(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/20 20060101AFI20240816BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20240816BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20240816BHJP
H01S 3/1123 20230101ALI20240816BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61B18/20
H01S3/10
A61N5/067
H01S3/1123
H01S3/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503777
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 KR2022008323
(87)【国際公開番号】W WO2023003174
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093957
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520331970
【氏名又は名称】ジェイシス メディカル インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】307, 308, 401, 808, 1015, DAERYUNG TECHNO TOWN 8TH, 96, GAMASAN-RO, GEUMCHEON-GU, SEOUL 08501, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク,キュ・ジン
(72)【発明者】
【氏名】アン,チュル・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン・ホワン
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
5F172
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026BB07
4C026FF02
4C026HH15
4C026HH23
4C082AJ01
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4C082RL23
5F172AE03
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5F172EE07
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5F172NN16
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5F172NQ48
(57)【要約】
本発明の一実施例に係る複合マルチレーザパルスを利用した皮膚治療装置は、エネルギーを供給するエネルギー部と、エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部と、レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように前記第1スイッチ及び第2スイッチを制御する制御部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを供給するエネルギー部と、
前記エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、
前記発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、
第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、
入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部と、
前記レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように前記第1スイッチ及び第2スイッチを制御する制御部と、を含む、複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項2】
前記制御部は、多重レーザパルスモードにおいて、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと前記第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスのうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項3】
前記第1スイッチ又は第2スイッチは、それに電気的信号が印加されなければ、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されないように動作する、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ又は第2スイッチは、それに電気的信号が印加されると、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されるように動作する、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項5】
前記第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加されない場合、前記レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、発光部によって光を発生させる時間と同一の時間幅を有する、請求項3又は4に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項6】
前記第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加された場合、前記レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、前記第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか1つに印加される電気的信号の時間と同一の時間幅を有する、請求項3又は4に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項7】
前記第1スイッチは、前記第2スイッチに電気的信号が印加される間に1回以上動作することによって、数ns乃至数十nsの時間幅を有する1つ以上のレーザパルスを発生させる、請求項5に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項8】
前記第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか1つに電気的信号が印加され、もう1つに電気的信号が印加されない場合、前記レーザ発生部からレーザパルスが出力されない、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記エネルギー部のエネルギー供給を制御するエネルギー部制御部と、
前記第1スイッチの動作を制御する第1スイッチ制御部と、
前記第2スイッチの動作を制御する第2スイッチ制御部と、を含む、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項10】
前記第1スイッチ制御部は、数ns乃至数十nsの一定時間の電気的信号を発生させ、前記第2スイッチ制御部は、数μs乃至数百μsの可変可能な時間の電気的信号を発生させる、請求項9に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置。
【請求項11】
エネルギーを供給するエネルギー部と、
エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、
発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、
第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、
入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部を用いてレーザを発生させる段階と、
レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する段階と、を含む、複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法。
【請求項12】
前記多重レーザパルスモードにおいて、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスのうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する、請求項11に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法。
【請求項13】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作しない、請求項11に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法。
【請求項14】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作する、請求項11に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法。
【請求項15】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作する、請求項11に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法。
【請求項16】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作しない、請求項11に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施例は、皮膚治療装置及び方法に関し、詳細には、複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ(laser)は、誘導放出による光の増幅(light amplification by stimulated emission of radiation)という英単語の頭文字を取って作った言葉であって、誘導放出により増幅された光又はそのような光を出射する装置を意味する。
【0003】
レーザ光は、日光や一般光源が出射する光に比べて波長が非常に正確に定められており、光束の指向性が良い特性を有している。
【0004】
レーザ装置は、一般に活性媒質、ポンプエネルギー源及び共振器からなる。
【0005】
活性媒質は、エネルギーが高い励起状態にあってから、誘導放出過程を通じてレーザ光を出射する物質であって、原子やイオン又は分子などの発光体からなる。ポンプエネルギー源は、活性媒質にエネルギーを供給してレーザ光を出射しながら基底状態に緩和した発光体を再び励起状態へ励起し、レーザ光を再び出射させるようにする。共振器は、活性媒質から発生した光が直ぐに抜け出せず、活性媒質中を行き来しながら誘導放出過程を通じて新たな光が出射されるようにして増幅させるものであり、2枚の鏡のような反射体からなる。
【0006】
レーザは、活性媒質の状態によって固体レーザ、液体レーザ及び気体レーザに分類されることができる。
【0007】
例えば、固体レーザは半導体レーザ、ネオジム-ヤグ(Nd:YAG)レーザ、チタン-サファイア(Ti:sapphire)レーザ、光ファイバレーザを含み、液体レーザは色素レーザを含み、気体レーザはヘリウム-ネオンレーザ、二酸化炭素レーザ、エキシマ(Excimer)レーザなどを含む。
【0008】
レーザは、光の波長帯域によって赤外線レーザ、可視光レーザ、紫外線レーザ及びX線レーザに分類されることができる。
【0009】
例えば、赤外線レーザは赤外線光ファイバレーザ、二酸化炭素レーザ、ネオジム-ヤグレーザ、チタン-サファイアレーザ、赤外線を出射する半導体レーザを含み、可視光レーザはヘリウム-ネオンレーザ、赤、緑、青、紫色の半導体レーザを含み、紫外線レーザはエキシマレーザなどを含む。
【0010】
レーザは、光の発生形態によって、パルスレーザ及び連続(continuous wave:CW)レーザに分類されることができる。
【0011】
