IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浙江工▲業▼大学の特許一覧 ▶ 浙江普崎数碼科技有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図1
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図2
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図3
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図4
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図5
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図6
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図7
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図8
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図9
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図10
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図11
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図12
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図13
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図14
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図15
  • 特表-印刷色濃度の特性曲線の取得方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】印刷色濃度の特性曲線の取得方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240816BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20240816BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240816BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
B41J25/20
B41J29/393 101
B41J2/525
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518423
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2022107874
(87)【国際公開番号】W WO2024011659
(87)【国際公開日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】202210829117.5
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515126422
【氏名又は名称】浙江工▲業▼大学
(71)【出願人】
【識別番号】523100076
【氏名又は名称】浙江普崎数碼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】占 紅武
(72)【発明者】
【氏名】胥 芳
(72)【発明者】
【氏名】李 芝明
(72)【発明者】
【氏名】張 立彬
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AR01
2C061KK18
(57)【要約】
本発明は、印刷分野に属し、具体的に、単一色チャネルのN段階標準カラースケールチャートを設計するステップと、N段階標準カラースケールチャートに対して、印刷出力とスキャン補正を行うステップと、補正された画像に対して、エッジ検出操作を行うステップと、画像を分割するステップと、偏差計算を行うステップとを含む、印刷色濃度の特性曲線の取得方法に関する。本発明は、チャネルごとの印刷色濃度の特性曲線の取得方法を提案し、各色チャネルに対して本発明の方法を順次使用することによって、すべての色チャネルの色濃度特性曲線を得ることができる。本発明の方法は、印刷システムの性能を研究し、さらに異なる位置での色濃度特性偏差の問題を解決するための基礎を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1 単一色チャネルのN段階標準カラースケールチャートを設計するステップと、
S2 N段階標準カラースケールチャートに対して、印刷出力とスキャン補正を行うステップと、
S3 補正された画像に対して、エッジ検出操作を行うステップと、
S4 画像を分割するステップと、
S5 偏差計算を行うステップとを含む、ことを特徴とする印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項2】
S1において、Nの値は以下のように設定され、
