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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】貯蔵されたエラストマー複合材
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20240816BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240816BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20240816BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/013
C08L7/00
C08K3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503637
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022037571
(87)【国際公開番号】W WO2023003865
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,772
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/352,501
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521529592
【氏名又は名称】ビヨンド ロータス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】プラチー エー.ダーバル
(72)【発明者】
【氏名】ダーバル エー.ドシ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AB012
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AC111
4J002AH002
4J002BB151
4J002BB181
4J002BB241
4J002BD121
4J002BG041
4J002CN021
4J002CP031
4J002DA016
4J002DA026
4J002DA036
4J002DA047
4J002DE046
4J002DE216
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002EK007
4J002EP017
4J002EV087
4J002EV127
4J002EV257
4J002FD012
4J002FD016
4J002FD147
4J002GT00
4J002HA00
(57)【要約】
容器または包装体中に貯蔵されるエラストマー複合材が開示されている。この複合材は硬化されておらず、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでいる。この包装体または容器は、複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、この少なくとも1つの壁は少なくとも1つの酸素バリア層を含む。この酸素バリア層を有する容器または包装体は、23℃および0%相対湿度で100cm(m日atm)以下の酸素透過率を有している。また、ここに開示された包装体または容器でエラストマー複合材を貯蔵する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装されたエラストマー複合材であって、
10kPa未満の酸素の分圧を有する雰囲気中に前記複合材を収容する密閉された包装体を含んでなり、ここで前記複合材は、硬化されておらず、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでおり、ここで、
前記包装体は、前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、ここで前記少なくとも1つの壁は少なくとも1つの酸素バリア層を有し、それによって前記包装体は、23℃および0%の相対湿度で100cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有している、
包装されたエラストマー複合材。
【請求項2】
前記雰囲気が、7kPa以下の酸素の分圧を有する、請求項1記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項3】
前記雰囲気が、5kPa以下の酸素の分圧を有する、請求項1記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項4】
前記雰囲気が、少なくとも90%の、前記エラストマー複合材と非反応性である少なくとも1種のガスを含む、請求項1~3のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項5】
前記エラストマー複合材と非反応性である前記少なくとも1種のガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、および二酸化炭素から選択される、請求項4記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項6】
前記少なくとも1つの酸素バリア層が、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アルミニウム、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、およびそれらの混合物、およびそれらの金属化層から選択された材料を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項7】
前記少なくとも1つの酸素バリア層が、ポリアミド、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、金属、およびそれらの混合物、およびそれらの金属化層から選択された材料を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項8】
前記少なくとも1つの酸素バリア層が、金属化層または金属層を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項9】
前記少なくとも1つの壁が、金属化層または金属層を含まない、請求項1~5のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項10】
前記少なくとも1つの酸素バリア層が、金属、金属合金、セラミックス 炭素系ナノ材料、およびメラミン系材料から選択された材料を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項11】
前記少なくとも1つの壁が、前記酸素バリア層である単一の層の壁である、請求項1~10のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項12】
前記少なくとも1つの壁が、2つもしくは3つ以上の層を含み、前記の層の少なくとも1つが前記酸素バリア層である、請求項1~10のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項13】
前記少なくとも1つの壁が、可撓性である、請求項1~12のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項14】
前記少なくとも1つの壁が、硬質である、請求項1~12のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項15】
前記包装体の内部が、少なくとも10Lの体積を有する、請求項1~14のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項16】
前記包装体の内部が、少なくとも50Lの体積を有する、請求項1~14のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項17】
前記複合材が、少なくとも0.5phrの量で存在する劣化防止剤を含む、請求項1~16のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項18】
前記複合材が、0.5phr~10phrの範囲の量で存在する劣化防止剤を含む、請求項1~16のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項19】
前記複合材が、0.5phr~3phrの範囲の量で存在する劣化防止剤を含む、請求項1~16のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項20】
前記複合材が、劣化防止剤を実質的に含まない、請求項1~16のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項21】
前記複合材が、前記複合材の全質量に対して3質量%~20質量%の範囲の水分含有量を有する、請求項20記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項22】
前記包装体が、少なくとも1種の酸素スカベンジャーを更に含む、請求項1~21のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項23】
前記少なくとも1種の酸素スカベンジャーが、酸素透過性の小袋に収容されている、請求項22記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項24】
前記小袋が、前記包装体の内壁に付着されている、請求項23記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項25】
前記少なくとも1種の酸素スカベンジャーが、金属粉末、アスコルビン酸およびそれらの塩、ならびにカテコールから選択される、請求項22~24のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項26】
前記少なくとも1種の充填剤が、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、バイオ系充填剤、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、再生カーボン、またはそれらの組み合わせ、ならびにそれらのコーティングおよび化学処理された材料から選択される、請求項1~25のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項27】
前記少なくとも1種の充填剤が、もみ殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、熱水炭素から選択される請求項1~25のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項28】
前記少なくとも1種の充填剤が、カーボンブラック、シリカ、およびケイ素処理カーボンブラックから選択される、請求項1~25のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項29】
前記少なくとも1種のエラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~28のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項30】
前記少なくとも1種のエラストマーが、ジエン系エラストマーから選択される、請求項1~28のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項31】
前記少なくとも1種のエラストマーが、天然ンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴムおよびそれらの混合物から選択される、請求項1~28のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項32】
前記少なくとも1種のエラストマーが、少なくとも30%の天然ゴムを含み、そして前記少なくとも1種の充填剤が、少なくとも50%のカーボンブラックを含む、請求項1~28のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項33】
前記複合材が、硬化剤を更に含む、請求項1~32のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項34】
前記複合材が、少なくとも1.1のペイン比を有しており、ペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)であり、ここでG‘(0.3%)は0.3%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(51.5%)は、51.5%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率である、請求項1~33のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項35】
前記複合材が、80μm以下のマクロ分散d90を有しており、d90は、前記複合材中の前記充填剤の粒子の面積相当直径(μm)である、請求項1~34のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項36】
前記複合材が、熱処理された複合材である、請求項1~35のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項37】
前記包装体雰囲気中の酸素の量が、75ミリモル/kgエラストマー複合材以下である、請求項1~36のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項38】
前記複合材が、少なくとも5日間に亘って包装されている、請求項1~37のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項39】
前記複合材が、少なくとも14日間に亘って包装されている、請求項1~37のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項40】
エラストマー複合材を容器中に密閉すること、および前記複合材を前記の密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯蔵すること、を含んでなるエラストマー複合材を貯蔵する方法であって、
前記エラストマー複合材は未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含み、そして、
前記容器は前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、
前記少なくとも1つの壁が少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによって前記容器は23℃および0%の相対湿度で100cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有している、
方法。
【請求項41】
前記密閉の前に、前記方法が、前記容器の内側を、前記複合材と非反応性である少なくとも1種のガスでフラッシュすることおよび/または前記容器の内側を真空にすることを更に含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記密閉された容器が、少なくとも90%の、前記エラストマー複合材と非反応性である少なくとも1種のガスを含む雰囲気を有する、請求項40または41記載の方法。
【請求項43】
前記密閉された容器が、真空下にある、請求項40または41記載の方法。
【請求項44】
前記複合材が、前記密閉された容器中に、少なくとも14日間に亘って貯蔵される、請求項40~43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
前記密閉の前に、前記方法が、前記複合材を40℃以上の温度で熱処理することを更に含む請求項40~44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
前記密閉の時に、前記複合材が40℃以上のプローブ温度を有する、請求項40~45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記複合材が、少なくとも固体エラストマーと充填剤および液体を含む湿潤充填剤とを混合することによって調製され、前記液体が、湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも15質量%の量で存在する、請求項40~46のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
エラストマー複合材または前記複合材から形成された配合物の少なくとも1つの特性を維持するかまたは高める方法であって、
前記エラストマー複合材を密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯槽することを含み、
前記エラストマー複合材が、未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含み、そして、
前記容器が、前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、
前記少なくとも1つの壁が、少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによって前記容器は23℃および0%の相対湿度で100cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有している、
方法。
【請求項49】
前記エラストマー複合材が、前記密閉された容器中に、少なくとも14日間に亘って貯蔵される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記貯蔵されたエラストマー複合材または前記貯蔵されたエラストマー複合材から形成された配合物が、前記包装体を密閉する前の前記複合材のペイン比に対して少なくとも10%だけ低下したペイン比を有しており、
ペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)であり、ここでG‘(0.3%)は0.3%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(51.5%)は、51.5%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率である、
請求項48または49記載の方法。
【請求項51】
前記貯蔵されたエラストマー複合材から形成された前記配合物が、前記包装体を密閉する前の前記複合材の最大tanδ値に対して少なくとも10%だけ低下した最大tanδ値を有する、請求項48~50のいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
前記複合材が、前記少なくとも1種のエラストマーを前記少なくとも1種の充填剤と混合する間に、少なくとも1種の架橋剤を混合することによって形成された生成物である、請求項1~39のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項53】
前記複合材が、前記少なくとも1種のエラストマーを前記少なくとも1種の充填剤と混合する間に、少なくとも1種の架橋剤を混合することによって形成された生成物である、請求項40~51のいずれか1項記載の方法。
【請求項54】
前記複合材が、少なくとも1種の架橋剤を更に含む、請求項40~51のいずれか1項記載の
【請求項55】
前記少なくとも1種の架橋剤が、
第1の官能基が、-NR、-N(R)(R)(R、-S-SO、ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択される、
【化1】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ニトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR、NR、-S、そしてnは1~6から選択される整数であり、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO、-S、-SH、-C(R)=C(R)--C(O)R、-C(R)=C(R)-CO、-C(R)=C(R)-COから選択され、そして、
~Rは、それぞれ独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され、MおよびMは、それぞれ独立して、H、Na、K、Li、N(R‘) から選択され、ここで、それぞれのR‘は、独立して、HおよびC~C20アルキルから選択され、そしてxは1~8から選択される整数である、
を含む、請求項52記載の包装されたエラストマー複合材あるいは請求項53または54記載の方法。
【請求項56】
前記架橋剤が、前記第1と第2の官能基の間に少なくとも1つのスペーサを更に含み、前記少なくとも1つのスペーサが、-(CH-、-(CHC(O)-、-C(R)=C(R10)-、-C(O)-、-N(R)-、および-C-から選択され、ここでRおよびR10は、それぞれ独立してHおよびC~Cアルキルから選択され、そしてyは1~10から選択される整数である、
請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記架橋剤が、チオ尿素、シスタミン、ならびに式(1)、式(2)および式(3)の化合物、
【化2】
から選択される、請求項52記載の包装されたエラストマー複合材あるいは請求項53または54記載の方法。
【請求項58】
およびMは、それぞれ独立してH、Na、およびN(R’) から選択され、そしてRおよびRは、HおよびC~Cアルキルから独立して選択される、請求項55~57のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材または方法。
【請求項59】
前記架橋剤が、式(I)の化合物から選択され、そしてRおよびRはそれぞれHである、請求項57または58記載の包装されたエラストマー複合材または方法。
【請求項60】
前記架橋剤が、ナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートである、請求項52記載の包装されたエラストマー複合材あるいは請求項53または54記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されているのは、酸素バリア壁を有する容器または包装体中に貯蔵または包装されたエラストマー複合材である。
【背景技術】
【0002】
商業的に有用な数多くの製品がエラストマー複合材で形成されており、そこでは補強用充填剤がいずれかの種々の合成エラストマー、天然ゴムまたはエラストマー混合物中に分散されている。カーボンブラックおよびシリカが、例えば、天然ゴムまたは他のエラストマーを補強するために広範に用いられている。マスターバッチを生成するのが通常であり、それは、補強用充填剤、エラストマー、および種々の随意選択的添加剤、例えばエクステンダ油の予備混合物である。そのようなマスターバッチは、次いで加工用および硬化用添加剤と配合されて、硬化によって、商業的に有用な数多くの製品を生み出す。そのような製品としては、例えば、車輌用の空気入り、および非空気入り、またはソリッドタイヤが挙げられ、キャップおよびベース、アンダートレッド、インナーライナー、サイドウォール、ワイヤスキム、カーカスを含むトレッド部分などを含んでいる。他の製品としては、例えば、エンジンマウント、ブッシング、コンベヤベルト、風防ガラスワイパー、航空宇宙および船舶用装置のためのゴム部品、車両軌道要素、シール、ライナー、ガスケット、ホイール、バンパー、防振システムなどが挙げられる。
【0003】
コム配合物中の補強用充填剤の良好な分散は、機械的強度および一貫したエラストマー複合材およびゴム配合物の性能を達成する要因であると認識されている。ゴム配合物は、エラストマー複合材から調製され、エラストマー複合材は、充填剤およびエラストマーの、随意選択的に1種もしくは2種以上の添加剤との未硬化の混合物である。エラストマー複合材は、マスターバッチとしてもまた知られており、付加的な添加剤および硬化剤と配合されることができ、そして次いで1つもしくは2つ以上の加硫プロセスに付される。そのために、エラストマー複合材は、(硬化された)ゴム配合物と比較して分解をより受け易い可能性があり、そのことが加硫の前に貯蔵および/または出荷された場合に課題を与える。従って、長期間に亘って貯蔵された場合に、エラストマー複合材の実質的な分解を防止する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様は、
