(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】2回にわたるプルバックの自動位置合わせ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20240814BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61B1/045 622
A61B1/00 526
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507017
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 US2022036228
(87)【国際公開番号】W WO2023014461
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(72)【発明者】
【氏名】リ,シンミン
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナス,アジェイ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161BB08
4C161CC06
4C161WW02
4C161WW04
4C161WW10
(57)【要約】
本開示は、標的血管における複数のプルバックの間に取得された血管内データを自動的に位置合わせするシステム及び方法を提供する。管腔外画像を撮影して、標的血管におけるガイドカテーテルのロケーションを求めることができる。そして、2つ以上のプルバックを標的血管において行うことができる。各プルバックの始点及び終点を求めることができる。各プルバックの終点と、ガイドカテーテルの近位先端部、すなわち接合点との間の距離を求めることができる。各プルバックの終点と接合点との間の差を求めることができる。プルバックの端部からの距離と、接合点からの距離との間の差は、プルバックの表示を自動的に位置合わせするために、プルバックの表示のうちの1つをオフセットする距離に対応することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のプロセッサが、標的血管の複数の管腔外画像を受信するステップと、
前記1以上のプロセッサが、前記複数の管腔外画像において接合点を検出するステップと、
前記1以上のプロセッサが、第1の血管内デバイスの第1のプルバックの間に取得された第1の血管内データのセットを受信するステップと、
前記1以上のプロセッサが、前記接合点と前記第1のプルバックの第1の遠位端点との間の第1の距離を求めるステップと、
前記1以上のプロセッサが、第2の血管内デバイスの第2のプルバックの間に取得された第2の血管内データのセットを受信するステップと、
前記1以上のプロセッサが、前記接合点と前記第2のプルバックの第2の遠位端点との間の第2の距離を求めるステップと、
前記1以上のプロセッサが、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて、前記第1の血管内データのセットの第1の表示を前記第2の血管内データのセットの第2の表示と位置合わせするステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記1以上のプロセッサが、前記第1の表示及び前記第2の表示を表示用に出力するステップを更に含み、前記第1の表示は、前記第2の表示と垂直方向に位置合わせされている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の表示を前記第2の表示と位置合わせするステップは、
前記1以上のプロセッサが、前記第2の距離と前記第1の距離との間の差を求めることと、
前記1以上のプロセッサが、前記求められた差に基づいて、前記第2の表示の遠位端を前記第1の表示の遠位端から水平方向にオフセットすることと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接合点は、ガイドカテーテルの近位点である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の血管内デバイスは、前記第2の血管内デバイスと同じデバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとは、血管内画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の管腔外画像は、前記第1のプルバックの間と前記第2のプルバックの間との双方において撮影される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接合点を検出するステップは、前記1以上のプロセッサが、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つの人工知能マスク(AIマスク)を決定することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のプルバックの前記第1の遠位端点と前記第2のプルバックの前記第2の遠位端点とを求めるときに、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つのワイヤマスク画像フレームを決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1以上のプロセッサが、前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとを、前記複数の管腔外画像に共同登録するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1以上のプロセッサを備えるデバイスであって、
前記1以上のプロセッサは、
標的血管の複数の管腔外画像を受信することと、
前記複数の管腔外画像において接合点を検出することと、
第1の血管内デバイスの第1のプルバックの間に取得された第1の血管内データのセットを受信することと、
前記接合点と前記第1のプルバックの第1の遠位端点との間の第1の距離を求めることと、
第2の血管内デバイスの第2のプルバックの間に取得された第2の血管内データのセットを受信することと、
前記接合点と前記第2のプルバックの第2の遠位端点との間の第2の距離を求めることと、
前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて、前記第1の血管内データのセットの第1の表示を前記第2の血管内データのセットの第2の表示と位置合わせすることと
を行うように構成されている、デバイス。
【請求項12】
前記1以上のプロセッサは、前記第1の表示及び前記第2の表示を表示用に出力するように更に構成され、前記第1の表示は、前記第2の表示と垂直方向に位置合わせされている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の表示及び前記第2の表示を位置合わせするときに、前記1以上のプロセッサは、
前記第2の距離と前記第1の距離との間の差を求めることと、
前記求められた差に基づいて、前記第2の表示の遠位端を前記第1の表示の遠位端から水平方向にオフセットすることと
を行うように更に構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記接合点は、ガイドカテーテルの近位点である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の血管内デバイスは、前記第2の血管内デバイスと同じデバイスである、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとは、血管内画像を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
