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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】イオン化真空計用チャンバ
(51)【国際特許分類】
   H01J 41/02 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01J41/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503468
(86)(22)【出願日】2023-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2023071914
(87)【国際公開番号】W WO2024033350
(87)【国際公開日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】CH000935/2022
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518303251
【氏名又は名称】インフィコン・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルヒリ,ウルス
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアウス,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ビュースト,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】バルトナー,アストリット
(72)【発明者】
【氏名】トレフツァー,ミヒャエル
(57)【要約】
真空圧力センサ(40)内のプラズマ生成領域(42)を境界付けるためのチャンバ(11、12、13)であって、前記チャンバは、中心軸に対して半径方向外側に配置された導電性ケーシング要素(1、1’、1”)を備え、前記チャンバは、中心軸に実質的に垂直に配置され、かつ前記ケーシング要素に接続された導電性壁要素(2、2’、2”)を備え、前記壁要素の少なくとも1つは、中心軸がそれを通って延びる第1の開口部(3)を有し、前記ケーシング要素は、少なくとも第1の領域(B1)および第2の領域(B2)を備え、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも前記中心軸の近くに位置する、チャンバ。
本発明はさらに、チャンバを備える真空圧力センサに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空圧力センサ(40)内のプラズマ生成領域(42)を境界付けるためのチャンバ(11、12、13)であって、前記チャンバは、中心軸(A)に対して半径方向外側に配置された導電性ケーシング要素(1、1’、1”)を備え、前記チャンバは、中心軸に実質的に垂直に配置され、かつ前記ケーシング要素に接続された導電性壁要素(2、2’、2”)を備え、前記壁要素の少なくとも1つは、中心軸(A)がそれを通って延びる第1の開口部(3)を有し、前記ケーシング要素は、少なくとも第1の領域(B1)および第2の領域(B2)を備え、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも前記中心軸の近くに位置する、チャンバ。
【請求項2】
前記ケーシング要素を通る断面は、前記中心軸に垂直な平面において多角形の形状を有する、請求項1に記載のチャンバ(11)。
【請求項3】
前記ケーシング要素は、少なくとも部分的に円錐形である、請求項1または2に記載のチャンバ(12、13)。
【請求項4】
前記ケーシング要素の前記第1の領域は、前記中心軸の軸方向に対して前記チャンバの中央に位置する、請求項1~3のいずれか1項に記載のチャンバ(13)。
【請求項5】
前記チャンバは、3つの互いに平行な壁要素を備え、3つの壁要素はすべて、前記中心軸がそれを通って延びる中央開口部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のチャンバ(11、12、13)。
【請求項6】
