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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】断熱アセンブリ及び容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B65D81/38 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508375
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022038939
(87)【国際公開番号】W WO2023018565
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】17/397,582
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524052365
【氏名又は名称】リフォーム インダストリーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バルガバ,サウミトラ
(72)【発明者】
【氏名】マーシー,ウォルター クリス
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドフリー,ジョナサン
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067BA05A
3E067BB17A
3E067BC06A
3E067CA18
3E067EA17
3E067EB27
3E067EE21
3E067EE38
3E067GA11
(57)【要約】
改善された熱封止を有する断熱アセンブリが提供される。断熱アセンブリは、角度付けられた遷移部分と、少なくとも1つの高さ変化部と、を有する、ベース部分と蓋との間の境界部を有する。角度付けられた遷移部分は、有利には、蓋の取り外し可能性、アセンブリの再使用可能性、及び熱エネルギー伝達に対する抵抗を改善する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱アセンブリであって、
ベース部分であって、そのリムに沿って延在する第1の境界部を有する、ベース部分と、
蓋であって、そのリムに沿って延在する第2の境界部を有する、蓋と、を備え、
前記第1の境界部が、前記第2の境界部と相互係止して、閉鎖された断熱容器を形成するように構成されており、
前記第1の境界部及び前記第2の境界部の各々が、少なくとも1つの高さ変化部を含み、そのため、前記相互係止部が、前記第1の境界部及び前記第2の境界部の対応する高さ変化部を嵌合させることによって形成され、
前記高さ変化部の各々が、垂直線に対して傾斜した遷移セクションを備える、アセンブリ。
【請求項2】
各高さ変化部の前記傾斜した遷移セクションが、前記垂直線に対して約2°~約43°の傾斜を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
各高さ変化部の前記傾斜した遷移セクションが、前記垂直線に対して5°の傾斜を有する、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ベース部分が、前記蓋を受容するための開放端部を有する容器の形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ベース部分及び前記蓋が、溶融した膨張性発泡ビーズから形成されており、
前記遷移セクションが、20/1発泡ビーズ未満の遷移傾斜を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ベース部分及び前記蓋が、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ゴム化EPS、及び他の修飾EPSのうちの少なくとも1つを含む、溶融した膨張性発泡ビーズから形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ベース部分及び前記蓋が、23℃で少なくとも3.8°F・ft/BTU・inのR値を有する材料から形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記閉鎖された断熱容器が、従来のEPSアセンブリよりも少なくとも20%低い全体重量で、ISTA 7D48時間夏季プロファイル及びISTA 7D48時間冬季プロファイル試験に合格する、請求項1~7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記アセンブリが、従来のEPSアセンブリの少なくとも2倍の回数再使用することができる、請求項1~8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記蓋が前記ベース部分と相互係止されているとき、前記蓋を取り外すために必要な取り外し力が、24時間にわたって10%未満変化する、請求項1~9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の境界部が、2つの高さ変化部を有する突起を備え、前記第2の境界部が、2つの高さ変化部を有するチャネルを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の境界部が、2つの高さ変化部を有するチャネルを備え、前記第2の境界部が、2つの高さ変化部を有する突起を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記蓋が、前記蓋又は前記ベース部分を変形させることなく、前記ベース部分との相互係止部から選択的に取り外し可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記閉鎖された断熱容器の容積部を増加させるように構成された拡張リングを更に備え、前記拡張リングが、その下部リムに沿って延在する第1の拡張境界部と、その上部リムに沿って延在する第2の拡張境界部と、を有し、
