(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】シナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法
(51)【国際特許分類】
H03K 3/57 20060101AFI20240814BHJP
H03K 5/00 20060101ALI20240814BHJP
H02M 9/02 20060101ALI20240814BHJP
F41H 13/00 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
H03K3/57
H03K5/00 Y
H02M9/02
F41H13/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506823
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2022111828
(87)【国際公開番号】W WO2023016520
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110921259.X
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110921262.1
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524044773
【氏名又は名称】杭州維納安可医療科技有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】衷 興華
(72)【発明者】
【氏名】汪 龍
(72)【発明者】
【氏名】楊 克
(57)【要約】
【要約】
【課題】シナジーパルス発生回路、発生装置及び発生方法を提供すること。
【解決手段】シナジーパルス発生回路は、第1の電源と、前記第1の電源に電気的に接続される第1のパルス発生モジュールと、第2の電源と、前記第2の電源に電気的に接続された第2のパルス発生モジュールとを含む。第1のパルス発生モジュールは、第1の電源から供給される電力を受信して蓄積するn段の第1のパルス発生部を含む。第1の制御信号を受信したx個の第1のパルス発生部は放電して負荷に印加される第1のパルスを形成する。第2のパルス発生モジュールは、第2の電源から供給される電力を受信して蓄積するm段の第2のパルス発生部を含む。第2の制御信号を受信したy個の第2のパルス発生部は、放電して負荷に印加される第2のパルスを形成する。幅の異なる第1のパルスおよび/または第2のパルスを選択的に形成し、第1のパルスと第2のパルスの電圧を選択することで、複合パルスを負荷に印加する目的を達成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源と、
前記第1の電源と電気的に接続される第1のパルス発生モジュールであって、前記第1の電源から第1の電圧で供給される電力を受信して蓄積し、負荷に印加する第1のパルスを形成するために前記第1の制御信号を受信した前記第1のパルス発生部をx(xは1以上n以下の整数)個の放電させるように、第1の制御信号を受信したとき、蓄積された電力を放電させるように構成されるn(nは1以上の整数)段の第1のパルス発生部を含む第1のパルス発生モジュールと、
第2の電源と、
前記第2の電源と電気的に接続される第2のパルス発生モジュールであって、前記第2の電源から第2の電圧で供給される電力を受信して蓄積し、負荷に印加する第2のパルスを形成するために前記第2の制御信号を受信した前記第2のパルス発生部をy(yは1以上m以下の整数)個放電させるように、第2の制御信号を受信したとき、蓄積された電力を放電させるように構成されるm(mは1以上の整数)段の第2のパルス発生部を含む第2のパルス発生モジュールと、を含み、
前記第1のパルス発生モジュールと第2のパルス発生モジュールの出力端は同一の負荷に接続されるように配置され、
前記第2の電圧は前記第1の電圧よりも大きく、前記第2のパルスの幅は前記第1のパルスの幅よりも小さい
ことを特徴とするシナジーパルス発生回路。
【請求項2】
前記第1のパルス発生部は、第1の記憶部と、第1のスイッチ部と、第1のオフ部とを含み、
前記第1のスイッチ部は、前記第1の制御信号を受信し、前記第1の制御信号による制御でオンされることにより、前記第1のパルスを形成するために、前記第1の制御信号を受信した前記第1のスイッチ部と同じ段の前記各第1の記憶部を直列に接続され放電させるように構成され、
前記第1のオフ部は、前記第1の電源から前記第1のパルス発生部へ充電電流のみが流れ、又は、自段の前記第1のパルス発生部から次段の前記第1のパルス発生部へ充電電流が流れ、且つ自段の前記第1のパルス発生部から次段の前記第1のパルス発生部へ放電電流のみが流れるように構成され、
前記第2のパルス発生部は、第2の記憶部と、第2のスイッチ部と、第2のオフ部とを含み、
前記第2のスイッチ部は、前記第2の制御信号を受信し、前記第2の制御信号による制御でオンされることにより、前記第2のパルスを形成するために、前記第2の制御信号を受信した前記第2のスイッチ部と同じ段の前記各第2の記憶部を直列に接続され放電させるように構成され、
前記第2のオフ部は、前記第2の電源から前記第2のパルス発生部へ充電電流のみが流れ、又は、自段の前記第2のパルス発生部から次段の前記第2のパルス発生部へ充電電流が流れ、且つ自段の前記第2のパルス発生部から次段の前記第2のパルス発生部へ放電電流のみが流れるように構成される
請求項1に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項3】
前記第1のスイッチ部は、各段の前記第1の記憶部が前記第1の電源に並列に接続されて、前記第1の電源から供給される電力を受信して蓄積するように、第3の制御信号を受信したときオフされるように構成され、
前記第2のスイッチ部は、各段の前記第2の記憶部が前記第2の電源に並列に接続されて、前記第2の電源から供給される電力を受信して蓄積するように、第4の制御信号を受信したときオフされるように構成される
請求項2に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項4】
前記第1のオフ部は、第1のオフ素子及び第2のオフ素子を含み、
1段目の第1のオフ素子は、前記第1の電源の第1端と1段目の第1のメモリ部の第1端とにそれぞれ電気的に接続され、
i(iは2以上の整数)段目の第1のオフ素子は、i-1段目の第1のメモリ部の第1の端とi段目の第1のメモリ部の第1の端とi-1段目の第1のオフ素子とそれぞれ電気的に接続され、
各段の第2のオフ素子は、自段の第1のメモリ部の第2の端と自段の第1のスイッチの第2の端と次段の第2のオフ素子とそれぞれ電気的に接続され、
前記第2のオフ部は、第3のオフ素子及び第4のオフ素子を含み、
1段目の第3のオフ素子は、前記第2の電源の第1の端と1段目の第2のメモリ部の第1の端とにそれぞれ電気的に接続され、
j(jは2以上の整数)段目の第3のオフ素子は、j-1段目の第2のメモリ部の第1の端とj段目の第2のメモリ部の第1の端とj-1段目の第3のオフ素子とそれぞれ電気的に接続され、
各段の第4のオフ素子は、自段の第2のメモリ部の第2の端と自段の第2のスイッチの第2の端と次段の第4のオフ素子とそれぞれ電気的に接続される
請求項2に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項5】
各段の前記第1のメモリ部の両端に、前記第1の電源の両端にそれぞれ電気的に接続され、各段の前記第1のスイッチ部の制御端は、前記第1の制御信号を受信するように構成され、各段の前記第1のスイッチの第1の端および第2の端は、自段の前記第1のメモリ部の第1の端および次段の前記第1のメモリ部の第2の端にそれぞれ電気的に接続され、
各段の前記第2のメモリ部の両端に、前記第2の電源の両端にそれぞれ電気的に接続され、各段の前記第2のスイッチ部の制御端は、前記第2の制御信号を受信するように構成され、各段の前記第2のスイッチの第1の端および第2の端は、自段の前記第2のメモリ部の第1の端および次段の前記第2のメモリ部の第2の端にそれぞれ電気的に接続される
請求項4に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項6】
前記第1のメモリ部は第1の容量を含み、前記第2のメモリ部は第2の容量を含み、
前記第1のスイッチ部は第1の固体スイッチ素子を含み、前記第2のスイッチ部は第2の固体スイッチ素子を含み、
前記第1のオフ素子は第1のダイオードを含み、前記第2のオフ素子は第2のダイオードを含み、前記第3のオフ素子は第3のダイオードを含み、前記第4のオフ素子は第4のダイオードを含む