前記壁要素の少なくとも1つは第2の開口部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のチャンバ(11、12、13)。
【請求項7】
前記第1の開口部(3)は、前記少なくとも1つの壁要素の内縁によって囲まれており、前記内縁は、前記中心軸(A)に向かって突出する少なくとも第1のセクション(S1)と、前記第1のセクションよりも前記中心軸から離れている第2のセクション(S2)とを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のチャンバ(11、12、13)。
【請求項8】
カソードとしての請求項1~7のいずれか1項に記載のチャンバ(11、12、13)と、前記チャンバの前記中心軸に沿って配置されたアノード(41)と、前記チャンバの内部に磁場を生成するために前記チャンバの半径方向外側に配置された手段(44)と、を備える、真空圧力センサ(40)。
【請求項9】
アノードまたはアノードの一部としての請求項1~7のいずれか1項に記載のチャンバ(11、12、13)と、前記チャンバの前記中心軸に沿って少なくとも部分的に配置されたカソードと、前記チャンバの内部に磁場を生成するために前記チャンバの半径方向外側に配置された手段と、を備える、真空圧力センサ。
【請求項10】
前記真空圧力センサは、前記真空圧力センサ内側の前記プラズマ生成領域(42)と前記真空圧力センサ外側の測定空間との間の流体接続を確立するための開口を囲むフランジ(45)を有するハウジングをさらに備え、前記プラズマ生成領域から放出された電磁放射線が放射線透過性要素を介して前記ハウジングの外側に到達できるように、前記ハウジングの壁内に前記放射線透過性要素が配置され、前記チャンバは前記ハウジングの内側に配置され、前記第1の領域(B1)は、前記フランジ(45)に向かって配向された前記チャンバの第1の側に配置され、前記第2の領域(B2)は、前記放射線透過性要素(46)に向かって配向された前記チャンバの第2の側に配置され、特に、前記チャンバの前記導電性ケーシング要素は、前記フランジに向かって先細になる円錐台形状を有する、請求項8または9に記載の真空圧力センサ(40)。
【請求項11】
光学要素(53)および分光計(54)は前記ハウジングの外側に配置され、前記放射線透過性要素(46)および前記光学要素(53)は協働して、前記アノードの周りの領域(55)から放出された電磁放射線を収集して前記分光計の光学感応要素に集束させ、特に、前記光学要素(53)は、前記放射線放出領域(55)の軸方向変位を補償するように適合可能である、請求項10に記載の真空圧力センサ(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空圧力センサの技術分野に関する。特に、本発明は、イオン化真空計の形態の真空圧力センサ用のチャンバ、および本発明によるチャンバを備える真空圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
常圧を大幅に下回る圧力を決定することができる真空圧力センサまたは真空計が知られている。公知の真空圧力センサの中でも、いわゆるイオン化真空計は、測定範囲が特に広い。イオン化真空計では、残留ガスがイオン化されてプラズマが生成される。ガスをイオン化するのに必要な電子は、高温カソード(高温カソードイオン化真空計)または低温電極間の自立ガス放電(低温カソード真空計)のいずれかによって生成される。例えば、圧力を決定するためのパラメータとして、アノードからカソードへの電流が測定される。アノードおよびカソードは、生成されたプラズマと接触している。電場と磁場を適切に組み合わせることにより、真空圧力センサ内の電子の軌道を延長することができ、したがってイオン収率を高めることができる。生成されたプラズマは放射線を放出し、これは測定された電流に加えて分析することができ、圧力を決定するために、または残留ガスの組成を決定するためにも使用することができる。例として、国際公開第2021/052599号は、真空システム内の圧力を決定するための方法、およびプラズマによって放出された放射線を評価するように設計された真空圧力センサを開示している。
【0003】