前記第1の拡張境界部が、前記第1の拡張境界部上の少なくとも1つの高さ変化部を、前記第1の境界部の前記対応する高さ変化部と嵌合させることによって、前記第1の境界部と接触及び相互係止するように構成されており、
前記第2の拡張境界部が、前記第2の拡張境界部上の少なくとも1つの高さ変化部を、前記第2の境界部の前記対応する高さ変化部と嵌合させることによって、前記第2の境界部と接触及び相互係止するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記閉鎖された断熱容器が挿入及び固定される、段ボール箱を更に備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記閉鎖された断熱容器の外部表面に配設された収縮包装の層を更に備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記閉鎖された断熱容器の外部表面に配設されたクラフト紙の層を更に備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
断熱アセンブリであって、
ベース部分であって、そのリムに沿って延在する第1の境界部を有する、ベース部分と、
蓋であって、そのリムに沿って延在する第2の境界部を有する、蓋と、を備え、
前記第1の境界部が、前記第2の境界部と相互係止して、閉鎖された断熱容器を形成するように構成されており、
前記第1の境界部及び前記第2の境界部の各々が、単一の高さ変化部を含み、そのため、前記相互係止部が、前記第1の境界部及び前記第2の境界部の対応する高さ変化部を嵌合させることによって形成され、
前記高さ変化部の各々が、垂直線に対して傾斜した遷移セクションを備える、アセンブリ。
【請求項19】
前記蓋が前記ベース部分と相互係止されているとき、前記蓋の上部表面及び前記ベース部分の上部表面が、互いに整列して、前記閉鎖された断熱容器の上部表面を形成し、そのため、前記蓋が、プラグ式の蓋である、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記蓋の前記第2の境界部の前記傾斜した遷移セクションが、前記閉鎖された断熱容器によって画定される内部容積部とは反対側で、前記ベース部分の前記第1の境界部の前記傾斜した遷移セクションを取り囲むように構成されており、そのため、前記蓋が、キャップ式の蓋である、請求項18に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、発泡断熱アセンブリ及び発泡断熱物品を製造する方法に関し、特に、改善された熱封止を有する取り外し可能な蓋を有する、容器などの断熱構造、及びそのような構造を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食事用キット、菓子製品、ケーキ、他の生鮮食品、及びワクチンなどの医療品の輸送には、断熱輸送材が一般的に使用される。これらの断熱輸送材は、輸送材の内部と環境との間の熱エネルギー伝達を防止するそれらの能力に関して選択される。
【0003】
断熱輸送材は、一般に、商品用のキャビティを有する箱部分又はベースと、キャビティを環境から封止するように構成された蓋と、を含む。ベース及び蓋は、典型的には、同じ材料から形成されている。ベースと蓋との間の境界部は、最大の熱エネルギー伝達を担う。したがって、ベースと蓋との間の境界部の品質は、特定の断熱輸送材の全体的な品質を判定し得る。換言すると、ベース上への蓋の不十分な封止は、断熱輸送材の不備及び内部の商品の略奪をもたらし得る。
【0004】
断熱輸送材のベースと蓋との間の境界部における熱損失を低減しようとする従来の試みは、一緒に相互係止するベース及び蓋の両方に、形状設定された縁部を組み込んでおり、接触面積を増加させ、理論的には熱伝達を低減する。例えば、図1のようなゼロクリアランスの蓋-ベース設計は、ベースのリップにわたる蓋のオーバーハングによって決まる量だけ接触面積を増加させる。二重溝相互係止部のようなバリエーションは、図2のように、ゼロクリアランス設計を改善する。図3A図3Bのような蟻継ぎの蓋-ベース設計は、ベース上の隆起部が嵌まり得る蓋内の溝を組み込むことによって、接触面積を増加させる。しかしながら、これらの従来の設計は、図3Bに描示されるように、圧縮クリープに起因して、再使用可能性が非常に低く、この場合、断熱構造は、経時的なサイズ及び形状のわずかな変化、並びに蓋がユーザによって取り外されるときの蓋の破損を経験する。
【0005】
したがって、上で説明される技術的課題のうちの1つ以上を克服するために、改善された断熱輸送材が必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
詳細な説明は、添付の図面を参照して記載されている。同じ参照符号の使用は、同一の項目と同様に示し得る。様々な実施形態は、図面に例解されているもの以外の要素及び/又は構成要素を利用する場合があり、いくつかの要素及び/又は構成要素は、様々な実施形態に存在しない場合がある。図中の要素及び/又は構成要素は、必ずしも縮尺通りに描画されるとは限らない。本開示を通して、文脈に応じて、単数形及び複数形の用語が互換的に使用され得る。
