(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/362 20060101AFI20240816BHJP
A61N 1/39 20060101ALI20240816BHJP
A61N 1/372 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61N1/362
A61N1/39
A61N1/372
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578696
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022073113
(87)【国際公開番号】W WO2023030913
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デール、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイス、インゴ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ23
4C053KK02
4C053KK07
(57)【要約】
本発明は、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム1に関し、埋め込み型ペーシング装置IPD、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器ICD、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備え、埋め込み型ペーシング装置IPDは、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシングATPをもたらすように構成され、埋め込み型ペーシング装置IPDは、抗頻脈ペーシングATPの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器ICDに信号10で伝えるようにさらに構成され、埋め込み型心臓除細動器ICDは、埋め込み型ペーシング装置IPDの信号10に応答して、所定のショック治療パラメータ12を調整する及び/又は遠隔監視システム15にメッセージ14を送るように構成される。本発明はさらに、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法、コンピュータ・プログラム、及びコンピュータ可読データ記憶媒体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム(1)であって、
埋め込み型ペーシング装置(IPD)、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器(ICD)、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備え、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシング(ATP)をもたらすように構成され、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)の利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるようにさらに構成され、
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)の前記信号(10)に応答して、所定のショック治療パラメータ(12)を調整する及び/又は遠隔監視システム(15)にメッセージ(14)を送るように構成される、埋め込み型システム(1)。
【請求項2】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、人間又は動物の心臓(H)の少なくとも1つの心室を刺激するように構成され、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、頻脈を検出するように構成された、構成可能な頻脈性不整脈検出ユニット(16)、および、頻脈検出に応答して抗頻脈ペーシング(ATP)シーケンスを送達するように構成された、抗頻脈ペーシング・タイミング・ユニット(18)をさらに備える、請求項1に記載の埋め込み型システム。
【請求項3】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、特に前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)の電池切れ及び/又は障害状態による、抗頻脈ペーシング(ATP)の前記利用不能を検出するように構成された、障害検出デバイス(20)を備える、請求項1又は2に記載の埋め込み型システム。
【請求項4】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、電池切れ及び/又は障害状態の検出の後、抗頻脈ペーシング(ATP)送達を阻止するように構成された、第1の制御ユニット(22)を備え、抗頻脈ペーシング(ATP)の前記利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるように構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項5】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)が利用不能であるが、抗徐脈ペーシングは利用可能である、電池消耗の第1段階(24)を検出するように構成され、前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)及び抗徐脈ペーシングの両方が利用不能である、電池消耗の第2段階(26)を検出するように構成される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項6】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、体内通信を用いて、特に電気パルス、通信、及び/又は無線信号を用いて、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるように構成される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項7】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、期待された抗頻脈ペーシング(ATP)がないことによって、特に検出された頻脈の場合に抗頻脈ペーシング(ATP)が所定の期間に対して供給されない場合、抗頻脈ペーシング(ATP)の前記利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるように構成される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項8】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、特に前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)から、抗頻脈ペーシング(ATP)及び/又は抗徐脈ペーシングの利用不能を示す、少なくとも1つの情報単位(30)を受信するように構成された、少なくとも1つの受信ユニット(28)を備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項9】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)から、前記少なくとも1つの情報単位(30)を受信するとすぐに、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)の治療的及び/又は診断的動作を調整するように、及び/又は前記受信された少なくとも1つの情報単位(30)を、前記遠隔監視システム(15)に転送するように、構成された第2の制御ユニット(32)を備える、請求項8に記載の埋め込み型システム。
【請求項10】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、1つ又は複数の期待された抗頻脈ペーシング(ATP)試行が、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)によって検知されなかった場合、前記少なくとも1つの情報単位(30)を検出するように構成される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項11】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)送達が利用不能であることが検出されたとき、除細動遅延を短縮又は抑制するように構成される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項12】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)送達が利用不能であることが検出されたとき、頻脈検出のための少なくとも1つの領域境界(34)を調整するように構成される、請求項1から11までのいずれか一項に記載の埋め込み型システム。
【請求項13】
抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法であって、
埋め込み型ペーシング装置(IPD)、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器(ICD)、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備えた、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム(1)を用意するステップ(S1)と、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)を用いて、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシング(ATP)をもたらすステップ(S2)と、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)を用いて、抗頻脈ペーシング(ATP)の利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号で伝えるステップ(S3)と、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)の前記信号(10)に応答して、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)によって、所定のショック治療パラメータ(12)を調整する及び/又は遠隔監視システム(15)にメッセージ(14)を送るステップ(S4)と
を含む方法。
【請求項14】
コンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、請求項13に記載の方法を行うためのプログラム・コードを有する、コンピュータ・プログラム。
【請求項15】
前記コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、請求項13に記載の方法を行うためのコンピュータ・プログラムのプログラム・コードを含んだ、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムに関する。さらに、本発明は、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心調律管理システム(CRMS:Cardiac Rhythm Management System)としても知られているこのような埋め込み型システムは、心不整脈の電気刺激治療のために用いられ得る。前記心調律管理システムは、少なくとも1つの第1の埋め込み型刺激装置、例えば埋め込み型リードレス・ペースメーカー(iLP:implantable Leadless Pacemaker)と、少なくとも1つの第2の埋め込み型刺激装置、例えば皮下埋め込み型心臓除細動器(S-ICD:Subcutaneous Implantable Cardioverter Defibrillator)とを備え、少なくとも1つの第1の埋め込み型刺激装置は、患者の心調律を検出するように適合された第1の検出ユニットと、検出された患者の心調律を分析し、第1の抗頻脈ペーシング治療のための信号を送達するように適合された第1のプロセッサとを備え、少なくとも1つの第2の埋め込み型刺激装置は、患者の心調律を検出するように適合された第2の検出ユニットと、検出された患者の心調律を分析し、ショック治療のための信号を送達するように適合された第2のプロセッサとを備える。
