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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】農業用製剤のための結晶成長阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/30 20060101AFI20240816BHJP
   C08F 220/28 20060101ALI20240816BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20240816BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20240816BHJP
   A01N 37/46 20060101ALI20240816BHJP
   A01N 43/707 20060101ALI20240816BHJP
   A01N 47/36 20060101ALI20240816BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20240816BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240816BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A01N25/30
C08F220/28
C08L33/14
C08L71/02
A01N37/46
A01N43/707
A01N47/36 101E
A01P13/00
A01P3/00
A01N25/04 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573472
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022041448
(87)【国際公開番号】W WO2023028184
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/237,582
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591066100
【氏名又は名称】ステパン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ぺピン, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】カナル, ロール
(72)【発明者】
【氏名】ショウ, エロディ
(72)【発明者】
【氏名】ギガンド, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】モンセイユ, サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シェブリエ, ミシェル
【テーマコード(参考)】
4H011
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AB01
4H011BA04
4H011BA05
4H011BB06
4H011BB09
4H011BB14
4H011BC19
4H011DA15
4H011DH02
4J002BC071
4J002BG011
4J002BG071
4J002CH022
4J002FD201
4J002FD202
4J002GA00
4J100AB02P
4J100AJ02Q
4J100AL08R
4J100BA05R
4J100BA08R
4J100CA05
4J100DA01
4J100EA06
4J100JA64
(57)【要約】
農業用製剤に有用な結晶成長阻害剤組成物が開示される。組成物は、コームコポリマー分散剤及びアルキルキャップポリアルコキシレートを含む。分散剤は、スチレン、メタクリル酸、及び300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有するアルキルキャップポリアルコキシレートのメタクリル酸エステルの繰り返し単位を含む。阻害剤組成物は、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドファミリーからの農薬を含む、短時間でも保管時に大きな凝集体を結晶化又は形成する傾向のある農業用活性剤に有効である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
阻害剤組成物であって、
(a1)スチレン、メタクリル酸、及び第1のアルキルキャップポリアルコキシレートのメタクリル酸エステルの繰り返し単位を含む、60~97重量%のコームコポリマー分散剤であって、前記第1のアルキルキャップポリアルコキシレートが、300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有する、コームコポリマー分散剤と、
(b1)300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有する、3~40重量%の第2のアルキルキャップポリアルコキシレートであって、前記重量パーセント量が、前記(a1)と(b1)との組み合わせた量に基づいている、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートと、を含み、
