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特表2024-530631浮体式風力タービンプラットフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】浮体式風力タービンプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20240816BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20240816BHJP
   B63B 39/03 20060101ALI20240816BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20240816BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63B35/44 Z
B63B39/03 Z
F03D13/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506168
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 NO2022050183
(87)【国際公開番号】W WO2023009010
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】2110980.6
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524040203
【氏名又は名称】アーカー オフショア ウインド オペレーティング カンパニー エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フェラオ,ジョージ カンポス アントゥネス
(72)【発明者】
【氏名】ストーレン,シメン フォドゥスタッド
(72)【発明者】
【氏名】ローケン,ロルフ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD61X
(57)【要約】
ハル(101)と風力タービンタワー(102)とを備える浮体式風力タービンプラットフォーム(100)を本明細書に記載する。ハル(101)は、ポンツーンベース(120)と、ポンツーンベース(120)と一体に形成された第1のコラム(110)、第2のコラム(111)、及び第3のコラム(112)と、を備え、風力タービンタワー(102)は、第1のコラム(110)に固定され、第1のコラム(110)から上方に延びている。ポンツーンベース(120)と、第1のコラム(110)、第2のコラム(111)、及び第3のコラム(112)とは、実質的にコンクリートで形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式風力タービンプラットフォーム(100)であって、
ハル(101)と、
風力タービンタワー(102)と、を備え、
前記ハル(101)は、ポンツーンベース(120)と、前記ポンツーンベース(120)と一体に形成された第1のコラム(110)、第2のコラム(111)、及び第3のコラム(112)と、を備え、
前記風力タービンタワー(102)は、前記第1のコラム(110)に固定されており、かつ前記第1のコラム(110)から上方に延びており、
前記ポンツーンベース(120)と、前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)とは、実質的にコンクリートで形成されている、
前記浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項2】
前記ポンツーンベース(120)は略三角形状であり、かつ前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)は、前記ベース(120)のそれぞれのコーナー部(120a~120c)に配置されている、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項3】
前記ベース(120)は、前記コーナー部(120a~120c)の間に延びる3つの実質的にまっすぐな細長いポンツーン部材(120d~120f)を備える、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項4】
前記細長いポンツーン部材(120d~120f)の各々は、それを通って延び、かつその長手方向の軸に平行な、張力をかけられたケーブルを備える、請求項3に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項5】
前記風力タービンタワー(102)は、前記第1のコラム(110)から上方に延びており、前記風力タービンタワー(102)の中心軸(130)は、前記第1のコラム(110)の垂直中心軸(131)と一致するか、または前記第1のコラム(110)の垂直中心軸(131)から離れてそれに平行である、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項6】
前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)は、前記ポンツーン部材(120d~120f)を介してのみ構造的に接続されており、例えば、前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)は、設計上の稼働喫水(D1)より上においてそれらの間に耐荷重接続部を有していない、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項7】
前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)は、円筒形状を有する、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項8】
前記第1のコラム(110)は、垂直軸に沿って一定の断面積を有する第1の部分(110a)と、前記垂直軸に沿って減少する断面積を有する第2の部分(110b)と、を有する、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項9】
前記第2の部分(110b)は、円錐台の形状である、請求項8に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項10】
前記第1の部分(110a)は、前記プラットフォーム(100)のベース(120)から設計上の稼働喫水(D1)より上の高さまで延在する、請求項8または9に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項11】
前記第2の部分は、金属製の円錐台を含む、請求項8~10のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項12】
タービンタワー接続機構を少なくとも部分的に前記第1のコラム(110)の内部に備える、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項13】
前記細長いポンツーン部材(120d~120f)は、その長手方向の延長部において矩形の断面を有する、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項14】
前記ハル(101)はバラスト機構を備え、前記バラスト機構は、前記ポンツーンベース(120)内に配置された第1のバラスト区画(140)と、前記第1のコラム(110)内に及び/または前記第1のコラム(110)の下にあるハル(101)コーナー部(120a)内に配置された第2のバラスト区画(142)と、を備え、例えば、前記第1のバラスト区画(140)は、前記第1のコラム(110)及び/または前記コーナー部(120a)の反対側に配置されたポンツーン部材(120e)内に配置されている、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項15】