例えば、パルスレーザは、光がパルス状に発生するものであり、連続レーザは、光が絶えずに継続して出射されるものである。
【0012】
一方、パルスレーザは、単一パルス又は多重パルス状にレーザを発生させることができる。
【0013】
レーザは産業用、医療用及び軍事用などに至るまで多様な分野で用いられている。特に、医療用レーザは、局部的に所定のエネルギーを集中させることができ、非侵襲的治療が可能であるので、外科、内科、眼科、皮膚科、歯科などで広範囲に用いられている。
【0014】
更に、従来の皮膚治療用レーザは、多重レーザパルスを利用して高エネルギーの出力を通じて皮膚治療効果を高めている。特に、本出願人による韓国公開特許第10-2011-0122478号公報には、単一レーザパルスを駆動するキュー-スイッチドライバを用いて多重レーザパルスを発生させることによって、同一の入力エネルギーでより多くの出力エネルギーを得て皮膚治療効果を高めることができるレーザ発生装置が開示されている。
【0015】
ところが、多様な皮膚治療効果を得るためには、多様な時間幅のレーザパルスが必要になる。例えば、色素性病変施術、入れ墨除去施術のような皮膚治療には、数ns(nanosecond)乃至数十nsのレーザパルスが効果的であり、タイトニングシワの改善などのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚治療には、数μs(microsecond)乃至数百μsのレーザパルスが効果的であり、数ns乃至数十nsのパルスと数μs乃至数百μsのパルスの2つのレーザパルスを利用して、このような2種類の皮膚治療をそれぞれ効果的に施すことができる。
【0016】
このために、従来の皮膚治療装置の中には、レーザパルスを駆動するキュー-スイッチドライバと共振器の内部にイン/アウト(in/out)するウェーブプレート(waveplate)を駆動するモータを用いることによって、数ns乃至数十nsパルスレーザと数μs乃至数百μsパルスレーザをそれぞれ発生させることで、1つの装置で数ns乃至数十nsパルスレーザによる皮膚治療を行った後、数μs乃至数百μsパルスレーザによる皮膚治療が可能なものがあった。
【0017】
しかし、このような従来の皮膚治療装置は、そのウェーブプレートがモータの機械的作動によって駆動して共振器の内部にイン/アウトする速度が遅くなり、これにより多様な時間幅のパルスを短い時間差で反復的に生成できず、互いに異なる幅の複数のレーザパルスによる多様な皮膚治療効果が同時に得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0122478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、多様な時間幅の多重レーザパルスを生成することによって、多様な皮膚治療効果が同時に得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと数μs乃至数百μsのレーザパルスを繰り返し生成することによって、数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば色素性病変施術、入れ墨除去施術のような皮膚治療効果と数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングシワの改善などのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚治療効果を一回の作動で同時に得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供することにある。
【0021】
本発明の更に他の目的は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと数μs乃至数百μsのレーザパルスを数百μs乃至数百ms程度の時間間隔で連続的に繰り返し生成することによって、数ns乃至数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば色素性病変施術、入れ墨除去施術のような皮膚治療効果と数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングシワの改善などのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚治療効果を一回の作動で同時に得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと数μs乃至数百μsのレーザパルスを連続的に繰り返し生成する少なくとも2つの電気的スイッチを備えることによって、多重レーザパルスの具現が容易であり、多重レーザパルス間の時間間隔も顕著に短縮できる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供することにある。
【0023】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及していない更に他の課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置は、エネルギーを供給するエネルギー部と、エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部と、レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する制御部と、を含むことができる。
【0025】
本実施例において、制御部は、多重レーザパルスモードにおいて、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスのうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御できる。
【0026】
本実施例において、第1スイッチ又は第2スイッチは、それに電気的信号が印加されなければ、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されないように動作するものであり得る。
【0027】
本実施例において、第1スイッチ又は第2スイッチは、それに電気的信号が印加されると、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されるように動作するものであり得る。
【0028】
本実施例において、第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加されない場合、レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、発光部によって光を発生させる時間と同一の時間幅を有するものであり得る。
【0029】
本実施例において、第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加された場合、レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか1つに印加される電気的信号の時間と同一の時間幅を有するものであり得る。
【0030】
本実施例において、第1スイッチは、第2スイッチに電気的信号が印加される間に1回以上動作することによって、数ns乃至数十nsの時間幅を有する1つ以上のレーザパルスを発生させるものであり得る。
【0031】
本実施例において、第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか1つに電気的信号が印加され、もう1つに電気的信号が印加されない場合、レーザ発生部からレーザパルスを出力しないことができる。
【0032】
本実施例において、制御部は、エネルギー部のエネルギー供給を制御するエネルギー部制御部と、第1スイッチの動作を制御する第1スイッチ制御部と、第2スイッチの動作を制御する第2スイッチ制御部と、を含むものであり得る。
【0033】
本実施例において、第1スイッチ制御部は、数ns乃至数十nsの一定時間の電気的信号を発生させ、第2スイッチ制御部は、数μs乃至数百μsの可変可能な時間の電気的信号を発生させるものであり得る。
【0034】
本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法は、エネルギーを供給するエネルギー部と、エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部を用いてレーザを発生させる段階と、レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する段階と、を含むことができる。
【0035】
本実施例において、前記多重レーザパルスモードで、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスのうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御できる。
【0036】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないことができる。
【0037】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作できる。
【0038】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作できる。
【0039】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の効果は、多様な時間範囲の多重レーザパルスを生成することによって、多様な皮膚治療効果が同時に得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供できる。
【0041】
本発明の他の効果は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと数μs乃至数百μsのレーザパルスを繰り返し生成することによって、数ns乃至数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば色素性病変施術、入れ墨除去施術のような皮膚治療効果と数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングシワの改善などのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚治療効果を一回の作動で得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供できる。
【0042】
本発明の更に他の効果は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと数μs乃至数百μsのレーザパルスを数百μs乃至数十ms程度の時間間隔で連続的に繰り返し生成することによって、数ns乃至数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば色素性病変施術、入れ墨除去施術のような皮膚治療効果と数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングシワの改善などのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚治療効果を一回の作動で同時に得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供できる。
【0043】
本発明の別の効果は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと数μs乃至数百μsのレーザパルスを連続的に繰り返し生成する少なくとも2つの電気的スイッチを備えることによって、多重レーザパルスの具現が容易であり、多重レーザパルス間の時間間隔も顕著に短縮できる複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置及び方法を提供できる。
【0044】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない更に他の効果は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置のレーザ発生部及び制御部を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置の制御部を示すブロック図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法の複合多重レーザパルスを生成することを説明する図である。
【
図6】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法の複合多重レーザパルスのタイプを示す図である。
