(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】照明条件の調節
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20240814BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240814BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20240814BHJP
A61M 21/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B45/10
H05B45/20
A61M21/02 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506189
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2022070584
(87)【国際公開番号】W WO2023011941
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パレロ ジョナサン アランブラ
(72)【発明者】
【氏名】ベニク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルギーズ バブ
(72)【発明者】
【氏名】ブールキン ヤニク パルリアン ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ルー
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ オイディリウス ヨハネス
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273QA13
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA12
3K273RA17
3K273SA21
3K273SA24
3K273SA37
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA75
(57)【要約】
一態様によれば、照明条件を調節するためのコンピュータ実施方法100が提供され、この方法は、使用イベント中の対象者によるパーソナルケアデバイスの使用に関するデバイス使用データを受け取るステップ(102)と、デバイス使用データに基づいて、対象者の現在の感情状態を推定するステップ(104)と、対象者の目標感情状態の指標を受け取るステップ(106)と、対象者の目標感情状態に基づいて、対象者が目標感情状態に達するのを支援するために光源に適用されるべき照明パラメータを決定するステップ(108)と、決定された照明パラメータに従って光を放射するように光源を動作させるステップ(110)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明条件を調節するためのコンピュータ実施方法であって、前記方法が、
使用イベント中の対象者によるパーソナルケアデバイスの使用に関するデバイス使用データを受け取るステップと、
前記デバイス使用データに基づいて、前記対象者の現在の感情状態を推定するステップと、
前記対象者の目標感情状態の指標を受け取るステップと、
前記対象者の前記目標感情状態に基づいて、前記対象者が前記目標感情状態に達するのを支援するために光源に適用されるべき照明パラメータを決定するステップと、
決定された前記照明パラメータに従って光を放射するように光源を動作させるステップと
を有する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記デバイス使用データが、
i)前記対象者によって使用されている前記パーソナルケアデバイスの性質の指標と、
ii)前記デバイス使用イベントの曜日、前記デバイス使用イベントの日付、前記デバイス使用イベントの時刻、前記デバイス使用イベントの地理的場所、前記デバイス使用イベントが行われる家の部屋、及び前記デバイス使用イベント中の前記パーソナルケアデバイスの定義された近傍内のデバイスのうちの少なくとも1つの指標と、
iii)前記デバイス使用イベント中の前記パーソナルケアデバイスの動作パラメータと、
iv)前記デバイス使用イベント中に前記パーソナルケアデバイスに関連するセンサを使用して取得されたセンサデータと
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記センサデータが、
i)前記対象者の皮膚又は体毛に関連する生理的パラメータ、前記対象者の皮膚又は体毛に関連する物理的パラメータ、前記対象者の皮膚又は体毛に関連する化学的パラメータ、及び前記対象者の皮膚又は体毛に関連する光学パラメータと、
ii)前記デバイス使用イベント中の前記パーソナルケアデバイスの動作パラメータと、
iii)前記デバイス使用イベント中の前記パーソナルケアデバイスと前記対象者との間の相互作用を示す相互作用パラメータと
のうちの1つ又は複数を示すデータを含む、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記対象者の前記現在の感情状態を推定するステップが、デバイス使用データを感情状態に関連づける第1のルックアップテーブルを参照するステップを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記対象者の前記目標感情状態の指標を受け取るステップが、目標感情状態を現在の感情状態に関連づける第2のルックアップテーブルを参照するステップを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記照明パラメータを決定するステップが、照明パラメータを目標感情状態に関連づける第3のルックアップテーブルを参照するステップを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記対象者の前記感情状態への1つ又は複数の照明パラメータの影響を示す第1のユーザ入力を受け取るステップと、
前記対象者の前記感情状態への1つ又は複数の照明パラメータの影響を示す前記ユーザ入力に基づいて前記第3のルックアップテーブルを更新するステップと
をさらに有する、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記対象者の照明の好み及び前記対象者の個人データのうちの1つ又は複数を示す対象者固有のデータを受け取るステップをさらに有し、
前記対象者の前記現在の感情状態を推定するステップ及び適用されるべき照明パラメータを決定するステップのうちの少なくとも1つが、受け取った前記対象者固有のデータに基づく、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記対象者の感情状態を示すユーザ入力を受け取るステップをさらに有し、
