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  • 特表-高額物品を認証する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】高額物品を認証する方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/305 20140101AFI20240816BHJP
   G06K 19/04 20060101ALI20240816BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240816BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20240816BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240816BHJP
   G07D 5/00 20060101ALI20240816BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240816BHJP
【FI】
B42D25/305
G06K19/04 070
G06K19/06 103
G06K7/14 017
G06K7/10 252
G06K19/06 037
G06K19/06 159
G07D5/00
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505236
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 DE2022000083
(87)【国際公開番号】W WO2023006135
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202021002500.6
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524036103
【氏名又は名称】ウォルフガング サイブ
【氏名又は名称原語表記】Wolfgang SEIB
【住所又は居所原語表記】Eichenweg 12, 91626 Schopfloch (DE)
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフガング サイブ
【テーマコード(参考)】
2C005
3E002
5L050
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB10
2C005HB20
2C005JB33
2C005JB40
2C005LB34
2C005LB38
2C005LB55
2C005LB60
3E002AA20
5L050CC11
(57)【要約】
高額物品を認証する方法であって、光学的に識別可能なコードが生成され、グラフィック又は表面構造が与えられた物品の表面領域に組み込まれることによって物品に施され、コードが、コード要素の2次元配置の形態であり、2次元配置の輪郭が、表面領域又は表面領域の一部の輪郭に適合され、コードが、物品に関連して、ディスプレイ上に表示することができる情報を提供する情報源にリンクされ、例えばスマートフォン等の読取器は、コードを検出して読み取るプログラムを備えており、コードが読み取られると、情報源へのリンクがアクティブになり、情報が読取器のディスプレイ上に表示される、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高額物品を認証する方法であって、光学的に識別可能なコードを生成して前記物品に施すステップと、読取器を用いて前記コードを読み取り解釈するステップとを含む方法において、
グラフィック又は表面構造が与えられた前記物品の表面領域、又は前記表面領域の一部が選択され、
コードが、線及び/又は領域要素の形態のコード要素の2次元配置の形態で生成され、前記コードが情報内容を有し、前記2次元配置の輪郭が、前記表面領域又は表面領域の前記一部の輪郭に適合され、
前記コード要素が、前記表面領域又は表面領域の前記一部の前記グラフィック又は表面構造に組み込まれ、
前記コードがさらに、前記物品に関連して、ディスプレイに表示することができる情報を提供する情報源にリンクされ、
さらに、スマートフォン等の読取器は、前記コードを認識し読み取るプログラムを備えており、
