(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ウィンドウ付き研磨パッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/20 20120101AFI20240814BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B24B37/20
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571588
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 KR2022012019
(87)【国際公開番号】W WO2024010132
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0083351
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517187924
【氏名又は名称】ケーピーエックス ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】ミン ビュンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソクジ
(72)【発明者】
【氏名】カン ハクス
(72)【発明者】
【氏名】ジュン デハン
(72)【発明者】
【氏名】パク ギヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヒュンイル
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB06
3C158DA12
3C158EB14
3C158EB28
3C158EB29
5F057AA24
5F057CA11
5F057DA03
5F057EB11
(57)【要約】
ウィンドウを研磨パッドに挿入及び取り付ける過程で、熱融着方式及び振動融着方式を適用しないため研磨パッドが変形せず、研磨スラリーがウィンドウと研磨パッドの間の隙間に漏液することもない、ウィンドウ付き研磨パッド及びその製造方法が開示される。前記ウィンドウ付き研磨パッドは、第1穿孔が厚さ方向に形成された研磨層、前記研磨層の第1穿孔に挿入固定されたウィンドウ、前記研磨層とウィンドウの下部に位置するが、前記ウィンドウの下部側には、光学ビームを照射するための第2穿孔が第1穿孔またはウィンドウより狭い幅で形成された下部支持層、前記研磨層と下部支持層が接合するように媒介し、前記下部支持層と同じ面積を有し、前記ウィンドウのエッジ部と一部重なるが接触しない接着層、及び前記ウィンドウと接着層の間に位置する接着シール剤を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1穿孔が厚み方向に形成された研磨層、
前記研磨層の前記第1穿孔に挿入固定されたウィンドウ、
前記研磨層と前記ウィンドウの下部に位置し、前記ウィンドウの下側には、光ビームを照射するための第2穿孔が前記第1穿孔または前記ウィンドウより狭い幅で形成された下部支持層、
前記研磨層と前記下部支持層が接合するように媒介し、前記下部支持層と同じ面積を持ち、前記ウィンドウのエッジ部と一部重なり合うが接触しない接着層、及び
前記ウィンドウと前記接着層の間に位置する接着シール剤を含むウィンドウ付き研磨パッド。
【請求項2】
前記接着シール剤は、前記第1穿孔の壁面と前記ウィンドウの間に形成された離間空間にも形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウ付き研磨パッド。
【請求項3】
前記接着シール剤は、前記第1穿孔の壁面及び前記ウィンドウの間に形成された前記離間空間から前記ウィンドウと前記接着層との間の空間まで連続的に続き、直角形状をなすことを特徴とする、請求項2に記載のウィンドウ付き研磨パッド。
【請求項4】
前記接着シール剤は、液状接着剤が硬化したものを含むことを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウ付き研磨パッド。
【請求項5】
前記液状接着剤は、酢酸ビニル系化合物、ポリクロロプレン系化合物、ポリウレタン系化合物、アクリレート系化合物及びエポキシ系化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする、請求項4に記載のウィンドウ付き研磨パッド。
