IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2024-530565エネルギー貯蔵要素、エネルギー貯蔵要素のアセンブリ、及び製造方法
<>
  • 特表-エネルギー貯蔵要素、エネルギー貯蔵要素のアセンブリ、及び製造方法 図1
  • 特表-エネルギー貯蔵要素、エネルギー貯蔵要素のアセンブリ、及び製造方法 図2
  • 特表-エネルギー貯蔵要素、エネルギー貯蔵要素のアセンブリ、及び製造方法 図3
  • 特表-エネルギー貯蔵要素、エネルギー貯蔵要素のアセンブリ、及び製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵要素、エネルギー貯蔵要素のアセンブリ、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240816BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/159 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/179 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240816BHJP
   H01M 50/564 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240816BHJP
   H01M 50/152 20210101ALN20240816BHJP
   H01M 50/15 20210101ALN20240816BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/548 201
H01M50/562
H01M50/119
H01M50/159
H01M50/536
H01M50/342 101
H01M50/107
H01M50/103
H01M50/169
H01M50/179
H01M4/13
H01M50/564
H01M50/534
H01M50/533
H01M50/152
H01M50/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577352
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2022070425
(87)【国際公開番号】W WO2023016769
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/072428
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21195983.8
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502350250
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥッツ レイコ
(72)【発明者】
【氏名】シュトック シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シャイン ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ピュトリク エドゥアルト
(72)【発明者】
【氏名】エンスリング ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】カドゥス シュテファニー
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H028
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC06
5H011KK01
5H012AA01
5H012BB02
5H012DD01
5H028BB07
5H043AA04
5H043AA05
5H043CA03
5H043DA13
5H043EA02
5H043HA11E
5H043JA02D
5H043LA02E
5H050AA15
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050HA04
(57)【要約】
エネルギー貯蔵要素(100)が、気密及び液密に密封されたハウジングとその中に配置された電極セパレータアセンブリ(104)とを含む。電極セパレータアセンブリ(104)は、アノード集電体(106)を有するアノード(105)とカソード集電体(109)を有するカソード(108)とを含み、アノード集電体(106)及びカソード集電体(109)は各々、電極材料(107、110)の層を搭載した主領域と電極材料を搭載していない自由縁ストリップ(106b、109b)とを含み、アノード(105)及びカソード(108)は、アノード集電体(106)の第1縁(106a)が第1端子平端面(104a)から突出し、カソード集電体(109)の第1縁(109a)が電極セパレータアセンブリ(104)の第2端子平端面(104b)から突出するように配置される。ハウジングは、ハウジング底部(101a)と端子開口とを有する金属のカップ形ハウジング部(101)と、端子開口に溶接されるとともに端子開口を閉鎖する蓋プレート(102a)を有する蓋構成要素(102)とを含む。端子ポール(102b)は、蓋プレート(102a)におけるアパーチャを通されるとともに蓋プレート(102a)から電気的に絶縁される。エネルギー貯蔵要素は、コンタクトシート金属部材(111)であって、アノード集電体(106)の第1縁(106a)に据え付けられるとともに溶接によりそれに接続され、同時に、蓋プレート(102a)におけるアパーチャを通るように案内された端子ポール(102b)に電気的に接続されるコンタクトシート金属部材(111)を含む。端子ポール(102b)がニッケル又は銅又はチタン又はニッケル合金又は銅合金又はチタン合金又はステンレス鋼でできている第1接触部分(102c)とアルミニウム又はアルミニウム合金でできている第2接触部分(102d)とを含み、第2接触部分(102d)がハウジングの外側から機械的に接触可能であることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵要素(100)であって、以下の特徴、すなわち、
a.それが、気密及び液密封止ハウジングとその中に配置された電極セパレータアセンブリ(104)とを含む、
b.前記ハウジングが、ハウジング底部(101a)と端子開口とを含む金属性カップ形ハウジング部(101)を含む、
c.前記ハウジングが、蓋構成要素(102)であって、前記カップ形ハウジング部(101)の前記端子開口内に溶接されるとともに前記カップ形ハウジング部(101)の前記端子開口を閉鎖する蓋構成要素(102)を含む、
d.前記蓋構成要素(102)が、金属蓋プレート(102a)と、負端子(102b)であって、前記蓋プレート(102)におけるアパーチャを通されるとともに前記蓋プレート(102)から電気的に絶縁された負端子(102b)とを含む、
e.前記電極セパレータアセンブリ(104)が、第1端子平端面(104a)と第2端子平端面(104b)とを含む、
f.前記電極セパレータアセンブリ(104)が、第1縁(106a)とそれに平行な第2縁とを有するアノード集電体(106)を備えたアノード(105)を含む、
g.前記アノード集電体(106)が、負極材料(107)の層を搭載した主領域と、自由縁ストリップ(106b)であって、前記電極材料(107)を搭載していないその第1縁(106a)に沿って延在する自由縁ストリップ(106b)とを含む、
h.前記電極セパレータアセンブリ(104)が、カソード(108)であって、第1縁(109a)とそれに平行な第2縁とを有するカソード集電体(109)を備えたカソード(108)を含む、
i.前記カソード集電体(109)が、正極材料(110)の層を搭載した主領域と、自由縁ストリップ(109b)であって、その第1縁(109a)に沿って延在するとともに前記電極材料(110)を搭載していない自由縁ストリップ(109b)とを含む、
j.前記アノード(105)及び前記カソード(108)が、前記アノード集電体(106)の前記第1縁(106a)が前記第1端子端面(104a)から突出し、前記カソード集電体(109)の前記第1縁(109a)が前記電極セパレータアセンブリ(104)の前記第2端子端面(104b)から突出するように、前記電極セパレータアセンブリ(104)内に配置される、
k.前記エネルギー貯蔵要素が、コンタクトシート金属部材(111)であって、前記アノード集電体(106)の前記第1縁(106a)に据え付けられるとともに溶接によりそれに接続されるコンタクトシート金属部材(111)を含む、
l.前記コンタクトシート金属部材(111)が、前記蓋プレート(102a)における前記アパーチャを貫通している前記負端子(102b)に電気的に接続される、
m.前記負端子(102b)が、ニッケル又は銅又はチタン又はニッケル合金又は銅合金又はチタン合金又はステンレス鋼でできている第1接触部分(102c)と、アルミニウム又はアルミニウム合金でできている第2接触部分(102d)とを含む、並びに、
n.前記第2接触部分(102d)が前記ハウジングの外側から機械的に接触され得る
という特徴を備えたエネルギー貯蔵要素(100)。
【請求項2】
