(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】表面硬度と復元性が向上した積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B32B 27/28 20060101AFI20240814BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240814BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240814BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20240814BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20240814BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240814BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240814BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20240814BHJP
G02B 1/14 20150101ALN20240814BHJP
【FI】
B32B27/28
H10K59/10
H10K50/844 445
H10K77/10
B32B7/022
B32B7/023
B32B27/30 A
B32B27/36
G02B1/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502684
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 KR2022009742
(87)【国際公開番号】W WO2023008766
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101035
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101037
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520287378
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス ソリューションズ 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks solutions Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】112, Seonggeo-gil, Seonggeo-eup, Seobuk-gu, Cheonan-si,Chungcheongnam-do 31044, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】523061191
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】84, Jangan-ro 309beon-gil, Jangan-gu, Suwon-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、ソクジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュンキ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、クォンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、クァンホ
【テーマコード(参考)】
2K009
3K107
4F100
【Fターム(参考)】
2K009AA15
2K009BB02
2K009BB24
2K009CC24
2K009CC26
2K009CC33
2K009CC35
2K009DD02
2K009DD05
2K009DD06
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC05
3K107CC43
3K107DD12
3K107DD16
3K107DD17
3K107DD19
3K107EE45
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF02
3K107FF06
4F100AG00B
4F100AH05A
4F100AK01B
4F100AK25A
4F100AK41B
4F100AK46C
4F100AK51A
4F100AK53A
4F100AK54C
4F100AL01A
4F100AL02C
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA07
4F100EH23
4F100EH46
4F100GB41
4F100JK07C
4F100JK12
4F100JK12A
4F100JN01
4F100JN28
4F100YY00A
(57)【要約】
一実現例による積層フィルムは、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、ハードコート処理された基材フィルムとがラミネーションされることにより、異種の材料が複合される層構成により、表面硬度と復元性ないし弾性を同時に向上させ得るだけでなく、優れた光学特性をも実現し得る
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
前記基材フィルムの一面上に配置されるハードコート層と、
前記基材フィルムの他面上に配置される弾性層とを含み、
前記弾性層は、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む、積層フィルム。
【請求項2】
前記積層フィルムについて、
ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のビッカース硬度(HV)が48N/mm
2以上であり、インデンテーション硬度(H
IT)が505N/mm
2以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記積層フィルムについて、
ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面の復元率(Recovery)が76%以上であり、前記復元率は下記式で算出される、請求項1に記載の積層フィルム:
Recovery(%)=[(h
max(@30mN)-h
p)/h
max(@30mN)]×100
ここで、
h
max(@30mN)は、30mNの力で前記ハードコート層の表面を15秒間下方に押して5秒間維持(creep)させる間の最大インデンテーション深さ(μm)であり、
h
pは、前記力が除去された後も復元されずに残っているインデンテーションの深さ(μm)である。
【請求項4】
前記積層フィルムについて、
ISO 13468規格に基づいて測定された可視光の平均透過率が80%以上であり、
ISO 14782規格に基づいて測定されたヘイズが4%以下であり、
下記式により算出される透過率増加が2%以上である、請求項1に記載の積層フィルム:
透過率増加(%)=TT1(%)-TT2(%)
ここで、
TT1は、前記積層フィルムの可視光平均透過率(%)であり、
TT2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムの可視光平均透過率(%)であり、
前記可視光平均透過率は、ISO 13468規格に基づいて同一条件で測定される。
【請求項5】
前記積層フィルムについて、
D65光源を用いて10°条件でASTM-E313規格に基づいて測定される黄色度(YI)が1.5以下であり、
下記式により算出される黄色度減少が0.5以上である、請求項1に記載の積層フィルム:
黄色度の減少=YI2-YI1
ここで、
YI1は、前記積層フィルムの黄色度であり、
YI2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムの黄色度であり、
前記黄色度は、D65光源を用いて10°条件でASTM-E313規格に基づいて同一条件で測定される。
【請求項6】
前記積層フィルムについて、
D65光源を用いて測定される透過色のCIE Lab色座標において、L*値が92以上であり、a*値が-2~1であり、b*値が-1~2である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記基材フィルムは、高分子フィルムまたは超薄型ガラス(UTG)を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記積層フィルムについて、
ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のマルテンス硬度(HM)が175N/mm
2以上である、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項10】
前記積層フィルムについて、
ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーションモジュラス(E
IT)が2900MPa以上である、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項11】
前記積層フィルムについて、
ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面の弾性率(η
IT)が63.6%以上である、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項12】
前記積層フィルムについて、
ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーションクリープ(C
IT)が3.5%以上である、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項13】
前記積層フィルムについて、
ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面の復元率(Recovery)が65%以上であり、前記復元率は下記式で算出される、請求項8に記載の積層フィルム:
Recovery(%)=[(h
max(@30mN)-h
p)/h
max(@30mN)]×100
ここで、
h
max(@30mN)は、30mNの力で前記ハードコート層の表面を15秒間下方に押して5秒間維持させる間の最大インデンテーション深さ(μm)であり、
h
pは、前記力が除去された後も復元されずに残っているインデンテーションの深さ(μm)である。
【請求項14】
前記積層フィルムについて、
ISO 13468規格に基づいて測定された可視光の平均透過率が85%以上であり、
下記式により算出される透過率増加が3%以上である、請求項8に記載の積層フィルム:
透過率増加(%)=TT1(%)-TT2(%)
ここで、
TT1は、前記積層フィルムの可視光平均透過率(%)であり、
TT2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムの可視光平均透過率(%)であり、
前記可視光平均透過率は、ISO 13468規格に基づいて同一条件で測定される。
【請求項15】
前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物、アクリルエステル系化合物、アクリレート系化合物、およびエポキシアクリレート系化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1または8に記載の積層フィルム。
【請求項16】
前記ハードコート層は、フッ素系化合物をさらに含む、請求項15に記載の積層フィルム。
【請求項17】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの前面上に配置されるカバーウィンドウとを含み、
前記カバーウィンドウは、
基材フィルムと、
前記基材フィルムの一面上に配置されるハードコート層と、
前記基材フィルムの他面上に配置される弾性層とを含み、
前記弾性層は、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む、ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂を含む、請求項17に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、表面硬度と復元性が向上した積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ技術は、IT機器の発達に伴う需要に支えられ発展し続けており、カーブド(curved)ディスプレイ、ベンデッド(bended)ディスプレイなどの技術はすでに商用化されている。近年、大画面と携帯性とが同時に求められるモバイル機器分野において、外力に応じて柔軟に曲がったりフォールディング(folding)されたりし得る、フレキシブルディスプレイ(flexible display)装置が好まれている。特に、フォルダブル(foldable)ディスプレイ装置は、使用しないときは折りたたんで小さくして携帯性を高め、使用するときは広く広げて大画面を実現できることが大きな利点である。
【0003】
このようなフレキシブルディスプレイにおいて、カバーウィンドウは柔軟でかつ復元性を有することが求められ、またブルディスプレイが外部に露出されるアウトフォールディングタイプの場合は、柔軟性のみならず外力に対する保護機能をも有することが求められる
【0004】
ディスプレイ装置は、カバーウィンドウに透明なポリイミドやポリエステルのような高分子フィルムまたはガラス基板を主に使用するが、高分子フィルムは外部のスクラッチに脆弱であり、ガラス基板は柔軟性が足りないという問題がある。
【0005】
これを解決するために、特許文献1は、耐スクラッチ性と柔軟性とを向上させるために、透明な基材上にシロキサン樹脂を用いた高屈曲層および高硬度層を順次形成して製造されるハードコートフィルムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許公開第2019-0026611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまで開発されたディスプレイのカバーウィンドウ用フィルムは、表面硬度と復元性ないし弾性を同時に実現するのに限界があった。また、表面硬度を向上させるためにハードコート層を形成すると、柔軟性や復元性が著しく低下したり、フィルムの光学特性が低下したりする問題が発生した。
【0008】
そこで、本発明者らが研究した結果、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、ハードコート処理された基材フィルムとがラミネーションされることにより、異種の材料が複合される層の構成により、表面硬度と復元性ないし弾性を同時に向上させ得るだけでなく、優れた光学特性をも実現し得ることを見出した。
【0009】
したがって、以下の実現例により、表面硬度と復元性ないし弾性が向上され、光学特性に優れた積層フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実現例によると、基材フィルムと、前記基材フィルムの一面上に配置されるハードコート層と、前記基材フィルムの他面上に配置される弾性層とを含み、前記弾性層はポリエーテル-ブロック-アミドを含む、積層フィルムが提供される。
