(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】干渉を取り除くための新しい手段で組み立てられた円筒又は管
(51)【国際特許分類】
B21D 39/04 20060101AFI20240814BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20240814BHJP
B30B 11/00 20060101ALI20240814BHJP
B21B 23/00 20060101ALI20240814BHJP
B21C 37/06 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B21D39/04 A
F16J12/00 B
B30B11/00 B
B21B23/00 Z
B21C37/06 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500650
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 CL2022050069
(87)【国際公開番号】W WO2023279218
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524008904
【氏名又は名称】カストロ アライガダ,ルイス オスバルド
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】ミュレ マルチネス,マウリシオ エドュアルド
【テーマコード(参考)】
3J046
【Fターム(参考)】
3J046AA02
3J046BA02
3J046DA05
3J046EA02
(57)【要約】
本発明は同心円筒を干渉接合する方法に関し、より小さい円筒(102)はより大きい円筒(101)の中に嵌らず、組立てチャンバー(301)の内側において、補助円筒の使用を含み、静水圧手段によって干渉が一時的に消失され、一の円筒が他の中に嵌められ、より肉厚の干渉接合された円筒が得られる。圧力が解放され、組立てチャンバー(301)から取り出されて、2つの干渉接合された円筒が残る。3又は10以上の円筒を同様に組み立てて、内側が予備圧縮され及び外側が予備応力負荷された肉厚円筒を組み立てることが可能である。いくつかの干渉接合された円筒は円筒が最大圧力に耐えるとき、同じ応力を発揮して、同じ総肉厚の単一円筒よりも高い圧力に絶え、応力を壁の内側の最大値から外縁のより低いパーセンテージへと常に減らす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の同心円筒(101、102)を静水圧干渉で接合する方法であって、該円筒の1又は2は既に干渉結合されており;静水圧干渉で接合する方法のツールとして使用される、補助円筒管(201、202)、キャップ(211、212、213、214)及び高圧組立てチャンバー(301);一の円筒を他の中に押すための弾性且つ構造性ガイドであって、該組立てチャンバー(301)の内側にあり;ここで、同心円筒(101、201)及び(102、202)の各ペア又はセットは、溶接又は接着された夫々のキャップ(211、212)、(213、214)と共に用意されて、該組立てチャンバー(301)内で液体又はガスによる圧力に曝されるように、補助又は管状チャンバーを形成し、キャップを通して該管状チャンバー内側に圧力が入らないことを考慮し、圧力が上昇し及び干渉が消えると、圧力が、より大きい管状チャンバーの該円筒(101)の直径を増加し及びより小さい管状チャンバーの円筒(102)の直径を減じるように、連続した管状チャンバーの双方が、仕掛け及び小さいガイドによって、組み立てられなければならず、そのような効果のために作られたガイドを介して該より小さい管状チャンバーを該より大きい管状チャンバー内に、嵌め、滑らせ及び置き、これにより、そのような効果のための機構が起動されて嵌め合わされることが条件であり、ここで該機構は該より小さい半径の管の内側又は外側に亘り;摺動又は調整が行われた後、組立てチャンバー(301)の圧力が既に嵌め合わされた円筒から解放され、直径の変化が生じ、及び干渉接合された管(101及び102)は最初の直径へと戻る傾向があり;該補助円筒が取り外され、両方の円筒のみが干渉によって接合されて残る。
【請求項2】