ビット深度が8の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは5以上であり、
ビット深度が16の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは10以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項3】
S1において、各カラースケールの高さが高さ方向での印刷解像度の1/2より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項4】
S1において、カラースケールの70%は、高い方の1/2のカラースケール値の区間にあり、カラースケール0は、フルカラースケール値の10%よりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項5】
S2は、
S201 それぞれN段階標準カラースケールチャートの上下エッジにある余白の中点に位置決めマークパターンを追加するステップと、
S202 プリンターを使用して、位置決めマークパターンを含むN段階標準カラースケールチャートを紙に印刷するステップと、
S203 スキャナーを使用してS202における印刷された紙を走査して、単一チャネルの画像ファイルを取得するステップと、
S204 印刷およびスキャン中に発生した単一チャネルの画像の回転ずれを補正するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項6】
S204は、
S2041 画像識別モジュールを使用して、取得した単一チャネルの画像で上下の2つの位置決めマークパターンを検出し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標を計算し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標の横座標偏差Δxと縦座標偏差Δyを取得するステップと、
S2042 式
【数1】


に従って偏向角θを算出するステップと、
S2043 偏向角θに応じて、画像処理技術による画像の回転により、カラースケールチャートを補正するステップとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項7】
S3は、
S301 補正された画像に従い、画像識別モジュールを利用して、N段階標準カラースケールチャートのトップ部中点を改めて位置決めするステップと、
S302 トップ部の中心位置を算出するステップと、
S303 サンプリングステップを設定し、ループアルゴリズムを使用して、サンプリング領域の平均色濃度を左右側へそれぞれ測定し、サンプリング領域の平均色濃度が設定値より大きいと示されたら、ループ処理を停止し、1つのサンプリングステップの前に戻すステップとを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項8】
S4は、
S401 有効なパーティションの総数を算出し、即ち、左右のサンプリング領域の総数を算出するステップと、
S402 ビット深度が8または16のカラーマップで、サンプリング領域の幅とカラースケールの幅に従って、長方形のサンプリング領域を描画するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項9】
S5は、
S501 長さがNの色濃度値を定義し、N段階標準カラースケールチャートにおけるN個カラースケールが紙媒体に印刷される所定の色濃度値を格納するステップと、
S502 各カラースケールおよび各パーティションの色濃度の平均値と、S501における所定の色濃度値との差を格納するために、行数がNであり、列数が有効なパーティションの総数に等しい配列を定義するステップと、
S503 対応する長方形のサンプリング領域において偏差の概略図を描画するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷の分野に属し、具体的に、印刷色濃度の特性曲線の取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷色濃度は、印刷物が特定の色の光をどの程度反射するかの尺度である。特定の印刷システムの色濃度特性曲線を抽出した後、それを印刷システムのプリプレスデータ処理で使用できるため、該印刷システムの印刷面の任意の部分で実際に印刷出力する色濃度と印刷カラースケールはほぼ同じ関数関係にあり、該関数が印刷面の測定位置に依存しない。このように、印刷面のどこでも同じベタカラーを印刷すると、印刷によって得られる実際の色濃度もどこでも同じになれる。
【0003】
長期稼働によるプリンター機の機械部品の性能低下、紙媒体の特性変化、インク消耗品の性能差などにより、同じ印刷色版でも印刷物面の位置によって色濃度が異なり、そしてこの偏差は印刷色版のカラースケール値と非線形に関連している。家庭用および業務用プリンターなどの小型機器でのマルチパススキャン出力の使用は、この欠点を大幅に補うことができるが、大規模なデジタルプリンター機は主にsinglepass印刷を使用しており、この現象は印刷品質に影響を与える重要な要因になっている。
【0004】
色濃度特性曲線は、次のように定義される。それは、印刷システムでは、いくつかの特性カラースケールで、異なる位置での印刷色濃度と印刷カラースケール値の間の数値的関係である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の欠点を補うために、本発明は、印刷色濃度の特性曲線の取得方法による技術的解決手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷色濃度の特性曲線の取得方法であって、