前記複数の管腔外画像は、前記第1のプルバックの間と前記第2のプルバックの間との双方において撮影される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項18】
前記接合点を検出するときに、前記1以上のプロセッサは、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つの人工知能マスク(AIマスク)を決定するように更に構成される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1のプルバックの前記第1の遠位端点と前記第2のプルバックの前記第2の遠位端点とを求めるときに、前記1以上のプロセッサは、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つのワイヤマスク画像フレームを決定するように更に構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項20】
前記1以上のプロセッサは、前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとを、前記複数の管腔外画像に共同登録するように更に構成される、請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「Automatic Alignment of Two Pullbacks」と題する2021年8月5日に出願された米国仮特許出願第63/229,702号の出願日の利益を主張し、この米国仮特許出願の開示は、本明細書に引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
血管内データは、血管内デバイスのプルバック(pullback)を1回以上行うことによって取得することができる。血管内デバイスは、光干渉断層撮影(「OCT:optical coherence tomography」)プローブ、血管内超音波(「IVUS:intravascular ultrasound」)撮像プローブ、プレッシャーワイヤ等とすることができる。ステント留置等の冠動脈インターベンション前にプレインターベンションプルバックが行われる場合があり、その後にポストインターベンションプルバックが行われる場合がある。プレインターベンションプルバックの表示をポストインターベンションプルバックの表示と位置合わせするには、ユーザが各プルバックにおける対応する点を手動で特定することが必要となり、これは、エラーをもたらすおそれがある。例えば、ユーザは、点を、プルバックのそれぞれにおける対応する点として誤認する場合があり、これによって、各プルバックの表示が位置合わせ不良となる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、包括的には、2回以上のプルバックにおいて取得された血管内データの表示を自動的に位置合わせすることに関する。プルバックは、同じモダリティ及び/又は異なるモダリティを使用して行うことができる。例えば、第1のプルバックは、血管内画像を記録することができ、第2のプルバックは、圧力測定値等の血管内データ測定値を記録することができる。プルバックが行われた血管の対応するセグメントが垂直方向に位置合わせされるように、プルバックのそれぞれの表示を垂直方向に位置合わせすることができる。
【0004】
血管造影図、X線写真等の1以上の管腔外画像は、ガイドカテーテルの標的血管内への挿入前、挿入中、又は挿入後に撮影することができる。複数のプルバックは、医師が、例えば、OCTプローブ、IVUSプローブ、プレッシャーワイヤ、マイクロOCTプローブ、近赤外分光(NIRS:near-infrared spectrometry)センサ等を使用することによって行うことができる。例えば、各プルバックの端部とカテーテルの近位先端部との間のピクセルを測定することによって、各プルバックの終点とカテーテルの近位先端部との間の距離を求めることができる。各プルバックの始点は、血管内データがキャプチャされる最遠位点とすることができ、終点は、最近位点とすることができる。カテーテルの近位先端部は、いくつかの例では、接合点と呼ばれる場合があり、接合点は、カテーテルとガイドワイヤが遭遇する箇所である。いくつかの例では、接合点は、各プルバックについて同じ点である。例えば、カテーテルの近位先端部、すなわち接合点が、各プルバックについて同じロケーションになるように、カテーテルは、各プルバックの間で移動しない場合がある。例えば、第1のプルバックの端部から接合点までの距離を、第2のプルバックの端部から接合点までの距離から減算することによって、各プルバックの終点と接合点との間の差を求めことができる。そのような差は、オフセット距離に対応することができ、このオフセット距離は、第1の表示及び第2の表示が接合点において垂直方向に位置合わせされるときに、第2のプルバックの表示の終点が、第1のプルバックの表示の終点から水平方向にオフセットされる距離である。例えば、第2のプルバックが、第1のプルバックよりも、接合点から更に離れた終点を有する場合に、第2のプルバックの表示の終点は、オフセット差だけ第1のプルバックの表示の終点から水平方向にオフセットすることができる。
【0005】
開示される技術の態様は、本明細書に説明される特徴の任意の組み合わせを含むことができる。
【0006】
本開示の1つの態様は、1以上のプロセッサが、標的血管の複数の管腔外画像を受信するステップと、前記1以上のプロセッサが、前記複数の管腔外画像において接合点を検出するステップと、前記1以上のプロセッサが、第1の血管内デバイスの第1のプルバックの間に取得された第1の血管内データのセットを受信するステップと、前記1以上のプロセッサが、前記接合点と前記第1のプルバックの第1の遠位端点との間の第1の距離を求めるステップと、前記1以上のプロセッサが、第2の血管内デバイスの第2のプルバックの間に取得された第2の血管内データのセットを受信するステップと、前記1以上のプロセッサが、前記接合点と前記第2のプルバックの第2の遠位端点との間の第2の距離を求めるステップと、前記1以上のプロセッサが、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて、前記第1の血管内データのセットの第1の表示を前記第2の血管内データのセットの第2の表示と位置合わせするステップとを含んでなる方法を提供する。本方法は、前記1以上のプロセッサが、前記第1の表示及び前記第2の表示を表示用に出力するステップを更に含むことができ、前記第1の表示は、前記第2の表示と垂直方向に位置合わせされている。前記第1の表示を前記第2の表示と位置合わせするステップは、前記1以上のプロセッサが、前記第2の距離と前記第1の距離との間の差を求めることと、前記1以上のプロセッサが、前記求められた差に基づいて、前記第2の表示の遠位端を前記第1の表示の遠位端から水平方向にオフセットすることとを含むことができる。前記接合点は、ガイドカテーテルの近位点とすることができる。前記第1の血管内デバイスは、前記第2の血管内デバイスと同じデバイスとすることができる。前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとは、血管内画像を含むことができる。前記複数の管腔外画像は、前記第1のプルバックの間と前記第2のプルバックの間との双方において撮影することができる。前記接合点を検出することは、前記1以上のプロセッサが、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つの人工知能(AI:artificial intelligence)マスクを決定することを更に含むことができる。前記第1のプルバックの前記第1の遠位端点と前記第2のプルバックの前記第2の遠位端点とを求めるときに、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つのワイヤマスク画像フレームを決定するステップを更に含むことができる。いくつかの例によれば、本方法は、前記1以上のプロセッサが、前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとを前記複数の管腔外画像に共同登録する(co-registering)ことを更に含むことができる。
