(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】フローセルイメージングシステムおよび方法、ならびにそれらに使用されるフローセルおよび他の基板
(51)【国際特許分類】
G02B 7/28 20210101AFI20240814BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240814BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240814BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20240814BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G02B7/28 J
G03B13/36
G02B7/04 C
G02B21/06
G02B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508468
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2022110819
(87)【国際公開番号】W WO2023016394
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516122667
【氏名又は名称】深▲セン▼華大智造科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MGI Tech Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】Main Building and Second Floor of No.11 Building,Beishan Industrial Zone,Yantian District,Shenzhen,Guangdong 518083,China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】リンドキスト,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】チリタ,ラズヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ツプリク,アンドリイ
(72)【発明者】
【氏名】イェン,チンタン
【テーマコード(参考)】
2H011
2H044
2H052
2H151
【Fターム(参考)】
2H011AA06
2H011BA00
2H011BB01
2H011CA01
2H044BB05
2H044BB07
2H052AA09
2H052AC14
2H052AC34
2H052AD09
2H052AD25
2H052AF02
2H052AF14
2H052AF25
2H151AA11
2H151BA52
2H151CB02
2H151CB11
2H151CC02
2H151CC03
(57)【要約】
両面フローセルおよびその他の基板イメージングシステム(核酸配列決定や同様のプロセスで使用されるイメージングシステムなど)。一例では、イメージングシステムは、フローセルまたは他の基板の異なる表面のイメージングを容易にするフリッパーを含む。他の例では、イメージングシステムは、フローセルまたは他の基板の異なる表面を撮像するための2つの光学システムを含む。他の例では、イメージングシステムは液浸システムである。これらおよび別の例では、システムは、フローセルの他方の表面からの干渉なしで、両面フローセルの一方の表面に光学系を正確に合焦するように構成された自動焦点サブシステムを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を受け取るように構成されたキャリアを保持するように構成されたステージと、
光ビームを用いて検体を照射するように構成された光源であって、光ビームは光学経路によって特徴付けられる、光源と、
光を検出するように構成された検出器と、
光ビームが検体を照射した後、検体からの光を検出器上に合焦するように構成されたレンズシステムとを備え、
レンズシステムは、光軸によって特徴付けられ、
光ビームは、レンズシステムを通って伝搬し、検体を照射するように構成され、
キャリアに入射する光ビームの光学経路は、レンズシステムの光軸と平行ではない、イメージングシステム。
【請求項2】
キャリアとレンズシステムとの間の距離を変化させて、検体からの光を検出器上に合焦させるように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項3】
検出器の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて、第1光強度を計算し、
検出器の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて、第2光強度を計算し、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成し、
焦点エラー信号に基づいて、キャリアに対するレンズシステムの動きを制御する、
ように構成された1つ以上のプロセッサをさらに備える、請求項2に記載のイメージングシステム。
【請求項4】
検出器は、該検出器に入射する光のスポットに焦点を合わせるように構成されたアレイ検出器である、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項5】
アレイ検出器は、1次元アレイである、請求項4に記載のイメージングシステム。
【請求項6】
キャリアは、フローセルを備え、
該フローセルは、ある幅で分離した第1検体受容面と第2検体受容面とを備える、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項7】
レンズシステムの焦点深度が、前記幅よりも小さい、請求項6に記載のイメージングシステム。
【請求項8】
ステージは、移動して、レンズシステムが第1検体受容面からの光を検出器上に合焦し、そして同時にではないが、第2検体受容面からの光を検出器上に合焦するように構成される、請求項6に記載のイメージングシステム。
【請求項9】
光ビームは、ビーム幅によって定義され、
該ビーム幅は、キャリアにおいて測定され、
該ビーム幅は、2mm以下、および/または、10ミクロン以上である、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項10】
レンズシステムは、流体中に浸漬されるように構成された遠位レンズ表面を備えた液浸対物レンズを備える、請求項6に記載のイメージングシステム。
【請求項11】
(a)第1構成の場合、システムは、第1検体受容面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第1検体受容面から第1垂直距離だけ離隔しており、
第1垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(b)第2構成の場合、システムは、第2検体受容面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第2検体受容面から第2垂直距離だけ離隔しており、
第2垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(c)第1垂直距離は、第2垂直距離と実質的に同じであり、
第1垂直距離の流体セグメントは、第2垂直距離の流体セグメントと実質的に同じである、請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項12】
液浸対物レンズは、遠位レンズ表面と第1検体受容面との間に空隙が存在しないように、第1検体受容面上にあるリザーバに少なくとも部分的に浸漬される、請求項11に記載のイメージングシステム。
【請求項13】
撮像中に、液浸対物レンズがリザーバに少なくとも部分的に浸漬される間に、液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して並進させるように構成されたx-y並進ステージをさらに備える、請求項12に記載のイメージングシステム。
【請求項14】
リザーバ内の流体は、前記第1および第2検体受容面の間のフローセルの流体通路内の流体と実質的に同じ屈折率を有する、請求項13に記載のイメージングシステム。
【請求項15】
(a)第1表面を含む第1基板と、第2表面を含む第2基板と、第1表面と第2表面との間に流体通路とを備えるフローセルと、
(b)液浸対物レンズを含み、該液浸対物レンズは、遠位レンズ表面を含み、液浸対物レンズは、少なくとも部分的に流体に浸漬される、イメージャと、を備え、
(c)第1構成の場合、システムは、第1表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第1表面から第1垂直距離だけ離隔しており、
第1垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(d)第2構成の場合、システムは、第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第2表面から第2垂直距離だけ離隔しており、
第2垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(e)第1垂直距離は、第2垂直距離と実質的に同じであり、
第1垂直距離の流体セグメントは、第2垂直距離の流体セグメントと実質的に同じである、イメージングシステム。
【請求項16】
液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して垂直に並進させるように構成されたz並進ステージをさらに備える、請求項15に記載のイメージングシステム。
【請求項17】
該システムは、液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して、流体通路の高さに実質的に等しい距離だけ垂直に並進させることによって、前記第1構成から前記第2構成に変化させるように構成される、請求項15に記載のイメージングシステム。
【請求項18】
自動焦点サブシステムをさらに備え、
該自動焦点サブシステムは、システムが前記第1構成にある場合、第1表面に合焦するように構成され、
該自動焦点サブシステムは、システムが前記第2構成にある場合、第2表面に合焦するように構成される、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項19】
第1表面は、第1基板の内面であり、
第2表面は、第2基板の内面であり、
第1表面および第2表面は、流体通路を挟んで互いに対向している、請求項15に記載のイメージングシステム。
【請求項20】
第1表面および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を刺激するように構成された放射線源をさらに備える、請求項19に記載のイメージングシステム。
【請求項21】
第1基板は、放射線源からの放射線に対して実質的に透明であり、第1および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線に対して実質的に透明である、請求項20に記載のイメージングシステム。
【請求項22】
液浸対物レンズは、遠位レンズ表面とフローセルの第1表面との間に空隙が存在しないように、第1基板上にあるリザーバに少なくとも部分的に浸漬される、請求項15に記載のイメージングシステム。
【請求項23】
撮像中に、液浸対物レンズがリザーバに少なくとも部分的に浸漬される間に、液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して並進させるように構成されたx-y並進ステージをさらに備える、請求項22に記載のイメージングシステム。
【請求項24】
リザーバ内の流体は、前記流体通路内の流体と実質的に同じ屈折率を有する、請求項22に記載のイメージングシステム。
【請求項25】
(a)第1表面および第2表面を含む両面基板と、
(b)イメージャと、
(c)基板を第1配向と第2配向との間で反転させるように構成されたフリッパーであって、基板が第1配向にある場合、システムは、第1表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、そして、基板が第2配向にある場合、システムは、第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成されるフリッパー、とを備えるイメージングシステム。
【請求項26】
両面基板は、第1表面と第2表面との間に位置する流体通路を備えるフローセルである、請求項25に記載のイメージングシステム。
【請求項27】
フローセルは、第1基板と第2基板を備え、
第1表面は、第1基板の内面であり、
第2表面は、第2基板の内面であり、
第1表面および第2表面は、流体通路を挟んで互いに対向している、請求項26に記載のイメージングシステム。
【請求項28】
第1基板は、第1厚さを有し、
第2基板は、第2厚さを有し、
第1厚さおよび第2厚さは、実質的に同じである、請求項27に記載のイメージングシステム。
【請求項29】
第1表面および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を刺激するように構成された放射線源をさらに備える、請求項28に記載のイメージングシステム。
【請求項30】
第1基板および第2基板は、放射線源からの放射線に対して実質的に透明であり、第1基板および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線に対して実質的に透明である、請求項29に記載のイメージングシステム。
【請求項31】
両面基板は、第2基板に接合された第1基板を備え、第1表面および第2表面は、両面基板の外面である、請求項25に記載のイメージングシステム。
【請求項32】
自動焦点サブシステムをさらに備え、
該自動焦点サブシステムは、両面基板が前記第1配向にある場合、第1表面に合焦するように構成され、
該自動焦点サブシステムは、両面基板が前記第2配向にある場合、第2表面に合焦するように構成される、請求項25に記載のイメージングシステム。
【請求項33】
イメージングステーションと、少なくとも1つの追加のステーションと、搬送デバイスとをさらに備え、
該搬送デバイスは、前記ステーション間で両面基板を移動するように構成される、請求項25に記載のイメージングシステム。
【請求項34】
搬送デバイスは、前記フリッパーを含む、請求項33に記載のイメージングシステム。
