(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】折り畳み可能な膨張式高圧チャンバ
(51)【国際特許分類】
A61G 10/04 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61G10/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024506162
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 IL2022050835
(87)【国際公開番号】W WO2023012794
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524039883
【氏名又は名称】バリックス ヘルス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ミショリ,ボアズ
(72)【発明者】
【氏名】シェレール,ローイー
(72)【発明者】
【氏名】バーギル,ラミ
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341JJ02
4C341KK10
4C341KL04
4C341KL06
4C341MN20
(57)【要約】
本開示は、折り畳みおよび展開が可能であり、そのことによりその内部容積をそれぞれ減少および増加させる高圧チャンバを提供する。内部容積は、構造体によって、また任意にドーム形状を有し、構造体に結合される上部構造カバーおよび下部構造カバーによって閉じ込められる。構造体は、すなわち、チャンバの長手方向軸に沿って延在し、高圧チャンバが加圧ガスで膨張されるときに、チャンバにその幾何学的安定性の大部分を付与する構造である。構造体は、2つのタイプの領域、すなわち、第1の不透明領域と第2の少なくとも部分的に透明な領域とから形成され、両方の領域は、所望の内圧、すなわち、チャンバの内部容積と周囲圧力との圧力差に耐える程度に補強される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
少なくとも1つの第1の不透明領域と、少なくとも1つの第2の少なくとも部分的に透明な領域とを備える構造体であり、
前記第1の領域は、流体不透過性の領域をもたらすように、その側面/面の1つまたは2つの上に第1のポリマー材料で被覆された第1の補強可撓性材料シートを備え、
前記第2の領域は、少なくとも部分的に透明なポリマー材料の第2の内層と、第2の補強可撓性材料の1つまたは複数の繊維の接続ストランドによって形成され、その間に近接したフレームを規定する、前記第2の補強可撓性材料の補強メッシュの外層とを備え、
各々の第2の領域の前記第1の層および前記第2の層は、前記第1の領域の一部に取り付けられて、一体となって流体不透過性構造体を形成する、構造体と、
対象者が前記高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
【請求項2】
前記第1の補強材料と前記第2の補強材料は同じである、請求項1に記載の高圧チャンバ。
【請求項3】
前記第1の補強材料および前記第2の補強材料の各々は、Kevlar(アラミドまたはパラアラミド)、ナイロン、ポリエステルおよび超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から独立して選択される、請求項1または請求項2に記載の高圧チャンバ。
【請求項4】
前記第1のポリマー材料と前記第2のポリマー材料は同じである、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項5】
前記第1のポリマー材料および前記第2のポリマー材料の各々は、可撓性かつ空気不透過性である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項6】
前記第1のポリマー材料および前記第2のポリマー材料の各々は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から独立して選択される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項7】
前記構造体は円筒形である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項8】
それぞれの取付部に沿って前記構造体の両側に取り付けられた2つの構造カバーを備え、そのことにより、前記2つの構造カバーおよび前記構造体は、前記内部容積を閉じ込める、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項9】
前記2つの構造カバーは、前記チャンバが膨張したときに半球形状を有する、請求項8に記載の高圧チャンバ。
【請求項10】
前記結合部の少なくとも一部に掛け回される1つまたは複数の補強リングをさらに備える、請求項8または請求項9に記載の高圧チャンバ。
【請求項11】
前記取付部は、
前記構造体の前記面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第1の弾性バンドと、
前記構造カバーの前記面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第2の弾性バンドと、
複数の縫合パターンであって、各縫合パターンは、前記構造体およびそれぞれの前記構造カバーの全ての面を介して前記第1のバンドを前記第2のバンドに縫い合わせる、縫合パターンと
を備える、請求項8または請求項9に記載の高圧チャンバ。
【請求項12】
前記1つまたは複数の第1の弾性バンドは、前記構造体の外面に掛け回される、請求項11に記載の高圧チャンバ。
【請求項13】
各々の前記縫合パターンは閉じた形状である、請求項11または請求項12に記載の高圧チャンバ。
【請求項14】
前記第1の弾性バンドは、前記構造体の周囲全体に掛け回される単一のバンドである、請求項11~請求項13のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項15】
前記第2の弾性バンドは、前記構造カバーの周囲に掛け回される単一のバンドである、請求項11~請求項14のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項16】
空気/酸素流量弁、過圧リリーフ弁、または通気弁、酸素センサ、温度センサ、または圧力センサのうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項17】
前記封止可能な開口部は、前記構造体とその周囲との間のガスの通過を防止するように構成された第1のジップファスナと、ガスによって膨張されたときに前記チャンバが受ける応力に耐えるように構成された第2のジップファスナをさらに備える、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項18】
前記封止可能な開口部は、前記第1の領域に位置する、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項19】
前記補強メッシュは、織りメッシュである、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項20】
前記補強メッシュは、からみ織り技術を利用して織られる、請求項19に記載の高圧チャンバ。
【請求項21】
前記補強メッシュは、メッシュ構造を強固にするために第3のポリマー材料で被覆される、請求項19または請求項20に記載の高圧チャンバ。
【請求項22】
前記第1の領域は、カレンダー加工プロセスによって作られる、請求項1~請求項21のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項23】
前記対象者を支持するように構成された調整可能な椅子をさらに備える、請求項1~請求項22のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項24】
前記調整可能な椅子は、前記構造体の少なくとも1つの定着点に定着され、前記椅子は、その位置または傾斜を調整することを可能にするための少なくとも1つのジョイント部を備える、請求項23に記載の高圧チャンバ。
【請求項25】
前記調整可能な椅子は、その少なくとも一部が前記内部容積から突出する待機状態と、前記椅子が前記内部容積内に完全に収容される動作状態との間で調整されるように構成される、請求項23または請求項24に記載の高圧チャンバ。
【請求項26】
膨張可能な骨格をさらに備え、その膨張時に、前記構造体を広げ、その展開形状を規定する、請求項1~請求項25のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項27】
前記膨張可能な骨格は、2つ以上の長手方向管によって連結された上部膨張可能なトロイドおよび下部膨張可能なトロイドを備え、前記膨張可能なトロイドは、前記チャンバの内部容積半径を規定し、前記膨張可能な管は、内部容積長手方向長さを規定する、請求項26に記載の高圧チャンバ。
【請求項28】
前記第1の領域および前記第2の領域の一部を取り囲む格子状の補強バンドを備える、請求項1~請求項27のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項29】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであり、
構造体と、
それぞれの取付部に沿って前記構造体の2つの対向する側/端部に取り付けられ、そのことにより前記構造体と一体になって内部容積を閉じ込める2つの構造カバーと、
対象者が前記高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバであって、
前記取付部は、
前記構造体の前記面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第1の弾性バンドと、
前記構造カバーの前記面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第2の弾性バンドと、
複数の縫合パターンであって、各縫合パターンは、前記構造体およびそれぞれの前記構造カバーの全ての面を介して前記第1のバンドを前記第2のバンドに縫い合わせる、縫合パターンと
を備える、高圧チャンバ。
【請求項30】
前記1つまたは複数の第1の弾性バンドは、前記構造体の外面に掛け回される、請求項29に記載の高圧チャンバ。
【請求項31】
各々の前記縫合パターンは閉じた形状である、請求項29または請求項30に記載の高圧チャンバ。
【請求項32】
前記第1の弾性バンドは、前記構造体の周囲全体に掛け回される単一のバンドである、請求項29~請求項31のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項33】
前記第2の弾性バンドは、前記構造カバーの周囲に掛け回される単一のバンドである、請求項29~請求項32のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
【請求項34】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持し、チャンバの傾斜調整を可能にするためのアセンブリであり、
基部と、
前記基部に結合され、前記高圧チャンバの外面の1つまたは複数の結合位置に結合されるように構成された1つまたは複数のアームと
を備えるアセンブリであって、
前記1つまたは複数のアームは、様々な状態間で調整可能であり、異なるアームの状態の組み合わせがチャンバの傾斜を規定する、アセンブリ。
【請求項35】
前記結合位置の2つ以上を接続する1つまたは複数の補助アームを備える、請求項34に記載のアセンブリ。
【請求項36】
