(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】リポタンパク亜型成分分画方法、装置、機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20240814BHJP
G06V 10/72 20220101ALI20240814BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20240814BHJP
G06T 7/00 20170101ALN20240814BHJP
【FI】
G01N33/68
G06V10/72
G01N33/483 E
G06T7/00 612
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577969
(86)(22)【出願日】2023-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2023095007
(87)【国際公開番号】W WO2024016814
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】202210863495.5
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523473497
【氏名又は名称】上海宝藤生物医薬科技股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523473501
【氏名又は名称】上海宝藤医学検験所有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】孫 林香
(72)【発明者】
【氏名】張 心覚
(72)【発明者】
【氏名】楼 敬偉
(72)【発明者】
【氏名】林 霊
(72)【発明者】
【氏名】呉 守信
(72)【発明者】
【氏名】汪 夢竹
【テーマコード(参考)】
2G045
5L096
【Fターム(参考)】
2G045CA26
2G045DA62
2G045DA64
2G045FA11
2G045FA34
2G045JA01
2G045JA03
5L096AA13
5L096BA06
5L096FA39
(57)【要約】
本願はリポタンパク亜型成分分画方法、装置、機器及び記憶媒体を開示している。方法は、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得すること(S110)と、予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、前記試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うこと(S120)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得することと、
予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、前記試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うこととを含む、リポタンパク亜型成分分画方法。
【請求項2】
複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像を取得し、前記サンプルスキャン画像を処理して単一のサンプル画像を得ることと、
前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する目標分割点位置を決定することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記した、前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する目標分割点位置を決定することは、
前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する単一の分界点位置を決定することと、
前記単一の分界点位置に基づいて、前記目標分割点位置を決定することとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記した、前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する単一の分界点位置を決定することは、
前記グレースケール値波形画像に対して波形分画を行い、隣り合う波形の接続点位置を前記単一の分界点位置とすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記した、前記単一の分界点位置に基づいて、前記目標分割点位置を決定することは、
前記単一の分界点位置に対して統計学的検証を行い、前記単一の分界点位置の信頼区間を決定することと、
前記単一の分界点位置の信頼区間に基づいて前記単一の分界点位置の成分分割割合を決定することと、
前記成分分割割合に基づいて前記単一の分界点位置に対応する目標分割点位置を決定することとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記した、前記単一の分界点位置の信頼区間に基づいて前記単一の分界点位置の成分分割割合を決定することは、
前記信頼区間の中間値を前記単一の分界点位置の成分分割割合とすることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記した、前記成分分割割合に基づいて前記単一の分界点位置に対応する目標分割点位置を決定することは、
前記単一のサンプル画像における、超低密度リポタンパクのピークを始点とし、高密度リポタンパクのピークを終点とする距離の全長を決定することと、
前記成分分割割合及び前記距離の全長に基づいて前記目標分割点位置を得ることとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得するように構成される試薬画像取得モジュールと、