【請求項6】
前記接着シール剤は、熱溶融せずに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウ付き研磨パッド。
【請求項7】
a) 研磨部材のいずれかの一端に厚さ方向に貫通する第1穿孔を形成させる段階、
b) 第1接着剤で前記研磨部材の下面に支持部材を取り付け、下部支持層、接着層及び研磨層が順次積層された構造を形成する段階、
c) 前記研磨層の前記第1穿孔に対応する領域の前記下部支持層および前記接着層部分を前記第1穿孔より狭い幅で穿孔させ、前記研磨層の前記第1穿孔と互いに貫通する第2穿孔を形成する段階、
d) 前記第1穿孔側の外部に露出した前記接着層の上面に第2接着剤を塗布した後、前記第1穿孔にウィンドウを挿入する段階、および
e) 前記第1穿孔に挿入された前記ウィンドウが前記第2接着剤で固定されるように圧着する段階を含むウィンドウ付き研磨パッドの製造方法。
【請求項8】
前記第2接着剤は、前記第1穿孔の壁面にも塗布されることを特徴とする、請求項7に記載のウィンドウ付き研磨パッドの製造方法。
【請求項9】
前記d)工程ないしe)工程では、前記第2接着剤を加熱・溶融しないことを特徴とする、請求項7に記載のウィンドウ付き研磨パッドの製造方法。
【請求項10】
前記第2接着剤は、酢酸ビニル系化合物、ポリクロロプレン系化合物、ポリウレタン系化合物、アクリレート系化合物及びエポキシ系化合物からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項7に記載のウィンドウ付き研磨パッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年07月06日付けの韓国特許出願第10-2022-0083351号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、半導体ウェーハを化学的、機械的に平坦化するために使用されるウィンドウ付き研磨パッド及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、ウィンドウを研磨パッドに挿入及び取り付ける過程で、熱融着方式及び振動融着方式を適用しないため、研磨パッドが変形せず、研磨スラリーがウィンドウと研磨パッドの間の隙間に漏液することもない、ウィンドウ付き研磨パッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学的、機械的平坦化/研磨(chemical mechanical planarization/polishing、以下CMPという)工程は、半導体素子のグローバル平坦化のために導入された工程で、特に半導体ウェーハの大口径化、高集積化、線幅の微細化及び配線構造の多層化傾向により、より重要な工程として浮上している。
【0004】
このようなCMPプロセスでは、研磨速度と平坦度が重要であり、これは研磨装置の工程条件及び消耗部材である研磨スラリーと研磨パッドによって決定される。このうち、研磨スラリーは、スラリー溶液内の化学成分を通じてウェーハ膜質を化学的に除去する機能を果たす。そして、研磨パッドは、ウェーハの表面と接触した状態で研磨スラリーをウェーハ上に均一に分散させると同時に、スラリー溶液に含まれる研磨粒子と研磨パッド表面に位置する突起を通してウェーハ膜質を物理的に除去する役割を果たす。
【0005】
そして、近年のCMP工程では、ウェーハの研磨終点を検出する目的で、ウィンドウ(window)まで挿入および取り付けた研磨パッドが使用されている。そして、レーザービームなどの光学ビームを研磨パッド内のウィンドウに透過させる方式により前記検出が行われ、研磨工程中のウェーハの厚さを分析することができる。
【0006】
図1は、ウィンドウが備えられた通常の研磨パッドの側断面の模式図である。ウィンドウが備えられた通常の研磨パッドは、
図1に示すように、穿孔が厚さ方向に形成された研磨層(10)、前記研磨層(10)の穿孔に挿入固定されたウィンドウ(20)、前記研磨層(10)とウィンドウ(20)の下部に位置するが、前記ウィンドウ(20)の下部側には、光学ビームを透過させるための開口部(22)がウィンドウ(20)より狭い幅で形成された下部支持層(30)及び前記研磨層(10)、ウィンドウ(20)それぞれと下部支持層(30)を接合させる接着層(40)を含む。
【0007】