前記1つまたは複数のアームは、1つまたは複数のアーム対を備え、前記対の各アームは、前記対の他方のアームの結合位置とは反対側のそれぞれの結合位置に結合される、請求項34または請求項35の記載のアセンブリ。
【請求項37】
前記1つまたは複数のアームは、様々な状態間での前記調整機能を可能にするために、前記基部に回転可能に結合される、請求項34~請求項36のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項38】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
構造体であり、
ポリマー材料層、および
ポリマー材料層内に埋め込まれ、その間に近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成された補強メッシュを備える、構造体と、
対象者が前記高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
【請求項39】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持するための傾斜アセンブリであって、
第1の端部と第2の端部との間に延在し、前記折り畳み可能な膨張式高圧チャンバと結合するように構成された細長い支持装置であって、前記折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持するようにサイズ設定されたフレーム筐体を規定する剛性フレームを備える、細長い支持装置と、
傾斜位置の範囲に沿って前記細長い支持装置の傾斜を制御することを可能にする傾斜機構と
を備える傾斜アセンブリ。
【請求項40】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
ポリマー材料層で被覆された圧潰可能な可撓性補強メッシュによって少なくとも部分的に形成された内部容積を取り囲む構造体であって、前記補強メッシュは、その間に近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成され、各々の前記フレームは、その中に前記ポリマー材料のそれぞれの部分を含み、そのことによりビューポートを形成する、構造体と、
対象者が前記高圧チャンバの前記内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
【請求項41】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
構造体であり、
それを通して可視化を可能にする少なくとも半透明のポリマー材料層、および
前記ポリマー材料層内に埋め込まれ、その間に近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成された補強メッシュ
を備える構造体と、
対象者が前記高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、高圧チャンバの分野に関し、より具体的には、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧酸素療法は、専用の部屋またはチャンバ内で、上昇した大気圧下でほぼ純粋な酸素を吸い込むことを含む。この治療は、とりわけ、組織が酸素について飢餓状態にある、一酸化炭素中毒、壊疽、治りにくい創傷、および感染症の治癒に典型的に適用される。
【0003】
医療施設は、典型的には、従来の重くて剛性の高圧チャンバを収容する。これらのチャンバを遠隔地に移動させることは、面倒であり、不可能なミッションでさえあり得る。この障害を克服するために、圧潰可能な高圧チャンバシステムが、可搬式ユニットとして提案されている。患者に快適さを提供し、治療中に患者を見ることができるように、チャンバは、透明な覗き窓を備えることが必要とされる。高圧(例えば、10気圧)下で変形せず、崩潰しない窓を設けることは、圧潰可能な高圧チャンバにおける課題の1つである。
【0004】
したがって、新しい折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを提供する必要性が高まっている。
【0005】
本開示の主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に簡単に説明する。本明細書における参考文献の承認を、これらが本開示の主題の特許性に何らかの形で関連することを意味するものであると推測すべきではない。
【0006】
国際公開第2020162839号パンフレットは、医療目的または非医療目的の高圧療法および高圧酸素療法を行うための高圧チャンバの分野、より正確には、可撓性の膨張式高圧チャンバの施工の分野に属する。本発明の多層構造を有する膨張式高圧チャンバの本質は、3層構造にあり、また前記構造の個々の層ならびに機能要素の分離可能な接続にあり、このことによりチャンバが130キロパスカル(1.3バール)~300キロパスカル(3.0バール)の圧力で動作することが可能になる。3層構造は、封止用の内袋と、内袋の保護および緩和用であり、チャンバの形状を維持する外袋と、構造を維持し、力を均一に分散させるための格子とからなる。
【0007】
米国特許第5678543号明細書は、少なくとも2つのジッパーを使用することによって、周囲よりも最大22psi高い圧力を維持することができる軽量高圧チャンバを開示しており、ジッパーの少なくとも1つは、封止ジッパーであり、好ましくは、重い織布および補強外層を有する。
【0008】
米国特許出願公開第20080006272号明細書は、圧潰可能な加圧式ブラダーと、実質的に圧潰されていない形態でブラダーを支持する膨張式支持部材とを含む高圧チャンバを開示している。膨張式支持部材は、ブラダーの内部または外部のいずれかに存在し得、実施形態において、ブラダーの折り畳まれていない形状に概ね対応する湾曲部を有するリブである。補強ステーブは、さらなる支持を提供し得る。ブラダーは、その内部への進入路と、進入路上の実質的に非通気性の閉鎖具とをさらに含む。この閉鎖具は、第1のジッパーと第2のジッパーとの間に挟まれた実質的に空気不透過性のガスケットを含む。補強ジッパーは、閉鎖具に追加の強度を提供し得る。同様に、ブラダーを実質的に取り囲む補強ハーネスは、ブラダーに追加の強度を提供し得る。圧縮空気源は、ブラダーの内部と流体連通しており、さらに冷却源が設けられてもよい。
【0009】
中国実用新案第211912090U号明細書は、可搬型高圧酸素キャビン装置を開示している。この実用新案は、ポリウレタン複合環境保護材料で製造されたキャビン本体の設置を採用し、圧縮空気を充填することにより好都合に使用することができ、使用しないときには、酸素管路プラグおよび空気管路プラグの設置により、この装置を好都合に折り畳み、キャビン本体を酸素マスクと圧縮空気設備および酸素発生器を含む空気供給システムとに好都合に接続可能であり、定電圧リリーフ弁の設置により、キャビンの内圧を1.2~1.3気圧に一定に維持でき、高圧酸素療法に適用可能であることを開示している。この実用新案は、大気圧よりやや高い圧力と高濃度の酸素の利用可能な相乗効果により、溶解酸素が改善し、臓器の酸素供給効率が向上し、人体の新陳代謝が促進され、高圧酸素治療を実施する製造コストが効果的に低くなり、安全で信頼できる使用で操作が容易になり、持ち運びが便利で、空間を節約し、使用場所の制約を受けず、汎用化が容易で広く使用することができることを開示している。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、その態様の少なくとも1つにおいて、折り畳みおよび展開が可能であり、そのことによりその内部容積を減少および増加させる高圧チャンバを提供する。内部容積は、構造体によって、また任意に構造体に結合された上部ドームおよび下部ドームによっても閉じ込められる。高圧チャンバは、構造体、すなわち、チャンバの長手方向軸に沿って延在し、高圧チャンバが加圧ガスで膨張されたときに、チャンバにその幾何学的安定性の大部分を付与する構造体を含む。第1の構成では、構造体は、2つのタイプの領域、すなわち、第1の不透明領域と第2の少なくとも部分的に透明な領域とから形成される。第1の領域は、流体に対して不透過性であるように、その側面/面のうちの1つまたは2つの側面/面上で第1のポリマー材料で被覆された第1の補強可撓性材料を備える。第2の領域は、第2の少なくとも部分的に透明なポリマー材料(可視スペクトルにおいて)の内層と、第2の補強可撓性材料のメッシュの外層とを備える。各々の第2の領域の第1の層および第2の層は、第1の領域の一部に取り付けられる。第1の層は、流体に対して連続的な不透過性構造を形成するように第1の領域に取り付けられ、第2の層は、チャンバの内部と周囲圧力との高い圧力差に耐えることができるように第2の領域に耐久性を付与するように第1の領域に取り付けられる。第1の領域の第2の領域への取り付けは、所望の結果をもたらす多くの手段(溶接など)によって行われ得る。なお、複数の第1の領域および第2の領域が存在してもよいことに留意されたい。典型的には、連続した第1の領域と、第1の領域の一部内に埋め込まれた1つまたは複数の第2の領域とが存在する。
【0011】
構造体の第2の構成では、構造体の少なくとも一部は、ポリマー材料内に埋め込まれた補強メッシュを備える。補強メッシュは、ポリマー材料で満たされた等しいまたは様々なサイズの窓状部分を規定する。典型的には、ポリマー材料は、チャンバ内へのおよびチャンバからの双方向の可視化を可能にするために、可視スペクトルに対して透明または少なくとも半透明である。構造体は、(i)チャンバの内部容積と周囲圧力との圧力差に耐えることができ、(ii)効率的な物流および保管のためにそのサイズを縮小するように折り畳むことができる材料で作られる。
【0012】
高圧チャンバは、対象者がチャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部をさらに含む。開口部が封止されると、チャンバの内部容積と周囲圧力との圧力差が維持される。
【0013】
したがって、本開示の主題の第1の態様によれば、ポリマー材料層、およびポリマー材料層内に埋め込まれる補強メッシュであって、近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成された補強メッシュを含む構造体と、対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部とを備える、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバが提供される。
【0014】
本開示の任意の態様に関して、説明する実施形態(場合によっては例と呼ばれる)の任意の組み合わせが適用可能であることに留意されたい。すなわち、本開示の任意の態様は、説明する実施形態の任意の組み合わせによって定義され得る。
【0015】
一部の例では、ポリマー材料は、それを通して可視化を可能にする少なくとも半透明のポリマーである。
【0016】
チャンバは、結合部において構造体の両側にしっかりと結合された(例えば、構造体に溶接された)2つの半球形構造要素をさらに備え得、2つの半球形構造要素および構造体が前記内部容積を取り囲む。
【0017】
チャンバは、任意選択で、結合部の少なくとも一部に掛け回される1つまたは複数の補強リングをさらに備え得る。
【0018】
チャンバは、任意に、空気/酸素流量弁、過圧リリーフ弁、または通気弁のうちの1つまたは複数をさらに備え得、したがって、チャンバの内部容積と、周囲またはガス源(例えば、酸素ガス源)のいずれかとの間のガス交換を可能にする。
【0019】
一部の例では、構造体は、酸素センサ、温度センサ、または圧力センサのうちの1つまたは複数をさらに備える。感知されたパラメータは、プロセッサによって監視され、プロセッサは、感知されたパラメータのそれぞれを選択された範囲内に維持するように、内部容積内の条件を制御するように構成される。例えば、プロセッサは、セルの内部容積内の所望の圧力範囲を維持するために、内部容積に連結された圧力発生装置(例えば、圧縮機)を動作させるように構成される。
