IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーコ・インスツルメンツ・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-530620熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ
<>
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図1
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図2
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図3
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図4A
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図4B
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図5
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図6
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図7A
  • 特表-熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ 図7B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】熱的間隙を制御するペデスタル及びカバー拘束具構成を有するウェハキャリヤアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240816BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240816BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 N
C23C16/458
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505328
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022041914
(87)【国際公開番号】W WO2023034226
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/462,990
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507414535
【氏名又は名称】ビーコ・インスツルメンツ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】ミトロヴィク,ボージャン
(72)【発明者】
【氏名】アーマー,エリック,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラシュコブスキー,ユリー
(72)【発明者】
【氏名】マクスウェル,ロバート,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ドーレン,マシュー,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030BB02
4K030CA04
4K030CA12
4K030FA10
4K030GA05
4K030JA03
4K030KA45
5F045AA04
5F045AB19
5F045AC07
5F045AD01
5F045AE01
5F045AF02
5F045AF03
5F045AF04
5F045AF08
5F045AF09
5F045BB02
5F045DP15
5F045DP27
5F045DQ10
5F045EK07
5F045EM03
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA03
5F131CA07
5F131EA04
5F131EA24
5F131EB67
(57)【要約】
本明細書に記載されるウェハキャリヤアセンブリは、高度に制御された堆積位置及び厚さを維持するように、その上面全体の熱制御を改善する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学気相堆積(CVD)によって1つ以上のウェハ上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムにおいて使用するためのウェハキャリヤアセンブリであって、前記ウェハキャリヤアセンブリは、
略平坦な底面及び前記底面に略平行である上面を含むベースであって、前記上面は、前記上面の上方に延びる複数のペデスタル及び複数のプラットフォームをさらに含む、前記ベースと、
複数のポケットを画定するサーマルカバーであって、前記サーマルカバーは、少なくとも1つの固定具によって前記ベースに結合されるように構成されており、前記複数のポケットは、前記サーマルカバーが前記ベースの前記複数のペデスタルによって支持されるときに、前記複数のポケットの各ポケットが前記複数のプラットフォームのうちの対応するプラットフォームと位置合わせされるように配置されており、前記サーマルカバーは、該当するポケットに対するウェハが載置される前記複数のポケットの各々に近接して低減した厚さを有する縁部分をさらに画定する、前記サーマルカバーとを備え、
前記ウェハキャリヤの前記ペデスタル及び前記プラットフォームならびに前記サーマルカバーの前記縁部分は、前記ウェハキャリヤアセンブリの前記上面に沿って所望の熱プロファイルを維持する一組の熱制御間隙が画定されるようにサイズ決めされている、前記ウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項2】