そのような真空圧力センサでは、分析される電磁放射線は、少なくとも電磁スペクトルの範囲内で透過性である窓またはレンズを通って、プラズマが生成されるゾーンとは別個に配置された検出器上に至る。プラズマに起因して、場合によってはカソードへのプラズマ関連スパッタリング効果に起因して、窓またはレンズのプラズマ側は、例えば窓またはレンズに蓄積する薄い金属層に起因して、より長い動作時間にわたって放射線に対してだんだん透過性が低くなることが起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、真空圧力センサ内にプラズマを生成するための代替装置用の構成要素を提供することであった。特に、本発明の目的は、真空圧力センサ内でプラズマを生成する前述の副作用を最小限に抑える装置を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載のチャンバによって達成される。
本発明によるチャンバは、真空圧力センサ内のプラズマ生成領域を境界付けるように設計される。チャンバは、中心軸に対して半径方向外側に配置された導電性ケーシング要素を備える。チャンバは、中心軸に実質的に垂直に配置され、かつケーシング要素に接続された導電性壁要素をさらに備える。壁要素のうちの少なくとも1つは、中心軸がそれを通って延びる第1の開口部を有する。ケーシング要素は、少なくとも第1および第2の領域を備え、第1の領域は、第2の領域よりも中心軸の近くに位置する。
【0006】
壁要素の開口部のために、チャンバは、チャンバの中心軸に沿ってイオン化真空計のアノードロッドを受け入れるのに適している。チャンバは、カソードの役割を果たすことができる。
【0007】
ケーシング要素の第1および第2の領域は軸から異なる距離にあるため、ケーシング要素は円筒形ではない。一例として、第1および第2の領域は、異なる軸方向位置に配置されてもよく、または軸に対して方位角方向に異なる位置に配置されてもよい。中心アノードとケーシング要素との間に電圧が印加されると、ケーシング要素の中心軸と第1の領域との間には、ケーシング要素の第2の領域と中心アノードとの間よりも高い電界が生成される。本発明者らが認識したように、この違いは、チャンバに物理的に近接して配置された光学要素の耐用年数に有利であり得る。
【0008】
ケーシング要素は、一体に形成されてもよく、または複数の部品から構成されてもよい。
【0009】
壁要素は、例えば、強磁性材料を含むことができる。強磁性壁要素は、例えば、チャンバの外側に配置されたイオン化真空計の永久磁石の装置と相互作用して、チャンバの内部の磁場パターンに影響を及ぼすことができる。
【0010】
本発明によるチャンバの例示的な実施形態は、従属請求項2~7の特徴から明らかになるであろう。
【0011】
一実施形態では、ケーシング要素を通る断面は、中心軸に垂直な平面において多角形の形状を有する。
【0012】
多角形は、例えば、六角形または十二角形であってもよい。そのような多角形断面は、実質的に円筒形の環境によく適合するが、中心軸からより小さいおよびより大きい距離に位置する領域が存在することを保証する。したがって、中心軸とケーシング要素との間の距離は、方位角方向に応じて変化する。
【0013】
一実施形態では、ケーシング要素は、少なくとも部分的に円錐形である。
ケーシング要素は、例えば、円錐台の側面の形状を有することができる。この場合、上記の中心軸に近い第1の領域は、より小さい半径を有する円錐台の端部に位置する。
【0014】
一実施形態では、ケーシング要素の第1の領域は、中心軸の軸方向に対してチャンバの中央に位置する。
【0015】
例えば、ケーシング要素は2つの部分から形成されてもよく、各部分は円錐台の側面の形状を有し、半径が小さい方の側面はチャンバの中央で互いに当接しているか、または中央の壁要素に固定されている。
【0016】
一実施形態では、チャンバは、3つの互いに平行な壁要素を備え、3つの壁要素はすべて、中心軸がそれを通って延びる中央開口部を有する。
【0017】
この実施形態は、すべての壁要素を通って突出するイオン化真空計のアノードロッドを受け入れるのに適している。
【0018】
一実施形態では、壁要素の少なくとも1つは、第2の開口部を有する。