請求項4に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項7】
2段目~n段目の前記第1のオフ素子のそれぞれは、一つの前記第1のダイオードを有し、各段の前記第2のオフ素子のそれぞれは、一つの前記第2のダイオードを有し、前記第1のダイオードの逆降伏電圧及び前記第2のダイオードの逆降伏電圧が前記第1の電圧よりも大きく、
2段目~m段目の前記第3のオフ素子のそれぞれは、一つの前記第3のダイオードを有し、各段の前記第4のオフ素子のそれぞれは、一つの前記第4のダイオードを有し、前記第3のダイオードの逆降伏電圧及び前記第4のダイオードの逆降伏電圧が前記第2の電圧よりも大きい
請求項6に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項8】
1段目の前記第1のオフ素子は、s個の前記第1のダイオードを含み、前記第1のダイオードの逆降伏電圧のs(sは1以上の整数)倍は、前記第1の電圧の(n-1)倍よりも大きく、
1段目の前記第3のオフ素子は、t(tは1以上の整数)個の前記第3のダイオードを含み、前記第3のダイオードの逆降伏電圧のs倍は、前記第2の電圧の(m-1)倍よりも大きい
請求項7に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項9】
前記パルス発生回路は、さらに、
前記第1のパルス発生モジュールとグランドとにそれぞれ電気的に接続され、前記第1のパルス発生モジュール中の残留電力量を放電するように、第1の漏電信号による制御で前記第1のパルス発生モジュールとグランドとを導通させる第1の漏電モジュールと、
前記第2のパルス発生モジュールとグランドとにそれぞれ電気的に接続され、前記第2のパルス発生モジュール中の残留電力量を放電するように、第2の漏電信号による制御で前記第2のパルス発生モジュールとグランドとを導通させる第2の漏電モジュールと、を含む
請求項1に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項10】
前記第1のパルスは、ミリ秒パルス又はマイクロ秒パルスであり、
前記第2のパルスは、ナノ秒パルスである
請求項1に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項11】
トリガ部と、前記トリガ部に電気的に接続される少なくとも一対の電極とをさらに備え、
前記トリガ部は、前記第1のパルス発生モジュールと前記第2のパルス発生モジュールとにそれぞれ電気的に接続され、前記電極は、負荷に接続するためのものであり、
前記トリガ部は、第1のパルス信号及び/又は第2のパルス信号を前記電極に伝送させるように、前記トリガ命令によりトリガされたときに導通されるように構成される
請求項1に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項12】
第1のパルス信号および/または第2のパルス信号が出力する電圧をモニタし、前記第1のパルス信号および/または前記第2のパルス信号が出力する電流をモニタするためのモニタモジュールをさらに含む
請求項1に記載のシナジーパルス発生回路。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載のシナジーパルス発生回路と、
前記第1のパルス発生モジュールおよび前記第2のパルス発生モジュールにそれぞれ電気的に接続され、入力情報に基づいて前記第1の制御信号および前記第2の制御信号を生成し、前記第1の制御信号を前記第1のパルス発生モジュールに伝送し、前記第2の制御信号を前記第2のパルス発生モジュールに伝送するように構成される制御モジュールとを含む
ことを特徴とするシナジーパルス発生装置。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれかに記載のシナジーパルス発生回路に使用されるシナジーパルス発生方法であって、
第1のパルス発生モジュールに含まれるn(nは1以上の整数)段の第1のパルス発生部は、第1の電圧で第1の電源から供給される電力を受信し蓄積して、第2のパルス発生モジュールに含まれるm(mは1以上の整数)段の第2のパルス発生部は、前記第1の電圧よりも大きい第2の電圧で第2の電源から供給される電力を受信し蓄積することと、
x個(xは1以上n以下の整数)の前記第1のパルス発生部は、第1の制御信号を受信して、第1のパルスを形成するように前記第1の制御信号による制御で放電させることと、
y個(yは1以上m以下の整数)の前記第2のパルス発生部は、第2の制御信号を受信して、第2のパルスを形成するように前記第2の制御信号による制御で放電させることと、
前記第1のパルス及び/又は前記第2のパルスを負荷に印加することと、を含み、
前記第2のパルスの幅は、前記第1のパルスの幅よりも小さい
ことを特徴とするシナジーパルス発生方法。
【請求項15】
前記第2のパルス発生部が前記第2の制御信号を受信する時間は、前記第1のパルス発生部が前記第1の制御信号を受信する時間とが異なる
請求項14に記載のシナジーパルス発生方法。
【請求項16】
前記第1のパルス発生部は、第1の記憶部と、第1のスイッチ部と、電流が前記第1の電源から前記第1のパルス発生部への流れのみ、または、電流が自段の前記第1のパルス発生部から次段の前記第1のパルス発生部への流れのみを許容する第1のオフ部と、を含み、
x個の前記第1のパルス発生部が第1の制御信号を受信して、第1のパルスを形成するように前記第1の制御信号による制御で放電させることは、x個の第1のスイッチ部は、前記第1の制御信号を受信して、前記第1の制御信号による制御でオンさせることにより、前記第1のパルスを形成するように、前記第1の制御信号を受信した前記第1のスイッチ部と同段のx個の前記第1のメモリ部を直列に接続して放電させることを含み、
前記第2のパルス発生部は、第2の記憶部と、第2のスイッチ部と、電流が前記第2の電源から前記第2のパルス発生部への流れのみ、または、電流が自段の前記第2のパルス発生部から次段の前記第2のパルス発生部への流れのみを許容する第2のオフ部と、を含み、
前記y個の前記第2のパルス発生部が第2の制御信号を受信して、第2のパルスを形成するように前記第2の制御信号による制御で放電させることは、y個の前記第2のスイッチ部は、前記第2の制御信号を受信して、前記第2の制御信号による制御でオンさせることにより、前記第2のパルスを形成するように、前記第2の制御信号を受信した前記第2のスイッチ部と同段のy個の前記第2のメモリ部を直列に接続して放電させることを含む
請求項14に記載のシナジーパルス発生方法。
【請求項17】
前記第1のパルス発生モジュールに含まれるn段の第1のパルス発生部が、第1の電源から第1の電圧で供給される電力を受信して蓄積することは、各段の前記第1のメモリ部が第3の制御信号を受信したときにオフとなることにより、各段の前記第1のメモリ部が前記第1の電源に並列に接続されて前記第1の電源から供給される電力を受信して蓄積し、
前記第2のパルス発生モジュールに含まれるm段の第2のパルス発生部が、第2の電源から第2の電圧で供給される電力を受信して蓄積することは、各段の前記第2のメモリ部が第4の制御信号を受信したときにオフとなることにより、各段の前記第2のメモリ部が前記第2の電源に並列に接続されて前記第2の電源から供給される電力を受信して蓄積する
請求項16に記載のシナジーパルス発生方法。
【請求項18】
前記第1のパルスは、ミリ秒パルス又はマイクロ秒パルスであり、
前記第2のパルスは、ナノ秒パルスである
請求項14に記載のシナジーパルス発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中国に出願された番号がCN202110921259.Xで、名称が「シナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法」と、中国に出願された番号がCN202110921262.1で、名称が「シナジーパルス発生装置、システム及び発生方法」に基づき優先権を主張するものであり、前記出願の全内容を参照によりここに援用する
【0002】
本発明は、パルス発生や医療機器技術に関して、具体的に、シナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
パルスパワー技術は、ゆっくり蓄積した高密度なエネルギーを高速に圧縮して、負荷に変換または直接放出する電気的物理技術である。この技術発展が始まり、その主要な応用分野は、主に粒子加速器、電磁パルス武器、強レーザー発生器、新型武器研究等の軍工国防分野であり、パルスパワー技術の急速発展を推進している。
【0004】
近年、パルスパワー技術の応用が医療、環境科学、アイソソーム科学、食品処理、電磁両立検査及びバイオエンジニアリング等の分野に拡張していくにつれて、パルス発生器への要求も変化しつつある。
【0005】
