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特表2024-530435TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス及びその調製方法、その使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス及びその調製方法、その使用
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/362 20060101AFI20240814BHJP
   C22C 14/00 20060101ALI20240814BHJP
   B23K 9/23 20060101ALI20240814BHJP
   B23K 9/18 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B23K35/362 310B
C22C14/00 Z
B23K9/23 G
B23K9/18 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504588
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2022109612
(87)【国際公開番号】W WO2023134149
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210025891.0
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520448821
【氏名又は名称】哈尓濱▲旱▼接研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】Harbin Welding Institute Limited Company
【住所又は居所原語表記】No.2077 ChuangXin Road, SongBei District, Harbin, Heilongjiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】徐▲カイ▼
(72)【発明者】
【氏名】黄瑞生
(72)【発明者】
【氏名】馮偉
(72)【発明者】
【氏名】郭▲キョウ▼
(72)【発明者】
【氏名】賈立超
(72)【発明者】
【氏名】尹立孟
(72)【発明者】
【氏名】武鵬博
(72)【発明者】
【氏名】陳玉華
(72)【発明者】
【氏名】鄒吉鵬
(72)【発明者】
【氏名】方乃文
【テーマコード(参考)】
4E001
4E084
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB05
4E001CB04
4E001DC07
4E001EA07
4E084AA18
4E084AA20
4E084AA35
4E084AA41
4E084CA03
4E084DA18
4E084GA09
4E084HA11
(57)【要約】
本発明はTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス及びその調製方法、その使用を提供し、溶接材料の技術分野に属する。前記粉末は、BaCl:4.5%~5.5%、LiF:1.8%~2.1%、NaF:4.8%~5.1%、残部がCaFの質量分率で混合される。方法:各原料粉末を粉末比率に従って混合し、攪拌した後、結合剤を加えて更に撹拌し続けて混合物を得て、得られた混合物をまず低温で乾燥し、次に高温で焼結し、室温まで冷却した後、篩にかけて、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを得る。本発明のフラックスは、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤと組み合わせてサブマージアーク溶接に使用する。本発明は、フラックスの各成分の比率を科学的に調整し、スラグの粘度、表面張力、流動性を最適化した。TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤと組み合わせて溶接すると、溶接加工性能と機械的特性が優れている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤と粉末材料から調製され、前記粉末は、BaCl:4.5%~5.5%、LiF:1.8%~2.1%、NaF:4.8%~5.1%、残部がCaFの質量分率で混合されることを特徴とするTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項2】
前記結合剤が高弾性カリウムナトリウム水ガラスであり、弾性率が2.8~3.1であり、カリウム対ナトリウム比が3:1であることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項3】
前記フラックス中の結合剤の質量分率は3%~5%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項4】
前記粉末は、BaCl:5%、LiF:2%、NaF:5%、残りがCaFの質量分率で混合されることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項5】
前記粉末は、BaCl:4.5%、LiF:2.0%、NaF:4.9%、残りがCaFの質量分率で混合されることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項6】
前記粉末は、BaCl:5%、LiF:2.1%、NaF:5.1%、残りがCaFの質量分率で混合されることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項7】
前記粉末中のH質量百分含量≦0.003%、N質量百分含量≦0.005%、O質量百分含量≦0.010%、S質量百分含量≦0.003%、P質量百分含量≦0.003%であることを特徴とする請求項1及び4~6のいずれか一項に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項8】
各原料粉末を粉末比率に従って混合し、3~5分間乾式攪拌した後、結合剤を加えて更に4~6分間撹拌し続けて混合物を得るステップ1と、
ステップ1で得られた混合物をまず低温で乾燥し、次に高温で焼結し、室温まで冷却した後、篩にかけて、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを得るステップ2に従って実行されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスの調製方法。
