(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】接続式薬剤送出デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20240814BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/172
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024511989
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022073551
(87)【国際公開番号】W WO2023025835
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マレシャル,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】モンショワ,エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】デスパ,ミルシア
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066EE14
4C066HH02
4C066HH12
4C066QQ80
(57)【要約】
本明細書では、薬剤送出デバイスのためのプランジャデバイスであって、近位端部、及びストッパに取り付けられるように構成される遠位端部を有するプランジャロッドと、近位端部に配置される第1のスイッチ及び第2のスイッチと、第1のスイッチ及び第2のスイッチと通信する少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの通信インターフェースと、を備え、少なくとも1つのプロセッサが、第1のスイッチが作動されたとき、第1の信号を受信し、第1の時間データを生成し、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第1のタイムスタンプを送信し、第2のスイッチが作動されたとき、第2の信号を受信し、第2の時間データを生成し、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第2の時間データを送信するように、プログラム又は構成されるプランジャデバイスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送出デバイスのためのプランジャデバイスであって、
近位端部、及びストッパに取り付けられるように構成される遠位端部を有するプランジャロッドと、
前記近位端部に配置される第1のスイッチ及び第2のスイッチと、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチと通信する少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つの通信インターフェースと
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスイッチが作動されたとき、第1の信号を受信し、
第1の時間データを生成し、
前記少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第1のタイムスタンプを送信し、
前記第2のスイッチが作動されたとき、第2の信号を受信し、
第2の時間データを生成し、
前記少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、前記第2の時間データを送信するように、
プログラム又は構成されるプランジャデバイス。
【請求項2】
前記プランジャロッドが手動シリンジと共に使用されるように構成される、請求項1に記載のプランジャデバイス。
【請求項3】
前記プランジャロッドの前記近位端部は、
薬剤送出中に、ユーザの親指が接触するように構成される近位端部と、
前記プランジャロッドの前記近位端部に取り付けられる遠位端部と、
内部を前記近位端部と前記遠位端部との間に画定する側壁と、
を備えるハウジングを備える、請求項1に記載のプランジャデバイス。
【請求項4】
薬剤送出中にユーザが遠位方向の力を加えたとき、前記ハウジングの前記近位端部が、前記ハウジングの前記遠位端部に対して変位可能である、請求項3に記載のプランジャデバイス。
【請求項5】
前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、前記少なくとも1つのプロセッサ、及び前記少なくとも1つの通信インターフェースが前記ハウジングの前記内部に配置される、請求項4に記載のプランジャデバイス。
【請求項6】
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが機械的スイッチである、請求項5に記載のプランジャデバイス。
【請求項7】
前記ハウジングの前記近位端部が薬剤送出中に変位すると、前記第1のスイッチを作動させるように、前記第1のスイッチが前記ハウジング内に配置される、請求項6に記載のプランジャデバイス。
【請求項8】
薬剤送出の完了時に、前記第2のスイッチが作動するように、前記第2のスイッチが前記ハウジング内に配置される、請求項6に記載のプランジャデバイス。
【請求項9】
薬剤送出の完了時に、近位に移動し、前記第2のスイッチを作動させるように構成される変位可能要素を、前記ハウジングの前記遠位端部が備える、請求項8に記載のプランジャデバイス。
【請求項10】
前記通信インターフェースが、BLUETOOTH送信機である、請求項1に記載のプランジャデバイス。
【請求項11】
薬剤送出デバイスであって、
近位端部と、
遠位端部と、
医薬品を受け入れるように構成された内部を前記近位端部と前記遠位端部との間に画定するバレルと、
前記内部内に少なくとも部分的に受け入れられる、請求項1に記載のプランジャデバイスと、
を備える、薬剤送出デバイス。
【請求項12】
前記薬剤送出デバイスは、径方向外側に向けて延在する1つ又は複数のフィンガーフランジを前記近位端部に備える、請求項11に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項13】
前記ハウジングの前記遠位端部に配置される前記変位可能要素は、前記フランジに接触することによって近位に移動するように構成される、請求項12に記載の薬剤送出デバイス。
【請求項14】
医薬品送出のタイミングを監視する方法であって、
径方向外側に延在する1つ又は複数のフィンガーフランジを有するシリンジ近位端部と、
シリンジ遠位端部と、
医薬品を受け入れるように構成されたシリンジ内部を前記シリンジ近位端部と前記シリンジ遠位端部との間に画定するシリンジ側壁と、
前記シリンジ内部内に少なくとも部分的に受け入れられるプランジャデバイスであって、
近位端部と、
ストッパに取り付けられるか、又は前記ストッパに接触するように構成される遠位端部と、
前記プランジャデバイスの前記近位端部に配置されるハウジングであって、変位可能な近位端部、変位可能な要素を備えるハウジング遠位端部、及びハウジング内部を前記変位可能な近位端部と前記ハウジング遠位端部との間に画定するハウジング側壁を備えるハウジングと、
前記ハウジング内部に配置される第1のスイッチ及び第2のスイッチと、
前記ハウジング内部に配置され、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチと通信する少なくとも1つのプロセッサと、
前記ハウジング内部に配置され、前記少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つの通信インターフェースと、を備えるプランジャデバイスと、