【0007】
図1】当該技術分野で既知の既存の蓋-ベース境界部の断面図である。
図2】当該技術分野で既知の既存の蓋-ベース境界部の断面図である。
図3A】当該技術分野で既知の既存の蓋-ベース境界部の断面図である。
図3B】破損後の図3Aの蓋-ベース境界部の断面図である。
図4】本開示による例示的な蓋-ベース境界部の断面図である。
図5】本開示による例示的な蓋-ベース境界部の断面図である。
図6】本開示による例示的な断熱アセンブリの断面の斜視図である。
図7A】本開示による例示的な蓋-ベース境界部の断面図である。
図7B】本開示による取り外し中の図7Aの蓋-ベース境界部の断面図である。
図8】本開示による例示的な蓋-ベース境界部の断面図である。
図9】本開示による例示的な蓋-ベース境界部の断面図である。
図10】本開示による例示的な蓋-ベース境界部の断面図である。
図11】本開示による例示的な蓋-ベース遷移角プロファイルの例解図である。
図12】本開示による例示的な蓋-ベース境界部の例解図である。
図13】本開示による例示的な拡張リングの断面図である。
図14】本開示による拡張リングを伴う例示的な断熱アセンブリの断面の斜視図である。
図15】いくつかの断熱アセンブリについてのISTA 7D48時間冬季プロファイルの試験結果のグラフである。
図16】いくつかの断熱アセンブリについてのISTA 7D夏季プロファイルの試験結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
断熱アセンブリ及び断熱アセンブリを製造するための方法が本明細書において提供され、断熱アセンブリのベース部分と蓋との間の改善された境界部を有するアセンブリを含む。特に、角度付けられた遷移セクションを有する突起を伴う、ベース部分と蓋との間の境界部を形状設定することにより、改善された熱特性、改善された構造的完全性、改善された蓋の取り外し可能性、及び改善された構造再使用可能性をもたらすことができることが発見されている。更に、好ましい実施形態では、直角でない台形(すなわち、不等辺若しくは等脚台形)、又はそのセグメントに近似するようにベース部分と蓋との間の境界部を形状設定することは、アセンブリの有効性を改善することが実証されている。
【0009】
本開示を通して、様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式における記載は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、その範囲内の全ての可能なサブ範囲及び個々の数値を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのようなサブ範囲、並びにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示したとみなされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0010】
本明細書で使用される場合、寸法を参照した「約」という用語は、その寸法のプラス又はマイナス10%を指す。
【0011】
断熱アセンブリ
断熱アセンブリが本明細書において開示される。いくつかの実施形態では、アセンブリは、そのリムに沿って延在する第1の境界部を有するベース部分と、そのリムに沿って延在する第2の境界部を有する蓋と、を含む。第1の境界部及び第2の境界部は、一緒に相互係止して、閉鎖された断熱容器を形成するように、すなわち、ベース部分及び蓋によって境界が定められた内部容積部を画定するように構成され得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「境界部」は、ベース部分と蓋との間の接触点を形成するベース部分又は蓋上のエリアを指す。境界部は、典型的には、ベース部分及び蓋が一緒に相互係止して、閉鎖された断熱容器を形成するように形状設定又は成形され、それによって境界部にわたる熱エネルギー伝達を低減する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「相互係止」、「一緒に相互係止」、及び同様の句は、一緒に接合され、閉鎖された断熱容器を形成するように形状設定及び/又は設計された境界部を有する2つの構成要素の接触を指す。換言すると、境界部は、相補的な形状を有し、機械産業では、「雌型」構成要素/境界部と接合する「雄型」構成要素/境界部と称されることがある。したがって、構成要素と別の構成要素との単なる接触は、接触点が2つの相補的な表面又は構造の接合を含まない限り、相互係止をもたらさない。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の境界部及び第2の境界部の各々は、少なくとも1つの高さ変化部を有し、そのため、相互係止部は、第1の境界部及び第2の境界部の対応する高さ変化部を嵌合させることによって形成される。
【0015】