前記コードが読み取られると、前記情報源へのリンクがアクティブになり、前記情報が前記読取器の前記ディスプレイに表示されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コード要素が、直線、曲線、若しくは異なる角度で曲がっている線要素、及び/又は丸い、角張った、若しくは任意の所望の形状である領域要素を含み、同じ色又は異なる色を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コード要素の2次元配置が、前記表面領域又は表面領域の前記一部にフィットして平坦であるか若しくは湾曲しているか、又は前記表面領域のレリーフに適合される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コードが、各々がコード要素の2次元配置の形態を有する2つ以上の部分コードの形態で、前記物品の表面領域の2つ以上の離隔した部分に又は異なる離隔した表面領域に組み込まれ、前記部分コードが、読み取られるときにともに取り込まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コードが前記グラフィックに、最初に前記グラフィックを極度に拡大し、同様に極度に拡大された形態で前記コードを前記グラフィックに組み込み、次いで、前記組み込まれたコードを含む前記グラフィックをその意図されたサイズに戻すように縮小して前記物品に施すことにより、組み込まれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コードが、印刷、彫刻又はレーザ彫刻によって前記物品に施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コードが、前記物品の表面構造を製造するために使用される、プレス工具、打抜工具、エンボス工具、鋳造金型又は他の工具の加工表面領域に、前記物品の製造中に前記コードが提供された前記表面構造を製造するように、組み込まれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コードが、前記情報源への接続を操作することができる少なくとも1つの中間位置を介して、前記情報源に間接的にリンクされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コードが提供された前記物品の少なくとも前記表面領域が、前記コードを組み込んだ後、極度に光を反射する微粒子が分散されたコーティングでコーティングされる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイン又はメダル、貴金属の延べ棒、宝飾品又は美術品、高価な腕時計等の高額物品を認証する、例えばその真正性を検証する方法に関し、この方法により、光学的に識別可能なコードが生成され、物品に適用され、そこからコードを読み取り、解釈することができる。
【背景技術】
【0002】
コイン、メダル、貴金属の延べ棒等の貴重品、及び美術品等の他の貴重品は、それらの価値に関して、真正性の問題に大きく左右される。こうした物品の真正性を確認するために、鑑定書を発行するのが一般に行われている。こうした真正性の鑑定書には、物品自体に結び付けられていないという不都合があり、それにより、鑑定書と物品との間に結び付きがないため、真正性の問題が、物品が実際に証明された物品であるか否かという疑問に転じることになり、さらにこの問題は、鑑定書自体が偽造された可能性がないかという疑問も含む。
【0003】
物品自体に適切なマーキングを与えることはほとんど役に立たない。その理由は、一方では、物品の外観を損なう可能性があるため、物品自体に可視のマーキングを施すことは望ましくないが、マーキングが目には不可視であり、例えば紫外線の下でしか見ることができない場合であっても、一般的なマーキングは、偽造者に認識可能である場合、偽造者も容易にコピーすることができるため、偽造に対する安全な保護を与えるものではないためである。したがって、こうした物品に従来のバーコード、QRコード(登録商標)等の形態でコード化された情報をマーキングすることは、偽造防止マーキングを提供するのに好適な方法ではない。こうしたマーキングは、常にコードとして認識されることになり、これは、情報内容が認識不可能であっても、コードとして読み取りコピーすることもできることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、貴重品の真正性マーキングの必要性とは別に、物質的又は非物質的価値のある物品に、その物品の出所、年代、又はデザイナー若しくはアーティスト等、物品に関する情報を提供する必要性のある場合もある。これは特に、アルバム又はカセット等のコレクションシステム内の物品の場合である可能性があり、そこでは、コレクションシステム自体で物品の詳細な説明を提供することは困難であり、通常は混乱を招く。この場合にも、そうした情報を物品自体に支障を及ぼすことなく可視化することができ、事実上は不可視であるマーキングを、物品自体に設けることが有用であり望ましい。