を備えるシリンジを提供するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記第1のスイッチが作動されたことを示す第1の信号を受信するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、第1の時間データを生成するステップと、
前記少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、前記第1の時間データを送信するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記第2のスイッチが作動されたことを示す第2の信号を受信するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、第2の時間データを生成するステップと、
前記少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、前記第2の時間データを送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1のスイッチが前記ハウジングの前記近位端部の変位によって作動され、前記第2のスイッチが前記変位可能要素の変位によって作動される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、薬剤送出デバイス及びその構成要素に関し、特に、薬剤送出デバイスの注射状態の検出及び通信を可能にする構成要素に関する。
【0002】
また、本発明は、一般に、薬剤送出デバイスを用いて薬剤送出の開始及び停止を検出し、そのような薬剤送出情報を、薬剤送出デバイスのユーザに関連するモバイルデバイスに通信するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤送出デバイスは、従来、医療提供者が医薬品の適切な投与を、自動的に記録する、又は捕えて確認する、ことを可能にする機能を欠いていた。いくつかの医薬品の適時で適切な投与を確実にすることは、特に、例えば、正確な情報が不可欠である臨床試験における新規の薬剤の評価の場合に重要であり得る。
【0004】
例えば、薬物用量の投与を記録するための薬剤送出デバイスを開示する国際特許出願公開第2016/087512号パンフレット、第2017/070391号パンフレット、第2018/111969号パンフレット、第2018/213837号パンフレット、及び第2021/094797号パンフレット、並びに米国特許出願公開第2019/0083708号明細書、第2019/0321555号明細書、第2019/0344019号明細書、及び第2021/046247号明細書に記載されているように、いくつかのデバイスは、特定のタイプの情報を通信する能力を提供するが、当技術分野では、薬剤送出の開始と停止との両方を正確に検出し、この薬剤送出情報を適切な利害関係者に適時に通信することができる、費用効果の高い装置に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、薬剤送出デバイスのためのプランジャデバイスであって、近位端部、及びストッパに取り付けられるように構成される遠位端部を有するプランジャロッドと、近位端部に配置される第1のスイッチ及び第2のスイッチと、第1のスイッチ及び第2のスイッチと通信する少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの通信インターフェースと、を備え、少なくとも1つのプロセッサが、第1のスイッチが作動されたとき、第1の信号を受信し、第1の時間データを生成し、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第1のタイムスタンプを送信し、第2のスイッチが作動されたとき、第2の信号を受信し、第2の時間データを生成し、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第2の時間データを送信するように、プログラム又は構成されるプランジャデバイスを提供する。
【0006】
更に、本明細書では、薬剤送出デバイスであって、近位端部と、遠位端部と、医薬品を受け入れるように構成された内部を近位端部と遠位端部との間に画定するバレルと、本明細書に記載のプランジャデバイスと、を含む薬剤送出デバイスを提供する。
【0007】
更に、本明細書では、医薬品送出のタイミングを監視する方法であって、径方向外側に延在する1つ又は複数のフィンガーフランジを有するシリンジ近位端部と、シリンジ遠位端部と、医薬品を受け入れるように構成されたシリンジ内部をシリンジ近位端部とシリンジ遠位端部との間に画定するシリンジ側壁と、シリンジ内部内に少なくとも部分的に受け入れられるプランジャデバイスであって、近位端部と、ストッパに取り付けられるか又はストッパに接触するように構成される遠位端部と、プランジャデバイスの近位端部に配置されるハウジングであって、変位可能な近位端部、変位可能な要素を備えるハウジング遠位端部、及びハウジング内部を変位可能な近位端部とハウジング遠位端部との間に画定するハウジング側壁を備えるハウジングと、ハウジング内部に配置される第1のスイッチ及び第2のスイッチと、ハウジング内部に配置され、第1のスイッチ及び第2のスイッチと通信する少なくとも1つのプロセッサと、ハウジング内部に配置され、少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つの通信インターフェースと、を備えるプランジャデバイスと、を備えるシリンジを提供するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第1のスイッチが作動されたことを示す第1の信号を受信するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第1の時間データを生成するステップと、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第1の時間データを送信するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第2のスイッチが作動されたことを示す第2の信号を受信するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第2の時間データを生成するステップと、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第2の時間データを送信するステップと、を含む方法を提供する。
【0008】
他の例示的な実施形態又は態様を、番号を付した以下の節に記載する。
【0009】
節1.薬剤送出デバイスのためのプランジャデバイスであって、近位端部、及びストッパに取り付けられるように構成される遠位端部を有するプランジャロッドと、近位端部に配置される第1のスイッチ及び第2のスイッチと、第1のスイッチ及び第2のスイッチと通信する少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの通信インターフェースと、を備え、少なくとも1つのプロセッサが、第1のスイッチが作動されたとき、第1の信号を受信し、第1の時間データを生成し、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第1のタイムスタンプを送信し、第2のスイッチが作動されたとき、第2の信号を受信し、第2の時間データを生成し、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第2の時間データを送信するように、プログラム又は構成されるプランジャデバイス。