以下の追加的な特徴、すなわち、
a.前記カップ形ハウジング部(101)がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる、
b.前記蓋プレート(102a)がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる、
c.前記蓋構成要素(102)が、前記蓋プレート(102a)に固定された、特に前記蓋プレート(102a)に溶接された、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる別個の正の端子ポールを含む、
d.前記カップ形ハウジング部(101)及び前記蓋プレート(102a)及び前記別個の正の端子ポールがアルミニウム又はアルミニウム合金からなる
という特徴の少なくとも1つを有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項3】
以下の追加的な特徴、すなわち、
a.前記コンタクトシート金属部材(111)が、ニッケル又は銅又はチタン又はニッケル合金又は銅合金又はチタン合金又はステンレス鋼からなる、
b.前記コンタクトシート金属部材(111)が前記第1接触部分(102c)と同じ材料からなる、
c.前記コンタクトシート金属部材(111)が前記アノード集電体(106)と同じ材料からなる
という特徴の少なくとも1つを備えた、請求項1又は2に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項4】
以下の追加的な特徴、すなわち、
a.前記コンタクトシート金属部材(111)が、50μm~600μmの範囲の、好ましくは150μm~350μmの範囲の好ましくは均一の厚さを有する、
b.前記コンタクトシート金属部材(111)が2つの対向する平らな側を有するとともに実質的に1次元においてのみ延在する、
c.前記コンタクトシート金属部材(111)がディスク又は好ましくは長方形プレートである、
d.前記コンタクトシート金属部材(111)が、それが前記端面の少なくとも60%、前記第1端子端面の好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%を覆うように寸法決めされる、
e.前記コンタクトシート金属部材(111)が、少なくとも1つのアパーチャ、特に少なくとも1つの穴及び又は少なくとも1つのスロットを有する、
f.前記コンタクトシート金属部材(111)が、少なくとも1つのビードであって、前記コンタクトシート金属部材(111)の一方の平らな側で長尺状のくぼみとして及び反対側の平らな側で長尺状の隆起部として現れる少なくとも1つのビードを有し、前記コンタクトシート金属部材(111)が、前記長尺状の隆起部を担持する前記平らな側で前記アノード集電体(106)の前記第1縁(106a)に載っている、
g.前記コンタクトシート金属部材(111)が、前記ビードからの領域において、特に前記ビードにおいて配置された1つ又は複数の溶接された継ぎ目を介して前記アノード集電体(106)の前記第1縁(106a)に溶接される
という特徴の少なくとも1つを備えた、請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項5】
以下の追加的な特徴、すなわち、
a.前記エネルギー貯蔵要素が、前記カソード集電体(109)の前記第1縁(109a)に据え付けられるとともに溶接によりそれに接続された第2コンタクトシート金属部材(112)を含む、
b.前記第2コンタクトシート金属部材(112)が、前記カップ形ハウジング部(101)に電気的に接続される、
c.前記第2コンタクトシート金属部材(112)がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる
という特徴の少なくとも1つを備えた、請求項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項6】
以下の追加的な特徴、すなわち、
a.前記負端子(102b)が、前記第1接触部分(102c)を含む管状又はカップ形第1部材(102e)を含む、
b.前記管状又はカップ形部(102e)が、ニッケル又は銅又はチタン又はニッケル合金又は銅合金又はチタン合金又はステンレス鋼からなる、
c.前記負端子(102b)が、ニッケル若しくは銅又はニッケル若しくは銅合金の、特に前記ニッケル合金又は前記銅合金又は前記ニッケル合金又は前記銅合金でコーティングされた、シースを有する端子管状又はカップ形第1部を含む、
d.前記負端子(102b)が、前記第2接触部分(102d)を含む第2アルミニウム又はアルミニウム合金部材(102f)を含む、
e.前記第2部(102f)が、機械的に及び/又は溶接により前記第1部(102e)に固定される、
f.前記第2部(102f)が、ピン形部分(102g)であって、前記管状又はカップ形部(102e)において機械的に固定された、好ましくは前記管状又はカップ形部(102e)に押し付けられた、又はねじ接続により前記管状又はカップ形部(102e)において固定されたピン形部分(102g)を含む
という特徴の少なくとも1つを備えた、請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項7】
以下の追加的な特徴、すなわち、
a.前記カップ形ハウジング部(101)の前記底部(101a)が、金属膜(113)により閉鎖されるアパーチャ(101b)を含む、
b.前記金属膜(113)が溶接により前記カップ形ハウジング部(101)に固定される、
c.前記金属膜(113)が、領域であって、そこから前記膜(113)が前記アパーチャ(101b)を通って前記ハウジングの前記内部内へ延在する前記領域において刻み目(114)を含む、
d.前記第2コンタクトシート金属部材(112)が、前記ハウジングの前記底部(101a)から電気的に絶縁される、
e.前記第2コンタクトシート金属部材(112)が、前記金属膜(113)の、前記ハウジング内部内へ延在する部分に溶接により接続される
という特徴を備えた、請求項5又は6に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項8】
エネルギー貯蔵要素のアセンブリであって、
a.前記アセンブリが請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも2つのエネルギー貯蔵要素(100)を含む、及び
b.前記アセンブリが、前記エネルギー貯蔵要素のうちの1つの負端子(102b)へ及び前記エネルギー貯蔵要素の別のものの端子(102b)へ溶接により接続されたアルミニウム又はアルミニウム合金の導電体を含む
という特徴を備えたエネルギー貯蔵要素のアセンブリ。
【請求項9】
エネルギー貯蔵要素(100)のアセンブリの製造の方法であって、
a.請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも2つのエネルギー貯蔵要素(100)及びアルミニウム又はアルミニウム合金でできている導電体が提供されるステップと、
b.アルミニウム又は前記アルミニウム合金でできている前記導電体が、前記エネルギー貯蔵要素のうちの1つの負端子ポール(102b)に及び前記エネルギー貯蔵要素の別のもののポール(102b)に溶接により接続されるステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下で説明される発明は、エネルギー貯蔵要素、エネルギー貯蔵要素のアセンブリ、及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学エネルギー貯蔵要素は、酸化還元反応のために貯蔵された化学エネルギーを電気エネルギーに変換し得る。電気化学エネルギー貯蔵要素の最も単純な形は、電気化学セルである。これは、セパレータにより分離された正及び負電極を含む。放電中、電子は、酸化プロセスの結果として負電極で放出される。これは、電気化学セルがエネルギーサプライヤとして機能する外部の電気コンシューマにより取り出される電子流をもたらす。同時に、電極反応に対応するイオン電流がセル内で生じる。このイオン電流は、セパレータを横断するとともにイオン伝導性電解質により可能とされる。
【0003】
放電が可逆である場合、すなわち、放電中に起こる化学エネルギーの電気エネルギーへの変換を逆にすることができるとともにセルを再び充電することができる場合、これは二次セルと呼ばれる。一般に二次セルのために使用される、負極をアノードと指定すること及び正極をカソードと指定することは、電気化学セルの放電機能と呼ばれる。
【0004】
二次リチウムイオンセルは、それらが大電流を提供し得るとともに比較的高いエネルギー密度を特徴とすることから、多くの用途のためのエネルギー貯蔵要素として使用される。それらは、イオンの形でセルの電極間を移動し得るリチウムの使用に基づく。リチウムイオンセルの負極及び正極は一般に、電気化学的に活性な構成要素及び電気化学的に不活性な構成要素を含むいわゆる複合材料電極により形成される。
【0005】
原理上は、二次リチウムイオンセルのための電気化学的に活性な構成要素(活性材料)としてリチウムイオンを吸収及び放出し得る全ての材料が使用され得る。負極について、例えば、炭素系粒子、例えば黒鉛質炭素が使用される。正極のための活性材料は、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)又はその誘導体であり得る。電気化学的に活性な材料は一般に、粒子の形で電極に含まれる。