本明細書で使用される場合、「高さ変化部」は、第1の境界部及び第2の境界部の少なくとも一部を形成するように成形又は形状設定された突起又はチャネルのセグメントを指す。例えば、境界部上の「L」字形のリップは、断面で見たとき、最初の平坦な表面と、最初の平坦な表面よりも高い又は低い第2の平坦な表面への「高さ変化部」と、を含む。代替的には、台形状の突起又はチャネルは、最初の平坦な表面と、第1の高さ変化部と、最初の平坦な表面よりも高い又は低い第2の平坦な表面と、第2の高さ変化部と、通常は最初の平坦な表面と水平である最後の平坦な表面と、を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「遷移セクション」は、高さ変化部を表す表面を指す。例えば、境界部上の「L」字形のリップは、最初の平坦な表面と、遷移セクションと、最初の平坦な表面よりも高い又は低い第2の平坦な表面と、を含む。境界部上の三角形のリップは、高さを増加又は減少させる第1の遷移セクション、続いて高さを減少又は増加させる第2の遷移セクションを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、高さ変化部の各々は、垂直線に対して傾斜した遷移セクションを備える。本明細書で使用される場合、「垂直線に対して」の角度又は傾斜は、蓋が水平に対して平行であるようにアセンブリが位置決めされたときに測定される、水平に対して垂直な平面を表す0°、及び水平に対して平行な平面を表す90°を用いて測定される角度又は傾斜を指す。更に、本明細書で使用される場合、「垂直線に対して」測定される角度は、そのような角度が時計回りに測定されるか、又は反時計回りに測定されるかにかかわらず、正の角度を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、各高さ変化部の傾斜した遷移セクションは、垂直線に対して約2°~約43°の傾斜を有する。例えば、各高さ変化部の傾斜した遷移セクションは、垂直線に対して約5°~20°であり得る。いくつかの実施形態では、各高さ変化部の傾斜した遷移セクションは、垂直線に対して5°の傾斜を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、ベース部分は、蓋を受容するための開放端部を有する容器の形態である。
【0020】
いくつかの実施形態では、ベース部分及び蓋は、溶融した膨張性発泡ビーズから形成されており、遷移セクションは、20/1発泡ビーズ以下の遷移傾斜を含む。換言すると、最初の平坦なセクションから遷移セクションへの遷移の傾斜は、1よりも多くの発泡ビーズの「延び」又は水平変化にわたって、20発泡ビーズ未満の「上昇」又は高さ変化部を構成する。例えば、10の傾斜は、1つの発泡ビーズの水平変化にわたる10のビーズの高さ変化を伴い、5の傾斜は、2つの発泡ビーズの水平変化にわたる10のビーズの高さ変化を伴う。溶融し膨張した発泡ビーズがおよそ2mmの直径を有する場合、遷移セクションは、20mmの高さ変化当たり20未満の発泡ビーズの傾斜を有する。しかしながら、ビーズサイズは、使用される材料(膨張性ポリスチレン、ポリ乳酸、又は別の材料)、成形プロセス、及び成形された発泡体の密度に応じて変わる。更に、溶融し膨張した発泡ビーズから形成された断熱構造の品質及び構造的完全性は、ビーズ自体の溶融に依存する。したがって、許容可能な遷移傾斜は、ミリメートル単位の特定の長さによって判定されるのではなく、代わりに、溶融し膨張した発泡ビーズで測定される長さによって判定される。
【0021】
いくつかの実施形態では、アセンブリのベース部分及び蓋は、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ゴム化膨張性ポリスチレン(EPS)、又は他の修飾EPSから作られた溶融した発泡可能発泡ビーズから形成される。24時間の圧縮後に少なくとも80%の弾性を有する断熱アセンブリへの発泡及び成形に好適な材料は、特に、本明細書において説明される境界部の幾何学形状の恩恵を受けることが発見されている。90%以上の弾性を有する発泡材料から形成された断熱アセンブリは、本明細書において説明される境界部の恩恵を受けており、95%以上の弾性を有する発泡材料から形成された断熱構造は、更に大きな改善を実証している。例えば、PLAベースの発泡体は、典型的には90%~97%の弾性を有し、PLAベースの発泡体から形成された断熱アセンブリは、本明細書において説明されるような境界部の組み込みから有意に恩恵を受けることが示されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、ベース部分及び蓋は、23℃で少なくとも3.8のR値を有する材料から形成される。本明細書で使用される場合、「R値」は、伝導熱流に対する断熱材料の抵抗であり、式1を使用して計算される:
【数1】
式中、Rは、°F・ft/BTU・inのR値であり、ΔTは、°Fの(閉鎖された断熱容器の壁などの)バリアにわたる温度差であり、φは、BTU/(h・ft)のバリアを通る熱流束である。TA Instruments,New Castle,Delaware,USAのFox熱流計などの市販の機器を使用して、特定のバリアのR値を測定することができる。特定の発泡断熱アセンブリのR値は、発泡ビーズを形成するために使用される材料、発泡断熱アセンブリの密度、断熱アセンブリの壁の厚さ、及び本開示で特に注目すべき、蓋とベースセクションとの間の封止の品質によって影響を受ける。いくつかの実施形態では、23℃でのR値は、約3°F・ft/BTU・in°F・ft/BTU・in~約5°F・ft/BTU・inである。例えば、R値は、3°F・ft/BTU・in、3.5°F・ft/BTU・in、4°F・ft/BTU・in、4.5°F・ft/BTU・in、5°F・ft/BTU・in、又はそれらの間の任意のR値であり得る。いくつかの実施形態では、50℃でのR値は、約2.5°F・ft/BTU・in°F・ft/BTU・in~4.5°F・ft/BTU・inである。例えば、R値は、2.5°F・ft/BTU・in、3°F・ft/BTU・in、3.5°F・ft/BTU・in、4°F・ft/BTU・in、4.5°F・ft/BTU・in、又はそれらの間の任意のR値であり得る。いくつかの実施形態では、-10℃でのR値は、3.5°F・ft/BTU・in°F・ft/BTU・in~5.5°F・ft/BTU・inである。