【0010】
節2.プランジャロッドが手動シリンジと共に使用されるように構成される、節1に記載のプランジャデバイス。
【0011】
節3.プランジャロッドの近位端部は、薬剤送出中にユーザの親指が接触するように構成される近位端部と、プランジャロッドの近位端部に取り付けられる遠位端部と、内部を近位端部と遠位端部との間に画定する側壁と、を備えるハウジングを備える、節1又は2に記載のプランジャデバイス。
【0012】
節4.薬剤送出中にユーザが遠位方向の力を加えたとき、ハウジングの近位端部がハウジングの遠位端部に対して変位可能である、節1から3のいずれか一節に記載のプランジャデバイス。
【0013】
節5.第1のスイッチ、第2のスイッチ、少なくとも1つのプロセッサ、及び少なくとも1つの通信インターフェースがハウジングの内部に配置される、節1から4のいずれか一節に記載のプランジャデバイス。
【0014】
節6.第1のスイッチ及び第2のスイッチが機械的スイッチである、節1から5のいずれか一節に記載のプランジャデバイス。
【0015】
節7.ハウジングの近位端部が薬剤送出中に変位すると、第1のスイッチを作動させるように、第1のスイッチがハウジング内に配置される、節1から6のいずれか一節に記載のプランジャデバイス。
【0016】
節8.薬剤送出の完了時に、第2のスイッチが作動するように、第2のスイッチがハウジング内に配置される、節1から7のいずれか一節に記載のプランジャデバイス。
【0017】
節9.薬剤送出の完了時に、近位に移動し、第2のスイッチを作動させるように構成される変位可能要素を、ハウジングの遠位端部が備える、節1から8のいずれか一節に記載のプランジャデバイス。
【0018】
節10.通信インターフェースがBLUETOOTH(登録商標)送信機である、節1から9のいずれか一節に記載のプランジャデバイス。
【0019】
節11.薬剤送出デバイスであって、近位端部と、遠位端部と、医薬品を受け入れるように構成された内部を近位端部と遠位端部との間に画定するバレルと、内部内に少なくとも部分的に受け入れられる、節1から10のいずれか一節に記載のプランジャデバイスと、を備える、薬剤送出デバイス。
【0020】
節12.薬剤送出デバイスは、径方向外側に向けて延在する1つ又は複数のフィンガーフランジを近位端部に備える、節11に記載の薬剤送出デバイス。
【0021】
節13.ハウジングの遠位端部に配置される変位可能要素は、フランジに接触することによって近位に移動するように構成される、節11又は12に記載の薬剤送出デバイス。
【0022】
節14.医薬品送出のタイミングを監視する方法であって、径方向外側に延在する1つ又は複数のフィンガーフランジを有するシリンジ近位端部と、シリンジ遠位端部と、医薬品を受け入れるように構成されたシリンジ内部をシリンジ近位端部とシリンジ遠位端部との間に画定するシリンジ側壁と、シリンジ内部内に少なくとも部分的に受け入れられるプランジャデバイスであって、近位端部と、ストッパに取り付けられるか、又はストッパに接触するように構成される遠位端部と、プランジャデバイスの近位端部に配置されるハウジングであって、変位可能な近位端部、変位可能な要素を備えるハウジング遠位端部、及びハウジング内部を変位可能な近位端部とハウジング遠位端部との間に画定するハウジング側壁を備えるハウジングと、ハウジング内部に配置される第1のスイッチ及び第2のスイッチと、ハウジング内部に配置され、第1のスイッチ及び第2のスイッチと通信する少なくとも1つのプロセッサと、ハウジング内部に配置され、少なくとも1つのプロセッサと通信する少なくとも1つの通信インターフェースと、を備えるプランジャデバイスと、を備えるシリンジを提供するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第1のスイッチが作動されたことを示す第1の信号を受信するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第1の時間データを生成するステップと、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第1の時間データを送信するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第2のスイッチが作動されたことを示す第2の信号を受信するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、第2の時間データを生成するステップと、少なくとも1つの通信インターフェースを用いて、第2の時間データを送信するステップと、を含む方法。
【0023】
節15.第1のスイッチがハウジングの近位端部の変位によって作動され、第2のスイッチが変位可能要素の変位によって作動される、節14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1Aおよび
図1Bは、本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様による薬剤送出デバイスの斜視図である。
【0025】
図2は、本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるプランジャデバイスの斜視図である。
【0026】
図3は、本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるプランジャデバイスの斜視図である。
【0027】
図4Aから
図4Cは、本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるプランジャデバイスの断面図である。
【0028】
図5は、本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるプランジャデバイスの断面図である。
【0029】
図6は、本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるプランジャデバイスの断面図である。
【0030】
図7は、本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるプランジャデバイスの部分上面図である。
【0031】
図8は、本明細書に記載のシステム、デバイス、及び/又は方法を実施し得る環境の非限定的な実施形態又は態様の図である。
【0032】
図9は、
図8の1つ又は複数のデバイスの構成要素の非限定的な実施形態又は態様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明は、当業者が本発明を実施することを企図して、記載した実施形態を作成し、使用することを可能にするために提供する。しかしながら、様々な修正形態、均等物、変形形態、及び代替形態は、当業者には容易に明らかであろう。そのような修正形態、変形形態、均等物、及び代替形態の一部及び全部は、本発明の精神及び範囲内に入るものと考えられる。
【0034】
以下の説明の目的のための「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横」、「縦」という用語、及びそれらの派生語は、図面に示しているように本発明に関連するものとする。しかしながら、本発明は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形を想定し得ることを理解されたい。添付の図面に示し、以下の明細書に記載する特定のデバイスは、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示する実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。