前記組成物が、0.1~5重量%で農業用活性剤と組み合わされると、前記農業用活性剤の結晶成長を阻害することができる、阻害剤組成物。
【請求項2】
前記コームコポリマー分散剤が、10~150kDaの範囲内の数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1のアルキルキャップポリアルコキシレートが、350~2,000Daの範囲内の数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第2のアルキルキャップポリアルコキシレートが、350~2,000Daの範囲内の数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1及び第2のアルキルキャップポリアルコキシレートのうちの少なくとも1つが、モノメチル終端ポリエチレングリコール(mPEG)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記分散剤が、前記分散剤の量に基づいて、25~50重量%のスチレン繰り返し単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記分散剤の残留酸性基が、中和されていない、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
農業用組成物であって、
(a2)アルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドからなる群から選択される農業用活性剤と、
(b2)前記農業用活性剤の量に基づいて、0.1~5重量%の請求項1に記載の前記阻害剤組成物と、を含む、農業用組成物。
【請求項9】
前記農業用活性剤が、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、又はスルホニル尿素である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記農業用活性剤が、メタラキシルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記農業用活性剤が、メトスルフロン-メチル又はニコスルフロンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記農業用活性剤が、メトリブジンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
水、有機溶媒、殺生物剤、界面活性剤、湿潤剤、pH調整剤、及び消泡剤からなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記(a2)と(b2)との組み合わせた量に基づいて、0.2~3重量%の前記阻害剤組成物を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
前記有機溶媒が、80℃を超える引火点を有する芳香族炭化水素を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項16】
前記農業用活性剤が、メタラキシルであり、54℃で14日間保管した後、少なくとも90重量%の粒子が、動的光散乱によって測定される50μm未満の平均直径を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
エマルジョン、懸濁液濃縮物、又はサスポエマルジョンの形態にある、請求項8に記載の組成物。
【請求項18】
アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドからなる前記群から選択される農業用活性剤を、阻害剤組成物と組み合わせることを含む、方法であって、前記阻害剤組成物が、
(a1)スチレン、メタクリル酸、及び第1のアルキルキャップポリアルコキシレートのメタクリル酸エステルの繰り返し単位を含む、60~97重量%のコームコポリマー分散剤であって、前記第1のアルキルキャップポリアルコキシレートが、300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有する、コームコポリマー分散剤と、
(b1)300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有する、3~40重量%の第2のアルキルキャップポリアルコキシレートであって、前記重量パーセント量が、前記(a1)と(b1)との組み合わせた量に基づいている、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートと、を含み、
前記阻害剤組成物が、光学顕微鏡法又は動的光散乱によって決定される、前記農業用活性剤の結晶成長を阻害するのに有効な量で存在する、方法。
【請求項19】
