(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】スマートプレートセンサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240816BHJP
A61B 17/80 20060101ALI20240816BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20240816BHJP
G16H 50/20 20180101ALN20240816BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B17/80
A61B5/00 G
A61B5/01
G16H50/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502098
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 IB2022055549
(87)【国際公開番号】W WO2023285890
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】524234477
【氏名又は名称】スティヒティング・アイエムイーシー・ネーデルランド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルザー・ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ブ・ビン
(72)【発明者】
【氏名】シャーリアリ・ナビド
(72)【発明者】
【氏名】シェイキ・エルファン
(72)【発明者】
【氏名】リー・スルギ
(72)【発明者】
【氏名】フィッチマン・マーク
【テーマコード(参考)】
4C117
4C160
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB04
4C117XC21
4C117XD33
4C117XE20
4C117XE23
4C117XE27
4C117XE60
4C117XE64
4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ46
4C117XJ47
4C117XJ52
4C117XL01
4C117XN02
4C160LL32
5L099AA04
(57)【要約】
患者監視システムであって、骨に定着させるように構成された骨プレートと、骨プレート上の複数のセンサであって、複数のセンサは、パラメータを測定し、測定されたパラメータ値を通信するデータ信号を送信するように構成されており、複数のセンサからの送信されたデータ信号は、時分割多重化される、複数のセンサと、外部無線リーダと、を含み、外部無線リーダは、アンテナと、プロセッサと、無線通信ラジオと、を含み、外部無線リーダは、変調されたRF信号を送信し、かつ複数のセンサから時分割多重化された送信されたデータ信号を受信するように構成されている、患者監視システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者監視システムであって、
骨に定着させるように構成された骨プレートと、
前記骨プレート上の複数のセンサであって、前記複数のセンサは、
パラメータを測定し、
測定されたパラメータ値を通信するデータ信号を送信するように構成されており、
前記複数のセンサからの送信された前記データ信号は、時分割多重化される、複数のセンサと、
外部無線リーダと、を備え、前記外部無線リーダは、アンテナと、プロセッサと、無線通信ラジオと、を含み、前記外部無線リーダは、
変調されたRF信号を送信し、かつ
前記複数のセンサから、時分割多重化された前記送信されたデータ信号を受信するように構成されている、患者監視システム。
【請求項2】
前記複数のセンサは、前記複数のセンサに電力供給するために、前記変調されたRF信号からエネルギーを捕捉する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項3】
前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、
前記複数のセンサは、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち下がりエッジが検出されたときに前記パラメータを測定するように構成されている、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項4】
前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、
前記複数のセンサは、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち上がりエッジが検出されたときに前記データ信号を送信するように構成されている、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項5】
前記複数のセンサは、負荷、温度、及び位置のうちの1つを測定する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項6】
前記複数のセンサは、
アンテナと、
前記センサを制御するように構成されたコントローラと、
前記データ信号を作り出すように構成された変調器と、を更に備える、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項7】
前記複数のセンサは、
前記変調されたRF信号を整流するように構成された整流器と、
前記整流器からのエネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵装置と、を更に備える、請求項6に記載の患者監視システム。
【請求項8】
前記複数のセンサは、受信された前記変調されたRF信号に基づいて、電圧を測定し、測定された電圧値を前記外部無線リーダに送信し、
前記外部無線リーダは、
前記複数のセンサから前記測定された電圧値を受信し、
受信された前記電圧値をセンサ電圧プロファイルと比較し、かつ
前記複数のセンサと前記外部無線リーダとの間の位置合わせを改善するために前記外部無線リーダを移動させることに関する命令を生成するように構成されている、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項9】
前記外部無線リーダは、前記外部無線リーダを移動させることに関する前記命令をディスプレイ上に表示するように構成されている、請求項8に記載の患者監視システム。
【請求項10】
前記複数のセンサは、温度を測定するように構成されており、
前記リーダは、温度測定値に基づいて、炎症又は感染の存在を検出するように構成されている、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項11】
前記複数のセンサは、前記変調されたRF信号から電力を捕捉するように構成された共振器回路を含み、