S1 単一色チャネルのN段階標準カラースケールチャートを設計するステップと、
S2 N段階標準カラースケールチャートに対して印刷出力とスキャン補正を行うステップと、
S3 補正された画像に対してエッジ検出操作を行うステップと、
S4 画像を分割するステップと、
S5 偏差計算を行うステップとを含む。
【0007】
さらに、S1において、Nの値は以下のように設定され、
ビット深度が8の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは5以上であり、
ビット深度が16の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは10以上である。
【0008】
さらに、S1において、各カラースケールの高さが高さ方向での印刷解像度の1/2より大きい。
【0009】
さらに、S1において、カラースケールの70%は、高い方の1/2のカラースケール値の区間にあり、カラースケール0は、フルカラースケール値の10%よりも低い。
【0010】
さらに、S2は、
S201 それぞれN段階標準カラースケールチャートの上下エッジにある余白の中点に位置決めマークパターンを追加するステップと、
S202 プリンターを使用して、位置決めマークパターンを含むN段階標準カラースケールチャートを紙に印刷するステップと、
S203 スキャナーを使用してS202における印刷された紙を走査して、単一チャネルの画像ファイルを取得するステップと、
S204 印刷およびスキャン中に発生した単一チャネルの画像の回転ずれを補正するステップとを含む。
【0011】
さらに、S204は、
S2041 画像識別モジュールを使用して、取得した単一チャネルの画像で上下の2つの位置決めマークパターンを検出し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標を計算し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標の横座標偏差Δxと縦座標偏差Δyを取得するステップと、
S2042 式
【数1】


に従って偏向角θを算出するステップと、
S2043 偏向角θに応じて、画像処理技術による画像の回転により、カラースケールチャートを補正するステップとを含む。
【0012】
さらに、S3は、
S301 補正された画像に従い、画像識別モジュールを利用して、N段階標準カラースケールチャートのトップ部中点を改めて位置決めするステップと、
S302 トップ部の中心位置を算出するステップと、
S303 サンプリングステップを設定し、ループアルゴリズムを使用して、サンプリング領域の色濃度の平均値を左右側へそれぞれ測定し、サンプリング領域の色濃度の平均値が設定値より大きい場合、境界に到達したことを意味し、ループ処理を停止し、1つのサンプリングステップの前に戻すステップとを含む。
【0013】
さらに、S4は、
S401 有効なパーティションの総数を算出し、即ち、左右側のサンプリング領域の総数を算出するステップと、
S402 ビット深度が8または16のカラーマップで、サンプリング領域の幅とカラースケールの幅に従って、長方形のサンプリング領域を描画するステップとを含む。
【0014】
さらに、S5は、
S501 長さがNの色濃度値を定義し、N段階標準カラースケールチャートにおけるN個カラースケールが紙媒体に印刷される所定の色濃度値を格納するステップと、
S502 各カラースケールおよび各パーティションの色濃度の平均値と、S501での所定の色濃度値との差を格納するために、行数がNであり、列数が有効なパーティションの総数に等しい配列を定義するステップと、
S503 対応する長方形のサンプリング領域において偏差の概略図を描画するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、チャネルごとの印刷色濃度の特性曲線の取得方法を提案し、各色チャネルに対して本発明の方法を順次使用することによって、すべての色チャネルの色濃度特性曲線を得ることができる。本発明の方法は、印刷システムの性能を研究し、さらに異なる位置での色濃度特性偏差の問題を解決するための基礎を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明のフローチャートである。
図2図2は、本発明におけるN段階標準カラースケールチャートの概略図である。
図3図3は、本発明における位置決めマークパターンの概略図である。
図4図4は、本発明における補正原理の概略図である。
図5図5は、本発明におけるエッジ検出動作のフローチャートである。
図6図6は、本発明におけるエッジ検出操作の概略図である。
図7図7は、本発明におけるエッジ検出時の境界判定の概略図である。
図8図8は、本発明における長方形のサンプリング領域を描画する概略図である。
図9図9は、実施例1における13段階標準カラースケールチャートの概略図である。
図10図10は、実施例1における位置決めマークパターンの概略図である。
図11図11は、実施例1における補正原理の概略図である。
図12図12は、実施例1におけるエッジ検出動作の概略図である。
図13図13は、実施例1におけるエッジ検出時の境界判定の概略図である。
