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特表2024-530644シリンダ本体、特に積層シリンダの表面処理のための装置およびプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】シリンダ本体、特に積層シリンダの表面処理のための装置およびプロセス
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/082 20140101AFI20240816BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20240816BHJP
【FI】
B23K26/08 F
B23K26/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506814
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2022057279
(87)【国際公開番号】W WO2023012730
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021000021263
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521530381
【氏名又は名称】テノヴァ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】TENOVA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ガボアルディ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】トレヴィザン,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ガリアーノ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ボセッリ,ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】パッロッティ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】デミル,アリ ギョクハン
(72)【発明者】
【氏名】プレヴィターリ,バルバラ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168CA13
4E168CB03
4E168CB07
4E168CB13
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA24
4E168DA26
4E168DA27
4E168DA28
4E168DA29
4E168DA32
4E168DA40
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA17
4E168FB03
4E168JA02
(57)【要約】
シリンダ本体(1)の表面処理、特に積層シリンダの表面修復のための装置(10)および方法。この装置は、回転軸Kの周りの回転によって移動可能な側面を有するシリンダ本体を受け入れるように構成されたワークステーション(100)と、ワークステーションと協働し、少なくとも1つのレーザビームを放射するように構成されたレーザエミッタ(600)と、シリンダ本体の側面の検出された表面輪郭を検出するように構成された輪郭検出器(700)と、シリンダ本体の側面を修復するための少なくとも1つの手順を動作可能に実行するように構成された制御ユニット(15)とを含む。修復手順は、検出された表面輪郭と目標表面輪郭とを比較するステップを含む、シリンダ本体の表面輪郭を検出するための手順と、シリンダ本体にレーザビームを照射して、金属材料を除去し、目標表面輪郭を取得するステップを含む除去手順とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ本体(1)の表面処理、特に圧延シリンダの表面修復のための装置(10)であって、
・装置動作状態(10)において、側面(4)を有するシリンダ本体(1)を受け入れるように構成された少なくとも1つの動作位置を画定するワークステーション(100)であって、予め定めた回転軸(K)に従ってシリンダ本体(1)を回転支持するように構成されたワークステーション(100)と、
・ワークステーション(100)と協働し、前記動作場所の方向に少なくとも1つのレーザビームを放射するように構成された少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)であって、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な主軸(Z)に少なくともに沿って移動可能である、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)と、
・シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な検出軸(Y)に少なくとも沿って移動可能である少なくとも1つの輪郭検出器(700)であって、前記装置使用状態の下で、シリンダ本体(1)の側面(4)の検出表面輪郭を検出するように構成された、少なくとも1つの輪郭検出器(700)と、
・レーザエミッタ(600,600”)および前記少なくとも1つの輪郭検出器(700)に動作可能に接続された制御ユニット(15)であって、前記装置使用状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順を実行するように構成された、制御ユニット(15)とを備え、
前記修復手順は、検出手順と、除去手順とを含み、
前記検出手順は、少なくとも、前記輪郭検出器(700)を用いて、シリンダ本体(1)の検出表面輪郭(DSP)を検出するステップと、前記検出表面輪郭(DSP)をシリンダ本体(1)の目標表面輪郭(TSP)と比較するステップとを含み、
前記除去手順は、前記比較に従って実行され、少なくとも、レーザエミッタ(600,600”)を通して、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けてレーザビームを放射して、前記目標表面輪郭(TSP)を得るステップであって、前記レーザビームは、シリンダ本体(1)から金属材料を局所的に除去するように構成されるステップとを含む、装置。
【請求項2】
シリンダ本体(1)の前記検出表面輪郭(DSP)および前記目標表面輪郭(TSP)は、
・シリンダ本体(1)の角度位置、および
・検出軸(Y)に沿った直線位置、
のうちの少なくとも1つに依存した少なくとも1つの可変の幾何学的特徴を含み、
検出表面輪郭(DSP)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴は、シリンダ本体(1)の直径、および/または、シリンダ本体(1)の前記直径の変動、および/または、シリンダ本体(1)の側面(4)と輪郭検出器(700)との間の介在距離、特に直交距離、を表す少なくとも1つの個々の高度パラメータを含み、
目標表面輪郭(TSP)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴は、シリンダ本体(1)の直径、および/または、シリンダ本体(1)の前記直径の変動、および/または、シリンダ本体(1)の側面(4)と輪郭検出器(700)との間の介在距離、特に、動作状態および後続の除去手順において直交距離、を表す少なくとも1つの個々の目標高度パラメータを含み、
制御ユニットはまた、下記のように動作するように構成される、請求項1に記載の装置。
・輪郭検出器(700)を検出軸(Y)に沿って移動すること。
・検出軸(Y)に沿った輪郭検出器(700)の前記移動中に、輪郭検出器(700)によって前記表面輪郭(DSP)の少なくとも1つの幾何学的特徴を検出すること。
・シリンダ本体(1)の検出表面輪郭(DSP)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴と、検出軸(Y)に沿った個々の直線位置とを関連付けること。
そして、必要に応じて、
・特にシリンダ本体に動作可能に接続された電気モータを用いて、シリンダ本体(1)を回転軸(K)の周りに回転移動させること。
・シリンダ本体の回転中に、輪郭検出器(700)を用いて表面輪郭(DSP)を検出すること。
・必要に応じて、シリンダ本体(1)の検出表面輪郭(DSP)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴と、シリンダ本体(1)の個々の角度位置とを関連付けること。
【請求項3】
制御ユニット(15)は、除去手順中に、レーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを放射するように構成され、
前記パルスレーザビームは、シリンダ本体(1)から材料を除去するように構成され、前記材料は金属であり、
制御ユニットは、相対平均パワーより大きいピークパワーを有するパルスレーザビームを放射するように構成され、具体的には、前記ピークパワーは、相対平均パワーより10倍、100倍または1000倍大きいものであり、
特に、前記インパルスは、下記を有する、請求項1または2に記載の装置。
・100fs~1000ns、または、1fs~1000μsの持続時間、および/または、
・1kW~10MW、具体的には、10kW~2MWのピークパワー。
【請求項4】
前記検出表面輪郭(DSP)と前記目標表面輪郭(TSP)との比較は、シリンダ本体(1)の差分輪郭パラメータを定義し、
前記差分輪郭パラメータは、前記検出表面輪郭(DSP)と前記目標表面輪郭(TSP)との間の差または比率を表し、
制御ユニットは、除去手順中に、前記差分輪郭パラメータに応じて、下記を含むグループ内の少なくとも1つの装置動作パラメータを調整するように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
・レーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームの少なくとも1つの制御パラメータ、特に、前記制御パラメータは、レーザビームの平均パワー、レーザビームのピークパワー、レーザビームのパルスの持続時間、レーザビームのパルス間の間隔の持続時間、レーザビームのサイズ、レーザエミッタ(600,600”)とシリンダ本体の外面(1)との間の距離。
・シリンダ本体(1)の外面に向けたレーザビームの放射の際に、主方向(Z)に沿ったレーザエミッタ(600,600”)の変位速度。
・シリンダ本体(1)の外面に向けたレーザビームの放射の際に、その回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の角速度。
・レーザビームがシリンダ本体(1)の側面(4)の同じ部分に入射する通過回数。
・前記レーザビームがシリンダ本体(1)の側面(4)の同じ部分に入射する露光時間、具体的には、前記時間は、シリンダ本体(1)の前記角速度およびレーザエミッタ(600,600”)。の前記変位速度に依存する。
・シリンダ本体(1)の側面(4)の同じ部分にレーザビームによって放射されるエネルギーを表すエネルギーパラメータ。
特に、前記エネルギーパラメータは、下記を含むグループ内の少なくとも2つの組合せに依存する。
o前記少なくとも1つのレーザエミッタ制御パラメータ(600,600”)。
o主軸(Z)に沿ったレーザエミッタ(600,600”)の前記変位速度。
oその回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の前記角速度。
o前記露光時間
oパス回数。
【請求項5】
前記制御ユニットは、下記のように構成される、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
・前記差分パラメータの値が増加するにつれて、
o平均パワー、レーザビームのピークパワー、露光時間、および。側面(4)の同じ部分に入射するレーザビームの通過回数のうちの少なくとも1つを増加させ、特にレーザビームのピークパワーを増加させ、および/または、
oシリンダ本体(1)の角速度、主方向(Z)に沿ったレーザエミッタ(600,600”)の変位速度のうちの少なくとも1つを減少させ、
・前記差分パラメータの値が減少するにつれて、
o平均パワー、レーザビームのピークパワー、露光時間、および。側面(4)の同じ部分に入射するレーザビームの通過回数のうちの少なくとも1つを減少させ、特にレーザビームのピークパワーを減少させ、および/または、
oシリンダ本体(1)の角速度、主方向(Z)に沿ったレーザエミッタ(600,600”)の変位速度のうちの少なくとも1つを増加させ、
特に、前記差分パラメータは、検出表面輪郭(DSP)と目標表面輪郭(TSP)との間に介在する除去すべき材料の量に比例する。
【請求項6】
除去手順は、
・予め定めたレーザエミッタ制御パラメータを設定すること、
・必要に応じて、回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の角速度を設定し、および/または、検出軸(Y)に沿った輪郭検出器(700)の変位速度を設定すること、
・レーザビームの単一通過中の際に、シリンダ本体(1)の側面(4)から除去される材料の厚さを表す除去指数を決定し、または入力として受信すること、
・輪郭の差分パラメータおよび前記除去指数に応じて、前記目標表面輪郭(TSP)を得るために必要なレーザエミッタの通過回数を計算することであって、必要に応じて、前記通過回数は、輪郭の差分パラメータと前記除去指数との比率として計算され、特に前記比率は、デフォルトで整数に近似されること、を含み、
レーザビームパルスのピークパワーが増加するにつれて、除去指数は増加し、目標表面輪郭(TSP)を得るために必要なレーザ通過回数は相応に減少し、
レーザビームパルスのピークパワーが減少するにつれて、除去指数は減少し、目標表面輪郭(TSP)を得るために必要なレーザ通過回数は相応に増加する、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記輪郭検出器(700)を用いてシリンダ本体(1)の外側輪郭を検出するステップは、
・シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りに角回転させるステップ、
・検出軸(Y)に沿って輪郭検出器(700)を移動させ、シリンダ本体(1)の外面の長さを、少なくとも部分的に、特に全体的にカバーするステップであって、前記長さは、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して平行に測定されるステップ、とを含み、
特に、回転および移動させるステップは、その順序または逆の順序で、または同時に実行され、
制御ユニットは、除去手順の際に、下記のように動作するように構成され、
・シリンダ本体(1)を回転させるステップ、
・レーザエミッタを主軸(Z)に沿って移動させるステップ、
・レーザエミッタを介してレーザビームを作業場所の方向に放射して、シリンダ本体(1)の側面(4)から金属材料を除去するステップ、
シリンダ本体(1)を回転させるステップおよびレーザエミッタを移動させるステップは、この順序で、または逆の順序で、または同時に、シリンダ本体(1)の表面輪郭を完全にカバーして実行される、請求項1~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記輪郭検出器(700)は、
・1つ以上の可動アームを含む少なくとも1つの内径であって、前記1つ以上の可動アームの先端によって、シリンダ本体(1)の側面(4)に接触するように構成され、前記可動アームは、シリンダ本体(1)の表面輪郭を検出するように構成された、少なくとも1つの内径(caliber)、または
・シリンダ本体(1)の側面(4)との介在距離を測定するように構成された少なくとも1つの非接触距離検出器、具体的には、光学検出器、例えば、レーザと、飛行時間型検出器との間の少なくとも1つを含む、非接触距離検出器、を含む、請求項1~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
修復手順は、閉ループ制御システムを定義するループ内で、検出手順および除去手順を繰り返し実行することを含み、必要に応じて、こうしたループは、レーザビームがシリンダ本体(1)の同じ部分を通過する増加回数を定義するものであり、
この除去手順は、少なくとも第1通過と第2通過を行うことを含み、必要に応じて、シリンダ本体(1)の側面(4)の1つ以上の対象部分において、レーザビームの「n」回通過(2≦n≦20)を行って、各通過の際に予め定めた量の材料を除去するものであり、
制御ユニットは、下記のように動作するように構成され、
・時間的に前記第1通過と第2通過との間で、輪郭検出器(700)に、前記対象部分におけるシリンダ本体(1)の更新された輪郭を検出するように命令し、
・前記更新された輪郭を、目標表面輪郭(TSP)と比較し、
・更新された輪郭と目標表面輪郭(TSP)との間の前記比較に従って、第2通過の際にレーザエミッタ(600,600”)によって放射されたレーザビームを変調し、個々の差分パラメータを更新し、前記変調ステップは、前記更新された差分パラメータに依存しており、
必要に応じて、前記第1通過および第2通過は、必ずしも連続していない、請求項1~8のいずれかに記載の装置。。
【請求項10】
制御ユニットは、下記の動作パラメータのうちの少なくとも1つを制御するように構成される、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
・レーザエミッタ(600,600”)の平均パワーまたはピークパワー。前記平均パワーまたはピークパワーは、最小パワー(Pmin)と最大パワー(Pmax)の間で調整可能である。
・レーザビームパルス持続時間。前記レーザパルス持続時間は、最小レーザパルス持続時間(Tmin)と最大レーザパルス持続時間(Tmax)との間で調整可能である。
特に、前記制御ユニットは、レーザエミッタパワー(600,600”)とレーザビームパルスの持続時間の両方を調節するように構成される。
【請求項11】
制御ユニットは、前記除去手順中に、下記のうち少なくとも1つを含む粗加工手順を定義するように構成され、
・レーザエミッタ(600,600”)に、パルスレーザビームを発生するように命令し、前記パルスの各々は、特に1ns~1000nsの間の大きさのオーダー以内の初期持続時間を有する。
・必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)に、50μm未満、具体的には20μm未満のサイズを有するレーザビームを発生するように命令し、前記サイズはビーム直径である。
制御ユニットはまた、除去手順中に、下記ステップのうちの少なくとも1つを含む半仕上げ手順を定義するように構成され、
・レーザエミッタ(600,600”)に、パルスレーザビームを発生するように命令し、前記パルスの各々は、前記第1持続時間よりも短い第2持続時間を有し、特に前記第2持続時間は、前記第1持続時間よりも少なくとも10倍、100倍または1000倍小さく、前記第2持続時間は、特に1fsと1000psとの間の大きさのオーダー内であり、好ましくは10ps未満である。
・必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)に、50μm未満、具体的には20μm未満のサイズを有するレーザビームを発生するように命令し、前記サイズはビーム直径である。
粗加工手順は、シリンダ本体(1)の側面(4)上に第1表面粗さを定義するように構成され、半仕上げ手順は、シリンダ本体(1)の側面(4)上に第2表面粗さを定義するように構成され、前記第1表面粗さは第2表面粗さより大きく、具体的には、前記第1表面粗さは第2表面粗さより「n」倍(1.1<n<5)大きく、
必要に応じて、
・粗加工手順中のレーザエミッタ(600,600”)の平均パワーは、半仕上げ手順中のレーザエミッタ(600,600”)の平均パワーと実質的に同じであり、前記平均パワーは、0.5W~500Wの範囲、特に1W~200Wの範囲であり、および/または、
・粗加工手順中にレーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームのピークパワーは、半仕上げ手順中にレーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームのピークパワーより低く、粗加工手順中のレーザビームの前記ピークパワーは、半仕上げ手順中のレーザビームのピークパワーよりも10倍、100倍または1000倍低く、具体的には、粗加工手順中の前記レーザビームピークパワーは、10kW~100kWの間であり、半仕上げ手順中の前記レーザビームピークパワーは、10kW~10MWの間であり、
必要に応じて、
・第1表面粗さは、0.8μm~2.0μmの間であり、
・第2表面粗さは、0.2μm~0.8μmの間であり、
前記レーザエミッタは、粗加工手順および/または半仕上げ手順中に、0.3μm~1μmの間の波長を有するレーザビームを放射するように構成される、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
制御ユニットは、除去手順中に、下記のうちの少なくとも1つを含む仕上げ手順を定義するように構成され、
・レーザエミッタ(600,600”)に、下記のタイプのレーザビームを発生するように命令すること。
o連続タイプ、または
o下記を有するパルスを備えるタイプ。
■粗加工手順および半仕上げ手順中に放射されるレーザビームパルスの持続時間よりも長い個々の持続時間。特に仕上げ手順中のパルスの持続時間は、1μs~1000msの間の大きさのオーダー内であり、および/または、
■粗加工手順および半仕上げ手順で放射されるレーザビームのピークパワーより小さい個々のピークパワー。特に、仕上げ手順のレーザビームの前記ピークパワーは、粗加工手順および半仕上げ手順で照射されるレーザビームのパワーピークよりも10倍、100倍または1000倍小さい。
・必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)に命令し、100μmより大きい、特に200μmより大きいサイズを有するレーザビームを発生すること。前記サイズは具体的には100μm~500μmの間であり、
仕上げ手順は、シリンダ本体(1)の側面(4)上に、0.5μm未満、具体的には0.4μm未満、具体的には0.05μm~0.4μmの間の仕上げ表面粗さを定義するように構成される、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
装置は、レーザビームによって影響を受けるシリンダ本体(1)の側面(4)の一部の方向にガス流を配送するように構成されたガスノズル(610)を備え、必要に応じて、前記側面部分(4)は、シリンダ本体(1)の側面(4)の作業部分であり、
前記ガスノズル(610)は、下記のうちの少なくとも1つを配送するように構成され、
・非酸化性ガス、特に不活性ガス。特に前記非酸化性ガスは、窒素、ヘリウムおよびアルゴンを含むグループ内の少なくとも1つを含む。
・シリンダ本体(1)の側面(4)と相互作用して、レーザビームによって影響を受けるシリンダ本体(1)の側面(4)の前記部分に化学変化を引き起こすように構成された反応性ガス。反応性ガスは、酸素または空気のうちの少なくとも1つを含む。
装置は、少なくともワークステーションおよびレーザエミッタ、必要に応じて輪郭検出器(700)を収容する内部空間を画定するシールドカバー(1000)を含み、