【0020】
一部の例では、封止可能な開口部は、内部容積と周囲環境との間のガス交換を防止するように構成された第1のジップファスナをさらに備える。
【0021】
一部の例では、封止可能な開口部は、第1のジップファスナに対して外側にあり、ガスによって膨張されたときにチャンバが受ける応力に耐えるように構成された第2のジップファスナをさらに備える。
【0022】
一部の例では、封止可能な開口部は、少なくとも部分的に補強メッシュ部上に形成される。
【0023】
一部の例では、ポリマー材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。
【0024】
一部の例では、補強メッシュは、からみ織り技術を利用して織られる。
【0025】
一部の例では、合成繊維は芳香族ポリアミド繊維である。
【0026】
一部の例では、補強メッシュは、カレンダー加工プロセスによってポリマー材料内に埋め込まれる。
【0027】
一部の例では、構造体は、2つ以上の選択可能な着座構成で対象者を支持するように構成された調整可能な椅子をさらに備える。
【0028】
一部の例では、調整可能な椅子は、構造体の少なくとも1つの定着点に定着され、椅子は、その位置または傾斜を調整することを可能にするための少なくとも1つのジョイント部を備える。
【0029】
一部の例では、構造体は、内部容積と周囲圧力との最大約9バールの圧力差に耐えるように構成される。
【0030】
チャンバは、膨張可能な骨格をさらに備え、その膨張時に、構造体を広げ、その展開形状を規定し得る。一部の例では、膨張可能な骨格は、(例えば、チャンバが加圧ガスで膨張される前および/または膨張された後に)チャンバをその展開形状で支持するようにさらに構成され得る。
【0031】
一部の例では、膨張可能な骨格は、2つ以上の長手方向管によって連結された上部膨張可能なトロイドおよび下部膨張可能なトロイドを備え、膨張可能なトロイドは、チャンバの内部容積半径を規定し、膨張可能な管は、内部容積長手方向長さを規定する。したがって、高圧チャンバの内部容積を実質的に円周方向に取り囲むトロイドおよび管は、高圧チャンバの長手方向の長さに実質的に沿って延在する。
【0032】
一部の例では、トロイドは、構造体を内部で支持するために、チャンバの内部容積内に配置され得る。
【0033】
一部の例では、1つまたは複数の膨張可能な管は、膨張可能なトロイドから延び、膨張可能なトロイドに対して実質的に直交する。
【0034】
一部の例では、1つまたは複数の膨張可能な管は、少なくとも部分的に、構造体を外部から支持するために、内部容積の外部に延在する。
【0035】
本開示の主題の第2の態様によれば、可視化を可能にする少なくとも半透明のポリマー材料層、およびポリマー材料層内に埋め込まれる補強メッシュであって、近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成された補強メッシュを含む構造体と、対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部とを備える、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバが提供される。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持するための傾斜アセンブリであって、第1の端部と第2の端部との間に延在し、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバと結合するように構成された細長い支持装置であって、前記折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持するようにサイズ設定されたフレーム筐体を規定する剛性フレームを備える、細長い支持装置と、傾斜位置の範囲に沿って細長い支持装置の傾斜を制御することを可能にする傾斜機構とを備える、傾斜アセンブリが提供される。
【0037】
一部の例では、細長い支持装置は、フレーム筐体の少なくとも一部の中にぴったりと収まるように剛性フレームに固定された1つまたは複数の支持シートを備える。
【0038】
一部の例では、第1の端部は、例えば2つの剛性フレーム部材を連結することによって、第1の定着構造に枢動可能に結合され、傾斜機構は、第1の端部以外の剛性フレームの結合部に枢動可能に結合される。
【0039】
一部の例では、結合部は、第1の端部と第2の端部との間で、第2の端部のより近位に規定される。
【0040】
一部の例では、傾斜機構は、セグメント結合部において互いに枢動可能に結合された2つのセグメントから形成され、第1のセグメントは、セグメント結合部以外の結合部に結合され、第2のセグメントは、セグメント結合部以外の第2の定着構造に結合される。したがって、傾斜機構は、3つの平行な軸を中心とした回転を可能にする3つのジョイントを備える。第1のジョイントは結合部にあり、第2のジョイントはセグメント結合部にあり、第3のジョイントは第2のセグメントと第2の定着構造との結合部にある。
【0041】
一部の例では、傾斜機構は、2つの傾斜位置間で切り替え可能であり、第1の傾斜位置は、剛性フレームによって規定されるフレーム面と水平面との間に選択角度を形成し、第2の傾斜位置では、フレーム面は、水平面と同一平面上にある。
【0042】
一部の例では、セグメント結合部は、第2の傾斜位置において地面に係合してさらなる支持をもたらすように構成される。
【0043】
一部の例では、傾斜アセンブリは、前記傾斜アセンブリを収容するようにサイズ設定された容器をさらに備え、前記容器は、前記第1の定着構造および第2の定着構造を備える。
【0044】
一部の例では、剛性フレームは、互いに結合される複数の剛性フレーム部材から形成される。
【0045】
本発明の第4の態様によれば、ポリマー材料層で被覆された圧潰可能な可撓性補強メッシュによって少なくとも部分的に形成された内部容積を取り囲む構造体であって、補強メッシュは、近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成され、各々のフレームは、その中にポリマー材料のそれぞれの部分を含み、そのことによりビューポートを形成する、構造体と、対象者が高圧チャンバの前記内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部とを備える、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバが提供される。
【0046】
本開示のさらに別の態様は、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを提供する。構造体を備える折り畳み可能なチャンバは、少なくとも1つの第1の不透明領域と、少なくとも1つの少なくとも部分的に透明な領域とを備える。第1の領域は、流体不透過性で耐久性のある領域をもたらすように、その側面/面の1つまたは2つの上に第1のポリマー材料で被覆された第1の補強可撓性材料シートを備える。第2の領域は、内層、すなわち、チャンバの内部に面し、可視スペクトルにおいて少なくとも部分的に透明なポリマー材料の第2の層と、第2の補強可撓性材料の繊維の接続ストランドによって形成され、近接したフレーム、すなわち窓状の形状のフレームを規定する、第2の補強可撓性材料の補強メッシュの外層とを備える。各々の第2の領域の第1の層および第2の層は、第1の領域の一部に取り付けられて、一体となって流体不透過性構造体を形成する。チャンバは、対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部をさらに備える。
【0047】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1の補強材料と第2の補強材料は同じである。
【0048】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1の補強材料および第2の補強材料の各々は、Kevlar(アラミドまたはパラアラミド)、ナイロン、ポリエステルおよび超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から独立して選択される。
【0049】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1のポリマー材料と第2のポリマー材料は同じである。
【0050】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1のポリマー材料および第2のポリマー材料の各々は、可撓性かつ空気不透過性である。
【0051】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1のポリマー材料および第2のポリマー材料の各々は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)およびポリ塩化ビニル(PVC)から独立して選択され、好ましくはTPUである。
【0052】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、構造体は円筒形である。すなわち、構造体は、チャンバの円筒部品を形成し、両側から開口している。内部容積を封止して閉じ込めるために、その端部/側面カバーの両方に取り付けることが必要となる。
【0053】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、それぞれの取付部に沿って構造体の両側に取り付けられた2つの構造カバーをさらに備え、そのことにより、2つの構造カバーおよび構造体は、前記内部容積を閉じ込める。
【0054】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、前記2つの構造カバーは、チャンバが膨張したときに半球形状を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、結合部の少なくとも一部に掛け回される1つまたは複数の補強リングをさらに備える。
【0056】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、取付部は、構造体の面のうちの1つの面に掛け回される1つまたは複数の第1の弾性バンドと、構造カバーの面のうちの1つの面に掛け回される1つまたは複数の第2の弾性バンドとを備える。取付部は、複数の縫合パターンをさらに備え、各縫合パターンは、構造体およびそれぞれの構造カバーの全ての面を介して第1のバンドを第2のバンドに縫い合わせる。このタイプの取り付けにより、典型的には、チャンバの最初の欠陥が取付部で起こり、チャンバの爆発ではなくチャンバからの空気の軽度の漏れを引き起こし、そのことがチャンバを安全な状態にする。
【0057】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の弾性バンドは、構造体の外面に掛け回される。
【0058】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、各縫合パターンは、閉じた形状、例えば、円形または任意の閉じた多角形である。
【0059】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1の弾性バンドは、構造体の周囲全体に掛け回される単一のバンドである。
【0060】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第2の弾性バンドは、構造体の周囲に掛け回される単一のバンドである。