従来のパルサは、通常、特定幅のパルス信号しか発生できず、パルス技術の複雑な適用ニーズに応えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題の少なくとも一つをある程度で解決しようとするものであり、異なる幅のパルスを発生させてさらに多くのパルス組み合わせを形成させるシナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、第1の電源と、第1の電源と電気的に接続される第1のパルス発生モジュールと、第2の電源と、第2の電源と電気的に接続される第2のパルス発生モジュールとを含むシナジーパルス発生回路を提供する。
第1のパルス発生モジュールは、第1の電源から第1の電圧で供給される電力を受信して蓄積し、負荷に印加する第1のパルスを形成するために第1の制御信号を受信した第1のパルス発生部をx(xは1以上n以下の整数)個の放電させるように、第1の制御信号を受信したとき、蓄積された電力を放電させるように構成されるn(nは1以上の整数)段の第1のパルス発生部を含み、
第2のパルス発生モジュールは、第2の電源から第2の電圧で供給される電力を受信して蓄積し、負荷に印加する第2のパルスを形成するために第2の制御信号を受信した第2のパルス発生部をy(yは1以上m以下の整数)個放電させるように、第2の制御信号を受信したとき、蓄積された電力を放電させるように構成されるm(mは1以上の整数)段の第2のパルス発生部を含み、
第1のパルス発生モジュールと第2のパルス発生モジュールの出力端は同一の負荷に接続されるように配置され、
第2の電圧は第1の電圧よりも大きく、第2のパルスの幅は第1のパルスの幅よりも小さいである。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、シナジーパルス発生装置を提供する。
シナジーパルス発生装置は、
本発明の第1の態様によるシナジーパルス発生回路と、
第1のパルス発生モジュールおよび第2のパルス発生モジュールにそれぞれ電気的に接続され、入力情報に基づいて第1の制御信号および第2の制御信号を生成し、第1の制御信号を第1のパルス発生モジュールに伝送し、第2の制御信号を第2のパルス発生モジュールに伝送するように構成される制御モジュールとを含む。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様によるシナジーパルス発生回路に使用されるシナジーパルス発生方法を提供する。該方法は、
第1のパルス発生モジュールに含まれるn(nは1以上の整数)段の第1のパルス発生部は、第1の電圧で第1の電源から供給される電力を受信し蓄積して、第2のパルス発生モジュールに含まれるm(mは1以上の整数)段の第2のパルス発生部は、第1の電圧よりも大きい第2の電圧で第2の電源から供給される電力を受信し蓄積することと、
x個(xは1以上n以下の整数)の第1のパルス発生部は、第1の制御信号を受信して、第1のパルスを形成するように第1の制御信号による制御で放電させることと、
y個(yは1以上m以下の整数)の第2のパルス発生部は、第2の制御信号を受信して、第2のパルスを形成するように第2の制御信号による制御で放電させることと、
第1のパルス及び/又は第2のパルスを負荷に印加することと、を含み、
第2のパルスの幅は、第1のパルスの幅よりも小さいである。
【0010】
いくつかの実施例で、第2のパルス発生部が第2の制御信号を受信する時間は、第1のパルス発生部が第1の制御信号を受信する時間とが異なる。
【0011】
本発明実施例による技術案による有益な技術的効果は、本発明実施例によるシナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法は、幅の異なる第一パルス及び/又は第2のパルスを選択的に形成でき、かつ、第一パルスと第2のパルスの電圧を選択することで、複合パルスを負荷に印加するという目的を達成することができるものである。本発明のシナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法を腫瘍治療のエレクトロポレーションデバイスに用いる場合、負荷が腫瘍細胞を例とする場合、複合パルスの役割は、腫瘍細胞に対するアブレーション効果を高める上で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明実施例によるシナジーパルス発生回路の構成を示す図である。
【
図2】本発明実施例によるもう一つのシナジーパルス発生回路の構成を示す図である。
【
図3】本発明実施例による他のシナジーパルス発生回路の構成を示す図である。
【
図4】本発明実施例によるシナジーパルス発生装置の構成を示す図である。
【
図5】本発明実施例によるシナジーパルス発生方法のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の前記および/または付加的な点および利点は、以下の図面を通して実施例の説明から明らかになる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の実施例の一例を図面に示しており、同一または類似の要素、または同一または類似の要素を、図中、始めから同一又は類似の符号で表している。なお、図示された本発明の特徴について、既知の技術の詳細な説明が必要無いため、省略する。以下に図面を参照して記述する実施例は例示であり、本発明を限定するものでない。
【0014】
当業者は、特に定義されない限り、ここで用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する分野の常用な技術者による一般的な理解と同義である。汎用辞書のような用語は、従来のコンテキストの意味に合致すると解される意味として解されるべきであり、ここと同様に特定的な定義がない限り、理想的又は正式な意味に照らし合わせられない。
【0015】
当業者は、特に断らない限り、ここで用いられる単数の「一」、「一つ」、「前記」及び「該」は、複数の形態を含むことも理解できる。なお、本発明の明細書において「含む」という用語は、特徴、整数、ステップ、操作、素子および/またはモジュールが存在することを意味するが、他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、モジュールおよび/またはそれらの組み合わせが存在又は添加することを排除するものではない。
【0016】
近年、パルスパワー技術の応用が医療、環境科学、アイソソーム科学、食品処理、電磁両立検査及びバイオエンジニアリング等の分野に拡張していくにつれて、パルス発生器への要求も変化しつつある。
【0017】
医学分野を例とすると、本発明の発明者は、エレクトロアブレーション技術を用いて腫瘍細胞のアブレーションを行う場合に、複数の異なるパルス幅のパルスが複合して用いられ、単一パルスよりも良好なアブレーション効果が得られる場合があることを見出した。例えば、マイクロ秒パルスが腫瘍細胞に作用された場合に、大きいアブレーション面積を有するものの、腫瘍細胞、特に歪みが高い悪性腫瘍細胞に対するアブレーション率は低く、ナノ秒パルスが腫瘍細胞に作用された場合に、高いアブレーション率を有するものの、アブレーション面積は小さい。マイクロ秒パルス又はミリ秒パルスとナノ秒パルスとを複合的に用いると、腫瘍細胞のアブレーション効果を顕著に向上させることができる。腫瘍細胞のアブレーションは、ナノ秒パルスにより誘導された可逆エレクトロポレーションによる他に、ナノ秒パルスにより誘導された不可逆エレクトロポレーションの存続期間に、さらにマイクロ秒またはミリ秒パルスを協同で印加することにより、細胞膜の穿孔によりマイクロ秒またはミリ秒パルスの電場を細胞内部に浸透させ、さらにアポトーシスを誘導することができる。単独でナノ秒パルス、マイクロ秒パルス、またはミリ秒パルスによるものよりもアブレーション効果が高い。前記シナジーパルスを生成するために、対応するパルス発生装置が必要となる。これに対し、従来のパルス発生機は、通常で特定の幅のパルス信号しか発生できず、パルスの複雑な適用ニーズに応えることができない。
【0018】
本発明は、前記課題の少なくとも一つをある程度で解決することを目的とするシナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法を提案する。
【0019】
以下、具体的な実施例により、本発明の技術案、及び本発明の技術案で技術的課題をどのように解決するかについて詳細に説明する。
【0020】
本発明の実施例は、
図1に示すように、第1の電源U1と、第1の電源U1に電気的に接続される第1のパルス発生モジュール1と、第2の電源U2と、第2の電源U2に電気的に接続される第2のパルス発生モジュール2とを含むシナジーパルス発生回路を提供する。
【0021】