予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、前記試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うように構成される試薬画像分画モジュールとを備える、リポタンパク亜型成分分画装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリとを備え、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1~7のいずれか1項に記載のリポタンパク亜型成分分画方法を実行可能であるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される、電子機器。
【請求項10】
プロセッサが実行すると、請求項1~7のいずれか1項に記載のリポタンパク亜型成分分画方法を実現するためのコンピュータ指令が記憶された、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年7月20日に中国専利局に出願された、出願番号が202210863495.5である中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願はリポタンパク亜型成分分画の技術分野に関し、例えば、リポタンパク亜型成分分画方法、装置、機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
低密度リポタンパク(low-density lipoprotein、LDL)は人体内のコレステロールの輸送の主要なキャリアであり、7つのタイプに細分化されることができるが、LDLの含量が基準を超えると炎症反応が起こり、酸化状態の低密度リポタンパクがマクロファージにより貪食された後、血管中に脂肪斑を形成して、血中脂質異常や動脈硬化を引き起こす。ここで、「小さい」LDLであるほど、酸化されて血管壁に斑を形成しやすくなる。LDLの分類1及び2(大きいLDL)は、正常なコレステロールの輸送を担う「正常なLDL」であると考えられる。LDLの分類3~7(小さいLDL)は、酸化されて心血管疾患の発生を引き起こしやすい「不良又は非正常なLDL」であると考えられる。「小さい」低密度リポタンパクの含量と冠動脈疾患の罹患との関係は現在、既に実証されている。総LDLの含量に対する単一測定は、心血管疾患の罹患リスクを示すことができず、これは、「大きい」LDLと「小さい」LDLとを区別できないためである。総LDLレベルが正常であると示されても、そのうちの小さくて密な(3~7)タイプが基準を超えると、心血管疾患の罹患のリスクが3倍以上となる可能性がある。早期に罹患確率を発見することで、心血管疾患の発生を大幅に予防、治療することができる。
【0004】
LDLの亜成分分類は世界的に、完全な標準がまだないので、LDLの亜成分分類は不正確である。
【発明の概要】
【0005】
本願は、LDLの亜成分分類が不正確となる状況を避けるための、リポタンパク亜型成分分画方法、装置、機器及び記憶媒体を提供する。
【0006】
本願の一側面によれば、
分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得することと、
予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うこととを含む、リポタンパク亜型成分分画方法を提供する。
【0007】
本願の別の側面によれば、
分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得するように構成される試薬画像取得モジュールと、
予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うように構成される試薬画像分画モジュールと、を備える、リポタンパク亜型成分分画装置を提供する。
【0008】
本願の別の側面によれば、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリとを備え、
メモリには、少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムが記憶されており、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサが本願のいずれかの実施例のリポタンパク亜型成分分画方法を実行可能であるように、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、電子機器を提供する。
【0009】
本願の別の側面によれば、プロセッサが実行すると、本願のいずれかの実施例のリポタンパク亜型成分分画方法を実現するためのコンピュータ指令が記憶された、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願の一実施例に係るリポタンパク亜型成分分画方法のフロー図である。
【
図2a】本願の別の実施例に係るリポタンパク亜型成分分画方法のフロー図である。
【
図2b】本願の一実施例に係るサンプルスキャン画像及び単一のサンプル画像の模式図である。
【
図2c】本願の一実施例に係るグレースケール値波形画像の分割模式図である。
【
図2d】本願の一実施例に係る単一の分界点位置の信頼区間の模式図である。
【
図2e】本願の一実施例に係る別の単一の分界点位置の信頼区間の模式図である。
【
図3】本願の一実施例に係るリポタンパク亜型成分分画装置の構造模式図である。
【
図4】本願一実施例に係る電子機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲、並びに上記図面における用語「第1」、「第2」などは、特定の順序又は優先順位を説明することに用いられる必要はなく、類似する対象を区別するためのものである。このように使用されるデータは、適切な場合に置換え可能であり、これにより、ここで説明される本願の実施例が、ここで図示又は説明されるもの以外の順序で実施できることを理解すべきである。また、用語「含む」及び「有する」並びにこれらの如何なる変形も、排他ではない包含をカバーすることを意図し、例えば、一連のステップ又はユニットの過程、方法、システム、製品又は機器を含み、必ずしも明確に挙げられたそれらのステップ又はユニットに限定されず、明確に挙げられていない又はこれらの過程、方法、製品又は機器にとって固有である他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0012】
