(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ソフトフィール用途のための水性放射線硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 299/06 20060101AFI20240814BHJP
C09D 175/14 20060101ALI20240814BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C08F299/06
C09D175/14
C09D175/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579526
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022032830
(87)【国際公開番号】W WO2023278118
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521158783
【氏名又は名称】オルネクス ユーエスエー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクラング、ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンス、マーカス
(72)【発明者】
【氏名】シバンド、エロディ
【テーマコード(参考)】
4J038
4J127
【Fターム(参考)】
4J038DG051
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(57)【要約】
水性放射線硬化性組成物であって、a.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、b.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、c.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び少なくとも1個の親水性基を含む化合物、並びにd.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含むエチレン性不飽和化合物を反応させることにより得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液と、1~10μmのメジアン粒径D50を有する複数のポリウレタン粒子と、水を含む、組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含む水性放射線硬化性組成物:
・下記を反応させることにより得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液:
a.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、
b.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、
c.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基、及び、少なくとも1個の親水性基 を含む化合物、並びに
d.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基、及び、少なくとも1個のエチレン性不飽和基 を含むエチレン性不飽和化合物;
・非放射線硬化性であり、1~10μmのメジアン粒径D50を有する複数のポリウレタン粒子;並びに
・水。
【請求項2】
放射線硬化性ポリウレタン分散液が10~60質量部の化合物a.、1~40質量部の化合物b.、2~25質量部の化合物c.及び15~85質量部の化合物d.を反応させることにより得られ、化合物a.、b.、c.及びd.の質量部が合計100になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
放射線硬化性ポリウレタン分散液の化合物を得るために反応させる化合物が、最大400g/molの分子量を有するジオールである化合物e.を追加的に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
放射線硬化性ポリウレタン分散液を得るために反応させる化合物が、第1級及び第2級アミノ基から独立して選択される少なくとも2個のアミノ基を含む化合物f.を追加的に含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリオール化合物b.がポリエステル又はポリカーボナートである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリウレタン粒子が5~8μmのメジアン径D50を有する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
を反応させることにより得られる非放射線硬化性の更なるポリウレタン水分散液を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の組成物:
i.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物;
ii.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール;
iii.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基、及び、少なくとも1個の親水性基 を含む化合物;並びに
iv.第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選択される少なくとも2個のアミノ基を含む化合物。
【請求項8】
非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液が、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液、放射線硬化性ポリウレタン分散液及びポリウレタン粒子の質量の合計の0.1~40重量%を占める、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液を得るために反応させる化合物が、500g/mol未満の分子量を有するジオールである化合物v.を追加的に含む、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
ポリオール化合物ii.がポリエステル又はポリエーテルである、請求項7から9までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の放射線硬化性ポリウレタン分散液の非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液に対する質量比が少なくとも1.5である、請求項7から10までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
複数のポリウレタン粒子が固形分として組成物の3~20質量%を占める、請求項1から11までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
以下の添加剤:触媒、重合阻害剤又は光開始剤のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ポリウレタン粒子のT
gが最大0℃である、請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリウレタン粒子の吸油量がポリウレタン粒子100グラム当たり最大120グラムの油である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一項に記載の組成物を硬化することにより形成されるコーティング。
【請求項17】
請求項1から15までのいずれか一項に記載の組成物を表面に適用するステップと、
前記組成物を硬化して、それによりコーティングを形成するステップ
を含む、請求項16に記載のコーティングを形成する方法。
【請求項18】
コンシューマーエレクトロニクス、家電、自動車内装及び外装、包装材、家具、インモールド加飾、工業用途、グラフィカル用途又はインモールドラベリングのための請求項16に記載のコーティングの使用。
【請求項19】
下記を混合するステップを含む、請求項1から15までのいずれか一項に記載の水性放射線硬化性組成物を形成する方法:
・下記を反応させることにより得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液の化合物:
a.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、
b.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、
c.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基、及び、少なくとも1個の親水性基 を含む化合物、並びに
d.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基、及び、少なくとも1個のエチレン性不飽和基 を含むエチレン性不飽和化合物;
・ 非放射線硬化性であり、1~10μmのメジアン径D50を有する複数のポリウレタン粒子;並びに
・ 水。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性放射線硬化性組成物、前記組成物を含むコーティング、組成物を形成する方法、コーティングを形成する方法、及びコーティング用途の分野におけるコーティングの使用、より詳細には、例えば自動車内装における使用のようなソフトフィール用途の分野におけるコーティングの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティングは、化学物質及び/又は摩耗に起因し得る劣化から表面を保護する。ソフトフィールコーティングは、表面(例えばプラスチック表面)の時には魅力的でない触感をゴム、皮革又はベルベット様の快適な感覚に変換する更なる能力を有することができる。それにより、製造業者は比較的安価な材料、例えばプラスチックを使用し、コーティングを適用してハイエンドな高級品の外観を与えることができる。コーティングは高品質で更には豪華な外観を消費者に提供することができる。ソフトフィールコーティングに対する需要が高まっている。このようなコーティングはコンシューマーエレクトロニクス(例えばノート型パソコン、携帯電話のケーシング)、家電(例えばオーブン、コーヒーメーカー)、自動車内装(例えばパネル、ホルダー、アームレスト)、包装材(例えば化粧品用ボトル/キャップ、袋)及びインモールド加飾/インモールドラベリング(IMD/IML)用のテクスチャー化フィルムを含む多くの用途に使用できる。
【0003】
自動車で用いられる現在のソフトフィールコーティングは従来の二成分水性組成物から形成することができる。このようなソフトフィールコーティングは、具体的には日焼け止め及び防虫剤(例えばN,N-ジエチルメタトルアミド、即ちDEET)に対して必要とされ得る耐化学性を典型的には有さない。その代わり、必要とされる耐化学性は、ソフトフィールコーティングの下に存在するプライマー層によって提供される。プライマー層を提供するには追加の時間及び費用が必要とされる。
【0004】
溶媒系の硬化性組成物(溶媒は典型的には揮発性有機化合物である)が市販されている(例えば市販の組成物EBECRYL(登録商標)8896及びEBECRYL(登録商標)8894)。しかし、溶媒系の組成物では典型的には自動車内装向けのソフトな触感が得られない。更に、それにより形成されるコーティングは必要とされる化学検査を合格しない、即ち必要とされる耐化学性を有さない。
【0005】
溶媒系の硬化性組成物は規制の側面でも欠点がある。例えば、溶媒は典型的には、持続可能性の観点から好ましくない揮発性有機化合物である。
【0006】
市場では現在、既存のコーティングの不良な耐化学性及び耐擦傷性により従来のコーティングの改善が期待されている。水性UV技術の導入はソフトタッチ市場に革命をもたらすことができよう。
【0007】
したがって、良好なソフトフィール性及び耐化学性を有する水性コーティング組成物が当技術分野において依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点の一部を少なくとも部分的に克服する放射線硬化性組成物及び前記組成物から形成されるコーティングを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による組成物及び前記組成物から形成されるコーティングは、以下の利点のうちの1つ又は複数を有することができる:
・組成物の実施形態は、例えば最先端の二成分水性組成物と比較して適用しやすい。詳細には、表面への組成物の適用前の表面へのプライマー層の適用が不要であり得る。したがって、組成物を適用する方法は簡単且つ費用効果があり得る。高機能機器、例えば二成分スプレーガンは典型的には組成物の適用に不要である。