【0006】
電気化学的に不活性な構成要素として、複合材料電極は一般に、それぞれの活性材料のキャリアとして機能する平らな及び/又はリボン形集電体、例えば金属箔を含む。負極のための集電体(アノード集電体)は、例えば銅又はニッケルで形成され得、正極のための集電体(カソード集電体)は例えばアルミニウムで形成され得る。さらに、電極は、電極バインダ(例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)又は別のポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロース)、伝導率向上添加剤、及び電気化学的に不活性な構成要素としての他の添加剤を含み得る。電極バインダは、電極の機械的安定性及びしばしば活性材料の集電体への接着を確実にする。
【0007】
電解質として、リチウムイオンセルは一般に、リチウム塩の溶液、例えば、有機溶剤(例えば炭酸のエーテル及びエステル)における六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含む。
【0008】
リチウムイオンセルの製造において、複合材料電極は、アセンブリを形成するように1つ又は複数のセパレータと組み合わされる。このプロセスにおいて、電極及びセパレータは通常は圧力下で、場合により積層により又は接合により、接続される。セルの基本的な機能性は次いで、アセンブリを電解質で含浸することにより確立され得る。
【0009】
多くの実施形態において、アセンブリは巻回として形成されるか、巻回にされる。概して、これは一続きの正極/セパレータ/負極を含む。しばしば、アセンブリは、いわゆる、可能な一続きの負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極又は正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極を備えた、バイセルとして作られる。
【0010】
自動車部門における用途のために、電動自転車のために又は例えば工具における同様に高いエネルギー必要量が高い他の用途のために、エネルギー密度が可能な限り最も高いと同時に充電及び放電中に大電流をかけることが可能なリチウムイオンセルが必要とされる。
【0011】
言及された用途のためのセルは、例えば形状因子21×70(mm単位での直径*高さ)を備えた円筒形の円形セルとして設計されることが多い。このタイプのセルは、巻回の形のアセンブリを常に含む。この形状因子の現代のリチウムイオンセルは既に、最大で270Wh/kgのエネルギー密度を達成することができる。しかしながら、このエネルギー密度は中間ステップとみなされるのみである。既に市場は、なおより高いエネルギー密度のセルを要求している。
【0012】
国際公開第2017/215900A1号パンフレットは、電極セパレータアセンブリ及びその電極がリボン形であるとともに巻回の形である円筒形の円形セルを説明している。電極は各々、電極材料を搭載した集電体を有する。逆に分極された電極は、正極の集電体の長手方向縁が一方側で巻回から突出し、負極の集電体の長手方向縁が別の側で巻回から突出するように、電極セパレータアセンブリ内で互いにオフセットされた状態で配置される。集電体の電気的接触のために、セルは、接触プレートであって、巻回の端面に据え付けられるとともに溶接により集電体の一方の長手方向縁へ接続される接触プレートを有する。これは、集電体したがってまた関連する電極にその長さ全体にわたって電気的に接触することを可能にする。これは、説明されたセル内の内部抵抗を著しく低下させる。大電流の発生は、続いてはるかにより良好に吸収され得、熱もまた巻回からより良好に拡散され得る。
【0013】
円筒形の円形セル、例えば国際公開第2017/215900A1号パンフレットにおけるものが、通常は、いくつかのセルが直列に及び/又は並列に一緒に接続されたセルアセンブリの一部として使用される。電圧を引き出すためにそれらの端面のうちの1つのみでセルに接触することが望ましいことが多い。したがって、端面のうちの1つにセルの正極に接続された端子及びセルの負極に接続された端子の両方を提供することが有利である。
【0014】
米国特許出願公開第2006/0019150A1号明細書から、円筒形ハウジングに電極セパレータアセンブリを含むリチウムイオン円形セルが知られており、電極セパレータアセンブリは巻回として形成される。ハウジングは、開口が金属蓋構成要素により閉鎖された円筒形金属ハウジングカップを含む。ハウジングカップの底部は、巻回の正極に電気的に接続され、ハウジングカップは、したがって正に分極される。両ハウジング部は互いに直接接触し、そのため蓋構成要素もまた正に分極される。正の金属接続ポールが蓋構成要素に溶接される。巻回の負極は、他方で、負の金属の端子ポールに接続され、これは蓋構成要素におけるアパーチャを貫通させられるとともに蓋構成要素から電気的に絶縁される。正及び負の接続ポールは、したがって、セルの同じ側に互いに隣に配置され、その結果、セルは容易にセルアセンブリに対応する電流導体を介して一体化され得る。
【0015】
その良好な接触性に加えて、米国特許出願公開第2006/0019150A1号明細書において説明されたセルもまた一体化された過圧保護を特徴とする。この目的のために、底部は、中央の、円形の領域であって、底部の環状の残りの領域から円周方向の脆弱化ラインにより分離され湾曲した導電体ストリップが内部に溶接され、それを介して底部から巻回の正極への前記電気的接触が存在する中央の、円形の領域を有する。ハウジング内部の過圧の場合、円形の領域は底部から吹き飛ばされ得る。環状の絶縁体は、環状の残りの領域が巻回形の電極セパレータアセンブリと何であれ接触しないことを確実にすることから、正極と環状の残りの領域と正の端子ポールを含むそれらと電気的に接触している全ての構成要素との間の電気的接触は、それにより断たれる。
【0016】
巻回の負極は、複数の湾曲した導電体ストリップであって、その上端部が負端子ポールに結合される複数の湾曲した導電体ストリップを介して電気的に接触される。
【0017】
エネルギーの観点から、米国特許出願公開第2006/0019150A1号明細書において説明されたセルの設計は最適ではない。巻回の両端に死容積があり、前述の導電体ストリップがその間を埋めることが求められる。これらはセルのエネルギー密度に悪影響を及ぼす。さらに、過圧保護の信頼性についての疑いもある。上記の脆弱化ラインが、過圧保護が引き起こされたときにその長さ全体にわたって引き裂かれない場合、正の端子ポールへの電気的接続は完全に断たれず、電流は引き続き流れ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先行技術と比較して改良されたエネルギー密度により特徴付けられるとともにセルアセンブリを形成するために効率的に加工され得るエネルギー貯蔵要素を提供することが本発明の目的であった。さらに、エネルギー貯蔵要素はまた、向上した安全性により特徴付けられなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、以下に記載のエネルギー貯蔵要素により達成される。以下に記載のエネルギー貯蔵要素のアセンブリ及び以下に記載の製造プロセスもまた、本発明の主題である。本発明によるエネルギー貯蔵要素の特に好ましい実施形態、本発明によるアセンブリ及び本発明による方法は、独立請求項1、8及び9において定義される。本発明の好ましい実施形態は請求項2~7において分かる。
【0020】
本発明によるエネルギー貯蔵要素
本発明によるエネルギー貯蔵要素は直後の特徴a.~l.を有する:
a.それが、気密及び液密封止ハウジングとその中に配置された電極セパレータアセンブリとを含む。
b.ハウジングが、ハウジング底部と端子開口とを含む金属のカップ形ハウジング部を含む。
c.ハウジングが、蓋構成要素であって、カップ形ハウジング部の端子開口に溶接されるとともにカップ形ハウジング部の端子開口を閉鎖する蓋構成要素を含む。
d.蓋構成要素が、金属蓋プレートと、端子ポールであって、蓋プレートにおけるアパーチャを通されるとともに蓋プレートから電気的に絶縁された端子ポールとを含む。
e.電極セパレータアセンブリが、第1及び第2端子平端面を含む。
f.電極セパレータアセンブリが、第1縁とそれに平行な第2縁とを有するアノード集電体を備えたアノードを含む。
g.アノード集電体が、負極材料の層を搭載した主領域と、自由縁ストリップであって、電極材料を搭載していないその第1縁に沿って延在する自由縁ストリップとを含む。
h.電極セパレータアセンブリが、第1縁とそれに平行な第2縁とを有するカソード集電体を備えたカソードを含む。
i.カソード集電体が、正極材料の層を搭載した主領域と、自由縁ストリップであって、電極材料を搭載していないその第1縁に沿って延在する自由縁ストリップとを含む。
j.アノード及びカソードが、アノード集電体の第1縁が第1端子端面から突出し、カソード集電体の第1縁が電極セパレータアセンブリの第2端子端面から突出するように、電極セパレータアセンブリ内に配置される。
k.エネルギー貯蔵要素が、コンタクトシート金属部材であって、アノード集電体の第1縁に据え付けられるとともに溶接によりそれに接続されるコンタクトシート金属部材を含む。
