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特表2024-530387資産階層内のソリューション学習及び説明
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】資産階層内のソリューション学習及び説明
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240814BHJP
   G06N 3/045 20230101ALI20240814BHJP
   G06N 5/02 20230101ALI20240814BHJP
   G06F 16/90 20190101ALI20240814BHJP
   G06N 3/0985 20230101ALI20240814BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06N3/045
G06N5/02
G06F16/90 100
G06N3/0985
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577495
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021039863
(87)【国際公開番号】W WO2023277905
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520155228
【氏名又は名称】ヒタチ ヴァンタラ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザン, ヨンシャン
(72)【発明者】
【氏名】リン, ウェイ
【テーマコード(参考)】
5B175
5L010
【Fターム(参考)】
5B175EA01
5L010AA06
(57)【要約】
本明細書に記載されたシステム及び方法は、複数の資産から資産階層を生成することであって、資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの複数の資産間の関係を示す、生成することと、資産階層内の複数の資産間の関係に基づいて複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行することであって、資産階層の下位レベル内の1以上のモデルソリューションの出力を上位レベル内の複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行することと、資産階層、複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、及び1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識をストレージに記憶することとを対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の資産から資産階層を生成することであって、前記資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの前記複数の資産間の関係を示す、生成することと、
前記資産階層内の前記複数の資産間の前記関係に基づいて前記複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行することであって、前記資産階層の前記階層の下位レベル内の前記1以上のモデルソリューションの出力は、上位レベル内の前記複数の資産のそれぞれに関する前記1以上のモデルソリューションを学習するための前記ソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行することと、
前記資産階層、前記複数の資産の前記それぞれに関する前記1以上のモデルソリューション、及び前記1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識をストレージに記憶することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記最上位レベルから前記最下位レベルまでの前記複数の資産の前記それぞれに関する前記モデルソリューションの前記出力のそれぞれについて前記ソリューション説明を生成することを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、
前記資産階層、前記複数の資産の前記それぞれに関する前記1以上のモデルソリューション、及び前記1以上のモデルソリューションに関する前記ソリューション説明のための前記知識をストレージに前記記憶することは、
第1の知識グラフを生成することであって、前記第1の知識グラフは複数の第1のノード及び複数の第1のエッジを含み、前記複数の第1のノードのそれぞれは前記複数の資産からの資産を表し、前記複数の資産からの前記資産に関する前記1以上のモデルソリューションに関連付けられ、前記複数の第1のエッジのそれぞれは前記複数の資産間の前記関係を表す、第1の知識グラフを生成することと、
第2の知識グラフを生成することであって、前記第2の知識グラフは複数の第2のノード及び複数の第2のエッジを含み、前記複数の第2のノードのそれぞれは前記複数の資産の前記それぞれに関する前記モデルソリューションの前記ソリューション説明のための前記知識を含み、前記複数の第2のエッジのそれぞれは前記1以上のモデルソリューションに関する前記ソリューション説明のための前記知識間の関係を表す、第2の知識グラフを生成することと、
前記第1の知識グラフ及び前記第2の知識グラフを前記ソリューション表現として記憶することと、
を含む、方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記最上位レベルから前記最下位レベルまでの前記複数の資産の前記それぞれに関する前記1以上のモデルソリューションの前記出力について前記ソリューション説明を生成することは、
前記複数の資産の前記それぞれの上位レベルから下位レベルまでのトレースダウンプロセスの実行、前記複数の関係のレベルを横断するものに係る説明スキームの実行、及び前記複数の資産の前記それぞれの前記1以上のモデルソリューションの出力から導出される根本原因を標的として使用することによる学習スキームの実行のうちの1以上に基づいて前記1以上のモデルソリューションの出力ごとに前記根本原因を決定することと、
前記1以上のモデルソリューションに関する前記ソリューション説明のための前記知識として前記根本原因を組み込むことと、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、
前記ソリューション学習プロセスは、
前記複数の資産の前記それぞれに関する前記1以上のモデルソリューションを最初に前記最下位レベルから学習すること
を含み、
前記資産階層の下位レベルの前記1以上のモデルソリューションの前記出力は、上位レベル内の前記1以上のモデルソリューションを学習するための入力として、前記最下位レベルから前記最上位レベルまで反復的に利用される、
方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、
前記ソリューション学習プロセスは、
前記1以上のモデルソリューションに関するモデル性能メトリク及び前記複数の資産の前記それぞれに対する前記入力それぞれの重みを計算することと、
前記モデル性能メトリクが成功基準を満たす場合、前記複数の資産の前記それぞれの次の資産へと前記ソリューション学習プロセスを続けることと、
前記モデル性能メトリクが前記成功基準を満たさない場合、
前記複数の資産の前記それぞれから、前記資産階層内の前記下位レベルにある前記複数の資産のうちの資産を各レベルにおける重みの降順にトラバースすることと、
前記トラバースされた複数の資産のうちの前記資産のそれぞれについて、より広範な1組のモデルアルゴリズム及びパラメータセットを実行して複数のモデルソリューションを生成し、前記モデルソリューションを選択するために前記複数のモデルソリューションにハイパーパラメータの最適化を適用することと、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、
前記ソリューション学習プロセスは、
前記資産階層を表現するための深層ニューラルネットワークを生成することを含み、前記深層ニューラルネットワークは、
前記複数の資産に関連するセンサを表す入力層と、
前記資産階層内の前記最上位レベルにある前記複数の資産のうちの資産を表す出力層と、
前記資産階層内の他のレベルにある資産を表す1以上の隠れ層と、 を含み、
前記ニューラルネットワークの層間の接続は、前記資産階層内の物理的関係又は論理的関係の1以上を表す、
方法。
【請求項8】
請求項5の方法において、
前記ソリューション学習プロセスは、
前記下位レベルにおける前記1以上のモデルソリューションからのモデル性能メトリクを、前記上位レベルにおける前記1以上のモデルソリューションを学習するための前記入力として使用すること
を更に含み、
前記複数の資産のそれぞれは1以上のタスクに関する前記1以上のモデルソリューションに関連付けられ、
前記複数の資産のそれぞれは前記1以上のタスクのそれぞれに関する前記1以上のモデルソリューションの1以上のバージョンに関連付けられ、
前記1以上のモデルソリューションは機械学習モデルアルゴリズム又は物理学ベースのモデルの1以上に基づき、
前記1以上のモデルソリューションは前記資産階層内のセンサ又は資産の1以上の間の耐障害性関係を識別し利用するように構成され、前記センサ又は資産の1以上のうちのいくつかはシステム内の同様の機能又は役割を有するように構成され、
前記1以上のモデルソリューションは資産間のレベルを横断した関係を捕捉し利用するように構成され、資産に関する前記1以上のモデルソリューションのための前記入力は、異なる下位レベルにある前記資産又は前記センサの1以上からのものであり、
前記資産階層は、前記1以上のモデルソリューション内の特徴量重要度に基づいて接続を除去することによって洗練される、
方法。
【請求項9】
請求項6の方法において、
前記ソリューション学習プロセスは、
前記下位レベルにおける前記1以上のモデルソリューションからの前記モデル性能メトリクを前記上位レベルにおける前記1以上のモデルソリューションを学習するための前記入力として使用すること
を更に含み、
前記複数の資産のそれぞれは、1以上のタスクに関する前記1以上のモデルソリューションに関連付けられ、
前記複数の資産のそれぞれは、前記1以上のタスクのそれぞれに関する前記1以上のモデルソリューションの1以上のバージョンに関連付けられ、
前記1以上のモデルソリューションは、機械学習モデルアルゴリズム又は物理学ベースのモデルの1以上に基づき、
前記1以上のモデルソリューションは、前記資産階層内のセンサ又は資産の1以上の間の耐障害性関係を識別し利用するように構成され、前記センサ又は資産の1以上のうちのいくつかはシステム内の同様の機能又は役割を有するように構成され、