・揮発性有機化合物(例えば有機溶媒)は典型的には組成物に不要である。更に、組成物中の未反応、即ち遊離イソシアナート基の量は少量であり得る。これは組成物を規制の観点から持続可能で安全な選択にすることができる。更に、反応性遊離イソシアナート基の非存在は典型的には組成物の寿命、即ちポットライフを延長させる。
・組成物の寿命、即ちポットライフの潜在的な延長により、より大きいバッチが調製できる。これは更なるコスト削減をもたらすことができる。
・組成物は良好なスプレー粘度を有することができる。更に、コーティングは低温で組成物から形成することができる。
・従来の水性組成物とは異なり、本発明の組成物の実施形態はホルムアルデヒド、アルキルフェノールエトキシラート(APEO)、N-メチルピロリドン(NMP)又はN-エチルピロリドン(NEP)を含み得ない。
・組成物が放射線硬化性であるため、コーティングを形成するために組成物を硬化するのに必要とされる時間は短時間であり得る。例えば、時間のオーダーの代わりに秒以下のオーダーの時間が前記硬化に必要とされ得る。
・組成物はソフトフィールを有するコーティングを提供することができる。更に、組成物は、詳細には日焼け止め及び防虫剤、例えばN,N-ジエチルメタトルアミド(DEET)に対して良好な化学安定性及び良から優の耐化学性を有するコーティングを提供することができる。
・本発明による組成物は良好な接着性を有するコーティングを提供することができる。
【0010】
第1の態様において、本発明は、水性放射線硬化性組成物であって、a.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、b.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、c.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び好ましくは塩を含むか又は中和剤との反応後塩を含むことが可能な少なくとも1個の親水性基を含む化合物、並びにd.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含むエチレン性不飽和化合物を反応させることにより得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液とも呼ばれる放射線硬化性ポリウレタン水分散液と、非放射線硬化性であり、1~10μmのメジアン粒径D50を有する複数のポリウレタン粒子と、水を含む、組成物に関する。
【0011】
第2の態様において、本発明は第1の態様の実施形態による組成物を硬化することにより形成されるコーティングに関する。
【0012】
第3の態様において、本発明は第1の態様の実施形態による組成物を表面に適用するステップと、組成物を硬化して、それによりコーティングを形成するステップを含む、第2の態様の実施形態によるコーティングを形成する方法に関する。
【0013】
第4の態様において、本発明はコンシューマーエレクトロニクス、家電、自動車内装及び外装、包装材、家具、インモールド加飾、工業用途、グラフィカル用途又はインモールドラベリングのための第2の態様の実施形態によるコーティングの使用に関する。
【0014】
第5の態様において、本発明はa.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、b.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、c.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び好ましくは塩を含むか又は中和剤との反応後塩を含むことが可能な少なくとも1個の親水性基を含む化合物、並びにd.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含むエチレン性不飽和化合物を反応させることにより得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液の化合物と、非放射線硬化性であり、1~10μmのメジアン径D50を有する複数のポリウレタン粒子と、水を混合するステップを含む、本発明の第1の態様の任意の実施形態による水性放射線硬化性組成物を形成する方法に関する。
【0015】
本発明の文脈において、エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和官能基を有する化合物である。エチレン性不飽和官能基は典型的にはラジカル重合、即ち遊離ラジカル重合を受けるのに好適である。本発明の文脈において、「エチレン性不飽和官能基」は、照射及び/又は活性化(光)開始剤の影響下でラジカル重合を受けることができる少なくとも1個の炭素-炭素二重結合、即ちπ結合を有する基を指すことができる。重合可能なエチレン性不飽和官能基は一般にアリル基、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基から選択される。二重結合は、代わりに又は加えて、例えば不飽和酸、不飽和脂肪酸又はアクリルアミドに由来し得る。好ましい実施形態において、エチレン性不飽和化合物は(メタ)アクリラート化化合物である。本明細書において、(メタ)アクリラート化化合物は1個又は複数の(メタ)アクリロイル基を含む化合物である。
【0016】
本発明の文脈において、用語(メタ)アクリル化合物は、アクリラート化化合物とメタアクリラート化化合物の両方又はこれらの誘導体、並びにこれらの混合物を包含することが理解できる。本発明の文脈において、用語(メタ)アクリラートは、アクリラートとメタアクリラート化合物の両方を包含することを意味する。好ましい実施形態において、(メタ)アクリラート化合物はアクリラート化化合物である。このような化合物は少なくとも1個のアクリラート(CH2=CHCOO-)及び/又はメタクリラート(CH2=CCH3COO-)基を含んでもよい。1個の(メタ)アクリラート官能基のみを含有する化合物が好ましい。
【0017】
本発明の文脈において、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリル基が別個に又はアクリル及びメタクリル基の混合物として化合物上に存在することを包含する。
【0018】
本発明の文脈において、「水分散型化合物」又は「水分散液」又は「分散液」、即ち自己水分散性化合物の分散液は、水と混合したとき、追加の乳化剤又は分散剤の助けなしに水に分散した小粒子の安定した2相系を形成する化合物である。「水分散性化合物」は、水に不溶であるが、別個の助け、例えば乳化剤又は分散剤の使用を必要とせずに水に分散していることが可能であり、水分散型化合物(即ち水分散液)を形成する化合物である。即ち、分散すると、これは水に分散した小さい離散粒子又は液滴の安定な2相系を形成する。例えば「ポリウレタン分散液」中、離散粒子はポリウレタンポリマーである。粒子は分散又は内部相であり、水性媒体は連続又は外部相である。本明細書において「安定した」とは、不均一系の相分離、クリーム化又は沈降をもたらす合体(液滴)又は凝結(粒子)が60℃で1日後、好ましくは2日以上、典型的には4日以上後でも、最も好ましくは60℃で10日後でも実質的にないことを称することを意味する。
【0019】
本発明の文脈において、用語「ポリオール」は1分子当たり2個以上のヒドロキシル基を含む化合物を示す。
【0020】
本発明の文脈において、用語「ポリアミン」は1分子当たり2個以上の第1級又は第2級アミン基を含む化合物を示す。
【0021】
第1の態様において、本発明は、水性放射線硬化性組成物であって、a.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、b.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、c.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び好ましくは塩を含むか又は中和剤との反応後塩を含むことが可能な少なくとも1個の親水性基を含む化合物、並びにd.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含むエチレン性不飽和化合物を反応させることにより得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液と、非放射線硬化性であり、1~10μmのメジアン粒径D50を有する複数のポリウレタン粒子と、水を含む、組成物に関する。
【0022】
第1の態様の実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液は10~60質量部の化合物a.、1~40質量部の化合物b.、2~25質量部の化合物c.及び15~85質量部の化合物d.を反応させることにより得られ、化合物a.、b.、c.及びd.の質量部は合計して100になる。好ましくは少なくとも15、例えば少なくとも20質量部の化合物a.が反応中に存在する。好ましくは最大50質量部の化合物a.、より典型的には最大40質量部の化合物a.が反応中に存在する。好ましくは10~50、例えば20~40質量部の化合物a.が反応中に存在する。実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液を形成するために反応させる少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の化合物は化合物a.、b.、c.及びd.からなる。実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液を形成するために反応させる少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の化合物は化合物a.、b.、c.、d.、存在する場合e.及び存在する場合f.からなる。
【0023】
本発明の実施形態において、化合物a.は少なくとも2個、例えば2~6個のイソシアナート基を含む有機化合物を含む。即ち、化合物a.はポリイソシアナート化合物である。実施形態において、化合物a.は2又は3個のイソシアナート基のみ、好ましくは2個のイソシアナート基のみを含む。実施形態において、化合物a.は脂肪族、脂環式、芳香族及び/若しくは複素環式ポリイソシアナートから選択されるか又はこれらの組合せである。実施形態において、化合物a.はアロファナート基、ビウレット基及び/又はイソシアヌラート基を含有する。
【0024】
実施形態において、脂肪族又は脂環式ポリイソシアナートは1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,1’-メチレンビス[4-イソシアナトシクロヘキサン](H12MDI)、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート、IPDI)又はペンタメチレンジイソシアナート(PDI)のうちの少なくとも1つである。2個超のイソシアナート基を含有する脂肪族ポリイソシアナートは、例えば1,6-ジイソシアナトヘキサンビウレット及びイソシアヌラートのような上述のジイソシアナートの誘導体である。芳香族ポリイソシアナートの例は1,4-ジイソシアナトベンゼン(BDI)、2,4-ジイソシアナトトルエン(2,4-TDI)、2,6-ジイソシアナトトルエン(2,6-TDI)、1,1’-メチレンビス[4-イソシアナトベンゼン](MDI)、キシレンジイソシアナート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアナート(TMXDI)、1,5-ナフタレンジイソシアナート(NDI)、トリジンジイソシアナート(TODI)及びp-フェニレンジイソシアナート(PPDI)である。
【0025】
好ましくは、化合物a.は脂肪族又は脂環式ポリイソシアナートを含む。好ましい実施形態において、化合物a.は脂肪族又は脂環式ジイソシアナート、例えば脂環式ジイソシアナートを含む。1,1’-メチレンビス[4-イソシアナトシクロヘキサン](H12MDI)及び/又はイソホロンジイソシアナート(IPDI)がとりわけ好ましい。
【0026】
実施形態において、化合物a.は化合物a.に関して記載した化合物の混合物を含む。
【0027】
好ましくは、放射線硬化性ポリウレタン分散液を調製するために用いられるポリオール化合物b.の量は1~40質量部の量で存在する。
【0028】
実施形態において、ポリオール化合物b.は少なくとも500g/molの数平均分子量を有するポリオールから選択することができる。実施形態において、化合物b.は、ポリオールのヒドロキシル指数に基づき計算した場合、最大5,000g/mol、好ましくは最大2,000g/mol、より好ましくは最大1,000g/molの数平均分子量を有する。本明細書において、ヒドロキシル指数は式56×2×1000/(ポリオールのヒドロキシル価)を用いて計算することができる。実施形態において、ポリオール化合物b.はポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボナートポリオール、脂肪ダイマージオール及びポリアクリラートポリオールのうちの少なくとも1つ、並びにこれらの組合せを含む。