21kPa未満(例えば、20kPa未満、15kPa未満、10kPa未満、7kPa未満、または5kPa未満)の酸素の分圧を有する雰囲気に複合材を収容する密閉された包装体、ここでその複合材は未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーと少なくとも1種の充填剤を含んでいる、ここで、
その包装体は、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、その少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含んでおり、そのためにその包装体は23℃および0%の相対湿度(RH)において100cm/(m日atm)以下の酸素透過度を有している、
を含む包装されたエラストマー複合材である。
【0005】
他の態様は、
エラストマー複合材を容器中に密閉し、その密閉された容器中の複合材を、少なくとも5日間に亘って貯蔵すること、ここで、
そのエラストマー複合材は、未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでいる、ならびに、
その容器は、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、その少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含んでおり、そのためにその容器は23℃および0%の相対湿度において100cm/(m日atm)以下の酸素透過度を有している、
を含むエラストマー複合材の貯蔵方法である。
【0006】
他の態様は、エラストマー複合材またはその複合材から形成された配合物の少なくとも1つの性質を維持する、または高める方法であって、
密閉された容器中に、少なくとも5日間に亘って貯蔵すること、ここで、
そのエラストマー複合材は、未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでいる、そして、
その容器は、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、ここで、その少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含んでおり、そのためにその容器は23℃および0%の相対湿度において100cm/(m日atm)以下の酸素透過度を有している、
を含む方法である。
【0007】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用できるのであれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法(例えば、エラストマー複合材の貯蔵方法またはエラストマー複合材もしくはその複合材から形成された配合物の少なくとも1つの性質を維持するまたは高める方法)は、以下の態様のいずれかの1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;その包装体または容器中の雰囲気は、7kPa以下または5kPa以下の酸素の分圧を有している;その包装体または容器中の雰囲気は、そのエラストマー複合材と非反応性の少なくとも1種の気体を少なくとも90%含んでいる;そのエラストマー複合材と非反応性のその少なくとも1種の気体は、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、および二酸化炭素から選択され;その密閉された包装体または容器は真空下にある。
【0008】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用できるのであれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれかの1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;少なくとも1つの酸素バリア層は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アルミニウム、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、およびそれらの混合物、およびそれらの金属化層から選択された材料を含んでいる;少なくとも1つの酸素バリア層は、ポリアミド、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、金属、およびそれらの混合物およびそれらの金属化層から選択された材料を含んでいる;少なくとも1つの酸素バリア層は、金属化された層または金属層を含んでいる;前記の少なくとも1つの壁は、金属化された層または金属層を含まない;前記の少なくとも1つの酸素バリア層は、金属、金属合金、セラミックス 炭素系のナノ材料、およびメラミン系材料から選択された材料を含んでいる;前記の少なくとも1つの壁は、酸素バリア層である単一層の壁である;前記の少なくとも1つの壁は、2つもしくは3つ以上の層を含み、ここでそれらの層の少なくとも1つは酸素バリア層である;前記の少なくとも1つの壁は、可撓性である;前記の少なくとも1つの壁は、硬質である;前記の包装体の内部は、少なくとも10L、または少なくとも50Lの容積を有している。
【0009】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用できるのであれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれかの1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;複合材は、少なくとも0.5phrの量、例えば0.5phr~10phrの範囲の量、または0.5phr~3phrの範囲の量、またはここに開示された他の範囲の量で、劣化防止剤を含んでいる;複合材は、劣化防止剤を実質的に含まない;複合材は、複合材の全質量に対して3質量%~20質量%の範囲の水分含有量を有している;包装体は、少なくとも1種の酸素スカベンジャーを更に含んでいる;前記の少なくとも1種の酸素スカベンジャーは、酸素透過性の小袋(sachet)中に収容されている;前記の小袋は、包装体の内壁に付着されている;前記の少なくとも1種の酸素スカベンジャーは、金属粉末、アスコルビン酸、およびそれらの塩、およびカテコールから選択される。
【0010】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用可能であれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;少なくとも1種の充填剤は、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、バイオ系充填剤、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、再生カーボン、またはそれらの組み合わせ、およびそれらのコーティングおよび化学処理された材料から選択される;少なくとも1種の充填剤は、もみ殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、熱水炭素から選択される;少なくとも1種の充填剤は、カーボンブラック、シリカ、およびシリカ処理カーボンブラックから選択される。
【0011】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用可能であれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;少なくとも1種のエラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される;少なくとも1種のエラストマーは、ジエン系エラストマーから選択される;少なくとも1種のエラストマーは、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、およびそれらの混合物から選択される;複合材は、少なくとも30%の天然ゴムを含む少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも50%のカーボンブラックを含む少なくとも1種の充填剤を含んでいる;複合材は、硬化剤を更に含んでいる。
【0012】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用可能であれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;この複合材は、少なくとも1.1のペイン比を有しており、ここでペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)であり、ここでG‘(0.3%)は0.3%のひずみ振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(51.5%)は、51.5%のひずみ振幅で測定された動的貯蔵弾性率である;この複合材は、80μm以下のマクロ分散d90を有しており、ここでd90は複合材中の充填剤の粒子の面積相当直径(μm)である。
【0013】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用可能であれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;この複合材は熱処理された複合材である;包装体または容器雰囲気中の酸素の量は、75ミリモル/kgエラストマー複合材以下である;この複合材は、少なくとも5日間または少なくとも14日間またはここに開示された他の期間に亘って包装され、または貯蔵され、または養生されている。
【0014】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用可能であれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;包装体または容器を密封する前に、包装体または容器の内部はその複合材と非反応性である少なくとも1種の気体でフラッシュされるおよび/または真空にされる;包装体または容器を密封する前に、複合材は少なくとも40℃の温度で熱処理される;複合材を収容する包装体または容器を密封するときに、その複合材は少なくとも40℃のプローブ温度を有している:複合材は、少なくとも固体エラストマーおよび充填剤と液体とを含む湿潤充填剤を混合することによって調製され、ここでこの液体は湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも15質量%の量で存在する。
【0015】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用可能であれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;貯蔵されたエラストマー複合材から形成された貯蔵されたエラストマー複合材または配合物は、包装体を密閉する前のその複合材のペイン比に対して少なくとも10%だけ低下したペイン比を有しており、ここでペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)であり、ここでG‘(0.3%)は0.3%のひずみ振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(51.5%)は、51.5%のひずみ振幅で測定された動的貯蔵弾性率である;貯蔵されたエラストマー複合材から形成された配合物は、包装体を密閉する前のその複合材の最大tanδ値に対して少なくとも10%だけ低下された最大tanδ値を有している。
【0016】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用可能であれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;この複合材は、少なくとも1種のエラストマーを少なくとも1種の充填剤と混合する間に、少なくとも1種の架橋剤を混合することによって形成された生成物である;この複合材は、少なくとも1種のエラストマーを少なくとも1種の充填剤と混合する間に、少なくとも1種の架橋剤を混合することによって形成された生成物である;この複合材は、少なくとも1種の架橋剤を更に含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
エラストマー(例えば、ジエン系エラストマー)は、空気/酸素の存在で劣化することが知られている。劣化は、ポリマー鎖の切断および/または架橋の形態で起こる可能性があり、それらはゴム特性に影響する可能性がある。エラストマー複合材は、架橋剤、例えば硫黄の存在で硬化されることができて、架橋をもたらし、硬化された(複合材に対して)そして劣化に関してより大きな安定性を有する加硫物をもたらし、加硫物の劣化は、なお起こる可能性はあるものの、しかしながら未硬化の複合材の劣化からの影響と比較して、特定の性能特性に対してより小さな影響しか有さない可能性がある。しかしながら、未硬化のエラストマー複合材を長期間(例えば、3、6、9月間、または1もしくは2年間)に亘って貯蔵する必要性がある可能性がある。更には、倉庫内または輸送(トラック、輸送コンテナ)の間にしばしば存在する高温は、劣化の速度を加速する可能性がある。この速度を低下させるために、複合材は冷蔵庫内または空調の下で貯蔵されることができる。そのような貯蔵の解決策は、しかしながら、過剰なエネルギー消費および冷却設備を必要とする。
【0018】
高い酸素バリア材料は、ゴムと充填剤を含む未硬化の複合材およびそのような複合材から形成された配合物のゴム特性が効果的に維持されるか、または特定の例においては、驚くべきことに、向上されるように、十分な期間に亘って低い酸素含有量を有する雰囲気を提供することができたことはこれまでは認識されていなかった。そのため、そのようなエラストマーおよび複合材を低い酸素の雰囲気下に貯蔵することは、当業界において典型的ではない。その改善は、ゴム特性においてもたらされる可能性があり、ゴム特性は少なくとも5%だけ、または少なくとも10%だけ高められ、ここでその改善は、数値の増加(例えば、引張応力比)、または数値の低下(例えば、最大のtanδによって示されるヒステリシス、ペイン効果および/またはペイン比)であることができる。
【0019】
ここに開示されているのは、包装されたエラストマー複合材(または貯蔵されたまたは養生されたエラストマー複合材)およびそのような複合材を貯蔵および/または包装するための方法、ならびにそのような貯蔵または包装された複合材から形成された複合材またはゴム配合物の少なくとも1つのゴム特性を維持するおよび/または高める(向上させる)ための方法である。ここで言及されるゴム特性は、複合材それ自体の、またはその複合材から形成されたゴム配合物のゴム特性であることができ、ここでゴム配合物は、エラストマー複合材を加硫すること(加硫物)、すなわちその複合材を硬化剤(加硫剤)、例えば硫黄、過酸化物などの存在で硬化することからもたらされる。
【0020】
ここに開示されているのは、包装されたエラストマー複合材であり、
その複合材を10kPa未満の酸素の分圧を有する雰囲気に収容する密閉された包装体、ここでその複合材は、未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでおり、ここで、
この包装体は、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、その少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによってその包装体は、23℃および0%の相対湿度において100cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有している、
を含んでいる。
【0021】
従って、1つの態様では、容器中に密閉された複合材またはその複合材を収容するもしくは格納する包装体が提供され、ここでその容器または包装体は、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含んでおり、そしてその少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによってその容器または包装体は長期間に亘って低い酸素含有量を維持する。壁は、酸素バリア層である単一の層を含むことができ、あるいは複数の層(2つもしくは3つ以上の層)を含むことができ、その少なくとも1つは酸素バリア層である。酸素バリア層は、容器の外側(外部)からの容器の内側(内部)への酸素の輸送速度を実質的に低下させる。酸素バリア壁を有する容器または包装体(少なくとも1つの酸素バリア層を含む)を介して複合材へ暴露される酸素の量を制限することによって、複合材の劣化は実質的に阻止されることができる。
【0022】
ここに開示される複合材は、そのエラストマー複合材を取り囲みそして格納し、そしてそれらが所望の酸素バリア性能を与える限りにおいていずれかの形状もしくは大きさであることができる、1つもしくは2つ以上の容器または包装体中に貯蔵されおよび/または包装されおよび/または収容される。この容器は、包装体(例えば、箱、クレート、袋)またはいずれかのチャンバ、例えばいずれかの容積のグローブボックス、部屋などであることができ、その中で、内部の酸素は所望の量で維持されることができる。1つの態様では、その容器または包装体は、標準の温度および圧力において、100cm/(m日atm)以下の酸素透過率(OTR)を有している。容器および包装体の酸素透過率は、酸素バリア層(酸素バリア壁)を構成する壁の酸素バリア特性から定められることができる。酸素透過率は、ASTM D3985に従って定めることができ、それは海水面において73°Fおよび0%相対湿度のような条件の下で行われることができる。他の態様では、酸素透過率は、50%相対湿度、または65%相対湿度で測定され、または報告されることができる。随意選択的に、少なくとも1つの壁は、23℃(73°F)および0%の相対湿度(RH)で100cm/(m日atm)以下、例えば23℃(0%相対湿度)で、50以下、10以下、5以下、1以下0.5以下、0.1以下、0.05以下、0.01以下、0.005以下、0.001cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有することができる。
【0023】
容器または包装体の壁は、密封されたときに容器を形成する1つもしくは2つ以上の部分を含むことができる。例えば、典型的な箱は、上面および底面壁部分に加えて4つの側壁部分を含むことができる。壁部分の数は、多様である、例えば、上面および底面壁部分で密封された単一の、円筒形の側壁部分、あるいはくぼみに沿って折りたたんで容器を形成するように構成された連続壁、またはさらに1つもしくは2つ以上の壁部分と更に結合された連続壁であることができることが理解される。いずれかの数の側壁部分が用いられることができる(六角系の箱または容器、くさび型の箱または容器など)。袋やパウチは、通常、1つもしくは2つ以上の壁部分、例えば突き合わさる端部を介して互いに結合されて1つもしくは2つ以上の側壁部分(そして随意選択的に底部壁部分)を形成して、それによって少なくとも2つの未閉鎖端部が開口部を形成し、それが包装の際に密封されることができる(例えば、密閉するように密封される)、2つもしくは3つ以上の可撓性の壁部分が含まれる。
【0024】
より具体的な例として、可撓性の包装体は、長さと幅の同じ寸法を備え、それぞれが4つの端部を有していて正方形もしくは矩形の壁部分を形成する、2つの全く同じの可撓性壁部分を含むことができる。この2つの可撓性の壁部分は、3つの突き合わさる端部を密封することによって互いに付着されることができ、第4の端部は、密封されないままで、包装体中にエラストマー複合材を挿入するための開口部を与える。典型的には、容器の全ての壁部分(側壁部分、上部および/または底部の壁部分)は同じ材料で作られている;その壁(および包装体)の酸素バリア特性は、その場合、いずれかの壁部分の酸素透過率から定められることができる。変更を起こすことができ、例えば底部の壁部分は、1つもしくは2つ以上の構造的支持層を含むことができ、更なる強度を与え、上部または側壁部分は、容器および/または密封可能な層(例えば、ヒートシール可能な)または包装体を密封する(ヒートシールする)ための接着剤の開放を容易にするように構成されることができる。結果として、それらの部分は、異なる酸素バリア特性を有することができる。包装体の酸素透過率は、それ故、容器の全体の表面に亘る面積平均であることができる。
【0025】
シールに関しては、密閉は、気密のシールを表しており、包装体にOバリア特性を与えて、それによって包装体の外部から内部への酸素透過率は、23℃および0%の相対湿度において100cm/(m日atm)以下、またはここに開示される他の量である。気密のシールは、1つの例としては、2つのシール可能な層を互いにヒートシールする、例えば側壁の端部を互いにヒートシールすることによって形成されることができる。気密にシールされた(例えば、端部をシールされた)包装体は、酸素バリア壁と同じか、または実質的に同じ酸素透過率を有することができる。
【0026】
2つ以上の壁を有する容器または包装体は、2つもしくは3つ以上の容器、例えば、エラストマー複合材を取り囲みそして格納する第2の容器を取り囲む第1の容器、であることができる。それぞれの容器は、単層または多層の壁であることができる壁を含んでいる。例えば、第1の容器は、第1の酸素バリア特性を備えた壁を有することができ、そして第2の容器は、第2の酸素バリア特性を備えた壁を有することができる。具体的な例としては、1つの容器(1つの壁)は、包装されるべき材料の形状を取り囲み、そして随意選択的に共形である可撓性膜(例えば、ライナー)を含むことができ、結果として裏打ちされたもしくは包まれた材料あるいはシュリンク包装された材料をもたらす。第2の容器(または第2の壁)は、裏打ちされた材料を取り囲む、より可撓性の小さいまたは硬質の材料を含むことができ、貯蔵(それは輸送を含むことができる)の間の破壊および/または変形から保護する。いずれの場合でも。複数の壁または複数の容器があるとしても、それぞれの容器は酸素バリア特性を有することができ、それによってエラストマー複合材は、所望の酸素バリア特性、例えば、23℃および0%の相対湿度において100cm/(m日atm)以下またはここに開示された他の値の酸素透過率、の影響下に置かれる。例えば、複合材は、2つの壁、それぞれが酸素バリア特性を有しており、例えばエラストマー複合材を包むライナーである1つの壁、および包まれた複合材を格納する容器である第2の壁、の内部に格納されることができる。それぞれの壁(それぞれの容器の)の酸素透過率は、100(cm/m日atm)より低くなくともよいが、しかしながら組み合わされて、2つの壁(例えば、ライナーと包装体)を含む容器は、(100cm/m日atm)以下の所望の酸素透過率を達成することができる。2つ以上の容器(または2つ以上の壁)について、全体の酸素透過率(OTR)は、以下の式で定められることができる。
【数1】
式中、「OTRwall1」および「OTRwall2」は、それぞれの容器(それぞれの壁)のそれぞれの酸素透過率を表している。上記の式は、1つの壁内の多層または酸素バリア多層(例えば、複合材の周りを複数回包むシュリンク包装または他の共形性ライナーは、1つの壁の内の多壁または多層と考えられることができる)に適用することができる。
【0027】
随意選択的に、酸素バリア特性を有していない1つもしくは2つ以上の容器が、酸素バリア壁を有する容器に加えて、エラストマー複合材を格納するのに用いられることができる。例えば、この更なる容器は、その複合材がフリットまたは顆粒などの形態である場合に、複合材の形状を支持または維持するための可撓性のメッシュまたは袋であることができる。あるいは、その更なる容器は、酸素バリア特性のないもしくは貧弱な木製の、または紙製の、または段ボール製(または他の非バリア材料)の箱、あるいはシートまたは格子状のものであることができ、あるいは繊維質である、例えば布であることができる。この更なる容器は、酸素バリア容器(すなわち、酸素バリア壁を有する容器)の外側または内側(または両方)に配置されることができて、更なる構造的支持を提供し、および/またはさもなければ輸送および/または取り扱いを容易にさせる。
【0028】
ここに開示された容器または包装体は、いずれかの所望の体積または大きさであることができる。この容器の内部は、少なくとも1L、少なくとも10L、少なくとも20L、または少なくとも50Lの体積(内側体積)を有することができる。この容器は、密閉された部屋または輸送用コンテナの大きさ、例えば1L~40000L,1L~20000L、1L~10000L、1L~2000L,1L~100L、1L~50L、1L~20L、1L~10Lの範囲、であることができる。一方が他方の中に格納された2つもしくは3つ以上の容器では、体積は、より大きな酸素バリア容器の体積である。例えば、輸送用コンテナは、20000Lまでの、または40000Lまでの、体積を有することができ、そしてクレートは、1500Lまでの、または2000Lまでの体積を有することができる。