第2の開口部またはさらに別の開口部は、圧力が測定される空間へのより良好な流体力学的接続に役立つことができる。第2の開口部またはさらなる開口部はまた、プラズマ内で生成された電磁放射線のための複数の連続した放射経路を提供することができる。第2の開口部またはさらなる開口部は、中心軸から半径方向にオフセットして配置された開口部である。
【0019】
さらなる実施形態では、前記第1の開口部は、少なくとも1つの壁要素の内縁によって囲まれている。内縁は、中心軸に向かって突出する少なくとも第1のセクションを有する。内縁は、第1のセクションよりも中心軸から離れた第2のセクションを有する。
【0020】
本発明者らは、チャンバが真空圧力センサ内のプラズマ生成領域を境界付けるために使用されるときに、壁要素の内縁とアノードとの間の距離の変化をもたらす壁要素の内縁と中心軸との間の距離の変化が、真空圧力センサのより低い動作範囲における圧力などの好ましくない条件下でプラズマを点火するのに役立つことを認識した。
【0021】
そのような点火補助は、例えば、円形の内縁から内側に突出する1つまたはいくつかの小さなスパイクによって、内縁の輪郭が方位角方向に滑らかに変化することによって達成され得る。プラズマから放出された放射線が分析される場合、中心軸までの距離がより大きいセクションは、より少ない放射線をブロックする。この実施形態は、分光計が取り付けられた真空圧力計において特に有用である。代替的に、または上記と組み合わせて、内縁の表面は、中心軸に対して斜めに配向されてもよく、それにより、中心軸に向かって突出するセクションは、中心軸からより遠いセクションとは異なる軸方向位置にある。一例として、円錐ドリルによって前記開口部を穿孔することによって、第1の開口部の周りの先細リムを形成することができる。このようにして、第1の開口部の周りに比較的鋭い縁部を生成することができる。強磁性材料を含む壁要素を有する実施形態では、第1の開口部の内縁間の距離の変化は、電場の成形をもたらすだけでなく、さらに、中心軸に沿った特定の領域または特定の方位角位置に磁場を集中させるのに役立つ。
【0022】
また、本発明は、請求項8に記載の真空圧力センサに関する。本発明による真空圧力センサは、本発明によるチャンバを備える。真空圧力センサは、チャンバの中心軸に沿って配置されたアノードと、チャンバの内部に磁場を生成するためにチャンバの半径方向外側に配置された手段とをさらに備える。
【0023】
チャンバは、イオン化真空計の形態の真空圧力センサのカソードまたはカソードの一部として機能するのに適している。具体的には、上述した真空圧力センサは、逆マグネトロン型のイオン化真空計である。
【0024】
逆マグネトロン型の代替形態では、本発明はさらに、請求項9に記載の真空圧力センサに関する。
【0025】
本発明によるこの真空圧力センサは、アノードの役割を有する本発明によるチャンバを備える。真空圧力センサは、チャンバの中心軸に沿って少なくとも部分的に配置されたカソードと、チャンバの内部に磁場を生成するためにチャンバの半径方向外側に配置された手段とをさらに備える。
【0026】
チャンバは、イオン化真空計の形態の真空圧力センサのアノードまたはアノードの一部として機能するのに適している。逆マグネトロン型の前述の真空圧力センサに対してアノードとカソードの役割が入れ替わっているため、この代替的な真空圧力センサは、マグネトロン型のイオン化真空計である。
【0027】
真空圧力センサの実施形態は、請求項10および11の特徴から明らかになるであろう。
【0028】
真空圧力センサの一実施形態は、ハウジングをさらに備える。ハウジングは、真空圧力センサの内側のプラズマ生成領域と真空圧力センサの外側の測定空間との間の流体接続を確立するための開口を囲むフランジを有する。放射線透過性要素は、プラズマ生成領域から放出された電磁放射線が前記放射線透過性要素を介してハウジングの外側に到達することができるように、ハウジングの壁に配置される。本発明によるチャンバは、ハウジングの内側に配置される。チャンバのケーシング要素の第1の領域は、チャンバの第1の側面に配置され、第1の側面はフランジに向けられている。チャンバのケーシング要素の第2の領域は、チャンバの第2の側面に配置され、第2の側面は、前記放射線透過性要素に向けられている。
【0029】
この実施形態の特定の実現形態では、チャンバの導電性ケーシング要素は、前記フランジに向かって先細になる円錐台形状を有する。