図14図14は、実施例1における長方形のサンプリング領域を描画する概略図である。
図15図15は、実施例1における色濃度特性曲線を可視化した図である。
図16図16は、実施例2のフローチャートである。
【本発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の説明において、用語「一端」、「他端」、「外側」、「上部」、「内側」、「水平」、「同軸」、「中央」、「端部」、「長さ」、「外端」などに指示された向きまたは位置関係は、図面に示されている向きまたは位置関係に基づくものであり、本発明を説明し、説明を簡略化するためのものにすぎず、参照される装置または要素が特定の向きを有し、特定の向きで構築され、特定の向きで動作しなければならないことを示したり暗示したりすることを意図するものではなく、したがって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0019】
図1に示すように、印刷色濃度の特性曲線の取得方法は、以下のステップを含む。
S1 単一色チャネルのN段階標準カラースケールチャートを設計する。
【0020】
図2に示すN段階標準カラースケールチャートを設計し、できればベタカラーのカラースケールチャートを設計し、説明の便宜上、図2ではカラースケール値の高低を斜線の密度で表し、密度が高いほど、カラースケールの値が高くなり、カラースケールチャートの幅が、プリンターの最大出力幅に応じて決定され、カラースケールチャートの解像度は、プリンターの最大出力解像度に応じて決定される。
【0021】
各カラースケールの高さは、通常、高さ方向での印刷解像度の1/2より大きくする必要がある。カラースケールの高さが大きいほど、色濃度特性曲線の精度が向上する。
【0022】
Nの値は、通常、ビット深度が8の単一チャネルのカラースケールチャートの場合、5以上であり、ビット深度が16の単一チャネルのカラースケールチャートの場合、通常10以上である。
【0023】
N個カラースケールの分布は次のとおりである。カラースケールの70%は、高い方の1/2のカラースケール値の区間にある。カラースケール0は、フルカラースケール値(ビット深度が8のチャネルの場合は255、ビット深度が16の単一チャネルの場合は65535)よりも約10%低くする必要がある。
【0024】
S2 N段階標準カラースケールチャートに対して、印刷出力とスキャン補正を行うステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0025】
S201 図3に示すように、それぞれ設計されたN段階標準カラースケールチャートの上下エッジにある余白の中点に位置決めマークパターンを追加し、位置決めマークパターンが、カラースケールチャートとは大きく異なる形状特性を持つものとする。
【0026】
より良い位置決めマークパターンは、次の特性を持つ必要がある。平面回転移動の後、典型的な円またはリングパターンなど、平面での平行移動によってのみ元の画像と重なることができる。
【0027】
S202 プリンターを使用して、位置決めマークを含む上記N段階標準カラースケールチャートを特定の用紙に印刷する。
【0028】
S203 スキャナーを使用して上記印刷された紙を走査して、単一チャネルの画像ファイルを取得する。
【0029】
S204 印刷およびスキャン中に発生した単一チャネルの画像の回転ずれを補正するステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0030】
S2041 図4に示すように、画像識別モジュールを使用して、上記単一チャネルの画像で上下の2つの位置決めマークパターンを検出し、位置決めマークパターンの中心ピクセル座標を算出し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標の横座標偏差Δxと縦座標偏差Δyを取得する。
【0031】
画像識別モジュールは、基本的なパターン識別方法を使用する。テンプレートは既知の小さな画像であり、テンプレートマッチングは大きな画像から対象物を探し、その座標位置を決定することである。一般的に使用される画像識別モジュールには、相関法、誤差法、二次マッチング誤差アルゴリズムなどがある。本発明は、具体的に相関法を使用し、この例では、位置決めマークパターンは、アルゴリズムによって使用されるテンプレートであり、該パターンは、カラースケールの大きな画像内で検索するために使用される。
【0032】
相関法では、検索された大きな画像S(W,H)にテンプレートT(m,n)を重ねて平行移動し、テンプレートが検索された画像を覆う領域をサブ画像Sijと呼び、i,jが左下隅のサブ画像の検索された大きな画像Sにおける座標であり、検索範囲が1≦i≦W-n、1≦j≦H-mである。TとSijとの類似性は、次の式で測定できる。
【数2】



それを正規化して、テンプレートにマッチングされる相関係数を取得する。
【数3】



テンプレートがサブ画像と同じである場合、相関係数R(i,j)=1は、検索された図Sですべての検索を完了した後、Rの最大値Rmax(im,jm)を見つけ、その対応するサブ画像
【数4】

がマッチング対象になり、
【数5】
がマッチングされた座標位置である。
【0033】
S2042 画像回転偏差の計算方法は、次のとおりである。Δxの値はΔyよりもはるかに小さいため、それを扇形として処理でき、円弧の長さが横軸の偏差であり、半径が縦軸の偏差であり、角度に半径の式
【数6】


を掛けたものに等しい弧の長さを使用し、偏向角