【0029】
他の態様では、少なくとも1つの壁の酸素バリア特性は、特定の期間に亘ってエラストマー複合材に暴露される酸素の量を制限して、複合材の実質的な劣化を防止することによって選択されることができる。例えば、包装体または容器中に存在するエラストマー複合材の質量を知ることによって、複合材の質量に対する酸素の最大量が計算されることができる。1つの選択肢として、容器または包装体は、少なくとも1つの酸素バリア層を含む少なくとも1つの壁を含み、それによって包装体中の酸素の量は、75ミリモル/kgエラストマー複合材以下、例えば60ミリモル/kgエラストマー複合材以下、50ミリモル/kgエラストマー複合材以下、40ミリモル/kgエラストマー複合材以下、30ミリモル/kgエラストマー複合材以下、20ミリモル/kgエラストマー複合材以下、15ミリモル/kgエラストマー複合材以下、10ミリモル/kgエラストマー複合材以下、6ミリモル/kgエラストマー複合材以下、5ミリモル/kgエラストマー複合材以下、4ミリモル/kgエラストマー複合材以下、3ミリモル/kgエラストマー複合材以下、2ミリモル/kgエラストマー複合材以下、1ミリモル/kgエラストマー複合材以下、である。密封された容器または包装体中に存在する酸素の量は、包装体が密封された時に、またはその後に酸素センサー(多くの種類の酸素センサーが商業的に入手可能である)で測定されることができる。例えば、容器のヘッドスペースは、包装体の外側に接着されるかまたは壁中に組み込まれた再封止可能な隔壁を通して包装体に穴をあける針を有するセンサーで、あるいは密封する前に包装体中に挿入されそして取り付けられることができる粘着性センサーによって、測定されることができる。例示的な酸素センサーとしては、Ametek Mocon(ミネソタ州、米国)から商業的に入手可能なCheckPoint(登録商標)またはOpTech(登録商標)光学式酸素センサーが挙げられる。容器および包装体のそれぞれの体積ならびに複合材の質量から、容器中の酸素の量(例えば、ミリモルで)が、複合材の質量(例えば、kg)当たりで決定されることができる。1つの選択肢として、包装体の体積は、少なくとも1L、または少なくとも10L、またはここで開示された他の体積である。1つの選択肢として、容器または包装体中の複合材質量当たりの開示された酸素の量は、少なくとも5日間(例えば、密封の時間から)、または少なくとも7日間、少なくとも1月間、少なくとも3月間、少なくとも6月間、または少なくとも1年間、例えば5日間~1年間の期間に亘って維持される。言い換えれば、少なくとも5日間以上のいずれかの期間(例えば、1年間まで)、容器中に存在する酸素の量は、ここに開示された水準で、例えば20ミリモル/kg複合材以下、またはそれ未満に最小化される。
【0030】
閉鎖された容器中の酸素のモル数は、式(1)に従って計算されることができる。
【数2】
式中、[O]measは、測定された酸素濃度(%)であり、Vairは容器中の空気の体積(L)であり、Tcontainerは酸素濃度の測定時の容器内の温度(K)であり、そしてPcontainerは、酸素濃度の測定時の容器内の圧力(kPa)である。
【0031】
複合材を格納する容器では、Vairは、容器の体積から複合材の体積を差し引くことによって決定されることができ、複合材の体積は、複合材の質量/複合材の比重、として計算されることができる。式(1)の結果から、そして複合材の質量を知ることによって、複合材の質量当たりの酸素含有量(ミリモル/kg複合材)が決定されることができる。容器が可撓性の袋である特定の場合には、容器を真空下または部分的(partial)に貯蔵することで、容器を複合材の形状に共形させることができる。この状態においては、コンテナの体積は、当技術分野でよく知られている方法によって決定されることができる。例えば、容器の体積は、複合材の体積と同じであるとみなされることができる。
【0032】
1つの選択肢として、酸素含有量は、酸素の分圧として示すことができる。ここで開示される分圧は、周囲条件、例えば海水面で20℃、で測定された値を表している。周囲条件の下では、酸素の分圧は、パーセントでの大気中の酸素(21%)で掛け算された大気圧(海水面で101.3kPa)から計算される。
【0033】
1つの選択肢として、密封の時に、容器または包装体中に最初に存在する雰囲気は、低い酸素含有量を有している(例えば、包装体が気密に密閉される直前または気密に密閉される時)。例えば、容器中の雰囲気は、包装体の内部の酸素含有量を低減させるように変えられることができる(すなわち、容器中の雰囲気は変更された雰囲気である)。1つの選択肢として、包装体の内部は、21kPa未満、20kPa未満、19kPa未満、18kPa未満、17kPa未満、16kPa未満、15kPa未満、12kPa未満、10kPa未満、9kPa未満、8kPa未満、7kPa未満、6kPa未満、5kPa未満、4kPa未満、3kPa未満、2kPa未満、1kPa未満、の酸素分圧を有しており、それは、変更された雰囲気と表される。1つの選択肢として、変更された雰囲気(例えば、低い酸素分圧)は、包装体の内側または内部を真空にさせることによって達成されることができ、それによって容器中の雰囲気は、90kPa以下、例えば80kPa以下、70kPa以下、60kPa以下、50kPa以下、40kPa以下、30kPa以下、20kPa以下、10kPa以下、5kPa以下の絶対圧力を有している。他の選択肢として、容器中の雰囲気は、非反応性の(例えば、複合材と非反応性である)気体でフラッシュすることによって変更されることができる。非反応性の期待の例としては、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノンが挙げられる。他の非反応性のガスとしては、二酸化炭素が挙げられる。この雰囲気は、1つもしくは2つ以上のフラッシュ工程(例えば、2つもしくは3つ以上または4つ以上のフラッシュ工程)で変更されることができる。他の選択肢として、雰囲気は、ここに開示された低い酸素含有量の値を達成するように、真空およびフラッシュ工程の1つまたは2つ以上の組み合わせで変更されることができる。
【0034】
あるいは、包装体または容器の内部の雰囲気の低い酸素含有量は、容器または包装体の外部と包装体の内部の間の酸素分圧の差異から決定されることができ、ここで外部の雰囲気は内部の雰囲気よりも大きい。例えば、容器または包装体の外部と内部との間の酸素分圧の差異は、少なくとも1kPa、例えば、少なくとも2kPa、少なくとも3kPa、少なくとも4kPa、少なくとも5kPa、少なくとも6kPa、少なくとも7kPa、少なくとも8kPa、少なくとも9kPa、少なくとも10kPa、少なくとも11kkPa、少なくとも12kPa、少なくとも13kPa、少なくとも14kPa、少なくとも15kPa、少なくとも16kPa、少なくとも17kPa、少なくとも18kPaであることができる。
【0035】
他の代替案として、包装体の中(容器内部)の低い酸素含有量は、包装体中の(分子状)酸素の量、例えば、エラストマー複合材の質量当たりの酸素のモル数(例えば、ミリモル)(例えば、ここで議論されるように、75ミリモル/kgエラストマー複合材以下)、酸素の体積(またはkg複合材当たりの酸素の体積)、または容器内部の雰囲気中に存在する酸素の濃度、例えば7%未満、5%未満、3%未満、2%未満、または1%未満、によって表されることができる。酸素濃度は、ここで議論されるように、酸素センサーで測定されることができる。
【0036】
1つの選択肢として、密封する際の容器および包装体の酸素含有量は、容器内部への少なくとも1種の酸素スカベンジャーの封入によって変えられることができる。酸素スカベンジャーは、閉鎖された容器の雰囲気から酸素を除去する(捕捉する、取り除く)。酸素スカベンジャーは、反応によって(例えば、酸化反応によって)または酸素を閉じ込めることによって酸素を除去することができる。他の代替案としては、容器または包装体内部の雰囲気は、真空および/または非反応性ガスで変えられることができ、そしてエラストマー複合材は、少なくとも1つの酸素スカベンジャーとともに更に包装される。酸素スカベンジャーの使用によって達成される酸素含有量は、用いられるスカベンジャーの量に依存する;達成される酸素含有量は、ここで開示されるいずれかの値、例えば21kPa未満の水準、またはここに開示される他の水準、であることができる。酸素スカベンジャーは、複合材とともに包装されることができ、例えばサシェ中に収容されるかまたは封入される。このサシェは、酸素透過性でなければならず、複合材に隣接して配置されるかまたは容器もしくは包装体の内側壁(内部)に付着されることができる。例示的な酸素スカベンジャーとしては、金属、例えば金属粉末または鉄ファイリング、アルコルビン酸およびその塩、ここに開示されるいずれかの劣化防止剤(例えば、酸化防止剤)、カテコール、および当技術分野で知られている他の酸素スカベンジャーが挙げられる。劣化防止剤は、当技術分野で知られているように、エラストマーを充填剤と混合する間にエラストマーと混合されることができる。例えば、複合材は、ここに記載された劣化防止剤を含むことができる。他の例としては、包装体の少なくとも1つの壁は、酸素を取り除くことができる材料を含むことができる。脱酸素材料を含む包装体壁を含む、酸素スカベンジャー、酸素バリアおよび脱酸素包装体の例が、Ahmedら、Food Control、Volume82、p.163-178(2017)中に見出すことができ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。1つの選択肢として、存在する唯一の酸素スカベンジャーが、ここに記載されているように、複合材中に分散された劣化防止剤である。
【0037】
少なくとも1つの壁(酸素バリア壁)は、1つもしくは2つ以上の層、例えば、1つもしくは2つ以上のシート積層体、膜、ライナー、パネルなどを含むことができる。この壁は、好適な酸素バリア特性を与える材料(酸素バリア材料)を含む単層の壁、または複数の層の少なくとも1つが酸素バリア材料を含む、すなわちその層が酸素バリア層である、多層の壁(2つもしくは3つ以上の層)であることができる。壁の(それらの)層は、膜、パネル、または積層体であることができる。多層の壁は、押出または共押出、押出コーティング、ラミネーション(例えば、接着ラミネーション)、接着剤の使用、または1つの層の他の層への堆積、結合層の使用、メタライゼーションによって形成されることができる。
【0038】
酸素バリア壁(または層)は、多くの材料を含むことができ、最も一般的なものとしてはポリマーおよび/または金属が挙げられる。ポリマーの酸素バリア材料としては、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および変性PET(例えば、グリコール変性PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(エチレンビニルアルコール)(EVOH)、ポリ(塩化ビニリデン)(PVdC)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール(PVOH)、アクリル酸メチル、アクリロニトリルとアクリル酸メチルのコポリマー(例えば、ニトリルゴムでグラフト化されたアクリロニトリルとアクリル酸メチルのコポリマーであるBarex(登録商標)樹脂)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、およびそれらの混合物、が挙げられる。多層の壁は、1つもしくは2つ以上の酸素バリア層を含むことができる。1つもしくは2つ以上のバリア層は、2軸配向されていることができ、例えばポリマー鎖が、層または壁の平面と整列させるように横方向に沿って延伸される。2軸配向は、膜が鎖を配向させるように延伸されるので、更なる強度、靭性、圧力への耐性など(向上した引張特性)を与えることができる。
【0039】
他の酸素バリア材料としては、金属を含むもの、例えば、金属層が挙げられる。金属化層(接頭辞「m」で示され、例えばmPET)は、金属化またはメタライゼーションとして知られるプロセスによって形成されることができる。メタライゼーションでは、金蔵が、多くの方法によって基材上に堆積されることができ、ここでその基材は、所望の可撓性または剛性を備えたポリマー材料であることができる。例としては、メタライズは、金属、例えばアルミニウムの蒸発およびそれに続く基材膜上への堆積(例えば、真空堆積、化学気相堆積)を含むことができ、基材膜上に薄い金属層が堆積される。金属層を堆積させるとの方法としては、スパッタリングおよび電気メッキが挙げられる。あるいは、薄い金属層が形成されることができ、そして金属層が1つもしくは2つ以上のポリマー層に接着される。金属層または金属化層として用いられることができる金属としては、アルミニウム、錫、ニッケル、鉄、銀およびそれらの合金、例えばアルミニウム-亜鉛合金、銀-亜鉛-アルミニウム合金、銅-亜鉛合金など、が挙げられる。ポリマー膜上に堆積されることができる他の材料としては、金属の他に、セラミックス(例えば、金蔵酸化物、例えば酸化ケイ素(SiO)、例えばシリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、カオリナイト、ガラス、およびクレイ)、炭素系材料、例えばカーボンナノ材料(例えば、カーボンナノチューブおよびグラフェン材料、例えばグラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン)、およびメラミン系コーティング材料、が挙げられる。材料、例えば金属、セラミックス、および炭素系コーティングもまたサブミクロンの寸法、例えば、1nm~1000nm、1nm~500nm、1nm~300nm、1nm~200nm、または1nm~100nmの範囲、を有する粒子として堆積されることができる。他の代替案として、少なくとも1つの壁は、金属化層または金属層を含んでいない。
【0040】
結合され/溶接されて気密のシールを形成することができる金属容器もまた、酸素バリア特性を与えることができる、例えば、ステンレス鋼、錫、およびアルミニウム。金属を含む容器はまた、他の材料、例えばガラス、セラミックス、プラスチックなどを含むことができる、例えばグローブボックスまたは室または他のチャンバ。剛性の容器は、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性の加硫物から形成されることができる。熱可塑性エラストマー(TPE)は、1種以上のポリマー;エラストマー(弾性を与える)および強度を与える第2のポリマー、を含んでいる。TPEの例としては、スチレンブロック共重合体、例えばスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、エチレンアクリル共重合体が挙げられる。熱可塑性の加硫物(TPV)は、加硫または架橋によって調製される熱可塑性エラストマーの部類であり、熱可塑性プラスチックの溶融加工性と組み合わされた架橋ゴムの性質を備えており、高い圧縮および熱変形への耐性を有することができる材料をもたらす。TPVの例としては、Santoprene(商標)熱可塑性加硫物(ExxonMobil)、ポリプロピレン(PP)の熱可塑性マトリックス中の加硫されたエチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴムが挙げられる。剛性の容器は、接着性材料またはガスケットまたはO-リングまたは同様の密封材(例えば、ニトリルゴム、ブチルゴムなど)で密封されることができる。
【0041】
酸素バリア壁または層は、随意選択的にその層自体に埋め込まれた脱酸素材料を含むことができる。そのような脱酸素バリア層は、典型的には、構造的層および/またはシール層として機能することができる保護層の間に挟まれている。あるいは、この膜は、酸素を取り除くことができ、すなわち酸素スカベンジャーが、酸素バリア材料中に埋め込まれているか、またはこの膜は酸素を取り除くことができる材料で作られている。
【0042】
少なくとも1つの壁の好適な酸素バリア特性は、1つもしくは2つ以上の因子、例えば壁もしくは層材料の種類あるいは層の配置(多層の壁では)によって達成されることができる。多層の壁では、典型的な層化された配置としては、最内側の層としての封止用層(例えば、ポリエチレン類、例えばポリプロピレン、LDPE、LLDPE、またはエチレンビニルアセテート(EVA))、それに続く酸素バリア層(例えば、金属層、ポリアミド)および外側層としての構造層(例えば、PET、ポリエチレン)が挙げられる。
【0043】
壁および層の厚さはまた、輸送コストを削減するために全体の包装体質量を考慮しながら、少なくとも1つの壁の酸素バリア特性(および他の特性)を提供するように選択することができる。壁の厚さは、硬質の包装体では、少なくとも10μm、そして10cm以下、例えば5cm以下であることができる。可撓性の包装の場合には、壁の厚さは、10μm~250μm、例えば10μm~200μm、10μm~150μm、10μm~100μm、または10μm~50μmの範囲であることができる。例えば、PVdC被覆膜、EVOH系膜、ポリアミド膜(例えば、ナイロン)、および金属化ポリマー膜は、10μm~30μm、例えば15μm~30μmの範囲の厚さを有することができる。酸素バリア壁は、5μm~50μm、5μm~40μm、5μm~40μm、5μm~30μm、または5μm~20μmの範囲の厚さを有することができる。剛性の包装体は、少なくとも250μm、例えば少なくとも500の厚さを有することができる。
【0044】
単層の壁は、可撓性膜、例えばライナーまたはシュリンク包装の形態で提供される、あるいは剛性の膜(例えば、金属容器、セラミック容器)であることができる。可撓性膜の例としては、例えば少なくとも30μmの厚さ、例えば30μm~100μm、30μm~75μm、または30μm~50μmの範囲の厚さを有する、ライナーとしてのPVdCシュリンク/ストレッチ膜が挙げられる。
【0045】
多層の壁では、いずれかの数の層、例えば2層、3層、4層、5層、6層、7層など、10以下、または12層以上(例えば、20層以下、または更にはそれ以上)が用いられることができる。それらの層は、所望の可撓性または剛性、透明性、および酸素バリア水準を与えるように選択された、多くの性質、例えば構造的性質、臭気および/または水分バリア、酸素バリア、封止可能な層(例えば、ヒートシール可能な層)およびそれらの組み合わせを与えることができる。層の数にかかわらず、結果として得られる壁は、所望の酸素バリア特性を有している。
【0046】
酸素バリア特性の他の性質に関して、1つもしくは2つ以上の層は、例えば酸素バリア壁の変形または破壊を防止するように(例えば、穴あきへの耐性)、強度および/または剛性および/または構造的支持を提供することができる。幾つかの材料は、2つ以上の機能を提供することができる。そのような例としては、以下のものが挙げられる。
・ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボレート
・ポリエチレン類(PE)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、または直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE),およびそれらの混合物
・ポリプロピレン類
・ポリ塩化ビニル(PVC)
・ポリ乳酸(PLA)
・エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(例えば、DuPontからのSurlyn(登録商標)樹脂)
・酸共重合体樹脂(例えば、DowからのNUCREL(商標)樹脂、これはエチレン、メタクリル酸、およびアクリレートの三元共重合体)、ならびに、
・それらの混合物
【0047】
上記のいずれかについて、対応する金属または金属化層もまた、接着、真空気相堆積(CVD)、スパッタリング、電気メッキ、または薄い金属膜をプラスチックに接着させるいずれかの他の方法によって用いられることができる。
【0048】
多層の1つもしくは2つ以上の層は、シール層またはシール可能な層(シーラント)であることができる。シール可能な層は、パネル(例えば、上部、側面、底部パネルの1つもしくは2つ以上)が端部に沿って互に結合されることを可能にさせる。1つの選択肢として、シール可能な層は、ヒートシール可能な層であり、熱の適用でポリマーを変形または溶融して、接着を可能にさせる。あるいは、シール可能な層は、層を互いに接着させるラミネートであることができる。多層の壁の中では、シール可能な層は、しばしば多層の壁の外側の端の一方または両方に配置され、例えば、シール可能な層は、最内層(内側壁を形成する)、または外側層(外側壁を形成する)であることができる。シール可能な層の例としては、以下のものが挙げられる。
・ポリエステル類、例えばPETおよび金属化層(例えば、mPET)
・上記で開示されたポリエチレン類、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびHDPE、および金属化層、例えば、mVLDPE
・ポリプロピレン類
・エチレン-アクリル酸共重合体(例えば、NUCREL(商標)樹脂)
・エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(例えば、Surlyn(登録商標)樹脂)
・エチルビニルアセテート(EVA)、ならびに、
・それらの混合物
【0049】
あるいは接着剤が、層間(例えば、接着剤コーティング酸素バリア層および/または構造層)の接着を向上させるように層の上にコーティングまたはラミネートされることができる。
【0050】
シール可能な層は、1つもしくは2つ以上の隣接するシール可能な層を結合させまたは別のように接着させて、気密のシールを形成させることができ、それがバリア壁のバリア特性と同様のバリア特性を与える。あるいは、シール層は、接着剤に良好な接着を有し、そして接着剤を支持する層であることができる。特定のシール可能な層はまた、構造層、例えば、ポリエステル類、ポリエチレン類(例えば、LDPE、LLDPE、HDPE)、ポリプロピレン、エチレン-(メタ)アクリル酸コポリマー、EVA、および当技術分野で知られている他のもの、としても機能することができる。
【0051】
多層壁中の1つもしくは2つ以上の層は、水が入ることまたは出ること(エラストマー複合材による)のいずれかを防ぐ水分バリア、例えばLDPEであることができる。他の種類の層は、他の化学品蒸気および/または光および/または他の望ましくない要素の進入を防ぐように用いられることができる(例えば、ポリアミドおよびEVOH)。加工性、色相/透明性、臭気バリアもまた、層を選択するための他の因子である。
【0052】
例えば、多層壁としては、以下の層配置を挙げることができる(左から右の方向が容器の内部から容器の外部;「|」は層間の界面を示している)。
(i)シール層|Oバリア|シール層
(ii)構造層|Oバリア|シール層
(iii)シール層|Oバリア|構造層
(iv)第1のOバリア|構造層|第2のOバリア|シール層
(v)構造および/またはシール層|第1のOバリア|第2のOバリア|構造および/またはシール層
(vi)構造および/またはシール層|Oバリア|水分バリア
(vii)構造および/またはシール層|Oバリア|水分バリア|構造および/またはシール層
(viii)構造および/またはシール層|Oバリア+水分バリア
【0053】
3層または4層の配置が示されているが、1つもしくは2つ以上の更なる層が、上記の配置のいずれかを補足するように与えられることができる。例えば、接着層またはラミネートが、酸素バリアおよび構造および/またはシール層の間に追加されることができる。酸素バリア壁のいずれかの数の層が当技術分野で知られている、例えば、単層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、またはそれ以上、例えば、10層および更には20層壁(あるいはそれ以上)。
【0054】
多層壁は、2つ以上のOバリア層(例えば、第1および第2のOバリア層、または更には第3または第4の酸素バリア層もしくはそれ以上)を含むことができる。2つもしくは3つ以上Oバリア層が存在する場合に、それぞれのOバリア層を形成する材料は、同じであるかまたは異なっていることができる。例えば、Oバリア層のそれぞれは、ポリアミド(PA)、ポリ(エチレンビニルアルコール)(EVOH)、ポリ(塩化ビニリデン)(PVdC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、アクリル酸メチル、または金属化層、例えばmPET、mPA、mPEおよびそれらの混合物、あるいは金属層(例えば、アルミニウム層)であることができ(または含むことができ)、構造層は、HDPE、LDPE、VLDPE、ULDPE、LLDPE、ポリプロピレン、PVC、PET、およびそれらの混合物であることができ、シール層は、LDPE、LLDPE、HDPE、ポリプロピレン、およびEVAであることができる。
