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特表2024-530592長手方向に延びる雄ねじに沿って手動で動く又は駆動するように構成されたナットを備える部品キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】長手方向に延びる雄ねじに沿って手動で動く又は駆動するように構成されたナットを備える部品キット
(51)【国際特許分類】
   B66F 3/44 20060101AFI20240816BHJP
   B66F 3/08 20060101ALI20240816BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20240816BHJP
   F16H 25/20 20060101ALN20240816BHJP
【FI】
B66F3/44
B66F3/08 Z
F16H25/24 B
F16H25/20 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503782
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 NL2022050397
(87)【国際公開番号】W WO2023003459
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2028794
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521045450
【氏名又は名称】ホルマトロ・ベー・フェー
【氏名又は名称原語表記】HOLMATRO B.V.
【住所又は居所原語表記】Lissenveld 30,4941 VL RAAMSDONKSVEER,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アントーニウス・ヨハンネス・ヘンリキュス・ブリュールス
(72)【発明者】
【氏名】レネ・ヴィルヘルムス・ヨハネス・ファン・エイントホーフェン
(72)【発明者】
【氏名】ルロフ・リシャルト・スヒッペル
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・アントーニウス・マリア・フェルコーイエン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・アンドレアス・ヨハンネス・アドリアヌス・デ・クロエ
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB02
3J062AB21
3J062AC07
3J062BA14
3J062BA21
3J062BA35
3J062CD02
3J062CD23
3J062CD54
3J062CG83
3J062CG84
(57)【要約】
部品キットであって、回転ロックされ、長手方向に互いに相対的に伸長可能である、外支柱及び雄ねじを有する内支柱と、駆動モードで外支柱に対して内支柱を選択的に固定するために雄ねじに沿って駆動されるように構成されたナットと、駆動モータを収容する駆動ハウジング及び駆動ハウジングをナットで接続し、それにより駆動モータをトランスミッションと接続するように構成されたコネクタを備える駆動装置と、を備え、ナットは、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置され、雄ねじと嵌合係合を形成するように構成された雌ねじを備える回転可能部材と、ハウジング内に配置され、駆動装置に接続可能な入力軸を備えるトランスミッションとを備え、トランスミッションは、選択的に、駆動モードにおいてハウジングに対して回転可能部材を回転させ、手動モードでハウジングと回転可能部材との間に結合を形成し、ナットが雄ねじに対して手動で動くように更に構成され、結合により回転可能部材とハウジングとが雄ねじに対して連帯して回転し、それによりナットが雄ねじに沿って長手方向に移動するように構成されている、部品キット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品キットであって、
回転ロックされ、長手方向に互いに相対的に伸長可能であり、内支柱が長手方向に延びる雄ねじを有する、外支柱及び内支柱と、
前記内支柱の雄ねじと嵌合係合を形成し、駆動モードで前記外支柱に対して前記内支柱を選択的に固定するために雄ねじに沿って駆動されるように構成されたナットと、
駆動モータを収容する駆動ハウジングと、前記駆動ハウジングを前記ナットで接続し、それにより前記駆動モータをトランスミッションと接続するように構成されたコネクタと、を備える駆動装置と、を備え、
前記ナットは、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に配置され、前記内支柱の前記雄ねじと嵌合係合を形成するように構成された雌ねじを備える回転可能部材と、
前記ハウジング内に配置され、前記駆動装置に接続可能な入力軸を備えるトランスミッションであって、前記トランスミッションは、選択的に:
前記駆動モードにおいて前記ハウジングに対して前記回転可能部材を回転させ、前記トランスミッションが前記駆動装置によって駆動され、それにより前記回転可能部材を前記雄ねじに対して回転させ、前記雄ねじに沿って長手方向に前記ナットを移動させるように構成されており、
