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特表2024-530573エアロゾル発生デバイスでの使用後に再挿入不可能なエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイスでの使用後に再挿入不可能なエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20240816BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20240816BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240816BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580382
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022070935
(87)【国際公開番号】W WO2023006742
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21188459.8
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB08
4B045AB11
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB21
4B162AC12
(57)【要約】
エアロゾル発生物品(2)は、加熱チャンバ(7)を含むエアロゾル発生デバイス(1)で使用され得、且つエアロゾル発生基材(8)を収容するラッパー(4)であって、加熱チャンバ(7)内に挿入され、且つエアロゾル発生中に加熱温度で加熱された後、第1の形状から第2の形状に変形されるように構成された変形可能な周縁部(5)を含むラッパー(4)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱チャンバ(7)を含むエアロゾル発生デバイス(1)で使用するためのエアロゾル発生物品(2)であって、エアロゾル発生基材(8)を収容するラッパー(4)を含み、前記ラッパー(4)は、エアロゾル発生中に前記加熱チャンバ(7)内において加熱温度で加熱された後、第1の断面形状から第2の断面形状に変形されるように構成された変形可能な周縁部(5)を含む、エアロゾル発生物品(2)。
【請求項2】
前記第1の断面形状は、前記加熱チャンバ(7)の断面形状に対応し、及び
前記第2の断面形状は、前記加熱チャンバ(7)の前記断面形状に対応しない、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記変形可能な周縁部(5)は、前記物品(2)の長手方向に垂直な少なくとも1つの方向において、前記第1の断面形状から前記第2の断面形状に膨張するように構成される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記変形可能な周縁部(5)は、前記物品(2)の長手方向に垂直な複数の半径方向において、前記第1の断面形状から前記第2の断面形状に膨張するように構成される、請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記変形可能な周縁部(5)は、所定の周囲温度を超える転移温度で形状記憶効果を有する形状記憶材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記材料は、50℃~200℃の転移温度で形状記憶効果を有する形状記憶材料である、請求項5に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記形状記憶材料は、少なくとも1つの金属を含む、請求項5又は6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記形状記憶材料は、シート若しくは少なくとも1つのワイヤ又はそれらの組み合わせの形態で配置される、請求項5~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記シートは、平坦な又は管状の構成を有する、請求項8に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記変形可能な周縁部(5)は、バイメタル要素を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記変形可能な周縁部(5)は、平坦な又は管状の構成を有するシートの形態で配置される、請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記変形可能な周縁部(5)は、前記ラッパー(4)の軸方向長さの一部に沿って延在する、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記変形可能な周縁部(5)は、前記ラッパー(4)の端部から延在する、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