【数7】


を計算して、偏向角θを得る。
【0034】
S2043 偏向角θに応じて、画像処理技術による画像の回転により、カラースケールチャートを補正する。
【0035】
S3 図5に示すように、補正された画像に対して、エッジ検出操作を行うステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0036】
S301 補正された画像に従い、画像識別モジュールを利用して、N段階標準カラースケールチャートのトップ部中点を改めて位置決めする。
【0037】
S302 トップ部の中心位置を算出する。
【0038】
S303 図6、7に示すように、サンプリングステップを設定し、ループアルゴリズムを使用して、サンプリング領域の色濃度の平均値を左側へ測定し、サンプリング領域の色濃度の平均値が設定値より大きいと示されたら、境界に到達したことを意味し、ループ処理を停止し、1つのサンプリングステップの前に戻し、引き続き同様のサンプリングとループ停止判定を右側へ実行する。
【0039】
S4 画像を分割するステップは、以下のステップを含む。
【0040】
S401 有効なパーティションの総数を算出し、即ち、左右側のサンプリング領域の総数を算出する。
【0041】
S402 図8に示すように、ビット深度が8または16のカラーマップで、サンプリング領域の幅とカラースケールの幅に従って、長方形のサンプリング領域を描画する。
【0042】
S5 偏差計算を行うステップは、以下のステップを含む。
【0043】
S501 長さがNの色濃度値を定義し、N段階標準カラースケールチャートにおけるN個カラースケールが紙媒体に印刷される所定の色濃度値を格納する。
【0044】
S502 各カラースケールおよび各パーティションの色濃度の平均値と、S501での前記所定の色濃度値との差を格納するために、行数がNであり、列数が有効なパーティションの総数に等しい配列を定義する。
【0045】
S503 色濃度データを視覚化し、対応する長方形のサンプリング領域内に偏差の概略図、できれば偏差の折れ線グラフを描画する。
【0046】
実施例1
本実施例は、上記の印刷色濃度特性曲線の取得方法の具体的な実施例であり、以下のステップを含む。
【0047】
S1 単一色チャネルの13段階の黒色標準カラースケールチャートを設計する。
【0048】
図9に示す13段階の黒色標準カラースケールチャートを設計し、13段階の黒色標準カラースケールチャートの13個カラースケール値を表1に示す。
表1 13段階の黒色標準カラースケールチャートの13個カラースケール値
【表1】
【0049】
該13段階標準カラースケールチャートの解像度は、1200dpiであり、幅は、13000ピクセルであり、長さは、16318ピクセルであり、各カラースケールバンドの幅は、1000ピクセルである。
【0050】
S2 13段階の黒色標準カラースケールチャートに対して、印刷出力とスキャン補正を行うステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0051】
S201 図10に示すように、設計した13段階の黒色標準カラースケールチャートの上下エッジにある余白の中点にそれぞれ位置決めマークパターンを追加し、位置決めマークパターンは、具体的には黒丸である。
【0052】
S202 プリンターを使用して、特定の紙に位置決めマークを含む上記13段階の黒色標準カラースケールチャートを印刷し、その結果は図11に示されている。
【0053】
S203 スキャナーを使用して上記印刷された紙を走査して、単一チャネルの画像ファイルを取得する。
【0054】
S204 印刷およびスキャン中に発生した単一チャネルの画像の回転ずれを補正するステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0055】
S2041 従来の画像テンプレートマッチングアルゴリズムを使用して、上記の単一チャネルの画像で上下の2つの位置決めマークパターンを検出し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標の横座標偏差Δxと縦座標偏差Δyを取得する。
【0056】
S2042 画像回転偏差の計算方法は、次のとおりである。Δxの値はΔyよりもはるかに小さいため、それを扇形として処理でき、円弧の長さが横座標の偏差であり、半径が縦座標の偏差であり、角度に半径の式
【数8】


を掛けたものに等しい弧の長さを使用し、偏向角
【数9】


を計算して、偏向角θを得る。
【0057】
S2043 偏向角θに応じて、画像処理技術による画像の回転により、カラースケールチャートを補正する。
【0058】
S3 図13に示すように、補正された画像に対して、エッジ検出操作を行うステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0059】
S301 補正された画像に従い、画像テンプレートマッチングアルゴリズムを利用して、カラースケールチャートのトップ部中点を改めて位置決めする。
【0060】
S302 トップ部の中心位置を算出する。
【0061】
S303 図12、13に示すように、サンプリングステップを設定し、ループアルゴリズムを使用して、サンプリング領域の色濃度の平均値を左側へ測定し、サンプリング領域の色濃度の平均値が設定値より大きいと示されたら、境界に到達したことを意味し、ループ処理を停止し、1つのサンプリングステップの前に戻し、引き続き同様のサンプリングとループ停止判定を右側へ実行する。