前記1以上のモデルソリューションは、資産間のレベルを横断した関係を捕捉し利用するように構成され、資産に関する前記1以上のモデルソリューションのための前記入力が異なる下位レベルにある前記資産又は前記センサの1以上からのものであり、
前記資産階層は、前記1以上のモデルソリューション内の特徴量重要度に基づいて接続を除去することによって洗練される、
方法。
【請求項10】
請求項6の方法において、
前記ソリューション学習プロセスは、
トラバーサルアルゴリズムを使用して、前記重みの前記降順をたどることによって現在の資産の下の前記複数の資産のうちの資産をトラバースすることと、
前記複数の資産のうちの資産がトラバースされることを制限するために接続に対して前記重みを使用することと、
を更に含む、方法。
【請求項11】
請求項7の方法において、
前記ソリューション学習プロセスは、
前記資産階層内の前記複数の資産からの資産に関する各出力と共に複数の出力を生成するための前記深層ニューラルネットワークを構築すること
を更に含み、
前記複数の資産のそれぞれは1以上のタスクに関する前記1以上のモデルソリューションに関連付けられ、
前記1以上のモデルソリューションは、前記複数の資産間のレベルを横断した関係を捕捉し利用するように構成され、前記リンクは前記深層ニューラルネットワーク内の非隣接層内の資産の対を接続する、
方法。
【請求項12】
請求項1の方法において、
深層学習スキームによって前記資産階層を生成することを更に含み、
前記資産階層を前記生成することは、
各レベルにおいて前記複数の資産のうちの資産を識別することと、
複数のノードを含む全結合ニューラルネットワークを生成することであって、前記各レベルにおける前記複数のノードのうちのノードは複数の接続上で上位レベルにある前記複数のレベルのうちの他のレベルに接続される、生成することと、
前記全結合ニューラルネットワークを訓練し、前記複数の接続のそれぞれについて重みを得ることと、
既定の閾値未満の重みを有する前記複数の接続のうちの接続を除去することによって前記全結合ニューラルネットワーク内の前記複数の接続をプルーニングすることと、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1の方法において、
前記資産階層は、前記複数の資産の物理的階層又は論理的階層の1以上を表す、方法。
【請求項14】
プロセスを実行するための命令を記憶するコンピュータプログラムであって、前記命令は、
複数の資産から資産階層を生成することであって、前記資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの前記複数の資産間の関係を示す、生成することと、
前記資産階層内の前記複数の資産間の前記関係に基づいて前記複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行することであって、前記資産階層の下位レベル内の前記1以上のモデルソリューションの出力を上位レベル内の前記複数の資産のそれぞれに関する前記1以上のモデルソリューションを学習するための前記ソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行することと、
前記資産階層、前記複数の資産の前記それぞれに関する前記1以上のモデルソリューション、及び前記1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識をストレージに記憶することと、
を含む、コンピュータプログラム。
【請求項15】
装置であって、
複数の資産から資産階層を生成することであって、前記資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの前記複数の資産間の関係を示す、生成することと、
前記資産階層内の前記複数の資産間の前記関係に基づいて前記複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行することであって、前記資産階層の下位レベル内の前記1以上のモデルソリューションの出力を、上位レベル内の前記複数の資産のそれぞれに関する前記1以上のモデルソリューションを学習するための前記ソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行することと、前記資産階層、前記複数の資産の前記それぞれに関する前記1以上のモデルソリューション、及び前記1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識をストレージに記憶することと
を行うように構成されたプロセッサ
を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してモノのインターネット(IoT)及び運用技術(OT)分野を対象とし、より詳細には資産階層内のソリューション学習及び説明を促進することを対象とする。
【背景技術】
【0002】
資産階層は、1又は複数の位置で企業により所有される全ての機械、機器、及び個別のコンポーネントを組織化する論理的及び/又は物理的な方法である。トップダウン構造は「親-子」関係を使用して資産間の関係を保守専門家が理解することを可能にする。
【0003】
図1は資産階層の一例を示す。図1の資産階層の例は、業界→業態→プラント/ユニット→セクション/システム→機器ユニット→コンポーネント→部品である。ここでは「業界」が最上位レベルの資産であり、「業態」は「業界」の下位資産であり、その後も同様に続く。図1に示されるように、資産階層は資産を論理的な方法及び/又は物理的な方法で組織化することができ、所望の実装形態に応じて、資産の他の下位コンポーネント(例えば部品上に搭載されたセンサ)を含み得る。
【0004】
関心のある資産が資産階層へと組織化されると、その資産階層は、資産間の様々な程度の物理的及び論理的関係の理解、資産管理及びより賢明な資産ライフサイクルの決定、(例えば時間、費用、及び所有費用に関して)より効率的な資産の保守及び修理のスケジューリング、並びに根本原因のより素早い識別を促進することができる。
【0005】
1組の資産が与えられると、それらの資産の関係は資産階層を構築するために識別され、使用される必要がある。資産階層の関係の種類及び一般性に応じて様々な資産階層が構築され得る。
【0006】
資産間には2種類の関係がある。第1の種類の関係は物理的関係とすることができ、資産がお互いにどのように付加又は接続されるのかを示す。物理的関係は通常「構成的」であり、一の資産が他の資産の子である親子関係とも呼ばれる。図1では、下部の3つのレベル(「機器ユニット」→「コンポーネント」→「部品」)が資産間の物理的関係を表す。
【0007】
第2の種類の関係は、論理的又は機能的関係であり得、これはどの資産群が論理的又は機能的ユニットとして働くのかを意味し、かかる論理的/機能的ユニットは論理的/機能的資産として定義され得る。論理的又は機能的ユニット自体も様々なレベルにあることができ、機能ユニットのより小さい組は通常は下位レベルに位置するのに対し、機能ユニットのより大きい組は上位レベルに位置することに留意されたい。図1では、上位5つのレベル(「業界」→「業態」→「プラント/ユニット」→「セクション/システム」→「機器ユニット」)は資産間の論理的関係を表す。
【0008】
1組の資産が与えられると、タスクの殆どに応えるように資産階層が構築され得る。例えば、タスクは、障害検出、障害予測、残存耐用年数、オペレータの技能評価等を含み得る。かかる資産階層は汎用的であり、資産間の物理的関係又は資産間の論理的/機能的関係に基づき得る。
【0009】
時として、1つのタスクだけを解決するビジネスニーズがあり、関連性のある資産及び資産の関係だけを資産階層内に保つ必要がある。例えばオペレータの技能評価のタスクでは、運用可能な資産だけが資産階層内で考慮される必要がある。かかる資産階層はタスク指向であり、その費用関数について資産間の物理的関係及び/又は資産間の論理的/機能的関係にしかるべく基づき得る。
【0010】
或る資産及びその資産の問題が与えられると、物理学ベースのモデリング及び/又は機械学習技法は問題を解決するために適用され得る。例えば、炭鉱プラント内に「シックナテール」資産があり、異常検出及び予測技法は、障害検出及び予測問題を解決するために適用され得る。従来、ソリューションは資産ごと問題ごとに構築され、資産及び問題間の関係は考慮されず利用されない。それに加え、対応する最適化は局所的に拘束され(例えば時間、費用、又は所有に関して効率を最適化し)、ソリューションを横断して活用することができない。
【0011】
ソリューションに関する別の関連タスクはモデル及び結果を説明し、資産の問題を予防し又は修復するための規範的アクションを生成することである。このことは、これだけに限定されないが、根本原因の解析、修復の推薦、アラートの抑制等を含む。従来、ソリューションの説明に関する作業は限られており、その説明は資産ごと問題ごとに行われる。
【0012】
従来のシステム及び方法の幾つかの限定及び制限を以下で論じる。実装例はこれらの問題を解決するための技法を紹介する。
【0013】
第1に、関連技術における問題のソリューションの学習は個々の資産のレベルで通常行われる(即ちコンポーネントベースの学習)。関心のある資産の問題が認識され、物理学ベースのソリューション及び/又は機械学習ソリューションが資産のために別々に構築される。システム内の資産は全体として機能し、或る資産の機能状態及び/又は性能は他の資産(例えばすぐ上流の資産及び下流の資産等)に影響を及ぼし得るので、資産間の関係の包含がないソリューションは上手く機能しない。この問題に対処するために、本明細書に記載の実装例は資産間の関係を識別し、より正確で効果的なソリューションを構築するための学習プロセスの一部としてかかる関係を利用する。
【0014】
第2に、関連技術における問題のソリューション及びソリューションの結果の説明は、個々の資産のレベルで通常行われる(即ちコンポーネントベースの説明)。これはソリューションが資産ごとに別々に構築される第1の問題に関係する。システム内の資産は全体として機能し、或る資産の機能状態及び/又は性能は他の資産(とりわけすぐ上流の資産及び下流の資産)に影響を及ぼし得るので、問題を呈する資産だけに注目することによってソリューション及び結果を説明することは、問題の根本原因を見逃す可能性があり、上手く機能しない場合がある。この問題に対処するために、本明細書に記載の実装例は、資産間の関係を識別し、ソリューション及び結果を正しく説明するために説明プロセスの一部としてかかる関係を利用する。
【0015】
第3に、関連技術では、資産階層、ソリューション、及びソリューションを説明するためのエキスパートデータストア内の情報の表現及び記憶はリレーショナルデータベースによって行われ、リレーショナルデータベースを使用することは関係情報を表現すること、及び結果の効率的なクエリを促進することについて非効率である。この問題に対処するために、本明細書に記載の実装例は資産、ソリューション、及びエキスパートデータストア間の関係を識別し、関係をよりよく捕捉することができる表現を利用し、より容易なアクセス及びより効率的なクエリのためにその表現を記憶する。