例えば、R値は、3.5°F・ft/BTU・in、4°F・ft/BTU・in、4.5°F・ft/BTU・in、5°F・ft/BTU・in、5.5°F・ft/BTU・in、又はそれらの間の任意のR値であり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、閉鎖された断熱容器は、従来のEPSアセンブリよりも少なくとも20%低い全体重量で、国際安全輸送協会(ISTA)7D48時間夏季プロファイル試験及びISTA 7D48時間冬季プロファイル試験に合格する。ISTA 7D試験手順は、特定の断熱容器に対する外部温度の影響を評価する。理論的には、断熱容器は、断熱容器の全体的な温度を低下させるように、より多くの、又はより冷たい熱シンクで充填することができる。このようにして、そうでなければ断熱が不十分な容器は、ISTA 7D48時間プロファイル試験に合格することができるが、そうするためにはより多くの熱シンク又はアイスパックが必要である。したがって、ISTA 7D48時間プロファイル試験に合格する改善された断熱容器の1つの尺度は、容器の重量であり、すなわち、従来の容器と比較して重量が低減されたISTA 7D48時間プロファイル試験に合格することができる容器が、改善された熱エネルギー能力を有しなければならない。ISTAは、7D試験手順を実施してその結果を評価するための熱チャンバを認定している。
【0024】
いくつかの実施形態では、蓋がベース部分と相互係止されているとき、蓋は、少なくとも10回の蓋の取り外し及び交換サイクルの後に取り外されることなく、少なくとも8ポンドの力に耐える。換言すると、断熱容器には、少なくとも8ポンドの内容物が装填され、下向きの力が断熱容器の蓋に直接加えられるように反転され、10秒間静止させられる(すなわち、「取り外し及び交換サイクル」)。蓋及びベース部分のサイズ及び形状は、より多くの取り外し及び交換サイクルにわたってその強度を維持するための断熱容器の能力に影響を与える。蓋がベース部分と相互係止されているとき、蓋を取り外すために必要な取り外し力が、24時間にわたって10%未満変化する。いくつかの試験では、断熱容器は、反転され、24時間静止させられる。通常の配向に戻ると、蓋を取り外して交換し、反転プロセスを繰り返す。反転している間に蓋に不備が生じると、1ポンドの内容物が取り出され、プロセスが続行される。この試験は、「圧縮クリープ」の影響を測定するものであり、これは、断熱容器の蓋が数回取り外されて交換されると経時的に生じる発泡断熱容器に共通する現象である。断熱容器を形成する溶融し膨張した発泡ビーズは、特に、例えば、蓋をベース部分と相互係止することによって圧縮されるとき、経時的にサイズ及び形状のわずかな変化を経験する。結果として、典型的な断熱容器の蓋は、経時的に完全性を失い、ベース部分にしっかりと結合されたままになることができない。本明細書において説明されるような蓋とベース部分との間の境界部を形状設定することが、圧縮クリープの影響を低減又は排除することが予想外に発見されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、ベース部分の第1の境界部は、ベース部分の第1の境界部が突起を形成するように2つの高さ変化部を有し、蓋の第2の境界部は、第1の境界部の突起が挿入されるチャネルを第2の境界部が形成するように、第1の境界部に相補的な2つの高さ変化部を有する。他の実施形態では、第1の境界部は、チャネルを形成し、一方で、第2の境界部は、突起を形成する。いくつかの実施形態では、突起及びチャネルは、直角でない台形に似ている。他の実施形態では、突起及びチャネルは、傾斜した遷移部分及び少なくとも2つの高さ変化部を有する半円形、半楕円形、三角形、又は別の形状に似ている。例えば、半円形に似た境界部は、高さを第1の量だけ増加又は減少させる4分の1の円からなる第1の傾斜した遷移部分と、高さを第1の量に等しくすることができる第2の量だけ減少又は増加させる4分の1の円からなる第2の傾斜した遷移部分と、を有するとみなすことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、蓋は、蓋又はベース部分を変形させることなく、ユーザによってベース部分との相互係止構成から選択的に取り外し可能である。従来の相互係止蓋は、ベース部分と蓋との間の接触面積を増加させることによって改善された熱特性を達成しようとするが、これは通常、容易に取り外し可能な蓋を犠牲にする。本明細書において説明されるような境界部を形成するとき、蓋を取り外すために意図的に力を加えると、蓋が取り外されているときに断熱構造内外に空気流経路を提供することによって、蓋が破損することなく容易に取り外されることが予想外に発見された。しかしながら、そのような取り外しの容易さは、内容物による蓋の取り外しに対する抵抗を犠牲にしない。
【0027】
いくつかの実施形態では、アセンブリは、閉鎖された断熱容器の容積部を増加させるように構成された拡張リングを含む。拡張リングは、その下部リムに沿って延在する第1の拡張境界部と、その上部リムに沿って延在する第2の拡張境界部と、を有し得る。第1の拡張境界部は、第1の拡張境界部上の少なくとも1つの高さ変化部を、第1の境界部の対応する高さ変化部と嵌合させることによって、ベース部分の第1の境界部と接触及び相互係止するように構成され得る。第2の拡張境界部は、第2の拡張境界部上の少なくとも1つの高さ変化部を、第2の境界部の対応する高さ変化部と嵌合させることによって、蓋の第2の境界部と接触及び相互係止するように構成され得る。したがって、拡張リングを使用して、蓋を添着させる前に最初にベース部分に添着されることによって、閉鎖された断熱容器の内部容積部を増加させ得る。