【0035】
本明細書に列挙した任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての値及び部分範囲を含むことを意図していることを理解されるべきである。例えば、「1から10」の範囲は、列挙した最小値1と、列挙した最大値10との間(及びそれらを含む)、すなわち、1以上の最小値及び10以下の最大値を有するすべての部分範囲を含むことを意図している。
【0036】
本明細書で使用する場合、「通信」及び「通信する」という用語は、1つ又は複数の信号、メッセージ、コマンド、又は他のタイプのデータの受信又は転送を指す。1つのユニット(例えば、任意のデバイス、システム、又はその構成要素)が別のユニットと通信することは、一方のユニットが他方のユニットからデータを直接又は間接的に受信し、及び/又は他方のユニットにデータを送信し得ることを意味する。これは、本質的に、有線及び/又は無線である直接的又は間接的な接続を指し得る。更に、送信されたデータが第1のユニットと第2のユニットとの間で修正、処理、中継、及び/又はルーティングされても、2つのユニットは互いに通信することができる。例えば、第1のユニットがデータを受動的に受信し、第2のユニットにデータを能動的に送信しなくても、第1のユニットは、第2のユニットと通信することができる。別の例として、中間ユニットが1つのユニットからのデータを処理し、処理されたデータを第2のユニットに送信する場合、第1のユニットは、第2のユニットと通信することができる。多くの他の構成が可能であることが理解されよう。例えば、TCP/IP(HTTP及び他のプロトコルを含む)、WLAN(902.11a/b/g/n及び他の無線周波数ベースのプロトコル及び方法を含む)、アナログ伝送、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)、3G/4G/LTE、BLUETOOTH、NFC、RFID、ZigBee(登録商標)、EnOcean、TransferJet、ワイヤレスUSBなど、当業者に知られている任意の既知の電子通信プロトコル及び/又はアルゴリズム、を使用することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、メッセージは、データを含むネットワークパケット(例えば、データパケットなど)を指してもよい。
【0037】
本明細書で使用する場合、「コンピュータデバイス」という用語は、データを処理するように構成された1つ又は複数の電子デバイスを指し得る。コンピュータデバイスは、いくつかの例では、プロセッサ、ディスプレイ、メモリ、入力デバイス、ネットワークインターフェースなどのデータを受信し、処理し、出力するために、必要な構成要素を含んでもよい。コンピュータデバイスは、モバイルデバイスであってもよい。一例として、モバイルデバイスは、携帯電話(例えば、スマートフォン又は標準的な携帯電話)、ポータブルコンピュータ、ウェアラブルデバイス(例えば、時計、眼鏡、レンズ、衣服など)、携帯情報端末(PDA)、及び/又は他の同様のデバイスを含んでもよい。コンピュータデバイスはまた、デスクトップコンピュータ、又は他の形態の非モバイルコンピュータであってもよい。
【0038】
本明細書では、薬剤送出デバイスを用いて医薬品の送出を監視するため、薬剤送出デバイスのためのプランジャと、そのようなプランジャを含む薬剤送出デバイスと、そのようなプランジャの使用を含むシステム及び方法と、を提供する。本明細書に記載のデバイス、システム、及び方法は、費用効果の高い方法で関連する利害関係者による薬剤送出の適時で、正確な監視を可能にし、例えば、新規に開発された医薬品の臨床試験を改善することによって、医薬品の投与を決定する従来のデバイス及び方法を改善する。
【0039】
図1A及び
図1Bを参照すると、プランジャデバイス200を有する薬剤送出デバイス100を示している。
図1には手動シリンジを例示しているが、当業者は、プランジャデバイス200の構成要素が、自動注射器、装着型注射器、ポンプデバイスなどを含む任意のタイプの薬剤送出デバイスで利用できることを理解するであろう。
図1A及び
図1Bに例示する薬剤送出デバイス100は、遠位端部112と、近位端部114と、1つ又は複数の医薬品を保持するように構成された内部を遠位端部112と近位端部114との間に画定するバレル110と、を含む。
【0040】
薬剤送出デバイス100は、ガラス又はプラスチックを含む任意の適切な材料で形成することができる。構成要素間の摩擦を低減するため、及び/又はバレル110の材料と薬剤送出デバイス100内に保持された任意の医薬品との間の相互作用を低減するために、任意選択で架橋されたポリジメチルシロキサン系コーティングを含む、適切な任意の既知のコーティングでバレル110をコーティングすることができる。ストッパと側壁との間の摩擦を低減するための、及び/又は側壁と医薬品との間の相互作用を低減少させるための、コーティング、例えばシロキサン系コーティングは、当業者に知られており、例えば、米国特許出願公開第2014/0221934号及び第2014/0110297号に記載されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
非限定的な実施形態又は態様では、薬剤送出デバイス100は、その遠位端部に針(図示せず)を含む。適切な針は、任意の有用なゲージであってもよく、任意の適切な材料で形成されてもよく、薬剤送出デバイス100の遠位端部112に固定されてもよく、又は取り外し可能であってもよい。薬剤送出デバイス100は、含まれ得る任意の針を保護するための剛性針シールド(RNS:rigid needle shield)、キャップ115、及び/又は
図1A及び
図1Bに示すような安全デバイス118を含む、任意の数の適切な安全機構を含むことができる。RNSは、当技術分野で知られており、注射針を包む内側のエラストマー部分と、外側の剛性プラスチック部分と、を含むことができる。適切なキャップアセンブリは、例えば、国際特許出願公開第2020/173998号パンフレットに記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。適切な安全デバイス118は、当業者に知られているように、シリンジの再使用を防止するもの、送出前及び/又は送出後に、針をシールドするものなどを含むことができる。例えば、安全デバイスは、米国特許第10,702,663号に記載されており、商標名UltraSafeでベクトン・ディッキンソン株式会社から市販されている。後述するように、非限定的な実施形態又は態様では、安全デバイス118は、プランジャデバイス200と相互作用して薬剤送出の終了を示すことができる。
【0042】
図1A及び
図1Bに戻ると、薬剤送出デバイス100は、その近位端部114に、使用者の薬剤送出デバイス100の把持を補助するため、1つ又は複数のフィンガーフランジ116を含むことができる。説明するように、非限定的な実施形態又は態様では、1つ又は複数のフィンガーフランジ116は、プランジャロッド200と相互作用して、薬剤送出の終了を示すことができる。
【0043】
図1A~