【0061】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、構造カバーの面のうちの1つの面に掛け回される1つまたは複数の第2の弾性バンドは、非連続的な取り付けパターンを形成する複数のセグメントである。すなわち、構造カバーおよび/または構造体の内周または外周に複数のセグメントが次々に掛け回される。
【0062】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、空気/酸素流量弁、過圧リリーフ弁、または通気弁のうちの1つまたは複数をさらに備える。
【0063】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、酸素センサ、温度センサ、または圧力センサのうちの1つまたは複数をさらに備える。
【0064】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、封止可能な開口部は、構造体とその周囲との間のガスの通過を防止するように構成された第1のジップファスナをさらに備える。
【0065】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、封止可能な開口部は、ガスによって膨張されたときにチャンバが受ける応力に耐えるように構成された第2のジップファスナをさらに備える。
【0066】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、封止可能な開口部は、第1の領域に位置する。
【0067】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、補強メッシュは、織りメッシュである。
【0068】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、補強メッシュは、からみ織り技術を利用して織られる。
【0069】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、補強メッシュは、メッシュ構造を強固にするために第3のポリマー材料で少なくとも被覆される。典型的には、メッシュは、高温の液化ポリマーに浸漬され、次いで、ポリマーをメッシュ上およびメッシュ内で固化させ、メッシュ構造をより強固にし、チャンバの膨張後でさえ、その所望の構造を維持する。
【0070】
いくつかの実施形態では、第3のポリマー材料は、第1のポリマー材料または第2のポリマー材料と同じである。
【0071】
いくつかの実施形態では、第3のポリマー材料はTPUである。
【0072】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、合成繊維は、芳香族ポリアミド繊維である。
【0073】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1の領域は、カレンダー加工プロセスによって作られる。
【0074】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、対象者を支持するように構成された調整可能な椅子を備える。
【0075】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、調整可能な椅子は、構造体の少なくとも1つの定着点に定着され、椅子は、その位置または傾斜を調整することを可能にするための少なくとも1つのジョイント部を備える。
【0076】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、調整可能な椅子は、その少なくとも一部が内部容積から突出し、そのことによりチャンバを使用する対象者が椅子に容易に着座することができる待機状態と、椅子が内部容積内に完全に収容される動作状態との間で調整されるように構成される。
【0077】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、構造体は、最大約9バールの相対空気圧に耐えるように構成される。
【0078】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、膨張可能な骨格をさらに備え、その膨張時に、構造体を広げ、その展開形状を規定する。
【0079】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、膨張可能な骨格は、2つ以上の長手方向管によって連結された上部膨張可能なトロイドおよび下部膨張可能なトロイドを備え、膨張可能なトロイドは、チャンバの内部容積半径を規定し、膨張可能な管は、内部容積長手方向長さを規定する。
【0080】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、トロイドは、構造体を内部で支持するために内部容積内に配置される。
【0081】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、1つまたは複数の膨張可能な管は、膨張可能なトロイドから延び、膨張可能なトロイドに対して実質的に直交する。
【0082】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、1つまたは複数の膨張可能な管は、少なくとも部分的に、構造体を外部から支持するために、内部容積の外部に延在する。
【0083】
いくつかの実施形態では、高圧チャンバは、第1および第2の領域の一部ならびに構造カバーを取り囲む格子状の補強バンドを備える。
【0084】
本開示のさらに別の態様は、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを提供する。チャンバは、(i)構造体と、(ii)それぞれの取付部に沿って構造体の2つの対向する側/端部に取り付けられ、そのことにより構造体と一体になって内部容積を閉じ込める2つの構造カバーと、(iii)対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部とを備える。取付部は、構造体の面のうちの1つの面に掛け回される1つまたは複数の第1の弾性バンドと、構造カバーの面のうちの1つの面に掛け回される1つまたは複数の第2の弾性バンドとを備える。取付部は、複数の縫合パターンをさらに備え、各縫合パターンは、構造体およびそれぞれの構造カバーの全ての面を介して第1のバンドを第2のバンドに縫い合わせる。
【0085】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の弾性バンドは、構造体の外面に掛け回される。
【0086】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、各縫合パターンは、閉じた形状、例えば、円形または任意の閉じた多角形である。
【0087】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第1の弾性バンドは、構造体の周囲全体に掛け回される単一のバンドである。
【0088】
高圧チャンバのいくつかの実施形態では、第2の弾性バンドは、構造カバーの周囲に掛け回される単一のバンドである。
【0089】
本開示のさらに別の態様は、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持し、チャンバの傾斜調整を可能にするためのアセンブリを提供する。アセンブリは、(i)基部と、(ii)前記基部に結合され、前記高圧チャンバの外面の1つまたは複数の結合位置に結合されるように構成された1つまたは複数のアームとを備える。チャンバの外面に結合される他の結合要素を介した結合は、この定義に包含されることに留意されたい。1つまたは複数のアームは、様々な状態間で調整可能であり、異なるアームの状態の組み合わせが、チャンバの傾斜を規定する。
【0090】
いくつかの実施形態では、アセンブリは、前記結合位置の2つ以上を接続する1つまたは複数の補助アームを備え、そのことにより、正確で、時にはより制限された傾斜調整を可能にする。
【0091】
アセンブリのいくつかの実施形態では、前記1つまたは複数のアームは、1つまたは複数のアーム対を備え、対の各アームは、対の他方のアームの結合位置とは反対側のそれぞれの結合位置に結合される。各対は、典型的には、チャンバの対称回転を形成する同様の方法で調整され、そのことにより、その傾斜に影響を及ぼす。
【0092】
アセンブリのいくつかの実施形態では、前記1つまたは複数のアームは、様々な状態間での前記調整機能を可能にするために、基部に回転可能に結合される。すなわち、アームの回転状態がチャンバの傾斜状態を規定する。
【0093】
アセンブリのいくつかの実施形態では、前記1つまたは複数のアームは、結合位置に回転可能に結合される。
実施形態
【0094】
以下は、本開示の態様に係る任意選択の実施形態およびその組み合わせである。
(1)折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
構造体であり、
ポリマー材料層、および
ポリマー材料層内に埋め込まれ、その間に近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成された補強メッシュ
を備える構造体と、
対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
(2)ポリマー材料は、それを通して可視化を可能にする少なくとも半透明のポリマーである、請求項1に記載の高圧チャンバ。
(3)構造体結合部の両側にしっかりと結合された2つの半球形構造要素をさらに備え、2つの半球形構造要素および構造体が前記内部容積を取り囲む、請求項1または請求項2に記載の高圧チャンバ。
(4)結合部の少なくとも一部に掛け回される1つまたは複数の補強リングをさらに備える、請求項3に記載の高圧チャンバ。
(5)高圧チャンバは、空気/酸素流量弁、過圧リリーフ弁、または通気弁のうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(6)構造体は、酸素センサ、温度センサ、または圧力センサのうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(7)封止可能な開口部は、構造体とその周囲との間のガスの通過を防止するように構成された第1のジップファスナをさらに備える、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(8)封止可能な開口部は、ガスによって膨張されたときにチャンバが受ける応力に耐えるように構成された第2のジップファスナをさらに備える、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(9)封止可能な開口部は、少なくとも部分的に補強メッシュ部上に位置する、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(10)前記ポリマー材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(11)補強メッシュは、からみ織り技術を利用して織られる、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(12)合成繊維は、芳香族ポリアミド繊維である、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(13)補強メッシュは、カレンダー加工プロセスによってポリマー材料内に埋め込まれる、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(14)構造体は、対象者を支持するように構成された調整可能な椅子をさらに備える、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(15)調整可能な椅子は、構造体の少なくとも1つの定着点に定着され、椅子は、その位置または傾斜を調整することを可能にするための少なくとも1つのジョイント部を備える、請求項14に記載の高圧チャンバ。