【請求項35】
(a)第1表面および第2表面を含む両面基板と、
(b)第1表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成された第1イメージャと、
(c)第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成された第2イメージャと、を備えるイメージングシステム。
【請求項36】
両面基板は、フローセルを含む、請求項35に記載のイメージングシステム。
【請求項37】
フローセルは、第1基板と第2基板を備え、
第1表面は、第1基板の内面であり、
第2表面は、第2基板の内面であり、
第1表面および第2表面は、流体通路を挟んで互いに対向している、請求項36に記載のイメージングシステム。
【請求項38】
放射線源をさらに備え、
該放射線源は、第1表面および第2表面に取り付けられた検体からの放射線の放射を刺激するように構成される、請求項37に記載のイメージングシステム。
【請求項39】
放射線源は、第1表面および第2表面に取り付けられた検体からの放射線の放射を同時に刺激するように構成される、請求項38に記載のイメージングシステム。
【請求項40】
放射線源は、第1表面および第2表面に取り付けられた検体からの放射線の放射を同時に刺激するように構成された単一のレーザビームを含む、請求項39に記載のイメージングシステム。
【請求項41】
該イメージングシステムは、第1イメージャを用いて第1表面に取り付けられた検体から放出される放射線と、第2イメージャを用いて第2表面に取り付けられた検体から放出される放射線とを同時に撮像するように構成される、請求項35に記載のイメージングシステム。
【請求項42】
第1イメージャは、第1光軸を含む第1対物レンズを備え、第2イメージャは、第2光軸を含む第2対物レンズを備え、
システムは、第1対物レンズと第2対物レンズとの間にフローセルを位置決めするように構成される、請求項35に記載のイメージングシステム。
【請求項43】
フローセルが第1対物レンズと第2対物レンズとの間に位置決めされる場合、第1対物レンズは第1基板に面し、第2対物レンズは第2基板に面する、請求項42に記載のイメージングシステム。
【請求項44】
第1光軸および第2光軸は、同一線上の光軸を含む、請求項42に記載の撮像システム。
【請求項45】
第1平面と、第1平面上の検体結合部位のアレイと、第2平面と、第2平面上の検体結合部位のアレイと、を備える両面基板。
【請求項46】
第1平面は、第1基板の外面であり、第2平面は、第2基板の外面であり、第1基板および第2基板は、内面で共に接合される、請求項45に記載の両面基板。
【請求項47】
検体を有するキャリアを保持するように構成されたステージと、
光ビームで検体を照射するように構成された光源と、
光を検出するように構成された検出器と、
光ビームが検体を照射した後、検体からの光を検出器上に合焦するように構成されたレンズシステムとを備え、
前記キャリアは、検体が光ビームによって照射される間、ステージに取り付けられるように構成され、
光ビームは、光学経路によって特徴付けられ、
レンズシステムは、光軸によって特徴付けられ、
光ビームは、レンズシステムを通って伝搬し、検体を照射するように構成され、
キャリアに入射する光ビームの光学経路は、レンズシステムの光軸と平行ではない、イメージングシステム。
【請求項48】
キャリアとレンズシステムとの間の距離を変化させて、検体からの光を検出器上に合焦するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項47に記載のイメージングシステム。
【請求項49】
検出器の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて、第1光強度を計算し、
検出器の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて、第2光強度を計算し、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成し、
焦点エラー信号に基づいて、キャリアに対するレンズシステムの動きを制御する、
ように構成された1つ以上のプロセッサをさらに備える、請求項48に記載のイメージングシステム。
【請求項50】
キャリアは、フローセルである、請求項47に記載のイメージングシステム。
【請求項51】
検出器は、該検出器に入射する光のスポットに焦点を合わせるように構成されたアレイ検出器である、請求項47に記載のイメージングシステム。
【請求項52】
アレイ検出器は、1次元アレイである、請求項51に記載のイメージングシステム。
【請求項53】
キャリアは、第1表面と第2表面を備え、
第1表面は、第2表面から、ある幅で分離している、請求項47に記載のイメージングシステム。
【請求項54】
レンズシステムの焦点深度が、前記幅よりも小さい、請求項53に記載のイメージングシステム。
【請求項55】
検体は、第1検体であり、
第1検体は、第1表面に付着され、
第2検体が、第2表面に付着される、請求項53に記載のイメージングシステム。
【請求項56】
ステージは、移動して、レンズシステムが第1検体からの光を検出器上に合焦し、そして同時にではないが、第2検体からの光を検出器上に合焦するように構成される、請求項55に記載のイメージングシステム。
【請求項57】
光ビームは、ビーム幅によって定義され、
ビーム幅は、キャリアにおいて測定され、
ビーム幅は、2mm以下、および/または10ミクロン以上である。請求項47に記載のイメージングシステム。
【請求項58】
キャリアをステージに取り付けるステップであって、キャリアは、検体を含む、ステップと、
光源の光ビームをレンズシステムを通して検体に伝送することによって、光源で検体を照射するステップであって、
光ビームは、光学経路によって特徴付けられ、
レンズシステムは、光軸によって特徴付けられ、
キャリアに入射する光ビームの光学経路は、レンズシステムの光軸と平行ではない、ステップと、
レンズシステムを用いて、検体からの光を検出器に合焦するステップと、
検出器を用いて検体からの光を検出するステップと、を含むイメージング方法。
【請求項59】
キャリアに対してレンズシステムの動きを、レンズシステムの光軸と平行な方向に制御し、検体からの光を検出器に合焦するステップをさらに含む、請求項58に記載のイメージング方法。
【請求項60】
キャリアに対してレンズシステムの動きを制御するステップは、
第1光強度を計算するステップであって、第1光強度は、検出器の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第2光強度を計算するステップであって、第2光強度は、検出器の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成するステップと、
焦点エラー信号に基づいて、キャリアに対するレンズシステムの動きを制御するステップとを含む、請求項58に記載のイメージング方法。
【請求項61】
検出器の第1画素ブロックを画定するステップと、
検出器の第2画素ブロックを画定するステップと、
軸外光ビームで検体を照射するステップと、
検体からの光がレンズシステムを通過した後、検出器を用いて検体からの光を検出するステップと、
第1光強度を計算するステップであって、第1光強度は、第1画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第2光強度を計算するステップであって、第2光強度は、第2画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成するステップと、
焦点エラー信号に基づいて、レンズシステムと検体の間の距離を調整するステップと、を含むイメージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第63/231488号(2021年8月10日出願)の出願日の優先権および利益を主張するものであり、その全体内容はこの参照によりここに組み込まれる。
【0002】
(関連分野)
本特許は、核酸配列決定や同様のプロセスで使用されるイメージングシステムなど、フローセルおよびその他の基板イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在の核酸配列決定システムおよびプロセスの多くは、リソース集約型であり、とりわけ、相当の量の試薬および相当の量の時間を必要とする。リソースをより効率的に使用するために、大規模な並列システムとプロセスが開発されているが、改善の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本特許において、フローセルおよび他の基板、そしてこれらのフローセルおよび他の基板を撮像するためのシステムおよび方法のいくつかの例を説明しており、フローセルまたは他の基板の両面は、分析用の検体を有する、本特許において説明されるフローセル、他の基板、ならびにこれらのフローセルおよび他の基板を撮像するためのシステムおよび方法は、リソースのより効率的な使用を促進することができ、例えば、試薬の使用を最小限に抑え、サンプルが処理できる速度を改善できる。
【0005】
一例では、イメージングシステムが、
検体を受け取るように構成されたキャリアを保持するように構成されたステージと、
光ビームを用いて検体を照射するように構成された光源であって、光ビームは光学経路によって特徴付けられる、光源と、
光を検出するように構成された検出器と、
光ビームが検体を照射した後、検体からの光を検出器上に合焦させるように構成されたレンズシステムとを備え、
レンズシステムは、光軸によって特徴付けられ、
光ビームは、レンズシステムを通って伝搬し、検体を照射するように構成され、
キャリアに入射する光ビームの光学経路は、レンズシステムの光軸と平行ではない。
【0006】
イメージングシステムはまた、キャリアとレンズシステムとの間の距離を変化させて、検体からの光を検出器上に合焦させるように構成されたコントローラを含んでもよい。
【0007】
イメージングシステムはまた、下記の動作を行うように構成された1つ以上のプロセッサを含んでもよい。
検出器の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて、第1光強度を計算し、
検出器の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて、第2光強度を計算し、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成し、
焦点エラー信号に基づいて、キャリアに対するレンズシステムの動きを制御する。
【0008】
検出器は、該検出器に入射する光のスポットに焦点を合わせるように構成されたアレイ検出器でもよい。
【0009】
アレイ検出器は、1次元アレイでもよい。
【0010】
キャリアは、フローセルでもよく、該フローセルは、ある幅で分離した第1検体受容面と第2検体受容面とを含む。
【0011】
レンズシステムの焦点深度は、前記幅よりも小さくもてよい。
【0012】
ステージは、移動して、レンズシステムが第1検体受容面からの光を検出器上に合焦させ、そして同時にではないが、第2検体受容面からの光を検出器上に合焦させるように構成されてもよい。
【0013】
光ビームは、ビーム幅によって定義されてもよく、該ビーム幅は、キャリアにおいて測定されてもよく、該ビーム幅は、2mm以下、および/または、10ミクロン以上でもよい。
【0014】
レンズシステムは、流体中に浸漬されるように構成された遠位レンズ表面を備えた液浸対物レンズを含んでもよい。
【0015】
イメージングシステムは、下記のように構成してもよい。
(a)第1構成の場合、システムは、第1検体受容面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第1検体受容面から第1垂直距離だけ離隔しており、
第1垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(b)第2構成の場合、システムは、第2検体受容面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第2検体受容面から第2垂直距離だけ離隔しており、
第2垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(c)第1垂直距離は、第2垂直距離と実質的に同じであり、
第1垂直距離の流体セグメントは、第2垂直距離の流体セグメントと実質的に同じである。
【0016】
液浸対物レンズは、遠位レンズ表面と第1検体受容面との間に空隙が存在しないように、第1検体受容面上にあるリザーバに少なくとも部分的に浸漬されてもよい。
【0017】
イメージングシステムはまた、撮像中に、液浸対物レンズがリザーバに少なくとも部分的に浸漬される間に、液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して並進させるように構成されたx-y並進ステージを含んでもよい。
【0018】
リザーバ内の流体は、前記第1および第2検体受容面の間のフローセルの流体通路内の流体と実質的に同じ屈折率を有してもよい。
【0019】
他の例では、イメージングシステムは、
(a)第1表面を含む第1基板と、第2表面を含む第2基板と、第1表面と第2表面との間に流体通路とを備えるフローセルと、
(b)液浸対物レンズを含み、該液浸対物レンズは、遠位レンズ表面を含み、液浸対物レンズは、少なくとも部分的に流体に浸漬される、イメージャと、を備え、
(c)第1構成の場合、システムは、第1表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第1表面から第1垂直距離だけ離隔しており、
第1垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(d)第2構成の場合、システムは、第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、
遠位レンズ表面は、第2表面から第2垂直距離だけ離隔しており、
第2垂直距離は、流体セグメントと基板セグメントとを含み、
(e)第1垂直距離は、第2垂直距離と実質的に同じであり、
第1垂直距離の流体セグメントは、第2垂直距離の流体セグメントと実質的に同じである。
【0020】
システムは、液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して垂直に並進させるように構成されたz並進ステージをさらに含んでもよい。
【0021】