使用される前記阻害剤組成物の量が、前記農業活性組成物と阻害剤組成物との組み合わせた量に基づいて、0.1~5重量%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記農業用活性剤が、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、又はスルホニル尿素である、請求項18に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用製剤中の結晶成長を阻害するのに有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用組成物、特に水性製剤は、農業用活性剤の沈殿物が沈殿する又は沈殿物を形成することなく、広範囲の温度で長期間保管することができる場合に、最も有用である。いくつかの農業用活性剤は、比較的短い時間後でも水性媒体から沈殿する場合がある、大きな結晶又は結晶の凝集体を形成する傾向がある。
【0003】
例えば、米国公開第2002/0040044号は、ある特定のトリアゾール殺菌剤の結晶成長を阻害する能力を有する様々な界面活性剤を記載している。界面活性剤には、トリスチリルフェノールエトキシレート及びそれらの硫酸誘導体、EO/POブロックコポリマー、及びビニルピロリドンポリマーが含まれる。
【0004】
アクリル骨格及びアクリルポリエーテルマクロモノマーから形成される「歯」を有するコームコポリマーは、顔料分散体(例えば、米国特許第6,582,510号を参照されたい)、セメントのための減水剤(例えば、米国特許第6,214,958号を参照されたい)、及び農業用組成物(例えば、米国特許第5,139,773号及びEP0007731を参照されたい)で使用するために記載されている。より最近では、アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び任意選択的に強力な(メタ)アクリル酸の酸誘導体から作製されるコポリマー分散剤が記載されている(米国公開第2021/0029989号を参照されたい)。
【0005】
’989刊行物は、結晶成長を阻害するためにコームコポリマー分散剤と組み合わせられるイミダクロプリド又はブプロフェジンの製剤を記載する。限定的な実験的実証にもかかわらず、好適とされる農業用活性剤のリストは比較的無制限である。’989刊行物は、コームコポリマー中の酸性基を、中和することを推奨しており、アルキルキャップポリアルコキシレート溶媒と組み合わせることを示唆していない。
【0006】
水性農業用製剤における結晶成長を効果的に阻害する組成物を同定することに課題が残っている。理想的には、組成物は、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドファミリーからの多数の一般的な農薬を含む、農業用活性剤、特に短時間でも保管時に大きな凝集体を結晶化又は形成する傾向がある活性剤の種類の範囲にわたって有効であるであろう。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、阻害剤組成物に関する。阻害剤組成物は、コームコポリマー分散剤及びアルキルキャップポリアルコキシレートを含む。コームコポリマー分散剤は、スチレン、メタクリル酸、及び第1のアルキルキャップポリアルコキシレートのメタクリル酸エステルの繰り返し単位を含み、第1のアルキルキャップポリアルコキシレートが、300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有する。阻害剤組成物は、300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有する第2のアルキルキャップポリアルコキシレートを含む。阻害剤組成物は、60~97重量%のこのコームコポリマー分散剤と、3~40重量%の第2のアルキルキャップポリアルコキシレートと、を含み、重量パーセント量は、2つの成分の組み合わせた量に基づいている。0.1~5重量%で農業用活性剤と組み合わされると、阻害剤組成物は、農業用活性剤の結晶成長を阻害することができる。結晶成長阻害の程度は、光学顕微鏡及び動的光散乱を含む容易に利用可能な技術を使用して便利に観察される。
【0008】
別の態様では、本発明は、農業用組成物を含む。組成物は、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドから選択される農業用活性剤、並びに農業用活性剤の量に基づいて、0.1~5重量%の上記の阻害剤組成物を含む。
【0009】
本発明は、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドから選択される農業用活性剤を、上記のような阻害剤組成物と組み合わせることを含む方法を含む。阻害剤組成物は、光学顕微鏡法又は動的光散乱によって決定される、農業用活性剤の結晶成長を阻害するのに有効な量で存在する。
【0010】