第1のパルス発生モジュール1は、n(nは1以上の整数)段の第1のパルス発生部11を備え、第1のパルス発生部11は、第1の電源U1から第1の電圧で供給される電力を受信して蓄積して、第1の制御信号を受信すると、蓄積した電力量を放出し、第1の制御信号を受信したx(xは1以上n以下の整数)個の第1のパルス発生部11は放電を行い、負荷3に印加される第1のパルスを形成する。
【0022】
第2のパルス発生モジュール3は、m(は1以上の整数)段の第2のパルス発生部21を備え、第2のパルス発生部21は、第2の電源U2から第2の電圧で供給される電力を受電して蓄積して、第2の制御信号を受信すると、蓄積した電力量を放出し、第2の制御信号を受信したy(yは1以上m以下の整数)個の第2のパルス発生部21は放電を行い、負荷3に印加される第2のパルスを形成する。
【0023】
幾つかの実施例で、第2の電圧は第1の電圧よりも大きく、第2のパルスの幅は第1のパルスの幅よりも小さいである。幾つかの実施例で、第2のパルス発生部21が第2の制御信号を受信する時間は、第1のパルス発生部11が第1の制御信号を受信する時間と異なる。
【0024】
なお、理論的に、第1の制御信号を受信したx個の第1のパルス発生部11はいずれも第1の電圧で放電されるが、実際には、パルス発生回路の各素子の等価インピーダンス等による影響により、第1のパルス発生部11の放電電圧が第1の電圧より僅かに低いであるが、第1の電圧との差が小さいである。よって、負荷3に印加される第1のパルスの電圧を、x倍の第1の電圧に近似できる。類似には、負荷3に印加される第2のパルスの電圧を、y倍の第2の電圧に近似できる。説明の便宜上、後述する実施例において、第1のパルス発生部11及び第2のパルス発生部21の放電時の実際の電圧値に対する解釈及び説明を省略し、全てに第1の電圧及び第2の電圧で記述する。前記記載に基づき、同時に放電される第1のパルス発生部11および同時に放電される第2のパルス発生部21の個数を設けることにより、第1のパルスの電圧および第2のパルスの電圧を調整することができる。
【0025】
なお、第2のパルス発生部21が第2の制御信号を受信した時間は、第1のパルス発生部11が第1の制御信号を受信した時間とは異なることは、第2のパルス発生部21が第2の制御信号を受信した場合、第1のパルス発生部11は第1の制御信号を受信しないことですが、第1のパルス発生部11が第1の制御信号を受信した場合、第2のパルス発生部21は第2の制御信号を受信しないことです。つまり、第1のパルスと第2のパルスとが同時に形成されず、第1のパルスと第2のパルスとが互いに干渉しないようにする。
【0026】
第1の制御信号と第2の制御信号の異なる設置により、異なるパルス組み合わせを形成できる。例えば、ある具体的な実施例で、パルス群は、複数の第1のパルス群を含み、隣り合う2つの第1のパルス群は、時間t1を間隔し、各第1のパルス群は、a個の第1のパルスを含み、隣り合う2つの第1のパルスは、時間t2を間隔する。もう一つの具体的な実施例で、パルス群は、複数の第2のパルス群を含み、隣り合う2つの第2のパルス群は時間t3を間隔し、各第2のパルス群はb個の第2のパルスを含み、隣り合う2つの第2のパルスは時間t4を間隔する。他の具体的な実施例において、パルスの組み合わせは、複数の第1のパルスと複数の第2のパルスとを含む。第1のパルスと第2のパルスは、負荷3に交互に印加されてもよいし、全ての第1のパルスが負荷3に印加された後で第2のパルスが負荷3に印加されてもよい。または、全ての第2のパルスが負荷3に印加された後で第2のパルスが負荷3に印加される。これらの第1のパルスが複数の第1のパルス群を形成し、これらの第2のパルスが複数の第2のパルス群を形成してもよい。第1のパルス群と第2のパルス群とは、負荷3に交互に印加される。
【0027】
本実施例におけるシナジーパルス発生回路は、幅の異なる第1のパルスおよび/または第2のパルスを選択的に形成し、第1のパルスと第2のパルスの電圧を選択することができることにより、複合パルスを負荷3に印加する目的を実現している。制御信号の設定により、第1のパルスおよび第2のパルスの幅を制御することが可能である。異なるパルス電圧の要求に応じて、当業者は、出力されるパルス電圧が所望の電圧範囲を満たすように、第1の電源および第2の電源の電圧とパルス発生部の段数とを対応づけて配置することができる。
【0028】
説明の便宜上、本発明のシナジーパルス発生回路が出力する信号は、シナジーパルスまたは複合パルスともいう。
【0029】
負荷3が腫瘍組織を例とすると、複合パルスの作用は腫瘍細胞に対するアブレーション効果を高めるのに有利である。ここで、第1のパルスは、ミリ秒パルス又はマイクロ秒パルスであってもよく、第2のパルスは、ナノ秒パルスであってもよい。マイクロ秒パルスとナノ秒パルスとの組み合わせを例とすると、第1のパルスの電圧は、数キロボルトのオーダーで、ナノ秒パルスの電圧は、数十キロボルトのオーダーでもよい。例えば、ナノ秒パルスの電圧が15KVであり、第2の電圧源が750Vであれば、20段のパルス発生部により15KVの出力を実現できる。
【0030】
上記実施例では、シナジーパルス発生回路が選択可能なフレームについて説明したが、下記実施例で、第1のパルス発生モジュール1における各段の第1のパルス発生部11の構成及び各段の第1のパルス発生部11への接続関係について、第2のパルス発生モジュール2における各段の第2のパルス発生部21の構成及び各段の第2のパルス発生部21の接続関係についても、詳細を説明する。
【0031】
1つの好ましい実施例で、
図2に示すように、シナジーパルス発生回路における第1のパルス発生部11は、第1の記憶部111、第1のスイッチ部112及び第1のオフ部113を含み、第2のパルス発生部21は、第2の記憶部211、第2のスイッチ部212及び第2のオフ部213を含む。
【0032】
図2に示すように、第1のスイッチ部112は、第1のパルスを形成するために第1の制御信号を受信した第1のスイッチ部112と同じ段の各第1の記憶部111を直列に接続して放電させるように、第1の制御信号による制御でオンされるように配置される。
図2に示すように、第1のオフ部113は、第1の電源U1から第1のパルス発生部11への電流のみが流れ、あるいは自段の第1のパルス発生部11から次段の第1のパルス発生部11へ流れるように配置されている。
【0033】
具体的には、放電を行う場合に、第1の制御信号を受信した第1のスィッチ部112のみがオンし、同時に第1のオフ部113の一方向オフ作用により、第1の制御信号を受信した第1のパルス発生部11内の第1の記憶部111は直列に接続され、放電が行われる。第1の記憶部111は放電中に、1つの電源に相当し、これらの直列接続された電源は同時に第1の電圧で放電し、n段の第1の記憶部111のうちx個の第1の記憶部111が直列接続されて放電すると、形成される第1のパルスの電圧は、x倍の第1の電圧となる。
【0034】
図2に示すように、第2のスイッチ部212は、第2の制御信号の制御によってオンされ、第2の制御信号を受信した第2のスイッチ部212と同段の各第2の記憶部211を直列接続して放電させて第2のパルスを形成し、第2のオフ部213は、第2の電源U2から第2のパルス発生部21にのみ電流を流すように配置される。あるいは、自段の第2のパルス発生部21から次段の第2のパルス発生部21へ流れる。
【0035】
図2に示すように、第2のスイッチ部212は、第2のパルスを形成するために第2の制御信号を受信した第2のスイッチ部212と同じ段の各第2の記憶部211を直列に接続して放電させるように、第2の制御信号による制御でオンされるように配置される。第2のオフ部213は、第2の電源U2から第2のパルス発生部21への電流のみが流れ、あるいは自段の第2のパルス発生部21から次段の第2のパルス発生部21へ流れるように配置されている
【0036】
具体的には、放電を行う場合には、第2の制御信号を受信した第2のスイッチ部212のみがオンする。同時に、第2のオフ部213の一方向オフ作用により、第2の制御信号を受信した第2のパルス発生部21内の第2の記憶部211は直列接続されて放電される。第2の記憶部211は、放電中に1つの電源に相当し、これら直列接続された電源は同時に第2の電圧で放電する。m段の第2の記憶部211のうちy個の第2の記憶部211が直列に接続されて放電される。形成される第2のパルスの電圧は、y倍の第2の電圧となる。
【0037】
図2に示すように、第1のスイッチ部112は、第3の制御信号を受信した場合にオフされることにより、各段の第1の記憶部111を第1の電源U1に並列に接続して第1の電源U1から供給される電力を受信して蓄積するように構成される。第2のスイッチ部212は、第4の制御信号を受信した場合にオフされることにより、各段の第2の記憶部211を第2の電源U2に並列に接続して第2の電源U2から供給される電力を受信して蓄積するように構成される。