前記ポンツーンベース(120)は、3つの細長いポンツーン部材(120d~120f)を備え、前記バラスト機構の前記第1のバラスト区画(140)は、前記ポンツーン部材(120d~120f)のうちの1つの中に配置されたバラストタンクを備え、前記第2のバラスト区画(142)はベースユニットを備え、前記ベースユニットは、前記第1のコラム(110)のベースに及び/または前記第1のコラム(110)の下にあるハル(101)コーナー部(120a)内に配置されたバラストタンクを備える、請求項14に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項16】
前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)の各々は、そのベースに配置されたベースユニットを備える、請求項15に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項17】
前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)の中にある前記ベースユニットの各々は、前記第1のコラム(110)、前記第2のコラム(111)、及び前記第3のコラム(112)から切り離し可能である、請求項16に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項18】
前記第1のバラスト区画(140)は、前記第2のバラスト区画(142)と流体連通している、請求項14~17のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項19】
前記ポンツーンベースは、3つの細長いポンツーン部材(120d~120f)を備え、前記第1のバラスト区画は、前記ポンツーン部材(120d~120f)の1つの全長に沿って配置されている、請求項14~18のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項20】
前記ポンツーンベースは、3つの細長いポンツーン部材(120d~120f)を備え、前記第1のバラスト区画は、前記ポンツーン部材(120d~120f)の2つの長さの一部に沿って延在する、請求項14~19のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項21】
前記ポンツーンベースは、3つの細長いポンツーン部材(120d~120f)を備え、前記第1のバラスト区画は、前記ポンツーン部材(120d~120f)の前記1つの全長に沿って、かつそれに隣接する2つのポンツーン部材(120d~120f)の近位端部の一部に沿って延在する、請求項14~20のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項22】
前記細長いポンツーン部材(120d~120f)の各々は、その幅と高さの比が1より大きいか、1.2より大きいか、または1.4より大きい、いずれかの先行請求項に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項23】
浮体式風力タービンプラットフォーム(100)を建設する方法であって、
ポンツーンベース(120)と、一体に形成された第1のコラム(110)、第2のコラム(111)、及び第3のコラム(112)と、を備える風力タービンハル(101)を実質的にコンクリートで形成することと、
前記風力タービンハル(101)を水域に配置し、その前記第1のコラムに風力タービンタワー(102)を接続して前記第1のコラムから上方に延びるようにすることと、
前記風力タービンタワー(102)が接続された前記風力タービンハル(101)を沖合の場所に配置することと、
を含む、前記方法。
【請求項24】
前記水域が、波止場付近にあり、かつ前記沖合の場所の水域よりも相対的に浅く、前記風力タービンタワー(102)を前記第1のコラムに接続するステップは、前記ハル(101)が浅い喫水(D2)にある状態で行われ、前記風力タービンハル(101)を前記沖合の場所に配置するステップは、前記ハル(101)を深い稼働喫水(D1)にすることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
風力タービンタワー(102)を構造物に接続するための支持部材(170)であって、
より小さい直径の端部及びより大きい直径の端部を有する中空の細長い部材を備え、前記より小さい直径の端部は、風力タービンタワー接続機構(171)を備え、前記より大きい直径の端部は、構造物接続機構(125)を備え、
前記中空の細長い部材は、実質的に金属で形成されている、
前記支持部材(170)。
【請求項26】
前記中空の細長い部材は、円錐台形状であり、かつ/または円錐台形状の部分を含み、例えば、前記中空の細長い部材は、前記より大きい直径の端部及び前記より小さい直径の端部をそれぞれ形成する2つの略円筒形の部分と、それらの間にある円錐台形状の部分と、を含む、請求項25に記載の支持部材。
【請求項27】
前記構造物接続機構(125)は、内向きフランジまたは外向きフランジを備える、請求項25または26に記載の支持部材。
【請求項28】
前記内向きフランジまたは前記外向きフランジは、ポストテンションケーブル(128)を中に固定するケーブルヘッド(127)を支持するように構成されている、請求項27に記載の支持部材。
【請求項29】
ポンツーンベース(120)と一体に形成された少なくとも1つのコラム(110、110a、111、112)を有し、風力タービンタワー(102)が請求項25~28のいずれかに記載の支持部材(170)を介して前記少なくとも1つのコラム(110、110a)に固定されている、コンクリート製の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項30】
前記支持部材(170)は、ケーブルヘッド(127)と、前記より大きい直径の端部に固定されたポストテンションケーブルまたはポストテンションロッド(128)とによって、内向きフランジまたは外向きフランジを介して前記コラムに固定されている、請求項29に記載のコンクリート製の浮体式風力タービンプラットフォーム。
【請求項31】
前記ポストテンションケーブル(128)は、前記コラム(110、110a)の中に略垂直に延びている、請求項30に記載のコンクリート製の浮体式風力タービンプラットフォーム。
【請求項32】
前記支持部材(170)は、グラウト層(126)を介して前記少なくとも1つのコラム(110、110a)に係合している、請求項29~31のいずれかに記載のコンクリート製の浮体式風力タービンプラットフォーム。
【請求項33】
少なくとも2つの実質的にまっすぐな細長いポンツーン部材(120d~120f)を通って延びる少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)を更に備えるか、または3つの実質的にまっすぐな細長いポンツーン部材(120d~120f)を通って延びる少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)を更に備える、請求項1~22のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項34】
2つの端部を有する少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)を備え、前記少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)の前記2つの端部はともに前記ベース(120)の同じコーナー部(120a~120c)または同じ細長いポンツーン部材(120d~120f)において固定されている、請求項1~22または33のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項35】
前記2つの端部は、前記ベースに個々に固定されている、請求項34に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項36】
前記2つの端部は、前記2つの端部の接続によって互いに固定されている、請求項34のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項37】