前記共振器回路のパラメータは、無線電力伝達に関連付けられた所望の共振周波数を達成するために、前記複数のセンサと前記骨プレートとの間の距離に基づく、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項12】
前記複数のセンサと前記骨プレートとの間の距離は、前記複数のセンサと前記骨プレートとの間の電気絶縁層によって設定されている、請求項11に記載の患者監視システム。
【請求項13】
複数のセンサを有する骨プレートを監視するための方法であって、
前記複数のセンサによって、パラメータを測定することと、
前記複数のセンサによって、測定されたパラメータ値を通信するデータ信号を送信することであって、前記複数のセンサからの送信された前記データ信号は、時分割多重化される、送信することと、
リーダによって、変調されたRF信号を送信することと、
前記リーダによって、前記複数のセンサから時分割多重化された前記送信されたデータ信号を受信することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記複数のセンサに電力供給するために、前記複数のセンサから、前記変調されたRF信号からエネルギーを捕捉することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち下がりエッジが検出されたときに、前記複数のセンサによって、前記パラメータを測定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち上がりエッジが検出されたときに、前記複数のセンサによって、前記データ信号を送信することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のセンサは、負荷、温度、及び位置のうちの1つを測定する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のセンサによって、受信された前記変調されたRF信号に基づいて、電圧を測定することと、
前記複数のセンサによって、測定された電圧値を前記外部無線リーダに送信することと、
前記リーダによって、前記複数のセンサから前記測定された電圧値を受信することと、
前記リーダによって、受信された電圧値をセンサ電圧プロファイルと比較することと、
前記リーダによって、前記複数のセンサと前記外部無線リーダとの間の位置合わせを改善するために前記外部無線リーダを移動させることに関する命令を生成することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記リーダによって、前記外部無線リーダを移動させることに関する前記命令をディスプレイ上に表示することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のセンサによって、温度を測定することと、
前記リーダによって、温度測定値に基づいて、炎症又は感染の存在を検出することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される様々な例示的実施形態は、概して、複数のセンサからの同時読み出しを含むスマートプレートセンサに関する。更に、スマートなプレイスセンサは、炎症及び感染検出のために使用され得る。また、スマートプレートは、センサをセンサ用のリーダと位置合わせする能力を有し得、金属プレートに隣接するセンサを読み取ることができる場合がある。
【背景技術】
【0002】
従来の骨固定システムは、少なくとも骨間隙によって分離された一対の骨セグメントを含む下層の骨に取り付けるように構成されたねじなどの固定部材を受容するねじ穴を有する骨プレートを含む。骨間隙は、外傷事象、骨切り術によって生じた欠損であり得るか、あるいは関節固定術において接合されるべき2つの別個の骨の関節のデブリドマンの結果であり得る。したがって、骨プレートは、骨セグメントの結合(例えば、骨折部の治癒又は関節の骨化)を促進するために、骨ねじを介して骨間隙の両側で骨に固着され得る。骨固定システムは、恒久的なプレート固定の前に骨セグメントの適切な長さ、回転、及び位置合わせを決定するために、骨固定プレートのアパーチャ及び下層の骨セグメントに一時的に挿入される一時的なキルシュナーワイヤ(Kワイヤ)を更に含み得る。骨固定プレートが適切に位置決めされると、恒久的な骨ねじが、骨間隙の両側の1つ又は2つ以上の骨ねじ穴に挿入され、下層の骨に固着され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な例示的実施形態の概要が、以下に提示される。以下の概要では、いくつかの単純化及び省略が行われることがあり、これらは、様々な例示的実施形態のいくつかの態様を強調及び紹介するためであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。当業者が本発明の概念を作り上げ、使用することができるようにするのに適切な例示的実施形態に関する詳細な説明が、この後の各項に続く。
【0004】
様々な実施形態は、患者監視システムであって、骨に定着させるように構成された骨プレートと、骨プレート上の複数のセンサであって、複数のセンサは、パラメータを測定し、測定されたパラメータ値を通信するデータ信号を送信するように構成されており、複数のセンサからの送信されたデータ信号は、時分割多重化される、複数のセンサと、外部無線リーダと、を含み、外部無線リーダは、アンテナと、プロセッサと、無線通信ラジオと、を含み、外部無線リーダは、変調されたRF信号を送信し、かつ複数のセンサから時分割多重化された送信されたデータ信号を受信するように構成されている、患者監視システムに関する。
【0005】
複数のセンサは、複数のセンサに電力供給するために、変調されたRF信号からエネルギーを捕捉する、様々な実施形態が記載される。
【0006】
変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、複数のセンサは、変調されたRF信号のオン時間の立ち下がりエッジが検出されたときにパラメータを測定するように構成されている、様々な実施形態が記載される。
【0007】
変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、複数のセンサは、変調されたRF信号のオン時間の立ち上がりエッジが検出されたときにデータ信号を送信するように構成されている、様々な実施形態が記載される。
【0008】
複数のセンサは、負荷、温度、及び位置のうちの1つを測定する、様々な実施形態が記載される。
【0009】
複数のセンサは、アンテナと、センサを制御するように構成されたコントローラと、データ信号を作り出すように構成された変調器と、を更に含む、様々な実施形態が記載される。
【0010】
複数のセンサは、変調されたRF信号を整流するように構成された整流器と、整流器からのエネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵装置と、を更に含む、様々な実施形態が記載される。
【0011】