【0055】
随意選択的に、それらの層のいずれかまたは全て、または酸素バリア層は、二軸延伸されていることができる(「Bo」)。
【0056】
具体的な例としては、下記のものが挙げられる。
PA|PE|アルミニウム箔|PE|LLDPE
PE|EVOH|PE
LLDPE|ナイロン|EVOH|ナイロン|LLDPE
EVA|PA|EVA
EVA|PA|mPET
EVA|PA|mPP|LLDPE
BoPP|LDPE|mBoPP|SURLYN
上記で、「BoPP」は二軸延伸ポリプロピレンを表し、「m」は金属化層を表し、そして「SURLYN」はSurlyn(登録商標)樹脂を表す。1つもしくは2つ以上の更なる層が、上記の配置のいずれかを補足するように与えられることができる。
【0057】
密閉された容器中の所望の酸素分圧は、種々の方法で達成されることができる。密閉された容器(または密閉されるべき容器)から酸素を取り除く方法は、当技術分野で知られている。1つの選択肢として、容器または包装体の内部(または内容物または容器の内側)は、真空にされる、非反応性ガス(例えば、不活性ガス)でフラッシュされる、脱酸素剤に暴露される、およびそれらの組み合わせに付されることができる。例えば、容器または包装体は、内容物を真空にさせ、そして次いでその包装体を密封するように構成された装置で、真空密閉されることができる。真空密閉機(真空シーラー)または真空ヒートシール機(真空ヒートシーラー)は包装、例えば可撓性包装の技術分野において知られている。真空シーラーの1つの例は、実質的に平坦な包装体開口部をクランプするように開閉することができる2つの表面部材を備えている。これらの表面部材は、台に対して上げたり下げたりする1つのバーを含むことができ、包装体の開放端が、そのバーと台との間に挿入される。あるいは、2つのバー、例えば、下部のバーに回転可能に取り付けられる上部のバー、が用いられることができる。いずれかの選択肢において、一方もしくは両方のバーは、シールを達成するように加熱要素および/または圧縮要素を含むことができる。2つの表面部材の間には、真空ポンプと、そして随意選択的に不活性ガス源と連結された1つもしくは2つ以上のノズルがある。包装体をエラストマー複合材で充填した後に、包装体の未シールの端部は、真空シーターの2つのバーの間に挿入されることができ、一方で、少なくとも1つの格納式のノズルを包装体の開口部中に挿入する。2つのバーをクランプすること、または係合させることで、包装体の開口部を効果的にシールすることができ、そして少なくとも1つのノズルの周りへの緊密な取り付けを与える。真空が適用されることができ、そして随意選択的に不活性ガスでのフラッシュとで反復されることができる。真空を適用した後に、ノズルは引っ込められ、そして包装体開口部から取り外されることができる。その直後に、包装体を密封するように、熱が、加熱および/または加圧要素を通して加えられる。加熱要素については、熱は、包装体壁のシール層および/またはシール層上にコーティングされた接着剤を柔軟化することができる。あるいは、包装体は、真空および/または不活性ガス雰囲気下に置かれることができるチャンバ中に収容されることができ、その中で、チャンバは、開口する包装体端部をクランプし、そしてシールするバーを有している。そのような真空ヒートシーラーの例としては、AmeriVacs(サンディエゴ、カルホルニア州)によって販売されているもの、例えば、ガスパージを備えた格納式ノズル真空シーラー、が挙げられる。加熱および加圧の代わりに、溶着プロセスが用いられることができる。例えば、COレーザーが、ポリマー層を加熱し、そして融解させて、それらを溶融させるのに用いられることができる。
【0058】
他の例として(例えば、通常はより硬質の容器に、しかしながら可撓性の容器にもまた適用可能である)、容器または包装体は、包装体の内側と真空ポンプとの間に気体流通を与える1つもしくは2つ以上の穴または出口を含むことができる。この穴は、包装体の壁を通して延在することができ、そして包装体の壁の外側(外側壁の表面)に、真空ポンプまで延びるホースまたはチューブを封止するように取り付けることができる。カラー(例えば、実質的に円形のカラー)を含むことができる。この穴は、バルブ、例えば一方向バルブを更に含むことができ、それを通して、空気または他のガスが、真空ポンプの操作で、容器の内側から引き出されることができる。1つの選択肢として、このバルブは、中身のガスを抜いた後に、袋を窒素で充填するために二方向バルブであることができる。所望の真空の水準、または所望の酸素の分圧を達成すると、ポンプの運転が中止され、そしてバルブが、空気または酸素が容器に入るのを制限するように作動する。随意選択的に、カラーは、酸素が、例えば、壁の酸素透過率よりも大きな酸素透過率で、包装体に入るのを更に防ぐように、キャップまたは他の同様の囲い具または閉鎖部材で、封止するように取り付けられることができる。このキャップは、酸素バリア材料で構成されることができ、そして接着材料(例えば、接着剤)によってカラーに接着されることができる。他の選択肢として、バルブの領域は、キャップがないときは、接着剤で被覆されることができる。
【0059】
エラストマー複合材を貯蔵するまたは養生する方法がまたここに開示されている。密封された容器または包装体を貯蔵することは、倉庫などにおいて発生する可能性があり、そして出荷/輸送プロセスを含む可能性がある。この方法は、エラストマー複合材をここに開示された密閉された容器、例えば、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含む容器もしくは包装体中に貯蔵することを含む可能性があり、ここで少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含んでおり、それによってこの容器は、23℃および0%の相対湿度において100cm(m日atm)以下の酸素透過率を有しており、および/または包装体内の酸素の量は、75ミリモル/kgエラストマー複合材以下、またはここに開示された他の範囲である。ここに開示されているように、少なくとも1つの壁は、酸素バリアである少なくとも1つの層を含む酸素(O)バリア壁である。ここに開示された方法は、少なくとも1つのゴム特性を維持する、または高めさえするエラストマー複合材をもたらすことができる。従って、ここに更に開示されているのは、密閉された容器中に複合材を、少なくとも5日間、または少なくとも14日間、またはここに開示された他の期間に亘って貯蔵することを含む、エラストマー複合材またはその複合材から形成された配合物の少なくとも1つのゴム特性を維持する、または高める方法でもある。例えば、この貯蔵は、酸素バリア壁を有する1つもしくは2つ以上の密閉された容器中の低い酸素含有量の雰囲気の下で実施されることができる。
【0060】
ここに開示されているのは、以下の工程を含む、エラストマー複合材の貯蔵方法である:
エラストマー複合材を容器中に密閉し、そしてその複合材を密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯蔵すること、ここで、
このエラストマー複合材は未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでいる、そして、
この容器は、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含む、
この少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含む、それによってその容器は、23℃および0%の相対湿度において100cm(m日atm)以下の酸素透過率を有している。
【0061】
ここに開示されているのは、以下の工程を含む、エラストマー複合材またはその複合材から形成された配合物の少なくとも1つの性質を維持するまたは高める方法である:
エラストマー複合材を、密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯蔵すること、ここで、
このエラストマー複合材は、未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでいる、そして、
この容器は、その複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含む、
ここで、この少なくとも1つの壁は、少なくとも1つの酸素バリア層を含む、それによってその容器は、23℃および0%の相対湿度において100cm(m日atm)以下の酸素透過率を有している。
【0062】
密封する(そして貯蔵する)前に、この方法は、容器または包装体内の複合材を、容器内部の雰囲気を低い酸素含有量を有する雰囲気を達成するように変える少なくとも1つの工程に付すことを含むことができる。1つの選択肢として、雰囲気は、容器の内部を、複合材と非反応性である少なくとも1種のガス(非反応性ガス)、例えば、10%未満の酸素、7%未満、5%未満、2%未満、または1%未満の酸素を含むガス、でフラッシュすることによって変えられる。例示的な非反応性のガスとしては、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、または他の非反応性のガス、例えば二酸化炭素、それらのガスの混合物など、が挙げられる。フラッシングすることは、包装体中に存在する空気の少なくとも一部を、少なくとも1種の非反応性のガス(例えば、窒素、アルゴンなど)で置き換えることを含み、それによって雰囲気は、少なくとも90%の非反応性ガス、例えば少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の非反応性ガスを含んでいる。言い換えれば、雰囲気は、少なくとも90%(またはここに開示された他の量)の、エラストマー複合材と非反応性である少なくとも1種のガスを含んでいる。
【0063】
他の選択肢として、雰囲気は、容器から酸素の実質的な量を除去することによって、例えば、容器内部を、ここに開示されているか、または当技術分野で知られている方法のいずれかによって、真空にすることによって(または容器内部に真空を適用することによって)変更されることができる。容器内部は、ここに開示されているいずれかの所望の真空の水準で放置されることができ、この場合は、真空にされた容器は、90kPa以下、例えば80kPa以下、70kPa以下、60kPa以下、50kPa以下、40kPa以下、30kPa以下、20kPa以下、10kPa以下、5kPa以下、1kPa以下の絶対圧を有することができる。ガスフラッシュおよび/または真空に加えて、あるいは代替案として、酸素スカベンジャーを容れた小袋(sachet)が、容器内に置かれることができ、この場合は、時間の経過とともに、スカベンジャーが内部から酸素を取り除き、そしてそれによって容器内部から酸素含有量を低減させる。
【0064】
1つの選択肢として、雰囲気は、容器内の複合材(その複合材を格納する容器の内部)を、その複合材と非反応性である少なくとも1種のガスで容器内部をフラッシュすること、および容器内部に真空を適用することの、少なくとも1つの工程に付すことによって変えられる。雰囲気の変更は、それらの工程の1つもしくは組み合わせを含むことができる。例えば、複合材が容器の内部に置かれた後に、その容器内部が非反応性のガスでフラッシュされることができ、次いでまたは前もって容器内部に真空を適用し、この場合には、不活性ガスでのフラッシュ/真空のこの手順は、必要に応じて繰り返されることができ、例えば、1、2、3、4、または更には5回以上の、容器の内部(容器中の複合材)の非反応性のガスでのフラッシングの手順と、それに続く容器内部への真空の適用、あるいは1、2、3、4、または更には5回以上の、容器内部への真空の適用の手順と、それに続く、非反応性のガスでの容器内部のフラッシング。1つの選択肢として、1つもしくは2つ以上のシーケンスの後の最後の工程は、真空下に容器をシールする工程であることができ、例えば、真空包装容器もしくは包装体(適用される前のシーケンスとは関係なく)。あるいは、1つもしくは2つ以上のシーケンスの後の最後の工程は、非反応性のガスでの容器内部のフラッシングであることができ、少なくとも90%の、エラストマー複合材と非反応性である少なくとも1種のガスを含む雰囲気の下で容器内に密閉された複合材をもたらす。他の選択肢として、容器内部に真空を適用する(非反応性ガスのフラッシュなしに)単一のもしくは複数の工程に次いで容器をシールする工程が続く。あるいは、少なくとも1種の非反応性のガスでの単一もしくは複数の工程(真空が適用されることなしに)が実施され、容器をシールする工程が続く(真空が適用されることなしに)ことができる。
【0065】
密閉された容器または包装体中のエラストマー複合材は、少なくとも5日間、またはここに開示された他の期間に亘って貯蔵されることができる。貯蔵期間は、密閉の時から定められることができる。1つの選択肢として、エラストマー複合材は、少なくとも7日間、少なくとも2週間(14日間)、少なくとも1月間、少なくとも2月間、少なくとも3月間、少なくとも6月間、少なくとも9月間、あるいは少なくとも1年間または2年間以上、および潜在的には無限に、貯蔵されることができる。他の選択肢としては、エラストマー複合材は、5日間~2年間、5日間~1年間、5日間~6月間、5日間~3月間、2週間(14日間)~2年間、2週間(14日間)~1年間、2週間(14日間)~9月間、2週間(14日間)~6月間、2週間(14日間)~3月間、21日間~1年間、21日間~9月間、21日間~6月間、21日間~3月間、1月間~1年間、1月間~9月間、1月間~6月間、1月間~3月間の範囲の期間、およびその間の他の期間、に亘って貯蔵されることができる。
【0066】
1つの選択肢として、複合材は、混合または配合の直後(その複合材が、混合機または配合機から排出された後の15分間以内に)、または複合材の劣化が実質的でない限りにおいて、1時間以内、2時間以内、3時間以内、6時間以内、1日間以内、1週間以内、または1月間(30日間)以内に、低酸素含有量(修正された雰囲気)の下で貯蔵されることができる。例えば、複合材は、包装または長期間の貯蔵または輸送の前に、空気中もしくは冷蔵で、貯蔵されることができる。あるいは、複合材は、複合材が、包装または低い酸素含有量での貯蔵を提供する他の条件へと移動されることができる施設へと、空気中で輸送されることができる。他の選択として、複合材は、空気中で容器中に密閉されることができ、その中では高い酸素バリア壁が、酸素の容器内への実質的な進入を防止する。空気中での密閉は、混合機または配合機から排出された後の、1時間以内、2時間以内、3時間以内、6時間以内、1日間以内、1週間以内、または1月環(30日間)以内に行われることができる。
【0067】
複合材は、20℃~200℃の範囲のいずれかの温度で、包装体または容器中に貯蔵されることができる。1つの選択肢として、包装された複合材は、周囲条件の下で(20℃~40℃、または20℃~30℃の範囲の温度で)、気候調整された雰囲気または気候調整のない領域(例えば、倉庫、トラック)のいずれかに、貯蔵されることができる。
【0068】
1つの選択肢として、複合材は、容器中に、高温、例えば、少なくとも40℃の温度、例えば、40℃~200℃、40℃~180℃、40℃~150℃、40℃~120℃、40℃~100℃、40℃~90℃、40℃~75℃、50℃~200℃、50℃~180℃、50℃~150℃、50℃~120℃、50℃~100℃、50℃~90℃、50℃~75℃、60℃~200℃、60℃~180℃、60℃~150℃、60℃~120℃、60℃~100℃、または60℃~90℃の範囲の温度、で少なくとも5日間に亘って貯蔵されることができる。特定の態様では、複合材は、高温で、例えば、少なくとも7日間、少なくとも2週間(14日間)、少なくとも3週間(21日間)、または少なくとも1月間、6月間以下、または1年間以下、貯蔵されることができる。1つの選択肢として、高温での貯蔵は、1月間以下、2週間以下、または1週間以下、例えば5日間~1月間の貯蔵。で行われる。
【0069】
1つの選択肢として、貯蔵する前に、複合材は加熱されることができる、例えば、実質的に酸素のない雰囲気の下、例えば、不活性ガスの下、または真空下、で熱処理された複合材、そこでは雰囲気中の酸素濃度は、7%未満、5%未満、2%未満、または1%未満である。そのような条件の下では、熱処理は、少なくとも15分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも1日間、または少なくとも2日間、そして5日間以下の時間に亘ってなされることができる。熱処理は、ここで開示された高温で、例えば、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃の温度で、またはここで開示された他の高温で、なされることができる。温度の上限値は、複合材の組成および/または用いられる容器によって決定されることができる。例えば、複合材が特定の合成ゴム(または合成ゴムを含む混合物)を含むか、または過半数の天然ゴムを含むかに応じて、その複合材は、200℃以下、180℃以下、160℃以下、または150℃以下(例えば、40℃~160℃)の温度で加熱されることができる。
【0070】
加熱または熱処理は、実質的に酸素がない雰囲気を有するチャンバ(例えば、オーブン、グローブボックス)中で、または酸素バリア壁を有する容器もしくは包装体中で、実施されることができる。複合材は、オーブンまたはグローブボックスまたは他のチャンバ中で熱処理されることができ、そして次いでシールおよび貯蔵のために容器もしくは包装体へと移され、複合材は、容器もしくは包装体へ移される前に周囲温度(例えば、20~40℃、または20~30℃)へと冷却されることができ、その時に、その複合材は、ここに開示されたプローブ温度によって定められる高温を有している。あるいは、複合材は、酸素バリア壁を有する包装体中で熱処理され、そしてその包装体中で冷却されることができる。複合材の温度に応じて、熱安定化真空包装が用いられることができる。
【0071】
従って、貯蔵の前に、本方法は、未硬化のエラストマー複合材をここに開示された酸素バリア容器もしくは包装体中で、少なくとも40℃の温度で、5日間以下の期間に亘って加熱する工程を含む、熱処理エラストマー複合材の形成工程を含み、ここでエラストマー複合材は、少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含む、そしてここで以下の少なくとも1つが適用される:
(i)容器内部は17kPa未満の酸素の分圧を有している、
(ii)容器内部は、10ミリモル/kgエラストマー複合材以下の酸素量を有している、
(iii)容器内部は、7%未満、5%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の酸素濃度を有している。
【0072】
他の選択肢として、複合材は、修正された雰囲気、例えば、21kPa未満(またはここに開示される他の範囲)の酸素分圧を有する、例えば、少なくとも90%の非反応性のガスを含む雰囲気、例えば窒素雰囲気、または75ミリモル/kgエラストマー複合材の酸素のエラストマーに対する比を有する、雰囲気の下で、あるいは真空下で(例えば、容器内部が90kPa以下の絶対圧を有する)、混合機から排出され、そして密閉される。修正された雰囲気の下での、混合機からの排出と密閉の間の時間は、直後(例えば5分間以内、10分間以内、15分間以内)、または30日間以下、例えば、2週間以下、1週間以下、1日間以下、12時間以下、6時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、または30分間以下であることができる。この時間は、複合材の劣化の量の最小化に関して定められる。
【0073】
他の選択肢として、複合材は、混合機から、修正された雰囲気(例えば、不活性ガス雰囲気、例えば窒素雰囲気)の下で排出されることができ、そして修正された雰囲気の下に維持されるか、または貯蔵されることができる(例えば、排出され、輸送され、そして包装体中に密閉され、全ての工程が修正された雰囲気の下でなされる)。混合機から排出される複合材は(修正された雰囲気中に排出されるか、または修正された雰囲気に移される、のいずれでも)、混合の条件および/またはその複合材が冷却されるか否かに応じて、200℃以下のプローブ温度(例えば、混合機からの排出の直後に)を有することができる。
【0074】
複合材のプローブ温度は、典型的には複合材の塊の温度であり、そして、例えば、熱電対もしくは他の温度測定装置をその複合材中に挿入することによって、測定されることができる。1つの選択肢として、容器もしくは包装体中での密閉の時に、複合材は、20℃~200℃、例えば20℃~180℃、20℃~100℃、40℃~200℃、または40℃~100℃、の範囲のプローブ温度を有することができる。典型的には、排出の際に、複合材は、100℃~180℃の範囲のプローブ温度を有することができる。あるいは、排出された複合材は、冷却に付されることができ、そして20℃~60℃、例えば20℃~50℃、20℃~50℃、または20℃~60℃、の範囲の温度を有することができる。他の態様では、複合材は、30℃~100℃、例えば、40℃~100℃、50℃~100℃、60℃~100℃、30℃~90℃、40℃~90℃、50℃~90℃、60℃~90℃、30℃~60℃、40℃~60℃、または30℃~50℃、または30℃~40℃、の範囲のプローブ温度を有している。
【0075】
エラストマー複合材は、充填剤およびエラストマーを、随意選択的に1種もしくは2種以上の添加剤とともに含む未硬化の(例えば、未加硫の、または加硫前の)混合物と考えられることができ、その添加剤は、ここに更なる詳細が議論される。包装されたこの複合材は、混合物またはマスターバッチと考えられることができる。この複合材は、1つの選択肢として、続く硬化または加硫プロセスに付されて、ゴム配合物またはゴム物品を得ることができる中間製品であることができる。
【0076】
エラストマー複合材は、エラストマー中に分散された充填剤を含んでいる。この複合材は、多くの方法、例えば少なくとも1種のエラストマーを少なくとも1種の充填剤と混合機、例えば噛合い型もしくはタンジェンシャルミキサー(例えば、バンバリーもしくはブラベンダーミキサー)、押出機。ロールミル、連続式コンパウンダ、または他のゴム混合装置中で混合することで、調製されることができる。充填剤および/またはエラストマーは、乾燥形態または湿潤形態で混合されることができる。乾式混合プロセスは、固体エラストマーを充填剤と、乾燥状態で(湿潤化されていない、または液体中に分散されていない)混合することを含んでいる。混合する工程は、少なくとも1種の充填剤を含む第1の流体(スラリー)の圧力の下で連続流を、そしてエラストマーラテックスを含む少なくとも第2の流体の連続流を提供すること、ならびに第1の流体の流れと第2の流体の流れを混合して、充填剤をエラストマーラテックス内に分配させることを伴う、または含むことができる。混合されたラテックスおよび充填剤スラリーは凝固されて湿潤クラムを形成し、それが次いで脱水されて複合材を形成する。このことはまた、「湿式混合」プロセスとして知られており、これは、多くの文献、例えば、米国特許第4,029,633号、第3,048,559号、第6,048,923号、第6,929,783号、第6,908,961号、第4,271,213号、第5,753,742号、第6,521,691号、および第8,586,651号明細書中に記載されており、これらをここに参照することによって、本明細書の内容とする。この混合機は、連続式混合機または他の種類の混合機であることができる。
【0077】
他の方法として、PCT公開WO2020/247663号には、固体エラストマーと、充填剤および液体を含む湿潤充填剤とをともなう混合プロセスが記載されており、ここに参照することによって本明細書の内容とする。PCT公開WO2020/247663号に概略が記された条件の下で、この混合で、エラストマー中に分散された充填剤を含む複合材がもたらされ、その中で、液体含有量は、配合操作および随意選択的な更なる後処理工程、例えば押出、カレンダー加工、ミリング、造粒、ベール化、配合、およびシート化を可能にするのに十分に少ない。そのような配合および後処理工程は、実施された混合方法にかかわらず、エラストマー複合材に対して実施されることができる。
【0078】
また、複合材は、PCT公開WO2018/219630号、WO2018/219631号、WO2020/001823号、およびWO2020/247663号に記載されているように、連続式混合によって調製されることができ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。
【0079】