このように、ウィンドウが備えられた通常の研磨パッドは、ウィンドウ(20)を研磨パッド内に取り付けるために、ウィンドウ(20)の下面一部と下部支持層(30)の間に介在された接着層(40)の一部を利用している。そして、前記接着層(40)は、ウィンドウ(20)の下面一部と下部支持層(30)の間にホットメルト接着剤(例えば、溶融点が90℃~130℃)を塗布した後、熱融着方式で形成させている。
【0008】
しかし、このようにウィンドウ(20)を研磨パッド内に取り付けるために熱融着方式を利用すると、研磨パッドの研磨層(10)に高温の熱エネルギーが伝達され、研磨パッドが収縮するか膨張するなどの寸法変形の問題が発生する。それだけでなく、別途の密封手段がないため、CMP工程中に研磨スラリーが「研磨層(10)及びウィンドウ(20)の間の隙間」と「ウィンドウ(20)及び接着層(40、または下部支持層(30)の間の隙間」に順次浸透して下部支持層(30)の下に漏液する問題も必然的に発生する。すなわち、CMP工程は、高温多湿な環境で物理的、化学的に外力が加わる過酷な工程であるため、CMP工程中にもウィンドウ(20)が収縮と膨張を繰り返し、接着層(40)が離れるか隙間が生じて研磨スラリーが漏液することがある。したがって、接着層(40)だけでは研磨スラリーの漏液防止には限界がある。
【0009】
したがって、研磨パッドの寸法変形問題と研磨スラリーが下部支持層の下に漏液する問題を防止しながら、ウィンドウを研磨パッド内に取り付けることができれば、半導体ウェーハを研磨する上で新たな原動力になると予測される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、ウィンドウを研磨パッドに挿入及び取り付ける過程で、熱融着方式及び振動融着方式を適用しないため研磨パッドが変形せず、研磨スラリーがウィンドウと研磨パッドの間の隙間に漏液することもない、ウィンドウ付き研磨パッド及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、第1穿孔が厚さ方向に形成された研磨層、前記研磨層の第1穿孔に挿入固定されたウィンドウ、前記研磨層とウィンドウの下部に位置するが、前記ウィンドウの下側には、光学ビームを照射するための第2穿孔が第1穿孔またはウィンドウより狭い幅で形成された下部支持層、前記研磨層と下部支持層が接合するように媒介し、前記下部支持層と同じ面積を有して前記ウィンドウのエッジ部と一部重なるが接触しない接着層、及び前記ウィンドウと接着層の間に位置する接着シール剤を含むウィンドウ付き研磨パッドを提供する。
【0012】
また、本発明は、a)研磨部材のいずれかの一端に厚さ方向に貫通する第1穿孔を形成させる段階、b)第1接着剤で前記研磨部材の下面に支持部材を取り付けて下部支持層、接着層及び研磨層が順次積層された構造体を形成する段階、c)前記研磨層の第1穿孔に対応する領域の下部支持層と接着層の部分を前記第1穿孔より狭い幅で穿孔し、前記研磨層の第1穿孔と互いに貫通する第2穿孔を形成する段階、d)前記第1穿孔側の外部に露出した接着層の上面に第2接着剤を塗布した後、前記第1穿孔にウィンドウを挿入する段階、及びe)前記第1穿孔に挿入されたウィンドウが第2接着剤で固定されるように圧着する段階を含む、ウィンドウ付き研磨パッドの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるウィンドウ付き研磨パッド及びその製造方法によれば、ウィンドウを研磨パッドに挿入及び取り付ける過程で、熱融着方式及び振動融着方式を適用しないため、研磨パッドが変形せず、研磨スラリーがウィンドウと研磨パッドの間の隙間に漏液することもないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、ウィンドウが設けられた通常の研磨パッドの側断面の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるウィンドウ付き研磨パッドの側断面の模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態によるウィンドウ付き研磨パッドが製造される様子を順次示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態によるウィンドウ付き研磨パッドの断面の模式図である。本発明によるウィンドウ付き研磨パッドは、