複数のセンサは、受信された変調されたRF信号に基づいて、電圧を測定し、測定された電圧値を外部無線リーダに送信し、外部無線リーダは、複数のセンサから測定された電圧値を受信し、受信された電圧値をセンサ電圧プロファイルと比較し、かつ複数のセンサと外部無線リーダとの間の位置合わせを改善するために外部無線リーダを移動させることに関する命令を生成することと、複数のセンサと外部無線リーダとの間の位置合わせを改善するために外部無線リーダを移動させることに関する命令を生成するように構成されている、様々な実施形態が記載される。
【0012】
外部無線リーダは、外部無線リーダを移動させることに関する命令をディスプレイ上に表示するように構成されている、様々な実施形態が記載される。
【0013】
複数のセンサは、温度を測定するように構成されており、リーダは、温度測定値に基づいて、炎症又は感染の存在を検出するように構成されている、様々な実施形態が記載される。
【0014】
複数のセンサは、変調されたRF信号から電力を捕捉するように構成された共振器回路を含み、共振器回路のパラメータは、無線電力伝達に関連付けられた所望の共振周波数を達成するために、複数のセンサと骨プレートとの間の距離に基づく、様々な実施形態が記載される。
【0015】
複数のセンサと骨プレートとの間の距離は、複数のセンサと骨プレートとの間の電気絶縁層によって設定されている、様々な実施形態が記載される。
【0016】
更なる様々な実施形態は、複数のセンサを有する骨プレートを監視するための方法であって、複数のセンサによって、パラメータを測定することと、複数のセンサによって、測定されたパラメータ値を通信するデータ信号を送信することであって、複数のセンサからの送信されたデータ信号は、時分割多重化される、送信することと、リーダによって、変調されたRF信号を送信することと、リーダによって、複数のセンサから時分割多重化された送信されたデータ信号を受信することと、を含む、方法に関する。
【0017】
複数のセンサに電力供給するために、複数のセンサから、変調されたRF信号からエネルギーを捕捉することを更に含む、様々な実施形態が記載される。
【0018】
変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、変調されたRF信号のオン時間の立ち下がりエッジが検出されたときに、複数のセンサによって、パラメータを測定することを更に含む、様々な実施形態が記載される。
【0019】
変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、変調されたRF信号のオン時間の立ち上がりエッジが検出されたときに、複数のセンサによって、データ信号を送信することを更に含む、様々な実施形態が記載される。
【0020】
複数のセンサは、負荷、温度、及び位置のうちの1つを測定する、様々な実施形態が記載される。
【0021】
複数のセンサによって、受信された変調されたRF信号に基づいて、電圧を測定することと、複数のセンサによって、測定された電圧値を外部無線リーダに送信することと、リーダによって、複数のセンサから測定された電圧値を受信することと、リーダによって、受信された電圧値をセンサ電圧プロファイルと比較することと、リーダによって、複数のセンサと外部無線リーダとの間の位置合わせを改善するために外部無線リーダを移動させることに関する命令を生成することと、を更に含む、様々な実施形態が記載される。
【0022】
リーダによって、外部無線リーダを移動させることに関する命令をディスプレイ上に表示することを更に含む、様々な実施形態が記載される。
【0023】
複数のセンサによって、温度を測定することと、リーダによって、温度測定値に基づいて、炎症又は感染の存在を検出することと、を更に含む、様々な実施形態が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
様々な例示的実施形態をより良く理解するために、添付図面を参照する。
【
図1】骨折の治癒を監視するためのシステムの概略図である。
【
図2】骨折した骨を外科的に修復するための埋め込み可能なスマート固定デバイスの概略図である。
【
図3】埋め込み可能なスマート固定デバイスと無線でインターフェース接続するための外部無線リーダの概略側面斜視図である。
【
図4】体外アンテナを介して埋め込み可能なスマート固定デバイスと無線通信するポータブルコンピューティングデバイスの概略図である。
【
図5】測定中に、
図3及び
図4に示されるようなポータブルコンピューティングデバイスを介して患者に表示され得るユーザインターフェース表示画面の進行の概略図である。
【
図6】n個のセンサからデータを読み取るリーダを示す。
【
図7】センサのブロック図とともに、
図6に示されるようなリーダ及びセンサを示す。
【
図8】センサに問い合わせるためにリーダによって送信されるRF信号と、リーダへのセンサのデータ返送のタイミングとを示す。
【
図9】リーダをセンサと位置合わせする方法を示す。
【
図10】骨プレートから距離Dにあるセンサを示す。
【0025】
理解を容易にするため、同一の参照番号が、実質的に同一若しくは類似の構造、及び/又は実質的に同一若しくは類似の機能を有する構成要素を示すために使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本説明及び図面は、本発明の原理を例示する。このため、当業者は、本明細書には明示的に説明又は提示されていないが、本発明の原理を具体化し、本発明の範囲内に包含される様々な構成を考案することが可能であることを理解されたい。更に、本明細書中に示される全ての実施例は、本発明の原理、及び本技術を推し進めるために本発明者(複数可)によって寄与された概念を理解する際に読者を支援する教育的目的であることが主に明白に意図されており、このような詳細に示された実施例や条件に限定されないものとして解釈されるべきである。追加的に、用語「又は」は、本明細書中で使用される場合、特段の指示(例えば、「又は他方」あるいは「又は代替的に」)がなければ、非排他的論理和(すなわち、及び/又は)を指す。また、いくつかの実施形態を、1つ又は2つ以上の他の実施形態と組み合わせて新しい実施形態を形成することができるため、本明細書で説明する様々な実施形態は、必ずしも相互に排他的ではない。
【0027】
図面を参照すると、様々な図において同様の又は同一の構成要素を識別するために同様の参照番号が使用されており、
図1は、骨プレート12及び骨ねじ14などの複数の恒久固定部材(
図2により良く示されている)を用いて内的に固定された骨折部又は他の骨関節の治癒/骨化を遠隔で監視するためのシステム10を概略的に示している。概して、本システム10は、無線通信ネットワーク28を介して1つ又は2つ以上の患者監視システム26から患者データ24を受信するように動作するデータサーバ20及び/又はクラウドコンピューティングシステム22を含む。データサーバ20/クラウドコンピューティングシステム22は、受信した患者データ24を関連付けられた不揮発性メモリ/データベース30に記憶することができ、また、このデータを、ホストされる医師インターフェース34を介して医療専門家32に視覚的に提示することができる。患者監視システム26は、治癒プロセスの継続時間全体を通して、骨折部にまたがる骨プレート12によって担持される負荷の量を周期的に監視するように構成されてもよい。この負荷測定値は、骨折部から離れた骨プレート12によって担持される負荷に対して正規化されてもよく、また患者監視システム26からデータサーバ20に周期的に送信されてもよく、このデータサーバ20において、骨折部の治癒の傾向を強調するために他の患者データ24とともに集約されてもよい。