【0003】
埋め込み型心臓ペースメーカー又は埋め込み型リードレス・ペースメーカーなどの埋め込み型刺激装置は、患者の心臓の刺激を可能にする医療装置としてよく知られている。一般に、これらの医療装置は電池式であり、刺激構成要素は心臓の心室又は心房内に直接植え込まれる。埋め込み型心臓ペースメーカーは、少なくとも1つの細長い刺激リードを有し、これは装置ハウジングから、心腔内に到達し、そこで固定される。埋め込み型リードレス・ペースメーカーは、心腔内に完全に植え込まれる、小型化されたペーシング装置である。
【0004】
当技術分野では、例えば埋め込み型心臓除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)、又は非経静脈埋め込み型心臓除細動器、例えば皮下埋め込み型心臓除細動器(S-ICD)として、除細動機能を有する埋め込み型刺激装置が知られている。このような装置は通常、装置ハウジングと、ハウジングから延びる少なくとも1つの細長い刺激リードとを備える。ICDのハウジングは通常、鎖骨の下のスキン・ポケット内に植え込まれ、刺激リードは、心臓の心室内に到達し、そこに固定される。非経静脈埋め込み型心臓除細動器のハウジング及び刺激リードは、心室内を通過するショック波が、リードの刺激電極と、非経静脈埋め込み型心臓除細動器ハウジングとの間に作り出されるように、皮膚下に(すなわち皮下に)植え込まれる。
【0005】
医療装置は、患者の心臓の状態、すなわち必要な心臓治療に従って選ばれる。
【0006】
埋め込み型ペースメーカー又は埋め込み型リードレス・ペースメーカーは、徐脈を患っている患者のために、すなわち、患者の生理的必要を満たすためには心臓の鼓動が遅すぎる場合に用いられる。埋め込み型ペースメーカー又はiLPは、生理的に適切な心拍数を発生するように心臓に電気刺激を印加する。
【0007】
ICDは、心室頻拍及び細動を患っている患者のために用いられる。ICDは、頻脈を終わらせるために抗頻脈ペーシング(ATP:Anti-Tachycardia Pacing)治療(すなわち頻脈心拍数より速い刺激心拍数を用いたペーシング)、又はATP試行の後に頻脈が持続する場合は、ショック治療(すなわち心臓に生理的調律を回復させるように、頻脈を終わらせるために印加される、高エネルギー電気ショック)を適用することができる。
【0008】
非経静脈埋め込み型心臓除細動器は、ペーシング治療又はATP治療なしに、ショック治療を送達するように構成される。これは刺激リードと心室との間の距離により、その結果、低エネルギー刺激パルスは、心臓ペーシングサイトに有効に送達されないようになる。
【0009】
iLPは、ショック治療なしに、ペーシング治療及びATPを送達し得る。非常に制限された装置サイズにより、これは小さな電池容量を有し、ショック治療をもたらすために必要な、キャパシタを充電するためのスペースがない。
【0010】
それに加えて、埋め込み型リードは、患者に対するリスクを生じさせ、従って問題となり得る。リードは、細長い絶縁された電極線であり、装置ハウジングから心臓の静脈系内に到達し、そこで心室内に固定される。それは心臓の鼓動のたびに、種々の力及び動きを被り、結果としてリードが移動されること、絶縁障害、及びリード破損を生じ得る。この問題は、非経静脈埋め込み型心臓除細動器、及び埋め込み型リードレス・ペースメーカーでは、これらの装置は心臓内の細長いリードを有しないので生じない。特に、適切な血管アクセスを有しない、又は感染に対し高リスクである患者に対しては、細長いリードが心臓内部に植え込まれることはできない。
【0011】
しかし、患者が、異なる心臓治療を必要とする、様々な心不整脈を患っている状況がある。このような場合、少なくとも2つの医療装置又はユニットを備えた、CRMSが植え込まれ得る。
【0012】
さらに、異なる治療が適切であり、及び1つの処置がより好ましい、例えば患者にとって、より楽な心不整脈が存在する。さらに、いくつかの治療は別の不整脈を引き起こす場合があり、従ってこの不整脈を停止させるために、追加の治療が必要になる。実際には、心室頻拍は、例えばATP治療又はショック治療を用いて処置され得るが、ショック治療は、ショックが予期せずに放射されるので患者にとってはしばしば不快であり、痛みを伴い得る。加えて、ショック治療は、電池の寿命のかなりの低下を引き起こす。それでも、ショック治療は、ATP治療が細動を処置するためには適切でないので、心室頻拍が心室細動に繋がる場合は避けられない。
【0013】
例えば、心臓内の細長いリードに対する禁忌を有し、心室頻拍を患っている患者は、ペーシング治療、ATP、及びショック治療を必要とする。このような場合、少なくとも第1の埋め込み型刺激装置と、第2の埋め込み型刺激装置とを備えた、CRMSが植え込まれることができ、第1の埋め込み型刺激装置は、埋め込み型リードレス・ペースメーカーとし、第2の装置は、非経静脈埋め込み型心臓除細動器とすることができる。
【0014】
別の実例によれば、心臓内の細長いリードに対する禁忌を有し、ペーシング治療及び/又はATPを必要とする患者は、心室内(又はヒス束において)、及び心房内で、少なくとも第1の埋め込み型刺激装置と、第2の埋め込み型刺激装置とを備えた、CRMSが植え込まれることができ、第1の埋め込み型刺激装置は、第1の埋め込み型リードレス・ペースメーカーとし、第2の装置は、第2の埋め込み型リードレス・ペースメーカーとすることができる。
【0015】
複数の処置治療を備えた心調律管理システムは、例えば、従来技術文献の米国特許出願第2019/0160285 A1号、及び米国特許第10,265,534 B2号で開示されているように、S-ICDと、iLPとの組み合わせによってもたらされる。治療はそれらが同時に適用される場合、非効果的になり得るので、適切な処置をもたらすためには、このようなシステムの連係は必須である。
【0016】
