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  • 特表-電動スライドレール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】電動スライドレール
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/457 20170101AFI20240816BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A47B88/457
F25D23/02 301F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505306
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 CN2022098432
(87)【国際公開番号】W WO2023005460
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110874916.X
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523150093
【氏名又は名称】チョンチン ハイアール レフリジレーション エレクトリック アプライアンス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING HAIER REFRIGERATION ELECTRIC APPLIANCE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 1 Gangcheng South Road, Jiangbei District Chongqing 400026, CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】522029969
【氏名又は名称】チンダオ ハイアール レフリジレーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Haier Industry Park, Haier Road No. 1 Laoshan District Qingdao,Shandong 266101, China
(71)【出願人】
【識別番号】521161200
【氏名又は名称】ハイアール スマート ホーム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】フェイ ビン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ルールー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ ビンタン
【テーマコード(参考)】
3B160
3L102
【Fターム(参考)】
3B160AA11
3B160AB42
3B160CA22
3B160EA14
3B160EA32
3B160EA37
3B160EB32
3B160EB51
3L102JA01
3L102KA08
3L102KA10
3L102KB18
3L102KB21
(57)【要約】
本発明は、電動スライドレールに関する。電動スライドレールは、軌道システム、動力アセンブリ及び伝動システムを備える。軌道システムは、上から下に順に配置されたアッパレールとミドルレールとロアレールとを含み、動力アセンブリは、ロアレールに固定され、伝動システムは、ミドルレールに固定され、電動スライドレールは、動力アセンブリが動力を供給することにより、伝動システムが軌道システムを駆動するように構成される。当該電動スライドレールは、まったく新たな動力及びその伝動システムにより、スライドレールの全運動過程において人力の持続的な出力を必要とせず、異なるシーンでの使用ニーズを満足させることができ、インテリジェント化の度合いを高くし、ユーザの使用体験を効果的に向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動スライドレールであって、
軌道システムと、動力アセンブリと、伝動システムとを備え、
前記軌道システムは、上から下に順に配置されたアッパレールとミドルレールとロアレールとを含み、
前記動力アセンブリは、前記ロアレールに固定され、
前記伝動システムは、前記ミドルレールに固定され、
前記電動スライドレールは、前記動力アセンブリが動力を供給することにより、前記伝動システムが前記軌道システムを駆動するように構成されていることを特徴とする電動スライドレール。
【請求項2】
前記動力アセンブリは、モータと、パワーホイールとを含み、