【0028】
引き続き
図1を参照すると、データサーバ20は、バルクデータ処理及びデータ視覚化タスクを扱うことができる1つ又は2つ以上の高速サーバコンピュータ又はメインフレームコンピューティングデバイスとして実装され得る。一方、クラウドコンピューティングシステム22は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)、WoT(Web of Things、モノのウェブ)、及び/又はM2M(machine-to-machine、マシーンツーマシーン)サービスのためのミドルウェアとして動作して、異種の電子デバイスの組み合わせを、データネットワークを介してサービス指向アーキテクチャ(service-oriented architecture、SOA)と接続してもよい。一例として、クラウドコンピューティングシステム22は、ミドルウェアノードとして実装されて、異種デバイスを動的にオンボーディングし、これらのデバイスの各々からのデータを多重化し、処理及び1つ又は2つ以上の宛先アプリケーションへの送信のために再構成可能な処理ロジックを介してデータをルーティングするための異なる機能が提供され得る。無線通信ネットワーク28は、パブリック分散コンピューティングネットワーク(例えば、インターネット)とセキュアプライベートネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、仮想プライベートネットワーク)との組み合わせを含む、任意の利用可能なタイプのネットワークであり得る。それはまた、無線送信システム及び有線送信システム(例えば、衛星、セルラーネットワーク、地上波ネットワークなど)を含み得る。全てではないがほとんどのデータトランザクション機能は、例えば、4G、5G、LTE、LPWAN、LTE-M、CAT-M1、又はNB-IoTプロトコルに従って動作する無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)又はセルラーデータネットワークなど、例えば無線ネットワークを介して行われ得る。
【0029】
図1に更に示されるように、患者監視システム26は、概して、埋め込み可能なスマート固定デバイス40と、スマート固定デバイス40とインターフェース接続するための外部(体外)無線リーダ42と、を含む。外部無線リーダ42は、例えば、RFID又はNFCなどの無線周波数(radio frequency、RF)データ通信手段を介して、患者の皮膚を通してスマート固定デバイス40からデータを無線で受信するように構成される。少なくともいくつかの実施形態では、外部無線リーダ42は、電源をスマート固定デバイス40に無線で提供するように更に構成されてもよく、これにより、固定デバイス40が、動作するために内部バッテリを必要としないことを可能にし得る。
【0030】
図2を参照すると、埋め込み可能なスマート固定デバイス40は、骨ねじ14などの複数の恒久固定部材を使用して骨折部50の対向する側部にまたがって、それらに定着されるように構成された剛性骨プレート12を含み得る。断片に対する骨プレートの位置は、骨折の場所、骨プレートの幾何学的形状、及び修復される特定の骨に応じて変化する。骨プレート12は、限定するものではないが、金属(例えばチタン合金)又はポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)などのポリマーなどの任意の好適な埋め込み可能な材料から形成され得る。本開示は、概して、骨プレート形式の固定デバイスに関連して遠隔監視技術の使用を議論するものであるが、本技術はまた、埋め込み可能なロッド、椎弓根ねじ、椎間インプラントなどの他の剛性固定部材とともに利用されてもよい。
【0031】
スマート固定デバイス40は、概して、骨折部50においてプレートによって担持される負荷を感知するように動作する、少なくとも1つの一次負荷センサ52を含んでもよい。骨折部が治癒/骨化するにつれて、骨折部50においてプレート12によって担持される負荷の量は減少するはずである(すなわち、治癒中の骨の負荷担持能力はそれに応じて増大する)。多くの実施形態において、スマート固定デバイスは、骨折部から離間されている位置においてプレート12によって担持される負荷を感知するように動作する、少なくとも1つの基準負荷センサ54を更に含んでもよい。基準負荷センサ54は、概して、健康な骨又は骨折していない骨に隣接するプレート12によって担持される負荷の量に対するベースラインとして機能し得る。
【0032】
一構成では、各負荷センサ52、54は、その位置でゲージ/プレートが受ける歪みの量に応じて確立された様式で変化する電気特性を有する1つ又は2つ以上の歪みゲージ60を含んでもよい。適切な歪みゲージの例としては、抵抗歪みゲージ、容量歪みゲージ、圧電材料、電気活性ポリマー材料などが挙げられる。各歪みゲージ60は、ゲージがプレートのいかなる曲げ又は撓みをも受けるように、プレート12と確実に強固に接触して保持されてもよい。十分に確立されているように、歪みと負荷は正比例し、したがって、歪みを測定することは、プレートによって担持される負荷を監視する1つの方法である。
【0033】
引き続き
図2を参照すると、スマート固定デバイス40は、各歪みゲージ60と電気的に結合された通信回路62と、通信回路62と通信するアンテナ64と、を更に含む。通信回路62は、歪みゲージ60から測定値を受信し、無線送信に好適な形態でアンテナ64にその測定値を提供するように構成されている。通信回路62は、歪みゲージ60から測定値を受信し、その測定値を無線送信するための準備をする、無線送信機又はトランスポンダーを含み得る。例えば、通信回路62は、(限定するものではないが)(i)測定値を記憶するように構成されたメモリ、(ii)測定値をアナログフォーマットに変換するように構成されたデジタル-アナログ変換器、(iii)測定値を変調するように構成された高周波(RF)変調器、(iv)測定値を符号化するように構成されたエラー訂正エンコーダ、のうちの1つ又は2つ以上のような処理構成要素、及びシステムによって採用される無線技術と整合性のあるその他の処理を含み得る。
【0034】
一例において、通信回路62は、受動的無線周波数識別情報(radio-frequency identification、RFID)トランスポンダーとして構成され得る。あるいは、通信回路62は、(限定するものではないが)バッテリ支援受動RFID、能動RFID、Bluetooth、及びWi-Fiなどの、皮膚を通じて通信するのに好適な任意のその他の無線通信技術を使用して構成され得る。通信回路62は、各負荷センサを他のセンサと区別するために使用され得る一意の識別子(identifier、ID)を更に含み得る。一実施例において、一意のIDは、RFIDタグのIDであり得る。アンテナ64は、通信回路62からの測定値に対応する電気信号を電波に変換して、患者の皮膚を通じて測定値を患者の身体の外側に位置する外部無線リーダ42に無線で送信するように構成されている。