【
図7】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法による実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して詳細に説明する。但し、添付の図面は、本発明の内容をより容易に開示するために説明されるものであって、本発明の範囲が添付する図面の範囲に限定されるものではないことは、本技術分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解できるだろう。
【0047】
また、本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上、明確に異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0048】
本明細書における第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的として用いられた。
【0049】
本明細書における「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0050】
本明細書において、領域、構成要素などの部分が他の部分上、又は他の部分の上にあるとするとき、他の部分の真上にある場合を含むだけでなく、その間に他の領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0051】
図面では説明の便宜上、構成要素らのその大きさが誇張又は縮小され得る。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示したものであるので、本発明が必ずしも図示されたものに限定されるわけではない。
【0052】
ある実施例が他に具現可能な場合、特定の工程順序は説明される順序と異なるように遂行されることもできる。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に行われることもでき、説明される順序とは反対の順序で行われることができる。
【0053】
本明細書において、領域、構成要素などが繋がっているとするとき、領域、構成要素が直接繋がっている場合を含むだけでなく、領域、構成要素の間に他の領域、構成要素が介在されて間接的に繋がっている場合も含む。
【0054】
本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置10は、例示的に
図1に示すように、レーザ発生部100及び制御部200を含むことができる。その他に本実施例に係る皮膚治療装置10は、入力部300、格納部400及び電源部500を更に含むことができる。
【0055】
レーザ発生部100は、レーザを発生させるユニットであって、例示的に
図2に示すように、エネルギー部110、発光部120、第1ミラー130、第2ミラー140、偏光部150、第1スイッチ160及び第2スイッチ170を含むことができる。
【0056】
エネルギー部110は、エネルギーを供給するユニットであり得る。エネルギー部110は、エネルギーを供給するための多様な構成からなることができる。例えば、エネルギー部110は、ランプ(lamp)、レーザダイオード(laser diode)、エルイーディー(LED、light-emitting diode)から構成されることによって、光エネルギーを出力して供給できる。
【0057】
発光部120は、エネルギー部110から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させるユニットであり得る。発光部120は、エネルギー部110から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる多様な構成からなることができる。例えば、発光部120は、ネオジウムヤグ(Nd:YAG、neodymium-doped yttrium aluminium garnet)、エルビウムヤグ(Er:YAG、erbium-doped yttrium aluminium garnet)のようなレーザ媒質(laser crystal)から構成されることによって、光エネルギーを吸収して光を発生させることができる。発光部120は、無偏光の光を発生させることができる。
【0058】
第1ミラー130及び第2ミラー140は、発光部120から発生した光が増幅される共振経路を形成するものであり得る。第1ミラー130及び第2ミラー140は、発光部120から発生した光が増幅される共振経路を形成する多様な構成からなることができる。例えば、第1ミラー130及び第2ミラー140は、発光部120を挟んで互いに向かい合うように配列されて発光部120によって増幅された光の共振経路を形成できる。第1ミラー130と第2ミラー140のどちらか1つは反射ミラー、もう1つは出力ミラーであり得る。例えば、第1ミラー130が出力ミラー、第2ミラー140が反射ミラーであり得る。出力ミラーである第1ミラー130は、光の一部が反射され、光の他の一部を透過するように構成することができる。反射ミラーである第2ミラー140は、光の全てが反射されるように構成されることができる。
【0059】
偏光部150は、第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させるものであり得る。偏光部150は、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる多様な構成からなることができる。例えば、偏光部150は、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の光共振経路上に配置されて入射光のうち所定の偏光成分のみを透過させるように光を分離する偏光ビームスプリッタ(polarization beam splitter)であり得る。例えば、偏光部150は、発光部120から発光した光の進行方向に垂直な平面上から水平方向であるx軸方向へ光の電界が振動する偏光であるP偏光(P-polarization)の光は透過するようにし、光の進行方向に垂直な平面上から垂直方向であるy軸方向へ光の電界が振動する偏光であるS偏光(S-polarization)の光は反射されるように構成されることができる。これにより、偏光部150は、発光部120によって発光された光のうちP偏光の光のみ透過するようにすることで、P偏光の光のみ共振及び増幅されてレーザに出力されるようにすることができる。
【0060】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させるものであり得る。第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる多様な構成からなることができる。第1スイッチは、第1キュー-スイッチ(first Q-switch)とも呼ばれ、第2スイッチは、第2キュー-スイッチ(second Q-switch)とも呼ばれる。
【0061】
第1スイッチ160と第2スイッチ170は、レーザ発生部100内で偏光部150と第1ミラー130との間、又は偏光部150と第2ミラー140との間に配置することができる。例えば、第1スイッチ160は、偏光部150と第2ミラー140との間に配置し、第2スイッチ170は、第1スイッチ160と第2ミラー140との間に配置することができる。また、第1スイッチ160は、偏光部150と第1ミラー130との間に配置し、第2スイッチ170は、第1スイッチ160と第1ミラー130との間に配置することもできる。
【0062】
第1スイッチ160と第2スイッチ170は、電気的信号の印加によってそれを構成する物質の状態が変化して入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させることができる。
【0063】
例えば、第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、それに電気的信号が印加されなければ、それを構成する物質の状態が変化せず、偏光部150によって所定の偏光成分だけで分離されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されないように動作できる。この場合、レーザ発生部100から出力されたレーザパルスは、発光部120によって光を発生させる時間と同じ時間、例えば数μs乃至数百μsの時間幅を有することができる。
【0064】
例えば、第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、それに電気的信号が印加されると、それを構成する物質の状態が変化し、偏光部150によって所定の偏光成分だけで分離されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されるように動作できる。
【0065】
もし、第1スイッチ160は、電気的信号の未印加によって動作せず、第2スイッチ170は、電気的信号の印加によって動作すると、発光部120によって発光された光のうち偏光部150によって分離されたP偏光は、第1スイッチ160によっては偏光成分が変換されないが、第2スイッチ170によって円形偏光に変換される。その後、円形偏光は、第2ミラー140に反射された後、第2スイッチ170によってS偏光に変換され、S偏光は、第1スイッチ160によって偏光成分が変換されなくなる。従って、S偏光は、P偏光のみを通過させる偏光部150を通過できず、共振できなくなる。従って、レーザ発生部100からレーザパルスは出力されない。
【0066】
同様に、第1スイッチ160は、電気的信号の印加によって動作し、第2スイッチ170は、電気的信号の未印加によって動作しなくなると、発光部120によって発光された光のうち偏光部150によって分離されたP偏光は、第1スイッチ160に S偏光に変換されて偏光部150を通過できず、共振できなくなる。従って、レーザ発生部100からレーザパルスは出力されない。
【0067】
もし、第1スイッチ160及び第2スイッチ170が何れも電気的信号の印加によって動作すると、発光部120によって発光された光のうち偏光部150によって分離されたP偏光は、第1スイッチ160によって円形偏光に変換され、円形偏光は、第2スイッチ170によってS偏光に変換される。その後、S偏光は、第2ミラー140に反射された後、第2スイッチ170によって再び円形偏光に変換され、この円形偏光は、第1スイッチ160によって再びP偏光に変換される。従って、P偏光は、P偏光のみを通過させる偏光部150を通過して共振できる。このとき、第1スイッチ160は、第2スイッチ170に電気的信号が印加される間に複数回電気的信号が印加されるように動作できる。この場合、レーザ発生部100から出力されたレーザパルスは、第1スイッチ160に印加される電気的信号の時間と同じ時間、例えば、数ns乃至数十nsの時間幅を有する複数のレーザパルスを発生させることができる。
【0068】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を調節できる。例えば、第1スイッチ160は、それに印加される電気的信号の時間を数ns乃至数十nsに調節することによって、入射した偏光の偏光成分を変換させる時間を数ns乃至数十nsに調節でき、第2スイッチ170は、それに印加される電気的信号の時間を数μs乃至数百μsに調節することによって、入射した偏光の偏光成分を変換させる時間を数μs乃至数百μsに調節できる。
【0069】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を固定又は可変させることができる。例えば、第1スイッチ160は、それに印加される電気的信号の時間を数ns乃至数十nsの特定の時間に固定することによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を数ns乃至数十nsに固定でき、第2スイッチ170は、それに印加される電気的信号の時間を数μs乃至数百μsの範囲内で変化させることによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を数μs乃至数百μsの範囲内で変化させることができる。
【0070】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させることを繰り返すことができる。例えば、第1スイッチ160は、それに数ns乃至数十nsの電気的信号を不連続に繰り返し印加することによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に数ns乃至数十nsに不連続に繰り返し変換でき、第2スイッチ170は、それに数μs乃至数百μsの電気的信号を不連続に繰り返し印加することによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に数μs乃至数百μsに不連続に繰り返し変換できる。