【0007】
本開示の別の態様は、1以上のプロセッサを備えるデバイスを提供する。前記1以上のプロセッサは、標的血管の複数の管腔外画像を受信することと、前記複数の管腔外画像において接合点を検出することと、第1の血管内デバイスの第1のプルバックの間に取得された第1の血管内データのセットを受信することと、前記接合点と前記第1のプルバックの第1の遠位端点との間の第1の距離を求めることと、第2の血管内デバイスの第2のプルバックの間に取得された第2の血管内データのセットを受信することと、前記接合点と前記第2のプルバックの第2の遠位端点との間の第2の距離を求めることと、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて、前記第1の血管内データのセットの第1の表示を前記第2の血管内データのセットの第2の表示と位置合わせすることとを行うように構成することができる。前記1以上のプロセッサは、前記第1の表示及び前記第2の表示を表示用に出力するように更に構成することができ、前記第1の表示は、前記第2の表示と垂直方向に位置合わせされている。前記第1の表示及び前記第2の表示を位置合わせするときに、前記1以上のプロセッサは、前記第2の距離と前記第1の距離との間の差を求めることと、前記求められた差に基づいて、前記第2の表示の遠位端を前記第1の表示の遠位端から水平方向にオフセットすることとを行うように更に構成することができる。前記接合点は、ガイドカテーテルの近位点とすることができる。前記第1の血管内デバイスは、前記第2の血管内デバイスと同じデバイスとすることができる。前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとは、血管内画像を含むことができる。前記複数の管腔外画像は、前記第1のプルバックの間と前記第2のプルバックの間との双方において撮影することができる。前記接合点を検出するときに、前記1以上のプロセッサは、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つの人工知能マスク(AIマスク)を決定するように更に構成することができる。前記第1のプルバックの前記第1の遠位端点と前記第2のプルバックの前記第2の遠位端点とを求めるときに、前記1以上のプロセッサは、前記複数の管腔外画像、前記第1の血管内データのセット、又は前記第2の血管内データのセットに基づいて、少なくとも1つのワイヤマスク画像フレームを決定するように更に構成することができる。前記1以上のプロセッサは、前記第1の血管内データのセットと前記第2の血管内データのセットとを、前記複数の管腔外画像に共同登録するように更に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示の態様による一例示のシステムを示す図である。
【
図1B】本開示の態様による一例示のAIマスクを示す図である。
【
図2A】本開示の態様による例示の血管外画像を示す図である。
【
図2B】本開示の態様による例示の血管外画像を示す図である。
【
図3A】本開示の態様による、第1のプルバックの間に取得された血管内データを用いてアノテーションされた例示の画像を示す図である。
【
図3B】本開示の態様による、第1のプルバックの間に取得された血管内データを用いてアノテーションされた例示の画像を示す図である。
【
図4A】本開示の態様による、第2のプルバックの間に取得された血管内データを用いてアノテーションされた例示の画像を示す図である。
【
図4B】本開示の態様による、第2のプルバックの間に取得された血管内データを用いてアノテーションされた例示の画像を示す図である。
【
図5】本開示の態様による、第1のプルバックの間に取得された血管内データの表示と、第2のプルバックの間に取得された血管内データの表示との一例示の位置合わせを示す図である。
【
図6】本開示の態様による、第1のプルバック及び第2のプルバックの間に取得された血管内データの表示を位置合わせする方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aは、血管内データ及び血管外データを収集するときに使用されるデータ収集システム100を示している。このシステムは、データ収集プローブ104を含むことができる。データ収集プローブ104は、例えば、OCTプローブ、IVUSカテーテル、マイクロOCTプローブ、近赤外分光(NIRS)センサ、又は血管102を撮像するのに使用することができる他の任意のデバイスとすることができる。いくつかの例では、データ収集プローブ104は、プレッシャーワイヤ、流量計等とすることができる。本明細書に提供される例は、OCTプローブ等の血管内撮像デバイスに関するものであるが、OCTプローブの使用は、限定を意図するものではない。例えば、IVUSカテーテル、プレッシャーワイヤ、又は別の血管内データ収集デバイスをOCTプローブと併せて又はOCTプローブの代わりに使用することができる。図示しないガイドワイヤを、プローブ104を血管102内に導入するのに使用することができる。プローブ104は、データを収集しながら血管の長さに沿って導入及びプルバックを行うことができる。血管内データセット、又は画像データのフレームを使用して、ボーラスの断面積等の特徴量を特定することができる。
【0010】
プローブ104は、光ファイバ106を介してサブシステム108に接続することができる。サブシステム108は、レーザ等の光源と、サンプルアーム及び参照アームを有する干渉計と、様々な光路と、クロック発生器と、フォトダイオードと、他のOCT構成要素、IVUS構成要素、マイクロOCT構成要素、NIRS構成要素、及び/又はプレッシャーワイヤ構成要素とを含むことができる。
【0011】
プローブ104は、受光器110に接続することができる。いくつかの例によれば、受光器110は、バランスドフォトダイオードベースのシステムとすることができる。受光器110は、プローブ104によって収集された光を受光するように構成することができる。プローブ104は、有線接続又は無線接続を介して受光器110に結合することができる。
【0012】
システム100は、外部撮像デバイス120からのデータを更に含むこともできるし、このようなデータを受信するように更に構成することもできる。外部撮像デバイスは、例えば、血管造影、蛍光透視、X線、核磁気共鳴、コンピュータ支援断層撮影等に基づく撮像システムとすることができる。外部撮像デバイス120は、血管102を非侵襲的に撮像するように構成することができる。いくつかの例によれば、外部撮像デバイス120は、データ収集プローブ104のプルバックの前、プルバックの間、及び/又はプルバックの後に1つ以上の画像を取得することができる。
【0013】