キャップを有する円筒状管(101及び201)のペアが用意され、円形状キャップを有し又は有しない他の管(102)も用意され、及び管(101、102)の間で干渉が起こり;請求項1の場合と同様に、組立てチャンバー(301)内の圧力が該干渉を取り除き、次いで円筒状管(102)が他(101)の中へと滑り込み、該組立てチャンバー内の圧力が低下され及び該補助円筒及び該キャップが取り外され、該円筒が最終的に干渉によって接合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
キャップを有する円筒状管のペア(102及び202)が用意され、キャップを有しない他の管(101)も用意され;管101及び102で干渉が起こり:前の場合と同様に、圧力が干渉を取り除き、次いで円筒状管(102)が他(101)の中へと滑り込み;該組立てチャンバー(301)内の圧力が低下され及び該補助円筒及び該キャップが取り外され、該円筒が最終的に干渉によって接合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
円形状キャップを有する円筒状管102が用意され、キャップを有しない他の管(101)も用意され;圧力が干渉を取り除き、および次いで円筒状管(102)が他(101)の中へと滑り込み;該組立てチャンバー(301)内の圧力が低下され及び該キャップが取り外され、該円筒が最終的に干渉によって接合される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に圧力を負荷するために使用されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
加圧流体をチャンバー又は厚肉の円筒に流し込むと、壁面内の反応応力は中央側に向かって大きくなり、その強度は周辺側に向かって減少する。応力が最大圧力で均一である場合、円筒はより大きな圧力に耐える。
【0003】
2つの円筒状の管は、干渉接合されているが、仕掛けがない限り、より小さい円筒はより大きいものの内側に収まらないので、壁が外側に予備的に応力負荷され及び内側に予備的に圧縮され、肉厚円筒には圧力が負荷されていない。干渉接合された円筒は非干渉接合された円筒よりもより大きい圧力に抗する。
【0004】
今日、干渉接合された円筒状管が作られ及びより大きいシリンダーが膨張又は拡張するように加熱され、及び/又はより小さい方が収縮するように冷却されたとき、前記干渉が取り除かれる;そのようにして干渉が消失し、それらの管は一つの管として組み立てられ又は接合される。通常温度が回復された後、それらはそれらの大きさを回復しようとし、そして、その大きさを回復できないので、「干渉により接合された」又は「干渉接合された」状態で残る。
【0005】
温度変化の影響により一時的に消える干渉は、本当に僅かであり、接合されるべき円筒は、外側円筒の内径が内側円筒の外径より若干小さくなければならない。さらに、それらを組み立てる又は新たな円筒を既に組み立てられた他のものの中へと組み立てるための数分間、温度差を維持するのは難しい。これは150年より前にブレイクリー銃を製造するのに使用された。
【0006】
温度変化の影響により一時的に消える干渉は、例えばギア又は鉄道車輪を車軸に接合するような、短い部分を一回に限り接合するためには、より大きくすることができる。しかし、温度変化によって達成できる干渉によって、一組の肉薄円筒を互いに堅く接合するのは可能ではない。
【0007】
高い静水圧を得るための第一の機構は、肉厚円筒チャンバー、ここで、壁の厚みは円筒直径のパーセンテージとして測定され、明らかにそれが厚いほど、より高い圧力に耐える。しかし、
図2及びその記載に見られるように、それが厚くなってくると、チャンバー壁の内側端と外側端の反応応力の差がより大きくなる。
【0008】
肉厚円筒より高い圧力を得る方法は「コイルドチャンバー」である:円筒軸の周囲に、何キロメートルにも亘る計算された応力が負荷された板が接合され、それは600MPaまでの圧力、即ち、単一の円筒直径の30%の肉厚チャンバーより2及び3倍より高い圧力を生じる。
【0009】
コイルドチャンバーは軸方向の反応応力を受容しないという深刻な欠点を有し、外部支持のために外側に大きな「ヨーク」が取り付けられて、これによって円筒の各両端に一つずつあってよいキャップを支持し、それらは、チャンバーがロード又はアンロードされる都度、完全にずらされなければならない。
【0010】
圧力殺菌食品を用意するための高圧処理(HPP技術)、又は冶金学で鋳物を作り、又は欠陥を除去するために使用される熱間静水圧圧縮(HIP技術)がよく知られている。
【0011】
