(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/346 20210101AFI20240814BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20240814BHJP
A61B 5/327 20210101ALI20240814BHJP
【FI】
A61B5/346
A61B5/332
A61B5/327
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508482
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2022012215
(87)【国際公開番号】W WO2023022484
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0107768
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523010225
【氏名又は名称】メディカル・エーアイ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Medical AI Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】163, Yangjaecheon-ro Gangnam-gu Seoul 06302 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】クォン・ジュン・ミョン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127GG10
4C127GG13
4C127GG15
4C127KK03
(57)【要約】
本発明は、2電極を備え、2個以上の電気軸の心電図を時差を置いてそれぞれ測定して非同期心電図データを獲得する単一誘導心電図測定部(110)と、同じ電気軸で測定された標準誘導心電図及び標準誘導心電図に相応する疾患の有無及び疾患の程度をマッチングした標準複数心電図データセットを学習して予め構築した診断アルゴリズム(121)を介して、単一誘導心電図測定部(110)から入力された非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測する予測部(120)と、を含み、単一誘導心電図機器によって測定された2誘導以上の非同期心電図データから疾患を予測することができる、単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムを開示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の電極を備え、2個以上の電気軸の心電図を時差を置いてそれぞれ測定して非同期心電図データを獲得する単一誘導心電図測定部と、
同じ電気軸で測定された標準誘導心電図及び前記標準誘導心電図に相応する疾患の有無及び疾患の程度をマッチングした標準複数心電図データセットを学習して予め構築した診断アルゴリズムを介して、前記単一誘導心電図測定部から入力された非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測する予測部と、を含む、
単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項2】
前記診断アルゴリズムは、非同期で測定された標準誘導心電図データを入力として前記標準誘導心電図データに相応する疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測するように構築されることを特徴とする、
請求項1に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項3】
前記診断アルゴリズムは、同期で測定された標準誘導心電図データから時系列的情報を削除した標準誘導心電図データを入力として前記標準誘導心電図データに相応する疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測するように構築されることを特徴とする、
請求項1に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項4】
前記診断アルゴリズムは、前記単一誘導心電図測定部から時差を置いて測定されて入力された複数の非同期心電図データを同期心電図データに変換し、変換された同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測するように構築されることを特徴とする、
請求項1に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項5】
前記単一誘導心電図測定部によって測定された複数の非同期心電図データに基づいて、前記単一誘導心電図測定部によって測定されなくて前記標準誘導心電図とマッチングしない複数の標準誘導心電図データを生成する心電図データ生成部をさらに含み、
前記診断アルゴリズムは、前記測定された非同期心電図データ及び前記生成された標準誘導心電図データを入力とするか、又は前記生成された標準誘導心電図データを入力として、疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測することを特徴とする、
請求項4に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項6】
前記診断アルゴリズムは、被検診者の個別特性情報を反映して学習し、