【0035】
図2に更に示されるように、スマート固定デバイス40は、歪みゲージ60及び通信回路62に電力を供給するように構成された電源デバイス66を含むことができる。少なくともいくつかの実施例では、電源デバイス66は、スマート固定デバイス40とは別個の好適なエネルギー源からエネルギーを捕捉するように構成されたエネルギーハーベスティングデバイスを含み得る。例えば、エネルギー源は、外部無線リーダ42から通信される電波であってもよい。あるいは、電源デバイス66は、患者の身体自体から、又は患者の身体の外部の供給源などの別の外部源からエネルギーを捕捉することができる。より大まかに言えば、エネルギー源は、(限定するものではないが)感知される運動エネルギー、電界、磁界などを含み得る。しかしながら、好ましい実施形態では、電源デバイス40は、典型的な電気化学バッテリを含まない。
【0036】
一構成では、各負荷センサ52、54は、それぞれの負荷センサに対してローカルである、それ自体の専用の通信回路62、アンテナ64、及び/又は電源デバイス66を(すなわち、統合パッケージとして)有し得る。この構成では、一次負荷センサ52は、一次負荷センサ52によって監視される歪みの量(すなわち、一次歪み値)を指示する第1の無線信号を送信し得るが、基準負荷センサ54はそれと同時に、基準負荷センサ54によって監視される歪みの量(すなわち、基準歪み値)を指示する第2の無線信号を送信し得る。他の実施形態では、スマート固定デバイス40は、デバイス40全体にわたって共有され得る共通の通信回路62、アンテナ64、及び/又は電源デバイス66を有し得る(すなわち、各負荷センサ52、54は、共有される通信回路62、アンテナ64、及び/又は電源デバイス66と電気通信する)。スマート固定デバイス40の更なる実施形態及び開示は、米国特許出願公開第2019/0038214号に提供されており、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
上述のように、外部無線リーダ42は、患者の皮膚を通してスマート固定デバイス40からデータを無線で受信するように構成される。これらの通信を容易にするために、
図3に概して示されるように、外部無線リーダ42は、概して、ポータブルコンピューティングデバイス72と通信する無線周波数識別情報(RFID)アンテナなどの1つ又は2つ以上のアンテナ70を含む。アンテナ70は、患者の身体又は衣服の外部表面に直接取り付けられるように構成されてもよい。この取り付けは、1つ又は2つ以上のストラップ73、ハーネス、ブレース、接着パッチ、弾性スリーブ、カフなどの使用によって容易にされ得る。特定の一実施形態では、アンテナ70は、ユーザの身体に輪郭を合わせるのに特に適し得る、柔軟なファブリックキャリア74内に提供され得る。アンテナ70は、概して、骨プレート12に平行に延在するように適合された長さと、骨プレート12を横断して、かつ/又は骨プレート12の周囲に円周方向に延在するように適合された幅と、を有するループ状コイルを含み得る。その長さは、アンテナが通信し得るプレートの量を制御し得るが、その幅は、信頼できる信号をアンテナが受信する組織の深さに影響を及ぼし得る。一構成では、アンテナ70の長さは、一次負荷センサ52と基準負荷センサ54との間の距離よりも長い。別の構成では、アンテナ70の長さは、一次負荷センサ52と基準負荷センサ54との間の距離よりも、少なくとも10%長い。一実施形態では、アンテナ70は、約20cm~約50cm、又は約25cm~約40cmの長さを有し得る。同様に、アンテナ70は、約12cm~約20cm、又は約14cm~約17cmの幅を有し得る。
【0038】
図4に示されるように、ポータブルコンピューティングデバイス72は、アンテナ70と通信する短距離通信回路76及び/又は電力送信回路78を含み得る。短距離通信回路76は、アンテナ70を介してスマート固定デバイス40からデジタル情報を受信するように動作し得る。いくつかの実施形態では、短距離通信回路76は、RFID送受信機又は近距離無線通信(Near Field Communications、NFC)トランシーバなどのデジタルレシーバ又はトランシーバを含み得る。一構成では、アンテナ70は、例えば、異なるデータ送信周波数を使用することによって、あるいは歪みデータとともに提供される異なるデジタル識別子を使用することによって、各負荷センサ52、54と同時に動作可能に通信してもよい。電力送信回路78は、スマート固定デバイス40に誘導的に給電するためにアンテナ70を介して電磁力(すなわち、交番磁界)を供給するように動作する誘導充電回路を含み得る。
【0039】
引き続き
図4を参照すると、ポータブルコンピューティングデバイス72(
図3参照)は、プロセッサ80と、無線通信ラジオ82と、ユーザインターフェース84と、を更に含み得る。無線通信ラジオ82は、無線通信ネットワーク28と通信し、かつ無線通信ネットワーク28を介して通信するように動作し得るものであり、BLUETOOTH若しくはBLUETOOTH低エネルギーチップセット、超広帯域無線通信(ultrawideband、UWB)、IEEE 802.11による通信プロトコルを使用してデジタル通信するように動作するWi-Fiラジオ、又は4G、5G、LTE、LPWAN、LTE-M、CAT-M1、NB-IoTプロトコルなどに従って通信するように動作するセルラーラジオを含み得る。いくつかの実施形態では、ポータブルコンピューティングデバイス72は、セルラーネットワークを介した通信を容易にするために、加入者識別モジュール(subscriber identity module、SIM)カードを更に含み得る。
【0040】
プロセッサ80は、1つ又は複数のデジタルコンピュータ、データ処理装置、及び/又は1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ若しくは中央処理装置(central processing unit、CPU)を有し得るデジタル信号処理装置(digital signal processor、DSP)、読出し専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(electrically-erasable programmable read only memory、EEPROM)、高速クロック、アナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)回路、デジタル-アナログ(digital-to-analog、D/A)回路、入出力(input/output、I/O)回路、及び/又は信号調整及びバッファリング電子機器のうちの1つとして具体化され得る。