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特表2024-530617ターゲット平面に対して平行にまたはターゲット平面に一致して延在する像平面を有するフォーカシング装置
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  • 特表-ターゲット平面に対して平行にまたはターゲット平面に一致して延在する像平面を有するフォーカシング装置 図1
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  • 特表-ターゲット平面に対して平行にまたはターゲット平面に一致して延在する像平面を有するフォーカシング装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ターゲット平面に対して平行にまたはターゲット平面に一致して延在する像平面を有するフォーカシング装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240816BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505253
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022071088
(87)【国際公開番号】W WO2023006821
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21188167.7
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515041332
【氏名又は名称】トルンプフ レーザーシステムズ フォー セミコンダクター マニュファクチャリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Lasersystems for Semiconductor Manufacturing GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ボリス レガート
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA05
2H197GA24
4C092AA06
4C092AB10
4C092AC09
(57)【要約】
本発明は、特にEUV放射を生成するためのフォーカシング装置(10)に関する。フォーカシング装置(10)は、ターゲット平面(14)上のターゲット材料(12)への照射を行うように構成されている。フォーカシング装置(10)は、少なくとも1つのビームフォーミング素子(26,28)を有しており、このビームフォーミング素子(26,28)の光軸(30,32)は、ターゲット平面(14)に対して垂直に位置している。これにより、フォーカシング素子(26,28)のうちの少なくとも1つを通してガイドされるレーザービーム(18,20)の像平面が、ターゲット平面(14)に対して平行に配向される。このようにすることで、ターゲット材料(12)の効率的な照射が可能となる。少なくとも1つのレーザービーム(18,20)の歪のない完全な結像は、当該レーザービーム(18,20)の主軸線を、当該レーザービーム(18,20)がガイドされるフォーカシング素子(26,28)の光軸(30,32)に対してオフセットすることによって達成することができる。フォーカシング素子(26,28)のうちの一方によって、第3のレーザービーム(50)をターゲット材料(12)の中間照射のためにガイドすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標領域(62)内を移動する、EUV放射を生成するためのターゲット材料(12)上へ少なくとも2つのレーザービームをフォーカシングするフォーカシング装置(10)であって、
a)前記目標領域(62)内の第1の位置における前記ターゲット材料(12)上へ第1のレーザービーム(18)をフォーカシングする第1のフォーカシング素子(26)と、
b)前記目標領域(62)内の第2の位置における前記ターゲット材料(12)上へ第2のレーザービーム(20)をフォーカシングする第2のフォーカシング素子(28)と、
c)前記ターゲット材料(12)で生成されたEUV放射を反射させる反射光学素子(70)と
を備えた、フォーカシング装置(10)において、
d)前記第1のフォーカシング素子(26)の光軸(30)および/または前記第2のフォーカシング素子(28)の光軸(32)が、前記反射光学素子(70)の光軸(72)に対してほぼ平行にまたは前記反射光学素子(70)の光軸(72)に一致して配向されている