【0038】
具体的に、第1のスイッチ部112がオフ状態であるとき、第1のオフ部113の一方向オフ作用により、各段の第1の記憶部111間が並列関係となって第1の電源U1から供給される電力を第1の電圧で記憶する。同様に、各段の第2の記憶部211間も並列関係となって第1の電源U1から供給される電力を第1の電圧で記憶する。
【0039】
一つの具体的な実施例で、
図3に示すように、該シナジーパルス発生回路において、第1のオフ部113は、第1のオフ素子と第2のオフ素子とを備える。1段目の第1のオフ素子は、第1の電源U1の第1の端と1段目の第1の記憶部111の第1の端とにそれぞれ電気的に接続される。i(iは2以上の整数)段目の第1のオフ素子は、i-1段目の第1の記憶部111の第1の端、i段目の第1の記憶部111の第1の端、及びi-1段目の第1のオフ素子とそれぞれ電気的に接続される。各段の第2のオフ素子は、自段の第1の記憶部111の第2の端と自段の第1のスイッチの第2の端と次段の第2のオフ素子とそれぞれ電気的に接続される。
【0040】
図3に示すように、該シナジーパルス発生回路において、第2のオフ部213は、第3のオフ素子と第4のオフ素子とを含む。1段目の第3のオフ素子は、第2の電源U2の第1の端及び1段目の第2の記憶部211の第1の端にそれぞれ電気的に接続される。j(jは2以上の整数)段目の第3のオフ素子は、j-1段目の第2の記憶部211の第1の端とj段目の第2の記憶部211の第1の端とj-1段目の第3のオフ素子とそれぞれ電気的に接続される。各段の第4のオフ素子は、自段の第2の記憶部211の第2の端と自段の第2のスイッチの第2の端と次段の第4のオフ素子とそれぞれ電気的に接続される。
【0041】
さらに、
図3に示すように、各段の第1の記憶部111の両端は、第1の電源U1の両端にそれぞれ電気的に接続される。各段の第1のスイッチ部112の制御端は、第1の制御信号を受信して、自段の第1の記憶部111の第1の端及び次段の第1の記憶部111の第2の端に各段の第1のスイッチ部112の第1の端及び第2の端がそれぞれ電気的に接続されるように配置されている。各段の第2の記憶部211の両端は、第2の電源U2の両端にそれぞれ電気的に接続される。各段の第2のスイッチ部212の制御端は、第2の制御信号を受信して、各段の第2のスイッチの第1の端および第2の端がそれぞれ自段の第2の記憶部211の第1の端および次段の第2の記憶部211の第2の端に電気的に接続されるように配置されている。
【0042】
いくつかの具体的な態様において、第1の記憶部111は第1の容量を含み、第2の記憶部211は第2の容量を含む。第1のスイッチ部112は、第1の固体スイッチ素子を含み、第2のスイッチ部212は、第2の固体スイッチ素子を含む。第1のオフ素子は、第1のダイオードを含み、第2のオフ素子は、第2のダイオードを含み、第3のオフ素子は、第3のダイオードを含み、第4のオフ素子は、第4のダイオードを含む。すなわち、記憶素子として容量を採用し、スイッチ素子として固体スイッチ素子を採用し、オフ素子としてダイオードを採用している。なお、固体スイッチ素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、トライオード等に基づいて実現することができる。
【0043】
図3をさらに参照して、該パルス発生回路において、第1のパルス発生モジュール1は4段の第1のパルス発生部11を含み、第2のパルス発生モジュール2は3段の第2のパルス発生部21を含み、ただし、nは4で、mは3である。なお、これは例示に過ぎず、第1のパルス発生モジュール1における第1のパルス発生部11の段数、及び第2のパルス発生モジュール2における第2のパルス発生部21の段数を限定するものではない。
【0044】
図3に示すように、第1の段~第4の段の第1のスイッチ部112、すなわち、第1の段~第4の段の第1の固体スイッチ素子は、それぞれ、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3、および固体スイッチ素子S
1-4である。第1の段~第4の段の第1のスイッチメモリは、それぞれ、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4である。第1の段~第4の段の第1のオフ素子は、それぞれ、ダイオードD
1-1、ダイオードD
1-2、ダイオードD
1-3及びダイオードD
1-4である。第1の段~第4の段の第2のオフ素子は、それぞれ、ダイオードD
2-1、ダイオードD
2-2、ダイオードD
2-3及びダイオードD
2-4である
【0045】
図3に示すように、第1の段~第4の段の第2のスイッチ部212、すなわち、第1の段~第4の段の第2のトライオードは、それぞれ固体スイッチ素子S
2-1、固体スイッチ素子S
2-2、固体スイッチ素子S
2-3、及び固体スイッチ素子S
2-4である。第1の段~第4の第2の記憶部211は、それぞれコンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2、コンデンサC
2-3及びコンデンサC
2-4である。第1の段~第4の段の第3のオフ素子は、それぞれダイオードD
3-1、ダイオードD
3-2、ダイオードD
3-3およびダイオードD
3-4である。第1の段~第4の段の第4の素子オフは、それぞれ、ダイオードD
4-1、ダイオードD
4-2およびダイオードD
4-3である。
【0046】
図3に示すように、該シナジーパルス発生回路には、第1の電源U1が第1の記憶部111へ、すなわちコンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4へ充電する場合、第2のオフ素子、すなわちダイオードD
2-1、ダイオードD
2-2、ダイオードD
2-3及びダイオードD
2-4に電流が流れる。一方、第2の電源U2が第2の記憶部211へコンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2、コンデンサC
2-3へ充電する場合、第4のオフ部、すなわち、ダイオードD
4-1、ダイオードD
4-2、ダイオードD
4-3に電流が流れる。
【0047】
図3に示すように、該シナジーパルス発生回路には、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3、コンデンサC
1-4が放電されると、第4のオフ素子、すなわちダイオードD
4-1、ダイオードD
4-2、ダイオードD
4-3に電流が流れる。コンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2、コンデンサC
2-3が放電すると、ダイオードD
4-1、ダイオードD
4-2、ダイオードD
4-3が逆オフ状態に動作する。
【0048】
本実施例によるシナジーパルス発生回路のうち、第1のパルス発生モジュール1と第2のパルス発生モジュール2は、複合パルスの発生を実現できるだけでなく、配線スペースを削減することができ、すなわち、より面積の小さい回路基板を本実施例におけるシナジーパルス発生回路のキヤリアとすることができる。
【0049】
図3に示すように、第1の電源U1及び第2の電源U2は、いずれも定電圧電源であり、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3、および固体スイッチ素子S
1-4が第3の制御信号を受信すると、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3及び固体スイッチ素子S
1-4はいずれもオフ状態である。ダイオードD
1-1、ダイオードD
1-2、ダイオードD
1-3およびダイオードD
1-4、ダイオードD
2-1、ダイオードD
2-2およびダイオードD
2-3は、いずれも一方向のオン機能を有する。コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4は、並列接続の関係にあり、第1の電源U1の第1の端及び第2の端に電気的に接続され、すなわち、いずれも、第1の電源U1の正極および負極に電気的に接続される。充電が完了すると、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2及びコンデンサC
1-3の両端の電位差はいずれも第1の電圧である。
【0050】
同様に、固体スイッチ素子S2-1、固体スイッチ素子S2-2及び固体スイッチ素子S2-3は、いずれも第4の制御信号を受けると、コンデンサC2-1、コンデンサC2-2及びコンデンサC2-3は、並列接続の関係にあり、第2の電源U2の第1の端及び第2の端にそれぞれ電気的に接続され、即ち第2の電源U2の正極及び負極に電気的に接続される。充電が完了すると、コンデンサC2-1、コンデンサC2-2及びコンデンサC2-3の両端の電位差は、いずれも第2の電圧となる。