【0062】
S4 画像を分割するステップは、以下のステップを含む。
【0063】
S401 有効なパーティションの総数を算出し、即ち、左右側のサンプリング領域の総数を算出する。
【0064】
S402 図14に示すように、カラーマップで、サンプリング領域の幅とカラースケールの幅に従って、長方形のサンプリング領域を描画する。
【0065】
S5 偏差計算を行うステップは、以下のステップを含む。
【0066】
S501 長さが13の色濃度値を定義し、13段階の黒色標準カラースケールチャートにおける13個カラースケールが紙媒体に印刷される所定の色濃度値を格納する。
【0067】
S502 各カラースケールおよび各パーティションの色濃度の平均値と、S501における所定の色濃度値との差を格納するために、行数が13で、列数が有効なパーティションの総数に等しい配列を定義する。
【0068】
S503 色濃度データを可視化し、図15に示すように、対応する長方形のサンプリング領域において偏差折れ線グラフを描画する。
【0069】
実施例2
本実施例は、上述した印刷色濃度特性曲線の収集方法の別の具体的な実施例であり、CMYKの4チャネル画像を例として、そのプロセスを図16に示し、具体的には、標準カラースケールチャートをチャネルごとに個別に設計し、次に、それぞれ印刷および出力して、コードをスキャンして補正することであり、そのステップは、上述の実施例と同様であり、ここでは繰り返さない。
【0070】
なお、上記の各実施例は、本発明を限定するのではなく、本発明の技術的解決手段を説明するためにのみ使用されている。前述の各実施例を参照して本発明を詳細に説明していたが、当業者であれば、前述の実施例で説明した技術的解決手段を変更すること、または技術的特徴の一部またはすべてに対して同等の置換を実行することは依然として可能であり、これらの変更または置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではないことを理解する必要がある。
【0071】
(付記)
(付記1)
S1 単一色チャネルのN段階標準カラースケールチャートを設計するステップと、
S2 N段階標準カラースケールチャートに対して、印刷出力とスキャン補正を行うステップと、
S3 補正された画像に対して、エッジ検出操作を行うステップと、
S4 画像を分割するステップと、
S5 偏差計算を行うステップとを含む、ことを特徴とする印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0072】
(付記2)
S1において、Nの値は以下のように設定され、
ビット深度が8の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは5以上であり、
ビット深度が16の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは10以上である、ことを特徴とする付記1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0073】
(付記3)
S1において、各カラースケールの高さが高さ方向での印刷解像度の1/2より大きい、ことを特徴とする付記1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0074】
(付記4)
S1において、カラースケールの70%は、高い方の1/2のカラースケール値の区間にあり、カラースケール0は、フルカラースケール値の10%よりも低い、ことを特徴とする付記1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0075】
(付記5)
S2は、
S201 それぞれN段階標準カラースケールチャートの上下エッジにある余白の中点に位置決めマークパターンを追加するステップと、
S202 プリンターを使用して、位置決めマークパターンを含むN段階標準カラースケールチャートを紙に印刷するステップと、
S203 スキャナーを使用してS202における印刷された紙を走査して、単一チャネルの画像ファイルを取得するステップと、
S204 印刷およびスキャン中に発生した単一チャネルの画像の回転ずれを補正するステップとを含む、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0076】
(付記6)
S204は、
S2041 画像識別モジュールを使用して、取得した単一チャネルの画像で上下の2つの位置決めマークパターンを検出し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標を計算し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標の横座標偏差Δxと縦座標偏差Δyを取得するステップと、
S2042 式
【数10】


に従って偏向角θを算出するステップと、
S2043 偏向角θに応じて、画像処理技術による画像の回転により、カラースケールチャートを補正するステップとを含む、ことを特徴とする付記5に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0077】
(付記7)
S3は、
S301 補正された画像に従い、画像識別モジュールを利用して、N段階標準カラースケールチャートのトップ部中点を改めて位置決めするステップと、
S302 トップ部の中心位置を算出するステップと、