前記動力アセンブリは、通電の後で前記モータが動作を開始して前記パワーホイールを回転させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動スライドレール。
【請求項3】
前記伝動システムは、伝動ラックであり、且つ前記伝動ラックと前記パワーホイールとが噛み合うことを特徴とする請求項2に記載の電動スライドレール。
【請求項4】
前記パワーホイールが回転すると同時に、伝動ラックが駆動され、それに応じて前記ミドルレールが移動することを特徴とする請求項3に記載の電動スライドレール。
【請求項5】
フロントタイミングプーリと、リアタイミングプーリと、タイミングベルトとを更に備え、
前記フロントタイミングプーリと前記リアタイミングプーリは、何れも前記ミドルレールに固定され、
前記タイミングベルトは、上固定具と下固定具を介して前記アッパレールと前記ロアレールにそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項4に記載の電動スライドレール。
【請求項6】
前記ミドルレールの移動と同時に、前記タイミングベルトの働きで、前記フロントタイミングプーリと前記リアタイミングプーリが回転し、これに伴って前記アッパレールも変位することを特徴とする請求項5に記載の電動スライドレール。
【請求項7】
2つの前記電動スライドレールの前には、同期軸が備えられており、前記同期軸の両端は、各前記電動スライドレールの前記リアタイミングプーリの中心にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項6に記載の電動スライドレール。
【請求項8】
一方の前記電動スライドレールの前記リアタイミングプーリは、前記同期軸を回転させ、前記同期軸の働きで、他方の前記電動スライドレールを駆動して同期変位運動を行わせることを特徴とする請求項7に記載の電動スライドレール。
【請求項9】
前記動力アセンブリは、前記モータの動作を支援するように構成される支援装置を更に含み、
前記支援装置は、クラッチ及び減速機を含むことを特徴とする請求項2に記載の電動スライドレール。
【請求項10】
前記アッパレールの変位量と変位線速度は、それぞれ前記ミドルレールの変位量と変位線速度の2倍であることを特徴とする請求項1に記載の電動スライドレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレールの技術分野に関し、特に電動スライドレールに関する。
【背景技術】
【0002】
スライドレールは、大きな荷重を受けることができるとともに、小さい力だけで線形レールに沿って往復運動することができる。上記特性を利用して、ますます多くの冷蔵庫製品は、小型の庫内格納部品(引き出し、物置棚など)から大型の冷蔵庫の扉体までスライドレール部品を搭載している。
【0003】
従来の同期スライドレールが閉鎖状態から開かれるまでの具体的な過程は、一般的に以下の通りである。アッパレールは、力を受けて前部方向に沿って移動する。アッパレールのベルトの固定作用で、アッパレールは、移動すると同時に、ベルトがアッパレールと同じ方向へ移動するように駆動される。ベルトは、前後のタイミングプーリを対応するように回転させる。回転方向は、反時計回りである。それとともに、ロアレールのベルトが固定され、且つロアレールが取付固定レールであるため、ミドルレールも対応してアッパレールと同じ方向に沿って移動し、このときの速度がアッパレールの2分の1である。リアタイミングプーリに取り付けられた同期軸は、他方側のスライドレールを動かして同期運動させる。スライドレールが開放状態から閉鎖されるまでの動作原理は、上記動作原理と同じであるが、方向が逆である。従来の同期スライドレールに動力及びその伝動システムが不足しているため、全過程において、人力による引張力/推力を提供し続ける必要がある。そうしないと、ガイドレールは、完全な開放又は完全な閉鎖まで変位運動することができない。
【0004】
人力による引張力/推力を提供し続けないと、ガイドレールが完全な開放又は完全な閉鎖まで変位運動することができないため、幾つかのシーンにおいて、ユーザにとって多くの不便がある。例えば、ユーザが両手で物をいっぱい持っているのに冷蔵庫を開ける必要がある場合に、年配のユーザは、腰をかがめて冷蔵庫の物品を出し入れするとき、引き出し操作を行い続けることが困難であり、スライドレールを完全に開放したり閉鎖したりすることができないため、ユーザの使用体験が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、スライドレールの自動開放と閉鎖を実現してユーザの使用体験を向上させることにある。
【0006】