前記シールドカバー(1000)は、レーザビームを前記内部空間内に閉じ込めて、レーザビームが逃げるのを防止するように構成され、
前記シールドカバー(1000)の内部空間は、実質的に
除去手順によって発生する金属粉塵の内部空間から周囲環境への漏出を防止するように構成されたフィルタ装置を介してのみ外部環境と連通している、請求項1~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
・装置は、第1および第2レーザビーム源(601,601”)を含み、それぞれがそ個々のケーブル、特に光ファイバケーブルによって前記レーザエミッタ(600)に、具体的には第1レーザビーム源のケーブルおよび、同じレーザエミッタ(600)に流入する第2レーザビーム源のケーブルによって接続され、
前記第1レーザビーム源(601)は、第1レーザビームを発生するように構成され、前記第2レーザビーム源(601”)は、第2レーザビームを発生するように構成され、
前記第1レーザビームは、少なくとも1つの制御パラメータ、特にレーザパルスのピークパワーもしくは持続時間、または前記第2レーザビームとは異なる波長を含み、
制御ユニットは、第1または第2レーザビーム源(601,601”)を選択的に駆動して、個々のレーザビームをレーザエミッタに放射するように構成され、
あるいは、
・装置は、互いに区別され、ワークステーション内の異なる位置に設置された前記レーザエミッタ(600)および補助レーザエミッタ(600”)を含み、
装置はさらに、
o個々の第1ケーブル、具体的には光ファイバケーブルによって前記レーザエミッタ(600)に接続された第1レーザビーム源(601)と、
o個々の第2ケーブル、具体的には光ファイバケーブルによって前記補助レーザエミッタに接続された第2レーザビーム源(601”)とを含み、
前記第1レーザビーム源(601)は、第1レーザビームを発生するように構成され、前記第2レーザビーム源(601”)は、第2レーザビームを発生するように構成され、
レーザエミッタ(600)は、第1放射方向に沿って第1レーザビームを放射するように構成され、一方、補助レーザエミッタ(600”)は、第2放射方向に沿って第2レーザビームを放射するように構成され、前記第1放射方向および前記第2放出方向は、動作場所の様々な領域と交差し、
または、動作状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)の様々な部分と交差し、
制御ユニットは、第1および第2レーザビーム源(601,601”)を同時にまたは選択的に駆動して、個々のレーザビームを放射するように構成され、
必要に応じて、
o前記第1レーザビームは、前記第2レーザビームとは異なる少なくとも1つの制御パラメータまたは波長を含み、制御ユニットは、第1および第2レーザビーム源を同時にまたは選択的に駆動して、個々のレーザビームを放射するように構成され、
あるいは、
o前記第1レーザビームおよび前記第2レーザビームが同じ波長を有し、制御ユニットは、第1および第2レーザビーム源を同時にまたは選択的に駆動して、個々のレーザビームを放射するように構成される、請求項1~13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、シリンダ本体(1)から材料を除去するのに適したパルスレーザビームを放射するように命令するように構成され、
除去手順(2002)は、
・前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させ、必要に応じて、シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りで回転するように配置するステップ(2002a)と、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、前記パルスレーザビームを放射するように命令し、前記パルスは、シリンダ本体(1)から材料を除去可能である、ステップ(2002b)とを含み、
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列され、
シリンダ本体(1)の側面(4)に向けられた各パルスは、装置の前記動作状態中に、シリンダ本体(1)の前記側面(4)上に個々のレーザフットプリント(40)を画定するように構成され、前記レーザパルスは、前記レーザフットプリント間に個々の重なり部分(41)を形成することによって、少なくとも部分的に互いに重なり合うレーザフットプリントを画定し、
前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ、および少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、パルスレーザビームを放射するよう命令するステップ(2002b)は、互いに実質的に同時である、請求項1~14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
シリンダ本体(1)の表面処理、特に圧延シリンダの表面修復のための装置(10)であって、
・装置動作状態(10)において、側面(4)を有するシリンダ本体(1)を受け入れるように構成された少なくとも1つの動作場所を画定するワークステーション(100)であって、予め定めた回転軸(K)に従ってシリンダ本体(1)を回転支持するように構成されたワークステーション(100)と、
・ワークステーション(100)と協働し、前記動作場所の方向に少なくとも1つのパルスレーザビームを放射するように構成された少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)であって、少なくとも、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な主軸(Z)に沿って移動可能であるレーザエミッタ(600,600”)と、
・レーザエミッタ(600,600”)に動作可能に接続され、装置(1)の動作状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順を実行するように構成された制御ユニット(15)と、を備え、
前記修復手順(2000)は、少なくとも下記のステップを含む除去手順(2002)を含み、
oシリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ(2002a)。
o少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、前記パルスレーザビームを放射するよう命令し、前記パルスは、シリンダ本体(1)からの材料を除去可能であるステップ(2002b)。
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列しており、
シリンダ本体(1)の側面(4)に向けられた各パルスは、装置の前記動作条件中に、シリンダ本体(1)の前記側面上に個々のレーザフットプリント(40)を画定するように構成され、
前記レーザパルスは、互いに少なくとも部分的に重なり合うレーザフットプリントを画定し、前記レーザフットプリント間に個々の重なり部分(41)を形成する、請求項1~15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
重なり部分(41)は、レーザフットプリント(40)の表面範囲の10%~90%の間、必要に応じて25%~75%の間の表面範囲に渡って延びており、必要に応じて、重なり部分(41)の前記表面範囲は、50%~75%の間、または25%~50%の間である、請求項15~16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列しており、必要に応じて10kHz~10000kHzの間、より具体的には10kHz~1500kHzの間のパルス周波数を定義する、請求項15~17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記レーザフットプリント(40)は、シリンダ本体(1)からの材料除去の領域およびその境界を画定する、請求項15~18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップは、シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りに回転状態に配置するステップを含む、請求項15~19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
重なり部分は、互いに連続する、特に互いに直接連続するレーザフットプリントの少なくとも部分的な重なりによって画定され、
前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ(2002a)、および少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、パルスレーザビームを放射するように命令するステップ(2002b)は、互いに実質的に同時である、請求項15~20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記重なり部分は、第1レーザプリントと、前記第1レーザプリントに時間的に直接連続する第2レーザプリントとの重なりによって画定され、
前記第2レーザフットプリントは、前記パルス周波数の逆数に等しい、第1レーザフットプリントからの時間遅延を用いて画定される、請求項15~21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
制御ユニット(15)は、除去手順中に、
・予め定めた速度で回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の回転を命令し、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、第1レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に前記第1レーザインプリントを画定し、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、第2レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に前記第2レーザインプリントを画定するように構成され、
前記第2レーザインプリントは、前記第1レーザインプリントに部分的に重なっており、
第2レーザパルスは、前記第1レーザパルスに時間的に直接連続しており、
特に、第2レーザパルスは、第1レーザパルスに対して、前記レーザパルス周波数の逆数に等しい時間遅延を用いて放射される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
制御ユニット(15)は、除去手順中に、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記第1レーザパルスおよび前記第2レーザパルスに時間的に続く第3レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に、前記第2レーザインプリントと部分的に重なっており、前記第1レーザインプリントの外部にあり、または接している第3レーザインプリントを画定し、
あるいは、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記第1レーザパルスおよび前記第2レーザパルスに時間的に続く第3レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に、前記第2レーザインプリントおよび前記第1レーザインプリントと部分的に重なる第3レーザインプリントを画定するように構成され、
第3レーザパルスは、前記第2レーザパルスに時間的に直接連続しており、
特に、第3レーザパルスは、前記パルス周波数の逆数に等しい、第2レーザパルスからの時間遅延を用いて放射される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
該装置は、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームの方向の空間振動を、ある振動周波数に決定するように構成された振動システムを備え、
前記振動周波数は、10Hz~20000Hzの間、より具体的には100Hz~10000Hzの間、より具体的には200Hz~5000Hzの間、より具体的には200Hz~2000Hzの間であり、
必要に応じて、前記レーザビームは、パルスレーザビームであり、
必要に応じて、前記空間振動は、シリンダ本体(1)の側面(4)におけるレーザビームの振動振幅を、必要に応じて0.05mm~5mmの間、具体的には0.1mm~2mmの間に規定し、
制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、前記振動システムを駆動して、レーザビーム方向の空間振動を決定するように構成される、請求項1~24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
除去手順(2002)は、下記ステップを互いに実質的に同時に実行することを含む、請求項1~25のいずれかに記載の装置。
・シリンダ本体(1)を回転状態で移動させるステップ。
・振動システムによるレーザビーム方向の空間振動を決定するステップ。
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、レーザパルスを放射するステップ。
【請求項27】
制御ユニット(15)は、シリンダ本体の回転速度の関数として振動システムの振動周波数を決定するように、またはその逆も同様に決定するように構成され、
特に、該装置は、シリンダ本体(1)の回転速度を検出するように構成された回転速度検出器を含み、
制御ユニット(15)は、
・速度検出器によって検出されたシリンダ本体の前記回転速度の関数として振動システムの振動周波数を決定し、または、
・振動システムの振動周波数の関数としてシリンダ本体の回転速度を決定するように構成される、請求項25~26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
制御ユニット(15)は、
・シリンダ本体の回転速度が増加するにつれて、振動システムの振動周波数を増加させ、そして、
・シリンダ本体の回転速度が減少するにつれて、振動システムの振動周波数を減少させるように構成される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
振動システムによって決定されるレーザビーム方向の空間振動は、予め定めた軌道に沿ったレーザビームの移動を定義するものであり、前記予め定めた軌道は、下記の少なくとも1つを含む、請求項25~28のいずれかに記載の装置。
・円形軌道
・直線軌道
・湾曲した軌道
・楕円軌道
【請求項30】
振動システムは、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な振動方向に沿ってレーザビームを移動させるように構成され、特に、シリンダ本体(1)の側面(4)において、レーザビームの振動振幅をシリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行に定義するように構成される、請求項25~29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
レーザフットプリント間の重なり部分(41)を得るために、制御ユニット(15)は、下記のうちの少なくとも1つの関数として、振動システムの振動周波数を決定するように構成され、
・前記レーザフットプリント(40)の1次元の代表的なパラメータ(D)
・レーザパルスの周波数(fpulse
・シリンダ本体(1)の側面(4)におけるレーザパルスの振動振幅(L)
特に、制御ユニット(15)は、
・前記レーザフットプリント(40)のサイズの代表的パラメータ(D)が減少するにつれて、振動周波数を減少させ、
・必要に応じて、前記レーザフットプリント(40)のサイズの代表的パラメータ(D)が増加するにつれて、振動周波数を任意に増加させるように構成される、請求項15~30のいずれかに記載の、そして少なくとも請求項25との組合せによる装置。
【請求項32】
制御ユニット(15)は、重なり部分(41)を得るために、下記の式に従って振動システムの振動周波数を決定するように構成される、請求項15~31のいずれかに記載の、そして少なくとも請求項25との組合せによる装置。
【数1】
・foscは、振動システムによって決定できるレーザビームの振動周波数であり、前記振動周波数は、具体的にはHzで表される。
・Dは、前記レーザフットプリント(40)のサイズの代表的パラメータであり、前記代表的パラメータDは、具体的には、例えば、mmで表される直線寸法である。必要に応じて、前記代表的パラメータDは、前記レーザフットプリント(40)の直径である。
・Tは、2つのレーザーパルス間の時間間隔であり、具体的には前記時間間隔は、レーザービームのパルス周波数foscの逆数であり、例えば、前記時間間隔は、秒で表される。
・Lは、シリンダ本体(1)の側面(4)におけるレーザビームの振動振幅であり、レーザビームの前記振動振幅は、特にmmで表され、特に振動振幅Lは、0.05mm~5mmの間、より具体的には、0.1mm~2mmの間である。
【請求項33】
少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)は、レーザビームを焦点に導くように構成され、
前記焦点は、レーザビームの最小空間寸法を画定し、特に、レーザビームを規定する光線が前記焦点に収束しており、
少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)は、装置の動作状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)によって、所定の基準面からぼやけ距離(Δf)において前記焦点を規定するように構成され、
特に、前記ぼやけ距離(Δf)は、非ゼロ値である、請求項1~32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記ぼやけ距離(Δf)は、絶対値で0.01mm~2mmの間、より具体的には0.1mm~1mmの間、より具体的には0.1mm~0.5mmの間である、請求項1~33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)は、前記ぼやけ距離(Δf)を下記の間で変化させるように構成される、請求項33および34に記載の装置。
・焦点がシリンダ本体の外側にある場合、前記ぼやけ距離(Δf)の正の値。
・焦点がシリンダ本体の内部にある場合、前記ぼやけ距離(Δf)の負の値。
【請求項36】
レーザパルスの周波数は、シリンダ本体(1)の回転周波数より大きく、必要に応じて、シリンダ本体の前記回転周波数は、回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の1秒当たりの完全回転数として定義される、請求項15~35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
レーザパルスの周波数は、シリンダ本体(1)の回転周波数より少なくとも「n」倍大きく、ここでn>100であり、特にn>500であり、より具体的にはn>1000であり、さらに具体的にはn>3600である、請求項1~36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
前記シリンダ本体(1)の回転周波数は、5RPM~250RPMの間であり、必要に応じて20RPM~100RPMの間である、請求項15~37のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
制御ユニット(15)は、重なり部分の所望の表面範囲に応じて、
・レーザビームパルスの周波数を計算して命令し、
・シリンダ本体(1)の回転速度または回転周波数を計算して命令するように構成される、請求項15~38のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、下記のように動作するように構成される、請求項15~39のいずれかに記載の装置。
・重なり部分の所望の表面範囲を入力として受信し、または計算すること。
・重なり部分(41)の所望の表面範囲に従って、レーザビームの前記パルス周波数と、シリンダ本体(1)の前記回転速度または回転周波数とを計算すること。
・前記レーザビームパルス周波数およびシリンダ本体の前記回転速度を設定することによって、修復手順(2000)、特に除去手順(2002)を実行すること。
【請求項41】
前記レーザフットプリント(40)は、下記のグループ内の形状を有する、請求項15~40のいずれかに記載の装置。
・円形
・細長い円形
・楕円形、
・凸状輪郭を有する曲線
【請求項42】
制御ユニット(15)は、下記のうちの少なくとも1つを変更することによって、前記レーザフットプリントのうちのレーザフットプリントの形状を設定するように構成される、請求項15~41のいずれかに記載の装置。
・前記レーザフットプリントを画定するレーザビームパルス持続時間
・前記レーザパルスの放射中の回転軸(K)の周りのシリンダ本体の回転速度
・レーザビームの振動周波数
・必要に応じて、レーザビームの形状
【請求項43】
制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、下記のように動作するように構成される、請求項15~42のいずれかに記載の装置。
・重なり部分の所望の表面範囲、または、レーザフットプリント(40)の表面範囲に対する重なり部分(41)の表面範囲の比率を入力として受信すること。
・重なり部分の前記所望の表面範囲または前記比率に従って、下記のうちの少なくとも1つを計算すること。
oピークパワー
oレーザビームパルスの平均パワー
oシリンダ本体の回転速度、レーザパルスの周波数
あるいは、
・ビームからのピークパルスパワーを入力として受信すること。
・レーザビームからの前記ピークパルスパワーの関数として、重なり部分の前記表面範囲、またはレーザフットプリントの表面範囲に対する重なり部分の表面範囲の比率を計算すること。
あるいは、
・シリンダ本体の回転速度を入力として受信すること。
・必要に応じて、レーザパルス周波数を入力として受信すること。
・シリンダ本体(1)の回転速度、および必要に応じて、レーザパルスの周波数の関数として、重なり部分(41)の表面範囲、またはレーザフットプリント(40)の表面範囲に対する重なり部分(41)の表面範囲の比率を計算すること。
あるいは、
・レーザビームパルスのピークパワーを入力として受信すること。
・シリンダ本体(1)の回転速度を入力として受信すること。
・受信したレーザビームパルスのピークパワーおよびシリンダ本体(1)の回転速度の関数として、10kHz~10000kHzの間、より具体的には310kHz~1500kHzの間のレーザビームパルスの周波数を計算し、レーザフットプリント(40)の表面範囲の10%~90%の間、より具体的には25%~75%の間にある重なり部分(41)の表面範囲を達成すること。
【請求項44】
制御ユニット(15)は、下記のように動作するように構成される、請求項15~43のいずれかに記載の装置。
・シリンダ本体の所望の最大表面粗さを入力として受信すること。
・前記所望の最大表面粗さに応じて、下記のうちの少なくとも1つを計算すること。
o重なり部分の表面範囲、必要に応じて、前記表面範囲の値の範囲
o重なり部分(41)の表面範囲とレーザフットプリント(40)の表面範囲との間の関係