【0071】
制御部200は、レーザ発生部100が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御するものであり得る。制御部200は、レーザ発生部100が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御する多様な構成からなることができる。
【0072】
例えば、制御部200は、例示的に
図2及び3に示すように、エネルギー部制御部210、第1スイッチ制御部220及び第2スイッチ制御部230を含むことができる。
【0073】
エネルギー部制御部210は、エネルギー部110のエネルギー供給を制御するものであり得る。エネルギー部制御部210は、エネルギー部110のエネルギー供給を制御する多様な構成からなることができる。例えば、エネルギー部制御部210は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによってエネルギー部110が発光部120に所定のエネルギーを所定の時間に供給するようにエネルギー部110を制御できる。ここで、所定のエネルギーは、発光部120が励起されて光を発生させるために必要な臨界電圧以上、例えば高電圧であることができ、所定の時間は、発光部120が励起されて光を発生させるために必要な臨界エネルギー以上、例えば高エネルギーであり得る。エネルギー部制御部210は、エネルギー部110にその動作に必要な所定のエネルギーが電源部500から供給されるように制御できる。
【0074】
第1スイッチ制御部220は、第1スイッチ160の動作を制御するものであり得る。第1スイッチ制御部220は、第1スイッチ160の動作を制御する多様な構成からなることができる。例えば、第1スイッチ制御部220は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって第1スイッチ160が所定の時点で所定の時間、動作するように制御できる。ここで、所定の時点は、第1スイッチ160が偏光成分を変換するように動作する臨界時点であり、所定の時間は、第1スイッチ160が偏光成分を変換するように動作する臨界時間、例えば、数nsの時間であることができる。第1スイッチ制御部220は、第1スイッチ160にその動作に必要な所定のエネルギー、例えば高電圧を供給できる。但し、これに限定されず、第1スイッチ制御部220は、制御部200から信号を受けて自ら所定の高電圧を供給できる。また、第1スイッチ制御部220は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって第1スイッチ160が所定の時間間隔、例えば10μs以上の間隔で複数の回数で動作するように制御できる。第1スイッチ制御部は、第1キュー-ドライバ(first Q-driver)とも呼ばれる。
【0075】
第2スイッチ制御部230は、第2スイッチ170の動作を制御するものであり得る。第2スイッチ制御部230は、第2スイッチ170の動作を制御する多様な構成からなることができる。例えば、第2スイッチ制御部230は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって第2スイッチ170が所定の時点で所定の時間、動作するように制御できる。ここで、所定の時点は、第2スイッチ170が偏光成分を変換するように動作する臨界時点であり、所定の時間は、第2スイッチ170が偏光成分を変換するように動作する臨界時間、例えば、数μs乃至数百μsの時間であることができる。第2スイッチ制御部230は、制御部200から信号を受けて自ら所定の高電圧を供給できる。但し、これに限定されず、第2スイッチ制御部230は、電源部500から第2スイッチ170に所定の高電圧が供給されるように制御できる。また、第2スイッチ制御部230は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって第2スイッチ170が所定の時間間隔、例えば10μs以上の間隔で複数の回数で動作するように制御できる。第2スイッチ制御部は、第2キュー-ドライバ(second Q-driver)とも呼ばれる。
【0076】
制御部200は、単一レーザパルスモードでレーザ発生部100から単一レーザパルスが出力されるようにレーザ発生部100を制御できる。
【0077】
制御部200は、多重レーザパルスモードでレーザ発生部100から第1時間の幅を有する多重レーザパルスと第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスのうちの少なくとも1つが発生するようにレーザ発生部100を制御できる。
【0078】
例えば、制御部200は、エネルギー部制御部210、第1スイッチ制御部220及び第2スイッチ制御部230によってレーザ発生部100のエネルギー部110、第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御することによって、レーザ発生部100から数nsの多重レーザパルスと数μs乃至数百μsの多重レーザパルスが多様に複合されたレーザが出力されるようにすることができる。
【0079】
本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法(S20)は、例示的に
図4に示すように、レーザ発生部を用いてレーザを発生させる段階(S200)を含むことができる。ここで、レーザ発生部は、前述した実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置100のレーザ発生部100であり得る。
【0080】
レーザ発生部100は、エネルギーを供給するエネルギー部110と、エネルギー部110から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部120と、発光部120から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー130及び第2ミラー140と、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部150と、偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ160及び第2スイッチ170とを含むことができる。
【0081】
本実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法(S20)は、レーザ発生部100が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御する段階(S300)を含むことができる。
【0082】
前記多重レーザパルスモードで、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスのうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御(S400)できる。
【0083】
このような制御は、前述した実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療装置100の制御部200によって行われることができる。
【0084】
例えば、制御部200は、エネルギー部制御部210、第1スイッチ制御部220及び第2スイッチ制御部230によってレーザ発生部100のエネルギー部110、第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御することによって、レーザ発生部100から数nsの多重レーザパルスと数μs乃至数百μsの多重レーザパルスが多様に複合されたレーザが出力されるようにすることができる。
【0085】
1.第1シーケンス(first sequence)
【0086】
エネルギー部110が第1周期(first period)のエネルギーを供給する間に第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、動作しないようにするシーケンスである。
【0087】
例示的に
図5に示すように、第1周期(first period)の間、エネルギー部制御部210は、電源部500から発光部120に300μsのパルスを有する電気的信号を印加するようにエネルギー部110を制御する((a))。
【0088】
第1スイッチ制御部220が第1スイッチ160に電気的信号が印加されないように制御する((b))。
【0089】
第2スイッチ制御部230が第2スイッチ170に電気的信号が印加されないように制御する((c))。
【0090】
この場合、発光部120によって発生した無偏光の光が偏光部150によってP偏光に偏光された後、第1スイッチ160及び第2スイッチ170によって偏光成分が変換されず、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の共振経路で増幅されてレーザに出力される。
【0091】
このように出力されたレーザは、エネルギー部110によって電源部500から発光部120に印加された電気的信号の時間と類似する時間、例えば、300μsのような数百μsの時間を有するパルスであり得る((d))。
【0092】
2.第2シーケンス(second sequence)
【0093】
エネルギー部110が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ160及び第2スイッチ170が動作するシーケンスである。
【0094】
例示的に
図5に示すように、第2周期(second period)の間、第1周期の終了後に所定の時間間隔、例えば200μsの間隔をおいて、エネルギー部制御部210は、電源部500から発光部120に300μsのパルスを有する電気的信号を繰り返し印加するようにエネルギー部110を制御する((a))。
【0095】
第1スイッチ制御部220が第1スイッチ160に第2スイッチ170に電気的信号が印加された状態で第2スイッチ170に印加された電気的信号の時間よりも短い時間、例えば数ns乃至数十nsの間に電気的信号が印加されるようにすることによって、偏光成分を変換できるように制御する((b))。
【0096】
第2スイッチ制御部230が第2スイッチ170にエネルギー部110によって電源部500から発光部120に印加された電気的信号の時間と類似する300μs又はそれ以上の時間に電気的信号が印加されるようにすることによって、偏光成分を変換できるように制御する((c))。
【0097】
この場合、発光部120によって発生した無偏光の光のうち偏光部130によってP偏光が分離された後、このようなP偏光は、電気的信号が印加された第1スイッチ160と第2スイッチ170によって偏光成分が2回変換されてから、第2ミラー140に反射された後、再び第1スイッチ160と第2スイッチ170によって偏光成分が2回変換されることによって、P偏光に復帰して偏光部130を通過して共振できる。このように共振されて出力されたレーザは、第1スイッチ160に電気的信号が印加された短い時間と類似する時間、例えば数ns乃至数十nsの時間を有するパルスであり得る((d))。
【0098】
3.第1シーケンスと第2シーケンスの組み合わせ
【0099】
例示的に
図6に示すように、第1シーケンスと第2シーケンスを多様に組み合わせることで、多様なタイプの複合多重レーザパルスを出力できる。
【0100】
第1周期に第2シーケンス、第2周期に第1シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力され、第2周期に数百μsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((a))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないシーケンスによることができる。
【0101】
第1周期に第2シーケンス、第2周期に第2シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力し、第2周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((b))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作するシーケンスによることができる。
【0102】
第1周期に第1シーケンス、第2周期に第2シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数百μsのパルスが出力し、第2周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((c))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作するシーケンスによることができる。