【0005】
主に紙幣に使用されているホログラム等の従来のセキュリティ機能も、同様に容易に可視であり、したがってコピーすることができるため、上述した目的には有用ではない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来の手段の問題を克服する、貴重品又は高額物品を認証する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は請求項1に明記する方法によって達成され、この方法は、従属請求項の特徴によって有利にさらに展開している。
【0008】
本発明の方法では、物品に、偽造から物品を保護し、特に隠された不可視の又は視覚的に知覚不能なセキュリティ機能としての役割を果たすことができる、特別なコードの形態の恒久的な準可視のマーキングが提供される。コードは、特別なアプリを含むスマートフォン等の好適な読取器で読み取ることができ、コードの内容自体はユーザには認識不能であるが、コードはユーザをウェブサイトにリダイレクトするリンクとしての役割を果たす。アプリはユーザが自由に入手可能であり、例えばアプリストアからスマートフォンにダウンロードすることができる。
【0009】
コードは微小な要素の2次元パターンから構成され、この微小な要素は、異なる形状及び向きを有することができる、すなわち直線、曲線、又は異なる角度で曲がっていてもよい、短い線要素であり得る。2次元パターンには、ドット等の小領域要素も含まれ得る。
【0010】
コードの要素は、画像パターン、装飾若しくはレタリング等のグラフィックパターンで覆われ、又は他の何らかの方法で平滑でない、マーキングすべき物品の表面領域に散在しており、表面パターンは平坦(例えば、印刷)又はレリーフ状(例えば、彫刻)である。QRコード(登録商標)とは異なり、2次元パターンは、好ましくは規則的な輪郭を有しておらず、むしろ、輪郭は任意であってよく、特に、それぞれの表面領域又はその一部の形状に適合させることができる。したがって、例えば、コードの2次元パターンの形状は、長尺状、湾曲した若しくは角張った、ジャガイモ形状、又は他の不規則な輪郭であってもよい。
【0011】
コードの個々の要素は、同じ色であっても異なる色であってもよい。特に、それらの色は、それらが埋め込まれている領域のそれぞれの色と一致させることができ、その際、色は対照的ではなく類似しており、それにより、要素は、アプリを介して読取器によってのみ、背景とは別に識別することができ、コードとしてその全体が認識可能であるが、見る人の目には知覚可能でない。
【0012】
本発明は、事実上常に、上記のタイプの高額物品に、少なくとも1つの表面領域にグラフィック、絵、又は装飾要素が提供されるか、又は、上記のタイプの高額物品が、美術品に通常見られるように、少なくとも1つの非平滑底面、若しくは例えば絵画の場合には非平滑裏面を有しており、そこで、本発明によるマーキングを、絵の表現内に隠れるように配置し、見る人には知覚可能でないようにすることができる、という事実を利用する。したがって、見る人は、その物品にそうしたマーキングが提供されていること、又は提供されているか否かを全く知覚することができない。
【0013】
本発明の方法によるマーキングは、物品を見る人が、それを精査しても読み取ることができず、又は実際それが存在するか否かが全くわからないという点だけでなく、比較的関連付けられた又は関連付けられていない態様で異なる物品に施すことができ、さまざまな幾何学的形状に、例えば、物品上のグラフィック又は画像表現の異なる領域においてフィットするように適合させ、場合によっては分割されてそれぞれのグラフィック又は画像領域の輪郭に適合させることができるという点でも、従来のマーキングとは異なる。従来のバーコード又はQRコード(登録商標)では、個々のコード要素が、読取り可能であるように、予め決められた変更不可能な方法で互いに幾何学的に関連しているが、それとは対照的に、本発明によるマーキングは、要求に応じて幾何学的に配置することができる個々の連結されていない線要素から構成されており、したがって、物品上のグラフィック又は画像表現に容易に組み込むことができ、又は、例えば、物品の粗い底面又は裏面に隠すことができる。したがって、本発明によるマーキングは、それぞれのグラフィックに適合させることができる。例えば腕時計の場合、文字盤は、通常、数字、線、グラフィック又はテキストを含む。線要素の配置は、これらの別個の領域にほぼ不可視に埋め込むことができる。