前記ベースの3つの実質的にまっすぐな細長いポンツーン部材(120d~120f)と2つのコーナー部(120a~120c)とを通ってそれらに固定されずに伸びている少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)を更に備え、前記少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)は、前記ベースの第3のコーナー部(120a~120c)において固定されている、請求項1~22または33~36のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項38】
複数の張力ケーブルまたは張力ロッド(160)を備え、前記複数の張力ケーブルまたは張力ロッド(160)の各々が、1つのコーナー部(120a~120c)のみにおいて固定されている、請求項1~22または33~37のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項39】
前記ベースの2つの実質的にまっすぐな細長いポンツーン部材(120d~120f)と3つのコーナー部(120a~120c)とを通ってそれらに固定されずに伸びている少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)を更に備え、前記少なくとも1つの張力ケーブルまたは張力ロッド(160)は、前記ベースの第3の細長いポンツーン部材(120d~120f)において固定されている、請求項1~22または33~38のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【請求項40】
複数の張力ケーブルまたは張力ロッド(160)を備え、前記複数の張力ケーブルまたは張力ロッド(160)の各々が、前記ベースの1つの細長いポンツーン部材(120d~120f)のみにおいて固定されている、請求項1~22または33~39のいずれかに記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式風力タービンプラットフォーム、例えば、沖合の場所で電気エネルギーを生成するための浮体式風力タービンプラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力を供給する風力タービンの製造及び使用が急増している。この急増は、特に、人為的気候変化によってもたらされる脅威への意識の高まりと、その結果生じた気候に配慮した方法でエネルギーを調達することへの関心とに起因している。
【0003】
風力タービンは、陸上及び洋上の両方に配置することができる。様々な理由により、洋上風力タービンは、その対応する陸上風力タービンよりも高い能力を有するものを建設することができ、その結果得られる洋上タービンは、より大きな量の電力を最終的に生成する。これは望ましいが、洋上風力タービンの設置は複雑となり得る。というのも、信頼性の高いプラットフォームまたは基礎が必要とされるからである。しかも、その設置は、多くの場合、短期間内に行う必要があり、場合によって水深の深いところで行う必要がある。
【0004】
ある水深を超えると、固定された基礎を有する洋上風力タービンを設置することは、もはや実現可能ではなくなる。1つの代替法は、浮き基礎を有する風力タービンを設置することである。浮き基礎は、浮揚性ハルを備えることができる。風力タービンは、浮揚性ハルに設置することができ、浮揚性ハル自体は、ケーブル、ワイヤ、チェーン、ロープ等を介して海底に固定することができる。
【0005】
幾つかのハルの設計が、既に存在している。一般に、そのようなハルは、互いに接続される複数の部分、例えば、互いに溶接され得る複数の金属部分、及び/または互いに取り付けられ得る複数のコンクリート部分から作られる。浮揚性ハルの材料としてコンクリートを使用することの1つの利点は、コンクリートを様々な望ましい形状に硬化させることができ、それによって金属では不可能な多用途性がもたらされることである。
【0006】
しかしながら、ハル材料としてのコンクリートの使用は、例えば、金属製の風力タービンタワーをそれに取り付ける際に困難が生じ得るという点で、欠点も有する。
【0007】
技術分野を理解するのに有用であり得る刊行物には、WO2016/205746A1及びWO2020/167137A1がある。
【0008】
風力タービンを取り付けるための安定したプラットフォームをもたらすコンクリート製のハルを有する改良された浮体式風力タービンプラットフォームが必要である。本開示は、そのような改良されたプラットフォームまたは少なくとも前提技術の代わりとなるものを提供するという目的を有する。
【発明の概要】
【0009】
一実施形態において、浮体式風力タービンプラットフォームが提供される。該浮体式風力タービンプラットフォームは、ハル及び風力タービンタワーを備え、該ハルは、ポンツーンベースと、該ポンツーンベースと一体に形成された第1のコラム、第2のコラム、及び第3のコラムと、を備え、該風力タービンタワーは、該第1のコラムに固定されておりかつ該第1のコラムから上方に延びており、該ポンツーンベースと、該第1のコラム、該第2のコラム、及び該第3のコラムとは、実質的にコンクリートで形成されている。
【0010】
一実施形態において、浮体式風力タービンプラットフォームを建設する方法が提供される。該方法は、ポンツーンベースと、一体に形成された第1のコラム、第2のコラム、及び第3のコラムと、を備える風力タービンハルを実質的にコンクリートで形成することと、該風力タービンハルを水域に配置し、かつその第1のコラムに風力タービンタワーを接続して該第1のコラムから上方に延びるようにすることと、該風力タービンタワーが接続された該風力タービンハルを沖合の場所に配置することと、を含む。
【0011】
一実施形態において、風力タービンタワーを構造物に接続するための支持部材が提供される。該支持部材は、より小さい直径の端部及びより大きい直径の端部を有する中空の細長い部材を備え、該より小さい直径の端部は、風力タービンタワー接続機構を備え、該より大きい直径の端部は、構造物接続機構を備え、該中空の細長い部材は、実質的に金属で形成されている。
【0012】
詳細な説明及び添付の特許請求の範囲は、さらなる態様及び実施形態を概説する。
【0013】
それらの特徴及び他の特徴は、添付図面を参照して非限定的な実施例として示される以下の例示的な実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例に係る浮体式風力タービンプラットフォームの斜視図である。
図2図1に示す浮体式風力タービンプラットフォームの側面図である。
図3】ハルの概略正面図である。
図4】ハルの正投影図である。
図5】予め張力をかけられたケーブルまたはロッドを備えるハルの概略図である。
図6】A及びBは、ハルとタービンタワーとの間の境界部の断面図である。
図7】A~Cは、バラスト機構を備えるハルを示す概略図である。
図8】A~Cは、バラスト機構を備えるハルのさらなる実施例を示す概略図である。
図9】ハルのための流体ポンプシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、「水平」、「垂直」、「横」、「前後」、「上下」、「上」、「下」、「内」、「外」、「前」、「後」などの用語を使用することがある。これらの用語は、通常、図面に示すとおりの位置及び向きを指しており、本発明の通常の使用について示している。用語は、読者の便宜のためにのみ使用しており、限定的なものではない。
【0016】
図1は、ハル101と、ナセル及びタービン翼を備える風力タービンタワー102とを備える浮体式風力タービンプラットフォーム100の斜視図を示す。当業者に明らかなとおり、風力タービンタワー102の厳密な性質は、状況が異なれば、異なることがあり、図示のものに限定されるものではない。ハル101は、上方から見て(すなわち、平面図において)、三角形状であり、3つのポンツーン部材120d、120e、120fによって接続された3つのコーナー部120a、120b、120cを有する三角形状のポンツーンベース120を備える。各コーナー部120a~120c上には、コラムが設けられており、したがって、第1のコラム110、第2のコラム111、及び第3のコラム112が設けられている。3つのポンツーン部材120d~120fを三角形状に接続することにより、他の方法でよりも高い外力に耐えられる安定した構造が得られ、各コラム110、111、112をポンツーン部材120d~120fにより2方向で支持することができる。加えて、三角形状は、水線面積を増加させ、浮力を補助し、タービンプラットフォーム100が非常に浅い喫水を実現するのに役立つ。非常に浅い喫水は、建設期間、設置期間、及び/または保守のために陸上に戻る期間に有用であり得る。