【0051】
図3に示すように、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3、および固体スイッチ素子S
1-4は、いずれも第1の制御信号を受信すると、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3及び固体スイッチ素子S
1-4はいずれもオン状態である。ダイオードD
1-1、ダイオードD
1-2、ダイオードD
1-3およびダイオードD
1-4、ダイオードD
2-1、ダイオードD
2-2、ダイオードD
2-3およびダイオードD
2-4は、一方向のオン機能を有するので、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4は直列関係にあり、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4は同時に放電する。また放電電圧はいずれも第1の電圧であるため、形成されるパルスの電圧は4倍の第1の電圧となる。
【0052】
同様に、固体スイッチ素子S2-1、固体スイッチ素子S2-2及び固体スイッチ素子S2-3のいずれもが第2の制御信号を受信すると、固体スイッチ素子S2-1、固体スイッチ素子S2-2及び固体スイッチ素子S2-3は、いずれもオン状態である。コンデンサC2-1、コンデンサC2-2及びコンデンサC2-3は直列関係にあり、コンデンサC2-1、コンデンサC2-2及びコンデンサC2-3は同時に放電し、放電電圧はいずれも第2の電圧であるため、形成される第2のパルスの電圧は4倍の第2の電圧となる。
【0053】
さらに、
図3に示すように、該シナジーパルス発生回路には、2段目からn段目までの第1のオフ素子がいずれも1つの第1のダイオードを備え、各段の第2のオフ素子がいずれも1つの第2のダイオードを備え、第1のダイオードの逆降伏電圧及び第2のダイオードの逆降伏電圧は、いずれも第1の電圧より大きいである。2段目からm段目までの第3のオフ素子がいずれも1つの第3のダイオードを備え、各段の第4のオフ素子がいずれも1つの第4のダイオードを備え、第3のダイオードの逆降伏電圧及び前記第4のダイオードの逆降伏電圧は、いずれも第2の電圧よりも大きいである。1段目の第1のオフ素子は、s個の第1のダイオードを含み、第1のダイオードの逆降伏電圧のs倍は、第1の電圧の(n-1)倍よりも大きいである。1段目の第3のオフ素子は、t個の第3のダイオードを含み、第3のダイオードの逆降伏電圧のs倍は、第2の電圧の(m-1)倍よりも大きいである。sは1以上の整数であり、tは1以上の整数である。
【0054】
図3に示すシナジーパルス発生回路を例にとすると、第1のパルス発生モジュール1は4段の第1のパルス発生部11を含み、第2のパルス発生モジュール2は3段の第2のパルス発生部21を含む。全てのオフ素子としてのダイオードのパラメータが同じであれば、第1の電圧が第2の電圧よりも小さいため、各ダイオードが正常に一方向のオフ作用を発揮できることを保証するために、第2の電圧を選択根拠とすべきであり、例えば、第2の電圧が1000Vであれば、各ダイオードの逆降伏電圧は1000Vよりも大きいはずである。
【0055】
図3に示すように、第1の電圧が200Vで、第2の電圧が1000Vで、グランドレベルが0Vであれば、各ダイオードの逆降伏電圧はいずれも1100Vである。第1のパルス送信モジュールによる放電過程において、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3及び固体スイッチ素子S
1-4がいずれもオン状態であれば、コンデンサC
1-1が第1の電源U1の正極に接続される一端の電圧が800Vであり、このとき、ダイオードD
1-1の両端の差圧が800Vであれば、ダイオードD
1-1を1つ設ければよい。第1の電圧が500Vである場合、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3及び固体スイッチ素子S
1-4がいずれもオン状態であれば、第1の電源U1の正極に接続されるコンデンサC
1-1の一端の電圧が2000Vであり、このとき、ダイオードD
1-1の両端の差圧が1500Vであれば、2つのダイオードD
1-1を設ければよい。
【0056】
同様に、第2の電圧が1000Vで、グランドレベルが0Vで、各ダイオードの逆降伏電圧がいずれも1100Vであり、固体スイッチ素子S2-1、固体スイッチ素子S2-2、固体スイッチ素子S2-3がいずれもオン状態になると、第2の電源U2の正極に接続されるコンデンサC2-1の一端の電圧が3000Vとなり、このとき、ダイオードD3-1の両端の差圧が2000Vとなり、2つのダイオードD3-1を設ける必要がある。
【0057】
図3を参照すると、本発明の実施例によるパルス発生回路は、第1の漏電モジュール4と第2の漏電モジュール5を更に含んでもよい。第1の漏電モジュール4は、第1のパルス発生モジュールとグランドとにそれぞれ電気的に接続され、第1の漏電信号による制御で第1のパルス発生モジュールとグランドとを導通させて第1のパルス発生モジュール中の残留電力量を放電するように配置される。第2の漏電モジュール5は、第2のパルス発生モジュールとグランドとにそれぞれ電気的に接続され、第2の漏電信号による制御で第2のパルス発生モジュールとグランドとを導通させて第2のパルス発生モジュール中の残留電力量を放電するように配置される。
【0058】
いくつかの実施例では、パルス発生回路は、第1のパルス発生モジュール及び第2のパルス発生モジュールのそれぞれに電気的に接続されるトリガ部61と、トリガ部61に電気的に接続される少なくとも一対の電極62とをさらに含み、電極62は、負荷3に接触させるためのものである。トリガ部61は、トリガー命令によってトリガされるとオンになり、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号を電極62に伝達するように構成される。
【0059】
いくつかの実施例では、パルス発生回路は、トリガ部61に関連付けられた関連スイッチ63をさらに含む。具体的に、本実施例におけるシナジーパルス発生回路が医療機器、例えば電気アブレーションデバイスに適用される場合には、関連スイッチ63はフットスイッチであってもよい。
【0060】
いくつかの実施例では、電極62は複数対あり、パルス発生回路は、多重変換部64をさらに含む。多重化部64は、複数対の電極に合うように、1つの信号を多重化信号に変換してもよい。電極62毎に同じ信号が2つ必要となる。
【0061】
いくつかの実施例では、パルス発生回路は、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号が出力する電圧をモニタし、および/または、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号が出力する電流をモニタするモニタモジュールをさらに含む。モニタモジュールは、抵抗7と、第1のモニタ部81及び第2のモニタ部82とを備える。抵抗7は、それぞれ、第1のパルス発生モジュール、第2のパルス発生モジュール、及びグランドと電気的に接続され、抵抗7に第1のパルス信号及び/又は第2のパルス信号が印加されてよい。第1のモニタ部81は、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号の電流をモニタするように構成されており、第2のモニタ部82は、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号が抵抗7に印加する電圧をモニタするように構成される。もちろん、一方のモニタ部のみを用いてシナジーパルス信号の出力電圧または電流の一方をモニタしてもよい。例えば、第1のモニタ部81のみを用い、この場合、第1のモニタ部81は電圧センサや電流センサとして構成することができる。
【0062】
第1のモニタ部81は第1のピアソンコイルを含み、第2のモニタ部82は第2のピアソンコイルを含む。第1のピアソンコイルは、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号の電流を誘起するように配置されている。第2のピアソンコイルは、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号が抵抗7に印加する電圧を誘起するように配置されている。これにより、第1のパルス信号および/または第2のパルス信号が出力する電圧のモニタおよび出力電流のモニタが実現される。
【0063】