図3を参照すると、プランジャデバイス200は、遠位端部204と近位端部206との間に延在するプランジャロッド202を含むことができる。プランジャロッド202の遠位端部204は、ストッパ205と着脱可能に又は固定的に相互作用するように構成することができる。ストッパ205は、プラスチック、天然ゴム、合成ゴムなど、適切であることが当業者に知られているエラストマー材料などの任意の材料で形成することができる。非限定的な実施形態又は態様では、有用なストッパは、天然又は合成ゴムで形成される。非限定的な実施形態又は態様では、ゴムは、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン-イソプレンゴム(SIR)、熱可塑性エラストマー、及び/又は天然ゴムである。非限定的な実施形態又は態様では、ストッパは、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、スチレン共重合体、例えば、スチレン-ブタジエン(SBR又はSBS)共重合体、スチレン-イソプレン(SIS)ブロックポリマー、又はスチレン-イソプレン/ブタジエン(SIBS)などを含むが、これらに限定されないエラストマー共重合体から形成することができる。
【0044】
必要に応じて、任意選択で架橋されたポリジメチルシロキサン系コーティングを含む任意の既知のコーティングで、ストッパ205を適切に、任意選択でコーティングすることができる。ストッパと側壁との間の摩擦を低減するための、及び/又はストッパの材料と医薬品との間の相互作用を低減するための、コーティング、例えばシロキサン系コーティングは、当業者に知られており、例えば、米国特許出願公開第2014/0221934号明細書及び第2014/0110297号明細書に記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
プランジャデバイス200は、その近位端部206に、内部を画定する、遠位端部254及び近位端部256を有するハウジング252を有する接続モジュール250を含むことができる。接続モジュールハウジング252は、プラスチックを含む、任意の適切な材料で形成することができる。非限定的な実施形態又は態様では、ハウジング252の近位端部256は、ユーザが薬剤送出処置中に遠位方向の力を加えるとき、親指パッド258及び/又はハウジング252の近位端部256が遠位に変位するように変位可能な親指パッド258を含む。後述するように、ハウジング252の近位端部256は、ハウジング252内のスイッチと相互作用して、薬剤送出の開始を示すことができる。
【0046】
非限定的な実施形態又は態様では、プランジャデバイス200は、接続モジュール250を保護し、例えば、親指パッド258及び/又はハウジング252の近位端部256に力が作用して、ハウジング252の近位端部256の不注意な変位を防止するケース251を含むことができる。
【0047】
図4A~
図7を参照すると、接続モジュール250の内部の非限定的な実施形態を示している。接続モジュール250は、非限定的な実施形態ではスイッチであり得る2つ以上のセンサを含むことができる。
図4A~
図7に示す実施形態では、接続モジュール250は、第1のスイッチ260と、第2のスイッチ268と、(以下で詳細に説明するように)1つ又は複数のプロセッサを含む1つ又は複数の回路基板264,266と、を含む。非限定的な実施形態又は態様では、回路基板264,266は、当技術分野で知られているようなプリント回路基板、プリント電子機器用のフレキシブル基板などとすることができる。非限定的な実施形態又は態様では、回路基板264,266は、任意選択で、互いに電子通信して接続される。非限定的な実施形態又は態様では、スイッチ260,268などのセンサは、独立して、光学センサ、容量センサ、力抵抗センサ、電気スイッチ、電磁スイッチ、及び/又は機械的スイッチとすることができ、回路基板264,266上の1つ又は複数のプロセッサと通信することができる。
【0048】
非限定的な実施形態又は態様では、ハウジング252に固定され、及び/又はハウジング252の一部であるキャリア262を用いて、ハウジングの内部に、1つ又は複数の回路基板264,266を支持することができる。非限定的な実施形態又は態様では、接続モジュール250は、バッテリ282などのエネルギー源を含む。非限定的な実施形態又は態様では、バッテリ282は、プランジャデバイス200が使い捨てデバイスであるか、又は再使用可能であるかに応じて、使い捨て又は再充電可能とすることができる。プランジャデバイス200が使い捨てデバイスである非限定的な実施形態では、ハウジング252は、ユーザによるハウジング252の内部へのアクセスを防止するために、ハウジング252の任意の部分の分離を防止するように構成することができる。プランジャデバイス200が使い捨てデバイスである非限定的な実施形態又は態様では、ハウジング252は、適切な廃棄のために、ユーザが1つ又は複数の構成要素(例えば、バッテリ282及び/又は回路基板262,266)を除去できるように開放可能であってもよい。プランジャデバイス200が再使用可能なデバイスである非限定的な実施形態では、ハウジング252は、バッテリ282のメンテナンス及び/又は交換を可能にするように開放可能に構成することができる。非限定的な実施形態では、ハウジング252は、特定の工具の使用によってのみ開放可能である。プランジャデバイス200が再使用可能なデバイスである非限定的な実施形態又は態様では、バッテリ282は、再充電可能なバッテリであってもよく、ハウジング252は、バッテリ282が再充電されることを可能にするための1つ又は複数のポートを含んでもよい。
【0049】
ハウジング252の遠位端部254において、通信モジュール250は、変位可能要素270を含むことができる。変位可能要素270は、1つ又は複数の脚部272と、1つ又は複数のアーム部274と、脚部272及びアーム部274を接続する本体と、を含むことができる。変位可能要素270は、弾性付勢要素280によってアーム部274が第2のスイッチ268から離隔した位置に維持される。弾性付勢要素280は、圧縮ばねなどのばね、あるいはエラストマー及び/又は発泡体などの他の弾性材料であってもよい。
【0050】
図4A~
図4Cを参照すると、プランジャデバイス200の機能の非限定的な実施形態又は態様を示している。
図4Aには、作動前状態のプランジャデバイス200を示している。ユーザが親指パッド258に遠位方向の力をまだ加えていないので、ハウジング252の近位端部256は、第1のスイッチ260から離隔している。
図4Bでは、ユーザが親指パッド258に圧力を加え、親指パッド258及び/又はハウジング252の近位端部256が第1のスイッチ260に接触する位置まで、ハウジング252の近位端部256を変位させ、第1のスイッチ260を作動させている。第1のスイッチ260は、1つ又は複数の回路基板264,266上のプロセッサと通信することができ、薬剤送出が開始されたことを示す信号をプロセッサに送信することができる。非限定的な実施形態又は態様では、第1のスイッチ260の作動は、接続モジュール250に含まれる1つ又は複数のプロセッサをスリープモードから起動させることができる。他の非限定的な実施形態又は態様では、第1のスイッチ260の作動は、非給電モードから接続モジュール250に含まれる1つ又は複数のプロセッサに電力を供給することができる。
【0051】
第1のスイッチ260からの信号の受信に続いて、プロセッサは、タイムスタンプなどの第1の時間データを生成し、以下で詳細に説明するように、ユーザのスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又は他のコンピュータデバイスなどのコンピュータデバイスに、第1の時間データを送信することができる。非限定的な実施形態又は態様では、プロセッサは、後の検索及び送信のために、データ(例えば、時間データ)をローカルに(例えば、回路基板264及び/又は266上に)記憶させてもよい。非限定的な実施形態又は態様では、プロセッサはまた、1つ又は複数の固有の識別子、例えば、薬剤送出デバイス100及び/又はプランジャデバイス200に関連する識別子を送信する。非限定的な実施形態又は態様では、識別子は、製造される薬剤送出デバイス100及び/又はプランジャデバイス200ごとの固有の識別子である。非限定的な実施形態又は態様では、識別子は、特定のタイプのデバイス(例えば、シリンジ、自動注射器、装着型注射器、ポンプなど)に固有の識別子である。