【0016】
関連技術の上記の問題に対処するために幾つかの技法を紹介する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
実装例における1つの技法は、幾つかの学習スキームを含む資産階層内のソリューションの学習を含み、資産間の階層関係を利用することにより、資産階層内の資産のためのソリューションを学習し構築するために教師あり学習及び教師なし学習の両方に利用される。
【0018】
実装例における別の技法は、資産階層内のソリューション説明を含み、かかるソリューション説明はソリューション及び個々の結果レベルの両方で結果を説明するのを助ける根本原因帰属モデルを含む。
【0019】
実装例における別の技法は、資産階層内のソリューションの表現及び記憶を含み、かかる表現及び記憶は、資産階層、ソリューション、及びソリューションを説明するためのエキスパートデータストア内の情報を表現及び記憶するための手法を含む。
【0020】
本開示の態様は方法を含むことができ、この方法は、複数の資産から資産階層を生成することであって、資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの複数の資産間の関係を示す、生成すること、資産階層内の複数の資産間の関係に基づいて複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためにソリューション学習プロセスを実行することであって、階層の下位レベル内の1以上のモデルソリューションの出力を資産階層の上位レベル内の複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行すること、及び複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、1以上のモデルソリューションに関する生成済みのソリューション説明からの知識、及び資産階層をソリューションの表現としてストレージに記憶することを含み得る。
【0021】
本開示の態様は、コンピュータプログラムを含むことができ、コンピュータプログラムは、複数の資産から資産階層を生成することであって、資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの複数の資産間の関係を示す、生成すること、資産階層内の複数の資産間の関係に基づいて複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行することであって、階層の下位レベル内の1以上のモデルソリューションの出力が、資産階層の上位レベル内の複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行すること、及び複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、1以上のモデルソリューションに関する生成済みのソリューション説明からの知識、及び資産階層をソリューションの表現としてストレージに記憶することを含む命令を含み得る。コンピュータプログラム及び命令は非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され、1以上のプロセッサによって実行されてもよい。
【0022】
本開示の態様は、システムを含むことができ、システムは、複数の資産から資産階層を生成するための手段であって、資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの複数の資産間の関係を示す、生成するための手段、資産階層内の複数の資産間の関係に基づいて複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行するための手段であって、階層の下位レベル内の1以上のモデルソリューションの出力が資産階層の上位レベル内の複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行するための手段、及び複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、1以上のモデルソリューションに関する生成済みのソリューション説明からの知識、及び資産階層をソリューションの表現としてストレージに記憶するための手段を含み得る。
【0023】
本開示の態様は、装置を含むことができ、装置は、複数の資産から資産階層を生成することであって、資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの複数の資産間の関係を示す、生成すること、資産階層内の複数の資産間の関係に基づいて複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行することであって、階層の下位レベル内の1以上のモデルソリューションの出力が資産階層の上位レベル内の複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行すること、及び複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、1以上のモデルソリューションに関する生成済みのソリューション説明からの知識、及び資産階層をソリューションの表現としてストレージに記憶することを行うように構成されるプロセッサを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、資産階層の一例を示す。
【0025】
図2図2は、一実装例に係る、資産階層内の資産に関するソリューション学習、ソリューション説明、及びソリューション表現及び記憶のためのソリューションアーキテクチャを示す。
【0026】
図3図3は、一実装例に係る、ソリューションが構築され、実行され、説明されるシステムアーキテクチャを示す。
【0027】
図4図4は、一実装例に係る、資産階層内でボトムアップ学習スキームがどのように機能するのかについての一例を示す。
【0028】
図5図5は、一実装例に係る、ボトムアップ学習スキーム内の学習アルゴリズムのためのフローチャートを示す。
【0029】
図6図6は、一実装例に係る、資産階層内で反応型学習スキームがどのように機能するのかについての一例を示す。
【0030】
図7図7は、一実装例に係る、反応型学習スキーム内の学習アルゴリズムのためのフローチャートを示す。
【0031】
図8図8は、一実装例に係る、深層学習スキームが資産階層内でどのように機能するのかについての一例を示す。
【0032】
図9図9は、一実装例に係る、が資産階層内でソリューション説明スキームどのように機能するのかについての一例を示す。
【0033】
図10図10は、一実装例に係る、知識グラフのデータタイプの一例を示す。
【0034】
図11図11は、一実装例に係る、知識グラフを構築するためのプロセスの一例を示す。
【0035】
図12図12は、一実装例に係る、知識グラフの各ノード内に記憶される情報の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の詳細な説明は、本願の図面及び実装例の詳細を示す。図面間の冗長な要素の参照番号及び説明は明瞭にするために省略される。説明の全体を通して使用する用語は例として提供され、限定的であることは意図されていない。例えば「自動」という用語の使用は、本願の実装形態を実践する当業者の所望の実装形態に応じて、完全に自動の実装形態又は実装形態の一定の側面に対するユーザ若しくは管理者の制御を含む半自動の実装形態を含んでもよい。選択は、ユーザインタフェース又は他の入力手段を介してユーザによって行われ得、又は所望のアルゴリズムによって実装され得る。本明細書に記載された実装例は単独で又は組み合わせで利用され得、実装例の機能は所望の実装形態に応じて任意の手段によって実装され得る。
【0037】
図2は、一実装例に係る、資産階層内の資産に関するソリューション学習、ソリューション説明、並びにソリューション表現及び記憶のためのソリューションアーキテクチャを示す。このソリューションアーキテクチャは以下の要素を含み得る。ソリューションを構築するために、センサデータ200は収集され、前処理される。資産階層201は資産間の関係を含み、捕捉され、表現され、記憶される。資産階層は、資産間の物理的関係及び/又は論理的関係を捕捉することができる。ソリューション学習202は、センサデータ及び資産階層に基づいてモデルソリューション(又は略して「ソリューション」)を構築するために幾つかの学習スキームを導入する。モデルソリューションは、ソリューション説明203のためのソリューションとして使用される学習済みモデルであり、資産階層を利用することによってそこからソリューション及びソリューション出力を説明することができるモデルを含む。ソリューション及びソリューション出力を説明することは、ソリューション学習202内の学習済みモデルからの予測結果に対する重要な要素を識別することを含んでもよい。例えば、予測される障害に対する根本原因又は重要な要素の識別は、ソリューション説明203内の機能の一部であり得る。ソリューション表現及び記憶204は、資産階層の表現、ソリューション学習202からのソリューション、及び推薦アクションに対する根本原因間のマッピング等のソリューション説明203からの知識を管理し、効率的にクエリするための方法によって記憶される。従って、ソリューション表現及び記憶204のストレージは、資産階層201、ソリューション学習202からの複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、及びソリューション説明203からの1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識を記憶する。
【0038】
図3は、一実装例に係る、ソリューションが構築され、実行され、説明されるシステムアーキテクチャを示す。このシステムは以下の要素を含み得る。資産300は、資産階層内の物理的資産を含み得る。センサ301は、資産上に搭載されるセンサを含み得る。実装例では、各センサが対応する資産に付加されている。
【0039】
ストレージ302は、資産階層320、センサデータ321、並びにソリューション及びソリューション結果322を記憶する記憶デバイス又はストレージシステムを含み得る。
【0040】
計算ユニット303は、ソリューションが構築され、実行され、説明される、中央処理装置(CPU)330及びメモリ331を含む計算装置とすることができる。計算ユニット303は、記憶デバイスからデータを取得し、ソリューションを構築、実行、及び説明し、ソリューション及び結果を記憶デバイス内に記憶する。データ量、ソリューションの数及び複雑さに応じて、計算ユニットは、様々な数のCPU330及び/又はグラフィックス処理ユニット(GPU)、様々なメモリ容量、様々な数及び種類の計算機械等を含んでもよい。ここでは並列計算装置及びエッジ計算装置も組み込まれてもよい。所望の実装形態に応じて、計算ユニット303の機能を促進する任意のハードウェア構成は利用され得る。CPU330は、ハードウェアプロセッサ又はハードウェアプロセッサ及びソフトウェアプロセッサの組み合わせ等、1以上のプロセッサを含み得る。