前記対象者の前記現在の感情状態を推定するステップが、前記対象者の感情状態を示す受け取った前記ユーザ入力にさらに基づく、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記対象者の前記目標感情状態に基づいて、前記対象者が前記目標感情状態に達するのを支援するために熱源に適用されるべき加熱パラメータを決定するステップと、
決定された前記加熱パラメータに従って熱を生成するように熱源を動作させるステップと
をさらに有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラムであって、前記非一時的コンピュータ可読媒体が、その中に具現化されたコンピュータ可読コードを有し、前記コンピュータ可読コードが、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、前記コンピュータ又は前記プロセッサに、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法を実行させるように構成されている、コンピュータプログラム。
【請求項12】
照明条件を調節するためのシステムであって、前記システムが、
パーソナルケアデバイスと、
光源と、
処理ユニットとを含み、
前記処理ユニットが、
前記パーソナルケアデバイス及び前記光源と通信し、
使用イベント中の対象者によるパーソナルケアデバイスの使用に関するデバイス使用データを受け取り、
前記デバイス使用データに基づいて、前記対象者の現在の感情状態を推定し、
前記対象者の目標感情状態の指標を受け取り、
前記対象者の前記目標感情状態に基づいて、前記対象者が前記目標感情状態に達するのを支援するために前記光源に適用されるべき照明パラメータを決定し、
決定された前記照明パラメータに従って光を放射するように前記光源を動作させる、システム。
【請求項13】
熱を前記対象者に向けるための発熱ユニットをさらに含み、
前記処理ユニットが、
前記目標感情状態に基づいて前記対象者に向けられるべき熱を生成するために前記発熱ユニットを動作させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記対象者の少なくとも一部の少なくとも1つの画像を捕捉するための撮像ユニットをさらに含み、
前記処理ユニットが、
前記少なくとも1つの画像に基づいて前記対象者の現在の感情状態を推定する、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記対象者からの入力を受け取るためのユーザインタフェースをさらに含み、
前記処理ユニットが、
前記ユーザインタフェースを使用して提供されたユーザ入力を介して前記対象者の目標感情状態の指標を受け取る、請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明条件の調節に関し、より詳細には、パーソナルケアデバイスの使用中の人の感情状態に基づく照明条件の調節に関する。
【背景技術】
【0002】
人が、剃毛などのパーソナルケア活動を実行するか、又は身体に関する何か他の処置を実行するとき、様々な要因が、活動のパフォーマンスに影響を与える。特に、いくつかの要因により、人(例えば、パーソナルケアデバイスのユーザ)は、活動をより効果的に実行することができ、又はそれほど効果的に実行することができない。
【0003】
パーソナルケア活動を高い標準で実行する対象者の能力に影響を与える1つの要因の一例は、人の気分又は感情状態である。例えば、悪い気分又はネガティブな感情状態にある人は、パーソナルケア活動を特に上手に又は効果的に実行しないが、良好な又はポジティブな高い感情状態にある人は、パーソナルケア活動をはるかに良好に又はより効果的に実行する。その上、対象者が活気のない又はネガティブな感情状態にある間のパーソナルケアデバイスの誤用は、安全性の観点から、例えば、皮膚損傷、皮膚炎、又はあざにつながる結果をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人が、パーソナルケア活動を実行するときに嫌な経験をした場合(例えば、活動又は処置の実行が、その人に期待又は予想した結果を与えることができない場合)、その人は、将来、その活動の実行に費やす金額を減らす。これは、その結果として、その人がパーソナルケア活動を嫌うようになることにつながる。それゆえに、パーソナルケア活動の実行中に人の気分又は感情状態を強化又は維持する方法への要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
人が良好な気分又はポジティブな感情状態にある場合、人によるパーソナルケア活動の実行はより効果的である。本開示の発明者らは、人の感情状態に影響を与える1つのやり方が、異なる周囲光条件の使用によるものであることを認識した。人間は、異なる色の光(例えば、異なる波長の光)に異なるように反応し、それゆえに、人の近くの周囲光条件を操作することが、その人の気分に影響を与えることが認識されている。例えば、ある色の光は、人に活力を与え、一方、他の色の光は、人をリラックスさせる。同様に、ある色の光は、人の気分を改善することが知られており、一方、他の色は、人に悲しみの感覚を呼び起こすことが知られている。
【0006】
本開示において、人の感情状態への異なる照明条件の影響についての知識が、パーソナルケアデバイスのユーザの感情状態に影響を与えるために使用される。ユーザの現在の感情状態の詳細が、達成されるべき目標感情状態の詳細とともに決定される。次いで、ユーザの現在の感情状態から目標/意図される感情状態への移行に影響を与えるために、照明条件が選択される。
【0007】
第1の特定の態様によれば、照明条件を調節するためのコンピュータ実施方法が提供され、この方法は、使用イベント中の対象者によるパーソナルケアデバイスの使用に関するデバイス使用データを受け取るステップと、デバイス使用データに基づいて、対象者の現在の感情状態を推定するステップと、対象者の目標感情状態の指標を受け取るステップと、対象者の目標感情状態に基づいて、対象者が目標感情状態に達するのを支援するために光源に適用されるべき照明パラメータを決定するステップと、決定された照明パラメータに従って光を放射するように光源を動作させるステップとを有する。
【0008】
デバイス使用データは、i)対象者によって使用されているパーソナルケアデバイスの性質の指標と、ii)デバイス使用イベントの曜日、デバイス使用イベントの日付、デバイス使用イベントの時刻、デバイス使用イベントの地理的場所、デバイス使用イベントが行われる家の部屋、及びデバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスの定義された近傍内のデバイスのうちの少なくとも1つの指標と、iii)デバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスの動作パラメータと、iv)デバイス使用イベント中にパーソナルケアデバイスに関連するセンサを使用して取得されたセンサデータとのうちの1つ又は複数を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、センサデータは、i)対象者の皮膚又は体毛に関連する生理的パラメータ、対象者の皮膚又は体毛に関連する物理的パラメータ、対象者の皮膚又は体毛に関連する化学的パラメータ、及び対象者の皮膚又は体毛に関連する光学パラメータと、ii)デバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスの動作パラメータと、iii)デバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスと対象者との間の相互作用を示す相互作用パラメータとのうちの1つ又は複数を示すデータを含む。