ロッド又は平板の形態である、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記エアロゾル発生基材は、タバコ材料又は少なくとも1つのポリオールを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項16】
加熱チャンバ(7)を含むエアロゾル発生デバイス(1)を使用する方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(2)を少なくとも部分的に前記加熱チャンバ(7)に挿入することと、前記エアロゾル発生物品(2)を、エアロゾルを発生させるための加熱温度で加熱することと、前記エアロゾル発生物品(2)を前記エアロゾル発生デバイス(1)から取り外して、前記変形可能な周縁部(5)が前記第2の断面形状に変形することを可能にすることとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生デバイスでの使用を意図されたエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのエアロゾル発生デバイスは、「固体」エアロゾル発生基材を収容するラッパーを含むエアロゾル発生物品(又は消耗品)を受け入れるように配置された加熱チャンバを含む。この加熱チャンバは、エアロゾル発生基材を加熱して、空気の存在下において、ベイピングセッション中にユーザが吸入することができるエアロゾルを発生させるように配置される。
【0003】
本発明は、より具体的には、「固体」エアロゾル発生基材(例えば、タバコスティック)を含み、場合により従来の紙巻きタバコと同様であるエアロゾル発生物品(又は消耗品)に関する。以下の説明では、「エアロゾル発生基材」という用語は、エアロゾルを形成するために空気中でエアロゾル化可能なあらゆる固体材料を指すために使用される。
【0004】
エアロゾル発生基材は、ニコチン、タバコ材料、カンナビノイド、ポリオール、カフェイン又は他の有効成分の1つ又は複数を含み得る。有効成分は、例えば、プロピレングリコール又はグリセリンを含み得る担体によって担持され得る。エアロゾル発生材料には香味料も存在することができ、例えば、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナ油)などを含むことができる。
【0005】
更に、以下の説明では、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴及び気体の1つ又は複数として物質の懸濁液も含み得る。そのような懸濁液は、空気を含む気体の状態であり得る。本明細書中のエアロゾルは、概して、蒸気を指し得るか、又は蒸気を含み得、エアロゾル発生材料の1つ又は複数の成分を含み得る。
【0006】
上述のエアロゾル発生物品(又は消耗品)は、「Tベイパー(又は非燃焼加熱(若しくは「HnB」))デバイス」と呼ばれるエアロゾル発生デバイスで1回のみ使用することを目的とする。このようなエアロゾル発生物品を再利用すると、風味及び蒸気形成が不十分になるだけでなく、加熱チャンバ内で分解して装置の故障を引き起こす可能性もある。エアロゾル発生物品は、使用前後で形状及び大きさが変わらないため、ユーザにとって使用済みであるか又は未使用であるかが直ちにわかるとは限らない。更に、ユーザは、エアロゾル発生物品を使い終わると(ベイピングセッション後)、加熱チャンバからそれを取り外し、責任を持って廃棄できるようになるまで、未使用のエアロゾル発生物品と一緒にパッケージに戻すことがよくある。従って、ユーザが未使用のエアロゾル発生物品と区別できるのは、エアロゾル発生物品の色であるが、このエアロゾル発生物品が完全に消費されていない場合又は照明が好ましくない場合、そのような区別は、難しい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、本発明は、Tベイパーデバイスを画定するエアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内で部分的であっても以前に使用されたエアロゾル発生物品の再挿入を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