図2に示すように、第1穿孔(112)が厚さ方向に形成された研磨層(110)と、前記研磨層(110)の第1穿孔(112)に挿入固定されたウィンドウ(120)と、前記研磨層(110)とウィンドウ(120)の下部に位置するが、前記ウィンドウ(120)の下部側には、光学ビームを照射するための第2穿孔(122)が第1穿孔(112)またはウィンドウ(120)より狭い幅で形成された下部支持層(130)と、前記研磨層(110)と下部支持層(130)が接合するように媒介し、前記下部支持層(130)と同じ面積を有し、前記ウィンドウ(120)のエッジ部と一部重なるが接触しない接着層(140)と、前記ウィンドウ(120)と接着層(140)の間に位置する接着シール剤(150)とを含む。
【0016】
半導体ウェーハの大口径化、高集積化、線幅の微細化及び配線構造の多層化の傾向により、半導体素子のグローバル平坦化のために導入された化学的、機械的平坦化/研磨(以下、CMP)工程では、研磨速度と平坦化度が重要である。そして、これは研磨装置の工程条件及び消耗部材である研磨スラリーと研磨パッドによって決定されるが、特に研磨パッドは、ウェーハの表面と接触した状態で研磨スラリーをウェーハ上に均一に分散させると同時に、スラリー溶液に含まれる研磨粒子と研磨パッド表面に位置する突起を通してウェーハ膜質を物理的に除去する役割を果たす。最近では、このような研磨パッドにウィンドウ(window)を取り付けた後、光学ビームを透過させてウェーハの研磨終点を検出し、研磨工程中のウェーハの厚さを分析することができる。
【0017】
しかし、ウィンドウが備えられた通常の研磨パッドは、ウィンドウを取り付ける際に熱融着させるか、振動融着させるため、研磨パッドが収縮するか膨張するなどの寸法変形の問題が発生する。また、ウィンドウが備えられた通常の研磨パッドは、別途の密封手段を備えていないため、CMP工程中に研磨スラリーがウィンドウとこれに対面する研磨パッドの間隙に漏液する問題も発生する。そこで本出願人は、研磨パッドの寸法変形問題と研磨スラリーが漏液する問題が防止されるウィンドウ付き研磨パッドを発明したのである。
【0018】
まず、前記研磨層(110)は、微細孔(micropore)を有する発泡体であってもよい。そして、前記発泡体は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びエポキシ系樹脂からなる群から選択される1種以上を含むことができ、前記ポリウレタン系樹脂を含む発泡体、すなわちポリウレタン系発泡体で研磨層(110)を構成することが望ましい。前記研磨層(110)または発泡体が持つ気孔の平均直径は、5ないし100μmであってもよく、前記研磨層(110)または発泡体の空隙率は20ないし70体積%であってもよいが、これらに限定されない。
【0019】
前記研磨層(110)の表面は、研磨層の本来の目的(研磨スラリーの流動チャンネルとしての役割)を達成するために、凸面部と凹面部が交互にパターン形成された凹凸構造を持つことがあり、特定の位置に特定の形状のピッチ、幅、深さなどを持つグルーブが形成されたものであってもよい。また、前記研磨層(110)の厚さは、例えば1.5ないし2.5mmであってもよいが、研磨対象物(半導体ウェーハ)の厚さまたは工程条件などによって変わることがあるなど、その厚さには特に制限はない。
【0020】
このような研磨層(110)には、第1穿孔(または第1打孔領域、112)が厚さ方向に形成されている。前記第1穿孔(112)の形状には特に制限はなく、平面形状(上から見下ろした形状)を基準にして、円形、楕円形、四角形及び多角形を例示することができる。また、前記第1穿孔(112)の大きさ(面積または体積)にも特に制限はなく、光学ビームの透過が可能であれば、どのような大きさに形成されてもよい。また、前記第1穿孔(112)の位置にも特に制限はなく、光学ビームを通じてウェーハの厚さなどを測定できる位置であれば、研磨層(110)のどこであってもよい。
【0021】
次に、前記ウィンドウ(120)は、前記研磨層(110)の第1穿孔(112)に挿入固定されるものであり、挿入及び固定された状態での上面位置は、前記研磨層(110)の上面位置と同じであってもよく、前記研磨層(110)の上面位置よりも低くてもよい(すなわち、後者の場合、ウィンドウが挿入された部分がくぼんだ形になることがある)。一方、前記ウィンドウ(120)が研磨層(110)より突出する場合には、ウェーハの研磨に影響を与える可能性があるだけでなく、ウィンドウ(120)の上面にスクラッチまたはクラックが発生し、光学ビームの透過が容易でない可能性があるため、前記ウィンドウ(120)が研磨層(110)より突出するように構成することは望ましくない。