HIP技術はガス、通常加熱されたアルゴン、を圧縮して使用するので、それ程高圧では使用されず、せいぜい300MPaまでの圧力である。さらに、チャンバーの閉鎖機構に必要とされるヨーク又は油圧円筒が熱間作業をより困難とする。
【0012】
温度によって干渉接合する技術はブレイクリー大砲の製造において使用された。彼は異なる弾性の同軸管で大砲を作った最初の人であり、より大きい応力に耐えなければならなかった内側管がより大きい弾性を有する。わずかに円錐状の灼熱管に紐又は環が配置され、それらが冷却されたとき、収縮し及び圧縮し、大砲を初期応力で残した。これはブレイクリーが、非常に耐性で大口径の軽い大砲を作ることを可能とした。
【0013】
ダイアモンドアンビルセル内の微視的サイズで、10又は100GPa以上でさえある圧力が、実験のためだけに負荷された。自然サイズでは行うことができないので、何千もの基礎研究が行われただけであり、例えば軽材料、超硬度及び靭性材料、電子材料、超電導材料等の新材料における応用研究で追随されるのが望まれる。
【0014】
多層チャンバーは高圧を生成する他の方法であるが、同じ目的のために行われた他の発明(チリ共和国出願 CL201902913号及びCL201902988号を参照されたい)の試みであると言える。しかし、上述の応用での欠点を解決し、静水圧干渉による新たな接合に基づく、新たな技術的解決法が見出された。
【発明の概要】
【0015】
新たな静水圧干渉法は、実施することが可能であり、任意のサイズの2又は10以上の円筒状管を干渉によって組立てるのに役立ち、超高圧チャンバー又は多層チャンバーを製造するのを容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、組立チャンバー301内の2つの管状チャンバーを示しており、ここで、各管状チャンバー内には圧力が入らないので、組立チャンバー内の圧力は管状チャンバーの直径を変化させる。 詳細: 詳細
図A(左側):2つの管状チャンバーの間に圧力がかからないため、円筒を干渉で接合することができない。 詳細
図B(右側):組立室の圧力が上昇すると、大きい管状チャンバーの内径が増加し、及び小さい管状チャンバーの外径が小さくなり、一方の管状チャンバーを他方の管状チャンバーに挿入できるようになる。
【0017】
【
図2】
図2は、それが耐える圧力P
Aによって発生する応力を伴う厚肉円筒の断面を示す;隣接しているのは静水圧干渉接合によって組み立てられた円筒であり、同じ肉厚、同じ材料の6つの薄い円筒によって形成されており、それはP
Aよりも大きなP
Bに耐え、非加圧時の予備圧縮および予備応力の結果、すべての円筒において同じ応力を有する。
【0018】
【
図3】
図3は、組み立てられる円筒状管101を示しており、これは、より大きな補助管201と予備的に組み立てられ、これにより環状キャップ211および212を有する管状チャンバーを形成する。他の管状チャンバーが、他の補助管202を備える、より小さい円筒状管102と組み立てられなければならず、該他の補助管202は、より小さい円筒状管より小さい。
【0019】
【
図4】
図4はいくつかの干渉接合された円筒のチャンバーを示し、より小さい直径の円筒が予備圧縮され、及びより大きい直径のものが予備応力負荷され、加圧されていないチャンバーである。チャンバーが最大加圧されているとき、初期に予備圧縮及び予備応力負荷されている円筒は、全て最大圧で予備応力が負荷される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、2以上の同心円筒(101、102)を、或る粗さと細い溝を有し、一旦組み立てられると滑らないようにできる静水圧干渉によって接合する方法に関する。
【0021】
この目的のために、2つの管状チャンバー又は補助チャンバーが用意されなければならず、
図1に示すように、補助円筒(201)と接合されるべき円筒のうちの一つ(101)が2つの環状キャップ(111及び112)によって同心状に接合されて配置されている。
図3に示すように、一の円筒(101)は他(201)の中に嵌め合わされ、それらは半径の15%を超えては離れていない。
【0022】
第二の管状チャンバーは前出のものに比べて少し小さく作られており、干渉によって接合されるべき円筒(102)は外側に粗さ又は溝を有してよく、及び、より小さい補助円筒(202)は内側に粗さ又は溝を有していてよく、前出の場合のように2つのキャップ(113及び114)で接合される。通常の状況下では、互いに干渉して、より小さい管状チャンバーはより大きい管状チャンバーの内側シリンダー内には入らない。