l.コンタクトシート金属部材が、蓋プレートにおけるアパーチャに貫通している端子ポールに電気的に接続される。
【0021】
特に好ましくは、特徴a.~l.を備えたエネルギー貯蔵要素は、以下の追加的な特徴m.及びn.を有する:
m.端子ポールが、ニッケル又は銅又はチタン又はニッケル合金又は銅合金又はチタン合金又はステンレス鋼でできている第1接触部分とアルミニウム又はアルミニウム合金でできている第2接触部分とを含む。
n.第2接触部分が、ハウジングの外側から機械的に接触され得る。
【0022】
本発明によるエネルギー貯蔵要素は、したがって、特に好ましくは、2つの異なる金属の材料、一方側にニッケル又は銅又はチタン又はニッケル合金又は銅合金又はチタン合金又はステンレス鋼及び他方側にアルミニウム又はアルミニウム合金を含む端子ポールを特徴とする。そして、端子ポールは、コンタクトシート金属部材を介してアノード集電体に電気的に結合されるため、端子ポールは負端子ポールである。
【0023】
そのような負端子を備えたエネルギー貯蔵要素は、それらがセルアセンブリに容易に一体化され得るというかなりの利点を提供する。いくつかのエネルギー貯蔵要素のポールは、共通の電流導体を介して相互接続される。製造技術に関して、レーザーによりセルのポールを電流導体に溶接することが有利であり得る。概して、これは、溶接されることになる材料が同じである場合に限り問題がない。例えば、レーザーを使用して銅でできている端子ポールをアルミニウムでできている電流導体へ溶接することは、難しい又は不可能である。他方で、アルミニウム又はアルミニウム合金でできている第2接触部分では、これは問題なく可能である。したがって、セルの負の接続ポールであっても、レーザーにより共通の電流導体を介して接続され得る。
【0024】
端子ポールが、ニッケル又は銅又はニッケル合金又は銅合金又はステンレス鋼でできている第1接触部分とアルミニウム又はアルミニウム合金でできている第2接触部分とを含むことが特に好ましい。
【0025】
好適なアルミニウム合金は、例えば、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)及びGM55のAl合金である。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg及びAlMgもまた好適である。前記合金のアルミニウム含有量は好ましくは99.5%を超える。好適なステンレス鋼は、例えば、タイプ1.4303又は1.4404の又はタイプSUS304のステンレス鋼又はニッケルめっきをした鋼である。特に、銅含有量が少なくとも99.9%のタイプENCW-004A又はENCW-008Aの材料が銅合金として使用され得る。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeのニッケル合金が特に好適である。
【0026】
アルミニウムハウジング
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は常に直後の特徴a.~d.のうちの少なくとも1つを有する:
a.カップ形ハウジング部がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
b.蓋プレートがアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
c.蓋構成要素が、別個の端子ポールであって、蓋プレートに固定された、特に蓋プレートに溶接された、及びアルミニウム又はアルミニウム合金からなる別個の端子ポールを含む。
d.カップ形ハウジング部及び蓋プレート及び別個の端子ポールがアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
直前の特徴a.及びb.、特に好ましくはまた特徴a.~c.及びa.~d.が組合せで実現されることが好ましい。
【0027】
この実施形態において、エネルギー貯蔵要素のハウジングは本質的に全体的にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる(負端子及びその絶縁体を除き)。これには様々な利点がある。セルの外側の湿気との接触があった場合の局在要素の形成がなくなる。ハウジング自体は基本的に、全てのその側で正の接続ポールとして機能し得る。しかしながら、セルがもっぱら、負端子ポールもまた位置する蓋構成要素を介して接続されることが特に好ましい。この目的のために、導電体が蓋プレートに直接溶接され得るか、又は例えば溶接により別個の接続ポールに代替的に固定され得る。この場合において、別個の接続ポールは正の接続ポールである。
【0028】
カップ形ハウジング部及び蓋プレートのための好適なアルミニウム合金は、例えば、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)及びGM55のAl合金である。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg及びAlMgもまた好適である。前記合金のアルミニウム含有量は、好ましくは99.5%を超える。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は角型又は円形セルである。
【0030】
角型の実施形態
この実施形態において、ハウジングは角型である。この実施形態において、カップ形ハウジング部及び蓋構成要素の底部は、好ましくは多角形、特に好ましくは長方形ベースを有する。カップ形ハウジング部の端子開口の形状は底部及び蓋構成要素の形状に対応する。さらに、ハウジングは、底部と蓋構成要素とを相互接続する複数の、好ましくは4つの長方形側部分を有する。この実施形態において、電極セパレータアセンブリもまた好ましくは形状が角型である。この場合において、電極セパレータアセンブリは好ましくは、複数のアノードと、カソードと、少なくとも1つのセパレータとを含む角型スタックであり、スタック内の電極セパレータアセンブリは常に一続きのアノード/セパレータ/カソードを有する。
【0031】
少なくともアノード及びカソードは好ましくは長方形ベース領域を有し、アノード及びカソードの集電体は各々、第1縁とそれに平行な第2縁とを有し、各々は、それらの第1縁に沿って、それぞれの電極材料でコーティングされていない自由縁ストリップを有する。アノードとカソードとの間に複数のセパレータがある場合、セパレータもまた好ましくは、長方形ベースを有する。しかしながら、リボン形セパレータがスタック内の複数のアノード及びカソードを分離するために使用されることも可能である。
【0032】
例えば、スタックの第1及び第2端子平端面は、スタックの2つの反対側の又は隣接する側である。アノード集電体の第1縁はこれらの端面の一方から突出し、カソード集電体の第1縁は他方から突出する。コンタクトシート金属部材は、アノード集電体の第1縁上にあるとともに溶接によりそれらに接続される。
【0033】
円筒形の円形セルとしての実施形態
本発明のこの実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は、好ましくは直後の特徴a.~o.の組合せを有する:
a.カップ形ハウジング部の端子開口の形状が円形であり、カップ形ハウジング部が円筒形ハウジングシェルを含む、
b.カップ形ハウジング部の円形開口を閉鎖する蓋構成要素が、円形の円周を有する、
c.電極セパレータアセンブリが、第1及び第2端子平端面に加えて、端面間に位置する巻回シェルを有する円筒形巻回の形である、
d.ハウジングにおいて、巻回シェルが円筒形ハウジングシェルの内部に当接するように電極セパレータアセンブリは軸方向に整列している、
e.アノード及びアノード集電体がリボン形であり、アノード集電体が第1長手方向縁と第2長手方向縁と2つの端部を含む、
f.アノード集電体の第1及び平行な第2縁がリボン形アノード集電体の長手方向縁である、
g.負極材料の層を搭載したアノード集電体の主領域がストリップ状である、
h.自由縁ストリップが、アノード集電体の第1長手方向縁に沿って延在する、
i.カソード及びカソード集電体がリボン形であり、カソード集電体が第1長手方向縁と第2長手方向縁と2つの端部を含む、
j.カソード集電体の第1及び平行な第2縁がリボン形カソード集電体の長手方向縁である、
k.正極材料の層を搭載したカソード集電体の主領域がストリップ状である、
l.自由縁ストリップが、カソード集電体の第1長手方向縁に沿って延在する、
m.電極セパレータアセンブリの1つ又は複数のセパレータがリボン形である、
n.アノード及びカソードが、アノード集電体の第1長手方向縁が第1端子端面から突出しカソード集電体の第1長手方向縁が電極セパレータアセンブリの第2端子端面から突出するように、電極セパレータアセンブリ内に配置される、並びに、
o.コンタクトシート金属部材が、アノード集電体の第1長手方向縁にあるとともに溶接によりそれに接続される。
【0034】
この実施形態において、電極セパレータアセンブリが好ましくは、1つのリボン形セパレータ又は2つのリボン形セパレータを含み、各々第1及び第2長手方向縁と2つの端部とを有する。電極セパレータアセンブリは常に電極及び一続きのアノード/セパレータ/カソードを備えたセパレータを含む。
【0035】
特に好ましくは、この実施形態における本発明によるエネルギー貯蔵要素は常に直後の特徴部を有する:
a.ハウジングが、カップ形ハウジング部の端子開口に溶接されるとともにカップ形ハウジング部の端子開口を閉鎖する蓋構成要素を含む。