図1は本願の実施例に係るリポタンパク亜型成分分画方法のフロー図であり、本実施例は、低密度リポタンパクに対して亜型成分分画を行う場合に適用可能であり、該方法はリポタンパク亜型成分分画装置により実行可能であり、該リポタンパク亜型成分分画装置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの方式で実現可能であり、電子機器に配置されてもよい。
図1に示すように、該方法は、以下を含む。
【0013】
S110において、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得する。
【0014】
S120において、予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、前記試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行う。
【0015】
本願の実施例において、予め明らかな特徴を有するリポタンパク試薬に基づいて画像処理を行い、LDLの亜成分分類の目標分割点位置、即ち分画点を得る。リポタンパク亜型成分の分画を行う時、最後に予め決定された目標分割点位置を試薬スキャン画像に応用して自動化の分割を実現する。ここで、目標分割点位置に基づく試薬スキャン画像に対する低密度リポタンパク亜型成分の分画は、関連技術におけるリポタンパク亜型成分の分画の方法を参考でき、ここでは限定されない。
【0016】
例えば、電気泳動後の分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得し、試薬スキャン画像におけるグレースケール値を統計して試薬スキャン画像の試薬グレースケール値統計図を得て、目標分割点位置に基づいて試薬グレースケール値統計図に対して分画を行うことができる。
【0017】
本願の実施例の技術案は、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得すること、予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うことによるものである。一部の特徴が比較的明らかなリポタンパク試薬をサンプルリポタンパク試薬として用いて、試薬画像で統計分析を行うことで分割点位置を最終的に決定し、決定された分割点位置の、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像への応用に基づいて、リポタンパク亜型成分の正確で自動化のバッチ分割を実現することができる。
【0018】
図2aは本願の実施例に係るリポタンパク亜型成分分画方法のフロー図である。本実施例は、上記実施例を踏まえ、目標分割点位置の決定が細分化され、
図2aに示すように、該方法は、以下を含む。
【0019】
S210において、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像を取得し、前記サンプルスキャン画像を処理して単一のサンプル画像を得る。
【0020】
本実施例において、1つの小バッチの明らかな特徴を有するリポタンパク試薬をサンプルリポタンパク試薬として用いて、電気泳動後のサンプルリポタンパク試薬の試薬スキャン画像をサンプルスキャン画像として取得する。
【0021】
一実現形態において、前記した前記原始スキャン画像を処理して単一のサンプル画像を得ることは、前記原始スキャン画像に対して有効領域の切り取り分割を行い、複数の前記単一のサンプル画像を得ることを含む。例えば、サンプルスキャン画像における試薬を分離してその有効部分を切り取り、その後、単一の試薬図の画像を単一のサンプル画像として得る。
【0022】
図2bは本願の実施例に係るサンプルスキャン画像及び単一のサンプル画像の模式図である。
図2bにおける矢印の左側の部分はサンプルスキャン画像の模式図であり、
図2bにおける矢印の右側の部分は単一のスキャン画像の模式図である。
【0023】
S220において、前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する目標分割点位置を決定する。
【0024】
本実施例において、切り取られた単一のサンプル画像に対してグレースケール値の分析を行うことで、グレースケール値波形画像を描画し、一定の数学規則に従ってグレースケール値波形画像から目標分割点位置を決定することができる。
【0025】
全体として、数学規則を使用することにより、グレースケール値波形画像で低密度リポタンパク(LDL)の各成分の分割点位置を見つけて、超低密度リポタンパクVLDL及び高密度リポタンパクHDLのピークを始点及び終点として採用して百分比を計算し、その後、該バッチの各分割点位置のデータに対して統計分析を行い、それらの信頼区間を計算し、信頼区間に基づいて目標分割点位置を決定する。
【0026】
本願の一実施形態において、前記した前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する目標分割点位置を決定することは、前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する単一の分界点位置を決定することと、前記単一の分界点位置に基づいて、前記目標分割点位置を決定することとを含む。グレースケール値波形画像を生成した後に、一定の数学規則に従って単一の画像分割線を見つけて、単一の画像分割線に基づいて単一の分界点位置を決定し、そして、単一の分界点位置に基づいて目標分割点位置を決定する。
【0027】
図2cは本願の実施例に係るグレースケール値波形画像の分割模式図である。
図2cに示すように、図面における縦座標は統計されたグレースケール値であり、横座標は単一のサンプル画像に対応する位置を表す。
図2cにおける、2つの最高のピークは順次、高密度リポタンパクHDLのピーク及び超低密度リポタンパクVLDLのピークであり、残りの破線分割線は数学規則に従って見つけた複数の分界線であり、残りの破線分割線に対応する分界点位置は即ち、単一のサンプル画像に対応する単一の分界点位置である。
【0028】
一実現形態において、前記した前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する単一の分界点位置を決定することは、前記グレースケール値波形画像に対して波形分画を行い、隣り合う波形の接続点位置を前記単一の分界点位置とすることを含む。グレースケール値波形画像に含まれた複数の波形を識別し、隣り合う波形の接続箇所を単一の分界点位置とすることができる。