さらに、米国特許出願第2016/008615 A1号は、電気刺激治療を患者の心臓に送達するための医療装置システムに関し、システムは、患者の心臓内に植え込まれ、心不整脈の発生を決定するように構成されたリードレス心臓ペースメーカー(LCP:Leadless Cardiac Pacemaker)と、心不整脈の発生を決定し、除細動ショック治療を患者に送達するように構成された医療装置とを備え、LCPと医療装置とは、互いに間隔が空けられ、通信可能に結合され、LCPが心不整脈の発生を決定した後、LCPは医療装置の除細動ショック治療を修正するように構成される。
【0017】
加えて、米国特許出願第2018/0243578 A1号は、歩行可能な医療装置を開示しており、この医療装置は、少なくとも1つの治療電極であって、外部的に患者の皮膚に結合し、1つ又は複数の経胸腔的な治療的刺激パルスを、患者の心臓に供給するように構成された、少なくとも1つの治療電極と、少なくとも1つの検知電極であって、外部的に患者の皮膚に結合し、患者から心電図(ECG:Electrocardiogram)信号を取得するように構成された、少なくとも1つの検知電極と、少なくとも1つのプロセッサであって、少なくとも1つの治療電極と少なくとも1つの検知電極とに結合され、患者の心臓内の頻脈状態を検出するように患者からのECG信号を処理することと、頻脈状態を検出したことに応答して、植え込まれたペースメーカーが、所定の期間内に患者の心臓を正常な状態に回復させたかどうかを決定することと、植え込まれたペースメーカーが、所定の期間内に患者の心臓を正常な状態に回復できなかったと決定したことに応答して、1つ又は複数の経胸腔的な治療的刺激パルスを患者の心臓に供給することとを行うように構成された、少なくとも1つのプロセッサとを、備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願第2019/0160285 A1号
【特許文献2】米国特許第10,265,534 B2号
【特許文献3】米国特許出願第2016/008615 A1号
【特許文献4】米国特許出願第2018/0243578 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述の心調律管理システムは、iLPによるATP治療と、ICDによる除細動治療とを連係させるために、ICDによるショック治療遅延は、iLPによるATP送達が最初に、より低い頻脈領域で生じ、治療の成功が評価され得ることを確実にするために必要であるという共通点がある。
【0020】
しかし、ATP治療の成功が生じなかった場合、除細動治療は、上述の遅延を用いてICDによって開始される。時間と共に、iLPの電池が枯渇して、もはやATPを送達できない場合、又はiLP内で障害状態が生じた場合、ICDは、頻脈の場合に必要な治療を、不必要に遅延させることになる。
【0021】
従って、本発明の目的は、iLPがもはやATPを送達できないときは常に、iLPとATPの組み合わせで、植え込まれたICDの除細動治療のための、治療における遅延を回避する能力を有する、改善された、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムをもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本目的は、請求項1に記載の特徴を有する、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムによって解決される。
【0023】
さらに、本目的は、請求項13に記載の特徴を有する、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法によって解決される。
【0024】
それに加えて、本目的は、請求項14に記載の特徴を有するコンピュータ・プログラム、及び請求項15に記載の特徴を有するコンピュータ可読データ記憶媒体によって解決される。
【0025】
さらなる展開、及び有利な実施例は、従属請求項において定義される。
【0026】
本発明は、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムをもたらし、埋め込み型ペーシング装置、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備え、埋め込み型ペーシング装置は、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシングをもたらすように構成され、埋め込み型ペーシング装置は、抗頻脈ペーシングの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器に信号で伝えるようにさらに構成され、埋め込み型心臓除細動器は、埋め込み型ペーシング装置の信号に応答して、所定のショック治療パラメータを調整する及び/又は遠隔監視システムにメッセージを送るように構成される。
【0027】
さらに、本発明は、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法を提供する。
【0028】
方法は、埋め込み型ペーシング装置、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備えた、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムを用意することを含む。
【0029】
さらに、方法は、埋め込み型ペーシング装置を用いて、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシングをもたらすステップを含む。
【0030】
加えて、方法は、埋め込み型ペーシング装置を用いて、抗頻脈ペーシングの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器に信号で伝えるステップと、埋め込み型ペーシング装置の信号に応答して、埋め込み型心臓除細動器によって、所定のショック治療パラメータを調整する及び/又は遠隔監視システムにメッセージを送るステップとを含む。
【0031】
さらに、本発明は、コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、本発明の方法を行うためのプログラム・コードを有する、コンピュータ・プログラムをもたらす。
【0032】