【0041】
入力304は、所望の実装形態に応じて、マウス、キーボード等のデータサイエンティスト、エンジニア、オペレータ等が計算ユニット303と対話するために使用する装置を含み得る。
【0042】
ユーザインタフェース305は、データ及び結果を表示することができるソフトウェアである。出力306は、モニタ、プリンタ等のユーザインタフェースを表示可能な装置を含む。
【0043】
ソリューションアーキテクチャ内の各要素は以下に詳細に論じられる。
【0044】
資産階層320は、階層ツリー構造内の資産間の関係を捕捉する。本明細書に記載の通り、資産階層320は、資産間の物理的関係及び/又は資産間の論理的若しくは機能的関係に基づいて構築され得る。資産階層320は、所望の実装形態に応じて、複数のタスクについて汎用的とされ得、又は1つだけのタスクに特有のものとされ得る。
【0045】
資産階層320は、階層ツリー構造を用いて視覚化され得る。資産階層320内の情報を使用してソリューションを構築するために、実装例は容易に及び効率的にクエリ可能なやり方で資産階層320を表現し記憶する。本明細書に記載の実装例では、知識グラフが資産階層320を表現し記憶するために使用され、これについては本明細書でより詳細に論じられる。
【0046】
センサデータ321は、関心のある資産上に搭載され、資産の健康状態及び性能をモニタするためのデータを収集するために使用されるIoT(モノのインターネット)センサからのデータを含み得る。様々な業界、資産、及びタスクの中の様々な種類のデータを収集するために様々な種類のセンサが設計される。この脈絡では、センサを区別する必要はなく、殆どのセンサが本明細書で紹介するソリューションに関連すると考えることができる。
【0047】
本明細書で記載するように、第1の側面では、図2の流れによって示されるように、CPU330は、複数の資産から資産階層を生成することであって、資産階層は最下位レベルから最上位レベルまでの複数の資産間の関係を示す、生成することと、資産階層内の複数の資産間の関係に基づいて複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスを実行することであって、資産階層の下位レベル内の1以上のモデルソリューションの出力は資産階層の上位レベル内の複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを学習するためのソリューション学習プロセスのための入力として利用される、実行することと、ストレージに、資産階層、複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、及び1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識を記憶することと、を行うように構成されてもよい。
【0048】
第2の側面では、図2の流れに関して示すように、CPU330は、第1の側面を含むことができ、最上位レベルから最下位レベルまでの複数の資産のそれぞれに関するモデルソリューションの出力のそれぞれについてソリューション説明を生成するように更に構成され得る。
【0049】
第3の側面では、CPU330は上記の側面の何れかを含むことができ、図2及び図10図12に示されるように、第1の知識グラフを生成することであって、第1の知識グラフは複数の第1のノード及び複数の第1のエッジを含み、複数の第1のノードのそれぞれは複数の資産からの資産を表し、複数の資産からの資産に関する1以上のモデルソリューションに関連し、複数の第1のエッジのそれぞれは複数の資産間の関係を表す、第1の知識グラフを生成することと、第2の知識グラフを生成することであって、第2の知識グラフは複数の第2のノード及び複数の第2のエッジを含み、複数の第2のノードのそれぞれは複数の資産のそれぞれに関するモデルソリューションのソリューション説明のための知識を含み、複数の第2のエッジのそれぞれは1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識間の関係を表す、第2の知識グラフを生成すること、並びに第1の知識グラフ及び第2の知識グラフをソリューション表現として記憶することにより、資産階層、複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューション、及び1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識をストレージに記憶するように更に構成されてもよい。
【0050】
第4の側面では、CPU330は上記の側面の何れかを含むことができ、図4図5及び図10図12に示すように、複数の資産のそれぞれの上位レベルから下位レベルまでのトレースダウンプロセスの実行、複数の関係のレベルを横断するものによる説明スキームの実行、及び複数の資産のそれぞれの1以上のモデルソリューションの出力から導出される根本原因を標的として使用することによる学習スキームの実行のうちの1以上に基づいて1以上のモデルソリューションの出力ごとに根本原因を決定すること、及び1以上のモデルソリューションに関するソリューション説明のための知識として根本原因を組み込むことにより、最上位レベルから最下位レベルまでの複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションの出力のソリューション説明を生成するように更に構成され得る。
【0051】
第5の側面では、CPU330は上記の側面の何れかを含むことができ、図4及び図5に示すように、ソリューション学習プロセスは複数の資産のそれぞれに関する1以上のモデルソリューションを最初に最下位レベルから学習することを含み、下位レベルの1以上のモデルソリューションの出力は、資産階層の上位レベル内の1以上のモデルソリューションを学習するための入力として、最下位レベルから最上位レベルまで反復的に利用される。
【0052】
第6の側面では、CPU330は上記の側面の何れかを含むことができ、図6及び図7に示すように、ソリューション学習プロセスは、1以上のモデルソリューションに関するモデル性能メトリク及び複数の資産のそれぞれに対する入力それぞれの重みを計算することと、モデル性能メトリクが成功基準を満たす場合、複数の資産のそれぞれの次の資産へとソリューション学習プロセスを続けることと、モデル性能メトリクが成功基準を満たさない場合、複数の資産のそれぞれから、資産階層内の下位レベルにある複数の資産のうちの資産を各レベルにおける重みの降順にトラバースすることと、トラバースされた複数の資産のうちの資産のそれぞれについて、より広範な1組のモデルアルゴリズム及びパラメータセットを実行して複数のモデルソリューションを生成し、モデルソリューションを選択するために複数のモデルソリューションにハイパーパラメータの最適化を適用することを含む。
【0053】
第7の側面では、CPU330は上記の側面の何れかを含むことができ、図8に示すように、ソリューション学習プロセスは、資産階層を表現するための深層ニューラルネットワークを生成することを含み、深層ニューラルネットワークは、複数の資産に関連するセンサを表す入力層と、資産階層内の最上位レベルにある複数の資産のうちの資産を表す出力層と、資産階層内の他のレベルにある資産を表す1以上の隠れ層とを含み、ニューラルネットワークの層間の接続は、資産階層内の物理的関係又は論理的関係の1以上を表す。
【0054】
第8の側面では、CPU330は、上記の側面の何れかを含むことができ、図4図12に示すように、ソリューション学習プロセスは、下位レベルにおける1以上のモデルソリューションからのモデル性能メトリクを、上位レベルにおける1以上のモデルソリューションを学習するための入力として使用することを更に含み、複数の資産のそれぞれは1以上のタスクに関する1以上のモデルソリューションに関連付けられ、複数の資産のそれぞれは1以上のタスクのそれぞれに関する1以上のモデルソリューションの1以上のバージョンに関連付けられ、1以上のモデルソリューションは機械学習モデルアルゴリズム又は物理学ベースのモデルの1以上に基づき、1以上のモデルソリューションは資産階層内のセンサ又は資産の1以上の間の耐障害性関係を識別し利用するように構成され、センサ又は資産の1以上のうちのいくつかはシステム内の同様の機能又は役割を有するように構成され、1以上のモデルソリューションは資産間のレベルを横断した関係を捕捉し利用するように構成され、資産に関する1以上のモデルソリューションのための入力は、異なる下位レベルにある資産又はセンサの1以上からであり、資産階層は、1以上のモデルソリューション内の特徴量重要度に基づいて接続を除去することによって洗練される。
【0055】
第9の側面では、CPU330が上記の側面の何れかを含むことができ、図5図9に示すように、ソリューション学習プロセスは、トラバーサルアルゴリズム(例えば深さ優先探索(DFS)アルゴリズム、幅優先探索アルゴリズム等)を使用して、重みの降順をたどることによって現在の資産の下の複数の資産のうちの資産をトラバースすること、及び複数の資産のうちの資産がトラバースされることを制限するために接続に対して重みを使用することを更に含む。
【0056】
第10の側面では、CPU330は上記の側面の何れかを含むことができ、図4図9に示すように、ソリューション学習プロセスは、資産階層内の複数の資産からの資産に関する各出力と共に複数の出力を生成するための深層ニューラルネットワークを構築することを更に含み、複数の資産のそれぞれが1以上のタスクに関する1以上のモデルソリューションに関連付けられ、1以上のモデルソリューションは複数の資産間のレベルを横断した関係を捕捉し利用するように構成され、リンクは深層ニューラルネットワーク内の非隣接層内の資産の対を接続する。
【0057】
第11の側面では、CPU330は上記の側面の何れかを含むことができ、図4及び図8に示すように、深層学習スキームによって資産階層を生成するように更に構成され得、資産階層を生成することは、各レベルにおいて複数の資産のうちの資産を識別することと、複数のノードを含む全結合ニューラルネットワークを生成することであって、各レベルにおける複数のノードのうちのノードは複数の接続を介して上位レベルにある複数のレベルのうちの他のレベルに接続される、生成することと、全結合ニューラルネットワークを訓練し複数の接続のそれぞれについて重みを得ること、及び既定の閾値未満の重みを有する複数の接続のうちの接続を除去することによって全結合ニューラルネットワーク内の複数の接続をプルーニングすることを含む。
【0058】
第12の側面では、資産階層は複数の資産の物理的階層又は論理的階層の1以上を表す。
【0059】
第13の側面では、上記の側面の何れかを実行するための方法がある。
【0060】
第14の側面では、上記の側面の何れかを実行するための命令を記憶するコンピュータプログラムがある。コンピュータプログラム及び命令は非一時的コンピュータ可読媒体の中に記憶され、1以上のプロセッサによって実行され得る。
