(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電解電力変換のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240816BHJP
C25B 15/02 20210101ALI20240816BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240816BHJP
H01M 8/0656 20160101ALI20240816BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20240816BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240816BHJP
【FI】
H02J7/00 303E
C25B15/02
H02M3/155 H
H01M8/0656
H01M8/04858
H01M8/12 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503332
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 FI2021050537
(87)【国際公開番号】W WO2023002090
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513042506
【氏名又は名称】コンヴィオン オサケユキチュア
【氏名又は名称原語表記】CONVION OY
【住所又は居所原語表記】Tekniikantie 12,FI-02150 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】オーストレーム,キム
【テーマコード(参考)】
4K021
5G503
5H126
5H127
5H730
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC09
4K021CA05
4K021CA06
4K021CA15
5G503AA05
5G503BA04
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5G503CB11
5G503GB03
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5H127AA07
5H127BA05
5H127BA15
5H127BB02
5H127DC43
5H127DC44
5H730AS08
5H730BB11
(57)【要約】
本発明の一目的は、電解電力変換のためのシステムであって、当該システムは、制御可能な直列接続されたセルグループ(103)として構成された電解槽セルと、セル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧での電解動作のための手段(142)と、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧で前記セルグループから少なくとも間欠的に電流を引き出す手段(144)とを有する。当該システムは、第1電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク(150)及び第2電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク(151)であり、当該キャパシタバンク(150、151)とセルグループ(103)とが、1つの極を共通に持つ、キャパシタバンクと、第1電圧及び第2電圧の前記キャパシタバンクを接続する少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータ(146、148)とを有する。当該システムは更に、第1電圧レベル及び第2電圧レベルを制御する手段(152)と、アンバランス及びセル劣化の増大を防止するためにセルグループ(103)に第1電圧レベルが印加されることと第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるための、制御可能なセルグループ(103)ごとの少なくとも1つのハーフブリッジスイッチペア(154)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解電力変換のためのシステムであって、当該システムは、制御可能な直列接続されたセルグループ(103)として構成された電解槽セルと、セル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧での電解動作のための手段(142)と、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧で前記セルグループから少なくとも間欠的に電流を引き出す手段(144)とを有し、
当該システムは、
前記第1電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク(150)及び前記第2電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク(151)であり、当該キャパシタバンク(150、151)と前記セルグループ(103)とが、1つの極を共通に持つ、キャパシタバンクと、
前記第1電圧及び前記第2電圧の前記キャパシタバンクを接続する少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータ(146、148)と、
前記第1電圧レベル及び前記第2電圧レベルを制御する手段(152)と、
アンバランス及びセル劣化の増大を防止するために前記セルグループ(103)に前記第1電圧レベルが印加されることと前記第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるための、制御可能なセルグループ(103)ごとの少なくとも1つのハーフブリッジスイッチのペア(154)と、
を有する、ことを特徴とする電解電力変換のためのシステム。
【請求項2】
前記制御する手段(152)は、スイッチング損失及び電磁干渉を最小限にするために、10Hz-100Hzの周波数範囲内で前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間で前記セルグループを交番させるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項3】
前記ハーフブリッジスイッチ(154)は、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間での交番の周波数よりも少なくとも10倍高いスイッチング周波数で非絶縁型DC/DCコンバータとして動作するように制御される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項4】
前記第1電圧は800Vより高く、前記第2電圧は800Vより低い、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項5】
前記制御する手段(152)は、電解セル電圧、燃料電池電圧、及び開回路の間で前記セルグループをパルス制御するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項6】
前記電圧レベルを制御する手段(152)は、前記キャパシタバンク(150、151)の少なくとも一方に対して、平均を中心に制御された電圧変動を提供するように構成され、前記変動の周波数は、前記セルグループのパルス制御周波数に等しく、それにより、前記変動の波形に対する前記セルグループ(103)間の前記パルス制御の位相シフトが、個々の前記セルグループ(103)に対して異なる平均電圧を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項7】