システムは、液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して、流体通路の高さに実質的に等しい距離だけ垂直に並進させることによって、前記第1構成から前記第2構成に変化させるように構成されてもよい。
【0022】
システムはさらに、自動焦点サブシステムを含んでもよく、該自動焦点サブシステムは、システムが前記第1構成にある場合、第1表面に合焦するように構成され、該自動焦点サブシステムは、システムが前記第2構成にある場合、第2表面に合焦するように構成される。
【0023】
第1表面は、第1基板の内面でもよく、第2表面は、第2基板の内面でもよく、第1表面および第2表面は、流体通路を挟んで互いに対向してもよい。
【0024】
システムはさらに、第1表面および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を刺激するように構成された放射線源を含んでもよい。
【0025】
第1基板は、放射線源からの放射線に対して実質的に透明であり、第1および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線に対して実質的に透明でもよい。
【0026】
液浸対物レンズは、遠位レンズ表面とフローセルの第1表面との間に空隙が存在しないように、第1基板上にあるリザーバに少なくとも部分的に浸漬されてもよい。
【0027】
システムはさらに、撮像中に、液浸対物レンズがリザーバに少なくとも部分的に浸漬される間に、液浸対物レンズまたはフローセルの一方を、液浸対物レンズまたはフローセルの他方に対して並進させるように構成されたx-y並進ステージを含んでもよい。
【0028】
リザーバ内の流体は、前記流体通路内の流体と実質的に同じ屈折率を有してもよい。
【0029】
他の例では、イメージングシステムは、(a)第1表面および第2表面を含む両面基板と、(b)イメージャと、(c)基板を第1配向と第2配向との間で反転させるように構成されたフリッパー(反転器)であって、基板が第1配向にある場合、システムは、第1表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成され、そして、基板が第2配向にある場合、システムは、第2表面に取り付けられた検体から放射されるた放射線を撮像するように構成されるフリッパー、とを含む。
【0030】
両面基板は、第1表面と第2表面との間に位置する流体通路を備えるフローセルでもよい。
【0031】
フローセルは、第1基板と第2基板を含んでもよく、第1表面は、第1基板の内面であり、第2表面は、第2基板の内面であり、第1表面および第2表面は、流体通路を挟んで互いに対向している。
【0032】
第1基板は、第1厚さを含んでもよく、第2基板は、第2厚さを含んでもよく、第1厚さおよび第2厚さは、実質的に同じである。
【0033】
システムは、第1表面および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を刺激するように構成された放射線源をさらに含んでもよい。
【0034】
第1基板および第2基板は、放射線源からの放射線に対して実質的に透明であり、第1基板および第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線に対して実質的に透明でもよい。
【0035】
両面基板は、第2基板に接合された第1基板を含んでもよく、第1表面および第2表面は、両面基板の外面である。
【0036】
システムは、自動焦点サブシステムをさらに含んでもよく、該自動焦点サブシステムは、両面基板が前記第1配向にある場合、第1表面に合焦するように構成され、該自動焦点サブシステムは、両面基板が前記第2配向にある場合、第2表面に合焦するように構成される。
【0037】
イメージングシステムは、イメージングステーションと、少なくとも1つの追加のステーションと、搬送デバイスとをさらに含んでもよく、該搬送デバイスは、前記ステーション間で両面基板を移動するように構成される。
【0038】
搬送デバイスは、フリッパーを含んでもよい。
【0039】
別の例では、イメージングシステムは、(a)第1表面および第2表面を含む両面基板と、(b)第1表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成された第1イメージャと、(c)第2表面に取り付けられた検体から放射される放射線を撮像するように構成された第2イメージャと、を含む。
【0040】
両面基板は、フローセルでもよい。
【0041】
フローセルは、第1基板と第2基板を有してもよく、第1表面は、第1基板の内面であり、第2表面は、第2基板の内面であり、第1表面および第2表面は、流体通路を挟んで互いに対向している。
【0042】
イメージングシステムは、放射線源をさらに含んでもよく、該放射線源は、第1表面および第2表面に取り付けられた検体からの放射線の放射を刺激するように構成される。
【0043】
放射線源は、第1表面および第2表面に取り付けられた検体からの放射線の放射を同時に刺激するように構成されてもよい。
【0044】
放射線源は、第1表面および第2表面に取り付けられた検体からの放射線の放射を同時に刺激するように構成された単一のレーザビームを含んでもよい。
【0045】
イメージングシステムは、第1イメージャを用いて第1表面に取り付けられた検体から放出される放射線と、第2イメージャを用いて第2表面に取り付けられた検体から放出される放射線とを同時に撮像するように構成されてもよい。
【0046】
第1イメージャは、第1光軸を備えた第1対物レンズを有してもよく、第2イメージャは、第2光軸を備えた第2対物レンズを有してもよく、システムは、第1対物レンズと第2対物レンズとの間にフローセルを位置決めするように構成されてもよい。
【0047】
フローセルは、第1対物レンズと第2対物レンズとの間に位置決めされてもよく、第1対物レンズは第1基板に面し、第2対物レンズは第2基板に面する。
【0048】
第1光軸および第2光軸は、同一線上の光軸でもよい。
【0049】
他の例では、両面基板が、第1平面と、第1平面上の検体結合部位のアレイと、第2平面と、第2平面上の検体結合部位のアレイと、を含む。
【0050】
第1平面は、第1基板の外面でもよく、第2平面は、第2基板の外面でもよく、第1基板および第2基板は、内面で共に接合される。
【0051】
他の例では、イメージングシステムは、検体を有するキャリアを保持するように構成されたステージと、
光ビームで検体を照射するように構成された光源と、
光を検出するように構成された検出器と、
光ビームが検体を照射した後、検体からの光を検出器上に合焦するように構成されたレンズシステムとを含み、
前記キャリアは、検体が光ビームによって照射される間、ステージに取り付けられるように構成され、
光ビームは、光学経路によって特徴付けられ、
レンズシステムは、光軸によって特徴付けられ、
光ビームは、レンズシステムを通って伝搬し、検体を照射するように構成され、
キャリアに入射する光ビームの光学経路は、レンズシステムの光軸と平行ではない。
【0052】
イメージングシステムは、キャリアとレンズシステムとの間の距離を変化させて、検体からの光を検出器上に合焦するように構成されたコントローラをさらに含んでもよい。
【0053】
システムは、下記の動作を行うように構成された1つ以上のプロセッサをさらに含んでもよい。
検出器の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて、第1光強度を計算し、
検出器の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて、第2光強度を計算し、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成し、
焦点エラー信号に基づいて、キャリアに対するレンズシステムの動きを制御する。
【0054】
キャリアは、フローセルでもよい。
【0055】
検出器は、該検出器に入射する光のスポットに焦点を合わせるように構成されたアレイ検出器でもよい。
【0056】
アレイ検出器は、1次元アレイでもよい。
【0057】
キャリアは、第1表面と第2表面を含んでもよく、
第1表面は、第2表面から、ある幅で分離していてもよい。
【0058】
レンズシステムの焦点深度が、キャリアの第1表面を第2表面から分離する前記幅よりも小さくてもよい。
【0059】
検体は、第1表面に付着した第1検体を含んでもよく、第2検体が、第2表面に付着されている。
【0060】
ステージは、移動して、レンズシステムが第1検体からの光を検出器上に合焦し、そして同時にではないが、第2検体からの光を検出器上に合焦するように構成されてもよい。
【0061】
光ビームは、キャリアにおいて測定されるビーム幅によって定義されてもよく、ビーム幅は、2.0mm以下、および/または10ミクロン以上でもよい。
【0062】
他の例では、イメージング方法は、キャリアをステージに取り付けるステップであって、キャリアは、検体を含む、ステップと、
光源の光ビームをレンズシステムを通して検体に伝送することによって、光源で検体を照射するステップであって、
光ビームは、光学経路によって特徴付けられ、
レンズシステムは、光軸によって特徴付けられ、
キャリアに入射する光ビームの光学経路は、レンズシステムの光軸と平行ではない、ステップと、
レンズシステムを用いて、検体からの光を検出器に合焦するステップと、
検出器を用いて検体からの光を検出するステップと、を含んでもよい。
【0063】
イメージング方法は、キャリアに対してレンズシステムの動きを、レンズシステムの光軸と平行な方向に制御し、検体からの光を検出器に合焦するステップをさらに含んでもよい。
【0064】
キャリアに対してレンズシステムの動きを制御するステップは、
第1光強度を計算するステップであって、第1光強度は、検出器の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第2光強度を計算するステップであって、第2光強度は、検出器の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成するステップと、
焦点エラー信号に基づいて、キャリアに対するレンズシステムの動きを制御するステップとを含んでもよい。
【0065】
他の例では、イメージング方法は、
検出器の第1画素ブロックを画定するステップと、
検出器の第2画素ブロックを画定するステップと、
軸外光ビームで検体を照射するステップと、
検体からの光がレンズシステムを通過した後、検出器を用いて検体からの光を検出するステップと、
第1光強度を計算するステップであって、第1光強度は、第1画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第2光強度を計算するステップであって、第2光強度は、第2画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される、ステップと、
第1光強度と第2光強度とを比較して、焦点エラー信号を生成するステップと、
焦点エラー信号に基づいて、レンズシステムと検体の間の距離を調整するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1b】ホルダ内の
図1aのフローセルを概略的に示す。
【
図2】イメージングシステムの一例を概略的に示す。
【
図3】イメージングシステムの他の例を概略的に示す。
【
図4a】イメージングシステムの対物レンズに対して配向したフローセルを示す。
【
図4b】
図4aとは反転した向きのフローセルを示す。
【
図5】イメージングシステムの他の例を概略的に示す。
【
図6】
図5のイメージングシステムの2つの対物レンズの間に配置されたフローセルを示す。
【
図21】軸外の狭い照射ビームからの反射の一実施形態を示す。
【
図22】異なるフローセル材料に基づく反射からのスポットの実施形態を示す。
【
図23】異なるフローセル材料に基づく反射からのスポットの実施形態を示す。
【
図24】異なるフローセル材料に基づく反射からのスポットの実施形態を示す。
【
図25】2つの反射スポットに焦点を合わせた実施形態からの画像の合成画像である。
【
図26】自動焦点アルゴリズムのための画素グループの一実施形態である。
【
図27】2つの画素グループを横断してスポットを移動させる実施形態のグラフを示す。
【
図28】焦点が変化するときの画素グループからの光の和と差の実施形態のグラフを示す。
【
図29】自動焦点信号の一実施形態のグラフを示す。
【
図30】フローセルの一実施形態の表面高さのヒートマップを示す。
【
図31】フローセルの一実施形態の厚さのヒートマップを示す。
【
図32】検出器の一実施形態の遅延時間のチャートを示す。
【
図33】フローセルの表面の実施形態の走査中の自動焦点エラーを計算するために使用されるチャートを示す。
【
図34】フローセルの表面の実施形態の走査中の自動焦点エラーを計算するために使用されるチャートを示す。
【
図35】焦点スイープ中の表面の一実施形態の一連の画像を示す。
【
図36】焦点スイープ中の焦点スコアの一実施形態のチャートである。
【
図37】焦点スイープ中の表面の一連の画像を示す。
【
図38】フローセルを撮像するためのプロセスの一実施形態のフローチャートである。
【
図39】フローセル表面の自動焦点のためのプロセスの実施形態のフローチャートである。
【
図40】コンピュータシステムの一実施形態のブロック図を示す。
【
図41】イメージングシステムの他の例を概略的に示す。
【
図42】イメージングシステムの他の例を概略的に示す。
【
図43】イメージングシステムの他の例を概略的に示す。
【0067】
図面は、すべて縮尺どおりではない。必要に応じて、参照番号は図面の間で繰り返しており、対応する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
(フローセル)
図1aは、フローセル100の一例を示す。
フローセル100は、第1基板102と第2基板104とを含み、これらは第1基板102の第1表面106が第2基板104の第2表面108に面するように位置決めされる。表面106,108は、間隔をあけて配置され、これらの表面の間に流体通路100を画定する。
【0069】
表面106,108は、分析のために検体(analyte)112を受け入れるように構成される。検体112は、配列決定される核酸材料、DNAまたはRNAなどでもよく、または分析される他の生物学的または非生物学的/合成材料でもよい。1つの特定の例では、検体112は、配列決定または分析されるDNAナノボールまたは他の個別の核酸サンプルでもよい。検体112は、第1および第2表面106,108の上に部分的または全体的に離散ユニットの離隔したアレイ状に配置できる。図示していないが、表面106,108は、互いに離隔した個別の付着部位のアレイを含んでもよく、個々の検体ユニット112が隣接する検体ユニット112から離隔して保持できる。説明の目的のため、図では、少数の離散検体112部位のみしか示していないが、アレイは、数十または数百ナノメートルのオーダーになり得るピッチで離隔した、最大で数百万または数十億の離散検体部位を含むことができることを理解すべきである。