前記ナットは、手動モードで前記長手方向に延びる前記雄ねじに沿って手動で移動するように更に構成されており、
前記トランスミッションは、さらに、選択的に:
前記手動モードで前記ハウジングと前記回転可能部材との間に結合を形成し、前記ナットが前記雄ねじに対して手動で回転し、前記結合により前記回転可能部材と前記ハウジングとが前記雄ねじに対して連帯して回転し、それにより前記ナットが前記雄ねじに沿って長手方向に移動するように構成されていることを特徴とする部品キット。
【請求項2】
前記駆動モードにおいて、前記ハウジングは、前記雄ねじに対して回転ロックされている請求項1に記載の部品キット。
【請求項3】
前記トランスミッションが不可逆である請求項1又は2に記載の部品キット。
【請求項4】
前記トランスミッションが、セルフブレーキギアを備え、より好ましくはセルフロックギアである、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項5】
前記手動モードにおける前記ハウジングと前記回転可能部材との間の結合が、1:10よりも大きい前記トランスミッションのギア比によって提供される、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項6】
前記トランスミッションは、ウォームドライブを備え、
ウォームは前記ハウジング内に回転可能に配置され、
ウォームホイールは前記回転可能部材の外周に配置されている、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項7】
前記駆動装置は、前記ナットの前記ハウジングに取り外し可能に連結可能な外部駆動装置である、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項8】
前記駆動モードにおいて、前記ナットの前記ハウジングは、前記ナットの前記ハウジングと前記外支柱との間の相対的な回転を防止するために前記外支柱に対して回転ロックされ、前記回転可能部材を前記ハウジングに対して回転可能にする、前記請求項の1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項9】
前記駆動装置は、前記駆動装置が前記ナットの前記ハウジングに接続されるとき、前記ナットの前記ハウジングを前記外支柱に対して回転ロックするように構成されている、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項10】
前記内支柱の雄ねじ上に配置された前記ナットが、前記外支柱に関連付けられたアバットメントに当接するかどうかを検出する当接センサをさらに備える、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項11】
前記外支柱と前記ねじ付き内支柱に配置された前記ナットとの間の相対的な長手方向の変位を示すパラメータ、前記外支柱と前記ねじ付き内支柱に配置された前記ナットとの間の圧縮力を示すパラメータ、の少なくとも1つを提供するように構成されたセンシング装置を更に備え、
前記当接センサは前記センシング装置のパラメータを検出するように構成されている、請求項10に記載の部品キット。
【請求項12】
前記センシング装置が、
内リング及び外リングであって、前記内リングと前記外リングの一方は前記外支柱に接続され、前記内リングと前記外リングの他方は前記外支柱に関連付けられた前記アバットメントを画定する、前記内リング及び前記外リングと、
前記内リングと前記外リングとの間の相対的な回転を制限し、所定の摺動距離にわたって長手方向に互いに対して摺動可能に構成されたガイドと、
前記内リングと前記外リングとを互いに遠ざけるように構成されたプリテンショナと、
を備える、請求項11に記載の部品キット。
【請求項13】
前記外リングは前記外支柱に接続されており、
前記内リングは、前記外リングに対して長手方向に移動可能で、前記外支柱に関連付けられた前記アバットメントを画定する請求項11に記載の部品キット。
【請求項14】
前記駆動装置が前記ナットの前記ハウジングに接続されるとき、前記駆動装置が前記外支柱に接続された前記外リングに対して前記ナットの前記ハウジングを回転ロックするように構成されている、請求項9に従属する請求項13に記載の部品キット。
【請求項15】
前記トランスミッションを選択的に駆動し、それにより前記ナットを前記雄ねじに沿って長手方向に移動させるように前記駆動装置を制御するコントローラをさらに備える、請求項10~14の1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項16】
前記コントローラは、前記当接センサから受信した信号に応じて前記駆動装置を制御するように構成されている、請求項10に従属する請求項15に記載の部品キット。
【請求項17】
前記コントローラは、前記当接センサから取得したセンサ信号、前記センシング装置により提供される前記パラメータ、の少なくとも1つに応じて前記駆動装置を制御するように構成されている、請求項11に従属する請求項15又は16に記載の部品キット。
【請求項18】
前記コントローラは、前記内支柱と前記外支柱の間の固定接続をもとに戻すために前記内支柱が前記外支柱に対して伸長するとき、前記ナットを前記外支柱に向かって前記雄ねじに沿って長手方向に移動させるように構成されている、請求項17に記載の部品キット。
