前記既定の許容差の範囲内にあることを保証するために、前記グリッパに対する運動補償制御ループまたは位置制御ループに入力を提供することを含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
請求項26から33のいずれか一項に記載のシステムを備える船舶。
【請求項35】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法ステップを請求項27から34のいずれか一項に記載のシステムに実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項36】
請求項35に記載のコンピュータプログラム製品をその上に記憶したコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】