【0010】
対象者の現在の感情状態を推定するステップは、いくつかの実施形態では、デバイス使用データを感情状態に関連づける第1のルックアップテーブルを参照するステップを有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、対象者の目標感情状態の指標を受け取るステップは、目標感情状態を現在の感情状態に関連づける第2のルックアップテーブルを参照するステップを有する。
【0012】
照明パラメータを決定するステップは、照明パラメータを目標感情状態に関連づける第3のルックアップテーブルを参照するステップを有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、この方法は、対象者の感情状態への1つ又は複数の照明パラメータの影響を示す第1のユーザ入力を受け取るステップと、第1のユーザ入力に基づいて第3のルックアップテーブルを更新するステップとをさらに有する。
【0014】
この方法は、対象者の照明の好み及び対象者の個人データのうちの1つ又は複数を示す対象者固有のデータを受け取るステップをさらに有し、対象者の現在の感情状態を推定するステップ及び適用されるべき照明パラメータを決定するステップのうちの少なくとも1つは、受け取った対象者固有のデータに基づく。
【0015】
この方法は、いくつかの実施形態では、対象者の感情状態を示す第2のユーザ入力を受け取るステップをさらに有し、対象者の現在の感情状態を推定するステップは、受け取った第2のユーザ入力にさらに基づく。
【0016】
いくつかの実施形態では、この方法は、対象者の目標感情状態に基づいて、対象者が目標感情状態に達するのを支援するために熱源に適用されるべき加熱パラメータを決定するステップと、決定された加熱パラメータに従って熱を生成するように熱源を動作させるステップとをさらに有する。
【0017】
第2の特定の態様によれば、非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータ可読媒体は、その中に具現化されたコンピュータ可読コードを有し、コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、コンピュータ又はプロセッサに、本明細書で開示される方法を実行させるように構成される。
【0018】
第3の特定の態様によれば、照明条件を調節するためのシステムが提供され、このシステムは、パーソナルケアデバイスと、光源と、処理ユニットとを含み、処理ユニットは、パーソナルケアデバイス及び光源と通信し、使用イベント中の対象者によるパーソナルケアデバイスの使用に関するデバイス使用データを受け取り、デバイス使用データに基づいて、対象者の現在の感情状態を推定し、対象者の目標感情状態の指標を受け取り、対象者の目標感情状態に基づいて、対象者が目標感情状態に達するのを支援するために光源に適用されるべき照明パラメータを決定し、決定された照明パラメータに従って光を放射するように光源を動作させるように構成される。
【0019】
システムは、いくつかの実施形態では、熱を対象者に向けるように構成された発熱ユニットをさらに含み、処理ユニットが、目標感情状態に基づいて、対象者に向けられるべき熱を生成するために発熱ユニットを動作させるように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、このシステムは、対象者の少なくとも一部の少なくとも1つの画像を捕捉するように構成された撮像ユニットをさらに含み、処理ユニットが、少なくとも1つの画像に基づいて対象者の現在の感情状態を推定するように構成される。
【0021】
このシステムは、対象者からの入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースをさらに含み、処理ユニットが、ユーザインタフェースを使用して提供されたユーザ入力を介して対象者の目標感情状態の指標を受け取るように構成される。
【0022】
これら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかであり、それを参照して解明される。
【0023】
次に、例示的な実施形態が、単なる例として、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】照明条件を調節するための方法の一例の流れ図である。
【
図2】照明条件を調節するための方法のさらなる例の流れ図である。
【
図3】プロセッサと通信するコンピュータ可読媒体の一例の概略図である。
【
図4】照明条件を調節するためのシステムの一例の概略図である。
【
図5】照明条件を調節するためのシステムのさらなる例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の様々な実施形態は、光を使用して人の感情状態に影響を与える機構を提供する。より具体的には、パーソナルケアデバイスのユーザの感情状態は、ユーザの現在の感情状態から目標感情状態への移行をもたらすために、環境光をユーザに提供する光源のパラメータを調節することによって影響を受ける(例えば、強化される、又はさもなければ変えられる)。
【0026】
周囲光条件は、様々な状況で制御される。例えば、テレビジョンセットの後部ハウジングには、スクリーンに表示される画像に整合するか又はそれを補完するためのバックライティングを生成する発光ダイオード(LED)モジュールが備わっている。
【0027】
テレビジョンが提供する周囲照明は、視聴者の疲労を軽減し、経験の現実感及び深みを改善することが示されているが、周囲照明は、一般に、人の感情に影響を与えるために使用され、さらに、特定のタスク(例えば、パーソナルケア活動の実行)での人の感情のパフォーマンスに影響を与える。研究において、6つの色(鮮やかな赤色、鮮やかな青色、鮮やかな黄色、淡い赤色、淡い青色、及び淡い黄色)を模擬研究環境で操作して、大学生の学習パフォーマンス、感情、及び心拍へのそれらの影響が測定された。結果が示すところによれば、参加者は、その状況を、淡い色の条件では、リラックスする、平静である、楽しいと評価したが、読解スコアは、鮮やかな色の条件で著しく高かった。心拍数は、色相による影響が著しく、赤色及び黄色の条件で増加した。加えて、結果が示唆するところによれば、白色の程度にかかわらず、色相は、参加者の感情に著しく影響を与え、青色は、他の色と比較して、参加者のリラクゼーション及び平静の感覚を高めた。
【0028】