外部撮像デバイス120は、サブシステム108と通信することができる。いくつかの例によれば、外部撮像デバイス120は、Wi-Fi又はBluetooth等の通信インタフェースを介してサブシステム108に無線で結合することができる。いくつかの例では、外部撮像デバイス120は、光ファイバ等の有線を介してサブシステム108と通信することができる。更に別の例では、外部撮像デバイス120は、サブシステム108又はコンピューティングデバイス112に間接的に通信可能に結合することができる。例えば、外部撮像デバイス120は、コンピューティングデバイス112と通信する別個のコンピューティングデバイス(図示せず)に結合することができる。別の例として、外部撮像デバイス120からの画像データは、コンピュータ可読記憶媒体を使用してコンピューティングデバイス112に転送することができる。
【0014】
サブシステム108は、コンピューティングデバイス112を含むことができる。1以上のステップは、自動的に実行することもできるし、画像のナビゲーション、情報の入力、入力の選択及び/又は入力とのインタラクション等を行うユーザ入力を伴わずに実行することもできる。いくつかの例では、1以上のステップは、マウスクリック、キーボード、タッチスクリーン、口頭コマンド等によるユーザ入力を受信することに基づいて実行することができる。
【0015】
コンピューティングデバイスは、1以上のプロセッサ113と、メモリ114と、命令115と、データ116と、1以上のモジュール117とを含むことができる。
【0016】
1以上のプロセッサ113は、任意の従来のプロセッサ、例えば市販のマイクロプロセッサとすることができる。代替で、1以上のプロセッサは、専用デバイス、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又は他のハードウェアベースのプロセッサとすることができる。
図1は、デバイス112のプロセッサ、メモリ、及び他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、又はメモリは、実際には、同じ物理的筐体内に格納され得る又はされ得ない複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、又はメモリを含むことができることは、当業者には理解されるであろう。同様に、メモリは、デバイス112のものとは異なる筐体内に配置されたハードドライブ又は他の記録媒体とすることができる。したがって、プロセッサ又はコンピューティングデバイスへの言及は、並列に動作し得る又は動作し得ないプロセッサ又はコンピューティングデバイス又はメモリの集合体への言及を含むと理解されるであろう。
【0017】
メモリ114は、プロセッサ113によって実行することができる命令115、及びデータ116を含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を保存することができる。メモリ114は、非一時的コンピュータ可読媒体、又は、電子デバイス、例えばハードドライブ、メモリカード、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、光ディスク、並びに他の書き込み可能及び読み取り専用メモリによって読み取り可能な、データを保存する他の媒体を含む、プロセッサ113によってアクセス可能な情報を保存するために動作する一種のメモリとすることができる。本明細書に開示される主題は、上記のものの異なる組み合わせを含む場合があり、これによって、命令115及びデータ116の異なる部分は、異なる種類の媒体に保存される。
【0018】
メモリ114は、命令115に従ってプロセッサ113によって検索、保存、又は修正することができる。例えば、本開示は特定のデータ構造によって限定されないが、データ116は、コンピュータレジスタ、複数の異なるフィールド及びレコードを有するテーブルとしてのリレーショナルデータベース、XML文書、又はフラットファイルに保存することができる。また、データ116は、コンピュータ可読フォーマット、例えば、これらに限定されないが、バイナリ値、ASCII又はユニコードにフォーマットすることができる。更に例示のみであるが、データ116は、圧縮又は非圧縮で保存された画素から構成されるビットマップ、又は様々な画像フォーマット(例えば、JPEG)、ベクトルベースのフォーマット(例えば、SVG)、又はグラフィックを描画するためのコンピュータ命令として保存することができる。さらに、データ116は、関連情報、例えば数字、記述テキスト、専用コード、ポインタ、他のメモリ(他のネットワークのロケーションを含む)に保存されたデータへの参照、又は関連データを計算する機能によって使用される情報を特定するために十分な情報を含むことができる。
【0019】
命令115は、プロセッサ113によって、直接的に、例えば機械コードで、又は間接的に、例えばスクリプトで実行される命令の任意のセットであってもよい。その点で、本明細書において、「命令」、「アプリケーション」、「ステップ」、及び「プログラム」の語は互換的に使用可能である。命令は、プロセッサによる直接処理のためにオブジェクトコードフォーマットで、又は、オンデマンドで翻訳されるか若しくは事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプト若しくは集合を含む任意の他のコンピューティングデバイス言語で、保存可能である。命令の機能、方法、及びルーチンは、以下でより詳細に説明される。
【0020】
モジュール117は、共同登録モジュール、ワイヤマスクモジュール、接合点検出モジュール、及び位置合わせモジュールを含むことができる。
【0021】
コンピューティングデバイス112は、血管内データを管腔画像とともに共同登録するように適合することができる。例えば、コンピューティングデバイス112は、共同登録モジュール121にアクセスして、血管内データを管腔画像とともに共同登録することができる。管腔画像は、血管造影写真、X線写真等の管腔外画像とすることができる。共同登録モジュール121は、血管内画像等の血管内データ、圧力読み取り値、仮想血流予備量比(「VFR:virtual flow reserve」)、心筋血流予備量比(「FFR:fractional flow reserve」)、安静時全周期比(「RFR:resting full-cycle ration」)、流量等を管腔外画像とともに共同登録することができる。いくつかの例では、共同登録モジュール121は、OCTプローブ、IVUSプローブ、マイクロOCTプローブ等によってキャプチャされた管腔内画像等の管腔内画像とともに血管内データを共同登録することができる。
【0022】
1つの例では、共同登録モジュール121は、プルバックの間にキャプチャされた管腔内データを1以上の管腔外画像とともに共同登録することができる。例えば、管腔外画像フレームを前処理することができる。畳み込み行列、ヘッセ行列等の様々な行列をピクセル単位で適用して、輝度の変更、所与の血管造影画像フレームの除去、又はそれ以外の変更を行うことができる。本明細書に論述されるように、前処理段階は、管腔外画像の特徴の強調、変更、及び/又は除去を行って、その後の処理段階の精度、処理速度、成功率、及び他の特性を高めることができる。血管中心線を確定及び/又は計算することができる。いくつかの例では、血管中心線を、前処理された管腔外画像に対して重ね合わせ又は別の方法で表示することができる。いくつかの例によれば、血管中心線は、収集プローブ104がプルバックの間に血管内を通った軌跡を表すことができる。いくつかの例では、中心線は、トレースと呼ばれる場合がある。付加的に又は代替的に、マーカバンド又は放射線不透過マーカを管腔外画像フレームにおいて検出することができる。いくつかの例によれば、管腔外画像フレーム及び収集プローブ104によって受信されたデータを、マーカバンドの求められたロケーションに基づいて共同登録することができる。