【0036】
好ましくは、円形の円周を備えた蓋構成要素は、その縁が円周方向接触ゾーンに沿ってカップ形ハウジング部の内部に当接するように、カップ形ハウジング部の円形開口において配置され、蓋構成要素の縁は、円周方向溶接シームによりカップ形ハウジング部に接続される。
【0037】
好ましくは、円筒形の円形セルとして設計されたエネルギー貯蔵要素の高さは、50mm~150mmの範囲にある。円筒形の円形セルの直径は好ましくは15mm~60mmの範囲にある。これらの形状因子を備えた円筒形の円形セルは、自動車における電気駆動装置に電力を提供するのに特に好適である。
【0038】
本発明によるエネルギー貯蔵要素が円筒形の円形セルとして設計される場合、これは好ましくは26mmの直径及び105~106mmの高さを有する。
【0039】
本発明によるセルが円筒形の円形セルである実施形態において、アノード集電体、カソード集電体、及び1つ又は複数のセパレータは好ましくは以下の寸法を有する:
- 0.5m~25mの範囲の長さ
- 30mm~145mmの範囲の幅
これらの場合において、電極材料を搭載していない、第1長手方向縁に沿って延在する自由縁ストリップは、好ましくは5000μm以下の幅を有する。
【0040】
好ましい電気化学的実施形態
本発明の別の特に好ましい実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は以下の特徴のうちの1つにより特徴付けられる:
a.エネルギー貯蔵要素がリチウムイオンセルである。
b.エネルギー貯蔵要素がリチウムイオンセルを含む。
特徴a.は、特に、円筒形の円形セルとしての本発明によるエネルギー貯蔵要素の説明された実施形態を指す。この実施形態において、エネルギー貯蔵要素は、好ましくは厳密に1つの電気化学セルを含む。
特徴b.は、特に、本発明によるエネルギー貯蔵要の説明された角型実施形態素を指す。この実施形態において、エネルギー貯蔵要素はまた2つ以上の電気化学セルを有し得る。
【0041】
二次リチウムイオンセルのために知られている基本的に全ての電極材料が、エネルギー貯蔵要素の電極として使用され得る。
【0042】
リチウムを挿入することができる黒鉛質炭素又は非黒鉛質炭素材料などの炭素系粒子も好ましくはまた粒子状であり、負極における活性材料として使用され得る。代替的に又は追加的に、チタン酸リチウム(LiTi12)又はその誘導体が、好ましくはまた粒子状で、負極に含まれてもよい。さらに、負極は、活性材料として、シリコン、アルミニウム、スズ、アンチモン、又はリチウムを可逆的に積層及び除去することができるこれらの材料の化合物若しくは合金、例えば、酸化ケイ素(特に0<x<2であるSiO)を含む群から少なくとも1つの材料を、任意選択的に炭素系活性材料と組み合わせて含み得る。スズ、アルミニウム、アンチモン、及びシリコンは、リチウムとの金属間相を形成し得る。特にシリコンの場合において、リチウムを吸収する能力は黒鉛又は同等の材料を吸収する能力を何倍も上回る。シリコン及び炭素系貯蔵材料の混合物が使用されることが多い。金属リチウムでできている薄いアノードもまた好適である。
【0043】
正極のための好適な活性材料は、リチウム金属酸化物化合物及びリチウム金属リン酸塩化合物、例えばLiCoO及びLiFePOを含む。さらに、化学式LiNiMnCo(ここでx+y+zは典型的には1である)のリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)が特に良好に好適である、化学式LiMnのリチウムマンガンスピネル(LMO)、又は化学式LiNiCoAl(ここでx+y+zは典型的には1である)のリチウムニッケルコバルトアルミナ(NCA)。その誘導体、例えば化学式Li1.11(Ni0.40Mn0.39Co0.16Al0.050.89のリチウムニッケルマンガンコバルトアルミナ(NMCA)又はLi1+xM-O化合物及び/又は前記材料の混合物もまた使用され得る。同様にカソードの活性材料は好ましくは粒子状で使用される。
【0044】
さらに、本発明によるエネルギー貯蔵要素の電極は、好ましくは、電気伝導性を向上させるために電極バインダ及び/又は添加剤を含む。活性材料は好ましくは電極バインダのマトリクスに埋め込まれ、マトリクスにおける隣接する粒子は好ましくは互いに直接接触している。導電剤には電極の電気伝導性を高める機能がある。一般的な電極バインダは、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、(Li-)ポリアクリレート、スチレンブタジエンゴム又はカルボキシメチルセルロース、又は異なるバインダの混合物に基づいている。一般的な導電剤はカーボンブラック、微細黒鉛、炭素繊維、炭素ナノチューブ及び金属粉である。
【0045】
本発明によるエネルギー貯蔵要素は、好ましくは電解質、特にリチウムイオンセルの場合においては、少なくとも1つのリチウム塩、例えば有機溶剤に(例えば、有機カーボネート又は環状エーテル、例えばTHF若しくはニトリルの混合物に)溶解された六フッ化リン酸リチウム(LiPF)に基づく電解質を含む。使用することができる他のリチウム塩は、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及びリチウムビス(オキサラート)ホウ酸(LiBOB)を含む。
【0046】
円筒形の円形セルとして設計された本発明によるリチウムイオンベースのエネルギー貯蔵要素の公称容量は、好ましくは最大で15000mAhである。21×70の形状因子で、リチウムイオンセルとしての一実施形態におけるエネルギー貯蔵要素は、好ましくは1500mAh~7000mAhの範囲、特に好ましくは3000~5500mAhの範囲の公称容量を有する。18×65の形状因子で、リチウムイオンセルとしての一実施形態におけるセルは、好ましくは1000mAh~5000mAhの範囲、特に好ましくは2000~4000mAhの範囲の公称容量を有する。
【0047】
欧州連合(European Union)において、製造業者は二次バッテリの公称容量についての情報提供に関し厳しく規制されている。例えば、二次ニッケル-カドミウムバッテリの公称容量についての情報は、IEC/EN61951-1及びIEC/EN60622規格による測定に基づかなければならず、二次ニッケル-金属水素バッテリの公称容量についての情報は、IEC/EN61951-2規格による測定に基づかなければならず、二次リチウムバッテリの公称容量についての情報は、IEC/EN61960規格による測定に基づかなければならず、二次鉛酸バッテリの公称容量についての情報は、IEC/EN61056-1規格による測定に基づかなければならない。本出願における公称容量についての情報もまたいずれも好ましくはこれらの規格に基づいている。
【0048】
セパレータの好ましい実施形態
好ましくは、1つ又は複数のセパレータは電気絶縁プラスチックフィルムから形成される。セパレータは電解質により貫通され得ることが好ましい。この目的のために、使用されるプラスチックフィルムは、例えば微小孔を有し得る。箔は、例えばポリオレフィン又はポリエーテルケトンからなり得る。プラスチック材料又は他の電気絶縁シート構造でできている不織布及び布もまたセパレータとして使用され得る。好ましくは、5μm~50μmの範囲の厚さを有するセパレータが使用される。
【0049】
いくつかの特に好ましい実施形態において、一方側又は両側がセラミック粒子(例えば、Al又はSiO)でコーティングされた又は含浸されたセパレータが使用される。
【0050】
特にエネルギー貯蔵要素の角型実施形態において、アセンブリの1つ又は複数のセパレータはまた、固体電解質の1つ又は複数の層であってもよい。
【0051】
巻回の形の電極セパレータアセンブリの好ましい構造
リボン形アノード、リボン形カソード及びリボン形セパレータは、好ましくは、巻回の形の電極セパレータアセンブリにおいて渦巻き状に巻かれている。電極セパレータアセンブリを製造するために、リボン形電極は、リボン形セパレータと共に巻回デバイスに供給され、巻回デバイスにおいて、それらは好ましくは巻回軸の周りで渦巻き状に巻かれる。いくつかの実施形態において、電極及びセパレータは、巻回マンドレルの上にあるとともに巻回後に巻回内に残る円筒形又は中空円筒形巻回コアに巻き付けられる。巻回シェルは例えばプラスチックフィルム又は接着テープにより形成され得る。巻回シェルが1つ又は複数のセパレータ巻回により形成されることも可能である。
【0052】
集電体の好ましい実施形態
エネルギー貯蔵要素の集電体は、それぞれの電極材料に含まれる電気化学的に活性な構成要素に可能な限り大きい領域にわたって電気的に接触する機能を有する。好ましくは、集電体は金属からなるか又は少なくとも表面で金属化される。
【0053】
リチウムイオンセルとして設計された本発明によるエネルギー貯蔵要素の場合において、アノード集電体のための好適な金属は、例えば、銅又はニッケル又は他の導電性材料、特に銅及びニッケル合金又はニッケルでコーティングされた金属である。特に、銅含有量が少なくとも99.9%のタイプENCW-004A又はENCW-008Aの材料が銅合金として使用され得る。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeのニッケル合金が特に好適である。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeのニッケル合金が特に好適である。ステンレス鋼、例えばタイプ1.4303若しくは1.4404又はタイプSUS304も原理上は可能である。