色心理学に基づくと、色スペクトラムの赤色領域の色(暖色と呼ばれ、赤色、オレンジ色、及び黄色を含む)は、暖かさ及び心地よさの感覚から怒り及び敵意の感覚に及ぶ感情を引き起し、一方、スペクトラムの青色側の色(寒色と呼ばれ、青色、紫色、及び緑色を含む)は、多くの場合、平静と説明されるが、さらに、悲しみ又は無関心の心の感覚を思い浮かべる。
【0029】
照明産業では、明るく、活動的な雰囲気を環境にもたらす色が頻繁に使用される。スポーツゲーム、休日、及び動機に向かっての意識の高まりは、色が照明に関与するほんの数例にすぎない。赤ちゃん製品では、白色が、多くの場合、使用されるが、その理由は、白色が、何かの始まり、純真、純潔、安全、及び清潔を象徴し、しばしば赤ちゃん及び新しい生命を連想させる言葉であるからである。それゆえに、赤ちゃん関連製品の広告は、白色の巧妙な使用で顧客を引き寄せ、その結果として、すべてのこれらの言葉を、見る人に思い出させる。
【0030】
白色が特定の感覚を象徴すると考えられるのと同様に、青色はまた、平静、誠実、及び信頼の感覚を呼び起こすと考えられる。青色照明は、様々なやり方で人体に影響を与える。多くの知見は、人間の眼が、概日リズムに影響がある青色光に敏感な光受容体を有することを示している。このため、青色光は、朝の目覚めのときに役立ち、そして旅行しているときに人が概日リズムを再調整するのを助けて時差ぼけの影響を軽減させるのに役立つ。青色LED照明は、皮膚も青色に敏感であるので血流を増加させるためにも使用され、最終的に体の痛みを取り除き、治癒を促進させる。
【0031】
緑色はまた、平静化の色であると考えられ、希望、鎮静、及び治癒の感覚を伝える。緑色は、人間の目には最も見やすく最も敏感な色である。緑色照明は、手術室で時々使用され、その理由は、緑色照明が、まぶしさを低減し、血液のヘモグロビンの赤色を補完して、外科医にとってより見やすい環境を創り出すからである。緑色光はまた、学習及び集中力を向上させ、したがって、教室で時々使用される。
【0032】
黄色は、暖かい色であると考えられ、幸せ又は喜びの感覚を呼び起こし、筋肉エネルギー及び精神活動を改善する。黄色は、注意を引くのにも有効である。病院では、黄色の照明の暖かいトーンは、リラックスした快適な雰囲気を創り出すために使用され、それは、患者が夜間に眠りにつくのを助ける。
【0033】
オレンジ色は、歓迎の色であり、親しみやすい雰囲気を創り出す。オレンジ色は、時々、友情、持久力、熱意、及び創造性に関連する。オレンジ色照明は、特に、赤色、オレンジ色、及び黄色が、人間の赤ちゃんが見ることができる最初の色の一部であるので、生まれたばかりの赤ちゃんを家に連れて来て、くつろがせ、歓迎し、快適にするのに好適であると考えられる。オレンジ色照明はまた、若い人の食欲を刺激し、そのために、オレンジ色は、健康的な食べ物を連想させる。オレンジ色はまた、脳への酸素の流れを増加させ、それゆえに、精神活動の高まりのきっかけとなる。
【0034】
それゆえに、異なる色、特に、異なる色の光は、人の気分、感覚、行動、又は感情状態の変化に影響を与える。同様に、異なる色又は異なる色の光は、人が特定の活動をどのように実行するかに影響を与える。これらの原理は、本開示では、パーソナルケア活動を実行している間の人の感情状態に影響を与えるのに使用され、その結果、ユーザは、パーソナルケアデバイスを使用している間ポジティブな経験を有し、より重要なことには、その結果、ユーザは、最良の(例えば、最も効果的な)やり方でパーソナルケア活動を実行する。
【0035】
第1の態様によれば、本発明は方法に関する。図面を参照すると、
図1は、方法100の一例の流れ図である。方法100は、照明条件を調節するためのコンピュータ実施方法を含む。方法100は、ステップ102において、使用イベント中の対象者によるパーソナルケアデバイスの使用に関するデバイス使用データを受け取るステップを有する。本開示によれば、パーソナルケアデバイスは、パーソナルケア活動を実行するために使用される任意のデバイスを含む。例えば、パーソナルケアデバイスは、限定はしないが、シェービングデバイス、体毛切断デバイス、及び脱毛デバイス、インテンスパルスレーザ(IPL)デバイス、皮膚処置デバイス、電動歯ブラシ、インタラクティブミラー、重量計、などを含む。本開示の文脈において、「使用イベント」という用語は、パーソナルケアデバイスが、例えば、処置を実行するか又は測定値を得るために使用されるイベント又は期間を指すように意図される。「使用イベント」という用語は、「セッション」又は「処置セッション」とも呼ばれる。例えば、対象者がシェービングデバイスのスイッチをオンにした時点から、シェービングの後にシェービングデバイスのスイッチをオフにした時点までの期間が、使用イベントであると考えられる。
【0036】
ステップ104において、方法100は、デバイス使用データに基づいて、対象者の現在の感情状態を推定するステップを有する。したがって、デバイス使用データは、パーソナルケアデバイスのユーザ(例えば、対象者)がどのように感じているかを推定するために使用される。
【0037】
使用イベント中に、パーソナルケアデバイスが使用されるやり方に関するデバイス使用データが受け取られる。デバイス使用データは、パーソナルケアデバイスの使用に関する情報を含み、いくつかの実施形態では、以下で論じるデータのタイプのうちの1つ又は複数を含む。
【0038】
1つの例では、デバイス使用データは、対象者によって使用されているパーソナルケアデバイスの性質の表示を含む。例えば、デバイス使用データは、使用されているデバイスのタイプを決定することができるタグ又は識別子を含む。ある例では、パーソナルケアデバイス自体が、パーソナルケアデバイスを識別するために使用されるデータを含む信号を生成する。他の例では、例えば、カメラ(例えば、スマートフォンのカメラ又はインタラクティブミラーのカメラ)が利用可能である場合、パーソナルケアデバイスの画像が捕捉され、パーソナルケアデバイスの性質を決定するために使用される。他の例では、対象者(例えば、パーソナルケアデバイスのユーザ)が、ユーザ入力を介して、使用されているパーソナルケアデバイスの性質の表示を提供する。パーソナルケア活動中に使用されているパーソナルケアデバイスのタイプは、あるパーソナルケアデバイスがより平静な又はリラックスした活動(例えば、IPLデバイスを使用する脱毛)に関連づけられるが、一方、他のパーソナルケアデバイスがあまりリラックスしていない活動(例えば、シェービング)に関連づけられるので、対象者の感情状態に関する洞察を与える。
【0039】