【0017】
ポンツーン部材120d~120fの各々は、コーナー部120a~120cの間の長手方向の延長部に沿って矩形の断面を有する。一方、コラム110、111、112の各々は、その長手方向の延長部に沿って円形の断面を有する。コラム110、111、112の各々は、以下の段落でさらに詳細に説明するように、円筒の形状であってもよく、あるいは他の形状であってもよい(例えば、第1のコラム110は、他の形状であってもよい)。ポンツーン部材120d~120fの各々の長手方向の延長部は、そのコーナー部120a~120c間の方向に延びる長さである。
【0018】
図1に見られるように、この実施例では、ハル101のコーナー部120a~120cは、丸みがつけられた(例えば、フィレットされた)外面を有する(例えば、コーナーは、ポンツーン部材120d~120fの外側の結合によって頂点が形成されないように、丸みがつけられている)。コーナー部120a~120cは、それぞれのコーナー部120a~120c上に設けられたコラム110、111、112と同じ半径の丸みがつけられた外面を有することができる。そのような実施例では、図1に示すように、1つまたは複数のコラム110、111、112の外表面の一部は、フィレットされたコーナー部120a~120cの各々と面一にすることができる。そのような構成によって、尖った角が最小限しかないハル101をもたらすことができ、したがって、そのようなハル101は、形成/硬化がより簡単な形状となり得る。このような構成はまた、応力集中を、より望ましくかつ均一に分散させ得る。
【0019】
ハル101は、中空であってもよく、あるいは中空部を含んでもよい。例えば、コーナー部120a~120c、ポンツーン部材120d~120f、及びコラム110、111、112の少なくとも1つが中空であってもよい。中空部は、ハル101の内部構成要素(例えば、バラストタンクまたは貯蔵タンク)を収容することができ、かつ/またはケーブル(例えば、構造ケーブル、電気ケーブル、通信ケーブルなど)を配置できる空間を提供することができる。ハル110の内部にタンクを設ける場合、清掃/保守の目的でタンクに向かうことができるようアクセスポート/ハッチをハル101上に設けてもよい。タンクは、外部環境(例えば、ハル101の材料を通って延びる流体管)につながる少なくとも1つの外部接続部(例えば、流体接続部)を備えてもよい。そのような外部接続部は、その入口/出口に弁(例えば、一方向弁)を備えてもよく、タンクを充填/排出する目的でポンプを備えてもよい。その入口及び/または出口は、ハル101の全ての喫水において、浮体式風力タービンプラットフォーム100が配置されている水域と入口/出口が流体接触するように、ハル101上に配置することができる。
【0020】
ハル101は、内部構造ケーブルまたは支持ロッドを備えてもよい。ケーブルまたはロッドには、張力をかけてもよい。例えば、ハル101は、ポンツーン部材120d~120fの各々の長さに沿って延びる金属ロッドまたはケーブルを備えてもよい。場合によって、1つのポンツーン部材120d~120fの長さに沿って延びる支持ロッドまたはケーブルは、コーナー部120a~120cにおいて隣接するポンツーン部材120d~120fに沿って延びるロッドにつながっていてもよい。いくつかの実施例において、支持ロッドまたはケーブルは、その両端で、隣接する支持ロッドまたはケーブルにつながっていてもよい。いくつかの他の実施例において、ケーブルまたはロッドは、1つのポンツーン部材120d~120fから1つの隣接するポンツーン部材まで直接延在していてもよい。その結果、図示した実施例の場合、ポンツーン部材120d~120fの各々を通って(その長手方向の延長部に沿って)延びる支持ロッドまたはケーブルは、三角形の形態となり得、各支持ロッドまたはケーブルは、その各端部で別の支持ロッドまたはケーブルに取り付けられているか、または、ループ状に延びる単一のロッドまたはケーブルを構成していてもよい。図5には、様々な支持ロッドまたは支持ケーブル160を備え、それらが貫通して延びるハル101の一実施例を示している。ここで、支持ロッドまたは支持ケーブル160は、予め張力をかけられていてもよい。図5では、様々な支持ケーブル/ロッド160が、ポンツーン部材120d~120fの長手方向の軸に平行に、ループ状に、ポンツーン部材を通って延在している。ここで、ケーブル/ロッド160の各々は、コンクリート製のハル101の外表面に固定されている。しかしながら、ケーブル/ロッド160の1つ以上は、完全なループに形成されていてもよく、各ケーブル/ロッド160の一端は、そのケーブル/ロッド160の他端に固定されていてもよい。あるいは、ケーブル/ロッド160は、コンクリート製のハル101の内面または内部位置に固定されていてもよい。
【0021】
有利には、図5に示す構成またはそれに代わる構成により、個々の張力ケーブルまたは張力ロッドを、いくつかのポンツーン部材及び/またはいくつかのコーナー部を通って、そこに固定することなく延在させることができる。このようにして、固定点及び固定配置を、必要な少数の場所にのみ設けることができ、例えば、張力ケーブルまたは張力ロッドの固定を、単一のコーナー部または単一のポンツーン部材において行うことができ、あるいは、例えば、図5に示すように、2つのコーナー部において行うことができる(図5は、コーナー部における固定を示しているが、当然のことながら、それに代えてまたはそれに加えて、固定は、ポンツーン部材において行うことができる)。略三角形のベースを使用することにより、張力ケーブルまたは張力ロッドに過度の曲げ角を生じさせることなく、そのような構成が可能になる。
【0022】
なお、図示の実施例において、コンクリート製のポンツーンベース120は、他の外部支持部材を必要としないほど十分に強度がある(例えば、コラムの上部を互いに接続するための上部支持梁や上部支持支柱を必要としない)。
【0023】
ハル101と風力タービンタワー102との間の境界部113(図2参照)には、アクセスプラットフォーム122がある。アクセスプラットフォーム122は、保守や建設を行う作業者や職員が風力タービンタワー102に対して作業を行うのを容易にすることができ、風力タービンタワー102の外側及び内側の両方に(例えば、ドア、ハッチ等を介して)到達するのに役立つことができる。アクセスプラットフォームは、風力タービンタワー102をハル101に設置する間もさらに役立つことができる。図1には詳細に示していないが、はしごやそれに類する装備を第1のコラム110に設けて、アクセスプラットフォーム122への到達に役立たせることができる。
【0024】
図1に見ることができるが、図2に最も明確に示されているのは、2つの部分からなる第1のコラム110の構造である。この実施例において、具体的に2つの部分は、下側の第1の部分110aと上側の第2の部分110bである。下側の第1の部分110aは、略円筒形状である。図2において、下側の第1の部分110aは、第2のコラム111及び第3のコラム112の円筒部よりも短いものとして示されている。しかし、明らかなとおり、これは必ずしもそうである必要はない。いくつかの実施例において、第1の部分110aは、第2のコラム111及び第3のコラム112(または、第2のコラム111と第3のコラム112が異なる高さを有する場合、第2のコラムと第3のコラムの少なくとも一方)と同じ高さであってもよく、あるいは第2のコラム111と第3のコラム112の一方または両方よりも高くてもよい。
【0025】
ここで、上側の第2の部分110bは、円錐台形状であり、下側の第1の部分110aと一体に形成されおり、第1のコラム110の直径が風力タービンタワー102との境界部113に向かって減少するように、第1のコラム110を形成している。したがって、第2の部分110bのベースは、円筒形の第1の部分110aと同じ直径である。この実施例では、第1の部分110aと第2の部分110bとは、両者がコンクリート製であるため、例えばスリップ成形プロセスにより一体に形成することができる。第2の部分110bの切頭先端部は、必然的に、そのベースよりも小さい直径を有し、風力タービンタワー102のベースと同じまたはそれに近い直径を有することができる。いくつかの実施例において、切頭先端部110bの半径は、風力タービンタワーのベースの直径よりわずかに大きくてもよく、これによって、風力タービンタワー102を設置するための安定したベースを容易に設けることができる。