前記制御する手段(152)は、前記第2電圧レベル用に構成された前記キャパシタバンク(151)において、前記セルグループ(103)における電解モード及び燃料電池モード中に反対方向の電流の流れを排除するための電圧を供給することによって交番を行うように構成される、ことを特徴とする請求項5に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項8】
当該システムは、同期信号を生成する手段(156)と、前記ハーフブリッジスイッチ(154)間の同期を遂行する少なくとも1つの位相ロックループとを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項9】
当該システムは、高電圧キャパシタンスバンク(150)及び低電圧キャパシタンスバンク(151)を、該高電圧キャパシタンスバンクが少なくとも2つの直列接続されたキャパシタバンクを有し、そのうちのサブセットが該低電圧キャパシタンスバンクであるように部分的に組み合わされるようにして有する、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項10】
電解電力変換の方法であって、当該方法において、制御可能な直列接続されたセルグループ(103)として電解槽セルが構成され、セル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧で電解動作が実行され、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧で前記セルグループから少なくとも間欠的に電流が引き出され、
当該方法において、少なくとも1つのキャパシタバンク(150)が前記第1電圧に維持され、少なくとも1つのキャパシタバンク(151)が前記第2電圧に維持され、前記キャパシタバンク(150、151)と前記セルグループ(103)とが、1つの極を共通に持ち、少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータ(146、148)が前記第1電圧及び前記第2電圧の前記キャパシタバンクに接続され、
当該方法において、アンバランス及びセル劣化の増大を防止するために前記セルグループ(103)に前記第1電圧レベルが印加されることと前記第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるために、前記第1電圧レベル及び前記第2電圧レベルが制御される、
ことを特徴とする電解電力変換の方法。
【請求項11】
当該方法において、スイッチング損失及び電磁干渉を最小限にするために、10Hz-100Hzの周波数範囲内で前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間で前記セルグループが交番される、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項12】
前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間での交番の周波数よりも少なくとも10倍高いスイッチング周波数で非絶縁型DC/DCコンバータとして動作するようにハーフブリッジスイッチ(154)が制御される、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電解電力変換の方法。
【請求項13】
前記第1電圧は800Vより高く、前記第2電圧は800Vより低い、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項14】
当該方法において、電解セル電圧、燃料電池電圧、及び開回路の間で前記セルグループがパルス制御される、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項15】
当該方法において、前記キャパシタバンク(150、151)の少なくとも一方に対して、平均を中心に制御された電圧変動が提供され、前記変動の周波数は、前記セルグループのパルス制御周波数に等しく、それにより、前記変動の波形に対する前記セルグループ(103)間の前記パルス制御の位相シフトが、個々の前記セルグループ(103)に対して異なる平均電圧を提供する、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項16】
当該方法において、前記第2電圧レベル用に構成された前記キャパシタバンク(151)において、前記セルグループ(103)における電解モード及び燃料電池モード中に反対方向の電流の流れを排除するための電圧を供給することによって交番が行われる、ことを特徴とする請求項15に記載の電解電力変換の方法。
【請求項17】
当該方法において、同期信号を生成する手段(156)と、前記ハーフブリッジスイッチ(154)間の同期を遂行する少なくとも1つの位相ロックループとが生成される、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項18】
当該方法において、高電圧キャパシタンスバンク(150)及び低電圧キャパシタンスバンク(151)が、該高電圧キャパシタンスバンクが少なくとも2つの直列接続されたキャパシタバンクを有し、そのうちのサブセットが該低電圧キャパシタンスバンクであるように部分的に組み合わされる、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
世界のエネルギーの殆どは、石油、石炭、天然ガス、又は原子力によって生産されている。これらの製造方法は全て、例えば、入手可能さ及び環境への配慮などに関する限り、それら特有の問題を有する。環境に関する限り、特に石油及び石炭は、それらが燃焼されるときに汚染を引き起こす。原子力に伴う問題は、少なくとも使用済み燃料の貯蔵である。
【0002】
特に環境問題のために、より環境に優しく、例えば従来のエネルギー源よりも良好な効率を持つ、新たなエネルギー源が開発されてきた。
【0003】
固体酸化物電池は、環境に優しいプロセスでの化学反応を介して動作し、非常に有望な将来のエネルギー変換デバイスである。再生可能なエネルギー源の間欠性は、電力網の安定性に関する難題をもたらし、需要増大及び供給側の柔軟性、並びに新たなエネルギー貯蔵及び変換技術を必要とする。
【背景技術】
【0004】
電気化学的に活性な固体酸化物電池は、燃料電池又は電解槽として使用されることができる。燃料電池は、様々な燃料から電気及び熱を生成し、電解セルは、例えば水蒸気、CO2、及び窒素から水素、メタン、アンモニア、及び一酸化炭素などの化学物質と、電気、及び熱を生成する。燃料電池及び電解セルとして両方のモードで動作するそのような電池は、固体酸化物電気化学電池(solid oxide electrochemical cell;SOEC)又は可逆固体酸化物電池(reversible solid oxide cell;rSOC)又は単に固体酸化物電池(solid oxide cell;SOC)と呼ばれる。
【0005】
固体酸化物電池(SOC)は、燃料側と、酸素リッチ側と、それらの間の電解質材料とを有する。固体酸化物燃料電池(solid oxide fuel cell;SOFC)では、酸素が酸素リッチ側に供給され、負の酸素イオンに還元される。負の酸素イオンが電解質材料を通って燃料側に進み、そこで燃料と反応して水を生成するとともに、典型的に二酸化炭素(CO2)を生成する。燃料側と酸素リッチ側とが、システムから電気エネルギーを引き出す燃料電池動作モードのために負荷を有する外部電気回路を介して接続される。燃料電池はまた、反応物排出流に熱を生成する。電解(電気分解)動作モードでは、電流の流れが逆となり、固体酸化物電池は、電気が供給される負荷として作用する。動作条件に応じて、セル動作は、吸熱、発熱、又は熱中性となることができる。
【0006】
メタン、一酸化炭素、及び水素燃料の場合の燃料電池反応は以下で示される:
燃料側:CH4+H2O=CO+3H2
CO+H2O=CO2+H2
H2+O2-=H2O+2e-
酸素リッチ側:O2+4e-=2O2-
正味の反応:CH4+2O2=CO2+2H2O
CO+1/2O2=CO2
H2+1/2O2=H2O
【0007】