【0023】
コンピューティングデバイス112は、管腔外画像のワイヤマスクを決定するように適合することができる。例えば、コンピューティングデバイス112は、ワイヤマスクモジュール122にアクセスして、管腔外画像のワイヤマスク画像フレームを決定又は作成することができる。いくつかの例によれば、ワイヤマスクモジュール122は、管腔外画像を処理して、血管内のカテーテル及び/又はガイドワイヤのマスクを決定、又は作成することができる。
【0024】
ワイヤマスク画像フレームを決定することは、1以上の画像フレームの正規化等によって画像を平滑化することを含むことができる。画像フレームの正規化は、画像フレーム内のピクセルを0と1との間の数値範囲に変換することができる。いくつかの例によれば、画像フレームの正規化によって、トレーニングされたAIネットワークは、ピクセルをカテーテル及びガイドワイヤ等の様々な構造物として認識することが可能になる。管腔外画像を平滑化することは、画像内の長く伸びた構造物を強調することができる。いくつかの例によれば、長く伸びた構造物は、画像内の血管、ガイドワイヤ、肋骨、カテーテル、又は他のエッジ含有要素のうちの1以上を含む。
【0025】
いくつかの例では、1以上の形態学的フィルタを画像に適用して、画像内の幅広の構造物を除去することができる。幅広の構造物は、例えば、画像フレーム内の骨構造物である場合がある。いくつかの例によれば、形態学的フィルタは、ボトムハットフィルタとすることもできるし、細い要素等の小規模な特徴を強調又は選択するように構成又は強制された任意のフィルタとすることもできる。形態学的フィルタは、例えば、通常スケールを有する画像における暗い長く伸びた要素を、ボトムハットフィルタ等の所与の形態学的フィルタにおいて使用される構造要素に強調することを可能にする。いくつかの例では、形態学的フィルタは、同様の結果を生成するメディアンフィルタに置き換えることができる。
【0026】
いくつかの例では、リッジ強調フィルタ若しくはリッジ検出器又は血管セグメンテーションフィルタを画像に適用することができる。リッジ強調フィルタは、フランジ(Frangi)フィルタ、ヘシアンフィルタ、又は他のリッジ検出器若しくはエッジ検出器とすることができる。リッジ強調フィルタは、画像における細長く伸びた特徴部を抽出することができる。リッジ強調フィルタの出力に閾値処理を行って、閾値処理された画像では明るいピクセルとして表示される細長く伸びた暗い要素を含む2値画像を生成することができる。
【0027】
いくつかの例では、リッジ強調画像を閾値処理した後、適応閾値処理を画像に対して実行することができる。関心のない輝度値を有する画像エリアを除外するために適応2値閾値を適用することができる。いくつかの例では、暗い値に対応する輝度値又は輝度値範囲に関連付けられた閾値よりも大きな輝度を有する明るいエリアを除外することができる。
【0028】
閾値処理されたリッジ強調画像及び適応2値閾値の適用後に生成された画像を、ピクセルごとのAND演算子を使用してマージし、マージされたメタリックワイヤマスク構成要素を取得することができる。ワイヤマスクモジュール122は、その後、画像において検出されるワイヤ断片を接続及びフィルタリングすることができる。
【0029】
ガイドワイヤは断片で抽出することができ、カテーテル、接合点、及び/又はガイドワイヤ上のマーカ等の他の構成要素は検出することができる。ワイヤの断片は、取り出し角の測定値と断片間の距離とを組み合わせたものを使用して接合することができる。
【0030】
いくつかの例によれば、ワイヤマスクモジュール122は、構成要素のポストフィルタリング及び/又は構成要素の細線化を行うことができ、これらのポストフィルタリング及び/又は細線化は、ワイヤ検出中に加わっている場合がある周囲エリアからの要素を除去するために行うことができる。
【0031】
ワイヤマスクモジュール122は、検出されたカテーテル202、ガイドワイヤ204、及び/又は接合点206のワイヤマスクを出力し、及び/又はメモリ114に記憶することができる。
【0032】
コンピューティングデバイス112は、1以上の画像フレームにおけるガイドカテーテルの近位点のロケーションを求めるように適合することができる。ガイドカテーテルの近位点は、接合点とすることができる。例えば、コンピューティングデバイス112は、接合点検出モジュール123にアクセスしてロケーションを求めることができる。いくつかの例によれば、接合点検出モジュール123は、ワイヤマスクモジュール122によって出力されたワイヤマスクを使用して接合点のロケーションを求めることができる。
【0033】
いくつかの例では、接合点検出モジュール123は、トレーニングされた人工知能(AI)ネットワークを使用して接合点のロケーションを求めることができる。AIネットワークは、1以上の管腔外画像及び/又はアノテーションを入力として使用してトレーニングすることができる。管腔外画像は、例えば、血管造影画像、CT画像、MRI画像等とすることができる。アノテーションは、カテーテルの近位先端部のロケーション及び/又はガイドワイヤのロケーションを特定するアノテーションとすることができる。トレーニングされたAIネットワークは、
図1Bに示すように、AIマスクを出力することができる。AIマスク100Aは、画像におけるカテーテル及び/又はガイドワイヤを特定することができる。AIマスク100Aは、付加的に又は代替的に、接合点206を特定することができる。接合点は、例えば、カテーテル202の近位先端部とすることができる。いくつかの例では、接合点206は、カテーテル202及びガイドワイヤ204が遭遇又は交差するロケーションである。接合点検出モジュール123は、トレーニングされたAIネットワークを使用して、その後の画像フレームにおける接合点のロケーションを予測及び/又は特定することができる。
【0034】
コンピューティングデバイス112は、2つ以上のプルバックの表示を位置合わせするように適合することができる。例えば、コンピューティングデバイス112は、位置合わせモジュール124にアクセスして表示を位置合わせすることができる。2つ以上のプルバックの表示の位置合わせは、第1の表示の一部分を第2の表示の一部分に垂直方向に位置合わせすることを更に含む。第1の表示及び第2の表示のこれらの部分は、接合点、プルバックにおけるロケーション等に対応することができる。したがって、第1の表示及び第2の表示のこれらの部分は、血管における同じロケーションに対応することができる。
【0035】
いくつかの例では、血管内の同じロケーションに対応する各表示の部分が垂直方向に位置合わせされるように表示を垂直方向に位置合わせするために、位置合わせモジュール124は、オフセット距離を求めることができる。オフセット距離は、第1のプルバックの端部と接合点との間の距離「L1」と、第2のプルバックの端部と接合点との間の距離「L2」との差とすることができる。例えば、差「ΔL」は、「L1」を「L2」から減算することによって計算することができる。各プルバックの端部と接合点との間の差は、第2の長手方向表示が第1の長手方向表示と垂直方向に位置合わせされるときに水平方向にオフセットされるオフセット距離とすることができる。
【0036】