それに加えて、本発明は、コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、本発明の方法を行なうためのコンピュータ・プログラムのプログラム・コードを含んだ、コンピュータ可読データ記憶媒体をもたらす。
【0033】
本発明の発想は、ATP送達のためのシステム構成要素が、もはや治療を送達できない場合でも、分散された抗頻脈治療システムにおいて、最適な治療制御を可能にすることである。
【0034】
本発明によれば、ペースメーカーは、例えば電池切れにより、ペースメーカー自体がもはや抗頻脈ペーシングを送達できないことを、植え込まれた除細動器に知らせるので有利である。従ってペースメーカーは、植え込まれた除細動器と、除細動器がそれの治療方式に適合することを目的として通信する。
【0035】
本発明の一態様によれば、埋め込み型ペーシング装置は、人間又は動物の心臓の少なくとも1つの心室を刺激するように構成され、埋め込み型ペーシング装置は、頻脈を検出するように構成された、構成可能な頻脈性不整脈検出ユニットを備え、頻脈検出に応答して抗頻脈ペーシング・シーケンスを送達するように構成された、抗頻脈ペーシング・タイミング・ユニットをさらに備える。
【0036】
ATPシーケンスは通常、5~8個のペーシング・パルスを備える。これらは、実際の検出される頻脈よりわずかに速く送達される。頻脈の周期長は、検出ユニットにおいて測定され、次いでこれらの5~8個のパルスがタイミング・ユニットにおいて計算され、これらは、例えば、頻脈の周期長の80%を有し、従って前記頻脈を効果的に過剰に刺激する。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型ペーシング装置は、特に埋め込み型ペーシング装置の電池切れ及び/又は障害状態による、抗頻脈ペーシングの利用不能を検出するように構成された、障害検出デバイスを備える。このようにして、抗頻脈ペーシングが利用不能である原因が検出され得るので有利である。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型ペーシング装置は、電池切れ及び/又は障害状態の検出の後、抗頻脈ペーシング送達を阻止するように構成された、第1の制御ユニットを備え、抗頻脈ペーシングの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器に信号で伝えるように構成される。従って、電池容量及び/又は障害状態が、抗頻脈ペーシング供給を利用不能にした場合、抗頻脈ペーシング送達をもたらすことは、効果的に阻止され得る。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型ペーシング装置は、抗頻脈ペーシングが利用不能であるが、抗徐脈ペーシングは利用可能である、電池消耗の第1段階を検出するように構成され、埋め込み型ペーシング装置は、抗頻脈ペーシング及び抗徐脈ペーシングの両方が利用不能である、電池消耗の第2段階を検出するように構成される。このようにして、検出された電池消耗の段階に従って、対応する治療がもたらされ得る。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型ペーシング装置は、体内通信を用いて、特に電気パルス、通信、及び/又は無線信号を用いて、埋め込み型心臓除細動器に信号で伝えるように構成される。従って、埋め込み型ペーシング装置と、埋め込み型心臓除細動器との間に、ケーブル・ベースの接続が存在する必要がないので有利である。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型ペーシング装置は、期待された抗頻脈ペーシングがないことによって、特に検出された頻脈の場合に抗頻脈ペーシングが所定の期間に対して供給されない場合、抗頻脈ペーシングの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器に信号で伝えるように構成される。これは結果として、必要な場合に、不必要な遅延なしにショック治療をもたらすので、有利である。
【0042】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型心臓除細動器は、特に埋め込み型ペーシング装置から、抗頻脈ペーシング及び/又は抗徐脈ペーシングの利用不能を示す、少なくとも1つの情報単位を受信するように構成された、少なくとも1つの受信ユニットを備える。このようにして、障害状態の原因は、埋め込み型心臓除細動器に送信され得るので有利である。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型心臓除細動器は、埋め込み型ペーシング装置から、少なくとも1つの情報単位を受信するとすぐに、埋め込み型心臓除細動器の治療的及び/又は診断的動作を調整するように、及び/又は受信された少なくとも1つの情報単位を、遠隔監視システムに転送するように、構成された第2の制御ユニットを備える。従って、埋め込み型心臓除細動器は、特定の障害状態に従って調整され得るので有利である。
【0044】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型心臓除細動器は、1つ又は複数の期待された抗頻脈ペーシング試行が、埋め込み型心臓除細動器によって検知されなかった場合、少なくとも1つの情報単位を検出するように構成される。これは、少なくとも1つの情報単位が、埋め込み型心臓除細動器によって受信されることを可能にするための、さらなる基準となる。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型心臓除細動器は、抗頻脈ペーシング送達が利用不能であることが検出されたとき、除細動遅延を短縮又は抑制するように構成される。従って、ショック治療は、不必要な遅延なしに、より速く施され得る。
【0046】
本発明のさらなる態様によれば、埋め込み型心臓除細動器は、抗頻脈ペーシング送達が利用不能であることが検出されたとき、頻脈検出のための少なくとも1つの領域境界を調整するように構成される。このデータは、適切な検出領域をより正確に決定するために考慮に入れられ得るので有利である。
【0047】
抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムの、本明細書で述べられる特徴は、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法に対しても開示され、逆も同様である。
【0048】
次に、本発明及びその利点のより完全な理解のために、添付の図面と併せ読まれる、以下の説明が参照される。本発明は、図面の概略的な図において指定される、例示的実施例を用いて以下でより詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の好ましい実施例による、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムの概略図である。
【
図2a】本発明の一部とならない、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムの治療シーケンスの概略図である。
【
図2b】本発明の好ましい実施例による、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムの治療シーケンスの概略図である。
【
図3】本発明の好ましい実施例による、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1に示される、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム1は、埋め込み型ペーシング装置(IPD:Implantable Pacing Device)、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器ICD、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備える。
【0051】
埋め込み型ペーシング装置IPDは、アクティブ・ハウジング2と、胸骨4に沿って皮下に植え込まれ、2つの検知ポール5,6を有する電極リード3と、ショック・コイル7とを備える。
【0052】
埋め込み型ペーシング装置IPDは、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシングATPをもたらすように構成され、埋め込み型ペーシング装置IPDは、抗頻脈ペーシングATPの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器ICDに信号10で伝えるようにさらに構成される。さらに、埋め込み型心臓除細動器ICDは、埋め込み型ペーシング装置IPDの信号10に応答して、所定のショック治療パラメータ12を調整する及び/又は遠隔監視システム15にメッセージ14を送るように構成される。
【0053】
埋め込み型ペーシング装置IPDは、人間又は動物の心臓Hの少なくとも1つの心室を刺激するように構成される。それに加えて、埋め込み型ペーシング装置IPDは、頻脈を検出するように構成された、構成可能な頻脈性不整脈検出ユニット16を備え、頻脈検出に応答して抗頻脈ペーシングATPシーケンスを送達するように構成された、抗頻脈ペーシング・タイミング・ユニット18をさらに備える。
【0054】
加えて、埋め込み型ペーシング装置IPDは、特に埋め込み型ペーシング装置IPDの電池切れ及び/又は障害状態による、抗頻脈ペーシングATPの利用不能を検出するように構成された、障害検出デバイス20を備える。
【0055】
埋め込み型ペーシング装置IPDは、電池切れ及び/又は障害状態の検出の後、抗頻脈ペーシングATP送達を阻止するように構成された、第1の制御ユニット22を備え、抗頻脈ペーシングATPの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器ICDに信号10で伝えるように構成される。
【0056】
それに加えて、埋め込み型ペーシング装置IPDは、抗頻脈ペーシングATPが利用不能であるが、抗徐脈ペーシングは利用可能である、電池消耗の第1段階24を検出するように構成される。さらに、埋め込み型ペーシング装置IPDは、抗頻脈ペーシングATP及び抗徐脈ペーシングの両方が利用不能である、電池消耗の第2段階26を検出するように構成される。
【0057】
加えて、埋め込み型ペーシング装置IPDは、体内通信を用いて、特に電気パルス、通信、及び/又は無線信号を用いて、埋め込み型心臓除細動器ICDに信号10で伝えるように構成される。
【0058】
さらに、埋め込み型ペーシング装置IPDは、期待された抗頻脈ペーシングATPがないことによって、特に検出された頻脈の場合に抗頻脈ペーシングATPが所定の期間に対して供給されない場合、抗頻脈ペーシングATPの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器ICDに信号10で伝えるように構成される。
【0059】
埋め込み型心臓除細動器ICDは、特に埋め込み型ペーシング装置IPDから、抗頻脈ペーシングATP及び/又は抗徐脈ペーシングの利用不能を示す、少なくとも1つの情報単位30を受信するように構成された、少なくとも1つの受信ユニット28を備える。
【0060】
埋め込み型心臓除細動器ICDは、埋め込み型ペーシング装置IPDから、少なくとも1つの情報単位30を受信するとすぐに、埋め込み型心臓除細動器ICDの治療的及び/又は診断的動作を調整するように、及び/又は受信された少なくとも1つの情報単位30を、遠隔監視システム15に転送するように、構成された第2の制御ユニット32を備える。
【0061】
埋め込み型心臓除細動器ICDは、1つ又は複数の期待された抗頻脈ペーシングATP試行が、埋め込み型心臓除細動器ICDによって検知されなかった場合、少なくとも1つの情報単位30を検出するように構成される。埋め込み型心臓除細動器ICDによって、埋め込み型ペーシング装置IPDから信号が受信されない、所定の期間は、従って、埋め込み型心臓除細動器ICDに、抗頻脈ペーシングATP送達が利用不能であることを知らせるための、情報単位30として役立つ。
【0062】
さらに、埋め込み型心臓除細動器ICDは、抗頻脈ペーシングATP送達が利用不能であることが検出されたとき、除細動遅延を短縮又は抑制するように構成される。埋め込み型心臓除細動器ICDは、抗頻脈ペーシングATP送達が利用不能であることが検出されたとき、頻脈検出のための少なくとも1つの領域境界34を調整するようにさらに構成される。