S303 サンプリングステップを設定し、ループアルゴリズムを使用して、サンプリング領域の平均色濃度を左右側へそれぞれ測定し、サンプリング領域の平均色濃度が設定値より大きいと示されたら、ループ処理を停止し、1つのサンプリングステップの前に戻すステップとを含む、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0078】
(付記8)
S4は、
S401 有効なパーティションの総数を算出し、即ち、左右のサンプリング領域の総数を算出するステップと、
S402 ビット深度が8または16のカラーマップで、サンプリング領域の幅とカラースケールの幅に従って、長方形のサンプリング領域を描画するステップとを含む、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【0079】
(付記9)
S5は、
S501 長さがNの色濃度値を定義し、N段階標準カラースケールチャートにおけるN個カラースケールが紙媒体に印刷される所定の色濃度値を格納するステップと、
S502 各カラースケールおよび各パーティションの色濃度の平均値と、S501における所定の色濃度値との差を格納するために、行数がNであり、列数が有効なパーティションの総数に等しい配列を定義するステップと、
S503 対応する長方形のサンプリング領域において偏差の概略図を描画するステップとを含む、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1 単一色チャネルのN段階標準カラースケールチャートを設計するステップと、
S2 N段階標準カラースケールチャートに対して、印刷出力とスキャン補正を行うステップと、
S3 補正された画像に対して、エッジ検出操作を行うステップと、
S4 画像を分割するステップと、
S5 偏差計算を行うステップとを含み、
S2は、
S201 それぞれN段階標準カラースケールチャートの上下エッジにある余白の中点に位置決めマークパターンを追加するステップと、
S202 プリンターを使用して、位置決めマークパターンを含むN段階標準カラースケールチャートを紙に印刷するステップと、
S203 スキャナーを使用してS202における印刷された紙を走査して、単一チャネルの画像ファイルを取得するステップと、
S204 印刷およびスキャン中に発生した単一チャネルの画像の回転ずれを補正するステップとを含み、
S204は、
S2041 画像識別モジュールを使用して、取得した単一チャネルの画像で上下の2つの位置決めマークパターンを検出し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標を計算し、2つの位置決めマークパターンの中心ピクセル座標の横座標偏差Δxと縦座標偏差Δyを取得するステップと、
S2042 式
【数1】
に従って偏向角θを算出するステップと、
S2043 偏向角θに応じて、画像処理技術による画像の回転により、カラースケールチャートを補正するステップとを含み、
S3は、
S301 補正された画像に従い、画像識別モジュールを利用して、N段階標準カラースケールチャートのトップ部中点を改めて位置決めするステップと、
S302 トップ部の中心位置を算出するステップと、
S303 サンプリングステップを設定し、ループアルゴリズムを使用して、サンプリング領域の平均色濃度を左右側へそれぞれ測定し、サンプリング領域の平均色濃度が設定値より大きいと示されたら、ループ処理を停止し、1つのサンプリングステップの前に戻すステップとを含み、
S5は、
S501 長さがNの色濃度値を定義し、N段階標準カラースケールチャートにおけるN個カラースケールが紙媒体に印刷される所定の色濃度値を格納するステップと、
S502 各カラースケールおよび各パーティションの色濃度の平均値と、S501における所定の色濃度値との差を格納するために、行数がNであり、列数が有効なパーティションの総数に等しい配列を定義するステップと、
S503 対応する長方形のサンプリング領域において偏差の概略図を描画するステップとを含む、
ことを特徴とする印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項2】
S1において、Nの値は以下のように設定され、
ビット深度が8の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは5以上であり、
ビット深度が16の単一チャネルのカラースケールチャートに対して、Nは10以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項3】
S1において、各カラースケールの高さが高さ方向での印刷解像度の1/2より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項4】
S1において、カラースケールの70%は、高い方の1/2のカラースケール値の区間にあり、カラースケール0は、フルカラースケール値の10%よりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【請求項5】
S4は、
S401 有効なパーティションの総数を算出し、即ち、左右のサンプリング領域の総数を算出するステップと、
S402 ビット深度が8または16のカラーマップで、サンプリング領域の幅とカラースケールの幅に従って、長方形のサンプリング領域を描画するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷色濃度の特性曲線の取得方法。
【国際調査報告】