【0070】
フローセル100は、検体112に対して配列決定または他の反応を実行するために、試薬および他の流体が流体通路110を通って流されるように構成される。一例では、配列決定の反応中に、蛍光タグ付き分子が検体112の一部に選択的に結合できる。以下でより詳細に説明するように、光学イメージングシステムを使用して、タグ付き検体112からの蛍光放射を刺激し検出し、検体112に関連する配列決定データまたは他のデータを生成できる。
【0071】
図1aのフローセル100の基板102,104は、タグ付き検体112からの放射を刺激するために使用される放射波長に対して実質的に透明であり、また、タグ付き検体112部位からの放射の放射波長に対して実質的に透明である、1つの材料または複数の材料で製作できる。基板102,104はまた、タグ付き検体112部位からの誘導放射の波長範囲において実質的な放射を発生しない1つの材料または複数の材料でもよい(例えば、基板材料自体の蛍光によって、またはラマン散乱などの非弾性光子散乱プロセスによって)。この段落で使用するような「実質的に」および「実質的な」とは、タグ付き検体112部位からの放射の刺激および/または検出に干渉するレベルを指す。一実施形態では、基板102,104は、両方ともガラスまたは他の適切な光学的に透明な材料である。
【0072】
この例では、基板102,104の内面上の検体112(例えば、DNAナノボールまたは他の離散した核酸検体)は、基板102,104の内面上にアレイ状に配置された離散した部位に結合する。これらの結合部位は、248nm KrF(フッ化クリプトン)、193nm ArF(フッ化アルゴン)リソグラフィーシステム、または電子ビームリソグラフィーシステムなどの周知のリソグラフィーツールによって作製できる。アレイは、典型的には、超高密度、高密度、中密度または低密度で互いに間隔をあけて分離される。超高密度では、分離は、250nm未満である。高密度では、分離は、300~350nmの範囲である。中密度では、分離は、400nm~500nmの範囲である。低密度では、分離は、500nm以上である。いくつかの実装(例えば、いくつかの低密度実装)では、フォトレジストを用いた2次元パターニングが、DNAナノボールまたは他の離散した核酸サンプルを隔離するのに十分である。いくつかの実装(例えば、いくつかの中密度、高密度、または超高密度の実装)では、離散したサンプルが単一の場所に残らないリスクを軽減するために、より小さなサンプルが必要になる場合があり、タグ付きDNAナノボールまたは他のタグ付き核酸サンプルからの蛍光のより効率的な捕獲のために3次元のパターンニングを必要とする場合がある。こうした実装では、DNAナノボールを隔離するために、ウェル壁としての非結合材料と、ウェル底面のための結合材料とによって、3次元パターン化ウェルナノ構造が開発できる。
【0073】
図1aのフローセル100は光学的に対称である。両方の基板102,104は、実質的に同じ厚さ、材料、形状であり、その他の点では同一またはほぼ同一である。
【0074】
図1bは、ホルダ114によって保持されたフローセル100を示す。ホルダ114は、フローセルのエッジ/周囲でフローセル100と接触しており、そのためホルダ114による干渉なしに、両方の基板102,104を経由してフローセル100が撮像できる。
【0075】
図1cと
図1dは、フローセル160を保持するためのホルダ150の他の例を示す。
図1cと
図1dに示すように、ホルダ150は、フローセル160をそのエッジで保持し、フローセルの基板を覆わない状態にして、基板を経由して撮像できる。
【0076】
図1eは、フローセル180の他の例を示す。フローセル180は、分析用の検体112を受け入れるように構成された表面106を備えた第1基板102と、分析用の検体112を受け入れるように構成された表面108を備えた第2基板182とを含む。
図1aのフローセル100とは異なり、
図1eのフローセル180は、光学的に対称ではない。
図1eでは、基板102は光学的に透明であり、基板182は異なる非光学的透明な材料からなり、またより厚い。
図1eの特定の例では、基板102はSiO
2であり、基板108はSiである。
【0077】
(フローセル-製造方法の例)
一般に、付着部位のアレイを備えた基板は、例えば、レーザダイシングまたはソーダイシングなどによって、完全な8インチウェハからダイシングできる。ガラス基板の場合、例えば、
図1aのフローセル100の基板102,104などの場合、ウエハ全体からのダイシング許容誤差は、xy面方向の両方で±50μmにできる。
図1aの対称フローセル100の場合、ダイシングされた底部ガラス基板104は、流体入口および出口ポートとして4つのドリル孔と、2つの上部および底部トレンチを有することができ、一方、ダイシングされた上側ガラス基板102は、ドリル孔およびトレンチを有していない。
【0078】
フローセル100の2つの基板は、接着材料、例えば、特定のサイズを備えたポリスチレンビーズと混合したUV/可視光硬化性接着剤、または、間隔構造として画定するためのに特定の厚さを備えた感圧接着剤(PSA)などによって支持できる。UV/可視光硬化性接着剤は、ガラス表面の1つの上に複数の接着剤のドット、ライン、または特定のチャネル構造として塗布され、上側および下側ガラス基板102,104を接合できる。他の手法は、所定のチャネル形状を備えたプレカットPSAテープを使用して、2つのガラス基板102,104を接合することである。
【0079】
フローセル100の製造中に、底部ガラス基板は、位置合わせピンによって位置合わせされた真空事前組立チャックによって保持でき、UV接着剤は、自動接着剤塗布システムを用いて底部ガラス基板104の表面108上に塗布できる。設計された塗布プログラムを実行して、ビーズを備えた接着剤を表面上に所望のパターンに塗布できる。上側ガラス基板102は、ボール形状のピンを備えた真空ウエイト(重り)によって持ち上げることができ、事前組み立てチャック孔を位置合わせすることによって接着剤パターン上に配置でき、下側ガラス基板104上の接着剤との完全な接触を確保できる。接着剤がUV光に露出することによって完全に硬化するまで、ウエイトからの均一な下向き力がガラス基板に印加できる。硬化時間は、接着剤の硬化要件に応じて変化することがある。ガラス基板102,104に印加されるウエイトは、フローセル流体通路ギャップの均一性を確保するために均一な荷重にでき、一方、使用するスペーサのサイズは、特定のフローセルギャップまたは間隔を定義できる。一般に、フローセルのギャップ高さは、フローセルの平面に対して垂直に測定した上部ガラス表面と底部ガラス表面との間の距離として定義できる。ギャップ高さは、一例では、約50μmであり、許容誤差は±5μmである。
【0080】
他の例では、フローセルの製造は、接着材料としてプレカットされたチャネル感圧接着剤(PSA)テープが使用できる。PSAテープの厚さは、フローセルのギャップ高さを定義する機械的スペーサーとして機能できる。プレカットされたチャネルPSAテープは、上部ガラス基板102の表面106に付与できる。次に、プレカットされたチャネルPSAテープが接着された上側ガラス基板102は、真空ウエイトによって持ち上げることができ、底部ガラス基板104の表面108上に配置できる。ウエイトは、ガラス基板がPSAテープと完全に接触することを確保するために、所望の時間にガラス基板上に留まることができる。
【0081】
上述した両方の製造手法において、フローセル100内の上部ガラス基板102と底部基板104との間に100~200μmの配置許容誤差が存在し得る。
【0082】
(
図2 イメージングシステム)
図2は、光学イメージングシステム200の一例を概略的に示す。
図2の例では、放射線源204からの放射線は、フローセル100に向けられ、検体部位112の一部に取り付けられたタグからの放射を刺激する。放射は、検出器222によって撮像される。光学イメージングシステム200は、コントローラ226によって制御され、これは、システム200の種々のコンポーネントを制御し、システムの種々のコンポーネントによって収集されたデータを処理するように構成された1つ以上のコンピュータまたは他のデバイスでもよい。
【0083】
図2の例では、放射線源204は、フローセル100内の蛍光タグ付き検体112による蛍光放射を刺激するレーザ光を放射するように構成されたレーザである。レーザ204からのレーザ光は、調整光学系206を通過し、光学系208および対物レンズ210をフローセル100に案内する。方向付け光学系208は、放射線源204からの光波長を反射するとともに、他の光波長(検体112からの蛍光放射を含む)が方向付け光学系208を通過して、光学経路228に沿って検出器222に到達できるように構成された、ダイクロイックビームスプリッタまたは他の光学部品でもよい。
図2は、検体112による蛍光放射を刺激するための単一の放射線源204だけを示しているが、異なる波長で動作する追加の放射線源が、これらの追加の放射線源のための追加の調整および方向付け光学系と併せて含まれてもよい。
【0084】
X-Yステージ202は、フローセル100をx方向およびy方向(対物レンズ210の光軸210aに対して垂直)に並進させ、放射線源204からのレーザビームがフローセル100を横断して走査できる。
【0085】
図2において、検出器222は、検体112からの蛍光放射を撮像する。検出器222は、検体112に取り付けられたタグからの誘導放射を撮像するように構成された任意の適切なカメラまたは他のデバイスであり得るもよい。検出器222は、電荷結合素子イメージセンサ(CCD)、相補型金属酸化物半導体イメージセンサ(CMOS)、または他の適切なイメージセンサを含んでもよい。検出器222は、時間遅延積分(TDI)検出器でもよい。
【0086】
図2の例では、フローセルに方向付けされたレーザ光は、フローセル100の両方の表面106,108に取り付けタグ付き検体からの蛍光放射を同時に刺激できる。イメージングシステム200は、フローセル100の他方の表面上の検体からの蛍光放射による過度の干渉なしに、フローセル100の一方の表面上の検体からの蛍光放射の撮像を容易にする自動焦点サブシステムを含む。
図2の例では、自動焦点サブシステムは、放射線源214(例えば、赤外線レーザ)、方向付け光学系218,220、およびフローセル100の表面による放射線源214からの反射光を受信する検出器216を含む。コントローラ226は、検出器216からデータを受信し、該データに基づいてz並進ステージ212を駆動し、対物レンズ210aの光軸に沿って対物レンズ210をz方向に並進させる。
【0087】
(
図3 イメージングシステム)
図3は、イメージングシステム300の他の例を示す。この例では、システムは、イメージングシステム300内のフローセル100の向きを変化させるように構成されたアクチュエータ302を含む。例えば、アクチュエータ302は、第1基板102が第2基板104の上にある向き(即ち、
図4aに示すように)と、第2基板104が第1基板102の上にある向き(即ち、
図4bに示すように)との間でフローセルを反転させるように構成できる。
【0088】
フローセルが
図4aに示す配きにある場合、システム300は、フローセル100の第1表面106上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像するように構成される。
図4aに示す配きでは、対物レンズ210は、フローセル100の第1表面106の上またはその近傍(または第1表面106に取り付けられた検体112)に合焦するため、検出器222は、第1表面106上のタグ付き検体による刺激放射の合焦画像を捕捉するが、第2表面108上のタグ付き検体による刺激放射の合焦画像は充分には捕捉しない。
【0089】
フローセルは、
図4bに示す向きにある場合、システム300は、フローセル100の第2表面108上のタグ付け検体から放射される放射線を撮像するように構成される。
図4bに示す向きでは、対物レンズ210は、フローセル100の第2表面108上またはその近傍に合焦するため、検出器222は、第2表面108上のタグ付け検体による刺激放射の画像を捕捉するが、第1表面106上のタグ付き検体による刺激放射の画像は捕捉しない。
【0090】
図3に戻って、アクチュエータ302は、
図4aに示す向きと、
図4aに示す向きから180度反転した
図4aに示す向きとの間でフローセルを再配向するように構成される。
図3に示す例では、アクチュエータ302が、フローセル輸送デバイス304のコンポーネントである。フローセル輸送デバイス304は、フローセル100を再配置および再配向するように構成されたロボットアーマチュアまたは他の多自由度デバイスでもよい。フローセル輸送デバイス304は、フローセル100を把持するための(またはホルダ114などのフローセルホルダを把持するための)グリッパ306を含む。アクチュエータ302は、フローセル輸送デバイス304がグリッパ306の向きを反転できるようにするロータリージョイントまたは他の適切な機械的リンクでもよい。
【0091】
フローセル100を反転可能であることに加えて、フローセル輸送デバイス304は、種々のステーション間でフローセル100を移動するようにも構成される。
図3では、フローセル100は、イメージングステーションに位置決めされ、フローセル輸送デバイス304は、フローセル100を、例えば、ステーション308,310などの他のステーションに移動させ、そこでは試薬をフローセル100を通して流し、検体との配列決定反応または他の反応を容易にする他の動作が実行され、ステーション312では、フローセル100は他のステーションの利用可能性の保留して一時的に保持できる。
【0092】
(
図3 イメージングシステム 動作方法の例)
図3に示すイメージングシステム300の動作方法の一例では、フローセル輸送デバイス304は、撮像のためにフローセル100を位置決めでき、フローセル100は、最初に
図4aに示すように配向し、第1表面106は、第2面108よりも対物レンズ210により接近している。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、システム300は、
図4aに示すように、フローセル100の第1表面106上の蛍光タグ付き検体112からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせる。次に、放射線源204からの放射線は、フローセル100の検体アレイ112に渡って走査され、一方、検出器222は、フローセル100の第1表面106上のタグ付き検体112部位からの刺激放射の画像を捕捉する。