・重なり部分の前記表面範囲または前記比率の関数として、下記のうちの少なくとも1つを計算すること。
oレーザビームパルスのピークパワー
oレーザビームパルスの平均パワー
oシリンダ本体の回転速度
oレーザパルスの周波数
特に、前記最大表面粗さは、0.05μm~3.0μmの間であり、
特に、重なり部分の表面範囲は、レーザフットプリントの表面積の10%~90%の間、特に25%~75%の間であり、
特に、レーザビームパルスの前記ピークパワーは、5kW~1000kWの間、具体的には100kW~500kWの間であり、
特に、前記シリンダ本体の前記回転速度は、5RPM~250RPMの間であり、必要に応じて20RPM~100RPMの間である。
【請求項45】
前記レーザフットプリントは、70μm~20000μm、必要に応じて500μm~5000μmの表面範囲を有する、請求項15~44のいずれかに記載の装置。
【請求項46】
必要に応じて請求項1~45のいずれかに記載の装置を用いて、シリンダ本体(1)の表面修復のための方法であって、
前記シリンダ本体(1)は、回転軸(K)の周りの回転によって移動可能であり、シリンダ本体(1)の第1端部と第2端部との間に長さ方向に延びる側面(4)を含み、
前記方法は、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順(2000)を含み、前記修復手順(2000)は、
o少なくとも下記のステップを含む検出手順(2001)と、
■輪郭検出器(700)を用いて、シリンダ本体(1)の側面(4)の表面輪郭(DSP)を検出するステップ。
■前記検出表面輪郭を、シリンダ本体(1)の目標表面輪郭(TSP)と比較するステップ(1)。
o前記比較に従って実行される、下記の段階を含む除去手順(2002)と、を含み、
■レーザエミッタ(600,600”)を通して、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けてレーザビームを放射して、前記目標表面輪郭(TSP)を達成する段階であって、前記レーザビームは、シリンダ本体(1)から金属材料を局所的に除去する、段階。
特に、レーザエミッタは、下記のグループのうちの少なくとも1つを含む固体レーザエミッタである。
・ディスクレーザエミッタ
・ファイバレーザエミッタ
・Nd:YAGレーザエミッタ
・Yb:YAGレーザエミッタ
・Nd:YVO4レーザエミッタ
・ダイオードレーザエミッタ
・チタンサファイアレーザエミッタ
【請求項47】
除去手順(2002)は、下記ステップを含む、請求項46に記載の方法。
・前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させ(2002a)、必要に応じて、シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りに回転させるステップ。
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、パルスレーザビームを放射するように命令し(2002b)、前記レーザパルスは、シリンダ本体(1)から材料を除去するステップ。
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列しており、
特に、前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させる前記ステップと、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、パルスレーザを放射するように命令する前記ステップとは、互いに実質的に同時である。
【請求項48】
シリンダ本体(1)の側面(4)に向けられた各パルスは、リンダ本体(1)の前記側面(4)上に個々のレーザインプリントを画定し、
前記パルスは、前記レーザフットプリント間に個々の重なり部分(41)を形成することによって、互いに少なくとも部分的に重なるレーザフットプリント(40)を画定する(2002c)、請求項46~47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
シリンダ本体から材料を除去する手順(2002)を実行するステップを含む、シリンダ本体の表面修復のための方法(1)であって、
前記除去手順(2002)は、互いに連続するレーザパルスを、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けて放射するステップ(2002b)を含み、
各レーザパルスは、シリンダ本体(1)の前記側面(4)上に、個々のレーザフットプリントを画定し(2002c)、
前記レーザパルスは、個々の重なり部分(41)を前記レーザフットプリントの間に形成することによって、互いに少なくとも部分的に重なるレーザフットプリント(40)を画定する、方法。
【請求項50】
シリンダ本体の表面修復のための前記方法は、前記シリンダ本体(1)の側面(4)を研削する方法である、請求項46~49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記方法は、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順(2000)を含み、
前記修復手順(2000)は、下記ステップを含む前記除去手順(2002)を含み、
oシリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ(2002a)。
o少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記パルスレーザビームを放射するステップであって、前記パルスは、シリンダ本体(1)から材料を除去するように構成されるステップ(2002b)。
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列しており、
前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させる前記移動ステップ(2002a)と、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを放射するステップ(2002b)とは、互いに実質的に同時である、請求項48~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記重なり部分(41)間の各重なり部分が、レーザフットプリントの表面範囲の10%~90%の間、必要に応じて25%~75%の間、必要に応じて50%~75%、または25%~50%の間の表面範囲に渡って延びている、請求項48~51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
各レーザパルスは、シリンダ本体(1)の側面(4)上にクレータの形成を生じさせ、前記クレータは、70μm~20000μmの表面範囲を示す、請求項47~52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
各レーザパルスは、シリンダ本体(1)の側面(4)上にクレータの形成を生じさせ、前記クレータは、1μm~20μmの間の深さを示す、請求項47~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
第1レーザパルスと第2レーザパルスとの部分的重なりによって生成される重なり部分(41)が、シリンダ本体(1)の側面(4)上にクレータの形成を生じさせ、前記クレータは、10μm~100μmの間の深さを示す、請求項48~54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記シリンダ本体(1)は、積層シリンダであり、
前記圧延シリンダの少なくとも側面(4)は、金属材料、特に鋼または鋳鉄を含む金属材料で製作される、請求項46~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記修復方法は、、請求項15~45のいずれかに記載の装置(10)を用いて実行される、請求項49~56のいずれかに方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザエミッタを用いて、例えば、圧延機での積層シリンダなどのシリンダ本体の側面またはシェル表面を処理するための装置および方法に関する。詳細には、本発明は、レーザエミッタを用いた圧延シリンダの研削のための優先的応用を見出すものである。積層シリンダは、平らな金属製品、特に鋼板、アルミニウム、その他の金属またはポリマー材料のストリップを熱間圧延または冷間圧延するための圧延機での使用、あるいは製紙工場での使用を目的とする。
【背景技術】
【0002】
鋼、アルミニウム、その他の金属またはポリマーシート材料や紙のストリップの圧延は、圧延機内の積層(または「圧延」)シリンダを使用して行われる。こうしたストリップは、対向する圧延シリンダの間を通過するように付勢され、ストリップに高い圧力を作用する。積層シリンダは、圧延段階中に、積層ウェブの側面またはマントル上に複製されるように構成されたパターンまたはテクスチャリングを有することができ、これは専門用語で積層シリンダの「テーブル」とも呼ばれる。積層シリンダテーブルのパターンまたはテクスチャリングは、積層されるウェブ上に複製される予め定めた表面粗さを含むことができる。
【0003】
圧延シリンダの側面に作用する放電(EDT)またレーザエミッタによって実行されるテクスチャー化プロセスが知られている。レーザによって生成される表面粗さは、レーザビームの強度と、レーザエミッタと圧延シリンダの側面との間に介在する距離の関数になり得る。
【0004】
圧延中に、ロールは、圧力、摩耗、温度、処理の種類、処理される材料によって決まる進行的な劣化を受ける。例えば、圧延シリンダの側面またはテーブルは、微量の潤滑剤、フレーク、または金属残留物を含む汚れを保持することがあり、圧延ストリップの処理品質に悪影響を与える可能性がある。
【0005】
さらに、圧延サイクルが進むにつれて、圧延シリンダの側面が摩耗する可能性がある。例えば、シリンダは、金属ストリップに必要な粗さを生成するために必要な表面粗さ特性を徐々に失うことがある。圧延シリンダの表面粗さは、例えば、RaやRpcなどの特性パラメータの値が、予め定めた制限、例えば、公称値の20パーセントを超えて変化することがある。
【0006】
種々のタイプ、形状、深さの亀裂、へこみ、および局所的な損傷も積層シリンダの側面に発生する可能性があり、積層ウェブの最終結果に悪影響を及ぼす。
【0007】
最後に、圧延シリンダの側面またはテーブル表面の表層は、高い応力に曝される。これにより疲労現象を発生し、必要な表面特性を損なう可能性がある。
【0008】
圧延シリンダの劣化に続いて、シリンダを圧延機から一時的に取り外して、元の表面特性を修復する必要がある。
【0009】
現在まで、こうした修復は、例えば、砥石車処理を使用してシリンダを研削することによって、機械加工によって実行される。研削は、現時点で所望の結果を達成するために使用できる唯一の技術プロセスである。その主な理由は、シリンダを製作する材料の硬度と、得られる粗さの値のためである。シリンダ研削は、適切な粗さを修復するために、シリンダまたはテーブルの側面から予め定めた厚さの材料の除去を含み、亀裂やへこみなどの表面欠陥を排除して、シリンダの輪郭を圧延ミルによって必要な許容範囲(生成する要素または輪郭の形状、粗さ、偏心)に修復することを含む。
【0010】
この研削技術は、0.02μm~2.5μmの範囲内の粗さ(Ra)を有効かつ効率的に達成できる。その範囲内で、研削プロセスは、一般には粗加工、半仕上げ、仕上げ加工として識別される機械加工ステップと組み合わせて、予め定めた通過回数を実行する必要があり、これらのステップの間で機械加工パラメータが変更され、必要に応じて砥石車が変更されて、希望の最終粗さを達成する。
【0011】
従来の研削機械は、圧延シリンダを回転させ、砥石車がシリンダの側面に強制的に接触することによって発生する摩擦に打ち勝つために、比較的高い電力、特に数十または数百kWのオーダーの電力を必要とする。
【0012】
砥石車を使用した機械研削作業では、シリンダの表面および切削工具(実際には砥石車)の高温を伴い、局所温度を許容限度内に保つために冷却液を使用する必要がある。
こうした研削プロセスからの廃棄物は、圧延シリンダの構成金属の切粉、金剛粒、バインダー樹脂粒子、乳化した冷却液を含み、適切に処理すべき廃湿スラッジを定義する。
【0013】
必要な高い電力、砥石車/表面摩擦によって発生する高い熱エネルギー、および廃湿スラッジの存在により、圧延/積層シリンダ、または一般にシリンダ本体の修復プロセスの高いコストをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
(本発明の目的)
従って、本発明の目的は、従来の手法の不具合および/または制限の少なくとも1つを解決することである。
【0015】
第1目的が、よりエネルギー効率が高く、シリンダ本体の側面またはマントル表面を研削するための方法および装置を提供することである。
【0016】
更なる目的が、適切な時間内に元の側面および許容範囲を有効に修復できる、シリンダ本体の側面またはマントル表面を研削するための方法および装置を提供することである。
【0017】
更なる目的が、廃棄材料が処理領域から容易に除去される、シリンダ本体の側面またはマントル表面を研削するための方法および装置を提供することである。
【0018】
更なる目的が、廃棄物処理のコストを削減できる、シリンダ本体の側面またはマントル表面を研削するための方法および装置を提供することである。
【0019】
更なる目的が、研削プロセスのコストを削減できる、シリンダ本体の側面またはマントル表面を研削するための方法および装置を提供することである。
【0020】
更なる目的は、研削プロセス中に除去される材料の量を最適化できる、シリンダ本体の側面またはシェル表面を研削するための方法および装置を提供することである。
【0021】
これらの目的および他の目的は、下記の説明および下記の態様からより明らかになるが、下記の請求項および/または態様の1つ以上に係る方法および装置によって実質的に達成される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(要旨)
第1態様は、シリンダ本体(1)の表面処理、特に積層シリンダの表面修復のための装置(10)に関する。
前記装置は、
・装置動作状態(10)において、側面(4)を有するシリンダ本体(1)を受け入れるように構成された少なくとも1つの動作位置を画定するワークステーション(100)であって、予め定めた回転軸(K)に従ってシリンダ本体(1)を回転支持するように構成されたワークステーション(100)と、
・ワークステーション(100)と協働し、前記動作場所の方向に少なくとも1つのレーザビームを放射するように構成された少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)であって、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な主軸(Z)に少なくともに沿って移動可能である、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)と、
・シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な検出軸(Y)に少なくとも沿って移動可能である少なくとも1つの輪郭検出器(700)であって、前記装置使用状態の下で、シリンダ本体(1)の側面(4)の検出表面輪郭を検出するように構成された、少なくとも1つの輪郭検出器(700)と、
・レーザエミッタ(600,600”)および前記少なくとも1つの輪郭検出器(700)に動作可能に接続された制御ユニット(15)であって、前記装置使用状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順を実行するように構成された、制御ユニット(15)とを備え、
前記修復手順は、検出手順と、除去手順とを含み、
前記検出手順は、少なくとも、前記輪郭検出器(700)を用いて、シリンダ本体(1)の検出表面輪郭(DSP)を検出するステップと、前記検出表面輪郭(DSP)を、シリンダ本体(1)の目標表面輪郭(TSP)と比較するステップとを含み、
前記除去手順は、前記比較に従って実行され、少なくとも、レーザエミッタ(600,600”)を通して、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けてレーザビームを放射して、前記目標表面輪郭(TSP)を得るステップであって、前記レーザビームは、シリンダ本体(1)から金属材料を局所的に除去するように構成されるステップを含む。
【0023】
第2態様は、圧延/積層シリンダを研削するための方法に関するものであり、必要に応じて、前の態様による装置を用いており、前記シリンダ本体(1)は、シリンダ本体(1)の第1端部と第2端部との間の回転軸(K)に沿って長さ方向に延びる側面(4)を備え、
前記方法は、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順(2000)を含み、前記修復手順は、
o少なくとも下記のステップを含む検出手順(2001)と、
■輪郭検出器(700)を用いて、シリンダ本体(1)の側面(4)の表面輪郭(DSP)を検出するステップ。
■前記検出表面輪郭を、シリンダ本体(1)の目標表面輪郭(TSP)と比較するステップ(1)。
o前記比較に従って実行される、下記のステップを含む除去手順(2002)と、を含み、
■レーザエミッタ(600,600”)を通して、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けてレーザビームを放射して、前記目標表面輪郭(TSP)を得るステップ。前記レーザビームは、シリンダ本体(1)から金属材料を局所的に除去する、ステップ。
【0024】
前述した態様のいずれかに係る更なる態様では、前記圧延シリンダは、金属材料の圧延作業を実行するため、または紙シートの製造を目的とする。
【0025】
第3態様は、シリンダ本体(1)の表面処理のための方法に関するものであり、必要に応じて第1態様による装置を用いており、特に積層シリンダの表面修復のためであり、
前記シリンダ本体(1)は、回転軸(K)の周りの回転によって移動可能であり、シリンダ本体(1)の第1端部と第2端部との間に長さ方向に延びる側面(4)を含み、
前記方法は、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順を含み、前記修復手順は、
o少なくとも下記のステップを含む検出手順と、
■輪郭検出器(700)を用いて、シリンダ本体(1)の側面(4)の表面輪郭を検出するステップ。
■前記検出表面輪郭を、シリンダ本体(1)の目標表面輪郭(TSP)と比較するステップ(1)。
o前記比較に従って実行される、下記のステップを含む除去手順と、を含み、
■レーザエミッタ(600,600”)を通して、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けてレーザビームを放射して、前記目標表面輪郭(TSP)を得るステップであって、前記レーザビームは、シリンダ本体(1)から金属材料を局所的に除去する、ステップ。
【0026】
前述した態様のいずれかに係る第4態様では、シリンダ本体(1)の前記表面輪郭および前記目標表面輪郭(TSP)は、
・シリンダ本体(1)の角度位置、および
・検出軸(Y)に沿った直線位置、
のうちの少なくとも1つに従って変化する少なくとも1つの可変の幾何学的特徴を含み、
検出表面輪郭(DSP)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴は、シリンダ本体(1)の直径、および/または、シリンダ本体(1)の前記直径の変動、および/または、シリンダ本体(1)の側面(4)と輪郭検出器(700)との間の介在距離、を表す少なくとも1つの個々の高度パラメータを含む。
【0027】
前の態様に係る第5態様では、前記少なくとも1つの目標表面輪郭幾何学的特徴(TSP)は、シリンダ本体(1)の直径、および/または、シリンダ本体(1)の前記直径の変動、および/または、シリンダ本体(1)の側面(4)と輪郭検出器(700)との間の、動作状態および後続の除去手順における介在距離、を表す少なくとも1つの個々の目標高度パラメータを含む。
【0028】
前述した態様のいずれかに係る第6態様では、制御ユニットは、下記のように動作するように構成される。
・輪郭検出器(700)を検出軸(Y)に沿って移動すること。
・検出軸(Y)に沿った輪郭検出器(700)を移動させながら、輪郭検出器(700)によって前記表面輪郭(DSP)を検出すること。
・シリンダ本体(1)の検出表面輪郭(DSP)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴と、検出軸(Y)に沿った個々の直線位置とを関連付けること。
そして、必要に応じて、
・特にシリンダ本体に動作可能に接続された電気モータを用いて、シリンダ本体(1)を回転軸(K)の周りに回転移動させること。
・シリンダ本体の回転中に、輪郭検出器(700)を用いて表面輪郭(DSP)を検出すること。
・シリンダ本体(1)の検出表面輪郭(DSP)の前記少なくとも1つの幾何学的特徴と、シリンダ本体(1)の個々の角度位置とを関連付けること。
【0029】
前の態様のいずれかに係る第7態様では、制御ユニット(15)は、除去手順中に、パルスレーザービームを放射するように構成され、特に、前記パルスは、
・100fs(フェムト秒)~1000ns(ナノ秒)の間、または1fs~1000μs(マイクロ秒)の間、または1ns~1000nsの間、または1fs~1000ps(ピコ秒)の間の持続時間、および/または、
・1kW~10MWの間、具体的には10kW~2MWの間のピーク電力、
を有する。
【0030】
前述した態様のいずれかによる第8態様では、前記パルスレーザビームは、シリンダ本体(1)から材料を除去するように構成され、前記除去段階は、前記除去された材料の粉末(powder)を生成し、前記材料は、金属、特に鋼である。
【0031】
前の態様のいずれかに係る第9態様では、、前記検出表面輪郭(DSP)と前記目標表面輪郭(TSP)との比較により、シリンダ本体(1)の差分輪郭パラメータを定義し、前記差分輪郭パラメータは、前記検出表面輪郭(DSP)と前記目標表面輪郭(TSP)との間の差または比率を表す。
【0032】
前の態様のいずれかによる第10態様では、制御ユニットは、除去手順中に、前記差分輪郭パラメータに従って、装置の少なくとも1つの動作パラメータを調節するように構成される。
【0033】
前の態様による第11態様では、装置の少なくとも1つの動作パラメータは、レーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームの少なくとも1つの制御パラメータを含み、前記制御パラメータは、レーザビームの平均パワー、レーザビームのピークパワー、レーザビームパルスの持続時間、レーザビームパルス間の間隔の持続時間、レーザビームのサイズ、レーザエミッタ(600,600”)とシリンダ本体(1)の外面との間の距離、レーザビームパルスの放射周波数のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
前の2つの態様に係る第12態様では、前記制御ユニットは、差分パラメータに応じて、レーザエミッタ(600,600”)によって放出されるレーザビームの制御パラメータ(レーザビームのピークパワー、レーザビームのパルス持続時間、および必要に応じてレーザビームの平均パワーを含む)を調節するように構成される。
【0035】