電解動作モード(固体酸化物電解セル、(SOEC))では、反応が逆となり、すなわち、供給源からの電気エネルギーがセルに供給され、そこで、水が、及びしばしば二酸化炭素が、燃料側で還元されて酸素イオンを形成し、それが電解質材料を通って酸素リッチ側に移動し、そこで酸化反応が起こる。SOFCモードとSOECモードの両方で同じ固体酸化物電池を使用することが可能である。
【0008】
従来技術の固体酸化物電解セルは、高温電解反応が起こることを可能にする温度で動作し、該温度は、典型的に500-1000℃の間であるが、1000℃を超える温度でさえも有用であり得る。これらの動作温度は、固体酸化物燃料電池(SOFC)の条件と同様である。正味のセル反応は水素ガスと酸素ガスを生成する。水蒸気電解の反応は以下で示される:
燃料側:H2O+2e-→2H2+O2-
酸素リッチ側:O2-→1/2O2+2e-
正味の反応:H2O→H2+1/2O2
【0009】
共電解の場合、蒸気に加えて、炭素質の種が、典型的に、例えばフィッシャー・トロプシュ法に従って、得られたガスのその後の精製に有利な割合でセルに供給される。二酸化炭素は、直接的に一酸化炭素に還元されることができ、あるいは、水性ガスシフト反応を介して水素と相互作用して一酸化炭素と蒸気を形成することができる。また、正味の反応:
CO2→CO+1/2O2
に従った二酸化炭素の一酸化炭素への電気化学的還元のために固体酸化物電池を使用することも可能である。
【0010】
燃料側ガスの流れ方向が、各セル内部の酸素リッチ側ガスに対して、及び隣接するセル間のガスの流れ方向に対して相対的である、固体酸化物燃料電池(SOFC)及び固体酸化物電解槽(Solid Oxide Electrolyzer;SOE)スタックでは、スタックの異なるセル層を通して複数のスタックが組み合わされる。さらに、燃料側ガス若しくは酸素リッチ側ガス又はそれらの両方が、それが排出される前に2つ以上のセルを通り抜けることができ、複数のガス流が、一次セルを通った後且つ二次セルを通る前に分割又は合流されることができる。これらの組み合わせは、電流密度を増加させ、セル及びスタック全体にわたる熱勾配を最小化するように作用する。
【0011】
SOCセル及びシステムにおける高い動作温度は、熱機械力、材料特性、化学的安定性、及び動作条件の均一性に関して、材料関連の難題をもたらす。これらの観点は、実現可能なSOCセル、スタック、及びモジュールサイズに対して実際的な制約を課す。SOEC用途に典型的な大規模設備のための技術のスケーリングは、従って、主に、セル、スタック、及びSOCモジュールの増加に依存する。従って、全てのレベルで増加する各ユニットのコストを最小限に抑えることが、全体的なコストを低減させるために重要である。
【0012】
SOCモジュールは、数十から数百に至るSOCスタック、支持構造、断熱、反応物搬送及び分配構造、計装と、にアプリケーション又は他のモジュールに向けての電気的及び反応的インタフェースとを有する。高温インタフェースは、コストがかかり、場所をとり、且つ点火源を構成し得るので、反応物インタフェースの温度を低下させるためにモジュール内に熱交換を含むことも有益である。また、SOCモジュールは、安全な始動及び停止を容易にするための内部又は外部手段を必要とする。
【0013】
数十メガワットからギガワットに至る総電力レベルに達する工業レベルの電解は、スタック、スタックのグループ、及び1つ以上のスタックのグループを含む電解モジュールに組み込まれた非常に多数の個々の電解セルに基づく。電解反応を駆動するために、DC又はパルスDC電流をセルに供給する必要があるが、燃料電池モードでは電流がセルから引き出される。燃料電池を電源又はシンクとインタフェースさせるために、パワーエレクトロニクス変換が典型的に必要とされる。これは、AC配電グリッド、又は例えば産業用DC配電システムであり得る。電解のためのDC配電は、例えばAC配電網から、又は例えば太陽光発電、風力、及び波力などの再生可能な供給源に直接結合して、エネルギーを与えられ得る。異なる電圧及び/又は周波数間の変換は、パワーエレクトロニクス機器を必要とし、損失をもたらす。これらは、電解セル及び燃料電池の両方の動作に関する資本及び運転費用の両方において重大な一端を担う。
【0014】
ハイパワー用途では、多数の個々のセル又はセルのグループの直列接続が、高いストリング電圧に達することを可能にする。セルの数は、所与のインタフェース電圧レベル又は所与の半導体電圧範囲に対して最適化され得る。しかしながら、可逆的な動作の場合、電解セル及び燃料電池の動作間のストリング電圧の差が大きくなる。これは、これらのモードのうちの少なくとも一方においてパワーエレクトロニクス回路の低い利用率を意味し得る。
【0015】
典型的に、パワーエレクトロニクスの制御目標はセルの電流を管理することであり、何故なら、これが、寿命及びガス組成の観点から管理することが必須なものである反応物又はそれぞれの燃料利用を決定するからである。しかしながら、セルはかなり大きいDC直列抵抗を持つので、電流は、セル電圧を制御することによっても間接的に制御され得る。高温セルの特別な特徴は、それらの内部抵抗すなわち面積比抵抗(area specific resistance;ASR)の強い温度依存性である。温度係数は負であり、すなわち、温度上昇が、より低い抵抗につながり、ひいては、所与の電圧でのより高い電流につながる。従って、並列接続されたセル又はセルのグループは、正のフィードバック挙動を呈し、すなわち、並列経路間の電流の当初の均一分布から逸脱する傾向を呈する。これは、各分岐の電流を能動的に制御することによって、又は並列グループの能動的温度管理及び/又は熱結合によって打ち消され得る。直列接続内では、素子にわたる短絡又は他の意図しない電流経路がないと仮定すると、直列接続された全ての素子に対して電流が同じである。直列の電流及び総電圧に基づいて制御を遂行し得るが、動作上の制約又は保護の目的で直列内の電圧も測定することが有利であり得る。
【0016】
電流管理に対する単純なアプローチは、各並列分岐に対して専用の電力変換器を有することである。それは、例えば、共通DCバスとインタフェースをとるDC/DCコンバータ、又はユーティリティグリッドとインタフェースをとるAC/DCコンバータであることができる。ハイパワー用途では、コスト及び効率を考慮して、非絶縁型の、典型的にはハードスイッチング型のコンバータトポロジが好ましい。DC/DC変換では、典型的なトポロジは、バック、ブースト、及びバックブーストであり、AC/DCでは、三相アクティブフルブリッジが使用される。低温電解では、様々な受動6パルス又は12パルス整流、並びにサイリスタベースのブリッジトポロジも使用されるが、これらは、乏しい制御性、乏しい力率、及び/又は多量のグリッド周波数誘導成分に悩まされる。SOFC/SOEC用途では、より高度な制御を必要とし、アクティブトポロジが好ましい。
【0017】
産業用のSOFC/SOECハイパワーモジュールは、数十個に至るセル直列(ストリング)を持ち得る。各ストリングに専用の電力変換器を装備することは、最大の制御柔軟性を可能にするが、一般的な変換器ソリューションと比較して、多数の変換器、ディスクリートコンポーネント、及びコストを意味する。この差は、専用部分又は電力レベルを最小化することによって減少され得る。例えば、スタックストリングの全電力を変換する専用のDC/DCコンバータの代わりに、より低パワーの単方向又は双方向制御可能な電源を各ストリングと直列に配置して、バランスを保つのに必要なレベル、典型的には総電圧の数パーセントの電圧オフセットを提供することができる。そして、このような直列の全てを、共通の電力段に並列に接続することができる。従って、バランス化を、バランス化機能それ自体においていっそう低い電力レベル及び損失で達成することができる。
【0018】
電気インピーダンス分光法は、燃料電池を特徴付けるために広く使用されている方法である。典型的な固体酸化物電池のスペクトルから見てとれることには、1-10Hz以下のレンジ内の周波数は、セル内の拡散及び濃縮現象に影響を及ぼすが、より高い周波数では、異なるセル機能層に関連する容量特性が支配的となる。インピーダンス分光法に基づいて、固体酸化物電池の等価回路表現を構築することができる。その等価回路表現は、典型的に、異なる機能層を表す並列キャパシタンスを有する多数の追加抵抗と直列のグローバル直列抵抗素子を構成する。特に、セルへのケーブル配線が含まれる場合には、直列インダクタンスも含まれ得る。純粋なDC電流では抵抗素子のみが残り、それらの合計がセルの全DC抵抗を表す。燃料電池動作及び電解動作の両方に対して、正味の変換を生じさせるのは電流のDC成分である。その上の任意の交流成分は、正味の反応速度に寄与することなく、抵抗素子における損失増加を引き起こす。