前記複数のポケットのうちのあるポケット内に位置決めされるウェハが、前記ポケットの前記対応するプラットフォームの上方に、前記上面に対して相対的な前記ペデスタルの高さよりも小さい距離で配置される、請求項1に記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項3】
前記サーマルカバーの前記縁部分は、矩形のカットアウト部分を有するように成形されている、請求項1に記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項4】
前記ペデスタルは、前記サーマルカバーと基板との間の唯一の物理的接続部である、請求項1に記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項5】
前記サーマルカバーは、前記ベースから離れる向きに延びる半径方向外縁部分を含む、請求項1に記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項6】
前記ベースは、前記上面から延びる半径方向外縁部分を含む、請求項1に記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項7】
前記ベースと前記サーマルカバーとを結合するように構成された複数のピンをさらに備える、請求項1に記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項8】
前記複数のピンは、前記ウェハキャリヤアセンブリの前記上面に対して相対的なある角度で挿入されている、請求項7に記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【請求項9】
前記所望の熱プロファイルが均一である、請求項1~8のいずれかに記載のウェハキャリヤアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広く、半導体製作技術に関する。より具体的には、本開示は、化学気相堆積(CVD)プロセス中の熱均一性の管理を改善するために熱的間隙を制御するレッジ構成を有するペデスタル及びカバー拘束具を備えたCVD反応器用のウェハキャリヤアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製作するための特定のプロセスは、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、光検出器、パワーエレクトロニクス、及び電界効果トランジスタなどの高性能デバイスの製作に使用するための多層半導体構造を生成するために、エピタキシャル層を成長させるための複雑なプロセスを必要とし得る。このプロセスでは、化学気相堆積(CVD)と呼ばれる一般的なプロセスを通じてエピタキシャル層を成長させる。CVDプロセスの一種は、有機金属化学気相堆積(MOCVD)と呼ばれる。MOCVDでは、反応ガスが、基板(一般的にウェハと呼ばれる)上に反応器ガスを堆積させて薄いエピタキシャル層を成長させることを可能にする制御された環境内で密封された反応器チャンバに導入される。このような製造設備の現行の製品ラインの例としては、MOCVDシステムのTurboDisc(登録商標)、MaxBright(登録商標)、及びEPIK(登録商標)ファミリー、ならびにPROPEL(登録商標)Power GaN MOCVDシステム(全てPlainview,N.Y.のVeeco Instruments Inc.製)が挙げられる。
【0003】
エピタキシャル層の成長の間、エピタキシャル層における所望の質を達成するために、温度、圧力、及びガス流量などの多くのプロセスパラメータが制御される。異なる材料及びプロセスパラメータを使用することで、異なる層が成長する。例えば、III-V半導体のような化合物半導体から形成されるデバイスは、典型的には、一連の別個の層を成長させることによって形成される。このプロセスでは、ガリウム、インジウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせのようなIII族金属を含むアルキル源と、NH3、AsH3、PH3、またはテトラメチルアンチモンなどのSb有機金属のようなV族元素を含む水素化物源とを使用して形成された金属有機化合物を典型的に含む反応ガスの組み合わせにウェハを曝露する。概して、アルキル源及び水素化物源は、反応に大きく関与しないN2及び/またはH2などのキャリヤガスと組み合わされる。これらのプロセスにおいて、アルキル源及び水素化物源は、ウェハの表面上を流れ、互いと反応して、一般式InGaAlAsSbのIII-V化合物を形成する(式中、x+y+zはおよそ1に等しく、A+B+C+Dはおよそ1に等しく、x、y、z、A、B、C、及びDの各々は、0~1であり得る)。一般的に「ハロゲン化物」プロセスまたは「塩化物」プロセスと呼ばれる他のプロセスでは、III族金属源は、金属(複数可)の揮発性ハロゲン化物であり、最も一般的にはGaCl2などの塩化物である。さらに他のプロセスでは、他のIII族金属の一部または全部の代わりにビスマスが使用される。
【0004】
反応に適した基板は、金属特性、半導体特性、及び/または絶縁特性を有するウェハの形態であり得る。いくつかのプロセスでは、ウェハは、サファイア、酸化アルミニウム、ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化ガリウム(GaP)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化ケイ素(SiO2)等から形成され得る。
【0005】