【0093】
次に、フローセル輸送デバイス304は、フローセル100を、
図4bに示す向きに再配向でき、第2表面108は、第1表面106よりも対物レンズ210に接近している。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、システムは、
図4bに示すように、フローセル100の第2表面108上の蛍光タグ付き検体112からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせる。次に、放射線源204からの放射線は、フローセル100の検体アレイ112に渡って走査され、一方、検出器222は、フローセル100の第2表面108上のタグ付き検体からの刺激放射の画像を捕捉する。
【0094】
次に、フローセル輸送デバイス304は、フローセル100を他のステーションに再配置し、撮像のために新しいフローセルを位置決めできる。
【0095】
(
図5 イメージングシステム)
図5は、イメージングシステム500の他の例を示す。この例では、イメージングシステム500は、フローセル100の両面106,108で放射される放射線を同時にイメージングするための2つのイメージャを含む。
図5のイメージングシステム500は、
図2のイメージングシステム200と同じコンポーネントを含み、追加の対物レンズ510、Z並進ステージ512、検出器522、検出器光学系524、および自動焦点コンポーネント514,516,518,520も含む。
【0096】
この例では、自動焦点コンポーネント214,216,218,220は、対物レンズ210に最も近い両面フローセル100の内面、即ち、第1基板102の第1表面106の上に対物レンズ210の焦点を合わせるのを容易にする。そして、焦点コンポーネント514,516,518,520は、対物レンズ510に最も近い両面フローセル100の内面、即ち、第2基板104の第2表面108の上に対物レンズ510の焦点を合わせるのを容易にする(
図6を参照)。システム500は、自動焦点対物レンズ210のための放射線源214によって発生するIRレーザまたは他の放射線が、他の対物レンズ510の自動焦点合わせを干渉しないように構成できる。例えば、自動焦点サブシステムの各々の幾何形状は、自動焦点対物レンズ210に使用されるIRレーザまたは他の放射線が他の自動焦点対物レンズの検出器516によって検出されないように、またはこれと干渉しないように、そして逆も同様に構成できる。代替として、対物レンズ210のために使用される自動焦点サブシステムは、対物レンズ510のために使用される自動焦点サブシステムとは異なる波長で動作するように構成できる。
【0097】
該対物レンズに最も近いフローセルの表面の各対物レンズを焦点合わせすることによって、イメージングシステム500は、両面フローセル100の水ギャップの厚さの変動を補正する必要がない。
【0098】
図5と
図6に示すように、フローセル100は、2つの対物レンズ210,510の間に位置決めされ、対物レンズ210は、フローセル100の第1基板102に面しており、対物レンズ510は、フローセル100の第2基板104に面している。また
図5と
図6に示すように、対物レンズ210,510の光軸210aは同一直線上にある。
【0099】
図5のイメージングシステム500では、放射線源204からの放射線が、フローセル100の両方の表面106,108上のタグ付き検体112からの放射を同時に刺激する。図示の特定の例では、単一のレーザビームが、x/yステージ202を使用してx軸およびy軸に沿ってフローセルを横断して走査され、レーザビームの場所において両方の表面106,108上のタグ付き検体112からの放射を同時に刺激する。
【0100】
レーザビームがフローセル100を横断して走査されると、システム500は、表面106上のタグ付き検体から放出される放射線および表面108上のタグ付き検体から放出される放射線を同時に撮像する。システム500は、対物レンズ210、光学系224および検出器222を使用して、表面106上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像する。システム500は、対物レンズ510、光学系524および検出器522を使用して、表面108上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像する。
【0101】
(
図5 イメージングシステム 動作方法の例)
図5に示すイメージングシステム500の動作方法の一例では、フローセル100は、撮像のために対物レンズ210,510の間に位置決めできる。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、
図6に示すように、システム500は、フローセル100の第1表面106上の蛍光タグ付き検体からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせ、そして、第2表面108上の蛍光タグ付き検体からの放射を撮像するために対物レンズ510の焦点を合わせる。この例では、放射線源214、検出器216、および方向付け光学系218,220は、フローセルの第1表面106上の蛍光タグ付き検体からの放射の合焦撮像のために対物レンズ210を位置決めするデータを収集する際に使用される。そして、放射線源514、検出器516、および方向付け光学系518,520は、フローセルの第2表面108上の蛍光タグ付き検体からの放射の合焦撮像撮像のために対物レンズ510を位置決めするデータを収集する際に使用される。次に、放射線源204からの放射線は、フローセル100の検体アレイ112を横断して走査されるとともに、検出器222は、フローセル100の第1表面106上のタグ付き検体からの刺激放射の画像を捕捉し、検出器522は、フローセルの108の第2表面上のタグ付き検体からの刺激放射の画像を同時に取得する。放射線源204を走査するとき、自動焦点サブシステムは、対物レンズ210,510の焦点を調整して、第1表面106と第2表面108との間の水ギャップの厚さの変動を考慮できる。
【0102】
(
図7 イメージングシステム)
図7は、フローセルの両面において放射される放射線を同時に撮像するための2つのイメージングサブシステムを含むイメージングシステム700の他の例を示す。
図7のイメージングシステム700は、フローセルの両面(例えば、
図1aに示すフローセル100の表面106,108)上のタグ付き検体からの放射を同時に刺激するための単一の放射線源704を含む。フローセルの各側面を撮像イメージングするための別個の光学サブシステムが存在する。対物レンズ710a、検出器722a、および自動焦点サブシステム730aは、フローセルの表面のうちの1つ(例えば、
図1aではフローセル100の第1表面106)を撮像するように構成される。そして対物レンズ710b、検出器722b、および自動焦点サブシステム730bは、他方の表面(例えば、
図1aではフローセル100の第2表面108)を撮像するように構成される。
【0103】
図8~
図10は、
図7のイメージングシステム700の追加図を示す。
図8は、2つの対物レンズ710a,710bの間にフローセル100を位置決めするためのトランスポート740とともに、イメージングシステム700を平面図で示す。
図9と
図10は、2つの対物レンズ710a,710bの間に位置決めされたホルダ150内のフローセル100の拡大図を示し、2つの対物レンズの光軸は同一線上に配置される。
【0104】
図11と
図12は、イメージングシステム700のトランスポート740の追加図を示す。
図11は、トランスポート40のxステージ742を示し、
図12は、トランスポート740のxステージ742とyステージ744の両方を示す。xステージ742は、フローセル100をx軸746に沿って並進させるように構成される。yステージ744は、フローセル100をy軸748に沿って並進させるように構成される。トランスポート740は、全体移動(イメージングシステム700の2つの対物レンズの間のある場所にフローセル100を運ぶ)と、微細移動(フローセル100を横断して放射線を走査するために、x軸746およびy軸748に沿ってフローセル100を並進する)の両方のために構成できる。
【0105】
図13~
図18は、フローセル100を、イメージングシステム700の2つの対物レンズの間のある位置に運ぶためのトランスポート740の使用を示す。
図13では、フローセル100は、トランスポート740のホルダ150内に位置決めされる。
図14では、yステージ744が駆動されて、フローセル100およびホルダ150を、xステージ742を通って延びるスロット750を通って下方に並進させる(
図11を参照)。
図15では、xステージ742が駆動されて、フローセル100およびホルダ150を、イメージングシステム700の対物レンズに並進させ、
図16と
図17では、yステージ742が駆動され、フローセル100およびホルダ150を並進させてxステージ742でのスロット750を通って後退させ、そのためフローセル100は、イメージングシステム700の対物レンズの間に位置決めされる。
【0106】
(
図41 イメージングシステム)
図41は、イメージングシステム600の他の例を示す。この例では、対物レンズ210は、液浸対物レンズ、例えば、水浸対物レンズである。イメージングシステム600は、2つの表面106,108が流体通路によって分離されているにも関わらず、フローセル180の第1および第2表面106,108で放射される放射線が、等しいまたは実質的に等しい厚さの流体を通して対物レンズ210により撮像できるように構成される。
【0107】
対物レンズ210の遠位端は、流体602(例えば、水)の中に浸漬され、そのため対物レンズ210の遠位端(または対物レンズ210の遠位レンズ)とフローセル180との間に空気ギャップが存在しない。流体は、フローセル180の上部基板を覆うリザーバ内に保持できる。図示した特定の例では、ホルダ114の壁は、第1基板102の上部にあるリザーバ内に流体602を保持する。1つの非限定的な例では、リザーバの深さは、深さ200~500マイクロメートル、または約350マイクロメートルにできる。他の例では、流体は、他の方法でフローセル108の上の一定の空間内に保持されてもよく、異なる深さでもよい。イメージングシステム600は、流体602を所望のレベルに維持するように構成された流体監視配送サブシステム606を含む。
【0108】
いくつかの実装では、フローセル180の上方にある流体602は、フローセル180の第1基板102と第2基板182との間の流体通路内の流体と同じまたは実質的に同じ光学特性(例えば、屈折率)を有してもよい。いくつかの実装では、フローセル180の上方にある流体602は、フローセル180の第1基板102と第2基板182との間の流体通路内の流体と同じまたは実質的に同じでもよい。
【0109】
この特定の例では、対物レンズ210の遠位端は、X-Yステージ202による並進中に流体602内に浸漬された状態になるため、流体602内に望ましくない乱流が発生し、画像品質に影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実装では、システムの対物レンズ210および他のコンポーネントは、運動によって引き起こされる流体内のあらゆる乱流を低減するように構成できる。例えば、いくつかの構成では、対物レンズ210は、対物レンズに対して流体のより層状の流れを促進して乱流を減少させるために、平坦な遠位面を含んでもよい。これらの構成または他の構成では、対物レンズ210(または流体602に浸漬される対物レンズ210の少なくとも一部)は、対物レンズに対して流体のより層状の流れを促進して乱流を減少させるために、非テーパー形状(例えば、円筒形)にできる。
【0110】
図41のイメージングシステム600では、z並進ステージ212は、対物レンズ210を光軸210aに沿って並進させて、フローセル180の第1表面上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像するために対物レンズ210が位置決めされる場所から、フローセル180の第2表面108上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像するために対物レンズ210が位置決めされる場所に、対物レンズ210を移動させるように構成される。
図42は、フローセル180の第1表面106上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像するために位置決めされた対物レンズ210を示す。
図43は、フローセル180の第2表面108上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像するために位置決めされた対物レンズ210を示す。
【0111】
イメージングシステム600は、対物レンズ210が第1表面106上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像するように位置決めされたときの対物レンズ210の遠位表面と第1表面106との間の垂直距離604(
図42)が、対物レンズ210が第2表面108上のタグ付き検体から放射される放射線を撮像するように位置決めされたときの対物レンズ210の遠位表面と第2表面108との間の垂直距離608(
図43)と同じまたは実質的に同じであるように構成される。さらに、流体(フローセル180の上方の領域にある流体602およびフローセル180の流体通路内の流体を含む)を通って延びる光学経路の垂直長さ、およびフローセル基板102を通って延びる光学経路の垂直長さは、
図42と
図43に示す2つの対物レンズ位置では同じである。
図42では、流体を通過する光学経路の垂直セグメントは、符号d1が付与される。
図43では、流体(フローセル180の上方にある流体602およびフローセル180の流体通路内の流体を含む)を通って進む光学経路の垂直セグメントは、それぞれ符号d2,d3が付与される。
【0112】
イメージングシステム600は、d1(対物レンズ210が第1表面106で放射される放射線を撮像するように位置決めされる場合)が、d2+d3(対物レンズ210が第2表面108で放射される放射線を撮像するために位置決めされる場合)に等しいか、またはほぼ等しいように構成される。対物レンズ210が、第2表面108で放射される放射線を撮像するために再位置決めされた場合、対物レンズ210は、z並進ステージ212によって、d3(フローセル180内の流体通路の高さ)に等しいかほぼ等しい距離だけ流体602の中により奥深くに並進される。