【0030】
驚くべきことに、円錐形ケーシング要素上の中心軸と表面線との間の約3°の角度に対応する比較的わずかな先細が、低圧環境においてプラズマから放出される放射線の出力の増加をもたらす。これは驚くべきことであり、この構成と同様に、プラズマ生成領域は、放射線透過性要素からより遠くに配置されると予想され、これは、一見すると、ハウジングの外側で受ける放射線強度がより低くなると予想され得る。
【0031】
真空圧力センサのさらなる実施形態では、例えばレンズまたは鏡などの光学要素、および分光計が、前記ハウジングの外側に配置される。放射線透過性要素および光学要素は協働して、アノードの周りの領域から放出された電磁放射線を収集し、分光計の光学感応要素に集束させる。
【0032】
このタイプの真空圧力センサは、分光計の光学感応要素に到達する放射線強度の増加からも稼働時間の増加からも利益を得る。
【0033】
実施形態の特定の変形例では、光学要素は、放射線放出領域の軸方向変位を補償するように適合可能である。この変形例は、チャンバの導電性ケーシング要素が前記フランジに向かって先細になる円錐台形状を有する上述の実施形態と特に組み合わされてもよい。この実施形態では、放射線の最高放出を伴うプラズマ領域の中心および軸方向の延長は、圧力に応じて変化し得る。適合可能な光学要素、例えば中心軸の方向に移動可能なレンズは、分光計、光学要素、およびハウジングの壁内の放射線透過性要素によって形成された全体構成の焦点を調整するのに役立つ。制御ループを使用して、分光計に受け入れられる最大放射強度のために光学要素の位置を連続的に調整することができる。特に、放射線透過性要素は、それ自体レンズの形態で成形されてもよい。
【0034】
本発明の例示的な実施形態は、図を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】チャンバの第1の実施形態の異なる図をサブ図1.a)~1.c)に示す。
図2】チャンバの第2の実施形態の異なる図をサブ図2.a)~2.d)に示す。
図3】チャンバの第3の実施形態の異なる図をサブ図3.a)~3.d)に示す。
図4】概略的に示されたチャンバを有する真空圧力センサの長手方向断面図である。
図5】真空圧力センサの一実施形態の長手方向断面図である。
図6】サブ図6.a)~6.c)において、第1の開口部の変形例の軸方向の断面図を示し、サブ図6.d)において、第1の開口部の変形例の長手方向断面図を示す。
図7】サブ図7.a)~7.e)において、特定の寸法を有する第1の開口部の輪郭の変形例を示す。
図8】サブ図8.a)~8.d)において、第1の開口部の変形例を有する壁要素を斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1.a)および図1.b)は、チャンバの第1の実施形態11の2つの視野方向からの2つの斜視図を示す。この実施形態では、チャンバは、12角形の基部を有するプリズムの側面の形状のケーシング要素1を有する。3つの壁要素2、2’、2”はそれぞれ、チャンバ(2、2”)の両端および中間壁2’にクロージャを形成する。中間壁2’の外周上の6つの突出部は、ケーシング要素の長方形のスロットを通ってケーシング要素の外面を越えて突出する。第1の開口部3は、壁2”の中央に配置され、その結果、チャンバの中心軸Aは、この開口部を通って延びる。ここでは、イオン化真空計の中央アノードロッドが3つの中央開口部すべてを通過することができるように、中心軸が同様に延びる2つの壁2および2’の中央開口部は見えない。
【0037】
図1.c)は、壁要素2の平面図を示す。中央に配置された第1の開口部3とは別に、壁要素は、より大きい半径に合計6つのさらなる開口部4を有する。壁要素の外周上の外側に突出した突出部の間には締結領域5が位置し、ここで壁要素は、例えばスポット溶接によってケーシング要素に接続される。
【0038】
図2.a)および図2.b)は、チャンバの第2の実施形態12の2つの視野方向からの2つの斜視図を示す。この実施形態では、ケーシング要素1は円錐台の形状を有する。
【0039】
図2.c)は、同じ第2の実施形態12の平面図を示す。