【0014】
本発明の方法によるマーキングは、「ワームパターン(worm pattern)」と称する場合があり、その理由は、個々の線要素が、虫(ワーム)を連想させるものであり、上述した方法で施し、表面領域上に分散させ、そこに設けられているグラフィックに組み込むことができ、それらの数、幾何学的配置、厚さ、及びさらにはそれらの色が、全体として、個人化されたコードとしての役割を果たすことができ、その意味を、ユーザが要求に応じて割り当てるか又は定義することができるためである。純粋に線要素から構成されたパターンの代わりに、ドット等の小領域要素を有するパターンもまた、好ましくは線要素と組み合わせて、コードとして使用することができる。
【0015】
上記に示したように、本発明の方法によるマーキングは、いくつかの領域に分割することができる。例えば、1つの部分はグラフィックの右上隅に、別の部分は左下隅に位置することができる。マーキングは、グラフィックの2つ又は3つのより入り組んでいるか又はより暗い領域に分割することもでき、そこでは特に背景から目立たない。又は、マーキングは、円形リング領域の一部若しくはすべて、又は別の帯状の領域に広がっていてもよく、又はレタリングに組み込まれていてもよい。
【0016】
さらには、貴金属の延べ棒等、すべての面が完全に平滑な物品であって、その価値がその表面特性ではなくその材料に依存する物品に、中にマーキングを隠すために任意に選択することができる装飾的なグラフィックを表面部分に施すことにより、こうしたマーキングをセキュリティ機能として設けることができる。例えば貴金属の延べ棒の場合、通常、原産地表示とともに施される価値又は純度の表示は、ワームパターンとしてデザインされたマーキングを埋め込むのに十分である。例えば、貴金属の延べ棒の平滑面に、波パターン等の装飾的な線パターンを提供して、その中にマーキングを隠すこともできる。このうちのいずれも、バーコード又はQRコード(登録商標)の視覚的デザインでは可能ではない。
【0017】
マーキングは、任意の好適な方法で、例えば、印刷、彫刻又はレーザ加工により、物品に施すことができる。しかしながら、エンボス加工、プレス加工、打抜加工又は鋳造によって、それぞれの工具、すなわち、それぞれのエンボス工具、打抜工具又は鋳造金型において、生成すべき表面パターンの一体部分としてコード要素を含めることにより、マーキングを施すこともできる。今日、ほぼすべての工具がCNCマシンで製造されているため、こうしたことは容易に行うことができる。
【0018】
本発明による方法は、コードを認識し取り込むことができるように適切にプログラムされた、コードを読み取る読取器を用意することと、読取器を用いて読み取るプロセスとをさらに含む。読取器は、好ましくは、コードを認識し読み取るプログラムを含む特別なアプリがインストールされたスマートフォンである。上述したように、このアプリは自由に入手可能である可能性があり、ユーザが自身のスマートフォンにダウンロードすることができる。
【0019】
コード自体は、宛先アドレスを含み、したがって、コードを読み取ることによってアクティブになり、コードを使用してウェブサイトの形態で関連情報源を呼び出す、リンクを具現化し、そして、その情報源は、ディスプレイ上でユーザに可視情報、例えば、当該物品に関する情報を提示し、その情報は、物品の本質的な特徴を示すとともにその真正(genuineness)又は真正性を確証し、その物品の原産地、番号、製造時期、純度又は他の特性等、当該物品に関するさらなる情報も示すことができる。
【0020】
本発明の方法によるマーキングの別の有利な用途は、例えばサプライチェーンのコンプライアンスを検証するために、それぞれの物品をその出所に関して追跡可能にすることである。本発明によるワームパターンを用いるマーキングは、セキュリティマーキングとして意味があるだけでなく、デジタル鑑定書としての役割も果たすことができる。
【0021】
本発明による方法について、その全体的な特徴について上述したが、以下により詳細に提示して、その機能及び実施態様をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】例示的な物品として、銘と、鎧を着けた男性の上半身の絵画表現とを含むコイン画像を有する、コイン又はメダルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