【0011】
他の実現例によると、ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面上に配置されるカバーウィンドウとを含み、前記カバーウィンドウは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一面上に配置されるハードコート層と、前記基材フィルムの他面上に配置される弾性層とを含み、前記弾性層はポリエーテル-ブロック-アミドを含む、ディスプレイ装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
前記実現例による積層フィルムは、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、ハードコート処理された基材フィルムとがラミネーションされることにより、異種の材料が複合される層構成により、表面硬度と復元性ないし弾性を同時に向上させ得るだけでなく、優れた光学特性をも実現し得る。
【0013】
したがって、前記実現例による積層フィルムは、フレキシブルディスプレイ装置、例えばディスプレイが外部に露出するアウトフォールディングイプまたはインフォールディングタイプの装置のカバーに適用され、柔軟な特性を有するとともに外力に対するディスプレイの保護性能を有することができ、光学特性にも優れ得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実現例によるディスプレイ装置の分解斜視図を示す。
【
図2】
図2は、一実現例による積層フィルムの断面図を示す(
図1のA‐A')。
【
図3】
図3は、ナノインデンテーション試験において、圧入前(a)および後(b)を示す。
【
図4】
図4は、インデンターチップによる圧入(a)および解除(b)の際のサンプルの断面図を示す。
【
図5a】
図1aは、インフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置を示す。
【
図5b】
図1bは、アウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、様々な実現例および実施例を、図面を参照して具体的に説明する。
以下の実現例を説明するにおいて、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が、要旨を不明瞭にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張または省略されることがあり、実際に適用される大きさとは異なり得る。
【0016】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素の上/下に形成されるか、もしくは互いに連結または結合されるという記載は、これらの構成要素間に直接または他の構成要素を介して間接的に形成、連結または結合されることを全て含む。また、各構成要素の上/下に関する基準は、対象を観察する方向に応じて変わり得るものと理解されるべきである。
【0017】
本明細書において各構成要素を指す用語は、他の構成要素と区別するために使用されるものであり、実現例の範囲を限定する意図で用いられるものではない。また、本明細書において単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を指さない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において「含む」という記載は、特定の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分を具体化するためのものであり、特に反する記載がない限り、他の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分の存在や付加を除外するものではない。
【0019】
本明細書において第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではない。前記用語は、ある構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用される。
【0020】
本明細書に記載の化合物または高分子の分子量、例えば、数平均分子量または重量平均分子量は、周知の如く、炭素-12を基準とした相対質量として単位を記載しないが、必要に応じて同一数値のモル質量(g/mol)であるものと理解しても構わない。
【0021】
図1は、一実現例によるディスプレイ装置の分解斜視図を示す。
図2は、一実現例による積層フィルム(カバーウィンド)の断面図を示すものである(
図1のA‐A')。
【0022】
図2を参照すると、一実現例による積層フィルム10は、基材フィルム100と、前記基材フィルム100の一面上に配置されるハードコート層300と、前記基材フィルム100の他面上に配置される弾性層300とを含み、前記弾性層300はポリエーテル-ブロック-アミドを含む。
【0023】
前記実現例による積層フィルムは、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む弾性層と、ハードコート処理された基材フィルムとがラミネーションされることにより、異種の材料が複合される層構成により、表面硬度と復元性ないし弾性を同時に向上させ得るだけでなく、優れた光学特性をも実現し得る。
【0024】
[積層フィルムの表面硬度]
前記積層フィルムの表面硬度は、ナノインデンテーション試験により測定され得る。
【0025】
ナノインデンテーション(nanoindentation)は、一定の幾何学的形状を有するインデンター(indenter)を材料表面にμN~mNレベルの小さい力(荷重)で加えて除去する過程で得られる力-変位曲線(force-displacement curve)を解析して、硬度、弾性係数だけでなく引張物性、残留応力など、様々な機械的特性を測定する分析技術である。
【0026】
インデンターチップ(indenter tip)は様々な幾何学的形状を有し得るが、例えば、円錐(conical)、ピラミッドまたは三角錐(Berkovich三角錐またはVickers三角錐)、円筒平面パンチ(cylindrical flat punch)形状を有し得る。
【0027】
図3は、ナノインデンテーション試験において、サンプルに圧入する前(a)および後(b)を示すものである。
【0028】
図4は、インデンターチップによる圧入(a)および解除(b)の際におけるサンプルの断面図を示すものである。
【0029】
図3および
図4を参照すると、一般的な高分子材料は粘弾性体であるため、インデンター2の下端のチップ2aがサンプル10aに圧入されたときに最大力において最大深さ(h
max)に変形され、その後インデンター2を除去してインデンターチップ2aによる圧入を解除すると、高分子の弾性により変形の一部は復元されるが、残りは永久的に復元されず、一定の深さ(h
p)を有する跡(dent)2bを残すこととなる。
【0030】
このようなナノインデンテーション試験において、剛性(stiffness、S)、接触投影面積(projected contact area、Ap)、試験力(F)、最大力における最大インデンテーション深さ(hmax)などが測定され、力-変位曲線が得られ、これらの結果に基づいてインデンテーションモジュラス(indentation modulus、EIT)、インデンテーション硬度(indentation hardness、HIT)、ビッカース硬度(Vickers hardness、HV)、マルテンス硬度(Martens hardness、HM)、インデンテーションクリープ(indentation creep、CIT)、弾性率(Recovery relation、ηIT)などを算出することができる。前記ナノインデンテーション試験は、例えばISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて行われ得る。
【0031】
マルテンス硬度(HM)は複合硬度とも称され、試験力を受ける圧入深さで計算され、インデンテーション硬度とは異なり、塑性および弾性材料物性を提供する。前記実現例による積層フィルムのマルテンス硬度は、例えば、250N/mm2以上、260N/mm2以上、270N/mm2以上、または275N/mm2以上であり、また、400N/mm2以下、350N/mm2以下、330N/mm2以下、310N/mm2以下、または290N/mm2以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムに対して、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のマルテンス硬度(HM)が250N/mm2以上であり、より具体的には、250N/mm2~350N/mm2であり得る。
【0032】
ビッカース硬度(HV)は、インデンテーション硬度(HIT)に0.0945を乗じた値(HIT×0.0945)で算出され、例えばISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて測定され得る。ビッカース硬度(HV)から、延性、展性、耐衝撃性などの塑性的物性を知ることができる。前記実現例による積層フィルムのビッカース硬度(HV)は、例えば、40N/mm2以上、45N/mm2以上、48N/mm2以上、または49N/mm2以上であり、また60N/mm2以下、55N/mm2以下、または53N/mm2以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のビッカース硬度(HV)が48N/mm2以上であり、より具体的には、48N/mm2~55N/mm2であり得る。
【0033】
前記実現例による積層フィルムの高いビッカース硬度(HV)は、ハードコート層に起因するものであり得る。例えば、前記積層フィルムは、下記式により算出されるHV増加(N/mm2)が1.5N/mm2以上であり、具体的に2.0N/mm2以上、または2.5N/mm2以上であり、より具体的な一例として、1.5N/mm2~7.0N/mm2であり得る。
【0034】
HV増加(N/mm2)=HV1(N/mm2)-HV2(N/mm2)
ここで、HV1は、前記積層フィルムのビッカース硬度(HV)(N/mm2)であり、HV2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムのビッカース硬度(HV)(N/mm2)である。
【0035】
インデンテーション硬度(HIT)は塑性硬度とも称され、最大力における永久(塑性)変形に対する材料の抵抗性を測定したものであって、これにより延性、展性、耐衝撃性などの塑性的物性を知ることができる。具体的に、インデンテーション硬度(HIT)は、最大試験力(Fmax)を浸透深さにおける接触投影面積(Ap)で除した値(Fmax/Ap)で算出される。前記実現例による積層フィルムのインデンテーション硬度(HIT)は、例えば、500N/mm2以上、505N/mm2以上、510N/mm2以上、515N/mm2以上、520N/mm2以上、または524N/mm2以上であり、また550N/mm2以下、545N/mm2以下、540N/mm2以下、または535N/mm2以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーション硬度(HIT)が505N/mm2以上であり、より具体的に、505N/mm2~550N/mm2であり得る。前記インデンテーション硬度(HIT)の範囲内で、耐衝撃性のような塑性物性が実現され、ディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用するのに有利であり得る。
【0036】
前記実現例による積層フィルムの高いインデンテーション硬度(HIT)は、ハードコート層に起因するものであり得る。例えば、前記積層フィルムは、下記式により算出されるHIT増加(N/mm2)が10N/mm2以上であり、具体的に15N/mm2以上、20N/mm2以上または25N/mm2以上であり、より具体的な一例として、10N/mm2~70N/mm2であり得る。
【0037】
HIT増加(N/mm2)=HIT1(N/mm2)-HIT2(N/mm2)
ここで、HIT1は、前記積層フィルムのインデンテーション硬度(HIT)(N/mm2)であり、HIT2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムのインデンテーション硬度(HIT)(N/mm2)である。
【0038】
インデンテーションモジュラス(EIT)は、サンプルとインデンターとのポアソン比(Poisson's ratio)、インデンターのモジュラス、およびインデンテーション接触の減少モジュラスを用いて算出され、例えばISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定され得る。インデンテーションモジュラス(EIT)から、硬さの程度および耐摩耗性などの弾性的物性を知ることができる。前記実現例による積層フィルムのインデンテーションモジュラス(EIT)は、例えば、3600MPa以上、3800MPa以上、4000MPa以上、または4200MPa以上であり、また5000MPa以下、4800MPa以下、4600MPa以下、または4500MPa以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーションモジュラス(EIT)が3800MPa以上であり、より具体的には3800MPa~4800MPaであり得る。
【0039】
インデンテーションクリープ(CIT)は、一定の力において材料の追加変形のことを指す。インデンテーションクリープ(CIT)を測定するために、インデンターをさらに長い時間(数分から数時間)にわたって一定の力でサンプルに圧入するが、これによる持続的な圧力によって増加した圧入深さを測定して算出し得る。前記実現例による積層フィルムのインデンテーションクリープ(CIT)は、例えば、3.0%以上、3.3%以上、3.5%以上、3.6%以上、または3.7%以上であり、また、4.5%以下、4.3%以下、4.1%以下、4.0%以下、または3.9%以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーションクリープ(CIT)は、3.3%以上であり、より具体的には3.3%~4.2%であり得る。
【0040】
弾性率(ηIT)は、サンプル表面にインデンターを圧入し、その後解除する際に得られる力-深さ曲線において、圧入時の総仕事量(total mechanical work of indentation、Wtotal)に対する解除時の総仕事量(elastic reserve deformation work、Welast)の百分率(すなわち、(Welast/Wtotal)×100、%)で計算され、例えばISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて測定され得る。前記実現例による積層フィルムの弾性率(ηIT)は、例えば、60%以上、65%以上、68%以上、または70%以上であり、また、85%以下、80%以下、78%以下、または75%以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面の弾性率(ηIT)は68%以上であり、より具体的には68%~78%であり得る。
【0041】