【0063】
第1の治療領域は、1分間の心拍数160~200の間とすることができる。この第1の領域のみにおいて、抗頻脈刺激が送達される。1分間の心拍数が200以上で、除細動器もショックを送達する。抗頻脈ペーシングがもはや利用可能でない場合は、除細動器は、すでに、例えば1分間の心拍数160からショックを送達するようになり、すなわち、それに応じて領域制限を調整するようになる。
【0064】
図2aは、本発明の一部とならない、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システムの治療シーケンスの概略図を示す。
【0065】
最初に、埋め込み型ペーシング装置と、埋め込み型心臓除細動器内とにおいて、平行して、頻脈検出36が行われる。
【0066】
頻脈検出36の後に、埋め込み型ペーシング装置は、プログラムされた治療遅延を通して、ショック治療の開始を保留して、埋め込み型心臓除細動器を用いて、抗頻脈ペーシング治療を送達する。
【0067】
ここで概説されるシーケンスにおいて、抗頻脈ペーシング治療は効果的でなく、心室頻拍38は保持し続けるので、治療遅延が満了した後、頻脈が継続する場合は、埋め込み型心臓除細動器は、ショック・キャパシタ40の充電プロセスを開始し、その完了後にショック治療42を送達する。
【0068】
図2bは、本発明の好ましい実施例による、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、埋め込み型システム1の治療シーケンスの概略図を示す。
【0069】
埋め込み型心臓除細動器ICDは、埋め込み型ペーシング装置IPDから、今後は抗頻脈ペーシング治療を送達できないことを伝える信号10を受信する。
【0070】
次いで、埋め込み型心臓除細動器ICDの第2の制御ユニット32は、治療遅延はここでオフにされ、埋め込み型心臓除細動器ICDが、頻脈の検出の後に直ちにショック・キャパシタ40の充電プロセスを開始し、従ってショック治療42を著しく早く送達することができるように、埋め込み型心臓除細動器ICDの治療制御を調整する。
【0071】
図3は、本発明の好ましい実施例による、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法のフローチャートを示す。
【0072】
方法は、埋め込み型ペーシング装置IPD、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器ICD、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備えた、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム1を用意するステップS1を含む。
【0073】
さらに、方法は、埋め込み型ペーシング装置IPDを用いて、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシングATPをもたらすステップS2を含む。
【0074】
加えて、方法は、埋め込み型ペーシング装置IPDを用いて、抗頻脈ペーシングATPの利用不能を、埋め込み型心臓除細動器ICDに信号で伝えるステップS3と、埋め込み型ペーシング装置IPDの信号10に応答して、埋め込み型心臓除細動器ICDによって、所定のショック治療パラメータ12を調整する及び/又は遠隔監視システム15にメッセージ14を送るステップS4とを含む。
【符号の説明】
【0075】
1 埋め込み型システム
2 アクティブ・ハウジング
3 電極リード
4 胸骨
5,6 検知ポール
7 ショック・コイル
10 信号
12 ショック治療パラメータ
14 メッセージ
15 遠隔監視システム
16 検出ユニット
18 頻脈ペーシング・タイミング・ユニット
20 障害検出デバイス
22 第1の制御ユニット
24 第1段階
26 第2段階
28 受信ユニット
30 情報単位
32 第2の制御ユニット
34 領域境界
36 頻脈検出
38 心室頻拍
40 ショック・キャパシタ
42 ショック治療
H 心臓
ATP 抗頻脈ペーシング
ICD 埋め込み型心臓除細動器
IPD 埋め込み型ペーシング装置
S1~S4 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム(1)であって、
埋め込み型ペーシング装置(IPD)、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器(ICD)、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備え、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシング(ATP)をもたらすように構成され、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)の利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるようにさらに構成され、
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)の前記信号(10)に応答して、所定のショック治療パラメータ(12)を調整する及び/又は遠隔監視システム(15)にメッセージ(14)を送るように構成される、埋め込み型システム(1)。
【請求項2】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、人間又は動物の心臓(H)の少なくとも1つの心室を刺激するように構成され、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、頻脈を検出するように構成された、構成可能な頻脈性不整脈検出ユニット(16)、および、頻脈検出に応答して抗頻脈ペーシング(ATP)シーケンスを送達するように構成された、抗頻脈ペーシング・タイミング・ユニット(18)をさらに備える、請求項1に記載の埋め込み型システム。
【請求項3】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、特に前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)の電池切れ及び/又は障害状態による、抗頻脈ペーシング(ATP)の前記利用不能を検出するように構成された、障害検出デバイス(20)を備える、請求項1又は2に記載の埋め込み型システム。