【0019】
図1は、各スタックグループ103がそれ自身の非絶縁型AC/DCコンバータを持つ従来技術形態の一例を示している。単純にするために、
図1には1つのスタックグループのみが示されている。該従来技術によれば、同じ構成115が全てのスタックグループに対して増加される。スイッチモード電力変換器は、本質的に、そのスイッチング周波数にあるリップル電流を生じさせ、AC/DC変換の場合、しばしばグリッド周波数の2倍にあるものも生じさせる。固体酸化物電池の様々な周波数にあるリップルの影響を理解することにおいて、数多くの研究が行われてきた。リップル電流自体が寿命を劣化させる効果を持ち得るかについての結果は結論が出ていないが、当業者には、抵抗損失を増加させる効果が等価回路表現から明らかである。燃料電池反応はそれ自体において発熱性であり、すなわち、熱の除去を必要とするので、追加の熱生成が望ましくないことは明らかである。これに関して、燃料電池は、例えばバッテリと比較して、それらの高い内部抵抗に起因して、効率を向上させ、場合によって寿命も向上させる手段として、リップル軽減に対していっそう厳しい要件を課す。パワーエレクトロニクスの分野における多くの研究が、リップル軽減のためのトポロジ及び戦略に関して、特に低パワー燃料電池用途に重点を置いて発表されている。リップル軽減は、特に住宅用途において制限されるものである電磁干渉を最小化する目的にもかなう。
【0020】
高温電解では、反応は吸熱性であり、セル温度を維持するために余分な熱が必要とされる。十分に高い電流密度で動作することは、過電圧(等価回路における抵抗損失要素)を介してこの熱を提供することができる。熱中性電圧、すなわち、抵抗損失が必要な熱入力に等しい動作電圧は、約1.3Vである。この電圧を達成するのに必要な電流密度は、スタック特性、温度、及び他の動作条件に依存する。しかしながら、そのような高い電流密度で動作することは常に可能であるわけではない。吸熱レジームで動作することは、外部熱が供給されない限り、セルが冷えることを意味する。例えば反応物を介して又は環境から、熱を供給する可能性は限られており、システムの追加のコストを構成する。従って、リップル注入を通じてセル内部での熱生成を増加させる能力を利用することが、低電流密度で熱的中性を維持するための費用効果の高い方法となり得る。追加の加熱が望まれないときに不必要なリップルを印加しないために、供給されるDC電流の上のリップルの量を制御できることが最も有益である。従って、スイッチング周波数よりも低い周波数でパルス制御(パルシング)することが有益である。パルス周波数が増加すると、パワーエレクトロニクスにおいていっそう多くのスイッチング損失が生成されることになる一方で、等価回路における容量性要素に起因して、セルにおけるそれらの加熱効果は減少する。従って、パルス制御による意図的な熱生成は、より低い周波数で最も効率的であり、下限は、パルス制御が不都合な集中過電圧を引き起こすときであり、すなわち、約10Hz未満である。故に、最適なパルス周波数は、10Hzと100Hzとの間の範囲、場合によっては1kHzまでの範囲に見出される可能性が高い。このような周波数は、典型的なスイッチング周波数よりも約2桁低く、すなわち、制御的に達成するのが複雑でない。熱中性電圧と開回路電圧との間で交番することは全体的な動作を熱中性にするが、平均電流はデューティサイクルに比例する。周波数はまた、動作電流又は温度の関数であり得る。
【0021】
複数のグループの熱制御及びバランス化は、(1つ以上の)スタックにおける動作温度の情報に基づいて遂行される。セル、スタック、及びスタックグループの動作温度は、例えば、セルの内部又は外部からの熱電対測定によって取得されることができる。しかしながら、大量の物理的測定を配することは実際的ではなく、高温計装は信頼性の懸念も持つ。温度情報は、例えば電流、電圧、並びに反応物の流れ及び温度情報に基づいて、間接的な手段によって取得されることもできる。好ましくは、リアルタイムの動的な熱力学的モデリングが、システム条件のモデルベースのシステム制御の一部として使用され得る。該モデルは、スタック又はセルグループにわたる温度プロファイルを推定することができる。リアルタイムシステム制御と並行して熱力学的モデルを走らせることができる制御コードが、例えば産業用PC上に実装され得る。電流及び電圧情報は、スタック環境内での煩わしい測定なしで、電力変換器から容易に取得されることができる。流れ情報も、大体において、スタック環境内に最小限の量の物理的センサとした熱力学的モデリングに基づき得る。
【0022】
固体酸化物電解に関しては、電解セルモードと燃料電池モードとの間で交番することが、例えば酸素圧の蓄積及び微細構造ダメージの抑制を通じて、寿命改善効果を持ち得ることが示されている。このような再生は、幾つものやり方で適用されることができる。システムが逆動作可能である場合、必要に応じて燃料電池モードに周期的に切り替えることができる。再生効果を達成するのに何時間かの範囲の交番間隔で十分であり得ることが示されている。しかしながら、内部再生の必要性によって決定されるペースで動作モード間の交番を行うことは、用途の動作モードの嗜好と合致しないことがある。複数の独立した電解槽モジュールを備える用途では、この欠点は、他のモジュールを電解に維持しながら、一度に1つのモジュールを燃料電池モードで動作させることによって補償されることができる。しかしながら、双方向動作の能力は、各モジュールのレベルでコスト及び複雑性を追加する。
【0023】
エジェクタ再循環によって有利に達成され得るように、共通の燃料側再循環ループと共に配置された専用の制御可能な電力変換器を有する複数のスタックグループを含むシステム又はモジュールでは、例えば、他のグループが電解で動作しながら一度に1つのグループを燃料電池モード動作に持ち込むことができる。従って、電流の大部分が電解方向に駆動され、システムは全体で燃料の正味の生成を持つ。電解で動作するグループからの生成燃料は、再循環を通して、燃料電池モードのグループに燃料として供給される。従って、モジュール又はシステムは全体として、双方向パワーエレクトロニクスは別として、逆動作の追加の複雑さを必要としない。スタックグループレベルでの動作モード間の切り替えは恣意的にゆっくりとすることができる。しかしながら、電解モード生成ガスと燃料電池モード生成ガスとの混合物であるモジュール生成ガスが、全体的な反応物質利用率を低下させ、すなわち、より多くの供給原料(例えば、蒸気)と、その後の出口ガスの乾燥とを必要とすることになる。共電解において、燃料電池モード生成ガスと電解モード生成ガスとの混合物は生成ガス平衡にも影響を及ぼすことになる。
【0024】
動作モード間の交番が、前述のパルス熱注入に関連するものと同様の切り替え速度で行われる場合、同様の利益が達成される。逆の濃度勾配を形成するための閾値を超えるが、再生効果を達成するためになおも十分な低さである周波数で交番させることは、システムのフロー制御部分には交番を見えないものにする。従って、システムレベルでの可逆動作能力なしに、且つシステムの反応物質利用率又は生成ガス平衡組成を犠牲にすることなく、モード交番を達成することができる。
【0025】
明らかなことには、モード交番は、採用されるアプローチにかかわらず、所与の電解電流密度での全体的な電解生成を減少させる効果を持つ。半ば同時の電解動作及び燃料電池動作が起こる場合、燃料電池モードでの動作の部分が、電解モードで生成された燃料を消費することになる。典型的に、燃料電池モード電流密度は、電解電流密度の半分である。従って、例えば、20%の動作が燃料電池モードであり、80%が電解であり、矩形波形で動作される場合、平均生成密度は、所与の電流密度での連続電解動作と比較して、80%-0.5*20%=70%である。それぞれ、燃料電池モードで10%動作するので十分である場合、平均生成は85%である。連続電解を意図した用途においてさえ、この容量損失は、それが劣化現象を根本的に妨げる場合には正当化され得る。これは、そして、電流密度をそれぞれ増加させることを可能にする。研究が示すように、時間(hour)のオーダーでの動作モード間の頻繁でない交番でさえ、有益な劣化相殺効果を達成するのに十分であることがあり、動作戦略は、ピーク需要時間中のモード変更パルス制御を放棄し、場合によってオフピーク時間中のいっそう高い度合いの再生(燃料電池)モードで補償することとし得る。