復元率(Recovery)は、ナノインデンテーション試験により測定された値に基づいて、下記式で算出され得る。前記実現例による積層フィルムの復元率は、例えば、65%以上、70%以上、75%以上、76%以上、または78%以上であり、また、95%以下、90%以下、85%以下、または83%以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面の復元率は76%以上であり、より具体的には76%~90%であり得る。前記復元率は下記式で算出される。
【0042】
Recovery(%)=[(hmax(@30mN)-hp)/hmax(@30mN)]×100
ここで、hmax(@30mN)は、30mNの力で前記ハードコート層の表面を15秒間下方に押して5秒間維持(creep)させる間の最大インデンテーション深さ(μm)であり、hpは、前記力が除去された後も復元されずに残っているインデンテーションの深さ(μm)である。
【0043】
前記実現例による積層フィルムの高い復元率は、ハードコート層または弾性層に起因するものであり得る。例えば、前記積層フィルムは、下記式により算出されるRecovery増加(%)が2%以上であり、具体的に3%以上、または5%以上であり、より具体的な一例として、3%~20%であり得る。
【0044】
Recovery増加(%)=Recovery1(%)-Recovery2(%)
ここで、Recovery1は、前記積層フィルムの復元率(%)であり、Recovary2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層または弾性層のいずれか1層のみを除いた層構造を有するフィルムの復元率(%)である。
【0045】
[積層フィルムの光学特性]
前記積層フィルムは、光透過率、例えば可視光平均透過率が特定のレベル以上であり、これによりディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用するのに有利である。例えば、前記積層フィルムの可視光平均透過率は、70%以上、75%以上、80%以上、82%以上、83%以上、または85%以上であり得る。一方、前記積層フィルムの可視光平均透過率範囲の上限は特に限定されないが、例えば100%以下、95%以下、または90%以下であり得る。このような透過率は、例えばISO 13468規格に基づいて測定され得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 13468規格に基づいて測定された可視光平均透過率が80%以上、または85%以上であり得る。
【0046】
また、前記積層フィルムは、ハードコーティングによる透過率増加効果を有し得る。例えば、前記積層フィルムは、下記式により算出される透過率増加が2%以上であり、具体的に2.5%以上、3%以上、4%以上、または5%以上であり、より具体的な一例として2%~10%、または3%~10%であり得る。
【0047】
透過率増加(%)=TT1(%)-TT2(%)
ここで、TT1は、前記積層フィルムの可視光平均透過率(%)であり、TT2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムの可視光平均透過率(%)であり、前記可視光平均透過率はISO 13468規格に基づいて同一条件で測定される。
【0048】
一実現例によると、前記積層フィルムについて、ISO 13468規格に基づいて測定された可視光平均透過率が85%以上であり、前記式により算出される透過率増加が3%以上であり得る。
【0049】
また、前記積層フィルムは、ヘイズが特定レベル以下であり、これによりディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用されるのに有利である。例えば、前記積層フィルムのヘイズは、5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、または2%以下であり得る。一方、前記積層フィルムのヘイズ範囲の下限は特に限定されないが、例えば、0%以上、0.5%以上、または1%以上であり得る。このようなヘイズは、例えばISO 14782規格に基づいて測定され得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについてISO 14782規格に基づいて測定されたヘイズが4%以下であり得る。
【0050】
一実現例によると、前記積層フィルムについて、ISO 13468規格に基づいて測定された可視光平均透過率が80%以上であり、ISO 14782規格に基づいて測定されたヘイズが4%以下であり、前記式により算出される透過率増加が2%以上であり得る。
【0051】
また、前記積層フィルムは、黄色度(YI)が特定レベル以下であり、これによりディスプレイから放出される画像が歪みなく認識され得る。例えば、前記積層フィルムの黄色度(YI)は、2以下、1.5以下、または1以下であり得る。一方、前記積層フィルムの黄色度範囲の下限は特に限定されないが、例えば0以上、0.3以上、0.5以上、または0.6以上であり得る。前記黄色度(YI)は、分光光度計を用いて測定することができ、光源として例えばD65を用いることができ、ASTM-E313規格に基づいて測定され得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、D65光源を用いて10°条件でASTM-E313規格に基づいて測定される黄色度が1.5以下であり得る。
【0052】
また、前記積層フィルムは、ハードコーティングによる黄色度減少効果を有し得る。例えば、前記積層フィルムは、下記式により算出される黄色度減少が0.5以上であり、具体的には0.7以上または1.0以上であり、より具体的な一例として0.5~5であり得る。
【0053】
黄色度減少(%)=YI2-YI1
ここで、YI1は、前記積層フィルムの黄色度であり、YI2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムの黄色度であり、前記黄色度は、D65光源を用いて10°条件でASTM-E313規格に基づいて、同一条件で測定される。
【0054】
また、前記積層フィルムは、色が特定範囲に調整され、これによりディスプレイから放出される画像が歪みなく認識され得る。例えば、前記積層フィルムのCIE Lab色座標における透過色のL*値は、85以上、90以上、または93以上であり、さらに100以下、97以下、または95以下であり得る。また、前記積層フィルムのCIE Lab色座標における透過色のa*値は、-3以上、-2以上、-1.5以上、または-1以上であり、また2以下、1以下、0以下、-0.5以下、または-0.9以下であり得る。また、前記積層フィルムのCIE Lab色座標における透過色のb*値は、-2以上、-1以上、0以上、または0.5以上であり、また3以下、2以下、1.5以下、または1以下であり得る。前記透過色は、分光測色計を用いて測定することができ、光源として例えばD65を用い得る。具体的な一例として、前記積層フィルムは、D65光源を用いて測定される透過色のCIE Lab色座標において、L*値が92以上であり、a*値が-2~1、b*値が-1~2であり得る。
【0055】
[基材フィルム100]
前記基材フィルムは、前記積層フィルム10に機械的特性を提供しながら前記ハードコート層200のベース層として作用する。
【0056】
前記基材フィルムは高分子フィルムであり、またはガラス基板、具体的に厚さ約100μm未満の強化処理されたガラス基板であり得る。例えば、前記基材フィルムは、高分子フィルムまたは超薄型ガラス(UTG)を含み得る。
【0057】
具体的に、前記基材フィルムは高分子フィルムであり、すなわち前記基材フィルムは高分子樹脂を含み得る。
【0058】
前記基材フィルムに含まれる高分子樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などを含み得る。これらは、単独でまたは2つ以上が組み合わされて使用され得る。
【0059】
前記基材フィルムは、高分子樹脂の他にフィラーをさらに含み得る。一例として、前記基材フィルムは、ポリイミド系樹脂およびフィラーを含み得る。
【0060】
前記フィラーは、硫酸バリウム、シリカおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上であり得る。前記基材フィルムは、前記フィラーを含むことにより、粗さおよび巻取性を向上させることができ、さらに、フィルム作製の際、走行性およびスクラッチ改善効果を向上させることができる。
【0061】
前記フィラーの粒径は、0.01μm以上~1.0μm未満であり得る。例えば、前記フィラーの粒径は、0.05μm~0.9μmまたは0.1μm~0.8μmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0062】
前記フィラーは、前記基材フィルムの総重量を基準に0.01重量%~3重量%の量で含まれ得る。例えば、前記フィラーは、前記基材フィルムの総重量を基準に、0.05重量%~2.5重量%、0.1重量%~2重量%、または0.2重量%~1.7重量%の量で含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0063】
前記基材フィルムの厚さは、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、または100μm以上であり、また、500μm以下、400μm以下、300μm以下、または200μm以下であり得る。具体的な例として、前記基材フィルムの厚さは20μm~500μmであり、より具体的には40μm~200μmまたは50μm~200μmであり得る。
【0064】
前記基材フィルムは、光学特性および機械的特性が一定の範囲で調整され得る。
【0065】
前記基材フィルムのヘイズは3%以下であり得る。例えば、前記基材フィルムのヘイズは、2%以下、1.5%以下、または1%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0066】
前記基材フィルムの黄色度(YI)は5以下であり得る。例えば、前記基材フィルムの黄色度は、4以下、3.8以下、2.8以下、2.5以下、2.3以下、または2.1以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0067】
前記基材フィルムのモジュラスは、5GPa以上であり得る。例えば、前記基材フィルムのモジュラスは、5.2GPa以上、5.5GPa以上、6.0GPa以上、10GPa以下、5GPa~10GPaまたは7GPa~10GPaであり得るが、これに限定されるものではない。
【0068】
前記基材フィルムの光透過率は80%以上であり得る。例えば、前記基材フィルムの光透過率は、85%以上、88%以上、89%以上、80%~99%、または85%~99%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0069】
前記基材フィルムの圧縮強度は0.4kgf/μm以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの圧縮強度は、0.45kgf/μm以上または0.46kgf/μm以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0070】
前記基材フィルムの表面硬度はHB以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの表面硬度は、H以上または2H以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0071】
前記基材フィルムは、引張強度が15kgf/mm2以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの引張強度は、18kgf/mm2以上、20kgf/mm2以上、21kgf/mm2以上、または22kgf/mm2以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0072】
前記基材フィルムは、伸び率が15%以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの伸び率は、16%以上、17%以上、または17.5%以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0073】
[ポリイミド系樹脂]
一例として、前記基材フィルムはポリイミド系樹脂を含んで良く、具体的に、前記基材フィルムは透明なポリイミド系フィルムであり得る。前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物とを含む反応物が、同時または順次反応して形成され得る。具体的に、前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物とが重合して形成されたポリイミド系重合体を含み得る。前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物との重合に由来するイミド(imide)繰り返し単位を含み得る。また、前記ポリイミド系樹脂は、ジカルボニル化合物をさらに含んで重合されたものであり、これにより、ジアミン化合物とジカルボニル化合物との重合に由来するアミド(amide)繰り返し単位をさらに含むポリアミド-イミド系重合体を含み得る。
【0074】
前記ジアミン化合物は特に制限されないが、例えば、芳香族構造を含む芳香族ジアミン化合物であり得る。例えば、前記ジアミン化合物は、下記化学式1の化合物であり得る。
【0075】
[化1]
前記化学式1において、Eは、置換または非置換の2価のC
6-C
30脂環式基、置換または非置換の2価のC
4-C
30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC
6-C
30芳香族環基、置換または非置換の2価のC
4-C
30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC
1-C
30アルキレン基、置換または非置換のC
2-C
30アルケニレン基、置換または非置換のC
2-C
30アルキニレン基、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)
2-、-Si(CH
3)
2-、-C(CH
3)
2-、および-C(CF
3)
2-の中から選択され、eは1~5の整数の中から選択され、eが2以上の場合、Eは互いに同一または異なり得る。
【0076】
本明細書において「置換された」とは、特に記載がない限り、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、置換または非置換のC1-C30アルキル基、置換または非置換のC2-C30アルケニル基、置換または非置換のC2-C30アルキニル基、置換または非置換のC1-C30アルコキシ基、置換または非置換のC6-C30脂環式有機基、置換または非置換のC4-C30ヘテロ環基、置換または非置換のC6-C30アリール基、および置換または非置換のC4-C30ヘテロアリール基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたものを指し、互いに隣接する2つの置換基は連結して環を形成することもあり得る。
【0077】
前記化学式1の(E)
eは、下記化学式1-1a~1-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0078】
具体的に、前記化学式1の(E)