拡張リングは、閉鎖された断熱容器の内容物がより長い期間にわたってより低い温度を維持することを必要とするときに望ましい場合があり、これは典型的には、アイスパックなどのより多くの熱シンクを組み込むことによって達成される。したがって、拡張リングを追加することによって閉鎖された断熱容器の容積部を増加させることは、商品の量を低減することなくより多くのアイスパックを含めることを可能にする。更に、アセンブリの内部容積部をモジュール式に変更する能力は、ベース部分の構成の代わりに、モジュール式容積部を有する単一のベース部分の製造のみを必要とすることによって、作製及び保管コストを低減する。また更に、製造元は、自動化されたソフトウェアの支援の有無にかかわらず、特定の輸送の目的地及び/又は旅程に関する天気予報を利用して、特定の輸送に必要な冷却の程度を評価し、必要な冷却パックを収容するために拡張リングが含まれるべきかどうかを動的に判定することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、アセンブリは、任意の他の構造構成要素の追加なしに、輸送材として使用され得る。他の実施形態では、断熱構造は、段ボールなどの波形の層に挿入され、支持され得る。いくつかの実施形態では、断熱構造は、収縮包装の層によって取り囲まれ、支持され得る。いくつかの実施形態では、断熱構造は、クラフト紙の層によって取り囲まれ、支持され得る。
【0029】
別の態様では、断熱アセンブリは、そのリムに沿って延在する第1の境界部を有するベース部分と、そのリムに沿って延在する第2の境界部を有する蓋と、を含み得る。第1の境界部は、閉鎖された断熱容器を形成するために第2の境界部と相互係止するように構成され得、第1の境界部及び第2の境界部の各々は、相互係止部が第1の境界部及び第2の境界部の対応する高さ変化部を嵌合させることによって形成されるように、単一の高さ変化部を備える。各高さ変化部は、垂直線に対して傾斜した遷移セクションを備え得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、蓋がベース部分と相互係止されているとき、蓋の上向きの表面及びベース部分の上向きの表面は、互いに整列して、閉鎖された断熱容器の上向きの表面を形成する。本明細書で使用される場合、表面が互いに近接して位置決めされるとき、表面が新しい平坦な表面を形成する場合、表面は「整列」する。このようにして、蓋は、「プラグ式」の蓋を形成し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、ベース部分及び蓋の対応する高さ変化部は、半台形を形成する。したがって、蓋の少なくとも一部分は、ベース部分内に配設されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、蓋のリムは、蓋が「キャップ式」の蓋であるように、ベース部分のリムよりも大きい幅を有する。
【0032】
図1は、一般に「ゼロクリアランス」境界部100と称される、当該技術分野で既知の既存の蓋-ベース境界部の例である。蓋102がユーザによってベース104から取り外されるとき、平坦な部分106、108と遷移セクション110との間の遷移角度を形成する90°の角度は、空気の出入りを防止し、それによって吸引力を生じる。ユーザは高い程度の力を必要とし、しばしば蓋の不備を引き起こす。
【0033】
図2は、一般に二重溝境界部200と称される、当該技術分野で既知の既存の蓋-ベース境界部の例である。図3Aは、一般に蟻継ぎ境界部300と称される、当該技術分野で既知の既存の蓋-ベース境界部の例である。境界部200及び300は、図1に描示されるものと同じ欠陥を被り、すなわち、蓋がユーザによって取り外されるときに吸引力が生じ、しばしば、図3Bに描示されるような破損をもたらす。
【0034】
図4は、前述の開示による例示的な蓋ベース境界部400の断面図である。蓋402は、直角でない台形チャネル404を含み、ベース406は、対応する直角でない台形突起408を含む。台形チャネル404及び台形突起406は、第1の平坦な部分410、第1の遷移セクション412、第2の平坦な部分414、第2の遷移セクション416、及び第3の平坦な部分418によって形成されている。第2の平坦な部分414は、チャネル404及び突起406が各々2つの高さ変化部を有するように、第1の平坦な部分410及び第3の平坦な部分418とは異なる高さにある。
【0035】
第1の遷移セクション412及び第2の遷移セクション416は、傾斜しており、垂直線に対して約2°~約43°、例えば、垂直線に対して約5°~約20°の角度を有する。角度は、垂直線に対して5°であり得る。第1の平坦な部分410から第1の遷移セクション412への遷移の傾斜は、図11に関して考察されるように、20/1発泡ビーズ以下である。第3の平坦な部分は、第1の平坦な部分と水平であり得るか、又は第3の平坦な部分は、蓋-ベース境界部の所望の幾何学形状に応じて、第1の平坦な部分よりも高く又は低くあり得る。突起及びチャネルは、直角でない台形であり得るか、又はそれらは、遷移セクションが垂直線に対して約2°~約43°などの角度を有するのであれば、半円形、半楕円形、三角形、若しくは別の好適な形状などの別の形状を有し得る。他の好適な形状を除いて、直角でない台形形状を有するような突起及びチャネルの描示は、単に簡潔にするためであり、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0036】