別の例では、デバイス使用データは、デバイス使用イベントの曜日、デバイス使用イベントの日付、デバイス使用イベントの時刻、デバイス使用イベントの地理的場所、デバイス使用イベントが行われる家の部屋、及びデバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスの定義された近傍内のデバイスのうちの少なくとも1つの表示を含む。デバイス使用イベントの曜日及び/又は日付は、対象者がどのようにリラックスするかへの洞察を与える。例えば、週末にパーソナルケア活動を実行する対象者は、仕事をしなければならない平日にパーソナルケア活動を実行する対象者よりもリラックスしている。同様に、デバイス使用イベントの時刻は、対象者が、慌ただしいと感じている(例えば、パーソナルケア活動が、朝の仕事の前に実行されている場合)か、又はよりリラックスしていると感じている(例えば、パーソナルケア活動が、就寝の前の夜間に実行されている場合)かどうかを決定するために使用される。デバイス使用イベントが行われる地理的場所は、対象者の感情状態への洞察を与える。自宅でパーソナルケア活動を実行するユーザは、例えば通勤途中の車両内でパーソナルケア活動を実行するユーザよりもリラックスしている可能性が高い。同様に、対象者の家の中で、浴室環境で実行されるパーソナルケア活動は、キッチンで実行されるパーソナルケア活動、多分、何か他の活動を実行している間よりもリラックスする。パーソナルケアデバイスがインタラクティブミラーの近くで使用されていると決定された場合、対象者がリラックスして制御されたやり方でパーソナルケア活動を実行していると決定されるが、パーソナルケアデバイスが別のデバイス(例えば、別のパーソナルケアデバイス)の近くに(例えば、定義された近傍内に)ないと決定された場合、対象者があまりリラックスしていないと想定される。この決定を助けるために、複数のパーソナルケアデバイスは、例えば、それらの相対的な位置又は相対的な離隔を決定することを可能にするために、互いに又は中央制御ユニットと対話する。
【0040】
別の例では、デバイス使用データは、デバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスの動作パラメータを含む。例えば、シェービングデバイスが、デバイス使用イベントの期間中最大速度に設定されていると決定された場合、対象者はパーソナルケア活動を実行するのに慌ただしく、それゆえに、対象者は多少ストレスを受けていると想定される。しかしながら、より遅い速度に設定されたシェービングデバイスでシェービングする対象者は、よりリラックスしていると考えられる。発光デバイスの波長設定及び発熱デバイスの熱設定などのパーソナルケアデバイスの他の動作パラメータが、さらに、対象者の感情状態を推定するために使用される。
【0041】
別の例では、デバイス使用データは、デバイス使用イベント中にパーソナルケアデバイスに関連するセンサを使用して取得されたセンサデータを含む。1つ又は複数のソースからのデータは、センサデータ及び/又はデバイス使用データを形成するように組み合わされる。いくつかの実施形態では、センサデータは、対象者の皮膚又は体毛の乾燥などの対象者の皮膚又は体毛に関連する生理学的パラメータを示すデータを含む。対象者の皮膚の表面上の汗は、例えば、対象者がストレスを受けていることを示唆する。センサデータは、皮膚又は体毛の温度又は色などの対象者の皮膚又は体毛に関連する物理的パラメータを示すデータを含む。例えば、皮膚の赤みは、対象者のストレス又は怒りの感情状態を示唆する。センサデータは、対象者の皮膚又は体毛に関連する化学的パラメータを示すデータを含む。例えば、体毛又は皮膚に存在する特定の化学物質は、対象者の特定の感情状態を示す。他の例では、センサデータは、対象者の感情状態の指標を提供することができる対象者の皮膚又は体毛に関連する光学パラメータ、例えば皮膚又は体毛の外観などを示すデータを含む。
【0042】
センサデータは、いくつかの実施形態では、デバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスの動作パラメータを示すデータを含む。上述で論じたように、温度設定又は速度設定などのパーソナルケアデバイスの動作パラメータは、対象者の感情状態の指標を提供する。そのような設定はデバイス自体で決定されるが、実施形態によっては、動作パラメータは、パーソナルケアデバイスに関連する1つ又は複数のセンサを使用して決定される。
【0043】
いくつかの実施形態では、センサデータは、デバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスと対象者との間の相互作用を示す相互作用パラメータを示すデータを含む。例えば、体毛切断デバイスに関連する圧力センサは、体毛切断デバイスによって対象者の皮膚に加えられる圧力を決定するために使用される。同様に、慣性測定ユニット(IMU)は、デバイス(例えば、シェービングデバイス又は電動歯ブラシ)がパーソナルケア活動中に動かされる速度を決定するために使用され、パーソナルケア活動の過程にわたって急速に動かされるパーソナルケアデバイスは、パーソナルケアデバイスをゆっくり動かすユーザよりもストレスを受けているか又は怒っているユーザに関連する。別の例では、パーソナルケアデバイスに関連するセンサは、カメラ又はマイクロホンを含む。そのようなセンサは、デバイス使用イベント中に画像又は音を記録し、画像又は音の処理が、対象者の感情状態を推定するために使用される。上述で論じたセンサは、デバイス使用イベント中のパーソナルケアデバイスと対象者との間の相互作用を示すデータを生成する。
【0044】
デバイス使用イベント中に取得されたデバイス使用データは、対象者の感情状態を推定するように構成された処理ユニットに提供される。いくつかの例では、対象者の現在の感情状態を推定することは、デバイス使用データを感情状態に関連づける第1のルックアップテーブルを参照することを含む。例えば、上述で論じたデバイス使用データのタイプのいずれかが、1つ又は複数の感情状態に関連づけられ、これらの関連づけが、第1のルックアップテーブル又はデータベースに格納される。デバイス使用データは、受け取ったデバイス使用データに基づいて、可能性が高い対象者の感情状態を決定するために、様々な閾値(例えば、データベース又はルックアップテーブル、例えば第1のルックアップテーブルなどに格納された)と比較される。1つ又は複数のアルゴリズムが、対象者の感情状態の推定を改善するために、異なるタイプのデバイス使用データを組み合わせるのに使用される。例えば、比較的遅い設定に設定されたシェービングデバイスセットを使用し、日曜の夕方に自分の家の浴室でシェービングイベントを実行するために顔の上でシェービングデバイスをゆっくり動かす対象者は、非常に平静でリラックスした状態にあると考えられる。逆に、高速の設定に設定されたシェービングデバイスセットを使用し、月曜の朝に自分の家のキッチンで実行されるシェービングイベント中に顔の上でこのシェービングデバイスを急速に動かす対象者は、ストレスを受けた感情状態にあると考えられる。
【0045】
方法100は、ステップ106において、対象者の目標感情状態の指標を受け取るステップを有する。対象者の現在の感情状態は、対象者の初期開始感情状態(例えば、デバイス使用イベントの始まり)であると考えられるが、目標感情状態は、対象者が達することが意図されている感情状態であると考えられる。いくつかの例では、目標感情状態は、現在の感情状態と同じである。例えば、対象者が現在幸せであると推定される場合、対象者が幸せのままであることが意図される。いくつかの例では、対象者の目標感情状態の指標は、対象者によって提供されるユーザ入力を介して受け取られる。例えば、対象者は、スマートフォン、又はインタラクティブミラーのユーザインタフェースを介して、もっとリラックスしたい、もっと元気を感じたいと知らせる。
【0046】