【0113】
(等価光学経路)
図41~43のイメージングシステム600は、対物レンズ210の遠位端と撮像されるフローセル180の表面との間の対物レンズ210aの光軸に沿った光学経路が、第1表面106または第2表面108で放射される放射線が撮像されるか否かに関係なく、同等または実質的に同等となるように構成される。光学経路は、対物レンズ210が第1表面106で放射される放射線を撮像するように位置決めされるか(
図42)、または第2表面108で放射される放射線を撮像するように位置決めされる(
図43)かに関係なく、同じ厚さの流体および基板を通って垂直に延びている。このように高い開口数(NA)の対物レンズを含む光学系、その他特定の撮像条件のために特別に設計された光学系を使用して、望ましくない収差を導入したり、撮像品質に悪影響を及ぼしたりすることなく、フローセル180の2つの異なる表面で放射される放射線を撮像できる。
図3と
図5のシステム300,500はまた、撮像される2つの表面間に同等の光学経路を有する。これらの例では、フローセル100は光学的に対称であり(両方の基板102,104が同じまたは実質的に同じ材料および厚さである)、それ以外でも対物レンズの遠位端と撮像される表面との間の光学経路は同等である。
【0114】
(
図41 イメージングシステム 動作方法の例)
図41に示すイメージングシステム600の動作方法の一例では、フローセル180撮像のために位置決めでき、流体モニタリング/配送サブシステム606は、流体602がフローセル180上方のリザーバを充分に充満することを確保する。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、システム600は、
図42に示すように、フローセル180の第1表面106上の蛍光タグ付き検体112からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせる。次に、放射線源204からの放射線は、フローセル180の検体112アレイを横断して走査され、一方、検出器222は、フローセル180の第1表面106上のタグ付き検体112部位からの刺激放射の画像を捕捉する。
【0115】
次に、z並進ステージ212は、対物レンズ210を、フローセル180の流体通路の高さに等しいまたは実質的に等しい距離(非限定的な一例では50ミクロン)だけ下向きに垂直に並進できる。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、システムは、
図43に示すように、フローセル180の第2表面108上の蛍光タグ付き検体112からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせる。次に、放射線源204からの放射線は、フローセル180の検体112アレイを横断して走査され、一方、検出器222は、フローセル180の第2表面108上のタグ付き検体からの刺激放射の画像を捕捉する。
【0116】
(他の両面基板)
前述した
図1aは、第1基板102の第1内面106が第2基板104の第2内面108から離隔して対向し、これらの表面間に流体通路100を画定するように位置決めされた第1基板102と第2基板104を含むフローセル100の例を示す。内面106,108は、分析のために検体112を受け入れるように構成される。
【0117】
図19は、両面基板900の他の例を示しており、分析のために検体112を受け入れるように構成された2つの表面は、内面ではなく外面906,908である。両面基板は、最初に2つの個別の基板902,904の表面906,908上に検体112の結合部位をそれぞれ形成し、続いて、検体112のために形成された結合部位を備えた表面906,908が両面基板の外側になるように2つの基板902、904を共に接着することによって、形成できる。
【0118】
検体112のためのこれらの結合部位は、周知のリソグラフィツール、例えば、248nmKrF(フッ化クリプトン)リソグラフィシステム、193nmArF(フッ化アルゴン)リソグラフィシステム、または電子ビームリソグラフィシステムなどによって作製できる。アレイは、典型的には、超高密度、高密度、中密度、または低密度で互いに間隔を設けて分離される。超高密度では、分離隔隔は、250nm未満である。高密度では、分離隔隔は、300~350nmの範囲である。中密度では、分離隔隔は、400nm~500nmの範囲である。低密度では、分離隔隔は、500nm以上である。いくつかの実装(例えば、いくつかの低密度実装)では、フォトレジストを用いた2次元パターニングが、DNAナノボールまたは他の離散した核酸サンプルを隔離するのに十分である。いくつかの実装(例えば、いくつかの中密度、高密度、または超高密度の実装)では、離散したサンプルが単一の場所に残らないリスクを軽減するために、より小さなサンプルが必要になる場合があり、タグ付きDNAナノボールまたは他のタグ付き核酸サンプルからの蛍光のより効率的な捕捉のために3次元パターニングが必要になることがある。こうした実装では、3次元パターンニングウェルナノ構造が、DNAナノボールを隔離するために、ウェル壁として非結合材料およびウェル底面用の結合材料によって開発できる。
【0119】
図1aのフローセル100とは異なり、両面基板900は、2つの基板間に流体通路を有しておらず、検体112結合部位は、基板902,904の外側に面する表面906,908の上にある。配列決定または他の反応は、両面基板900を、試薬および他の流体に連続的に浸すか、あるいは浸漬することによって、両面基板900上の検体112に対して実行できる。一例では、配列決定反応中に、蛍光タグ付き分子は、両面基板900の表面906,908上の検体112の一部に選択的に結合できる。配列決定反応は、米国出願公開第2020/00318177号明細書(2020年10月8日公開、Yang et al.)に記載された浸漬反応プロトコルと同一または類似しており、両面基板900上で実行できる。
【0120】
両面基板900は、上述のイメージングシステムによって撮像できる。例えば、
図3に示すイメージングシステム300では、フローセル搬送デバイス304は、撮像のために両面基板900を位置決めでき、両面基板900は、最初に第1表面906が第2表面908より対物レンズ210により近くなるように配向される。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、システム300は、両面基板900の第1表面906上の蛍光タグ付き検体112からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせる。次に、放射線源204からの放射線は、第1表面906上の検体112アレイを横断して走査され、一方、検出器222は、タグ付き検体112部位からの刺激放射の画像を捕捉する。次に、フローセル搬送デバイス304は、第2表面908が第1表面906よりも対物レンズ210により近くなるように両面基板900の再配向できる。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、システムは、第2表面908上の蛍光タグ付き検体112からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせる。次に、放射線源204からの放射線は、第2表面908上の検体112アレイを横断して走査され、一方、検出器222は、第2表面908上のタグ付き検体からの刺激放射の画像を捕捉する。次に、搬送デバイス304は、両面基板900を他のステーションに再位置決めし、撮像のために新しい両面基板900を位置決めできる。
【0121】
他の例として、
図5のイメージングシステム500では、両面基板900は、撮像のために対物レンズ210,510の間に位置決めできる。次に、自動焦点サブシステムからのフィードバックに基づいて、システム500は、両面基板900の第1表面906上の蛍光タグ付き検体からの放射を撮像するために対物レンズ210の焦点を合わせ、そして、第2表面908上の蛍光タグ付き検体からの放射を撮像するために対物レンズ510の焦点を合わせる。この例では、放射線源214、検出器216、および方向付け光学系218,220は、第1表面906上の蛍光タグ付き検体からの放射の合焦撮像のために対物レンズ210を位置決めするためのデータを収集する際に使用される。そして、放射線源514、検出器516、および方向付け光学系518,520は、第2表面908上の蛍光タグ付き検体からの放射の合焦撮像のために対物レンズ510を位置決めするためのデータを収集する際に使用される。次に、放射線源204または複数の放射線源(例えば、第1表面906上のタグ付き検体112の放射を刺激するように構成された1つの放射線源および、第2表面908上のタグ付き検体112の放射を刺激するように構成された第2放射線源から)放射線が、検体112アレイを横断して走査され、一方、検出器222は、フローセルの第1表面906上のタグ付き検体からの刺激放射の画像を捕捉し、検出器522は、フローセルの第2表面908上のタグ付き検体からの刺激放射の画像を同時に捕捉する。放射線源204が走査される際、自動焦点サブシステムは、第1および第2表面906,908の変動を考慮して、対物レンズ210,510の焦点を調整できる。
【0122】
(自動焦点システム)
フローセルからの光を検出器に合焦するために使用される対物レンズ(例えば、
図2の対物レンズ210)は、しばしば狭い焦点深度(例えば、1/4μmのオーダー)を有する。フローセルの水ギャップの厚さが、各フローセルの領域に渡ってフローセルごとに変化することがあり、その変動は、対物レンズの焦点深度よりも大きい。いくつかの実施形態では、両面フローセルの片面または両面上の検体の受け入れ可能な画像品質を得るために、他の表面からの反射によって影響を受けることなく、両面フローセルの片面または両面に焦点を合わせられるシステムを有することが望ましい。
【0123】
いくつかの構成では、サンプル(例えば、検体)は、小さい直径で軸外ビームを用いて照射される。小さな軸外ビームでサンプルを照明することは、良好な感度を提供でき、および/またはフローセルの表面からの反射の分離を可能にする配置である。アレイ検出器を使用して、スポット(例えば、検体および/または反射のスポット)を追跡できる。画素ブロックを適切に定義することによって、所望のスポットを分離でき、システムが「焦点」が位置すると考える場所を制御するために使用できる。合計および/または差分アルゴリズムの使用により、焦点エラー信号の高速および/または効率的な発生を可能にする(例えば、この手法は、スポット重心を測定するよりも数値的に高速である)。
【0124】
(
図20 自動焦点システム)
図20を参照すると、フローセルを自動焦点合わせするためのシステム2000の実施形態が示される。システム2000は、キャリア2008(例えば、フローセル)を保持するように構成されたステージ2004と、キャリア2008上の検体を照射する光ビーム2016を放射するように構成された光源2012と(光ビーム2016は、光学経路2020によって特徴付けられる)、検出器2024と、光軸2030によって特徴付けられるレンズシステム2028とを備える。
【0125】
検体が光ビーム2016によって照射されながら、キャリア2008は、ステージに取り付けられるように構成される。ステージ2004は、キャリア2008をX/Y平面内で移動させるように構成される。ステージ2004は、この実施形態では、Z軸(Zステージとも称される)に沿ってキャリア2008を移動させるようにも構成され、Z軸は、レンズシステム2028の光軸2030に対して平行に定義される。Z軸に沿った動きを制御することにより、レンズシステム2028とキャリア2008との間の距離を変更する。いくつかの実施形態では、ステージ2004は、X/Y平面内(例えば、
図2のX-Yステージ202)でキャリア2008を移動し、他のステージ(例えば、
図2のZ並進ステージ212)を使用して、レンズシステム2028とキャリア2008との間の距離を制御する。
【0126】
光源2012は、レーザ(例えば、赤外線レーザ)である。光源2012は、光ビーム2016を発生することによって、キャリア2008上の検体を照射するように構成される。光ビーム2016は、レンズシステム2028を通って伝搬し、キャリア2008上の検体を照射するように構成される。
【0127】
検出器2024(例えば、アレイ検出器)は、光を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、検出器2024は、TDI(時間遅延積分)センサを備える。レンズシステム2028は、光ビーム2020が検体を照射した後、検体からの光を検出器2024上に合焦するように構成される。検出器2024の第1画素ブロックと第2画素ブロックが定義される。検出器2024の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて、第1光強度が計算される。検出器2024の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて、第2光強度が計算される。第1光強度は第2光強度と比較され、焦点エラー信号を生成する。アナログ出力2038が、焦点エラー信号に基づいて生成され、コントローラ2040に供給される。コントローラ2040は、ステージ2004に制御信号を送信し、キャリア2008をZ方向に移動させることによって、キャリア2008とレンズシステム2028との間の距離を変更するように構成される。キャリア2008をZ方向に移動させるか、またはレンズシステム2028をZ方向に移動させることにより、検出器2024上の光の焦点を調整する。
【0128】
(
図21 フローセルからの狭いビーム反射)
いくつかのイメージングシステムでは、光源からの光がレンズシステムの瞳の半分を充満する。これらのシステムでは、様々な表面からの反射が検出器で混合される。
図21は、照射ビーム2104からの反射の一実施形態を示し、表面からの反射が区別できる。瞳の半分を充満する代わりに、
図21の照射ビーム2104は狭く、軸外照射を提供する。
【0129】
図21は、カバースリップ2108およびフロー層2112を示す。カバースリップ2108は、上面2120および底面2124を含む。フロー層2112は、カバースリップ2108の底面2124と基板2128(例えば、シリコンまたはガラス基板)との間にある。
図21には、
図20のレンズシステム2028の光軸2030も示している。入射ビーム2104は、光学経路2132に沿って伝搬する。光学経路2132は、光軸2030に対して角度シータ(θ)でカバースリップ2108の上面2120に入射する。