CVDプロセスチャンバでは、一般的にウェハキャリヤと呼ばれるトレイ内に、各ウェハの上面が露出するように1つ以上のウェハが位置決めされ、それにより、半導体材料を堆積させるために、反応器チャンバ内の雰囲気にウェハの上面が均一に曝露される。ウェハキャリヤは、一般的に、約50~1500RPMほどまたはそれよりも高い回動速度で回動される。ウェハキャリヤが回動している間、ウェハキャリヤの上流に位置決めされたガス分配デバイスから、反応ガスがチャンバに導入される。流れるガスは、ウェハキャリヤ及びウェハに向かって下流に、望ましくは層流として通過する。そのようなCVDプロセスチャンバの一例は、米国特許第10,570,510号に開示されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ウェハキャリヤには、典型的にはグラファイトまたは炭化ケイ素などの単一のバルク材料から形成される、一般的にサセプタまたはプラテンまたはベースと呼ばれる半導体ウェハ用のポケットを有するキャリヤ要素が含まれる。様々な実施形態において、ウェハキャリヤには、ポケットを画定し、ポケット内にウェハを保持するのに役立つ、サセプタまたはプラテンまたはベースの上方に位置決めされたカバー拘束具が含まれ得る。例えば、米国特許第8,888,919号に示されているように、様々な構成及び形状のサセプタ/プラテン/ベース及びカバー拘束具が、処理を改善するために開発されている。
【0006】
CVDプロセス中、ウェハキャリヤは、ウェハキャリヤの下に位置決めされることが多い加熱要素によって所望の高温に維持される。したがって、熱が加熱要素からウェハキャリヤの底面に伝達され、ウェハキャリヤを通って1つ以上のウェハへと上向きに流れる。プロセスに応じて、ウェハキャリヤの温度は、700~1200℃ほどに維持される。しかしながら、反応性ガスは、ガスの時期尚早な反応を阻止するために、大幅に低い温度、典型的には200℃以下で、ガス分配デバイスによってチャンバに導入される。
【0007】
そのような環境では、通常、エピタキシャル成長させる材料(複数可)のために均一性の高い堆積速度を維持することが望ましい。ウェハまたはウェハ内の構成層の厚さがより均一になれば、廃棄物または使用不能な生成物が少なくなる。サーマルカバーを組み込んだ従来の化学気相堆積システムでは、熱がサセプタ/プラテン/ベースからウェハ基板に直接伝達され、カバーへの熱伝達は低減する。典型的なシステムでは、ウェハと基板自体との間に約30℃の温度差があり、ウェハ内の温度は約3~4℃の範囲で変動し得るが、こうした小さな変動でさえ、ウェハの均一性に影響を与え、堆積時間を増加させる可能性がある。廃棄物の削減は、所望の量のウェハ材料を生成するための反応器動作時間の量の削減と共に生じ、これは、大きな経済的利益をもたらし得る。さらに、廃棄物の削減は、材料費、及び廃棄物を適切にリサイクルまたは処分する必要性の低下をもたらす。
【0008】
経時的な蓄積は、ウェハの表面を横断する流路の変化を引き起こすだけでなく、最終的に、堆積された材料が、ベース上に堆積されているサンプルを押しのけて攪乱し得るほど十分な厚さまで蓄積する可能性があるため、堆積の均一性を高めることに加えて、基板以外の場所における堆積を回避することが一般的に有益である。典型的には、堆積のために設計されていないCVD反応器内の表面は、特定量の稼働時間後に清掃され、清掃から清掃までの間隔が長ければ長いほど、システム停止時間を回避するのに好ましい。
【0009】
ウェハキャリヤに改良を加えて、堆積速度の均一性を高め、熱の偏りの低減によって堆積層の均一性を改善すると共に、過剰な堆積物の蓄積を低減させることが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
第1の実施形態によれば、化学気相堆積(CVD)によって1つ以上のウェハ上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムにおいて使用するためのウェハキャリヤアセンブリが記載される。ウェハキャリヤアセンブリは、中心軸に垂直に位置する略平坦な底面と、底面に略平行である上面とを含む、ベースを含む。諸実施形態では、ベースは、上面から延びる複数のペデスタル及び複数のプラットフォームを含む。サーマルカバーは複数のポケットを画定し、各ポケットがウェハ基板を収容することができ、複数のポケットは、サーマルカバーがベースに結合されたとき、複数のポケットの各ポケットが、複数のプラットフォームのうちのあるプラットフォームに隣接するように配置される。諸実施形態では、サーマルカバーは、複数のポケットの各々における少なくとも1つのレッジをさらに画定する。諸実施形態では、サーマルカバーは、ベースに結合され、一組のカバー拘束具によって、熱的に誘導される運動から拘束される。ベースのペデスタル及びプラットフォームならびにサーマルカバーのレッジは、ウェハ基板が、CVDプロセスの間の熱均一性の管理を改善する一組の熱的間隙を画定するように配置されるように、構成及びサイズ決めされる。
【0011】
いくつかの実施形態では、サーマルカバーは、ペデスタルよりもレッジにおいて相対的に大きい、ベースからのオフセットを有するように構成される。ペデスタルは、サーマルカバーと基板との間の唯一の物理的接続部であり得る。ウェハキャリヤアセンブリは、レッジ上に配置された基板を含み得る。サーマルカバーは、ベースから離れる向きに延びる半径方向外縁部分を含むことができる。ベースは、上面から延びる半径方向外縁部分を含むことができる。ウェハキャリヤアセンブリは、ベースとサーマルカバーとを結合するように構成された複数のピンを含むことができる。
【0012】
上記の概要は、本明細書の主題について例示される各実施形態または全ての実施態様を説明することを意図したものではない。以下に続く図面及び詳細な説明は、様々な実施形態をより具体的に例示する。
【0013】
本明細書の主題は、様々な実施形態の以下の詳細な説明を添付図面と関連付けて考慮することで、より十分に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るウェハキャリヤアセンブリの斜視図である。