【0023】
管状チャンバーは、キャップ間の各管状チャンバーの内側を圧力無しに維持し、組立てチャンバー(301)内で連続的に高圧に曝される;組立てチャンバーにおける圧力の増加によって、より大きい管状チャンバー内のより小さい円筒の内径がδ1増え、及び小さい管状チャンバーにおいてより大きい円筒の外径がδ2減る。
【0024】
高圧に曝されたときの管状チャンバーの寸法が、より大きい管状チャンバーの内径が、より小さい管状チャンバーの大きい方の円筒の外径以上であると、圧力干渉がなくなり、それらは組立てられることができる。
【0025】
管状チャンバーが、より小さいものがより大きいものの中へと強制的に移動させられるような力に曝され、圧力条件が与えられて直径が変化させられると、より小さい管状チャンバーがより大きい管状チャンバー内に入る。それは、重力、又は干渉が消えたときに管状チャンバーを他のものの中に強制的に入れる、配置された弾性バンドによることができ、及び円滑に収容される。
【0026】
組立てチャンバーの圧力が低下されると、管状チャンバーはきつくロックされる。何故なら、それらはそれらの直径に戻る傾向があるからである。固着された管状チャンバーは取り除かれ及び取り外されて、干渉接合された2つの円筒だけが残る。次いで、干渉による他の円筒が配置され、それらは同様に接合され、次いで、他の一つが、円筒が形成されるまで数個の同心円筒が形成される。次いで、両キャップがそれらに配置されて、静水圧干渉により接合されたチャンバーが得られる。
【0027】
干渉接合された円筒は流体が無い場合、外側に予備応力負荷され及び内側が予備圧縮されるが、その中に圧力流体が入るにつれて、予備圧縮された側は圧縮側へと変わり、応力が均一になることに注意されるべきである。
【0028】
この円筒は、同じ材料及び大きさの単一の肉厚円筒より高い圧力に耐える。何故なら、
図2に示すように最大圧力において、より中央の点又は壁へのより外側の点で、測定又は計算されるかに依らず、同じ応力を示すからである。
【0029】
静水圧干渉による新たな接続を生成するための代替手段があり、それらは管状チャンバーの変形であり、1、2の補助円筒と、又は補助円筒無しに、場合によって円形状及び他の環状のキャップを用いて組立てられる。
【0030】
チャンバー(301)は高圧に耐えることを目的とした他のチャンバーを製造すべく管の干渉接合を作るために採用され得るかなり高い圧力を生成する必要はないこと注意されるべきである。チャンバー(301)は、接続されるべき円筒のうちの一つが肉薄の円筒であり、組立てのときに最大応力になることを達成するのに足りる圧力で十分である。
【0031】
或いは、管状チャンバーを製造するために接続されるべき唯一の円筒が用いられ、接続されるべき他の円筒は圧縮も膨張もされないことができるが、管状チャンバーにおける、より小さい円筒の膨張による干渉が排除される。
【0032】
干渉接続されるべき円筒の外側圧力による座屈を避けるため、それらが高い外圧下にある場合、適切な内側の支持体が設置される。
【実施例1】
【0033】
実施例1.静水圧干渉のための円筒又は接合チャンバーの使用
【0034】
肉厚の干渉接合された円筒を作ることによって、
図4に示すようなチャンバーを、堅いキャップを追加することによって容易に生成できる。それは、高圧殺菌食品を作る同じ目的のために使用することができるが、大きなストレスワインダーを必要とするHHPシステムよりもずっと簡単である。又はHIPシステムを置き換えるシステムを作ることで冶金に適用され得る。
【0035】
また、内側で予備圧縮され外側で予備応力負荷された大砲を作るための円筒として使用することができる;温度干渉の大砲よりずっと良い;さらに、φ0.5センチメートルの薄い大砲又はφ50センチメートルの厚い大砲用に使用することができる。
【0036】
加えて、超高圧を及ぼすのに非常に有利であり、及び外側の支持ヨークを有するせいでコイルチャンバーを適用できないマルチチャンバーにおいて使用することができる。さらに静水圧干渉によって接合された円筒によって水素貯蔵タンクを作るために使用することができ、それは新しい、ヨークが無いコイルタンクより良い。圧力、サイズ、温度等の特定機能のために異なるモデルを作ることが必要である。
【符号の説明】
【0037】
101、102: 締り嵌めにより接合される円筒
201、202: 補助円筒
211、212、213、214:環状円筒キャップ
301:組立てチャンバー
【国際調査報告】