本発明は、広範囲の農業用組成物中の結晶成長を生成し、かつ効果的に阻害することが容易である組成物を提供する。驚くべきことに、良好な保管安定性、及び結晶成長の持続的な阻害を付与するためには、コームコポリマー分散剤とアルキルキャップポリアルコキシレート溶媒との組み合わせが必要である。阻害剤組成物は、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドファミリーからの農薬を含む、短時間でも保管時に大きな凝集体を結晶化又は形成する傾向のある農業用活性剤に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】0日目の水中、14日目の水中、及び14日目の本発明の阻害剤組成物(「分散剤」)の存在下でのメトリブジンの動的光散乱(DLS)によって測定される粒径分布(体積%粒子対μm単位の粒径)を示す。
図2】0日目の水中、7日目の水中、並びに7日目及び14日目の本発明の阻害剤組成物の存在下でのメタラキシルのDLSによって測定される粒径分布を示す。
図3】0日目の水中、14日目の水中、及び14日目の本発明の阻害剤組成物の存在下でのメトスルフロンのDLSによって測定される粒径分布を示す。
図4】0日目の水中、14日目の水中、及び14日目の本発明の阻害剤組成物の存在下でのニコスルフロンのDLSによって測定される粒径分布を示す。
図5】コームコポリマー分散剤単独、mPEG750溶媒単独、又はPEG800(mPEG750と同じ分子量)若しくはPEG1500(mPEG750と同じヒドロキシル数)のいずれかを有するコームコポリマー分散剤と比較した場合の、本発明の阻害剤組成物の使用の影響を示す。
図6】0日目のメタラキシル水溶液、14日目のメタラキシル水溶液、及び14日目のメタラキシル+本発明の阻害剤組成物の光学顕微鏡画像を同じスケールで示す。
図7】0日目の水中のニコスルフロン、14日目の水中のニコスルフロン、及び14日目のニコスルフロン+本発明の阻害剤組成物の溶液における光学顕微鏡画像を同じスケールで示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
いくつかの態様では、本発明は、農業用組成物の阻害剤組成物に関する。阻害剤組成物は、コームコポリマー分散剤及びアルキルキャップポリアルコキシレート溶媒を含む。
【0013】
コームコポリマー分散剤
阻害剤組成物は、コームコポリマー分散剤を含む。分散剤は、スチレン、メタクリル酸、及び第1のアルキルキャップポリアルコキシレートのメタクリレートエステルの繰り返し単位を含む。第1のアルキルキャップポリアルコキシレートは、300~3,000Daの範囲内、又はいくつかの態様では350~2,000Daの範囲内の数平均分子量(GPC、ポリスチレン標準による)を有する。メタクリレートエステルはまた、本明細書では「マクロモノマー」とも称される。
【0014】
いくつかの態様では、アルキルキャップポリアルコキシレートは、C-C又はC-C直線状又は分岐状アルキル基でキャップ又は終端される。いくつかの態様では、ポリアルコキシレートは、メチル基又はブチル基、好ましくはメチル基でキャップされる。
【0015】
いくつかの態様では、アルキルキャップポリアルコキシレートのポリアルコキシレート部分は、エチレンオキシド(EO)ホモポリマー、プロピレンオキシド(PO)ホモポリマー、又はEO及びPOのブロック若しくはランダムコポリマーである。好ましい態様では、アルキルキャップポリアルコキシレートは、300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有する、一般に「mPEG」として知られるモノメチル終端ポリエチレングリコールである。
【0016】
第1のアルキルキャップポリアルコキシレートは、好ましくは少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基を有するが、生成物のわずかな割合が完全に(例えば、ジメチル終端PEGとして)キャップされ得る。マクロモノマーに組み込むために利用できない後者の部分は、その場合、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートの一部又は全てとして機能するであろう。
【0017】
いくつかの態様では、分散剤は、コームコポリマー分散剤の量に基づいて、25~50重量%、又は30~50重量%、又は30~40重量%のスチレン繰り返し単位及び0.1~10重量%、又は1~8重量%、又は3~6重量%のメタクリル酸繰り返し単位、並びに45~75重量%、又は50~70重量%、又は55~65重量%のマクロモナー繰り返し単位を含む。
【0018】
溶媒として第2のアルキルキャップポリアルコキシレートを含む阻害剤組成物は、コームコポリマー分散剤と第2のアルキルキャップポリアルコキシレートとの組み合わせた量に基づいて、60~97重量%のコームコポリマー分散剤を含む。いくつかの態様では、阻害剤組成物は、65~95重量%、又は70~90重量%のコームコポリマー分散剤を含む。
【0019】
コームコポリマー分散剤は、ビニルモノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレートエステル、アクリル酸、ビニルスルホン酸などの他のエチレン性モノマーの繰り返し単位を含むことができる。いくつかの態様では、コームコポリマー分散剤は、コームコポリマー分散剤の量に基づいて、0.1~10重量%のスチレン、メタクリル酸、及びマクロモノマー以外のモノマーを含む。他の態様では、コームコポリマー分散剤は、スチレン、メタクリル酸、及びマクロモノマーの繰り返し単位からなるか、又は本質的にそれらからなる。
【0020】