図2図1のウェハキャリヤアセンブリの平面図である。
図3図1及び図2のウェハキャリヤアセンブリの分解図である。
図4】A及びBは、一実施形態に係るウェハキャリヤアセンブリの詳細図である。
図5】一実施形態に係るウェハキャリヤアセンブリの詳細な断面図である。
図6】一実施形態に係るピンの断面図である。
図7】A及びBは、2つの実施形態に係るウェハキャリヤアセンブリの半径方向外縁におけるポケットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な実施形態は、様々な変更及び代替形態に適しているが、その具体的内容が例として図面に示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、主張される発明を、説明される特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、特許請求の範囲によって定義される主題の趣旨及び範囲に含まれる全ての変更形態、均等物、及び代替形態を包含することである。
【0016】
本明細書に記載される実施形態は、いくつかの改良点を提供し、その一部または全部は、個別に、または組み合わせて、異なる実施形態に適用可能であり得、その各々は、以下でより詳細に説明される。第1に、本明細書に記載されるペデスタル及びプラットフォームならびにサーマルカバーのレッジの使用は、異なるウェハ及び/または堆積材料の熱的結合を管理する能力を含む、その構成要素間の熱的結合の程度の標的を定めた設定を提供する。第2に、本明細書に記載される異なる材料及び固定具の使用は、堆積中の(またはいくつかの堆積プロセスの過程にわたる)サーマルカバーの変形を防止し、その結果、長期にわたって反応器により作製される生成物の均一性が改善される。第3に、本明細書に記載される構成要素の特定の配置は、ウェハ厚さの均一性を高め、薄く緊密に画定された層を有するウェハの生成を容易にする。第4に、本明細書に記載される熱制御構造体は、ベース及びサーマルカバーの上面全体で調整可能な温度プロファイルを提供し、望ましくないエリアにおけるエピタキシャル成長を防止し、したがって、必要な反応器停止時間及び清掃時間の量を削減する。
【0017】
様々な組み合わせ及び構成において、これらの改良点は、ウェハの反り感度(bow sensitivity)を低減させることができる。諸実施形態では、熱的間隙及び/または結合を選択的に使用することで、ポケット同士がより密接に配置され得るように、ウェハ温度勾配を低減させることができる。
【0018】
本願の全体を通して、化学気相堆積及び同様のシステムの技術分野の当業者に知られているいくつかの用語が使用される。これらの用語は、場合によっては、通俗的なこれらの用語の単純かつ通常の意味とは異なり得る。本願の全体を通して使用される以下の用語は、以下のように定義される。
【0019】
ベースは、前駆体ガスを受けるように反応器内に配置される構造体である。ベースは、その中に画定された種々のポケットを有し得、その上にウェハが成長する。諸実施形態では、基板は、ポケットの各々の中に位置決めされ、ウェハは、反応器チャンバ内でのエピタキシャル成長を介して、これらの基板上で成長する。
【0020】
ウェハの成長中、ベースは、典型的に、ウェハキャリヤアセンブリの残部と共に加熱及び回転される。加熱は、ウェハキャリヤアセンブリ内の基板に入射する前駆体ガスの反応を促進するエネルギーを提供し、ウェハキャリヤアセンブリの回転は、ウェハ全体の成長の均一性を促進する。
【0021】
サーマルカバーは、ベースに接続可能な構造体である。サーマルカバーは、典型的には、前駆体ガスが依然としてポケット(及び/またはその中に位置決めされ得るウェハ及びベース)にアクセスすることができるように、ベースのうちポケット以外の部分を覆う。
【0022】
ペデスタル及びプラットフォームは、日常的用途では同様の意味を有するが、本明細書では異なる構造体を指すものと定義される。本明細書で使用されるプラットフォームは、ペデスタルと比較して相対的に大きい隆起部分を指す。プラットフォームは、ウェハまたは基板の下に配置され、ベースのうちウェハまたは基板の下にない部分に対して相対的な高さを画定する。一方、ペデスタルは、構成要素(例えば、基板、サーマルカバー)の支持を行うが、著しいレベルの熱伝達を促進することなく十分な機械的支持を行うのに十分に小さい。
【0023】
本願の全体を通して、方向に言及することもある。1つの構成要素が別の構成要素の「上方」または「下方」にあるという場合、これは、そのようなシステムが使用される典型的な向きを指す。典型的な化学気相堆積システムでは、前駆体化学物質用のシャワーヘッドまたは他の噴霧器が、反応器チャンバの重力的上部に配置される。したがって、ウェハキャリヤアセンブリは、その最上部にサーマルカバーを有する。加熱部は、典型的にはベースの下方に位置付けられ、またはいくつかの実施形態では、ウェハキャリヤアセンブリのベース内に位置付けられる。この方向に関する文言は、典型的なシステムに言及するために使用されているが、代替的な化学気相成長または他のエピタキシャル成長システムは、別様に構成される場合があることを理解されたい。したがって、これらの方向は、図面及び一般的な実施態様の説明を容易にするために使用されるものであり、本明細書に記載される本発明を限定するものとして解釈されてはならない。
【0024】
図1及び図2は、それぞれ、一実施形態に係る、サーマルカバー102を有するウェハキャリヤアセンブリ100の斜視図及び平面図である。図1に示すように、ウェハキャリヤアセンブリ100は、複数のポケット104を含み、その各々は、サーマルカバー102によって画定される開口部に対応する。図1に最も明確に示されているように、ポケット104の各々は、平坦部106を画定する。平坦部106は、化学気相堆積システムにおいて、エピタキシャル成長中に回動しないようにウェハ(図示せず)を対応するポケット104内にロックするために使用され得る。