いくつかの例では、対象者の目標感情状態の指標を受け取ることは、目標感情状態を現在の感情状態に関連づける第2のルックアップテーブルを参照することを含む。例えば、対象者が、意図する目標感情状態の指標を提供していない場合、第2のルックアップテーブルが、現在の感情状態と目標感情状態との間の標準の又は事前定義された関連づけを提供する。これは、例えば、気分が沈んでいるか又はストレスを感じている対象者が気分を高めるか又はストレスを感じなくなることを望んでいる可能性が高いと想定する。他の例では、目標感情状態は、対象者に関して以前に示された目標感情状態を使用して決定される。例えば、対象者は、概してリラックスしたと感じることが好きであることを以前に示しており、そのため、これは、対象者の目標感情状態のデフォルト位置として使用される。いくつかの実施形態では、人々の集団の目標感情状態が、対象者の目標感情状態を決定するために使用される。例えば、対象者と同様の属性を有する(例えば、対象者のプロファイルと一致するか又は同様であるプロファイルを有する)人々の集団の目標感情状態の分析が実行され、それらの人々の目標感情状態が、対象者の目標感情状態を決定するために使用される。1つの例では、朝一番に、特定の層の人々は、同様の感情状態にあることを望むと想定される。
【0047】
ステップ108において、方法100は、対象者の目標感情状態に基づいて、対象者が目標感情状態に達するのを支援するために光源に適用されるべき照明パラメータを決定するステップを有する。照明パラメータは、光源によって放射される光の態様を制御する光源のパラメータ(例えば、動作パラメータ)又は設定を含む。したがって、いくつかの実施形態では、照明パラメータは、放射されるべき光の波長、放射されるべき光の暖かさ、及び放射されるべき光の強度のうちの少なくとも1つを含む。他の例では、照明パラメータは、光のパワー若しくは強度、光の周波数、及び/又は光の色(例えば、1つ又は複数のフィルタを使用した)を含む。他の例では、他の照明パラメータが適用される。
【0048】
光源に適用されるべき照明パラメータの選択は、対象者が目標感情状態に達することを意図して行われる。例えば、対象者が現在気分が沈んでいるか又は悲しい感情状態にあり、目標感情状態が幸せの感情状態であると決定された場合、光源に適用されるべき照明パラメータは、幸せ及び喜びの感覚に関連する光、例えば黄色光などを光源に放射させるものであると決定される。いくつかの実施形態では、照明パラメータを決定することは、照明パラメータを目標感情状態に関連づける第3のルックアップテーブルを参照することを含む。例えば、上述の例で記したように、幸せの目標感情状態は、ルックアップテーブルにおいて、適用された場合に光源に黄色光を放射させる特定の照明パラメータ(例えば、黄色光に関連した特定の波長設定)に関連づけられる。
【0049】
上記のように、目標感情状態は、いくつかの例では、現在の感情状態と同じである。例えば、対象者は、既にポジティブで幸せな気分にあり、目標感情状態もまた幸せの感情状態である。そのような例では、対象者の感情状態を変更する必要はなく、そこで、光源に適用されるべき照明パラメータは、現在光源に適用されている照明パラメータとするか、又は対象者の現在の感情状態を維持する光を放射させるパラメータとする。
【0050】
いくつかの実施形態では、光源に適用されるべき照明パラメータの決定は、対象者の現在の感情状態にさらに基づく。したがって、照明パラメータの決定を目標感情状態にのみ基づかせるのではなく、対象者の現在の感情状態も考慮に入れる。そのような例では、特定の現在の感情状態と目標感情状態との間でユーザを移行させるのに特に効果的であることが知られている特定の照明パラメータが存在する。特定の現在の感情状態と目標感情状態との間の関連性、及びそれらの感情状態の間の移行を可能にするための効果的な照明パラメータは、第3のルックアップテーブルなどの1つ又は複数のルックアップテーブルに格納される。
【0051】
方法100は、ステップ110において、決定された照明パラメータに従って光を放射するように光源を動作させるステップを有する。例えば、決定された照明パラメータが、光源に適用される。これにより、光源は、対象者が目標感情状態に達するのを助ける光を放射する。いくつかの実施形態では、光源を動作させること、又は決定された照明パラメータを光源に適用することは、光源によって現在放射されている光から、決定された照明パラメータに従って放射される光への移行が、滑らか又は緩やかであるように行われる。ゆっくりと緩やかなやり方での照明条件の変更は、対象者にはそれほど明らかでなく若しくは顕著ではなく、又は対象者は、自分の感情状態に生じようとしている意図された変化にあまり気づかない。
【0052】
光源に光を放射させるために光源に照明パラメータを適用することにより、対象者の感情状態を変更させることが助けられる。これは、人の気分を改善するのを助けるだけでなく、対象者がパーソナルケアデバイスを使用してパーソナルケア活動を実行するやり方にもポジティブな影響がある。例えば、インテンスパルスライト(IPL)デバイスを使用する処置(例えば、体毛除去)は、ゆっくりと慎重に実行されるべきであり、デバイスは、処置されるべき体の領域にわたって漸増的に動かされるべきである。デバイスが速く動かされすぎる場合、皮膚の斑点が見逃され、体毛が効果的に取り除かれない。それゆえに、IPLデバイスを使用する対象者は平静でリラックスした感情状態にあることが望ましい。それゆえに、方法100は、周囲照明条件を使用して、対象者をリラックスさせるのを助ける環境を創り出すのを助け、それによって、対象者がゆっくりと効果的に処置を実行する可能性をより高くする。この結果は、処置が意図するように実行されるだけでなく、安全性に関しても利益がある。例えば、動揺した又は怒りの感情状態にある間にパーソナルケアデバイスを動作させると、デバイスを誤用し、最終的に、事故の発生につながる。同様に、怒りの感情状態にある間にパーソナルケアデバイスを使用することは、パーソナルケアデバイスの損傷につながる(例えば、デバイスが、適切に使用されないか、又は意図された動作条件に従って使用されない場合)。より平静な感情状態にあるユーザは、デバイスを損傷することになる可能性が低い意図されたやり方でパーソナルケアデバイスを使用する可能性がより高い。
【0053】
図2は、照明条件を調節するためのコンピュータ実施方法を含む方法200のさらなる例の流れ図である。方法200は、上述で論じた方法100の1つ又は複数のステップを有する。ステップ202において、方法200は、対象者の照明の好み及び/又は対象者の個人データのうちの1つ又は複数を示す対象者固有のデータを受け取るステップをさらに有する。対象者固有のデータは、照明条件に関する対象者の好みの指標(例えば、対象者の感情状態に特定の影響を有する光の特定の色の指標)を提供する対象者に関するデータを含む。対象者固有のデータは、例えば、ユーザインタフェースを介して対象者によって提供される。いくつかの例では、ユーザプロファイルは、特定の対象者に関連する対象者固有のデータ及び/又は好みを格納し、対象者固有のデータを得るために使用される。
【0054】