ことを特徴とする、フォーカシング装置(10)。
【請求項2】
前記フォーカシング装置は、
e)前記第1のレーザービーム(18)を、前記第1のフォーカシング素子(26)の光軸(30)に対してオフセットされたかつ/または傾斜した第1の主軸線(42)に沿って、前記第1のフォーカシング素子(26)と前記目標領域(62)との間でガイドし、かつ/または
f)前記第2のレーザービーム(20)を、前記第2のフォーカシング素子(28)の光軸(32)に対してオフセットされたかつ/または傾斜した第2の主軸線(44)に沿って、前記第2のフォーカシング素子(28)と前記目標領域(62)との間でガイドする
ように構成されている、請求項1記載のフォーカシング装置。
【請求項3】
第1のビームフォーミング素子(26)が、自身の光軸(30)に対して回転対称に構成されたフォーカシング素子のセクションの形態で形成されており、かつ/または
第2のビームフォーミング素子(28)が、自身の光軸(32)に対して回転対称に形成されたフォーカシング素子のセクションの形態で形成されている、
請求項2記載のフォーカシング装置。
【請求項4】
前記第1のフォーカシング素子(26)の光軸(30)および前記第2のフォーカシング素子(28)の光軸(32)は、前記反射光学素子(70)の光軸(72)に対してほぼ平行にもしくは前記反射光学素子(70)の光軸(72)に対して平行にもしくは前記反射光学素子(70)の光軸(72)に一致して配向されており、
前記第1のフォーカシング素子(26)の光軸(30)と前記第2のフォーカシング素子(28)の光軸(32)とは、相互に3mm未満だけオフセットされている、
請求項1から3までのいずれか1項記載のフォーカシング装置。
【請求項5】
第1のビームフォーミング素子(26)がレンズまたはミラーの形態で形成されており、かつ/または
第2のビームフォーミング素子(28)がレンズまたはミラーの形態で形成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のフォーカシング装置。
【請求項6】
ビーム方向で見て前記第1のフォーカシング素子(26)の下流にダブルミラー装置が配置されており、かつ/または
ビーム方向で見て前記第2のフォーカシング素子(28)の下流にダブルミラー装置が配置されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のフォーカシング装置。
【請求項7】
前記フォーカシング装置は、第3のレーザービーム(50)を、前記第1のレーザービーム(18)の第1の主軸線(42)に対して2°超の鋭角、特に4°超の鋭角を成す第3の主軸線(54)に沿って、第1のビームフォーミング素子(26)から前記目標領域(62)へガイドするように構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のフォーカシング装置。
【請求項8】
真空チャンバ(64)を備えたEUVビーム生成装置(55)であって、
前記真空チャンバ(64)内の目標領域(62)へ、EUV放射を生成するために、ターゲット材料(12)を導入することができ、
前記EUVビーム生成装置(55)は、前記目標領域(62)内を移動する前記ターゲット材料(12)上へ少なくとも2つのレーザービームをフォーカシングする、請求項1から7までのいずれか1項記載のフォーカシング装置と、第1のレーザービーム(18)を生成する第1のビーム源(56)と、第2のレーザービーム(20)を生成する第2のビーム源(58)とを備えている、
EUVビーム生成装置(55)。
【請求項9】
前記第1のレーザービーム(18)は第1の波長を有し、前記第2のレーザービーム(20)は前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する、
請求項8記載のEUVビーム生成装置。
【請求項10】
前記第1の波長は500nm~1200nmであり、前記第2の波長は8μm~12μmである、
請求項9記載のEUVビーム生成装置。
【請求項11】
前記第1のレーザービーム(18)がパルス化されており、かつ/または前記第2のレーザービーム(20)がパルス化されている、
請求項8から10までのいずれか1項記載のEUVビーム生成装置。
【請求項12】
第3のレーザービーム(50)を生成する第3のビーム源(60)を備えた、請求項8から11までのいずれか1項記載のEUVビーム生成装置、ならびに請求項8記載のフォーカシング装置。
【請求項13】
前記第3のレーザービーム(50)が、パルス化されており、かつ/または前記第2のレーザービーム(20)とは異なる波長および/または前記第2のレーザービーム(20)とは異なる偏光を有している、