【0029】
本願の一実施形態において、前記した前記単一の分界点位置に基づいて、前記目標分割点位置を決定することは、前記単一の分界点位置に対して統計学的検証を行い、前記単一の分界点位置の信頼区間を決定することと、前記単一の分界点位置の信頼区間に基づいて前記単一の分界点位置の成分分割割合を決定することと、前記成分分割割合に基づいて前記単一の分界点位置に対応する目標分割点位置を決定することとを含む。単一のサンプル画像における複数の単一の分界点位置の座標をバッチ的に探し、各単一の分界点位置の座標に基づいて該バッチのうち、各画像における該単一の分界点位置の全長に占める百分比を得ることができ、ここで、全長とは、グレースケール値波形画像における2つの最高のピークの間の距離である。そして、統計された百分比の点位置に対して、全ての点位置がboxcox変換を経た後にいずれも正規分布に合致するという統計学的検証を行い、これを踏まえて、各単一の分界点位置の信頼区間を計算する。そして、信頼区間に基づいて該単一の分界点位置に対応する成分分割割合を決定し、最終的に成分分割割合に基づいて該単一の分界点位置に対応する目標分割点位置を決定する。上記方法により、全ての単一のサンプル画像における全ての単一の分界点位置に対応する目標分割点位置が得られるまで、順次、各単一の分界点位置に対応する目標分割点位置を決定する。
【0030】
ここで、信頼区間に基づいて単一の分界点位置に対応する成分分割割合を決定することは、信頼区間の上限界及び下限界に基づいて信頼区間の特徴値を決定し、信頼区間の特徴値を単一の分界点位置に対応する成分分割割合とすることであってもよい。ここで、信頼区間の特徴値は上限界と下限界との重み付け加算値であってもよい。
【0031】
図2dは本願の実施例に係る単一の分界点位置の信頼区間の模式図である。
図2eは本願の実施例に係る別の単一の分界点位置の信頼区間の模式図である。
図2d及び
図2eには、そのうちの2つの単一の分界点位置の信頼区間が模式的に示されている。
【0032】
一実現形態において、前記した前記単一の分界点位置の信頼区間に基づいて前記単一の分界点位置の成分分割割合を決定することは、前記信頼区間の中間値を前記単一の分界点位置の成分分割割合とすることを含む。例えば、信頼区間の中間値、即ち信頼区間の上限界と下限界との平均値を単一の分界点位置の成分分割割合とする。
図2dに示すように、36.5%を
図2dにおける単一の分界点位置に対応する成分分割割合としてもよく、
図2eに示すように、47.3%を
図2eにおける単一の分界点位置に対応する成分分割割合としてもよい。
【0033】
本願の一実施形態において、前記した前記成分分割割合に基づいて前記単一の分界点位置に対応する目標分割点位置を決定することは、前記単一のサンプル画像における、超低密度リポタンパクのピークを始点とし、高密度リポタンパクのピークを終点とする距離の全長を決定することと、前記成分分割割合及び前記距離の全長に基づいて前記目標分割点位置を得ることとを含む。例えば、各波形図におけるVLDLのピークを始点とし、HDLのピークを終点とし、両点の間の距離を全長とする。上記の例における2つの百分比の点位置に全長を乗算することにより、対応する分割点の始点に対する距離が得られ、さらに、それに始点の座標を加算すると、分割点の座標、即ち目標分割点位置の座標になり、残りの単一の分界点位置に対応する目標分割点位置は、上記と同じ方法により計算して得ることが可能である。
【0034】
S230において、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得する。
【0035】
S240において、予め決定された目標分割点位置に基づいて前記試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行う。
【0036】
本実施例の技術案は、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像を取得し、前記サンプルスキャン画像を処理して単一のサンプル画像を得て、前記単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて前記単一のサンプル画像に対応する目標分割点位置を決定し、一部の特徴が比較的明らかなリポタンパク試薬をサンプルリポタンパク試薬として用いて、試薬画像で統計分析を行って目標分割点位置を最終的に決定し、これにより、決定された目標分割点位置の、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像への応用に基づいて、リポタンパク亜型成分の正確で自動化のバッチ分割を実現することができる。
【0037】
図3は本願の実施例に係るリポタンパク亜型成分分画装置の構造模式図である。
図3に示すように、該装置は、
分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得するように構成される試薬画像取得モジュール310と、
予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うように構成される試薬画像分画モジュール320と、を備える。
【0038】
本実施例の技術案は、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得することと、予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うこととによるものである。一部の特徴が比較的明らかなリポタンパク試薬をサンプルリポタンパク試薬として用いて、試薬画像で統計分析を行うことで分割点位置を最終的に決定し、決定された分割点位置の、分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像への応用に基づいて、リポタンパク亜型成分の正確で自動化のバッチ分割を実現することができる。
【0039】
例えば、装置は、
複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像を取得し、サンプルスキャン画像を処理して単一のサンプル画像を得るように構成されるサンプル画像分割ユニットと、