提案される本発明は、加熱チャンバを含み、且つエアロゾル発生基材を収容するラッパーを含むエアロゾル発生デバイスで使用されることを意図されたエアロゾル発生物品の実施形態を提供する。
【0009】
このエアロゾル発生物品は、ラッパーが加熱チャンバ内に挿入され、且つエアロゾル発生中に加熱温度で加熱された後、より具体的には加熱チャンバから取り外された後、第1の断面形状から第2の断面形状に変形されるように構成された変形可能な周縁部を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明は、加熱チャンバを含むエアロゾル発生デバイスと、エアロゾル発生基材を収容するラッパーを含むエアロゾル発生物品とを含むエアロゾル発生システムも提供する。ラッパーは、エアロゾル発生中に加熱チャンバ内において加熱温度で加熱された後、より具体的には加熱チャンバから取り外された後、第1の断面形状から第2の断面形状に変形されるように構成された変形可能な周縁部を含む。
【0011】
第1の断面形状は、加熱チャンバの断面形状に対応する。従って、エアロゾル発生物品を加熱チャンバに挿入することができる。第2の断面形状は、加熱チャンバの断面形状に対応しない。従って、第2の断面形状が加熱チャンバの断面形状と適合しないため、エアロゾル発生物品は、除去された後に加熱チャンバ内に再挿入することができない。
【0012】
本発明により、エアロゾル発生物品が加熱チャンバから取り外されると、その変形可能な周縁部の第1の断面形状は、それ自体の特性によって許容されるように、加熱チャンバ内では不可能であった第2の断面形状に変化することができる。従って、加熱チャンバの外側の変形可能な周縁部によって取られる第2の断面形状は、特に周縁部の第2の断面形状がもはや加熱チャンバの断面形状に対応しない(即ちもはや適合しない)ため、エアロゾル発生物品が加熱チャンバ内に再挿入されることを防止する。
【0013】
本発明に関連して、「周縁部」という用語は、エアロゾル発生物品の表面の全周又は周縁の一部に沿って延在するエアロゾル発生物品の一部を指す。
【0014】
エアロゾル発生物品の実施形態は、以下で定義するように、別個に又は組み合わせて考慮される他の特徴を含み得る。
・変形可能な周縁部は、エアロゾル発生物品の長手方向に垂直な少なくとも1つの方向において、前記第1の断面形状から前記第2の断面形状に膨張するように構成されることが好ましい。好ましくは、変形可能な周縁部は、半径方向に膨張するように構成される。好ましくは、変形可能な周縁部は、エアロゾル発生物品の長手方向に垂直な複数の半径方向において膨張するように構成される。例えば、第1の断面形状が実質的に円形である場合、第2の断面形状は、非円形、例えば楕円形であり得る。この膨張の結果、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生デバイスの加熱チャンバの寸法、例えば直径よりも大きい寸法を前記少なくとも1つの方向に有し、従ってエアロゾル発生物品の加熱チャンバへの再挿入が防止される。これは、第2の断面形状が加熱チャンバの断面形状と適合しなくなるためである。
・第1の実施形態では、変形可能な周縁部は、所定の周囲温度を超える転移温度で形状記憶効果を有する形状記憶材料を含み得る。
・材料は、50℃~200℃(好ましくは60℃~200℃)の転移温度で形状記憶効果を有する形状記憶材料であり得る。
・形状記憶材料は、少なくとも1つの金属を含み得る。
・形状記憶材料は、シート若しくは少なくとも1つのワイヤ又はそれらの組み合わせの形態で配置され得る。シートの場合、組み合わせは、平坦な又は管状の構成を有し得る。ワイヤの場合、組み合わせは、リング又は開ループ若しくは閉ループ構成を有し得る。
・第2の実施形態では、変形可能な周縁部は、バイメタル要素を含み得る。この第2の実施形態において、変形可能な周縁部は、例えば、平坦な又は管状の構成を有するシートの形態で配置され得る。
・変形可能な周縁部は、ラッパーの軸方向長さの一部に沿って延在し得る。
・変形可能な周縁部は、ラッパーの端部から延在し得る。
・エアロゾル発生物品は、ロッド、プレート又は他にカードの形態であり得る。プレートは、平面、ひだ状、波形又はU字形であり得る。
・エアロゾル発生基材は、タバコ材料又は少なくとも1つのエアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤は、ポリオールであり得る。エアロゾル形成剤の量は、好ましくは、エアロゾル発生基材の5~30重量%である。エアロゾル発生基材は、結合剤を更に含み得る。結合剤は、例えば、ガム(例えば、グアーガム)又は多糖類を含み得る。エアロゾル発生基材は、セルロース繊維又は別の充填剤を更に含み得る。