(16)構造体は、最大約9バールの相対空気圧に耐えるように構成される、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(17)膨張可能な骨格をさらに備え、その膨張時に、構造体を広げ、その展開形状を規定する、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(18)膨張可能な骨格は、2つ以上の長手方向管によって連結された上部膨張可能なトロイドおよび下部膨張可能なトロイドを備え、膨張可能なトロイドは、チャンバの内部容積半径を規定し、膨張可能な管は、内部容積長手方向長さを規定する、請求項17に記載の高圧チャンバ。
(19)トロイドは、構造体を内部で支持するために内部容積内に配置される、請求項18に記載の高圧チャンバ。
(20)1つまたは複数の膨張可能な管は、膨張可能なトロイドから延び、膨張可能なトロイドに対して実質的に直交する、請求項18~請求項19のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(21)1つまたは複数の膨張可能な管は、少なくとも部分的に、構造体を外部から支持するために、内部容積の外部に延在する、請求項18~請求項20のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(22)折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持するための傾斜アセンブリであって、
第1の端部と第2の端部との間に延在し、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバと結合するように構成された細長い支持装置であって、前記折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持するようにサイズ設定されたフレーム筐体を規定する剛性フレームを備える、細長い支持装置と、
傾斜位置の範囲に沿って細長い支持装置の傾斜を制御することを可能にする傾斜機構と
を備える傾斜アセンブリ。
(23)細長い支持装置は、フレーム筐体の少なくとも一部の中にぴったりと収まるように剛性フレームに固定された1つまたは複数の支持シートを備える、請求項22に記載の傾斜アセンブリ。
(24)第1の端部は、第1の定着構造に枢動可能に結合され、傾斜機構は、第1の端部以外の剛性フレームの結合部に枢動可能に結合される、請求項22または請求項23に記載の傾斜センブリ。
(25)結合部は、第1の端部と第2の端部との間で、第2の端部のより近位に規定される、請求項24に記載の傾斜アセンブリ。
(26)傾斜機構は、セグメント結合部において互いに枢動可能に結合された2つのセグメントから形成され、第1のセグメントは、セグメント結合部以外の結合部に結合され、第2のセグメントは、セグメント結合部以外の第2の定着構造に結合される、請求項24または請求項25に記載の傾斜アセンブリ。
(27)傾斜機構は、2つの傾斜位置間で切り替え可能であり、第1の傾斜位置は、剛性フレームによって規定されるフレーム面と水平面との間に選択角度を形成し、第2の傾斜位置では、フレーム面は、水平面と同一平面上にある、請求項26に記載の傾斜アセンブリ。
(28)セグメント結合部は、第2の傾斜位置において地面に係合してさらなる支持をもたらすように構成される、請求項27に記載の傾斜アセンブリ。
(29)前記傾斜アセンブリを収容するようにサイズ設定された容器を備え、前記容器は、前記第1の定着構造および第2の定着構造を備える、請求項26~請求項28のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
(30)剛性フレームは、互いに結合される複数の剛性フレーム部材から形成される、請求項22~請求項29のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
(31)折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
ポリマー材料層で被覆された圧潰可能な可撓性補強メッシュによって少なくとも部分的に形成された内部容積を取り囲む構造体であって、補強メッシュは、その間に近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成され、各々のフレームは、その中にポリマー材料のそれぞれの部分を含み、そのことによりビューポートを形成する、構造体と、
対象者が高圧チャンバの前記内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
(32)折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
構造体であり、
それを通して可視化を可能にする少なくとも半透明のポリマー材料層、および
ポリマー材料層内に埋め込まれ、その間に近接したフレームを規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランドによって形成された補強メッシュ
を備える構造体と、
対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
(33)折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであって、
少なくとも1つの第1の不透明領域と、少なくとも1つの第2の少なくとも部分的に透明な領域とを備える構造体であり、
第1の領域は、流体不透過性の領域をもたらすように、その側面/面の1つまたは2つの上に第1のポリマー材料で被覆された第1の補強可撓性材料シートを備え、
第2の領域は、少なくとも部分的に透明なポリマー材料の第2の内層と、第2の補強可撓性材料の繊維の接続ストランドによって形成され、その間に近接したフレームを規定する、前記第2の補強可撓性材料の補強メッシュの外層とを備え、
各々の第2の領域の第1の層および第2の層は、第1の領域の一部に取り付けられて、一体となって流体不透過性構造体を形成する、構造体と、
対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバ。
(34)第1の補強材料と第2の補強材料は同じである、請求項33に記載の高圧チャンバ。
(35)第1の補強材料および第2の補強材料の各々は、Kevlar(アラミドまたはパラアラミド)、ナイロン、ポリエステルおよび超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から独立して選択される、請求項33または請求項34に記載の高圧チャンバ。
(36)第1のポリマー材料と第2のポリマー材料は同じである、請求項33~請求項35のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(37)第1のポリマー材料および第2のポリマー材料の各々は、可撓性かつ空気不透過性である、請求項33~請求項36のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(38)第1のポリマー材料および第2のポリマー材料の各々は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から独立して選択される、請求項33~請求項37のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(39)構造体は円筒形である、請求項33~請求項38のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(40)それぞれの取付部に沿って構造体の両側に取り付けられた2つの構造カバーを備え、そのことにより、2つの構造カバーおよび構造体は、前記内部容積を閉じ込める、請求項33~請求項39のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(41)前記2つの構造カバーは、チャンバが膨張したときに半球形状を有する、請求項40に記載の高圧チャンバ。
(42)結合部の少なくとも一部に掛け回される1つまたは複数の補強リングをさらに備える、請求項40または請求項41に記載の高圧チャンバ。
(43)取付部は、
構造体の面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第1の弾性バンドと、
構造カバーの面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第2の弾性バンドと、
複数の縫合パターンであって、各縫合パターンは、構造体およびそれぞれの構造カバーの全ての面を介して第1のバンドを第2のバンドに縫い合わせる、縫合パターンと
を備える、請求項40または請求項41に記載の高圧チャンバ。
(44)1つまたは複数の第1の弾性バンドは、構造体の外面に掛け回される、請求項43に記載の高圧チャンバ。
(45)各々の縫合パターンは閉じた形状である、請求項43または請求項44に記載の高圧チャンバ。
(46)第1の弾性バンドは、構造体の周囲全体に掛け回される単一のバンドである、請求項43~請求項45のいずれか一項に記載の高圧チャン。
(47)第2の弾性バンドは、構造カバーの周囲に掛け回される単一のバンドである、請求項43~請求項46のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(48)空気/酸素流量弁、過圧リリーフ弁、または通気弁のうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項33~請求項47のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(49)酸素センサ、温度センサ、または圧力センサのうちの1つまたは複数をさらに備える、請求項33~請求項48のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(50)封止可能な開口部は、構造体とその周囲との間のガスの通過を防止するように構成された第1のジップファスナをさらに備える、請求項33~請求項49のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(51)封止可能な開口部は、ガスによって膨張されたときにチャンバが受ける応力に耐えるように構成された第2のジップファスナをさらに備える、請求項33~請求項50のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(52)封止可能な開口部は、第1の領域に位置する、請求項33~請求項51のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(53)補強メッシュは、織りメッシュである、請求項33~請求項52のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(54)補強メッシュは、からみ織り技術を利用して織られる、請求項53に記載の高圧チャンバ。
(55)補強メッシュは、メッシュ構造を強固にするために第3のポリマー材料で被覆される、請求項53または請求項54に記載の高圧チャンバ。
(56)合成繊維は、芳香族ポリアミド繊維である、請求項33~請求項55のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(57)第1の領域は、カレンダー加工プロセスによって作られる、請求項33~請求項56のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(58)対象者を支持するように構成された調整可能な椅子をさらに備える、請求項33~請求項57のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(59)調整可能な椅子は、構造体の少なくとも1つの定着点に定着され、椅子は、その位置または傾斜を調整することを可能にするための少なくとも1つのジョイント部を備える、請求項58に記載の高圧チャンバ。