【請求項19】
前記コントローラは、前記内支柱と前記外支柱との間の固定接続がもとに戻る前に、前記内支柱が前記外支柱に前記距離を確実に収縮させることができるように、前記ナットを前記外支柱から前記雄ねじに沿って長手方向の距離だけ移動させるように構成されている請求項17又は18に記載の部品キット。
【請求項20】
前記駆動装置に接続可能であり、前記駆動モータを駆動するための電力を供給するように構成された外部電源をさらに備える、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【請求項21】
前記外支柱及び前記内支柱はストラットの部材であり、
前記ナットは前記外支柱に対して前記内支柱を選択的に固定するように構成された固定ナットである、前述の請求項のうちの1項または2項以上に記載の部品キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品キット、特にストラットを形成する部品キットであって、長手方向に延びる雄ねじに沿って手動で動く又は駆動するように構成されたナットを備える部品キットに関する。
【背景技術】
【0002】
長手方向に延びる雄ねじに沿って手動で動く又は駆動するように構成されたナットは、安全および救助作業員が使用するストラットと組み合わせて特に有利である。以下の説明では、このようなナットの使用についても、そのようなストラットに関連して非常に詳細に説明する。しかしながら、当業者は、シリンダの機械的固定のためのロックナットを含む液圧シリンダなど、そのようなナットが多くの他の用途、特に業界では多くの他の用途を有し得ることを認識するであろう。
【0003】
ストラットは、スペーサを画定するために軸方向に延びる細長い部材を備える。多くの場合、ストラットは外支柱と内支柱で構成されており、長手方向に互いに伸長可能で、それにより安全作業員や救助隊員はストラットを所望の長さに設定できる。多くの用途では、ストラットの長さは、例えば、意図的または予期せぬ荷重の動きに追従するために、使用中に調整され得ることが望ましく、外支柱に対する内支柱の伸長または収縮のいずれかに関連付けられていても良い。
【0004】
ストラットは、多くの用途、特にショアリング用途に使用される。この点に関し、ショアリングは、たとえば危険な状況を安全にし、消防士のような安全救助隊員にその時点で得られる可能な限りの安全な作業環境を提供するために、不安定な荷重に一時的なサポートを提供することとして定義される。このようなショアリングの用途は、建物などの構造物の崩壊に対するサポートの提供、トレンチ周辺の土砂崩れを防ぐためのトレンチショアリング、特に衝突後の車両の安定化など、非常に多様であり得る。
【0005】
安全救助隊員の作業状況は、特に安全性の観点からだけでなく、ユーザの快適性と労働衛生の観点からも引続き改善される必要がある。不安定な荷重を扱う際の安全上のリスクは、まだ不安定な荷重を支えるストラットの初期配置やそのストラットの最終的な取り外しなど、状況の変化に特に関連している。ただし、使用中にも荷重が移動するなど、状態が変化する可能性があり、荷重が不安定な状況では予期せぬ場合がある。
【0006】
従来技術のストラットは、多くの場合、伸長可能なストラットの内支柱の長手方向に延びる雄ねじに沿って手動で動かせるナットを含む。ナットをそのねじに沿って動かし、外支柱に当接させるようにすると、ナットは外支柱への収縮に対して内支柱を固定する。このため、このようなナットは固定ナットとも呼ばれる。しかし、ナットを手動で動かすには、ナットから腕の長さ離れたところで、ストラットに物理的に近いナットを手動で駆動する安全救助隊員が必要であり、これは不安定な荷重状況と最初の固定されていない状態のためにしばしば非常に危険である。手動でナットをねじ込むことに伴うかもしれない極度な危険を考慮して、安全救助隊員は時々ロッドでナットを押してみたり、ナットの周囲を包むストラップを動かしてナットをねじ込もうとしたりするような「用具」を利用することを試みる。
【0007】
理想的には、安全救助隊員は、拡張可能なストラットの内支柱の雄ねじに沿ってナットを遠隔操作して、安全な距離からナットを制御できるような機会をもとうとする。しかしながら、このようなナットの遠隔制御は、同じナットを手動で容易に移動させる可能性を犠牲にすることなく提供されることが好ましい。結局のところ、一部の不安定な状況は、例えば、建物の構造的崩壊に対するサポートを提供するためにストラットを配置する場合など、不安定な荷重の近くまたはその下のリスクの高いエリアに物理的に存在することにより、安全救助隊員が最初にストラットを物理的に配置しなければ、どうしても安定化させることはできない。このような状況では、ナットをねじに沿って移動させ、できるだけ早く安全な状況を得るための最速の方法であるため、ナットの手動操作が好ましい場合がある。
【0008】
米国特許出願US2018/0313436A1は、最も近い先行技術と見なされ、ストラット拡張機構を開示している。この文献に関連して、少なくとも請求項1の特徴的な特性は新規である。
【0009】