本発明の1つの更なる目的は、スライドレールの運動中のガタガタ感を低減して滑らかさを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特に、本発明は、電動スライドレールを提供する。当該電動スライドレールは、軌道システムと、動力アセンブリと、伝動システムとを備える。軌道システムは、上から下に順に配置されたアッパレールとミドルレールとロアレールとを含み、動力アセンブリは、ロアレールに固定され、伝動システムは、ミドルレールに固定され、電動スライドレールは、動力アセンブリが動力を供給することにより、伝動システムが軌道システムを駆動するように構成される。
【0008】
好ましくは、動力アセンブリは、モータと、パワーホイールとを含み、動力アセンブリは、通電の後でモータが動作を開始してパワーホイールを回転させるように構成される。
【0009】
好ましくは、伝動システムは、伝動ラックであり、且つ伝動ラックとパワーホイールとは、噛み合う。
【0010】
好ましくは、パワーホイールが回転すると同時に、伝動ラックが駆動され、それに応じてミドルレールが移動する。
【0011】
好ましくは、電動スライドレールは、フロントタイミングプーリと、リアタイミングプーリと、タイミングベルトとを更に備え、フロントタイミングプーリとリアタイミングプーリは、何れもミドルレールに固定され、タイミングベルトは、上固定具と下固定具を介してアッパレールとロアレールにそれぞれ固定されている。
【0012】
好ましくは、ミドルレールの移動と同時に、タイミングベルトの働きで、フロントタイミングプーリとリアタイミングプーリが回転し、これに伴ってアッパレールも変位する。
【0013】
好ましくは、2つの電動スライドレールの前には、同期軸が備えられており、同期軸の両端は、各電動スライドレールのリアタイミングプーリの中心にそれぞれ固定されている。
【0014】
好ましくは、一方の電動スライドレールのリアタイミングプーリは、同期軸を回転させ、同期軸の働きで、他方の電動スライドレールを駆動して同期変位運動を行わせる。
【0015】
好ましくは、動力アセンブリは、モータの動作を支援するように構成される支援装置を更に含み、支援装置は、クラッチ及び減速機を含む。
【0016】
好ましくは、アッパレールの変位量と変位線速度は、それぞれミドルレールの変位量と変位線速度の2倍である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電動スライドレールは、軌道システム、動力アセンブリ及び伝動システムを備え、軌道システムは、上から下に順に配置されたアッパレールとミドルレールとロアレールとを含み、動力アセンブリは、ロアレールに固定され、伝動システムは、ミドルレールに固定され、電動スライドレールは、動力アセンブリが動力を供給することにより、伝動システムが軌道システムを駆動するように構成される。まったく新たな動力及びその伝動システムにより、スライドレールの全運動過程において人力の持続的な出力を必要とせず、異なるシーンでの使用ニーズを満足させることができ、インテリジェント化の度合いを高くし、ユーザの使用体験を効果的に向上させる。
【0018】
更に、本発明の電動スライドレールは、フロントタイミングプーリ、リアタイミングプーリ及びタイミングベルトを更に備え、フロントタイミングプーリとリアタイミングプーリは、何れもミドルレールに固定され、タイミングベルトは、上固定具と下固定具を介してアッパレールとロアレールにそれぞれ固定され、ミドルレールの移動と同時に、タイミングベルトの働きで、フロントタイミングプーリとリアタイミングプーリが回転し、これに伴ってアッパレールも変位する。スライドレールの運動中に、アッパレールとロアレールとは、同時に変位して行止め箇所に到達し、衝撃のガタガタ感がない。
【0019】
また更に、本実施例の電動スライドレールは、伝動ラックがミドルレールの上に位置するように設けられ、アッパレールの変位量がミドルレールの変位量の2倍であるため、当該位置により、最小の伝動ラックの長さで、全軌道システムの最大の変位量を実現することができる。
【0020】
以下に図面を参照した本発明の具体的な実施例の詳細な記述に基づいて、当業者は、本発明の上記及びその目的、メリット及び特徴をより明瞭に理解できる。
【0021】
以下では、本発明の幾つかの具体的な実施例について、図面を参照して、制限的ではなく、例示的で詳細に説明する。図面における同じ符号は、同じ又は類似する部品又は部分を示す。当業者であれば理解できるように、これらの図面が必ずしも縮尺通りに描かれるとは、限らない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例に係る電動スライドレールの正面図である。