【0130】
入射ビーム2104は、ビーム幅wを有する。ビーム幅wは、レンズシステム(例えば、
図20のレンズシステム2028)の瞳に比べて狭い。いくつかの実施形態では、ビーム幅w(例えば、
図21の上面2120など、第1入射面で測定したとき)は、入射瞳の直径の1/3、1/4、または1/6以下である。
【0131】
入射ビーム2104は、上面2120からの第1反射2131、底面2124からの第2反射2132、および基板2128からの第3反射2133を生じさせる。入射ビーム2104は、狭い幅wを有するため、第1反射2131、第2反射2132、および第3反射2133によって形成されるスポットは重ならず、検出器上(例えば、
図20の検出器2024上)に別個で区別されるスポットとして現れる。
【0132】
入射ビーム2104は、対物レンズ(例えば、
図20のレンズシステム2028)の片側に入射される。反射光は、レンズシステムを通過した後、検出器に入射する。検出器上のスポットの場所および/または動きにより、様々な表面の焦点位置(例えば、z方向)に関する情報を提供する。アルゴリズムは、1つ以上のプロセッサ(例えば、
図20のプロセッサ2034)によって使用され、アナログ出力信号を生成し、これはZステージ運動制御電子回路のためのフィードバックとして使用される。
【0133】
(
図22~24 様々なフローセル材料を用いた集光スポット)
図22~24は、様々なフローセル材料に基づく反射からのスポットの実施形態を示す。
図22~24は、左側にシミュレーション(ZEMAX)を示し、右側に画像を示す。第1スポット2204-1(例えば、
図21の第1反射2131から)が、第1表面(例えば、
図21の上面2120)上の反射からである。第2スポット2204-2(例えば、
図21の第2反射2132から)が、第2表面(例えば、
図21の底面2124)上の反射からである。第3スポット2204-3(例えば、
図21の第3反射2133から)は、第3表面(例えば、
図21の基板2128)上の反射からである。
【0134】
図22では、第2表面と第3表面との間に空隙があり、第2表面と第3表面はガラスである。
図22の3つのスポット2204は、ほぼ等しい明るさである。第2スポット2204-2と第3スポット2204-3は、第2スポット2204-2が第1スポット2204-1までに比べて互いにより近い(例えば、
図21ではカバースリップ2108の厚さがフロー層2112の厚さよりも大きいため)。
【0135】
図23では、第2表面と第3表面との間に水が存在し、第2表面と第3表面はガラスである。第2スポット2204-2および第3スポット2204-3は、第1スポット2204-1より低い強度であり、これらの表面における屈折率の差がより小さいためである。
【0136】
図24では、第2表面と第3表面の間に水が存在し、第2表面はガラス、第3表面はシリコンである。シリコン表面からの反射は、カバースリップの表面からの反射よりもかなり明るい。第1スポット2204-1と第2スポット2204-2との間の間隔は、
図23よりも
図24の方が大きい。理由は、
図23(170μmのカバースリップを使用した)よりも厚いカバースリップ(厚さ250μm)を
図24で使用したためである。
【0137】
自動焦点システムは、
図22~24に挙げたものを含む、種々のフローセルタイプに適応するように構成される。
【0138】
(
図25~29 画素グループを用いた焦点)
図25は、2つの反射スポット2504に焦点を合わせた実施形態からの画像の合成画像(モンタージュ)である。
図25は、ZステージがキャリアをZ方向に移動させるとき、焦点位置2508を過ぎて右から左に移動する第1スポット2504-1および第2スポット2504-2を示す。合成画像は、1から8までの番号が付与された8つのスライド2512を含む。スライド2512は、10μmのZステップで、ガラス-ガラスフローセル上の焦点掃引からのものである。
【0139】
第1スポット2504-1は基板のものであり、第2スポット2504-2はカバースリップの底面のものである。スライド2512-6、2512-7、および2512-8に見えるように、第3スポット2504-3は、カバースリップの上面からのものである。
【0140】
Zステージが上下に移動すると、スポット2504は、検出器上でシフトする(例えば、照射ビームが軸外しであるため)。焦点エラーは、検出器上のスポット2504のシフトに基づいて測定できる。スポット2504は独立しているため、他方からの干渉なしに、フローセルのいずれかの表面に焦点を設定できる。例えば、基板の第1スポット2504-1は、第3スライド2512-3で合焦している。そして、カバーガラスの底面の第2スポット2504-2は、第6スライド2512-6で合焦している。
【0141】
図26は、自動焦点アルゴリズムに使用される画素グループの実施形態である。
図26は、検出器アレイからの第1スポット2604-1および第2スポット2604-2を示す。第1スポット2604-1は、シリコン基板からの反射による。第2スポット2604-2は、カバースリップの底面からである。第1画素グループの第1セル2608-1が、第2画素グループの第2セル2608-2の隣にある。第1信号が、第1セル2608-1内の画素によって検出された合計光信号によって生成される。第2信号が、第2セル2608-2内の画素によって検出された合計光信号によって生成される。第1信号は第2信号と比較され、エラー信号を生成する。
【0142】
第1信号と第2信号を加算したものをSUMと称する。SUMは、焦点を測定するのに十分な光が検出器上にあるかどうかの情報を提供する(例えば、SUMが予め定めた閾値以上である場合、焦点アルゴリズムを実行するのに十分な合計光量がある)。第1信号から第2信号を引算したものをDIFFと称する。DIFFは、セル2608内のスポット2604の位置の尺度を提供する。出願人は、AF信号=DIFF/SUMのように、DIFFをSUMで正規化することによって、自動焦点信号を生成するのに役立つことを経験した。
【0143】
AF信号がゼロに近づくと、スポット2604は焦点に接近する(即ち、スポット2604は、第1セル2608-1と第2セル2608-2との間の境界上にある)。サンプルの焦点をシフトさせる必要がある場合、セル2608は、センサ上で定義されるように単純にシフトできる(例えば、左または右)。セル2608の幅が、わずかに焦点が外れた場合にスポット2604を見つけるのに十分に広くなるように、しかし、他の表面のスポット2604からの光を拾うほどには広くないように設計される。いくつかの実施形態では、セル2608の幅が、スポット2604の中心間の距離の半分以下である。図示のセンサは2次元センサであるが、いくつかの実施形態では、1次元センサが使用され(例えば、より速い応答を提供するため)、光の水平分布がDIFFを変化させるものであるためである。
【0144】
図27は、2つの画素グループ(例えば、
図26のセル2608)を横断してスポットを移動させる際のセルからの信号のグラフを示す。
図27は、第1セルからの第1信号2704-1(例えば、第2スポット2604-2が左から右に移動するとき、
図26の第1セル2608-1によって検出される光から)および、Zステージが焦点を通って上下に移動し、スポットが一方のセルから他方のセルに移動するとき、第2セルからの第2信号2704-2(例えば、
図26の第2セル2608-2によって検出される光から)を示す。
【0145】
図28は、焦点が変化するときの画素グループからの光の和と差の実施形態のグラフを示す。
図28では、セルのSUMとDIFFのプロットを示す。DIFF信号は、正の値と負の値の両方があることに注意する。
【0146】
図29は、自動焦点(AF)信号2904の一実施形態のグラフを示す。AF信号2904は、DIFFをSUMで除算することによって計算される。AF信号2904は、-1と+1の間の単位なし数字である。AF信号2904は、焦点エラーの大きさと方向を提供する。AF信号2904がゼロに等しい場合(例えば、スポットが
図26の両方のセル2608の間に均等にある場合)、スポットは合焦状態である。
【0147】
AF信号および/またはSUMは、Zステージコントローラに出力される。例えば、BrainBox(例えば、モデルED-560)コンピュータ制御出力、またはアナログ信号ドライバを含むことができるカスタム電子回路が使用できる。
【0148】
(
図30~
図31 表面のヒートマップ)
自動焦点システムを使用して、フローセル内の水ギャップを測定できる。
図30と
図31のヒートマップは、T7フローセル上の60×60mmの領域をカバーする。
【0149】
図30は、フローセルの一実施形態の表面高さのヒートマップを示す。
図30は、フローセルのシリコン表面の高さを示す。高さは、平均より+7~-5μmの範囲で変化する。
【0150】
図31は、フローセルの一実施形態の厚さのヒートマップを示す。同様の走査が、フローセルのカバースリップの表面上で実行される。シリコン表面のZ位置をカバースリップのZ位置から引き算して、水ギャップを測定する。
図31は、差分ΔZが29±4μmにほぼ等しいことを示す。屈折を補正すると、実際のギャップ測定値ΔZは~50±6μmになる。この結果は、フローセルの品質管理データと一致している。ギャップ変動は、対物レンズ(例えば、
図20のレンズシステム2028)の焦点深度に比べて大きい。
【0151】
(
図32~
図34 センシングの遅延(lag))
図32は、Zステージが移動するときの検出器の一実施形態の遅延時間のチャートを示す。TDIカメラとフレームグラバー(取り込み装置)を使用した実装では遅延が生じることが予想された。遅延を測定するために、Zステージを上下に駆動し(Z位置を変化させる)、自動焦点(AF)信号を記録した。取得されたデータは、AF信号が実際のZステージの動きより約11ms遅延することを示す。いくつかのアルゴリズムの改善により、遅延は、約2ミリ秒に減少した。遅延をさらに減少するには、1次元センサアレイおよび/またはカスタム電子回路が使用できる。
【0152】
走査中に焦点を合わせ続けるAFシステムの能力が、(1)表面の平坦度、および(2)検出器の遅延時間に依存する。トラッキングエラーを測定する1つの方法は、表面に沿って(たとえば、Y方向に)前後に走査し、Z差分を見ることである。
【0153】
図33と
図34は、フローセルの表面の実施形態の走査中の自動焦点エラーを計算するために使用されるチャートを示す。
図33には、Y位置-時間、およびZ位置-時間を示しており、自動焦点は表面を追跡している。
図34は、様々な走査速度でのZ位置-Y位置を示す。AFトラッキングエラーは、同じ色の2つのカーブ間の垂直方向の差の半分である。例えば、青(6mm/s):誤差<0.1μm。赤(60mm/秒):誤差<1μm(いくつかの実施形態では大き過ぎる)。
【0154】
(
図35~
図37 焦点スイープ)
図35は、焦点スイープ中のカバースリップの実施形態の表面の一連の画像またはスライド3504を示す。焦点スイープは、最善の焦点の設定を見つけるための粗い焦点スイープである。1から7まで番号が付与された7つのスライド3504が存在する。画像は、DNAナノボール(DNB)も示している。
【0155】
図36は、焦点スイープ中の焦点スコアプロットの一実施形態のチャートである。横軸は、
図35からのスライドに対応する。
図35の第1スライド3504-1は、チャート上の「-3」に対応し、
図35の第7スライド3504-7は、チャート上の「3」に対応する。値「1」の位置は、
図35の第5スライド3504-5に対応しており、最も鮮鋭な焦点状態の画像である。
【0156】
図37は、パターン化されたカバースリップ表面上で、30mm/秒で走査された一連の走査画像を示しており、カバースリップは、カバースリップに付着したDNBを有する。中央の画像は、前回の走査からの褪色(bleaching)に起因してより暗い。
【0157】
(
図38 フローセルを撮像するためのプロセス)
図38には、フローセルを撮像するためのプロセス3800の一実施形態のフローチャートを示す。プロセス3800は、光源を用いて検体を照射するステップ3804で開始する。検体はキャリアの上にあり、キャリアは可動ステージに取り付けられる。検体は、光源の光ビームをレンズシステムを通して検体に伝送することによって照射される。光ビームは、光学経路によって特徴付けられる。レンズシステムは、光軸によって特徴付けられる。キャリアに入射する光ビームの光学経路は、レンズシステムの光軸と平行ではない(例えば、
図21に示すように)。
【0158】
ステップ3808では、レンズシステムを使用して、検体からの光が検出器上に合焦される。ステップ3812では、検体からの光が検出器によって検出される。
【0159】
(
図39 自動焦点のためのプロセス)
図39には、フローセルの自動焦点のためのプロセス3900の一実施形態のフローチャートを示す。プロセス3900は、検出器上に第1画素ブロックと第2画素ブロックを画定するステップ3904で開始する。例えば、
図26の第1セル2608-1および第2セル2608-2は、
図20の検出器2024のセンサ上に画定される。
【0160】
ステップ3908では、検体が軸外光ビームで照射される。次に、検体からの光は、検体からの光がレンズシステムを通過した後、検出器によって検出される(ステップ3912)。
【0161】
ステップ3916では、第1光強度が計算され、第2光強度が計算され、第1光強度は、検出器の第1画素ブロックによって検出された光に基づいて計算され、第2光強度は、検出器の第2画素ブロックによって検出された光に基づいて計算される。そして、第1光強度は、第2光強度と比較され(例えば、
図26~
図29で説明したようにSUMおよびDIFFを計算する)、焦点エラー信号を生成する(例えば、
図20の補正信号を生成し、これは
図20の制御信号を生成するために使用され、いくつかの実施形態では、
図20のアナログ出力2038は、
図32からのAF信号を含む)(ステップ3920)。
【0162】
ステップ3924では、焦点エラー信号に基づいて、レンズシステムと検体との間の距離が調整される。例えば、
図20のZステージは、レンズシステム2028に対してZ方向に近づいたり、および/または、遠ざかるように移動される。
【0163】
いくつかの実施形態では、検体は第1検体であり、この方法はさらに、キャリアの第2表面上にある第2検体に焦点を合わせるステップを含む。例えば、第1検体はカバースリップの底面上にあり、第2検体はフローセルの基板(例えば、ガラスまたはシリコン基板)上、または第2カバースリップの表面上にある。
【0164】
(
図40 コンピュータデバイス)