ドイツ特許出願DE102015121378A1ならびに国際特許出願WO2021/023669A1およびWO2007/113891A2は、さらなる先行技術として認められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術と比較して改良され、かつ、上述した問題の少なくとも1つが回避または緩和されるナットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本発明の請求項1に記載の部品キットによって達成され、この部品キットは、
-回転ロックされ、長手方向に互いに相対的に伸長可能であり、内支柱が長手方向に延びる雄ねじを有する、外支柱及び内支柱と、
-内支柱の雄ねじと嵌合係合を形成し、駆動モードで外支柱に対して内支柱を選択的に固定するために雄ねじに沿って駆動されるように構成されたナットと、
-駆動モータを収容する駆動ハウジングと、駆動ハウジングをナットで接続し、それにより駆動モータをトランスミッションと接続するように構成されたコネクタと、を備える駆動装置と、
を備え、ナットは、
-ハウジングと、
-ハウジング内に回転可能に配置され、内支柱の雄ねじと嵌合係合を形成するように構成された雌ねじを備える回転可能部材と、
-ハウジング内に配置され、駆動装置に接続可能な入力軸を備えるトランスミッションであって、選択的に:
-駆動モードにおいてハウジングに対して回転可能部材を回転させ、トランスミッションが駆動装置によって駆動され、それにより回転可能な部材を雄ねじに対して回転させ、雄ねじに沿って長手方向にナットを移動させるように構成された、トランスミッションと、を備え、ナットは、手動モードで長手方向に延びる雄ねじに沿って手動で移動するように更に構成されており、トランスミッションは、さらに、選択的に、手動モードでハウジングと回転可能部材との間に結合を形成し、ナットが雄ねじに対して手動で回転し、結合により回転可能部材とハウジングとが雄ねじに対して連帯して回転し、それによりナットが雄ねじに沿って長手方向に移動するように構成されている、部品キットである。
【0012】
したがって、本発明に係る部品キットのナットは、安全救助隊員が駆動モードと手動モードの両方でナットをねじ込むことを可能にする。駆動モードでは、安全救助隊員は安全な距離で遠隔地にいることができ、オプションの手動モードでは、上記のように、安全救助隊員は特定の状況で、できるだけ早くナットを固定することもできる。
【0013】
さらに、駆動モードは、ストラットを伸長したり、ストラットを収縮したりするための(自動)追従モードなど、さまざまな追加用途を可能にする。荷重がストラットから離れる場合は、特にストラットが接触したままで誤って離れないようにするために、ストラットを自動的に伸長する(「自動追従伸長」)ことが望ましい場合がある。他の状況では、例えば、不安定な荷重の制御された下降のために、荷重を下げながら接触を維持するために、ストラットが自動的に収縮(「自動追従収縮」)できることが望まれる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい実施形態は、従属する特許請求の範囲の対象である。
【0015】
明細書に記載され、示されている様々な態様および特徴は、可能な限り、個別に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属する請求項に記載の態様および特徴は、従来技術とは異なる問題に関連する発明であり得る。
【0016】
以下の説明では、本発明の好ましい実施形態が、図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係るナットを含むストラットの実用化の斜視図である。
図2図2は、図1のストラットの斜視図である。
図3図3は、図1及び図2のストラットの断面斜視図である。
図4図4は、図2及び図3に示すストラットのナットの斜視図である。
図5図5は、図4のナットの断面図である。
図6図6は、図2及び図3に示すストラットのセンシング装置の斜視図である。
図7図7は、図6のセンシング装置の断面図である。
図8図8は、図1図2に示したストラットの断面図であり、図4図5のナットを図6図7のセンシング装置の近くに配置した図である。
図9図9は、さまざまな使用状態における図8の詳細図である。
図10図10は、さまざまな使用状態における図8の詳細図である。
図11図11は、ストラットとその駆動および制御の概略図である。
図12図12は、図11に示した駆動装置の斜視図である。
図13図13は、図11に示した駆動装置の斜視図である。
図14図14は、ナットに接触して配置された駆動装置の断面図である。
図15図15は、ナットと接触して配置されている駆動装置とセンシング装置の断面図である。
図16図16は、ナットとセンシング装置と接触して配置されている駆動装置の斜視図である。
図17図17は、それぞれ図9図10に対応するセンシング装置の2つの異なる使用状態を示す図である。
図18図18は、それぞれ図9図10に対応するセンシング装置の2つの異なる使用状態を示す図である。
【0018】
ストラット1の多くの潜在的な用途の1つは、衝突が起こり、タンクローリー62が乗用車3の上に停止している、図1のショアリング状況に示されている。乗用車3内の乗客に応急処置を施すために乗用車3に安全に接近するためには、安全救助隊員4は、まず、タンクローリー2で画定された不安定な荷重2を安定させなければならない。この特定の状況において、安全救助隊員4は、2本のストラット1を用い、右ストラット1は、液圧路7を介して作動液を圧送し、それによって右ストラット1を伸長させるように構成された液圧ポンプ6を備える制御可能なアクチュエータ5によって作動される。左ストラット1は、パワーパック11を有する制御部10に制御線9を介して接続される駆動装置8を備える。この左ストラット1の機能性については、以下でより詳細に説明する。