【0052】
図4Cを参照すると、薬剤送出が完了しており、プランジャロッド202は、バレル110内の最遠位位置、及びハウジング252の遠位端部254に到達しており、非限定的な実施形態では、変位要素270の脚部272は、安全デバイス118及び/又は1つ又は複数のフィンガーフランジ116に当接する。非限定的な実施形態又は態様では、脚部272は、フィンガーフランジ116の近位の薬剤送出デバイス100のバレルの一部に接触する。ハウジング252の近位端部256に対する継続的な力は、ハウジング252の遠位端部254及び/又は変位可能要素270の近位変位を引き起こし、第2のスイッチ268の作動を引き起こす。非限定的な実施形態又は態様では、ユーザによってハウジング252に加えられた継続的な力は、弾性付勢要素280の付勢力に打ち勝ち、変位可能要素270のアーム部274の変位、及びアーム部274と第2のスイッチ268との間の接触を引き起こし、第2のスイッチ286を作動させる。第1のスイッチと同様に、第2のスイッチ268は、1つ又は複数の回路基板264,266上のプロセッサと通信し、薬剤送出が終了したことを示す信号をプロセッサに送信する。次いで、プロセッサは、タイムスタンプなどの第2の時間データを生成し、以下で詳細に説明するように、ユーザのスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又は他のコンピュータデバイスなどのコンピュータデバイスに、第2の時間データを送信することができる。非限定的な実施形態又は態様では、プロセッサは、また、上述したように、1つ又は複数の固有の識別子、例えば、薬剤送出デバイス100及び/又はプランジャデバイス200に関連する識別子を送信する。また上述したように、非限定的な実施形態又は態様では、プロセッサは、後の検索及び送信のために、データ(例えば、時間データ)をローカルに(例えば、回路基板264及び/又は266上に)記憶させ得る。
【0053】
報告の精度を高めるために、薬剤送出中、プロセッサは、第1のスイッチ及び第2のスイッチの両方から信号を受信し、少なくとも薬剤送出の持続時間の決定を可能にするため、十分な時間データを提供しなければならない。上述したように、単に薬剤用量の終了の表示を提供するデバイスが知られているが、そのようなデバイスは、例えば臨床試験において重要な完全な情報を提供するという点で不十分である。
【0054】
ここで
図8を参照すると、
図8は、本明細書に記載のデバイス、システム、及び/又は方法が実装され得る例示的な環境の図である。
図8に示すように、環境は、薬剤送出デバイス800、ユーザデバイス802、ヘルスケアシステム804、及び/又は通信ネットワーク806を含むことができる。薬剤送出デバイス800、ユーザデバイス802、及びヘルスケアシステム804は、有線接続、無線接続、又は有線接続と無線接続との組合せを介して、相互接続する(例えば、通信するための接続を確立する)ことができる。
【0055】
本明細書に記載のシリンジ、自動注射器、装着型注射器、及び/又はポンプとすることができる薬剤送出デバイス800は、上述のように、第1のスイッチ820と、第2のスイッチ830と、プロセッサ840と、通信インターフェース850と、を含むプランジャロッド810を含むことができる。上述したように、薬剤送出デバイス800は、本明細書に記載のコンピュータデバイスなどのユーザデバイス802と通信するように構成することができる。
【0056】
通信ネットワーク806は、1つ又は複数の有線及び/又は無線ネットワークを含んでもよい。例えば、通信ネットワーク806は、BLUETOOTH接続(例えば、薬剤送出デバイス800とユーザデバイス802との間)、セルラーネットワーク(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、第3世代(3G)ネットワーク、第4世代(4G)ネットワーク、第5世代(5G)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワークなど)、公衆陸上移動ネットワーク(PLMN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、電話ネットワーク(例えば、公衆交換電話網(PSTN)など)、プライベートネットワーク、アドホックネットワーク、イントラネット、インターネット、光ファイバベースのネットワーク、クラウドコンピュータネットワークなど、及び/又はこれらのタイプ若しくは他のタイプのネットワークの一部若しくは全部の組合せを含んでもよい。
【0057】
ユーザデバイス802は、本明細書に記載のコンピュータデバイス、いくつかの非限定的な実施形態又は態様では、スマートフォンとすることができる。ユーザデバイス802は、例えば、通信ネットワーク806を介して、例えば、ユーザデバイス802上で実行可能なモバイルアプリケーションを介してヘルスケアシステム804と通信するようにプログラム又は構成することができる。
【0058】
ヘルスケアシステム804は、サーバ、サーバのグループ、及び/又は他の同様のデバイスを含んでもよい。複数のヘルスケアシステム804を提供することができ、例えば、デバイス製造業者に関連するシステム、製薬製造業者に関連するシステム、医療提供者に関連するシステム、臨床研究に関連するシステム、政府機関に関連するシステム、及び/又は研究のスポンサー、例えば、臨床試験のスポンサーに関連するシステム、を提供することができる。
【0059】
ここで
図9を参照すると、本明細書に記載のシステム、デバイス、及び方法で使用し得る例示的なコンピュータデバイス900の例示的な構成要素の図を示している。そのようなコンピュータデバイス900は、本明細書に記載の薬剤送出デバイス、本明細書に記載のユーザデバイス、及び/又は本明細書に記載のヘルスケアシステムの接続モジュール内の構成要素に対応してもよい。
図9に示すように、コンピュータデバイス900は、バス902、プロセッサ904、メモリ906、記憶構成要素908、入力構成要素910、出力構成要素912、及び/又は通信インターフェース914を含むことができる。
【0060】
バス902は、コンピュータデバイス900の構成要素間の通信を可能にする構成要素を含んでもよい。いくつかの非限定的な実施形態では、プロセッサ904は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組合せで実装されてもよい。例えば、プロセッサ904は、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、加速処理装置(APU)など)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又は機能を実施するようにプログラムされ得る任意の処理構成要素(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)を含んでもよい。メモリ906は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、並びに/あるいはプロセッサ904が使用するための情報及び/又は命令を記憶する別のタイプの動的又は静的記憶メモリ(例えば、フラッシュメモリ、磁気メモリ、光メモリなど)を含んでもよい。