【0026】
電解動作と燃料電池動作との間の頻繁な移行の要求は電力変換に制約を課す。モード間の切り替えは、電解電圧の約50%-100%の間での頻繁な電圧サイクルを意味し、これは、特に大きいキャパシタにとって問題である。各スタックグループのための個々のバックコンバータ又はブーストコンバータは、そのような過渡現象を扱うするように構成され得るが、各制御可能グループに対して、一対のスイッチ半導体及び専用のフル電流インダクタ並びに可能性として更なる高周波リップルフィルタ素子を必要とするという犠牲を伴う。さらに、全てのスイッチをフル電解電圧に合わせて寸法決めする必要がある。
【発明の概要】
【0027】
本発明の目的は、サイズ及び導通損失が減少され寿命が延長される電解電力変換のための先端システムを達成することである。これは、電解電力変換のためのシステムによって達成され、当該システムは、制御可能な直列接続されたセルグループとして構成された電解槽セルと、セル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧での電解動作のための手段と、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧で前記セルグループから少なくとも間欠的に電流を引き出す手段とを有する。当該システムは、第1電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク及び第2電圧に維持される少なくとも1つの他のキャパシタバンクであり、これらのキャパシタバンクとセルグループとが、1つの極を共通に持つ、キャパシタバンクと、第1電圧及び第2電圧のキャパシタバンクを接続する少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータと、第1電圧レベル及び第2電圧レベルを制御する手段と、アンバランス及びセル劣化の増大を防止するためにセルグループに第1電圧レベルが印加されることと第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるための、制御可能なセルグループごとの少なくとも1つのハーフブリッジスイッチペアとを有する。
【0028】
本発明の焦点はまた、電解電力変換の方法であって、当該方法において、制御可能な直列接続されたセルグループとして電解槽セルが構成され、セル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧で電解動作が実行され、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧でセルグループから少なくとも間欠的に電流が引き出される。当該方法において、少なくとも1つのキャパシタバンクが第1電圧に維持され、少なくとも1つのキャパシタバンクが第2電圧に維持され、これらのキャパシタバンクとセルグループとが、1つの極を共通に持ち、少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータが第1電圧及び第2電圧のキャパシタバンクに接続され、当該方法において、アンバランス及びセル劣化の増大を防止するためにセルグループに第1電圧レベルが印加されることと第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるために、第1電圧レベル及び第2電圧レベルが制御される。
【0029】
本発明は、第1電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンクと、第2電圧に維持される少なくとも1つの他のキャパシタバンクとの使用に基づき、これらのキャパシタバンクが、セルグループと共通の1つの極を持つ。本発明は更に、第1電圧及び第2電圧のキャパシタバンクを接続する少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータと、第1電圧レベル及び第2電圧レベルを制御する手段と、セルグループに第1電圧レベルが印加されることと第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるための、制御可能なセルグループごとの少なくとも1つのハーフブリッジスイッチペアとに基づく。
【0030】
本発明の利点は、単一のDC/DCコンバータで複数のグループにサービスすることができ、それ故にシステムのサイズ及びコストを減少させることである。また、導通損失及び電磁干渉を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】各スタックグループがそれ自身の非絶縁型AC/DCコンバータを持つ従来技術形態の一例を示している。
【
図2】本発明に従った電解電力変換のための例示的なシステムを示している。
【
図5】変動波形に対するセルグループ間のパルス制御の位相シフトの例示的な電流図を示している。
【
図6】変動波形に対するセルグループ間のパルス制御の位相シフトの例示的な電圧波を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に従ったシステムは、2つの異なる電圧レベル間で交番させるための少なくとも2つのキャパシタバンクを有する。キャパシタバンクは、単一の高電圧のディスクリートキャパシタによって構成されてもよいし、並列及び/又は直列の複数のキャパシタで構成されてもよい。これら2つのキャパシタバンクは1つの極を共通に持ち、且つこれらは双方向非絶縁型DC/DCコンバータによって接続される。これら高電圧及び低電圧のキャパシタバンクは、全てのセルグループに共通である。これらの共通の極は、全ての個々の燃料電池グループにも共通である。以下の説明及び参照図では、負極が共通であるように選択されているが、トポロジを逆にして、正側に共通レールを持つこともできる。
【0033】
各グループの個別制御が、高電圧キャパシタ電圧と低電圧キャパシタ電圧との間でハーフブリッジスイッチペアによって遂行される。ハイサイドスイッチがセルグループを高電圧キャパシタに接続し、ローサイドスイッチがセルグループを低電圧キャパシタに接続する。高電圧キャパシタバンクは電解電圧に制御され、低電圧キャパシタは燃料電池モード電圧に制御される。好適な一実施形態において、燃料電池グループは、直列の約750個のセルで構成され、それにより、電解モードでのセル当たり1.3-1.4Vの電圧での動作は、975-1100VのDCリンク電圧を生み出し、一方、0.7-0.85Vの範囲内での燃料電池動作は、525-640Vのローサイドキャパシタ電圧を生み出す。このハイサイド電圧は、690VのAC源からのアクティブ整流に最適である。セル数又は整流源電圧は、ハイサイドキャパシタの給電段における所与のトポロジに対して最適化されることができる。
【0034】
燃料電池グループ固有のハーフブリッジスイッチ状態を変更することによって、そのグループを、専用の誘導素子の必要なしに、電解、開回路、及び燃料電池動作の間で変えることができる。切り替えは、例えば10-100Hzといった低い周波数で行うことができ、スイッチング損失を最小限にする。このトポロジの更なる利点は、セルグループ固有のハーフブリッジが、ハイサイドキャパシタとローサイドキャパシタとの間の電圧差のみを経験することである。上の電圧例を用いると、これは575Vの最大電圧差を生じる。これは、グループ固有スイッチにおいて、より低電圧のギアを使用することを可能にし、サイズ、コスト、及び導通損失を更に減少させる。
【0035】