【0029】
実施形態において、ポリエーテルポリオールはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールのうちの少なくとも1つ又はこれらのブロックコポリマーを含む。
【0030】
実施形態において、脂肪ダイマージオールはダイマー酸、好ましくは36個の炭素原子を含むダイマー酸の水素化から得られる。
【0031】
実施形態において、ポリアクリラートポリオールは、好ましくは熱ラジカル開始剤によって開始される(メタ)アクリル及び/又は(メタ)アクリルアミドモノマーのラジカル重合によって形成することができる。形成は好ましくはヒドロキシル化メルカプタンの存在下で実施される。形成後にジオール、例えば1,4-ブタンジオールとの末端基エステル交換が続き得る。
【0032】
第1の態様の好ましい実施形態において、ポリオール化合物b.はポリエステル又はポリカーボナートである。
【0033】
好ましくは、ポリオール化合物b.はポリエステルポリオールである。実施形態において、ポリエステルポリオールは多価アルコール、好ましくは二価アルコールとポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸又はその対応する無水物とのヒドロキシル末端反応生成物である。実施形態において、ポリエステルポリオールはラクトンの開環重合から得られる。好ましくは、ポリエステルポリオールの形成に用いられるポリカルボン酸は脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環式であり、これらは置換、飽和又は不飽和であり得る。ジカルボン酸の例はコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、テトラクロロフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸及びピロメリット酸又はこれらの混合物である。ポリエステルポリオールは風乾成分、例えば長鎖不飽和脂肪酸、とりわけ脂肪酸ダイマーを更に含有することができる。
【0034】
好ましくは、ポリエステルポリオールの調製に用いられる多価アルコールはジオール化合物e.の実施形態に記載される1種又は複数のジオールから選択される。
【0035】
好ましい実施形態において、ポリエステルポリオールは(1)ネオペンチルグリコール並びに(2)アジピン酸及び/又はイソフタル酸の重縮合から主として製造される。
【0036】
化合物b.がポリカーボナートポリオールである実施形態において、化合物b.はジオール、例えばエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はテトラエチレングリコールと以下の化合物:ホスゲン、ジアルキルカーボナート、例えばジメチルカーボナート、ジアリールカーボナート、例えばジフェニルカーボナート、又は環状カーボナート、例えばエチレン若しくはプロピレンカーボナートのうちの少なくとも1つとの反応生成物であり得る。
【0037】
実施形態において、化合物b.は化合物b.に関して記載した化合物の混合物を含んでもよい。
【0038】
化合物c.は典型的には放射線硬化性ポリウレタンを水性媒体に分散性にすることが可能な少なくとも1個の親水性基を含む化合物、例えば飽和有機化合物である。実施形態において、放射線硬化性ポリウレタンは、例えば親水性基がイオン性でないか又は塩である場合、直接分散性であり得る。代替的な実施形態において、放射線硬化性ポリウレタンは、中和剤と反応して塩を提供した後分散性である。実施形態において、ポリウレタンを水性媒体に分散性にすることが可能な親水性基はイオン性又は非イオン性であり得る。好ましくは、親水性基はイオン性基、より好ましくはアニオン性基、最も好ましくは酸性基又は対応する塩である。実施形態において、酸性基はカルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基である。実施形態において、塩は対イオン及びカルボキシラート、スルホナート又はホスホナートを含む。塩の好適な対イオンの例はアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム等である。非イオン性基はポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はこれらから製造されるブロックコポリマーを含む親水性部分を含んでもよい。好ましくは、親水性基はカルボン酸基及び/又はその塩を含む。化合物c.は典型的には親水性化合物である。
【0039】
実施形態において、イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基はヒドロキシル基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなるリストから選択することができる。実施形態において、化合物c.はヒドロキシル化及び/又はアミノ化化合物である。実施形態において、化合物c.は少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のヒドロキシル基、又は少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の第1級若しくは第2級アミノ基を含有する。
【0040】
好ましい実施形態において、化合物c.は、少なくとも1個のヒドロキシル基及び少なくとも1個のカルボン酸基を含有する飽和ヒドロキシカルボン酸を含む。実施形態において、化合物c.中のヒドロキシル基の数は2個又は3個である。実施形態において、化合物c.中のカルボン酸基の数は最大3個である。好ましくは、ヒドロキシカルボン酸は、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸である。好ましくは、化合物c.は、1分子当たり少なくとも1個のヒドロキシル基を有する脂肪族飽和モノ、ジ及び/若しくはトリカルボン酸又はこれらの混合物を含む。
【0041】
好ましい実施形態において、化合物c.は少なくとも1個、例えば少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する脂肪族飽和モノカルボン酸を含む。実施形態において、飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸は一般式(HO)xR(COOH)yによって表される。Rは1~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状炭化水素部分を表す。xは1~3の整数である。yは1~3の整数である。実施形態において、x+yの合計は最大5である。実施形態において、ヒドロキシカルボン酸はクエン酸、マレイン酸、乳酸又は酒石酸のうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、上記の一般式中y=1である。好ましい実施形態において、ヒドロキシカルボン酸は、上記の一般式中x=2及びy=1であるα,α-ジメチロールアルカン酸、例えば2,2-ジメチロールプロピオン酸及び/又は2,2-ジメチロールブタン酸を含む。
【0042】
化合物c.は、上で考察した化合物c.のうちの少なくとも1つを含んでもよい。化合物c.は、上で考察した化合物c.のうちの少なくとも2つの混合物を含んでもよい。
【0043】
実施形態において、本発明の水性放射線硬化性組成物は水性分散液である。実施形態において、化合物c.は、放射線硬化性ポリウレタンを水分散性にするのに十分な量で用いられる。実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液の合成に用いられる化合物c.の量は2~25質量部の範囲であり、化合物a.、b.、c.及びd.の質量部は合計して100になる。親水性基がイオン性基である実施形態において、化合物c.の量は好ましくは3~10質量部、より好ましくは3.5~8質量部の範囲である。親水性基が非イオン性基である実施形態において、好ましくは、化合物c.の量は5~25質量部、より好ましくは10~20質量部の範囲である。
【0044】
実施形態において、エチレン性不飽和化合物d.は少なくとも1個の(メタ)アクリル基を含む。例えば(メタ)アクリル基のエチレン性不飽和は化合物d.の末端の及び/又は骨格の側基、即ちペンダント基を介して化合物d.に導入することができる。
【0045】
実施形態において、化合物d.は少なくとも1個のアクリル及び/又はメタクリル基を含有する化合物から選択される。実施形態において、化合物d.はイソシアナートと反応することが可能な2個以上の求核基(典型的にはヒドロキシル基)を含む。このような化合物d.の例はヒドロキシル基を含有するポリエステル(メタ)アクリラート、ヒドロキシル基を含有するポリエーテル(メタ)アクリラート、ヒドロキシル基を含有するポリエステルエステル(メタ)アクリラート及び/又はヒドロキシル基を含有するポリエポキシ(メタ)アクリラートである。実施形態において、化合物d.はアクリラートである。実施形態において、化合物d.は1分子当たり平均2個のヒドロキシル基を含む少なくとも1個の直鎖状化合物を含む。このような化合物は当技術分野で周知である。好ましくは、化合物d.は2個以上、典型的には平均2個のヒドロキシル基を有するポリエステル(メタ)アクリラート及び/又はポリエポキシ(メタ)アクリラートを含む。好ましくは、化合物d.は脂肪族化合物を含む。
【0046】
好ましくは、化合物d.は、1個又は複数のエチレン性不飽和官能基(例えばアクリル及び/又はメタクリル基)及びイソシアナートと反応することが可能な1個の求核性官能基(典型的にはヒドロキシル基)を含む。より好ましくは、化合物d.は(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物、例えばポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物を含む。好ましくは、化合物d.はアクリラートを含む。実施形態において、化合物d.は上記化合物のうちの少なくとも2つの混合物を含む。
【0047】
代替的な実施形態において、化合物d.は、0.9~1.1、好ましくは0.95~1.05個の残留平均ヒドロキシル官能基を有する脂肪族及び/又は芳香族ポリオール、好ましくは脂肪族ポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化生成物を含む。好ましい実施形態において、化合物d.は(メタ)アクリル酸と三、四、五若しくは六価ポリオール又はこれらの混合物との部分エステル化生成物を含む。実施形態において、化合物d.はポリオールとエチレンオキシド及び/若しくはプロピレンオキシド又はこれらの混合物との反応生成物を含む。実施形態において、化合物d.はポリオールと開環反応において前記ポリオールと反応することができるラクトンとの反応生成物を含む。実施形態において、ラクトンはγ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン、好ましくはδ-バレロラクトン及びε-カプロラクトンのうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、アルコキシル化ポリオールはヒドロキシル官能基1個当たり最大3個のアルコキシ基を有し、ε-カプロラクトンを含む。好ましくは、ポリオールは、好ましい残留ヒドロキシル官能基に達するまで、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの混合物で部分的にエステル化される。
【0048】
好ましくは、化合物d.は少なくとも2個の(メタ)アクリル官能基、例えばグリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパンジアクリラート、グリセロールジアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、ジトリメチロールプロパントリアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート並びにこれらの(ポリ)エトキシル化及び/又は(ポリ)プロポキシル化等価物(これらのいずれかのもの)を含む。
【0049】
実施形態において、化合物d.は(メタ)アクリル酸と脂肪族化合物、脂環式化合物又は芳香族化合物との反応から得られ、エポキシ官能基及び少なくとも1個の(メタ)アクリル官能基を有する。実施形態において、化合物d.は脂肪族、脂環式又は芳香族酸と(メタ)アクリラート、例えばグリシジル(メタ)アクリラートを含有するエポキシ基との反応から得られる。
【0050】