請求項12記載のEUVビーム生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、目標領域内を移動する、EUV(極端紫外線)放射を生成するための、好適にはリソグラフィのためのターゲット材料上へ少なくとも2つのレーザービームをフォーカシングするフォーカシング装置であって、
a)目標領域内の第1の位置におけるターゲット材料上へ第1のレーザービームをフォーカシングする第1のフォーカシング素子と、
b)目標領域内の第2の位置におけるターゲット材料上へ第2のレーザービームをフォーカシングする第2のフォーカシング素子と、
c)ターゲット材料で生成されたEUV放射を反射させる反射光学素子と
を備えた、フォーカシング装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、このようなフォーカシング装置を備えたEUVビーム生成装置に関する。
【0003】
このようなフォーカシング装置およびEUVビーム生成装置は本出願人に知られている。ただし、これらは、内部の公開されていない従来技術であることもある。
【0004】
別のフォーカシング装置またはEUVビーム生成装置が、国際公開第2015/036024号および国際公開第2015/036025号から公知である。
【0005】
これらのフォーカシング装置またはビーム生成装置における欠点は、目標領域内のそれぞれ異なる位置においてそれぞれ異なる方向から各レーザービームがターゲット材料へフォーカシングされることで、ターゲット照射の効率が低下することである。
【0006】
発明の課題
したがって、本発明の課題は、ターゲット材料の著しく効率的な照射を可能にするフォーカシング装置およびEUVビーム生成装置を提供することである。
【0007】
発明の説明
この課題は、本発明により、請求項1記載のフォーカシング装置および請求項8記載のEUVビーム生成装置によって解決される。各従属請求項には好ましい発展形態が示されている。
【0008】
したがって、上記の課題は、
d)第1のフォーカシング素子の光軸および/または第2のフォーカシング素子の光軸が、反射光学素子の光軸に対して特に±4°まで、好適には±2°まで平行にまたは反射光学素子の光軸に一致して配向されている
という特徴を有することを特徴とする、冒頭に言及したフォーカシング装置によって解決される。
【0009】
これにより、第1のフォーカシング素子の像平面および/または第2のフォーカシング素子の像平面は、反射光学素子の光軸に対して垂直にもしくは反射光学素子の光軸に対してほぼ垂直に配向される。特に、ターゲット材料は、反射光学素子の光軸に対してほぼ垂直もしくは反射光学素子の光軸に対して垂直であり、ひいては2つのフォーカシング素子の像平面のうちの1つの像平面に対してほぼ平行であるかもしくはこの像平面に対して平行であるかもしくはこの像平面に一致する平面内を、移動することができる(ターゲット平面)。フォーカシング光学素子のうちの少なくとも1つの光学素子の光軸を反射光学素子の光軸に対してほぼ平行にもしくは反射光学素子の光軸に対して平行にもしくは反射光学素子の光軸に一致して配向することによって、ターゲット材料を特に効果的に照射することができる。
【0010】
この場合、反射光学素子は、特に、ターゲット材料にレーザー放射を照射したときに放出されるEUV放射を反射させることに適している。反射光学素子は、例えば、回転楕円体の形態の反射面を有する近法線入射集光ミラーとして構成可能であり、ここで、反射光学素子は、ターゲット材料に1つもしくは複数のレーザービームが照射される領域の近傍にまたはこの領域内に、第1の焦点を有する。
【0011】
換言すれば、本発明により、2つのフォーカシング素子の少なくとも1つの光軸、好適には双方の光軸が、ターゲット材料の飛行方向または飛行軌道に対して垂直にもしくはほぼ垂直に配向され、ここで、ターゲット材料が目標領域内の第1の位置から第2の位置へと移動されることが提案される。この場合、第1のレーザービームをフォーカシング装置の第1のビーム路において目標領域へとガイドすることができ、第2のレーザービームをフォーカシング装置の第2のビーム路において目標領域へとガイドすることができる。この場合、第1のビーム路の主軸線および/または第2のビーム路の主軸線は、フォーカシング素子の光軸に対して平行にオフセットさせるかまたは傾斜させることができる。これに対して、「古典的な」結像の場合には、光軸は、レーザービームのビーム路の主軸線に対して同軸である。このため、近接場においてレーザービームを位置的に分離し、遠方場において重なり合わせるには、2つの光軸を相互に傾斜させなければならない。
【0012】