【0061】
第15の側面では、上記の側面の何れかを実行するための手段を有するシステムがある。
【0062】
或るセンサSによって収集されたデータが別のセンサSによって収集されたデータと密に関係する状況がある。この場合、SをSの代用物とすることができ、その逆も同様である。例えば風車軸トルクは発電機によって生じる振動量によっておおよそ表すこともでき、その逆も同様である。そのような代替的な又は冗長な関係は、領域知識及び/又はデータ解析(相関解析等)に基づいて得ることができる。冗長なセンサは耐障害性を与え、つまり一方のセンサが機能していない場合、ソリューションを構築するために他方のセンサを代用物として使用され得る。更に、そのような冗長な関係がもはや保たれていない場合は、障害のあるセンサは認識され得る。
【0063】
ソリューション学習202では、資産階層内の資産に関する様々な学習スキームがある。第1の例では、ボトムアップ学習スキームがある。この学習スキームでは、資産階層内の下位レベルにおけるソリューションからのデータ及び結果は、上位レベルにおけるソリューションへの入力として使用され得る。図4は、一実装例に係る、資産階層内でボトムアップ学習スキームがどのように機能するのかについての一例を示す。この例では、「資産11」は最上位レベルにある資産(即ち根資産)であり、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」は次に高いレベルにある資産であり、その後も同様に続く。資産間の直接の関係は矢印により示される。例えば「資産11」は、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」と直接の関係を有する。関係は物理的及び/又は論理的であり得る。
【0064】
図5は、一実装例に係る、ボトムアップ学習スキーム内の学習アルゴリズムを示す。501で、アルゴリズムはビジネスニーズに基づいて資産階層を作成する。所望の実装形態に応じて、資産階層は物理的及び/又は論理的/機能的であり得、汎用的又はタスク指向であり得る。502でアルゴリズムは、最下位レベルにある各資産(即ち葉資産)に適用可能なセンサを識別する。各資産は複数のセンサに関連付けられ得、各センサは複数の資産に関連付けられ得る。503で、アルゴリズムはまず葉資産ごとにソリューションを構築する。504で、下位レベルにおけるソリューションの出力は、アルゴリズムによって資産階層をたどることにより、次に高いレベルにおけるソリューションを構築するための入力として使用される。下位レベルにおけるソリューションの出力は、次に高いレベルにおけるソリューションを構築するための導出特徴と考えられ得る。505で、プロセスは、最上位レベルの資産が達せられるまで続く。
【0065】
更に、所望の実装形態に応じて利用可能な上記のボトムアップ学習スキームの幾つかの改変形態がある。一例では、モデル性能メトリクは、下位レベルにおける1以上のモデルソリューションからのモデル性能メトリクが上位レベルにおける1以上のモデルソリューションを学習するための入力として使用され得るように、入力として使用され得る。資産のためのソリューションを構築するとき、下位レベルにおけるソリューションからのモデル性能メトリクは次に高いレベルにおけるソリューションを構築するための入力の一部として使用され得る。直感的に、これは下位レベルにおけるソリューションからの出力の「信頼度」を示す。メトリクは、これだけに限定されないが、モデルベースのメトリク(例えば正確さ、精度、再現率等)及び/又はビジネスベースのメトリク(例えば障害間隔、生産収率等)を含む。次に高いレベルにおけるソリューションを構築するための入力として、下位レベルにおけるソリューションからのそのような1以上のモデル性能メトリクを使用することができる。かかるメトリクは履歴データに基づいて計算され、グラウンドトゥルース標的データが入手可能であり、導出済み/予測済みの標的値と比較し、モデルベースのメトリク及び/又はビジネスベースのメトリクを計算するために使用され得る。
【0066】
改変形態の別の例では、複数の出力があり得る。ソリューションは資産階層内の資産ごとに構築され得、各資産のソリューションは関心のある資産に関するビジネス上の問題を解決するための出力を生成し得る。
【0067】
改変形態の別の例では、問題を横断するマルチタスキングがあり得る。システムでは複数のビジネス上の問題が存在し得る。所望の実装形態に応じて、複数の資産のそれぞれは、1以上のタスクに関する1以上のモデルソリューションに関連付けられる。複数のボトムアップ学習スキームにより、複数のタスクは一緒に行われてそれらの問題を解決し得る。そのために、各資産は様々なタスクに関するいくつかのソリューションに関連付けされ得る。一例は、各資産は複数のソリューション(例えば異常検出、クラスタリング、障害検出、残存耐用年数、障害予測等)を関連付けられることである。下位レベルの資産のための各ソリューションからの出力は上位レベルの資産のためのソリューションを構築するための入力として使用され得る。下位レベルの資産のための1つのタスクのソリューションは、上位レベルの資産のための全てのタスクのソリューションを助け得る。
【0068】
改変形態の別の例では、異種モデルがある。各タスクは資産ごとにソリューションのいくつかのバージョンを有してもよい。例えば、複数のモデルアルゴリズムは資産のための各タスクに適用され得る。従って、いくつかのソリューションは、資産のためのタスクごとに得られる。下位レベルの各ソリューションからの出力は、上位レベルのソリューションを構築するための入力として使用され得る。タスクに関して、下位レベルの資産のためのソリューションは、上位レベルの資産のためのソリューションを助け得る。
【0069】
改変形態の別の例では、半経験的ソリューションがある。ソリューションは機械学習モデルアルゴリズム及び/又は物理学ベースのモデルに基づき得る。機械学習モデルは、入手可能なデータに機械学習モデルアルゴリズムを適用しソリューションを構築するデータ駆動型の手法である。他方で物理学ベースのモデルは、標的変数が領域知識に基づいた状態で限られた変数間の基礎を成す関係を捕捉し、それらの間の公式又は方程式を形成しようとする。物理学ベースのモデルは典型的にはシミュレーションプロセスによって検証され微調整される。両方のソリューションを活用するために、それらを学習スキームへと組み合わせることができる。それぞれの資産について、機械学習ソリューション及び物理学ベースのソリューションが構築され得る。下位レベルの資産のための機械学習ソリューション及び/又は物理学ベースのソリューションからの出力は、上位レベルの資産のための機械学習ソリューション及び/又は物理学ベースのソリューションを構築するための入力として、使用され得る。
【0070】
改変形態の別の例では、耐障害性もある。資産階層内のいくつかのセンサ及び/又は資産は、システム内の同じ又は同様の機能又は役割を有する。これは本明細書に記載の代用センサを含む。この形態は耐障害性を促進し、一方の資産が機能しない場合、同じ機能又は役割を有する他方の資産が機能する場合は、全システムが引き続き機能することを意味する。冗長性の関係は、資産階層内に反映させ捕捉され得る。従って、ソリューションもかかる関係を反映する。例えば「資産21」及び「資産22」がシステム内で同じ機能を有し、「資産21」の障害が予測されるが「資産22」の障害は予測されない場合、「資産11」は「資産21」の障害の影響を受けない。従って、1以上のモデルソリューションは、資産階層内のセンサ又は資産の1以上の間の耐障害性関係を識別し利用するように構成され得、センサ又は資産の1以上のうちのいくつかはシステム内で同様の機能又は役割を有するように構成される。
【0071】
改変形態の別の例では、レベルを横断した関係がある。資産に関するソリューションが構築されるとき、ソリューションのための入力は異なる下位レベルにある資産又はセンサから届き得る。かかる資産階層は本質的にグラフによって表される。以下に記載するように2つのケースがある。
【0072】
第1のケースでは、センサからのデータは、資産階層内の資産ごとのソリューションを構築するための入力として使用され得る。例えば「資産21」のためのソリューションを構築するとき、この資産に関係するセンサはこの資産に直接入力されてもよい。例えば、「センサ」、「センサ」、「センサ」、及び「センサ」は、すぐ下のレベルの資産からの既存の入力と共に「資産21」のためのソリューションを構築するための入力として、使用され得る。
【0073】
第2のケースでは、下位レベルにある別の資産のためのソリューションからの出力は、資産階層内の上位レベルにある資産のためのソリューションを構築するための入力として使用され得る。例えば「資産11」のためのソリューションを構築するとき、「資産231」のためのソリューションからの出力は、この資産のためのソリューションを構築するための入力として直接使用され得る。
【0074】
改変形態の別の例では、資産階層の洗練がある。資産のためのソリューションを構築するとき、機械学習における特徴選択技法及び/又は説明可能な人工知能(AI)技法は、ソリューションを構築するためにどの特徴が重要又は重大かを決定するために使用され得る。かかる情報は資産階層の構造を洗練させるために使用され得る、つまり(下位レベルのセンサ又は資産に対応する)さほど重要でない特徴のための接続が除去される。資産階層内でこのように接続を除去することは問題又はタスクに固有としてもよく、別のタスクに適用されなくてもよいことに留意されたい。
【0075】
学習スキームの第2の例では、反応型学習スキームがある。この学習スキームでは、資産階層内の下位レベルにおけるソリューションからのデータ及び結果は、上位レベルのソリューションを構築するための入力として使用され得る、上位レベルのソリューションからの結果は、下位レベルのソリューションを改善するためのフィードバックとして使用され得る。
【0076】
図6は、一実装例に係る、資産階層内で反応型学習スキームがどのように機能するのかについての一例を示す。この例では、「資産11」は最上位レベルにある資産(即ち根資産)であり、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」は次に高いレベルにある資産であり、その後も同様に続く。資産間の直接の関係は実線矢印で示される。例えば「資産11」は、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」と直接の関係を有する。
【0077】
各実線矢印は、下位レベルにの資産のためのソリューションが上位レベルの資産のためのソリューションに対する寄与を示す重みに関連付けられている。重みは上位レベルの資産のためのソリューションごとに測定されている。例えば「資産11」のためのソリューションは3つの重みを含み、「w21」は「資産21」のためのソリューションの「資産11」のためのソリューションに対する寄与を示し、「w22」は「資産22」のソリューションの「資産11」のためのソリューションに対する寄与を示し、「w23」は「資産23」のためのソリューションの「資産11」のためのソリューションに対する寄与を示す。寄与は、モデルの特徴量重要度を決定するための技法に基づいて計算することができる。例えばランダムフォレストモデルでは、ツリー内のその位置に基づいて重み付き不純物又は分散を減らすことに各特徴がどの程度寄与するのかを計算することができる。モデルの各特徴は、モデル又はソリューション内でのその重要度を示すために、特徴量重要度値に関連付けられる。様々な種類のモデルアルゴリズムについて特徴量重要度を決定するための様々な技法がある。