【請求項9】
ステップ2の前記低温乾燥のパラメータは、温度が180~230℃、時間が35分~60分であることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
ステップ2の前記高温焼結のパラメータは、温度が700~900℃、時間が50分~70分であることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項11】
ステップ2の前記篩仕様は10~80メッシュであることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項12】
前記フラックスがTC4チタン合金のサブマージアーク溶接に使用されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス或は請求項8~11のいずれか一項に記載の調製方法により調製して得られたTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスの使用。
【請求項13】
TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスは、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤと組み合わせて使用することを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスとTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤを組み合わせて使用した、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接後の溶接部の溶着金属の化学組成と含有量は、C:≦0.04wt%、Al:5.20wt%~5.45wt%、V:4.20wt%~4.80wt%、Fe:0.10wt%~0.20wt%、Li:0.15wt%~0.20wt%、Mn:≦0.015wt%、P≦0.01wt%、S≦0.02wt%、N:≦0.02wt%、残部はTiであることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項15】
前記TC4チタン合金のサブマージアーク溶接が複数パス多層サブマージアーク溶接であることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項16】
前記TC4チタン合金の肉厚は30mmであることを特徴とする請求項12に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年01月11日に中国専利局に提出された出願番号が202210025891.0であり、発明の名称が「TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス及びその調製方法、その使用」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は溶接材料の技術分野に属し、特にTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス及びその調製方法、その使用に関する。
【背景技術】
【0003】
TC4チタン合金は重要な構造材料であり、優れた総合特性(低密度、高比強度、耐食性、安定した高温耐性など)により、航空宇宙、深潜水機及び兵器装備などの分野で広く使用されている。現在、TC4チタン合金の厚肉部品のフィラー溶接には、ガスメタルアーク溶接とフィラーワイヤのレーザー溶接が主に使用されており、上記2つの溶接方法は、ナローギャップで開先を加工する方法を使用して溶接効率を向上できるが、依然としてワンパス多層溶接プロセスを使用する必要があり、その効率の大幅な向上が制限されるだけでなく、溶接プロセス中の複数パスの充填により溶接欠陥の確率が増加し、同時に、複数回の繰り返し加熱により、組織の粒子の粗大化を引き起こすこともある。さらに、超ナローギャップ溶接技術は、側壁の溶融不良や気孔内へのスラグの混入などの欠陥も引き起こすため、溶接装置やプロセスに対する要件がさらに高まる。従って、厚肉チタン合金の溶接分野における現在の技術的問題を解決するためには、欠陥の発生確率が低く、信頼性の高い、シンプルで効率的な溶接材料の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス及びその調製方法、その使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を提供する。
本発明は、結合剤と粉末材料から調製されるTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを提供し、上記粉末は、BaCl:4.5%~5.5%、LiF:1.8%~2.1%、NaF:4.8%~5.1%、残部がCaFの質量分率で混合される。
【0006】
さらに、上記結合剤が高弾性カリウムナトリウム水ガラスであり、弾性率が2.8~3.1であり、カリウム対ナトリウム比が3:1であることに限定される。
【0007】
さらに、上記フラックス中の結合剤の質量分率は3%~5%に限定される。
【0008】
さらに、上記粉末は、BaCl:5%、LiF:2%、NaF:5%、残りがCaFの質量分率で混合されることが限定される。
【0009】
さらに、上記粉末中のH質量百分含量≦0.003%、N質量百分含量≦0.005%、O質量百分含量≦0.010%、S質量百分含量≦0.003%、P質量百分含量≦0.003%であることが限定される。
【0010】
本発明は、上記技術的解決策に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスの調製方法を提供し、
各原料粉末を粉末比率に従って混合し、3~5分間乾式攪拌した後、結合剤を加えて更に4~6分間撹拌し続けて混合物を得るステップ1と、
ステップ1で得られた混合物をまず低温で乾燥し、次に高温で焼結し、室温まで冷却した後、篩にかけて、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを得るステップ2に従って実行される。
【0011】
さらに、ステップ2の上記低温乾燥のパラメータは、温度が180~230℃、時間が35分~60分であることに限定される。
【0012】
さらに、ステップ2の上記高温焼結のパラメータは、温度が700~900℃、時間が50分~70分であることに限定される。