10から前の態様のいずれかに係る第13態様では、動作パラメータは、シリンダ本体(1)の外面に向けたレーザビームの放射中に、主(Z)方向に沿ったレーザエミッタ変位速度(600,600”)を含む。
【0036】
10から前の態様のいずれかに係る第14態様では、動作パラメータは、シリンダ本体(1)の外面に向けたレーザビームの放射中に、その回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の角速度を含む。
【0037】
10から前の態様のいずれかに係る第15態様では、動作パラメータは、レーザビームがシリンダ本体(1)の側面(4)の同じ部分に入射する通過の回数を含む。
【0038】
10から前の態様のいずれかに係る第16態様では、動作パラメータは、前記レーザビームがシリンダ本体(1)の側面(4)の同じ部分に入射する露光時間を含み、特に、前記持続時間は、シリンダ本体(1)の前記角速度およびレーザエミッタ(600,600”)の前記変位速度に依存する。
【0039】
10から前の態様のいずれかに係る第17態様では、動作パラメータは、シリンダ本体(1)の側面(4)の同じ部分においてレーザビームによって放射されるエネルギーを表すエネルギーパラメータを含み、
特に、前記エネルギーパラメータは、下記のグループ内の少なくとも2つの組合せに依存する。
o前記少なくとも1つのレーザエミッタ制御パラメータ(600,600”)
o主軸(Z)に沿った、レーザエミッタ(600,600”)の前記変位速度
oその回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の前記角速度
o前記露光時間
o前記通過回数
【0040】
前の態様のいずれかに係る第18態様では、制御ユニットは、前記差分パラメータの値が増加するにつれて、下記のように動作するように構成される。
・レーザエミッタ制御パラメータ(600,600”)、側面(4)の同じ部分に入射するレーザビームの露光時間および通過回数のうちの少なくとも1つを増加させ、特にレーザビームのピークパワーを増加させ、および/または、
・シリンダ本体(1)の角速度、主方向(Z)に沿ったレーザエミッタ(600,600”)の変位速度、およびレーザビームのパルス持続時間のうちの少なくとも1つを減少させる。
【0041】
前の態様のいずれかに係る第19態様では、制御ユニットは、前記差分パラメータの値が減少するにつれて、下記のように動作するように構成される。
・レーザエミッタ制御パラメータ(600、600”)、側面(4)の同じ部分に入射するレーザビームの露光時間および通過回数の少なくとも1つを減少させ、特にレーザビームのピークパワーを減少させ、および/または、
・シリンダ本体(1)の角速度、主方向(Z)に沿ったレーザエミッタ(600,600”)の変位速度、およびレーザビームのパルス持続時間のうちの少なくとも1つを増加させる。
【0042】
前の態様のいずれかに係る第20態様では、前記差分パラメータは、シリンダ本体(1)の角度位置に従って、および/または、検出軸に沿って可変であり、特に、前記差分パラメータは、検出軸(Y)に沿ってのみ可変である。
【0043】
前の態様のいずれかに係る第21態様では、前記差分パラメータは、シリンダ本体(1)の表面輪郭の摩耗を表す。
【0044】
前の態様のいずれかに係る第22態様では、前記差分パラメータは、検出表面輪郭(DSP)と目標表面輪郭(TSP)との間に介在する除去対象の材料の量に比例する。
【0045】
前の態様のいずれかに係る第23態様では、除去手順は、下記動作を含む。
・予め定めたレーザエミッタ制御パラメータを設定すること。
・必要に応じて、回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の角速度を設定し、および/または、検出軸(Y)に沿った輪郭検出器(700)の変位速度を設定すること。
・レーザビームの単一通過中に、シリンダ本体(1)の側面(4)から除去される材料の厚さを表す除去指数を決定するか、または入力として受信すること。
・輪郭の差分パラメータおよび前記除去指数に応じて、前記目標表面輪郭(TSP)を得るために必要なレーザエミッタの通過回数を計算すること。必要に応じて、前記通過回数は、前記除去指数に対する差分パラメータの比率として計算され、特に前記比率は、デフォルトで整数に近似される。
【0046】
前の態様のいずれかに係る第24態様では、除去指数を決定するステップは、レーザエミッタの制御パラメータ設定、シリンダ本体(1)の角速度、および必要に応じて検出軸(Y)に沿った輪郭検出器(700)の変位速度に依存する。
【0047】
前の態様のいずれかに係る第25態様では、
・レーザビームパルスのピークパワーが増加し、
・必要に応じて、レーザビームのパルス持続時間が減少するにつれて、
除去指数が増加し、それに応じて目標表面輪郭(TSP)を得るために必要なレーザ通過回数が減少する。
【0048】
前の態様のいずれかに係る第26態様では、
・レーザビームパルスのピークパワーが減少し、
・必要に応じて、レーザビームのパルス持続時間が増加するにつれて、
除去指数が減少し、それに応じて目標表面輪郭(TSP)を得るために必要なレーザ通過回数が増加する。
【0049】
前の態様のいずれかに係る第27態様では、目標表面輪郭(TSP)は、検出表面輪郭(DSP)によって定義されるシリンダ本体(1)の個々の平均直径より小さいシリンダ本体(1)の平均直径を定義する。
【0050】
前の態様のいずれかに係る第28態様では、回復手順は、ループ内で検出手順および除去手順を繰り返し実行して、閉ループ制御システムを定義することを含み、必要に応じて、こうしたループは、シリンダ本体の同じ部分において通過するレーザビームの増加回数を定義する。
【0051】
前の態様のいずれかに係る第28の2態様では、除去手順に続いて、修復手順は、前記輪郭検出器(700)を用いて、シリンダ本体(1)の更新された検出表面輪郭(DSP)を検出するための追加の検出手順を含み、前記更新された検出表面輪郭(DSP)は、前記目標表面輪郭と再び比較される。
【0052】
前の態様のいずれかに係る第29態様では、前記輪郭検出器(700)を用いてシリンダ本体(1)の外側輪郭を検出するステップは、下記のステップを含む。
・シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りに角回転させるステップ。
・輪郭検出器(700)を検出軸(Y)に沿って移動させて、シリンダ本体(1)の外面の長さを少なくとも部分的に、特に全体的にカバーするステップ。前記長さは、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して平行に測定される。
特に、回転ステップおよび移動ステップは、その順序または逆の順序で、または同時に実行される。
【0053】
前の態様のいずれかに係る第30態様では、制御ユニットは、除去手順中に、下記のように動作するように構成される。
・シリンダ本体(1)を回転させること。
・レーザエミッタを主軸(Z)に沿って移動すること。
・レーザエミッタを介してレーザビームを作業場所 の方向に放射して、シリンダ本体(1)の側面(4)から金属材料を除去すること。
シリンダ本体(1)を回転させるステップと、レーザエミッタを移動させるステップとは、この順序または逆の順序で、または同時に、シリンダ本体(1)の表面輪郭を完全にカバーして実行される。
【0054】
前の態様のいずれかに係る第31態様では、制御ユニットは、検出手順中および/または除去手順中に、シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りで回転させるステップと、輪郭検出器(700)を検出軸(Y)に沿って移動させるステップとを特定の方法で実行するように構成され、
・順次に、輪郭検出器(700)を移動させるステップは、シリンダ本体(1)を回転させるステップの後であり、またはその逆も同様であり、または
・同時に、輪郭検出器(700)を移動させるステップは、シリンダ本体(1)を回転させるステップと部分的または全体的に同時である。
【0055】
前の態様のいずれかに係る第32態様では、シリンダ本体(1)の外側輪郭を検出するステップは、下記のステップを、下記の順序または逆の順序でループ内で連続的かつ再帰的に実行するステップを含む。
・シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りに回転させ、同時に輪郭検出器(700)を検出軸(Y)に対して静止状態に保持するステップ。
・シリンダ本体(1)を回転的に停止させ、同時に輪郭検出器(700)を検出軸(Y)に沿って1つ以上の送りステップだけ移動させるステップ。
【0056】
前の態様のいずれかに係る第33態様では、前記輪郭検出器(700)は、下記のうちの少なくとも1つを含む、シリンダ本体(1)の輪郭の代表的パラメータを検出するように構成される。
・シリンダ本体(1)の直径
・シリンダ本体(1)の直径の変化
・前記検出器とシリンダ本体(1)の外面の前記輪郭との間の介在距離
前記代表的パラメータは、シリンダ本体(1)の外面輪郭に従って変化し、
特に、前記代表的パラメータは、シリンダ本体(1)の回転、および/または、検出軸(Y)に沿った輪郭検出器(700)の位置とともにさらに変化する。
【0057】
前の態様のいずれかに係る第34態様では、前記輪郭検出器(700)は、下記を含む。
・前記1つ以上の可動アームの先端を用いて、シリンダ本体(1)の側面(4)に接触するように構成された1つ以上の可動アームを含む少なくとも1つのゲージ。前記可動アームは、シリンダ本体(1)の表面輪郭を検出するように構成される。または、
・シリンダ本体(1)の側面(4)との間の介在距離を測定するように構成された少なくとも1つの非接触距離検出器。
具体的には、前記非接触距離検出器は、レーザなどの光学検出器と、飛行時間型検出器との間の少なくとも1つを含むことによる。
【0058】
前の態様のいずれかに係る第35態様では、除去手順は、少なくとも1つの第1通過と1つの第2通過を行うことを含み、必要に応じて、シリンダ本体(1)の側面(4)の1つ以上の対象部分において、レーザビームの「n」回通過(2≦n≦20)を行って、各通過の際に予め定めた量の材料を除去する。
【0059】
前の態様のいずれかに係る第36態様では、制御ユニットは、下記のように動作するように構成される。
・時間的に前記第1通過と第2通過との間で、輪郭検出器(700)に命令し、前記対象部分におけるシリンダ本体(1)の更新された輪郭を検出すること。
・前記更新された輪郭を、目標表面輪郭(TSP)と比較すること。
・更新された輪郭と目標表面輪郭(TSP)との間の前記比較に従って、第2通過中に、レーザエミッタ(600,600”)によって放射されたレーザビームを調節し、個々の差分パラメータを更新すること。前記調節ステップは、前記更新された差分パラメータに依存する。
【0060】
前の態様のいずれかに係る第37態様では、前記レーザエミッタ制御パラメータは、下記のグループのうちの少なくとも1つを含む。
・レーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームの平均パワー。前記平均パワーは、最小パワー(Pmin)と最大パワー(Pmax)の間で調節可能であり、特に前記パワーは、ワット単位で測定される。
・レーザビームの1つ以上のパルスの持続時間。前記レーザパルス持続時間は、レーザパルスの最小持続時間(Tmin)とレーザパルスの最大持続時間(Tmax)との間で調節可能である。
・レーザビームパルスのピークパワー。
・レーザエミッタ(600,600”)とシリンダ本体(1)の外面との間の距離、必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)と回転軸(K)との間に介在する距離。前記レーザエミッタ(600,600”)は、較正方向(X)に沿って回転軸(K)に対して横断方向、特に直角に移動可能であり、特に前記較正方向(X)は、回転軸(K)と交差している。
・前述の全ての制御パラメータの組合せ。
【0061】
前の態様のいずれかに係る第38態様では、露光持続時間は、シリンダ本体(1)の外面の同じ部分に放射されるレーザビームパルスの各々の持続時間の合計に本質的に対応する。
【0062】
前の態様のいずれかに係る第39態様では、前記エネルギーパラメータは、レーザビームの平均パワーと、レーザビームがシリンダ本体(1)の外面の同じ部分に作用する1回の持続時間との間の算術積に比例する。
【0063】
前の態様のいずれかに係る第40態様では、制御ユニットは、下記の動作パラメータのうちの少なくとも1つを調節するように構成される。
・レーザエミッタ(600,600”)の平均パワーまたはピークパワー。前記平均ピークまたはピークパワーは、最小パワー(Pmin)と最大パワー(Pmax)の間で調節可能であり、特に前記パワーはワット単位で測定される。
・レーザビームパルス持続時間。前記レーザパルス持続時間は、最小レーザパルス持続時間(Tmin)と最大レーザパルス持続時間(Tmax)との間で調節可能であり。
特に、前記制御ユニットは、レーザエミッタパワー(600,600”)およびレーザビームパルスの持続時間の両方を調節するように構成される。
【0064】
前の態様のいずれかに係る第41態様では、制御ユニットは、除去手順中に、下記のステップのうちの少なくとも1つを含む粗加工手順を定義するように構成される。
・レーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを発生するステップ。前記パルスの各々は、ある初期持続時間を有し、特に1ns~1000nsの間の大きさのオーダー以内の初期持続時間を有する。
・必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)に命令し、50μm未満、具体的には20μm未満のサイズを有するレーザビームを発生するステップ。前記サイズは、ビーム直径である。
【0065】
前の態様のいずれかに係る第42態様では、制御ユニットは、除去手順中に、以下のステップのうちの少なくとも1つを含む半仕上げ手順を定義するように構成される。
・レーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを発生するステップ。前記パルスの各々は、前記第1持続時間よりも短い第2持続時間を有する。
特に前記第2持続時間は、前記第1持続時間よりも少なくとも10倍、100倍、または1000倍小さく、前記第2持続時間は、特に1fs~1000psの間の大きさのオーダー内であり、好ましくは10ps未満である。
・必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)に命令し、50μm未満、具体的には20μm未満のサイズを有するレーザビームを発生する。前記サイズは、ビーム直径である。
【0066】
前の態様のいずれかに係る第43態様では、半仕上げ手順は、時間的に粗加工手順の後に続く。
【0067】
前の態様のいずれかに係る第44態様では、粗加工手順は、シリンダ本体(1)の側面(4)に第1表面粗さを定義するように構成され、半仕上げ手順は、シリンダ本体(1)の側面(4)上に第2表面粗さを定義するように構成され、前記第1表面粗さは、第2表面粗さより大きく、特に前記第1表面粗さは、第2表面粗さの「n」倍大きい(1.1<n<5)。
【0068】
前の態様のいずれかに係る第45態様では、
・粗加工手順中のレーザエミッタ(600,600”)の平均パワーは、半仕上げ手順中のレーザエミッタ(600,600”)の平均パワーと実質的に同じである。前記平均パワーは、特に0.5W~500Wの間、特に1W~200Wの間である。および/または、
・粗加工手順中のレーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームのピークパワーは、半仕上げ手順中にレーザエミッタ(600、600”)によって放射されるレーザビームのピークパワーより低い。粗加工手順におけるレーザビームの前記ピークパワーは、半仕上げ手順におけるレーザビームのピークパワーよりも10倍、100倍、または1000倍低い。
【0069】
前の態様のいずれかに係る第46態様では、粗加工手順におけるレーザビームのピークパワーは、10kW~100kWとの間である。
【0070】
前の態様のいずれかに係る第47態様では、半仕上げ手順におけるレーザビームの前記ピークパワーは、10kW~10MWとの間である。
【0071】
44から前の態様のいずれかに係る第48態様では、
・第1平均表面粗さ(Ra)は、0.8μm~2.0μmの間である。
・第2平均表面粗さ(Ra)は、0.2μm~0.8μmの間である。
【0072】
前の態様のいずれかに係る第49態様では、前記レーザエミッタは、粗加工手順および/または半仕上げ手順中に、0.3μm~1.5μmの間の波長を有するレーザビームを放射するように構成される。
【0073】
前の態様のいずれかに係る第50態様では、制御ユニットは、除去手順中に、下記のステップのうちの少なくとも1つを含む仕上げ手順を定義するように構成される。
・レーザエミッタ(600,600”)に、下記のタイプのレーザビームを発生するように命令すること。
o連続タイプ、または
o下記を有するパルスを備えるタイプ。
■粗加工手順および半仕上げ手順中に放射されるレーザビームパルスの持続時間よりも長い個々の持続時間。特に仕上げ手順中のパルスの持続時間は、1μs~1000msの間の大きさのオーダー内であり、および/または、
■粗加工手順および半仕上げ手順で放射されるレーザビームのピークパワーより小さい個々のピークパワー。特に、仕上げ手順のレーザビームの前記ピークパワーは、粗加工手順および半仕上げ手順で照射されるレーザビームのパワーピークよりも10倍、100倍または1000倍小さい。
・必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)に命令し、100μmより大きい、特に200μmより大きいサイズを有するレーザビームを発生するように命令し、前記サイズは特に50μm~2000μmの間であり、前記サイズは、ビーム直径である。
【0074】
前の態様のいずれかに係る第51態様では、仕上げ手順は、シリンダ本体(1)の側面(4)上に、0.5μm未満、具体的には0.4μm未満、具体的には0.05μm~0.4μmの間の仕上げの平均表面粗さ(Ra)を定義するように構成される。
【0075】
前の態様のいずれかに係る第52態様では、前記レーザエミッタは、仕上げ手順中に、平均レーザビームパワーを1W~2kWの間、より具体的には10W~1kWの間、より具体的には20W~800Wの間、より具体的には50W~500Wの間に調節するように構成される。
【0076】
前の態様のいずれかに係る第52の2態様では、前記レーザエミッタは、仕上げ手順中に、ピークレーザビームパワーを8W~2kWの間、より具体的には10W~1kWの間、より具体的には10W~1kWの間、20W~800Wの間、より具体的には50W~500Wの間に調節するように構成される。
【0077】
前の態様のいずれかに係る第53態様では、仕上げ手順中にレーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームの平均パワーは、粗加工手順中にレーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームの平均パワーよりも大きい。
【0078】
前の態様のいずれかに係る第54態様では、
・粗加工手順中に、レーザエミッタは、初期ピークパワーPr_pを有するレーザビームを放射するように構成され、
・半仕上げ手順中に、レーザエミッタは、第2ピークパワーPs_pを有するレーザビームを放射するように構成され、
・仕上げ手順中に、レーザエミッタは、ピーク仕上げパワーPf_pを有するレーザビームを放射するように構成され、下記の条件を満たす。
【数1】
【0079】
前の態様のいずれかに係る第55態様では、前記レーザエミッタは、粗加工手順中に、仕上げ加工または半仕上げ手順中に除去される材料の厚さよりも大きな厚さの材料を、各主要通過ごとに除去するように構成される。
【0080】
前の態様のいずれかに係る第56態様では、粗加工手順中に、レーザエミッタは、各通過中に、シリンダ本体(1)の側面(4)から、0.001mm~0.250mmの間、具体的には0.010~0.100mmの間の材料厚さを除去するように構成される。
【0081】
前の態様のいずれかに係る第57態様では、前記レーザエミッタは、除去手順中に、シリンダ本体(1)の側面(4)から、検出表面輪郭(DSP)と目標表面輪郭(TSP)の間の最大差よりも大きい、特に差分パラメータの最大値より大きい厚さの材料を除去するように構成される。
【0082】
前の態様のいずれかに係る第58態様では、前記厚さは、除去手順前の状態と除去手順後の状態との間で半径方向に測定される。
【0083】
前の態様のいずれかに係る第59態様では、レーザエミッタ(600,600”)は、動作状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)の作業部分に入射する放射方向に沿って前記レーザビームを放射するように構成され、前記レーザビーム放射方向(LD)は、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に直交または横断方向である。
【0084】
前の態様のいずれかに係る第60態様では、装置は、レーザビームによって影響を受けるシリンダ本体(1)の側面(4)の一部の方向にガスの流れを配送するように構成されたガスノズル(610)を含む。必要に応じて、前記側面部分(4)は、シリンダ本体(1)の側面(4)の作業部分である。
【0085】
前の態様のいずれかに係る第61態様では、前記ガスノズル(610)は、下記のうちの少なくとも1つを配送するように構成される。
・非酸化性ガス、特に不活性ガス。特に前記非酸化性ガスは、窒素、ヘリウム、およびアルゴンを含むグループ内の少なくとも1つを含む。
・シリンダ本体(1)の側面(4)と相互作用して、レーザビームによって影響を受けたシリンダ本体(1)の側面(4)の前記部分に化学変化を引き起こすように構成された反応性ガス。前記反応性ガスは、酸素または空気の少なくとも一方を含む。
【0086】
前の態様のいずれかに係る第62態様では、前記ガスノズル(610)は、レーザビーム放射方向(LD)を横切るガス放射方向(GD)に沿って前記ガスを配送するように構成される。前記ガス放射方向(GD)および前記レーザビーム放射方向(LD)は、作業ポイントで交わっており、特に前記作業ポイントは、レーザビームによって影響を受けるシリンダ本体(1)の側面(4)の前記部分と実質的に一致する。
【0087】
前の態様のいずれかに係る第63態様では、前記ガス流は、レーザビームが入射するシリンダ本体(1)の側面(4)の作業部分から金属粒子を遠くに移動させるように構成される。
【0088】
前の態様のいずれかに係る第63の2態様では、装置は、特に第1構成に従って、レーザ光源(601)によって発生したレーザビームを、連続反射によって前記レーザエミッタに導くのに適した偏向ミラーのシステムを含む。。
【0089】
前の態様のいずれかに係る第64態様では、装置は、第2構成に従って、個々のケーブル、特に光ファイバケーブルによって前記レーザエミッタにそれぞれ接続された第1および第2レーザ光源を含む。特に、第1レーザ光源のケーブルと第2レーザ光源のケーブルは、同じレーザエミッタに合流しており、
前記第1レーザ光源は、第1レーザビームを発生するように構成され、前記第2レーザ光源は、第2レーザビームを発生するように構成される。
【0090】
前の態様のいずれかに係る第64a態様では、装置は、第2構成に従って、連続的な反射によって、光源によって発生したレーザビームを前記レーザエミッタに搬送するのに適した個々の偏向ミラーシステムによってそれぞれ接続された第1および第2レーザ光源を備え、