eは、下記化学式1-1b~1-13bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0079】
より具体的に、前記化学式1の(E)eは、前記化学式1-6bで表される基であり得る。
【0080】
一実現例において、前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物を含み得る。または、前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物からなり得る。この際、前記フッ素含有置換基はフッ素化炭化水素基であり、具体的にトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0081】
一実現例において、前記ジアミン化合物は1種のジアミン化合物を用い得る。すなわち、前記ジアミン化合物は単一成分からなり得る。
【0082】
例えば、前記ジアミン化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-Bis(trifluoromethyl)-4,4'-diaminodiphenyl、TFDB)を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0083】
前記ジアンヒドリド化合物は複屈折値が低いため、前記ポリイミド系樹脂を含むフィルムの透過度のような光学物性の向上に寄与し得る。
【0084】
前記ジアンヒドリド化合物は特に限定されないが、芳香族構造を含む芳香族ジアンヒドリド化合物であり得る。例えば、前記芳香族ジアンヒドリド化合物は、下記化学式2の化合物であり得る。
[化2]
【0085】
前記化学式2において、Gは置換または非置換の4価のC6-C30脂環式基、置換または非置換の4価のC4-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の4価のC6-C30芳香族環基、置換または非置換の4価のC4-C30芳香族ヘテロ環基であり、前記脂環式基、前記ヘテロ脂環式基、前記芳香族環基、または前記芳香族ヘテロ環基が単独で存在するか、互いに結合され縮合環を形成するか、もしくは置換または非置換のC1-C30アルキレン基、置換または非置換のC2-C30アルケニレン基、置換または非置換のC2-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-C(CH3)2-、および-C(CF3)2-の中から選択された連結基によって連結されている。
【0086】
前記化学式2におけるGは、下記化学式2-1a~2-9aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0087】
例えば、前記化学式2におけるGは、前記化学式2-8aで表される基であり得る。
【0088】
一実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物を含み得る。または、前記ジアンヒドリド化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物からなり得る。なお、前記フッ素含有置換基はフッ素化炭化水素基であり、具体的にトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0089】
他の実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、1種の単一成分または2種の混合成分からなり得る。
【0090】
例えば、前記ジアンヒドリド化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(2,2'-Bis-(3,4-DiCarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0091】
前記ジアミン化合物と前記ジアンヒドリド化合物とが重合してポリアミック酸を生成し得る。
【0092】
次いで、前記ポリアミック酸は、脱水反応によりポリイミドに転換され得る。
前記ポリイミドは、下記化学式Aで表される繰り返し単位を含み得る。
[化A]
前記化学式Aにおいて、E、G、およびeに関する説明は、前述の通りである。
【0093】
例えば、前記ポリイミドは、下記化学式A-1で表される繰り返し単位を含み得るが、これに限定されるものではない。
[化A-1]
前記化学式A-1におけるnは1~400の整数であり得る。
【0094】
前記ジカルボニル化合物は特に制限されないが、例えば、下記化学式3の化合物であり得る。
[化3]
【0095】
前記化学式3において、Jは、置換または非置換の2価のC6-C30脂環式基、置換または非置換の2価のC4-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC6-C30芳香族環基、置換または非置換の2価のC4-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC1-C30アルキレン基、置換または非置換のC2-C30アルケニレン基、置換または非置換のC2-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-C(CH3)2-、および-C(CF3)2-の中から選択され、jは1~5の整数の中から選択され、jが2以上の場合、Jは互いに同一または異なり、Xはハロゲン原子である。具体的に、Xは、F、Cl、Br、I等であり得る。より具体的に、Xは、Clであり得るが、これに限定されるものではない。
【0096】
前記化学式3の(J)
jは、下記化学式3-1a~3-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0097】
具体的に、前記化学式3の(J)
jは、下記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0098】
より具体的に、前記化学式3の(J)jは、前記化学式3-1bで表される基、前記化学式3-2bで表される基、または3-3bで表される基であり得る。
【0099】
一実現例において、前記ジカルボニル化合物は、互いに異なる少なくとも2種のジカルボニル化合物を混合して使用し得る。前記ジカルボニル化合物が2種以上使用される場合、前記ジカルボニル化合物は、前記化学式3において(J)jが前記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択される2種以上が使用され得る。
【0100】
他の実現例において、前記ジカルボニル化合物は、芳香族構造を含む芳香族ジカルボニル化合物であり得る。
【0101】
例えば、前記ジカルボニル化合物は、第1ジカルボニル化合物および/または前記第1ジカルボニル化合物とは異なる第2ジカルボニル化合物を含み得る。
【0102】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物は、それぞれ芳香族ジカルボニル化合物(aromatic dicarbonyl compound)であり得る。
【0103】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物が、互いに異なる芳香族ジカルボニル化合物であり得るが、これに限定されるものではない。
【0104】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物がそれぞれ芳香族ジカルボニル化合物であると、ベンゼン環を含んでいるので、製造されたポリアミド-イミド樹脂を含むフィルムの表面硬度および引張強度のような機械的物性の向上に寄与し得る。
【0105】
前記ジカルボニル化合物は、下記のような構造を有するテレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride、TPC)、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride、IPC)、1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボニルジクロリド(1,1'-biphenyl-4,4'-dicarbonyl dichloride、BPDC)、またはその組み合わせを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0106】
例えば、前記第1ジカルボニル化合物はBPDCを含み、前記第2ジカルボニル化合物はTPCを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0107】
具体的に、前記第1ジカルボニル化合物としてBPDC、前記第2ジカルボニル化合物としてTPCを適宜組み合わせて使用すると、製造されたポリアミド-イミド系樹脂を含むフィルムは高い耐酸化性を有し得る。
【0108】
または、前記第1ジカルボニル化合物はIPCを含み、前記第2ジカルボニル化合物はTPCを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0109】
具体的に、前記第1ジカルボニル化合物としてIPC、前記第2ジカルボニル化合物としてTPCを適宜組み合わせて使用すると、製造されたポリアミド-イミド系樹脂を含むフィルムが高い耐酸化性を有することができ、製造コストが節減され得る。
【0110】
前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、下記化学式Bで表される繰り返し単位を形成し得る。
[化B]
前記化学式Bにおいて、E、J、e、およびjに関する説明は前述の通りである。
【0111】
例えば、前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、化学式B-1およびB-2で表されるアミド繰り返し単位を形成し得る。
【0112】
[化B-1]
前記化学式B-1のxは1~400の整数である。
【0113】
[化B-2]
前記化学式B-2のyは1~400の整数である。
【0114】
[ポリエステル系樹脂]
他の例として、前記基材フィルムはポリエステル系樹脂を含み、具体的に、前記基材フィルムは、透明なポリエステル系フィルムであり得る。
【0115】
前記ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが重縮合した単一重合体樹脂または共重合体樹脂であり得る。また、前記ポリエステル系樹脂は、前記単一重合体樹脂または共重合体樹脂が混合されたブレンド樹脂であり得る。
【0116】
前記ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸などがある。
【0117】
また、前記ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどがある。
【0118】
好ましくは、前記ポリエステル系樹脂は、結晶性に優れた芳香族ポリエステル系樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主成分とし得る。
【0119】
前記基材フィルムがポリエステル系フィルムの場合、前記ポリエステル系フィルムはポリエステル系樹脂、具体的にPET樹脂を約85重量%以上含み、より具体的に、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上含み得る。他の例として、前記ポリエステル系フィルムは、PET樹脂以外に、他のポリエステル系樹脂をさらに含み得る。具体的に、前記ポリエステル系フィルムは、約15重量%以下のポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂をさらに含み得る。より具体的に、前記ポリエステル系フィルムは、約0.1重量%~10重量%、または約0.1重量%~5重量%のPEN樹脂をさらに含み得る。
【0120】
前記組成により、ポリエステル系フィルムが加熱、延伸などを経る製造過程において結晶化度が上昇し、引張強度などの機械的物性が向上され得る。
【0121】
前記基材フィルムは、面内位相差(Ro)が600nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、または200nm以下であり得る。前記範囲内であるとき、虹ムラの発生を最小限に抑えられる。
【0122】
また、前記基材フィルムは、最小面内位相差(Romin)が200nm以下または150nm以下であり得る。具体的に、前記基材フィルムの最小面内位相差は、120nm以下、100nm以下、85nm以下、75nm以下、または65nm以下であり得る。
【0123】
一方、前記基材フィルムの面内位相差の下限値は0nmであってよく、または光学特性と機械的物性とのバランスのために、前記面内位相差(Ro)の下限値を10nm以上、30nm以上、または50nm以上とし得る。
【0124】
また、前記基材フィルムは、厚さ方向位相差(Rth)が4000以上、5,000nm以上、または5500nm以上であり得る。
【0125】
また、前記基材フィルムは、最大厚さ方向位相差(Rthmax)が6000nm以上、例えば、6500nm以上、例えば、7500nm以上、例えば、8000nm以上、例えば、8500nm以上であり得る。
【0126】
前記厚さ方向位相差は、厚さ40μm~50μm基準とした測定値であり得る。前記範囲内であるとき、分子の配向度が大きいため結晶化が促進され、機械的物性の面から好ましい。また、厚さ方向位相差(Rth)が大きいほど、面内位相差(Ro)に対する厚さ方向位相差(Rth)の比(Rth/Ro)が大きくなるため、虹ムラを効果的に抑制し得る。
【0127】
一方、前記基材フィルムから虹ムラをなくすための厚さ限界およびコストを考慮して、前記厚さ方向位相差(Rth)の上限値を16000nm以下、15000nm以下、または14000nm以下とし得る。
【0128】
なお、前記面内位相差(in-plane retardation、Ro)とは、フィルムの平面内の直交する2つの軸の屈折率の異方性(△nxy=|nx-ny|)とフィルム厚さ(d)との積(△nxy×d)で定義されるパラメータとして、光学的等方性または異方性を示す尺度である。また、前記最小面内位相差(Romin)とは、フィルムの平面内の複数個所で面内位相差(Ro)をそれぞれ測定したとき、最も低く測定された値のことを意味する。
【0129】
また、厚さ方向位相差(thickness direction retardation、Rth)とは、フィルムの厚さ方向の断面から見たときの2つの複屈折である△nxz(=|nx-nz|)および△nyz(=|ny-nz|)にそれぞれフィルムの厚さ(d)を乗じて得られる位相差の平均と定義されるパラメータである。また、前記最大厚さ方向位相差(Rthmax)とは、フィルムの平面内の複数個所で厚さ方向位相差(Rth)をそれぞれ測定したとき、最も高く測定された値のことを意味する。
【0130】
また、前記基材フィルムは、面内位相差(Ro)に対する厚さ方向位相差(Rth)の比(Rth/Ro)が10以上、15以上、または20以上であり得る。面内位相差(Ro)は小さいほど、厚さ方向位相差(Rth)は大きいほど、虹ムラが生じるのを防止するのに有利であるため、両数値の比(Rth/Ro)は大きく維持されることが好ましい。特に、前記基材フィルムは、最小面内位相差(Romin)に対する最大厚さ方向位相差(Rthmax)の比(Rthmax/Romin)が30以上、40以上、50以上、または60以上であり得る。
【0131】