【0022】
前記ウィンドウ(120)は、当業界で研磨パッド用ウィンドウの素材として使用する通常のものを含んでもよい。ただし、本出願人が2022年1月20日付で出願した韓国特許出願第10-2022-0008594号(発明の名称:研磨パッド用ウィンドウの製造方法及びこの方法で製造された研磨パッド用ウィンドウ)に開示された研磨パッド用ウィンドウを適用することが、透過率及び研磨終点検出の信頼性の面で望ましいことはある。また、研磨スラリーがウィンドウ(120)の下部に漏液することを防止するために、気孔が形成されていない無発泡体をウィンドウ(120)の素材として適用することも望ましい場合がある。
【0023】
そして、前記ウィンドウ(120)は、先に説明した研磨層(110)の第1穿孔(112)に挿入されなければならないので、前記第1穿孔(112)の面積と同じか、それより微小な面積を持たなければならない。ただし、前記ウィンドウ(120)の面積が第1穿孔(112)の面積と同じ場合には、第1穿孔(112)への挿入が円滑に行われず、研磨層(110)またはウィンドウ(120)自体に損傷を与える恐れがあるため、前記ウィンドウ(120)の面積は、第1穿孔(112)の面積より微細に小さいことが望ましい場合がある。
【0024】
続いて、前記下部支持層(130)は、前記研磨層(110)の下部に位置してウィンドウ(120)の下部の一部にも包まれるように位置するものであり、前記研磨層(110)を支持すると共に、前記研磨層(110)に加わる衝撃を代わりに吸収して分散させる役割を果たす。前記下部支持層(130)は、例えば、ポリウレタン樹脂を含浸させた不織布系、ポリウレタン発泡系及びポリウレタン樹脂のスエード系からなる群から選択されるものを含んでもよいが、これに限定されない。また、前記下部支持層(130)の厚さは、例えば0.4ないし1.5mmであってもよいが、前記研磨層(110)の厚さまたは工程条件などによって異なる場合があるなど、その厚さには特に制限はない。
【0025】
このような下部支持層(130)には、光学ビームを照射するための第2穿孔(または第2穿孔領域、122)が厚さ方向に形成されている。したがって、前記光学ビームがウィンドウ(120)側に照射及び透過するように、前記第2穿孔(122)は、第1穿孔(112)またはウィンドウ(120)の領域下部にこれらより狭い幅で形成される。すなわち、前記第2穿孔(122)は、第1穿孔(112)の下に形成され、第1穿孔(112)の平面積より小さく形成され、前記第1穿孔(112)と第2穿孔(122)が互いに貫通するように接続される。一方、前記第2穿孔(122)の平面積が第1穿孔(112)の平面積より大きいかまたは同じであれば、前記第1穿孔(112)に挿入されたウィンドウ(120)が固定されず、下部方向に離脱する問題が発生するため、前記第2穿孔(122)の平面積は、必ず第1穿孔(112)の平面積より小さく形成されなければならない(すなわち、前記下部支持層がウィンドウの離脱を防止する留め具の役割も果たす)。また、前記第2穿孔(122)の形状には特に制限がなく、平面形状(上から見下ろした形状)を基準に円形、楕円形、四角形及び多角形を例示することができる。
【0026】
続いて、前記接着層(140)は、前記研磨層(110)と下部支持層(130)が接合するように媒介するものであり、前記下部支持層(130)の上面に全面的に対面して位置するため、前記下部支持層(130)と同じ面積を有する。したがって、前記接着層(140)も前記下部支持層(130)と同様に、前記ウィンドウ(120)のエッジ部と一部重なるが、接触してはいない。
【0027】
このような接着層(140)は、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される1種以上を含んでもよく、ポリウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂のいずれか1種以上を含むことが好ましい場合がある。
【0028】
最後に、前記接着シール剤(150)は、本発明の核心的な構成で、前記ウィンドウ(120)と接着層(140)の間に位置し、これらを接着する役割を果たすと同時に、研磨工程中にスラリーが浸透して研磨パッドの内部及び下部に漏液することを防止する役割を果たす。
【0029】