【0015】
換言すれば、本発明は、エアロゾル発生デバイスで使用するためのエアロゾル発生物品に関し、エアロゾル発生基材を収容するキャビティを形成するラッパーを含み、ラッパーは、少なくとも50°Cの温度に加熱すると、第1の形状から第2の形状に変形されるように構成された変形可能な周縁部を含む。
【0016】
第1の形状では、変形可能な周縁部は、例えば、円形又は弓状であり得る。
【0017】
第2の形状では、変形可能な周縁部は、例えば、少なくとも部分的に直線状又は非円形、特に角張っていてもよい。
【0018】
変形可能な周縁部の材料は、50℃~200℃、好ましくは60℃~200℃の転移温度で形状記憶効果を有する形状記憶材料であり得る。
【0019】
提案される本発明は、加熱チャンバを含むエアロゾル発生デバイスを使用することを意図された方法の実施形態も提供する。
【0020】
この方法は、
- 加熱チャンバ内に導入される上記のようなエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に挿入することと、
- エアロゾル発生物品を、加熱チャンバ内において、エアロゾルを発生させるための加熱温度で加熱することと、
- エアロゾル発生物品をエアロゾル発生デバイスから取り外して、変形可能な周縁部が第2の形状に変形することを可能にすることと
を含むことを特徴とする。特に、エアロゾル発生物品の変形可能な周縁部の第2の形状は、エアロゾル発生物品をもはや加熱チャンバ内に挿入できないような形状である。
【0021】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、且つ添付の図面を参照して記述される以下の詳細な説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によるエアロゾル発生物品の実施形態の一例が挿入されたエアロゾル発生デバイスの実施形態の一例を概略的且つ機能的に示す。
図2】ベイピングセッション中に使用する前の、本発明によるエアロゾル発生物品の実施形態の一例を斜視図で概略的に示す。
図3】ベイピングセッション中の使用後及びエアロゾル発生デバイスからの取り外し後の図2のエアロゾル発生物品を斜視図で概略的に示す。
図4図3のエアロゾル発生物品の変形可能な周縁部を正面図で概略的に示す。
図5】ベイピングセッション中の使用後及びエアロゾル発生デバイスからの取り外し後の、星型断面形状を有する変形可能な周縁部を正面図で概略的に示す。
図6】本発明による方法を実装するアルゴリズムの一例を概略的且つ機能的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ユーザがベイピングセッションを行えるようにするため、エアロゾル発生デバイス1に挿入して使用することを目的としたエアロゾル発生物品2を提供することを目的とするが、使用され、エアロゾル発生デバイス1から取り外された後、このエアロゾル発生デバイス1に再挿入することはできない。
【0024】
以下の説明では、エアロゾル発生デバイス1は、電子タバコ(又はeシガレット若しくは個人気化器)である(又はそれを構成する)と考えられる。しかし、エアロゾル発生デバイス1は、固体の形態でエアロゾル発生物品に含まれるエアロゾル発生基材をエアロゾルに(場合により室温に近い温度で)変換できる限り、別のタイプであり得る。より一般的には、本発明は、エアロゾル発生物品に含まれる固体形態のエアロゾル発生基材を加熱するためのヒータを含む任意のタイプのTベイパー(又は非燃焼加熱(若しくはHnB))デバイスに関する。
【0025】
更に、以下の説明では、エアロゾル発生物品(又は消耗品)2がタバコスティックであると考えられる。従って、エアロゾル発生基材は、少なくともタバコ材料(場合により刻みタバコ)を含む。しかしながら、本発明は、この種のエアロゾル発生物品に限定はされない。
【0026】
「エアロゾル発生基材」は、空気中でエアロゾル化可能でエアロゾルを形成する固体材料を指すために使用されることを想起されたい。エアロゾル発生基材は、均質化されたタバコ材料を含み得る。これには、エアロゾル形成剤とニコチン、カンナビノイド、カフェインなどが含まれる場合がある。エアロゾル形成剤は、グリセリン及び/若しくはポリプロピレングリコールなどの多価アルコール又は水を含み得る。タバコ材料は、キャストシート、積層タバコ若しくはタバコ紙及び/又は香味料(例えば、メントール)であり得る。エアロゾル発生基材は、タバコカット充填剤、セルロースパルプなどの他の充填剤及び砂糖、デンプン、ガム、酸、セルロース誘導体などの他の成分を含み得る。