(60)調整可能な椅子は、その少なくとも一部が内部容積から突出する待機状態と、椅子が内部容積内に完全に収容される動作状態との間で調整されるように構成される、請求項58または請求項59に記載の高圧チャンバ。
(61)構造体は、最大約9バールの相対空気圧に耐えるように構成される、請求項33~請求項60のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(62)膨張可能な骨格をさらに備え、その膨張時に、構造体を広げ、その展開形状を規定する、請求項33~請求項61のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(63)膨張可能な骨格は、2つ以上の長手方向管によって連結された上部膨張可能なトロイドおよび下部膨張可能なトロイドを備え、膨張可能なトロイドは、チャンバの内部容積半径を規定し、膨張可能な管は、内部容積長手方向長さを規定する、請求項62に記載の高圧チャンバ。
(64)トロイドは、構造体を内部で支持するために内部容積内に配置される、請求項63に記載の高圧チャンバ。
(65)1つまたは複数の膨張可能な管は、膨張可能なトロイドから延び、膨張可能なトロイドに対して実質的に直交する、請求項63~請求項64のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(66)1つまたは複数の膨張可能な管は、少なくとも部分的に、構造体を外部から支持するために、内部容積の外部に延在する、請求項63~請求項65のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(67)第1および第2の領域の一部を取り囲む格子状の補強バンドを備える、請求項33~請求項65のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(68)折り畳み可能な膨張式高圧チャンバであり、
構造体と、
それぞれの取付部に沿って構造体の2つの対向する側/端部に取り付けられ、そのことにより構造体と一体になって内部容積を閉じ込める2つの構造カバーと、
対象者が高圧チャンバの内部容積に出入りすることを可能にするための封止可能な開口部と
を備える高圧チャンバであって、
取付部は、
構造体の面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第1の弾性バンドと、
構造カバーの面のうちの1つに掛け回される1つまたは複数の第2の弾性バンドと、
複数の縫合パターンであって、各縫合パターンは、構造体およびそれぞれの構造カバーの全ての面を介して第1のバンドを第2のバンドに縫い合わせる、縫合パターンと
を備える、高圧チャンバ。
(69)1つまたは複数の第1の弾性バンドは、構造体の外面に掛け回される、請求項68に記載の高圧チャンバ。
(70)各々の縫合パターンは閉じた形状である、請求項68または請求項69に記載の高圧チャンバ。
(71)第1の弾性バンドは、構造体の周囲全体に掛け回される単一のバンドである、請求項68~請求項70のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(72)第2の弾性バンドは、構造カバーの周囲に掛け回される単一のバンドである、請求項68~請求項71のいずれか一項に記載の高圧チャンバ。
(73)折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持し、チャンバの傾斜調整を可能にするためのアセンブリであり、
基部と、
前記基部に結合され、前記高圧チャンバの外面の1つまたは複数の結合位置に結合されるように構成された1つまたは複数のアームと
を備えるアセンブリであって、
前記1つまたは複数のアームは、様々な状態間で調整可能であり、異なるアームの状態の組み合わせがチャンバの傾斜を規定する、アセンブリ。
(74)前記結合位置の2つ以上を接続する1つまたは複数の補助アームを備える、請求項73に記載のアセンブリ。
【0095】
本明細書に開示される主題をよりよく理解するために、そして実際に実施することができる方法を例示するために、添付図面を参照しながら、単なる非限定的な例として実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1】本開示の主題に係る、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの概略図である。
【
図2A】
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの正面図である。
【
図2B】
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの背面図である。
【
図2C】
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの膨張式拡張構造の概略図である。
【
図2D】
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの膨張式拡張構造の概略上面図である。
【
図3A】
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの垂直断面図である。
【
図3B】
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの調整可能な椅子の概略図である。
【
図4A】
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの補強メッシュの画像である。
【
図4B】
図1および
図4Aに示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバの補強メッシュの概略図である。
【
図4C】補強メッシュ内に規定されたビューポートに圧力が加えられたときの補強メッシュの縦断面概略図である。
【
図5A】本開示の主題に係る、
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持するように構成された傾斜アセンブリの概略図である。
【
図5B】本開示の主題に係る、
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバおよび/または
図5Aに示す傾斜アセンブリを収容するように構成された容器の概略図である。
【
図5C】本開示の主題に係る、第1の例示的な傾斜位置にある
図5Aに示す傾斜アセンブリの側面概略図である。
【
図5D】本開示の主題に係る、第2の例示的な傾斜位置にある
図5Aに示す傾斜アセンブリの側面概略図である。
【
図6】本開示の一態様に係る、高圧チャンバの一実施形態の概略図である。
【
図7】
図7A~
図7C。椅子の展開状態と格納状態との間の状態遷移を用いて、対象者がチャンバに入る様子を例示する概略図である。
【
図8】構造カバーと構造体との取り付けを例示する図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9B。折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持し、チャンバの傾斜調整を可能にするためのアセンブリの例示的な実施形態の異なる角度から見た概略図である。
図9Aは側面図であり、
図9Bは正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下の発明を実施するための形態において、本開示の主題を十分に理解することができるように、多くの具体的詳細を説明する。しかしながら、本開示の主題がこれらの具体的詳細なしに実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の例では、本開示の主題を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素を詳細に説明していない。
【0098】
記載されている図面および説明において、同一の参照番号は、異なる実施形態または構成に共通する構成要素を示す。さらに、説明を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていないことが理解されよう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0099】
本明細書で使用される場合、「例えば(for example)」、「など(such as)」、「例として(for instance)」という語句およびその変形は、本開示の主題の非限定的な実施形態を説明する。本明細書における「1つの例」、「一部の例」、「他の例」、またはそれらの変形の言及は、実施形態(複数可)に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つの例」、「一部の例」、「他の例」という語句またはその変形の記述は、必ずしも同じ実施形態(複数可)を指すとは限らない。
【0100】
特に明記しない限り、明確にするために別々の実施形態の文脈において説明される本開示の主題の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために1つの実施形態の文脈において説明される本開示の主題の様々な特徴は、別々にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0101】
本開示の主題の特定の実施形態によれば、とりわけ、再生および治療目的の高圧酸素環境を内部に提供するための折り畳み可能な膨張式高圧チャンバが提供される。
【0102】
このことを念頭に置いて、本開示の主題に係る折り畳み可能な膨張式高圧チャンバ100の概略図である
図1について説明する。
【0103】
折り畳み可能な膨張式高圧チャンバ100(本明細書では「チャンバ」とも呼ばれる)は、その上に形成された封止可能な開口部302(
図3Aに示す)を有する構造体102と、2つの半球形構造要素104と、膨張式展開構造106とを含み、これらは全てチャンバ100を形成するように一体化される。
【0104】
本開示の主題の特定の実施形態によれば、構造体102は、ガスで膨張されると、実質的に筒状形状を有する。それは、
図1に示されるように、実質的に筒状形状を形成するように縁部でしっかりと結合された(例えば、縫合され、溶接された)可撓性材料の2つのセグメントによって形成され得る。可撓性材料の第1のセグメントは、チャンバ100の後部204を形成することができ、可撓性材料の第2のセグメントは、チャンバ100の前部202を形成することができる。前記前部202および後部204はそれぞれ、
図2Aおよび
図2Bで最も詳細に示されている。非限定的な例として、第1のセグメントの可撓性材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)でその両面が被覆されたKevlar(登録商標)織布であり得る。このような構成により、加圧環境(例えば、最大10[気圧]の圧力環境)において必要とされる高い引張強度を有する軽量セグメントが実現される。高い引張強度は、例えば、約180[メガパスカル]の長手方向応力および約360[メガパスカル]のフープ応力に耐えるものであり得る。別の例では、わずか5cmの織布が、約1.8トンのフープ力および約0.9トンの長手方向の力を受けることができる。
【0105】
チャンバ100の前部202を形成し得る可撓性材料の第2のセグメントは、ポリマー材料層109(
図4に最も詳細に示されている)内に埋め込まれた補強メッシュ108(本明細書では「メッシュ」とも呼ばれる)から作製され得る。メッシュ108は、近接したフレーム112(