【0025】
図2に示すように、サーマルカバー102の表面は、6つの孔108を含む。以下により詳細に記載するように、孔108は小さな突起であり、これらを通して固定ピンを打ち込むことができる。さらに、図1及び図2は、サーマルカバー102をウェハキャリヤアセンブリ100に固定するために使用される複数のネジ110を示す。
【0026】
本明細書で示される諸実施形態では、所望のレベルの拘束を達成するために、ネジと組み合わせてピンを使用することができる。この概念の様々な実施態様の全てが本明細書で示されるわけではないが、所望の結果を達成するために、外側の拘束具はしばしばネジであり、半径方向内側の拘束具は、角度の付いたピンまたはネジのいずれかであり得ることを理解されたい。例えば、図3は、カバーを内側に固定した状態に保つための裏側ネジ(図4のようなピンではない)を使用する「ピンなし」実現形態を示す。様々な実施形態において裏面から進むことにより、ネジまたはピンのいずれかを使用して、上側のサーマルインプリントを最小限に抑えるか、なくすことができる。ピン及びネジを使用して適切に位置決めされた拘束具のあらゆる組み合わせが、温度の不均一性をもたらすカバーの変形を防止するのに有効であり得る。
【0027】
概して、CVDシステムにおける物質のエピタキシャル成長の間、ウェハキャリヤアセンブリ100は、反応器チャンバ内に位置決めされ、下から、すなわち、ポケット104の反対側から加熱される。チャンバは、概して真空下にあり、一部のガスは、上面を横断して流れるようにウェハキャリヤアセンブリ100に向けられた1つ以上の供給源から導入される。ガスは、パージガスと、加熱されると反応してポケット104内に所望の材料を堆積させる1つ以上の前駆体ガスとを含み得る。
【0028】
典型的なCVDプロセスの間、均一で予測可能であり、実行ごとに一貫した様式で、ポケット104における成長を生じさせることが望ましい。また、実行速度を増加させるか、またはシステム停止時間を低減させるかを問わず、各ウェハを生成するのに必要なシステム時間の量を低減させることが望ましい。システム停止時間は、例えば、所望されない場所で不必要な材料堆積が起こった場合に、清掃のために必要とされる可能性がある。
【0029】
しかしながら、サーマルカバー102は、ポケット104の全てにおいて均一で予測可能であり、かつ一貫した成長を生じさせる能力に悪影響を及ぼす、他の可変要素を導入し得る。例えば、従来の単一部品ウェハキャリヤの場合に当てはまるように、ポケット104の上方にあるウェハの表面が周囲のサーマルカバー102よりも著しく高温または低温である場合、ウェハキャリヤアセンブリ100の表面を横断して流れるガスは、温度勾配を示し、不均一な堆積をもたらす可能性がある。これに対し、本明細書に記載されるように、サーマルカバーは、そのような温度不均衡を防止し得るか、またはその構成部品の間の熱的間隙の調節によって、所望に応じて温度不均衡を調整するために使用され得る。
【0030】
同様に、サーマルカバー102は、ポケット104におけるエピタキシャル成長の質に影響を与える前駆体ガスの流れに対する物理的障害をもたらし得る。堆積中のウェハキャリヤアセンブリ100の回動は、概して、その中の様々なポケットの間の均一性を改善し、均一性を維持する。しかしながら、サーマルカバーの変形は、ウェハキャリヤアセンブリの部品間の空間に影響を与えることがあり、その結果、デバイス全体の熱伝達特性に影響が及ぶ。これらの特性が不必要な変形によって影響を受けると、異なるエリアがより高温または低温になり得、堆積速度及びパターンに影響が及び得る。これらのパターンは、むらのある堆積及び不均一な厚さをもたらすため、概して望ましくない(しかし、例えば、図7A及び7Bに関して本明細書に記載されるように、これらは、外縁または他の特定の位置に存在し得る)。そのために、サーマルカバー102(図1~3、5)の変形を制御して、理想的な平坦で均一な表面を表す平面に対して相対的に著しく皿状/ボウル状または弓状/山頂状ではない、略平坦で均一な表面を維持することが有益である。
【0031】
図3は、図1及び図2のウェハキャリヤアセンブリ100及びサーマルカバー102の分解図である。この分解図において、サーマルカバー102は、ベースに対してサーマルカバー102を保持する様々なネジ110を示すために、ウェハキャリヤアセンブリ100から取り外されている。様々な実施形態において、ネジ110の数及び配置が変わり得ることを理解されたい。追加的にまたは代替的に、ネジ110が、対応するナットもしくはワッシャを含み得るように、またはリベット、留め金、もしくは他の同様の構造であり得るように、固定具の種類は実施形態ごとに変わり得る。
【0032】
図4A及び4Bは、一実施形態に係る、ウェハキャリヤのサーマルカバーの変形を防止するのに有用な構造体を示す。図4Aは、サーマルカバー(図示せず)と係合するように構成されたベース200を示す。図4Aに示すように、いくつかの突出構造がベースの中心の周りに配置され、引き出し線4Bによって示されている。
【0033】
図4Bは、この領域をより詳細に示す。領域4B内には、従来のウェハキャリヤアセンブリを改良する2つの異なる種類の構造体がある。このうち1つ目はペデスタル202であり、2つ目はピン204である。図3に示すように、ウェハキャリヤアセンブリ100の全体に、複数のペデスタル202及びピン204の両方が存在する。
【0034】