図5は、例示的な蓋-ベース境界部500の断面図である。蓋502は、直角でない台形突起504を含み、ベース506は、直角でない台形チャネル508を含む。台形突起504及び台形チャネル506は、第1の平坦な部分510、第1の遷移セクション512、第2の平坦な部分514、第2の遷移セクション516、及び第3の平坦な部分518によって形成されている。第2の平坦な部分514は、チャネル504及び突起506が各々2つの高さ変化部を有するように、第1の平坦な部分510及び第3の平坦な部分518とは異なる高さにある。第1の遷移セクション512及び第2の遷移セクション516は、傾斜しており、垂直線に対して約2°~約43°の角度を有する。第1の平坦な部分510から第1の遷移セクション512への遷移の傾斜は、図11に関して考察されるように、20/1発泡ビーズ以下である。
【0037】
断熱アセンブリは、特定のアセンブリ内の蓋-ベース境界部全体にわたって単一の蓋-ベース境界部の幾何学形状、すなわち、蓋及び対応するベースのリム全体の周りに延在する単一の境界部の幾何学形状を有し得、そのため、境界部の断面は、アセンブリのリムの周りの任意の点で同様である。代替的には、アセンブリは、図4に描示される幾何学形状のような、アセンブリの1つの壁に沿ったある特定の蓋-ベース境界部の幾何学形状、及び図5に描示される幾何学形状のような、アセンブリの別の壁に沿った異なる蓋-ベース境界部の幾何学形状を有し得る。このようにして、特定の断熱アセンブリの蓋は、対応するベース部分と相互係止するときに限られた実行可能な配向のみを有し得る。
【0038】
図6は、内部容積部608を囲む、蓋604及びベース606を有する閉鎖された断熱容器602を含む、相互係止された断熱アセンブリ600の断面の斜視図である。蓋602とベース604との間の境界部610は、図4に描示されたものに似ているとして描示されているが、角部が丸みを帯びている。先で説明されるように、蓋とベースとの間の境界部は、ベース上の突起、又は蓋上の突起を有し得る。蓋-ベース境界部の幾何学形状は、断熱アセンブリの周囲全体の周りで一定であり得るか、又は変化し得る。
【0039】
図7A及び図7Bは、ベース706から蓋702を取り外す前及び間の蓋-ベース境界部700を描示する。図7A及び図7Bでは、蓋702は、直角でない台形チャネル704を有するように描示され、ベースは、直角でない台形突起708を有するように描示される。蓋702とベース706との間の境界部は、図11を参照して説明されるように、鋭角な角部ではなく丸みを帯びた角部を有する直角でない台形として描示される。蓋702がユーザによって持ち上げられると、図7Bの矢印によって示されるように、空気が入る及び/又は出ることが許可される。この空気の出入りは、突起の形状、すなわち、遷移セクションの角度が垂直線に対して約2°~43°であるため、蓋を緩めるとすぐに可能である。結果として、意図的な力が加えられたときに蓋を破損することなく、容易に取り外し可能であるが、意図的な力が加えられるまで、完全で堅牢な熱封止が維持される。
【0040】
図8図10は、先で説明される台形境界部の代わりに使用され得る例示的な蓋-ベース境界部を描示する。図8図10では、突起が単一の高さ変化部及び1つ又は2つの隣接する平坦な表面を構成するように、「半台形」形状が利用される。図8は、蓋802の少なくとも一部分804がベース部分806内に配設される蓋802を描示する。図9は、蓋902の傾斜した遷移セクション904が、ベース部分908の第1の境界部の傾斜した遷移セクション906を取り囲むように構成された「キャップ式」の蓋902を描示する。図10は、「プラグ式」の蓋1002を描示し、蓋1002の上部表面1006は、ベース部分1004の上部表面1008と整列している。図8図10の各々において、遷移セクションは傾斜しており、垂直線に対して約2°~43°の角度を有し、得られる断熱構造は、本明細書において説明される利点を実現する。
【0041】
図11は、本明細書で考察される蓋-ベース境界部において改善された熱封止を達成することが見出された例示的な蓋-ベース境界部傾斜を示すグラフである。蓋-ベース境界部の傾斜を20以下の発泡ビーズに形状設定することで(すなわち、1つ以上のビーズの水平変化にわたって20以下のビーズの高さ変化)、本明細書において説明される利点が実現され得ることが予想外に発見された。図11は、20以下の発泡ビーズであるいくつかの例示的な傾斜を描示し、本明細書において説明される断熱構造で利用され得る形状の幅広いバリエーションを実証する。いくつかの実施形態では、蓋-ベース境界部は、鋭利な角部を有し得る。他の実施形態では、蓋-ベース境界部は、湾曲した又は丸みを帯びた角部を有し得る。他の実施形態では、
【0042】
図12は、例示的な蓋-ベース境界部を描示し、遷移角度α及びβを例解する。α及びβは各々、約2°~43°である。先で説明されるように、α及びβは、角度が時計回りに測定されるか、又は反時計回りに測定されるかに関係なく、正の角度として説明される。α及びβは、互いに等しいものとして図12に描示されるが、α及びβは、異なり得る。例えば、αは、4°であり得、βは、20°であり得る。
【0043】
図13は、断熱アセンブリの蓋1304とベース1306との間に挿入された拡張リング1302の断面図である。拡張リング1302は、閉鎖された断熱容器の容積部を増加させるように構成されている。拡張リング1302及び蓋1304は、第1の境界部1308を形成し、拡張リング1302及びベース1306は、第2の境界部1310を形成する。第1の境界部1308及び第2の境界部1310の各々は、本明細書において説明されるような蓋-ベース境界部の幾何学形状を有し得る。第1の境界部及び第2の境界部は、図13に描示されるように、同一の幾何学形状を有し得、これは、拡張リング並びに付随する蓋及びベースのモジュール性を増加させ得る。換言すると、境界部の幾何学形状が同一であるため、蓋1304は、ベース1306上に直接配置され得る。第1の境界部及び第2の境界部は、断熱構造の意図された用途に応じて異なる幾何学形状を有し得る。