充填剤とエラストマーに加えて、複合材は、劣化防止剤、カップリング剤、加工助剤(ゴム混合および加工を容易にさせる、例えば、種々のオイルおよび可塑剤、ワックス)、活性化剤(加硫プロセスを活性化させる、例えば酸化亜鉛および脂肪酸)、促進剤(加硫プロセスを促進させる、例えば、スルフェンアミドおよびチアゾール)、加硫剤(または硬化剤、ゴムを架橋させる、例えば、硫黄、過酸化物)、および他のゴム添加剤、例えば、限定するものではないが、加硫遅延剤、架橋助剤、ペプタイザ、粘着促進剤、粘着付与剤、樹脂、難燃剤、着色剤、および発泡剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができる。1つの選択肢として、複合材は、加硫剤を含まない、例えば、複合材は、劣化防止剤、カップリング剤、加工助剤、活性化剤、促進剤、加硫遅延剤、架橋助剤、ペプタイザ、粘着促進剤(例えば、スチールコードのゴム系エラストマーへの接着を促進するためのコバルト塩の使用、例えば、米国特許第5,221,559号明細書および米国特許出願公開第2020/0361242号明細書に記載されたもの、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、樹脂(例えば、粘着付与剤、トラクション樹脂)、難燃剤、着色剤、発泡剤および発熱低減のための添加剤(HBU)から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む。1つの選択肢として、ゴム薬品は、加工助剤および活性化剤を含むことができる。他の選択肢として、1種もしくは2種以上のゴム薬品は、酸化亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、加硫促進剤、樹脂、およびプロセスオイルから選択される。例示的な樹脂としては、1種もしくは2種以上のC5樹脂、C5~C9樹脂、C9樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール樹脂、および米国特許第10,738,178号、第10,745,545号明細書および米国特許出願公開第2015/0283854号明細書中に開示された樹脂(それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、から選択されるものが挙げられる。
【0080】
例えば、乾式混合または湿式混合または固体エラストマー/湿潤充填剤混合または他の混合プロセスで複合材を最初に形成した後に、複合材は、随意選択的に、更なる成分、例えば、劣化防止剤、酸化亜鉛、脂肪残、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、加硫促進剤、樹脂、カップリング剤、およびプロセスオイルの1種もしくは2種以上と配合されることができる。1つの選択肢として、複合材は、配合する前に(もしあれば)充填剤が混合され、そしてエラストマー中に分散される初期の混合プロセスの間に添加された劣化防止剤を含むことができる。劣化防止剤は、酸素と反応して、ゴムの劣化を防止するように機能することができるので、劣化防止剤はまた、1種の酸素スカベンジャーと考えられることができる。劣化防止剤(例えば、酸化防止剤)は、組成物中に、複合材の質量を基準として、0.5質量%~5質量%、1質量%~5質量%、0質量%~3質量%、0.5質量%~3質量%、1質量%~3質量%、0質量%~2質量%、0.5質量%~2質量%、または1質量%~2質量%の範囲の量で存在することができる。言い換えれば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤)は、複合材中に(初期の混合の後かまたは配合の後のいずれかで)、0.5phr~10phr、0.5phr~5phr、0.5phr~3phr、0.5phr~2phr、1phr~10phr、1phr~5phr、1phr~3phr、または1phr~2phrの範囲の量で存在することができる。
【0081】
1つの選択肢として、複合材は、ここに開示されたいずれかの他の添加剤に加えて、加硫剤(または、ゴムを架橋するためのキュアリング剤または硬化剤、例えば、硫黄、過酸化物)を含むことができる、例えば、「グリーンコンパウンド」。加硫(硬化)剤あり、またはなしで、ここに開示されたパラメータおよび方法に従って包装された複合材は、加硫プロセスに付されるまでは、硬化されていないと考えられる。
【0082】
1つの選択肢として、複合材の、ここに開示された酸素バリア容器中への貯蔵または方法は、複合材が、いずれかの劣化防止剤または酸化防止剤を実質的に含まないことを可能にさせることができる。酸素との酸化または反応は、エラストマー複合材の劣化の1つの要因である。酸素の除去は、劣化防止剤または酸化防止剤の添加を不要にさせることができる。1つの選択肢として、いずれかの劣化防止剤を実質的に含まない複合材は、複合材の1質量%以下の、例えば複合材の0.5質量%以下、0.3質量%以下、0.2%質量%以下、0.1質量%以下、例えば0.1質量%~1質量%、0.2質量%~1質量%、0.1質量%~0.5質量%、0.2質量%~0.5質量%、0.1質量%~0.3質量%、0.質量%~0.1質量%の量で劣化防止剤を含むことができる。言い換えれば、複合材は、0phr~0.5phr、0.1phr~0.5phr、0.2phr~0.5phr、0phr~0.3phr、0.1phr~0.3phr、0phr~0.2phr、または0phr~0.1phrの範囲の量で、劣化防止剤を含んでいる。劣化防止剤を実質的に含まない(例えば、酸化防止剤を実質的に含まない)配合では、配合物は、随意選択的に、1種もしくは2種以上の他の添加剤、例えば、酸化亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、加硫促進剤、樹脂、カップリング剤、プロセスオイルおよび/または加硫剤を含むことができる。
【0083】
1つの選択肢として、未硬化の複合材は、エラストマー中に分散された充填剤から本質的になる、または、からなる、あるいは、未硬化の複合材は、エラストマー中に分散された充填剤および劣化防止剤から本質的になる、または、からなる。他の選択肢として、未硬化の複合材は、エラストマー中に分散された充填剤および架橋剤から本質的になる、または、からなる、あるいは、未硬化の複合材は、エラストマー中に分散された充填剤および劣化防止剤および架橋剤から本質的になる、または、からなる。
【0084】
特定の態様では、複合材は、過剰の水分を有する場合があり、例えば、PCT公開WO2020/247663号に従って作られた複合材。例えば、複合材は、3%~20%、例えば、4%~20%、5%~20%、3%~10%、4%~10%、5%~10%、3%~9%、3%~8%、3%~7%、3%~6%、または3%~5%の範囲の水分含有量を有することができる。劣化防止剤がない場合には、そのような複合材は、かびの形成を受け易い。酸素バリア壁を含む容器および包装体は、低い包装体内部の酸素含有量が、低いため、カビの形成(あるのであれば)の程度を減らすことができるため、過剰な水分を含むそのような複合材料の貯蔵を可能にすることができる(劣化防止剤が実質的に含まれていない場合でも)。
【0085】
ここに開示された酸素バリア壁を含む容器中へのエラストマー複合材の包装または貯蔵に当たって、複合材は、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも3月間、少なくとも6月間、少なくとも9月間(例えば5日間~2年間、または5日間~1年間、またはここに開示された他の期間)に亘って貯蔵されることができ、そのような複合材は、養生された、または貯蔵された複合材と表されることができる。
【0086】
結果として得られる貯蔵もしくは養生された複合材および/または貯蔵もしくは養生された複合材から作られたゴム配合物は、貯蔵の後で、密閉(包装)の時における特性と比較して、および/または周囲条件(例えば、周囲酸素分圧、周囲絶対圧力など、例えば、空気中で貯蔵された複合材)で貯蔵もしくは養生された複合材と比較して、同様の特性(少なくとも1つのゴム特性を維持している)、あるいは高められたまたは向上すらしているゴム特性を示ことができる。また、そのような貯蔵された複合材から作られた対応する配合物は、複合材から作られた密閉される時の配合物と比較して、および/または周囲条件の下で貯蔵もしくは養生された(例えば、空気中で貯蔵された)複合材から作られた配合物と比較して、同等のまたは高められてさえいる特性を得ることができる。密閉する時に、複合材の試料は、種々の測定技術に付されるか、または特性を測定もしくは取得する他のゴム配合物を形成するために配合されることができる。包装する時の複合材の測定されたそのような特性は、対照試料となる(対照試料複合材から形成されたゴム配合物は、対照ゴム配合物となる)。ある期間、例えばここに開示された期間、に亘る貯蔵もしくは養生の後に、養生もしくは貯蔵された複合材の試料およびそれに続いて形成された配合物特性を、測定または取得されることができる。
【0087】
特定の例では、そのようなゴム特性は維持され、例えば、包装または密閉する時の値の、例えば、10%以下、5%以下、3%以下、2%以下、または1%以下の特性の低下。他の例では、養生もしくは貯蔵された複合材および養生もしくは貯蔵された複合材から作られた対応する配合物は、高められた値を示す。向上は、密閉または包装する時の特性と比較して、および/または周囲条件で貯蔵もしくは養生された複合材(ならびに、そのような複合材から作られた対応する配合物)と比較して、少なくとも5%、または少なくとも10%だけ高められたゴム特性によって認められることができる。そのような向上は、有益な値の減少(例えば、複合材または対応するゴム配合物のペイン効果またはペイン比あるいは最大tanδによって示されるゴム配合物のヒステリシス)、または有益な特性の増加、例えば引張強度、引張り応力、または対応する配合物の弾性率比、であることができる。
【0088】
例えば、複合材(およびそのような複合材から形成された配合物)のレオロジー特性は、ここに開示された高い酸素バリア容器中での複合材の貯蔵のために高められることができる。そのような特性の1つは、複合材(未加硫の)のペイン効果であり、ペイン比またはペイン差によって表されることができる。ペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)によって規定され、ここでG‘(0.3%)は、0.3%のひずみ振幅で測定される動的貯蔵弾性率であり、そしてG‘(51.5%)は、51.5%のひずみ振幅で測定される動的貯蔵弾性率である。ペイン差は、G‘(0.3%)およびG’(51.5%)の間の差異である。複合材のレオロジー特性、例えば複合材のペイン比は、測定が加硫の前になされる限りにおいて、異なる期間に亘る複合材の貯蔵の前および後に測定されることができる。幾つかの例では、包装体または容器の密閉もしくは貯蔵からの、例えば、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、または少なくとも60℃の温度での、少なくとも5日間(少なくとも14日間)の後に、エラストマー複合材は、包装体の密閉から0日間の複合材のペイン比に対して、少なくとも10%(例えば、少なくとも15%、または少なくとも20%)だけ低下した、G‘(0.3%)/G’(51.5%)によって規定されるペイン比を有している。1つの選択肢として、複合材は、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、または少なくとも2のペイン比、例えば、1~15、1~12、1.5~15、1.5~12、2~15、または2~12の範囲のペイン比を有している。
【0089】
例として、硬化された配合物(そのような養生されもしくは貯蔵された複合材から形成された)の特性は、ゴム配合物特性、例えば、レオロジー特性、例えば、上記で規定されたペイン比の低下(少なくとも10%だけ)、または最大tanδによって示されるゴム配合物のヒステリシスの低下(少なくとも10%だけ)、または機械的性質、例えば弾性率比もしくは引張応力比の少なくとも10%だけの増加(弾性率比もしくは引張応力比は、300%伸びにおける引張応力(M300)の、100%伸びにおける引張応力(M100)に対する比、すなわち、M300/M100である)によって示されるように、有利に高められていることができる。
【0090】
複合材は、充填剤をエラストマー中に混合したおよび分散した後に、または複合材が未硬化である限りにおいて、複合材が、1種もしくは2種以上の添加剤(例えば、ここでより詳細に議論したように、劣化防止剤、カップリング剤、加工助剤、活性化剤、加硫促進剤、加硫剤)と配合される、更なる混合段階の後に、包装されることができる。複合材は、混合機からの排出の直後に、またはここに開示された温度でのある期間の後に、最小の劣化で、包装されることができる。
【0091】
高温の内部温度またはプローブ温度を有する複合材を包装する場合には、包装体または容器は、そのような高温充填プロセスに耐性があるように選択されることができる。収縮または他の変形が、特には、包装体の内部が減圧下、例えば真空下にある場合には、複合材を冷却する際に発生する可能性がある。高温充填包装体は、典型的には可撓性であり、そして冷却に際して変形するように構成されている。熱安定化真空方法もまた用いられることができる。あるいは、包装体は非常に硬質、例えば高いTgのプラスチック、または厚い壁を有するもの(例えば、250μm超の厚さの壁)、または金属容器、であることができ、
【0092】
複合材を形成する充填剤およびエラストマーは、当業界で知られているいずれかの充填剤およびエラストマーであることができる。エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、官能化天然ゴム、合成エラストマー、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR、例えば、溶液SBR(SSBR)、エマルジョンSBR(ESBR)、または油展SSBR(OESSBR))、官能化スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、イソブチレン系エラストマー(例えば、ブチルゴム)、ハロゲン化ブチルゴム、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ポリスルフィドゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物が挙げられる。本方法において用いられることができる他の合成ポリマーとしては、水素化SBR、および熱可塑性ブロック共重合体(例えば、再生利用可能なもの)が挙げられる。合成ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエンおよびイソプレンの共重合体が挙げられる。他の合成エラストマーとしては、メタロセン化学で合成されたものが挙げられ、この場合に、金属は、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Tm、Yb、Lu、Co、Ni、およびTiから選択される。生物由来のモノマー、例えばASTM D6866によって規定されたモダンカーボンを含むモノマー、から作られたポリマー、例えば、米国特許第9,868,853号明細書に開示された生物由来のスチレンモノマーから作られたポリマー(その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、あるいは生物由来のモノマー、例えば、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、ファルネセン、およびそれらのコモノマーから作られたポリマーもまた用いられることができる。
【0093】
1つの選択肢として、複合材は、酸素への暴露で劣化を受ける少なくとも1種のエラストマー、例えばジエン系エラストマーを含む可能性があり、それらとしては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、およびそれらの混合物が挙げられる。1つの選択肢として、複合材は、当技術分野で知られているように、酸素の影響を実質的に受け易くない他のエラストマーを更に含むことができる。他の選択肢として、少なくとも1種のエラストマーは、天然ゴムを(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の天然ゴム)を含み、そして少なくとも1種の合成エラストマーを更に含むことができる。1つの選択肢として、少なくとも1種のエラストマーは、天然ゴムを含み、そして少なくとも1種の更なるエラストマー、例えばスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴムまたは当技術分野で知られているまたはここに開示されたいずれかの合成ゴムを更に含んでいる。
【0094】
エラストマー複合材の分野で知られているいずれかの充填剤が用いられることができる。その充填剤は、粒子状または繊維状または板状であることができる。例えば、粒子状充填剤は、分離した個体で作られている。そのような充填剤は、3:1以下、または2:1以下、または1.5:1以下のアスペクト比(例えば、直径に対する長さ)をしばしば有している。繊維状充填剤は、例えば、2:1以上、3:1以上、4:1以上、またはそれ以上のアスペクト比を有することができる。
【0095】
充填剤は、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、バイオ系充填剤、例えばナノセルロースおよびリグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、再生材料からの充填剤、例えば熱分解炭素、再生炭素、および再生カーボンブラック(例えば、ASTM D8178-10で規定されるもの、rCB)、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン(例えば、PCT公開WO2019/070514号に開示された還元型酸化グラフェン、または2019年6月5日出願の米国特許出願公開第62/857,296号およびPCT公開WO2020/247681号に開示された高密化還元型酸化グラフェン顆粒(それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造(CNS)、カーボンナノチューブの断片、破砕多層カーボンナノチューブ(PCT出願PCT/US2021/27814号に開示されているような、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、またはそれらの組み合わせ、あるいはそれらの対応するコーティングされた材料または化学的に処理された材料(例えば、化学的に処理されたカーボンブラック)から選択された少なくとも1種の材料を含むことができる。
【0096】
他の好適な充填剤としては、炭素質ナノ構造(CNS、単層CNS)、分岐されることによってポリマー構造中で架橋された複数のカーボンナノチューブ(CNT)、例えば、デントリマー様の、互にかみ合わされた、絡み合った、および/または互いに共通の壁を有するもの、が挙げられる。CNS充填剤が、米国特許第9,447,259号およびPCT公開WO2021/247153号中に記載されており、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。充填剤の混合物もまた用いられることができ、例えば、シリカおよびカーボンブラック、シリカおよびケイ素処理カーボンブラック、ならびにカーボンブラックおよびケイ素処理カーボンブラックの混合物。充填剤は、化学的に処理される(例えば、化学的に処理されたカーボンブラック、化学的に処理されたシリカ、ケイ素処理カーボンブラック)、および/または化学的に改質されることができる。充填剤は、結合された有機基を有するカーボンブラックであるか、または、を含むことができる。充填剤は、充填剤上に1つもしくは2つ以上のコーティングを有することができる(例えば、ケイ素コーティング材料、シリカコーティング材料、炭素コーティング材料)。充填剤は、酸化されている、および/または他の表面処理を有することができる。充填剤の種類(例えば、シリカ、カーボンブラック、または他の充填剤)について制限はない。
【0097】
充填剤は、繊維状充填剤、例えば天然繊維、半合成繊維、および/または合成繊維(例えば、ナノサイズのカーボンフィラメント)、例えばPCT公開WO2021/153643号に開示された短鎖繊維(その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)を含むことができる。他の繊維充填剤としては、Kevlar(登録商標)pulp(Du Pont)として商業的に入手可能なポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)パルプが挙げられる。
【0098】
生物由来のまたはバイオ系材料(生物源から誘導された)、再生材料、または再生可能または持続可能であると考えられる他の充填剤としては、熱水性炭素(HTC、この場合、充填剤は、米国特許第10,035,957号および第10,428,218号明細書に記載されているように熱水炭化によって処理されたリグニンを含む、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、もみ殻シリカ、メタン熱分解からの炭素、改変ポリサッカリド粒子、珪質土、クラムラバー、および官能化クラムラバーが挙げられる。例示的な改変ポリサッカリドとしては、米国特許出願公開第2020/0181370号および第2020/0190270号明細書に記載されたものが挙げられ、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。例えば、ポリサッカリドは、ポリアルファ-1,3-グルカン;ポリアルファ-1,3-1,6-グルカン;90%以上のアルファ-1,3-グリコシド結合、1質量%未満のアルファ-1,3,6-グリコシド分岐点、および55~10000の範囲の数平均重合度を有する水不溶性アルファ-(1,3-グルカン)ポリマー;デキストラン;ポリアルファ-1,3-グルカンエステル化合物を含む組成物;および約10~約1000の質量平均重合度(DPw)およびセルロースII結晶構造を有する水不溶性セルロースから選択されることができる。1つの選択肢として、少なくとも1種の充填剤は、もみ殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、および熱水性炭素から選択される。
【0099】
用いられることができる充填剤の種類(例えば、シリカ、カーボンブラック、またはここに開示される他の充填剤)については制限はなく、バイオ系(生物源から誘導される)および再生材料(例えば、再生炭素)が挙げられる。コーティング充填剤の例としては、米国特許第10,519,298号明細書に記載されたものが挙げられ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。化学的に処理された充填剤の例としては、例えば、米国特許第5,554,739号、第5,630,868号、第5,672,198号、第5,707,432号、第5,851,280号、第5,885,335号、第5,895,522号、第5,900,029号、第5,922,118号に記載されているような、少なくとも1つの有機基が結合されている(例えば、ジアゾニウム反応によって)充填剤(例えば、カーボンブラック)が挙げられ、これらの開示を参照することによって本明細書の内容とする。
【0100】
充填剤は、ケイ素処理カーボンブラック、ケイ素含有種、例えばケイ素の酸化物または炭化物を含むことができ、それはカーボンブラック凝集体の少なくとも一部を通して、カーボンブラックの固有の部分として分配されている。ケイ素処理カーボンブラックは、コーティングされたもしくは他のように変性されたカーボンブラック凝集体ではなく、実際に2相の凝集体粒子を表す。1つの相は炭素であり、それはなお、黒鉛状結晶および/または無定形炭素として存在し、一方で、第2の相は、シリカ、そしておそらくは他のケイ素含有種である。従って、ケイ素処理されたカーボンブラックのケイ素含有種の相は、凝集体の固有の部分であり、凝集体の少なくとも一部を通して分配されている。Ecoblack(商標)ケイ素処理カーボンブラックが、Cabot Corporationから入手可能である。それらのケイ素処理カーボンブラックの製造および性質が、米国特許第6,028,137号明細書に記載されており、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。ケイ素処理カーボンブラックとしては、カーボンブラックの主に凝集体表面におけるケイ素含有領域を含み、しかしながらなおカーボンブラックの部分であることができる、および/またはケイ素処理カーボンブラックは、カーボンブラック凝集体を通して分配されたケイ素含有領域を含むことができる。ケイ素処理カーボンブラックは、酸化されていることができる。
【0101】