好ましい一実施形態では、フォーカシング素子は、特に±4°まで、好適には±2°まで平行なまたは同一の光軸を有することができる。これにより、フォーカシング素子の双方に対して、ほぼ平行なもしくは平行なもしくは一致する像平面が生じる。これにより、ターゲット材料を特に効果的に照射することができる。
【0013】
第1のフォーカシング素子は素子群の形態で構成可能である。これに代えてもしくはこれに加えて、第2のフォーカシング素子が素子群の形態で構成されてもよい。
【0014】
第1のビーム路の主軸線は、好適には、第1のフォーカシング素子の光軸に対して非同軸に延在している。第2のビーム路の主軸線は、好適には、第2のフォーカシング素子の光軸に対して非同軸に延在している。
【0015】
ビーム路の各主軸線は、フォーカシング素子の上流でコリメートされて共線とされてもよい。可能な代替の構成では、個々のコリメートされたレーザービームが相互に平行に位置しなくてもよい。
【0016】
レーザービームの1つもしくは複数が各フォーカシング素子の上流のビーム路において斜めに結像される場合(例えば、レーザービームの伝搬方向に対して斜めに配向された光軸を有するコリメートレンズを通過する場合)、フォーカシング素子は、好適にはシャインプルーフの原理に従って、レーザービームのビーム路の主軸線に対して垂直な平面に対して相対的に傾斜し、これにより、像平面が、ターゲット材料が移動する平面において配向される。個々のコリメートされたレーザービームが相互に平行に位置しない場合であっても、フォーカシング素子、特にその主平面が、好適にはシャインプルーフの原理に従って、レーザービームのビーム路の主軸線に対して垂直な平面に対して相対的に傾斜し、これにより、ピント面が、ターゲット材料が移動する平面において配向される。
【0017】
ターゲット材料は、好適にはスズ液滴の形態で形成されている。スズ液滴にレーザービームを照射することにより、EUV放射を放出するプラズマを生成することができる。
【0018】
さらに好ましくは、第1のビーム路の主軸線および/または第2のビーム路の主軸線が、各フォーカシング素子の光軸に対して、特に平行に、オフセットされる。これにより、一方のフォーカシング素子または双方のフォーカシング素子が各光軸に対して回転非対称に構成される。これにより、像平面における歪のない投影を得ることができる。例えば、横断面が円形の1つもしくは複数のレーザービームは、円形の投影を有することができる。
【0019】
特に好ましくは、少なくとも1つのフォーカシング素子は、回転対称なフォーカシング素子のセクションの形態で形成されている。これにより、フォーカシング装置を構造的に特に簡単に構成することができ、ビーム路を比較的容易に計算することができる。
【0020】
ビーム路の主軸線がオフセットされている場合、移動するターゲット材料は、2つのレーザービームによって時間的にオフセットされて照射されうる。換言すれば、2つのフォーカシング光学素子の光軸を相互に平行にシフトさせ、各光軸が各ターゲット材料を通るようにすることによって、移動するターゲット材料を、時間的に(ひいては位置的に)オフセットさせることができる。各フォーカシング素子の光軸は、好適には3mm未満、特に1mm未満だけ、相互にオフセットされている。
【0021】
さらに好ましくは、少なくとも1つのフォーカシング素子、特に2つのビームフォーミング素子が、レンズまたはミラーの形態で形成可能である。ミラーの場合、特に、非軸放物面ミラー、または非軸放物面ミラーおよび非軸楕円ミラーの組み合わせを使用することができる。
【0022】
第1のビームフォーミング素子および/または第2のビームフォーミング素子は、真空チャンバ内に配置することもできる。真空チャンバは、第1のレーザービームを真空チャンバ内へ入射させる第1のアパーチャおよび/または第2のレーザービームを真空チャンバ内へ入射させる第2のアパーチャを有することができる。
【0023】
第1のビーム路および/または第2のビーム路には、偏向ミラー、特にダブルミラー装置を設けることができる。ダブルミラー装置は、著しい、好適には完全な非点収差の低減をもたらす(Seunghyuk Chang: Linear astigmatism of confocal off-axis reflective imaging systems with N-conic mirrors and its elimination; Journal of the Optical Society of America A, Vol.32, No.5/May 2015, p.852-859を参照されたい)。しかし、こうした配置構成では、結像されるレーザービームは、非点収差のない結像をもたらす理論上の光軸上をガイドされるのではなく、ターゲット平面に対して平行な像平面を有する出力側において傾斜した主軸線の所望の効果が得られるよう、入力側(コリメートされた入力ビーム)において理論上の光軸に対して平行にオフセットされた状態でガイドされる。これは、レンズ光学系の置換モデルにおいては、レーザービームのビーム路の主軸線の、レンズの光軸に対するシフトに相当する。ここで、出力側でのレーザービームのビーム路の主軸線の角度は、入力側でのレーザービームのビーム路の主軸線の距離のタンジェントを有効焦点長さEFLで除算したものに相当する。