プロセッサ80は、プロセッサ80によってアクセス可能な不揮発性メモリに記憶されたソフトウェア又はファームウェアコードの実行を通じて1つ又は2つ以上の電子機能を実行又は実施するように構成される。例えば、プロセッサ80は、スマート固定デバイス40から1つ又は2つ以上の歪み値を読み取るコード、平均の又はフィルタリングされた代表的な歪み値を選択するコード、ユーザインターフェース84を介してユーザと通信するコード、並びに/又は無線通信ラジオ82を介して無線通信ネットワーク28上で通信するコードを実行することが可能であり得る。ユーザインターフェース(84)は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ若しくは中央処理装置(CPU)を有し得る,データ処理装置、及び/若しくはデジタル信号処理装置(DSP)、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)、高速クロック、アナログ-デジタル(A/D)回路、デジタル-アナログ(D/A)回路、入出力(input/output、I/O)回路、並びに/又は信号調整及びバッファリング電子機器を含み得る。
【0041】
ポータブルコンピューティングデバイス72は、有線通信リンクか又は無線通信リンクのいずれかを使用してアンテナ70と通信し得る。
図3に概して示されるような一構成では、ポータブルコンピューティングデバイス72は、有線テザー(図示せず)の使用を通してアンテナ70に電気的に結合され得る。そのような設計は、単一の電源のみに依存する自蔵式診断装置を提供するという利点を有し得る。より具体的には、有線テザーが存在しない場合、アンテナ70は、センサとポータブルコンピューティングデバイス72の両方との通信を可能にし/それらに電力供給するために第1の電源を必要とし、一方、ポータブルコンピューティングデバイス72は、第2の電源を必要とする。2つの要素を結合することは、消費者が2つの別個のデバイス上で十分なバッテリレベルを維持する必要性を低減し、それと同時にデバイスの複雑さ及び全体的なサイズも低減する。有線テザーはまた、ポータブルコンピューティングデバイス72が、さもなければ患者の視界の外にあり得る画面を見るために緊張した姿勢を必要とせずに、データ取得中に便利でアクセス可能な位置に保持されることを可能にする。一構成では、デバイスのアンテナ部分は、使用されていないときにポータブルコンピューティングデバイス72を取り付けて定着させるためのホルスタ又は他の定着機構を更に含んでもよい。
【0042】
別の実施形態では、ポータブルコンピューティングデバイス72は、適切な無線プロトコルを使用してスマートフォン又はタブレットと無線通信し得る。
【0043】
図4に更に示されるように、ユーザインターフェース84は、LCD又はOLEDディスプレイなどの視覚ディスプレイ88と、ボタン又はタッチスクリーンデジタイザなどの1つ又は2つ以上の入力デバイス90と、を含んでもよい。
図5に概して示されるように、ディスプレイ88は、読み取りの開始を示すこと(92)、センサ位置合わせを検証すること(94)、基準測定の姿勢及び発生を指図すること(96)、負荷支持測定の姿勢及び発生を指図すること(98)、並びに/又は無線通信ネットワーク28を介して測定データをデータサーバ/クラウドにアップロードすること(100)など、1つ又は2つ以上の視覚的合図を患者に提供するように動作し得る。ディスプレイ88は、負荷センサ、加速度計、温度センサ、又は対象となる値を測定する任意の他のセンサなどの他のセンサを含み得る。
【0044】
上述したように、骨プレートは、単一のリーダによって読み取ることができる複数のセンサを有し得る。
図6は、n個のセンサからデータを読み取るリーダを示す。リーダ142は、センサ150、152、154に電力を供給するRF振幅変調された信号160を送信する。振幅変調が記載されているが、周波数変調、パルス幅変調、位相変調、負荷変調、位相シフトキーイング変調、周波数シフトキーイング、振幅シフトキーイング、直交振幅変調などを含むがこれらに限定されない他のタイプの変調が使用され得る。上述のセンサは一次負荷センサであったが、センサ150、152、154は、負荷センサ、加速度計、温度センサ、又は対象となる値を測定する任意の他のセンサのうちの1つ又は2つ以上であり得る。複数のセンサ150、152、154からのデータは同時に読み取られる必要があり得るので、センサ150、152、154は、干渉なしにリーダ142と通信する必要がある。
図7は、センサのブロック図とともに、
図6に示されるリーダ及びセンサを示す。センサは、アンテナ264、整流器244、エネルギー貯蔵装置246、電圧調整器248、マイクロコントローラ250、及び変調器242を含み得る。アンテナ264は、コイルアンテナ、又はセンサの小型フォームファクタに適合することが可能である任意の他の種類のアンテナであり得る。センサは、リーダ142からRF振幅変調された信号160を受信する。整流器244は、受信された信号を整流し、整流された信号は、エネルギー貯蔵装置246にエネルギーを貯蔵するために使用される。エネルギー貯蔵装置244は、小型の再充電可能なバッテリ、キャパシタ、又は任意の他のエネルギー貯蔵デバイスであり得る。受信信号160がパルス化される(すなわち、オン時間及びオフ時間並びにデューティサイクルを有する)につれて、エネルギー貯蔵装置246は、次のパルスが受信されるまで、センサの動作に電力供給するためにパルスから十分なエネルギーを貯蔵することが可能である。電圧調整器248は、エネルギー貯蔵装置246に接続され、マイクロコントローラ250に電力供給するために使用される供給電圧を調整する。マイクロコントローラ250は、センサ内の感知要素を制御すること、感知要素からデータを収集すること、感知要素からのデータを処理すること、及び感知されたデータのリーダ142への返送を容易にすることを含む、センサの動作を制御する。マイクロコントローラ250は、アンテナ264によってリーダ142に返送される変調信号を生成する変調器242を制御し得る。変調信号は、感知素子からのデータを搬送波信号上に変調する。
【0045】
図8は、センサに問い合わせるためにリーダによって送信されるRF振幅変調された信号と、リーダへのセンサのデータ送信のタイミングとを示す。RF振幅変調された信号160は、リーダ142によって送信される。送信信号160は、センサ150、152、154に電力を供給し得る。オン時間の終わりに送信信号168の立ち下がりエッジが感知されると、次いで、センサは、測定170、172、174を実行し、測定データを処理する。次いで、送信信号160の次のパルスが受信され、オン時間の立ち上がりエッジが検出されるとき、各センサは、その感知されたデータ180、182、184をリーダ142に送信する。センサ150、152、154の各々によって送信されるデータ間の衝突を防止するために、各センサは、そのセンサデータ180、182、184を送信するための特定の時間窓を有する。したがって、センサ150、152、154の各々によって送信されるデータは、時分割多重化される。各センサによって送信されたデータは、使用される特定の時間窓に基づいて、特定のセンサに関連付けられるものとして識別され得る。あるいは、特定のセンサIDは、センサデータ180、182、184の一部として送信され得る。したがって、送信信号160におけるパルスのオン時間は、センサ150、152、154の各々からのセンサデータ180、182、184が送信されることを可能にするように、並びに様々な動作を実行するためにセンサに十分な電力を提供するように、十分に長い必要がある。更に、送信信号160のオフ時間は、センサがデータを測定するのに十分な時間を提供するように選択され得る。特定の用途に応じて、送信信号のサイクルのデューティは、長くても短くてもよい。センサデータ180、182、184のセンサ150、152、154送信の時分割多重化は、単一のリーダ142が骨プレートに関連付けられた複数のセンサを読み取ることを可能にする。