図2.d)は、同じ第2の実施形態12の側面図を示す。一例として、円錐台の半開角は、この側面図に示すように、3°であってもよい。一例として、チャンバの長さLは、20mm~30mmの範囲内であってもよい。チャンバのこの実施形態はまた、3つの壁要素2、2’、2”を有する。
【0040】
図3.a)および図3.b)は、チャンバの第3の実施形態13の2つの視野方向からの2つの斜視図を示す。この実施形態では、ケーシング要素は2つの部分から形成され、ケーシング要素の各部分1’および1”は円錐台の側面の形状を有し、いずれの場合も、より小さい半径を有する円錐台の側面は、中間壁要素2’に締結される。このようにして、ケーシング要素の第1の領域は、中心軸に半径方向により近い位置にある領域であり、チャンバの中央に位置するようになる。
【0041】
図3.c)は、同じ第3の実施形態13の平面図を示す。
図3.d)は、同じ第3の実施形態13の側面図を示した。各々が3°の円錐の半開角を有する2つの円錐台は、この図において明確に見ることができる。
【0042】
図4は、アノード41およびカソードとしての本発明によるチャンバを有するイオン化真空計の形態の真空圧力センサ40を通って中心軸Aに沿って延びる長手方向断面を示す。チャンバは、壁要素2、2’、2”を有する。ケーシング要素1の形状および位置は、ここでは、プレースホルダとして破線で囲まれた領域によって概略的に示されている。ケーシング要素1の様々な形状がここで考えられる、すなわち、チャンバの上述の実施形態11、12および13のケーシング要素のいずれか1つがここで可能な選択肢である。チャンバのこれらの実施形態のいずれかでは、チャンバは一種の押し込みチャンバであり、真空圧力センサのフランジ側45からチャンバの図示の位置に押し込むことができる。チャンバの半径方向外側には、チャンバ内に磁場を生成するための手段として機能する永久磁石装置44が配置されている。永久磁石装置は、軸の周りに環状に延在する。1つの可能な実施形態によれば、この永久磁石装置は、有利には強磁性材料で作られた壁要素と相互作用する。真空圧力センサの動作中、すなわちアノードとカソードとの間に高電圧が印加されているとき、および圧力センサの測定範囲内にあるチャンバ内の圧力があるとき、アノードの周りのプラズマ生成領域42にプラズマが生成される。プラズマは電磁放射線43を放出し、電磁放射線は、対応する矢印で示すように、放射線透過性要素46、例えば窓またはレンズを介して外側に到達することができる。
【0043】
図5は、図4に示す実施形態よりも部分的に一般化された真空圧力センサの一実施形態の長手方向断面を、部分的に特定の詳細と共に示す。ここに示す真空圧力センサ50は、測定空間に接続されるフランジ45を有するハウジング51を有する。その反対側の端部において、この場合はレンズとして形成されている放射線透過性要素46は、放射線放出領域55から放出された電磁放射線がハウジングの外側に伝達されることを可能にする。放射経路は、例えば、任意選択の光学要素53を横切って分光計54に通じることができる。これらの特徴が真空圧力センサ50の一部ではないが、その機能を理解し、さらに特定の実施形態を示すのに有用であることを示すために、放射線放出領域55、指示放射経路、レンズの形態の光学要素53、および記号で示された分光計54が破線で示されている。ハウジングの内側に配置されたチャンバは、フランジ45に向かって先細になる円錐台形状のケーシング要素1を有する。このようにして、第2の領域B2よりも中心軸に近い第1の領域B1はフランジに近い側にあり、第2の領域B2は放射線透過性要素46に近い側にある。アノードロッド41は、ハウジングとチャンバとの共通の中心軸上に配置される。「+」および「-」で示される電気接点は、真空圧力センサの動作方法を示す。ここに示す変形例は、逆マグネトロンの真空圧力計が結果として生じるように、「+」接点に導電接続された中央アノードロッド41を有する。上述したように、アノードとカソードの役割を切り替えることにより、すなわち主に「+」と「-」を交換することにより、マグネトロン型の計器は、図5に示すように圧力センサをわずかに変更するだけで実装できる。ハウジング51および挿入されたチャンバは共にセンサのカソードを形成する。ハウジングの半径方向外側には、ハウジングの内部に磁場を発生させるための手段52が配置されている。チャンバは、2、2’および2”で示される3つの壁要素を有し、その各々は、中心軸が延びる開口部を有する。光学要素53は、放射線放出領域55がアノードに沿って移動する場合、または圧力に応じてこれがその軸方向の延伸において延伸または収縮する場合に、焦点を調整するために、両側矢印によって示すように、任意選択的に軸方向に移動可能であってもよい。