図2】本発明の一実施例に係る電動スライドレールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施例は、電動スライドレールを提供する。まったく新たな動力及びその伝動システムにより、スライドレールの全運動過程において人力の持続的な出力を必要とせず、異なるシーンでの使用ニーズを満足させることができる。図1は、本発明の一実施例に係る電動スライドレール100の正面図であり、図2は、本発明の一実施例に係る電動スライドレール100の平面図である。図1図2に示すように、本実施例の電動スライドレール100は、一般的に、軌道システム110、動力アセンブリ120及び伝動システムを備えてもよい。
【0024】
軌道システム110は、上から下に順に配置されたアッパレール111とミドルレール112とロアレール113とを含み、動力アセンブリ120は、ロアレール113に固定され、伝動システムは、ミドルレール112に固定され、電動スライドレール100は、動力アセンブリ120が動力を供給することにより、伝動システムが軌道システム110を駆動するように構成される。
【0025】
1種の具体的な実施例において、動力アセンブリ120は、モータ121及びパワーホイール122を含んでもよい。動力アセンブリ120は、通電の後でモータ121が動作を開始してパワーホイール122を回転させるように構成される。1種の好適な実施例において、動力アセンブリ120は、モータ121の動作を支援するように構成される支援装置を更に含んでもよく、且つ支援装置は、クラッチ及び減速機を含む。
【0026】
本実施例の電動スライドレール100は、軌道システム110、動力アセンブリ120及び伝動システムを備えている。軌道システム110は、上から下に順に配置されたアッパレール111とミドルレール112とロアレール113とを含み、動力アセンブリ120は、ロアレール113に固定され、伝動システムは、ミドルレール112に固定されている。
【0027】
電動スライドレール100は、動力アセンブリ120が動力を供給することにより、伝動システムが軌道システム110を駆動するように構成されている。1種のまったく新たな動力及びその伝動システムにより、スライドレールの全運動過程において人力の持続的な出力を必要とせず、異なるシーンでの使用ニーズを満足させることができる。
【0028】
1種の好適な実施例において、伝動システムは、伝動ラック130であり、且つ伝動ラック130とパワーホイール122とは、噛み合っている。伝動ラック130がミドルレール112の上に位置するように配置され、アッパレール111の変位量と変位線速度がミドルレール112の変位量と変位線速度の2倍であるため、当該位置により、最小の伝動ラック130の長さで、軌道システム110全体の最大の変位量を実現することができる。伝動ラック130の長さをできるだけ短くすることにより、コスト及び占用空間を有効的に節約することができる。
【0029】
説明すべきことは、パワーホイール122が回転すると同時に、伝動ラック130が駆動され、それに応じてミドルレール112が移動する。1種の好適な実施例において、電動スライドレール100は、フロントタイミングプーリ141、リアタイミングプーリ142及びタイミングベルト143を更に備えてもよい。フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142は、何れもミドルレール112に固定され、タイミングベルト143は、上固定具144と下固定具(図において遮蔽されたため、示されていない)を介してアッパレール111とロアレール113にそれぞれ固定されている。
【0030】
ミドルレール112の移動と同時に、タイミングベルト143の働きで、フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142が回転し、これに伴ってアッパレール111も変位する。1種の具体的な実施例において、本実施例の電動スライドレール100は、引き出し等の物品に応用されてもよく、引き出しの底部の両側には、2つの電動スライドレール100が取り付けられている。
【0031】
1種の好適な実施例において、2つの電動スライドレール100の前には、同期軸が備えられており、同期軸の両端は、各電動スライドレール100のリアタイミングプーリ142の中心にそれぞれ固定されている。一方の電動スライドレール100のリアタイミングプーリ142は、同期軸を回転させ、同期軸の働きで、他方の電動スライドレール100を駆動して同期変位運動を行わせる。
【0032】
つまり、本実施例の電動スライドレール100が同期システムを有するため、一方側の電動スライドレール100に動力アセンブリ120及びその伝動システムを取り付けるだけで、スライドレールの電動開放及び閉鎖を実現することができる。また、同期システムの働きで、電動スライドレール100の運動中に、アッパレール111とロアレール113とは、同時に変位して行止め箇所に到達し、衝撃のガタガタ感がない。
【0033】