【0103】
第1周期に第1シーケンス、第2周期に第1シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数百μsのパルスが出力し、第2周期に数百μsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((d))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないシーケンスによることができる。
【0104】
本実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚治療方法に関する実験例に係る複合多重レーザパルス出力グラフが例示的に
図7に示されている。
【0105】
以上のように本発明に係る実施例を詳察したが、前述した実施例以外にも本発明がその趣旨や範疇から逸脱することなく、他の特定の形態に具体化できるという事実は、該当技術における通常の知識を有する者らには自明なことである。従って、上述した実施例は制限的なものではなく、例示的なものと理解されるべきであり、これにより本発明は上述した説明に限定されず、添付の請求項の範疇及びその同等な範囲内で変更され得る。
【0106】
特に、本発明に係る実施例において第1スイッチと第2スイッチは、第1ミラーと第2ミラーとの間に順次配列されているが、これに限定されず、第1スイッチと第2スイッチは、第1ミラーと第2ミラーとの間に反対に配列されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の一実施例は、皮膚治療装置及び方法に利用できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを供給するエネルギー部と、
前記エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、
前記発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、
第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、
入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部と、
前記レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように前記第1スイッチ及び第2スイッチを制御する制御部と、を含む、複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、多重レーザパルスモードにおいて、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと
、前記第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルス
と、のうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項3】
前記第1スイッチ又は第2スイッ
チに電気的信号が印加されなければ、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されないように動作する、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ又は第2スイッ
チに電気的信号が印加されると、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されるように動作する、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項5】
前記第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加されない場合、前記レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、発光部によって光を発生させる時間と同一の時間幅を有する、請求項
1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項6】
前記第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加された場合、前記レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、前記第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか1つに印加される電気的信号の時間と同一の時間幅を有する、請求項
1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項7】
前記第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか
一方の1つに電気的信号が印加され、
他方の1つに電気的信号が印加されない場合、前記レーザ発生部からレーザパルスが出力されない、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記エネルギー部のエネルギー供給を制御するエネルギー部制御部と、
前記第1スイッチの動作を制御する第1スイッチ制御部と、
前記第2スイッチの動作を制御する第2スイッチ制御部と、を含む、請求項1に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項9】
前記第1スイッチ制御部は、数ns乃至数十nsの一定時間の電気的信号を発生させ、前記第2スイッチ制御部は、数μs乃至数百μsの可変可能な時間の電気的信号を発生させる、請求項
8に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置。
【請求項10】
エネルギーを供給するエネルギー部と、
エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、
発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、
第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、
入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部を用いてレーザを発生させる段階と、
レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する段階と、を含む、複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法。
【請求項11】
前記多重レーザパルスモードにおいて、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスのうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する、請求項
10に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法。
【請求項12】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作しない、請求項
10に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法。
【請求項13】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作する、請求項
10に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法。
【請求項14】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作する、請求項
10に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法。
【請求項15】
前記エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、前記エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に前記第1スイッチ及び第2スイッチは動作しない、請求項
10に記載の複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施例は、皮膚管理装置及び方法に関し、詳細には、複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ(laser)は、誘導放出による光の増幅(light amplification by stimulated emission of radiation)という英単語の頭文字を取って作った言葉であって、誘導放出により増幅された光又はそのような光を出射する装置を意味する。
【0003】
レーザ光は、日光や一般光源が出射する光に比べて波長が非常に正確に定められており、光束の指向性が良い特性を有している。
【0004】
レーザ装置は、一般に活性媒質、ポンプエネルギー源及び共振器からなる。
【0005】
活性媒質は、エネルギーが高い励起状態にあってから、誘導放出過程を通じてレーザ光を出射する物質であって、原子やイオン又は分子などの発光体からなる。ポンプエネルギー源は、活性媒質にエネルギーを供給してレーザ光を出射しながら基底状態に緩和した発光体を再び励起状態へ励起し、レーザ光を再び出射させるようにする。共振器は、活性媒質から発生した光が直ぐに抜け出せず、活性媒質中を行き来しながら誘導放出過程を通じて新たな光が出射されるようにして増幅させるものであり、2枚の鏡のような反射体からなる。
【0006】
レーザは、活性媒質の状態によって固体レーザ、液体レーザ及び気体レーザに分類されることができる。
【0007】
例えば、固体レーザは半導体レーザ、ネオジムヤグ(Nd:YAG)レーザ、チタンサファイア(Ti:sapphire)レーザ、光ファイバレーザを含み、液体レーザは色素レーザを含み、気体レーザはヘリウムネオンレーザ、二酸化炭素レーザ、エキシマ(Excimer)レーザなどを含む。
【0008】
レーザは、光の波長帯域によって赤外線レーザ、可視光レーザ、紫外線レーザ及びX線レーザに分類されることができる。
【0009】
例えば、赤外線レーザは赤外線光ファイバレーザ、二酸化炭素レーザ、ネオジムヤグレーザ、チタンサファイアレーザ、赤外線を出射する半導体レーザを含み、可視光レーザはヘリウムネオンレーザ、赤・緑・青・紫色の半導体レーザを含み、紫外線レーザはエキシマレーザなどを含む。
【0010】
レーザは、光の発生形態によって、パルスレーザ及び連続(continuous wave:CW)レーザに分類されることができる。
【0011】
例えば、パルスレーザは、光がパルス状に発生するものであり、連続レーザは、光が絶えずに継続して出射されるものである。
【0012】
一方、パルスレーザは、単一パルス状又は多重パルス状にレーザを発生させることができる。
【0013】
レーザは、産業用、医療用及び軍事用などに至るまで多様な分野で用いられている。特に、医療用レーザは、局部的に所定のエネルギーを集中させることができ、非侵襲的照射が可能であるので、外科、内科、眼科、皮膚科、歯科などで広範囲に用いられている。
【0014】
更に、従来の皮膚管理用レーザは、多重レーザパルスを利用して高エネルギーの出力を通じて皮膚管理効果を高めている。特に、本出願人による韓国公開特許第10-2011-0122478号公報には、単一レーザパルスを駆動するQ-スイッチドライバを用いて多重レーザパルスを発生させることによって、同一の入力エネルギーでより多くの出力エネルギーを得て皮膚管理効果を高めることができるレーザ発生装置が開示されている。
【0015】
ところが、多様な皮膚管理効果を得るためには、多様な時間幅のレーザパルスが必要になる。例えば、色素性病変、入れ墨除去のような皮膚管理には、数ns(nanosecond)乃至数十nsのレーザパルスが効果的であり、タイトニングシワの改善などのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚管理には、数μs(microsecond)乃至数百μsのレーザパルスが効果的であり、数ns乃至数十nsのパルスと、数μs乃至数百μsのパルスと、の2つのレーザパルスを利用して、このような2種類の皮膚管理をそれぞれ効果的に行うことができる。
【0016】