少なくとも1種の充填剤(例えば、カーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、またはここに開示されたいずれかの他の充填剤またはそれらの組み合わせ)は、20phr~250phr、例えば20phr~240phr、20phr~230phr、20phr~220phr、例えば20phr~180phr、20phr~150phr、20phr~120phr、20phr~100phr、20phr~80phr、20phr~60phr、30phr~100phr、30phr~80phr、30phr~60phr、40phr~100phr、40phr~80phr、40phr~60phrの範囲の充填量で少なくとも1種のエラストマー中に分散されることができる。特定の炭素系ナノ材料、例えばグラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェンカーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造、カーボンナノ構造の断片、断片化された多層カーボンナノチューブは、少なくとも1種のエラストマー中に、少なくとも0.1phrの充填量で、単独で、または1種もしくは2種以上の非炭素系ナノ材料、例えばカーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、およびここに開示された他の充填剤および組み合わせとともに、のいずれかで、分散されることができる。炭素系ナノ材料は、少なくとも1種のエラストマー中に0.1phr~50phr、0.5phr~50phr、0.5phr~40phr、0.5phr~30phr、0.5phr~20phr、0.5phr~10phr、0.5phr~5phr、0.5phr~3phr、0.5phr~2phr、0.5phr~1phr、1phr~20phr、1phr~10phr、1phr~5phr、1phr~3phr、または1phr~2phrの範囲の充填量で分散されることができる。他の範囲は、PCT公開WO2020/247663号、PCT公開WO2019/070514号、PCT出願PCT/US2021/27814号に開示された範囲などのように想定することができる。
【0102】
1つの選択肢として、エラストマー複合材中の少なくとも1種のエラストマーは、少なくとも30%の天然ゴム(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の天然ゴム)を含み、そしてエラストマー複合材中の少なくとも1種の充填量は、少なくとも50%のカーボンブラック(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%のカーボンブラック)を含んでいる。
【0103】
充填剤がカーボンブラック、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%のカーボンブラックを含むか、または充填剤が、実質的に全てカーボンブラックである場合には、未硬化の複合材は、少なくとも1種の架橋剤を混合することによって形成された製品であることができる。例えば、複合材は、少なくとも充填剤、エラストマー(またはエラストマーラテックス)、および少なくとも1種の架橋剤、および少なくとも1種の架橋剤を混合することによって調製されることができる、あるいは複合材は少なくとも1種の架橋剤を更に含むことができる。特定の架橋剤の存在で調製された複合材、例えば2021年12月8日に出願されたPCT出願PCT/US21/62433号(その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)に開示されたものは、長期に亘って、例えば、少なくとも20℃の温度において、少なくとも5日間超、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1月間(少なくとも30日間)、少なくとも2月間、少なくとも30月間,そして更には少なくとも6月間(少なくとも180日間)、1年間(12月間)以下、または更には2年間以下に亘って、低減された劣化を示すことができる。そのような低減された劣化は、ここに開示された貯蔵/包装方法によって得られる利益をともなう少なくとも部分的な付加物であることができる。1つの選択肢として、複合材は、少なくとも1種の架橋剤を更に含んでおり、例えば、充填剤およびエラストマーを含む未硬化の複合材またはマスターバッチは、当技術分野で知られているいずれかの方法に従って調製され、そして次いで架橋物を形成させる前に、少なくとも1種の架橋剤および随意選択的に少なくとも1種の添加剤(例えば、劣化防止剤またはここに開示された他の添加剤)との1つもしくは2つ以上の配合または他の加工工程に付される。
【0104】
1つの選択肢として、架橋剤は、少なくとも1つの官能基を有する化合物から選択され、ここで、
第1の官能基は、- NR、-N(R)(R)(R、- S-SO、式(I)および式(II)によって表される構造から選択され、
【化1】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ニトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR、NR、-S、そしてnは1~6から選択される整数であり、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO、-S、-SH、-C(R)=C(R)--C(O)R、-C(R)=C(R)-CO、-C(R)=C(R)-COから選択され、そして、
【0105】
~Rは、それぞれ独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され、そして、MおよびMは、それぞれ独立して、H、Na、K、Li、N(R‘) から選択され、ここで、それぞれのR‘は、独立して、HおよびC~C20アルキルから選択され、そしてxは1~8から選択される整数である。
【0106】
いずれかの理論によって拘束されることは望まないが、湿潤充填剤との混合プロセスが、充填剤の分散を促進することができる一方で、架橋剤は、充填剤および/またはエラストマーと相互作用して、充填剤とエラストマーの間により強力な相互作用を生成させることができることが信じられる。1つの選択肢として、架橋剤は、少なくとも2つの官能基を有することができ、その中で、第1および第2の官能基は、エラストマーおよび/または充填剤と相互作用することができる。この相互作用は、吸着または化学的結合、例えば、イオン性の相互作用、双極子-双極子相互作用、水素結合、共有結合など、を含む可能性がある。この複合材では、架橋剤は、混合機に充填されたままと同じ形態で、または例えば、充填剤および/またはエラストマーと化学的結合を介して相互作用する場合は、異なった形態で、存在することができる。
【0107】
少なくとも2つの官能基を有する架橋剤は、2つ、3つ、または4つ、または5つ以上の官能基を含むことができる。それらの態様のいずれかでは、架橋剤は、- NR、-N(R)(R)(R、- S-SO、ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択されることができる。
【化2】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ニトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR、NR、-S、そしてnは1~6から選択される整数である。特定の態様では、第1の官能基は、-NR(例えば、--NHRまたは-NH)、-CO、および-S-SOから選択されることができる。
【0108】
架橋剤は、第2の官能基を更に含むことができ、それは、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、- S-SO、- S-R、-SH、- C(R)=C(R)-C(O)R、- C(R)=C(R)-CO、- C(R)=C(R)- COから選択されることができる。特定の態様では、第2の官能基は、-S-SO、および-CR=CR-COから選択されることができる。官能基が- CO、および- S-SO、- S-SO、および- CR=CR- COである場合には、それらは酸またはそれらの塩から選択されることができ、例えば、MおよびMは、それぞれ独立してH、Na、K、Li、およびN(R‘) から選択される(例えば、アンモニウム塩、この場合にはそれぞれのR‘は、独立してHおよびC~C20アルキル、例えば、C~C12アルキルまたはC~CアルキルまたはC~Cアルキルから選択され、例えばモノアルキル、ジアルキル、トリアルキル、またはテトラアルキルアンモニウム塩)。架橋剤が2つもしくは3つ以上のMまたは2つもしくは3つ以上のM2基を含む場合には、それぞれのMまたはMは、独立してH、Na、K、Li、およびN(R’) から選択されることができる。
【0109】
ここに記載された態様では、R~Rは、それぞれ独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され、MおよびMは、それぞれ独立してH、Na、K、Li、N(R‘) から選択され、そしてxは1~8から選択される整数である。
【0110】
1つの選択肢として、第1の官能基は、カーボンブラックと相互作用することができる。カーボンブラックは、1つもしくは2つ以上の表面官能基、例えば、限定するものではないが、酸素含有基、例えばカルボン酸(およびその塩)、ヒドロキシル(例えば、フェノール)、エステルまたはラクトン、ケトン、アルデヒド、無水物、およびベンゾキノンを有することができる。他の選択肢として、第2の官能基は、固体エラストマーと相互作用することができる。固体エラストマーは、天然エラストマー、合成エラストマー、およびそれらの混合物であることができる。例えば、固体エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、官能化スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択されることができる。1つの選択肢として、固体エラストマーは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびポリブタジエンゴムから選択されることができる。固体エラストマーは、オレフィン基を有することができ、および/または幾つかの基で官能化されていることができる。
【0111】
1つの選択肢として、第1の官能基は、- NR(例えば、-NH)および- S-SOから選択されることができ、そして第2の官能基は、-S-SOおよび-CR=CR-COから選択されることができる。
【0112】
架橋剤は、3つ以上の官能基を含むことができる。そのような架橋剤について、それぞれの付加的な官能基、例えば、第3、第4などの官能基は、ここに開示された第1および第2の官能基のリストから選択されることができる。1つの選択肢として、2つ以上の種類の架橋剤が、複合材を調製するのに用いられることができる。
【0113】
架橋剤は、第1と第2の官能基の間に少なくとも1つのスペーサを更に含むことができる。例えば、1つもしくは2つ以上のスペーサは、互に、そして最後には第1および第2の官能基へと、結合されることができる。1つの選択肢として、第1のスペーサは、-(CH-、- (CHC(O)- 、- C(R)=C(R10) -、- C(O)- 、、- N(R) -、および- C- から選択され、ここでyは1~10から選択される整数であり、そしてRおよびR10は、それぞれ独立してHおよびC~Cアルキルから選択される。
【0114】
例示的な架橋剤は、式(1)、式(2)および式(3)の化合物から選択される。
【化3】
式中、MおよびMはここで規定されるとおりであり、RおよびRは、HおよびC~Cアルキルから独立して選択される(例えば、HおよびC~Cアルキルから独立して選択されるか、またはHおよびC~Cアルキルから独立して選択される)。1つの選択肢として、MおよびMは、H、Na、およびN(R‘) 、例えばHおよびNaからそれぞれ独立して選択され、そしてRおよびRは同じであり、例えばRおよびRはそれぞれHである。式(1)の架橋剤の例としては、ナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートであり、Sumilink(登録商標)200架橋剤として商業的に入手可能であり、そして式(2)の架橋剤の例としては、S-(3-アミノプロピル)チオ硫酸があり、Sumilink(登録商標)100架橋剤(住友)として商業的に入手可能である。式(3)の架橋剤の例が、Duralink(商標)HTSタイヤ添加剤(Eastman Chemical Co.)として商業的に入手可能である。他の架橋剤としては、シスタミンおよびチオ尿素が挙げられる。
【0115】
1つの選択肢として、未硬化の複合材は、例えば、充填剤およびエラストマー(またはラテックス)、または充填剤スラリーとラテックスとの混合からもたらされる凝固物との組み合わせでの第一段階の混合方法の間に、あるいは複合材(生産的なまたは非生産的な)の配合および/または未硬化の複合材の更なる加工の間に、少なくとも充填剤、エラストマー(またはラテックス)、および少なくとも1種の架橋剤を混合した生成物である。架橋剤を含むそのような複合材を形成する複合材および方法の例が、米国特許第9,365,497号、第10,208,137号、第10,343,455号、第10,793,702号、第10,889,658号明細書および米国特許出願公開第2018/0105654号、第2019/0218350号、第2019/0144634号、第2019/0241723号明細書、および2021年12月8日に出願されたPCT出願PCT/US21/62433号に開示されており、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。例えば、未硬化の複合材は、既知の乾式混合プロセス、例えば、充填剤、エラストマー、および少なくとも1種の架橋剤の混合、の生成物である。他の例としては、未硬化の複合材は、少なくとも固体エラストマー、湿潤充填剤、および架橋剤を混合して(1つもしくは2つ以上の混合工程で)、混合物を形成し、そしてその混合物から蒸発によって液体の少なくとも一部を除去した生成物であるか、または2021年12月8日に出願されたPCT出願PCT/US21/62433号に記載されたものである。他の例としては、未硬化の複合材は、PCT出願公開WO2020/247663号に記載されているように湿潤充填剤と固体エラストマーを混合し(その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、そして2021年12月8日に出願されたPCT出願に記載されているように少なくとも1種の架橋剤と更に混合される(その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)ことによって調製される。複合材、凝固物、または配合物に加えられるか、または混合機(あるいはここに開示されるいずれかの方法)に充填される架橋剤の量は、10phr以下、例えば6phr以下、5phr以下、4phr以下、3phr以下、または2phr以下の範囲、例えば0.1phr~10phr、0.1phr~8phr、0.1phr~6phr、0.1phr~5phr、0.1phr~4phr、0.1phr~3phr、または0.1phr~2phr範囲の量、あるいは2021年12月8日に出願されたPCT出願PCT/US21/62433号に開示されている他の量であることができ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。
【0116】
エラストマー複合材は、いずれかの形態、例えば、シート、ブロック、またはより小さな断片、例えばフリット、例えばそのようなより小さな断片のベール、例えばフリットのベールで貯蔵されることができる。複合材の小さな断片は、米国特許第7,341,142号明細書に開示されているように、造粒機を用いることによって形成されることができ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。エラストマー複合材の形態は、容器内に存在する酸素の量に影響を及ぼす可能性がある。例えば、ランダムに配置されたフリットのベールは、少なくとも25%の気孔率を有することができる。
【0117】
エラストマーを充填剤と混合する場合には、ゴムの幾らかの劣化が発生する可能性がある。特定の例では、分散された充填剤、例えばカーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、またはここに開示されたいずれかの充填剤を有するエラストマー複合材は、ここで開示された容器、包装体および/または貯蔵方法から利益を得ることができる。エラストマーネットワーク中の充填剤の分布および分散は、「分散状態」または「分散の状態」またはマクロ分散によって表されることができる。1つの選択肢として、マクロ分散は、「d90」粒子サイズ分布によって示されることができ、この中で、粒子サイズは2μm超の粒子からの%面積寄与率を測定することによって定められる。粒子による面積寄与は撮像範囲について報告でき、画像の総撮像範囲(μm)はピクセル数と画像解像度から決定されることができる。画像は、幅および高さの寸法を有することができ、それぞれはピクセルの数で報告され、そして対応する面積は(ピクセル)として報告されることができる。面積については、解像度が、(μm/ピクセル)として報告されることができる。撮像面積は以下の積である。
(面積)×(解像度)
【0118】
1つの選択肢として、d90は、複合材中の充填剤粒子の面積相当直径(μm)であり、ここでd90は、100μm以下、例えば90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、または40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。
【0119】
1つの選択肢として、複合材は、少なくとも50kPa、例えば少なくとも100kPa、または少なくとも200kPaのG‘(10%)を有しており、例えばG’(10%)は、50~1,500kPa、100~1,500kPa、200~1,500kPa、100~1,000kPa、または200~1,000kPaの範囲であり、ここでG’(10%)は、10%のひずみ振幅で測定された動的貯蔵弾性率である。
【実施例1】
【0120】
以下の試験は、それぞれの加硫物についての性能データを得るのに用いられた。
・100%伸びでの引張応力(M100)および300%伸びでの引張応力(M300)が、ASTM D412によって、23℃、50%相対湿度および500mm/分のクロスヘッド速度で評価された。伸び計が、引張り歪を測定するのに用いられた。M300/M100の比は、引張応力比(または弾性率比)と表される。
・最大tanδが、ARES-G2またはARES 2Kレオメータ(製造会社:TA Instruments)で、8mm直径の平行板形状を用いて、ねじりモードで測定された。加硫物試験片の直径サイズは8mm直径および約2mmの厚さであった。レオメータは、60℃の定温および10Hzの一定の振動数で操作された。歪スイープは、0.1~63%の歪振幅で行われた。測定は、一組当たりに10点で行われ、そして最大の測定されたtanδ(「最大tanδ」が報告され、また特に断りのない限り、「tanδ」と表された。配合物のペイン比が、50%歪におけるのに対する0.1%歪における動的貯蔵弾性率の比、すなわち、G‘(0.1%)/G’(50%)から計算された。
・レオロジー特性は、ゴムプロセスアナライザー(RPA;D-RPA 3000、MonTech Rubber Testing Solutions)で測定された。試料(5g)が、ゴム複合材から切り出された。温度は、100℃に設定され、そして試験の進行をとおして、1Hzのせん断振動数が用いられた。試験プログラムは、5分間の静止、次いで10サイクルの50%歪でのせん断、続いて0.3%歪で30分間、そして最終的に0.3~51.5%の歪の歪掃引であった。複合材のペイン比は、0.3%歪での動的弾性率G‘の51.5%におけるG’に対する比、すなわちG‘(0.1%)/G’(50%)から計算された。
例1
【0121】
この例は、同じエラストマー複合材の異なる部分を、空気、窒素、および真空の下で貯蔵した結果を説明しており、ここでエラストマー複合材は、液体混合プロセスによって調製された。
【0122】
複合材は、下記に示された以外は、米国特許第8,586,651号明細書の例2の液体プロセスによって調製された。エラスマーラテックス(希釈されそして脱沈殿物されたMVLフィールドラテックス)は、28質量%の乾燥ゴム含有量を有しており、そして充填剤スラリーは、13~14質量%のカーボンブラック(Propel(登録商標)E7カーボンブラック、「E7」;Cabot Corporation)を含んでいた。流量は、所望の生成速度で、55phrの最終的なカーボンブラック充填量を得るように調整された。結果として得られる複合材の平均カーボンブラック充填量の水準は55phrであった。脱水された複合材は、素練りされ、2phrの酸化防止剤(6PPD)と混合され、そして連続式混合機(2つの#15ロータを備え、190~320rpmで運転されたFarrel Unimix Continuous Mixer(FCM)(Farrel Corporation、Ansonia、コネティカット州))中で乾燥され、そして更に素練りされ、冷却され、そしてオープンミル上で乾燥された。
【0123】
複合材は、90mmの細片を、造粒機をとおして、約80mmの長さ、8mmの幅、8mmの厚さの寸法を有するより小さな断片を形成するように加工することによって、フリットに形成された。造粒機で細片を切断する方法は、米国特許第7,341,142号明細書中に開示されており、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。フリットは、次いで表3に列挙された一連の条件の下で貯蔵される多くの試料へと分けられた。
【0124】
貯蔵の後に、全てのエラストマー複合材は、カムブレードを備えられた300mLのC.W.Brabender密閉式混合機中で、表1に示された配合、および表2に示された実験計画に従って、配合された。加硫促進剤BBTSは、Akrochem(アクロン、オハイオ州)からの、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールであった。配合条件は、開始温度=40℃、ロータ速度=60rpm、充填率=60%であった。
【表1】
【表2】
【0125】
配合物は、次いで、50℃で、10.5m/分の速度で運転されている2本ロールミルでシート化され、次いで、約5mmのニップ間隔でミルを通して4回(端を上にしてロールされる)通過された。これらの試料は、150℃で30分間ヒートプレスされた。
【0126】
表3にそれぞれの複合材(配合の前の)の貯蔵条件ならびに複合材および結果として得られた配合物(加硫物)の特性の概略が記載されている。表3中の「時間」は、その試料が示された条件の下で貯蔵された日数を示している。
【0127】
表3の中で、「Atm」は、その試料が、空気(Air)、窒素(「N2」)、または真空(「vac」)中のいずれに貯蔵されていたかを表している。真空中に貯蔵された例では、複合材は、金属化された袋(Berry Global, Inc.からのMarvelseal(登録商標)360バリアフィルム、二軸延伸ナイロン/PE/アルミニウム箔/PE/LLDPE(シーラント層);フィルムの全厚さ=132μm;0%RH、73°Fでの酸素透過率=0.009cm/(m日atm))の中に置かれていた。複合材の製造の3時間以内に、この袋は、窒素でフラッシュされ、84.7kPaの圧力を得るようにガスを抜かれ、そして密閉された。窒素の下で貯蔵された試料は、製造の3時間以内に、その複合材は金属化された袋の中に置かれ、ガスを抜かれ、窒素でフラッシュされ、そして製造の3時間以内に周囲圧で密閉された。ガスでのフラッシングとガス抜きの工程は、AmeriVacs AVN格納式ノズル真空ヒートシーラーで行われた。
【0128】
表3では、「温度」は、複合材の貯蔵温度を表している。「60°」は、60℃(50%相対湿度)で貯蔵されていたことを表し、それは、その試料をオーブン(袋の中に貯蔵された試料を含む)中に置くことによって達成された。60℃で示された時間に亘って貯蔵された後に、その試料は、配合の前に、室温に一晩平衡状態にされた。「20℃」は、20℃±3℃の温度制御で、空気調整された部屋に貯蔵された試料を表している。
【0129】
対照の複合材の特性は、密閉する前に測定された(日数=0、すなわち、貯蔵なし)。空気調整の下で貯蔵された試料について報告された表3中の値は、6つの試料から得られた平均値である。60℃で貯蔵された試料について報告された値は、4つの試料から得られた平均値である。報告された全ての特性は、「(C)」で示されている複合材について示されている場合を除いて、加硫物についてのものである。
【表3】
【0130】
表3のデータは、貯蔵された複合材、および結果として得られた配合物、すなわち、貯蔵された複合材から生成された加硫物の特性を与えている。複合材の特性に関して、ペイン比は、空気中で90日間を超えて貯蔵された試料と比較して、窒素および真空貯蔵された試料について、有利に低減されている。配合物の特性に関して、全ての温度条件の下で、窒素および真空包装された試料は、最大tanδ値およびペイン比において維持または低下を示すことを理解することができる。対照的に、最大tanδは、空気中で(21%の標準酸素含有率で)90日間を超えて貯蔵された全ての試料に次いで、増加している。この効果は、空気中で貯蔵された試料についての最大tanδにおける、窒素もしくは真空の下で貯蔵された試料についての対応する低下に対する、増加によってわかるように、60℃で貯蔵された場合に、顕著である。本発明の複合材および対応する配合物は、空気中で貯蔵された(すなわち、酸素バリア容器中に貯蔵されていない)それらの試料と比較して、非常に予想外のヒステリシスの向上を与える。