コームコポリマー分散剤は、水性媒体中のモノマーを、任意の所望の順序で、連鎖移動剤(例えば、ドデカンチオール)、フリーラジカル開始剤(例えば、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオナミド)二塩酸塩などのアゾ化合物)、アルキルキャップポリアルコキシレート溶媒、及び任意の補助溶媒(例えば、プロピレングリコール、グリセロールなど)と組み合わせることによって、好都合に作製される。成分は、開始剤を分解するのに十分な熱(典型的には40℃~120℃)の存在下で混合され、重合は、所望の完成度まで継続される。得られた阻害剤組成物の水溶液は、それがメタクリル酸の繰り返し単位を有するため、酸性であり、pHは、典型的には4~7又は5~6の範囲である。いくつかの態様では、コームコポリマー分散剤は、中和されず、他の態様では、酸性基の部分的中和が望ましい場合がある。
【0021】
いくつかの態様において、コームコポリマーは、10kDa~150kDa、20kDa~90kDa、又は30kDa~60kDaの範囲内の数平均分子量(GPC)を有する。
【0022】
アルキルキャップポリアルコキシレート溶媒
阻害剤組成物は、アルキルキャップポリアルコキシレートを含む。この成分を、マクロモノマーを作製するために使用されるアルキルキャップポリアルコキシレートと区別するために、アルキルキャップポリアルコキシレート溶媒は、本明細書では「第2の」アルキルキャップポリアルコキシレートとも称される。第2のアルキルキャップポリアルコキシレートは、300~3,000Daの範囲内、又はいくつかの態様では500~2,000Daの範囲内の数平均分子量(GPC、ポリスチレン標準による)を有する。
【0023】
いくつかの態様では、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートは、C-C又はC-C直線状又は分岐状アルキル基でキャップ又は終端される。いくつかの態様では、第2のポリアルコキシレートは、メチル基又はブチル基、好ましくはメチル基でキャップされる。第1のアルキルキャップポリアルコキシレートとは異なり、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートは、アルキル基で完全にキャップされることができる。
【0024】
いくつかの態様では、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートのポリアルコキシレート部分は、エチレンオキシド(EO)ホモポリマー、プロピレンオキシド(PO)ホモポリマー、又はEO及びPOのブロック若しくはランダムコポリマーである。好ましい態様では、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートは、300~3,000Daの範囲内の数平均分子量を有するmPEGである。
【0025】
第1及び第2のアルキルキャップポリアルコキシレート組成物は、同一でもよく、又は互いに異なっていてもよい。最も好都合なのは、第1及び第2のアルキルキャップポリアルコキシレート組成物が、モノアルキルキャップされ、かつ同一であって、任意の未反応のアルキルキャップポリアルコキシレートが、第2のアルキルキャップポリアルコキシレートとして、すなわち、阻害剤組成物の溶媒成分として機能するコームコポリマー分散剤の作製に、十分な量のアルキルキャップポリアルコキシレートが使用されることである。例えば、好ましい態様では、第1及び第2のアルキルキャップポリアルコキシレートは、同じモノメチル終端PEG組成物である。
【0026】
阻害剤組成物は、コームコポリマー分散剤と第2のアルキルキャップポリアルコキシレートとの組み合わせた量に基づいて、3~40重量%の第2のアルキルキャップポリアルコキシレートを含む。いくつかの態様では、阻害剤組成物は、10~35重量%、又は20~30重量%の第2のアルキルキャップポリアルコキシレートを含む。
【0027】
いくつかの態様では、阻害剤組成物は、水、有機溶媒(特にグリセロール、プロピレングリコールなど)、殺生物剤、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、又はそれらの組み合わせなどの他の成分を含む。我々は、有機溶媒の選択が、少なくともいくつかの場合では、コームコポリマーの分子量を制御するために使用され得ることを見出した(以下の実施例1を参照されたい)。
【0028】
農業用組成物
本発明は、上述の阻害剤組成物及び農業用活性剤を含む農業用組成物を含む。特に、組成物は、農業活性組成物と阻害剤組成物との組み合わせた量に基づいて、0.1~5重量%の阻害剤組成物を含む。いくつかの態様では、組成物は、農業用活性剤及び阻害剤組成物の組み合わせた量に基づいて、0.2~3重量%又は0.5~3重量%の阻害剤組成物を含む。農業用活性剤は、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、スルホニル尿素、ストロビルリン、ハロゲン化ピロール、ネオニコチノイド、トリアゾール、及びピリジンカルボキサミドから選択される。
【0029】