【0046】
センサからデータを読み取る際の1つの課題は、リーダ142とセンサ150、152、154との最適な位置合わせを見つけることである。この位置合わせは、センサ150、152、154が送信信号160を使用して誘導的に電力供給されるときに重要であり、それは、適切な位置合わせが、センサ150、152、154によって受信される電力を最大化するからである。リーダが適切に位置合わせされていない場合、センサ150、152、154は、適切に動作するのに十分なエネルギーを受信しない可能性がある。
【0047】
この位置合わせの問題は、個々のセンサ150、152、154の各々によって受信された整流電圧を測定し、これらの値をリーダ142に返送することによって解決され得る。リーダ142は、リーダの適切な位置合わせを示す、センサ150、152、154の各々に対する所望の電圧のプロファイルを含む。次いで、リーダは、測定された電圧をプロファイルと比較し、リーダが適切に位置合わせされているかどうかを判定することができる。そうでない場合、次いで、リーダは、リーダを特定の方向に移動させる命令をリーダのユーザに対して生成し得る。一実施形態では、リーダ(142)のセンサは、患者がリーダ(142)を移動させていた方向を確認するために使用されるものとする。次いで、リーダは、各センサから更新された電圧を受信し、リーダが、ある特定の許容レベル内に適切に位置決めされるまで、ユーザへの命令を更新する。
【0048】
図9は、リーダをセンサと位置合わせする方法を示す。方法900は、開始し(905)、次いで、センサに問い合わせる(910)。これは、センサが電圧問い合わせ要求として認識する特定の信号をリーダによってセンサに送信することによって行われ得る。次に、センサは、受信された問い合わせ信号の電圧を測定し、測定された電圧値をリーダに通信する(910)。次いで、リーダは、測定された電圧をセンサ電圧プロファイルと比較する(920)。次に、リーダは、測定された電圧が電圧プロファイルに一致するかどうかを判定する(925)。これは、様々な方法で行われ得る。例えば、各測定された電圧とプロファイル電圧との間の差の加重和は、計算され得、次いで、この加重和は、閾値と比較され得る。合計が閾値未満であるとき、リーダは、適切に位置合わせされており、リーダは、リーダを位置合わせしているユーザに、リーダが適切に位置合わせされているという指示を送信し得る(935)。これは、視覚ディスプレイ88上のユーザインターフェース84を使用して行われ得る。合計が閾値よりも大きいとき、次いで、リーダは、位置合わせを改善するために、リーダの移動に関する命令を生成し得る。例えば、一列に3つのセンサが存在する場合、センサ電圧プロファイルは、位置合わせされたときの電圧が0.75V、1.0V、及び0.75Vであることを示し得る。電圧が0.5V、0.75V、及び1.0Vとして戻ってきた場合、これは、リーダが第1のセンサに向かう方向に移動される必要があることを示す。命令が与えられた後、方法900は、再びセンサに問い合わせ(910)、リーダが位置合わせされるまでプロセスが繰り返される。この反復プロセスは、リーダを適切に位置合わせするために必要なプロンプトをリーダのユーザに提供する。他の実施形態では、リーダは、位置合わせプロセスを助けるために使用され得る動き感知デバイスを含み得る。それらは、位置合わせ中にユーザに提供するプロンプトを判定することを助け得る。それはまた、プロンプトがユーザに与えられた後に動きが生じないときを検出し得、その結果、更なる命令がユーザに提供され得、又はユーザに警告するために音を発生させるような別のインジケータが提供され得る。
【0049】
局所温度は、局所的な炎症又は感染を示し得る。したがって、本明細書に記載されるプレートに見られるような通信能力は、炎症又は感染が骨プレートの周囲に存在するかどうかを評価するために、局所温度を測定することを促進するために使用され得る。炎症又は感染の早期検出は、患者の転帰の改善につながるより早期の治療につながることができる。例えば、炎症が重度になった場合、骨プレートを外植し、デバイスを再移植する前に弛緩期間にわたって待機する必要が生じる可能性があり、炎症及び感染の早期検出は、この一連の処置を妨げる可能性がある。
【0050】
1つ又は2つ以上の温度センサは、骨プレート上に配置され得る。センサは、独立型センサであり得、又は上述したような他のセンサと一体化され得る。次いで、センサは、温度情報を収集するために周期的に問い合わされる。この情報は、リーダによって分析され得、更なる分析のためにデータサーバ20に送信され得る。様々なアルゴリズムは、炎症又は感染が示されているかどうかを判定するために、温度データに適用され得る。次いで、患者又は患者の医療提供者は、状態及び提供される必要な治療について警告され得る。
【0051】
センサは、特定の周波数及び共振器回路を使用することに基づく誘導電力供給を使用する。骨プレートは、センサの近くの大きな金属物体であるので、骨プレートは、RF信号を電力に変換する共振器回路の離調につながることができる。
図10は、骨プレート12から距離Dにあるセンサ150を示す。共振器回路に対する離調効果は、センサ150と骨プレート12との間の距離に基づく。これは、共振器回路において周波数シフトを引き起こし、電力送信の低減につながる。これは、センサ150と骨プレート12との間の距離Dを選択することによって克服され得る。この距離において、共振器回路の離調は、判定され得る。次いで、共振器回路は、センサ150が骨プレート12から距離Dにあるとき、骨プレート12の存在による共振器回路の離調が、結果として得られる回路に最大電力伝達に対応する所望の共振周波数を達成させるように設計され得る。距離Dが骨プレート12とセンサ150との間で維持されることを確実にするために、電気絶縁材料は、センサ150と骨プレート12との間の障壁として使用され得る。センサを骨プレートから特定の距離Dに固定する他の方法は、同様に使用され得る。
【0052】
実施形態の各々は、それらの構造的配設に関して上で記載されているが、本発明は、上で記載された実施形態を使用する関連する方法も包含することを理解されたい。
【0053】