【0027】
「エアロゾル」という用語は、物質の懸濁液を固体粒子、液滴及び気体の1つ又は複数として含み得、そのような懸濁液は、空気を含む気体内にあり得ることも想起される。
【0028】
図1に示されるように、本発明によるエアロゾル発生物品2を使用することができるエアロゾル発生デバイス1は、コントローラ6によって制御されるエアロゾル発生ユニット3のケーシング内に画定される加熱チャンバ7を少なくとも含む。
【0029】
ケーシング(従ってその加熱チャンバ7)は、エアロゾル発生基材8を収容するラッパー4を含むエアロゾル発生物品2(ここではタバコスティック)を、場合により閉塞要素によってアクセスが制御される開口部9を通して受け入れるように配置される。従って、加熱チャンバ7の内部形状は、少なくとも加熱チャンバ7の長さに沿ってエアロゾル発生物品2の形状と類似しているか又は相補的である。例えば、この形状は、ロッド、プレート又は他にカードの形態であり得る。図1~3に示す非限定的な例では、エアロゾル発生物品2の形状(従って加熱チャンバ7の形状)は、シリンダーロッドの形状である。
【0030】
加熱チャンバ7は、空気と混合されたエアロゾル発生基材8を加熱(燃焼せずに)して、それをベイピングセッション中に連続的な吸引(又は「パフ」又は吸入段階)を通じてユーザが吸入できるエアロゾルに変化させるように配置される。
【0031】
図1の非限定的な例に示すように、ケーシング及びその加熱チャンバ7は、空気流路11の空気出口10と連通し、この空気流路11の少なくとも1つの空気入口12から生じる空気が供給される。これにより、エアロゾル発生基材8と空気との混合が可能となる。可能な実施形態では、空気入口12は、開口部9の拡大部として形成され得、加熱チャンバ7は、空気が加熱チャンバ7内のエアロゾル発生基材8の開口部から端部まで移動することを可能にする長手方向の溝を含み得る。
【0032】
この加熱は、電源15から生じる電気エネルギーを供給されるヒータ14により行われる。このヒータ14は、エアロゾル発生ユニット3に属し得る。
【0033】
図1に示される非限定的な例では、ヒータ14はケーシング及びその加熱チャンバ7を囲み、従って、エアロゾル発生物品2(より正確には、そのエアロゾル発生基材8)の一部を囲んで、これ(8)を加熱する。例えば、ヒータ14は、その側壁と内部容積の少なくとも一部とを加熱するために、(加熱チャンバ7の)ケーシングの外面の周りにラッピングされた薄膜ヒータであり得る。しかしながら、変形形態(図示せず)では、ヒータ14は、サセプタ又は抵抗性コイルヒータに関連付けられた、コイルであり得る。第1の代替案では、コイルは、電流が供給されると電磁場を生成するように配置され、サセプタは、この電磁場を熱に変換するように配置される。このサセプタは、エアロゾル発生基材8を取り囲むエアロゾル発生物品2のラッパー4の箔又はエアロゾル発生基材8の内部に位置する箔、ストリップ及び/若しくは粒子であり得る。実施形態の他の変形形態(図示せず)では、ヒータ14は、エアロゾル発生物品2の内部又は加熱チャンバ7の内部に配置することができる。
【0034】
例えば、ヒータ14は、50℃~350℃、好ましくは200℃~320℃のエアロゾル発生温度でエアロゾル発生基材8を加熱することができる。
【0035】
電源15は、エアロゾル発生デバイス1の本体16に収容される。図1に示す非限定的な例では、この本体16は、エアロゾル発生ユニット3も含む。
【0036】
また、例えば、電源15は、充電式電池であり得る。この場合、本体16は、充電式電池15の充電セッション中に充電器ケーブルが接続され得る電気コネクタを含み得る。
【0037】
ベイピングセッション中にヒータ14に供給される電気エネルギーは、コントローラ6によって制御される。コントローラ(又は制御ユニット)6は、ベイピングセッション中にエアロゾル発生ユニット3(及び特にそのヒータ14)を制御し、また起こり得る充電セッション中に電源15を制御するための動作を行うように配置された少なくともプロセッサ及びメモリを含み得る。
【0038】
例えば、プロセッサは、デジタル信号プロセッサ(即ちDSP)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり得る。より一般的には、プロセッサは、複数の集積(又はプリント)回路又は有線若しくは無線の接続を介してそれらの間に接続された幾つかの集積(又はプリント)回路を含み得る。「集積(又はプリント)回路」という用語は、ここでは、少なくとも1つの電気的な又は電子的な動作を実行することが可能な任意の種類の装置を指す。
【0039】