化合物d.に使用できる他の好適な化合物は、少なくとも1個のヒドロキシ官能基が依然としてイソシアナート基と自由に反応することができる直鎖状及び分岐状ポリオールの(メタ)アクリル酸エステル、例えば1~20個の炭素原子のアルキル基を含むヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートである。例えば、化合物d.はヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリラートのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0051】
実施形態において、化合物d.は化合物d.に関して記載した化合物のうちの少なくとも1つ、例えばその混合物を含んでもよい。
【0052】
実施形態において、付加物は化合物a.とd.の両方の官能基を含み、即ち化合物a.とd.の両方を含む。前記付加物は、過剰量の1つ又は複数の化合物a.と1つ又は複数の化合物d.の反応により形成することができる。本発明の別の実施形態において、化合物a.及びd.は別個の分子として提供される。
【0053】
実施形態において、放射線硬化性ポリウレタンの合成に用いられる化合物d.の量は15~85質量部、好ましくは15~70質量部、より好ましくは22~70質量部、最も好ましくは30~60質量部の範囲であり、化合物a.、b.、c.及びd.の質量部は合計して100になる。化合物a及びdが付加物に含まれる場合、放射線硬化性ポリウレタンの合成に用いられる付加物の量は下限としてa及びdの下限の合計、並びに上限としてa及びdの上限の合計を有する範囲であり得る。
【0054】
第1の態様の実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液の化合物を得るために反応させる化合物は、最大400g/molの分子量を有するジオールである化合物e.を追加的に含む。実施形態において、化合物a.、b.、c.及びd.の質量部は合計して100になり、化合物e.は0~5質量部、例えば1~5質量部の量で添加される。
【0055】
実施形態において、化合物e.は以下の化合物:エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジブチレングリコール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA若しくは水素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物若しくはプロピレンオキシド付加物のうちの少なくとも1つ又はこれらの混合物を含む。実施形態において、化合物e.は以下の化合物:グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン並びにペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールのうちの少なくとも1つを含む。
【0056】
第1の態様の実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液を得るために反応させる化合物は、第1級及び第2級アミノ基から独立して選択される少なくとも2個のアミノ基を含む化合物f.を追加的に含む。実施形態において、化合物f.は最大200g/molの分子量を有する。化合物f.は鎖延長剤として機能することができる。
【0057】
鎖延長ポリアミンは典型的には2~4個、より好ましくは2~3個の平均官能基を有する。化合物f.は最大60個、好ましくは最大12個の炭素原子を有する、好ましくは水溶性の脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式の第1級及び/又は第2級ポリアミン又はヒドラジンである。
【0058】
放射線硬化性ポリウレタンを形成するために反応に添加される化合物f.の量は、放射線硬化性ポリウレタンプレポリマー中に存在する残留、即ち未反応イソシアナート基の量から決定することができる。本明細書において、放射線硬化性ポリウレタンプレポリマーは、化合物a.、b.、c.及びd.、場合によりe.の反応によって、並びに化合物fとの反応前に得られる化合物である。実施形態において、化合物f.は化合物a.、b.、c.及びd.、場合によりe.の反応後に添加される。実施形態において、化合物f.中のアミン基の、化合物a.、b.、c.及びd.、場合によりe.の反応後に得られるプレポリマー中のイソシアナート基に対する官能基数の比は0.25~1.2、好ましくは0.5~0.95の範囲である。残留イソシアナート含有量は典型的にはアミンによるイソシアナート滴定によって測定される。アミン基の量は典型的には計算によって得られる。化合物f.を放射線硬化性ポリウレタンを得るために反応させる実施形態において、化合物f.は0.1~10質量部、好ましくは0.1~5質量部の範囲の量で添加することができ、放射線硬化性ポリウレタンを得るために反応させた全ての化合物の質量部の合計は100である。実施形態において、化合物a.、b.、c.及びd.の質量部は合計して100になり、化合物f.は1~15質量部、好ましくは1~10質量部、より好ましくは1~5質量部の量で添加される。
【0059】
実施形態において、鎖延長アミン、即ち化合物f.は以下の化合物:ヒドラジン、エチレンジアミン、ピペラジン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、トリエチレントリアミン、イソホロンジアミン(又は1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン)、アミノエチルエタノールアミン、ポリエチレンアミン、ポリオキシエチレンアミン及びポリオキシプロピレンアミン(例えばHuntsmanからのJeffamine)のうちの少なくとも1つ並びにこれらの混合物を含む。
【0060】
実施形態において、組成物は更なるエチレン性不飽和化合物を含む。更なるエチレン性不飽和化合物は水分散性放射線硬化性ポリウレタンの分散前、その間又はその後に組成物に添加することができる。典型的には、更なるエチレン性不飽和化合物は、放射線硬化性ポリウレタン分散液の一部となるために反応しない。例えば、更なるエチレン性不飽和化合物は、放射線硬化性ポリウレタン分散液の形成後ようやく組成物に添加される。水分散性非放射性硬化性の更なるポリウレタンを含む実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は、水分散性放射線硬化性の更なるポリウレタンの一部となるために反応しない。言い換えれば、典型的には、未反応の更なるエチレン性不飽和化合物が組成物の一部である。実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物はイソシアナート基と反応することが可能な官能基を含まない。これらの実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は化合物a.、b.、c.及びd.を反応させるステップの前又はその間に添加することができる。更なるエチレン性不飽和化合物が放射線硬化性ポリウレタン分散液を水に分散させる前に添加される場合、良好な分散安定性が一般に得られる。実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は化合物d.とは異なる。実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は(メタ)アクリラート化化合物でもある。
【0061】
実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は、化合物d.に関して上に記載した(メタ)アクリラート化化合物から独立して選択される。実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物はエチレン性不飽和である任意の化合物であり得、イソシアナート基と反応することが可能な官能基を含まない。
【0062】
実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は、好ましくは(メタ)アクリル酸でエステル化されている脂肪族及び芳香族多価ポリオールを含む。それにより、好ましくは、更なるエチレン性不飽和化合物は残留ヒドロキシル官能基を含有しない。好ましくは、更なるエチレン性不飽和化合物は(メタ)アクリル酸と三、四、五及び/若しくは六価ポリオール又はこれらの混合物とのエステル化生成物である。実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は三、四、五及び/又は六価ポリオールとエチレンオキシド及び/若しくはプロピレンオキシド又はこれらの混合物との反応生成物である。実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は三、四、五及び/又は六価ポリオールとラクトンとの反応生成物である。エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びラクトンは開環反応においてポリオールと反応することができる。実施形態において、ラクトンはγ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン又はε-カプロラクトン、好ましくはδ-バレロラクトン又はε-カプロラクトンである。好ましい実施形態において、ポリオールはヒドロキシル官能基1個当たり2個以下のアルコキシ基を有するアルコキシル化ポリオール又はε-カプロラクトンで変性されたポリオールである。好ましくは、変性又は非変性ポリオールは、好ましくは残留ヒドロキシル官能基が残らなくなるまで、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの混合物でエステル化される。実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物はトリメチロールプロパントリアクリラート、グリセロールトリアクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート並びにこれらの(ポリ)エトキシル化及び(ポリ)プロポキシル化等価物のうちの1つ又はこれらの混合物を含む。
【0063】
実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は以下の化合物:ウレタン(メタ)アクリラート、エポキシ(メタ)アクリラート、ポリエステル(メタ)アクリラート若しくは(メタ)アクリル(メタ)アクリラートのうちの1つ又はこれらの混合物を含む。好ましい実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物はポリウレタン(メタ)アクリラート分散液である。
【0064】
実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は水性化合物である。更なるエチレン性不飽和化合物は水分散性又は水希釈性であり得る。ウレタン(メタ)アクリラート分散液の例はUCECOAT(登録商標)7788、UCECOAT(登録商標)7655、UCECOAT(登録商標)7700、UCECOAT(登録商標)7230、UCECOAT(登録商標)7240及びUCECOAT(登録商標)7177である。好適な水希釈性ウレタン(メタ)アクリラートの例は、例えばUCECOAT(登録商標)6569、EBECRYL(登録商標)2002及びEBECRYL(登録商標)11である。このような(メタ)アクリラート化合物は当技術分野で周知である。このような(メタ)アクリラート化合物を製造する方法も当技術分野で公知であり、様々な特許出願に既に記載されている。実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液、及び存在する場合非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液は100質量部の量で存在し、更なるエチレン性不飽和化合物は0~20質量部、例えば1~20質量部の量で存在する。
【0065】
実施形態において、更なるエチレン性不飽和化合物は更なるエチレン性不飽和化合物に関して記載した化合物のうちの少なくとも1つ、例えばその混合物を含んでもよい。
【0066】
第1の態様の実施形態において、ポリウレタン粒子は放射線硬化性でない。ポリウレタン粒子は5~8μmのメジアン径D50を有する。本明細書において、D50は、ミクロンの直径を上回る半分の粒子とそれを下回る半分の粒子とで直径分布を分けるミクロンの直径である。本発明のポリウレタン粒子は代替的にはポリウレタンビーズとして、ポリウレタンフィラーとして又はポリウレタン微粒子若しくはミクロスフェアとして記載することができる。ポリウレタン粒子が組成物で形成されたコーティングにソフトな触感を付与できることが本発明の実施形態の利点である。
【0067】