【0054】
リチウムイオンセルとして設計された本発明によるエネルギー貯蔵要素の場合において、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む他の導電性材料が、カソード集電体のための金属として特に好適である。
【0055】
カソード集電体のための好適なアルミニウム合金は、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)及びGM55のAl合金を含む。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg及びAlMgもまた好適である。前記合金のアルミニウム含有量は、好ましくは99.5%を超える。
【0056】
好ましくは、アノード集電体及び/又はカソード集電体は各々4μm~30μmの範囲の厚さの金属箔であり、円筒形の円形セルとしてのエネルギー貯蔵要素の説明された構成の場合においては、4μm~30μmの範囲の厚さのリボン形金属箔である。
【0057】
箔に加えて、しかしながら、他のリボン形基板、例えば金属又は金属化不織布又は開気孔金属発泡体又はエキスパンドメタルが集電体として使用され得る。
【0058】
集電体には好ましくは両側にそれぞれの電極材料が搭載されている。
【0059】
円筒形の円形セルとしてのエネルギー貯蔵要素の説明された構成の場合において、セパレータの長手方向縁が巻回形電極セパレータアセンブリの端面を形成することが好ましい。
【0060】
説明されたエネルギー貯蔵要素の角型構成の場合において、セパレータの縁が、集電体の縁が突出するスタックの端面を形成することが好ましい。
【0061】
巻回の端面又はスタックの側部から突出しているアノード集電体及び/又はカソード集電体の縁又は長手方向縁は、5000μmを越えて、好ましくは3500μmを越えて突出しないことがさらに好ましい。
【0062】
特に好ましくは、アノード集電体の縁又は長手方向縁は、スタックの側部又は巻回の端面から2500μm以下、特に好ましくは1500μm以下だけ突出する。特に好ましくは、カソード集電体の縁又は長手方向縁は、スタックの側部又は巻回の端面から3500μm以下、特に好ましくは2500μm以下だけ突出する。
【0063】
アノード集電体の縁のコンタクトシート金属部材との直接接触は、エネルギー貯蔵要素の内部抵抗を低下させ、したがって、その通電容量を高める。
【0064】
コンタクトシート金属部材/コンタクトシート金属部材のアノード集電体及び負端子ポールへの接続の好ましい実施形態
コンタクトシート金属部材は、蓋プレートにおけるアパーチャを通じてアノード集電体へ至る負端子に電気的に接続される。特に、これは第1接触部分及び/又はアノード集電体に直接溶接される。
【0065】
本発明の特に好ましい実施形態において、負端子ポールに電気的に接続されるコンタクトシート金属部材は、直後の特徴a.~c.の少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.コンタクトシート金属部材が、ニッケル又は銅又はチタン又はニッケル又は銅又はチタン合金又はステンレス鋼、例えば、タイプ1.4303若しくは1.4404又はタイプSUS304、又はニッケルめっきされた銅からなる。
b.コンタクトシート金属部材が第1接触部分と同じ材料からなる。
c.コンタクトシート金属部材がアノード集電体と同じ材料からなる。
直前の特徴a.及びb.、特に好ましくはまた特徴a.~c.が組合せで実現されることが好ましい。
【0066】
コンタクトシート金属部材が第1接触部分及び/又はアノード集電体と同じ材料からなる場合、これらの構成要素の溶接は問題無しに可能である。
【0067】
いくつかの実施形態において、コンタクトシート金属部材が第1接触部分に直接溶接されず、別個の電流導体を介して第1接触部分に接続されることが好ましい場合がある。これらの場合において、別個の電流導体は、好ましくは第1接触部分及びコンタクトシート金属部材に溶接される。さらに、これらの場合において、別個の電流導体が第1接触部分と同じ材料及び/又はコンタクトシート金属部材からなることが好ましい。
【0068】
特に好ましくは、別個の電流導体は、ニッケル又は銅又はチタン又はニッケル又は銅又はチタン合金又は、例えばタイプ1.4303若しくは1.4404又はタイプSUS304のステンレス鋼からなる。特に、タイプENCW-004Aの材料又はタイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeのニッケル合金が銅合金として使用され得る。銅含有量が少なくとも99.9%のENCW-008Aが使用され得る。この全てがコンタクトシート金属部材自体にも当てはまる。
【0069】
本発明の別の特に好ましい実施形態において、負端子ポールに電気的に接続されたコンタクトシート金属部材は常に、直後の特徴の少なくとも1つを有する:
a.コンタクトシート金属部材が、50μm~600μmの範囲の、好ましくは150μm~350μmの範囲の好ましくは均一の厚さを有する。
b.コンタクトシート金属部材が2つの対向する平らな側を有するとともに実質的に1次元においてのみ延在する。
c.コンタクトシート金属部材がディスク又は好ましくは長方形プレートである。
d.コンタクトシート金属部材が、それが端面の少なくとも60%、第1端子端面の好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%を覆うように寸法決めされる。
e.コンタクトシート金属部材が、少なくとも1つのアパーチャ、特に少なくとも1つの穴及び又は少なくとも1つのスロットを有する。
f.コンタクトシート金属部材が、少なくとも1つのビードであって、コンタクトシート金属部材の一方の平らな側で長尺状のくぼみとして及び反対側の平らな側で長尺状の隆起部として現れる少なくとも1つのビードを有し、コンタクトシート金属部材が、長尺状の隆起部を担持している平らな側でアノード集電体の第1縁に載っている。
g.コンタクトシート金属部材が、ビードからの前記領域において、特にビードにおいて配置された1つ又は複数の溶接された継ぎ目を介してアノード集電体の第1縁に溶接される。
【0070】
直前の特徴a.及びb.及びd.が組合せで実現されることが特に好ましい。好ましい実施形態において、特徴a.及びb.及びd.は、特徴c.又はe.又は特徴f.及びg.のうちの1つとの組合せで実現される。特に好ましくは、全ての特徴a.~g.が組合せで実現される。
【0071】
端面を可能な限り大きい領域にわたって覆うことは本発明によるエネルギー貯蔵要素の温度管理のために重要である。覆いが大きいほど、アノード集電体の第1縁にその長さ全体にわたって接触する可能性が高くなる。電極セパレータアセンブリにおいて作られた熱は、したがって、コンタクトシート金属部材を介して良好に拡散され得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、コンタクトシート金属部材が上部に置かれる前に集電体の縁に前処理を施すことが有利であることが分かっている。特に、コンタクトシート金属部材の、第1端子端面の方を向く平らな側にある少なくとも1つのビード又は長尺状の隆起部に対応する少なくとも1つのくぼみは、縁内へ折り畳まれ得る。
【0073】
集電体の縁はまた、前処理により方向性のある形成を受けていてもよい。例えば、これは画定された方向へ曲げられ得る。
【0074】
例えば、電極セパレータアセンブリが電解質で含浸されることを可能にするために、コンタクトシート金属部材における少なくとも1つのアパーチャが好都合であり得る。
【0075】
カソード集電体のハウジング/第2コンタクトシート金属部材への電気的接続
本発明のさらなる特に好ましい実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は常に直後の特徴a.~c.の少なくとも1つを有する:
a.エネルギー貯蔵要素が、カソード集電体の第1縁に据え付けられるとともに溶接によりそれに接続された第2コンタクトシート金属部材を含む。
b.第2コンタクトシート金属部材が、カップ形ハウジング部に電気的に接続される。
c.第2コンタクトシート金属部材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
直前の特徴a.及びb.、好ましくはまた特徴a.~c.が組合せで実現されることが特に好ましい。
【0076】
第2コンタクトシート金属部材はカソード側の通電容量を増加させる。さらに、エネルギー貯蔵要素の温度管理がさらに向上する。
【0077】
コンタクトシート金属部材のための好適なアルミニウム合金はタイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)及びGM55のAl合金を含む。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg及びAlMgもまた好適である。前記合金のアルミニウム含有量は、好ましくは99.5%を超える。
【0078】
カソード集電体の第1縁に据え付けられたコンタクトシート金属部材は、好ましくは、その材料組成を除き、アノード集電体の第1縁に据え付けられたコンタクトシート金属部材と同様に形成される。これは好ましくは直後の特徴a.~g.の少なくとも1つを有する:
a.第2コンタクトシート金属部材が、50μm~600μmの範囲の、好ましくは150μm~350μmの範囲の好ましくは均一の厚さを有する。
b.第2コンタクトシート金属部材が、2つの対向する平らな側を有するとともに、実質的に1次元にのみ延在する。
c.第2コンタクトシート金属部材がディスク又は好ましくは長方形プレートである。
d.第2コンタクトシート金属部材が、それが端面の少なくとも60%、好ましくは第2端子端面の少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%を覆うように寸法決めされる。
e.第2コンタクトシート金属部材が、少なくとも1つのアパーチャ、特に少なくとも1つの穴及び又は少なくとも1つのスロットを有する。
f.第2コンタクトシート金属部材が、少なくとも1つのビードであって、コンタクトシート金属部材の一方の平らな側で長尺状のくぼみとして及び反対側の平らな側で長尺状の隆起部として現れる少なくとも1つのビードを有し、コンタクトシート金属部材が、長尺状の隆起部を担持している平らな側で、カソード集電体の第1縁に載っている。
g.第2コンタクトシート金属部材が、ビードからの領域において、特にビードにおいて配置された1つ又は複数の溶接された継ぎ目を介して、カソード集電体の第1縁に溶接される。
【0079】
この場合も、直前の特徴a.及びb.及びd.が組合せで実現されることが特に好ましい。好ましい実施形態において、特徴a.及びb.及びd.が特徴c.又はe.又は特徴f.及びg.のうちの1つとの組合せで実現される。特に好ましくは、全ての特徴a.~g.は組合せで実現される。
【0080】
カソード集電体の第1縁の第2コンタクトシート金属部材への接続又は溶接は、上述のアノード集電体の第1縁の接続と同じ方法で、すなわち、特に好ましくはビードからの領域における溶接を介して好ましくは実装される。
【0081】
さらに、ここで、集電体の縁が前処理により方向性のある形成を受けていることがまた好ましい場合がある。例えば、これは画定された方向において曲げられ得る。
【0082】
好ましい実施形態において、第2コンタクトシート金属部材は、カップ形ハウジング部の底部又は底部の一部に直接溶接される。さらに好ましい実施形態において、第2コンタクトシート金属部材は、別個の電流導体を介してカップ形ハウジング部の底部に接続される。後者の場合において、別個の電流導体は、カップ形ハウジング部の底部及び第2コンタクトシート金属部材の両方に溶接されることが好ましい。別個の電流導体は好ましくは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
【0083】
原理上は、カソード集電体の第1縁の底部への直接接続も可能である。この目的のために、例えば、溶接は外側からカップ形ハウジング部の底部を通じてレーザーにより実施され得る。
【0084】
負端子ポールの好ましい実施形態
本発明のさらなる特に好ましい実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は常に直後の特徴a.~f.の少なくとも1つを有する:
a.負端子ポールが、第1接触部分を含む管状又はカップ形第1部を含む。
b.管状又はカップ形部が、ニッケル又は銅又はチタン又はニッケル又は銅又はチタン合金又はステンレス鋼、例えばタイプ1.4303若しくは1.4404又はタイプSUS304からなる。
c.負端子ポールが、ニッケル若しくは銅又はニッケル若しくは銅合金の、特にニッケル若しくは銅又はニッケル若しくは銅合金でコーティングされた、シースを有する端子管状又はカップ形第1部を含む。
d.負端子ポールが、第2接触部分を含む、アルミニウム又はアルミニウム合金でできている第2部を含む。
e.第2部が、機械的に及び/又は溶接により第1部に固定される。
f.第2部が、管状又はカップ形部において機械的に固定された、好ましくは管状又はカップ形部に押し付けられた又はねじ接続により管状又はカップ形部において固定されたピン形セクションを含む。
【0085】
直前の特徴a.及びb.が組合せで実現されることが特に好ましい。好ましい実施形態において、特徴a.及びb.が特徴d.及びe.との組合せで又は特徴d.~f.との組合せで実現される。代替的実施形態において、特徴c.、d.及びe.、特に好ましくは4つの特徴c.~f.が組合せで実現される。
【0086】
第1部が管状又はカップ形である実施形態は、負端子ポールを形成するための単純で明解な解決策を提供する。その部分は、第1部に挿入及び固定され得る第2部のピン形セクションのためのレセプタクルを提供する。必要な場合は、機械的固定はまた追加的な溶接継手により支持され得る。
【0087】
蓋構成要素に対する負端子ポールの電気絶縁は、例えば、端子ポールの周りに環状に配置された絶縁要素により実現され得る。これはガラス、セラミック材料、電気絶縁ポリマー又はこれらの材料の組合せからなり得る。
【0088】
底部領域におけるCID溶液
本発明の別の特に好ましい実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は常に直後の特徴a.~eの組合せを有する:
a.カップ形ハウジング部の底部が、金属膜により閉鎖されるアパーチャ、特に好ましくは円形の穴を含む。
b.金属膜が溶接によりカップ形ハウジング部に固定される。
c.金属膜が、領域であって、そこから膜がアパーチャを通ってハウジングの内部内へ延在する領域において刻み目を含む。
d.第2コンタクトシート金属部材が、ハウジングの底部から電気的に絶縁される。
e.第2コンタクトシート金属部材が、金属膜の、ハウジング内部内へ延在する部分に溶接により接続される。
【0089】
この実施形態は、本発明によるエネルギー貯蔵要素に、信頼性があると同時に省スペースの安全性機能を備える方法を提供する。金属膜は、底部におけるくぼみの中に問題無しに一体化され得る。底部に対する電気絶縁が薄いプラスチック箔として設計される場合、例えば、第2コンタクトシート金属部材は、底部で、薄い箔によってのみそれから分離された状態で平らに置かれ得る。十分に高い過圧がハウジング内部で生じる場合、刻み目が外向きに押圧され、膜が接触プレートを引き剥がす。これは、カソードへの電気的接触を中断させ電流フローを停止させる。圧力がそれにも関わらず上昇し続ける場合、膜は破裂し得る。
【0090】
起きている内部圧力が刻み目に意図されたやり方で作用し得ることを確実にするために、第2接触プレートにおけるアパーチャ、特に穴であって、それを通じて凹んだ領域がハウジングの内部空間と連通接続した状態にある第2接触プレートにおけるアパーチャ、特に穴を提供することが好ましい場合がある。
膜の厚さは、ヒューズが作動する圧力になるよう調整され得る。
【0091】
ハウジング部の好ましい実施形態
本発明のさらなる特に好ましい実施形態において、本発明によるエネルギー貯蔵要素は常に直後の特徴a.~c.の少なくとも1つを有する:
a.カップ形ハウジング部の底部が200μm~2000μmの範囲の厚さを有する。
b.カップ形ハウジング部の側壁が150μm~2000μmの範囲の厚さを有する。
c.蓋構成要素、特に蓋構成要素の蓋プレートが、200μm~2000μmの範囲の厚さを有する。
特に好ましくは、直前の特徴a.~c.が組合せで実現される。
【0092】
本発明によるエネルギー貯蔵要素のアセンブリ
本発明によるアセンブリは、以下の特徴により特徴付けられる:
a.アセンブリが、請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも2つのエネルギー貯蔵要素を含む、及び
b.アセンブリが、溶接によりエネルギー貯蔵要素のうちの1つの負端子ポールに及びエネルギー貯蔵要素の別のもののポールに接続されたアルミニウム又はアルミニウム合金の導電体を含む。
アルミニウム導電体は、例えばアルミニウムレールであってもよい。
【0093】
導電体のための好適なアルミニウム合金は、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)及びGM55のAl合金を含む。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg及びAlMgもまた好適である。前記合金のアルミニウム含有量は、好ましくは99.5%を超える。
【0094】
好ましくは、導電体は負端子ポールの第1接触部分に接続される。
【0095】
本発明による方法
製造の本発明による方法は、本発明によるアセンブリを製造するために使用されるとともに以下のステップを特徴とする:
a.請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも2つのエネルギー貯蔵要素及びアルミニウム又はアルミニウム合金でできている導電体が提供される、及び
b.アルミニウム又はアルミニウム合金でできている導電体が、溶接によりエネルギー貯蔵要素のうちの1つの負端子ポールに及びエネルギー貯蔵要素の別のもののポールに接続される。
特に好ましくは、溶接はレーザーによりもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
本発明のさらなる特徴及び利点は、特許請求の範囲から及び図面とあわせての本発明の実施形態の好ましい例の以下の説明から明らかとなる。個々の特徴は各々別個にも又は互いとの組合せでも実現され得る。