【0026】
円錐台の形状の第2の部分110bを設けることは、第1のコラム110の直径を、ハル101に必要とされる直径(例えば、構造的な理由及び/または浮力の理由)から、その上に風力タービンタワー102を設置するために必要とされる直径に移行させるのに役立ち得る。したがって、円錐台形の第2の部分110bは、その上に風力タービンタワー102を取り付けるための安定したベースを設けるのに役立ち得る。図示していないが、第2の部分110b及び任意選択で第1の部分110aを、その中にポストテンションケーブルを設けて形成することができる。ポストテンションケーブルは、ケーブルヘッドにより張力をかけて保持することができ、第1のコラム110上の所定の位置に風力タービンタワー102を固定するのに使用することができる(ポストテンションケーブルを介した設置の説明については図6A及び6Bも参照のこと)。
【0027】
図1及び図2に示すように、風力タービンタワー102は、タワー114を備えており、タワー114は、第1のコラム110の境界部113において第1のコラム110上に設置されている。タワー114は、中心軸130を有する。タワー114上部の中心軸130と、ナセル124の中心軸及び/またはナセル124の重心とは、一直線上にあってもよい。タワー114の底部において、中心軸130と、第1のコラム110の中心軸131とは、一直線上にあってもよい。タワー114の中心軸と第1のコラム110とのこのような位置合わせは、タワー114と第1のコラム110との間の安定した設置関係をもたらすことができる。したがって、タワー114は、その中心軸130と第1のコラム110の中心軸とが一直線上に存在する状態で、第1のコラム110から上方に延びることができる。
【0028】
いくつかの実施例において、タワー114の中心軸130と第1のコラム110の中心軸131とは、一直線上になくてもよいが、平行であってもよく、あるいは略平行であってもよい。例えば、タワー114の中心軸は、ハル102の上方に延びる中心軸(図示せず)の方にずれていてもよく、したがって、第1のコラム110の中心軸131に対して並進的に(例えば、水平方向に)ずれていてもよい。第1のコラム110の中心軸131に対してタワー114の中心軸130が並進的にずれていることは、例えば、浮体式風力タービンプラットフォーム100全体の重心をより中心の位置に向かってシフトさせるので、浮体式風力タービンプラットフォーム100に安定性をもたらすのに役立ち得る。
【0029】
さらに図2は、プラットフォーム101の第1の喫水D1及び第2の喫水D2を破線で示している。喫水D1、D2は、浮体式風力タービンプラットフォーム100が水域にある場合の浮体式ハル101に対する水位に対応し得る。深い喫水D1では、ポンツーンベース120全体が水線の下に沈み、第1のコラム110、第2のコラム111、及び第3のコラム112の一部のみが水線から突出する(第1のコラム110からは、風力タービンタワー102が上方に延びている)。
【0030】
これに対して、浅い喫水D2では、少なくともポンツーンベース120の上面(例えば、ポンツーン部材120d~120fの上部平坦面、及びコーナー部120a~120cの上部)が、水位より上に更に突出する。同様に、第1のコラムの第1の部分110a、及びポンツーンベース120の上方に位置する第1のコラム110、第2のコラム111、及び第3のコラム112の全体も水位より上にさらに突出する。
【0031】
深い喫水D1において、浮体式風力タービンプラットフォーム100の重心は、水線により近くなり得、これは、風力タービンプラットフォーム100のより安定した配置をもたらし得る。このことは、風力タービンプラットフォーム100が稼働中である場合(例えば、沖合の場所に配置され、電気エネルギーを生成するように動作可能である場合)に有益であり得る。第1の喫水では、風力タービンプラットフォーム100は、ハル101が波の衝撃を受けにくく、かつ/またはタービンタワー102が乱流風の影響を受けにくい。
【0032】
浅い喫水D2では、浮体式風力タービンプラットフォーム100の重心は、より高くなり得、しかも(前述のように)ハルが水線より上により多く突出し得る。特に、ポンツーンベース120の上面は、水線より上に突出することができ、作業員(例えば、保守や建設の作業員)がそこに立ち入れるようになる。同様に、そのような作業員は、コラム110、111、112の全高(例えば、ポンツーンベース120上方のコラム110、111、112の全高)にアクセスすることができる。そのようなアクセスは、補修を行うことを可能にし得る。ポンツーンベース120がバラストタンクを内部に備える場合、バラストタンクへのアクセスは、浮体式風力タービンプラットフォーム100を浅い喫水D2にすることによって容易になり得る。ポンツーンベース120は、その上面(例えば、ポンツーン部材120d~120fの上部平坦面)にハッチ、ドア、アクセスパネル等を備えてもよく、中に含まれ得るポンツーンベース内部に(例えば、バラストタンク、電気または構造ケーブル等に)作業員がアクセスすることを可能にしてもよい。
【0033】
また、第2の喫水D2においては、水線より上のコラム110、111、112の高さは、第1の喫水D1においてよりも高くなる。このことは、浮体式風力タービンプラットフォーム100の建設中に有利な効果をもたらし得る。例えば、第2の喫水D2において、ハル101と風力タービンタワー102との間の境界部113は、海面からより高い位置にあり、これは、タービンタワー102を波止場付近でハル101上に設置する場合に好ましい。岸や船上にあるクレーン等の装置や機械へのアクセスがより容易になるからである。更に、ハル101は、より浅い水域において、座礁することなく浮かぶことができる。このことは、水域が特に浅い波止場付近へのアクセスのために好ましい場合がある。
【0034】
図3にハル101の概略図を示す。この概略図は、相対的寸法を模式的に示す部分がある。ここで、第2のコラム111及び第3のコラム112の高さをH1として模式的に示している。第1のコラム110は、前述のように、第1の部分110a及び第2の部分110bを含む。ここで、第1の部分の高さはH2として示されており、第2の部分の高さはH3として示されている。したがって、第1のコラム110の全高は、H2とH3との和に等しい。
【0035】
本明細書または特許請求の範囲に示される実施形態のいずれかにおいて、ハル101の設計は、H1がH2に等しい(すなわち、第1のコラム110と第2のコラム111/第3のコラム112との高さの比が1である)か、または、図3におけるように、H1がH2より大きくなるようにすることができる。H3も同様にいくつかの値が可能であってもよい。図3の実施例では、H3はH2より大きいが、いくつかの他の実施例では、H3はH2と等しいかまたはより小さい値であってもよい。本明細書または特許請求の範囲に示される実施形態のいずれかにおいて、H2とH3との合計は、H1より大きくてもよく、あるいは任意選択で、H2とH3との合計は、H1に等しくてもよい。例えば、図3に示すようにH2<H3かつ(H2+H3)>H1のように構成することによって、タワー114の一体化を簡単にすることができるという製造上の利点をもたらし得る。
【0036】
浮体式風力タービンプラットフォーム100のハル101をさらに図4に模式的に示す。図4は、各ポンツーン部材120d~120fの水平幅W1及び垂直幅W2(高さとも称される)を示している。ポンツーン部材120d~120fの水平幅W1と垂直幅W2との間の様々な比が可能であってもよい。この実施例では、水平幅W1は、垂直幅W2より大きいものとして示されているが、いくつかの実施例では、水平幅W1と垂直幅W2とは、等しいか、実質的に等しくてもよく、いくつかの他の実施例では、垂直幅W2は、水平幅W1より大きくてもよい。
【0037】