ウェハキャリヤアセンブリの使用において、ペデスタル202は、それに対応するサーマルカバーのための支持体を提供する。サーマルカバー(図示せず)が配置されるベース200の表面の各所にペデスタル202を配置することによって、ベース200からサーマルカバーへの伝導熱伝達の量を最小限に抑えることができる。したがって、サーマルカバーの温度をポケットの温度よりも著しく低く保つことができるので、これは顕著な利点を提供する。したがって、ペデスタル202は、サーマルカバーの温度を低下させ、ペデスタル202の高さは、使用中のウェハキャリヤアセンブリ及びサーマルカバーの上面全体の温度プロファイルを調整するように選択することができる。ペデスタル202を相対的に高くすることによって、より高いペデスタル202がサーマルカバーの上面をより低温にするように、サーマルカバーに伝達される熱の量が減少する。ペデスタルを使用した熱管理について、図5に関して以下でより詳細に説明する。
【0035】
図5のウェハキャリヤアセンブリ全体が、CVDまたは同様のエピタキシャル成長システムによって1つ以上のウェハ上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムとして使用され得る。ウェハキャリヤアセンブリ100は、図1~3に示すように、中心軸を中心として構成され、中心軸に垂直に位置する略平坦な底面を画定する。底面に略平行な上面(図1~3)は、ウェハキャリヤアセンブリ100全体にわたって延び、複数のペデスタル(例えば、202)及び複数のプラットフォーム(例えば、214)が、そこから上向きに延びる。サーマルカバー102は、複数のポケットを画定し(図1~3参照)、サーマルカバー102は、固定具(例えば、図1~3の110)によってベースに結合されるように構成されている。複数のポケットは、サーマルカバーがベースに結合されたとき、複数のポケットの各ポケットが、複数のプラットフォーム214のうちのあるプラットフォームに隣接するように配置される(図3参照)。サーマルカバー102は、基板112を支持することができる複数のポケットの各々におけるレッジLをさらに画定する。ペデスタル202、サーマルカバー102の寸法、及びプラットフォーム114は、レッジL上に配置された基板112が、サーマルカバー102の上面からの(寸法Aにおける)配置よりも、その対応するプラットフォーム114に対して(寸法Cにおいて)近くに配置されるようにサイズ決めされる。ピン204は、使用中にベース200をその対応するサーマルカバー102に対して保持するために使用される。ピン204は、図6に関してより詳細に説明されるように、ベース200と対応するサーマルカバー102との間の相対運動を防止するように、ベース200からある角度で延びる。
【0036】
ピン204は、エピタキシャル成長プロセスの間または後のサーマルカバーの変形を防止することができる。図1~3を参照すると、サーマルカバー102は、相対的に薄い断面を有するいくつかの部分を含むことが分かる。ウェハの成長中、サーマルカバー102の回転は、サーマルカバー102の本体に沿った求心力を引き起こす。さらに、サーマルカバー102上に成長する材料が蓄積すると、この印加力が増加し得る。
【0037】
また、成長させる材料に応じて、材料自体が、サーマルカバーの平面変形を発生させる力を生成し得る。いくつかの材料では、材料が生成する力によってサーマルカバーが歪んで、中心が最も低く、半径方向最外縁がカバーの平面の残部に対して相対的に上向きに押された、凹状の「ボウル」構成になる。他の材料では、材料が生成する力によってサーマルカバーが歪んで、中心が隆起し、半径方向最外縁がカバーの平面の残部に対して相対的に押し下げられた、凸状の「山頂」構成になる。これらの「ボウル」及び「山頂」の平面変形形状はどちらも、ウェハキャリヤアセンブリの加熱されたベースに対して相対的なサーマルカバーの中心と縁の間の距離に影響を与えるため、望ましくない。さらに、これらは、基板/ウェハ、サセプタ、及びサーマルカバーによって形成される表面を横断する前駆体ガスの流路に影響を与え得るか、または基板/ウェハ、サセプタ、及びサーマルカバーの間の間隙距離及び対応する熱勾配に影響を与え得る。
【0038】
ピン204は、ネジ(例えば、図3のネジ110)と協働して、このような平面変形を防止する。図3に示すように、ネジ110は、実質的にウェハキャリヤアセンブリ100及びサーマルカバー102の半径方向最外縁の近くに配置される。本明細書で使用される場合、「実質的に」は、通常のエピタキシャル成長及び回動条件の間に、サーマルカバー102が上向きに、かつウェハキャリヤアセンブリ100から離れる向きに不必要に屈曲することを防止するために、半径方向最外縁に十分近いことを指す。同様に、ピン204は、サーマルカバー102がウェハキャリヤアセンブリ100から離れる向きに動くのを制限することによって、「山頂」変形を防止する。
【0039】
諸実施形態では、本明細書に記載される構成要素間の相対的に固定された関係を維持するために使用されるピン204、及びネジ、ナット、または他の固定具は、熱膨張係数の差に起因する応力または運動を防止するために、同様の材料から作製され得る。例えば、1つの実施形態では、ネジ(110、図1~3)及びピン(204、図4B)は、サーマルカバー102と同様に、カーボンカーボンで作製される。他の実施形態では、ピン204は、化学気相堆積システム内の処理条件に耐えることができるモリブデンまたは別の材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、ウェハキャリヤアセンブリ(例えば、100)は、炭化ケイ素などの同様の熱膨張係数を有する材料で作製され得る。
【0040】
上述のように、ネジ、ピン、及びペデスタルは、本明細書に記載されるシステムの様々な構成要素の間の所望の物理的間隔を維持するために使用され得る。図5は、一実施形態の3つの構成要素、すなわち、ウェハキャリヤアセンブリ100、サーマルカバー102、及び基板112の簡略化された断面図を示す。
【0041】
図5に示すように、ウェハキャリヤアセンブリ100は、サーマルカバー102を機械的に支持するペデスタル202を含む。典型的な実施形態では、サーマルカバー102を保持する複数のペデスタル202が存在し得る。サーマルカバー102は、その結果、基板112を機械的に支持し、その上にウェハを成長させることができる。