例2
【0131】
この例は、同じエラストマー複合材の異なる部分を、空気、窒素、および真空の下で貯蔵した結果を説明しており、ここでその複合材は、乾式混合プロセスによって調製された。
【0132】
全ての試料は、VULCAN(登録商標)7Hカーボンブラック(「V7H」;Cabot Corporation)として提供されるASTM品種N234カーボンブラックで調製された。用いられたエラストマーは、標準品種のRSS3天然ゴム(Hokson Rubber、マレーシア)であった。この天然ゴムの技術説明は、例えば、Rubber World Magazine‘s Blue Book、出版社:Lippincott and Peto, Inc.(アクロン、オハイオ州、米国)中で広く入手可能である。
【0133】
複合材の混合は、1段階で、BR-1600 Banbury(登録商標)mixer(「BR1600」;製造会社:Farrel)で行われた。結果として得られた複合材は、439mLのC.W.Brabender密閉型混合機で、1段階で配合された。表4に、混合および配合のための処方が示されている。ワックスビーズは、Akrochem(アクロン、オハイオ州)からのAkrowax(商標)5031ワックスビーズであった。
【表4】
【0134】
混合のプロトコルが表5に示されており、混合は、以下の条件で行われた:温度制御ユニット(TCU)温度=50℃;ロータ速度=80rpm;充填率=60%;およびラム圧力=2.8バール。
【表5】
【0135】
結果として得られた複合材は、50℃で、そして約37rpmで操作されたロールミル上でシート化され、続いて約5mmのニップ間隔で6回エンドロールを通過させた。この複合材シートは、空気中または窒素下のいずれかでの貯蔵のために多くの試料に分けられた。窒素雰囲気中の試料については、エラストマー複合材は、窒素でパージされたグローブボックス(2%未満の酸素濃度)中に置かれた。全ての試料は、空気調整された(20℃)雰囲気中で貯蔵された。
【0136】
配合プロトコルが表6に示されており、配合は、以下の条件の下で行われた:TCU温度=40℃、ロータ速度=60rpm;充填率=60%。
【表6】
【0137】
結果として得られた配合物は、50℃で、そして約37rpmで操作された2本ロールミル上でシート化され、続いて約5mmのニップ間隔で4回(端を上にしてロールされる)通過させた。これらの試料は、150℃で30分間ヒートプレス中で硬化された。
【0138】
配合剤と複合材の特性が表7に示されており、「Atm」は例1において規定されたとおりである。対照の複合材の性質は、密閉する前に測定された(Day=0、すなわち貯蔵なし)。
【表7】
【0139】
表7のデータから、窒素の下で保存された複合材は、空気中で同じ長さの時間に亘って貯蔵された試料と比較して、より小さなペイン比の値を示すことを理解することができる。コンパウンド(加硫物)の特性については、空気中で保管された試料の最大tanδ値が180日の経過にわたって増加する。対照的に、窒素の下で貯蔵された試料についての最大tanδは、空気中で貯蔵された試料の値に比較して著しく低かった。窒素の下で貯蔵された試料はまた、空気中に貯蔵された試料(すなわち、酸素バリア容器中には貯蔵されていない)と比較して、若干より高い引張応力比(M300/M100)およびより低いペイン比を有していた。
例3
【0140】
この例は、同じエラストマー複合材の異なる部分を空気または窒素の下で貯蔵する結果を説明しており、ここで複合材は湿潤充填剤を固体エラストマーと混合することによって調製された。複合材は、シートとして貯蔵された。
【0141】
全ての試料は、VULCAN(登録商標)7Hカーボンブラック(「V7H」、Cabot Corporation)として提供されるASTM品種のN234で調製された。用いられたエラストマーは、標準品種のRSS3天然ゴム(Sri Trang Agro-Industry Public Company Limited、タイ)であった。湿潤カーボンブラックは、乾燥カーボンブラックペレットを8インチ型のMicroJetミルにかけて、10ミクロン未満の99.0%粒子径を有する綿毛状のカーボンブラック粒子を生成させることによって調製された。この綿毛状のカーボンブラックは、次いでピンペレタイザ中で湿式ペレット化された。結果として得られた湿潤カーボンブラック(再湿潤化されたカーボンブラック)は、57%の水分含有量を有していた。
【0142】
複合材は、2段階混合プロセス、それに続く2段階配合による加硫物の生成によって調製された。配合が表8に示されており、カーボンブラックの充填量は、乾燥基準で報告されている。
【表8】
【0143】
複合材の混合の第1段階は、4WNロータを備えたKobelco BB-72タンジェンシャル混合機(66Lの容量)で、66%の充填率で行われた。混合チャンバ、ロータおよびラムは、75℃に設定されたTCUで加熱された。ラム圧力は5.5MPaであった。第1段階の混合の後に、複合材は、静止ナイフを備えたKobelco TSR-125二軸スクリュー排出押出機(Kobelco Kobe Steel Group)中で加工された。
【0144】
第1段階の混合プロトコルが表9に示されている。結果としてのバッチ時間は、9.2~9.4分間であった。第1段階の複合材は、123~131℃のプローブ温度範囲および4%の水分含有量を有していた。
【表9】
【0145】
第2段階の混合プロトコルが表10に示されている。複合材の混合の第2段階は、6WIロータを備えたKobelco BB-16タンジェンシャル混合機(14Lの容量)で、40%の充填率で行われた(Kobelco Kobe Steel Group)。混合チャンバおよびロータは、50℃に設定されたTCUを用いて一定の温度で維持された。この混合は、その最も高い位置に上げられたラムで実施されたので、従ってラムは、混合機の内容物にいずれの圧力も加えていない。複合材の混合の第1および第2の段階の間の遅延は、2時間以下であった。初期の素練りの後に、第2段階の複合材の混合は、PID制御(比例積分形微分)の下で行われたが、それによってフィードバックループによるバッチ温度の自動化された制御が可能となる。混合機のドロップドアを通して挿入された熱電対で、バッチ温度が測定され、それがPID制御器に伝達される。制御器の出力は、混合機ロータの速度を制御するのに用いられる。第2段階の複合材混合プロトコルが、表10に示されている。第2段階の複合材は、133~140℃のプローブ温度範囲および<1%の水分含有量を有していた。
【表10】
【0146】
第2段階の混合の後で、複合材はローラダイを備えたTSR-125二軸スクリュー排出押出機(Kobelco Kobe Steel Group)で処理されてシートが生成された。周囲条件での27日間の後で、複合材は、次いでシートとして、表13に概略を示した条件の下で貯蔵された。貯蔵温度は20℃(空気調整された)であって、そして試料は、空気中または窒素パージされたグローブボックス中で貯蔵された(「N2」)(2%未満の酸素濃度)。
【0147】
2段階の配合は、以下の条件の下で、BR1600混合機で実施された:TCU温度=50℃(第1および第2段階);ロータ速度=80rpm(第1段階)または60rpm(第2段階);充填率=68%(第1段階)または65%(第2段階);ラム圧力=2.8バール(第1および第2段階)。第1および第2段階の配合プロトコルが表11および12にそれぞれ示されている。
【表11】
【表12】
【0148】
それぞれの配合段階の後に、配合物は50℃および約37rpmで運転された2本ロールミル上でシート化され、続いて約5mmのニップ間隔のロールミルで6回のエンドロール通過をさせた。段階2の試料は、加熱されたプレス(150℃、2500lbs)中で一定時間(30分間)に亘って硬化された。加硫物の特性が表13に示されている。対照の複合材の特性が、密閉の前に測定された(日数=0、すなわち貯蔵なし)。
【表13】
【0149】
表13のデータから、空気中に20℃で貯蔵されたシートについての最大tanδは、維持された、または180日の経過に亘って増加していることが理解されることができる。対照的に、窒素の下で貯蔵された試料は、180日間の貯蔵期間の後に、著しく減少した最大tanδを有している。更に、窒素中に貯蔵された試料は、20℃で空気中に貯蔵された試料よりも、引張応力においてより小さい減少を示している。更には、窒素の下で貯蔵された試料だけが、減少したペイン比値を示した。
例4
【0150】
この例は、同じエラストマー複合材の異なる部分を、シートとして、空気または真空の下で貯蔵した結果、ここで複合材は、湿潤充填剤を固体エラストマーおよび架橋剤と混合することによって調製され、ならびにこの複合材から調製された配合物特性の評価を説明している。
【0151】
全ての試料は、VULCAN(登録商標)7Hカーボンブラック(「V7H」、Cabot Corporation)として提供されるASTM品種N234カーボンブラックで調製された。湿潤カーボンブラックペレットは、56%の水分含有量を有しており、そして8インチ型のMicroJetミルで混錬して、10μm未満の99.5%粒子径を有する綿毛状カーボンブラック粒子を生成することによって調製された。この綿毛状カーボンブラックは、次いでピンペレタイザで湿潤化されて、湿潤化されたペレットを再生成させた。用いられたエラストマーは、標準品種のRSS3天然ゴム(Von Bundit Co. Ltd.、タイ)であった。この天然ゴムの技術説明は、例えばRubber World Magazine's Blue Book、出版社Lippincott and Peto, Inc.(アクロン、オハイオ州、米国)などで広く入手可能である。用いられた架橋剤は、ナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートであり、Sumilink(登録商標)200カップリング剤(「S200」、Sumitomo Chemical)として商標的に入手可能である。
【0152】
複合材は、2段階の混合プロセス、それに続く1段階の配合によって調製された。配合処方は表8に示されており、カーボンブラック充填量は乾燥基準で報告されている。用いられた配合処方は表14に示されている。カーボンブラック充填量は、乾燥基準で設定された。
【表14】
【0153】
2段階の混合プロトコルの第1段階が表15に概略示されている。時間間隔は工程の時間を表している。第1段階の混合は、4WNロータを備えたBB-16混合機(16.2L容量)で、以下の条件の下で行われた:TCU温度=90℃;充填率=66%;ラム圧力=112バールG。
【表15】
【0154】
第1段階の混合の後の複合材の水分含有量は、4.96%であった(混合時間=7分20秒間、プローブ温度=125℃)。第1段階の混合の後に、複合材は、静止型ナイフを備えたTSR-125二軸スクリュー押出機(Kobelco Kobe Steel Group)で加工された。
【0155】
第2段階の混合のプロトコルが表16に示されており、そして混合は6WIロータを備えたBB-16混合機(14.4Lの容量)で以下の条件で行われた:TCU温度=65℃、充填率=35%、ラム圧力=112バールG。最初の素練りの後に、例3で説明したように、混合が、ラムをその最も高い位置に上げて、PID温度制御の下で行われた。
【表16】
【0156】
第2段階の混合の後に、複合材はローラーダイを備えたTSR-125二軸スクリュー排出押出機(Kobelco Kobe Steelグループ)中で加工されてシートが生成された。結果として得られたシートは、周囲空気の下で27日間冷却された。
【0157】
複合材は、次いでシートとして、空気または真空中に90日間に亘って20℃で貯蔵された。真空の下で貯蔵された試料については、複合材は、金属化された袋(Marvelseal(登録商標)360バリアフィルム)の中に置かれ、そしてガスフラッシュ、そして次いでAmeriVacs AVN格納式ノズル真空ヒートシーラーでの排気に付された。
【0158】
貯蔵期間の後に、加硫物は、貯蔵された複合材を、表14の段階3の配合処方で、CAMブレードを備えた439mLのC.W.Brabender prep混合機中で、表17に示されたプロトコルに従って配合することによって形成された。加硫促進剤BBTSは、Akrochem(アクロン、オハイオ州)からの(N-tert-ブチル-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)であった。配合の条件は、開始温度=40℃、ローター速度=60rpm、充填率=60%であった。
【表17】
【0159】
配合工程の後に、複合材は50℃および約37rpmで運転された2本ロールミル上でシート化され、続いて約5mmのニップ間隔で6回通過させた。最終的な配合物は、60℃で運転された2本ロールミルで2.4mmの厚さにシート化された。最終的な配合物は、150℃で30分間に亘ってヒートプレス中で硬化された。
【0160】
それぞれが90日間養生された複合材試料から調製された加硫物の特性が、表18中に示されている。「Atm」は、それらの試料が貯蔵された雰囲気、空気または真空中のいずれかを表している。
【表18】
【0161】
表5のデータから、真空中に20℃で貯蔵されたシートについての最大tanδ値は、90日間の貯蔵期間の後に著しく低下した最大tanδ値を有することを理解することができる。更には、真空下で貯蔵されたシートは、減少したペイン比値を示した。
例5
【0162】
この例は、0%の相対湿度と73°Fで0.527cm/m/24時間から0%相対湿度と73°Fで1160cm/m/24時間までの範囲で変化するOTR値を有する包装体中に、同じエラストマー複合材の異なる部分を貯蔵した結果を示している。
【0163】
下記の表19に、壁の構造、OTR(0%の相対湿度および73°F)、および壁の厚さを含めた、試験された包装体の特性が列挙されている。包装体A~Dは可撓性の透明の袋であり、12インチ(L)×12インチ(W)の寸法(3,865cmの体積)を有しており、ILC Dover, Inc.から購入された。報告されたOTR値は、ASTM D3985に従って、73°F、0%RHで測定された。
【表19】
【0164】
試験された複合材は、表1の例1のエラストマー複合材配合に従って調製された。ゴム複合材の配合は、この例では配合操作は行われていないので、いずれの配合用成分もない以外は、表1の例1と同じであった。
【0165】
空気中での15日間の貯蔵の後に、複合材(150g、1.112g/ccの比重)が包装体中に貯蔵され、そして表20に概略が示された条件に付された。比較の試料(「Comp.」)は、空気中に貯蔵された。残りの試料は表19中に列挙されたそれぞれのOTR値を有する袋A、B、CまたはDの1つの中に貯蔵された。それらの試料は、包装体雰囲気(「包装体Atm」)と60°オーブン中に貯蔵された日数(「日」)との独特の組み合わせの下に貯蔵された。「包装体Atm」欄の下の「Seal」は、複合材が、包装体中に、雰囲気のいずれの変更もなしに密閉されていたことを表している。「Vac/N2」は、複合材が、84.7kPaの圧力を得るように包装体(その複合材を収容する)のガスを抜き、続いてその袋を、窒素でフラッシュし、そしてその包装体を密閉した後に貯蔵されたことを表している。ガス抜きとフラッシュの工程は、AmeriVacs AVN格納可能ノズル真空シーラーで行われた。全ての試料は、周囲条件の下での長期間貯蔵の模擬実験をするために、オーブン中に60℃で14日間または21日間貯蔵された。
【0166】
酸素含有量は、袋の中の空間中の全体のガスの濃度(%)として報告され、そして2つの別々の方法によって測定された。透明の袋(袋A~D)については、空間中の酸素含有量は、OpTech(登録商標)-O2、モデルP酸素ヘッドスペースアナライザー(「OpTech」)で、挿入なしで測定され、これは透明包装体の内部に置かれたセンサーを測定するのに光学的な蛍光発光を用いている。測定は、日数0で行われ、続いて60℃での貯蔵の14日目および/または21日目に、袋を室温に到達させた後に測定された。全ての袋について、袋の外側表面に再シール可能な隔壁を適用し、そしてその隔壁を通して袋を、Dansensor(登録商標)CheckPoint(登録商標)3S、O2-Premium、固体状態センサー酸素ヘッドスペースアナライザー(「CheckPoint」)で突き刺すことによって、ヘッドスペース中の酸素含有量もまた測定された、両方の種類の酸素アナライザーは、Ametek Mocon(ミネソタ州、米国)から入手可能である。
【表20】
【0167】
表21において、全ての比較の試料(「Comp」)は、空気中で貯蔵された結果として、21%の酸素のヘッドスペース濃度を有している。全てのOTR値は、0%RHおよび73°Fで報告されている。全てのCheckpointのデータの時点は、「日数」欄に示された日に行われた測定を表している。OpTech測定は、それぞれの「OpTech」欄に示された日に行われた。酸素含有量は、測定された酸素濃度として表されている。
【0168】
表20のデータから、CheckPointとPoTechデータの両方によって示されているように、全体的な傾向は、OTR値が低ければ低いほど、ヘッドスペース中の測定された酸素含有量はより低いことが示されている。
【0169】
袋AおよびB(それらはそれぞれ、最も低い、および2番目に最も低いOTRを有している)中の酸素含有量は、空気中で密閉された(「Seal」)または調整された雰囲気下(「Vac/N2」)に関わらず、貯蔵期間に亘って低減されたか、または維持された。
【0170】
空気中で密閉された袋Cの酸素含有量もまた、貯蔵期間に亘って減少したが、しかしながら袋AおよびBほどではなかった。空気の下で貯蔵された(「Seal」)袋Dの酸素含有量は、経時で減少しなかった。調整された雰囲気の下で貯蔵された場合には、袋CおよびDの両方について酸素濃度が経時で増加し、そして最終的な酸素濃度値は、貯蔵方法に関わらず、袋AおよびBの最終的な酸素濃度値より著しく高かった。
例6
【0171】
この例は、硬化剤を含む複合材(グリーン配合物)を貯蔵するための高いバリア壁特性を有する包装体の実現性を示している。
【0172】
複合材は表1の例1のエラストマー複合材配合に従って調製された。ゴム配合物(グリーン配合物)は、表1の例1の配合物配合処方、および表2の例1のプロトコルに従って調製された。グリーン配合物は、次いで10.5m/分の速度で、50℃で運転された2本ロールミルでシート化され、続いて約5mmのニップ間隔を備えたミルを4回(端を上にしてロールされる)通過させた。
【0173】
同じエラストマー複合材、すなわちグリーン配合物(硬化前のシート)の異なる部分が、表21に概略を記載した条件の下で、30℃で貯蔵された。表21中で、「Atm」は、その試料が、空気中または真空下(「vac」)のいずれで貯蔵されたかを表している。「日数」は、その試料が、配合操作の後で、そしてプレス中での硬化の前に、示された条件で貯蔵された日数を表している。真空中で貯蔵された試料については、グリーン配合物は、配合の3時間以内に、Marvelseal(登録商標)360バリアフィルムを有する袋の中に置かれた。それらの袋は、窒素でフラッシュされ、84.7kPaの圧力を得るようにガス抜きされ、そして密閉された。ガスフラッシュとガス抜きの工程は、AmeriVacs AVN格納可能ノズル真空ヒートシーラーで行われた。対照の複合材が、密閉の前(日数=0、すなわち貯蔵なし)に測定された。
【0174】
貯蔵の後に、配合物は、ヒートプレス(150℃)中で30分間硬化された。加硫物の特性もまた表21に示されている。
【表21】
【0175】
配合物の特性につては、全ての温度条件の下で、真空の下で貯蔵されたグリーン配合物は、最大tanδ値において維持または減少を示したゴム配合物をもたらしたことを理解することができる。更には、それらのゴム配合物はまた、引張応力比(M300/M100)において増加を示した。対照的に、最大tanδは、空気中(21%の標準の標準の酸素含有量)で90日間に亘って貯蔵された全ての試料について増加した。
【0176】
用語「a」および「an」および「the」の使用は、特に断りのない限り、または文脈から明確に否定されない限り、単数および複数の両方を含むと理解されなければならない。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」は、特に断りのない限り、開放型の用語(すなわち、「含むが、それらには限定されない」を意味する)として理解されなければならない。ここでの値の範囲の記載は、特に断りのない限り、その範囲内に収まるそれぞれの個々の値を独立して表すための簡略的な方法として機能することが単に意図されており、そしてそれぞれの個々の値は、それらがここに明細書中に独立して記載されていたように、明細書中に組み込まれる。ここに記載された全ての方法は、特に断りのない限り、あるいは文脈によって明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で行われることができる。いずれかの、そして全ての例の使用は、ここに提供された例示的な用語(例えば、「例えば」)は、本発明をよりよく明らかにすることが単に意図されたものであり、そして特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を加えるものではない。本明細書中のいずれの用語も、いずれかの特許請求されていない要素が、本発明の実施に必須であることを示していると解釈されてはならない。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
ここに開示されたいずれかの態様または方法または実施態様に関しては、適用できるのであれば、ここに開示された包装されたエラストマー複合材または方法は、以下の態様のいずれかの1つもしくは2つ以上を更に含むことができる;少なくとも1つの酸素バリア層は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アルミニウム、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、およびそれらの混合物、およびそれらの金属化層から選択された材料を含んでいる;少なくとも1つの酸素バリア層は、ポリアミド、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、金属、およびそれらの混合物およびそれらの金属化層から選択された材料を含んでいる;少なくとも1つの酸素バリア層は、金属化された層または金属層を含んでいる;前記の少なくとも1つの壁は、金属化された層または金属層を含まない;前記の少なくとも1つの酸素バリア層は、金属、金属合金、セラミックス炭素系のナノ材料、およびメラミン系材料から選択された材料を含んでいる;前記の少なくとも1つの壁は、酸素バリア層である単一層の壁である;前記の少なくとも1つの壁は、2つもしくは3つ以上の層を含み、ここでそれらの層の少なくとも1つは酸素バリア層である;前記の少なくとも1つの壁は、可撓性である;前記の少なくとも1つの壁は、硬質である;前記の包装体の内部は、少なくとも10L、または少なくとも50Lの容積を有している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
用語「a」および「an」および「the」の使用は、特に断りのない限り、または文脈から明確に否定されない限り、単数および複数の両方を含むと理解されなければならない。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」は、特に断りのない限り、開放型の用語(すなわち、「含むが、それらには限定されない」を意味する)として理解されなければならない。ここでの値の範囲の記載は、特に断りのない限り、その範囲内に収まるそれぞれの個々の値を独立して表すための簡略的な方法として機能することが単に意図されており、そしてそれぞれの個々の値は、それらがここに明細書中に独立して記載されていたように、明細書中に組み込まれる。ここに記載された全ての方法は、特に断りのない限り、あるいは文脈によって明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で行われることができる。いずれかの、そして全ての例の使用は、ここに提供された例示的な用語(例えば、「例えば」)は、本発明をよりよく明らかにすることが単に意図されたものであり、そして特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を加えるものではない。本明細書中のいずれの用語も、いずれかの特許請求されていない要素が、本発明の実施に必須であることを示していると解釈されてはならない。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)包装されたエラストマー複合材であって、