プロセスの機能及び実施態様は比較的単純である。まず、製品に割り当てるべき宛先アドレス又はデータ及び情報が決定される。特に、上述したように、不可視のリンクコードを製品に適用することが可能である。このコードは、数字コード又はテキストのみを含んでいてもよい。しかしながら、製品に関する情報又はグラフィック等を製品に組み込むことも可能であり、その場合、それらは読取器に直接表示することができる。
【0024】
リンクコードを介して、ユーザを、店舗、ランディングページ、ウェブアドレス、特別なリンク、オンラインアドレス、又は任意のネットワーク接続及び/若しくはアドレスであってもよい、ウェブサイトに誘導することができる。そして、インターネットで、オンラインで、デジタルで可能なことはすべて、ここで実現し、実装することができる。リンクはまた、動的(ダイナミック)であってもよく、すなわち、任意に置換され得るか又は変化する可能性のあるリダイレクトを介して、それぞれのターゲットアドレスに導くことができる。
【0025】
本発明は、理想的なハイブリッドソリューション、すなわち、製品の形状、特性又は外観を変えることなく、インターネットのデジタル及び仮想世界に、不可視に関連付けられた物理的な物品を提供する。ブロックチェーン技術も組み込むことができる。
【0026】
コードが導くリンクされた宛先アドレスを使用して、インターネットが提供しなければならないあらゆるものを読取器のディスプレイ上で実装することができる。フィルムの再生、テキスト又は音声情報、電気通信、データ及び情報の交換、関連データのマッチング等、すべてが可能である。変化するウェブサイト及びダイナミックリンクも実装することができる。
【0027】
また、製品をウェブサイト、ドメインアドレス等にリンクさせることにより、セキュリティクエリを実装することも可能である。したがって、最初の入力の後、第三者はアクセスすることができないようにして、1回限りのアクセスが可能になる。このように、特に高価値の高価で希少な又は限定的な商品について、所有権の安全性を達成することができる。
【0028】
ここで、リンクアドレス等は、分解され、小さいドット、ダッシュ要素、線要素、ワーム及び/又は小領域要素に変換される。いずれのダッシュ、ドット、線、ワーム等をいかなる量及び配分で使用するか、並びにそれらの配置、色及びサイズの選択は、それぞれのデザイン、すなわちグラフィック又は画像等によって決まる。これは、線及びダッシュ等のほぼ不可視の組込みを達成する唯一の方法である。
【0029】
ここで、グラフィック又は画像等を、事前に定義された寸法に正確な比率で拡大することができる。ドット、ダッシュ、線、ワーム等に変換されたグラフィックパターン又は画像パターンは、ここで、事前に正確に定義された拡大率を使用して、物品の画像又は表面構造にコードとして埋め込むことができる。
【0030】
その後、物品の表面パターンにコードとして組み込まれたダッシュ、線、ドット等が、物品の画像又はグラフィック又は表面構造を望ましくないように変化させているか否かをチェックすることができる。最適な結果を達成するためには、さらなる調整及び変更を行うことが必要な場合がある。挿入された小さいドット、ダッシュ、線、ワーム等が、拡大画像ではほぼ知覚不能であり、背景画像又は表面構造に円滑に移行している場合、完璧な結果が達成されたことになる。
【0031】
ドット、ダッシュ、線及びワームは、必ずしも処理されるグラフィック/画像/デザイン/表面の空きスペースに埋め込まれるだけでなく、可視の表面パターン又は画像パターンに直接施される場合もある。これにより、画像パターン、グラフィックパターン又は他の表面パターンに属するものと、コードに属するものとを識別することが、さらに困難になる。
【0032】
非常に拡大された状態でわずかに見えるだけのものは、その後、所望の元のサイズに縮小されるとさらに見えにくくなり、したがって、準不可視コードに理想的である。
【0033】
打抜工具、射出成形工具、深絞り工具、プレス工具及びエンボス工具等の任意のタイプの工具にコードを埋め込むとともに、すべてのタイプの金型に対して、例えば印刷版等にコードを埋め込むことも、実施することができる。これにより、例えば、早ければコイン及びメダル、金属延べ棒、腕時計、筆記用具、家庭用品、化粧品、宝飾品等のシリーズ製品の製造中に、コードを自動的に組み込むことが可能になる。例えば、コイン、メダル又は金属延べ棒を製造するためのエンボス工具、打抜工具又は鋳造工具に、不可視コードが既に組み込まれていてもよい。その結果、例えば、製造された各金属延べ棒若しくはコイン、又は任意の製品若しくは商品は、不可視の識別コードを自動的に受け取ることになる。