【0042】
ペデスタル202に加えて、ウェハキャリヤアセンブリ100は、プラットフォーム214を画定する。諸実施形態において、プラットフォーム214は、基板112と実質的に同じようにサイズ決め及び成形され得る。図3に示すように、例えば、ペデスタルは、ウェハキャリヤアセンブリ100の残部からサーマルカバー102に向かう方向に延びる。
【0043】
図5は、A、B、及びCとラベル付けされた3つの異なる寸法を示す。これらの寸法の各々は、熱プロファイルを生成するために所望に応じて調整可能である。ペデスタル202の高さを調節することによって、寸法Aを変更することができる。寸法Aは、ウェハキャリヤアセンブリ100からサーマルカバー102への伝導熱伝達の量に影響を与える。サーマルカバー102は、基板112を支持する部分において、寸法Bとして示される、ベース200からの相対的に大きなオフセットを有するように成形され得る。この距離を増加させることによって、サーマルカバー102を介したウェハキャリヤアセンブリ100から基板112への熱伝達が低減する。最後に、プラットフォーム114の高さを調節することによって、寸法Cを調節することができる。寸法Cを増加させると、ウェハキャリヤアセンブリ100から基板112への熱伝達が低減し、寸法Cが小さくなると、熱伝達が増加する。
【0044】
寸法Dは、サーマルカバー102とウェハキャリヤアセンブリのベース200との間に間隙Bが存在するカットアウト部分に対応する。別の言い方をすると、寸法Dは、サーマルカバー102の支持部分がプラットフォーム214に向かって延びる量である。さらに別の言い方をすると、寸法Dは、サーマルカバー102の大部分がプラットフォーム214から奥まっている量である。寸法D及びそれに対応する寸法Bは、機械的機能を提供する(すなわち、基板112を支持する)が、システム全体の熱的特性を決定しもする。上述したように、サーマルカバー102がベース200に近ければ近いほど、これら2つの構成要素の間の熱的結合のレベルが高くなる。DまたはBを増加させることによって、熱的結合のレベルは低下する。逆に、寸法Bまたは寸法Dを減少させることによって、ベース200とサーマルカバー102との間の熱的結合のレベルが上昇する。したがって、これらの寸法は、基板112の縁において所望の熱プロファイルをもたらすように調節、変更、及び調整することができる。
【0045】
他のサーマルカバー102は、直線寸法B及びDを有する正方形のカットアウトの代わりに、サーマルカバー102とベース200、基板112、及びプラットフォーム214との間の熱伝達を選択的に増大または減少させるように斜角が付いた、面取りされた、または他の形状をした底面を有してもよいことを理解されたい。概して、基板112とサーマルカバー102との間の界面を含め、上面S全体で一定の温度を維持することが望ましいが、基板112に対して高温の縁または低温の縁が特殊用途において利点を提供するようないくつかのシナリオでは、縁効果が望ましいことがある。
【0046】
多くのシステムでは、基板112がサーマルカバー102の上面よりも高温であることが好ましく、基板112が上面において非常に均一な温度を有することも望ましい。図5の構成は、この目標をいくつかのやり方で達成する。
【0047】
第1に、基板112とウェハキャリヤアセンブリ100との間に直接的な物理的接触がない。図5の方式における唯一の伝導熱伝達は、ペデスタル202を介して、ウェハキャリヤアセンブリ100からサーマルカバー102に熱を伝導するものである。この伝導熱伝達でさえ、ペデスタルの小さなサイズ及び数に起因して、大きく限定される(図4A参照)。したがって、図5に示すシステムにおける主要な熱伝達機構は、伝導性ではなく、むしろ放射性及び対流性である。さらに、ほとんどの化学気相堆積システムは、対流熱伝達も低減されるような真空環境で動作する。
【0048】
このような環境では、2つの構成要素の間の距離は、それらの間で伝達される熱量に著しい影響を及ぼす。したがって、寸法A、B、C、及び/またはDのうちの1つ以上を調節することによって、サーマルカバー102の上面における温度が、基板112の上面における温度と比較して相対的に低いことを確実にすることができ、これは通常は望ましい。ウェハキャリヤアセンブリ100が加熱される量、寸法A、B、C及び/またはD、ならびに各部分を構成する材料を調節することによって、ほとんどいかなる所望の上面温度プロファイルでも達成することができる。
【0049】
サーマルカバー102と基板112との間に伝導熱伝達が生じないように、プラットフォーム114と基板112との間にペデスタル202が存在しないことに留意されたい。伝導熱伝達は温度のばらつきを生じさせ得るため、この様式の熱接触をなくすことで、基板112の上面温度均一性に関して、いくつかの利点がもたらされる。
【0050】
エピタキシャル成長の間、ウェハキャリヤアセンブリ100における温度は、前駆体ガス間の相互作用及び対応するエピタキシャル成長を引き起こすのに十分に高温である。しかしながら、ウェハキャリヤアセンブリ100とサーマルカバー102及び/または基板112との間の流体の流量は非常に少ない。したがって、成長の継続を支持するのに十分な新鮮な前駆体ガスが存在しないため、これらの構成要素の間の成長の量も少ない。また、典型的なサイクルの間、チャンバは、最初に真空状態にされ、その後、パージガスがチャンバに導入される。したがって、ウェハキャリヤアセンブリ100とサーマルカバー102及び/または基板112との間の空間の大部分は、堆積を支持することができる前駆体材料で満たされるのではなく、パージガスで満たされる。
【0051】
図6は、サーマルカバー102を基板100に接続するピン204の詳細図である。図6に示すように、ピン204は、サーマルカバー102が基板100から離れるように立ち上がることを防止するように角度が付いている。図5から明らかなように、そのような立ち上がりは、寸法A、B、及びCに影響を与え、これらの各々をウェハキャリヤアセンブリ100の中心に向かって大きくし、その半径方向外側部分において小さくする可能性がある。