前記第1レーザ光源は、第1レーザビームを発生するように構成され、前記第2レーザ光源は、第2レーザビームを発生するように構成される。
【0091】
前の2つの態様に係る第65態様では、前記第1レーザビームは、前記第2レーザビームとは異なる少なくとも1つの制御パラメータまたは波長を含む。
【0092】
64から前の態様のいずれかに係る第66態様では、制御ユニットは、第1または第2レーザ光源を選択的に駆動して、個々のレーザビームをレーザエミッタに放射するように構成される。
【0093】
前の態様のいずれかに係る第67態様では、装置は、第3構成に従って、た前記レーザエミッタと、互いに別個であり、互いに異なる位置に設置された補助レーザエミッタとを含む。
【0094】
前の態様のいずれかに係る第68態様では、装置は、さらに下記を含む。
・個々の第1ケーブル、具体的には光ファイバケーブルによって前記レーザエミッタに接続された第1レーザ光源。
・個々の第2ケーブル、具体的には光ファイバケーブルによって前記補助レーザエミッタに接続された第2レーザ光源。
前記第1レーザ光源は、第1レーザビームを発生するように構成され、
前記第2レーザ光源は、第2レーザビームを発生するように構成され、
レーザエミッタは、第1放射方向に沿って第1レーザビームを放射するように構成され、一方、補助レーザエミッタは、第1放射方向とは任意に異なる第2放射方向に沿って第2レーザビームを放射するように構成され、特に、前記第1放出方向および前記第2放出方向は、作業場所の異なる領域と交差し、または、動作状態中は、シリンダ本体(1)の側面(4)の異なる部分と交差する。
【0095】
第67態様に係る第68の2態様では、装置はさらに、下記を含む。
・連続反射によって、光源によって発生したレーザビームを前記レーザエミッタに案内するのに適した個々の第1偏向ミラーシステムによって前記レーザエミッタに接続された第1レーザ光源。
・連続反射によって、光源によって発生したレーザビームを前記補助レーザエミッタに案内するのに適した個々の第2偏向ミラーシステムによって前記補助レーザエミッタに接続された第2レーザ光源。
前記第1レーザ光源は、第1レーザビームを発生するように構成され、
前記第2レーザ光源は、第2レーザビームを発生するように構成され、
特に、レーザエミッタは、第1放射方向に沿って第1レーザビームを放射するように構成され、一方、補助レーザエミッタは、第1放射方向とは任意に異なる第2放射方向に沿って第2レーザビームを放射するように構成され、特に、前記第1放出方向および前記第2放出方向は、作業場所の異なる領域と交差し、または、動作状態中は、シリンダ本体(1)の側面(4)の異なる部分と交差する。
【0096】
67からの前の態様のいずれかに係る第69態様では、制御ユニットは、第1および第2レーザ光源を同時にまたは選択的に駆動し、個々のレーザビームを放射するように構成される。
【0097】
67から前の態様のいずれかに係る第70態様では、
・前記第1レーザビームは、前記第2レーザビームとは異なる少なくとも1つの制御パラメータまたは波長を含み、制御ユニットは、第1および第2レーザ光源を同時にまたは選択的に駆動し、個々のレーザビームを放射するように構成され、
あるいは、
・前記第1レーザビームおよび前記第2レーザビームは、同じ波長を有するか、または等しい制御パラメータ値、特に等しいピークパワーおよびパルス持続時間を有し、制御ユニットは、第1および第2レーザ光源を同時にまたは選択的に駆動して、個々のレーザビームを放射するように構成される。
【0098】
67から前の態様のいずれかに係る第71態様では、装置は、主軸(Z)に沿って移動可能であり、レーザエミッタおよび補助レーザエミッタを搬送する共通レーザキャリッジを備え、レーザエミッタは、少なくとも主軸(Z)に沿って、補助レーザエミッタと一体化されている。
【0099】
67から70の前の態様のいずれかに係る第72態様では、装置は、第4構成に従って、レーザエミッタ(600)および補助レーザエミッタ(600”)をそれぞれ搬送する第1および第2レーザキャリッジ(400,400”)を含み、
・第1キャリッジは、主軸(Z)に沿って移動可能であり、
・第2キャリッジは、回転軸(K)に対して本質的に平行であり、前記主方向(Z)とは別個の補助主軸(X’)に沿って移動可能であり、
特に、前記第1方向(X)および前記第1補助方向(X’)は、回転軸(K)に対して互いに角度αだけ角度的に位相がずれている。
【0100】
前の態様に係る第73態様では、前記第1キャリッジおよび前記第2キャリッジは、互いに独立して移動可能である。
【0101】
前の態様のいずれかに係る第74態様では、前記装置は、下記を含む。
・輪郭検出器(700)を搬送し、少なくとも検出軸(Y)に沿って移動可能である検出器キャリッジ。
・レーザエミッタ(600,600”)を搬送し、少なくとも主軸(Z)に沿って移動可能であるレーザキャリッジ。
前記検出器キャリッジおよび前記レーザキャリッジは、物理的に別個であり、互いに独立して移動可能であり、特に主軸(Z)および検出軸(Y)は、
・互いに別個で平行であり、特に主軸(Z)および検出軸(Y)は一致しておらず、必要に応じて主軸(Z)および検出軸(Y)は、回転軸(K)に対して互いに角度的にオフセットしており、または
・互いに一致しており、
あるいは、
・前記装置は、下記を含む。
o輪郭検出器(700)およびレーザエミッタ(600,600”)の両方を搬送し、シリンダ本体の回転軸(K)に対して実質的に平行な作業方向(W)に沿って移動する共通キャリッジ。前記輪郭検出器(700)および前記レーザエミッタ(600,600”)は、少なくとも作業方向(W)に沿って互いに一体化しており、特に、検出軸(Y)に沿った輪郭検出器(700)の移動により、主軸(Z)に沿ったレーザエミッタ(600,600”)の同じ移動を生じさせ、
特に主軸(Z)は、検出軸(Y)および作業方向(W)と基本的に一致している。
【0102】
前の態様のいずれかに係る第75態様では、装置は、検出器キャリッジと、レーザキャリッジと、前記検出器キャリッジおよびレーザキャリッジ搬送するコモンレールとを備え、前記コモンレールは、ワークステーションの回転軸(K)に対して平行に延びており、検出器キャリッジおよびレーザキャリッジは、前記レール上で移動可能であり、特に前記主方向および前記検出方向は、実質的に一致する。
【0103】
前の態様のいずれかに係る第76態様では、装置は、共通キャリッジと、前記共通キャリッジを搬送するコモンレールとを備え、前記コモンレールは、ワークステーションの回転軸(K)に対して平行に延びており、共通キャリッジは、前記レールに沿って移動可能であり、特に前記主方向および前記検出方向は、実質的に一致する。
【0104】
前の態様のいずれかに係る第77態様では、装置は、第1レールと第2レールを含み、
・第1レールは、ワークステーションの回転軸(K)に対して平行に延びており、前記検出キャリッジおよび前記長いレーザキャリッジを搬送する。
・第2レールは、ワークステーションの回転軸(K)に対して平行に延びており、前記補助レーザキャリッジを主補助軸(X’)に沿って搬送する。
必要に応じて、前記第1および第2レールは、作業エリアの動作場所の反対側に配置され、特に前記第1および第2レールは、回転軸(K)に対して互いに角度的にオフセットしており、または対向している。
【0105】
前の態様のいずれかに係る第78態様では、輪郭検出器(700)はさらに、渦電流の誘導および/または超音波によって、シリンダ本体(1)の側面(4)の表面欠陥を検出するように構成され、前記表面欠陥は、特に亀裂(crack)を含み、特に、前記輪郭検出器(700)は、前記表面欠陥の位置、形状、サイズおよび深さのうちのグループ内の1つまたは複数の情報を検出するように構成される。
【0106】
前の態様のいずれかに係る第79態様では、レーザエミッタ(600,600”)は、2μmと0.2μmの間、具体的には1.2μmと0.25μmの間、より具体的には1.1μm~0.3μmの間、または1.1μm~0.5μmの間の波長を有するレーザビームを発生するように構成される。
【0107】
前の態様のいずれかに係る第80態様では、レーザエミッタ(600,600”)は、クラス4のレーザビームを放射するように構成される。
【0108】
前の態様のいずれかに係る第81態様では、装置は、少なくともワークステーションおよびレーザエミッタを収容し、必要に応じて輪郭検出器(700)も収容する内部空間を画定するシールドカバー(1000)を含み、前記シールドカバー(1000)は、レーザビームを前記内部空間内に閉じ込めるように構成され、レーザビームが漏出するのを防止している。
【0109】
前の態様のいずれかに係る第82態様では、前記シールドカバー(1000)の内容空間は、内部空間から周囲環境まで、除去手順によって生成される金属粉塵の漏出を防止するように構成されたフィルタ装置を実質的に経由してのみ外部環境と連通している。
【0110】
前の態様のいずれかに係る第83態様では、ワークステーションは、シリンダ本体(1)を回転状態に配置し、制御ユニットに動作可能に接続されるように構成された、少なくとも1つのモータまたはアクチュエータ、例えば、電気モータまたはアクチュエータなどを含み、制御ユニットは、検知手順中および/または除去手順中に、前記モータを制御して、シリンダ本体(1)の回転速度を変更するようにように構成される。
【0111】
前の態様のいずれかに係る第84態様では、ワークステーションは、共通キャリッジを移動させるように構成された、少なくとも1つのモータまたはアクチュエータ、例えば、電気モータまたはアクチュエータなどを含む。
【0112】
前の態様のいずれかに係る第85態様では、ワークステーションは、第1キャリッジを移動させるように構成された、少なくとも1つのモータまたはアクチュエータ、例えば、電気モータまたはアクチュエータなどを含む。
【0113】
前の態様のいずれかに係る第86態様では、ワークステーションは、第2キャリッジを移動させるように構成された、少なくとも1つのモータまたはアクチュエータ、例えば、電気モータまたはアクチュエータなどを含む。
【0114】
前の態様のいずれかに係る第87態様では、ワークステーションは、輪郭検出器を移動させるように構成された、少なくとも1つのモータまたはアクチュエータ、例えば、モータまたは電気アクチュエータなどを含む。
【0115】
前の態様のいずれかに係る第88態様では、制御ユニットは、除去手順と同時に検出手順を実行するように構成され、修復手順中に、レーザエミッタ(600,600”)は、シリンダ本体の側面(4)の第1部分にレーザビームを放射するように構成され、輪郭検出器は、シリンダ本体の側面(4)の第2部分で表面輪郭を検出するように構成され、前記第1部分は、前記第2部分とは別個で分離している。
【0116】
前の態様のいずれかに係る第89態様では、レーザエミッタは、下記のグループのうちの少なくとも1つを含む固体レーザエミッタである。
・ディスクレーザエミッタ
・ファイバレーザエミッタ
・Nd:YAGレーザエミッタ
・Yb:YAGレーザエミッタ
・Nd:YVO4レーザエミッタ
・ダイオードレーザエミッタ
・チタンサファイアレーザエミッタ
【0117】
前の態様のいずれかに係る第90態様では、シリンダ本体(1)、特にシリンダ本体(1)の少なくとも側面(4)は、金属材料、特に鋼で製作される。
【0118】
前の態様のいずれかに係る第91態様では、シリンダ本体(1)は、500mm~2500mmの間の回転軸(K)に沿った長さの作業側面寸法を有し、50mm~1500mmの間の直径を有する。
【0119】
前の態様のいずれかに係る第92態様では、制御ユニットは、検出表面輪郭(DSP)に従って目標表面輪郭(TSP)を計算するように構成され、目標表面輪郭(TSP)が検出表面輪郭(TSP)と交差する場合、制御ユニットは、検出表面輪郭(DSP)と交差しない新しい目標表面輪郭(TSP)を計算するように構成され、特に新しい目標表面輪郭(TSP)は、検出表面輪郭(DSP)と交差する目標表面輪郭(TSP)によって定義される直径より小さいシリンダ本体の直径を定義する。
【0120】
前の態様のいずれかに係る第92の2態様では、制御ユニットは、下記のように動作するように構成される。
・シリンダ本体の側面(4)の第1部分の上で、一時的検出表面輪郭(DSPtemp)を検出すること。
・一時的検出表面輪郭(DSPtemp)に従って、一時的目標表面輪郭(TSPtemp)を計算すること。前記一時的目標表面輪郭(TSPtemp)は、前記一時的検出表面輪郭(DSPtemp)と交差しない。
・シリンダ本体の側面(4)の第2部分の上で、更新された検出表面輪郭(DSP)を検出すること。
・前記一時的目標表面輪郭(TSPtemp)が前記更新された検出表面輪郭(DSP)と交差する場合、更新された検出表面輪郭(DSP)に従って、更新された目標表面輪郭(TSP)を計算すること。前記更新された目標表面輪郭(TSP)は、前記更新された検出表面輪郭(DSP)と交差しない。
【0121】
前の態様のいずれかに係る第93態様では、制御ユニットは、相対平均パワーより大きいピークパワー、具体的には、相対平均パワーよりも10倍、100倍、または1000倍大きいピークパワーを有するパルスレーザビームを放射するように構成される。
【0122】
前の態様のいずれかに係る第94態様では、シリンダ本体(1)の側面(4)の表面輪郭を検出するステップは、下記のステップを含む。
・シリンダ本体(1)を、ある角度位置に固定した状態に維持するステップ。
・シリンダ本体が前記角度位置に固定されながら、輪郭検出器(700)を検出軸(Y)に沿って移動させるステップ。前記輪郭検出器(700)は、検出軸(Y)に沿って移動しながら、シリンダ本体の前記側面(4)の一部の表面輪郭を同時に検出する。
・輪郭検出器(700)を、検出軸(Y)に沿った予め定めた検出位置に位置決めして固定するステップ。
・シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りで回転状態で移動させ、輪郭検出器(700)が前記予め定めた検出位置にある状態で、シリンダ本体(1)の前記側面(4)の追加部分の表面輪郭を検出するステップ。
【0123】
前の態様のいずれかに係る第95態様では、前記デフォルト検出位置は、下記を含む。
・輪郭検出器(700)がシリンダ本体(1)の側面の第1端に面する第1端位置。
・輪郭検出器(700)がシリンダ本体(1)の側面の、回転軸(K)によって定義される方向に沿った第1端の反対側にある第2端に面する第2端位置。
・輪郭検出器(700)がシリンダ本体(1)の側面の中央部分、具体的には前記第1端と第2端との間の中央に介在する中間位置に面する中間位置。
【0124】
前の態様のいずれかに係る第96態様では、シリンダ本体(1)の側面(4)は、シリンダ本体の動作状態中に圧延動作を実行するように構成される。
【0125】
前の態様のいずれかに係る第97態様では、シリンダ本体(1)の側面(4)は、シリンダ本体(1)の最大直径を定義する。
【0126】
前の態様のいずれかに係る第98態様では、前記目標表面輪郭(TSP)は、必要な機械加工許容範囲を含み、前記機械加工許容範囲は、具体的には下記の許容範囲を含む。
・シリンダ本体が熱間圧延動作(HSM)を実行するように構成される場合、シリンダ本体の直径に渡って測定した±30μmに等しいか、または
・シリンダ本体が冷間圧延動作(CRM)を実行するように構成される場合、シリンダ本体の直径に渡って測定された±10μmと±15μmの間である。
【0127】
前の態様のいずれかに係る第99態様では、制御ユニットは、検出表面輪郭(DSP)、具体的には更新された検出表面輪郭(DSP)と、目標表面輪郭(TSP)との間の差を表す偏差値を計算するように構成され、
・前記偏差値が予め定めた許容範囲内にある場合、制御ユニットは、修復手順を終了するように構成される。
・前記偏差値が前記予め定めた許容範囲外にある場合、制御ユニットは、修復手順の実行を継続するように構成される。
特に前記許容範囲は、下記のものである。
・シリンダ本体が熱間圧延動作(HSM)を実行するように構成される場合、シリンダ本体の直径に渡って測定した±30μmに等しいか、または
・シリンダ本体が冷間圧延動作(CRM)を実行するように構成される場合、シリンダ本体の直径に渡って測定された±10μmと±15μmの間である。
【0128】
前の態様のいずれかに係る第100態様では、装置は、レーザ光源と個々のレーザエミッタとの間に介在する反射ミラーのシステムを含み、前記ミラーシステムは、レーザ光源によって放射されたレーザビームを個々のレーザエミッタに案内するように構成される。レーザ光源は、100fs未満、具体的には0.1fs~100fsの間、具体的には1fs~50fsの間の持続時間を有するパルスレーザビームを放出するように構成される。
【0129】
前の態様のいずれかに係る第101態様では、除去手順は、シリンダ本体研削手順(1)を定義する。
【0130】
前の態様のいずれかに係る第102態様では、制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に、シリンダ本体(1)から材料を除去するのに適したパルスレーザビームを放射するように命令するように構成される。
【0131】
前の態様のいずれかに係る第103態様では、除去手順(2002)は、下記を含む。
・前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ(2002a)。必要に応じて、シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りで回転状態に配置する。
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記パルスレーザビームを放射するステップ(2002b)。前記パルスは、シリンダ本体(1)から材料を除去できる。
【0132】
前の態様のいずれかに係る第104態様では、前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップと、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを放射するステップ(2002b)は、互いに実質的に同時である。
【0133】
102から前の態様のいずれかに係る第105態様では、レーザビームの前記パルスは、互いに時間的にずれて配列される。
【0134】
102から前の態様のいずれかに係る第106態様では、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けられた各パルスは、シリンダ本体(1)の前記側面(4)上に、装置の前記動作状態中に、個々のレーザフットプリント(40)を画定するように構成される。
【0135】
前の態様のいずれかに係る第107態様では、前記レーザパルスは、前記レーザフットプリント間に個々の重なり部分(41)を形成することによって、少なくとも部分的に互いに重なり合うレーザフットプリントを画定する。
【0136】
前の態様のいずれかに係る第108態様では、除去手順(2002)は、下記ステップを含む。
・前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ(2002a)。必要に応じて、シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りで回転状態に配置するステップ。
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを放射するステップ(2002b)。前記レーザパルスは、シリンダ本体(1)から材料を除去する。
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列している。
特に前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させる前記ステップと、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを放射する前記ステップは、互いに実質的に同時である。
【0137】
前の態様のいずれかに係る第109態様では、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けられた各パルスは、シリンダ本体(1)の前記側面(4)上に、個々のレーザフットプリントを画定し、前記レーザパルスは、個々の重なり部分(41)を前記レーザフットプリント間に形成することによって、互いに少なくとも部分的に重なり合うレーザフットプリント(40)を画定する(2002c)。
【0138】
第110態様は、シリンダ本体(1)の表面処理、特に圧延シリンダの表面修復のための装置(10)に関する。前記装置は、
・装置動作状態(10)において、側面(4)を有するシリンダ本体(1)を受け入れるように構成された少なくとも1つの動作位置を画定するワークステーション(100)であって、予め定めた回転軸(K)に従ってシリンダ本体(1)を回転支持するように構成されたワークステーション(100)と、
・ワークステーション(100)と協働し、前記動作場所の方向に少なくとも1つのパルスレーザビームを放射するように構成された少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)であって、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な主軸(Z)に少なくともに沿って移動可能である、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)と、
・レーザエミッタ(600,600”)に動作可能に接続された制御ユニット(15)であって、前記装置の動作状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順(2000)を実行するように構成された、制御ユニット(15)とを備え、
前記修復手順(2000)は、下記ステップを含む除去手順(2002)を含み、
oシリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ(2002a)。
o少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記パルスレーザビームを放射するステップであって、前記パルスは、シリンダ本体(1)から材料を除去するように構成されるステップ(2002b)。
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列しており、
シリンダ本体(1)の側面(4)に向けられた各パルスは、シリンダ本体(1)の前記側面(4)上に、装置の前記動作状態中に、個々のレーザフットプリント(40)を画定するように構成され、
前記レーザパルスは、前記レーザフットプリント間に個々の重なり部分(41)を形成することによって、少なくとも部分的に互いに重なり合うレーザフットプリント(40)を画定する。
【0139】
第111態様は、シリンダ本体から材料を除去する手順(2002)を実行するステップを含む、シリンダ本体の表面修復のための方法(1)に関する。前記除去手順(2002)は、互いに連続するレーザパルスを、シリンダ本体(1)の側面(4)に向けて放射するステップ(2002b)を含み、各レーザパルスは、シリンダ本体(1)の前記側面(4)上に、個々のレーザフットプリントを画定し(2002c)、前記レーザパルスは、個々の重なり部分(41)を前記レーザフットプリントの間に形成することによって、互いに少なくとも部分的に重なるレーザフットプリント(40)を画定する。
【0140】
前の111態様に係る第112態様では、修復方法は、前の態様のいずれかに係る装置(10)によって実行される。
【0141】