【0061】
記憶構成要素908は、コンピュータデバイス900の動作及び使用に関連する情報及び/又はソフトウェアを記憶してもよい。例えば、記憶構成要素908は、対応するドライブと共に、ハードディスク(例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ソリッドステートディスクなど)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、カートリッジ、磁気テープ、及び/又は別のタイプのコンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0062】
入力構成要素910は、コンピュータデバイス900がユーザ入力(例えば、タッチスクリーンディスプレイ、キーボード、キーパッド、マウス、ボタン、スイッチ、マイクロフォンなど)などを介して情報を受信し得る構成要素を含んでもよい。追加的又は代替的に、入力構成要素910は、情報(例えば、全地球測位システム(GPS)構成要素、加速度計、ジャイロスコープ、アクチュエータなど)を感知するためのセンサを含んでもよい。出力構成要素912は、コンピュータデバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)など)からの出力情報を提供する構成要素を含んでもよい。
【0063】
通信インターフェース914は、デバイスが有線接続、無線接続、又は有線接続と無線接続との組合せなどを介して、他のデバイスと通信し得るトランシーバのような構成要素(例えば、トランシーバ、別個の受信機、及び送信機など)を含んでもよい。通信インターフェース914は、コンピュータデバイス900が別のデバイスから情報を送信及び/又は受信することを可能にする。例えば、通信インターフェース914は、イーサネットインターフェース、光インターフェース、同軸インターフェース、赤外線インターフェース、無線周波数(RF)インターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、Wi-Fi(登録商標)インターフェース、セルラーネットワークインターフェース、BLUETOOTHインターフェースなどを含んでもよい。非限定的な実施形態又は態様では、通信インターフェース914は、近距離無線通信を介して動作しない。通信インターフェース914と、コンピュータデバイスなど(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ、PDA、タブレットなど)の別のデバイスの通信インターフェースと、の間の通信を確保するための適切な通信プロトコル及び方法は、例えば、セキュアソケットレイヤ(SSL)を使用した(例えば、当技術分野で知られているように公開/秘密鍵ペアを使用することによる)暗号化を含むことができる。追加のセキュリティプロトコルは、例えば、米国特許第9,445,264号及び第9,463,325号に開示されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の非限定的な実施形態では、通信インターフェース914が、プランジャロッドに設けられる。非限定的な実施形態又は態様では、通信インターフェース914は、データを送信するように構成されるが、コンピュータデバイスによって、例えば、ユーザのスマートフォンによって、送信されたデータを受信するように構成されない。
【0064】
コンピュータデバイスは、本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを実施することができる。コンピュータデバイスは、メモリ906及び/又は記憶構成要素908などのコンピュータ可読媒体によって記憶された、並びに/あるいは別個のコンピュータデバイスによって命令された、ソフトウェア命令を実行するプロセッサ904に基づいて、これらのプロセスを実施してもよい。コンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)は、本明細書では非一時的メモリデバイスとして定義される。非一時的メモリデバイスは、単一の物理記憶デバイスの内部に位置するメモリ空間を、又は複数の物理記憶デバイスにわたって広がるメモリ空間を、含む。
【0065】
ソフトウェア命令は、別のコンピュータ可読媒体から、又は通信インターフェース914を介して別のデバイスから、メモリ906及び/又は記憶構成要素908に読み込まれてもよい。実行されると、メモリ906及び/又は記憶構成要素908に記憶されたソフトウェア命令により、プロセッサ904は、本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを実施することができる。追加的又は代替的に、ハードワイヤード回路は、本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを実施するために、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて使用されてもよい。したがって、本明細書に記載の実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組合せに限定されない。
【0066】
図8を参照すると、非限定的な実施形態又は態様では、薬剤送出デバイス800は、プロセッサ840と通信する第1のスイッチ820及び第2のスイッチ830を含む上述のようなプランジャデバイス810を含む。プロセッサ840は、通信インターフェース850と通信する。したがって、プランジャデバイス810は、通信インターフェース850を介して、それ自体の関連する通信インターフェース及びプロセッサ、並びにメモリ、記憶構成要素、バス、入力構成要素、及び/又は出力構成要素を有する、スマートフォンなどのユーザのコンピュータデバイス802と通信することができる。
【0067】
非限定的な実施形態又は態様では、プランジャデバイス810は、ユーザのコンピュータデバイス802と一方向通信しており、例えば、プランジャデバイス810は、ユーザデバイス802にデータを送信することしかできず、ユーザデバイス802からデータを受信することはできない。非限定的な実施形態又は態様では、ユーザデバイス802に関連するプロセッサは、例えば、メモリ及び/又は記憶構成要素に記憶されたモバイルアプリケーションに基づいて、通信インターフェース850がプランジャデバイス810からデータを送信するまで、ユーザデバイス802に関連する通信インターフェースをスリープモードにするようにプログラム又は構成されてもよい。
【0068】