アシルアラニンは、例えば、メタラキシル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、フララキシル、ベナラキシル、ベナラキシル-M(キララキシル)など、特にメタラキシルを含む。オキシアセトアミドは、例えば、フルフェナセット及びメフェナセットを含む。トリアジノンは、例えば、メチルブジン、ヘキサジノン、及びメタミトロン、特にメチルブジンを含む。スルホニル尿素は、例えば、メトスルフロン-メチル、ニコスルフロン、アミドスルフロン、ベンスルフロンメチル、クロリムロンエチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、プリミスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリアスルフロン、及びトリベヌロンメチル、特にメトスルフロン-メチル又はニコスルフロンを含む。ストロビルリンは、例えば、トリフロキシストロビン、アゾキシストロビン、フルオキサストロビン、ジモキシストロビンなどを含む。ハロゲン化ピロールは、例えば、クロルフェナピルを含む。ネオニコチノイドには、例えば、イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサムなどを含む。トリアゾールは、例えば、シプロコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール、メトコナゾールなどを含む。ピリジンカルボキサミドは、例えば、ジフルフェニン、ピコリナフェンなどを含む。
【0030】
農業用組成物は、水、有機溶媒、殺生物剤、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、又はそれらの組み合わせなどの他の成分を含むことができる。
【0031】
いくつかの態様では、農業用組成物は、芳香族炭化水素を含む有機溶媒を含む。いくつかの態様では、芳香族炭化水素溶媒は、80℃を超える引火点を有する。
【0032】
いくつかの態様では、農業用組成物は、エマルジョン、懸濁液、濃縮物、又はサスポエマルジョンの形態で調製される。
【0033】
本発明は、農業用組成物を作製する方法を含む。本方法は、アシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、及びスルホニル尿素から選択される農業用活性剤を、上述した阻害剤組成物と組み合わせることを含む。阻害剤組成物は、光学顕微鏡法又は動的光散乱によって決定される、農業用活性剤の結晶成長を阻害するのに有効な量で使用される。
【0034】
結晶成長阻害
上記の阻害剤組成物を、0.1~5重量%の農業用活性剤、特にアシルアラニン、オキシアセトアミド、トリアジノン、及びスルホニル尿素から選択される農業用活性剤と組み合わせると、組成物は、農業用活性剤の結晶成長を阻害することができる。
【0035】
結晶成長(成長の阻害)を評価するための好都合な方法は、添加された阻害剤組成物の有無にかかわらず、水中に溶解、分散、又は懸濁したときに、農業用活性剤の平均粒径が高温で2週間にわたってどのように変化するかを測定することである。結晶成長の評価は、光学顕微鏡写真の目視検査(図6及び7を参照されたい)によって、又は動的光散乱、レーザー回折、若しくは他の好適な技法によって平均粒径を測定することによって、行うことができる。測定は、特定の平均粒子直径(典型的にはμm単位)を有する粒子の相対量の分布を示す曲線を生成する。1つの好適な動的光散乱(DLS)方法を以下に記載する。以下の図1~5及び表2~4は、そのようなDLS測定の代表的な結果を示す。
【実施例
【0036】
以下の実施例は、単に本発明の主題を図示するに過ぎない。特許請求の範囲の範囲内の多くの同様の変形例が、当業者に直ちに明らかとなるであろう。
【0037】
実施例1
阻害剤組成物の調製
攪拌器、コンデンサ、及び窒素スパージ管を備えた丸底フラスコに、モノメチル終端ポリエチレングリコール(「mPEG750」、406g)、プロピレングリコール(591g)、スチレン(418g、荷電モノマーに基づく35重量%)、メタクリル酸(60g)、モノメチル終端ポリエチレングリコールメタクリレート(「マクロモノマー」、水中50重量%、1379g)、及びドデカンチオール(17g)を充填する。別に、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオナミド)二塩酸塩(116gの水中17g)の溶液を調製する。フラスコ内容物を70℃に加熱し、次いで、蠕動ポンプを介して開始剤溶液を3時間にわたって添加する。添加の完了時に、反応混合物を、70℃で1時間保持する。得られた酸性溶液を冷却し、水(約1500g)で希釈する。生成物は、mPEG750溶媒中、約30kDaのMを持つ(ゲル透過クロマトグラフィーによる)酸性コームコポリマー、水、及びプロピレングリコールの混合物である。コームコポリマーは、スチレン、メタクリル酸、及びマクロモノマーの繰り返し単位を有する。コームコポリマーとmPEG750との重量比は、約3:1である。
【0038】
プロピレングリコールの代わりにグリセロールを使用して同様の実験を行う場合、コームコポリマーは、約60kDaの重量平均分子量を有し、有機溶媒(又は溶媒組み合わせ)の選択を使用してコームコポリマーの分子量に影響を与えることができることを実証する。