111から前の態様のいずれかに係る第113態様では、前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させる前記移動ステップと、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを放射するステップ(2002b)とは、互いに実質的に同時である。
【0142】
107から前の態様のいずれかに係る第114態様では、重なり部分(41)は、レーザフットプリント(40)の表面範囲の10%~90%の間、必要に応じて25%~75%の間の表面範囲に渡って延びており、必要に応じて、重なり部分(41)の前記表面範囲は、50%~75%の間、または25%~50%の間である。
【0143】
102から前の態様のいずれかに係る第115態様では、前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列しており、必要に応じて10kHz~10000kHzの間、より具体的には10kHz~1500kHzの間のパルス周波数を定義する。
【0144】
106から前の態様のいずれかに係る第116態様では、前記レーザフットプリント(40)は、シリンダ本体(1)からの材料除去の領域およびその境界を画定する。
【0145】
102から前の態様のいずれかに係る第117態様では、シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップは、シリンダ本体(1)をその回転軸(K)の周りに回転状態に配置するステップを含む。
【0146】
107から前の態様のいずれかに係る第118態様では、重なり部分は、互いに連続する、特に互いに直接連続するレーザフットプリントの少なくとも部分的な重なりによって画定される。
【0147】
107から前の態様のいずれかに係る第119態様では、前記重なり部分は、第1レーザプリントと、前記第1レーザプリントに時間的に直接連続する第2レーザプリントとの重なりによって画定される。
【0148】
前の態様のいずれかに係る第120態様では、前記第2レーザフットプリントは、前記パルス周波数の逆数に等しい、第1レーザフットプリントからの時間遅延を用いて定義される。
【0149】
前の119態様と120態様のいずれかに係る第121態様では、制御ユニット(15)は、除去手順中に、
・予め定めた速度で回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の回転を命令し、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、第1レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に前記第1レーザインプリントを画定し、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、第2レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に前記第2レーザインプリントを画定するように構成され、
前記第2レーザインプリントは、前記第1レーザインプリントに部分的に重なっており、
第2レーザパルスは、前記第1レーザパルスに時間的に直接連続しており、
特に、第2レーザパルスは、第1レーザパルスに対して、前記レーザパルス周波数の逆数に等しい時間遅延を用いて放射される。
【0150】
119から前の態様のいずれかに係る第122態様では、制御ユニット(15)は、除去手順中に、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記第1レーザパルスおよび前記第2レーザパルスに時間的に続く第3レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に、前記第2レーザインプリントと部分的に重なっており、前記第1レーザインプリントの外部にあり、または接している第3レーザインプリントを画定し、
あるいは、
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記第1レーザパルスおよび前記第2レーザパルスに時間的に続く第3レーザパルスを放射して、シリンダ本体上に、前記第2レーザインプリントおよび前記第1レーザインプリントと部分的に重なる第3レーザインプリントを画定するように構成される。
【0151】
前の態様に係る第123態様では、第3レーザパルスは、前記第2レーザパルスに時間的に直接連続している。
【0152】
前の112態様と123態様のいずれかに係る第124態様では、第3レーザパルスは、前記パルス周波数の逆数に等しい、第2レーザパルスに対する時間遅延を用いて放射される、
【0153】
1から前の態様のいずれかに係る第125態様では、装置は、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)によって放射されるレーザビームの方向の空間振動を、ある振動周波数に決定するように構成された振動システムを含む。
【0154】
前の態様のいずれかに係る第126態様では、前記振動周波数は、10Hz~20000Hzの間、具体的には100Hz~10000Hzの間、より具体的には200Hz~5000Hzの間、より具体的には200Hz~2000Hzの間である。
【0155】
125から前の態様のいずれかに係る第127態様では、前記レーザビームは、パルスレーザビームである。
【0156】
125から前の態様のいずれかに係る第128態様では、前記空間振動は、シリンダ本体(1)の側面(4)におけるレーザビームの振動振幅を、必要に応じて0.05mm~5mmの間、具体的には0.1mm~2mmの間に規定する。
【0157】
125から前の態様のいずれかに係る第129態様では、制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、前記振動システムを駆動して、レーザビーム方向の空間振動を決定するように構成される、
【0158】
125から前の態様のいずれかに係る第130態様では、除去手順(2002)は、下記ステップを互いに実質的に同時に実行することを含む。
・シリンダ本体(1)を回転状態で移動させるステップ。
・振動システムによるレーザビーム方向の空間振動を決定するステップ。
・少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、レーザパルスを放射するステップ。
【0159】
125から前の態様のいずれかに係る第131態様では、制御ユニット(15)は、シリンダ本体の回転速度の関数として振動システムの振動周波数を決定するように、またはその逆も同様に決定するように構成される。
【0160】
125から前の態様のいずれかに係る第132態様では、該装置は、シリンダ本体(1)の回転速度を検出するように構成された回転速度検出器を含み、制御ユニット(15)は、
・速度検出器によって検出されたシリンダ本体の前記回転速度の関数として振動システムの振動周波数を決定し、または、
・振動システムの振動周波数の関数としてシリンダ本体の回転速度を決定するように構成される。
【0161】
125から前の態様のいずれかに係る第133態様では、制御ユニット(15)は、
・シリンダ本体の回転速度が増加するにつれて、振動システムの振動周波数を増加させ、そして、
・シリンダ本体の回転速度が減少するにつれて、振動システムの振動周波数を減少させるように構成される。
【0162】
125から前の態様のいずれかに係る第134態様では、振動システムによって決定されるレーザビーム方向の空間振動は、予め定めた軌道に沿ったレーザビームの移動を定義する。
【0163】
前の態様に係る第135態様では、前記デフォルト軌道は、円形軌道、直線軌道、湾曲した軌道、楕円軌道のうちの少なくとも1つを含む。
【0164】
125から前の態様のいずれかに係る第136態様では、振動システムは、シリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行な振動方向に沿ってレーザビームを移動させるように構成され、特に、シリンダ本体(1)の側面(4)において、レーザビームの振動振幅をシリンダ本体(1)の回転軸(K)に対して実質的に平行に定義するように構成される。
【0165】
125から前の態様のいずれかに係る第137態様では、レーザフットプリント間の重なり部分(41)を得るために、制御ユニット(15)は、下記のうちの少なくとも1つの関数として、振動システムの振動周波数を決定するように構成される。
・前記レーザフットプリント(40)の1次元の代表的なパラメータ(D)
・レーザパルスの周波数(fpulse
・シリンダ本体(1)の側面(4)におけるレーザパルスの振動振幅(L)
【0166】
125から前の態様のいずれかに係る第138態様では、制御ユニット(15)は、
・前記レーザフットプリント(40)のサイズの代表的パラメータ(D)が減少するにつれて、振動周波数を減少させ、
・必要に応じて、前記レーザフットプリント(40)のサイズの代表的パラメータ(D)が増加するにつれて、振動周波数を任意に増加させるように構成される。
【0167】
125から前の態様のいずれかに係る第139態様では、制御ユニット(15)は、重なり部分(41)を得るために、下記の式に従って振動システムの振動周波数を決定するように構成される。
【数2】
・foscは、振動システムによって決定できるレーザビームの振動周波数であり、前記振動周波数は、具体的にはHzで表される。
・Dは、前記レーザフットプリント(40)のサイズの代表的パラメータであり、前記代表的パラメータDは、具体的には、例えば、mmで表される直線寸法である。必要に応じて、前記代表的パラメータDは、前記レーザフットプリント(40)の直径である。
・Tは、2つのレーザーパルス間の時間間隔であり、具体的には前記時間間隔は、レーザービームのパルス周波数foscの逆数であり、例えば、前記時間間隔は、秒で表される。
・Lは、シリンダ本体(1)の側面(4)におけるレーザビームの振動振幅であり、レーザビームの前記振動振幅は、特にmmで表され、特に振動振幅Lは、0.05mm~5mmの間、より具体的には、0.1mm~2mmの間である。
【0168】
前の1態様および/または110態様のいずれかに係る第140態様では、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)は、レーザビームを焦点に導くように構成され、前記焦点は、レーザビームの最小空間寸法を画定し、特に、レーザビームを規定する光線が前記焦点に収束している。
【0169】
前の態様に係る第141態様では、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)は、装置の動作状態中に、シリンダ本体(1)の側面(4)によって、所定の基準面からぼやけ距離(Δf)において前記焦点を規定するように構成される。
【0170】
前の態様に係る第142態様では、前記ぼやけ距離(Δf)は、非ゼロ値である。
【0171】
141から前の態様のいずれかに係る第143態様では、前記ぼやけ距離(Δf)は、絶対値で0.01mm~2mmの間、具体的には0.1mm~1mmの間、より具体的には0.1mm~0.5mmの間である。
【0172】
141から前の態様のいずれかに係る第144態様では、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)は、前記ぼやけ距離(Δf)を下記の間で変化させるように構成される。
・焦点がシリンダ本体の外側にある場合、前記ぼやけ距離(Δf)の正の値。
・焦点がシリンダ本体の内部にある場合、前記ぼやけ距離(Δf)の負の値。
【0173】
102から前の態様のいずれかに係る第145態様では、レーザパルスの周波数は、シリンダ本体(1)の回転周波数より大きく、必要に応じて、シリンダ本体の前記回転周波数は、回転軸(K)の周りのシリンダ本体(1)の1秒当たりの完全回転数として定義される。
【0174】
102から前の態様のいずれかに係る第146態様では、レーザパルスの周波数は、シリンダ本体(1)の回転周波数より少なくとも「n」倍大きく、ここでn>100であり、特にn>500であり、より具体的にはn>1000であり、さらに具体的にはn>3600である。
【0175】
102から前の態様のいずれかに係る第147態様では、前記シリンダ本体(1)の回転周波数は、5RPM~250RPMの間であり、必要に応じて20RPM~100RPMの間である。
【0176】
102から前の態様のいずれかに係る第148態様では、制御ユニット(15)は、重なり部分の所望の表面範囲に応じて、
・レーザビームパルスの周波数を計算して命令し、
・シリンダ本体(1)の回転速度または回転周波数を計算して命令するように構成される。
【0177】
102から前の態様のいずれかに係る第149態様では、制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、下記のように動作するように構成される。
・重なり部分の所望の表面範囲を入力として受信し、または計算すること。
・重なり部分(41)の所望の表面範囲に従って、レーザビームの前記パルス周波数と、シリンダ本体(1)の前記回転速度または回転周波数とを計算すること。
・前記レーザビームパルス周波数およびシリンダ本体の前記回転速度を設定することによって、修復手順(2000)、特に除去手順(2002)を実行すること。
【0178】
106から前の態様のいずれかに係る第150態様では、前記レーザフットプリント(40)は、円形、細長い円形、楕円形、凸状輪郭を有する曲線を含むグループ内の形状を有する。
【0179】
106から前の態様のいずれかに係る第151態様では、制御ユニット(15)は、下記のうちの少なくとも1つを変更することによって、前記レーザフットプリントのうちのレーザフットプリントの形状を設定するように構成される。
・前記レーザフットプリントを画定するレーザビームパルス持続時間
・前記レーザパルスの放射中の回転軸(K)の周りのシリンダ本体の回転速度
・レーザビームの振動周波数
・必要に応じて、レーザビームの形状
【0180】
107から前の態様のいずれかに係る第152態様では、制御ユニット(15)は、除去手順(2002)中に、下記のように動作するように構成される。
・重なり部分の所望の表面範囲、または、レーザフットプリント(40)の表面範囲に対する重なり部分(41)の表面範囲の比率を入力として受信すること。
・重なり部分の前記所望の表面範囲または前記比率に従って、下記のうちの少なくとも1つを計算すること。
oピークパワー
oレーザビームパルスの平均パワー
oシリンダ本体の回転速度、レーザパルスの周波数
あるいは、
・ビームからのピークパルスパワーを入力として受信すること。
・レーザビームからの前記ピークパルスパワーの関数として、重なり部分の前記表面範囲、またはレーザフットプリントの表面範囲に対する重なり部分の表面範囲の比率を計算すること。
あるいは、
・シリンダ本体の回転速度を入力として受信すること。
・必要に応じて、レーザパルス周波数を入力として受信すること。
・シリンダ本体(1)の回転速度、および必要に応じて、レーザパルスの周波数の関数として、重なり部分(41)の表面範囲、またはレーザフットプリント(40)の表面範囲に対する重なり部分(41)の表面範囲の比率を計算すること。
あるいは、
・レーザビームパルスのピークパワーを入力として受信すること。
・シリンダ本体(1)の回転速度を入力として受信すること。
・受信したレーザビームパルスのピークパワーおよびシリンダ本体(1)の回転速度の関数として、10kHz~10000kHzの間、より具体的には310kHz~1500kHzの間のレーザビームパルスの周波数を計算し、レーザフットプリント(40)の表面範囲の10%~90%の間、より具体的には25%~75%の間にある重なり部分(41)の表面範囲を達成すること。
【0181】
107から前の態様のいずれかに係る第153態様では、制御ユニット(15)は、下記のように動作するように構成される。
・シリンダ本体の所望の最大表面粗さを入力として受信すること。
・前記所望の最大表面粗さに応じて、下記のうちの少なくとも1つを計算すること。
o重なり部分の表面範囲、必要に応じて、前記表面範囲の値の範囲
o重なり部分(41)の表面範囲とレーザフットプリント(40)の表面範囲との間の関係
【0182】
前の態様のいずれかに係る第154態様では、制御ユニット(15)は、下記のように動作するように構成される。
・重なり部分の前記表面範囲または前記比率に従って、下記のうちの少なくとも1つを計算すること。
oレーザビームパルスのピークパワー
oレーザビームパルスの平均パワー
oシリンダ本体の回転速度
oレーザパルスの周波数
【0183】
前の153態様と154態様のいずれかに係る第155態様では、前記最大表面粗さは、0.05μm~3.0μmの間である。
【0184】
107から前の態様のいずれかに係る第156態様では、重なり部分の表面範囲は、レーザフットプリントの表面積の10%~90%の間、特に25%~75%の間である。
【0185】
102から前の態様のいずれかに係る第157態様では、レーザビームパルスの前記ピークパワーは、5kW~1000kWの間、具体的には100kW~500kWの間である。
【0186】
102から前の態様のいずれかに係る第158態様では、前記シリンダ本体の前記回転速度は、5RPM~250RPMの間であり、必要に応じて20RPM~100RPMの間である。
【0187】
106から前の態様のいずれかに係る第159態様では、前記レーザフットプリントは、70μm~20000μm、必要に応じて500μm~5000μmの表面範囲を有する。
【0188】
111から前の態様のいずれかに係る第160態様では、シリンダ本体の表面修復のための前記方法は、前記シリンダ本体(1)の側面(4)を研削する方法である。
【0189】
111から前の態様のいずれかに係る第161態様では、前記方法は、シリンダ本体(1)の側面(4)の少なくとも1つの修復手順(2000)を含み、必要に応じて前記修復手順(2000)は、態様1~101のいずれかに従う。
【0190】
前の態様に係る第162態様では、前記修復手順(2000)は、下記ステップを含む前記除去手順(2002)を含む。
oシリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させるステップ(2002a)。
o少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、前記パルスレーザビームを放射するステップであって、前記パルスは、シリンダ本体(1)から材料を除去するように構成されるステップ(2002b)。
前記レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列している。
【0191】
前の態様のいずれかに係る第163態様では、前記シリンダ本体(1)と前記少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)との間の少なくとも1つを移動させる前記移動ステップ(2002a)と、少なくとも1つのレーザエミッタ(600,600”)に命令し、パルスレーザビームを放射するステップ(2002b)とは、互いに実質的に同時である。
【0192】
107から前の態様のいずれかに係る第164態様では、前記重なり部分(41)間の各重なり部分が、レーザフットプリントの表面範囲の10%~90%の間、必要に応じて25%~75%の間、必要に応じて50%~75%、または25%~50%の間の表面範囲に渡って延びている。
【0193】
102から前の態様のいずれかに係る第165態様では、各レーザパルスは、シリンダ本体(1)の側面(4)上にクレータの形成を生じさせる。
【0194】
前の態様に係る第165態様では、前記クレータは、70μm~20000μmの表面範囲を示す。
【0195】
前の165態様と166態様のいずれかに係る第167態様では、前記クレータは、例えば、位置および/または形状の点で前記レーザフットプリント(40)に対応する。
【0196】
165から前の態様のいずれかに係る第168態様では、前記クレータは、前記レーザフットプリント(40)と実質的に等しい表面範囲を有する。
【0197】
102から前の態様のいずれかに係る第169態様では、各レーザパルスは、シリンダ本体(1)の側面(4)上にクレータの形成を生じさせ、前記クレータは、1μm~20μmの間の深さを示す。
【0198】
107から前の態様のいずれかに係る第170態様では、第1レーザパルスと第2レーザパルスとの部分的重なりによって生成される重なり部分(41)が、シリンダ本体(1)の側面(4)上にクレータの形成を生じさせ、前記クレータは、10μm~100μmの間の深さを示す。
【0199】
102から、および/または110と111から前の態様のいずれかに係る第171態様では、前記シリンダ本体(1)は、金属材料、特に鋼または鋳鉄を含む金属材料で製作される圧延シリンダである。
【0200】
前の態様のいずれかに係る第172態様では、前記シリンダ本体の側面(4)は、金属材料、特に鋼または鋳鉄を含む金属材料で製作される。
【0201】
111から前の態様のいずれかに係る第173態様では、前記修復方法は、態様102~110のいずれかに係る装置(10)を用いて実行される。
【0202】
態様2に係る第174態様では、前記修復方法は、態様102~172のいずれかに従う。
【図面の簡単な説明】
【0203】
本発明のいくつかの実施形態およびいくつかの態様は、添付図面を参照して以下に説明しているが、これは例示を目的として提供され、従って限定的なものではない。
【0204】
図1】本発明に係る装置の上面図である。
図2】本発明に係る装置の上面図である。
図3】本発明に係る装置の上面図である。
図4】本発明に係る装置の上面図である。
図5】シリンダ本体の側面の検出輪郭と目標輪郭との差を示す概略図である。
図6a】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6b】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6c】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6d】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6e】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6f】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6g】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6h】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6i】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6j】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6k】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6l】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6m】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6n】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6o】除去手順の連続ステップの概略図である。
図6p】除去手順の連続ステップの概略図である。