また、例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(即ちRAM)であり得る。しかしながら、メモリは、プロセッサのためのプログラム命令を記憶するように配置された任意の種類のデバイスであり得る。
【0040】
一般的に言えば、コントローラ(又は制御ユニット)6の機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を通して又は(ユーザによる)手動でも実行され得る。これらの機能は、専用ハードウェア及び適切なソフトウェアと連携してソフトウェアを実行可能なハードウェアの使用を通して提供され得る。
【0041】
図1の非限定的な例に示すように、コントローラ(又は制御ユニット)6(並びに特にそのプロセッサ及びメモリ)は、(ここでは本体16内に収納された)プリント回路基板(又はPCB)17上に固定され得る。
【0042】
コントローラ(又は制御ユニット)6は、そのプロセッサ及びメモリに加えて、入力インタフェース、大容量メモリ(特にその計算及び処理中に生成される中間データを記憶するためのもの)並びに少なくともエアロゾル発生ユニット3(特にそのヒータ14)と、(電源15に蓄えられた)電力をエアロゾル発生ユニット3に供給する電子部品(スイッチなど)とを制御するためのメッセージ及び命令を配信するための出力インタフェースを含むこともできる。
【0043】
また、図示されるように、エアロゾル発生物品2は、エアロゾル発生物品2の吸い口端にフィルタ13を含むことができ、その少なくとも一部がエアロゾル発生物品2のマウスピースを形成する。フィルタ13は、いくつかのフィルタセグメント(例えば、プレーン酢酸セルロース繊維セグメント及び/又は中心穴セグメント)と、場合により1つ又は2つのフィルタセグメントに隣接し、紙製ラッパーで形成されたキャビティとを含み得る。エアロゾル発生物品2は、エアロゾル発生基材8とフィルタ13との間に配置された冷却又はスペーサ要素も更に含み得る。冷却又はスペーサ要素は、紙若しくはポリマーで形成された中空の管状要素であり得るか、又は冷却材料、好ましくは繊維材料及び/若しくはひだ付きポリ乳酸シートなどのシートが充填されたキャビティ(例えば、巻かれた紙管)であり得る。エアロゾル発生基材8、フィルタ13及びスペーサ又は冷却要素は、典型的には、紙製ラッパーと組み合わされる。
【0044】
本発明によれば、エアロゾル発生物品2のラッパー4は、エアロゾル発生中に加熱チャンバ7内に挿入され、加熱温度で加熱されて、それに続いて加熱温度よりも低い温度まで冷却された後、第1の形状(図1及び図2に示す)から第2の形状(図3及び図4に示す)に変形するように構成された変形可能な周縁部5を含む。
【0045】
加熱チャンバ7内で加熱されると、変形可能な周縁部5はその第1の形状を変化させようとするが、加熱チャンバ7の形状がそれを所定の位置に保持するため、そのような変化は起こらないことに留意することが重要である。しかし、エアロゾル発生物品2が加熱チャンバ7から取り外されると、その変形可能な周縁部5の第1の形状は、変形可能な周縁部5を構成する材料の特性(場合により形状記憶特性)によって許容される第2の形状に変化することができる。従って、変形可能な周縁部5によって取られる第2の形状は、エアロゾル発生物品2が加熱チャンバ7に再挿入されることを防止する。冷却後、第2の形状が維持される。
【0046】
例えば、変形可能な周縁部5は、ラッパー4に貼り付けられるか又はラッパー4に埋め込まれ得る。
【0047】
また、例えば、ラッパー4は、紙又は紙とアルミニウムとの積層物で作られ得る。
【0048】
また、例えば、図1及び図2の非限定的な例では、変形可能な周縁部5の第1の形状は、円形である。しかし、それは、例えば、長方形又は正方形であり得る。また、例えば、図3及び図4の非限定的な例では、変形可能な周縁部5の第2の形状(使用後)は楕円形である。しかし、それは、例えば、円形又はほぼ長方形であり得る。より一般的には、第2の形状は、加熱チャンバ7の内部形状又は断面内に適合しないように画定される。特に、第2の形状は、非円形であることが好ましい。例えば、第2の形状は、丸い又は湾曲した第1の形状と比較して角度があるか、溝があるか又は波形であり得る。例えば、第2の形状は、実質的に星形又は多角形の断面形状を有し得る。星形の断面形状の例を図5に示す。
【0049】