【0039】
設計側面:メタラキシルを使用した結果
実施例1の手順に概して従って、異なるマクロモノマー(mPEG2000メタクリレート)、異なる量(30重量%又は40重量%)のスチレン、異なる疎水性モノマー(α-メチルスチレン、ベンジルメタクリレート、又は2-エチルヘキシルアクリレート)、様々な分子量(6kDa~110kDa)の分散剤、異なるアルキルキャップポリアルコキシレート溶媒(mPEG350、mPEG2000)、異なる量(4~14重量%)のmPEG750、及び異なる酸性度(酸性又は中性pH)を有する阻害剤組成物を作製する。これらの阻害剤組成物は、54℃で14日間の安定性試験においてメタラキシルで試験される。粒径分布及び多分散性は、以下に記載する動的光散乱によって決定され、結果は、表2に表される。
【0040】
表2に示すように、メタラキシルの場合、メタクリレートマクロモノマー中のアルキルキャップポリアルコキシレート鎖の長さは、結晶成長阻害に悪影響を与えることなく有意に変化させることができる。スチレン含有量は、変化させることができるが、他の試験された疎水性モノマーは、メタラキシルでの結晶成長を阻害するのにそれほど効果的ではなく、いくつかは許容できない沈降が起きている。スチレンで良好な結果を得られたのは、メタラキシルの芳香族環とスチレン残基とがよりよくスタッキングしたからである可能性がある。分散剤分子量は、メタラキシルに対して約10kDa~50kDaの範囲内で最適に見える。他の結果は、アルキルキャップポリアルコキシレート溶媒の分子量及び割合を首尾よく変化させることができることを示している。阻害剤組成物中の酸性基の中和は、メタラキシルの結晶成長を阻害するのには役に立たず、対照的に、(中和されていない)酸性バージョンは、結晶成長が有意に低下することを実証する。
【0041】
GPC特性評価
コームコポリマー分散剤の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して概算される。較正曲線は、500~350,000Daの範囲の狭い分子量分布及び分子量を有するポリスチレンを使用して生成される。アイソクラティック法は、唯一の移動相としてTHFを使用する。サイズ除外カラム(TSKGel G4000HHR、7.8×300mm、5μm)及び屈折率(RI)検出器(最終的には可変波長紫外線(UV)検出器と結合される)を使用して、重量平均分子量(M)及び分子量分布(M/Mn)を測定する。試料(THF中の1重量%)を、14分間のプログラムのために1mL/分で注入する。
【0042】
懸濁液濃縮物
水性懸濁液濃縮物(「SC」)は、以下のように製剤化される。第1の混合物(「A相」、SC製剤の90重量%)は、農業用活性剤、コームコポリマー分散剤、STEP-FLOW(登録商標)26F(非イオン性界面活性剤、Stepan Company)、PROXEL(商標)GXL殺生物剤(Lonza)、SAG(商標)1572消泡エマルジョン(Momentive)、及び水を組み合わせることによって生成される。別に、第2の混合物(「B相」、10重量%)を、グリセロール、キサンタンガム、及び水を組み合わせることによって調製する。A相は、ジルコニウムビーズ(直径:1.25/1.60mm、密度:2.6)と混合し、均質になるまで8分間粉砕する。メトスルフロンが活性である場合、重炭酸ナトリウム緩衝液を含ませ、B相のpHを6.6に調整する。次いで、B相を、高いせん断(2000rpm)でA相と組み合わせ、混合して、完成した製剤を得る。典型的な製剤の詳細を表1に表す。
【0043】
安定性試験
製剤安定性は、54℃のオーブンに14日間保管された試料の目視検査によって評価される。発生したクリーミング又は沈殿は書き留める。安定性試験はまた、凍結融解条件下(54℃で4日間、次いで、-10℃で一晩を2サイクル)及び40℃で28日間実施され、目視検査によって良好な安定性が認められた。
【0044】
動的光散乱による粒径測定
d(0.1)、d(0.5)、及びd(0.9)値は、Hydro MUアタッチメントを備えたMalvern MASTERSIZER(商標)2000粒径分析器を用いた動的光散乱を使用して決定する。メタラキシルには、飽和NaCl水溶液(300g/L)を使用し、他の農業用活性剤には、水道水又は脱イオン水を使用する。表2で「d(0.1)」、「d(0.5)」、及び「d(0.9)」の見出しの下に報告される値は、それぞれ、粒子の10%、50%、又は90%がそれ以下である平均粒径(μm単位)を指す。多分散性の尺度であるD[4,3]も報告されている。
【0045】
光学顕微鏡法評価
結晶形態を、Olympus BX5顕微鏡を使用して、光学顕微鏡によって評価する。試料は、そのまま(希釈なし)で薄層として観察され、いくつかの場合では、試料を水又はグリセロールで希釈する。画像(1試料当たり3枚)は、400倍の倍率で撮影され、Olympus Stream画像解析ソフトウェアを使用して処理される。
【0046】
【表1】
【0047】
様々な農業用活性剤の結果
表3は、メタラキシル、メトリブジン、メトスルフロン、及びニコスルフロンを含む様々な農業用活性剤を用いた結晶成長阻害に対する分散剤の影響をまとめたものである。
【0048】