前記基材フィルムの製造方法は、(1)ポリエステル系樹脂を含む組成物を押出して未延伸フィルムを得る段階と、(2)前記未延伸フィルムを長さ方向および幅方向に延伸する段階と、(3)前記延伸済みフィルムを熱固定する段階とを含んで製造され得る。
【0132】
前記製造方法において、基材フィルムは、原料樹脂を押出して予熱、延伸および熱固定を経て製造される。この際、前記基材フィルムの原料として用いられるポリエステル系樹脂の組成は、前記で例示した通りである。また、前記押出は、230℃~300℃、または250℃~280℃の温度条件で行われ得る。
【0133】
前記基材フィルムは、延伸前に一定温度で予熱される。前記予熱温度の範囲は、前記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)を基準にTg+5℃~Tg+50℃の範囲を満足すると同時に、70℃~90℃の範囲を満足する範囲で決定され得る。前記範囲内であるとき、前記基材フィルムが延伸され易い柔軟性を確保するとともに、延伸中に破断される現象を効果的に防止し得る。
【0134】
前記延伸は二軸延伸で行われ、例えば同時二軸延伸法または逐次二軸延伸法により、幅方向(テンター方向、TD)および長さ方向(機械方向、MD)の2軸に延伸され得る。好ましくは、まず一方に延伸した後、その方向の直角方向に延伸する逐次二軸延伸法が行われ得る。
【0135】
前記長さ方向延伸比は2.0~5.0の範囲であり、より具体的には2.8~3.5の範囲であり得る。また、幅方向延伸比は2.0~5.0の範囲であり、より具体的には2.9~3.7の範囲であり得る。好ましくは、長さ方向延伸比(d1)と幅方向延伸比(d2)は近似であり、具体的に、前記幅方向の延伸比(d1)に対する長さ方向の延伸比(d2)の比(d2/d1)が0.5~1.0、0.7~1.0、または0.9~1.0であり得る。前記延伸比(d1、d2)は、延伸前の長さを1.0としたとき、延伸後の長さを示す比である。また、前記延伸の速度は、6.5m/分~8.5m/分であり得るが、特に限定されない。
【0136】
前記延伸済みシートは、150℃~250℃、より具体的には160℃~230℃にて熱固定され得る。前記熱固定は、5秒~1分間行われ、より具体的には10秒~45秒間行われ得る。
【0137】
熱固定を開始した後、フィルムは長さ方向および/または幅方向に弛緩され、この際の温度範囲は150℃~250℃であり得る。
【0138】
一実現例によるポリエステル系フィルムを基材フィルムとして含む積層フィルムは、表面硬度と弾性が同時に向上され得る。
【0139】
前記実現例による積層フィルムのマルテンス硬度は、例えば、170N/mm2以上、175N/mm2以上、180N/mm2以上、181.25N/mm2以上、または185N/mm2以上であり、また250N/mm2以下、200N/mm2以下、195N/mm2以下、または190N/mm2以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のマルテンス硬度(HM)が175N/mm2以上であり、より具体的には175N/mm2~200N/mm2であり得る。
【0140】
また、前記積層フィルムは、下記式により算出されるHM増加(N/mm2)が5N/mm2以上であり、具体的には7N/mm2以上、または10N/mm2以上であり、より具体的な一例として5N/mm2~25N/mm2であり得る。
【0141】
HM増加(N/mm2)=HM1(N/mm2)-HM2(N/mm2)
ここで、HV1は、前記積層フィルムのマルテンス硬度(HM)(N/mm2)であり、HV2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムのマルテンス硬度(HM)(N/mm2)である。
【0142】
前記実現例による積層フィルムのビッカース硬度(HV)は、例えば、20N/mm2以上、25N/mm2以上、29N/mm2以上、または30N/mm2以上であり、また50N/mm2以下、45N/mm2以下、40N/mm2以下、または35N/mm2以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のビッカース硬度(HV)が29N/mm2以上であり、より具体的には29N/mm2~50N/mm2であり得る。
【0143】
また、前記積層フィルムは、下記式により算出されるHV増加(N/mm2)が1.5N/mm2以上であり、具体的には2.0N/mm2以上、または2.5N/mm2以上であり、より具体的な一例として1.5N/mm2~7.0N/mm2であり得る。
【0144】
HV増加(N/mm2)=HV1(N/mm2)-HV2(N/mm2)
ここで、HV1は、前記積層フィルムのビッカース硬度(HV)(N/mm2)であり、HV2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムのビッカース硬度(HV)(N/mm2)である。
【0145】
前記実現例による積層フィルムのインデンテーション硬度(HIT)は、例えば、250N/mm2以上、270N/mm2以上、290N/mm2以上、310N/mm2以上、320N/mm2以上、または330N/mm2以上であり、また500N/mm2以下、450N/mm2以下、400N/mm2以下、または370N/mm2以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーション硬度(HIT)が310N/mm2以上であり、より具体的には、310N/mm2~450N/mm2であり得る。前記インデンテーション硬度(HIT)の範囲内で、耐衝撃性のような塑性物性が実現され、ディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用するのに有利であり得る。
【0146】
また、前記積層フィルムは、下記式により算出されるHIT増加(N/mm2)が10N/mm2以上であり、具体的には15N/mm2以上、20N/mm2以上、または25N/mm2以上であり、より具体的な一例として、10N/mm2~70N/mm2であり得る。
【0147】
HIT増加(N/mm2)=HIT1(N/mm2)-HIT2(N/mm2)
ここで、HIT1は、前記積層フィルムのインデンテーション硬度(HIT)(N/mm2)であり、HIT2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムのインデンテーション硬度(HIT)(N/mm2)である。
【0148】
前記実現例による積層フィルムのインデンテーションモジュラス(EIT)は、例えば、2500MPa以上、2800MPa以上、2900MPa以上、2935MPa以上、または2950MPa以上であり、また4000MPa以下、3500MPa以下、3300MPa以下、または3100MPa以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーションモジュラス(EIT)が2900MPa以上であり、より具体的には2900MPa~4000MPaであり得る。
【0149】
前記実現例による積層フィルムのインデンテーションクリープ(CIT)は、例えば、3.0%以上、3.5%以上、3.7%以上、4.0%以上、または4.1%以上であり、また6.0%以下、5.5%以下、5.0%以下、4.5%以下、または4.3%以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面のインデンテーションクリープ(CIT)は3.5%以上であり、より具体的には3.5%~5.0%であり得る。
【0150】
前記実現例による積層フィルムの弾性率(ηIT)は、例えば、50%以上、55%以上、60%以上、61%以上、63%以上、または63.5%以上であり、また85%以下、80%以下、75%以下、または70%以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面の弾性率(ηIT)は63.6%以上であり、より具体的には63.6%~75%であり得る。
【0151】
前記実現例による積層フィルムの復元率(Recovery)は、例えば、60%以上、65%以上、70%以上、または73.35%以上であり、また、90%以下、85%以下、80%以下、または75。%以下であり得る。具体的な一例として、前記積層フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいて、ナノインデンテーション試験により測定される前記ハードコート層表面の復元率は65%以上であり、より具体的には65%~90%であり得る。前記復元率は、下記の式で算出される。
【0152】
Recovery(%)=[(hmax(@30mN)-hp)/hmax(@30mN)]×100
ここで、hmax(@30mN)は、30mNの力で前記ハードコート層の表面を15秒間下方に押して5秒間維持(creep)させる間の最大インデンテーション深さ(μm)であり、hpは、前記力が除去された後も復元されずに残っているインデンテーションの深さ(μm)である。
【0153】
また、前記積層フィルムは、下記式により算出されるRecovery増加(%)が5%以上であり、具体的に8%以上、または9%以上であり、より具体的な一例として5%~15%であり得る。
【0154】
Recovery増加(%)=Recovery1(%)-Recovery2(%)
ここで、Recovery1は、前記積層フィルムの復元率(%)であり、Recovary2は、前記積層フィルムから前記ハードコート層のみを除いた層構造を有するフィルムの復元率(%)である。
【0155】
[ハードコート層200]
前記ハードコート層200は、前記基材フィルム100の一面上に配置される。
【0156】
前記ハードコート層は上面および下面を備え、そのうち下面は前記基材フィルムと対面し、上面は外部に露出した最外郭面であり得る。また、前記ハードコート層の下面は、前記基材フィルムの一面と直接接触するか、または追加のコーティング層を介して前記基材フィルムの一面と接合され得る。一例として、前記ハードコート層は、前記基材フィルムの一面上に直接形成されたものであり得る。
【0157】
前記ハードコート層は、積層フィルムの機械的物性および/または光学物性を向上させ得る。また、前記ハードコート層は、防眩、防汚、帯電防止などの機能をさらに含み得る。
【0158】
前記ハードコート層は、ハードコート剤として、有機成分、無機成分、および有無機複合成分のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0159】
一例として、前記ハードコート層は有機樹脂を含み得る。具体的に、前記有機樹脂は、硬化性樹脂であり得る。これにより、前記ハードコート層は硬化性コート層であり得る。また、前記有機樹脂はバインダー樹脂であり得る。
【0160】
具体的に、前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物、アクリルエステル系化合物、アクリレート系化合物、およびエポキシアクリレート系化合物からなる群より選択される1種以上を含み得る。より具体的に、前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物およびアクリルエステル系化合物を含み得る。さらにより具体的に、前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物、アクリルエステル系化合物、およびアクリレート系化合物を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0161】
前記ウレタンアクリレート系化合物は、ウレタン結合を繰り返し単位で含み、複数の官能基を有し得る。
【0162】
前記ウレタンアクリレート系化合物は、ジイソシアネート化合物とポリオールとが反応して形成されたウレタン化合物の末端がアクリレート基で置換されたものであり得る。例えば、前記ジイソシアネート化合物は、炭素数4~12の直鎖状、分枝状または環状の脂肪族ジイソシアネート化合物および炭素数6~20の芳香族ジイソシアネート化合物のうちの少なくとも1つを含み得る。前記ポリオールは、2~4個のヒドロキシ基(-OH)を含み、炭素数4~12の直鎖状、分枝状または環状の脂肪族ポリオール化合物または炭素数6~20の芳香族ポリオール化合物であり得る。前記アクリレート基による末端置換は、イソシアネート基(-NCO)と反応し得る官能基を有するアクリレート系化合物によって行われ得る。例えば、ヒドロキシ基、アミン基などを有するアクリレート系化合物が用いられ、炭素数2~10のヒドロキシアルキルアクリレートまたはアミノアルキルアクリレートが用いられ得る。
【0163】
前記ウレタンアクリレート系化合物は2~15個の官能基を含み得る。
【0164】
前記ウレタンアクリレート系化合物の例としては、重量平均分子量1400~25000の2官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量1700~16000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量500~2000の4官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量818~2600の6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量2500~5500の9官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量3200~3900の10官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量2300~20000の15官能ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0165】
前記ウレタンアクリレート系化合物のガラス転移温度(Tg)は、-80℃~100℃、-80℃~90℃、-80℃~80℃、-80℃~70℃、-80℃~60℃、-70℃~100℃、-70℃~90℃、-70℃~80℃、-70℃~70℃、-70℃~60℃、-60℃~100℃、-60℃~90℃、-60℃~80℃、-60℃~70℃、-60℃~60℃、-50℃~100℃、-50℃~90℃、-50℃~80℃、-50℃~70℃、または-50℃~60℃であり得る。
【0166】
前記アクリルエステル系化合物は、置換または非置換のアクリレートおよび置換または非置換のメタクリレートからなる群より選択される1種以上であり得る。前記アクリルエステル系化合物は、1~10個の官能基を含み得る。
【0167】
前記アクリルエステル系化合物の例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシトリアクリレート(GPTA)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(PETA)、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)などが挙げられるが、これに制限されない。
【0168】
前記アクリルエステル系化合物の重量平均分子量は、500~6000、500~5000、500~4000、1000~6000、1000~5000、1000~4000、1500~6000、1500~5000、または1500~4000であり得る。前記アクリルエステル系化合物のアクリレート当量は、50g/eq~300g/eq、50g/eq~200g/eqまたは50g/eq~150g/eqであり得る。
【0169】