低電圧キャパシタを高電圧キャパシタとインタフェースさせるDC/DCコンバータは、燃料電池モードパルスの間に引き出された電力をハイサイドキャパシタバンクに再循環させることを担う。その電力レベル、ひいては、スイッチ及びインダクタのサイズは、電解電力送達と比較して著しく低い。例えば、電解の半分の電流密度及び約半分の電圧を有する20%の燃料電池モード比率で、平均電流は電解電力の約10%であり、平均電力は電解電力の5%に過ぎない。また、DC/DC変換のための50%近くのデューティが、インダクタのサイズにとって有利である。異なるセルグループのパルスをインターリーブすることにより、DC/DCは、その非常に低いパワー寸法をなおも保持しながら、全てのグループに同時にサービスすることができる。このDC/DCコンバータは、ディスクリートコンバータ又は例えば4レグインバータの1つのレグとすることができる。低電圧キャパシタは、後で説明するように、個別キャパシタンスであってもよいし、高電圧キャパシタのサブセットであってもよい。
【0036】
電解、開回路、及び/又は燃料電池動作モード間の急速パルス制御に関与する全ての動作モードにおいて、それぞれのモードのデューティを使用して、個々のセルグループの熱平衡を制御することができる。電解動作は、電圧に依存して、熱的に中性、負、又は正である。開回路は熱中性であるが、燃料電池モードはそれ自体、常に熱的に正である。反応物質の流れも熱平衡に影響を及ぼし、典型的に、環境への熱損失と同様に、正味の熱除去を引き起こす。例えば、個々のグループの燃料電池モードのデューティ比をわずかに調整することにより、セルグループを熱的にバランスさせて保つことができる。これに加えて追加の機構を使用することができる。ハイサイド及び/又はローサイドのキャパシタ電圧の意図的な変動を、切り替えの周波数で導入することができる。該変動は、例えば、平均電圧の1-10%とし得る。変動波形は、正弦波、三角波、又は矩形波とし得る。有利には、ローサイド電圧がハイサイド電圧と同相で変動される。セルグループがインターリーブ方式で電解モードと燃料電池モード(又は開回路)との間で交番するとき、電圧変動に対するパルスのタイミングが、異なるグループに対して異なる平均電圧を生じさせる。平均よりも熱いセルグループは、変動の頂点の間にその燃料電池モードパルスを持つように設定され、それにより、それは電解において最も低い平均電圧を持ち、燃料電池モードにおいて最も高い平均電圧を持ち、両モードにおいて電流の流れを最小化する。最も低温の又は最低実行のグループは、反対の位相に設定され、即ち、波形の底でローサイド電圧に接続され、それ故に電流を最大化する。従って、異なるグループに対して数パーセントのオーダーの平均電圧の差を達成することができ、典型的に、アンバランスを打ち消すのに十分である。
【0037】
電圧変動の量は、バランス化の必要性に応じて調整されることができる。異なるセルグループのインターリーブを動的に調整することで、バランス化の必要性に従って、どのグループが最も高い電圧又は最も低い電圧を受けるかを交代させることができる。スイッチングデバイス間の同期は、外部同期信号、内部位相又は外部位相ロックループを介して遂行され得る。変動(ひいてはパルス制御)周波数は、グリッドAC周波数又は該周波数の2倍に等しくすることができる。キャパシタ電圧におけるこのような変動は、僅かな位相アンバランスで三相電流を制御することによって容易に得ることができる。アンバランスを異なる位相に適用する複数の並列化されたシステムでは、全体的なアンバランスが相殺することになる。あるいは、周波数はグリッド周波数の偶数倍でなくてもよく、例えば50Hzグリッドに対して36Hzであってもよく、それによって、変動がグリッドと位相がずれたものとなり、高調波として現れなくなる。複数の並列システムが、僅かにオフセットされた周波数を使用してもよく、それにより、それらがグリッドレベルで打ち消し合うことになる。
【0038】
要するに、このトポロジは、燃料電池モードと電解モードとの間のカスタマイズ可能な切り替えを、低減されたスイッチング損失並びに最小化された量及びサイズの誘導成分で可能にする。燃料電池グループ固有のインダクタを排除するための前提条件は、ハイサイドキャパシタ電圧を動作ニーズに合わせて調整できることである。そのような場合、電解を、インダクタ及び高周波スイッチングの必要なしに、所望の電圧で行うことができ、ひいては、所望の電流でも行うことができる。上述の方法を用いて、グループ固有の電圧及び電流に対する微調整が更に可能である。セルグループ及び関連するケーブル配線に生来的に備わるインダクタンスは、スイッチング時の突入電流を制限する。ハイサイド電圧の柔軟性がより制限されている場合、又は上記突入電流を最小化することが望ましい場合、高周波スイッチ及びグループ固有のインダクタ若しくはLCフィルタの量を低減させることができる。この2レベルキャパシタ構成はなおも利益を提供する。ハーフブリッジスイッチにかかる電圧差がより低いことは、インダクタ上のリップルが低減させ、そのサイズを半分よりも大きく減らすことを可能にする。
【0039】
ハイサイド電圧が電解電圧よりも高い場合、ハーフブリッジのバック動作が、電解動作中にローサイドキャパシタンスから電力を引き出すことになる。例えば、ハイサイドキャパシタ電圧が1セル当たり1.4V相当であり、電解動作電圧が1.3Vであり、ローサイド電圧が1セル当たり0.7Vである場合、ローサイド及びハイサイドとの電圧差、すなわち、0.1V:0.6Vに反比例して、ハイサイド及びローサイドから電流が引き出される。これらの電圧例では、電解電流の14%がローサイドキャパシタンスから引き出される。電圧の選択により、この部分は0%と例えば20%との間で調整され得る。電解動作と燃料電池動作との間の交番により、燃料電池モード中のローサイドキャパシタンスへの電流の流れが、電解モード中の電力引き出しを打ち消す。先に示した例では、この平均電流は平均電解電流の10%の範囲内であった。電圧の適切な選択により、電解モード及び燃料電池モードにおける反対方向の電流の流れが相殺し合うことができ、低電圧キャパシタ及び高電圧キャパシタとインタフェースをとるDC/DCコンバータを通る電力の流れの必要性を排除する。適切な制御戦略を用いると、この別個のDC/DCコンバータを完全に排除することができる。ローサイドキャパシタの始動充電は、ハーフブリッジスイッチを介してハイサイド電圧充電と平行して遂行されることができ、その後、アクティブ制御及びパッシブ手段との組み合わせを介して所望レベルに維持されることができる。
【0040】
好ましい一実施形態において、ハイサイドキャパシタンスが少なくとも2つの直列接続されたキャパシタ又はキャパシタバンクからなり、ローサイドキャパシタがそのうちのサブセットであるように、ハイサイドキャパシタンス及びローサイドキャパシタンスが部分的に組み合わされる。上に提示した例において、ローサイド電圧は、ハイサイドのちょうど半分であり、すなわち、直列の2つの等しいキャパシタンスの中間点として好適であった。この中間点の電流、ひいては、電圧が制御されるとき、キャパシタ電圧の許容範囲内で電圧を中間点からオフセットさせることができる。複数の直列接続されたバンクからなる高電圧キャパシタバンクは、標準的なインバータ装置において容易に見つけることができる。
【0041】
真に双方向の動作向け、すなわち、燃料電池モードにおける間欠的なパルス動作とは対照的に持続的な動作向けに構成されたシステムでは、DC/DCコンバータとインタフェースをとるキャパシタバンクは、ハイサイド電圧を燃料電池レベルまで低下させることができるのでない限り、連続的な燃料電池電流に合わせて寸法決定される必要がある。しかし、このDC/DCコンバータ及び関連するインダクタの電力レベルは、より低い電流密度及び約半分の電圧に起因して、電解電力の25%程度にすぎない。このトポロジの利益は、単一のDC/DCで複数のグループにサービスできる一方で、グループが電流分担のアンバランスに陥ることを防止する能力を、さもなければ高すぎる電流分担を有することになるグループを間欠的にターンオフさせることによって遂行できることである。グループ間の差は小さいので、最も高い実行グループに対する数パーセントデューティのオフパルスで、アンバランスを増大させるのを防止するのに十分であろう。最適なパルス周波数は、この場合もやはり10Hz-100Hzの範囲内であり、それによってスイッチング損失及び電磁干渉が最小化される。