一つの具体的な実施例では、所定のパラメータを有する第1のパルス信号と第2のパルス信号とが形成される。上記2つのピアソンコイルは、対応する電流と電圧とを誘導可能であり、上記2つのピアソンコイルの誘導結果が、第1のパルス信号と第2のパルス信号のパラメーターに適合するときには、このときのシナジーパルス発生回路は通常動作状態にある。前記2つのピアソンコイルの誘導結果が第1のパルス信号と第2のパルス信号のパラメータからずれていると判定されると、操作者が故障を即時に発見し、対応する措置をとることができるように、シナジーパルス発生装置が非作動状態にあると判定される。
【0064】
例えば、本実施例のシナジーパルス発生回路を医学分野に応用した場合、すなわちパルス治療器具に応用した場合に、モニタモジュールからのモニタ結果により、出力される第1のパルスおよび/または第2のパルスが正常であるか否かを即時に判断することができ、負荷3における出力と設定された出力パラメータとの協調が保たれる。
【0065】
同一の発明思想に基づいて、
図4に示すように、本発明の実施例はシナジーパルス発生装置を提供するものである。該シナジーパルス発生装置は、上記実施例におけるシナジーパルス発生回路及び制御モジュールを備える。制御モジュールは、第1のパルス発生モジュール1および第2のパルス発生モジュール2にそれぞれ電気的に接続され、入力情報に基づいて第1の制御信号および第2の制御信号を生成するように構成される。第1の制御信号は第1のパルス発生モジュール1に伝送され、第2の制御信号は第2のパルス発生モジュール2に伝送される。
【0066】
この実施例によるシナジーパルス発生装置は、上述した実施例のシナジーパルス発生回路の有益効果を含むので、その説明は省略する。
【0067】
具体的に、本実施例のシナジーパルス発生装置は、マイクロ秒パルスとナノ秒パルスとのシナジー出力を提供する電気アブレーション装置に用いることができ、マイクロナノナイフ装置とも称されうる。例えば、第1のパルスがマイクロ秒パルスであり、第2のパルスがナノ秒パルスである。マイクロナノナイフシステムによれば、ナノ秒パルスとマイクロ秒パルスとの組み合わせを発生させることができ、ナノ秒パルスとマイクロ秒パルスとの組み合わせを腫瘍組織に加えることで、腫瘍組織のアブレーション効果を効果的に向上させることができる。
【0068】
同一の発明思想に基づいて、本発明実施例は、
図5に示すように、シナジーパルス発生方法も提供する。該シナジーパルス発生方法は、
【0069】
S1において、第1のパルス発生モジュール1に含まれるn(nは1以上の整数)段の第1のパルス発生部11は、第1の電源U1から第1の電圧で供給される電力を受信して蓄積する。第2のパルス発生モジュール2に含まれるm(mは1以上の整数)段の第2のパルス発生部21は、第2の電源U2から第1の電圧よりも大きい第2の電圧で供給される電力を受信して蓄積する。
【0070】
なお、第1のパルス発生モジュール1の充電過程と第2のパルス発生モジュール2の充電過程は、同時に行ってもよいし、第1のパルス発生モジュール1又は第2のパルス発生モジュール2のみに充電してもよく、或いは、第1のパルス発生モジュール1の充電過程と第2のパルス発生モジュール2の充電過程が同時に行わなくてもよい。
【0071】
具体的に、第1のパルス発生モジュール1に含まれるn段の第1のパルス発生部11が、第1の電源U1から第1の電圧で供給される電力量を受信して蓄積することは、各第1のスイッチ部112は、第3の制御信号を受信したときにオフして、各段の第1の記憶部111を第1の電源U1に並列に接続して第1の電源U1から供給される電力を受信して蓄積することを含む。
【0072】
図3に示すシナジーパルス発生回路を例にすると、第1のパルス発生モジュール1の充電プロセスは、以下の通りである。固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3、及び固体スイッチ素子S
1-4が第3の制御信号を受信した場合、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3及び固体スイッチ素子S
1-4がいずれもオフ状態であり、ダイオードD
1-1、ダイオードD
1-2、ダイオードD
1-3およびダイオードD
1-4、ダイオードD
2-1、ダイオードD
2-2、ダイオードD
2-3およびダイオードD
2-4は、一方向オン機能を有する。これにより、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4は、並列の関係であり、第1の電源U1の第1の端及び第2の端に電気的に接続され、すなわち、いずれも、第1の電源U1の正極および負極に電気的に接続される。コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4の両端の電位差がともに第1の電圧になるまで、第1のパルス発生モジュール1は充電している。
【0073】
具体的に、第2のパルス発生モジュール2に含まれるm段の第2のパルス発生部21は、第2の電源U2から第2の電圧で供給される電力を受信して蓄積することは、各第2のスイッチ部212は、第4の制御信号を受信したときにオフして、各段の第2の記憶部211を第2の電源U2に並列に接続して第2の電源U2から供給される電力を受信して蓄積することを含む。
【0074】
図3に示すシナジーパルス発生回路を例にとると、第2のパルス発生モジュール2の充電プロセスは、以下の通りである。固体スイッチ素子S
2-1、固体スイッチ素子S
2-2及び固体スイッチ素子S
2-3が第4の制御信号を受信した場合、固体スイッチ素子S
2-1、固体スイッチ素子S
2-2及び固体スイッチ素子S
2-3がいずれもオフ状態であり、ダイオードD
3-1、ダイオードD
3-2、ダイオードD
3-3、ダイオードD
3-4、ダイオードD
4-1、ダイオードD
4-2およびダイオードD
4-3は、一方向オン機能を有する。これにより、コンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2及びコンデンサC
2-3は、並列の関係であり、第2の電源112の第1の端及び第2の端に電気的に接続され、すなわち、いずれも、第2の電源U2の正極と負極とに電気的に接続される。コンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2及びコンデンサC
2-3の両端の電位差がともに第2の電圧になるまで、第2のパルス発生モジュール2は充電している。
【0075】
一つの具体的な実施例で、第1の制御信号および第2の制御信号がともにハイレベルである一方、第3の制御信号および第4の制御信号がともにローレベルである。すなわち、第1のパルス発生モジュール1が第1の制御信号を受信しなければ、第1の電源U1は、各段の第1の容量に充電された状態、または、各段の第1の容量の両端の電圧差が第1の電圧とする状態を維持する。同様に、第2のパルス発生モジュール2が第2の制御信号を受信しない限り、第2の電源122は、各段の第2の容量を充電する状態、又は、各段の第2の容量の両端の電圧差を第2の電圧とする状態を維持する。
【0076】
S2において、x個(xは1以上n以下の整数)の第1のパルス発生部11は、第1の制御信号を受信して、第1の制御信号による制御で放電し、負荷3に印加される第1のパルスを形成する。
【0077】
具体的に、第1のパルス発生部11は、
図5に示すように、第1の記憶部111と、第1のスイッチ部112と、第1のオフ部113とを有し、第1のオフ部113は、第1の電源U1から第1のパルス発生部11への電流のみ、または、自段の第1のパルス発生部11から次段の第1のパルス発生部11への電流のみを許容する。このとき、ステップS2は、x個の第1のスイッチ部112が、第1の制御信号を受信して、第1の制御信号による制御でオンすることにより、第1の制御信号を受け取った第1のスイッチ部112と同段のx個の第1の記憶部111を直列に接続して放電させて第1のパルスを形成する。
【0078】
具体的には、
図3に示すように、第1のオフ部113は、第1のオフ部と、第2のオフ部とを備える。第1の記憶部111は、第1の容量を有し、第1のスイッチ部112は、第1の固体スイッチ素子を有し、第1のオフ素子は、第1のダイオードを有し、第2のオフ素子は、第2のダイオードを有する。このシナジーパルス発生回路において、第1のパルス発生モジュール1は、4段の第1のパルス発生部11を含み、nは4と等しいである。
【0079】
図3に示すように、第1の段から第4の段の第1のスイッチ部112、すなわち、第1の段から第4の段の第1の固体スイッチ素子は、それぞれ、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3、および固体スイッチ素子S
1-4である。第1の段から第4の段までの第1のスィッチメモリ、すなわち、第1の段から第4の段までの第1の容量は、それぞれ、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3、コンデンサC