第1の態様の実施形態において、ポリウレタン粒子のTg、即ちガラス転移温度は最大0℃、好ましくは最大-40℃、より好ましくは最大-50℃である。ポリウレタン粒子は室温でガラス状であり得るので、ポリウレタン粒子を含むコーティングにソフト感を付与できることが本発明の実施形態の利点である。実施形態において、ポリウレタン粒子は好ましくは少なくとも水に不溶である。ポリウレタン粒子は化学的に架橋されたポリウレタンベースの分子である。これは粒子を分子の物理的相互作用、例えば疎水性/親水性相互作用により形成される凝集物又はミセルと区別する。実施形態において、ポリウレタン粒子の吸油量は最大120%、即ちポリウレタン粒子100グラム当たり120グラムの油である。本明細書において、吸油量は好ましくはISO又はASTM技術を用いて、例えばASTM D281を用いて決定される。
【0068】
実施形態において、ポリウレタン粒子は、圧縮前並びに63mNの力を用いて、例えば1分間の圧縮及びその後の弛緩の後の第1の体積、微小圧縮試験装置-試験機-島津MCTシリーズを用いて決定した場合、第1の体積の少なくとも90%である第2の体積を有する。ポリウレタン粒子がソフトで弾性があることが本発明の実施形態の利点である。ソフト感及び弾性は、ポリウレタン粒子を含むコーティングにソフトな触感を付与できる。ポリウレタン粒子は固体である、即ち液体又はガス状ではない。
【0069】
ポリウレタン粒子は典型的には透明であるが、本発明はそれに限定されない。特定の実施形態において、ポリウレタン粒子は染料又は顔料を含んでもよい。
【0070】
実施形態において、ポリウレタン粒子は少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のポリウレタンからなる。典型的には、ポリウレタン粒子はポリウレタンから本質的になっている。実施形態において、ポリウレタン粒子のポリウレタンは脂肪族ポリウレタンである。実施形態において、ポリウレタン粒子はポリオールで形成され、ポリオールはポリエステルポリオール、ポリカーボナートポリオール又はポリエーテルポリオールのうちの少なくとも1つを好ましくは含む。好ましい実施形態において、ポリウレタン粒子は再生可能な植物源から得ることができる。好ましい実施形態において、ポリウレタン粒子は水ベースの方法を用いて得られる。好ましい実施形態において、ポリウレタン粒子は、水とは異なる溶媒を含まず、好ましくは有機溶媒を含まない方法を用いて得られる。ポリウレタン粒子が揮発性有機化合物(VOC)、アルキルフェノールエトキシラート(APEO)、フタラート、ホルムアルデヒド及び重金属を含み得ないことは本発明の実施形態の利点である。実施形態において、ポリウレタン粒子はイソシアナート基を含まない。本発明の実施形態で使用するのに好適なポリウレタン粒子は、例えばDecosphaera Transparent(登録商標)HT8-20、MicroTouch(登録商標)850XF及びAddimat(登録商標)8FTである。
【0071】
第1の態様の実施形態において、組成物は、i.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、ii.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、iii.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び好ましくは塩を含むか又は中和剤との反応後塩を含むことが可能な少なくとも1個の親水性基を含む化合物、並びにiv.第1級及び第2級アミノ基から選択される少なくとも2個のアミノ基を含む化合物を反応させることにより得られる非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液を含む。実施形態において、化合物iv.は最大200g/mol、例えば最大150g/molの分子量を有する。
【0072】
実施形態において、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液は、化合物i.及びii.並びに好ましくはiii.を反応させ、それによりプレポリマーを形成するステップと、プレポリマーを水性溶媒に分散させるステップと、プレポリマーを化合物iv.と反応させることによりプレポリマーを鎖延長するステップによって調製される。
【0073】
実施形態において、化合物i.は化合物a.に関して記載した化合物のいずれかから独立して選択することができる。
【0074】
当業者に公知の任意のポリオールはポリオールii.として使用できる。実施形態において、化合物ii.は化合物b.に関して記載した化合物のいずれかから独立して選択することができる。典型的なポリオールとしてはグリコール及びポリマーポリオールが挙げられるがこれらに限定されない。実施形態において、グリコールはアルキレングリコール、例えばエチレングリコール;1,2-及び1,3-プロピレングリコール;1,2-、1,3-、1,4-及び2,3-ブチレングリコール;ヘキサンジオール;ネオペンチルグリコール;1,6-ヘキサンジオール;1,8-オクタンジオール;及び他のグリコール、例えばビスフェノール-A、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、カプロラクトンジオール、ジメラートジオール、ヒドロキシル化ビスフェノール、ポリエーテルグリコール、ハロゲン化ジオール及びこれらの混合物を含む。しかし、本発明はこれらに限定されない。
【0075】
実施形態において、化合物ii.に用いられるポリマーポリオールはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリカプロラクトン、ヒドロキシル含有アクリルインターポリマー、ヒドロキシル含有エポキシド、ポリアルキレンエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボナート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリチオエーテル、ポリシロキサンポリオール、エトキシル化ポリシロキサンポリオール、ポリブタジエンポリオール及びこれらの混合物から選択することができる。本発明の方法で有用な代表的なポリオールとしては、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,108,814号及び第6,576,702号に記載されているものが挙げられる。
【0076】
好ましい実施形態において、ポリオールii.はポリマーポリオールを含む。好ましいポリマーポリオールとしてはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びヒドロキシポリカーボナートが挙げられる。
【0077】
ポリエステルポリオールは、有機ポリカルボン酸又はその無水物を化学量論過剰量のジオールと反応させることにより調製されるエステル化生成物である。実施形態において、ポリオールii.に用いられるポリエステルポリオールはポリグリコールアジパート、イソフタラート、オルトフタラート、テレフタラート、ポリカプロラクトンポリオール、スルホン化ポリオールのうちの少なくとも1つ及びこれらの混合物を含んでもよい。実施形態において、ポリエステルポリオールはポリオールb.に関して記載したジオールから形成することができる。ポリエステルポリオールを形成するのに好ましいジオールはエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールである。ポリエステルポリオールを製造するのに好適なカルボン酸としてはジカルボン酸及びトリカルボン酸、並びに無水物、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、フタル酸、フタル酸の異性体、無水フタル酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ポリエステルポリオールを形成するのに好ましいポリカルボン酸としては脂肪族又は芳香族二塩基酸が挙げられる。
【0078】
ヒドロキシポリエーテルは当技術分野で公知の任意のヒドロキシポリエーテルから選択することができる。実施形態において、ヒドロキシポリエーテルはエポキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド若しくはエピクロロヒドリン又はこれらの混合物の重合によって得られる。エポキシドは触媒、例えばBF3の存在下で又は触媒の非存在下で重合することができる。ヒドロキシポリエーテルは、反応性水素原子を含有する成分、例えばアルコール又はアミン(例えば水、エチレングリコール、1,3-又は1,2-プロピレングリコール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルプロパン又はアニリン)へのエポキシドの、任意選択でエポキシドの混合物としての添加によって形成することができる。
【0079】
実施形態において、ヒドロキシポリチオエーテルは自己縮合によって及び/又は別のグリコール、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノカルボン酸若しくはアミノアルコールとの縮合によってチオジグリコールを縮合することにより形成される。それにより、ヒドロキシポリチオエーテルはポリチオ混合エーテル、ポリチオエーテルエステル又はポリチオエーテルエステルアミドを含んでもよい。しかし、ヒドロキシポリチオエーテルはこれらの実施形態に限定されない。
【0080】
実施形態において、ヒドロキシポリアセタールはグリコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、4,4’-ジオキシエトキシジフェニルジメチルメタン及びヘキサンジオールとホルムアルデヒドとの反応生成物を含む。実施形態において、ヒドロキシポリアセタールは環状アセタールの重合によって得られる。しかし、ヒドロキシポリアセタールはこれらの実施形態に限定されない。
【0081】
ヒドロキシポリカーボナートは当業者に公知の任意のヒドロキシポリカーボナートであり得る。実施形態において、ヒドロキシポリカーボナートはジオール、例えば1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールをジアリールカーボナート、例えばジフェニルカーボナート又はホスゲンと反応させることにより形成される。
【0082】
実施形態において、ヒドロキシポリエステルアミド及びヒドロキシポリアミドは、飽和又は不飽和ポリカルボン酸又はこれらの無水物及び多価の飽和又は不飽和アミノアルコール、ジアミン、ポリアミン又はこれらの混合物の反応から得られる主に直鎖状の、例えば直鎖状縮合物を含む。ポリエステルアミド及びポリアミドを形成するのに用いられる好ましいアミノアルコール、ジアミン及びポリアミンとしては1,2-ジアミノエタン、1,6-ジアミノヘキサン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,12-ジアミノドデカン、2-アミノエタノール、2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタノール、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン又はIPDA)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-プロピレンジアミン、ヒドラジン、尿素、アミノ酸ヒドラジド、セミカルバジドカルボン酸のヒドラジド、ビスヒドラジド及びビスセミカルバジド、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N,N,N-トリス(2-アミノエチル)アミン、N-(2-ピペラジノエチル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン、N,N,N’トリス(2-アミノエチル)エチレンジアミン、N-[N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチル]-N’-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-(2-アミノエチル)-N’-(2-ピペラジノエチル)エチレンジアミン、N,N-ビス(2-アミノエチル)-N-(2-ピペラジノエチル)アミン、N,N-ビス(2-ピペラジノエチル)アミン、ポリエチレンイミン、イミノビスプロピルアミン、グアニジン、メラミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン、3,3’-ジアミノベンジジン、2,4,6-トリアミノピリミジン、ポリオキシプロピレンアミン、テトラプロピレンペンタミン、トリプロピレンテトラミン、N,N-ビス(6-アミノヘキシル)アミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン及び2,4-ビス(4’-アミノベンジル)アニリン並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。他の好適なジアミン及びポリアミンは、分子量のみが異なるアミン末端ポリプロピレングリコールであるJeffamine(登録商標)D-2000及びD-4000(Huntsman Chemical Companyから市販されている)が挙げられる。ウレタン及び尿素基を含むポリヒドロキシル化合物が使用できる。特定の実施形態において、ヒドロキシポリアミドはアジピン酸及び1,6-ジアミノヘキサンを反応させることにより形成される直鎖状ポリアミドである。特定の実施形態において、ポリエステルアミドはアジピン酸、1,6-ヘキサンジオール及びエチレンジアミンを反応させることにより形成される。