図7図7aおよび7bは、時間の関数として連続またはパルスレーザビームによって放射されるピークおよび平均パワーの概略図である。
図8】本発明に係る方法ステップを概略的に示す。
図9図9a、図9bおよび図9cは、シリンダ本体の側面に入射するレーザビームを概略的に示し、焦点は様々な高さΔfに位置決めされる。
図10】部分的に重なったレーザインプリントを備えたシリンダ本体を支持する、本発明に係る装置を概略的に示す。
図11】部分的に重なるレーザフットプリントを備えたシリンダ本体を支持する、本発明の更なる実施形態に係る装置を概略的に示す。
図12】部分的に重なるレーザフットプリントを備えたシリンダ本体を支持する、本発明の更なる実施形態に係る装置を概略的に示す。
図12b】蛇行軌道を画定する部分的に重なるレーザインプリントを備えたシリンダ本体を支持する、本発明の一実施形態に係る装置を概略的に示す。
図13】レーザフットプリント間の重なり部分を画定するステップを含む修復手順の方法ステップを表すフローチャートを示す。
図14】シリンダ本体の外側輪郭を検出するステップと、レーザフットプリント間の重なり分を画定するステップの両方を含む修復手順の方法ステップを表すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0205】
シリンダ本体表面処理装置1は、添付の表では参照番号10で示され、特に圧延(rolling)/積層シリンダの表面修復のためのものである。この装置は、積層シリンダの側面に研削動作を実行するように構成できる。
【0206】
図1~4に概略的に示すシリンダ本体1、または積層シリンダ1は、500mm~2500mmの間の側面加工面の長さ、50mm~1500mmの間の直径を有してもよい。
シリンダ本体は、金属材料、例えば、鋼や鋳鉄などで製作できる。
【0207】
シリンダ1は、回転軸Kに沿って延びる側面4を有する。側面4は、ローリング(圧延)段階で動作するシリンダ本体の部分を画定する。換言すると、側面4は、積層プロセスを意図したシリンダ本体の部分を画定する。
【0208】
シリンダ本体は、その研削ステップまたは外面処理の一方の際に、回転軸Kの周りにシリンダ本体1を回転可能に支持するように構成された支持構造100によって画定されるワークステーションに配置される。
【0209】
シリンダ本体1は、ワークステーション100において、シリンダ1の回転軸Kの周りの回転を可能にする支持体200によって支持される。図1に示す一実施形態では、装置は、第1および第2支持体200,200’を含み、加工対象のシリンダを軸方向に支持する先端および心押台システムを画定する。具体的には、第1および第2支持体200,200’は、シリンダ本体がワークステーション100内に収容された場合、シリンダ本体の回転軸Kと一致する方向に沿って軸方向に位置合わせされる。
【0210】
代替の実施形態では、シリンダは、シリンダの領域を画定するしネック部6上に支持され、通常は側面4よりも小さい直径を備える。そこに、シリンダを圧延機に挿入するためにベアリングが搭載される。この場合、シリンダ支持は、滑り軸受を介してもよい。
【0211】
さらに代替の実施形態では、シリンダは、側面4とネック部6との間に軸方向に介在する肩部7の上に支持される。具体的には、肩部7は、シリンダ本体のネック部の直径と側面4の直径との間の中間の直径を有する。ここでは、ネック部6は最小の直径を有する。
【0212】
換言すると、前述の実施形態によれば、ワークステーション100は、シリンダ本体を支持し、その回転軸Kの周りの回転を可能にし、または特定するように構成される。特にワークステーション100は、シリンダ本体1を収容するのに適した動作場所を画定する。
【0213】
装置はまた、シリンダ本体に動作可能に接続され、側面研削ステップ4の間にシリンダ本体1を回転軸Kの周りに回転させるように構成されたモータ300(図1に示す)を含んでもよい。
【0214】
装置はまた、ワークステーション100と協働し、シリンダ本体1が収容される動作場所10の方向に少なくとも1つのレーザビームを放射するように構成された少なくとも1つのレーザエミッタ600,600”を含む。
【0215】
具体的には、600,600”レーザエミッタは、光ファイバ602,602”を介して、レーザビームを発生し、それを光ファイバを介してレーザエミッタに導くように構成されたレーザ光源601,601”に接続される。
【0216】
代替の実施形態では、図示していないが、600,600”レーザエミッタは、連続反射によってビームをレーザ光源からレーザエミッタに搬送するのに適した反射ミラーシステムを経由して、600,600”レーザ光源に接続される。この場合、光ファイバは、適切な通路内で保護された、レーザビームの空気経路に置き換えられる。具体的には、装置は、レーザ光源が、100フェムト秒未満、特に0.1フェムト秒~100フェムト秒の間、特に1フェムト秒~50フェムト秒の間の持続時間を有するパルスレーザビームを放射するように構成された実施形態において反射ミラーシステムを備える。本出願人は、パルスレーザビームの伝送は、パルス幅がフェムト秒の範囲にあるパルス持続時間を有する場合、光ファイバケーブルの代わりに反射ミラーの存在から利益を受けることを指摘する。後の説明で明らかになるように、ミラーシステムは、半仕上げ段階の間に使用できる。
【0217】
レーザ光源は、主としてソリッドステート(例えば、ファイバ、ディスク、Nd:YAG、Yb:YAG、Nd:YVO、ダイオード)であり、連続またはパルスのレーザビーム放射を伴う。レーザ光源のタイプは、シリンダ本体1に対して行われる研削のタイプに従って定めてもよい。
【0218】
持続時間がns(ナノ秒)、ps(ピコ秒)、fs(フェムト秒)のオーダーであるパルスレーザビームは、アブレーション方式の処理に使用できる。レーザパルスは、1kHz~50MHzの間の周波数で、赤外線(例えば、約1μmの波長)もしくは可視光(例えば、約0.5μmの波長)に近い波長、または紫外線(約0.3μmの波長)に近い波長で放射できる。レーザビームの平均パワーは中程度であり、典型的には1Wより大きく、例えば、50~200Wでもよく、これに対してレーザビームパルスのピークパワーは極めて高く、典型的には10kWより大きく、最大で1MWを超える値でもよい。
【0219】
長いパルス(μs~ms、またはそれ以上)で連続または変調放射を備えたレーザを使用して、シリンダ全体または局所的な研磨プロセス(クラック修復)を実行できる。
【0220】
パルスレーザが、シリンダ全体または局所的に酸化物、破片、および不純物を除去するクリーニングプロセス(レーザクリーニング)のために使用できる。
【0221】
積層シリンダ研削を実行するために使用される制御パラメータの詳細については詳しく後述する。
【0222】
全てのプロセスは、振動ビームまたは、動的システムによる大面積処理用に形成されたビームでビーム整形システムに結合してもよい。
【0223】
図7aは、連続レーザビームのPout出力パワーを示し、一方、図7bは、パルスレーザビームの出力パワーを示す。特に、破線は、レーザビームの平均パワーを定義する。連続レーザビームの場合、この破線は、レーザビームの一定パワーに対応する。図7bに示すケースでは、レーザビームは、ピークパワーPおよび平均パワーPを定義するパルスで放射され、ピークパワーは平均パワーよりも大きい。同じ平均パワーの場合、連続レーザは、常に平均パワーを放射するが、パルスレーザは、一連の短いパルスを放射し、これは、時間経過で平均化すると、連続レーザと等価な平均パワーを定義する。しかしながら、本発明は、平均パワーと比較して、高いピークパワーが、シリンダ本体の金属材料の蒸発/アブレーションを生じさせるのに特に適していることを示す。レーザによって放射される同じ合計エネルギーおよび平均パワーでは、連続レーザビームとパルスレーザビームとは異なる結果を出す。連続レーザビームまたは極めて長い持続時間のパルスを有するレーザビームは、材料を局所的に溶融する傾向があり、そのため仕上げ加工にはより適していると考えられる。これに対して高出力ピークによる短パルスレーザビームは、材料が昇華する傾向があり、そのため除去/粗加工/半仕上げ動作により適していると考えられる。
【0224】
除去される材料の量は、ピークパワーに関係する。その結果、同じ平均パワーでは、パルス持続時間が減少するにつれて、除去される材料は増加する。
【0225】
レーザエミッタ600,600”は、シリンダ本体を収容する動作台座に沿って配置され、少なくともシリンダ本体1の回転軸Kに対して実質的に平行な主軸Zに沿って移動可能である。シリンダ本体1が動作場所に収容された場合、レーザエミッタは、シリンダ本体1の側面4に対して実質的に平行に移動するように構成される。
【0226】
この装置は、キャリッジ400と、個々のレールとを備えることができ、キャリッジ400は、レール上で主軸Zに沿って移動可能である。レーザエミッタは、図1に示すように、主軸Zに沿って移動するためにそのキャリッジ400に搬送され繋がれる。
【0227】
この装置はまた、キャリッジ400によって搬送されて拘束され、主軸Zを横切る方向に沿って移動可能なスレッド(そり)500を含んでもよい。特に、スレッド500は、レーザエミッタ600,600”を搬送でき、それをシリンダ本体の側面4により近づけたり、より遠ざかるように移動可能にする。シリンダ本体に対するこうした横断移動により、シリンダの表面に対してレーザエミッタによって放射されるレーザビームの焦点の位置を変化させ、加工対象の表面の輪郭(輪郭)に追従し、種々の直径のシリンダ本体に対するレーザエミッタ600,600”の位置決めに適応できる。
【0228】
キャリッジ400およびスライド500の移動は、好ましくは、リニア電気アクチュエータまたはモータ、または他のタイプのアクチュエータ(変位に関して高精度および制御システムによって付与されるコマンドに対する高い応答性を備えたモータおよびボールねじなど)によって行ってもよい。
【0229】
先行技術セクションで前述したように、シリンダ本体の側面は、金属半製品、例えば、金属ストリップの圧延中など、圧延段階に摩耗する傾向がある。これによりシリンダ本体の側面が亀裂、変形、または加工硬化して、その結果、シリンダ本体の側面を研磨する必要がある。
【0230】
これに関して、装置は、図1図4に示す少なくとも1つの輪郭検出器700を含み、これは、シリンダ本体の側面の輪郭を検出するように構成される。換言すると、こうした輪郭検出器700は、シリンダ本体の表面内の欠陥を検出するように構成され、レーザビームを作用させる必要があるポイントおよびレーザビームを作用させる方法を判断する。検出器700によって検出された輪郭は、検出表面輪郭DSPと称する。
【0231】
輪郭検出器700は、少なくともシリンダ本体1の回転軸Kに対して実質的に平行な検出軸Yに沿って移動可能であり、シリンダ本体1の側面の全長に沿って輪郭を検出する。輪郭検出器700は、可動アームの各々の端部に取り付けられた先端を用いて、シリンダ本体1の側面4に接触するように構成された1つ以上の可動アームを含むゲージを備えてもよい。こうしたアームは、シリンダ本体の側面4の輪郭の変化に従って移動するときに、その輪郭を描くプローブを画定する。代替として、輪郭検出器700は、シリンダ本体1の側面との介在距離を測定するように構成された非接触距離検出器を含んでもよい。特に、非接触距離検出器は、レーザなどの光学検出器、または飛行時間(time-of-flight)検出器を含んでもよい。
【0232】
具体的には、輪郭検出器は、シリンダ本体の直径の変化に起因する側面4の高さの変化を検出できる。
【0233】
より詳細には、輪郭検出器700は、シリンダ本体1の直径、シリンダ本体1の直径の変化、または検出器とシリンダ本体1の側面の輪郭と間の介在距離のうちの少なくとも1つを含む、シリンダ本体1の輪郭の代表パラメータを検出するように構成される。この代表パラメータは、シリンダ本体1の外側輪郭の条件に応じて変化する。
【0234】
外側輪郭の代表パラメータは、シリンダ本体1の角度位置および検出軸Yに沿った輪郭検出器700の位置の関数として変化し得ることにも留意すべきである。特に、シリンダ本体の表面輪郭は、シリンダ本体1の角度位置、および/または、検出軸Yに沿った直線位置の関数として変化する高度測定パラメータを含む。
【0235】
好都合には、輪郭検出器700は、シリンダ本体の側面上の表面欠陥を検出するのに適した補助欠陥検出器800によって補完してもよい。こうした補助欠陥検出器800は、例えば、亀裂、へこみなどの局所的な表面欠陥の場所、形状およびサイズ(深さを含む)を決定するのに適した渦電流インダクタおよび/または超音波エミッタを含んでもよい。
【0236】
好都合には、シリンダ表面の粗さを測定するための粗さ計も設けてもよい。こうした粗さ計は、接触式タッチプローブ式であっても、非接触式でもよい。
【0237】
この装置は、補助キャリッジ410および個々のレールを含んでもよく、補助キャリッジ410は、レールに沿って検出軸Yに沿って移動可能である。輪郭検出器700、および必要に応じて、存在する場合には補助欠陥検出器800および/または粗さ検査機は、図1に示すように、補助キャリッジ410によって搬送され、主Y軸に沿って移動するように拘束されてもよい。
【0238】
例えば、添付の図1~4に示される一実施形態では、検出軸Yは、600レーザエミッタの主軸Zと一致してもよい。
【0239】
さらに、装置10は、レーザエミッタ600,600”と、加工対象のシリンダの表面との間の介在距離を検出するように構成された距離計620を含んでもよい。即ち、レーザエミッタとシリンダ本体1の側面4との間の距離は、シリンダ表面に対するレーザの焦点位置がこの距離とともに変化するため、金属材料を除去するレーザの有効性に影響する。レーザエミッタとシリンダ本体1の側面4との間の距離が、予め定めた範囲外にあることが判明した場合、手動またはアクチュエータ、例えば、電動アクチュエータによって、レーザをシリンダ本体に近づけたり、遠ざけたりできる。さらに、制御ユニットが、レーザとシリンダ本体との間に介在する距離を検出し、その距離を目標距離と比較し、その比較に応じてレーザエミッタを近づけたり遠ざけたりするようにアクチュエータに命令するように構成できる。こうした距離補正は、シリンダ本体研削手順を開始する前に実行してもよく、あるいは、シリンダ本体の直径が変化するのに応じて、レーザエミッタの位置を更新するように研削作業中に実行してもよい。
【0240】
装置はまた、レーザエミッタ600に隣接し、レーザビームが入射するシリンダ本体1の一部の方向にガス流を発生するように構成されたガスノズル610を含んでもよい。好都合には、ガスは、非酸化性ガス、例えば、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスである。代替として、酸素などの反応性ガスを使用して、レーザビームの影響を受けた表面に化学変化を達成できる。
【0241】
ガスノズルは、装置の動作状態中に、具体的にはレーザエミッタがシリンダ本体1上にレーザビームを放射するときに、前記ガスを放射するように構成される。
【0242】
装置は、作業領域およびシリンダ本体1の格納容積を画定するための側壁および上壁を含むカバー構造1000をさらに備えることができる。カバー構造1000は、格納容積内に、動作可能なレーザビーム、例えば、クラス4を格納するように構成された安全バリアを画定する。レーザビームは、格納されなければ、人間の健康に重大なリスクをもたらす可能性があることに留意すべきである。
【0243】
カバー構造1000はまた、シリンダ本体の研削中に除去された材料を吸引するように構成された真空システム20を含む。実際、レーザ研削により、金属材料の蒸発を生じさせ、人間の健康に害を及ぼす可能性のある極めて細かい金属粉塵を発生する。従って、吸引システム20は、研削状態中にこうした粉塵を吸引するのに適した空気の流れを決定するように構成される。吸引システムは、こうした粉塵を保持するのに適した1つ以上のフィルターを含むことができる。さらに、ガスノズル610の存在は、装置がカバー構造を備えていなければ、金属粉塵の拡散に関与し、人間の健康に対する危険レベルを高めることになる。
【0244】
前述の説明は、装置10の主要なコンポーネントと主要な機構を含む。しかしながら、装置10は、互いの種々の異なる実施形態に従って設定でき、その各々は本発明および本発明の概念に従うようにできる。
【0245】
図1は、初期構成を示しており、装置は、個々の光ファイバケーブル602を介して、または適切な反射ミラーシステム(不図示)を介して単一のレーザエミッタ600に接続された単一のレーザ光源601を備える。さらに、こうした実施形態では、レーザエミッタ600および輪郭検出器700は、主軸Zに沿って独立して移動可能であり、これらはキャリッジ400および補助キャリッジ410によってそれぞれ搬送されるためである。第1構成によれば、レーザエミッタは、輪郭検出器700に対して独立して移動可能である。これによりレーザビームは、主軸Zに沿った輪郭検出器がとる位置に関係なく、シリンダ本体の側面4に作用する。
【0246】
図2は、第2構成を示しており、装置は、第1レーザ光源601および第2レーザ光源601”を備え、その両方とも個々の光ファイバケーブル602,602”によって、または、個々の反射ミラーシステム(不図示)によって同じレーザエミッタ600に接続される。好ましくは、第2レーザ光源601”は、第1レーザ光源601とは異なるタイプであlり、第1レーザ光源または第2レーザ光源のいずれかを駆動することによって、より広範囲の加工を実行でき、装置の柔軟性を増加させる。例えば、第1レーザ光源は、粗い材料除去加工を実行するように構成でき、一方、第2レーザ光源は、表面仕上げ加工を実行するように構成できる。この構成では、一般に、キャリッジ400の複数回の通過中に処理のタイプを変更することが可能である。しかしながら、単一のレーザ600エミッタが存在するため、2つの異なるタイプの処理を同時に実行することはできない。
【0247】
さらに、第2構成では、第1構成と同様に、レーザエミッタ600および輪郭検出器700は、主軸Zに沿って独立して移動可能であり、これらはキャリッジ400および補助キャリッジ410によってそれぞれ搬送されるためである。第2構成によれば、レーザエミッタは、輪郭検出器700に対して独立して移動可能である。これにより主軸Zに沿って輪郭検出器がとる位置に関係なく、レーザビームは、シリンダ本体の側面4上で作用することを可能にする。
【0248】
図3は、第3構成を示しており、装置10は、下記を含む。
・個々の光ファイバケーブル602によって(または個々の反射ミラーシステム(不図示)によって)、第1レーザエミッタ600に接続された第1レーザ光源601。
・個々の光ファイバケーブル602”によって(または個々の反射ミラーシステム(不図示)によって)、第1レーザエミッタ600とは別の第2レーザエミッタ600”に接続された第2レーザ光源601”。
【0249】
特に、第1レーザエミッタおよび第2レーザエミッタ600,600”は、主軸Zに沿って移動する共通キャリッジ400によって搬送され、主軸Zに沿って互いにオフセットしていることに留意すべきであリ、そのため第1レーザエミッタ600のレーザビームは、第2レーザエミッタ600”のレーザビームとはシリンダ本体1の異なる部分に関与する。例えば、第1および第2レーザエミッタは、図3に示すように、平行かつ間隔をあけて配置され、同じ共通キャリッジ400に結合されてもよい。
【0250】
第2レーザ光源601”は、第1レーザ光源601とは異なるタイプでもよい。こうして第1レーザ光源または第2レーザ光源のいずれかを駆動すことによって、より広範囲の処理を実行でき、装置10の柔軟性を増加させる。例えば、第1レーザ光源は、粗い材料除去加工を実行するように構成でき、一方、第2レーザ光源は、表面仕上げ加工を実行するように構成できる。従って、この第3構成では、第2構成と異なり、レーザビームの単一の通過中に2つの異なる加工を実行することが可能であり、これにより加工に要する時間を低減できる。
【0251】
代替として、図3に示すように、第1レーザ光源と第2レーザ光源は同じタイプでもよく、シリンダ本体の異なる領域に向けることもできる。こうしてレーザビームの単一の通過中に2つの類似の加工を実行でき、その結果、処理に必要な時間を低減できる。
【0252】
さらに、第3構成では、第1および第2構成と同様に、第1および第2レーザエミッタ600,600”は、輪郭検出器700とは独立して主軸Zに沿って移動可能であり、これらはキャリッジ400および補助キャリッジ410によってそれぞれ搬送されるためである。これにより主軸Zに沿った輪郭検出器がとる位置に関係なく、2つのレーザビームはシリンダ本体の側面4上で作用することが可能になる。しかしながら、第1および第2レーザエミッタ600,600”は互いに拘束されており、同じ共通キャリッジ400上に搭載される。
【0253】
図4は、第4構成を示しており、装置10は、下記を含む。
・個々の光ファイバケーブル602によって(または個々の反射ミラーシステム(不図示)によって)、第1レーザエミッタ600に接続された第1レーザ光源601。
・個々の光ファイバケーブル602”によって(または個々の反射ミラーシステム(不図示)によって)、第1レーザエミッタ600とは別の第2レーザエミッタ600”に接続された第2レーザ光源601”。
【0254】
特に、第4構成によれば、第1レーザエミッタ600は、第1キャリッジ400によって搬送され、第2レーザエミッタ600”は、第1キャリッジ400とは別個かつ分離した第2キャリッジ400”によって搬送されることに留意すべきである。第1キャリッジ400は、主軸Zに沿って移動可能であり、一方、第2キャリッジ400”は、シリンダ本体1の回転軸Kに対して平行であり、第1キャリッジの主軸Zに対して平行である補助軸Z”に沿って移動可能である。
【0255】
第4構成によれば、第1エミッタ600のレーザビームは、第2エミッタ600”のレーザビームが関与する部分とはシリンダ本体1の異なる部分に関与する。例えば、第1および第2レーザエミッタは、互いに対向してもよく、または、回転軸Kから角度的にオフセットしてもよい。第4構成では、第1レーザエミッタ600は、補助軸Z”に沿った第2レーザエミッタ600”の運動とは独立して、主軸Zに沿って移動可能である。
【0256】
補助キャリッジ400”上には、シリンダ本体に対して横断しまたは垂直な軸X”に沿って移動可能な補助スライド500”がある。第2レーザエミッタ600”は、補助スライド500”に堅固に結合されているため、これもシリンダ本体1に対して近づいたり離れたり移動可能である。
【0257】
第4構成によれば、第1レーザ光源601は、第2レーザ光源600と同じでもよく、同じように設定できる。こうして第1および第2エミッタは、シリンダ本体に対して同じタイプの処理を側面4の異なる部分で同時に実行できる。代替として、第4構成によれば、第1レーザ光源601は、第2レーザ光源600とは異なってもよく、または異なるように設定できる。例えば、第1レーザ光源は、第2レーザ光源によって放射されるレーザビームとは異なる制御パラメータ、例えば、ピークパワーまたは平均パワー、またはパルス持続時間などを有するレーザビームを放射してもよい。こうして第1および第2エミッタは、異なるタイプの処理を同時に実行できる。
【0258】
上記と同様に、第4構成による装置は、シリンダ本体の側面上にあるレーザビーム衝突ゾーンの方向にガスを吹き込むための補助ノズル610”を含む。最後に、第2レーザエミッタ600”と加工対象のシリンダ表面との間の介在距離を検出するように構成された補助距離計620”がある。
【0259】
第4構成によれば、1台の装置で、シリンダ表面に沿って移動するレーザの速度を最適化することによって、例えば、2つの異なるタイプのレーザを必要とする異なるタイプの2つのレーザ加工動作を実行することが可能である。実際、一般に、400および400”のキャリッジは互いに独立しており、主軸Zおよび補助軸Z”に沿って異なる速度でそれぞれ移動できる。そして、制御ユニットは、処理時間を低減するために、第1および第2レーザエミッタ600,600”を独立して移動させるように構成される。