対象者の現在の感情状態を推定するステップ(ステップ104)及び/又は適用されるべき照明パラメータを決定するステップ(ステップ108)は、受け取った対象者固有のデータに基づく。例えば、対象者固有のデータは、対象者の現在の感情状態の指標又は対象者の好みの照明条件の指標を含む。
【0055】
ステップ204において、方法200は、対象者の感情状態への1つ又は複数の照明パラメータの影響を示す第1のユーザ入力を受け取るステップをさらに有する。例えば、対象者は、特定の照明パラメータ(例えば、特定の光の色)が怒り又は悲しみを感じさせることを示す第1のユーザ入力を提供する。対象者によって提供された入力は、ルックアップテーブルを更新するために使用される。例えば、方法200は、ステップ206において、第1のユーザ入力に基づいて第3のルックアップテーブルを更新するステップをさらに有する。このようにして、方法100、200の間に参照されるルックアップテーブルは、様々な対象者に対してパーソナライズされ、対象者に特定の照明パラメータを適用することが望ましくない影響を有する(例えば、目標感情状態が幸せであるときに対象者を悲しくさせる)機会を減少させる。
【0056】
方法200は、ステップ208において、対象者の感情状態を示す第2のユーザ入力を受け取るステップをさらに有する。例えば、対象者は、スマートフォン又はインタラクティブミラーのスクリーンに表示される感情状態のリストから選択することによって指標を提供する。対象者の入力(すなわち、第2のユーザ入力)は、対象者の現在の感情状態を決定するために、デバイス使用データと組み合わせて使用される。したがって、対象者の現在の感情状態を推定するステップ(ステップ104)は、受け取った第2のユーザ入力にさらに基づく。
【0057】
目標感情状態を生じさせるために特定の照明条件が対象者に提供されることに加えて、1つの実施形態では、目標感情状態に達するのを助けるために、熱の印加も使用される。したがって、いくつかの実施形態では、パーソナルケアデバイス又は別のデバイスは、対象者が目標感情状態に達するのを助けるために対象者に熱を与えるように構成された発熱手段、熱放出手段を備え得る。したがって、いくつかの実施形態では、方法200は、ステップ210において、対象者の目標感情状態に基づいて、対象者が目標感情状態に達するのを助けるために熱源に適用されるべき加熱パラメータを決定するステップをさらに有し得る。いくつかの実施形態では、加熱パラメータを決定するステップ(ステップ210)は、対象者の現在の感情状態にさらに基づく。一例では、対象者の目標感情状態が居心地の良さであると決定された場合、方法200は、ステップ210において、熱源が比較的高い温度で熱を加え、それにより、対象者が暖まり、対象者が目標感情状態に達するのを助けることを決定する。したがって、ステップ212において、方法200は、決定された加熱パラメータに従って熱を生成するように熱源を動作させるステップをさらに有する。熱は、熱風及び/又は放射(例えば、赤外光)の形態で供給される。いくつかの実施形態では、光源は、赤外光源を含み、照明パラメータは、赤外線を放射させるパラメータを含む。
【0058】
上述で論じた方法100、200のステップは、1つ又は複数のプロセッサ又は処理ユニットを使用して実行される。そのようなプロセッサは、パーソナルケアデバイス、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、インタラクティブミラーなどのようなデバイスの一部を形成する。いくつかの実施形態では、処理は、例えばクラウドコンピューティング環境を使用して、対象者から遠隔で実行される。したがって、プロセッサは、例えば、遠隔に配置されたサーバの一部を形成する。
【0059】
第2の態様によれば、本発明は、コンピュータプログラム製品に関する。
図3は、コンピュータ可読媒体304と通信するプロセッサ302の一例の概略図である。一実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読媒体304を含み、コンピュータ可読媒体は、その中に具現化されたコンピュータ可読コードを有し、コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサ302による実行時に、コンピュータ又はプロセッサに、本明細書で開示される方法100、200のステップを実行させるように構成される。
【0060】
第3の態様によれば、本発明はシステムに関する。
図4は、照明条件を調節するためのシステムであると考えられるシステム400の一例の概略図である。システム400は、処理ユニット402、パーソナルケアデバイス404、及び光源406を含む。処理ユニット402は、パーソナルケアデバイス404及び光源406と通信し、本明細書で論じる方法100、200の1つ又は複数のステップを実行するように構成される。具体的には、処理ユニット402は、使用イベント中の対象者によるパーソナルケアデバイスの使用に関するデバイス使用データを受け取り、デバイス使用データに基づいて、対象者の現在の感情状態を推定し、対象者の目標感情状態の指標を受け取り、対象者の目標感情状態に基づいて、対象者が目標感情状態に達するのを支援するために光源に適用されるべき照明パラメータを決定し、決定された照明パラメータに従って光を放射するように光源を動作させるように構成される。システム400の構成要素は、単一デバイスに配置されるか、又は2つ以上のデバイスに互いに遠く離して配置される。
【0061】
図5は、照明条件を調節するためのシステムなどのシステム500のさらなる例の概略図である。システム500は、上述で開示したシステム400の構成要素を含む。システム500は、熱を対象者に向けるように構成された発熱ユニット502をさらに含む。発熱ユニット502は、例えば、パーソナルケアデバイス404の一部を形成するか、又はパーソナルケアデバイスから遠く離れた別個の構成要素を含む。処理ユニット402は、目標感情状態に基づいて、対象者に向けられるべき熱を生成するように発熱ユニット502を動作させるように構成される。上述で論じたように、発熱ユニット502は、対象者の目標感情状態が、居心地の良さ又はリラックスである場合、高い温度の熱を生成し、対象者に向けるように構成される。
【0062】
システム500は、対象者の少なくとも一部の少なくとも1つの画像を捕捉するように構成された撮像ユニット504をさらに含む。撮像ユニット504は、例えば、スマートフォン若しくはタブレットコンピュータのカメラ、又はインタラクティブミラーのカメラを含む。撮像ユニット504は、単一の画像又は多数の画像、例えばビデオを形成する画像のストリームなどを捕捉する。処理ユニット402は、少なくとも1つの画像に基づいて対象者の現在の感情状態を推定するように構成される。例えば、表情分析が、対象者の表情に基づいて対象者の気分又は感情状態を決定するために実行される。他の例では、対象者の現在の感情状態の決定は、対象者の皮膚の色(例えば、対象者の顔の赤みは怒りを示唆する)などの捕捉された画像において利用可能な画像データを分析することによって決定される。
【0063】