【0044】
図6は、壁要素の中心の第1の開口部の形状の変形例を示す。それぞれの壁要素のごく一部のみが示されている。ここに示されている変形例はすべて、第1の開口部3が壁要素の内縁によって囲まれており、内縁は、中心軸A’に向かって突出する少なくとも第1のセクションS1(図6.a~図6.cには図示せず)と、第1のセクションよりも前記中心軸から離れている第2のセクションS2とを有するという共通点を有する。複数の突出セクションS1が可能であり、例えば、図6.a)および図6.b)には3つの第1のセクションS1が存在し、図6.c)には6つの第1のセクションS1が存在する。図6.d)は、内縁の円錐面によって形成された突出領域S1を示す。ここに示されているすべての変形例は、点火補助として、すなわち、プラズマが真空圧力計の測定範囲に対して比較的低い圧力で点火され維持され得ることを助けるように作用し得る。突出セクションは、図6.b)および図6.d)のように鋭いスパイクとして形成されてもよいし、またはセクションS2の対応する凹みがそれらの近傍に形成される場合(図6.d)、それらは大きな半径(図6.a)で形成されてもよく、または平坦であってもよい。
【0045】
図7.a)~図7.e)は、壁要素の第1の開口部の輪郭の変形例を示し、すべての変形例は、開口部のおおよその直径5mmに基づく。突出セクション(S1)と凹みセクション(S2)は、それぞれ開口部の円周に沿って3回(図7.aおよび図7.b)、6回(図7.c)、4回(図7.d)または8回(図7.e)繰り返される。突出セクションは、円周の小部分(図7.a)に限定されてもよく、または円周の大部分(図7.b、7.c、7.d)を覆ってもよく、それらの間のより限定された凹みによって分離される。
【0046】
図8.a)~図8.d)は、上の図のうちの1つの壁要素2、2’または2”のうちの1つの役割を有することができ、かつ図7の対応するサブ図に示すような輪郭を有する第1の開口部3を有する完全な壁要素の斜視図を示す。すなわち、図8.a)の第1の開口部の輪郭は、一例として、図7.a)に表示された形状を有する。図8に示す壁要素の厚さは、図7の対応するサブ図に示す寸法に一致するように約1.5mmであってもよい。これらの壁要素は、例えば、強磁性材料で作られてもよい。ここに示す第1の開口部3に加えて、壁要素は、例えば図1.c)に示すように、他の半径方向位置に追加の開口部を有するようにさらに修正することができる。図8に示すすべての壁要素の第1の開口部の形態は、プラズマが比較的低い圧力で点火されるように、点火補助として使用することができる。
【0047】
本発明のすべての実施形態の技術的効果に戻ると、発明者らは、本発明が電極間の電圧を適切な値に設定する代わりに、幾何学的に電界強度変化を達成することを可能にすることを認識した。代わりに、適切な空間位置を探すことが可能になる。一例として、アノードの周りの円に沿った多角形断面を有する実施形態では、最大光を有する位置を探して、光学評価に使用することができる。プロセス条件が変化する場合、この幾何学的位置を追跡することができる。
【0048】
円錐形および円錐多角形タイプの実施形態は、軸に沿ってプラズマ密度を変化させることを可能にする。これは、発光体積を特定することが可能であり、これをスパッタリング最小値の発見と組み合わせること、すなわち、放射線透過性要素の長い耐用年数が可能であるという利点を有する。
【符号の説明】
【0049】
参照符号のリスト
1 ケーシング要素
1’,1” 複数部分ケーシング要素の部分
2,2’,2” 壁要素
3 第1の開口部(壁要素内)
4 第2の/さらなる開口部(壁要素内)
5 壁要素上の締結領域
6 壁要素上のマーキング
11,12,13 チャンバの実施形態
40 真空圧力センサ
41 アノード、例えばアノードロッド
42 プラズマ生成領域
43 放射線
44 永久磁石装置
45 フランジ
46 放射線透過性要素
50 真空圧力センサ
51 ハウジング
52 磁場を発生させるための手段