様々な例示的実施形態を、特にそれらのある特定の例示的態様を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、他の実施形態も可能であり、かつその詳細については、種々の明白な点において修正が可能であることを理解されたい。当業者にはすでに明らかなように、本発明の趣旨及び範囲内に留めながら、様々な実施形態の変形例及び修正例、並びに組み合わせ例に影響を及ぼし得る。したがって、前述の開示、説明、及び図面は、単に例示的な目的のみのためであって、本発明を何ら限定するものではなく、本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) 患者監視システムであって、
骨に定着させるように構成された骨プレートと、
前記骨プレート上の複数のセンサであって、前記複数のセンサは、
パラメータを測定し、
測定されたパラメータ値を通信するデータ信号を送信するように構成されており、
前記複数のセンサからの送信された前記データ信号は、時分割多重化される、複数のセンサと、
外部無線リーダと、を備え、前記外部無線リーダは、アンテナと、プロセッサと、無線通信ラジオと、を含み、前記外部無線リーダは、
変調されたRF信号を送信し、かつ
前記複数のセンサから、時分割多重化された前記送信されたデータ信号を受信するように構成されている、患者監視システム。
(2) 前記複数のセンサは、前記複数のセンサに電力供給するために、前記変調されたRF信号からエネルギーを捕捉する、実施態様1に記載の患者監視システム。
(3) 前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、
前記複数のセンサは、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち下がりエッジが検出されたときに前記パラメータを測定するように構成されている、実施態様1に記載の患者監視システム。
(4) 前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、
前記複数のセンサは、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち上がりエッジが検出されたときに前記データ信号を送信するように構成されている、実施態様1に記載の患者監視システム。
(5) 前記複数のセンサは、負荷、温度、及び位置のうちの1つを測定する、実施態様1に記載の患者監視システム。
【0055】
(6) 前記複数のセンサは、
アンテナと、
前記センサを制御するように構成されたコントローラと、
前記データ信号を作り出すように構成された変調器と、を更に備える、実施態様1に記載の患者監視システム。
(7) 前記複数のセンサは、
前記変調されたRF信号を整流するように構成された整流器と、
前記整流器からのエネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵装置と、を更に備える、実施態様6に記載の患者監視システム。
(8) 前記複数のセンサは、受信された前記変調されたRF信号に基づいて、電圧を測定し、測定された電圧値を前記外部無線リーダに送信し、
前記外部無線リーダは、
前記複数のセンサから前記測定された電圧値を受信し、
受信された前記電圧値をセンサ電圧プロファイルと比較し、かつ
前記複数のセンサと前記外部無線リーダとの間の位置合わせを改善するために前記外部無線リーダを移動させることに関する命令を生成するように構成されている、実施態様1に記載の患者監視システム。
(9) 前記外部無線リーダは、前記外部無線リーダを移動させることに関する前記命令をディスプレイ上に表示するように構成されている、実施態様8に記載の患者監視システム。
(10) 前記複数のセンサは、温度を測定するように構成されており、
前記リーダは、温度測定値に基づいて、炎症又は感染の存在を検出するように構成されている、実施態様1に記載の患者監視システム。
【0056】
(11) 前記複数のセンサは、前記変調されたRF信号から電力を捕捉するように構成された共振器回路を含み、
前記共振器回路のパラメータは、無線電力伝達に関連付けられた所望の共振周波数を達成するために、前記複数のセンサと前記骨プレートとの間の距離に基づく、実施態様1に記載の患者監視システム。
(12) 前記複数のセンサと前記骨プレートとの間の距離は、前記複数のセンサと前記骨プレートとの間の電気絶縁層によって設定されている、実施態様11に記載の患者監視システム。
(13) 複数のセンサを有する骨プレートを監視するための方法であって、
前記複数のセンサによって、パラメータを測定することと、
前記複数のセンサによって、測定されたパラメータ値を通信するデータ信号を送信することであって、前記複数のセンサからの送信された前記データ信号は、時分割多重化される、送信することと、
リーダによって、変調されたRF信号を送信することと、
前記リーダによって、前記複数のセンサから時分割多重化された前記送信されたデータ信号を受信することと、を含む、方法。
(14) 前記複数のセンサに電力供給するために、前記複数のセンサから、前記変調されたRF信号からエネルギーを捕捉することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち下がりエッジが検出されたときに、前記複数のセンサによって、前記パラメータを測定することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
【0057】
(16) 前記変調されたRF信号は、周期的なオン時間及びオフ時間を有し、前記変調されたRF信号の前記オン時間の立ち上がりエッジが検出されたときに、前記複数のセンサによって、前記データ信号を送信することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記複数のセンサは、負荷、温度、及び位置のうちの1つを測定する、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記複数のセンサによって、受信された前記変調されたRF信号に基づいて、電圧を測定することと、
前記複数のセンサによって、測定された電圧値を前記外部無線リーダに送信することと、
前記リーダによって、前記複数のセンサから前記測定された電圧値を受信することと、
前記リーダによって、受信された電圧値をセンサ電圧プロファイルと比較することと、
前記リーダによって、前記複数のセンサと前記外部無線リーダとの間の位置合わせを改善するために前記外部無線リーダを移動させることに関する命令を生成することと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記リーダによって、前記外部無線リーダを移動させることに関する前記命令をディスプレイ上に表示することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記複数のセンサによって、温度を測定することと、
前記リーダによって、温度測定値に基づいて、炎症又は感染の存在を検出することと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
【国際調査報告】