【0078】
上位レベルにおけるソリューションから下位レベルにおけるソリューションに対するフィードバックは破線矢印で表される。例えば「資産11」のためのソリューションからのフィードバックは、「資産21」「資産22」、及び「資産23」のためのソリューションを改善するために使用され得る。
【0079】
図7は、一実装例に係る、反応型学習スキーム内の学習アルゴリズムのためのフローチャートを示す。
【0080】
701で、アルゴリズムはビジネスニーズに基づいて資産階層を作成する。資産階層は物理的及び/又は論理的/機能的であり得、汎用的又はタスク指向であり得る。702で、アルゴリズムは、最下位レベルにある各資産(即ち葉資産)に適用可能なセンサを識別する。各資産は複数のセンサに関連付けられ得、各センサは複数の資産に関連付けられ得る。703で、アルゴリズムは資産階層の最下位レベルから開始し、704に進んでソリューションなしの資産が存在するかどうかを判定する。存在する場合(yes)、アルゴリズムは705でソリューションなしの資産を選び、706でその資産のためのソリューションを構築する。資産階層をたどることにより、下位レベルのソリューションの出力は、次に高いレベルのソリューションを構築するための入力の役割を果たす。直感的に、モデルの出力は導出特徴と考えられ得る。ソリューションは最上位レベルにある資産(即ち根となる葉)まで構築される。
【0081】
707で、アルゴリズムは説明可能なAI技法を用いて、モデル性能メトリク及び現在の資産に対する入力ごとの重みを計算する。708で、メトリク値が既定の成功基準を満たす場合(yes)、アルゴリズムは704に進んで現在のレベル内のソリューションなしの次の資産で続ける。さもなければ(no)、フローは709に進み、幅優先探索(BFS)アルゴリズム等のトラバーサルアルゴリズムにより、現在の資産Aから開始し、資産階層をたどることによって現在の資産よりも下の資産をトラバースする。
【0082】
BFSアルゴリズムでは、各レベルにおいて、アルゴリズムは次に高いレベルの資産まで重みの降順をたどる:
【0083】
(a)トラバースされる資産ごとに、より広範な1組のモデルアルゴリズム及びパラメータセットを試行し、最良のソリューションを選択するためにハイパーパラメータの最適化を適用する。
【0084】
(b)最良のソリューションに関するモデル性能メトリクを計算する。
●メトリク値が既定の成功基準を満たす場合、
〇現在の資産が資産Aである場合、現在のレベル内のソリューションなしの次の資産を続ける。
〇さもなければ、現在の資産の親資産のためのソリューションを再構築する。これを資産Aに達するまで続ける。
●さもなければ、現在の資産の子資産ごとに(a)に戻る。
【0085】
710で、次に高いレベルが存在するかどうかの判定が行われる。存在する場合(yes)、フローは711に進んで次にレベルに進み、再び704から繰り返す。このようにして、プロセスは最上位レベルにある資産に達するまで続行し、各資産のソリューションはモデル性能メトリクが既定の成功基準を満たした状態で構築される。
【0086】
更に、ボトムアップ学習スキームの改変形態は反応型学習スキームの改変形態としても適用され得る。加えて、以下のように2つの改変形態も反応型学習スキームに適用され得る。
【0087】
改変形態の一例では、深さ優先探索(DFS)アルゴリズムは、現在の資産の下の資産をトラバースするために、BFSの代わりに使用され得る。現在の資産の子資産は降順の重みに従ってトラバースされる。
【0088】
改変形態の一例では、重みはトラバースされる資産を制限するために使用され得る。現在の資産の下の資産をトラバースするためにトラバーサルアルゴリズム(例えばBFSアルゴリズム及びDFSアルゴリズム)を使用する場合、現在の資産の子資産だけは既定の閾値を上回る重みを有するが考慮される。重みは現在の資産のソリューションに対する対応する子資産の寄与を表すので、ここでの規則は重要な子資産だけのソリューションを最適化するように考慮することである。
【0089】
学習スキームの第3の例では、深層学習スキームがある。この学習スキームでは、深層ニューラルネットワークは資産階層を表現するために構築される。更に、ニューラルネットワークは資産階層内の資産に関するビジネス上の問題を解決するために訓練される。
【0090】
図8は、一実装例に係る、深層学習スキームが資産階層内でどのように機能するのかについての一例を示す。この例では、「資産11」は最上位レベルにある資産(即ち根資産)であり、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」は次に高いレベルにある資産であり、その後も同様に続く。資産間の直接の関係は矢印で示される。例えば「資産11」は、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」と直接の関係を有する。
【0091】
以下は、深層学習スキーム内の学習アルゴリズムについての記述である。
【0092】
最初に、学習アルゴリズムは資産階層を表現するために深層学習ニューラルネットワークを構築する。入力層は資産上に搭載される全てのセンサを含む。入力層は、この層内の全てのセンサデータが使用されるデータ層である。出力層は資産階層内の最上位レベルにある資産を含む。出力層はソリューション層であり、資産階層内の最上位レベルにある資産、即ち図8の「資産11」のためのソリューションがこの層内で構築される。図8の「資産11」のボックスはより小さいニューラルネットワークを表し、かかるニューラルネットワークは資産階層内の下位レベルからデータを得る入力層、計算するための複数の隠れ層、及び結果を出力するための出力層を有する。
【0093】
隠れ層は他のレベルにある資産を含む。隠れ層1は資産階層内の2番目に低いレベルにある資産を含み、隠れ層2は資産階層内の3番目に低いレベルにある資産を含み、その後も同様に続く。隠れ層は、資産階層の中間レベル内の各資産のソリューションが構築されるソリューション層である。図8の隠れ層の中の各資産のボックスは、より小さいニューラルネットワークを表し、かかるニューラルネットワークは資産階層内の下位レベルにあるセンサ及び/又は資産からデータを得る入力層、計算するための複数の隠れ層、及び資産階層内の次のレベルに対して結果を出力するための出力層を有する。或る層内のユニットに対する次の層内のユニット間の接続(又はリンク)は2つのユニット間の物理的及び/又は論理的関係によって決定される。例えば「センサ」が「資産211」のためのソリューションを構築するためにだけ使用される場合、「センサ」と「資産211」との間に接続がある。
【0094】
その後、学習アルゴリズムは与えられたビジネス上の問題に関してニューラルネットワークを訓練する。各資産のビジネス上の問題を解決するために、全ニューラルネットワークが訓練され、隠れ層及び出力層内の各資産についてモデルが構築される。順伝播及び逆伝播を含むニューラルネットワークのための標準訓練プロセスが適用される。それに加え、ニューラルネットワーク内の深層学習のための全ての技法は訓練プロセスに適用され得る。
【0095】
その後、学習アルゴリズムはニューラルネットワークモデル及びセンサデータに基づいて予測を行う。センサデータは収集され、前処理される。ニューラルネットワークは出力層からの結果を生成するために前処理済みのセンサデータに対して適用される。
【0096】
更に、上記の深層学習スキームに関するいくつかの改変形態がある。改変形態の一例では、複数の出力がある。ソリューションは、資産階層内の資産ごとに構築され得、各資産のソリューションは関心のあるビジネス上の問題を解決するための出力をもたらし得る。図8では、隠れ層及び出力層の中の各ボックスは資産に関するビジネス上の問題のソリューションであり得る。代替的ソリューションは、出力が予期されるレベルまでのより小さいニューラルネットワークを構築することである。例えば層2の出力が望まれる場合、アルゴリズムは層2までのモデルだけを構築し、層2における問題を標的として使用する。
【0097】
改変形態の別の例では、マルチタスキングがある。システムでは複数のビジネス上の問題が存在することがありこの学習スキームでは、複数のソリューションが、それらの問題を解決するために一緒に構築され得る。複数の資産のそれぞれは、1以上のタスクのための1以上のモデルソリューションに関連付けられ得る。そのために、各資産は、様々なタスクに関するいくつかのソリューションに関連付けられ得る。一例は、各資産は複数のソリューション、つまり異常検出、クラスタリング、障害検出、残存耐用年数、障害予測等に関連付けられることである。下位レベルの資産のための各ソリューションからの出力は、上位レベルの資産のためのソリューションに対して入力され得る。下位レベルの資産のための1つのタスクのソリューションは、上位レベルの資産のための別のタスクのソリューションを助け得る。図8では、隠れ層及び出力層の中の各資産は複数の出力を有する。
【0098】
改変形態の別の例では、深層ニューラルネットワーク(DNN)がある。ニューラルネットワーク内の各層は資産階層内のレベルにマップし、資産階層内にはいくつかのレベルがあり得る。更に、各資産はいくつかの層を同様に含む小さいニューラルネットワークを有する。それは全体として深層ネットワークである。所望の実装形態に応じて、DNNは、資産階層内の複数の資産から資産に関する各出力と共に複数の出力を生成するために構築され得る。
【0099】
改変形態の別の例では、レベルを横断した関係がある。標準のニューラルネットワークでは、接続は現在の層とすぐ次の層との間にある。しかし、いくつかの深層学習ニューラルネットワークは、ここで適用可能な層横断接続も更に含む。換言すれば、この学習スキームにおいて提案するニューラルネットワークは、非隣接層間の接続を可能にする。従って、実装例では、1以上のモデルソリューションは資産間のレベルを横断した関係を捕捉し利用するように構成され、資産に関する1以上のモデルソリューションのための入力は、異なる下位レベルの資産又はセンサの1以上からのものである。更に、1以上のモデルソリューションは複数の資産間のレベルを横断した関係を捕捉し利用するように構成され得、リンクは深層ニューラルネットワーク内の非隣接層内の資産の対を接続する。
【0100】