前記予測部は、前記個別特性情報を反映して、前記単一誘導心電図測定部による非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測することを特徴とする、
請求項1に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項7】
前記個別特性情報は、性別及び年齢の人口学的情報と、体重、背及び肥満度の基本健康情報と、過去歴、薬物歴及び家族歴の疾患関連情報と、血液検査、遺伝子検査、血圧及び酸素飽和度などの活力徴候及び生体信号の検査情報と、を含むことを特徴とする、
請求項6に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項8】
前記単一誘導心電図測定部は、ウェアラブル心電図パッチ、スマートウォッチ、又は心電図バーを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【請求項9】
前記予測部は、前記単一誘導心電図測定部で測定された非同期心電図データを特定の数式を介して数値データとして生成するデータ変換モジュールをさらに含み、
前記診断アルゴリズムは、前記非同期心電図データに相当する数値データを入力とすることを特徴とする、
請求項1に記載の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は単一誘導心電図機器又は6誘導心電図機器を活用して2誘導以上の非同期心電図を簡便に測定することができ、測定された2誘導以上の非同期心電図データから疾患を予測することができる、単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムに関する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
周知のように、心電図の開発の後、心電図関連知識は幾何級数的に拡大し、心電図検査で心臓の電気的機能についての情報を収得し、不整脈、冠状動脈疾患、心筋疾患などの多様な心臓疾患を診断することができる。
【0004】
最近、心電図のAIアルゴリズムに対する研究が活発に行われており、AIアルゴリズムによって心不全を感知し、不整脈リズムから心房細動を予測するか、又は性別を決定することもある。
【0005】
このように、人間の限界を克服して、AIアルゴリズムによって心電図波形の微妙な変化を感知することができ、ひいては心電図解釈を向上させることもできる。
【0006】
一方、医療分野で使用されている心電図は12誘導心電図であり、3個の四肢電極、6個の胸部電極及び1個の接地電極の10個の電極を付着して測定し、測定された心電図データを遠隔伝送することができる。
【0007】
しかし、日常生活で胸部位を露出し、10個の電極を付着して使用することは不便であるので、単一の誘導心電図の測定が可能な携帯用パッド測定機器、ギャラクシーウォッチ、アップルウォッチなどを使用することもある。
【0008】
このように測定された単一誘導心電図は不整脈の診断には使用することができるが、心筋梗塞のような多様な誘導の心電図情報が必要な疾患の診断に使用するのには限界がある。
【0009】
したがって、単一誘導心電図機器又は6誘導心電図機器を活用して2誘導以上の非同期心電図を簡便に測定することができ、測定された2誘導以上の非同期心電図データから疾患を予測することができる技術が要求される。
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の思想が達成しようとする技術的課題は、単一誘導心電図機器又は6誘導心電図機器を活用して2誘導以上の非同期心電図を簡便に測定することができ、測定された2誘導以上の非同期心電図データから疾患を予測することができる、単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明の実施例は、2個の電極を備え、2個以上の電気軸の心電図を時差を置いてそれぞれ測定して非同期心電図データを獲得する単一誘導心電図測定部と、同じ電気軸で測定された標準誘導心電図及び標準誘導心電図に相応する疾患の有無及び疾患の程度をマッチングした標準複数心電図データセットを学習して予め構築した診断アルゴリズムを介して、単一誘導心電図測定部から入力された非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測する予測部と、を含む、単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムを提供する。
【0014】
【0015】
ここで、前記診断アルゴリズムは、非同期で測定された標準誘導心電図データを入力として前記標準誘導心電図データに相応する疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測するように構築され得る。
【0016】
【0017】
また、前記診断アルゴリズムは、同期で測定された標準誘導心電図データから時系列的情報を削除した標準誘導心電図データを入力として、前記標準誘導心電図データに相応する疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測するように構築され得る。
【0018】
【0019】
また、前記診断アルゴリズムは、前記単一誘導心電図測定部から時差を置いて測定されて入力された複数の非同期心電図データを同期心電図データに変換し、変換された同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測するように構築され得る。