一方側の電動スライドレール100に動力アセンブリ120及びその伝動システムを取り付けるだけで、生産コストを効果的に低減し、組付け効率を向上させ、スライドレールの電動スライドレール100の全体占用空間を減少することができる。冷蔵庫の密閉引き出しに応用される場合に、収納容器を占用することを回避することができる。
【0034】
本実施例の電動スライドレール100は、軌道システム110、動力アセンブリ120及び伝動システムを備え、軌道システム110は、上から下に順に配置されたアッパレール111とミドルレール112とロアレール113とを含み、動力アセンブリ120は、ロアレール113に固定され、伝動システムは、ミドルレール112に固定され、電動スライドレール100は、動力アセンブリ120が動力を供給することにより、伝動システムが軌道システム110を駆動するように構成される。1種のまったく新たな動力及びその伝動システムにより、スライドレールの全運動過程において人力の持続的な出力を必要とせず、異なるシーンでの使用ニーズを満足させることができる。
【0035】
更に、本実施例の電動スライドレール100は、フロントタイミングプーリ141、リアタイミングプーリ142及びタイミングベルト143を更に備え、フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142は、何れもミドルレール112に固定され、タイミングベルト143は、上固定具144と下固定具を介してアッパレール111とロアレール113にそれぞれ固定され、ミドルレール112の移動と同時に、タイミングベルト143の働きで、フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142が回転し、これに伴ってアッパレール111も変位する。スライドレールの運動中に、アッパレール111とロアレール113とは、同時に変位して行止め箇所に到達し、衝撃のガタガタ感がない。
【0036】
また更に、本実施例の電動スライドレール100は、伝動ラック130がミドルレール112の上に位置するように配置され、アッパレール111の変位量がミドルレール112の変位量の2倍であるため、当該位置により、最小の伝動ラック130の長さで、全軌道システム110の最大の変位量を実現することができる。
【0037】
説明すべきことは、他の幾つかの実施例において、一部の構造、デバイス、方法ステップの代替があってもよく、完全な技術案の代替があってもよい。例えば、本実施例における動力アセンブリ120は、ロアレール113に固定され、その目的が部品の集積のためであり、後続の取付を容易にすることである。他の幾つかの実施例において、動力アセンブリ120は、ロアレール113近傍の固定面にも取り付けられてもよい。これにより、パワーホイール122と伝動ラック130との間の伝動歯車を増加可能である。伝動歯車は、1つ又は複数あってもよく、パワーホイール122の直径を小さくし、パワーホイール122から出力される動力を向上させる。
【0038】
また、本実施例における伝動ラック130は、ミドルレール112上に固定され、他の幾つかの実施例において、伝動ラック130は、アッパレール111上に固定されてもよい。本実施例における伝動ラック130とタイミングベルト143とは、同一側に位置する。他の幾つかの実施例において、伝動ラック130の位置は、タイミングベルト143の他方側に設置されてもよい。
【0039】
強調すべきことは、従来の同期スライドレールが閉鎖状態から開かれるまでの具体的な過程は、一般的に以下の通りである。アッパレールは、力を受けて前部方向に沿って移動する。アッパレールのベルトの固定作用で、アッパレールは、移動すると同時に、ベルトがアッパレールと同じ方向へ移動する。ベルトは、前後のタイミングプーリを対応するように回転させる。回転方向は、反時計回りである。それとともに、ロアレールのベルトが固定され、且つロアレールが取付固定レールであるため、ミドルレールも対応してアッパレールと同じ方向に沿って移動する。その速度はアッパレールの2分の1である。リアタイミングプーリには、同期軸が取り付けられている。同期軸は、他方側のスライドレールを動かして同期運動させる。スライドレールが開放状態から閉鎖されるまでの動作原理は、上記動作原理と同じであるが、方向が逆である。従来の同期スライドレールに動力及びその伝動システムが不足しているため、全過程において、人力による引張力/推力を提供し続ける必要がある。そうしないと、ガイドレールは、完全な開放又は完全な閉鎖まで運動することができない。
【0040】
本実施例の電動スライドレール100では、まったく新たな動力及びその伝動システムを設計することにより、スライドレールの運動へ持続的な動力出力を提供可能であるため、従来のスライドレールの運動過程において人力による引張力/推力を提供し続ける問題を解決し、異なる制御開閉モード、例えばボタン、音声、タッチ、タップ又は人為的に短期的な押し張り力を加えるなどに合わせて、異なるシーンでのニーズを満足させることができる。