【0083】
しかし、ポリオールii.は上に記載した実施形態のいずれかに限定されない。例えば、ポリオールii.は、High Polymer、第XVI巻、Saunders-Frischによる「ポリウレタン、化学及び技術(Polyurethane, Chemistry and Technology)」、Interscience Publisher、New York、London、第I巻、1962、32~42頁及び44~54頁、及び第II巻、1964、5~6頁及び198~199頁、並びにKunststoff-Handbuch、第VII巻、Vieweg-Hochtlen、Carl-Hanser-Verlag、Munich、1966、例えば45~71頁に記載される任意のポリオールから選択することができる。
【0084】
実施形態において、ポリオールii.はポリオールii.に関して記載した化合物のうちの2つ以上を含む。即ち、ポリオール化合物ii.は混合物であり得る。第1の態様の好ましい実施形態において、ポリオール化合物ii.はポリエステル又はポリエーテルである。
【0085】
実施形態において、化合物iii.は化合物c.に関して記載した化合物のいずれかから独立して選択することができる。
【0086】
実施形態において、化合物iv.は化合物f.に関して記載した化合物のいずれかから独立して選択することができる。
【0087】
第1の態様の実施形態において、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液は、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液、放射線硬化性ポリウレタン分散液及びポリウレタン粒子の質量の合計の0.1~40重量%を占める。実施形態において、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液は水性分散液として提供される。好ましくは、水性分散液は30~45重量%の水分散性非放射線硬化性の更なるポリウレタンを含む。好ましくは水性分散液は1000mPa・s未満、好ましくは500mPa・s未満、より好ましくは200mPa・s未満の動粘度を有する。好ましくは、水性分散液のpHは7~10である。好ましくは、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液は0~100℃、例えば10~60℃のTgを有する。好ましくは、水分散性非放射線硬化性の更なるポリウレタンのMwは少なくとも100,000g/mol、例えば少なくとも1,000,000g/molである。好適な非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液を含み得る市販の水性分散液の例はDaotan(登録商標)6490、Daotan(登録商標)6491及びDaotan(登録商標)6493である。
【0088】
第1の態様の実施形態において、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液を得るために反応させる化合物は500g/mol未満、好ましくは最大150g/molの分子量を有するジオールである化合物v.を追加的に含む。ジオールv.は化合物b.に関して記載した化合物のいずれかから独立して選択することができるが、但しジオールv.は500g/mol以下のMwを有する。第1の態様の実施形態において、組成物中の放射線硬化性ポリウレタン分散液の非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液に対する質量比は少なくとも1.5である。
【0089】
第1の態様の実施形態において、複数のポリウレタン粒子は固形分として組成物の3~20質量%を占める。以下の実施形態において、固形分としてのポリウレタン粒子の量は組成物中の水の量と無関係であり得、組成物中に存在するポリウレタンの濃度にのみ依存し得る。更なる非放射線硬化性ポリウレタン分散液を含まない実施形態において、複数のポリウレタン粒子の放射線硬化性ポリウレタン分散液に対する質量比は0.08~1.0であり得る。放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液を含む実施形態において、複数のポリウレタン粒子の放射線硬化性ポリウレタン分散液及び放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液の化合物の合計に対する質量比は0.08~1.0であり得る。
【0090】
好ましい実施形態において、組成物は7~25重量%の放射線硬化性ポリウレタン分散液、0~15重量%の非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液、3~20重量%のポリウレタン粒子、0.1~5重量%の光開始剤、光開始剤とは異なる0~5重量%、例えば0.1~5重量%の添加剤及び30~80重量%の水を含む。
【0091】
放射線硬化性ポリウレタン分散液及び非放射線硬化性ポリウレタン分散液は水中の分散液として提供することができる。即ち、放射線硬化性ポリウレタン分散液は放射線硬化性ポリウレタン分散液として提供することができる。水分散性非放射線硬化性ポリウレタンは非放射線硬化性ポリウレタン分散液として提供することができる。好ましくは、分散液は30~50質量%のポリウレタンを含み、残りは水である。これらの実施形態において、好ましくは、組成物は30~85重量%の放射線硬化性ポリウレタン分散液、0~40重量%の分散性の更なるポリウレタン化合物、3~20重量%のポリウレタン粒子、0.1~5重量%の光開始剤、光開始剤とは異なる0.1~5重量%の添加剤、分散液に含まれる水に加えて0~20重量%の追加の水を含む。
【0092】
実施形態において、第1の態様の組成物はレオロジー調整剤、増粘剤、融合助剤、消泡剤、湿潤剤、接着促進剤、フロー及びレベリング剤、殺生物剤、界面活性剤、安定剤、抗酸化剤、ワックス、ポリウレタン粒子とは異なる更なるフィラー、ポリウレタン粒子及び放射線硬化性ポリウレタン及び非放射線硬化性ポリウレタンとは異なるナノ粒子、艶消し剤、不活性又は機能性樹脂、顔料、染料並びにティントから選択される少なくとも1種の添加剤を更に含んでもよい。第1の態様の好ましい実施形態において、組成物は以下の添加剤:触媒、重合阻害剤又は光開始剤のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0093】
実施形態において、少なくとも1種の添加剤、例えばレオロジー調整剤、沈降防止剤、湿潤剤、レベリング剤、へこみ防止剤、消泡剤、スリップ剤、難燃剤、紫外線保護剤又は接着促進剤は、基板への配合された分散液の適用を改善するのに好適である。好適な阻害剤の例としてはヒドロキノン(HQ)、メチルヒドロキノン(THQ)、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ジ-tert-ブチルヒドロキノン(DTBHQ)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)等が挙げられるがこれらに限定されない。阻害剤はホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン(TPP)及びトリスノニルフェニルフォスファイト(TNPP)、フェノチアジン(PTZ)、トリフェニルアンチモン(TPS)及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0094】
本発明の実施形態による水性放射線硬化性組成物は照射、例えば紫外光によって硬化性であり得る。好ましくは、照射は光開始剤の存在下で行われる。水性放射線硬化性組成物は、代替的には光開始剤の非存在下で良好な硬化をもたらすことができる電子線照射によって硬化することができる。本発明の実施形態による組成物は高速硬化性であり得る。組成物は、例えばUV LED及び/又はHUVによって硬化することができる。
【0095】
実施形態において、光開始剤は低から非黄変光開始剤、例えばIGM製のOmnirad(登録商標)1000、Omnirad(登録商標)481、Comindex製のDOUBLECURE(登録商標)200、Chembridge製のChemcure(登録商標)73、Chemcure(登録商標)73-w、Chemcure(登録商標)481、IGM製のIrgacure(登録商標)184及びDarocure(登録商標)1173を含む。水性放射線硬化性組成物の最終使用が低マイグレーションを必要とするか且つ/又は食品包装材におけるものである場合、ポリマー光開始剤、例えばIGM製のOmnipol(登録商標)グレード、IGM製のIrgacure(登録商標)2959又は防食チオキサントン光開始剤を使用することが好まれ得る。水性放射線硬化性組成物の異なる最終用途、例えばインクが検討される場合、アミン相乗剤、例えばEBECRYL(登録商標)P115、EBECRYL(登録商標)P116又はDOUBLECURE(登録商標)225と一緒に光開始剤を使用することが好まれ得る。UV LED硬化が組成物の硬化に用いられる場合、EBECRYL(登録商標)LED01又はEBECRYL(登録商標)LED02を使用することが好ましい。
【0096】
第1の態様の実施形態による放射線硬化性ポリウレタン分散液は少なくとも1meq/g、典型的には少なくとも1.5meq/g、好ましくは少なくとも2meq/gの量の共重合可能なエチレン性不飽和基を含んでもよい。本明細書において、meqはミリ当量を意味し、gはグラムを意味する。典型的には、この量は10meq/gを超えず、より好ましくは7meq/gを超えず、最も好ましくは5meq/gを超えない。即ち、放射線硬化性ポリウレタン分散液は放射線硬化性ポリウレタン分散液1g当たり1~10meqの二重結合、好ましく放射線硬化性ポリウレタン分散液1g当たり1.5~7meqの二重結合、最も好ましくは放射線硬化性ポリウレタン分散液1g当たり2~5meqの二重結合の範囲のある程度の不飽和を有することができる。
【0097】
放射線硬化性ポリウレタン分散液中のエチレン性不飽和基の量は核磁気共鳴分光法(NMR)によって決定することができる。エチレン性不飽和基の量は、固形物1g当たりのmeqで表すことができる。決定のために、乾燥、即ち水及び溶媒を含まない放射線硬化性ポリウレタンの試料がN-メチルピロリドンに溶解され得る。試料は、エチレン性不飽和基のモル濃度を決定するために1H-NMR分析を用いて測定され、例えば1,3,5-ブロモベンゼンが内部標準として用いられ得る。内部標準の芳香族環に結合したプロトンに割り当てられたピークと、放射線硬化性ポリウレタン分散液中のエチレン性不飽和基のプロトンに割り当てられたピークとの比較は、エチレン性不飽和基のモル濃度の計算を可能にすることができる。エチレン性不飽和基のモル濃度は、(A×B)/Cに比例していると想定することができる。本明細書において、Aは放射線硬化性ポリウレタン分散液中のエチレン性不飽和基のプロトンに割り当てられた1Hピークの積分である。本明細書において、Bは試料中の内部標準のモル数である。本明細書において、Cは内部標準に対して測定された1Hピークの積分である。
【0098】
代替的には、エチレン性不飽和基の量は、エチレン性不飽和基に対して過剰量の硫酸ピリジニウムジブロミドの添加後の滴定法によって測定することができる。本明細書において、例えば氷酢酸が溶媒として使用でき、酢酸水銀が触媒として使用できる。前記過剰量はヨウ化カリウムの存在下でヨウ素を遊離し、次いでヨウ素はチオ硫酸ナトリウムで滴定される。
【0099】
典型的には、本発明の実施形態による放射線硬化性ポリウレタン分散液はポリマー又はオリゴマー化合物を含む。実施形態において、本発明による放射線硬化性ポリウレタン分散液は500~20,000ダルトン、即ちg/mol、好ましくは800~10,000ダルトン、最も好ましくは1,000~5,000ダルトンの数平均分子量(Mw)を有する。重量平均分子量(Mw)は典型的にはゲル透過クロマトグラフィーによって測定される。例えば溶離液としてTHFを用い、3×PLgel 5μm Mixed-D LS 300×7.5mmカラムを用い、162~377400g/molのMw範囲に好適で、40℃でポリスチレン標準で較正したゲル透過クロマトグラフィーが実施できる。
【0100】
実施形態において、本発明の実施形態による水性放射線硬化性組成物は30~65重量%、好ましくは35~50重量%の全固形分を有する。本明細書において、全固形分は放射線硬化性ポリウレタン分散液、ポリウレタン粒子、場合により非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液及び場合により固形添加剤を含む。実施形態において、水性放射線硬化性組成物の非固形分、例えば液体分は水を含む、好ましくは水からなる。実施形態において、水性放射線硬化性組成物は最大1,000mPa・s、好ましくは最大800mPa・s、より好ましくは最大500mPa・s、更により好ましくは最大200mPa・sの25℃で測定した粘度を有する。実施形態において、水性放射線硬化性組成物は6~11、好ましくは6~8.5のpHを有する。