【0020】
【0021】
また、前記単一誘導心電図測定部によって測定された複数の非同期心電図データに基づいて、前記単一誘導心電図測定部によって測定されなくて前記標準誘導心電図とマッチングしない複数の標準誘導心電図データを生成する心電図データ生成部をさらに含み、前記診断アルゴリズムは、前記測定された非同期心電図データ及び前記生成された標準誘導心電図データを入力とするか、又は前記生成された標準誘導心電図データを入力として、疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測することができる。
【0022】
【0023】
また、前記診断アルゴリズムは、被検診者の個別特性情報を反映して学習し、前記予測部は、前記個別特性情報を反映して、前記単一誘導心電図測定部による非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測することができる。
【0024】
【0025】
また、前記個別特性情報は、性別及び年齢の人口学的情報と、体重、背及び肥満度の基本健康情報と、過去歴、薬物歴及び家族歴の疾患関連情報と、血液検査、遺伝子検査、血圧及び酸素飽和度などの活力徴候及び生体信号の検査情報と、を含むことができる。
【0026】
【0027】
また、前記単一誘導心電図測定部は、ウェアラブル心電図パッチ、スマートウォッチ、又は心電図バーを含むことができる。
【0028】
【0029】
また、前記予測部は、前記単一誘導心電図測定部で測定された非同期心電図データを特定の数式を介して数値データとして生成するデータ変換モジュールをさらに含み、前記診断アルゴリズムは前記非同期心電図データに相当する数値データを入力とすることができる。
【0030】
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、単一誘導心電図機器又は6誘導心電図機器を活用して2誘導以上の非同期心電図を簡便に測定することができ、測定された2誘導以上の非同期心電図データから疾患を予測することができ、2誘導以上の非同期心電図データから多チャンネル心電図データを生成することにより、より高い正確度で疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測することができる効果がある。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施例による単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムの構成図である。
【0034】
【
図2】
図1の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムによる予測方法のフローチャートである。
【0035】
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に基づいて前述した特徴を有する本発明の実施例をより詳細に説明する。
【0037】
【0038】
本発明の実施例による単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムは、2電極を備え、2個以上の電気軸の心電図を時差を置いてそれぞれ測定して非同期心電図データを獲得する単一誘導心電図測定部110と、同じ電気軸で測定された標準誘導心電図及び標準誘導心電図に相応する疾患の有無及び疾患の程度をマッチングした標準複数心電図データセットを学習して予め構築した診断アルゴリズム121を介して、単一誘導心電図測定部110から入力された非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測する予測部120と、を含み、単一誘導心電図機器によって測定された2誘導以上の非同期心電図データから疾患を予測することを要旨とする。
【0039】
【0040】
以下、図面に基づいて、前述した構成の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムを具体的に詳述する。
【0041】
【0042】
まず、単一誘導心電図測定部110は、2個の電極を備えて被検診者の2ヶ所の身体に接触する方式で2個以上の電気軸の心電図を時差を置いてそれぞれ測定し、非同期心電図データを獲得して近距離ネットワークを介して予測部120に伝送する。
【0043】
例えば、両手にそれぞれ電極を接触して一つの電気軸に相当する誘導I(lead I)心電図を測定し、先の電極接触身体組合せと異なる右手及び左足首に各電極を接触して他の電気軸に相当する誘導II心電図を測定することにより、2個以上の相異なる電気軸の複数の非同期心電図をそれぞれ測定することができる。
【0044】
また、単一誘導心電図測定部110は、日常生活中に接触式又は非接触式の心電図測定が可能なウェアラブル心電図パッチ111、スマートウォッチ112又は短時間に測定される6誘導心電図バーを含んで非同期的又は同期的心電図を測定し、心電図データ生成部130によって複数の心電図をさらに生成して標準誘導心電図データから構築された診断アルゴリズム121に入力することにより、これに相応する健康状態を予測することができる。
【0045】
ここで、単一誘導心電図測定部110は、被検診者の連続的な心電図を測定して予測部120に伝送するか又は時間間隔を置いて2個の心電図を測定して予測部120に伝送することもできる。
【0046】
【0047】