一方、先に説明したように、前記ウィンドウ(120)を研磨層(110)の第1穿孔(112)に損傷なく挿入するためには、前記ウィンドウ(120)の面積を第1穿孔(112)の面積より微細に小さくしなければならない。これにより、前記第1穿孔(112)の壁面とウィンドウ(120)との間には微細な間隔が発生することになる。したがって、スラリーの浸透及び漏液をより根本的に防止する目的として、前記接着シール剤(150)を前記第1穿孔(112)の壁面とウィンドウ(120)の間に形成されている間隔空間にも形成させることができる。この場合、前記接着シール剤(150)は、
図2に示すように、前記第1穿孔(112)の壁面とウィンドウ(120)の間に形成されている離間空間から前記ウィンドウ(120)と接着層(140)の間の空間まで連続的に続き、直角形状を形成することができる。
【0030】
このような接着シール剤(150)は、液状接着剤が硬化したものを含み、例えば、前記液状接着剤は、ビニルアセテート(Vinyl acetate)系化合物、ポリクロロプレン(Poly chloroprene)系化合物、ポリウレタン(Poly urethane)系化合物、シアノアクリレートなどのアクリレート(Acrylate)系化合物、及びエポキシ(Epoxy)系化合物からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。そして、前記接着シール剤(150)は、熱溶融せずに備えられたことを特徴とする。
【0031】
一方、本発明によるウィンドウ付き研磨パッドは、必要に応じて前記下部支持層(130)の下面に全面的に取り付けられるテープ層(160)をさらに含む。前記テープ層(160)は、研磨パッドをプラテン(platen)に接着固定させるためのもので、両面接着テープなど研磨パッド及びプラテンを相互に接着固定させることができるものであれば、特に制限なく使用することができる。
【0032】
次に、本発明によるウィンドウ付き研磨パッドの製造方法について説明する。
図3は、本発明の一実施形態によるウィンドウ付き研磨パッドが製造される様子を順次示す。
図3を参照すると、前記ウィンドウ付き研磨パッドの製造方法は、a)研磨部材(110)のいずれかの一端に厚さ方向に貫通する第1穿孔(112)を形成させる段階、b)第1接着剤(140)で前記研磨部材(110)の下面に支持部材(130)を取り付けて下部支持層(130)、接着層(140)及び研磨層(110)が順次積層された構造体を形成する段階、c)前記研磨層(110)の第1穿孔(112)に対応する領域の下部支持層(130)と接着層(140)部分を前記第1穿孔(112)より狭い幅で穿孔させ、前記研磨層(110)の第1穿孔(112)と互いに貫通する第2穿孔(122)を形成する段階、d)前記第1穿孔(112)側の外部に露出した接着層(140)の上面に第2接着剤(150)を塗布した後、前記第1穿孔(112)にウィンドウ(120)を挿入する段階、及びe)前記第1穿孔(112)に挿入されたウィンドウ(120)が第2接着剤(150)を介して固定されるように圧着する段階を含む。
【0033】
前記a)段階で研磨部材(110)に第1穿孔(112)を形成させる工程と、前記c)段階で下部支持層(130)と接着層(140)に第2穿孔(122)を形成させる工程とは、切削工具を利用したプレス方式により行うことができるが、これに限定されない。一方、前記研磨部材は、先に説明した研磨層(110)と同じものであり、層を形成する前であることを考慮して前記のような用語を使用したことを付け加えておく。
【0034】
前記b)の段階は、第1接着剤(140)で前記研磨部材(110)の下面に支持部材(130)を取り付ける段階である。このとき、まず、前記第1接着剤(140)を別途に加熱及び溶融(90℃~130℃)させた後、これを前記支持部材(130)の一面に塗布した状態で研磨部材(110)の下面と接着させるか、前記第1接着剤(140)を支持部材(130)の一面に塗布した状態で前記第1接着剤(140)を加熱及び溶融させた後、研磨部材(110)の下面と接着させることができる。一方、前記支持部材は、前記下部支持層(130)と同じもので、層を形成する前であることを考慮して前記のような用語を使用したことを付け加えておく。
【0035】