【0101】
水性放射線硬化性ポリウレタンは水に分散させたとき、典型的にはナノ粒子を形成する。典型的には、放射線硬化性ポリウレタンの平均、即ち中間粒径は最大200nm、好ましくは最大150nmである。典型的には、非放射線硬化性ポリウレタンの平均、即ち中間粒径は最大200nm、好ましくは最大150nmである。
【0102】
実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液は0~100℃、例えば10~60℃のTgを有する。
【0103】
第1の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、本発明の他の態様のいずれかの任意の実施形態について対応して記載されるように独立して記載され得る。
【0104】
第2の態様において、本発明は第1の態様の実施形態による組成物を硬化することにより形成されるコーティングに関する。実施形態において、コーティングは、表面の表面に垂直方向に2~200μmの厚さを有する。本明細書において、厚さは、水を含む液体の除去後に典型的には得られる乾燥コーティングの厚さである。
【0105】
第2の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、本発明の他の態様のいずれかの任意の実施形態について対応して記載されるように独立して記載され得る。
【0106】
第3の態様において、本発明は、第1の態様の実施形態による組成物を表面に適用するステップと、組成物を硬化し、それによりコーティングを形成するステップを含む、第2の態様の実施形態によるコーティングを形成する方法に関する。実施形態において、組成物は任意の可能な方法で、例えばローラーコーティング、スプレーアプリケーション、インクジェット又はカーテンコーティングを介して表面に適用することができる。実施形態において、方法は、組成物中に含まれる水、場合により他の溶媒を除去するためのコーティングを乾燥する更なるステップを含む。実施形態において、組成物は、表面の表面に垂直方向に2~200μmの厚さの表面を有するコーティングを形成するように表面に適用される。本明細書において、厚さは乾燥コーティングの厚さである。
【0107】
第3の態様の実施形態において、組成物は40~60℃の温度で表面に適用される。その後、組成物の硬化は10~50℃、例えば20~40℃の温度で実施できる。
【0108】
コーティングを形成するための放射線硬化性水性組成物の特定の用途が記載されるが、本発明はそれに限定されない。実際に、本発明による放射線硬化性水性組成物はコーティング(透明及び着色、光沢又はマット)、インク、塗料、ワニス(オーバープリントワニス等)及び接着剤を形成するために使用できる。放射線硬化性水性組成物はコンポジット、ゲルコート、3D硬化を形成するために及び一般に3Dオブジェクト(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボナート、ポリ塩化ビニルから作成され、任意選択で他のコーティング、例えばポリウレタンでプレコートされた例えば3次元オブジェクト)の作成に更に使用できる。
【0109】
したがって、本発明はインク、ワニス(オーバープリントワニス等)、塗料、コーティング及び接着剤を製造するための本発明の実施形態による放射線硬化性水性組成物の使用、並びにインク、ワニス(オーバープリントワニス等)、コーティング及び接着剤を製造する方法であって、本明細書の上に記載した組成物が用いられる方法にも関する。
【0110】
実施形態において、表面は基板又は物品に含まれる。実施形態において、コーティングされた基板及び物品は、組成物を表面に適用するステップが基板又は物品の少なくとも一部を放射線硬化性水性組成物でコーティングするステップと、好ましくは放射線硬化性水性組成物を硬化するステップを含む、第3の態様の実施形態によって調製される。即ち、第3の態様の方法は、
(a)放射線硬化性水性組成物を提供するステップと、
(b)前記組成物を物品又は基板の表面に適用するステップと、
(c)好ましくは組成物を放射線、例えば化学放射線で照射することにより組成物を硬化するステップ
を含む、物品又は基板を第2の態様の実施形態によるコーティングで少なくとも部分的にコーティングする方法であり得る。
【0111】
補助的な態様において、本発明は、本発明の第1の態様による放射線硬化性水性組成物で又は本発明の第2の態様の実施形態によるコーティングで少なくとも部分的、例えば完全にコーティングされた物品又は基板に関する。基板は任意の基板、例えば木材、金属、紙、プラスチック、織物、繊維、セラミック、無機物(石、レンガ)、セメント、漆喰、ガラス、皮革又は皮革様、コンクリート及び既に印刷された又はコーティングされた材料(例えばメラミンパネル、印刷紙)等であり得る。物品は任意の物品、例えば3D物品であり得る。好ましくは、物品又は基板は木材又はプラスチック製である。
【0112】
組成物はシングルコート(モノコート)として又はトップコートとして適用することができる。
【0113】
放射線硬化性組成物は典型的には、ラジカルが関与する反応を介して硬化することができる組成物である。硬化は典型的には放射線の適用により実施されるが、硬化は、例えばその代わりに、過酸化物を組成物に添加することによっても実施できる。第1の態様の実施形態による放射線硬化性組成物は、放射線硬化性ポリウレタン中のエチレン性不飽和官能基の存在による放射線への曝露によって硬化性であり得る。エチレン性不飽和官能基は、放射線硬化性組成物を形成するために用いられるエチレン性不飽和化合物に起因し得る。好ましい実施形態において、放射線硬化性水性組成物の硬化はUV光、場合によりUV LED光又は電子線(EB)による照射によって行われる。低エネルギー硬化(UV LED硬化等)も可能である。即ち、表面への適用後の放射線硬化性水性組成物は化学放射線で、典型的にはUV光を使用することにより又は電子線を使用することにより照射することができる。第1の態様による放射線硬化性組成物の硬化に好適な放射線の種類はUV光である。好適なUV光の波長は200~400nmを含む。
【0114】
典型的な好適なUV光源は200~800nmの波長で光を放出し、200~400nmの範囲の少なくとも一部の放射線を放出する。
【0115】
UV光源は例えばUV発光ダイオード(UV-LED)であり得る。UV-LEDは典型的には365~395nmの範囲の最も強い波長のスペクトルに放出される。
【0116】
第3の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、本発明の他の態様のいずれかの任意の実施形態について対応して記載されるように独立して記載され得る。
【0117】
第4の態様において、本発明はコンシューマーエレクトロニクス、家電、自動車内装及び外装、包装材、例えば化粧品包装材、家具、インモールド加飾、工業用途、グラフィカル用途又はインモールドラベリング、好ましくは自動車内装及び外装、家電、コンシューマーエレクトロニクス又は化粧品包装材のための第2の態様の実施形態によるコーティングの使用に関する。
【0118】
本発明の実施形態によるコーティングの特定の好ましい使用は自動車内装及び外装、好ましくは自動車内装である。
【0119】
第4の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、本発明の他の態様のいずれかの任意の実施形態について対応して記載されるように独立して記載され得る。
【0120】
第5の態様において、本発明はa.少なくとも2個のイソシアナート基を含む化合物、b.少なくとも500g/molの分子量を有するポリオール、c.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び好ましくは塩を含むか又は中和剤との反応後塩を含むことが可能な少なくとも1個の親水性基を含む化合物、並びにd.イソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の基及び少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含むエチレン性不飽和化合物を反応させることにより得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液の化合物と、1~10μmのメジアン径D50を有する複数のポリウレタン粒子と、水を混合するステップを含む、本発明の第1の態様の実施形態による水性放射線硬化性組成物を形成する方法に関する。
【0121】
本発明の実施形態による水性放射線硬化性組成物は多くの方法で調製することができる。放射線硬化性ポリウレタン分散液は典型的には水溶液又は水性分散液の形態で提供される。即ち、水及び放射線硬化性ポリウレタン分散液は、水及び放射線硬化性ポリウレタン分散液を含む混合物から提供することができる。
【0122】
実施形態において、水性放射線硬化性組成物の形成は、化合物a.、b.、c.及びd.、場合により化合物e.の反応を含む第1のステップを含む。本明細書において、化合物a.、b.、c.及びd.は一緒に同時に又は多段法で反応することができる。例えば、化合物a.、c.、場合によりb.が最初に反応し、次に化合物d.が反応することができる。任意選択で、方法は化合物f.との反応による鎖延長のステップを更に含有することができる。化合物f.との反応ステップはa.、b.、c.及びd.、場合によりe.を反応させた後に好ましくは実施され、化合物f.は任意の残留、即ち未反応イソシアナート基と反応する。それにより、好ましくは未反応イソシアナート基を含まない、本発明の実施形態による放射線硬化性ポリウレタン分散液を形成することができる。場合により、反応の停止後、更なるエチレン性不飽和化合物を添加することができる。残留イソシアナート含有量は典型的にはアミンによるイソシアナート滴定によって測定される。NH2基の量は典型的には計算によって得られる。反応は、プレポリマーの粘度を低下させるために5~40重量%、好ましくは15~25重量%の溶媒の添加によって実施できる。好ましくは、溶媒はアセトン又はメチルエチルケトンである。
【0123】
その後、化合物c.によって提供される親水性基が塩を含まないが、塩を含むことが可能な実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液は、親水性基をアニオン塩に変換するために中和剤と反応することができる。これは、有機又は無機中和剤をプレポリマー又は水に添加することにより行うことができる。好適な中和剤としてはアンモニア、揮発性有機第3級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペラジン、N-メチルピロリジン及びN-メチルピペリジン、低揮発性アルコールアミン、例えばジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエチルプロパノールアミン並びに一価の金属カチオン、好ましくはアルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム及びカリウム、並びにアニオン、例えば水酸化物、水素化物、カーボナート及びバイカーボナートを含む不揮発性無機塩基が挙げられる。好ましくは、中和剤はトリエチルアミン及び/又は水酸化ナトリウムを含む。これらの中和剤の総量は中和される酸基の総量に従って計算することができる。実施形態において、中和剤は、0.5:1~1:1の、中和剤の酸基、例えばプロトン化親水性基に対する化学量論比で添加される。
【0124】
実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液は、例えば水分散性放射線硬化性ポリウレタンを水に緩徐に添加することにより又は逆に水をプレポリマーに添加することにより水に分散させる。典型的には、分散は高せん断混合を用いて実施される。
【0125】
実施形態において、中和剤は、水分散性放射線硬化性ポリウレタンを水に分散させるステップの前、その間又はその後に添加することができる。
【0126】
典型的には、プレポリマーの分散液の形成後、前記分散液が100℃より低い沸点を有する揮発性の、例えば有機溶媒を含む場合、前記溶媒は分散液から除去される。これは、大気圧に対して低下させた減圧下で及び20~90℃、好ましくは40~70℃の温度で行うことができる。
【0127】
実施形態において、ポリウレタン粒子は粉末形態で提供される。実施形態において、ポリウレタン粒子は分散液又は懸濁液として提供される。例えばポリウレタン粒子は水中で提供することができる。
【0128】