いくつかの例によれば、作成されるモジュールは、付加的に又は代替的に、ビデオ処理ソフトウェアモジュール、前処理ソフトウェアモジュール、画像ファイルサイズ削減ソフトウェアモジュール、カテーテル除去ソフトウェアモジュール、陰影除去ソフトウェアモジュール、血管強調ソフトウェアモジュール、ブロブ強調ソフトウェアモジュール、ラプラシアンオブガウシアンフィルタ又は変換ソフトウェアモジュール、ガイドワイヤ検出ソフトウェアモジュール、解剖学的特徴検出ソフトウェアモジュール、静止マーカ検出ソフトウェアモジュール、背景差分モジュール、フランジ血管らしさ(vesselness)ソフトウェアモジュール、画像輝度サンプリングモジュール、移動マーカソフトウェア検出モジュール、反復型中心線試験ソフトウェアモジュール、背景差分ソフトウェアモジュール、形態学的クローズ操作(morphological close operation)ソフトウェアモジュール、特徴追跡ソフトウェアモジュール、カテーテル検出ソフトウェアモジュール、ボトムハットフィルタソフトウェアモジュール、経路検出ソフトウェアモジュール、ダイクストラソフトウェアモジュール、ビタビソフトウェアモジュール、高速行進(fast marching)法ベースのソフトウェアモジュール、血管中心線生成ソフトウェアモジュール、血管中心線追跡モジュールソフトウェアモジュール、ヘシアンソフトウェアモジュール、輝度サンプリングソフトウェアモジュール、画像輝度重ね合わせソフトウェアモジュール及び本明細書に説明されるような他の適したソフトウェアモジュールを含む。
【0037】
サブシステム108は、コンテンツをユーザに出力するディスプレイ118を含むことができる。ディスプレイ118は、コンピューティングデバイス112と統合することもできるし、コンピューティングデバイス112に電子的に結合されたスタンドアロンユニットとすることもできる。ディスプレイ118は、血管において検出され及び/又はプルバックの間に取得された1以上の特徴に関する血管内データを出力することができる。例えば、出力は、限定するものではないが、断面スキャンデータ、長軸スキャン、径グラフ、画像マスク、管腔境界、プラークサイズ、プラーク周、プラークロケーションの視覚的印、ステント拡張にもたらされるリスクの視覚的印、流量等を含むことができる。ディスプレイ118は、テキスト、矢印、色分け、強調表示、輪郭線、又は他の適切な人間又は機械が読み取り可能な印を用いて特徴を特定することができる。
【0038】
いくつかの例によれば、ディスプレイ118は、グラフィックユーザインタフェース(「GUI:graphic user interface」)を含むことができる。ディスプレイ118は、ユーザが画像のナビゲーション、情報の入力、入力の選択及び/又は入力とのインタラクション等を行う入力を提供することができるタッチスクリーンディスプレイとすることができる。いくつかの例では、ディスプレイ118及び/又はコンピューティングデバイス112は、ユーザが画像のナビゲーション、情報の入力、入力の選択及び/又は入力とのインタラクション等を行うことを可能にするトラックパッド、マウス、キーボード等の入力デバイスを含むことができる。ディスプレイ118は、単独で又はコンピューティングデバイス112との組み合わせで、ユーザ入力に応答して1以上のビューイングモード間のトグルを可能にすることができる。例えば、ユーザは、プルバックのそれぞれの間に記録された異なる血管内データ、画像等の間のトグルを行うことができる。
【0039】
いくつかの例では、ディスプレイ118は、単独で又はコンピューティングデバイス112との組み合わせで、1以上のメニューを出力として医師に提示することができ、医師は、これに応じて、1以上のメニューから項目を選択することによって入力を提供することができる。例えば、メニューは、ユーザが様々な特徴を示すこと又は隠すことを可能にすることができる。別の例として、表示する血管の特徴を選択するメニューが存在し得る。
【0040】
出力は、複数のプルバックから受信された血管内データの位置合わせされた表示を含むことができる。例えば、各プルバックは、血管の長手方向表示、血管内データのグラフィカル表示等として出力することができる。いくつかの例によれば、第1のプルバックの表示及び第2のプルバックの表示を垂直方向に位置合わせすることができる。プルバックのそれぞれからの血管内データは、
図5に関して本明細書に論述されるように、各プルバックの端部と接合点との間の差に基づいて位置合わせすることができる。例えば、第1のプルバックは、接合点から距離「L1」において終了することができ、第2のプルバックは、接合点から距離「L2」において終了することができる。「L2」と「L1」との間の差「ΔL」は、第2のプルバックの表示の端部が第1のプルバックの表示の端部から水平方向にオフセットされる距離とすることができる。
【0041】
図2Aは、外部撮像デバイス120によって取得された画像を示している。画像200は、外部撮像デバイスによって撮影された複数の血管造影画像のうちの1つとすることができる。画像200が血管造影画像である一例において、画像200は、造影剤が血管内に注入される前、造影剤が血管内に注入されている間、又は造影剤が血管に注入された後に取得することができる。図示するように、画像200は、造影剤が血管内に注入される前であって、カテーテル202及びガイドワイヤ204が血管内に挿入された後に取得される。画像200は、1以上の血管、カテーテル202、及びガイドワイヤ204を示すことができる。画像200は、血管造影画像であるが、外部撮像デバイスは、例えば、画像がCT画像又はMRI画像となるようにCT機械又はMRI機械とすることもできる。
【0042】
図2Bは、画像200における接合点206の特定を示している。接合点206は、血管内のカテーテルの近位点である。いくつかの例によれば、撮像処理技法、機械学習(「ML:machine learning」)、及び/又は人工知能(AI)が、接合点206を特定することができる。いくつかの例では、ワイヤマスクモジュール122及び/又は接合点検出モジュール123が、接合点206を特定することができる。ワイヤマスクモジュール及び/又は接合点検出モジュールは、画像処理技法、ML、及び/又はAIを使用して接合点206を特定することができる。例えば、トレーニングされたAIネットワークを使用して、接合点206のロケーションを予測及び/又は特定することができる。接合点206は、ガイドカテーテル202の近位点とすることができる。
【0043】
図3Aは、第1のプルバックの始点及び終点が特定されている外部撮像デバイスによって撮影された画像の一例を示している。画像300は、プルバックの間に撮影された1以上の外部画像が互いに組み合わされ及び/又は重ね合わされて、第1のプルバックの始点及び終点を特定することができるように、合成画像とすることができる。いくつかの例によれば、第1のプルバックの前及び/又は第1のプルバックの間に造影剤を注入することができる。造影剤は、関心領域内の血管構造物の強調、特定を行うことができ、及び/又は当該血管構造物の検出に使用することができる。
【0044】
図示するように、画像300は、カテーテル202のロケーション、接合点206、及び第1のプルバックに関する詳細を示している。第1のプルバックの間に撮影された画像300におけるカテーテル202のロケーション及び接合点206は、プルバックの前に撮影された画像200におけるカテーテル202のロケーション及び接合点206に対応又は実質的に対応することができる。すなわち、カテーテル202が血管内に挿入されると、カテーテル202、したがって、接合点206は、血管内におけるその位置又はロケーションを変化させない。第1のプルバックに関する詳細は、第1のプルバックの始点、すなわち遠位点308と、第1のプルバックの終点、すなわち近位点310と、プルバックのトレース312、すなわち経路とを含むことができる。近位点310、遠位点308、及びトレース312は、例えば、各画像フレームのワイヤマスク画像フレームを決定することによって特定することができる。上述したように、ワイヤマスクモジュール122は、ワイヤマスク画像フレームを決定及び/又は作成することができる。ワイヤマスク画像フレームは、画像300において、プルバックの近位点310、プルバックの遠位点308、トレース312、カテーテル202、接合点206、及び/又はプローブ上の若しくはトレース312に沿った放射線不透過マーカ(図示せず)を特定、強調、又は抽出することができる。