【0013】
さらに、ステップ2の上記篩仕様は10~80メッシュに限定される。
【0014】
本発明は、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接のための上記解決策で説明したTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスの適用を提供する。
【0015】
さらに、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスは、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤと組み合わせて使用することが制限される。
【0016】
さらに、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスとTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤを組み合わせて使用した、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接後の溶接部の溶着金属の化学組成と含有量は、C:≦0.04wt%、Al:5.20wt%~5.45wt%、V:4.20wt%~4.80wt%、Fe:0.10wt%~0.20wt%、Li:0.15wt%~0.20wt%、Mn:≦0.015wt%、P≦0.01wt%、S≦0.02wt%、N:≦0.02wt%、残部はTiである。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比較した本発明の利点は次のとおりである。
チタン合金サブマージアーク溶接継手の構造と性能を調整する主な手段は、サブマージアーク溶接ワイヤとフラックスの組成を変更することによって微細構造を調整し、溶接継手の機械的特性を最適化することである。本発明は、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを提案し、溶接プロセス中の要素の燃焼損失を補い、溶接シームに有益な要素を添加し、サブマージアーク溶接技術を使用して、厚肉チタン合金部品の効率的かつ高品質な溶接をすることで、溶接継手の構造と特性の制御を実現し、最終的に高品質の溶接継手が得られる。本発明は、フラックスの各成分の比率を科学的に調整し、スラグの粘度、表面張力、流動性を最適化した。TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤと組み合わせて溶接すると、溶接中のアークが安定し、煙や粉塵が少なく、スラグの除去が容易で、溶接形状が美しく、溶接加工性能と機械的特性が優れている。具体的なメリットは以下のとおりである。
【0018】
1)本発明におけるCaFは、主に、H、O、N等の有害元素の溶接部への移行を抑制し、溶接部中のSおよびP含有量を制御するために使用され、フラックスの融点を下げるのに役立ち、溶接部金属の純度およびフラックスのプロセス性能を確保する。同時に、CaFはスラグの浸透性を高め、スラグの粘度を下げ、スラグ除去性能を向上させることもできる。また、CaFには導電性を高める効果もあり、発生する高抵抗熱によりスラグの形成速度が向上し、スラグの流動性が確保され、適時に溶融池を絶縁して保護することができる。しかし、CaFが多すぎると、導電率が高くなりすぎてスラグ粘度が低下し、スラグ形成プロセスの安定性に影響を及ぼし、したがって溶接部の形成に影響を及ぼす。
【0019】
2)フラックスにBaClを添加することによって生成されるスラグは、溶接部金属の表面を均一に覆い、溶接部金属の冷却速度を低下させ、α’マルテンサイト量を制御し、良好な溶接形状を得ることができる。BaClの適切な含有量により、溶融スラグが適切な融点と密度を持つことが保証され、溶接部の硫黄やリンなどの有害な不純物が除去され、溶接部の純度が確保され、それによって溶接部の衝撃靱性が確保される。さらに、BaClはBaFよりも融点が低いため、溶接プロセス中の溶接入熱を低減でき、それによって溶接部組織の微細化が保証される。同時に、BaClの添加により溶接部のOおよびN含有量が大幅に減少し、溶接部の衝撃靱性が確保される。
【0020】
3)フラックスにLiFを添加することは同様にフラックスの融点を下げ、フラックスのプロセス性能を向上できる。さらに、フラックス中の金属Li含有量を厳密に制御することにより、溶接部金属中のβ相の転移温度を大幅に上昇させ、残留β相を微細化し、溶接部金属の塑性と靭性を向上できる。
【0021】
4)フラックス中のNaFおよびLiFの添加は、溶接部中のHと結合してHFガスのオーバーフローを形成でき、これは、アーク雰囲気中のHの分圧を低下させるのに有益であり、これは脱水素化に役割を果たし、水素による亀裂の発生を減らす。
【0022】
5)適切な含有量の高弾性カリウムナトリウム水ガラスをフラックスに添加することで、アークの安定性が向上し、フラックスのアルカリ度を増加する。水ガラス中の高弾性カリウムナトリウム水ガラスの含有量が5%を超えると、溶接部の水素含有量が顕著に増加する傾向にあるため、フラックス中の高弾性カリウムナトリウム水ガラスの質量分率を3%~5%に制御する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例および図面を参照して本発明をさらに説明する。
実施例1:
本実施例のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスは、結合剤と粉末材料から調製され、ここで、粉末は、BaCl:4.5%、LiF:2.0%、NaF:4.9%、残部がCaFの質量分率で混合され、上記結合剤は高弾性カリウムナトリウム水ガラスであり、弾性率は2.8~3.1であり、カリウム対ナトリウム比は3:1であり、上記粉末中のH質量百分含量≦0.003%、N質量百分含量≦0.005%、O質量百分含量≦0.010%、S質量百分含量≦0.003%、P質量百分含量≦0.003%である。
【0024】
上記フラックスの調製方法は、
各原料粉末を粉末比率に従って混合し、4分間乾式攪拌した後、結合剤を加えて更に5分間撹拌し続けて混合物を得るステップ1と、
ステップ1で得られた混合物をまず200℃の低温で45分間乾燥し、次に800℃の高温で60分間焼結し、室温まで冷却した後、80メッシュの篩にかけて、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを得るステップ2に従って実行される。
【0025】
実施例2