実施形態の第1の例では、変形可能な周縁部5は、所定の周囲温度を超える転移温度で形状記憶効果を有する形状記憶材料を含み得る。換言すれば、温度が転移温度よりも高くなると、形状記憶材料の形状記憶効果によりその形状変化が生じ、この形状変化は加熱チャンバ7の外部で冷却された後も安定に維持される。加熱チャンバ7は、特に加熱チャンバ7の表面が変形可能な周縁部5に密に適合するか、又は更に変形可能な周縁部5を圧縮する場合、変形可能な周縁部5の形状の変化を抑制するか、又は変形可能な周縁部5の変形若しくは形状の変化を防止することができる。エアロゾル発生物品2が加熱チャンバ7から取り外されると、形状記憶材料合金は、材料が形状記憶材料の転移温度を超える温度に達した結果として、例えば膨張、弛緩、曲げ、伸張などによって第2の形状をとることが可能になる。隙間が存在する可能性があるため、加熱チャンバ7内において又は取り外し中、変形可能な周縁部5の形状が変化し始めることがあり得る。しかしながら、エアロゾル発生物品2がエアロゾル発生デバイス1内に詰まることを防ぐために、そのような変形は、最小限に留めるべきである。
【0050】
例えば、所定の周囲温度は、通常、25°Cに等しくてもよい。
【0051】
また、例えば、材料は、50℃~200℃、好ましくは60℃~200℃の転移温度で形状記憶効果を有する形状記憶材料であり得る。
【0052】
一例として、形状記憶材料は、少なくとも1つの金属を含み得る。例えば、それは、Ni-Ti、Fe-Mn-Si、Cu-Zn-Al及びCu-Al-Ni合金など、鉄系及び銅系の形状記憶合金(又はSMA)などの合金であり得る。特に、材料は、それぞれの比率が45%、50%及び5%に等しいNi-Ti-Cuであり得る。
【0053】
図2及び図3の非限定的な例に示されるように、形状記憶材料はシートの形態で配置され得る。この場合、シートは、例えば、平坦な構成であり得るか、又は管状の構成であり得る。
【0054】
しかし、実施形態の変形形態では、形状記憶材料は、少なくとも1つのワイヤ又はシートと少なくとも1つのワイヤの組み合わせの形態で配置され得る。シート又はワイヤは、エアロゾル発生物品2の周囲の少なくとも一部、好ましくはその周囲の少なくとも70%、最も好ましくは100%にわたって延在するように配置することができる。
【0055】
実施形態の第2の例では、変形可能な周縁部5はバイメタル要素を含み得る。バイメタル材料は、通常、周縁部を構成する2つの金属の熱膨張及び温度係数特性の違いに起因して加熱によって変形する。例えば、バイメタル材料は、銅、鋼、鉄、真鍮のいずれか2つで構成され得る。好ましくは、バイメタル材料は、鋼及び銅又は鋼及び真鍮であり得る。
【0056】
この実施形態第2の例において、変形可能な周縁部5は、平坦な又は管状の構成を有するシートの形態で配置され得る。
【0057】
また、図1図3の非限定的な例に示すように、変形可能な周縁部5は、ラッパー4の軸方向長さの一部に沿って延在し得る。例えば、図示されるように、変形可能な周縁部5は、可能なフィルタ13とは反対側のラッパー4の端部から延在することができる。しかし、実施形態の変形形態では、変形可能な周縁部5は、エアロゾル発生基材8の対向する端部の間でラッパー4の軸方向長さの一部に沿って延在することもできる。
【0058】
本発明は、エアロゾル発生デバイス1の使用を目的とした方法としても考えることができる。
【0059】
図5のアルゴリズムの非限定的な例に示されるように、この方法は、エアロゾル発生物品2が少なくとも部分的に加熱チャンバ7内に挿入されるステップ100を含む。この方法は、挿入されたエアロゾル発生物品2を、エアロゾルを発生させるための加熱温度で(ヒータ14によって)加熱するステップ110を更に含む。この方法は、エアロゾル発生物品2をエアロゾル発生デバイス1から取り外して、変形可能な周縁部5を第2の形状に変形させることを可能とするステップ120を更に含む。
【0060】
図1図5のいくつかのブロック図は、本明細書において本発明の原理を具現化する例示的要素又は回路の概念図を表すことが当業者によって理解されるべきである。
【0061】
説明及び図面は、単に本発明の原理を説明するのみである。従って、本明細書に明示的に説明又は図示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を当業者が考案できることを理解されたい。更に、本明細書に列挙されたすべての例は、主に、本発明の原理と、当技術分野を促進するために本発明者が寄与する概念とを読者が理解することを補助する単なる教育的目的のためのものであるように明示的に意図され、そのような具体的に列挙された例及び条件への限定なしに解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様及び実施形態を列挙する本明細書のすべての記載並びにそれらの具体例は、その均等物を包含するように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】