【0024】
フォーカシング装置は、第3のレーザービームを目標領域へガイドするための第3のビーム路を有することができる。ターゲット材料は、当該経路上で、まず第1のレーザービームによって、続いて第3のレーザービームによって、さらに最後に第2のレーザービームによって照射されうる。第3のレーザービームは、第1のレーザービームに対して2°超の角度、特に4°超の角度で第1のフォーカシング素子へ入射しうる。これにより、第3のビーム路、ひいては第3のレーザービームも同様に、ターゲット材料が移動する平面に対してほぼ平行にもしくはこの平面に対して平行にもしくはこの平面に一致して延在する像平面を有する。第3のビーム路の主軸線、ひいては第3のレーザービームの主軸線は、特に第1のフォーカシング素子を通過した後、好適には第1のフォーカシング素子の光軸に対して非同軸に延在する。代替的に、第3のビーム路または別のビーム路が第3のフォーカシング素子を有することもでき、これにより、2つの第1のビーム路と同じ境界条件で位置的に分離された光軸を有することもできる。
【0025】
本発明の課題はさらに、真空チャンバを備えたEUVビーム生成装置であって、真空チャンバ内の目標領域へ、EUV放射を生成するために、ターゲット材料を導入することができ、当該EUVビーム生成装置が、本明細書において説明しているフォーカシング装置と、第1のレーザービームを生成する第1のビーム源と、第2のレーザービームを生成する第2のビーム源とを備えている、EUVビーム生成装置によって解決される。
【0026】
各レーザービームの主軸線は、好適には、各レーザービームがガイドされる各ビーム路の主軸線に相当する。
【0027】
レーザービームは、それぞれ異なる波長を有することができる。特に、第1のレーザービームは500nm~1200nmの波長を有することができ、第2のレーザービームは8μm~12μmの波長を有することができる。第1の光学素子は、特に前述した波長のケースでは、好適には石英ガラス、ホウケイ酸クラウンガラス、サファイアガラスから成るレンズの形態で、またはアルミニウムもしくは炭化ケイ素もしくは銅から成るミラーの形態で、形成されている。第2の光学素子は、特に前述した波長のケースでは、好適にはセレン化亜鉛もしくは(人工)ダイヤモンドから成るレンズの形態で、または銅から成るミラーの形態で、形成されている。ここに挙げた材料は、良好な加工性および良好な冷却性を有しつつ、特に良好な光学特性を有する。
【0028】
本発明の特に好ましい構成では、第1のレーザービームおよび/または第2のレーザービームはパルス化されている。これにより、とりわけ、ターゲット材料に導入されるエネルギ、ひいては放出されるEUV放射の出力を特に高くすることができる。
【0029】
EUVビーム生成装置は、第3のレーザービームを生成する第3のビーム源を含んでいてよく、ここで、第3のレーザービームの主軸線は、好適には、第3のビーム路の主軸線に相当する。
【0030】
第3のレーザービームをパルス化することもできる。パルス化された第3のレーザービームは、第1のレーザービームによるパルスと第2のレーザービームによるパルスとの間に中間パルスを生成するために、ターゲット材料上へ適用することができる。
【0031】
本発明の別の利点は、説明および図面から得られる。同様に、上記および下記の特徴は、本発明によれば、それぞれ個別にもまたは複数の任意の組み合わせにおいても使用可能である。図示および説明する実施形態は、限定的な列記として理解されるべきではなく、むしろ本発明の説明のための例としての性格を有している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】従来技術によるフォーカシング装置を概略的に示す図である。
図2】本発明によるフォーカシング装置の第1の実施形態を概略的に示す図である。
図3】本発明によるEUVビーム生成装置の一実施形態を概略的に示す図である。
【0033】
発明および図面の詳細な説明
図1には、従来技術によるフォーカシング装置10が示されている。これは、出願人に知られている先行技術ではあるが、必ずしも公開されているものではない。
【0034】