10kPa未満の酸素の分圧を有する雰囲気中に前記複合材を収容する密閉された包装体を含んでなり、ここで前記複合材は、硬化されておらず、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでおり、ここで、
記包装体は、前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、ここで前記少なくとも1つの壁は少なくとも1つの酸素バリア層を有し、それによって前記包装体は、23℃および0%の相対湿度で100cm /(m 日atm)以下の酸素透過率を有している、
包装されたエラストマー複合材。
(2)前記雰囲気が、7kPa以下の酸素の分圧を有する、(1)記載の包装されたエラストマー複合材。
(3)前記雰囲気が、5kPa以下の酸素の分圧を有する、(1)記載の包装されたエラストマー複合材。
(4)前記雰囲気が、少なくとも90%の、前記エラストマー複合材と非反応性である少なくとも1種のガスを含む、(1)~(3)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(5)前記エラストマー複合材と非反応性である前記少なくとも1種のガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、および二酸化炭素から選択される、(4)記載の包装されたエラストマー複合材。
(6)前記少なくとも1つの酸素バリア層が、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アルミニウム、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、およびそれらの混合物、およびそれらの金属化層から選択された材料を含む、(1)~(5)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(7)前記少なくとも1つの酸素バリア層が、ポリアミド、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、金属、およびそれらの混合物、およびそれらの金属化層から選択された材料を含む、(1)~(5)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(8)前記少なくとも1つの酸素バリア層が、金属化層または金属層を含む、(1)~(5)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(9)前記少なくとも1つの壁が、金属化層または金属層を含まない、(1)~(5)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(10)前記少なくとも1つの酸素バリア層が、金属、金属合金、セラミックス 炭素系ナノ材料、およびメラミン系材料から選択された材料を含む、(1)~(5)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(11)前記少なくとも1つの壁が、前記酸素バリア層である単一の層の壁である、(1)~(10)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(12)前記少なくとも1つの壁が、2つもしくは3つ以上の層を含み、前記の層の少なくとも1つが前記酸素バリア層である、(1)~(10)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(13)前記少なくとも1つの壁が、可撓性である、(1)~(12)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(14)前記少なくとも1つの壁が、硬質である、(1)~(12)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(15)前記包装体の内部が、少なくとも10Lの体積を有する、(1)~(14)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(16)前記包装体の内部が、少なくとも50Lの体積を有する、(1)~(14)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(17)前記複合材が、少なくとも0.5phrの量で存在する劣化防止剤を含む、(1)~(16)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(18)前記複合材が、0.5phr~10phrの範囲の量で存在する劣化防止剤を含む、(1)~(16)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(19)前記複合材が、0.5phr~3phrの範囲の量で存在する劣化防止剤を含む、(1)~(16)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(20)前記複合材が、劣化防止剤を実質的に含まない、(1)~(16)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(21)前記複合材が、前記複合材の全質量に対して3質量%~20質量%の範囲の水分含有量を有する、(20)記載の包装されたエラストマー複合材。
(22)前記包装体が、少なくとも1種の酸素スカベンジャーを更に含む、(1)~(21)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(23)前記少なくとも1種の酸素スカベンジャーが、酸素透過性の小袋に収容されている、(22)記載の包装されたエラストマー複合材。
(24)前記小袋が、前記包装体の内壁に付着されている、(23)記載の包装されたエラストマー複合材。
(25)前記少なくとも1種の酸素スカベンジャーが、金属粉末、アスコルビン酸およびそれらの塩、ならびにカテコールから選択される、(22)~(24)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(26)前記少なくとも1種の充填剤が、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、バイオ系充填剤、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、再生カーボン、またはそれらの組み合わせ、ならびにそれらのコーティングおよび化学処理された材料から選択される、(1)~(25)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(27)前記少なくとも1種の充填剤が、もみ殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、熱水炭素から選択される(1)~(25)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(28)前記少なくとも1種の充填剤が、カーボンブラック、シリカ、およびケイ素処理カーボンブラックから選択される、(1)~(25)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(29)前記少なくとも1種のエラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される、(1)~(28)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(30)前記少なくとも1種のエラストマーが、ジエン系エラストマーから選択される、(1)~(28)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(31)前記少なくとも1種のエラストマーが、天然ンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴムおよびそれらの混合物から選択される、(1)~(28)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(32)前記少なくとも1種のエラストマーが、少なくとも30%の天然ゴムを含み、そして前記少なくとも1種の充填剤が、少なくとも50%のカーボンブラックを含む、(1)~(28)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(33)前記複合材が、硬化剤を更に含む、(1)~(32)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(34)前記複合材が、少なくとも1.1のペイン比を有しており、ペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)であり、ここでG‘(0.3%)は0.3%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(51.5%)は、51.5%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率である、(1)~(33)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(35)前記複合材が、80μm以下のマクロ分散d 90 を有しており、d 90 は、前記複合材中の前記充填剤の粒子の面積相当直径(μm)である、(1)~(34)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(36)前記複合材が、熱処理された複合材である、(1)~(35)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(37)前記包装体雰囲気中の酸素の量が、75ミリモル/kgエラストマー複合材以下である、(1)~(36)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(38)前記複合材が、少なくとも5日間に亘って包装されている、(1)~(37)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(39)前記複合材が、少なくとも14日間に亘って包装されている、(1)~(37)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(40)エラストマー複合材を容器中に密閉すること、および前記複合材を前記の密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯蔵すること、を含んでなるエラストマー複合材を貯蔵する方法であって、
前記エラストマー複合材は未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含み、そして、
前記容器は前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、
前記少なくとも1つの壁が少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによって前記容器は23℃および0%の相対湿度で100cm /(m 日atm)以下の酸素透過率を有している、
方法。
(41)前記密閉の前に、前記方法が、前記容器の内側を、前記複合材と非反応性である少なくとも1種のガスでフラッシュすることおよび/または前記容器の内側を真空にすることを更に含む、(40)記載の方法。
(42)前記密閉された容器が、少なくとも90%の、前記エラストマー複合材と非反応性である少なくとも1種のガスを含む雰囲気を有する、(40)または(41)記載の方法。
(43)前記密閉された容器が、真空下にある、(40)または(41)記載の方法。
(44)前記複合材が、前記密閉された容器中に、少なくとも14日間に亘って貯蔵される、(40)~(43)のいずれか1項記載の方法。
(45)前記密閉の前に、前記方法が、前記複合材を40℃以上の温度で熱処理することを更に含む(40)~(44)のいずれか1項記載の方法。
(46)前記密閉の時に、前記複合材が40℃以上のプローブ温度を有する、(40)~(45)のいずれか1項記載の方法。
(47)前記複合材が、少なくとも固体エラストマーと充填剤および液体を含む湿潤充填剤とを混合することによって調製され、前記液体が、湿潤充填剤の全質量を基準として少なくとも15質量%の量で存在する、(40)~(46)のいずれか1項記載の方法。
(48)エラストマー複合材または前記複合材から形成された配合物の少なくとも1つの特性を維持するかまたは高める方法であって、
前記エラストマー複合材を密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯槽することを含み、
前記エラストマー複合材が、未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含み、そして、
前記容器が、前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、
前記少なくとも1つの壁が、少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによって前記容器は23℃および0%の相対湿度で100cm /(m 日atm)以下の酸素透過率を有している、
方法。
(49)前記エラストマー複合材が、前記密閉された容器中に、少なくとも14日間に亘って貯蔵される、(48)記載の方法。
(50)前記貯蔵されたエラストマー複合材または前記貯蔵されたエラストマー複合材から形成された配合物が、前記包装体を密閉する前の前記複合材のペイン比に対して少なくとも10%だけ低下したペイン比を有しており、
ペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)であり、ここでG‘(0.3%)は0.3%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(51.5%)は、51.5%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率である、
(48)または(49)記載の方法。
(51)前記貯蔵されたエラストマー複合材から形成された前記配合物が、前記包装体を密閉する前の前記複合材の最大tanδ値に対して少なくとも10%だけ低下した最大tanδ値を有する、(48)~(50)のいずれか1項記載の方法。
(52)前記複合材が、前記少なくとも1種のエラストマーを前記少なくとも1種の充填剤と混合する間に、少なくとも1種の架橋剤を混合することによって形成された生成物である、(1)~(39)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
(53)前記複合材が、前記少なくとも1種のエラストマーを前記少なくとも1種の充填剤と混合する間に、少なくとも1種の架橋剤を混合することによって形成された生成物である、(40)~(51)のいずれか1項記載の方法。
(54)前記複合材が、少なくとも1種の架橋剤を更に含む、(40)~(51)のいずれか1項記載の方法。
(55)前記少なくとも1種の架橋剤が、
第1の官能基が、-NR 、-N(R )(R )(R 、-S-SO 、ならびに式(I)および式(II)によって表される構造から選択される、
【化1】
式中、Aは、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシル、ニトレートまたはアセテートであり、X=NH、O、またはS、Y=H、OR 、NR 、-S 、そしてnは1~6から選択される整数であり、そして、
第2の官能基は、チオカルボニル、ニトリルオキシド、ニトロン、ニトリルイミン、-S-SO 、-S 、-SH、-C(R )=C(R )--C(O)R 、-C(R )=C(R )-CO 、-C(R )=C(R )-CO から選択され、そして、
~R は、それぞれ独立して、HおよびC ~C アルキルから選択され、M およびM は、それぞれ独立して、H、Na 、K 、Li 、N(R‘) から選択され、ここで、それぞれのR‘は、独立して、HおよびC ~C 20 アルキルから選択され、そしてxは1~8から選択される整数である、
を含む、(52)記載の包装されたエラストマー複合材あるいは(53)または(54)記載の方法。
(56)前記架橋剤が、前記第1と第2の官能基の間に少なくとも1つのスペーサを更に含み、前記少なくとも1つのスペーサが、-(CH -、-(CH C(O)-、-C(R )=C(R 10 )-、-C(O)-、-N(R )-、および-C -から選択され、ここでR およびR 10 は、それぞれ独立してHおよびC ~C アルキルから選択され、そしてyは1~10から選択される整数である、
(55)記載の方法。
(57)前記架橋剤が、チオ尿素、シスタミン、ならびに式(1)、式(2)および式(3)の化合物、
【化2】
から選択される、(52)記載の包装されたエラストマー複合材あるいは(53)または(54)記載の方法。
(58)M およびM は、それぞれ独立してH、Na 、およびN(R’) から選択され、そしてR およびR は、HおよびC ~C アルキルから独立して選択される、(55)~(57)のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材または方法。
(59)前記架橋剤が、式(I)の化合物から選択され、そしてR およびR はそれぞれHである、(57)または(58)記載の包装されたエラストマー複合材または方法。
(60)前記架橋剤が、ナトリウム(2Z)-4-[(4-アミノフェニル)アミノ]-4-オキソ-2-ブテノエートである、(52)記載の包装されたエラストマー複合材あるいは(53)または(54)記載の方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装されたエラストマー複合材であって、
10kPa未満の酸素の分圧を有する雰囲気中に前記複合材を収容する密閉された包装体を含んでなり、ここで前記複合材は、硬化されておらず、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでおり、ここで、
前記包装体は、前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、ここで前記少なくとも1つの壁は少なくとも1つの酸素バリア層を有し、それによって前記包装体は、23℃および0%の相対湿度で100cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有している、
包装されたエラストマー複合材。
【請求項2】
前記雰囲気が、少なくとも90%の、前記エラストマー複合材と非反応性である少なくとも1種のガスを含む、請求項1記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項3】
前記エラストマー複合材と非反応性である前記少なくとも1種のガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、および二酸化炭素から選択される、請求項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項4】
前記少なくとも1つの酸素バリア層が、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アルミニウム、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、およびそれらの混合物、およびそれらの金属化層から選択された材料を含む、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項5】
前記少なくとも1つの酸素バリア層が、金属化層または金属層を含む、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項6】
前記少なくとも1つの酸素バリア層が、金属、金属合金、セラミックス炭素系ナノ材料、およびメラミン系材料から選択された材料を含む、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項7】
前記少なくとも1つの壁が、前記酸素バリア層である単一の層の壁である、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項8】
前記少なくとも1つの壁が、2つもしくは3つ以上の層を含み、前記の層の少なくとも1つが前記酸素バリア層である、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項9】
前記包装体の内部が、少なくとも10Lの体積を有する、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項10】
前記複合材が、少なくとも0.5phrの量で存在する劣化防止剤を含む、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項11】
前記少なくとも1種の充填剤が、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、バイオ系充填剤、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、再生カーボン、またはそれらの組み合わせ、ならびにそれらのコーティングおよび化学処理された材料から選択される、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項12】
前記少なくとも1種の充填剤が、もみ殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、熱水炭素から選択される請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項13】
前記少なくとも1種のエラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項14】
前記少なくとも1種のエラストマーが、少なくとも30%の天然ゴムを含み、そして前記少なくとも1種の充填剤が、少なくとも50%のカーボンブラックを含む、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項15】
前記複合材が、硬化剤を更に含む、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項16】
前記複合材が、少なくとも1.1のペイン比を有しており、ペイン比は、G‘(0.3%)/G’(51.5%)であり、ここでG‘(0.3%)は0.3%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率であり、そしてG’(51.5%)は、51.5%の歪振幅で測定された動的貯蔵弾性率である、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項17】
前記複合材が、80μm以下のマクロ分散d90を有しており、d90は、前記複合材中の前記充填剤の粒子の面積相当直径(μm)である、請求項1~のいずれか1項記載の包装されたエラストマー複合材。
【請求項18】
エラストマー複合材を容器中に密閉すること、および前記複合材を前記の密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯蔵すること、を含んでなるエラストマー複合材を貯蔵する方法であって、
前記エラストマー複合材は未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含み、そして、
前記容器は前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、
前記少なくとも1つの壁が少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによって前記容器は23℃および0%の相対湿度で100cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有している、
方法。
【請求項19】
エラストマー複合材または前記複合材から形成された配合物の少なくとも1つの特性を維持するかまたは高める方法であって、
前記エラストマー複合材を密閉された容器中に少なくとも5日間に亘って貯槽することを含み、
前記エラストマー複合材が、未硬化であり、そして少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含み、そして、
前記容器が、前記複合材を取り囲む少なくとも1つの壁を含み、
前記少なくとも1つの壁が、少なくとも1つの酸素バリア層を含み、それによって前記容器は23℃および0%の相対湿度で100cm/(m日atm)以下の酸素透過率を有している、
方法。
【国際調査報告】