図4に示すように、水平幅W1の垂直幅W2に対する比は、1より大きく、例えば1.2より大きくあるいは1.4より大きくすることができ、あるいは約1.4とすることができる(すなわち、水平幅W1は、垂直幅W2より何らかの倍率で大きい)。いくつかの他の実施例において、水平幅W1と垂直幅W2の比は、およそ1であるか、あるいは1未満とすることができる。
【0038】
また図4は、第3のコラム112の直径Dia1を示している。この実施例において、第3のコラム112の直径Dia1は、第1のコラム110及び第2のコラム111の直径と等しい。しかしながら、コラム110、111、112の直径が等しい必要はなく、コラム110、111、112が異なる直径を有するようハル101を設計することが可能でもよいことに留意されたい。
【0039】
コラム110、111、112の直径の比をポンツーン部材120d~120fの水平幅W1に対して変えて、ハル101の様々な設計を行うことが可能であってもよい。この実施例では、ポンツーン部材120d~120fの幅W1は、コラムの直径Dia1より大きい。例えば、W1のD1に対する比は、約1.2とすることができる。D1のW1に対する他の比も可能であってもよく、例えば、1~1.4の任意の比、より好ましくは1.1~1.3の任意の比、あるいは、先に述べたとおり、約1.2とすることができてもよい。
【0040】
いくつかの他の実施例では、D1のW1に対する比は、1~1.4の間、より好ましくは1.1~1.3、あるいは約1.2とすることができる。このような場合、コラム110、111、112の直径Dia1は、ポンツーン部材の幅W1より大きい。
【0041】
図6A及び6Bは、風力タービンプラットフォーム100の一実施例を示している。ハル101(特に、その第1のコラム110)及びそれとの境界部113におけるタービンタワー102の断面図を示している。明確にするため、中心線132を示している。中心線132は、第1のコラム110の中心線であり、いくつかの実施例では、風力タービンタワー102の中心線130と一直線上にあってもよい。この実施例では、中央のコラム110の下側の第1の部分110aが、コンクリートからなり、一方、上側の第2の部分110bが、異なる材料からなる。異なる材料は、金属または金属合金(例えば鋼鉄)であってもよい。
【0042】
この実施例では、下側の第1の部分110aは、ハル101の残りの部分と一体に形成されており、一方、上側の第2の部分110bは、それに固定されている。先の実施例について説明したように、タービンタワー102は、上側の第2の部分110bに接続されている。上側の第2の部分110bは、風力タービンタワー102を第1の部分110aに接続するための、したがってプラットフォーム100に接続するための支持部材170を形成する。円錐台形の上部110b及び円筒形の下部110aを有することにより、ハル101をより簡単な方法で建設することができる。例えば、下部110aの形状は、ここでは、単純な円柱であり、これはコンクリートから容易に形成できる。例えば、下部110aのコンクリート製円柱は、比較的単純なスリップ形成治具を用いるスリップ成形プロセスによって形成することができる(円柱の断面が一定であるため)。上部110bは、断面が減少している。そのような断面は、スリップ形成治具を用いて形成することも可能であるが、より複雑な建設法を必要とし得る。
【0043】
図6A及び6Bの両方から明らかなように、第1の部分110a及び第2の部分110bの両方が、風力タービンタワー102のタワーと同様に中空である。風力タービンタワー102は、この実施例では、ボルト結合によって第2の部分110bに取り付けられているものとして示されており、第2の部分110bは、その目的のためにフランジ171を備えている。タービンタワー102は、フランジ171に接合されるための対応するフランジ部またはそれと等価な部分を有する。しかしながら、明らかなとおり、任意の適切な接続が可能であり、例えば溶接による接続が可能である。
【0044】
第2の部分110b(この実施例では金属製である)をコンクリート製の第1の部分110aに取り付けるために、第2の部分110bとタービンタワー102との間の接続とは異なる接続が必要となる場合がある。図6A及び6Bの実施例では、コンクリート製の第1の部分110aは、その中に複数のポストテンションケーブル128を設けて形成されている。第2の部分110bのベースは、その中に開口を有するフランジ125を備え、この開口を介して、ポストテンションケーブル128を通すことができる(例えば、ポストテンションケーブル128の上部を通すことができる)。次いで、ポストテンションケーブル128を、ケーブルヘッド127によって所定の位置に保持する。この実施例では、ケーブルヘッド127は、フランジ125と接触している(この実施例では、その上に直接配置されている)。ケーブルヘッド127は、ポストテンションケーブル128を所定の位置に固定し、ケーブル128にかかっている所定の張力を保持することができる。図6A及び6Bの実施例では、ケーブルヘッド127は、ポストテンションケーブルを第1の部分110aに固定する。ポストテンションケーブル128を第2の部分110bのフランジ125に通すことで、ケーブルヘッド127は、第2の部分110bを第1の部分110aに対して所定の位置に保持することにも役立ち得る。
【0045】
第2の部分110bのベースにおけるフランジ125の間には、グラウト層126が配置されている。このグラウト層126は、図6A及び6Bの両方に存在し、コンクリート製の下部110aと金属製の上部110bとの間の遷移層として働くことができる。特に、グラウト層126は、フランジ125の幅と第1の部分110aの幅とに差があれば、その幅の差を埋めるのに使用することができる。この実施例では、下部110aは、フランジ125より大きい幅(例えば、より大きい半径方向の幅)を有し、グラウト層126は、任意の段差部を必要とすることなく、それらの間を滑らかに移行させることを可能にする。
【0046】
更にトランジション溶接134が示されている。トランジション溶接は、風力タービンプラットフォーム100の建設に役立ち得る。そのような建設では、円錐部を形成し、次いで、上側及び下側の接続機構(例えば、フランジがつけられた部分など)を所望するとおり円錐部に接続することが可能である。
【0047】
両実施例において、風力タービンタワー102は、内側に延びる(すなわち、外面から中心線132に向かって延びる)フランジで上側の第2の部分110bに取り付けられている。これは、塩水(例えば、海水)、雨、風などとの接触による腐食から接続構成要素(例えば、フランジ及びそれに取り付けられるボルトまたは締結部材)を保護するのに役立ち得る。
【0048】
図6Aにおいて、ケーブルヘッド127は、均等に内側に配置されており、フランジ125は、第2の部分110bの内側に(例えば、半径方向内側に)延びている。この場合も、天候及び周囲の塩水(例えば、海水)との接触による腐食からケーブルヘッド127及びポストテンションケーブル128の上部を保護するのに役立ち得る。
【0049】
図6Bでは、フランジ125が、第2の部分110bの外側に配置されている(例えば、第2の部分110bから半径方向外向きに延びている)ことが分かる。そのような設計は、第2の部分110bが内部に入ることを制限するような寸法であり、それによって内部での建造がより困難になるような状況において、より有用であり得る。そのような場合、図6Bの構成が好ましいことがある。そのような場合、ケーブルヘッド127を天候及び塩水から保護するさらなる手段(プラスチックまたはエポキシコーティング、カバーまたはキャップなど)を設けてもよい。
【0050】
図7A~C及び図8A~Cは、バラスト機構を備えるハル101の2つの実施例を示す。バラスト機構は、1つのバラスト区画からなる形態であってもよいし、ハル101内(例えば、ハル101の中空部内)にある複数のバラスト区画からなる形態であってもよい。各バラスト区画は、ハル101内のある空間を構成する形態であってもよい。バラスト区画は、淡水または海水などの液体を保持するように構成されたバラストタンクを備えてもよく、あるいは必要に応じて除去及び挿入され得る固体のバラスト材料を保持するように構成されていてもよい。いくつかの実施例において、1つのバラスト区画または複数のバラスト区画は、複数のバラストタンクをその中に備えてもよい。
【0051】