フォーカシング装置10は、ターゲット平面14内で飛行方向16へ移動するターゲット材料12を有している。ターゲット材料12は、第1のレーザービーム18および第2のレーザービーム20によって照射される。ターゲット材料12を照射することにより、EUV放射が発生し、このEUV放射が反射光学素子70によって反射される。反射光学素子70は、特にその第1の焦点および第2の焦点が位置している光軸72を有する。特に、ターゲット材料12は、EUV放射が第1の焦点において発生し、反射光学素子70によって第2の焦点へとフォーカシングされるように照射される。ターゲット材料は、好適には、反射光学素子70の光軸72に対して垂直に延在するターゲット平面14内を移動する。第1のレーザービーム18は第1のビーム路22においてガイドされ、第2のレーザービーム20は第2のビーム路24においてガイドされる。第1のビーム路22には第1のフォーカシング素子26が配置されている。第2のビーム路24には第2のフォーカシング素子28が配置されている。フォーカシング素子26,28は、それぞれフォーカシング光学素子の形態で形成されている。フォーカシング素子26,28は、それぞれ異なる焦点距離を有することができる。
【0035】
フォーカシング素子26,28は、レーザービーム18,20のビーム路22,24の主軸線に対して同軸に延在する光軸30,32を有している。レーザービーム18,20は、その波長および/または偏光のために重畳不能である。したがって、光軸30,32は、相互にかつ反射光学素子70の光軸72に対して4°超の角度で位置している。これにより、像平面34,36もターゲット平面14に対して4°超の角度で位置している。このことから、(飛行方向の平面で見たとき)ターゲット材料12上でレーザービーム18,20の像38の歪が生じる。ターゲット材料12を視線方向40で観察したとき、ターゲット材料12が球形ではなく変形していると、例えば円形の横断面を有するレーザービーム18,20が楕円形に結像される。この場合の変形は、特に照射によって生じたものである。このため、ターゲット材料12の効果的でない照射が行われる。
【0036】
図2には、本発明によるフォーカシング装置10の第1の実施形態が示されている。フォーカシング装置10の構造は、以下で論じる相違点を除いては図1の知られているフォーカシング装置10の構造に相応するので、繰り返しを避けるためにこうした構造については図1を参照されたい。
【0037】
図2から見て取れるように、光軸30,32は、反射光学素子70の光軸72に対して平行に位置している。代替的に、2つの光軸30,32のうちの一方のみが反射光学素子70の光軸72に対して平行に位置していてもよい。これにより、1つもしくは複数のレーザービーム18,20の像平面34,36が、ターゲット材料の飛行軌道を含む平面に対して平行にもしくはこの平面に一致して延在する。像38は歪を有さず、したがって効果的な照射を行うことができる。
【0038】
さらに、本実施例では、レーザービーム18,20がフォーカシング素子26,28を通過した後にガイドされるビーム路22,24の主軸線42,44が光軸30,32に対してオフセットされる。代替的に、ビーム路22,24の主軸線42,44のうちの一方のみが各光軸30,32に対してオフセットされた状態で延在してもよい。フォーカシング素子26,28は、図2に破線で示されているように、好適には、その各光軸30,32に対して回転対称であるが、主軸線42,44に対しては回転非対称に形成されている。代替的に、フォーカシング素子26,28のうちの一方のみが好適には各光軸30,32に対して回転対称に形成され、主軸線42,44に対して回転非対称に形成されていてもよい。
【0039】
フォーカシング素子26,28は、好適には、フォーカシング光学素子の形態で、特にそれぞれ集光レンズまたは集光ミラーとして形成されている。代替的に、フォーカシング素子26,28のうちの一方のみが、好適にはフォーカシング光学素子の形態で、特に集光レンズまたは集光ミラーの形態で形成されていてもよい。
【0040】
一方または双方のビーム路22,24内に、図2では概略的にのみ示されている偏向ミラー46,48を配置することができる。このような偏向ミラー46,48は、本発明によれば、光学像に影響を与えない。偏向ミラー46,48は、それぞれ少なくとも対として、すなわち、それぞれ少なくとも1つのダブルミラー装置(図示せず)の形態で設けることもできる。
【0041】
図2による実施例では、ターゲット材料12は、主軸線54を有する第3のビーム路52上をガイドされる第3のレーザービーム50によって照射される。第3のビーム路52は第1のビームフォーミング素子26を通過する。第3のビーム路52の主軸線54は、第1のビーム路22の主軸線42に対して2°超の角度、特に4°超の角度を有している。
【0042】