図4に最も詳細に示されている)を規定する1つまたは複数の合成繊維の接続ストランド110から形成される。近接したフレーム112は、(例えば、チャンバ100のオペレータおよび/または医療従事者がチャンバ内部の患者を見るために、およびその逆も同様に)それを通して可視化を可能にするために窓として使用されるチャンバ100のビューポートとしての機能を果たしている。この目的のために、メッシュを形成するために使用されるポリマー材料層は、それを通して可視化を可能にする少なくとも半透明(例えば、可視スペクトルに関して)ポリマーであり得る。ポリマーは、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TU)であり得る。
図4は、チャンバ100内部に位置する対象者から見えるような例示的な補強メッシュ108(その一部)の画像である。
図4に示すように、メッシュ108の接続ストランド110間の空間に形成されたポリマー材料層は、それを通して可視化を可能にする。メッシュ108のこのような構成は、圧力下のビューポート112の潜在的不良を防止する。非限定的な例として、メッシュ108の構成は、1mmよりも大きい厚さを有するストランドと、サイズが15×15mmのビューポート112とから形成され得る。
【0106】
ストランドを形成する合成繊維は、非限定的な例として、芳香族ポリアミド材料(アラミド繊維(例えば、Kevlar(登録商標)繊維、Nomex(登録商標)繊維など)としても知られている)から作製され得る。他の例では、他の材料および/またはそれらの組み合わせを使用して合成繊維を作製することができることに留意されたい。
【0107】
チャンバ100は、軽量で可撓性の材料(例えば、本明細書に記載されるような)で作製され、折り畳まれたチャンバを収容するようにサイズ設定され成形された容器を示す
図5Bに関して本明細書において任意に後述するように、小さい容積に折り畳むことができることに留意されたい。
【0108】
一部の例では、メッシュ108は、当業者に周知のからみ織り技術を利用して織られ得、このことにより、補強メッシュ108構造の幾何学的安定性を可能にする。すなわち、メッシュは、高圧下(例えば、10気圧)で実質的に変形せず、崩潰しない。
【0109】
一部の例では、補強メッシュ108は、カレンダー加工プロセスによってポリマー材料内に埋め込まれ得る。
【0110】
チャンバ100は、構造体102の両側にその結合部114でしっかりと結合される(例えば、縫合され、溶接される)2つの可撓性半球形構造要素104を含む。2つの半球形構造要素104および構造体102は、チャンバ100の内部容積を取り囲んでいる。前記内部容積に、対象者が封止可能な開口部302を通って出入りすることができる。非限定的な例として、可撓性半球形構造要素104は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)でその両面が被覆されたKevlar(登録商標)織布のような可撓性材料から作製され得る。一部の例では、封止可能な開口部302は、構造体102(例えば、内部容積)とその周囲との間のガス通過を防止するように構成された第1のジップファスナを含み得る。一部の他の例では、封止可能な開口部302は、加圧ガスによって膨張されたときにチャンバ100が受ける応力に耐えるように構成された第2のジップファスナを含み得る。ジップファスナを利用することは、決して限定的ではなく、本明細書の教示は、必要により修正を加えて、任意の他の封止技術および/または締結技術(例えば、バックルファスナ)および/またはそれらの組み合わせを利用して実施され得ることに留意されたい。
【0111】
本開示の主題の特定の実施形態によれば、封止可能な開口部302は、チャンバ100の前部202を形成し得る可撓性材料の第2のセグメント上に位置し得る。すなわち、封止可能な開口部302は、補強メッシュ108全面に形成され得る。このような構成により、内部容積に対する対象者の好都合な進入および退出が可能になる。一部の例では、封止可能な開口部302の少なくとも一部がメッシュ108上に形成され得る。すなわち、封止可能な開口部302は、メッシュ108部から構造体102の後部まで延在し得る。
【0112】
一部の例では、チャンバ100は、チャンバ100の結合部114の少なくとも一部に掛け回される1つまたは複数の補強リング118をさらに含み得る。前記補強リング118は、半球形構造要素104が構造体102に接続される領域に追加の円周方向の封止層を提供するように構成される。非限定的な例として、補強リング118は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)でその両面が被覆されたKevlar(登録商標)織布から作製され得る。
【0113】
本開示の主題の特定の実施形態によれば、チャンバ100は、約10気圧の最大作動ガス圧力で動作し得る(すなわち、チャンバ100は、約10気圧の内部ガス圧力を維持し得る)。したがって、構造体102は、最大約9バールの相対空気圧(例えば、チャンバ100の内部容積とその周囲圧力(例えば、典型的には約1気圧である海面の圧力など)との間の相対圧力)に耐えるように構成される。
【0114】
一部の例では、チャンバ100は、空気/酸素流量弁、過圧リリーフ弁、または通気弁のうちの1つまたは複数をさらに含み得る。例えば、通気弁は、チャンバ100内部のガスを30リットル/分の速度で通気するように構成され得る。一部の例では、前記1つまたは複数の弁は、チャンバ100の構造体102の部分に位置し得る。さらに、チャンバ100は、とりわけ、1つまたは複数の弁の動作(例えば、開閉)を自動的に制御し、対象者がチャンバ100の内部にいる間に着用し得るフードまたはマスク(適用可能な場合)への酸素供給を調節するなどの機能を果たすように構成された制御パネルをさらに含み得る。
【0115】
一部の例では、チャンバ100は、チャンバ100の構造体102の部分に位置し得る1つまたは複数のセンサ(例えば、酸素センサ、温度センサ、または圧力センサなどであるが、これらに限定されない)をさらに含み得る。制御パネルは、1つまたは複数のセンサからの読み取り値に基づいて、1つまたは複数の弁の動作を制御するように構成され得る。一部の例では、1つもしくは複数の弁および/またはセンサは、手動で操作されてもよい。
【0116】
チャンバ100の膨張可能な展開構造106(本明細書では「骨格」とも呼ばれる)は、
図2Cに別個に示されている。
図2Cに示すように、骨格106は、2つの膨張可能なトロイド206(例えば、上部膨張可能なトロイドおよび下部膨張可能なトロイド)から形成され得、2つの膨張可能なトロイド206は、それらの間に延在し、それらに実質的に直交する2つの膨張可能な管204により離間される。2つの膨張可能な管204は、長手方向軸に沿って延び、それらの長さは、骨格106の高さを規定し、膨張可能なトロイド206の半径は、骨格106の半径方向寸法を規定する。骨格106は、チャンバ100が加圧ガスで膨張される前および膨張された後に、膨張してチャンバ100を拡張させ、支持してその実質的に筒状の形状を維持することができる(すなわち、膨張可能な骨格は、その膨張時に、構造体102を広げ、その展開形状を規定することができる)。さらに、骨格106は、高圧治療を開始する前および治療を完了した後に、チャンバ100に対する対象者の好都合な出入りを可能にする。膨張可能な管204は、膨張可能なトロイド206に、それらの周囲に沿った任意の位置で接続され得る。例えば、膨張可能な管204は、膨張可能なトロイド206に、所定の角度(例えば、120度などであるが、これに限定されない)を規定する位置で接続され得る。このような例示的な構成は、
図2Cおよび
図2Dに示されている。このようにして、膨張可能な管204は、対象者がチャンバ100内部に位置している間、対象者の視野を妨げない。例えば
図1に示されるように、トロイドは、構造体102を内部で支持するためにチャンバ100の内部容積内に配置され得る。一部の例では、トロイドは、構造体102を外部から支持するためにチャンバ100の外側に配置され得る。さらに、1つまたは複数の膨張可能な管204は、少なくとも部分的に、構造体102を外部から支持するために、内部容積の外部に延在し得る。一部の例では、1つまたは複数の膨張可能な管204は、構造体102を内部で支持するために、内部容積に沿って内部に延在し得る。
【0117】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、構造体102は、チャンバ100内部での高圧治療中に対象者を支持するように構成された調整可能な椅子120をさらに含み得る。椅子120は、背もたれ部304、座部306、およびフットレスト延長部308を含み得、これらは全て、調整可能な椅子120を形成するように一体化される。背もたれ部304は、第1のジョイント部312を介して座部306に枢動可能に接続され得、そのことにより、各々が第1のジョイント部312を中心として回転され得る。さらに、調整可能な椅子120は、背もたれ部304の角度調整を可能にするように構成された背もたれ支持部材318を含み得る。このために、背もたれ支持部材318は、第2のジョイント部314を介して背もたれ部304に枢動可能に接続され、第2のジョイント部314を中心として回転され得る。フットレスト延長部308は、第3のジョイント部318を介して座部306に枢動可能に接続され、そのことにより、各々が第3のジョイント部318を中心として回転され得る。
【0118】
調整可能な椅子120のこのような構成は、1つまたは複数のリラックスしたリクライニング位置(チャンバ100内部での高圧治療の前および/または最中に調整され得る)間の自由な動きを対象者に提供することができる。これは、1つまたは複数の調整可能な椅子120の部分(例えば、背もたれ部304、座部306、フットレスト延長部308、および/または背もたれ支持部材318)を、それぞれのジョイント部(例えば、第1のジョイント部312、第2のジョイント部314、および/または第3のジョイント部318)を中心として回転させることによって実現され得、その結果、それぞれの調整可能な椅子の部分の位置または傾斜を調整することができる。
【0119】
一部の例では、調整可能な椅子120は、構造体102における少なくとも1つの定着点、例えば定着点316に定着され得る。このことにより、チャンバ100が地面に対して実質的に垂直な位置および/または傾斜(例えば、
図1、
図2A、
図2Bおよび
図3Aに示すような実質的に垂直な位置)にあるときに、椅子120をチャンバ100に固定し、その動き(例えば、摺動、落下など)を防止することができる。
【0120】
各々の調整可能な椅子120部分(例えば、背もたれ部304、座部306、フットレスト延長部308、および/または背もたれ支持部材318)は、それぞれの圧延パイプフレームで形成され得る。例えば、
図3Bに示すように、背もたれ部304およびフットレスト延長部308のフレーム320、322である。調整可能な椅子120の部分のいくつか(例えば、背もたれ部304、座部306、およびフットレスト延長部308)は、それぞれのフレーム筐体の少なくとも一部分の中にぴったりと収まるように構成されたそれぞれの織物シートをさらに含み得る。例えば、
図3Bに示すように、背もたれ部304およびフットレスト延長部308の織物シート324、326である。一部の例では、織物シートは、調整可能な椅子120全体にわたって延在し、それぞれのフレーム筐体によって境界が定められる1つの連続シートであり得る。
【0121】
圧延パイプフレームのこのような構成は、構造体102の実質的に筒状の形状と一体化され、そのことにより、構造体102に加わる圧力または張力を分散させる、構造体102との連続接触線を形成し得る。
【0122】
本開示の主題の特定の実施形態によれば、高圧治療の完了時に、調整可能な椅子120は、構造体102から手動で取り外され、コンパクトな可搬構成に素早く折り畳むことができ、逆もまた同様である。