【0045】
いくつかの例によれば、画像300は、共同登録された画像とすることができる。例えば、外部撮像デバイス120によって記録された画像データは、収集プローブ104によって記録された血管内データとともに共同登録することができる。収集プローブ104は、例えば、OCTプローブ、IVUSプローブ、プレッシャーワイヤ、マイクロOCTプローブ、NIRSセンサ等とすることができる。いくつかの例では、外部撮像デバイス120によって記録された画像データは、血管造影画像とすることができ、収集プローブ104によって記録された血管内データは、OCT画像、IVUS画像、プレッシャーワイヤからの圧力読み取り値等とすることができる。収集プローブ104によって記録されている血管内データは、グラフィックユーザインタフェースの一部として表示することができる。血管内データは、血管内の或る特定のロケーションにおいて記録することができる。外部撮像デバイス120によって記録された管腔外画像は、血管内データが記録されたロケーションを含むことができる。血管内データ及び管腔外画像が、異なるビュー及び/又はデータを有する同じ血管セグメントを表示するように、血管内データを管腔外画像に関係付けることができる。
【0046】
図3Bは、接合点206と第1のプルバックの近位点310との間の距離を示している。距離「L1」は、特定された接合点206及び近位点310に基づいて自動的に求めることができる。例えば、画像300における接合点206のロケーションは、トレーニングされたAIネットワークによって決定及び/又は特定することができ、画像300における第1のプルバックの近位点310のロケーションは、ワイヤマスクモジュール122によって特定することができる。画像300における接合点206及び近位点310のロケーションが判明すると、接合点206と近位点310との間の距離を求めることができる。この距離は、例えば、ピクセルを単位として測定することができる。
【0047】
図4Aは、第2のプルバックの始点及び終点が特定されている外部撮像デバイスによって撮影された画像の一例を示している。画像400は、血管内デバイスの第2のプルバックの間に撮影された複数の外部画像の合成画像とすることができる。第2のプルバックは、第1のプルバックの間に使用された血管内デバイスと同じ血管内デバイス又は異なる血管内デバイスを使用して完了することができる。例えば、第1のプルバックは、OCT撮像プローブを使用している場合がある一方、第2のプルバックは、IVUS撮像プローブ又はプレッシャーワイヤを使用している場合がある。
【0048】
いくつかの例によれば、第1のプルバックは、任意の事前冠動脈インターベンション(「PCI:pre-coronary intervention」)が行われる前に行うことができる一方、第2のプルバックは、PCI(事前冠動脈インターベンション)の後に行うことができる。いくつかの例では、第1のプルバック及び第2のプルバックの双方をPCIの前、又はPCIの後に行うことができる。例えば、第1のプルバックがOCT画像を記録し、第2のプルバックが圧力測定値を記録する場合に、事前PCI情報及び/又は事後PCI情報を共同登録することができるように、第1のプルバック及び第2のプルバックの双方をPCIの前、及び/又はPCIの後に行うことができる。
【0049】
画像400は、カテーテル202及び接合点206を特定することができる。カテーテル202及び接合点206は、画像200、300と同様に血管内の同じ位置又はロケーションに存在する場合がある。すなわち、カテーテル202のロケーション又は位置は、カテーテルが血管内に挿入された後及び/又は第1のプルバックの後に変化しない場合がある。画像400は、付加的に又は代替的に、第2のプルバックの遠位点408、近位点410、及びトレース412を特定することができる。遠位点408、近位点410、及びトレース412は、例えば、ワイヤマスク画像フレームを決定することによって特定することができる。
【0050】
図4Bは、接合点206と第2のプルバックの近位点410との間の距離を示している。距離「L2」は、特定された接合点206及び近位点410に基づいて自動的に求めることができる。距離「L2」は、距離「L1」よりも大きい場合もあるし、距離「L1」よりも小さい場合もあるし、距離「L1」と等しい場合もある。
【0051】
図5は、第1のプルバックの間に受信される血管内データの第1の表示と、第2のプルバックの間に受信される血管内データの第2の表示との位置合わせを示している。図示するように、第1の表示及び第2の表示は、それぞれ血管の長手方向の表示である。ただし、OCTプローブの第1のプルバック及びプレッシャーワイヤの第2のプルバックのように、第1のプルバック及び第2のプルバックが異なるモダリティである場合には、第1の表示は、血管の長手方向の表示とすることができ、第2の表示は、血管内の圧力のグラフィカル表示とすることができる。いくつかの例によれば、異なるモダリティは、OCTプローブ、IVUSプローブ、プレッシャーワイヤ、マイクロOCTプローブ、NIRSセンサ等とすることができる。第1の表示及び第2の表示は、第1の距離「L1」と第2の距離「L2」との間の差に基づいて垂直方向及び/又は水平方向に位置合わせすることができる。
【0052】
図5に示すように、第1の長手方向表示530における血管の一部分が、第2の長手方向表示540における血管の同じ部分と垂直方向に位置合わせされるように、第1の長手方向表示530及び第2の長手方向表示540は、垂直方向に位置合わせすることができる。第2の長手方向表示540は、オフセット距離だけ第1の長手方向表示530から水平方向にオフセットすることができる。オフセット差は、第2の距離「L2」と第1の距離「L1」との間の差「ΔL」とすることができる。例えば、差「ΔL」は、接合点206から近位点410までの距離と、接合点206から近位点310までの距離との間の差とすることができる。したがって、第2の長手方向表示540の近位端542は、第1の長手方向表示530の近位端532から差「ΔL」だけ水平方向にオフセットすることができる。第2の長手方向表示540の近位端542は、第2のプルバックの近位点410に対応することができ、第1の長手方向表示530の近位端532は、第1のプルバックの近位点310に対応することができる。
【0053】
いくつかの例によれば、第1のプルバックは、ユーザ又は医師が任意の経皮冠動脈インターベンション(「PCI:percutaneous coronary intervention」)を行う前に行うことができる。例えば、第1のプルバックは、医師が任意の追加の検査及び/又は測定が必要とされるか否かを判断するために又は適切なインターベンションを判断するため、任意のPCIの前に血管内データを受信するために行うことができる。第2のプルバックは、追加の測定値を取得するために行うことができる。いくつかの例では、第2のプルバックは、PCI後に行うことができる。カテーテルを血管内の同じロケーションに維持することによって、第1のプルバック及び第2のプルバックを自動的に位置合わせすることができる。第1のプルバック及び第2のプルバックの自動位置合わせは、医師が、ユーザ入力の提供を受けることなく、第1のプルバック及び第2のプルバックからの血管内データを容易に確認及び/又は比較することを可能にすることができる。
【0054】