改変形態の別の例では、全結合ニューラルネットワークがあり得る。図8は、接続が資産階層内の資産間の関係に基づくニューラルネットワーク構造を示す。しかし、時として、そのような関係は事前に明確又は正確ではない場合がある。各レベル内のセンサ及び資産が資産階層内で決定されると、或るレベル内の各センサ又は資産は次のレベル内の各資産に接続され得る。従って、或るレベル又は層は次の層又はレベルに全結合される。次いで、訓練中、接続の重みはしかるべく決定される。大きい重みは強い接続を示し、小さい重みは弱い接続を示す。接続の重みが0に近い場合、それは接続が不要であり得ることを示す。既定の閾値は、対応する接続が必要かどうかを判定するために、重みに対して使用され得る。これは、資産階層内の資産に関するソリューションを構築するための関係に対する要件を緩和する。副産物として、全結合ニューラルネットワークの改変形態は、各レベル内の資産が決定されると資産階層の構築を助ける。
【0101】
代替的なハイブリッドソリューションは全結合ニューラルネットワークから開始し、高信頼度の領域知識に基づいて可能な限り多くの接続を除去し、次いでかかるニューラルネットワークを訓練し、既定の閾値未満の重みを有する接続を除去するものである。その結果、資産階層は、1以上のモデルソリューション内の特徴量重要度に基づいて接続を除去することによって洗練され得る。
【0102】
ソリューション説明203に関して、ソリューションが構築されると、そのソリューションはビジネス上の問題に対する結果を生成するために使用される。しかし、それらの結果はいくつかのすぐ使用可能な結論に直接変換し又はマップされない場合がある。例えばソリューションは、関心のある資産に関する予測された障害を生成し得る。予測された障害は障害の激しさを示す障害スコアによって提示されるが、障害の原因に関する任意の情報、従って障害を修復するための推薦アクションを含まない。予測された障害を修復するために、予測された障害の根本原因は導出される必要があり、修復アクションは根本原因及び領域知識に基づいて生成され得る。
【0103】
説明可能なAIは、資産のためのソリューションから各結果の根本原因を導出するために、使用され得る。いくつかのライブラリは説明可能なAIを実行するために利用可能である。例えば、ELI5又はSHAPは、学習済みモデルの結果に関する根本原因を導出するために利用され得る。かかるライブラリは、1つのモデル又はソリューションから結果を毎回説明するように設計される。資産階層内の資産に関して、ソリューション及び各ソリューションからの結果を説明するためにかかるライブラリを使用することができる。更に、スキームは、資産間の関係を組み込むことにより、資産階層内の資産のためのソリューション及びソリューションからの結果を説明するために導入される。
【0104】
図9は、一実装例に係る、説明可能なAIスキームが資産階層内でどのように機能するのかについての一例を示す。とりわけ図9は、複数の関係のレベルを横断するものによる説明スキームの実行、及び複数の資産それぞれのソリューションの障害出力から導出される根本原因を標的として使用することによる学習スキームの実行を示す。この例では、「資産11」は最上位レベルにある資産(即ち根資産)であり、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」は次に高いレベルにある資産であり、その後も同様に続く。資産間の直接の関係は矢印で示される。例えば「資産11」は、「資産21」、「資産22」、及び「資産23」と直接の関係を有する。
【0105】
ソリューション説明203のための説明可能なAIアルゴリズムスキームの一例は、トップダウントレーシングスキームとして以下に示される。
【0106】
最初に、このアルゴリズムは資産階層内の最上位レベルにある資産から開始する。この資産のためのソリューションに基づき、結果はデータインスタンスに関して導出され、結果の根本原因は、根本原因解析モデルに基づいて導出される。例えばELI5又はSHAPは、結果の根本原因を導出するために、利用され得る。
【0107】
第2に、導出された根本原因に基づき、根本原因につながる下位レベルにある資産を識別する。根本原因解析は、識別された資産に対して実行され、根本原因は導出される。このステップは、資産階層の最下位レベル(即ちセンサを有するレベル)に達するまで繰り返される。
【0108】
例えば図9では、「資産11」のためのソリューションに基づき、予測結果の根本原因が「資産21」によるものである場合は、経路「p21」がたどられる。次いで、「資産21」のためのソリューションに基づき、予測結果の根本原因が「資産213」によるものである場合は、経路「p213」がたどられる。最後に「資産213」のためのソリューションに基づき、根本原因が「センサ」によるものである場合は経路「ps」がたどられる。
【0109】
この説明スキームは、ボトムアップ学習スキーム及び反応型学習スキームの両方に適用される。深層学習スキームでは、根解析モデルは、センサレベルにおける根本原因を推論するために、全ニューラルネットワークに対して直接適用され得る。
【0110】
上記のトップダウントレーシング説明スキームの改変形態は以下を含み得る。
【0111】
改変形態の一例では、様々なレベルにおけるソリューション説明がある。ソリューション及びソリューションからの結果は、資産階層内の資産ごとに説明され得る。実装例は資産階層内の任意の資産から開始し、その資産にトレースダウンスキームを適用し得る。更に、根本原因は資産階層内の様々なレベルにある資産又はセンサに起因され得る。例えば上記の例では、実装例は経路「p21」をたどって「資産21」を伴う根本原因を突き止め、実装例は停止し、根本原因が「資産21」を伴うと結論付けることができる。
【0112】
改変形態の別の例では、レベルを横断した説明もまたある。学習スキームがレベルを横断した関係を含む場合、レベルを横断した関係の説明は、それに応じて可能にされ得る。例えば図9では、「資産11」のためのソリューションに基づき、結果の根本原因が「センサ」によるものである場合、実装例は経路「ps」をたどって根本原因が「センサ」に関すると判定する。
【0113】
改変形態の別の例では、ソリューションの結果内に根本原因もある。資産についてソリューションが構築されるとき、実装例は根本原因を標的として直接含める。例えば資産に関する障害を予測するとき、障害スコアに加えて実装例は障害モード(即ち障害に関する根本原因群)も標的として含める。この形態は、結果を生成するための1つのソリューション、根本原因を生成するための他のソリューションの代わりに、資産に関する1つのソリューションだけを必要とする。
【0114】
ソリューションの表現及び記憶204に関して、資産階層内には、情報の表現及びストレージがある。実装例は、資産階層内のソリューションに関係する情報を表現し記憶するために効率的な手法である知識グラフを含む。情報は、資産階層201、ソリューション学習202からのソリューション、ソリューション説明203からの推薦アクションに対する根本原因間のマッピングを含む。
【0115】
図10は、一実装例に係る、知識グラフのデータタイプの一例を示す。知識グラフ内で表現される必要があるデータの種類に応じて、異なるプロセス(即ち手動又は自動)は使用され得る。知識グラフが構築されると、その知識グラフは当技術分野で知られているグラフデータベース内に記憶される。例えばグラフデータベースは、所望の実装形態に応じてNeo4J、ArangoDB等とすることができる。例えばソリューション学習202は、複数の第1のノード及び複数の第1のエッジを含む第1の知識グラフの生成によって表され得、複数の第1のノードのそれぞれは複数の資産からの資産を表し、複数の資産からの資産のための1以上のモデルソリューションに関連し、複数の第1のエッジのそれぞれは複数の資産間の関係を表す。ソリューション学習203は第2の知識グラフの生成によって表され得、第2の知識グラフは複数の第2のノード及び複数の第2のエッジを含み、複数の第2のノードのそれぞれは複数の資産それぞれに関するモデルソリューションのソリューション説明のための知識を含み、複数の第2のエッジのそれぞれは1以上のモデルソリューションに関する生成されたソリューション説明のための知識間の関係を表す。かかる知識グラフは、ソリューションの表現及び記憶204内にソリューション表現として記憶される。
【0116】
図10の知識グラフに関するデータタイプにおいて示すように、表現され記憶される必要があるデータは異なる種類のものであり得る。例えば構造化データタイプでは、データは、列が変数を表し、行がインスタンスを表すテーブル構造内に記憶される。構造化データの例は、リレーショナルテーブル形式又はCSVデータを含み得る。半構造化データタイプでは、データは、テーブル構造に従わないが、意味論的要素を分け、レコードの階層及びデータ内のフィールドを強制するタグ又は他のマーカを含む構造化データの形式によって表される。例えば「XML」及び「JSON」は半構造化データの2種類である。非構造化データタイプでは、データは、既定のデータモデルを有さず又は既定のやり方で組織化されない。例えばテキスト、画像、ビデオ、又は音声データは非構造化データである。
【0117】
知識グラフは、非構造化データは自動プロセスだけで構築できることを除き、全てのデータタイプについて手動プロセス又は自動プロセスによって構築され得る。
【0118】
知識グラフ内のコンポーネントに関して、知識グラフはノード及びエッジを含み得る有向グラフである。ノードはアイテム又はエンティティ(物理的又は論理的)、例えばスタッフ、電気系統、資産等を表す。エッジは2つのノード間の関心のある関係を捕捉し、それらをグラフ内で接続する。例えば資産11は資産21で構成され、又は問題Aは根本原因Bによって引き起こされる。
【0119】
図11は、一実装例に係る、知識グラフを構築するためのプロセスの一例を示す。知識グラフを構築することは、本質的にエンティティ及びエンティティ間の関係を理解し、エンティティをノードとして、及び関係をエッジとして表すことである。図11に示すように、知識グラフを構築するための2つのプロセス又は経路がある。
【0120】
手動プロセス:実装例は知識グラフを構築するために「手動1」、「手動2」、「手動3」、及び「手動4」で示されるように手動として1100から1104までのステップをたどることができる。1004の最後のステップでは、オントロジグラフは、知識グラフを得るためのデータを用いて実体化される。エンティティ及びエンティティ間の関係は手動で識別され、知識グラフによって表現される必要がある。
【0121】
自動プロセス:実装例は「自動1」をたどって1100から直接1104へと知識グラフを構築することができ、これは自然言語処理技法に基づく言語モデルによって行われる。エンティティ及びエンティティ間の関係は自然言語処理技法によって自動で識別され、知識グラフによって表現され得る。任意で、1104から1103への「自動2」は知識グラフをオントロジグラフへと抽出するためのものである。
【0122】
以下の説明では、実装例は、知識グラフ内に記憶され、ソリューションの学習及び説明プロセス中に使用される情報を列挙する。
【0123】
知識グラフ内の資産階層を記憶することに関して、システムが与えられると、最初に領域知識に基づいて資産及びその関係を識別する必要がある。システムのための知識グラフを手動プロセスによって構築するために、資産はノードとして、関係はエッジとして表され得る。