【0044】
図14は、蓋1404とベース1406との間に拡張リング1402を有する断熱アセンブリ1400の断面の斜視図である。
【実施例
【0045】
本開示は、以下の非限定的な実施例を参照して更に理解され得る。
【0046】
実施例1:熱性能を評価するためのISTA研究
断熱構造の熱性能に対する蓋-ベース境界部の幾何学形状の効果を判定するために、3つのサンプル断熱アセンブリを試験した。第1のサンプルは、2.0pcfの密度及び二重溝境界部を有するEPS箱であった。第2のサンプルは、1.2pcfの密度及び本開示の直角でない台形境界部を有するEPS箱であった。第3のサンプルは、1.2pcfの密度及び本開示の直角でない台形境界部を有するPLA箱であった。これらの構造について、国際安全輸送協会(ISTA)研究が完了した。断熱構造の全ての寸法は、密度及び境界部の幾何学形状以外は同一であった。各断熱構造を、温度感受性ペイロードをシミュレートするために、同じ保冷剤及び100mLの水充填ボトルで充填した。ISTA 7D48時間夏季プロファイル及びISTA 7D48時間冬季プロファイルに従って、各タイプの2つの構造に対して試験を行った。試験結果を図15に提示する。
【0047】
図15に示されるように、全ての断熱構造が研究に合格した。更に、表Aにおいて実証されるように、R値は、40%の重量低減にもかかわらず、同様であった。断熱構造のR値は、TA Instruments,New Castle,Delaware,USAから市販されているFox熱流計などの特定のツールによって測定され得る。
【表1】
【0048】
実施例2:境界部強度を評価するための反転力テスト
上で説明されるように、成形された発泡断熱構造は、繰り返しの蓋の取り外し及び交換を経て「圧縮クリープ」を経験し、経時的に不十分な熱封止及び不十分な再使用可能性をもたらす。繰り返しの蓋取り外しサイクルがなくても、これらの断熱構造は、蓋が設置されている間、経時的に圧縮クリープを経験し得、そのため、蓋とベースとの間にギャップが形成される。
【0049】
2つのサンプル間で実験を実施した。1つのサンプルは、本開示を通して説明される直角でない台形境界部を有するEPS箱であった。1つのサンプルは、本開示を通して説明される直角でない台形境界部を有するPLA箱であった。各箱に8ポンドのゲルパックを充填し、10秒間反転させた。蓋に不備があった場合、1ポンドの内容物が取り出され、再度試験を実施する。蓋が内容物の力に耐えた場合、箱は直立した状態に戻り、蓋を取り外して交換し、試験を繰り返す。試験結果を以下の表Bに提示する。
【表2】
【0050】
表Bに示されるように、ベースと蓋との間の直角でない台形境界部を有するPLA箱は、失敗することなく少なくとも10サイクルの反転及び蓋の取り外しに耐えた。EPS箱は最初のサイクルで不備を生じ、わずか2ポンドの内容物が残るまで蓋は封止されたままにならなかった。6サイクル後のEPS箱には好適な封止がなく、高弾性材料を利用することの重要性を実証している。EPSベースの容器が不注意な取り外し力に耐えることができないことが、二重溝又は「L」字形の境界部の採用を動機づけている。これらの境界部は、蓋をEPS容器から取り外すために必要な力を意図的に増加させる。
【0051】
実施例3:発明の境界部と二重溝との比較
PLAビーズ発泡体から、各々1.2pcfの密度を有する、2つの断熱アセンブリを構築した。一方のサンプルは、本明細書において説明されるような台形境界部を有するものとした。他方のサンプルは、当業界で一般的な二重溝境界部を有するものとした。各アセンブリを、同一の内容物で充填し、ISTA 7D夏季プロファイルに供した。試験結果を図16に提示する。
【0052】
本発明の台形境界部を有する断熱アセンブリは、19.5℃(ISTA 7D夏季プロファイルにおける臨界温度)未満の温度を53.6時間にわたって維持した。対照的に、二重溝境界部を有する断熱アセンブリは、わずか47時間にわたって19.5℃未満の温度を維持した。実際、図16に示されるように、本発明の台形境界部を有する断熱アセンブリは、試験を通して全ての点で二重溝境界部を有するアセンブリよりも低い温度を維持し、およそ30時間後でも内容物を最大6℃低温に保った。したがって、断熱アセンブリの境界部のみを本発明の台形境界部に変更することによって、断熱アセンブリの内容物の温度を、二重溝境界部よりも14%長く19.5℃未満に維持することができる。
【0053】
本開示をいくつかの実施形態を参照して説明したが、本開示がそのような実施形態に限定されないことが当業者によって理解されるであろう。むしろ、本開示は、本明細書に説明されていないが、本開示の趣旨及び範囲に適合する任意の数の変形、変更、置換、又は等価配置を組み込むように修正することができる。別様に具体的に述べられていない限り、又は使用される文脈内で別様に理解されない限り、「することができる(can)」、「し得るできる(could)」、「する可能性がある(might)」、又は「し得る(may)」などの本明細書で使用される条件付き文言は、概して、ある特定の実施形態がある特定の特徴、要素又は機能的能力を含む一方、他の実施形態は含まないことを伝えることが意図される。更に、本開示の様々な実施形態が説明されているが、本開示の態様が説明された実施形態のうちの一部のみを含み得ることを理解されたい。したがって、本開示は、前述の説明によって限定されるものとみなされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】