本実施例のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスは、結合剤と粉末材料から調製され、ここで、粉末は、BaCl:5%、LiF:2.1%、NaF:5.1%、残部がCaFの質量分率で混合され、上記結合剤は高弾性カリウムナトリウム水ガラスであり、弾性率は2.8~3.1であり、カリウム対ナトリウム比は3:1であり、上記フラックスの前記結合剤の質量分率は4%であり、上記粉末中のH質量百分含量≦0.003%、N質量百分含量≦0.005%、O質量百分含量≦0.010%、S質量百分含量≦0.003%、P質量百分含量≦0.003%である。
【0026】
上記フラックスの調製方法は、
各原料粉末を粉末比率に従って混合し、4分間乾式攪拌した後、結合剤を加えて更に5分間撹拌し続けて混合物を得るステップ1と、
ステップ1で得られた混合物をまず200℃の低温で45分間乾燥し、次に800℃の高温で60分間焼結し、室温まで冷却した後、80メッシュの篩にかけて、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを得るステップ2に従って実行される。
【0027】
適用例1:
実施例1~2のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスをTC4チタン合金のサブマージアーク溶接に使用した具体的なプロセスは以下の通りである。
実施例1~2のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスとTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤを組み合わせて使用して複数パス多層サブマージアーク溶接を行い、母材はTC4チタン合金板であり、仕様は300mm×200mm×30mmであり、V字開先加工、片側開先角度は30°であり、開先鈍端は5mmであり、開先根元ギャップは10mmであり、合計12パス溶接でテストプレートの溶接を完了し、層間温度は100℃以内に制御され、交流溶接電源を使用する。表1に溶接プロセスパラメータを示し、表2に溶接部の溶着金属の化学組成結果を示し、表3に溶接継手の機械的特性試験結果を示す。
【0028】
【表1】
表1溶接プロセスパラメータ
【0029】
【表2】
表2溶接部の溶着金属の化学組成結果
【0030】
【表3】
表3機械的特性試験結果
【0031】
上記の実施例の説明は、本発明の方法およびその中心となる概念の理解を助けるためにのみ使用される。当業者は、本発明の原理から逸脱することなく、本発明にいくつかの改良および修正を加えることができ、これらの改良および修正も本発明の特許請求の範囲に含まれることに留意されたい。これらの実施例に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の実施例で実施できる。したがって、本発明は、本明細書に示される実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。

【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤と粉末材料から調製され、前記粉末は、BaCl:4.5%~5.5%、LiF:1.8%~2.1%、NaF:4.8%~5.1%、残部がCaFの質量分率で混合されることを特徴とするTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項2】
前記結合剤が高弾性カリウムナトリウム水ガラスであり、弾性率が2.8~3.1であり、カリウム対ナトリウム比が3:1であることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項3】
前記フラックス中の結合剤の質量分率は3%~5%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項4】
前記粉末は、BaCl:5%、LiF:2%、NaF:5%、残りがCaFの質量分率で混合されることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項5】
前記粉末は、BaCl:4.5%、LiF:2.0%、NaF:4.9%、残りがCaFの質量分率で混合されることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項6】
前記粉末は、BaCl:5%、LiF:2.1%、NaF:5.1%、残りがCaFの質量分率で混合されることを特徴とする請求項1に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項7】
前記粉末中のH質量百分含量≦0.003%、N質量百分含量≦0.005%、O質量百分含量≦0.010%、S質量百分含量≦0.003%、P質量百分含量≦0.003%であることを特徴とする請求項1及び4~6のいずれか一項に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス。
【請求項8】
各原料粉末を粉末比率に従って混合し、3~5分間乾式攪拌した後、結合剤を加えて更に4~6分間撹拌し続けて混合物を得るステップ1と、
ステップ1で得られた混合物をまず低温で乾燥し、次に高温で焼結し、室温まで冷却した後、篩にかけて、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスを得るステップ2に従って実行されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスの調製方法。
【請求項9】
前記フラックスがTC4チタン合金のサブマージアーク溶接に使用されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックス或は請求項に記載の調製方法により調製して得られたTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスの使用。
【請求項10】
前記TC4チタン合金のサブマージアーク溶接用フラックスとTC4チタン合金のサブマージアーク溶接用ワイヤを組み合わせて使用した、TC4チタン合金のサブマージアーク溶接後の溶接部の溶着金属の化学組成と含有量は、C:≦0.04wt%、Al:5.20wt%~5.45wt%、V:4.20wt%~4.80wt%、Fe:0.10wt%~0.20wt%、Li:0.15wt%~0.20wt%、Mn:≦0.015wt%、P≦0.01wt%、S≦0.02wt%、N:≦0.02wt%、残部はTiであることを特徴とする請求項に記載の使用。
【国際調査報告】