前記アクリレート系化合物は、1~10個の官能基を含み得る。前記アクリレート系化合物の例としては、重量平均分子量100~300の1官能アクリレートオリゴマー、重量平均分子量250~2000の2官能アクリレートオリゴマー、または重量平均分子量1000~3000のアクリレートオリゴマーなどが挙げられるが、これに制限されない。
【0170】
前記エポキシアクリレート系化合物は、1~10個の官能基を含み得る。前記エポキシアクリレート系化合物の例としては、重量平均分子量100~300の1官能エポキシアクリレートオリゴマー、重量平均分子量250~2000の2官能エポキシアクリレートオリゴマー、または重量平均分子量1000~3000の4官能エポキシアクリレートオリゴマーなどが挙げられるが、これに制限されない。前記エポキシアクリレート系化合物のエポキシ当量は、50g/eq~300g/eq、50g/eq~200g/eq、または50g/eq~150g/eqであり得る。
【0171】
前記有機樹脂の含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に30重量%~100重量%であり得る。具体的に、前記有機樹脂の含有量は、ハードコート層の総重量を基準に40重量%~90重量%または50重量%~80重量%であり得る。
【0172】
前記ハードコート層は、選択的にフィラーをさらに含むことができる。前記フィラーは、例えば無機粒子であり得る。前記フィラーの例としては、シリカ、硫酸バリウム、ジンクオキシドまたはアルミナなどが挙げられる。前記フィラーの粒径は1nm~100nmであり得る。具体的に、前記フィラーの粒径は、5nm~50nm、または10nm~30nmであり得る。前記フィラーは、互いに異なる粒径分布を有する無機フィラーを含み得る。例えば、前記フィラーは、D50が20nm~35nmの第1無機フィラーと、D50が40nm~130nmの第2無機フィラーとを含み得る。前記フィラーの含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に、25重量%以上、30重量%以上、または35重量%以上であり得る。また、前記フィラーの含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に、50重量%以下、45重量%以下、または40重量%以下であり得る。好ましくは、前記ハードコート層は、シリカなどの無機フィラーを含まなくてもよい。この場合、例えば、前記基材フィルムと前述の組成のハードコート層との間の接合力が向上され得る。
【0173】
前記ハードコート層は、光開始剤をさらに含み得る。前記光開始剤の例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、メチルベンゾイルホルメート、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、またはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、市販の製品としては、Irgacure184、Irgacure(登録商標) 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Irgacure 907、Darocur(登録商標)1173、Darocur MBF、Irgacure 819、Darocur TPO、Irgacure 907、Esacure(登録商標) KIP 100Fなどが挙げられる。前記光開始剤は、単独でまたは互いに異なる2種以上を混合して使用し得る。
【0174】
前記ハードコート層は、防汚剤をさらに含み得る。例えば、前記ハードコート層は、フッ素系化合物を含み得る。前記フッ素系化合物は、防汚機能を果たし得る。具体的に、前記フッ素系化合物は、パーフルオロアルキル基を有するアクリレート系化合物であり、具体例として、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート(perfluorohexyl ethyl acrylate)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0175】
前記ハードコート層は、帯電防止剤をさらに含み得る。前記帯電防止剤は、イオン系界面活性剤を含み得る。例えば、前記イオン系界面活性剤は、アンモニウム塩または第4級アルキルアンモニウム塩などを含み、前記アンモニウム塩および第4級アルキルアンモニウム塩は、塩化物、臭化物などのハロゲン化物を含み得る。
【0176】
その外にも前記ハードコート層は、界面活性剤、UV吸収剤、UV安定剤、黄変防止剤、レベリング剤、または色値を改善するための染料などの添加剤をさらに含み得る。例えば、前記界面活性剤は、1~2官能性のフッ素系アクリレート、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤であり得る。前記界面活性剤は、前記ハードコート層内に分散または架橋されている形態で含まれ得る。また、前記UV吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、またはトリアジン系化合物などが挙げられ、前記UV安定剤としては、テトラメチルピペリジン(tetramethyl piperidine)などが挙げられる。これらの添加剤の含有量は、前記ハードコート層の物性を低下させない範囲内で多様に調節され得る。例えば、前記添加剤の含有量は、前記ハードコート層の総重量を基準に0.01重量%~10重量%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0177】
前記ハードコート層は、単一層または2つ以上の層から構成され得る。一例として、前記ハードコート層は単一層で形成され、積層フィルムの耐久性を増加させるとともに、指紋防止または汚染防止の機能を同時に果たし得る。
【0178】
前記ハードコート層の厚さは、2μm以上、3μm以上、5μm以上、または10μm以上であり、また、50μm以下、30μm以下、20μm以下、または10μm以下であり得る。例えば、前記ハードコート層の厚さは2μm~20μmであり得る。具体的に、前記ハードコート層の厚さは5μm~20μmであり得る。前記ハードコート層の厚さが薄すぎると、基材フィルムを保護するのに十分な表面硬度を有しないため、積層フィルムの耐久性が低下し、厚すぎると積層フィルムの柔軟性が低下し、また積層フィルムの全体厚さが増加して薄膜化に不利となり得る。
【0179】
したがって、前記ハードコート層は、有機系組成物、無機系組成物、および有無機複合組成物のうちの少なくとも1つを含むハードコート組成物から形成されたものであり得る。例えば、前記ハードコート組成物は、アクリレート系化合物、シロキサン化合物、またはシルセスキオキサン化合物のうちの少なくとも1つを含み得る。また、前記ハードコート層は無機粒子をさらに含み得る。具体的な一例として、前記ハードコート層は、ウレタンアクリレート系化合物、アクリルエステル系化合物、およびフッ素系化合物を含むハードコート組成物から形成されたものであり得る。
【0180】
前記ハードコート層は、ハードコート組成物が基材フィルム上に塗布され、乾燥および硬化して形成され得る。
【0181】
前記ハードコート組成物は、前述の有機樹脂、光開始剤、防汚添加剤、帯電防止剤、その他の添加剤および/または溶媒を含み得る。
【0182】
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒;プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノプロピルエーテル、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルのようなエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族溶媒;などを、単独でまたは混合して使用し得る。
【0183】
前記有機溶媒の含有量は、コーティング組成物の物性を低下させない範囲内で多様に調節できるので特に制限されないが、前記ハードコート組成物に含まれる成分中の固形分に対して、固形分:溶媒の重量比が約30:70~約99:1になるように含まれ得る。前記溶媒が前記範囲にあるとき、適切な流動性および塗布性を有し得る。
【0184】
前記ハードコート組成物は、10重量%~30重量%の有機樹脂、0.1重量%~5重量%の光開始剤、0.01重量%~2重量%の防汚添加剤、および0.1重量%~10重量%の帯電防止剤を含み得る。前記組成によると、ハードコート層の機械的特性および防汚、帯電防止特性がともに向上され得る。
【0185】
前記ハードコート組成物は、バーコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ダイコーティング、マイクログラビアコーティング、コンマコーティング、スロットダイコーティング、リップコーティング、溶液キャスティング(solution casting)などにより基材フィルム上に塗布され得る。
【0186】
その後、乾燥工程により前記ハードコート組成物に含まれている有機溶媒が除去され得る。前記乾燥工程は、40℃~100℃、好ましくは40℃~80℃、50℃~100℃、または50℃~80℃の温度条件で行われ、約1分~20分、好ましくはは1分~10分または1分~5分間行われ得る。
【0187】
その後、前記ハードコート組成物は、光および/または熱によって硬化し得る。
【0188】
[弾性層300]
前記弾性層300は、ポリエーテル-ブロック-アミド(polyether-block-amide、PEBA)を含む。
【0189】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、剛性領域(rigid segment)であるポリアミド領域と、軟性領域(soft segment)であるポリエーテル領域の2つの相(phase)を含む。
【0190】
前記剛性領域は、結晶性(crystalline)領域または半結晶性(semi-crystalline)領域であり、前記軟性領域は、無定形(amorphous)領域であり得る。例えば、前記無定形領域をマトリックスとし、前記結晶形領域が前記マトリックスに分布される状態であり得る。
【0191】
このように、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、剛性領域と軟性領域を同時に含んで、前記弾性層が相対的に強い機械的強度を有すると同時に、柔軟な特性および/またはエラストマー特性を有するようにし得る。
【0192】
前記ポリアミド領域は、融点が約80℃以上、具体的には約130℃~180℃であり、実質的に結晶質の相で硬質領域を構成し得る。また、前記ポリエーテル領域は、ガラス転移温度が約-40℃以下、具体的には-80℃~-40℃であり、低い温度領域に存在して実質的に無定形の軟質領域を構成し得る。
【0193】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、分子内にカルボキシル基を2つ以上含むポリアミドと、分子内に水酸基を2つ以上含むエーテルとが結合したものであり得る。
【0194】
前記弾性層は、ポリエーテル-ブロック-アミドを含み、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ポリエーテルブロックおよびポリアミドブロックを含む1つ以上の共重合体を含み得る。これにより、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、1つ以上のポリエーテルブロックと1つ以上のポリアミドブロックとを含む。
【0195】
ポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを含む共重合体(ポリエーテル-ブロック-アミド)は、反応性末端を含むポリエーテルブロックと、反応性末端を含むポリアミドブロックとが縮合重合したものであり得る。
【0196】
一例として、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ジアミン末端を含むポリアミドブロックと、ジカルボキシル末端を含むポリオキシアルキレンブロックとを含む縮合重合体であり得る。
【0197】
他の例として、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ジカルボキシル末端を含むポリアミドブロックと、ジアミン末端を含むポリオキシアルキレンブロックとを含む縮合重合体であり得る。
【0198】
前記ポリオキシアルキレンブロックは、ポリエーテルジオールと知られている脂肪族α,ω-ジヒドロキシル化ポリオキシアルキレン(aliphatic α,ω-dihydroxylated polyoxyalkylene)ブロックをシアノエチル化反応および水素化反応させて得られたものであり得る。
【0199】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ジカルボキシル末端を含むポリアミドブロックと、ポリエーテルジオールブロックとを含む縮合重合体であり得る。このような場合、ポリエーテル-ブロック-アミドはポリエーテルエステルアミドである。
【0200】
例示的に、ジカルボキシル鎖末端を含むポリアミドブロックは、鎖制限ジカルボン酸の存在下でポリアミド前駆体の縮合重合体を含み得る。
【0201】
例示的に、ジアミン鎖末端を含むポリアミドブロックは、鎖制限ジアミンの存在下でポリアミド前駆体の縮合重合体を含み得る。
【0202】
例示的に、ジカルボキシル鎖末端を含むポリアミドブロックは、鎖制限ジカルボン酸の存在下でα、ω-アミノカルボン酸、ラクタムまたはジカルボン酸とジアミンとの縮合重合体を含み得る。
【0203】
前記ポリアミドブロックとしては、ポリアミド12またはポリアミド6が好ましい。
【0204】
前記ポリエーテル-ブロック-ポリアミドは、ランダムに分布した単位構造を有するブロックを含み得る。
【0205】
好ましくは、以下の3つのタイプのポリアミドブロックが適用され得る。
第1タイプとして、前記ポリアミドブロックは、カルボン酸と、脂肪族またはアリール脂肪族ジアミンとの縮合重合体を含み得る。前記カルボン酸は4~20個の炭素原子を有し、好ましくは6~18個の炭素原子を有し得る。前記脂肪族またはアリール脂肪族ジアミンは、2~20個の炭素原子を有し、好ましくは6~14個の炭素原子を有し得る。
【0206】
前記カルボン酸、具体的にジカルボン酸は、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-cyclohexanedicarboxylic acid)、1,2-シクロヘキシルジカルボン酸(1,2-cyclohexyldicarboxylic acid)、1,4-ブタンジオン酸(1,4-butanedioic acid)、アジピン酸(adipic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、スベリン酸(suberic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、1,12-ドデカンジカルボン酸(1,12-dodecanedicarboxylic acid)、1,14-テトラデカンジカルボン酸(1,14-tetradecanedicarboxylic acid)、1,18-オクタデカンジカルボン酸(1,18-octadecanedicarboxylic acid)、テレフタル酸(terephthalic acid)、イソフタル酸(isophthalic acid)、ナフタレンジカルボン酸(naphthalenedicarboxylic acid)、二量体脂肪酸(dimerized fatty acid)などであり得る。