このために、従来の皮膚管理装置の中には、レーザパルスを駆動するQ-スイッチドライバと共振器の内部にイン/アウト(in/out)するウェーブプレート(waveplate)を駆動するモータを用いることによって、数ns乃至数十nsパルスレーザと、数μs乃至数百μsパルスレーザと、をそれぞれ発生させることで、1つの装置で数ns乃至数十nsパルスレーザによる皮膚管理を行った後、数μs乃至数百μsパルスレーザによる皮膚管理が可能なものがあった。
【0017】
しかし、このような従来の皮膚管理装置は、そのウェーブプレートがモータの機械的作動によって駆動して共振器の内部にイン/アウトする速度が遅くなり、これにより多様な時間幅のパルスを短い時間差で反復的に生成できず、互いに異なる幅の複数のレーザパルスによる多様な皮膚管理効果が同時に得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0122478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、多様な時間幅の多重レーザパルスを生成することによって、多様な皮膚管理効果が同時に得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと、数μs乃至数百μsのレーザパルスと、を繰り返し生成することによって、数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、色素性病変、入れ墨除去のような皮膚管理効果と、数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングなどのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚管理効果を一回の作動で同時に得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供することにある。
【0021】
本発明の更に他の目的は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと、数μs乃至数百μsのレーザパルスと、を数百μs乃至数百ms程度の時間間隔で連続的に繰り返し生成することによって、数ns乃至数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、色素性病変、入れ墨除去のような皮膚管理効果と、数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングなどのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚管理効果を一回の作動で同時に得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと、数μs乃至数百μsのレーザパルスと、を連続的に繰り返し生成する少なくとも2つの電気的スイッチを備えることによって、多重レーザパルスの具現が容易であり、多重レーザパルス間の時間間隔も顕著に短縮できる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供することにある。
【0023】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及していない更に他の課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置は、エネルギーを供給するエネルギー部と、エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部と、レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する制御部と、を含むことができる。
【0025】
本実施例において、制御部は、多重レーザパルスモードにおいて、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと、第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスと、のうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御できる。
【0026】
本実施例において、第1スイッチ又は第2スイッチに電気的信号が印加されなければ、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されないように動作するものであり得る。
【0027】
本実施例において、第1スイッチ又は第2スイッチに電気的信号が印加されると、偏光部によって偏光されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されるように動作するものであり得る。
【0028】
本実施例において、第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加されない場合、レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、発光部によって光を発生させる時間と同一の時間幅を有するものであり得る。
【0029】
本実施例において、第1スイッチ及び第2スイッチに電気的信号が印加された場合、レーザ発生部から出力されたレーザパルスは、第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか1つに印加される電気的信号の時間と同一の時間幅を有するものであり得る。
【0030】
本実施例において、第1スイッチ及び第2スイッチのどちらか一方の1つに電気的信号が印加され、他方の1つに電気的信号が印加されない場合、レーザ発生部からレーザパルスを出力しないことができる。
【0031】
本実施例において、制御部は、エネルギー部のエネルギー供給を制御するエネルギー部制御部と、第1スイッチの動作を制御する第1スイッチ制御部と、第2スイッチの動作を制御する第2スイッチ制御部と、を含むものであり得る。
【0032】
本実施例において、第1スイッチ制御部は、数ns乃至数十nsの一定時間の電気的信号を発生させ、第2スイッチ制御部は、数μs乃至数百μsの可変可能な時間の電気的信号を発生させるものであり得る。
【0033】
本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理方法は、エネルギーを供給するエネルギー部と、エネルギー部から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部と、発光部から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー及び第2ミラーと、第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部と、入射した偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ及び第2スイッチを含むレーザ発生部を用いてレーザを発生させる段階と、レーザ発生部が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御する段階と、を含むことができる。
【0034】
本実施例において、前記多重レーザパルスモードで、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと、第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスと、のうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ及び第2スイッチを制御できる。
【0035】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないことがある。
【0036】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作できる。
【0037】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作できる。
【0038】
本実施例において、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないことがある。
【発明の効果】
【0039】
本発明の効果は、多様な時間範囲の多重レーザパルスを生成することによって、多様な皮膚管理効果が同時に得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供できる。
【0040】
本発明の他の効果は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと、数μs乃至数百μsのレーザパルスと、を繰り返し生成することによって、数ns乃至数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、色素性病変、入れ墨除去のような皮膚管理効果と、数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングなどのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚管理効果を一回の作動で得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供できる。
【0041】
本発明の更に他の効果は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと、数μs乃至数百μsのレーザパルスと、を数百μs乃至数十ms程度の時間間隔で連続的に繰り返し生成することによって、数ns乃至数十nsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、色素性病変、入れ墨除去のような皮膚管理効果と、数μs乃至数百μsのレーザパルスによる皮膚美容効果、例えば、タイトニングなどのリジュベネーション(rejuvenation)のような皮膚管理効果を一回の作動で同時に得ることによって、迅速な皮膚美容効果が得られる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供できる。
【0042】
本発明の別の効果は、数ns乃至数十nsのレーザパルスと、数μs乃至数百μsのレーザパルスと、を連続的に繰り返し生成する少なくとも2つの電気的スイッチを備えることによって、多重レーザパルスの具現が容易であり、多重レーザパルス間の時間間隔も顕著に短縮できる複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置及び方法を提供できる。
【0043】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない更に他の効果は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置のレーザ発生部及び制御部を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置の制御部を示すブロック図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法の複合多重レーザパルスを生成することを説明する図である。
【
図6】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法の複合多重レーザパルスのタイプを示す図である。
【
図7】本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法による実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して詳細に説明する。但し、添付の図面は、本発明の内容をより容易に開示するために説明されるものであって、本発明の範囲が添付する図面の範囲に限定されるものではないことは、本技術分野における通常の知識を有する者であれば容易に理解できるだろう。
【0046】
また、本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図は有していない。単数の表現は文脈上、明確に異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0047】
本明細書における第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的として用いられた。
【0048】
本明細書における「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0049】
本明細書において、領域、構成要素などの部分が他の部分上、又は他の部分の上にあるとするとき、他の部分の真上にある場合を含むだけでなく、その間に他の領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0050】