【0019】
ストラット1は、図1及び図2に示され、長手方向L(図3及び図8に示す)において互いに相対的に伸長可能であり、互いに相対的にロックされた外支柱12及び内支柱13を備える。回転ロックは、キー溝14および関連するキー15(図2)によって提供されてもよい。ストラット1の第1の端部16は、別のストラット1の幾何学的に同一のコネクタ半体17と機械的に連動するように構成されたコネクタ半体17を備えてもよい。ストラット1の第1の端部16および反対側の端部18におけるコネクタ半体17の両方は、両端16、18がエンドプレート21(図1)などのアクセサリ20に結合されることを可能にする連結器19を画定してもよい。
【0020】
ナット22は、長手方向Lに延びる雄ねじ23に沿って手動または駆動されるように構成されている。図1及び図2に示すストラット1の場合、ナット22は、内支柱13の雄ねじ23と嵌合係合を形成し、外支柱12に対して内支柱13を選択的に固定するために、長手方向Lに延びる雄ねじ23に沿って手動又は駆動可能に構成されている。ナット22が外支柱12または外支柱12に接続されたオプションのセンシング装置34と当接するように移動されると、内支柱13は、外支柱12に対して固定され、内支柱13が外支柱12内に移動する、すなわち、外支柱12に対して移動するのを防ぐ。したがって、ナット22は固定ナットである。
【0021】
ナット22は、図4及び図5を参照してより詳細に説明されているが、ハウジング24と、ハウジング24内に回転可能に配置された回転可能部材25とを備える。回転可能部材25は、内支柱13の雄ねじ23と嵌合係合を形成するように構成された雌ねじ26を備える。ハウジング24内にはトランスミッション27が配置されており、トランスミッション27は、駆動装置43に連結可能な入力軸28を備える。トランスミッション27は、選択的に、次のように構成される。
【0022】
トランスミッション27が駆動装置43によって駆動される駆動モードで、ハウジング24に対して回転可能部材25を回転させ(図11図14図15図16)、それによって、回転可能な部材25を雄ねじ23に対して回転させ、ナット22を雄ねじ23に沿って長手方向Lに移動させ、そして、手動モードでハウジング24と回転可能部材25との間の結合を形成し、ナット22が雄ねじ23に対して手動で回転され(図8)、この結合により回転可能な部材25とハウジング24が雄ねじ23に対して連帯して回転し、それによってナット22が雄ねじ23に沿って長手方向Lに移動させる。
【0023】
駆動モード及び手動モードのいずれにおいても、回転可能部材25は、雄ねじ23に対して回転し、これにより、ナット22のハウジング24を雄ねじ23に沿って長手方向に変位させる。このように、本発明に係るナット22によれば、安全救助隊員4は、駆動モードと手動モードの両方でナット22をねじ込むことができる。駆動モードでは、安全救助隊員4は、安全な距離で遠隔にいてもよく(図1)、オプションの手動モードでは、安全救助隊員4が特定の状況でナット22を非常に速く固定することも可能になる。結局のところ、手動モードではハウジング24と回転可能部材25との間の結合が形成されているため、ユーザ、すなわち安全救助隊員4が雄ねじ23に沿ってナット22を手動で回転させると、回転可能部材25とハウジング24は雄ねじ23に対して連帯して回転することになる。この点に関して、手動モードにおいてハウジング24と回転可能部材25との間に形成される結合は、スリップカップリングとして作用してもよいことが述べられている。ナット22のハウジング24と回転可能部材25とが雄ねじ23に対して手動で連帯して回転できるほどに、スリップのレベルが十分に小さい限り、当業者は、多少のスリップが許容され得ることを認めるであろう。理想的には、結合にスリップが無いと、ナット22の手動回転を、雄ねじ23に沿ったナット22の長手方向の変位にロスレスで伝えることが可能となる。グリースフィッティング33は、ハウジング24に対して回転可能部材25の潤滑のために、ハウジング24内にグリースを配置することを可能にする。
【0024】
駆動モードでは、ハウジング24は、雄ねじ23に対して回転ロックされる。これは、図15を参照して以下でより詳細に説明するように、駆動装置43がナット22上に配置されることによって自動的に引き起こされることが好ましい。
【0025】