【0207】
前記ジアミンは、例えば、1,5-テトラメチレンジアミン(1,5-tetramethylenediamine)、1,6-ヘキサメチレンジアミン(1,6-hexamethylenediamine)、1,10-デカメチレンジアミン(1,10-decamethylenediamine)、1,12-ドデカメチレンジアミン(1,12- dodecamethylenediamine)、トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン(trimethyl-1,6-hexamethylenediamine)、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジアミン(2-methyl-1,5-pentamethylenediamine)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン異性体(the isomers of bis(3-methyl-4-aminocyclohexyl)methan、BMACM)、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(2,2-bis(3-methyl-4-aminocyclohexyl)propane、BMACP)、ビス(パラ-アミノシクロヘキシル)メタン(bis(para-aminocyclohexyl)methane、PACM)、イソホロンジアミン(isophoronediamine、IPD)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルネン(2,6-bis(aminomethyl)norbornane、BAMN)、ピペラジン(piperazine、Pip)、メタ-キシリレンジアミン(meta-xylylenediamine、MXD)、パラ-キシリレンジアミン(para-xylylenediamine、PXD)などであり得る。
【0208】
具体的に、ポリアミドブロックの第1タイプは、PA 412、PA 414、PA 418、PA 610、PA 612、PA 614、PA 618、PA 912、PA 1010、PA 1012、PA 1014、PA 1018、MXD6、PXD6、MXD10、またはPXD10を含み得る。
【0209】
第2タイプとして、前記ポリアミドブロックは、4~12個の炭素原子を有するジカルボン酸またはジアミンの存在下で、1つ以上のα,ω-アミノカルボン酸および/または6~12個の炭素原子を有する1つ以上のラクタムの縮合重合体を含み得る。前記ラクタムの例示としては、カプロラクタム、オエナントラクタム(oenantholactam)、ラウリルラクタム(lauryllactam)等がある。前記α,ω-アミノカルボン酸の例示としては、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、7-アミノヘプタン酸(7-aminoheptanoic acid)、11-アミノウンデカン酸(11-aminoundecanoic acid)、12-アミノドデカン酸(12-aminododecanoic acids)などがある。具体的に、前記ポリアミドブロックの第2タイプは、ポリアミド11、ポリアミド12、またはポリアミド6を含み得る。
【0210】
第3タイプとして、前記ポリアミドブロックは、1つ以上のα,ω-アミノカルボン酸(または1つ以上のラクタム)、1つ以上のジアミンおよび1つ以上のジカルボン酸の縮合重合体を含み得る。このような場合、前記ポリアミド(PA)ブロックは、下記のようなジアミン、2価酸(diacid)および共単量体(または共単量体(comonomers))を縮合重合して調製され得る。
【0211】
前記ジアミンとして、例えば、線状脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンなどを適用し得る。前記2価酸として、例えば、脂環式2価酸、脂肪族2価酸、芳香族2価酸などを適用し得る。前記2価酸として、例えばジカルボン酸等を適用し得る。共単量体は、ラクタム、α,ω-アミノカルボン酸、そして、1以上のジアミンと1以上のジカルボン酸とが実質的に同一モルで含まれた混合物から選択されたものであり得る。前記共単量体は、結合したポリアミド前駆体単量体全体を基準に、50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下で含まれ得る。
【0212】
前記第3タイプによる縮合反応は、ジカルボン酸から選択された鎖制限剤の存在下で行われ得る。具体的に、鎖制限剤としてジカルボン酸が使用されて良く、前記ジカルボン酸は、前記1以上のジアミンに対して化学量論的に過量で導入され得る。
【0213】
前記第3タイプの代替形態として、前記ポリアミドブロックは、選択的に鎖制限剤の存在下で、6~12個の炭素原子を有する2種以上のα,ω-アミノカルボン酸、または2種以上のラクタム、または炭素原子数が互いに異なるラクタムとアミノカルボン酸との縮合重合体を含み得る。前記脂肪族α,ω-アミノカルボン酸は、例えば、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、7-アミノヘプタン酸(7-aminoheptanoic acid)、11-アミノウンデカン酸(11-aminoundecanoic acid)、12-アミノドデカン酸(12-aminododecanoic acid)などであり得る。前記ラクタムは、例えば、カプロラクタム、オエナントラクタム、ラウリルラクタムなどであり得る。
【0214】
前記脂肪族ジアミンは、例えば、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)、ドデカメチレンジアミン(dodecamethylene-diamine)、トリメチルヘキサメチレンジアミン(trimethylhexamethylenediamine)などであり得る。
【0215】
前記脂環式2価酸は、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸であり得る。また、前記脂肪族2価酸は、例えばブタンジオン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、二量体脂肪酸(好ましくは二量体率98%以上;好ましくは水素化処理されたもの;Uniqema社の商標名Pripol、またはHenkel社の商標名Empolとして販売されているもの)、ポリオキシアルキレン-α,ω-2価酸等であり得る。
【0216】
前記芳香族2価酸は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸などであり得る。
前記脂環式ジアミンは、例えばビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)と2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の異性体、ビス(パラ-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)などであり得る。
【0217】
その他のジアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン(IPDI)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルネン(BAMN)、ピペラジンなどが挙げられる。
【0218】
アリール脂肪族ジアミンの例としては、メタ-キシリレンジアミン(MXD)およびパラ-キシリレンジアミン(PXD)などがあるが、これらに限定されない。
【0219】
ポリアミドブロックの第3タイプの例として、PA66/6、PA66/610/11/12などがある。
【0220】
前記PA66/6において、前記66はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、前記6はカプロラクタムの縮合で導入された単位を表す。
【0221】
前記PA66/610/11/12において、前記66はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、前記610はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表し、前記11はアミノウンデカン酸の縮合で導入された単位を表し、前記12はラウリルラクタムの縮合で導入された単位を表す。
【0222】
前記ポリアミドブロックの数平均分子量は400~20000であり、具体的には500~10000であり得る。
【0223】
前記ポリエーテルブロックとしては、例えば、1つ以上のポリアルキレンエーテルポリオール(polyalkylene ether polyol)、例えばポリアルキレンエーテルジオールであり、具体的には、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)、ポリトリメチレングリコール(polytrimethylene glycol、PO3G)、ポリテトラメチレングリコール(polytetramethylene glycol、PTMG)、およびそれらの混合物またはそれらの共重合体から選択され得る。
【0224】
前記ポリエーテルブロックは、NH2鎖末端を含むポリオキシアルキレン単位を含み、前記単位は、ポリエーテルジオールと知られている脂肪族α,ω-ジヒドロキシポリオキシアルキレン単位をシアノアセチル化して導入され得る。具体的には、ジェファーミン(例えば、ハンツマン(HUNTSMAN)社の商品であるジェファーミン(登録商標)D400、D2000、ED2003、またはXTJ542)が使用され得る。
【0225】
前記1つ以上のポリエーテルブロックは、例えばPEG、PPG、PO3GおよびPTMGのようなポリアルキレンエーテルポリオール、鎖末端にNH2を含み、ポリオキシアルキレン配列を含むポリエーテル、それらがランダム配列および/またはブロック配列された共重合体(エーテル共重合体)、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のポリエーテルを含む。
【0226】
前記ポリエーテルブロックは、共重合体の総重量に対して10重量%~80重量%で含まれ、具体的には20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%で含まれ得る。前記ポリエーテルブロックの数平均分子量は200~1000であり、具体的には400~800、または500~700であり得る。
【0227】
前記ポリエーテルブロックは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールから導入されたものであり得る。
【0228】
前記ポリエーテルブロックは、カルボキシル末端を含むポリアミドブロックと共重合されポリエーテル-ブロック-アミドを形成し得る。
【0229】
前記ポリエーテルブロックは、アミン化を経てポリエーテルジアミンに転換された後、カルボキシル末端を含むポリアミドブロックと縮合してポリエーテル-ブロック-アミドを形成し得る。
【0230】
前記ポリエーテルブロックは、統計的に分散した単位を含むポリエーテル-ブロック-アミドを形成するために、ポリアミド前駆体および鎖制限剤と混合され得る。
【0231】
前記ポリエーテルは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などであり得る。ポリテトラメチレングリコールはポリテトラヒドロフラン(PTHF)としても知られている。前記ポリエーテルブロックが、ジオールまたはジアミンの形態からポリエーテル-ブロック-アミドの鎖に導入され、前記ポリエーテルブロックは、それぞれPEGブロック、PPGブロックまたはPTMGブロックと称される。
【0232】
また、前記ポリエーテルブロックは、エチレングリコール(-OC2H4-)、プロピレングリコール(-O-CH2-CH(CH3)-)、またはテトラメチレングリコール(-O-(CH2)4-)から誘導された単位ではない他の単位を含んでも、当該ポリエーテルブロックは実現例の範囲に含まれるものと理解するべきである。
【0233】
前記ポリアミドブロックの数平均分子量は、例えば300~15000、または600~5000であり得る。前記ポリエーテルブロックの数平均分子量は100~6000、好ましくは200~3000であり得る。
【0234】
具体的に、前記ポリエーテル-ブロック-アミドに含まれるポリアミドブロックの含有量は、全ポリエーテル-ブロック-アミドを基準に50重量%以上であり得る。これは、高分子鎖内に統計的に分布する可能性を意味し得る。具体的に、前記ポリアミドブロックの含有量は50重量%~80重量%であり得る。また、前記ポリエーテル-ブロック-アミドに含まれるポリエーテルブロックの含有量は、全ポリエーテル-ブロック-アミドを基準に20重量%~50重量%であり得る。
【0235】
前記共重合体のポリアミドブロックとポリエーテルブロックの数平均分子量の比は、例えば1:0.25~1:1であり得る。具体的に、前記共重合体のポリアミドブロックの数平均分子量/ポリエーテルブロックの数平均分子量は、1000/1000、1300/650、2000/1000、2600/650、または4000/1000であり得る。
【0236】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを製造する第1段階と、前記ポリアミドブロックおよび前記ポリエーテルブロックを縮合重合して弾性ポリエーテル-ブロック-アミドを製造する第2段階とを含む、2段階の方法により製造され得る。または、前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、単一段階で単量体を縮合重合して製造され得る。
【0237】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、例えば20~75、具体的には30~70のショアD硬度を示し得る。
【0238】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、25℃にてメタクレゾールで測定した固有粘度が0.8dl/g~2.5dl/gであり得る。前記固有粘度は、ISO 307:2019に基づいて測定することができる。具体的に、溶液中の固有粘度は、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計を用いて25℃にて0.5重量%の濃度のメタクレゾール溶液中で測定することができる。
【0239】
前記ポリエーテル-ブロック-アミドは、例示的にアルケマ(Arkema)社のPebax(登録商標)、Pebax(登録商標)Rnew(登録商標)、Evonik社のVESTAMID(登録商標)Eなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0240】
前記弾性層は、光学特性が一定の範囲内に調整されることができ、それによりディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用するのに有利である。
【0241】
前記弾性層のヘイズは、例えば3%以下であり、具体的には2%以下、1.5%以下、または1.2%以下であり得る。また、前記弾性層のヘイズは、0.01%以上、または0.1%以上であり得る。
【0242】
前記弾性層の可視光平均透過率は、例えば85%以上であり、具体的には88%以上、または90%以上であり得る。また、前記弾性層の可視光平均透過率は、99.99%以下であり得る。