前記第2接着剤は、前述した接着シール剤(150)と同じものであり、したがって、前記第2接着剤(150)は液状接着剤である。前記d)段階では、第2接着剤(150)を前記第1穿孔(112)側の外部に露出した接着層(140)の上面のみに塗布しているが、スラリーの浸透及び漏液をより根本的に防止するために、前記第1穿孔(112)の壁面にも第2接着剤(150)を塗布することができる。そして、前記e)段階の圧着は、10℃ないし70℃、好ましくは10℃ないし40℃の温度条件下で行うことができる。このように、本発明は、ウィンドウ(120)を研磨パッドに取り付ける際に、熱融着方式を完全に排除しており(すなわち、前記d)段階ないしe)段階では、前記第2接着剤を加熱及び溶融しない)、これにより、従来の熱融着方式または振動融着方式でウィンドウを取り付ける方法に比べ、研磨パッド(具体的には、研磨層)の寸法変形問題を防止又は最小化することができる。
【0036】
一方、本発明によるウィンドウ付き研磨パッドの製造方法は、必要に応じて、支持部材(130)の下面(すなわち、第1接着剤が塗布されない面)にテープ(160)を取り付ける段階をさらに含む。これは、前記製造方法のうちどの段階で行ってもよいが、前記c)の段階(すなわち、第2穿孔を形成する段階)が行われる前にテープ(160)を取り付けることが利便性の観点から望ましい場合がある。
【0037】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明する。下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0038】
実施例1:ウィンドウ付き研磨パッドの製造
まず、ポリウレタン系発泡体からなる研磨部材(厚さ:2mm)の一端に厚さ方向に貫通する第1穿孔(平面形状:長方形、平面積:20mm×60mm)を形成させた後、第1接着剤(ポリウレタン系樹脂)で前記研磨部材の下面に支持部材(ポリウレタン樹脂を含浸させた不織布、厚さ:0.8mm)を取り付けて、下部支持層、接着層及び研磨層が順次積層された構造体を製造した(このとき、110℃の温度で第1接着剤を溶融させて研磨部材と支持部材を取り付けた)。
【0039】
続いて、前記研磨層の第1穿孔に対応する領域の下部支持層と接着層部分を前記第1穿孔より狭い幅で穿孔し、前記研磨層の第1穿孔と互いに貫通する第2穿孔(平面形状:長方形、平面積:13mm×50mm)を形成した。
【0040】
続いて、前記第1穿孔側の外部に露出した接着層の上面に第2接着剤(シアノアクリル系樹脂)を塗布した後、前記第1穿孔にウィンドウ(ポリウレタン素材の無発泡体)を挿入し、最後に前記第1穿孔に挿入されたウィンドウが第2接着剤で固定されるように30℃の温度条件下で圧着し、ウィンドウ付き研磨パッドを製造した。
【0041】
比較例1:ウィンドウ付き研磨パッドの製造
第2接着剤を使用せずにウィンドウを第1接着剤で取り付け、このとき110℃の温度で第1接着剤を溶融させてウィンドウを取り付けたことを除いては、前記実施例1と同様に行い、ウィンドウ付き研磨パッドを製造した。
【0042】
実験例1:研磨パッドの寸法変形度の評価
前記実施例1で製造された研磨パッドの研磨層寸法と前記比較例1で製造された研磨パッドの研磨層寸法をそれぞれ比較・対照し、ウィンドウを取り付ける前の寸法と比較して、それぞれどの程度変形したかを測定し、その結果を後記表1に示した。
【0043】
【0044】
測定の結果、前記表1に示すように、熱融着せずにウィンドウを取り付けた実施例1の研磨パッド(研磨層)は、ウィンドウを取り付ける前の寸法と同じであり、研磨パッドの寸法変形が全くないことが確認できた。一方、熱融着によりウィンドウを取り付けた比較例1の研磨パッド(研磨層)は、ウィンドウを取り付ける前の寸法より伸びており、熱融着による膨張が起きていることが確認できた。
【0045】
実験例2:研磨スラリーの漏れ有無の評価
前記実施例1及び比較例1で製造した研磨パッドの表面上に半導体ウェーハが接触するようにそれぞれ配置し、その上にCMPスラリーを注入した後、研磨パッドを回転させ、これと同時にスラリーが研磨パッドの下部に漏液するかを観察した。
【0046】
観察の結果、接着層とウィンドウの間に接着シール剤(第2接着剤)が位置した実施例1の研磨パッドを使用した場合、スラリーが研磨パッドの下部に漏液する現象は全く発生しなかった。一方、接着シール剤(第2接着剤)なしで接着層とウィンドウを取り付けた比較例1の研磨パッドを使用した場合には、スラリーが研磨パッドの下部に漏液することが確認できた。
【符号の説明】
【0047】
10、110:研磨層
112:第1穿孔
20、120:ウィンドウ
22、122:第2穿孔
30、130:下部支持層
40、140:接着層
150:接着シール剤
160:テープ層
【国際調査報告】