試料は、調製された直後に、上記のように、光学顕微鏡法及び動的光散乱によって分析される。農業用活性剤及び水のみを含有する試料を、0日目に、次いで14日目にも分析して、本発明の阻害剤組成物の非存在下での結晶成長を評価する。阻害剤組成物、すなわち「分散剤」を含有する試料を14日目に評価し、結果を、分散剤を含まない0日目及び14日目の結果と比較する。メタラキシル試料は、7日目にも分析される。
【0049】
一般に、試験された農業用活性剤の各々とともに、本発明の阻害剤組成物を含むことは、14日目に結晶成長を効果的に低減させる。メタラキシル又はメトスルフロンなどのいくつかの活性剤の場合、その影響は劇的であり、メトリブジンなどの他の活性剤の場合、その改善はより微妙である。更に、我々は、この試験を通じて、同じ農業用活性剤に対して、結晶成長の問題(又はその欠如)が供給源又は試料に依存している可能性があることを発見した。例えば、フルフェナセトが結晶成長の問題を有しているとの報告もあるが、我々が試験したベースライン試料では重大な問題は実証されなかった。更に、異なる供給源から得られたメトリブジンは、ベースライン試料における結晶成長の程度に顕著な差異を示した。
【0050】
図1図4は、動的光散乱を使用して測定される、各農業用活性剤の平均粒径(μm単位)の分布を示している。いずれの場合も、水性農業用活性剤のd14曲線(分散剤なし、14日間)は、予想通り、右に変位し、結晶成長を反映している。本発明の阻害剤組成物が存在する場合、d14曲線は、d0曲線の右側(分散剤なし、0日)に留まるが、d14水曲線の左側に留まり、結晶成長が分散剤によって阻害されていることを示す。相違は、メトリブジン(図1)及びニコスルフロン(図4)の場合は、見て直ぐにわかり、メタラキシル(図2)の場合は、それは劇的である。メトスルフロン(図3)については、分散剤を含む曲線の変位は微妙であるが、分散剤を含まない14日目の試料は、かなり大きな割合の非常に大きな結晶(100~500μm)を有する。
【0051】
表3において「d(0.1)」、「d(0.5)」、及び「d(0.9)」の見出しの下に報告される値は、それぞれ、粒子の10%、50%、又は90%が有する平均粒径(μm単位)の最大値を指す。例えば、14日間のメタラキシルの未処理の水性試料について、粒子の90%は、120μm未満の平均粒径を有する。対照的に、分散剤が含まれるとき、粒子の90%は、23μm未満の平均粒径を有する。
【0052】
d(0.5)及びd(0.9)値における未処理試料から分散剤処理試料への%変化は、それぞれ「d50%成長」又は「d90%成長」として表3に報告されている。したがって、メタラキシルについて、1560%は、0日目の3.2μmから14日目の53μmまでのd(0.5)の%変化であり、57%は、分散剤を含有する試料について、0日目の3.2μm(未処理の試料)から14日目の5.0μmまでのd(0.5)の%変化である。
【0053】
D[4,3]の値は、粒径分布の多分散性(又は幅)の尺度であり、数値が高いほど、試料中の粒径の分布がより広いことを示す。
【0054】
光学顕微鏡法の結果
光学顕微鏡法は、結晶成長阻害を評価するためにも使用することができる。図6は、メタラキシルの溶液について同じ倍率で得られた一連の画像を示す。右下の白いバーは、20μmを表している。0日目の画像は、よく分散した小さな粒子を示している。分散剤なしでは、14日目までに結晶成長は劇的である。しかしながら、本発明の阻害剤組成物を含まれていると、14日目までの結晶成長は大幅に減少する。ニコスルフロンの場合、その傾向は図7において同様である。ここでも、右下の白いバーは、20μmを表す。分散剤の存在による減少は相当なものであるが、水中で14日後の結晶成長は、メタラキシルの同じ画像と比較した場合、ニコスルフロンではそれほど劇的ではない。
【0055】
相乗作用研究
コームコポリマー分散剤とmPEG溶媒との組み合わせは、結晶成長を阻害する優れた結果をもたらす。図5及び表4は、本発明の阻害剤組成物中に両方の成分が存在することの利点を明らかにするために、メタラキシルで実施された研究の結果をまとめている。コームコポリマーのみが存在する場合、粒径分布は明らかに二峰性であり、14日目の生成物の大部分は100~1000μmの平均粒径を有する。mPEG750のみが存在する場合(すなわち、いずれのコームコポリマー分散剤も含まない場合)、14日目の分布はより単峰性であるが、100μm超の値(140μmのd(0.9))でピークに達する。対照的に、コームコポリマーをmPEG750と組み合わせると、粒径分布は単峰性であり、約10μmのより低い平均粒径値(26μmのd(0.9))にシフトする。コームコポリマーをPEG1500(mPEG750と同じヒドロキシル数)又はPEG800(mPEG750とほぼ同じ分子量)と組み合わせることは、粒径分布曲線をより低い平均粒径にシフトすることにおいて、mPEG750よりも効果的ではない。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
前述の実施例は、例示としてのみ意味され、以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を画定する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】