1-4であり、第1の段から第4の段までの第1のオフ素子、すなわち、第1の段から第4の段までの第1のダイオードは、それぞれダイオードD
1-1、ダイオードD
1-2、ダイオードD
1-3及びダイオードD
1-4である。第1の段から第4の段までの第2のオフ素子、すなわち、第1の段から第4の段までの第2のダイオードは、それぞれ、ダイオードD
2-1、ダイオードD
2-2、ダイオードD
2-3、及びダイオードD
2-4である。
【0080】
図3に示すように、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3、および固体スイッチ素子S
1-4のいずれも第1のスイッチング信号を受信する場合、固体スイッチ素子S
1-1、固体スイッチ素子S
1-2、固体スイッチ素子S
1-3及び固体スイッチ素子S
1-4はいずれもオン状態であり、ダイオードD
1-1、ダイオードD
1-2、ダイオードD
1-3およびダイオードD
1-4、ダイオードD
2-1、ダイオードD
2-2、ダイオードD
2-3およびダイオードD
2-4は、一方向のオン機能を有する。これにより、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4は直列の関係であり、コンデンサC
1-1、コンデンサC
1-2、コンデンサC
1-3及びコンデンサC
1-4は同時に放電する。放電電圧はいずれも第1の電圧であるため、形成されるパルスの電圧は4倍の第1の電圧となる。
【0081】
S3において、y(yは1以上m以下の整数)個の第2のパルス発生部21は、第2の制御信号を受信して、第2の制御信号による制御で放電し、負荷3に印加される第2のパルスを形成する。第2のパルスの幅は第1のパルスの幅よりも小さいである。第2のパルス発生部21が第2の制御信号を受信する時間は、第1のパルス発生部11が第1の制御信号を受信する時間と異なる。
【0082】
具体的に、第2のパルス発生部21は、
図5に示すように、第2の記憶部211、第2のスイッチ部212、及び第2のオフ部213を備える。第2のオフ部213は、第2の電源U2から第2のパルス発生部21への電流のみ、または、自段の第2のパルス発生部21から次段の第2のパルス発生部21への電流のみを許容する。このとき、ステップS3は、y個の第2のスイッチ部212が第2の制御信号を受信して、第2の制御信号による制御でオンすることにより、第2の制御信号を受信した第2のスイッチ部212と同段のy個の第2の記憶部211を直列に接続して放電させて第2のパルスを形成する。
【0083】
具体的に、
図3に示すように、第2のオフ部213は、第3のオフ素子及び第4のオフ素子を有する。第2の記憶部211は、第2の容量を有し、第2のスイッチ部212は、第2の固体スイッチ素子を有し、第3のオフ素子は、第3のダイオードを有し、第4のオフ素子は、第4のダイオードを有する。該シナジーパルス発生回路において、第2のパルス発生モジュール2は4段の第2のパルス発生部21を含み、mは3に等しい。
【0084】
図3に示すように、第1の段から第4の段までの第2のスイッチ部212、すなわち、第1の段から第3の段までの第2のトランジスタは、それぞれ、固体スイッチ素子S
2-1、固体スイッチ素子S
2-2および固体スイッチ素子S
2-3である。第1の段から第3の段までの第2の記憶部211、すなわち、第1の段から第3の段までの第2の容量は、それぞれ、コンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2およびコンデンサC
2-3である。第1の段から第3の段までの第3のオフ素子、すなわち、第1の段から第3の段までの第3のダイオードは、それぞれ、ダイオードD
3-1、ダイオードD
3-2およびダイオードD
3-3である。1段目から3段目までの第4のオフ素子、すなわち、1段目から3段目までの第4のダイオードは、それぞれ、ダイオードD
4-1、ダイオードD
4-2およびダイオードD
4-3である。
【0085】
図3に示すように、固体スイッチ素子S
2-1、固体スイッチ素子S
2-2及び固体スイッチ素子S
2-3のそれぞれは第2の制御信号を受信する場合、固体スイッチ素子S
2-1、固体スイッチ素子S
2-2及び固体スイッチ素子S
2-3は、いずれもオン状態である。コンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2及びコンデンサC
2-3は直列関係であり、コンデンサC
2-1、コンデンサC
2-2及びコンデンサC
2-3は同時に放電する。放電電圧はいずれも第2の電圧であるため、形成される第2のパルスの電圧は3倍の第2の電圧となる。
【0086】
S4において、第1のパルスおよび/または第2のパルスを負荷3に印加する。
【0087】
本実施例におけるシナジーパルス発生方法は、幅の異なる第一パルスと第2のパルスを選択的に形成でき、かつ、第一パルスと第2のパルスの電圧を選択することで、複合パルスを負荷3に印加する目的を実現しており、負荷3が腫瘍細胞を例にとると、複合パルスの役割は腫瘍細胞に対するアブレーション効果の向上に有利である。
【0088】
なお、本実施例によるシナジーパルス発生方法は、ステップS1とステップS2の一方のみを含んでいてもよいし、同時に含んでいてもよいし、ステップS1とステップS2の順序は実際のニーズに応じて調整すればよく、実際のニーズに応じて異なるパルスの組み合わせを出力してもよい。具体的な一実施例では、パルスの組み合わせは、複数の第1のパルス群を含み、隣り合う二つの第1のパルス群の間に、時間t1を離間し、各々のパルス群がa個の第1のパルスを含み、隣り合う二つの第1のパルスの間に、時間t2を離間することを含み、即ちステップS1とステップS2との二つのステップのうちステップS1のみを含む。他の実施例で、パルス群は、複数の第2のパルス群を含み、隣り合う二つの第2のパルス群の間に、時間t3を離間し、各々の第2のパルス群はb個の第2のパルスを含み、隣り合う二つの第2のパルスの間に、時間t4を離間することを含み、即ちステップS1とステップS2との二つのステップのうちステップS2のみを含む。他の具体的な実施例において、パルス群は複数の第1のパルスと複数の第2のパルスとを含み、負荷3に第1のパルスと第2のパルスとが交互に印加されてもよい。全ての第1のパルスが負荷3に印加された後に第2のパルスが負荷3に再印加されたり、全ての第2のパルスが負荷3に印加された後に第2のパルスが負荷3に再印加されたりしてもよい。これらの第1のパルスが複数の第1のパルス群を形成し、これらの第2のパルスが複数の第2のパルス群を形成してもよい。第1のパルス群と第2のパルス群は、負荷3に交互に印加され、即ち、ステップS1とステップS2を共に含む。
【0089】
本発明の実施例を適用すれば、少なくとも、本発明実施例によるシナジーパルス発生回路、発生装置及びその発生方法を実現できるという効果を奏する。幅の異なる第1のパルスおよび/または第2のパルスを選択的に形成することができるとともに、第1のパルスおよび第2のパルスの電圧を選択することができる。これにより、複合パルスを負荷に印加する目的を実現し、負荷が腫瘍細胞を例にとると、複合パルスの役割は腫瘍細胞に対するアブレーション効果の向上に有利である。
【0090】
「第1の」、「第2の」の用語は、目的を説明したに過ぎず、相対的な重要度を示すこと、示唆すること、又は示す技術的特徴の数を示唆することを意味することは理解できない。これにより、「第1の」、「第2の」が限定された特徴は、1つまたはそれ以上の特徴を明示的または暗示的に含み得る。なお、本発明の説明において、「複数」の意味は、特に断らない限り、2以上を意味する。
【0091】
なお、本発明の記述において、「実装」、「接続」、「結合」という用語は、特に明確な規定および限定がない限り、広義に理解されるべき、例えば、固定的な接続であっても、取り外し可能な接続であっても、一体的に接続されていてもよく、直接的に接続されていてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。前記用語の本発明における具体的な意味は、当業者にとって具体的に理解される。
【0092】
本明細書の記載において、具体的な特徴、構造、材料、または特徴は、任意の1以上の実施例または例において適宜組み合わされてよい。
【0093】
以上、本発明の一部実施例に過ぎず、当業者であれば、本発明の原理を逸脱することなく、いくつかの改良及び仕上がりをしてもよいことを指摘すべきである。
【符号の説明】
【0094】
1…第1のパルス発生モジュール、11…第1のパルス発生部、111…第1の記憶部、112…第1のスイッチ部、113…第1のオフ部、2…第2のパルス発生モジュール、21…第2のパルス発生部、211…第2の記憶部、212…第2のスイッチ部、213…第2のオフ部、3…負荷、U1…第1の電源、U2…第2の電源
【国際調査報告】