【0034】
セキュリティ要件、視覚的提示、認識可能性等に応じて、コードは製品の任意の場所に施すことができる。製品の異なる場所にいくつかの部分コードを組み込むことも可能であり、それにより、1回又は数回のスキャンプロセスですべての部分コードを組み合わせることによってのみ、単一の有効なコードが作成される。
【0035】
コードは、ドット、ダッシュ、線、ワーム又は小領域からなるため、非常に良好な隠れた配置が可能である。これは、例えばレリーフのあるコイン又は金属延べ棒の場合、隠されたコードがグラフィック又は画像の下面に位置している場合に特に有用である。コードを自由にデザインすることができるため、下面にレリーフで施されたコードと、グラフィックに直接組み込まれたコードとを組み合わせることも可能である。これにより、グラフィックへの視覚的適合性がさらに向上し、とりわけ安全性がさらに高まる。
【0036】
コードの3次元組込み(表面、レリーフ、及び側部の遷移)により、さらに柔軟性及び安全性が高まる。これは、表面上の2次元コードに、側部の追加のコードを結合したものであり得る。本発明による方法のさらなる展開は、この方法に従って施されたコードのコピー防止策である。
【0037】
この目的のために、コードが設けられた製品、又はコードを含むその表面領域に、人間の目には知覚不能であり、極度に光を反射する粒子が分散されている、コーティングを施すことができ、コーティングは、微小範囲の極めて反射性の高いビーズが分散された特殊な塗料であってもよい。こうしたマイクロビーズは、それらのサイズ、形状、数及び色を最適に調整することにより、それぞれの表面グラフィック又は表面構造に完璧に適合させることができる。これにより、ビーズによって生じるグレア効果の強度を最適に調整することもできる。
【0038】
コピー機で画像をコピーしようと試みた場合、スキャン中にコピー機によって照射されているときにグレア効果で画像が白くぼやけることになり、何も認識することができなくなる。
【実施例
【0039】
添付の図面は、例示的な物品として、銘と、鎧を着けた男性の上半身の絵画表現とを含むコイン画像を有する、コイン又はメダルを示す。コイン画像に描かれた男性の頭部のひげの領域の一部が、右上に拡大されており、この部分もまた、線のもつれ又は多数の線のために複雑になっているコイン画像の領域の一例である。この領域は、個々の線要素の2次元配置の形態で、上述した方法に従ってコードを配置するのに特に適しており、この配置の輪郭は、ひげの領域の輪郭に適合させることができる。
【0040】
2次元配置の個々の線要素のパターンの形態でのこうした2次元配置を、一例として、ここでまた右側に拡大して、一点鎖線の円でパターンの小さい部分として示す。
【0041】
個々の線又はダッシュ要素の具体的な形状、及びそれらの相対的な配置、太さ、長さ、幾何学的形状(直線、曲げ又は曲線)、さらにそれらの色は、自由に選択することができ、線又はダッシュ要素の配置は全体として、選択可能な意味を割り当てることができるコードを形成する。線要素は、より短いか又はより長い、直線又は曲線状のダッシュ部分によって特徴付けることができ、これらのダッシュ部分は、互いに同じであっても異なっていてもよく、同じ向きに配置されていても異なる向きに配置されていてもよい。
【0042】
したがって、個々の線要素は、エンボス加工によって物理的に生成されたとしても、少なくとも人間の目にはほとんど不可視であるようにコイン又はメダルに施され、その理由は、コードを形成する要素は、見る人にはコイン画像の一部として見え、したがって、見る人は、マーキングがあることを認識することも、画像とコードとを区別することもできないためである。しかしながら、線要素の配置をコードとして認識することができる特別なアプリを搭載したスマートフォンのカメラ等、読取器では、読取りが可能である。
【0043】
線要素が、単独で(かろうじて)目に知覚可能であったとしても、一方では、コイン画像のひげの表現の線のもつれの中で見えなくなり、見る人には、例えば装飾又は飾りの形態で、コイン画像、又は物品上の別の画像若しくは表面パターンの一部として見えることになる。
【0044】
同様に、例えば、コイン画像の毛髪領域、又はコイン画像の他の何らかの領域は、コードを表すこうした線要素パターンを適応させるのに適している。
図1
【国際調査報告】