【請求項4】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、電池切れ及び/又は障害状態の検出の後、抗頻脈ペーシング(ATP)送達を阻止するように構成された、第1の制御ユニット(22)を備え、抗頻脈ペーシング(ATP)の前記利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるように構成される、請求項
1に記載の埋め込み型システム。
【請求項5】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)が利用不能であるが、抗徐脈ペーシングは利用可能である、電池消耗の第1段階(24)を検出するように構成され、前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)及び抗徐脈ペーシングの両方が利用不能である、電池消耗の第2段階(26)を検出するように構成される、請求項
1に記載の埋め込み型システム。
【請求項6】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、体内通信を用いて、特に電気パルス、通信、及び/又は無線信号を用いて、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるように構成される、請求項
1に記載の埋め込み型システム。
【請求項7】
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)は、期待された抗頻脈ペーシング(ATP)がないことによって、特に検出された頻脈の場合に抗頻脈ペーシング(ATP)が所定の期間に対して供給されない場合、抗頻脈ペーシング(ATP)の前記利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号(10)で伝えるように構成される、請求項
1に記載の埋め込み型システム。
【請求項8】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、特に前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)から、抗頻脈ペーシング(ATP)及び/又は抗徐脈ペーシングの利用不能を示す、少なくとも1つの情報単位(30)を受信するように構成された、少なくとも1つの受信ユニット(28)を備える、請求項
1に記載の埋め込み型システム。
【請求項9】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)から、前記少なくとも1つの情報単位(30)を受信するとすぐに、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)の治療的及び/又は診断的動作を調整するように、及び/又は前記受信された少なくとも1つの情報単位(30)を、前記遠隔監視システム(15)に転送するように、構成された第2の制御ユニット(32)を備える、請求項8に記載の埋め込み型システム。
【請求項10】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、1つ又は複数の期待された抗頻脈ペーシング(ATP)試行が、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)によって検知されなかった場合、前記少なくとも1つの情報単位(30)を検出するように構成される、請求項
8に記載の埋め込み型システム。
【請求項11】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)送達が利用不能であることが検出されたとき、除細動遅延を短縮又は抑制するように構成される、請求項
1に記載の埋め込み型システム。
【請求項12】
前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)は、抗頻脈ペーシング(ATP)送達が利用不能であることが検出されたとき、頻脈検出のための少なくとも1つの領域境界(34)を調整するように構成される、請求項
1に記載の埋め込み型システム。
【請求項13】
抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための、コンピュータによって実施される方法であって、
埋め込み型ペーシング装置(IPD)、特に埋め込み型リードレス・ペースメーカーと、埋め込み型心臓除細動器(ICD)、特に非経静脈埋め込み型心臓除細動器とを備えた、抗頻脈及び/又はショック治療をもたらすための埋め込み型システム(1)を用意するステップ(S1)と、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)を用いて、頻脈を検出し、抗頻脈ペーシング(ATP)をもたらすステップ(S2)と、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)を用いて、抗頻脈ペーシング(ATP)の利用不能を、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)に信号で伝えるステップ(S3)と、
前記埋め込み型ペーシング装置(IPD)の前記信号(10)に応答して、前記埋め込み型心臓除細動器(ICD)によって、所定のショック治療パラメータ(12)を調整する及び/又は遠隔監視システム(15)にメッセージ(14)を送るステップ(S4)と
を含む方法。
【請求項14】
コンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、請求項13に記載の方法を行うためのプログラム・コードを有する、コンピュータ・プログラム。
【請求項15】
前記コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、請求項13に記載の方法を行うためのコンピュータ・プログラムのプログラム・コードを含んだ、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【国際調査報告】