図7Aは、ハル101の平面図を示しており、上述したように、三角形のポンツーンベース120と、その各角に配置されている第1、第2及び第3のコラムとを示している。図7Bは、視点A-Aから見たハル101の正面図であり、図7Cは、視点B-Bから見たハル101の正面図である。
【0052】
この実施例では、第1のバラスト区画140が、第2のコラム111と第3のコラム112との間に位置するポンツーン部材120eの全長に沿って配置されており、一方、ポンツーン部材120d、120fの一部も第1のバラスト区画140を構成する。ポンツーンベース120は三角形の形態であるので、第1のバラスト区画140は、第1のコラム110の反対側に配置されたポンツーン部材120eの全長に沿って配置されているとみなすことができる。この実施例では、第2のポンツーン部材120e(及び第1のコラム110)に隣接して配置されているとみなせる第1のポンツーン部材120d及び第3のポンツーン部材120fの部分は、バラスト区画140の一部を含む。バラスト区画140は、第1のポンツーン部材120d及び第3のポンツーン部材120fに沿って途中まで、例えば、途中半分まで、途中2/3まで、途中1/3まで、途中1/4まで等、延びていてもよい。バラスト区画140は、単一の区画(例えば、バラストの材料または液体を配置するための1つの連続した空間を含む)であってもよく、あるいは、複数の区画及び/または空間(例えば、第2のポンツーン部材120e内にある1つの区画/空間ならびに第1のポンツーン部材120d及び第3のポンツーン部材120fのそれぞれの中にある1つの区画)を含んでもよい。
【0053】
第1のバラスト区画140は、1つ以上のポンツーン部材120d~120f内にある空間であってもよく、その場合、バラストタンクは、ポンツーン部材120d~120f内に配置されてもよい。代替的に、バラストタンクは、ポンツーン部材120d~120f自体の材料によって形成されていてもよく(例えば、ポンツーン部材内の密閉された空間であってもよく)、つまり、別個のバラストタンクをポンツーン部材120d~120f内に形成しなくてもよい。いくつかの実施例において、ポンツーン部材120d~120fは、1つまたは複数の隔壁を有してもよい。この1つまたは各々の隔壁は、バラスト区画の境界を形成してもよい。隔壁は、例えば、対向するポンツーン部材120eの中心に配置されていてもよく、また隔壁は、ポンツーン部材に沿って長手方向に移動可能であり隔壁のいずれかの側にある第1のバラスト区画140の容積を変えるようにしてもよい。第1のバラスト区画140が水などの液体を収容するように構成できる場合、隔壁は、バラスト区画内の液体内に押し込まれることが可能であってもよく、それによりその中の残留ガスを除去して、液体/ガスの境界を除き、ハル101の動きによる望ましくない表面効果をバラスト区画に生じさせないようにしてもよい。
【0054】
加えて、第1のコラム110の底部は、第2のバラスト区画142を備える。第2のバラスト区画142は、ベースユニット142の形態とすることができ、ベースユニット142は、第1のコラム110内に組み込まれていてもよく、あるいは、第1のコラム110に接続可能であってもよい。いくつかの実施例において、第2のバラスト区画142を含む第1のコラム110の底部(図7A~Cに示す)は、ポンツーンベース120の一部を形成しているとみなすことができる。第2のバラスト区画142は、第1のコラム101のベースに形成されていてもよく、また、ポンツーンベース120の最上面よりも高く延在していなくてもよい。ポンツーン部材120d~120fとコラム110との間の交差部は、コラム110のベースにおいて区画を形成するのに好都合であり得るか役に立ち得、そこにバラスト区画142を配置してもよい。
【0055】
バラスト区画140と同様に、第2のバラスト区画142は、バラストタンクを備えてもよく、あるいは、コラム110の材料自体が、バラスト区画を形成していてもよい。第2のバラスト区画がベースユニット142である場合、ベースユニットは、第1のコラム110に接続可能なバラストタンクであってもよく、あるいは、第1のコラム110に接続可能なバラストタンクを形成していてもよい。いくつかの実施例において、コラム110、第2のバラスト区画142は、その中に隔壁を有してもよく、また隔壁は、表面効果を排除または低減するために使用されてもよい。
【0056】
図7Bに示すように、第2のバラスト区画142は、上側部分及び下側部分を備えてもよい。図示のように、上側部分は、ポンツーン部材120d~120fの最上面の高さより上に位置し得るが、下側部分は、ポンツーン部材120d~120fの最上面の高さより下に位置し得る。上側部分と下側部分とは、連結されていてもよくかつ/または流体連通されていてもよく、あるいは、互いに分離されていてもよい。上側部分は、上側バラストタンクを備えてもよく、一方、下側部分は、下側バラストタンクを備えてもよい。いくつかの実施例において、上側部分及び下側部分は、両方の部分に及ぶ単一のバラストタンクを備えてもよい。
【0057】
第2のバラスト区画142は、例えば、バラスト液移送機構を介して、第1のバラスト区画140と流体連通していてもよい。例えば、管または配管が、ハル101内において第1のバラスト区画140と第2のバラスト区画142との間で延在していてもよく、これにより、ユーザは、第1のバラスト区画140と第2のバラスト区画142との間でバラスト液を移送することが可能になり、それによって、ハル101重量の簡単かつ迅速な再配分が可能になる。
【0058】
このバラスト機構は、稼働中の安定性をもたらし得る。というのも、このバラスト機構は、ハル101に重みを付けることを可能にし、ハル101において風力タービンタワー102の反対端で釣り合い重量を任意選択で与えることにより、風力タービンタワー102の重量を相殺することができるからである。
【0059】
図8A~Cの実施例は、バラスト機構の異なる構成を示す。先の実施例と同様、第1のコラム110は、第2のバラスト区画142を備える。これについてさらなる説明は行わない。
【0060】
この実施例において、第1のバラスト区画140は、第2のコラム111と第3のコラム112との間に位置するポンツーン部材120eの全長に沿って配置されている(先の実施例と同様)。先の実施例とは対照的に、第1のバラスト区画140は、ポンツーン部材120e内に収容されており、隣接するポンツーン部材120d、120f内には延在していない。しかしながら、この実施例では、第2のコラム111及び第3のコラム112はまた、バラスト区画を備え、これは前述のようにベースユニットの形態であってもよい。第2のコラム111及び第3のコラム112のバラスト区画は、第1のバラスト区画140の一部を形成していてもよく、あるいは、第2のコラム111及び第3のコラム112のバラスト区画は、それぞれ独立して各コラム111、112内に収容された別個のバラスト区画(例えば、ベースユニットの形態)であってもよい。
【0061】
図8B及び8Cに最もよく示すように、第2のコラム111及び第3のコラム112のバラスト区画は、ポンツーン部材120eにあるバラスト区画よりも浅くてもよく、さらに第1のコラム110のバラスト区画よりも浅くてもよい。いくつかの実施例において、第2のコラム111及び第3のコラム112のバラスト区画は、固体のバラスト材料を保持してもよく、一方、ポンツーン部材120eは、液体のバラスト材料を保持してもよい(あるいは、その逆であってもよい)。図では、ポンツーン部材120e及び第1のコラム110の両方のバラスト区画よりも浅いものを示しているが、いくつかの実施例では、バラスト区画は、それらの一方または両方よりも深いものであってもよい。
【0062】
図8A~Cのバラスト機構の構成は、図7A~Cで先に示した重量配分に代わる重量配分をもたらすことができる。
【0063】
本明細書または特許請求の範囲に示す実施形態のいずれかにおいて、タワー102の反対側に位置するポンツーン部材120eは、第1のコラム110または第1のコラム110につながるコーナー部120aよりも多くのバラスト液を保持するように構成されていてもよい。有利には、ポンツーン部材120eは、第1のコラム110またはコーナー部120aよりも2倍、3倍、または4倍多くのバラスト液を保持するよう構成されていてもよい(すなわち、第1のコラム110またはコーナー部120aのバラスト液収容量の2倍以上、3倍以上、または4倍以上)。