図1】本発明の実施形態によるエネルギー貯蔵要素及び故障の結果としての過圧があった場合のその挙動(断面図)。
図2図1に示されたエネルギー貯蔵要素の一部である電極セパレータアセンブリ、及びその構成要素。
図3図1に示されたエネルギー貯蔵要素の構成要素である2つのコンタクトシート金属部材。
図4】本発明による負端子ポールのアセンブリ(断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0097】
26mmの直径及び105mmの高さを備えた円筒形の円形セルとして設計された、図1に示されたエネルギー貯蔵要素は、ハウジングであって、気密及び液密に密封されるとともにハウジング底部101a、円筒形ハウジングシェル101b及び円形の設計の端子開口を含むカップ形設計の金属ハウジング部101と、円形の円周を備えた蓋構成要素102とからなるハウジングを含む。蓋構成要素102は、その縁が円周方向接触ゾーンに沿ってカップ形ハウジング部101の内部に当接するように、カップ形ハウジング部101の円形開口に配置され、蓋構成要素102の縁は、円周方向溶接シーム118を介してカップ形ハウジング部101に接続される。結果として、蓋構成要素102は、カップ形ハウジング部101の端子開口に溶接されるとともにカップ形ハウジング部101の端子開口を閉鎖する。蓋構成要素102は金属蓋プレート102aと負端子102bとを含み、負端子102bは、蓋プレート102aにおけるアパーチャを通されるとともに蓋プレート102から電気的に絶縁される。この目的のために、蓋構成要素102は環状の絶縁要素102gを含む。
【0098】
電極セパレータアセンブリ104がハウジングにおいて接続される。これは、第1端子平端面104a及び第2端子平端面104bに加えて、端面間に位置する巻回シェル104cを有する円筒形巻回の形である。ハウジング内で、電極セパレータアセンブリ104は、巻回シェル104cが円筒形ハウジングシェル101bの内面に当接するように、軸方向に整列している。例えば1つ又は複数のプラスチックフィルムでできている1つのみの電気絶縁層115が、巻回シェル104cと内面との間にさらに配置される。電気絶縁層115は、ハウジングの内面のほぼ全体にわたって延在する。ハウジング部101の側壁及びその底部101aの大きい領域及び蓋プレート102aの内部はいずれも、電極セパレータアセンブリ104の構成要素との直接的及びしたがってまた電気的接触から守られる。
【0099】
電極セパレータアセンブリ104の構造が図2を参照して示されている。アセンブリ104は、第1長手方向縁106aとそれに平行な第2長手方向縁とを有するリボン形アノード集電体106を備えたリボン形アノード105(図2A)を含む。アノード集電体106は銅又はニッケルの箔である。これは、負極材料107の層を搭載したストリップ状主領域と、電極材料107を搭載していないその第1長手方向縁106aに沿って延在する自由縁ストリップ106bとを含む。さらに、アセンブリ104は、第1長手方向縁109aとそれに平行な第2長手方向縁とを有するリボン形カソード集電体109を備えたリボン形カソード108(図2B)を含む。カソード集電体109はアルミニウム箔である。これは、正極材料110の層を搭載したストリップ状主領域と、電極材料110を搭載していないその第1長手方向縁109aに沿って延在する自由縁ストリップ109bとを含む。両電極は個別に、巻かれていない状態で示されている。
【0100】
アノード105及びカソード108は、アノード集電体106の第1長手方向縁106aが第1端子端面104aから突出し、カソード集電体109の第1長手方向縁109aが電極セパレータアセンブリ104の第2端子端面104bから突出するように、電極セパレータアセンブリ104内で互いからオフセットされている。互い違いの配置構成は図2Cにおいて見られ得る。同様に、巻回において電極105及び108を分離する2つのリボン形セパレータ116及び117があるのが示されている。
【0101】
図2Dにおいて、電極セパレータアセンブリ104は、それが図1によるエネルギー貯蔵要素において使用され得るように、巻かれた形で示されている。端面(104a、104b)から突出している電極縁(106a、109a)が明らかに目に見える。巻回シェル104cはプラスチックフィルムにより形成される。
【0102】
しかしながら図1に戻ると、エネルギー貯蔵要素100は、コンタクトシート金属部材111であって、アノード集電体106の第1長手方向縁106aに据え付けられているとともに溶接によりそれに接続されたコンタクトシート金属部材111をさらに含む。さらに、コンタクトシート金属部材111は、蓋プレート102aにおけるアパーチャを通される負端子102bに直接接続される。すなわち、後者はコンタクトシート金属部材111に溶接される。絶縁層115は、コンタクトシート金属部材111の縁のハウジング部101との接触及びコンタクトシート金属部材111の蓋プレート102aとの接触を防ぐ。第2コンタクトシート金属部材112はカソード集電体109の突出している第1縁109aに据え付けられているとともに溶接によりそれに接続される。
【0103】
2つのコンタクトシート金属部材111及び112が図3に示されている。両方とも150μm~350μmの範囲の厚さを有する平らな金属ディスクである。金属ディスク112がアルミニウムからなる一方で、ディスク111は銅又はニッケルからなる。コンタクトシート金属部材111及び112は、巻回形の電極セパレータアセンブリの直径に本質的に対応する直径を有する。これらはしたがって端面104A及び104bをほぼ完全に覆う。コンタクトシート金属部材112は、とりわけ、電極セパレータアセンブリを電解質で含浸するために有用であり得る中心穴122を有する。コンタクトシート金属部材111及び112の両方は各々、3つのビード(111a、111b、111c;112a、112b、112c)を有する。これらのビードからの領域において、コンタクトシート金属部材111及び112は縁106A及び109aに溶接される。
【0104】
図1に示された負端子102bは、第1接触部分102cをその底部に含むカップ形第1部102eを含む。この接触部分は、コンタクトシート金属部材111の直接上にあるとともに溶接によりそれに接続される。溶接は、例えばレーザーにより実施され得る。カップ形部102eはニッケル又は銅からなる。溶接を円滑にするため、これは好ましくはコンタクトシート金属部材111と同じ材料からなる。さらに、負端子102bは、アルミニウム又はアルミニウム合金でできている第2部102fを含む。これは第2接触部分102dを含む。第2部102fは、カップ形部102eにおいて機械的に固定されたピン形部分102gを含む。好ましくは、第2部102fはカップ形部102eに圧入されるか、ねじ接続によりカップ形部102eにおいて固定される。溶接による追加的な固定が可能である。
【0105】
第2接触部分102dはハウジングの外側から機械的に接触され得る。その材料の性質を原因として、これはレーザーによりアルミニウム電流導体に容易に溶接され得る。
【0106】
第2コンタクトシート金属部材112は、もっぱら金属膜113を介してカップ形ハウジング部101に電気的に接続される。そうでなければ、第2コンタクトシート金属部材112は、ディスクの形であり得るとともに任意選択的にまた絶縁層115の一部であってもよい絶縁体119により底部101aから電気的に絶縁される。
【0107】
膜113は、ハウジング部101の底部101aにおけるアパーチャ101bを閉鎖する。空間を節約するため、底部101aは、アパーチャ101bの周りのその外側に環状の、平らな凹部を有し、そこで膜113は溶接によりカップ形ハウジング部101に固定される。続いて、膜113は環状溶接シーム113aを有する。その中心において、金属膜113は、膜113がアパーチャ101bを通じてハウジング内部内に延在する領域において刻み目114を有する。第2コンタクトシート金属部材112は、金属膜113の、ハウジングの内部に延在する部分に溶接により接続される。
【0108】
有利には、コンタクトシート金属部材112は複数の穴120を有する。穴のうちの1つを介して、アパーチャ101bは電極セパレータアセンブリ104内の軸方向空洞121に接続される。余剰の圧力がハウジング内で生じる場合、圧力が穴のうちの1つ又は複数を介して膜113に作用し得る。圧力が十分に高い場合、刻み目114は外向きに付勢され、図1Aに示されるとおり膜113は接触プレート112から剥離する。これはカソード108との電気的接触を断つとともにいずれの電流フローも停止させる。圧力が、それにも関わらず上昇し続ける場合、膜は破裂し得る、図1Bを参照されたい。
【0109】
図示の解決策は、ヒューズ機能がハウジング底部101a内に一体化され、したがってハウジング内の空間を占めないという点で有利である。それにも関わらず、これは極めて信頼性がある。
【0110】
図4は、図1に示された負端子102bのアセンブリを示す。この目的のために、カップ形第1部102eの底部は、第1に、コンタクトシート金属部材111に溶接により接続される。本発明の場合において、溶接はレーザーにより実施される。次いで、第2部102fのピン形部分102gがカップ形部102eに押し付けられる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】