【0124】
最初に、実装例は、1100で全ての資産を識別する。次いで実装例は、システム内の固有資産の一覧を識別する。1102及び1103で、資産の種類及び資産の種類間の関係(階層及び非階層)が識別される。このステップは、階層関係のためのタクソノミツリーを構築すること1102及び/又は非階層関係のためのオントロジグラフを構築すること1103を含む。最後に実装例は、1104で、知識グラフを構築するためのデータを用いてオントロジグラフを実体化し得る。システム内に多くの資産がない場合、実装例は資産間の関係を直接識別し得る。従って、実装例は知識グラフを構築するために1100から1101~1104までのプロセスを直接行うことになる。
【0125】
知識グラフ内の資産のためのソリューションを記憶することに関して、各資産は様々なソリューションバージョンを有する様々なタスクのための1以上のモデルソリューションに関連付けられる。資産階層を表現し記憶する知識グラフでは、実装例はソリューションを表すための1以上のエントリを追加し得る。従って実装例は、資産と共にソリューションを資産階層内に一緒に記憶する。
【0126】
図12は、一実装例に係る、知識グラフの各ノード内に記憶される情報の一例を示す。所望の実装形態に応じて、資産階層内の各資産はいくつかのタスク(例えば異常検出、障害予測、残存耐用年数)を有することができ、タスクごとにソリューションのいくつかのバージョン(例えば障害予測のタスクでは、ランダムフォレスト分類に基づくソリューション、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)からのシーケンス予測に基づくソリューション、領域知識及びシミュレーションに基づく物理学ベースのモデルがあり得る)、又は他の任意の機械学習モデルアルゴリズム若しくは物理学ベースのモデルがあり得る。その結果、図12に示すように、知識グラフ内のノードごとに、かかる情報がこの資産についてしかるべく記憶される。従って、複数の資産のそれぞれは、1以上のタスクのそれぞれに関する1以上のモデルソリューションの1以上のバージョンが関連付けられる。
【0127】
ソリューション説明203のために知識グラフを使用することに関して、ソリューション及び結果を説明するために根本原因を推薦アクションにマップする必要がある。実装例は、ソリューション及び結果を説明するための全ての領域知識を記憶するために知識グラフを使用し得る。
【0128】
知識グラフを構築することは、構造化データ又は非構造化データに対する手動プロセス又は自動プロセスによって行われ得る。各エンティティはノードによって表され得、関係はエッジによって表され得る。例えば診断問題について、実装例は以下の情報、つまり「症状」→「問題」→「根本原因」→「修復アクション」を記憶することができ、各「症状」、「問題」、「根本原因」、及び「修復アクション」は知識グラフ内のノードによって表され、エンティティの各対間の関係は知識グラフ内のエッジによって表される。
【0129】
いくつかのキーワードが与えられた結果をクエリするために、実装例はファジークエリ、lucenceインデックスクエリ、又は文埋め込みクエリを使用することができる。ファジークエリ及びlucenceインデックスクエリは、グラフデータベースの一部として通常提供される。文埋め込みクエリでは、実装例はキーワードフレーズを文と見なし、文埋め込みを得る。クエリは、知識グラフ内のデータの文埋め込みとキーワードフレーズの文埋め込みの類似度を計算し、最も類似する結果を出力するためのものである。
【0130】
更に、実装例は知識グラフをオントロジグラフ及びタクソノミツリーへと抽出する。タグは、知識グラフ内の各エンティティに割り当てられる。この割り当ては、領域知識に基づいて手動で又はいくつかのタグ付けアルゴリズムに基づいて自動で行われ得る。次に、実装例は各エンティティに割り当てられるタグに基づいてエンティティをクラスタ化することができる。エンティティのクラスタはエンティティタイプと考えることができる。実装例は、エンティティ間の既存の接続に基づいてエンティティタイプ間の接続を更に追加する。階層関係を有するエンティティタイプは、タクソノミツリーを形成する。非階層関係を有するエンティティタイプはオントロジグラフを形成する。
【0131】
更に実装例は、資産階層に基づくソリューション及び結果のための説明手法を導入する。このことは様々なレベル(粗いレベルから細かいレベルまで)において結果を説明することを助け得る。加えて実装例は、ソリューションを説明するのに必要な資産階層及び情報を表現し記憶するために知識グラフの使用を導入する。実装例は、資産間の関係を解決し、資産階層をしかるべく構築することを助け、提案されるソリューションは資産階層を洗練させること及び最適化することを助け得る。
【0132】
図13は、一実装例に係る、接続されたセンサ及び管理機器を有する複数のシステムを含むシステムを示す。1以上のセンサシステム1301-1、1301-2、1301-3、及び1301-4はモノのインターネット(IoT)ゲートウェイ又は他の管理システムのための機能を促進する管理機器1302に接続されるネットワーク1300に通信可能に結合される。管理機器1302は、システム1301-1、1301-2、1301-3、及び1301-4から受信されるラベル付きデータ及びラベルなしデータを含み得る、センサシステム1301-1、1301-2、1301-3、及び1301-4から収集される履歴データを含むデータベース1303を管理する。代替的な実装例では、センサシステム1301-1、1301-2、1301-3、1301-4からのデータは、企業資源計画システム等のデータを取り込む独自データベース等の中央リポジトリ又は中央データベースに記憶することができ、管理機器1302は中央リポジトリ又は中央データベースからのデータにアクセスすることができ又はかかるデータを取得することができる。かかるシステムは、所望の実装形態に応じてセンサを有するロボットアーム、センサを有するタービン、センサを有する旋盤等を含み得る。管理機器1302は、計算ユニット302及びストレージ303によって示すシステムの形を取り得る。
【0133】
本明細書に記載した実装例により、資産間の物理的及び/又は論理的関係を利用することによる資産階層のためのいくつかの学習スキームが採用される。このことは、各資産に関する与えられたタスクのソリューションのより優れた性能を実現すること、全システムの包括的な健康状態を提供すること、及びタスクをしかるべく優先順位付けすることを助け得る。このことは各資産のソリューションを微調整することも助け得る。本明細書に記載した実装例は、本明細書で概説した関連技術の問題に更に対処する。
【0134】
詳細な説明のいくつかの部分はコンピュータ内の操作のアルゴリズム及び記号表現に関して提示した。これらのアルゴリズム的記述及び記号表現は、その革新の本質を他の当業者に伝えるためにデータ処理技術の当業者によって使用される手段である。アルゴリズムは、所望の終了状態又は結果をもたらす一連の定義済みのステップである。一実装例では、実行されるステップが具体的な結果を実現するために有形量の物理的操作を必要とする。
【0135】
別段の定めがない限り、解説から明らかなように説明の全体を通して「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「表示」等の用語を利用する解説は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ、又は他の情報ストレージ、伝送若しくは表示装置内で物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステム又は他の情報処理装置のアクション及びプロセスを含み得ることが理解されよう。
【0136】
実装例は、本明細書の操作を行うための装置にも関係し得る。この装置は所要の目的のために特別に構築することができ、又は1以上のコンピュータプログラムによって選択的に活性化され又は再構成される1以上の汎用コンピュータを含み得る。かかるコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータ可読信号媒体等のコンピュータ可読媒体の中に記憶されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、これだけに限定されないが、光ディスク、磁気ディスク、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、ソリッドステートデバイス及びドライブ等の有形媒体、又は電子情報を記憶するのに適した他の任意の種類の有形媒体若しくは非一時的媒体を含んでもよい。コンピュータ可読信号媒体は搬送波等の媒体を含んでもよい。本明細書で提示したアルゴリズム及び表示は、或る特定のコンピュータ又は他の装置に固有に関係するものではない。コンピュータプログラムは所望の実装形態の操作を実行する命令を含む純粋なソフトウェア実装を含み得る。
【0137】
様々な汎用システムは、本明細書の例によるプログラム及びモジュールと共に使用されてもよく、又は所望の方法ステップを実行するためのより特化した装置を構築するのが便利だと判明してもよい。加えて実装例は、或る特定のプログラミング言語に関して説明していない。様々なプログラミング言語が本明細書に記載した実装例の技法を実装するために、使用されてもよいことが理解されよう。プログラミング言語の命令は1以上の処理ユニット、例えば中央処理装置(CPU)、プロセッサ、又はコントローラによって実行されてもよい。
【0138】
当技術分野で知られているように、上述した操作はハードウェア、ソフトウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの何らかの組み合わせによって行うことができる。実装例の様々な側面は、回路及び論理装置(ハードウェア)を使用して実装されてもよいが、他の側面は、機械可読媒体上に記憶される命令(ソフトウェア)を使用して実装されてもよく、かかる命令はプロセッサによって実行されると、本願の実装形態を実行するための方法をプロセッサに実行させる。更に本願のいくつかの実装例はハードウェアのみで実行されてもよいのに対し、他の実装例はソフトウェアのみで実行されてもよい。更に、記載された様々な機能は単一のユニット内で実行されてもよく、又は任意の数のやり方でいくつかのコンポーネントに分散されてもよい。ソフトウェアによって実行される場合、方法はコンピュータ可読媒体上に記憶される命令に基づいて汎用コンピュータ等のプロセッサによって実行されてもよい。所望の場合、命令は圧縮形式及び/又は暗号化形式で媒体上に記憶されてもよい。
【0139】
更に、本願の他の実装形態は、本明細書を検討すること及び本願の技法を実践することにより、当業者に明らかになる。記載した実装例の様々な側面及び/又はコンポーネントは単独で又は任意の組み合わせで使用されてもよい。本明細書及び実装例は単に例として検討されることを意図し、本願の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】