いくつかの実施形態では、システム500は、対象者に関連する音データを記録するマイクロホン(図示せず)を含む。記録された音データは、対象者の現在の感情状態を決定するのを助けるために、単独で、又は撮像ユニット504によって捕捉された画像と併せて使用される。
【0064】
システム500は、対象者からの入力を受け取るように構成されたユーザインタフェース506をさらに含む。ユーザインタフェース506は、1つ又は複数のスイッチ、1つ又は複数のボタン、キーパッド、キーボード、マウス、マウスホイール、タッチスクリーン若しくはアプリケーション(例えば、タブレット又はスマートフォンの)、又は任意の他のユーザインタフェース、又は対象者がユーザ入力を提供できるようにするのに適するユーザインタフェースの組合せを含む。ユーザインタフェース506は、例えばルックアップテーブルのうちの1つ又は複数を更新するために使用される他のデータとともに現在の感情状態及び/又は目標感情状態を示すために対象者によって使用される。処理ユニット402は、ユーザインタフェース506を使用して提供されたユーザ入力を介して、対象者の目標感情状態の指標を受け取るように構成される。
【0065】
本明細書で開示される実施形態は、対象者の気分又は感情状態が周囲光の使用を通して影響を受ける機構を提供する。パーソナルケア活動を実行している間の対象者の現在の感情状態の推定と、対象者が達すべき又は達したい目標感情状態の決定とに基づいて、適切な照明条件が決定され、照明パラメータが、所望の照明条件を創り出すために適用される。対象者の気分又は感情状態を変更又は改善することによって、対象者は、パーソナルケア活動を、より高い水準で、より効果的に、及び/又はより安全に実行することができる。その上、対象者がパーソナルケアデバイスを使用するやり方を改善することによって(例えば、デバイスを使用するためのより平静な環境を創り出すことによって)、パーソナルケアデバイスは、長持ちする可能性が高くなり、損傷される可能性が低くなる。プロセッサ302、402は、本明細書に記載のやり方でシステム400、500を制御するように構成又はプログラムされている、1つ又は複数のプロセッサ、処理ユニット、マルチコアプロセッサ、又はモジュールを含む。特定の実施態様では、プロセッサ302、402は、各々が、本明細書に記載の方法の個々のステップ又は多数のステップを実行するように構成されるか又は実行するための複数のソフトウェアモジュール及び/又はハードウェアモジュールを含む。
【0066】
本明細書で使用される「モジュール」という用語は、特定の機能を実行するように構成されたプロセッサ若しくはプロセッサの構成要素などのハードウェア構成要素、又はプロセッサによって実行されたときに特定の機能を有する命令データのセットなどのソフトウエアコンポーネントを含むように意図される。
【0067】
本発明の実施形態はまた、本発明を実行に移すように構成されたコンピュータプログラム、特にキャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムに適用されることが理解されよう。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース、及び部分的にコンパイルされた形態などのオブジェクトコードの形態で、又は本発明の実施形態による方法の実施で使用するのに適した任意の他の形態である。そのようなプログラムは、異なるアーキテクチャ設計を有してもよいことも理解されよう。例えば、本発明による方法又はシステムの機能を実施するプログラムコードは、1つ又は複数のサブルーチンに細分されてもよい。これらのサブルーチンの間で機能を分散させる多くの異なるやり方が当業者には明らかであろう。サブルーチンは、自己完結型プログラムを形成するために1つの実行可能ファイルに一緒に格納されてもよい。例えば、そのような実行可能ファイルは、コンピュータ実行可能命令、例えば、プロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えば、Javaインタプリタ命令)を含む。代替として、サブルーチンの1つ又は複数或いはすべては、少なくとも1つの外部ライブラリファイルに格納され、例えば実行時に、メインプログラムと静的に又は動的にリンクされる。メインプログラムは、サブルーチンのうちの少なくとも1つへの少なくとも1つの呼出しを含む。サブルーチンはまた、互いに対する関数呼び出しを含む。コンピュータプログラム製品に関する一実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの少なくとも1つの各プロセス段階に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに細分され、及び/又は静的に又は動的にリンクされる1つ又は複数のファイルに格納される。コンピュータプログラム製品に関する別の実施形態は、本明細書に記載のシステム及び/又は製品のうちの少なくとも1つの各手段に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに細分され、及び/又は静的に又は動的にリンクされる1つ又は複数のファイルに格納される。
【0068】
コンピュータプログラムのキャリアは、プログラムを運ぶことができる任意のエンティティ又はデバイスである。例えば、キャリアは、ROM、例えばCD ROM若しくは半導体ROM、又は磁気記録媒体、例えばハードディスクなどのデータストレージを含む。さらに、キャリアは、電気ケーブル若しくは光ケーブルを介して、又は無線手段若しくは他の手段によって搬送される電気信号又は光信号などの伝送可能なキャリアである。プログラムがそのような信号で具現化される場合、キャリアはそのようなケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成される。代替として、キャリアは、プログラムが埋め込まれた集積回路であり、集積回路は、関連する方法を実行するように構成されるか、又は関連する方法の実行に使用される。
【0069】
開示された実施形態への変更は、本明細書に記載の原理及び技法を実践する際に、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から当業者によって理解及び達成される。特許請求の範囲において、「備える、含む、有する」という単語は、他の要素又はステップを排除せず、単数形の要素は、複数を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たす。特定の手段が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示していない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に供給されるか又は他のハードウェアの一部として供給される光学ストレージ媒体又は固体媒体などの適切な媒体に格納又は分散されてもよいが、さらに、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介してなど、他の形態で分散されてもよい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】