【0042】
このトポロジの更なる利点は、DC/DCコンバータとインタフェースをとるキャパシタバンクが、プロセス異常及び/又はフロー中断の間に燃料電池の電子的酸化保護を遂行できることである。セルグループ固有のハーフブリッジに生来的に備わる特徴は、それらのダイオードが、燃料電池電圧がローサイドキャパシタ電圧よりも低く低下した場合に、ローサイドキャパシタから燃料電池グループへの電流の流れを可能にすることである。酸化を防止するために、セル電圧は、セル当たり0.8-1.0Vの範囲内に保持されるべきである。従って、保護を遂行するためには、プロセス異常の間、キャパシタバンクがこの電圧を維持することを守ることで十分である。これは、ハイサイド電圧が利用可能なままであることを所与として、上記DC/DC自体で遂行されることができる。さらに、例えばバッテリバンクからエネルギーを供給する冗長フィードが存在することができる。バッテリバンクは、キャパシタ又は電源に直接接続されることができ、あるいは、保護されたAC源から整流されることができる。電力レベルが低いので、この冗長な供給は、複数の費用効果的なやり方で構成され得る。メインコンバータを受動状態にして上記保護を提供できる能力は、電力段における故障に対する堅牢性を提供する。同時エネルギー供給及び燃料電池以外への望ましくない電流の流れを防止するために、燃料電池回路をハイサイド電圧回路から切り離す手段が必要とされ得る。
【0043】
図2に、本発明に従った電解電力変換のための例示的なシステムを示す。電力ユニット140がスタック103に電気を提供する。ガス(例えば、空気、酸素O2、二酸化炭素CO2、窒素N2)が、ガス制御ユニット126から温度制御128を通って酸素側109に供給される。反応物質(すなわち、水H2O、二酸化炭素CO2、合成ガス)供給制御132が、反応物質洗浄ユニット134から水又は水と二酸化炭素との混合物を受け取り、蒸気を発生させるために蒸気発生器136に供給する。発生した蒸気は、温度制御ユニット138を通って燃料側107に供給される。燃料側107と酸素側109との間に電解質側104が位置する。共電解の炭素含有のために反応物質供給制御ユニット132から温度制御ユニット138への直接の経路もあることができる。
【0044】
燃料側から、温度制御ユニット138を通り、更には場合によって圧力制御ユニット120を通って生成ガス出口122への蒸気循環が行われる。生成ガスは、例えば、水素H2、アンモニア、メタン、及び/又は一酸化炭素である。一実施形態において、蒸気も、反応物質供給制御ユニット132に又は蒸気発生器136に再循環され得る。蒸気は、蒸気排出ユニット130から排出され得る。エジェクタ再循環機能のために蒸気排出ユニット130から温度制御ユニット138への経路もあることができる。酸素側109から、酸素が、温度制御ユニット128を通り、場合により圧力制御ユニット120を通って酸素出口124に送られる。
【0045】
図3に、本発明のシステムに従った例示的な回路を示す。当該システムは、制御可能な直列接続されたセルグループ103として構成された電解槽セル、及びセル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧での電解動作のための手段142を有する。手段144が、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧でセルグループから少なくとも間欠的に電流を引き出す。当該システムは、第1電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク150、及び第2電圧に維持される少なくとも1つの他のキャパシタバンク151を有する。これらのキャパシタバンク及びセルグループは、1つの極を共有に持つ。一実施形態において、当該システムは、高電圧キャパシタンスバンクが、少なくとも2つの直列接続されたキャパシタバンクを有し、ローサイドキャパシタバンクがそのうちのサブセットであるように部分的に組み合わされた高電圧キャパシタンスバンク及び低電圧キャパシタンスバンクを有することができる。少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータ146-148が、第1及び第2の電圧キャパシタバンクを接続する。当該システムは更に、第1及び第2電圧レベルを制御する手段と、アンバランス及びセル劣化の増大を防止するためにセルグループに第1電圧レベルが印加されることと第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるための、制御可能なセルグループごとの少なくとも1つのハーフブリッジスイッチペアとを有する。一実施形態において、当該システムは、同期信号を生成する手段と、ハーフブリッジスイッチ間の同期を遂行するための少なくとも1つの位相ロックループとを有し得る。当該システムはまた、同期信号を生成する手段156(
図4)と、ハーフブリッジスイッチ間の同期を遂行するための少なくとも1つの位相ロックループとを有し得る。
【0046】
提示された第1及び第2電圧範囲は、低温電解もカバーするように決定される。第1電圧範囲は、PEM及びアルカリ電解用途ではセル当たり2.5Vに至るまで拡張されてもよく、第2電圧範囲は、0.4-1.0Vまで拡張されてもよい。高温用途では、これらの電圧範囲は、より狭くなることができ、例えば、第1電圧は1.2-1.5Vの範囲内であり、第2電圧は0.6-0.9Vの範囲内であることができる。
【0047】
図4に、本発明に従った制御手段152、156の概略図を示す。当該制御手段は、マイクロプロセッサベースであり、測定結果(例えば、流速、流量、温度、電圧、電流など)に基づいて制御されて、
図3に示される例示的な回路160の動作を指示する。
【0048】
好適な一実施形態において、制御する手段152は、スイッチング損失及び電磁干渉を最小限にするために、10Hz-100Hzの周波数範囲内で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間でセルグループを交番させるように構成される。制御する手段152は、電解セル電圧、燃料電池電圧、及び開回路の間でセルグループをパルス制御するように構成され得る。ハーフブリッジスイッチ154(
図3)は、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間での交番の周波数よりも少なくとも10倍高いスイッチング周波数で非絶縁型DC/DCコンバータ146、148として動作するように制御され得る。第1電圧に対する1つの定義は、第1電圧が800Vより高く、第2電圧が800Vより低いこととすることができる。
【0049】
好適な一実施形態において、電圧レベルを制御する手段は、キャパシタバンクの少なくとも一方に対して、平均を中心に制御された電圧変動を提供するように構成される。変動周波数は、セルグループのパルス制御周波数に等しいことができ、それにより、変動波形に対するセルグループ間のパルス制御の位相シフト(t
seoec、t
sofc、t
ocv(オープンセル電圧))が、個々のセルグループに対して異なる平均電圧を提供する。電流図を例示的な
図5に示しており、例示的な
図6は電圧波(UL、UH)を示している。
【0050】
一実施形態において、制御する手段は、第2電圧レベル用に構成されたキャパシタバンクにおいて、セルグループにおける電解モード及び燃料電池モード中に反対方向の電流の流れを排除するための電圧を供給することによって交番を行うように構成され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解電力変換のためのシステムであって、当該システムは、制御可能な直列接続されたセルグループ(103)として構成された電解槽セルと、セル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧での電解動作のための手段(142)と、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧で前記セルグループから少なくとも間欠的に電流を引き出す手段(144)とを有し、