【0243】
前記弾性層の厚さは、20μm以上、30μm以上、50μm以上、または100μm以上であり、また、500μm以下、400μm以下、300μm以下、または200μm以下であり得る。具体的な例として、前記基材フィルムの厚さは20μm~500μmであり、より具体的には50μm~200μmであり得る。
【0244】
[ディスプレイ装置]
一実現例によるディスプレイ装置は、前述の積層フィルムをカバーに含む。具体的には、前記積層フィルムは、前記ディスプレイ装置においてカバーウィンドウを構成し得る。
【0245】
図1および
図2を参照すると、一実現例によるディスプレイ装置1はディスプレイパネル20と、前記ディスプレイパネル20の前面上に配置されるカバーウィンドウ10とを含み、前記カバーウィンドウ10は、基材フィルム100と、前記基材フィルム100の一面上に配置されるハードコート層200と、前記基材フィルム100の他面上に配置される弾性層300とを含み、前記弾性層300は、ポリエーテル-ブロック-アミドを含む。
【0246】
一例として、前記基材フィルムは、ポリイミド系樹脂を含み得る。他の例として、前記基材フィルムは、ポリエステル系樹脂を含み得る。
【0247】
前記ディスプレイ装置に含まれる積層フィルムは、前述の積層フィルムと実質的に同一の構成および特性を有する。
【0248】
前記ディスプレイ装置は、柔軟性を有し得る。例えば、前記ディスプレイ装置はフレキシブルディスプレイ装置であり、具体的には、フォルダブルディスプレイ(foldable display)装置であり得る。より具体的に、前記フォルダブルディスプレイ装置は、フォールディング方向に応じてインフォールディング(in-folding)タイプまたはアウトフォールディング(out-folding)タイプであり得る。
【0249】
図5aおよび
図5bは、それぞれインフォールディングタイプおよびアウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置を示す。
図5aを参照すると、前記ディスプレイ装置は、フォールディング方向の内側に画面が位置するインフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置1aであり得る。または、
図5bを参照すると、前記ディスプレイ装置は、フォールディング方向の外側に画面が位置するアウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置1bであり得る。
【0250】
図1を参照すると、前記ディスプレイ装置1は、カバーウィンドウ10、ディスプレイパネル20、基板30,およびこれらを保護するフレーム40を含み、前記カバーウィンドウ10は、前述の積層フィルムを含む。
【0251】
一例として、前記ディスプレイパネル20は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルであり得る。他の例として、前記ディスプレイパネル20は、有機発光ディスプレイ(OLED)パネルであり得る。前記有機発光ディスプレイ装置は、前面偏光板と有機発光ディスプレイパネルとを含み得る。前記前面偏光板は、前記有機発光ディスプレイパネルの前面上に配置され得る。より具体的に、前記前面偏光板は、前記有機発光ディスプレイパネルにおいて、画像が表示される面に接着され得る。前記有機発光ディスプレイパネルは、ピクセル単位の自発光によって画像を表示する。前記有機発光ディスプレイパネルは、有機発光基板と駆動基板とを含む。前記有機発光基板は、ピクセルにそれぞれ対応する複数の有機発光ユニットを含む。前記有機発光ユニットは、それぞれ、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および陽極を含む。前記駆動基板は、前記有機発光基板に駆動的に結合される。すなわち、前記駆動基板は、前記有機発光基板に駆動電流のような駆動信号を印加し得るように結合され得る。より具体的に、前記駆動基板は、前記有機発光ユニットにそれぞれ電流を印加して、前記有機発光基板を駆動し得る。
【0252】
また、前記カバーウィンドウ10と前記ディスプレイパネル20との間に接着層が形成され得る。例えば、前記接着層は、光学的に透明な接着剤を含み得る。
【0253】
(実施例)
以下に記述される実施例は、理解を容易にするためのものであるのみ、実現可能な範囲がこれらに限定されるものではない。
【0254】
A.ポリイミド系フィルムを含む積層フィルム
ポリイミド系フィルムを含む様々な積層フィルムを製造および評価した。
【0255】
(実施例A1)
段階1)ハードコート層の形成
厚さ50μmの透明ポリイミド系フィルム(TPI、SKC社)の一面に、下記表1の組成を有するハードコート組成物をダイコート法によりコーティングした。その後、60℃の温度にて3分間熱処理してコーティング層の溶媒を乾燥させ、UV光を1J照射して硬化させることにより、厚さ約5μmのハードコート層を形成した。
【0256】
【0257】
段階2)弾性層のラミネート
ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 72R53, Arkema社)を押出機に入れ、約220℃にて溶融混練した後単層で押出し、前記で製造したハードコート層が形成された基材フィルムと一緒にラミネーションして、ハードコート層が形成された基材フィルム上に厚さ50μmのPEBA層が形成された積層フィルムを製造した。
【0258】
(実施例A2)
実施例A1の段階2において、PEBAフィルムの製造にポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 55R53、ARKEMA社)を用いたことを除いて、実施例A1と同様の方法により積層フィルムを製造した。
【0259】
(比較例A1)
ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 72R53、ARKEMA社)を押出機に入れ、約220℃で溶融混練した後単層で押出し、厚さ50μmの透明ポリイミド系フィルム(TPI、SKC社)と一緒にラミネーションして、基材フィルム上に厚さ50μmのPEBA層が形成された積層フィルムを得た。
【0260】
(比較例A2)
PEBAフィルムの製造に、ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 55R53、Arkema社)を用いたことを除いて、比較例A1と同様の方法により積層フィルムを製造した。
【0261】
(比較例A3)
厚さ100μmの透明ポリイミド系フィルム(TPI、SKC社)を用いることを除いて、実施例A1の段階1)と同じ手順を繰り返してハードコート層が形成されたフィルムを製造した。
【0262】
以上で製造したフィルムの層構成を下記表2にまとめた。
【0263】
【0264】
(試験例A1:ナノインデンテーション試験)
実施例および比較例で製造されたフィルムサンプルについて、ナノインデンテーション試験を行った。フィルムサンプルをA4サイズに裁断し、別途の前処理なく試験前まで25±5℃および50±5%RHで保管した。その後、フィルムサンプルについて、ナノインデンテーション表面分析器(FISCHERSCOPE HM2000、FISCHER社)を用いて評価した。具体的には、サンプルホルダーとして厚さ約3TのGLASS TEST PLATE(Fischerscope Part no. 600-028)上に積層フィルムサンプルをハードコート層の表面(または、ハードコート層がない場合は、基材フィルムの表面)が上方にくるように(すなわち、圧入面となるように)位置決めした。その後、ダイヤモンドチップを用いて常温にて30mNの力で15秒間下方に押した後5秒間維持し、再び上方に上昇させながらナノインデンテーション試験を行い、ビッカース硬度(HV、Vickers Hardness)、インデンテーション硬度(HIT)、復元率(Recovery)、および最大力(30mN)における最大インデンテーション深さ(hmax(@30mN))を測定した。ナノインデンテーション試験は、ISO 14577-1:2002(E)および14577-2:2002(E)に基づいて行われた。なお、復元率(Recovery)は、下記式により算出された。
【0265】
Recovery(%)=[(hmax(@30mN)-hp)/hmax(@30mN)]×100
(ここでhmax(@30mN)は、30mNの力で前記ハードコート層の表面を15秒間下方に押して5秒間維持させる間の最大インデンテーション深さ(μm)であり、hpは、前記力が除去された後も復元されずに残っているインデンテーションの深さ(μm)である)
その結果を下記表3に示す。
【0266】
【0267】
前記表3に示すように、実施例のフィルムは、表面硬度と復元性のいずれにも優れているのに対し、比較例のフィルムは、それらの少なくともいずれかの特性の面で相対的に低調であった。
【0268】
(試験例A2:光学特性および色相)
フィルムサンプルについて、光学特性および色相を測定した。ヘイズメーター(NDH-5000W、日本電色工業社)を用いてフィルムサンプルの可視光平均透過率をISO 13468規格に基づいて測定し、ヘイズをISO 14782規格に基づいて測定した。フィルムサンプルの黄色度(YI)は、分光光度計(UltraScan PRO、Hunter Associates Laboratory)により、D65光源を用いて10°条件でASTM-E313規格に基づいて測定した。また、フィルムサンプルの透過色を分光測色計(CM3700A、MINOLTA社)によりD65光源を用いて測定した。その結果を下記表4に示す。
【0269】
【0270】
前記表4に示すように、実施例のフィルムは、透過率、ヘイズおよび透過色のいずれにも優れているのに対し、比較例のフィルムはそれらの少なくともいずれかの特性の面で相対的に低調であった。
【0271】
B.ポリエステル系フィルムを含む積層フィルム
ポリエステル系フィルムを含む様々な積層フィルムを製造および評価した。
【0272】
(実施例B1)
段階1)ハードコート層の形成
厚さ50μmの透明ポリエステル系フィルム(NRF、SKC社)の一面に、下記表5の組成を有するハードコート組成物をダイコート法でコーティングした。その後、60℃の温度にて3分間熱処理してコーティング層の溶媒を乾燥させ、UV光を1J照射して硬化させることにより、厚さ約5μmのハードコート層を形成した。
【0273】
【0274】
段階2)弾性層のラミネーション
ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 72R53、Arkema社)を押出機に入れ、約220℃で溶融混練した後、単層で押出し、先に製造したハードコート層が形成された基材フィルムと一緒にラミネーションして、ハードコート層が形成された基材フィルム上に厚さ50μmのPEBA層が形成された積層フィルムを製造した。
【0275】
(実施例B2)
実施例B1の段階2において、PEBAフィルムの製造にポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 55R53、Arkema社)を用いたことを除いて、実施例B1と同様の方法により積層フィルムを製造した。
【0276】
(比較例B1)
ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 72R53, Arkema社)を押出機に入れ、約220℃にて溶融混練した後、単層で押出し、厚さ50μmの透明ポリエステル系フィルム(NRF、SKC社)と一緒にラミネーションして、基材フィルム上に厚さ50μmのPEBA層が形成された積層フィルムを製造した。
【0277】
(比較例B2)
PEBAフィルムの製造に、ポリエーテル-ブロック-アミド樹脂(Arkema Pebax Rnew 55R53、Arkema社)を用いたことを除いて、比較例B1と同様の方法により積層フィルムを製造した。
以上で製造したフィルムの層構成を下記表6にまとめた。
【0278】
【0279】
(試験例B1:ナノインデンテーション試験)
実施例および比較例で製造されたフィルムサンプルについて、ナノインデンテーション試験を行った。フィルムサンプルをA4サイズに裁断し、別途の前処理なく試験前まで25±5℃および50±5%RHで保管した。その後、フィルムサンプルについて、ナノインデンテーション表面分析器(FISCHERSCOPE HM2000、FISCHER社)を用いて評価した。具体的には、サンプルホルダーとして厚さ約3TのGLASS TEST PLATE(Fischerscope Part no. 600-028)上に積層フィルムサンプルをハードコート層の表面(または、ハードコート層がない場合は、基材フィルムの表面)が上方にくるように(すなわち、圧入面となるように)位置決めした。その後、ダイヤモンドチップを用いて常温にて30mNの力で15秒間下方に押した後、5秒間維持し、再び上方に上昇させながらナノインデンテーション試験を行い、マルテンス硬度(HM)、インデンテーションモジュラス(EIT)、弾性率(ηIT)、インデンテーションクリープ(CIT)、30mNの力における最大歪み(hmax(@30mN))、および復元率(Recovery)を測定した。ナノインデンテーション試験は、ISO 14577-1:2002(E)および14577-2:2002(E)に基づいて行われた。なお、復元率(Recovery)は、下記式により算出された。
【0280】
Recovery(%)=[(hmax(@30mN)-hp)/hmax(@30mN)]×100
(ここで、hmax(@30mN)は、30mNの力で前記ハードコート層の表面を15秒間下方に押して5秒間維持させる間の最大インデンテーション深さ(μm)であり、hpは、前記力が除去された後も復元されずに残っているインデンテーションの深さ(μm)である。
その結果を下記表7に示す。
【0281】
(試験例B2:光学特性)
ヘイズメーター(NDH-5000W、日本電色工業社)を用いて、フィルムサンプルの可視光平均透過率をISO 13468規格に基づいて測定し、結果を下記表7に示す。
【0282】
【0283】
前記表7に示すように、実施例のフィルムは、インデンテーション試験結果(HM、EIT、ηIT、CIT)と透過率のいずれにも優れていた。具体的には、実施例のフィルムは、ハードコート層が形成されたポリエステルフィルムとPEBA層との複合により、圧入時の硬度(HM)が高いため圧入される力を分散させることができ、弾性率(ηIT)に優れ、圧入時の永久変形に対する抵抗性(EIT)が良好であり、これによりクリープによる変形(CIT)が大きくても復元率(Recovery)に優れ、フォールディング後も永久変形が少ない。さらに、実施例のフィルムは透過率に優れており、携帯電話のカバーウィンドウとして使用され得る。これに対し、比較例のフィルムは、それらの試験項目の少なくともいずれかの結果が相対的低調であった。
【符号の説明】
【0284】
1:ディスプレイ装置
1a:インフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置
1b:アウトフォールディングタイプのフレキシブルディスプレイ装置
2:インデンター
2a:インデンターチップ
2b:圧入解除後に残る跡(dent)
10:積層フィルム(カバーウィンドウ)
10a:サンプル
20:ディスプレイパネル
30:基板
40:フレーム
100:基材フィルム
200:ハードコート層
300:弾性層
Ap:接触投影面積
F:試験力
Fmax:最大試験力
hmax:最大試験力における最大インデンテーション深さ
hp:試験力を除去した後のインデンテーション深さ
【国際調査報告】