トランスミッション27は、ナット22が雄ねじ23に対して手動で回転する手動モードで、それによりハウジング24と回転可能部材25との間の結合を形成するために不可逆的であっても良い。例えば、トランスミッション27は、セルフブレーキギアを備えてもよく、より好ましくはセルフロックギアを備えてもよい。セルフロックギアは、入力を駆動すると出力が駆動されるが、出力を駆動しても入力は駆動されないギアである。したがって、セルフロックギアで構成されるトランスミッションは、不可逆的なトランスミッションである。セルフブレーキギアは、いくらかのスリップを有し得るセルフロックギアとして解釈されるが、スリップのレベルは、ナット22のハウジング24および回転可能部材25が、雄ねじ23に対して手動で連帯して回転することを可能にするほど十分に小さい。トランスミッション27の不可逆的な挙動、すなわちセルフブレーキング又はセルフロッキングの性質のために、ハウジング24に対して回転可能部材25を回転ロックするために、手動でロックを作動させる必要はない。このようなロックの必要がないので、ナット22の設計が簡素化され、さらに重要なことに、安全救助隊員4が危険度の高い状況下において取らなければならない行動の数を減らすことができる。不可逆的なトランスミッション27は、駆動方法、すなわち手動または駆動装置43を介して自動的に適応し、それによって安全性を向上させ、ユーザの快適性を提供する。
【0026】
手動モードにおけるハウジング24と回転可能部材25との間の結合が、トランスミッション27のギア比が1:10よりも大きいことによって提供される場合、セルフブレーキング特性が得られ得る。
【0027】
示された実施形態では、トランスミッション27は、ウォームドライブ29を備え、ウォーム30は、前記ハウジング24内に回転可能に配置され、ウォームホイール31は、回転可能部材25の外周32に配置される。ウォームドライブ29は、セルフブレーキギアの実施形態であり、より好ましくはセルフロックギアである。ウォームホイール31がウォーム30を全く駆動できない場合、セルフロックまたは不可逆と呼ばれる。ウォームドライブ29がセルフロックであるかどうかは、リード角、圧力角、および摩擦係数に依存する。ただし、一部の構成では最小限のスリップが発生することが考えられ、その場合、完全なロックにはならない。ナット22のハウジング24と回転可能部材25とが雄ねじ23に対して手動で連帯して回転できるほどに、スリップのレベルが十分に小さい限り、ある程度のスリップは許容され得る。
【0028】
図に示される好ましい実施形態は、図6図10を参照して詳細に議論されるセンシング装置34を含む。このようなセンシング装置34は、駆動装置43と関連して適用されるときに多くの利点を提供し得る。例えば、センシング装置34を使用して、ドライブモードは、ストラット1を伸長させるため、またはストラット1を収縮させるための(自動)追従モードなどの様々な追加用途を可能にし得る。荷重2がストラット1から離れる場合、特にストラット1が接触したままで、誤って離れないようにするために、ストラットを自動的に伸ばすことが望ましい場合がある(「自動追従伸長」)。他の状況では、例えば、不安定な荷重2の制御された下降のために、荷重2を下降させている間、接触を維持するためにストラット1が自動的に収縮(「自動追従収縮」)できることが望まれる場合がある。センシング装置34によって提供される利点にもかかわらず、後に図11~18を参照して説明するそのような駆動装置43は、そのようなセンシング装置34がない場合にも使用され得ることが明示的に言及されている。
【0029】
センシング装置34は、外支柱12とねじ付き内支柱13上に配置された固定ナット22との間の相対的な長手方向の変位を示すパラメータと、外支柱12とねじ付き内支柱13に配置された固定ナット22との間の圧縮力の大きさを示すパラメータのうちの少なくとも1つを提供するように構成される。当接センサ35は、好ましくは、後述する駆動装置43によって構成され、センシング装置34のパラメータを検出するように構成されている。このような当接センサ35は、荷重または接触の有無を測定することを考慮すると、最も基本的な形態で荷重または変位を測定するためにすでに考慮されているかも知れない。しかしながら、好ましい実施形態によれば、センシング装置34は、外支柱12とねじ付き内支柱13上に配置される固定ナット22との間の相対的な長手方向の変位または圧縮力を示すパラメータを提供するだけでなく、センシング装置34は、さらに、そのような変位または圧縮力の大きさを示すパラメータを提供するように構成される。
【0030】
図に示される好ましい実施形態では、センシング装置34は、内リング35および外リング36を含み、内リング35および外リング36のうちの一方は、外支柱12に接続され、内リング35および外リング36の他方は、外支柱12に関連付けられたアバットメント37を画定する。示された実施形態では、外リング36は、外支柱12に関連付けられており、内リング35は、外リング36に対して長手方向に移動可能であり、外支柱12に関連付けられているアバットメント37を画定する。ナット22がセンシング装置34(図8)に向かって雄ねじ23に沿ってねじ込まれると、このアバットメント37(図9)に当接接触することになる。
【0031】
ガイド38は、内リング35と外リング36との間の相対的な回転を制限し、所定の摺動距離にわたって長手方向Lに互いに対して摺動可能に構成されている。図示のガイド38は、外リング36に配置されたガイドスロット39を備える。このガイドスロット39には、内リング35上に配置された突起部40がのびている。プリテンショナ41は、内リング35と外リング36とを互いに遠ざけるように構成されている。このプリテンショナ41は、複数のバネ42を備えていてもよい。アバットメント37(図9)との最初の突き合わせ接触の後にナット22が外支柱12に向かってさらにねじ込まれると、外リング36と内リング35は、プリテンショナ41による力に抗して、互いに向かって移動することになる。バネ42は圧縮され、突起40はそれらに関連するスロット39内を摺動し、これは、ナット22が、外支柱12、より詳細には、外支柱12に関連付けられたアバットメント37、と確実に当接していることの視覚的表示を安全救助隊員4に提供し得る。したがって、ガイドスロット39における突起部40の位置は、外支柱12と固定ナット22との間の圧縮荷重の大きさ、または、外支柱12とねじ付き内支柱13上に配置された固定ナット22との間の相対的な長手方向の変位の大きさ、を示す視覚的パラメータを提供する。