【0041】
とにかく、本実施例の電動スライドレール100の全動作過程は、下記の通りであってもよい。モータ121が通電されて動作を開始し、パワーホイール122を回転させる。パワーホイール122が回転すると同時に、伝動ラック130が駆動され、それに応じてミドルレール112が移動する。ミドルレール112の移動と同時に、タイミングベルト143の働きで、フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142が回転し、これに伴ってアッパレール111も変位する。1つの電動スライドレール100のリアタイミングプーリ142は、同期軸を回転させ、同期軸の働きで、もう1つの電動スライドレール100を駆動して同期変位運動を行わせる。
【0042】
上述した通り、本実施例の電動スライドレール100は、引き出し等の物品に適用可能であり、引き出しの底部両側には、2つの電動スライドレール100が設けられている。引き出しは、更に冷蔵庫に適用可能である。冷蔵庫は、一般的に箱体、扉体及び密閉引き出しを備えてもよい。
【0043】
箱体の内部には、収納スペース及び冷却室が規定されている。収納スペースには、複数の収納領域が設けられている。収納スペースの数及び構造は、需要に応じて配置されてもよい。収納スペースは、用途の相違に応じて、冷蔵スペース、冷凍スペース、変温スペース又は鮮度保持スペースとして配置されてもよい。各収納スペースは、仕切り板によって複数の収納領域に仕切られ、物置棚又は引き出しを用いて物品を格納する。冷蔵庫内の少なくとも1つの収納スペース内には、密閉引き出しが設けられ、密閉引き出しの底部両側は、スライドレール補強鉄を介して電動スライドレール100が固設されている。また、動力アセンブリ120及び伝動システムは、一方側の電動スライドレール100のみに取り付けられる必要があり、他方側に取り付けられなくても、同期変位運動を実現することができる。
【0044】
扉体は、収納スペースを操作可能に開閉するように、箱体の前面に設けられている。扉体は、収納スペースに対応して設けられ、即ち、収納スペースごとに、1つ又は複数の扉体が対応して設けられている。収納スペース及び扉体の数、収納スペースの機能は、具体的な状況に応じて実際に選択されてもよい。扉体は、箱体の前面に枢動可能に設けられてもよく、引き出し式で開かれてもよい。引き出し式の収納スペースには、本実施例の電動スライドレール100が設けられてもよい。このように、引き出しの開閉中に効果が柔らかくなることを保証可能であり、ノイズも減少可能である。
【0045】
蒸発器は、冷却室に設けられ、且つ、収納スペースへ冷却量を供給するように構成される。蒸発器から各タイプの収納スペースへ供給された冷却量が異なるため、各タイプの収納スペース内の温度も異なる。例えば、冷蔵スペース内の温度は、一般的に2℃~10℃であり、4℃~7℃であることが好ましい。冷凍スペース内の温度範囲は、一般的に―22℃~―14℃である。異なる種類の物品の最適な保管温度は、異なり、更に、保管に適する収納スペースも異なる。例えば、果物や野菜類の食品は、冷蔵スペース又は鮮度保持スペースへの保管に適するが、肉類の食品は、冷凍スペースへの保管に適する。
【0046】
密閉引き出しは、引き出し筒体及び引き出し本体を含んでもよい。引き出し筒体は、前方開口を有し、且つ箱体の内箱に固定されている。引き出し本体は、引き出し筒体内に摺動可能に取り付けられることにより、引き出し筒体の前方開口に対して、操作可能に外方へ引き出したり内方へ挿入されたりする。説明すべきことは、内箱と引き出し筒体は、一体成形されてもよく、単独で成形されてから取り付けられてもよい。箱体は、ケース及び保温層を更に含んでもよい。ケースは、内箱の外部に設けられている。保温層は、ケースと内箱との間に設けられることにより、冷蔵庫外部の熱を遮断する。
【0047】
以下では、1つの具体的な実施例を紹介する。冷蔵庫の密閉引き出しに本実施例の電動スライドレール100が取り付けられている場合に、密閉引き出しを開ける指令をユーザから取得し、当該指令に基づいて、モータ121が通電されて動作を開始してパワーホイール122を回転させるように制御可能である。パワーホイール122が回転すると同時に、伝動ラック130が駆動され、それに応じてミドルレール112が移動する。ミドルレール112の移動と同時に、タイミングベルト143の働きで、フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142が回転し、これに伴ってアッパレール111も変位。1つの電動スライドレール100のリアタイミングプーリ142は、同期軸を回転させ、同期軸の働きで、もう1つの電動スライドレール100を駆動して同期変位運動を行わせる。つまり、本実施例の電動スライドレール100を適用することにより、冷蔵庫等の家電機器の全インテリジェント化の度合いを向上可能であり、スマート家電のアップグレードの実現に寄与し、ユーザの使用体験を非常に大きく向上させる。