53 光学要素
54 分光計
55 放射線放出領域
A 中心軸
B1 第1の領域(中心軸寄り)
B2 第2の領域(中心軸からより遠い)
L(チャンバの)長さ
S1 壁要素の内縁の第1のセクション
S2 壁要素の内縁の第2のセクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空圧力センサ(40)内のプラズマ生成領域(42)を境界付けるためのチャンバ(11、12、13)であって、前記チャンバは、中心軸(A)に対して半径方向外側に配置された導電性ケーシング要素(1、1’、1”)を備え、前記チャンバは、中心軸に実質的に垂直に配置され、かつ前記ケーシング要素に接続された導電性壁要素(2、2’、2”)を備え、前記壁要素の少なくとも1つは、中心軸(A)がそれを通って延びる第1の開口部(3)を有し、前記ケーシング要素は、少なくとも第1の領域(B1)および第2の領域(B2)を備え、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも前記中心軸の近くに位置する、チャンバ。
【請求項2】
前記ケーシング要素を通る断面は、前記中心軸に垂直な平面において多角形の形状を有する、請求項1に記載のチャンバ(11)。
【請求項3】
前記ケーシング要素は、少なくとも部分的に円錐形である、請求項1または2に記載のチャンバ(12、13)。
【請求項4】
前記ケーシング要素の前記第1の領域は、前記中心軸の軸方向に対して前記チャンバの中央に位置する、請求項1または2に記載のチャンバ(13)。
【請求項5】
前記チャンバは、3つの互いに平行な壁要素を備え、3つの壁要素はすべて、前記中心軸がそれを通って延びる中央開口部を有する、請求項1または2に記載のチャンバ(11、12、13)。
【請求項6】
前記壁要素の少なくとも1つは第2の開口部を有する、請求項1または2に記載のチャンバ(11、12、13)。
【請求項7】
前記第1の開口部(3)は、前記少なくとも1つの壁要素の内縁によって囲まれており、前記内縁は、前記中心軸(A)に向かって突出する少なくとも第1のセクション(S1)と、前記第1のセクションよりも前記中心軸から離れている第2のセクション(S2)とを有する、請求項1または2に記載のチャンバ(11、12、13)。
【請求項8】
カソードとしての請求項1または2に記載のチャンバ(11、12、13)と、前記チャンバの前記中心軸に沿って配置されたアノード(41)と、前記チャンバの内部に磁場を生成するために前記チャンバの半径方向外側に配置された手段(44)と、を備える、真空圧力センサ(40)。
【請求項9】
アノードまたはアノードの一部としての請求項1または2に記載のチャンバ(11、12、13)と、前記チャンバの前記中心軸に沿って少なくとも部分的に配置されたカソードと、前記チャンバの内部に磁場を生成するために前記チャンバの半径方向外側に配置された手段と、を備える、真空圧力センサ。
【請求項10】
前記真空圧力センサは、前記真空圧力センサ内側の前記プラズマ生成領域(42)と前記真空圧力センサ外側の測定空間との間の流体接続を確立するための開口を囲むフランジ(45)を有するハウジングをさらに備え、前記プラズマ生成領域から放出された電磁放射線が放射線透過性要素を介して前記ハウジングの外側に到達できるように、前記ハウジングの壁内に前記放射線透過性要素が配置され、前記チャンバは前記ハウジングの内側に配置され、前記第1の領域(B1)は、前記フランジ(45)に向かって配向された前記チャンバの第1の側に配置され、前記第2の領域(B2)は、前記放射線透過性要素(46)に向かって配向された前記チャンバの第2の側に配置され、特に、前記チャンバの前記導電性ケーシング要素は、前記フランジに向かって先細になる円錐台形状を有する、請求項に記載の真空圧力センサ(40)。
【請求項11】
光学要素(53)および分光計(54)は前記ハウジングの外側に配置され、前記放射線透過性要素(46)および前記光学要素(53)は協働して、前記アノードの周りの領域(55)から放出された電磁放射線を収集して前記分光計の光学感応要素に集束させ、特に、前記光学要素(53)は、前記放射線放出領域(55)の軸方向変位を補償するように適合可能である、請求項10に記載の真空圧力センサ(40)。
【国際調査報告】