その後、予測部120は予め学習された診断アルゴリズム121を介して単一誘導心電図測定部110の非同期心電図データから健康状態を予測する構成であり、先に単一誘導心電図測定部110で測定される心電図と同じ電気軸で測定された標準誘導心電図及び標準誘導心電図に相応する疾患の有無及び疾患の程度をマッチングした標準複数心電図データセットを学習して予め構築した診断アルゴリズム121を介して、単一誘導心電図測定部110から入力された非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測して健康状態を把握するようにする。
【0048】
すなわち、診断アルゴリズム121は、任意の電気軸に対して非同期で測定された標準誘導心電図データを入力として標準誘導心電図データに相応する疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測するように構築されることにより、単一誘導心電図測定部110から伝送される非同期心電図データから健康状態を予測することができる。ここで、標準誘導心電図データは2.5秒単位で分割されて保存され得るか又は非同期的に保存され得る。
【0049】
もしくは、診断アルゴリズム121は、複数の電気軸に対して同期で測定された標準誘導心電図データから時系列的情報を削除した標準誘導心電図データを入力として標準誘導心電図データに相応する疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測するように構築されることにより、単一誘導心電図測定部110から伝送される非同期心電図データから健康状態を予測することができる。
【0050】
もしくは、診断アルゴリズム121は、単一誘導心電図測定部110によって測定されて時差を置いて入力された複数の非同期心電図データを同期心電図データに変換することにより、変換された同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測するように構築することができる。
【0051】
よって、診断アルゴリズム121は、単一誘導心電図測定部110によって測定されて時差を置いて入力された複数の非同期心電図データを、非同期で測定された標準誘導心電図データ又は時系列的情報が削除された標準誘導心電図データ又は同期標準誘導心電図データにそれぞれマッチングすることができる。
【0052】
【0053】
また、心電図データ生成部130を介して、単一誘導心電図測定部110によって2個以上の電気軸に対して測定された複数の非同期心電図データに基づいて、単一誘導心電図測定部110によって測定されなくて標準誘導心電図とマッチングしない複数の標準誘導心電図データを生成し、診断アルゴリズム121は、単一誘導心電図測定部110によって測定された非同期心電図データ及び心電図データ生成部130によって生成された標準誘導心電図データを入力とするか、又は心電図データ生成部130によって生成された標準誘導心電図データを入力とすることにより、疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測することができる。
【0054】
ここで、複数の標準誘導心電図データの生成の際、各誘導別心電図の固有特性を把握し、単一誘導心電図測定部110から入力された非同期心電図データを該当の特定の標準誘導心電図データにマッチングし、特定の標準誘導心電図データにマッチングしない残りの標準誘導心電図データを生成して新しい複数の標準誘導心電図データを生成することができる。
【0055】
また、心電図データ生成部130は、生成された標準誘導心電図データは非同期又は同期心電図であり得る。前述したように、診断アルゴリズム121が非同期で測定された標準誘導心電図データを用いる場合、又は時系列的情報を削除した標準誘導心電図データを用いる場合、非同期心電図データを生成するか、又は同期化を考慮せずに心電図データを生成することができる。
【0056】
これにより、多誘導心電図で診断すべき疾患の有無に対する予測及び疾患の程度に対する診断を、単一誘導心電図測定部110によって測定される非同期心電図を活用して行うことにより、複数の心電図情報に基づいて疾患をより正確に分析して健康状態の計測、診断、検診及び予測ができるようにすることができる。
【0057】
例えば、不整脈のように、単一誘導で診断可能な疾患の場合には、2誘導の心電図及びこれに基づいて生成した複数の心電図を使用して各ビットの心電図を多様な電気軸で生成することにより、より正確な健康状態の計測、診断、検診及び予測が可能であり、心筋梗塞のように、複数誘導診断が可能な疾患の場合には、複数の心電図をさらに生成して心筋梗塞を診断することができる。
【0058】
もしくは、診断アルゴリズム121は、疾患診断のために、標準誘導心電図データのうち使用しようとする2誘導に相当する心電図データのみをもって健康状態の計測、診断、検診及び予測を行うモデルであり得るが、前述したように2誘導に限定せず、さらに生成された誘導の心電図データを使用することもできる。
【0059】
すなわち、大部分の医療機関で蓄積された心電図データは標準12誘導心電図データであり、心電図データ生成部130によって2誘導の心電図から標準12誘導心電図を生成し、このように生成された心電図を医療機関の標準12誘導心電図データから健康状態の計測、診断、検診及び予測を行うアルゴリズムに入力することにより、2誘導の心電図を活用してより正確な予測結果を出力することができ、より広範囲な健康状態を予測することができる。
【0060】
一例、単一誘導心電図測定部110による測定の際、心電図データにおいて一部誘導又は一部区間の心電図データにノイズが多く含まれるか又は電極接触が離れて測定が正常にできない場合、心電図データ生成部130によって、ノイズのない誘導の心電図を生成して脱落した心電図データを満たして入れることにより、より正確に健康状態の計測、診断、検診及び予測を行うことができる。