単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて単一のサンプル画像に対応する目標分割点位置を決定するように構成される分割点位置決定ユニットと、を備える目標分割点位置決定モジュール320をさらに備える。
【0040】
例えば、分割点位置決定ユニットは、
単一のサンプル画像のグレースケール値波形画像に基づいて単一のサンプル画像に対応する単一の分界点位置を決定し、
単一の分界点位置に基づいて、目標分割点位置を決定するように構成される。
【0041】
例えば、分割点位置決定ユニットは、
グレースケール値波形画像に対して波形分画を行い、隣り合う波形の接続点位置を単一の分界点位置とするように構成される。
【0042】
例えば、分割点位置決定ユニットは、
単一の分界点位置に対して統計学的検証を行い、単一の分界点位置の信頼区間を決定し、
単一の分界点位置の信頼区間に基づいて単一の分界点位置の成分分割割合を決定し、
成分分割割合に基づいて単一の分界点位置に対応する目標分割点位置を決定するように構成される。
【0043】
例えば、分割点位置決定ユニットは、
信頼区間の中間値を単一の分界点位置の成分分割割合とするように構成される。
【0044】
例えば、分割点位置決定ユニットは、
単一のサンプル画像における、超低密度リポタンパクのピークを始点とし、高密度リポタンパクのピークを終点とする距離の全長を決定し、
成分分割割合及び距離の全長に基づいて目標分割点位置を得るように構成される。
【0045】
本願の実施例に係るリポタンパク亜型成分分画装置は本願の任意の実施例に係るリポタンパク亜型成分分画方法を実行でき、方法の実行に相応する機能モジュール及び有益効果を備える。
【0046】
図4は本願の実施例に係る電子機器の構造模式図である。電子機器10は、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータのような複数種類の形式のデジタルコンピュータを表すことを目的とする。電子機器は、パーソナルディジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、ウェララブル機器(例えば、ヘルメット、眼鏡、腕時計等)及び他の類似するコンピューティング装置のような複数種類の形式の移動装置を表すこともできる。本明細書に示された部品、それらの接続、関係、及びそれらの機能は例示的なものに過ぎず、本明細書に記載及び/又は要求される本願の実現を限定するものではない。
【0047】
図4に示すように、電子機器10は少なくとも1つのプロセッサ11と、少なくとも1つのプロセッサ11と通信接続されるメモリ、例えばリードオンリーメモリ(ROM)12、ランダムアクセスメモリ(RAM)13などを備え、ここで、メモリに少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムが記憶され、プロセッサ11はリードオンリーメモリ(ROM)12に記憶されたコンピュータプログラム又は記憶ユニット18からランダムアクセスメモリ(RAM)13にロードされたコンピュータプログラムに基づいて、複数種類の適切な動作及び処理を実行することができる。RAM13には、電子機器10の操作に必要となる様々なプログラム及びデータも記憶可能である。プロセッサ11、ROM12及びRAM13はバス14によって互いに接続される。入出力(I/O)インタフェース15もバス14に接続される。
【0048】
I/Oインタフェース15には、例えばキーボード、マウス等の入力ユニット16と、例えば様々なタイプのディスプレイ、スピーカ等の出力ユニット17と、例えば磁気ディスク、光ディスク等の記憶ユニット18と、例えばネットワークカード、モデム、無線通信送受信機等の通信ユニット19と、を備える機器10における複数の部品が接続される。通信ユニット19は、電子機器10が例えばインターネットのコンピュータネットワーク及び/又は様々な電気通信ネットワークを介して、他のデバイスと情報/データを交換することを可能にする。
【0049】
プロセッサ11は、様々な、処理及び計算能力を有する汎用及び/又は専用処理構成要素であってもよい。プロセッサ11のいくつかの例には、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、様々な専用の人工知能(AI)計算チップ、様々な、機械学習モデルのアルゴリズムを実行するプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、及び任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等が含まれるが、これらに限定されない。プロセッサ11は、上記に説明された複数の方法及び処理、例えばリポタンパク亜型成分分画方法を実行する。
【0050】
いくつかの実施例において、リポタンパク亜型成分分画方法は、コンピュータプログラムとして実現可能であり、これはコンピュータ可読記憶媒体、例えば記憶ユニット18に有形的に含まれる。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムは、一部又は全部がROM12及び/又は通信ユニット19を介して電子機器10にロード及び/又はインストールされることができる。コンピュータプログラムがRAM13にロードされてプロセッサ11によって実行されると、上記したリポタンパク亜型成分分画方法の1つ又は複数のステップを実行可能である。或いは、他の実施例において、プロセッサ11は、他の任意の適切な方式によって(例えば、ファームウェアによって)、リポタンパク亜型成分分画方法を実行するように構成される。
【0051】
本明細書において、上記したシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特殊用途向け汎用品(ASSP)、システムオンチップというシステム(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組合せで実現可能である。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムに実施されることを含んでもよく、該1つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムに実行及び/又は解釈されることができ、該プログラマブルプロセッサは、メモリシステム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信して、データ及び命令を該メモリシステム、該少なくとも1つの入力装置、及び該少なくとも1つの出力装置に伝送することができる専用又は汎用プログラマブルプロセッサであってもよい。