【0032】
上述したセンシング装置34は、駆動装置43と関連して適用されるときに、多くの追加的な利点を提供し得る。この駆動装置43、特に駆動装置43とセンシング装置34との有利な協働について、図11図18を参照してより詳細に説明する。しかしながら、当業者は、そのような駆動装置43は、例えば、ナット22を遠隔操作で駆動するのに十分である場合に、センシング装置34がない場合にも使用され得ることを理解するであろうが、以下で説明するような(自動)追従モードのような、より洗練されたオプションは要求されない。
【0033】
ナット22は、駆動装置43を備える組立品または部品キットの一部であってもよい。駆動装置43は、駆動モータ45を収容する駆動ハウジング44と、駆動ハウジング44をナット22と接続し、それにより駆動モータ45をトランスミッション27、より具体的にはトランスミッション27の入力軸28、と接続するように構成されたコネクタ46と、を備える。コネクタ46は、ナット22のハウジング24上に配置された隆起部64(図4)と係合し得る、すなわち摺動し得る駆動ハウジング44内の溝65(図13)を備える。
【0034】
駆動装置43は、非常に大きな(工業用)ナット用のハウジング24に一体化されてもよい。但し、図示の実施形態の対象であるストラット1の固定に用いられるナット22については、駆動装置43は、ナット22のハウジング24に取り外し可能に連結可能な外部駆動装置である。図11および図16では、ナット22はセンシング装置34に当接しており、駆動装置43は、ナット22のハウジング24に接続されたときに駆動装置43が位置する場所を示す破線で示している。外部電源11は、駆動装置43と接続可能であり、駆動モータ45を駆動するための電力を供給するように構成されている。外部電源11への駆動装置43の有線接続9、及び好ましくは制御部10への有線接続9を、図11に概略的に示している。或いは、制御部10は、駆動装置43と無線接続があってもよい。
【0035】
図12および図13は、駆動装置43を2つの斜視図で示している。プラス符号及びマイナス符号を有する制御ボタン50は、安全救助隊員4が、それぞれ伸長及び収縮のために、駆動装置43を手動で制御することを可能にし得る。(図示しない)ディスプレイまたはインジケータライト52などの視覚インジケータ51は、ストラット1の状態、特に駆動装置43および/または当該ストラット1のセンシング装置34の状態を示し得る。図13は、トランスミッション27の入力軸28に係合するように構成された駆動装置43の出力軸53を示す。係合状態を図14に示す。
【0036】
駆動モードでは、ナット22のハウジング24は、外支柱12に対して回転ロックされ、ナット22のハウジング24と外支柱12との間の相対的な回転を防止し、回転可能部材25をハウジング24に対して回転できるようにする。好ましい実施形態では、駆動装置43は、駆動装置43がナット22のハウジング24に接続されるときに、ナット22のハウジング24を外支柱12に対して回転ロックするように構成される。図15において、バネ66で張力を与えられた係止ピン47は、センシング装置34の外リング36の外周49に配置された係止凹部48の1つに係合する。したがって、駆動装置43は、駆動装置43がナット22のハウジング24に接続されるときに、ナット22のハウジング24を、外支柱12に連結された外リング36に対して回転ロックするように構成され得る。
【0037】
上述したように、ガイドスロット39における突起部40の位置は、外支柱12とねじ付き内支柱13上に配置された固定ナット22との間の相対的な長手方向の変位または圧縮力を示す視覚的パラメータを提供し得る。好ましい実施形態では、ストラット1を形成する部品キットは、内支柱13の雄ねじ23上に配置されたナット22が、外支柱12に関連付けられたアバットメント37に当接するかどうかを検出するように構成された当接センサ35を備える。シンプルな実施形態では、駆動装置43は、ストラット1の伸長がナット22とアバットメント37との間に隙間54を設けるとすぐにナット22をよりしっかりとねじ込むように強制するために、定電流で給電され得る。しかしながら、その最も基本的な実施形態においては、当接センサ35を用いて、駆動装置43は、隙間54が生じるとすぐに、アバットメント37に向かってねじ込むためにナット22を駆動だけしてもよい。当接センサ35のこの基本的な実施形態では、接触のみを検出してもよく、その欠如は隙間54があることを示す。
【0038】
部品キットは、トランスミッション27を選択的に駆動するように駆動装置43を制御し、それによりナット22を雄ねじ23に沿って長手方向Lに移動させるように構成されたコントローラ55をさらに備えてもよい。コントローラ55は、制御部10内に配置されてもよいし、代替的には駆動ハウジング44内に配置されてもよい。コントローラ55は、当接センサ35から受信した信号に応じて駆動装置43を制御するように構成されてもよい。