上述のように、非限定的な実施形態又は態様では、ユーザがプランジャデバイス810の近位端部で親指パッドを押し下げると、第1のスイッチ820が作動する。第1のスイッチ820がプロセッサ840と通信していると、プロセッサ840は、第1のスイッチ820から第1の信号を受信し、第1の時間データを生成し、通信インターフェース850を用いて、1つ又は複数の識別子(例えば、通信インターフェース850に関連するデバイス識別子及び/又は識別子)を任意選択で有する第1の時間データをユーザデバイス802に送信する。非限定的な実施形態又は態様では、バッテリの電力レベルに関するデータ、カウンタ値、及び/又は薬剤送出デバイス800の機能に関する他のデータなどの追加のデータ。非限定的な実施形態又は態様では、第1の時間データ及び/又は1つ若しくは複数の識別子は、ユーザデバイス802に送信される前に暗号化される。非限定的な実施形態又は態様では、プロセッサは、特定の条件が満たされた場合にのみ、薬剤送出デバイス800の通信インターフェース850によって送信されたデータを受理する。非限定的な実施形態又は態様では、薬剤送出デバイス800から受信した任意のメッセージが、通信インターフェース850に関連する識別子、薬剤送出デバイス800に関連する識別子、及び/又は第1のスイッチ820の作動に関連する(例えば、第1の信号に関連する)第1の識別子、のうちの1つ又は複数を含むことを、1つ又は複数の条件は含むことができる。非限定的な実施形態では、第1のスイッチ820の作動時に薬剤送出デバイスから受信したメッセージは、チェックの後、メッセージが第1の識別子を含む最初に送信されたメッセージであり、メッセージが薬剤送出デバイス800によって以前に送信されていないことを示す場合、ユーザデバイス802によって受理される。非限定的な実施形態又は態様では、そのメッセージは、チェックの後、第1の識別子と、薬剤送出デバイス800及び/又は通信インターフェース850に関連する識別子との組合せが、ユーザデバイス802に以前に送信されていない場合、ユーザデバイス802によって受理される。
【0069】
非限定的な実施形態又は態様では、薬剤送出デバイス800は、薬剤送出プロセス中にデータを連続的に送信する。非限定的な実施形態又は態様では、薬剤送出プロセス中に送信される各メッセージが、第1のスイッチ820の作動に関連する第1の識別子を含むので、ユーザデバイス802は、第1の識別子を含む後続メッセージを受理しないようにプログラム又は構成され得る。非限定的な実施形態又は態様では、後述するように、第1の識別子が受信されると、ユーザデバイス802は、プランジャデバイス810との任意の接続を終了し、第2の識別子が、送信されたメッセージに含まれるまで、接続は再確立されない。非限定的な実施形態又は態様では、ユーザデバイス802は、プロセッサ(例えば、プロセッサ904)を用いて、第1の時間データから第1のタイムスタンプを生成することができ、第1のタイムスタンプを(任意選択で、本明細書に記載の薬剤送出デバイス800に関連する1つ又は複数の識別子と共に)ヘルスケアシステム804に送信してもよい。非限定的な実施形態又は態様では、第1のタイムスタンプがヘルスケアシステム804に送信されると、ユーザデバイス802は、プランジャデバイス810との任意の接続を終了する。
【0070】
また上述したように、薬剤送出プロセスの終わりに達すると、第2のスイッチ830が作動される。第2のスイッチ830がプロセッサ840と通信すると、プロセッサ840は、第2のスイッチ830から信号を受信し、第2の時間データを生成し、通信インターフェース850を用いて、1つ又は複数の識別子(例えば、通信インターフェース850に関連するデバイス識別子及び/又は識別子)を任意選択で有する第2の時間データをユーザデバイス802に送信する。非限定的な実施形態又は態様では、第2の時間データ及び/又は1つ若しくは複数の識別子は、ユーザデバイス802に送信される前に暗号化される。上述のように、非限定的な実施形態又は態様では、プロセッサは、特定の条件が満たされた場合にのみ、薬剤送出デバイス800によって送信されたデータを受理する。非限定的な実施形態又は態様では、薬剤送出デバイス800から受信した任意のメッセージが、通信インターフェース850に関連する識別子、薬剤送出デバイス800に関連する識別子、及び/又は第2のスイッチ830の作動に関連する第2の識別子のうちの1つ又は複数を含むことを、1つ又は複数の条件は含むことができる。非限定的な実施形態では、第2のスイッチ830の作動時に薬剤送出デバイスから受信したメッセージは、そのようなメッセージが第2の識別子を含む第1の送信メッセージであり、メッセージが薬剤送出デバイス800によって以前に送信されていないことを示すので、ユーザデバイス802によって受理される(非限定的な実施形態では、通信が薬剤送出デバイス800とユーザデバイス802との間で再確立される)。非限定的な実施形態又は態様では、ユーザデバイス802は、プロセッサ(例えば、プロセッサ904)を用いて、第2の時間データから第2のタイムスタンプを生成することができ、第2のタイムスタンプを(任意選択で、本明細書に記載の薬剤送出デバイス800に関連する1つ又は複数の識別子と共に)ヘルスケアシステム804に送信してもよい。非限定的な実施形態又は態様では、第2のタイムスタンプが、ヘルスケアシステム804に送信されると、ユーザデバイス802は、プランジャデバイス810との任意の接続を終了する。
【0071】
非限定的な実施形態又は態様では、データ(第1の時間データ及び/又は第2の時間データ)の受信に少なくとも部分的に基づいて、及び少なくとも部分的に応答して、ユーザデバイス802は、プロセッサ(例えば、プロセッサ904)を用いて、最終タイムスタンプを生成することができる。例えば、薬剤送出デバイス800によって生成された第1の時間データ及び第2の時間データは、絶対時間情報のみを含んでもよく、そこからユーザデバイス802は、最終タイムスタンプデータ(例えば、薬剤送出プロセスが開始及び終了した時点)、及び/又は持続時間データ(例えば、薬剤送出プロセスの持続時間)を生成してもよい。
【0072】
非限定的な実施形態又は態様では、ユーザデバイス802は、最終タイムスタンプ及び/又は持続時間データをヘルスケアシステム804に(任意選択で、本明細書に記載の薬剤送出デバイス810に関連する1つ又は複数の識別子と共に)送信する。非限定的な実施形態又は態様では、ヘルスケアシステムは、例えば、タイムスタンプデータ及び/又は持続時間データを、それぞれの所定の範囲/値と比較することによって、タイムスタンプデータ及び/又は持続時間データを検証することができる。非限定的な実施形態又は態様では、所定の範囲外にあるデータをフォローアップのためにマークすることができ、又は問題に留意するメッセージをユーザデバイス802に送信することができる。
【0073】
非限定的な実施形態又は態様では、ヘルスケアシステム804は、1つ又は複数の追加のヘルスケアシステム804と通信してもよい。例えば、1つのヘルスケアシステムは、デバイス製造業者によって維持されてもよく、研究のスポンサー、製薬製造業者などによって維持されるヘルスケアシステムと通信してもよい。非限定的な実施形態又は態様では、タイムスタンプ(第1のタイムスタンプ、第2のタイムスタンプ、及び/又は最終タイムスタンプ)、及び/又は持続時間データは、1つ又は複数の識別子(例えば、通信インターフェース850に関連するデバイス識別子及び/又は識別子)と共に、デバイス製造業者システムから、研究のスポンサー又は製薬製造業者システムに送信されてもよく、1つ又は複数のデータベースは、1つ又は複数の識別子(例えば、通信インターフェース850に関連するデバイス識別子及び/又は識別子)を患者識別子と関連付けるデータを記憶し、タイムスタンプ及び/又は持続時間データと患者との関連付けを可能にする。
【0074】
本開示は、現在最も実用的で好ましい実施形態又は態様であると考えられているものに基づいて例示の目的で詳細に説明しているが、そのような詳細は、その目的のためだけであり、本開示は、開示した実施形態又は態様に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び均等な構成を網羅することを意図していることを理解されたい。例えば、本開示は、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴を任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることを意図していることを理解されたい。
【国際調査報告】