図6は、第1のプルバック及び第2のプルバックを自動的に位置合わせする一例示の方法を示している。以下の動作は、以下に説明される正確な順序で実行される必要はない。むしろ、種々の動作を異なる順序で又は同時に処理することができ、動作を追加又は省略することができる。
【0055】
例えば、ブロック610において、システムは、標的血管の複数の管腔外画像を受信することができる。管腔外画像は、例えば、血管造影画像とすることができる。いくつかの例によれば、管腔外画像は、ガイドカテーテルが標的血管内に挿入された後に撮像することができる。
【0056】
ブロック620において、システムは、複数の管腔外画像において接合点を検出することができる。接合点は、ガイドカテーテルの近位点とすることができる。いくつかの例では、接合点は、ガイドカテーテルがガイドワイヤと遭遇するロケーションとすることができる。システムは、トレーニングされたAIネットワークを使用して接合点を検出することができる。トレーニングされたAIネットワークは、管腔外画像のそれぞれのAIマスクを出力することができる。AIマスクは、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、接合点、及び/又はプローブ若しくはガイドワイヤ上の放射線不透過マーカを特定、強調、又は抽出することができる。
【0057】
ブロック630において、システムは、第1の血管内デバイスの第1のプルバックの間に取得された第1の血管内データのセットを受信することができる。血管内データは、OCTプローブ、IVUSプローブ、プレッシャーワイヤ、マイクロOCTプローブ、NIRSセンサ等によって記録することができる。第1のプルバックは、始点及び終点を有することができる。始点は、プルバックの遠位点とすることができ、終点は、プルバックの近位点とすることができる。いくつかの例によれば、システムは、ワイヤマスク画像フレームを決定及び/又は作成することによってプルバックの近位点及び/又は遠位点を求めることができる。血管内データは、例えば、血管内画像、圧力測定値、流量測定値等とすることができる。
【0058】
ブロック640において、システムは、接合点と第1のプルバックの第1の近位端点との間の第1の距離を求めることができる。例えば、システムは、第1のプルバックの端部とガイドカテーテルの近位端との間の距離を求めることができる。
【0059】
ブロック650において、システムは、第2の血管内デバイスの第2のプルバックの間に取得された第2の血管内データのセットを受信することができる。いくつかの例によれば、第1の血管内デバイス及び第2の血管内デバイスは、同じ血管内デバイスとすることができる。別の例では、第1の血管内デバイス及び第2の血管内デバイスは、異なる血管内デバイスとすることができる。そのような例では、第1の血管内デバイスは、OCTプローブとすることができ、第2の血管内デバイスは、プレッシャーワイヤとすることができる。
【0060】
いくつかの例によれば、第1のプルバックは、PCIの前に行うことができ、第2のプルバックは、PCIの後に行うことができる。いくつかの例では、第1のプルバック及び第2のプルバックの双方をPCIの前又は後に行うことができる。
【0061】
ブロック660において、システムは、接合点と第2のプルバックの第2の遠位端点との間の第2の距離を求めることができる。例えば、システムは、第2のプルバックの端部とガイドカテーテルの近位端との間の距離を求めることができる。
【0062】
ブロック670において、システムは、第1のプルバックの第1の表示及び第2のプルバックの第2の表示を位置合わせすることができる。第1の表示及び第2の表示を位置合わせすることは、第2の距離と第1の距離との間の差を求めることと、求められた差に基づいて第2のプルバックの遠位端を第1のプルバックの遠位端からオフセットすることとを含むことができる。例えば、第1の表示及び第2の表示は、それぞれ長手方向表示として表示するために出力することができる。第1のプルバックの第1の長手方向表示は、第2のプルバックの第2の長手方向表示と垂直方向に位置合わせすることができる。第2の表示の遠位端は、第1の表示の遠位端に対してオフセットする、すなわち水平方向にシフトすることができる。他の例によれば、第2の表示の近位端は、第1の表示の近位端からオフセットすることができる。オフセットは、第2の距離と第1の距離との間の差とすることができる。
【0063】
本開示の態様、実施形態、特徴、及び例は、全ての点において例示的であるとみなされるべきであり、本開示を限定することを意図するものではなく、その範囲は特許請求の範囲によってのみ定められる。他の実施形態、変形形態、及び使用法は、特許請求される発明の骨子及び範囲から逸脱することなしに、当業者には明らかであろう。
【0064】
本願全体において、組成物が、特定の構成要素を有する(having)、含む(including, or comprising)と記載されている場合、又はプロセスが特定のプロセスステップを有する、含むと記載されている場合、本教示の組成物はまた、記載された構成要素から実質的になる(consist essentially of)、又はこれからなる(consist of)ことが意図され、本教示のプロセスはまた、記載されたプロセスステップから実質的になる、又はこれからなることが意図される。
【0065】
本願において、要素又は構成要素が、記載された要素又は構成要素のリストに含まれる及び/又はそこから選択されると言及されている場合、その要素又は構成要素は、記載された要素又は構成要素のうちの任意の1つであることが可能であり、記載された要素又は構成要素のうちの2つ以上からなる群から選択可能であると理解されるべきである。さらに、本明細書に記載される組成物、装置、又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書に明示されているか又は暗示されているかにかかわらず、本教示の骨子及び範囲から逸脱することなしに様々な方法で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0066】
「含む(include, includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(have, has)」又は「有している(having)」の語の使用は、特に記載されない限り、オープンエンドでありかつ非限定的であると一般に理解されるべきである。
【0067】
本明細書における単数形の使用は、特に他に記載されない限り、複数形を含む(及びその逆も)。さらに、単数形「1つ(a, an)」及び「その(the)」は、文脈上明確に言及されない限り、複数形を含む。さらに、「約」の語の使用が定量的な値の前にある場合、本教示は、特に他に記載されない限り、その特定の定量的な値自体も含む。本明細書で使用される場合、「約」の語は、公称値から±10%の変動を意味する。本明細書に開示される全ての数値及び数値範囲は、各値の前に「約」を含むとみなされる。
【0068】
本教示が実施可能である限り、或る特定の動作を実行するためのステップの順序又は順序は重要でないことが理解されるべきである。さらに、2以上のステップ又は動作が同時に行われてもよい。
【0069】
値の範囲又はリストが提供される場合、値の範囲又はリストの上限と下限との間に介在する各値は、個別に考慮され、各値が本明細書中に具体的に列挙されているかのように本発明に包含される。さらに、所与の範囲の上限と下限との間(上限及び下限を含む)のより小さな範囲も考慮され、本発明に包含される。例示的な値又は範囲をリストとして挙げることは、所与の範囲の上限と下限との間(上限及び下限を含む)の他の値又は範囲を権利放棄するものではない。
【国際調査報告】