図面では説明の便宜上、構成要素らのその大きさが誇張又は縮小され得る。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示したものであるので、本発明が必ずしも図示されたものに限定されるわけではない。
【0051】
ある実施例が異なるように具現可能な場合、特定の工程順序は説明される順序と異なるように遂行されることもできる。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に行われることもでき、説明される順序とは反対の順序で行われることもできる。
【0052】
本明細書において、領域、構成要素などが繋がっているとするとき、領域、構成要素が直接繋がっている場合を含むだけでなく、領域、構成要素の間に他の領域、構成要素が介在されて間接的に繋がっている場合も含む。
【0053】
本発明の一実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置10は、例示的に
図1に示すように、レーザ発生部100及び制御部200を含むことができる。その他に本実施例に係る皮膚
管理装置10は、入力部300、格納部400及び電源部500を更に含むことができる。
【0054】
レーザ発生部100は、レーザを発生させるユニットであって、例示的に
図2に示すように、エネルギー部110、発光部120、第1ミラー130、第2ミラー140、偏光部150、第1スイッチ160及び第2スイッチ170を含むことができる。
【0055】
エネルギー部110は、エネルギーを供給するユニットであり得る。エネルギー部110は、エネルギーを供給するための多様な構成からなることができる。例えば、エネルギー部110は、ランプ(lamp)、レーザダイオード(laser diode)、エルイーディー(LED、light-emitting diode)から構成されることによって、光エネルギーを出力して供給できる。
【0056】
発光部120は、エネルギー部110から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させるユニットであり得る。発光部120は、エネルギー部110から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる多様な構成からなることができる。例えば、発光部120は、ネオジムヤグ(Nd:YAG、neodymium-doped yttrium aluminium garnet)、エルビウムヤグ(Er:YAG、erbium-doped yttrium aluminium garnet)のようなレーザ媒質(laser crystal)から構成されることによって、光エネルギーを吸収して光を発生させることができる。発光部120は、無偏光の光を発生させることができる。
【0057】
第1ミラー130及び第2ミラー140は、発光部120から発生した光が増幅される共振経路を形成するものであり得る。第1ミラー130及び第2ミラー140は、発光部120から発生した光が増幅される共振経路を形成する多様な構成からなることができる。例えば、第1ミラー130及び第2ミラー140は、発光部120を介在して互いに対向するように配列されて、発光部120によって増幅された光の共振経路を形成できる。第1ミラー130と第2ミラー140とのどちらか一方の1つは反射ミラーであり、他方の1つは出力ミラーであり得る。例えば、第1ミラー130が出力ミラー、第2ミラー140が反射ミラーであり得る。出力ミラーである第1ミラー130は、光の一部が反射され、光の他の一部を透過するように構成することができる。反射ミラーである第2ミラー140は、光の全てが反射されるように構成されることができる。
【0058】
偏光部150は、第1ミラー及び第2ミラーの間の光共振経路上に配置されて光を偏光させるものであり得る。偏光部150は、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる多様な構成からなることができる。例えば、偏光部150は、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の光共振経路上に配置されて、入射光のうち所定の偏光成分のみを透過させるように光を分離する偏光ビームスプリッタ(polarization beam splitter)であり得る。例えば、偏光部150は、発光部120から発光した光の進行方向に垂直な平面上から水平方向であるx軸方向へ光の電場が振動する偏光であるP偏光(P-polarization)の光は透過するようにし、光の進行方向に垂直な平面上から垂直方向であるy軸方向へ光の電場が振動する偏光であるS偏光(S-polarization)の光は反射されるように構成されることができる。これにより、偏光部150は、発光部120によって発光された光のうちP偏光の光のみ透過するようにすることで、P偏光の光のみ共振及び増幅されてレーザに出力されるようにすることができる。
【0059】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させるものであり得る。第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる多様な構成からなることができる。第1スイッチは、第1Q-スイッチ(first Q-switch)とも呼ばれ、第2スイッチは、第2Q-スイッチ(second Q-switch)とも呼ばれる。
【0060】
第1スイッチ160および第2スイッチ170は、レーザ発生部100内で偏光部150と第1ミラー130との間、又は偏光部150と第2ミラー140との間に配置することができる。例えば、第1スイッチ160は、偏光部150と第2ミラー140との間に配置し、第2スイッチ170は、第1スイッチ160と第2ミラー140との間に配置することができる。また、第1スイッチ160は、偏光部150と第1ミラー130との間に配置し、第2スイッチ170は、第1スイッチ160と第1ミラー130との間に配置することもできる。
【0061】
第1スイッチ160および第2スイッチ170は、電気的信号の印加によってそれを構成する物質の状態が変化して入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させることができる。
【0062】
例えば、第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、それに電気的信号が印加されなければ、それを構成する物質の状態が変化せず、偏光部150によって所定の偏光成分だけで分離されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されないように動作できる。この場合、レーザ発生部100から出力されたレーザパルスは、発光部120によって光を発生させる時間と同じ時間、例えば、数μs乃至数百μsの時間幅を有することができる。
【0063】
例えば、第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、それに電気的信号が印加されると、それを構成する物質の状態が変化し、偏光部150によって所定の偏光成分だけで分離されて入射した偏光の偏光成分が他の偏光成分に変換されるように動作できる。
【0064】
もし、第1スイッチ160は、電気的信号の未印加によって動作せず、第2スイッチ170は、電気的信号の印加によって動作すると、発光部120によって発光された光のうち偏光部150によって分離されたP偏光は、第1スイッチ160によっては偏光成分が変換されないが、第2スイッチ170によって円形偏光に変換される。その後、円形偏光は、第2ミラー140に反射された後、第2スイッチ170によってS偏光に変換され、S偏光は、第1スイッチ160によって偏光成分が変換されなくなる。従って、S偏光は、P偏光のみを通過させる偏光部150を通過できず、共振できなくなる。従って、レーザ発生部100からレーザパルスは出力されない。
【0065】
同様に、第1スイッチ160は、電気的信号の印加によって動作し、第2スイッチ170は、電気的信号の未印加によって動作しなくなると、発光部120によって発光された光のうち偏光部150によって分離されたP偏光は、第1スイッチ160によってS偏光に変換されて偏光部150を通過できず、共振できなくなる。従って、レーザ発生部100からレーザパルスは出力されない。
【0066】
もし、第1スイッチ160及び第2スイッチ170が何れも電気的信号の印加によって動作すると、発光部120によって発光された光のうち偏光部150によって分離されたP偏光は、第1スイッチ160によって円形偏光に変換され、円形偏光は、第2スイッチ170によってS偏光に変換される。その後、S偏光は、第2ミラー140に反射された後、第2スイッチ170によって再び円形偏光に変換され、この円形偏光は、第1スイッチ160によって再びP偏光に変換される。従って、P偏光は、P偏光のみを通過させる偏光部150を通過して共振できる。このとき、第1スイッチ160は、第2スイッチ170に電気的信号が印加される間に電気的信号が複数回印加されるように動作できる。この場合、レーザ発生部100から出力されたレーザパルスは、第1スイッチ160に印加される電気的信号の時間と同じ時間、例えば、数ns乃至数十nsの時間幅を有する複数のレーザパルスを発生させることができる。
【0067】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を調節できる。例えば、第1スイッチ160は、それに印加される電気的信号の時間を数ns乃至数十nsに調節することによって、入射した偏光の偏光成分を変換させる時間を数ns乃至数十nsに調節でき、第2スイッチ170は、それに印加される電気的信号の時間を数μs乃至数百μsに調節することによって、入射した偏光の偏光成分を変換させる時間を数μs乃至数百μsに調節できる。
【0068】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を固定又は可変させることができる。例えば、第1スイッチ160は、それに印加される電気的信号の時間を数ns乃至数十nsの特定の時間に固定することによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を数ns乃至数十nsに固定でき、第2スイッチ170は、それに印加される電気的信号の時間を数μs乃至数百μsの範囲内で変化させることによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させる時間を数μs乃至数百μsの範囲内で変化させることができる。
【0069】
第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に変換させることを繰り返すことができる。例えば、第1スイッチ160は、それに数ns乃至数十nsの電気的信号を不連続に繰り返し印加することによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に数ns乃至数十nsに不連続に繰り返し変換でき、第2スイッチ170は、それに数μs乃至数百μsの電気的信号を不連続に繰り返し印加することによって、入射した偏光の偏光成分を他の偏光成分に数μs乃至数百μsに不連続に繰り返し変換できる。
【0070】
制御部200は、レーザ発生部100が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御するものであり得る。制御部200は、レーザ発生部100が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御する多様な構成からなることができる。
【0071】
例えば、制御部200は、例示的に
図2及び
図3に示すように、エネルギー部制御部210、第1スイッチ制御部220及び第2スイッチ制御部230を含むことができる。
【0072】
エネルギー部制御部210は、エネルギー部110のエネルギー供給を制御するものであり得る。エネルギー部制御部210は、エネルギー部110のエネルギー供給を制御する多様な構成からなることができる。例えば、エネルギー部制御部210は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって、エネルギー部110が発光部120に所定のエネルギーを所定の時間に供給するようにエネルギー部110を制御できる。ここで、所定のエネルギーは、発光部120が励起されて光を発生させるために必要な臨界電圧以上、例えば、高電圧であることができ、所定の時間は、発光部120が励起されて光を発生させるために必要な臨界エネルギー以上、例えば、高エネルギーであり得る。エネルギー部制御部210は、エネルギー部110にその動作に必要な所定のエネルギーが電源部500から供給されるように制御できる。