【0048】
本実施例の電動スライドレール100は、軌道システム110と、動力アセンブリ120と、伝動システムとを備え、軌道システム110は、上から下に順に配置された、アッパレール111とミドルレール112とロアレール113とを含み、動力アセンブリ120は、ロアレール113に固定され、伝動システムは、ミドルレール112に固定され、電動スライドレール100は、動力アセンブリ120が動力を供給することにより、伝動システムが軌道システム110を駆動するように構成される。1種のまったく新たな動力及びその伝動システムにより、スライドレールの全運動過程において人力の持続的な出力を必要とせず、異なるシーンでの使用ニーズを満足させることができる。
【0049】
更に、本実施例の電動スライドレール100は、フロントタイミングプーリ141、リアタイミングプーリ142及びタイミングベルト143を更に備え、フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142は、何れもミドルレール112に固定され、タイミングベルト143は、上固定具144と下固定具を介してアッパレール111とロアレール113にそれぞれ固定され、ミドルレール112の移動と同時に、タイミングベルト143の働きで、フロントタイミングプーリ141とリアタイミングプーリ142が回転し、これに伴ってアッパレール111も変位する。スライドレールの運動中に、アッパレール111とロアレール113とは、同時に変位して行止め箇所に到達し、衝撃のガタガタ感がない。
【0050】
また更に、本実施例の電動スライドレール100は、伝動ラック130がミドルレール112の上に位置するように設けられ、アッパレール111の変位量がミドルレール112の変位量の2倍であるため、当該位置により、最小の伝動ラック130の長さで、全軌道システム110の最大の変位量を実現することができる。
【0051】
本実施例の記述において、理解すべきことは、用語「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」などで示される方位又は位置関係が、図面に基く方位又は位置関係であり、単に本発明の説明を容易にして記述を簡素化するためのものであり、必ずしもかかる装置や素子が特定の方位を有して特定の方位で構成されたり操作されたりすることを示すかヒントするのではないため、本発明に対する制限として理解され得ない。
【0052】
明確な規定と限定が別途ない限り、用語「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」、「結合」などの用語は、広義に理解されるべきである。例えば、別途明確に限定されない限り、それらは、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体になってもよい。また、それらは、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよい。また、それらは、直接的に接続されてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されてもよいし、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、本発明における上記用語の具体的な意味を具体的な状況に応じて理解できるはずである。
【0053】
本実施例の記述において、参照用語「一実施例」、「幾つかの実施例」、「模式的な実施例」、「例示」、「具体的な例示」又は「幾つかの例示」などの記述は、当該実施例又は例示を参照して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例示を指すものではない。更に、記述された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、何れか1つ又は複数の実施例又は例示において適切な方式で組み合わせられてもよい。
【0054】
これまでに、当業者であれば認識できるように、本明細書に本発明の複数の例示的な実施例が詳細に示して記述されたが、本発明の要旨及び範囲から逸脱しない場合に、依然として本発明に開示された内容に基づいて本発明の原理に合致する他の多くの変形又は変更を直接特定したり導き出したりすることができる。したがって、本発明の範囲は、これらの他の変形又は変更を全部カバーすると理解し認定されるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】