【0064】
本明細書または特許請求の範囲に示す実施形態のいずれかにおいて、第1のコラム110及びタワー102につながるコーナー部120aから延びる2つのポンツーン部材120d及び120fのそれぞれは、コーナー部120aに近くコーナー部120aにつながるポンツーン部材120d及び120fの各々の半分の部分においてよりも、ポンツーン部材120d及び120fの遠位の半分の部分において、より多くのバラスト液を保持するように構成されていてもよい。(例えば、図7A参照)。これは、例えば、ポンツーン部材120dの、コラム110よりもコラム112に近い部分に、バラスト液タンクを配置することによって実現することができる(ポンツーン部材120fについても同様)。
【0065】
図7A~C及び図8A~Cのバラスト機構の両方において、各バラスト区画によってもたらされるバラスト重量を変化させることが可能であってもよく、それにより、風力タービンプラットフォーム100の重量分布、重心、及び全重量に対し、かなりな程度の制御が可能になる。例えば、より軽量なプラットフォームは、設置及び保守中に有用であり得る。設置の段階(例えば、タービンタワーのみがハル101に設置されているか、またはタワー及び翼を有するナセルの両方が取り付けられているか)に応じてハル101の重心が変動することは、望ましい特徴であり得る。ハル101の重量及び/または重心の変動は、より容易なアクセス、及び/または、ハル101及び風力タービンプラットフォーム100全体のより高い安定性をもたらし得る。
【0066】
図9は、流体ポンプシステム150の一実施例を示している。この実施例では、流体ポンプシステム150が、第1のコラム110の内部に配置されているが、当業者に明らかなとおり、流体ポンプシステム150は、ハル101の別の部分、例えば、第2のコラム111または第3のコラム112に配置されていてもよい。
【0067】
ポンプシステム150は、引き上げ機構154を介して第1のコラム110の内部に懸架された水中ポンプ152を備える。ポンプ152は、フリーハンギングの構成である。この実施例では、引き上げ機構154は、タービンタワー102と第1のコラム110との間の境界部113の所定の位置に固定されているが、他の固定位置も可能であってもよい。引き上げ機構154は、コラム(ここでは、第1のコラム110)に固定されているように示されているが、他の実施例では、引き上げ機構154は、タービンタワー102に固定されていてもよい。
【0068】
引き上げ機構154はアンビリカルを備え、アンビリカルは、引き上げ機構154が水中ポンプ152に固定される位置まで延在する。アンビリカルは、電気ケーブル、支持ケーブル及び/または配管を備えてもよく、それによって、ポンプ152に電力を供給しかつポンプ152の重量を支持してもよく、さらに、ポンプに電力を供給して第1のコラム110に流体を移送しかつ/または第1のコラム110から流体を移送してもよい。
【0069】
引き上げシステムは、ウインチまたはウインチへの接続ポイント(図示せず)を備えてもよく、ウインチは、第1のコラム110内でポンプ152の上昇及び下降を可能にし得る。これは、ポンプ152を所望の深さに設置し、かつポンプ152を回収するのに(その取り外し、交換、または修理が必要な場合)に有用であり得る。
【0070】
この実施例について水中ポンプを説明するが、その代わりに、半水中ポンプを使用することも可能である。
【0071】
引き上げ機構154は、コラム内(またはタービンタワー102内)に配置されたプラットフォーム及び/またはブラケット/構造体156によって支持してもよい。
【0072】
加えて、コラムは、流体開口部158を備える。この実施例では、流体開口部158は、コラム110とタービンタワー102との間の境界部113に配置されており、それによって、タービンタワー102に開口部を形成する必要がなくなる。しかしながら、いくつかの他の実施例では、流体開口部158は、タービンタワー102内に配置されていてもよい。
【0073】
流体開口部158は、流体ポンプシステム150を介してコラム110から流体を除去することを可能にし得る。流体ポンプ152は、流体を、コラム110からくみ出し、アンビリカル154内を上昇させ、かつ流体開口部158から出すために使用することができる。いくつかの実施例では、流体供給部が、流体開口部に配置されていてもよく、流体は、流体開口部158を介してコラム110に供給可能になっていてもよい。流体開口部158は、使用されていないときには水を通さない構成となっていてもよい(例えば、ハッチ、カバー等を備えてもよい)。
【0074】
引き上げ機構154のアンビリカルは、流体開口部158とコラム110内のバラスト区画との間の流体連通を可能にすることができる。したがって、流体ポンプ機構150を使用して、バラスト水をバラスト区画から除去しかつ/またはバラスト区画に加えることができる。それに加えてまたはそれに代えて、流体ポンプ機構150は、コラム110の内部からのビルジ水(例えば、コラム110に孔があいている結果、コラム内へ侵入した水)の除去を可能にすることができ、ポンプ152は、コラム110内部のビルジ水にアクセスできるようコラム110内に適切に配置することができる。
【0075】
長期間、ハル101が沖合の場所に配置されている場合、海洋生物がハル101上で増殖し蓄積することがある。海洋生物の増殖は、ハル101の重量を増加させてハルの喫水を深くする作用を有し得る。この重量の増加を打ち消すため、ポンプシステム150を使用してハル101の重量を減らし、それによって風力タービンプラットフォーム100をその使用の間、一定の喫水に保持することができる。
【0076】
図示したようにポンプ152をコラム110上部の固定点から自由に吊り下げる構成にすれば、コラム110及びポンプシステム150の両方のより単純な設計が可能になる。というのも、そうすれば、コンクリート製のコラムへの金属(例えば、鉄鋼)の取り付け具が最小限に抑えられ(例えば、コラム110の壁にポンプシステム150を設置することと比較して)、コンクリートを通って延びる配管工事の必要性が最小限に抑えられるからである。コラム110とタワー102との間の境界部113の存在によって、ポンプシステム150のための構造物156の設置を容易にすることができ、構造物156に接続できる金属固定具を設けることができる。
【0077】
本明細書に記載の実施形態に従って提供される浮体式風力タービンプラットフォームは、厳しい稼働条件での長い耐用年数と稼働に必要とされる構造強度及び信頼性を確保しながら、効率的な建設が可能である。実施形態において、プラットフォームは、より容易な保守及び/または修理のためにバラストを除くことが可能なように設計されていてもよい。
【0078】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきものである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
ここで、上側の第2の部分110bは、円錐台形状であり、下側の第1の部分110aと一体に形成されおり、第1のコラム110の直径が風力タービンタワー102との境界部113に向かって減少するように、第1のコラム110を形成している。したがって、第2の部分110bのベースは、円筒形の第1の部分110aと同じ直径である。この実施例では、第1の部分110aと第2の部分110bとは、両者がコンクリート製であるため、例えばスリップ成形プロセスにより一体に形成することができる。第2の部分110bの切頭先端部は、必然的に、そのベースよりも小さい直径を有し、風力タービンタワー102のベースと同じまたはそれに近い直径を有することができる。いくつかの実施例において、切頭先端部110bの直径は、風力タービンタワーのベースの直径よりわずかに大きくてもよく、これによって、風力タービンタワー102を設置するための安定したベースを容易に設けることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項36
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項36】
前記2つの端部は、前記2つの端部の接続によって互いに固定されている、請求項34に記載の浮体式風力タービンプラットフォーム(100)。
【国際調査報告】