【0061】
また、単一誘導心電図測定部110及び予測部120によって、被検診者の普段の元気な状態の基準心電図を測定して健康状態をモニタリングし、その後、日常生活中に単一誘導心電図測定部110によって実時間で測定されて入力される心電図を基準心電図と比較することにより、心電図がエラーなしに測定された心電図であるか、又は被検診者の健康状態に異常がないかを予測し、エラー又は異常予測の際、警告部140によって警告情報を生成し、スマートウォッチ形態の単一誘導心電図測定部110又は別途のスマート機器を介してビープ音とともに警告情報を伝送することができる。
【0062】
具体的には、使用初期に単一誘導心電図測定部110による基準心電図を保存した後、追加誘導の心電図を生成し、12誘導心電図を持続的にモニタリングすることができる。ここで、スマートウォッチ112を右手で取ってお腹に接触させて誘導II心電図を測定して基準心電図として保存した後、普段にはスマートウォッチ112を左手に嵌め、右手で接触して誘導I心電図を測定し、同時にこれを活用して誘導II心電図を含む複数の心電図誘導を生成することにより、スマートウォッチ112を活用してより多様な健康状態の計測、診断、検診及び予測を行うことができる。
【0063】
もしくは、ウェアラブル心電図パッチ111を付けるに先立ち、これを両手で取って誘導I誘導心電図を測定して基準心電図として保存した後、ウェアラブル心電図パッチ111を付けて誘導V心電図を測定し、連続的に測定されるか又はモニタリングされる誘導V心電図に基づいて複数誘導の同期化した心電図を生成することにより、より正確な健康状態の計測、診断、検診及び予測を行うことができる。
【0064】
また、診断アルゴリズム121は、被検診者の個別特性情報を反映して学習し、予測部120は、個別特性情報を反映して、単一誘導心電図測定部110による非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測することができる。
【0065】
【0066】
例えば、診断アルゴリズム121の学習の際に活用される標準誘導心電図データの適用の際、個別特性情報を反映し、これに相応する疾患の有無及び疾患の程度を予測するか、又は単一誘導心電図測定部110によって心電図を測定する被検診者の個別特性情報を反映して心電図データ生成部130による標準誘導心電図データを生成することにより、これに相応する疾患の有無及び疾患の程度を予測することができる。
【0067】
ここで、個別特性情報は、被検診者の性別及び年齢の人口学的情報と、体重、背及び肥満度の基本健康情報と、過去歴、薬物歴及び家族歴の疾患関連情報と、血液検査、遺伝子検査、血圧、酸素飽和度などの活力徴候及び生体信号の検査情報と、を含むことができる。
【0068】
【0069】
一方、予測部120は、グラフ化した心電図だけでなく、数値化した心電図を入力とすることができ、例えば、単一誘導心電図測定部110によって測定された非同期心電図データを特定の数式によって心電図に相当する数値データに変換して生成するデータ変換モジュール122をさらに含み、診断アルゴリズム121は、非同期心電図データに相当する数値データを入力として健康状態を予測することもできる。
【0070】
【0071】
また、診断アルゴリズム121は、合成積ニューラルネットワーク、LSTM、RNN、MLPなどの多様な方法のディープラーニングモデルによって構築され、ロッジスティック回帰、原則に基づくモデル、ランダムフォレスト、サポートベクターマシンなどの多様な機械学習モデルによって構築され得る。
【0072】
例えば、診断アルゴリズム121は、時差を置いて相異なる時点で測定された2個以上の心電図データを活用したディープラーニングモデルによって構築され得る。ここで、2個以上の心電図を一つの心電図データに統合して入力することができるか、又は2個以上の心電図をそれぞれディープラーニングモデルに入力した後、中間に計測されたセマンティック特徴、すなわち空間的時系列的特徴を抽出した後、これに基づいて2個の心電図を比較することにより、単一誘導心電図測定部110による測定時点での健康状態又は未来の健康状態に対する計測、診断、検診及び予測を行うことができる。
【0073】
ここで、2以上の時点で測定された心電図を混合する方法としては、単一心電図をビット別に分割した後、相異なる時点で測定された同じ誘導のビットを対にして入力するか、又は入力の後、抽出されたセマンティック特徴又は結果値を互いに比較することができる。
【0074】
もしくは、2以上の時点で測定された心電図をビットに分割せず、心電図データ自体を統合することもできる。ここで、2以上の時点の心電図データをそのまま融合して入力するか、又は各誘導別に区分して融合した後、これを入力することができ、相異なる時点に測定された心電図をそれぞれディープラーニングモデルのディープラーニング層に入力した後、セマンティック特徴を抽出するか又は出力値を抽出した後、これを融合して最終結論を出力することもでき、相異なる時点の心電図を各誘導別に区分した後、ディープラーニング層に入力し、ディープラーニングによって抽出された特徴又は出力値を後段で融合して最終結論を出力することもできる。
【0075】
ここで、2以上の時点の心電図を混合して使用するときは、非同期状態で入力することもできるか、ビット単位で同期化させるか、又はディープラーニングに基づいて同期化して心電図を融合して使用することもできる。
【0076】