【0123】
図5Aを参照すると、本開示の主題に係る、
図1に示す折り畳み可能な膨張式高圧チャンバ100を支持するように構成された傾斜アセンブリ500の概略図が示されている。
【0124】
傾斜アセンブリ500は、細長い支持装置502と傾斜機構506とを含む。細長い支持装置502は、その第1の端部508と第2の端部510との間に延在し、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバ100(例えば、
図1に示す)と結合するように構成される。支持装置502は、チャンバ100が結合されている間にチャンバ100を支持するようにサイズ設定されたフレーム筐体を規定する剛性フレーム504を含む。一部の例では、支持装置502は、1つまたは複数の支持シート512をさらに含む。シート512は、剛性フレーム504に固定され、フレーム筐体の少なくとも一部の中にぴったりと収まるように構成され得る。前記支持シート512は、本明細書でさらに詳細に説明するように、とりわけ、チャンバ100の傾斜角を変化させる間、チャンバ100を支持するように構成される。非限定的な例として、シート512は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)でその両面が被覆されたKevlar(登録商標)織布のような可撓性材料から作製され得る。他の織布および/または織物材料を使用して支持シート512を作製することができることに留意されたい。 一部の例では、剛性フレーム504は、支持シート512の代わりに、剛性フレーム504に固定され、チャンバ100が剛性フレーム504に結合されている間にチャンバ100を支持するために剛性フレーム504の中にぴったりと収まるように構成され得る剛性円弧状部を含み得る(例えば、チャンバ100は、剛性フレーム504および/または円弧状部に固定され得る)。非限定的な例として、円弧状部は、
図3Aに示す定着点316に結合され得るように、剛性フレーム504上に位置し得る。
【0125】
支持シート512を利用することは、決して限定的ではなく、本明細書の教示は、必要により修正を加えて、任意の他の支持手段および/または技術を利用して実施され得ることに留意されたい。
【0126】
一部の例では、剛性フレーム504は、互いに結合される複数の剛性フレーム部材514から形成され得る。すなわち、剛性フレーム504は、複数の剛性フレーム部材514を互いに接続することによって組み立てられまたは分解されて、フレーム504を形成することができる。非限定的な例として、フレーム部材514は、チャンバ100の中に対象者が入っている間にチャンバ100の重量に耐えるように構成された炭素棒であり得る。
【0127】
傾斜機構506は、細長い支持装置502の傾斜を制御することを可能にし、そのことにより、チャンバ100が細長い支持装置502に結合されたときに、傾斜位置の範囲に沿ってチャンバ100の傾斜を制御することを可能にする。例えば、
図5Cは、細長い支持装置502が地表面と70度の角度を成す第1の例示的な傾斜位置を示す。第1の傾斜位置は、例えば、調整可能な椅子120が着座位置(例えば、
図3Aに示すような)に構成されているときに利用され得る。
図5Dは、細長い支持装置502が地表面と0度の角度を成す第2の例示的な傾斜位置を示す。第2の傾斜位置は、例えば、調整可能な椅子120がリクライニング位置(例えば、背もたれ部304、座部306、フットレスト延長部308、および背もたれ支持部材318が実質的に均一な表面を形成する位置(図面には示されていない))に構成されているときに利用され得る。
【0128】
細長い支持装置502の傾斜位置の変更を可能にするために、その第1の端部508は、第1の定着構造516に(例えば、2つの剛性フレーム部材514を結合することによって)枢動可能に結合され得る。さらに、傾斜機構506は、第1の端部508以外の剛性フレーム504の結合部に枢動可能に結合され得る。そのためには、結合部は、剛性フレーム504の第1の端部508と第2の端部510との間に、一部の例では、第2の端部510のより近位に(例えば、
図5A、
図5C、および
図5Dに示すように)規定され得る。
【0129】
一部の例では、傾斜機構506は、セグメント結合部522において互いに枢動可能に結合された2つのセグメント518、520から形成され得る。第1のセグメント518は、セグメント結合部522以外の剛性フレーム504の結合部に枢動可能に結合され得る。第2のセグメント520は、セグメント結合部522以外の第2の定着構造524に枢動可能に結合され得る。このような構成は、
図5C~
図5Dに関して本明細書でさらに詳細に後述するように、セグメント518、520のそれぞれの結合部を中心とした各々の回転を可能にする。
【0130】
図5Bは、本開示の主題に係る、少なくとも折り畳み可能な膨張式高圧チャンバ100または傾斜アセンブリ500を収容するように構成された例示的な容器600を示す。そのためには、容器600は、チャンバ100もしくは傾斜アセンブリ500、またはその両方を収容するようにサイズ設定される。一部の例では、2つ以上の容器600が利用され得る(例えば、1つの容器がチャンバ100を収容し、第2の容器が傾斜アセンブリ500を収容することができる)。したがって、傾斜アセンブリ500およびチャンバ100は、運搬および/またはコンパクトな保管のために、その全ての部品を1つまたは複数の容器の内部に配置することができるように、分解可能および/または折り畳み可能である。このことは、高圧治療が必要とされる遠隔地へのチャンバ100の可搬性を容易にする。一部の例では、容器600は、車のトランクの内部に収まるようにサイズ設定され得る。さらに、傾斜アセンブリ500およびチャンバ100は、必要なときに組み立てられ、および/または展開され得る。したがって、チャンバ100は、例えば、数十回、数百回、さらには数千回も繰り返して組み立て可能および分解可能である。
【0131】
本開示の主題の特定の実施形態によれば、容器600は、前述の結合を可能にするように構成された第1の定着構造516および第2の定着構造524を含み得る。
【0132】
次に、本開示の主題に係る、第1の例示的な傾斜位置および第2の例示的な傾斜位置にある傾斜アセンブリ500の側面図である
図5Cおよび
図5Dについて説明する。
【0133】
一部の例では、傾斜機構506は、2つの傾斜位置間で切り替え可能であり得る。つまり、
(a)第1の傾斜位置(例えば、
図5Cに示すような)では、細長い支持装置502は、剛性フレーム504によって規定されるフレーム面と水平面(例えば、容器600の平面)との間の選択角度を形成することができる。
図5Cは、フレーム504と水平面との間に70度の角度が形成される第1の例示的な傾斜位置を示す。
(b)第2の傾斜位置(例えば、
図5Dに示すように)では、細長い支持装置502は、水平面と同一平面上にある。
図5Dは、フレーム504と水平面との間に0度の角度が形成される第2の例示的な傾斜位置を示す。一部の例では、セグメント結合部522は、第2の傾斜位置において地面に係合するように構成され得る。このような構成は、第2の傾斜位置において、細長い支持装置502にさらなる支持をもたらす。
【0134】
一部の例では、傾斜機構506は、本明細書に記載の教示を実行するように構成された空気圧ピストンであり得る。
【0135】
次に、本開示の一態様に係る、高圧チャンバの一実施形態の概略図である
図6について説明する。チャンバ650は、2つの異なる領域タイプから形成された構造体652を備える。第1の領域654は、非透明であり、第1の補強可撓性材料656シートと、高圧に耐えるのに適した、流体不透過性領域をもたらすように第1の補強可撓性材料656の面のうちの2つに掛け回される第1のポリマー材料658とを備える。第2の領域660は、第2のポリマー材料662の内層と、第2の補強可撓性材料の繊維の接続ストランドによって形成され、近接したフレームを規定する、前記第2の補強可撓性材料の補強メッシュ664の外層とを備える。第1の領域は、第1の領域の一部に溶接される。第2の領域は、第1の領域の切断部分内に埋め込まれることが理解され得る。
【0136】
封止可能な開口部666が構造体652に形成され、対象者が高圧チャンバ650の内部容積に出入りすることを可能にするための少なくとも1つのジッパー668で形成される。
【0137】
構造体は、膨張状態では円筒形であり、構造体652に縫い付けられた2つの対向する構造カバー670によって封止される2つの対向する開口部を有する。
【0138】
格子状の補強バンド672は、構造体の外面および構造カバーを取り囲み、チャンバにさらなる耐久性をもたらし、その結果、チャンバは、その内部と周囲圧力との非常に高い圧力差に耐えることができる。
【0139】
椅子674は、構造体652および構造カバー670によって閉じ込められたチャンバの内部容積676内に収容される。椅子674は、いくつかの着座状態をとるように調整され得る。これは、それぞれの軸を中心として回転可能な椅子要素を調整することによって行われる。
【0140】
次に、対象者がチャンバに入る様子を例示する概略図である
図7A~
図7Cについて説明する。
図7Aでは、チャンバ内の椅子774は、展開位置に移動され、その一部は、チャンバの内部容積の外側にある。このことにより、
図7Cに示されるように、プラットフォームを介してまたはプラットフォームなしでチャンバに入る対象者にとって、椅子への着座が比較的容易になる。対象者が椅子に座ると、
図7Bの矢印で例示されるように、椅子は格納位置に移動され得る。格納位置になると、チャンバの封止可能な開口部は封止され、チャンバは加圧され得る。
【0141】
次に、構造カバーのうちの1つと構造体との取り付けを例示する図である
図8について説明する。構造体880と構造カバー882とは、構造体880の周囲と構造カバー882の周囲の一部とに形成された取付部884を介して互いに取り付けられる。この非限定的な例では、第1の弾性バンド886が構造体880の外面に掛け回され、1つまたは複数の第2の弾性バンド888の複数のセグメントが構造カバー882の外面に掛け回される。第1および第2の弾性バンド886、888は、周囲に沿って縫合パターン890によって互いに縫合される。この非限定的な例では、構造カバー882は内層を形成し、構造体880は外層を形成する。この取付技術は、高圧チャンバの任意の実施形態または態様に適用され得、任意の特定の実施形態または態様に限定されないことに留意されたい。
【0142】
次に、折り畳み可能な膨張式高圧チャンバを支持し、チャンバの傾斜調整を可能にするためのアセンブリの例示的な実施形態の異なる角度から見た概略図である
図9A~
図9Bについて説明する。アセンブリ951は、地面/床に置かれることが意図された基部953を備える。2対のアーム955A、955Bは、基部をチャンバ957の外面に形成された結合位置に結合する。各対は、チャンバ957の構造体959の概ね対向する側に結合するアームを有する。各アームは、アームの回転位置がチャンバ957の傾斜状態、すなわち、地面に対するチャンバの角度αを規定するように、基部953に回転可能に結合される。チャンバの同じ側にある2つのアームは、結合位置を介して補助アームによって接続される。
【0143】
本開示の主題は、その適用において、本明細書に含まれる説明に記載された詳細、または図面に示された詳細に限定されないことを理解されたい。本開示の主題は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施および実行可能である。したがって、本明細書に使用されている表現および用語は、説明目的で使用されており、限定的な意味としてとらえるべきではないことを理解されたい。したがって、当業者は、本開示に係る概念が、本開示の主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。
【国際調査報告】