【0039】
好ましい実施形態では、コントローラ55は、当接センサ35から得られるセンサ信号と、センシング装置43により提供されるパラメータと、の少なくとも1つに応じて、駆動装置43を制御するように構成される。これにより、安全救助隊員4の作業状況の安全性を大幅に向上させる可能性のある自動追従モードなど、非常に有利なオプションが提供される。
【0040】
「自動追従伸長」モードでは、コントローラ55は、内支柱13と外支柱12との間の固定接続をもとに戻すために内支柱13が外支柱12に対して伸長するときに、ナット22を外支柱12に向かって雄ねじ23に沿って長手方向Lに移動させるように構成されている。したがって、ストラット1が伸びると、コントローラはナット22を能動的に駆動して、任意の隙間54をできるだけ早く閉じる。コントローラ55がセンシング装置34と組み合わせて使用される場合、隙間54は積極的に防止され得ることもあり、その結果、ストラット1の固定性がさらに向上する。結局のところ、コントローラ55は、ナット22が外リング36上のアバットメント37との物理的接触を失う前であっても、ナット22が外支柱12から離れているという情報をセンシング装置34から既に受信し得る。結局のところ、プリテンショナ41は、突起部40がガイド38のガイドスロット39内で自由に移動できる限り、アバットメント37をナット22との当接を維持させるであろう。外支柱12と固定ナット22との間の圧縮荷重の大きさ、または外支柱12とねじ付き内支柱13に配置された固定ナット22との間の相対的な長手方向の変位の大きさ、を視覚的に示すガイドスロット39内の突起部40の位置と同様に、この大きさは、当接センサ35で感知することもできる。
【0041】
外支柱12と固定ナット22との間の圧縮荷重の大きさ、または外支柱12と固定ナット22との間の相対的な長手方向の変位の大きさを決定することができるこのような当接センサ35のための多くの代替案は、当業者によって容易に設計され得るが、1つの実用的な実施形態が図16~18に示されている。レバー56は、ピボット57に対して旋回可能であり、センシング装置34の外リング36のエッジ部63に当接し得る。これにより、ナット22がアバットメント37に当接すると、外リング36が変位する。外リング36のエッジ部63は、アバットメント37に対向して配置されている。外リング36が変位すると、エッジ部63がレバー56を動かす。引張りバネ58は、レバー56を外リング36に向かって引っ張り、そのエッジ部63に接触したままとなるように構成されている。レバー56がピボット57に対して回転すると、歯ラック59は、ポテンショメータなどのセンサ61を回転させるピニオン60を駆動し得る。このようにして、当接センサ35は、外支柱12に対するナット22の任意の動きについての詳細な情報を取得し得る。
【0042】
「自動追従収縮」モードでは、コントローラ55は、内支柱13と外支柱12との間の固定接続がもとに戻る前に、内支柱13が外支柱12内に前記距離を確実に収縮させることが出来るように、ナット22を外支柱12から雄ねじ23に沿って長手方向Lの距離だけ移動させるように構成されている。上述したように、コントローラ55は既に、ナット22がガイド38によって提供される範囲内で外支柱12に対して移動しているという情報をセンシング装置34から受信し得る。「自動追従収縮」では、ナット22は、センシング装置34の外リング36との突き合わせ接触を維持したまま、外支柱12から離れるようにねじ込まれてもよい。
【0043】
ここで留意されたいのは、センシング装置34は、上述した「自動追従伸長」モードおよび「自動追従収縮」モードのいずれか一方に対する事前選択に限定されない汎用的な「自動追従」モードを適用するためにも使用され得るが、実際には、これらの「伸長」モードと「収縮」モードを組み合わせることを可能にする。不安定な荷重2がどの方向(「伸長」または「収縮」に関連)に移動するか常に明確であるとは限らないため、これは安全救助隊員4の安全状況を大幅に改善する。このような一般的な「自動追従」モードは、コントローラ55が駆動装置53を制御して突起部40をガイドスロット39の両端から解放するようにすれば可能である。この場合、センシング装置34は、ストラット1の伸長または収縮のいずれかに関連するコントローラ55に通知することができるようになる。理想的には、コントローラ55は、突起部40をガイド38によって許容される自由ストロークの約半分に維持するように駆動装置43を制御する。
【0044】
上述した実施形態は、本発明を例示することのみを意図し、本発明の範囲を何ら限定するものではない。特に、好ましい実施形態は、ナット22、センシング装置34、および駆動装置43を組み合わせるが、当該駆動装置43は、センシング装置34が無い場合にナット22を駆動するために使用され得る。添付の特許請求の範囲で言及された特徴の後に参照記号が続く場合、そのような符号は、請求の範囲の明瞭性を高める目的でのみ含まれており、特許請求の範囲を決して制限するものではないことを理解されたい。保護の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。
図1
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【国際調査報告】