すなわち、標準誘導心電図データを活用してディープラーニングモデルを構築することができる。ここで、各時点で1個の心電図を入力して健康状態を計測、診断、検診及び予測するディープラーニングモデルを開発した後、当該ディープラーニングモデルを活用して2以上の時点に測定された心電図を当該ディープラーニングモデルに入力した後、ディープラーニングモデルから出力するセマンティック特徴又は最終出力値を総合して結果を予測することができる。
【0077】
前述したように、最終出力値を総合する方法としては、合成積ニューラルネットワーク、LSTM、RNN、MLPなどの多様なディープラーニング方法を使用することができ、ロッジスティック回帰、原則に基づくモデル、ランダムフォレスト、サポートベクターマシンなどの多様な機械学習方法を使用することもできる。
【0078】
【0079】
前述したような予測部120により、循環系統の疾患と、内分泌、栄養及び代謝疾患と、新生物疾患と、精神及び行動障害と、神経系統の疾患と、目及び附属器の疾患と、耳及び乳様突起の疾患と、呼吸系統の疾患と、消化系統の疾患と、皮膚及び皮膚組職の疾患と、筋骨格系統及び結合組織の疾患と、泌尿生殖系統の疾患と、姙娠、出産及び産後期の疾患と、先天奇形、変形及び染色体異常と、を診断して予測することができる。
【0080】
その他にも、予測部120により、身体外傷による損傷を確認し、予後を確認し、痛症を計測することができ、外傷による死亡危険性や悪化危険性を予測することができ、併発した合併症を捕捉するか又は予測することができ、出生の前後期に現れる特定の病態を把握することもできる。
【0081】
また、予測部120により、ヘルスケア領域として、老化、睡眠、体重、血圧、血糖、酸素飽和度、新陳代謝、ストレス、緊張、恐怖、飲酒、喫煙、問題行動、肺活量、運動量、痛症管理、肥満、体質量、体成分、メニュー、運動種類、生活パターン推薦、応急状況管理、晩成疾患管理、薬剤処方、検査推薦、検診推薦、看病、遠隔健康管理、遠隔診療、予防接種及び接種後管理などのサービスにつながることができる被検診者の健康状態を計測、診断、検診及び予測することができる。
【0082】
【0083】
図2は
図1の単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムによる予測方法のフローチャートを示す。これを参照して具体的に詳述すると次のようである。
【0084】
まず、2個の電極を備えている単一誘導心電図測定部110により、2個の電極を備えて被検診者の2ヶ所の身体に接触する方式で2個以上の電気軸の心電図を時差を置いてそれぞれ測定し、非同期心電図データを獲得し、近距離通信を介して予測部120に伝送する(S110)。
【0085】
その後、予測部120により、予め学習された診断アルゴリズム121によって単一誘導心電図測定部110の非同期心電図データから健康状態を予測する段階であって、先に単一誘導心電図測定部110で測定される心電図と同じ電気軸で測定された標準誘導心電図及び標準誘導心電図に相応する疾患の有無及び疾患の程度をマッチングした標準複数心電図データセットを学習して予め構築した診断アルゴリズム121により、単一誘導心電図測定部110から入力された非同期心電図データから疾患の有無及び疾患の程度を予測して健康状態を把握する。
【0086】
一方、心電図データ生成部130により、単一誘導心電図測定部110によって2個以上の電気軸に対して測定された複数の非同期心電図データに基づいて、単一誘導心電図測定部110によって測定されなくて標準誘導心電図とマッチングしない複数の標準誘導心電図データを生成し(S130)、診断アルゴリズム121は、単一誘導心電図測定部110によって測定された非同期心電図データ及び心電図データ生成部130によって生成された標準誘導心電図データを入力とするか、又は心電図データ生成部130によって生成された標準誘導心電図データを入力とし、疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測することができる。
【0087】
その後、警告部140により、単一誘導心電図測定部110及び予測部120によって被検診者の普段の元気な状態の基準心電図を測定して健康状態をモニタリングし、その後、日常生活中に単一誘導心電図測定部110によって実時間で測定されて入力される心電図を基準心電図と比較して、心電図がエラーなしに測定された心電図であるか、又は被検診者の健康状態に異常がないかを予測し、エラーや異常予測の際、警告情報を生成し、スマートウォッチ形態の単一誘導心電図測定部110又は別途のスマート機器を介してビープ音とともに警告情報を伝送することができる。
【0088】
【0089】
したがって、前述したような単一誘導心電図機器を活用した健康状態予測システムの構成により、単一誘導心電図機器又は6誘導心電図機器を活用して2誘導以上の非同期心電図を簡便に測定することができ、測定された2誘導以上の非同期心電図データから疾患を予測することができ、2誘導以上の非同期心電図データから多チャンネル心電図データを生成することにより、より高い正確度で疾患の有無及び疾患の程度を出力して予測することができる。
【0090】
【0091】
本明細書に記載された実施例及び図面に示した構成は本発明の最良の一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全部代弁するものではないので、本出願の時点にこれらを取り替えることができる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0092】
110 :単一誘導心電図測定部
111 :ウェアラブル心電図パッチ
112 :スマートウォッチ
120 :予測部
121 :診断アルゴリズム
122 :データ変換モジュール
130 :心電図データ生成部
140 :警告部
【国際調査報告】