【0073】
第1スイッチ制御部220は、第1スイッチ160の動作を制御するものであり得る。第1スイッチ制御部220は、第1スイッチ160の動作を制御する多様な構成からなることができる。例えば、第1スイッチ制御部220は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって、第1スイッチ160が所定の時点で所定の時間、動作するように制御できる。ここで、所定の時点は、第1スイッチ160が偏光成分を変換するように動作する臨界時点であり、所定の時間は、第1スイッチ160が偏光成分を変換するように動作する臨界時間、例えば、数nsの時間であることができる。第1スイッチ制御部220は、第1スイッチ160にその動作に必要な所定のエネルギー、例えば、高電圧を供給できる。但し、これに限定されず、第1スイッチ制御部220は、制御部200から信号を受けて自体的に所定の高電圧を供給できる。また、第1スイッチ制御部220は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって、第1スイッチ160が所定の時間間隔、例えば、10μs以上の間隔で複数の回数で動作するように制御できる。第1スイッチ制御部は、第1Q-ドライバ(first Q-driver)とも呼ばれる。
【0074】
第2スイッチ制御部230は、第2スイッチ170の動作を制御するものであり得る。第2スイッチ制御部230は、第2スイッチ170の動作を制御する多様な構成からなることができる。例えば、第2スイッチ制御部230は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって、第2スイッチ170が所定の時点で所定の時間、動作するように制御できる。ここで、所定の時点は、第2スイッチ170が偏光成分を変換するように動作する臨界時点であり、所定の時間は、第2スイッチ170が偏光成分を変換するように動作する臨界時間、例えば、数μs乃至数百μsの時間であることができる。第2スイッチ制御部230は、制御部200から信号を受けて自体的に所定の高電圧を供給できる。但し、これに限定されず、第2スイッチ制御部230は、電源部500から第2スイッチ170に所定の高電圧が供給されるように制御できる。また、第2スイッチ制御部230は、入力部300を通じて入力された入力データ又は格納部400に格納された格納データによって、第2スイッチ170が所定の時間間隔、例えば、10μs以上の間隔で複数の回数で動作するように制御できる。第2スイッチ制御部は、第2Q-ドライバ(second Q-driver)とも呼ばれる。
【0075】
制御部200は、単一レーザパルスモードでレーザ発生部100から単一レーザパルスが出力されるようにレーザ発生部100を制御できる。
【0076】
制御部200は、多重レーザパルスモードでレーザ発生部100から第1時間の幅を有する多重レーザパルスと、第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスと、のうちの少なくとも1つが発生するようにレーザ発生部100を制御できる。
【0077】
例えば、制御部200は、エネルギー部制御部210、第1スイッチ制御部220及び第2スイッチ制御部230によって、レーザ発生部100のエネルギー部110、第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御することによって、レーザ発生部100から数nsの多重レーザパルスと、数μs乃至数百μsの多重レーザパルスと、が多様に複合されたレーザが出力されるようにすることができる。
【0078】
本発明の他の実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法(S20)は、例示的に
図4に示すように、レーザ発生部を用いてレーザを発生させる段階(S200)を含むことができる。ここで、レーザ発生部は、前述した実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理装置100のレーザ発生部100であり得る。
【0079】
レーザ発生部100は、エネルギーを供給するエネルギー部110と、エネルギー部110から供給されたエネルギーを吸収して光を発生させる発光部120と、発光部120から発生した光が増幅される共振経路を形成する第1ミラー130及び第2ミラー140と、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の光共振経路上に配置されて光を偏光させる偏光部150と、偏光の偏光成分を変換させる第1スイッチ160及び第2スイッチ170と、を含むことができる。
【0080】
本実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理方法(S20)は、レーザ発生部100が単一レーザパルスモード又は多重レーザパルスモードで動作するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御する段階(S300)を含むことができる。
【0081】
前記多重レーザパルスモードで、第1時間の幅を有する多重レーザパルスと、第1時間とは異なる第2時間の幅を有する多重レーザパルスと、のうちの少なくとも1つが発生するように第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御(S400)できる。
【0082】
このような制御は、前述した実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚管理装置100の制御部200によって行われることができる。
【0083】
例えば、制御部200は、エネルギー部制御部210、第1スイッチ制御部220及び第2スイッチ制御部230によってレーザ発生部100のエネルギー部110、第1スイッチ160及び第2スイッチ170を制御することによって、レーザ発生部100から数nsの多重レーザパルスと、数μs乃至数百μsの多重レーザパルスと、が多様に複合されたレーザが出力されるようにすることができる。
【0084】
1.第1シーケンス(first sequence)
【0085】
エネルギー部110が第1周期(first period)のエネルギーを供給する間に、第1スイッチ160及び第2スイッチ170は、動作しないようにするシーケンスである。
【0086】
例示的に
図5に示すように、第1周期(first period)の間、エネルギー部制御部210は、電源部500から発光部120に300μsのパルスを有する電気的信号を印加するようにエネルギー部110を制御する((a))。
【0087】
第1スイッチ制御部220が第1スイッチ160に電気的信号が印加されないように制御する((b))。
【0088】
第2スイッチ制御部230が第2スイッチ170に電気的信号が印加されないように制御する((c))。
【0089】
この場合、発光部120によって発生した無偏光の光が偏光部150によってP偏光に偏光された後、第1スイッチ160及び第2スイッチ170によって偏光成分が変換されず、第1ミラー130及び第2ミラー140の間の共振経路で増幅されてレーザに出力される。
【0090】
このように出力されたレーザは、エネルギー部110によって電源部500から発光部120に印加された電気的信号の時間と類似する時間、例えば、300μsのような数百μsの時間を有するパルスであり得る((d))。
【0091】
2.第2シーケンス(second sequence)
【0092】
エネルギー部110が第2周期のエネルギーを供給する間に、第1スイッチ160及び第2スイッチ170が動作するシーケンスである。
【0093】
例示的に
図5に示すように、第2周期(second period)の間、第1周期の終了後に所定の時間間隔、例えば
、200μsの間隔をおいて、エネルギー部制御部210は、電源部500から発光部120に300μsのパルスを有する電気的信号を繰り返し印加するようにエネルギー部110を制御する((a))。
【0094】
第1スイッチ160に電気信号が印加された状態で、第1スイッチ制御部220は、第2スイッチ170に印加された電気的信号よりも短い時間、例えば、数ns乃至数十nsの間に電気的信号が印加されるようにすることによって、偏光成分を変換できるように制御する((b))。
【0095】
第2スイッチ制御部230が第2スイッチ170にエネルギー部110によって電源部500から発光部120に印加された電気的信号の時間と類似する300μs又はそれ以上の時間に電気的信号が印加されるようにすることによって、偏光成分を変換できるように制御する((c))。
【0096】
この場合、発光部120によって発生した無偏光の光のうち偏光部130によってP偏光が分離された後、このようなP偏光は、電気的信号が印加された第1スイッチ160と第2スイッチ170によって偏光成分が2回変換されてから、第2ミラー140に反射された後、再び第1スイッチ160と第2スイッチ170によって偏光成分が2回変換されることによって、P偏光に復帰して偏光部130を通過して共振できる。このように共振されて出力されたレーザは、第1スイッチ160に電気的信号が印加された短い時間と類似する時間、例えば、数ns乃至数十nsの時間を有するパルスであり得る((d))。
【0097】
3.第1シーケンスと第2シーケンスとの組み合わせ
【0098】
例示的に
図6に示すように、第1シーケンスと第2シーケンス
とを多様に組み合わせることで、多様なタイプの複合多重レーザパルスを出力できる。
【0099】
第1周期に第2シーケンス、第2周期に第1シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力され、第2周期に数百μsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((a))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないシーケンスによることができる。
【0100】
第1周期に第2シーケンス、第2周期に第2シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力され、第2周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((b))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作し、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作するシーケンスによることができる。
【0101】
第1周期に第1シーケンス、第2周期に第2シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数百μsのパルスが出力され、第2周期に数ns乃至数十nsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((c))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作するシーケンスによることができる。
【0102】
第1周期に第1シーケンス、第2周期に第1シーケンスを組み合わせる場合、第1周期に数百μsのパルスが出力され、第2周期に数百μsのパルスが出力される複合多重レーザパルスを出力できる((d))。これは、エネルギー部が第1周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作せず、エネルギー部が第2周期のエネルギーを供給する間に第1スイッチ及び第2スイッチは動作しないシーケンスによることができる。
【0103】
本実施例に係る複合多重レーザパルスを利用した皮膚
管理方法に関する実験例に係る複合多重レーザパルス出力グラフが例示的に
図7に示されている。
【0104】
以上のように本発明に係る実施例を詳察したが、前述した実施例以外にも本発明がその趣旨や範疇から逸脱することなく、他の特定の形態に具体化できるという事実は、該当技術における通常の知識を有する者らには自明なことである。従って、上述した実施例は制限的なものではなく、例示的なものと理解されるべきであり、これにより本発明は上述した説明に限定されず、添付の請求項の範疇及びその同等な範囲内で変更され得る。
【0105】
特に、本発明に係る実施例において、第1スイッチと第2スイッチは、第1ミラーと第2ミラーとの間に順次配列されているが、これに限定されず、第1スイッチと第2スイッチは、第1ミラーと第2ミラーとの間に反対に配列されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の一実施例は、皮膚管理装置及び方法に利用できる。
【国際調査報告】