【0052】
本願のリポタンパク亜型成分分画方法を実施するためのコンピュータプログラムは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組合せを採用して書かれてもよい。これらのコンピュータプログラムは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供可能であり、これにより、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図で規定された機能/操作が実施される。コンピュータプログラムは、完全に機器で実行されても、部分的に機器で実行されてもよく、独立ソフトウェアパッケージとして、部分的に機器で実行され且つ部分的にリモート機器で実行され、又は、完全にリモート機器又はサーバで実行されてもよい。
【0053】
本願の実施例は、
分画待ちリポタンパク試薬の試薬スキャン画像を取得することと、
予め決定され、複数のサンプルリポタンパク試薬のサンプルスキャン画像の処理に基づいて得られる目標分割点位置に基づいて、試薬スキャン画像に対して低密度リポタンパク亜型成分の分画を行うこととを含むリポタンパク亜型成分分画方法をプロセッサに実行させるためのコンピュータ指令が記憶された、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
【0054】
本願のコンテキストにおいて、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置又は機器に使用され、又は命令実行システム、装置又は機器と組み合わせて使用されるコンピュータプログラムを含むか又は記憶することができる有形的な媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体には、電子的なもの、磁気的なもの、光学的なもの、電磁的なもの、赤外線的なもの、又は半導体システム、装置又は機器、又は上記の内容の任意の適切な組合せが含まれてもよいが、これらに限定されない。あるいは、コンピュータ可読記憶媒体は機械可読信号媒体であってもよい。機械可読記憶媒体のより具体的な例は、1つ又は複数のラインによる電気的な接続、可搬型コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、可搬型コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光メモリデバイス、磁気メモリデバイス、又は上記の内容の任意の適切な組合せを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0055】
ユーザとのインタラクションを提供するために、ここで説明されるシステム及び技術は電子機器で実施されることができ、該電子機器は、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニター)、及びキーボードやポインティング装置(例えば、マウス又はトラックボール)を有し、ユーザは、該キーボードや該ポインティング装置によって入力を電子機器に提供することができる。他の種類の装置は、ユーザとのインタラクションを提供することに使用可能であり、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形式の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、且つ、ユーザからの入力を任意の形式(音入力、音声入力又は触感入力を含む)で受信することができる。
【0056】
ここで説明されるシステム及び技術は、バックグランドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)に、又は、ミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)に、又は、フロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、図形式のユーザインタフェースやネットワークブラウザを有するユーザコンピュータであり、ユーザは、該図形式のユーザインタフェースや該ネットワークブラウザを通じてここで説明されるシステム及び技術の実施形態とイントラクションをすることができる)に、又はこのようなバックグランドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含むコンピューティングシステムに実施されてもよい。システムのコンポーネントは、任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって互いに接続されてもよい。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ブロックチェーンネットワーク及びインターネットを含む。
【0057】
コンピューティングシステムは、クライアント端末及びサーバを含んでもよい。クライアント端末及びサーバは一般的に、互いに離れており、且つ通常、通信ネットワークを介してイントラクションをしている。相応するコンピュータでの実行、及び、互いにクライアント端末・サーバという関係を有するコンピュータプログラムにより、クライアント端末とサーバとの関係を築き上げる。サーバは、関連技術における物理ホスト及びVPSサービスに存在する管理の難度が大きく、業務展開性が弱いという状況を避けるための、クラウドコンピューティングサーバ又はクラウドホストとも呼ばれる、クラウドコンピューティングサービスシステムにおける1つのホスティングプロダクトであるクラウドサーバであってもよい。
【0058】
上記に示した様々な形式のフローを使用し、ステップを並べ替えたり、追加したり、削除したりすることができることを理解すべきである。例えば、本願に記載の複数の複数のステップは、本願の技術案の所望の結果が実現できれば、並行して実行されてよいし、順次的に実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよく、本明細書において、ここでは限定されない。
【国際調査報告】