当該システムは、
前記第1電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク(150)及び前記第2電圧に維持される少なくとも1つのキャパシタバンク(151)であり、当該キャパシタバンク(150、151)と前記セルグループ(103)とが、1つの極を共通に持つ、キャパシタバンクと、
前記第1電圧及び前記第2電圧の前記キャパシタバンクを接続する少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータ(146、148)と、
前記第1電圧レベル及び前記第2電圧レベルを制御する手段(152)と、
アンバランス及びセル劣化の増大を防止するために前記セルグループ(103)に前記第1電圧レベルが印加されることと前記第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるための、制御可能なセルグループ(103)ごとの少なくとも1つのハーフブリッジスイッチのペア(154)と、
を有する、ことを特徴とする電解電力変換のためのシステム。
【請求項2】
前記制御する手段(152)は、スイッチング損失及び電磁干渉を最小限にするために、10Hz-100Hzの周波数範囲内で前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間で前記セルグループを交番させるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項3】
前記ハーフブリッジスイッチ(154)は、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間での交番の周波数よりも少なくとも10倍高いスイッチング周波数で非絶縁型DC/DCコンバータとして動作するように制御される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項4】
前記第1電圧は800Vより高く、前記第2電圧は800Vより低い、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項5】
前記制御する手段(152)は、電解セル電圧、燃料電池電圧、及び開回路の間で前記セルグループをパルス制御するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項6】
前記電圧レベルを制御する手段(152)は、前記キャパシタバンク(150、151)の少なくとも一方に対して、平均を中心に制御された電圧変動を提供するように構成され、前記変動の周波数は、前記セルグループのパルス制御周波数に等しく、それにより、前記変動の波形に対する前記セルグループ(103)間の前記パルス制御の位相シフトが、個々の前記セルグループ(103)に対して異なる平均電圧を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項7】
前記制御する手段(152)は、前記第2電圧レベル用に構成された前記キャパシタバンク(151)において、前記セルグループ(103)における電解モード及び燃料電池モード中に反対方向の電流の流れを排除するための電圧を供給することによって交番を行うように構成される、ことを特徴とする請求項5に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項8】
当該システムは、同期信号を生成する手段(156)と、前記ハーフブリッジスイッチ(154)間の同期を遂行する少なくとも1つの位相ロックループとを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項9】
当該システムは、高電圧キャパシタンスバンク(150)及び低電圧キャパシタンスバンク(151)を、該高電圧キャパシタンスバンクが少なくとも2つの直列接続されたキャパシタバンクを有し、そのうちのサブセットが該低電圧キャパシタンスバンクであるように部分的に組み合わされるようにして有する、ことを特徴とする請求項1に記載の電解電力変換のためのシステム。
【請求項10】
電解電力変換の方法であって、当該方法において、制御可能な直列接続されたセルグループ(103)として電解槽セルが構成され、セル当たり1.0-2.5Vの範囲内の第1電圧で電解動作が実行され、セル当たり0.4-1.0Vの範囲内の第2電圧で前記セルグループから少なくとも間欠的に電流が引き出され、
当該方法において、少なくとも1つのキャパシタバンク(150)が前記第1電圧に維持され、少なくとも1つのキャパシタバンク(151)が前記第2電圧に維持され、前記キャパシタバンク(150、151)と前記セルグループ(103)とが、1つの極を共通に持ち、少なくとも1つの双方向非絶縁型DC/DCコンバータ(146、148)が前記第1電圧及び前記第2電圧の前記キャパシタバンクに接続され、
当該方法において、アンバランス及びセル劣化の増大を防止するために前記セルグループ(103)に前記第1電圧レベルが印加されることと前記第2電圧レベルが印加されることとの間で個別に交番させるために、前記第1電圧レベル及び前記第2電圧レベルが制御される、
ことを特徴とする電解電力変換の方法。
【請求項11】
当該方法において、スイッチング損失及び電磁干渉を最小限にするために、10Hz-100Hzの周波数範囲内で前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間で前記セルグループが交番される、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項12】
前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間での交番の周波数よりも少なくとも10倍高いスイッチング周波数で非絶縁型DC/DCコンバータとして動作するようにハーフブリッジスイッチ(154)が制御される、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電解電力変換の方法。
【請求項13】
前記第1電圧は800Vより高く、前記第2電圧は800Vより低い、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項14】
当該方法において、電解セル電圧、燃料電池電圧、及び開回路の間で前記セルグループがパルス制御される、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項15】
当該方法において、前記キャパシタバンク(150、151)の少なくとも一方に対して、平均を中心に制御された電圧変動が提供され、前記変動の周波数は、前記セルグループのパルス制御周波数に等しく、それにより、前記変動の波形に対する前記セルグループ(103)間の前記パルス制御の位相シフトが、個々の前記セルグループ(103)に対して異なる平均電圧を提供する、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項16】
当該方法において、前記第2電圧レベル用に構成された前記キャパシタバンク(151)において、前記セルグループ(103)における電解モード及び燃料電池モード中に反対方向の電流の流れを排除するための電圧を供給することによって交番が行われる、ことを特徴とする請求項15に記載の電解電力変換の方法。
【請求項17】
当該方法において、同期信号
が生成され、少なくとも1つの位相ロックループが、前記ハーフブリッジスイッチ(154)間の同期を遂行す
る、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【請求項18】
当該方法において、高電圧キャパシタンスバンク(150)及び低電圧キャパシタンスバンク(151)が、該高電圧キャパシタンスバンクが少なくとも2つの直列接続されたキャパシタバンクを有し、そのうちのサブセットが該低電圧キャパシタンスバンクであるように部分的に組み合わされる、ことを特徴とする請求項10に記載の電解電力変換の方法。
【国際調査報告】