ターゲット材料12は、レーザービーム18,20,50により部分的に蒸発しうる。このため、ターゲット材料12の移動は、多くの場合にほぼターゲット平面14内でのみ実行可能である。ただし、ターゲット平面14からのターゲット材料12の飛行軌道の偏差は、図では概略的に誇張して示されている。
【0043】
図3には、EUVビーム生成装置55の一部としての本発明によるフォーカシング装置10の第2の実施形態が示されている。フォーカシング装置10の構造は、以下で論じる相違点を除いては図2のフォーカシング装置10の知られている構造に相応するので、繰り返しを避けるためにこうした構造については図2を参照されたい。
【0044】
図3に示されている第1のレーザービーム18および任意選択手段としての第3のレーザービーム50は、第1のフォーカシング素子26の光軸30に対して2°超の角度、特に4°超の角度で、ビームフォーミング素子26へ入射する。ここで、第1のビーム路22の主軸線42および任意選択手段としての第3のビーム路52の主軸線54は、第1のフォーカシング素子26において第1のフォーカシング素子26の光軸30と交差している。したがって、主軸線42,54は、第1のフォーカシング素子26においては、第1のフォーカシング素子26の光軸30に対してオフセットされていない。これにより、像38の僅かな歪(および遠方場におけるコマ収差)が生じる。しかし、当該実施形態においても、ビーム路22,52は、ターゲット材料の飛行軌道を含む平面内に、本発明による共通のもしくは平行な像平面を有する。
【0045】
図3では、第1のレーザービーム18を生成する第1のビーム源56と、第2のレーザービーム20を生成する第2のビーム源58と、第3のレーザービーム50を生成する任意選択手段としての第3のビーム源60とが概略的に示されている。
【0046】
図3ではさらに、ターゲット材料12が真空チャンバ64の目標領域62に導入されていることが見て取れる。真空チャンバ64は、第1のレーザービーム18または第1のビーム路22を入射させるための第1のアパーチャ66を有することができる。任意選択手段としての第3のレーザービーム50または第3のビーム路52も、第1のアパーチャ66を通して真空チャンバ64内へ入射させることができる。これに代えてまたはこれに加えて、真空チャンバ64は、第2のレーザービーム20または第2のビーム路24を入射させるための第2のアパーチャ68を有することもできる。
【0047】
図面の全ての図を一緒に参照してまとめると、本発明は、特にEUV放射を生成するためのフォーカシング装置10に関する。フォーカシング装置10は、ターゲット平面14上のターゲット材料12への照射を行うように構成されている。フォーカシング装置10は、少なくとも1つのビームフォーミング素子26,28を有しており、その光軸30,32は、ターゲット平面14に対して垂直に位置している。これにより、フォーカシング素子26,28のうちの1つを通過してガイドされるレーザービーム18,20によって、像平面がターゲット平面14に対して平行に配向される。このことは、ターゲット材料12の効率的な照射を可能にする。少なくとも1つのレーザービーム18,20の歪のない完全な結像は、当該レーザービーム18,20のビーム路の主軸線を、当該レーザービーム18,20がガイドされるフォーカシング素子26,28の光軸30,32に対してオフセットすることによって達成することができる。フォーカシング素子26,28のうちの一方によって、第3のレーザービーム50を、ターゲット材料12を中間照射するためにガイドすることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 フォーカシング装置
12 ターゲット材料
14 ターゲット平面
16 飛行方向
18 第1のレーザービーム
20 第2のレーザービーム
22 第1のビーム路
24 第2のビーム路
26 第1のフォーカシング素子
28 第2のフォーカシング素子
30 第1のフォーカシング素子26の光軸
32 第2のフォーカシング素子28の光軸
34 第1のフォーカシング素子26のフォーカシング平面
36 第2のフォーカシング素子28のフォーカシング平面
38 像
40 視線方向
42 第1のビーム路22の主軸線
44 第2のビーム路24の主軸線
46 偏向ミラー
48 偏向ミラー
50 第3のレーザービーム
52 第3のビーム路
54 第3のビーム路52の主軸線
55 EUVビーム生成装置
56 第1のビーム源
58 第2のビーム源
60 第3のビーム源
62 目標領域
64 真空チャンバ
66 真空チャンバ62の第1のアパーチャ
68 真空チャンバ62の第2のアパーチャ
70 反射光学素子
72 反射光学素子70の光軸
図1
図2
図3
【国際調査報告】