本発明の実施形態による組成物は様々な方法で調製することができる。実施形態において、放射線硬化性ポリウレタン分散液の化合物、ポリウレタン粒子、水、場合により添加剤及び更なる化合物がブレンド及び混合される。実施形態において、高せん断混合が混合に用いられる。実施形態において、混合は、好ましくは1分間に20~2000回転の回転速度でCowlesブレードを用いて実施できる。例えば、混合は、室温で高せん断下で1分間に20~2000回転の回転速度で例えばCowlesブレードを用いて実施できる。本明細書において、回転速度はCowlesブレードの直径、容器の直径及び混合される体積に依存し得る。
【0129】
実施形態において、混合は、ポリウレタン粒子が懸濁液中に存在する水性放射線硬化性組成物をもたらすことができる。実施形態において、沈降防止剤は、ポリウレタン粒子の沈降を防止するために水性放射線硬化性組成物に添加することができる。
【0130】
第5の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、本発明の他の態様のいずれかの任意の実施形態について対応して記載されるように独立して記載され得る。
【0131】
以下に、本発明を以下の非限定的な例を参照して詳細に記載するが、これは例示のためのものにすぎない。別段示されない限り、例において言及される部分は重量部である。
【実施例】
【0132】
放射線硬化性ポリウレタン分散液及び非放射線硬化性ポリウレタン分散液
第1の放射線硬化性ポリウレタン分散液(UV PUD1)
UV PUD1は市販品UCECOAT(登録商標)2804である。これは化合物a.、化合物b.、化合物c.、化合物d.及び化合物e.の混合物の反応から得られる低マイグレーションのアクリラート化ポリウレタン半透明分散液である。これは60mPasの粘度、34.7重量%の固形分、96nmの粒径及び7.2のpHを有していた。
【0133】
第2の放射線硬化性ポリウレタン分散液(UV PUD2)
UV PUD2は262.1gのEBECRYL(登録商標)4744(d.)、13.4gのネオペンチルグリコール(e.)、118.8gのネオペンチルグリコールのポリエステル、アジピン酸及びイソフタル酸(Mw635、b.)、並びに35.1gのジメチロールプロピオン酸(c.)と0.3gのジブチルスズジラウラート、133.9gのイソホロンジイソシアナート(a.)及び66.9gのヘキサメチレンジイソシアナート(a.)の反応から得られる放射線硬化性ポリウレタン分散液である。得られたプレポリマーは0.5meq NCO/gの残留NCOを有していた。次いで、20.7gのトリエチルアミンを添加した。最後に、11.8gのエチレンジアミン(f.)を分散ステップの後に添加した。最終分散液は151mPasの粘度、35.0重量%の固形分、46nmの粒径及び7.9のpHを有していた。
【0134】
(例1c)
非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液
水中の水分散性非放射線硬化性の更なるポリウレタンを含む3種の分散液:Daotan(登録商標)6490(PUD1)、Daotan(登録商標)6491(PUD2)及びDaotan(登録商標)6493(PUD3)を例で使用した。これらの分散液は各々市販されている。これらの分散液の特性を以下の表0に要約する。
【表0】
【0135】
水性放射線硬化性組成物及びそれによるコーティングの調製
例のために様々な組成物を以下の一般的な製法に従って調製した。
【0136】
水性放射線硬化性ポリウレタン分散液を250mLのプラスチック混合容器に注いだ。任意選択で、非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液を前記水性放射線硬化性ポリウレタン分散液に添加した。分散液をCowlesミキサーブレード(5/8インチ)を用いて600rpmで撹拌した。次に、水、次いで添加剤を水性分散液に添加し、混合物を得た。例において、Additol(登録商標)VXW390及びAdditol(登録商標)VXW6580を湿潤剤として、並びにIrgacure(登録商標)500を光開始剤として添加した。最後に、フィラー、例えばポリウレタン粒子又は非ポリウレタン粒子を混合物に添加した。混合物を600rpmで約20分間撹拌した。全てのステップを室温で実施した。Cowlesブレードは、ポリウレタン粒子の良好な分散を確実にし、それにより本発明の実施形態による組成物が得られるので好ましい。
【0137】
各組成物で使用した様々な化合物、添加剤及びフィラーの相対量を以下の例に示す。
【0138】
以下の例において、組成物を調製後すぐに使用してコーティングを形成した。このため、各組成物をプラスチック基板(ABS:Magnum(登録商標)3616、ABS/PC:Bayblend(登録商標)T85XF又はT65XF)の表面に適用した。バーコーターを使用して約20g/m2の乾燥膜厚(DFT)を目標とした。適用した組成物を60℃で5分間乾燥した。その後、UV放射を用いた硬化を、2個の120W/cm Hgランプ(1000~1200mJ/cm2)を用いて実施した。ランプは15m/分(即ち約50フィート/分)の速度で組成物上を1回通過した。
【0139】
分析技術
様々な分析技術を使用して例の組成物及びコーティングを特徴付けた。これらの技術を以下に記載する。
【0140】
動的光散乱(DLS)測定を使用して様々な組成物中の粒子の流体力学的サイズを特徴付けた。DLS測定前に、濃縮組成物を脱イオン蒸留水を用いて希釈した。それにより、0.05w/w%の粒子濃度を得た。希釈した組成物を濾過した。その後、DLS測定を23℃でBeckman-CoulterのDelsaNano-c粒子分析装置を用いて実施した。DLS測定で使用した入射単色光はλ=658nmの波長を有する。散乱光を165°の角度で後方散乱に近い配置で検出した。多分散指数と共にz平均粒径を、電場自己相関関数の2次キュムラント解析から決定した。次いで、単一粒子の拡散係数を平均崩壊定数から推定した。そこから、ストークスの関係式を用いてメジアン粒径D50を得ることができた。
【0141】
固形分を重量測定法により決定した。放射線硬化性ポリウレタン分散液については、重量測定法は120℃で2時間の乾燥を含む。非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液については、重量測定法は125℃で3時間の乾燥を含む。
【0142】
pHをDIN EN ISO10390に従って測定した。
【0143】
放射線硬化性ポリウレタン分散液及び非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液の粘度をDIN EN ISO3219に従ってコーン及びプレート型レオメーターMCR092(Paar-Physica)で測定する。25秒-1の一定のせん断速度を23℃で使用した。
【0144】
コーティングを接着、ソフトフィール及びDEET耐性について試験した。
【0145】
ソフトフィール試験のために、例のコーティングをGeneral Motors製の市販のWB 2kソフトフィールコーティングと比較した。例のコーティングをそのソフト感に関して3人の異なる観察者が評価した。表において、1が良好なソフトフィールを示し、4が不良なソフトフィールを示す1~4のスケールを使用して各コーティングを評価する。好ましくはコーティングは1又は2点を得る。
【0146】
DEET及び日焼け止めに対する例の各コーティングの耐性、即ち耐化学性も、General Motorsの日焼け止めと防虫剤耐性試験手順、例えばGMW14445に従って決定した。GMW14445試験を80℃で実施した。他の試験を室温及び周囲湿度で実施した。1が良好な耐性を示し、4が不良な耐性を示す1~4のスケールを使用して各コーティングを評価する。好ましくはコーティングは1点を得る。
【0147】
プラスチック基板の表面へのコーティングの接着(ADH)をクロスハッチ試験を用いて評価する。いずれの場合にも、最初に、ナイフを用いてコーティングに約1cmの長さで約1mm間隔で平行なカットを5本入れる。次に約1cmの長さで約1mm間隔で平行なカットを5本横断方向に入れる。その後、接着テープ(Scotch(登録商標))をクロスカットしたコーティングにしっかり押し付け、急速に除去した。コーティングのクロスカットした表面積に対する損傷、即ち接着損失によるものを5=最良の接着の0~5のスケールで表す。良好な接着は、コーティングと表面の間の強力な恒久的結合を確実にするために好ましい。
【0148】
コーティング及び組成物
本発明の好ましい実施形態による一連の組成物の質量部の含有量及びそれにより形成される一連のコーティングの分析結果を表Aに要約する。表D、表F及び表Hは使用したフィラーを記載する。この表に要約されたコーティングは各々、ソフトフィール性及び耐化学性、即ち日焼け止め及びDEETに対するものについてはいずれも1のスコアを有する。
【0149】
様々な濃度の硬化性ポリウレタン及び非硬化性の更なるポリウレタンによるコーティング及び組成物
更なる例において、コーティングの特性に対する組成物中のPUD1の量の影響を試験した。一連の組成物の質量部の含有量及びそれにより形成される一連のコーティングの分析結果を表Bに要約する。表D及び表Fは使用したフィラーを記載する。表の最後の2列は、放射線硬化性ポリウレタン及び非放射線硬化性ポリウレタンの重量%を放射線硬化性ポリウレタン及び非放射線硬化性ポリウレタンの合計のパーセンテージとして示す。UV PUD1については、コーティングを形成するための組成物がPUD1を含む場合、ソフトフィール性が最良であることが観察できる。しかし、添加したPUD1の量は好ましくは多すぎない。例えば、UV PUD1のPUDに対する質量比は少なくとも1.5である。
【0150】
様々な種類の非放射線硬化性の更なるポリウレタン化合物によるコーティング及び組成物
更なる例において、コーティングの特性に対する組成物中のPUDの種類の影響を試験した。一連の組成物の質量部の含有量及びそれにより形成される一連のコーティングの分析結果を表Cに要約する。例で使用した各PUDについては、ソフトフィール性と耐化学性の両方が好ましい。
【0151】
様々な種類のポリウレタン粒子が用いられるコーティング及び組成物
更なる例において、コーティングの特性に対するポリウレタン粒子の特徴の影響を試験した。表Dは試験した様々なポリウレタン粒子の特徴を要約する。本明細書において、D50はメジアン粒径(μm)である。一連の組成物の質量部の含有量及びそれにより形成される一連のコーティングの分析結果を表Eに要約する。粒子が1~10μmの範囲である場合、詳細にはソフトフィール性が好ましい範囲にあることが例から観察できる。
【0152】
様々な種類のポリメチル尿素樹脂粒子によるコーティング及び組成物
更なる例において、コーティングの特性に対する様々な種類の粒子の使用の影響を試験した。表Fは例で使用した様々な粒子の特徴を要約する。本明細書において、D50はメジアン粒径(μm)である。一連の組成物の質量部の含有量及びそれにより形成される一連のコーティングの分析結果を表Gに要約する。ポリメチル尿素樹脂粒子の結果よりポリウレタン粒子の結果が良好であることが観察できる。少なくともポリウレタン粒子を含む混合物を使用した場合、結果は同様に好ましい。
【0153】
様々な種類の非ポリウレタン粒子によるコーティング及び組成物
コーティングの特性に対する様々な種類の粒子の使用の影響を更に試験した。表Hは試験した様々な粒子の特徴を要約する。本明細書において、D50はメジアン粒径(μm)であり、SCはフィラーが製造業者により供給される形態の固形分を示す。一連の組成物の質量部の含有量及びそれにより形成される一連のコーティングの分析結果を表Iに要約する。直径分布が同様である場合でも、ポリウレタン粒子の結果が他の粒子の結果より良好であることが観察できる。これは、本発明で使用したポリウレタン粒子の使用の有利な影響を明白に示している。
【0154】
様々な濃度のポリウレタン粒子を使用するコーティング及び組成物
更なる例において、コーティングの特性に対する様々な量のポリウレタン粒子の使用の影響を試験する。一連の組成物の質量部の含有量及びそれにより形成される一連のコーティングの分析結果を表Jに要約する。20重量%超のポリウレタン粒子を含む組成物については、コーティングの化粧性及び均一性が不良である。これは、ポリウレタン粒子の非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液及び放射線硬化性ポリウレタン分散液の合計に対する質量比が1.0を超えることに対応する。表Dに言及されるように、Addimat(登録商標)8FTは水中で提供され、36重量%の固形分を有する。それにより、表Eに言及される組成物F13中の10質量部のAddimat(登録商標)8FTは、組成物F13中の3.6重量%のポリウレタン粒子と等価である。それにより、これらの例から、組成物の3~20重量%のポリウレタン粒子含有量、又はポリウレタン粒子の水分散性非放射線硬化性の更なるポリウレタン分散液及び放射線硬化性ポリウレタン分散液の合計に対する質量比が0.08~1.0である場合、最も好ましい結果が得られると想定される。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【国際調査報告】