図40は、コンピュータデバイス4000の簡略化したブロック図である。コンピュータデバイス4000は、電子ストレージまたは処理を使用する上述した機能、動作、および/または能力の一部または全て、ならびに明示的に説明していない他の機能、動作、または能力を実装できる。コンピュータデバイス4000は、処理サブシステム4002、ストレージサブシステム4004、ユーザインタフェース4006、および/または通信インタフェース4008を含む。コンピュータデバイス4000はまた、バッテリ、電力コントローラなどの他のコンポーネント(明示的に図示していない)、および種々の強化された能力を提供するように動作可能な他のコンポーネントなどを含むこともできる。種々の実施形態において、コンピュータデバイス4000は、デスクトップまたはラップトップコンピュータ、モバイルデバイス(例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、モバイルフォン)、ウェアラブルデバイス、メディアデバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または上述した機能または機能の組合せを実行するように設計された電子ユニットに実装できる。
【0165】
ストレージサブシステム4004は、ローカルストレージおよび/またはリムーバブルストレージ媒体を使用して、例えば、ディスク、フラッシュメモリ(例えば、セキュアデジタルカード、ユニバーサルシリアルバスフラッシュドライブ)、または任意の他の非一時的ストレージ媒体、またはそれらの組み合わせを使用して実装でき、揮発性および/または不揮発性記憶媒体を含むことができる。ローカルストレージには、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、またはバッテリバックアップ式RAMを含むランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ストレージサブシステム4004は、コンピュータを使用して実行される上記の動作の一部または全てを実装するためのプログラムを含む、処理サブシステム4002によって実行される1つまたは複数のアプリケーションおよび/またはオペレーティングシステムプログラムを格納できる。例えば、ストレージサブシステム4004は、上述の1つ以上の方法ステップを実装するための1つ以上のコードモジュール4010を格納できる。
【0166】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアの実装は、モジュール(例えば、手順、機能など)を使用して実装できる。命令を有体的に具現化した機械可読媒体は、ここに記載の方法論を実装する際に使用できる。コードモジュール4010(例えば、メモリに格納された命令)は、プロセッサ内で実装されてもよく、プロセッサの外部で実装されてもよい。ここで使用される用語「メモリ」は、長期、短期、揮発性、不揮発性、またはその他の記憶媒体のタイプを参照し、特定のタイプのメモリ、メモリの数、または記憶が格納される媒体のタイプに限定されない。。
【0167】
さらに、用語「記憶媒体」または「記憶装置」は、読み取り専用メモリ(ROM)、RAM、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、および/または、情報を保存するための他の機械可読媒体を含む、1つまたは複数のメモリを表すことがある。用語「機械可読媒体」は、これらに限定されないが、ポータブルまたは固定記憶装置、光記憶装置、無線チャネル、および/または、命令および/またはデータを記憶できる様々な他の記憶媒体が含む。
【0168】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、および/または、それらの任意の組み合わせによって実装できる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、および/またはマイクロコードで実装される場合、タスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの機械可読媒体に記憶できる。コードセグメント(例えば、コードモジュール4010)または機械実行可能命令は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、または命令、データ構造、プログラムステートメントの組み合わせを表現できる。コードセグメントが、情報、データ、引数、パラメータ、および/またはメモリ内容を受け渡しおよび/または受信することによって、他のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合できる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージパッシング、トークンパッシング、ネットワーク送信などの適切な手段によって受け渡し、転送、または送信できる。
【0169】
上述のテクニック、ブロック、ステップ、および手段の実装は、種々の方法で行うことができる。例えば、これらのテクニック、ブロック、ステップ、および手段は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装できる。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数のASIC、DSP、DSPD、PLD、FPGA、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上記の機能を実行するように設計された他の電子ユニット、および/またはそれらの組み合わせの内部で実装できる。
【0170】
各コードモジュール4010は、コンピュータデバイス4000のプロセッサに、対応する動作を実行するように指示する、コンピュータ可読媒体上に具現化された命令(コード)のセットを備えてもよい。命令は、順次、並行して(例えば、異なる処理スレッドの下で)、またはそれらの組み合わせで実行するように構成できる。コードモジュール4010を汎用コンピュータシステムにロードした後、汎用コンピュータは専用コンピュータシステムに変換される。
【0171】
ここに記載される様々な特徴(例えば、1つ以上のコードモジュール4010)を組み込んだコンピュータプログラムは、エンコードされ、様々なコンピュータ可読記憶媒体に記憶できる。プログラムコードでエンコードされたコンピュータ可読媒体は、互換性のある電子デバイスとともにパッケージ化しもよく、プログラムコードは、電子デバイスとは別個に提供されてもよい(例えば、インターネットダウンロードを介して、または別個にパッケージ化されたコンピュータ可読記憶媒体として)。ストレージサブシステム4004は、通信インタフェース4008を使用してネットワーク接続を確立するのに役立つ情報を格納できる。
【0172】
ユーザインタフェース4006は、入力デバイス(例えば、タッチパッド、タッチスクリーン、スクロールホイール、クリックホイール、ダイヤル、ボタン、スイッチ、キーパッド、マイクなど)と、そして出力デバイス(例えば、ビデオスクリーン、インジケータライト、スピーカー、ヘッドフォンジャック、仮想現実または拡張現実ディスプレイなど)と、サポートする電子機器(デジタルからアナログまたはアナログからデジタルへのコンバータ、信号プロセッサーなど)とを含むことができる。ユーザが、ユーザインタフェース4006の入力デバイスを操作してコンピュータデバイス4000の機能を呼び出すことができ、そしてユーザインタフェース4006の出力デバイスを介してコンピュータデバイス4000からの出力を見たり聞いたりできる。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース4006は存在しない場合がある(例えば、ASICを使用するプロセスの場合)。
【0173】
処理サブシステム4002は、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、集積回路、1つまたは複数のシングルコアまたはマルチコアマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置、グラフィックス処理装置など)として実装できる。動作の際、処理サブシステム4002は、コンピュータデバイス4000の動作を制御できる。いくつかの実施形態では、処理サブシステム4002は、プログラムコードに応答して種々のプログラムを実行でき、複数の同時実行プログラムまたはプロセスを維持できる。所与の時点で、実行されるプログラムコードの一部または全ては、処理サブシステム4002内、および/または、ストレージサブシステム4004などのストレージ媒体内に常駐できる。プログラミングを通じて、処理サブシステム4002は、コンピュータデバイス4000に種々の機能を提供できる。処理サブシステム4002はまた、ストレージサブシステム4004に格納できるプログラムを含む、コンピュータデバイス4000の他の機能を制御する他のプログラムを実行できる。
【0174】
通信インタフェース4008は、コンピュータデバイス4000のために音声および/またはデータ通信機能を提供できる。いくつかの実施形態では、通信インタフェース4008は、無線データネットワーク(例えば、Wi-Fiネットワーク、3G、4G/LTEなど)にアクセスするための無線周波数(RF)トランシーバコンポーネント、モバイル通信技術、短距離無線通信(例えば、Bluetooth通信規格、NFCなど)、他のコンポーネント、またはテクノロジーの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、通信インタフェース4008は、無線インタフェースに加えて、またはその代わりに、有線接続(例えば、ユニバーサルシリアルバス、イーサネット、ユニバーサル非同期受信機/送信機など)を提供できる。通信インタフェース4008は、ハードウェア(例えば、ドライバ回路、アンテナ、変調器/復調器、エンコーダ/デコーダ、および他のアナログおよび/またはデジタル信号処理回路)およびソフトウェアコンポーネントの組み合わせを使用して実装できる。いくつかの実施形態では、通信インタフェース4008は、複数の通信チャネルを同時にサポートできる。いくつかの実施形態では、通信インタフェース4008は使用しない。
【0175】
コンピュータデバイス4000は例示的なものであり、変形および変更が可能であることが理解されよう。コンピュータデバイスが、特に説明していない種々の機能(例えば、携帯電話ネットワークを介した音声通信)を有することができ、そのような機能に適切なコンポーネントを含むことができる。
【0176】
さらに、コンピュータデバイス4000は特定のブロックを参照して説明しているが、これらのブロックは、説明の便宜のために定義しており、コンポーネントの特定の物理的配置を意味することを意図していないことは理解されたい。例えば、処理サブシステム4002、ストレージサブシステム4004、ユーザインタフェース4006、および/または通信インタフェース4008は、1つのデバイス内に存在でき、あるいは、複数のデバイスに分散できる。
【0177】
さらに、ブロックは、物理的に別個のコンポーネントに対応する必要はない。ブロックは、例えば、プロセッサをプログラムしたり、適切な制御回路を提供することによって、種々の動作を実行するように構成でき、種々のブロックは、どのように初期構成を取得するかに応じて再構成可能でもよく、再構成可能でなくてもよい。本発明の実施形態は、回路とソフトウェアの組み合わせを使用して実装される電子デバイスを含む種々の装置で実現できる。ここで説明する電子デバイスは、コンピュータデバイス4000を使用して実装できる。
【0178】
ここで説明する種々の特徴、例えば、方法、装置、コンピュータ可読媒体などは、専用コンポーネント、プログラマブルプロセッサ、および/または他のプログラマブルデバイスの組み合わせを使用して実現できる。ここで説明するプロセスは、同じプロセッサまたは異なるプロセッサ上で実装できる。コンポーネントが特定の動作を実行するように構成されるように説明している場合、こうした構成は、例えば、動作を実行する電子回路を設計することによって、動作を実行するようにプログラマブル電子回路(マイクロプロセッサなど)をプログラムすることによって、またはそれらの組み合わせによって達成できる。さらに、上述の実施形態は、特定のハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントを参照しているが、当業者は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントの異なる組み合わせも使用できること、そして、ハードウェアで実装されるものとして説明される特定の動作は、ソフトウェアに実装でき、その逆も同様であることを理解するであろう。
【0179】
実施形態の理解を提供するために、具体的な詳細が上記の説明で与えられている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても実施形態を実施できることが理解されよう。いくつかの場合、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術は、実施形態を曖昧にすることを避けるために、不要な詳細なしで示される場合がある。
【0180】
本開示の原理を特定の装置および方法に関連して上述したが、この説明は単に例としてなされたものであり、本開示の範囲を限定するものではないことは理解されよう。実施形態は、本発明の原理および実際の応用を説明するために選択され説明され、他の当業者は、想定される特定の用途に適するように、種々の実施形態において、種々の変更とともに本発明を利用できるようになる。この説明は、変更および均等物をカバーすることを意図していることが理解されよう。
【0181】
また、実施形態は、フローチャート、フローダイヤグラム、データフローダイヤグラム、構造ダイヤグラム、またはブロックダイヤグラムとして表現されるプロセスとして説明できることに留意されよう。フローチャートは、動作を順次プロセスとして記述できるが、動作の多くは、並列または同時に実行できまる。さらに、動作の順序は、再配置してもよい。その動作が完了すると、プロセスが終了するが、図には含まれていない追加のステップを含んでもよい。プロセスが、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応する場合がある。
【0182】
「a」、「an」、または「the」という記述は、特に反対の記載がない限り、「1つまたは複数」を意味することを意図している。ここで言及している特許、特許出願、出刊行物および説明は、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。先行技術と認められるものはない。
【国際調査報告】