【0052】
図7A及び7Bは、エピタキシャル成長のためのシステムの半径方向外縁におけるその2つの実施形態を示す。例えば、米国特許第8,888,919号に記載されているように、隆起または傾斜した半径方向外縁は、ウェハキャリヤアセンブリを横断して導かれる前駆体ガスのための、より層状の流路を提供することができる。図7A及び図7Bに示すように、この特徴は、ウェハキャリヤアセンブリのベースの一部として、またはサーマルカバーの一部として、そのような半径方向外縁を構築することによって、上述の実施形態で実装することができる。
【0053】
図7Aに示すように、ウェハキャリヤアセンブリ300は、サーマルカバー302を保持し、サーマルカバーは、基板304を保持する。ウェハキャリヤアセンブリ300は、上向きに角度の付いた半径方向外縁部分306を含む。この角度の付いた部分は、堆積中に基板304を横断する前駆体ガスのより良好な層流を維持することができる。図7Aにさらに示すように、相対的に小さいペデスタル308は、サーマルカバー302を支持し、一方、より大きいプラットフォーム310は、基板304にほぼ接触するまで延びる。
【0054】
図7Bは、同様の代替的な実施形態を示す。図7Bに示すように、ウェハキャリヤアセンブリ400は、サーマルカバー402を保持し、サーマルカバーは、基板404を保持する。サーマルカバー402は、上向きに角度の付いた半径方向外縁部分406を含む。この角度の付いた部分は、堆積中に基板404を横断する前駆体ガスのより良好な層流を維持することができる。図7Bにさらに示すように、相対的に小さいペデスタル408は、サーマルカバー402を支持し、一方、より大きいプラットフォーム410は、基板404にほぼ接触するまで延びる。
【0055】
上述のように、ペデスタル(例えば、202)及びプラットフォーム(例えば、114)は、システム全体における熱的結合の程度を設定するようにサイズ決め及び配置され得る。このようにして、上面(かつ著しいエピタキシャル成長が起こる唯一の表面)は、均一で標的を定めた成長を引き起こすように設計された温度プロファイルを有することができる。すなわち、高レベルの厚さ均一性を有する層を、他の場所(例えば、サーマルカバー102上)ではなく主に基板(例えば、112)上で成長させることができる。また、本明細書に記載される固定具は、熱膨張及び熱収縮によって引き起こされる力、または堆積された材料自体によって引き起こされる力が、様々な構成要素の間の離隔距離に著しく影響しないように配置され、かつそのような材料で作製される。離隔距離が著しい影響を受けないので、熱伝達も著しい影響を受けない。
【0056】
総合すると、これらの改良点は、薄い多層構造物を作製するように設計されたシステムに特に有益であり得る。そのような構造体は、厚さ不均一性がいくつかの用途で許容できないため、高い廃棄率またはスクラップ率を有することが多い。均一な温度(ひいては厚さ)の維持は、廃棄物またはスクラップの削減をもたらし、したがって商業的に有益である。
【0057】
システム、デバイス、及び方法の様々な実施形態が本明細書に記載されている。これらの実施形態は、単に例として与えられるものであり、主張される発明の範囲を限定することを意図したものではない。さらに、記載された実施形態の様々な特徴を様々なやり方で組み合わせて、多数の追加の実施形態を作り出すことができることを理解されたい。さらに、開示された実施形態で使用される様々な材料、寸法、形状、構成及び位置などが記載されているが、開示されたもの以外のものが、主張される発明の範囲を超えることなく利用され得る。
【0058】
当業者は、本明細書の主題が、上述の個々の実施形態のいずれかに示されたものよりも少ない特徴を含み得ることを認識するであろう。本明細書に記載される実施形態は、本明細書の主題の様々な特徴の可能な組み合わせ方を網羅した説明であることを意味しない。したがって、これらの実施形態は、特徴の相互排他的な組み合わせではなく、むしろ、様々な実施形態は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施形態から選択される異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。さらに、1つの実施形態に関して記載される要素は、別途注記されない限り、他の実施形態に記載されていなくとも、他の実施形態に実装することができる。
【0059】
ある従属請求項は、特許請求の範囲において、1つ以上の他の請求項との特定の組み合わせに言及し得るが、他の実施形態が、その従属請求項と他の従属請求項の各々の主題との組み合わせ、または1つ以上の特徴と他の従属請求項もしくは独立請求項との組み合わせを含むこともできる。このような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されないことが記載されている場合を除き、本明細書において提案される。
【0060】
上記の文献の参照による組み込みはいずれも、本明細書における明示的な開示と矛盾する主題が組み込まれないように限定される。上記の文献の参照による組み込みはいずれも、文献に含まれる請求項が参照により本明細書に組み込まれないように、さらに限定される。上記の文献の参照による組み込みはいずれも、文献において提供されるいずれかの定義が、本明細書に明確に含まれていない限り、参照により本明細書に組み込まれないように、さらに限定される。
【0061】
請求項の解釈上、「のための手段」または「のためのステップ」という特定用語が請求項に記載されていない限り、米国特許法112条(f)項の規定は行使されないことが明確に意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】