【0260】
上記の説明によれば、装置10は、ある振動周波数でレーザエミッタ600,600”によって放射されるレーザビーム12の方向の空間振動を決定するように構成された振動システムを含むことができる。振動周波数は、10Hzと20000Hzの間、より好ましくは100Hzと10000Hzの間、より具体的には200Hzと2000Hzの間、より具体的には200Hzと2000Hzの間でもよい。
【0261】
そして、振動システムは、レーザビーム12の見かけ空間形状を画定するように構成される。例えば、レーザビームの見かけ空間形状、即ち、その振動の軌道は、前記振動の結果として、細長い直線、円形、楕円形、卵形または長方形となることがある。レーザビームの振動は、レーザビームが入射する1つ以上のレンズまたはミラーを振動させることによって決定でき、即ち、レンズおよび/またはミラーは、圧電アクチュエータによって移動できる。代替として、振動システムは、変形可能ミラーを含んでもよい。
【0262】
レーザビームの充分に高い振動周波数(例えば、数百Hzの範囲内)により、レーザビームの見かけの作用ゾーンを可能にする。こうして材料は、例えば、走査軌跡の形状に類似したレーザビームの見かけ形状で加工される。
【0263】
振動システムは、単一の軸に沿ってレーザビームの方向を変更するように構成でき、その結果、直線的な見かけ形状を有するレーザビームを決定する。代替として、振動システムは、2つの軸に沿ってレーザビームの方向を変更するように構成してもよく、これにより2次元の見かけ形状を有するレーザビームを画定できる。この場合、レーザビームの見かけ形状は、円形、楕円形、三角形または長方形等でもよい。
【0264】
振動周波数は、修復手順2000の間、例えば、除去手順2002全体の間は固定でもよい。
【0265】
代替として、装置10の制御ユニット15は、例えば、シリンダ本体1の回転速度または接線速度に従って、除去手順2002の間に振動周波数を変更するように構成してもよい。特に、制御ユニット15は、シリンダ本体の速度が増加すると、振動周波数を増加させるように構成してもよい。さらに、制御ユニット15は、シリンダ本体の速度が減少すると、振動周波数を減少させるように構成してもよい。
【0266】
こうした振動システムは、装置の動作状態中に、シリンダ本体1の側面4において0.05mm~5mm、より詳細には0.1mm~2mmのレーザビームの並進を生じさせてもよい。例えば、振動システムによって決定されるレーザビームの空間振動は、円形軌道、直線軌道、曲線軌道または楕円形軌道のうちの少なくとも1つを含むことができる予め定めた軌道に沿ったレーザビームの移動を画定する。例えば、振動システムは、図12bに示すように、シリンダ本体の回転軸に対して実質的に平行な軌道に沿ってレーザビームを移動させるように構成できる。
【0267】
振動システムは、一定発光レーザビーム、例えば、時間一定のレーザビーム、または、パルス発光レーザビームのいずれかと組み合わせてもよい。
【0268】
一実施形態では、600,600”レーザエミッタは、図9a、図9b、図9cに示すように、レーザビームを焦点11に向けて方向付けるように構成できる。換言すると、600,600”レーザエミッタは、レーザビームを構成するビームを、前記焦点11によって画定される単一ポイントに実質的に向けて集束できる。レーザビームのパワー密度、即ち、単位面積当たりの正規化パワーは、焦点において最大であり、焦点11からの距離が増加するにつれて減少する。実際、レーザビームは、その全体パワーを焦点11に濃縮する。
【0269】
こうして焦点は、レーザビームの最小空間寸法、具体的には、最小断面寸法を画定する。これに対して焦点11からの距離が増加するにつれて、レーザビームの表面断面範囲は増加する。焦点11の外側では、レーザビームパワーは、実際、徐々に増加する表面積に渡って分布する。
【0270】
600,600”レーザエミッタは、装置動作状態中にシリンダ本体1の側面4によって画定される基準面に対してぼやけ距離Δfにおいて焦点11を画定するように構成される。焦点および対応するぼやけ距離Δfを図9a、図9b、図9cに概略的に示している。図9bに示すように、焦点11が側面4上にある場合、ぼやけ距離Δfはゼロであることに留意されよう。これに対して焦点11が側面4上にない場合、ぼやけ距離Δfは、非ゼロの値を有する。より詳細には、図9aと図9cによれば、ぼやけ距離Δf>0は、シリンダ本体1の外側にある焦点を示し、ぼやけ距離Δf<0は、シリンダ本体1の内側にある焦点を示す。換言すると、焦点Δf>0は、600,600”レーザエミッタとシリンダ本体の側面4との間に介在する。これに対して焦点Δf<0は、シリンダ本体1の側面4とシリンダ本体の回転軸Kとの間に介在する。
【0271】
除去手順2002の際、制御ユニット15は、+2mmと-2mmの間、より具体的には+1mmと-1mmの間、さらにより具体的には+0.5mmと-0.5mmの間のぼやけ距離Δfを定義するようにレーザエミッタに命令するように構成できる。より詳細には、ぼやけ距離Δfは、0.01mm~2mmであり、より具体的には0.1mm~1mmであり、より具体的には0.1mm~0.5mmである。
【0272】
前述したように、制御ユニット15は、除去手順2002の際に、レーザエミッタ600,600”にパルスレーザビーム12を放射するように命令するように構成できる。
これらのレーザパルスは、シリンダ本体1から材料を除去して、シリンダ本体1の研削を可能にすることになり、ここで具体的にはシリンダ本体1は圧延シリンダである。こうした構成では、除去手順2002は、下記を含む。
・シリンダ本体1とレーザエミッタ600,600”との間の少なくとも1つを移動させ(2002a)、
・レーザエミッタ600,600”に、ワークステーションの動作場所に向けてパルスレーザビームを放射するよう命令し、具体的には、レーザパルスは、シリンダ本体1の側面4に向けられる(2002b)。
【0273】
好ましい実施形態によれば、シリンダ本体1とレーザエミッタ600,600”との間の少なくとも1つを移動させるステップは、シリンダ本体1をその回転軸Kの周りに回転させることを含む。代替として、シリンダ本体1は固定され、レーザエミッタはシリンダ本体1の周りに移動可能であるように、装置を用意してもよい。
【0274】
レーザビームパルスは、互いに時間的にずれて配列されてレーザパルス周波数を定義する。具体的には、レーザパルスの周波数は、10kHz~10000kHzの間、より具体的には10kHz~1500kHzの間にできる。
【0275】
シリンダ本体1の側面4に向けられた各レーザパルスは、装置の動作状態中に、特に除去手順2002の際に、シリンダ本体1の側面4上に、個々のレーザフットプリント(足跡)40を画定するように構成される。レーザフットプリントは、シリンダ本体1から材料を除去するシリンダ本体1の側面4の領域およびその境界を画定できる。換言すると、レーザパルス10は、実質的に前記レーザフットプリント40においてシリンダ本体の側面4から金属材料を除去し、シリンダ本体の側面4に対してある深さを有するクレータを画定する。
【0276】
レーザフットプリント40は、円形、細長い円形、楕円形、および凸状輪郭を有する曲線の間のグループ内の形状を有してもよい。レーザフットプリントの形状は、レーザフットプリントを画定するレーザビームパルスの持続時間、レーザビームパルスのエネルギー、レーザパルスの放射中の回転軸Kの周りのシリンダ本体の回転速度、またはレーザビームの形状の関数として変化することがある。
【0277】
レーザインプリントは、70μm~20000μmの間の表面範囲を有してもよい。レーザビーム12のこの表面範囲は、焦点をシリンダ本体の側面4から遠ざけたり、近づけたりすることによって、焦点を変化させるようにレーザエミッタに命令することによって変更できる。
【0278】
図10~12に示され、図13図14の方法ステップに関して示される実施形態によれば、レーザパルスは、レーザフットプリント40間の個々に重なり部分41を形成することによって、互いに少なくとも部分的に重なり合うレーザフットプリント40を画定する。各重なり部分41は、好ましくは、レーザフットプリント40の表面範囲の10%~95%の間の表面範囲に渡って延びており、より好ましくは20%~75%の間で延びている。一構成では、除去手順2002は、レーザフットプリント40の表面範囲の50%~75%の間の表面範囲を有するオーバーレイの部分を画定することを含んでもよい。代替として、除去手順2002は、レーザフットプリント40の表面範囲の20%~50%の間の表面範囲を有する重なり部分を画定することを含んでもよい。特定の実施形態では、除去手順2002は、レーザフットプリント40の表面範囲の50%に実質的に等しい表面範囲を有する重なり部分を画定することを含んでもよい。実際、シリンダ本体は回転しており、レーザパルスは互いに時間的にずれて配列しているため、互いの連続するレーザフットプリントは、シリンダ本体1の側面4の互いに異なる部分(図10~12に概略的に示すように、部分的に互いに重なり合う)に関与するようになることに留意すべきである。
【0279】
より詳細には、重なり部分41は、互いに連続し、具体的に互いに直ちに連続するレーザフットプリント40の部分的な重なりによって画定される。互いに直ちに連続するという用語は、第1レーザパルスと第2レーザパルスがレーザパルス周波数の逆数に等しい持続時間だけ時間的にずれて配列しているとすると、第2レーザパルスは、第1パルスによって生成される第1フットプリントと部分的に重なる第2レーザプリントを生成することを意味する。
【0280】
オプションの構成では、第1パルスおよび第2レーザパルスに連続して、これらとは別個の第3パルスが、第2レーザインプリントと部分的に重なるものの、第1レーザインプリントの外部にある第3レーザインプリントを生成してもよい。この構成は、図11および図12に示しているが、これは例示を目的とし、本発明を限定する意味で意図したものではない。
【0281】
代替として、本発明は、上述した3つのレーザパルス、即ち、第1パルス、第2パルス、および第3パルスを想定した場合、第3パルスによって生成される第3レーザインプリントは、第1レーザインプリントおよび第2レーザインプリントの両方に部分的に重ね合わされてもよいことも提供できる。互いに部分的に重ね合わされた3つのレーザインプリントを有するこうした実施形態は、自明なグラフィック表現上の問題のため、添付図面には示されていない。
【0282】
同じレーザパルス周波数において、各重なり部分41の表面範囲は、レーザビームとシリンダ表面との間の相対速度に依存し、さらにシリンダ本体1の回転速度、即ち、シリンダ本体の回転周波数と、もし存在すれば、ビームの振動速度、即ち、振動周波数との組合せによって与えられる。シリンダ本体の回転周波数は、単位時間当たりの回転軸Kの周りの完全回転数を意味し、例えば、レーザビーム振動の存在下では、5RPM~50RPMの間、またはレーザビーム振動が存在しない場合、50RPM~250RPMの間である。振動周波数は、振動システムによって達成される単位時間内の完全振動数を意味する。
同様に、振動周波数は、レーザビームによって達成される単位時間内の完全振動数を意味する。除去手順2002の際、制御ユニット15は、例えば、5RPM~250RPMの間の回転速度など、シリンダ本体1の回転速度または回転周波数を命令するように構成できる。必要に応じて、除去手順2002の際に、制御ユニット15は、レーザビームの振動速度または振動周波数、例えば、10Hz~20000Hzの間、具体的には100Hz~10000Hzの間、より具体的には200Hz~21000Hzの間の振動周波数を命令するように構成してもよい。
【0283】
レーザパルスの同じ周波数において、レーザビームとシリンダ表面との間の相対速度が増加するにつれて、各重なり部分の表面範囲は減少する。反対に、レーザパルスの同じ周波数において、レーザビームとシリンダ表面との間の相対速度が減少するにつれて、各重なり部分の表面範囲は増加する(41)。
【0284】
重なり部分41の表面範囲Sは、下記の式によって、レーザフットプリント40の表面範囲に対する百分率として定義できる。
【数3】
・S%は、レーザフットプリント40の表面範囲と比較した百分率として定義される重なり部分41の表面範囲である。
・Vrは、レーザビームとシリンダ本体1の側面4との間の相対速度である。
・Dsは、直径、例えば、レーザ40フットプリントの平均直径である。
・fpulseは、特にHzで表されるレーザパルスの周波数である。
【0285】
これらの間に連続した重なり部分を生成するには、レーザパルスの周波数は、シリンダ本体の回転周波数、もしあれば、ビームの振動周波数よりも大きいことが好ましく、特に、レーザパルスの周波数は、シリンダ本体1の回転周波数よりも「n」倍大きくてもよく、ここで、n>100、具体的にはn>500、任意にはn>1000、さらにより具体的にはn>3600である。さらに、レーザパルスの周波数は、ビームの振動周波数より少なくとも「m」倍大きくてもよく、ここで、m>10、具体的にはm>50、任意にはm>100、さらにより具体的にはm>360である。
【0286】
上記に基づいて、重なり部分の範囲は、レーザビームのパルス周波数、レーザビームとシリンダ表面との間の相対速度(シリンダ本体1の回転速度または回転周波数と、もし存在すれば、レーザビームの振動速度または振動周波数との組合せによって与えられる)と密接に関係している。一構成では、制御ユニット15は、重なり部分の所望の表面範囲に応じて、下記のように動作するように構成できる。
・レーザビームパルスの周波数を計算して命令する。
・レーザビームとシリンダ本体1の表面との間の相対速度を計算し命令する。
【0287】
具体的には、制御ユニット15は、下記のように動作するように構成できる。
・重なり部分の所望の表面範囲を入力として受信し、または計算する。
・重なり部分41の所望の表面範囲に応じて、下記を計算する。
oレーザビームのパルス周波数、および
oレーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度
・前記レーザビームパルス周波数およびレーザビームとシリンダ本体の表面との間の前記相対速度を設定することによって、除去手順2002を実行する。
【0288】
例えば、レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度は、回転軸Kの周りのシリンダ本体の回転速度と、振動システムによって命令されたレーザビームの振動周波数との組合せによって決定できる。
【0289】
制御ユニット15は、除去手順2002の際に、重なり部分の所望の表面範囲に応じて、ピークレーザビームパワーおよび/または平均レーザビームパワーを計算するように構成してもよい。
より詳細には、制御ユニット15は、下記のように動作するように構成できる。
・重なり部分の所望の表面範囲を入力として受信する。
・重なり部分の所望の表面範囲に応じて、レーザビームのピークパワーおよび/または平均パルスパワー、レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度、レーザパルスの周波数のうちの少なくとも1つを計算する。
【0290】
例えば、制御ユニット15は、重なり部分の所望の表面範囲を入力として受信し、レーザビームのピークパワー、レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度、およびレーザパルスの周波数を設定するように構成できる。
【0291】
代替として、制御ユニット15は、下記のように動作するように構成できる。
・ビームからのピークパルスパワーを入力として受信する。
・レーザビームからのピークパルスパワーに従って、重なり部分の表面範囲を計算する。
・修復手順2000、具体的には除去手順2002を実行し、重なり部分41の表面範囲を設定する。
【0292】
更なる実施形態では、制御ユニット15は、下記のように動作するように構成できる。
・レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度を入力として受信する。
・必要に応じて、レーザパルス周波数を入力として受信する。
・レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度、および必要に応じてレーザパルスの周波数の関数として、重なり部分の表面範囲を計算する。
【0293】
更なる実施形態では、制御ユニット15は、下記のように動作するように構成できる。
・レーザビームパルスのピークパワーを入力として受信する。
・レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度を入力として受信する。
・レーザビームパルスのピークパワーおよび、レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度の関数として、レーザフットプリントの表面範囲の20%~90%、必要に応じて25%~75%の重なり部分の表面範囲を達成するための10kHz~10000kHzの間のレーザビームパルス周波数を計算する。
【0294】
この説明では、2つのレーザフットプリント間の重なりの百分率が、修復手順の最後に得られるシリンダ本体の表面粗さに影響を与えることも指摘する。特に、2つの連続するレーザフットプリント間の重なりの百分率の極めて高い値は、シリンダ表面に損傷を誘発する可能性があり、一方、同じ百分率の過剰な減少(またはこの百分率の負の値さえも)は、シリンダ本体の処理を不完全にしたり、または粗雑にする可能性がある。本発明の装置10の制御ユニット15は、所望の最大表面粗さの関数として、重なり部分の表面範囲、または重なり部分の表面範囲とレーザフットプリントの表面範囲との比率を計算するように構成できる。
【0295】
いったん重なり部分の表面範囲または比率が計算されると、制御ユニット15は、重なり部分の表面範囲または比率を取得するために、シリンダ本体の回転速度とレーザパルスの周波数との少なくとも一方を計算してもよい。例えば、制御ユニット15は、シリンダ本体の回転速度とレーザパルスの周波数の両方を計算して、重なり部分の計算された表面範囲を取得してもよい。
【0296】
さらに、制御ユニット15は、所望の粗さの関数として事前に計算された、重なり部分の表面範囲またはこうした比率に応じて、レーザビームパルスのピークパワーとレーザビームパルスの平均パワーとの間の少なくとも1つを計算するように構成できる。
【0297】
所望の最大表面粗さは、0.05μm~3.0μmの間でもよい。
【0298】
重なり部分の表面範囲は、レーザフットプリントの表面積の10%~95%の間でもよい。
【0299】
レーザビームパルスのピークパワーは、5kW~1000kWの間でもよい。
【0300】
シリンダ本体の回転速度は、5RPM~250RPMの間、任意には、20RPM~100RPMの間でもよい。
【0301】
フローチャートが図13に示されている修復手順2000の一実施形態によれば、装置10の修復手順2000は、2001検出ステップを必ず含む修復手順2000なしで、少なくとも2つのレーザ40のフットプリント間の重なり部分41を画定するステップを含んでもよいことにも留意すべきである。
【0302】
さらに、重なり部分41の範囲は、振動システムによって決定されるレーザビーム12の振動周波数に依存することがある。実際、連続するレーザ40フットプリント間の重なり部分41を得るために、レーザパルス12の周波数は、レーザビームの振動周波数およびレーザフットプリントの表面範囲に関連させる必要があることに留意すべきである。
【0303】
重なり部分41を得るには、シリンダ本体1の側面4における平均レーザビーム変位速度Voscは、 下記の式に従って、パルス周波数fimpと、レーザフットプリントサイズ40を表すパラメータDとの積より小さくする必要がある。
【数4】
・foscは、振動システムによって決定できるレーザビームの振動周波数であり、前記振動周波数は、具体的にはHzで表される。
・Dは、前記レーザ40フットプリントのサイズの代表的パラメータであり、前記代表的パラメータDは、具体的には、例えば、mmで表される直線寸法である。
・Lは、シリンダ本体1の側面4におけるレーザビームの振動の振幅であり、レーザビームの振動の前記振幅は、具体的にはmmで表され、具体的には振動の振幅Lが0.05mm~5mmの間、より具体的には、0.1mm~2mmの間である。
・fpuiseはレーザパルスの周波数であり、前記レーザパルス周波数は、具体的にはHzで表される。
【0304】
レーザフットプリント40が円形形状を有する場合、パラメータDは、レーザフットプリントの直径に対応する。
【0305】
具体的には、上記の式に基づいて、制御ユニット15は、重なり部分41を得るために、下記の式に従って振動システムの振動周波数を決定するように構成できる。
【数5】
・T=1/fpulseは、2つのレーザパルス間の時間間隔であり、前記時間間隔は、レーザビームのパルス周波数fpulseの逆数であり、例えば、前記時間間隔は、秒で表される。
【0306】
例えば、制御ユニット15は、単一のレーザパルスによって除去される材料の単一のクレータのサイズに応じて振動周波数を変更するように構成できる。クレータが小さいほど、重なり部分41を得るために必要な振動周波数は低くなる。より詳細には、種々の連続するレーザ40フットプリント間の重なり部分41を得るために、制御ユニット15は、振動システムの振動周波数を、レーザ40フットプリントのサイズD、レーザパルスの周波数、およびレーザパルスの振動振幅の関数として決定するように構成できる。例えば、制御ユニット15は、レーザフットプリント40の寸法Dが減少するにつれて、振動周波数を減少させるように構成される。また、振動周波数を固定すると、制御ユニット15は、重なり部分41を得るために、レーザビームの振動振幅が増加するにつれて、レーザフットプリント40のサイズDを増加させるように構成できる。同様に、重なり部分41を得るために、制御ユニット15は、重なり部分41を得るために、レーザフットプリント40のサイズが増加するにつれて、振動周波数を増加させるように構成できる。
【0307】
従って、図12bに示すように、第1レーザフットプリントと第2レーザフットプリントの間の距離Zは、レーザビームのパルス周波数、振動周波数、およびレーザビームの振動振幅に依存することに留意する。具体的には、Z距離は、下記の式で計算できる。
【数6】
・foscは、振動システムによって決定できるレーザビームの振動周波数であり、前記振動周波数は、具体的にはHzで表される。
・fpulseは、レーザパルスの周波数であり、前記レーザパルス周波数は、具体的にはHzで表される。
・Lは、シリンダ本体1の側面4におけるレーザビームの振動振幅であり、レーザビームの前記振動振幅は具体的にはmmで表され、具体的には振動振幅Lは、0.05mm~5mmの間、より具体的には、0.1mm~2mmの間である。
・Dは、前記レーザ40フットプリントのサイズの代表的パラメータであり、前記代表的パラメータDは、特に、例えばmmで表される直線寸法である。
【0308】
図12bは、振動システムがシリンダ本体1の回転軸Kに対して実質的に平行な振動方向に沿ってレーザビームを移動させるように構成された装置10の実施形態を示す。除去手順中のシリンダ本体の回転は、シリンダ本体1の回転軸Kに対して実質的に平行な振動方向に沿ったレーザビームの移動と組み合わせて、シリンダ本体1の側面4上にあるレーザフットプリントの独特の蛇行経路、特に対称的なジグザグ経路を生じさせる。特に、ジグザグ経路は、連続する一連の角度を形成する破線として定義され、実際、ジグザグ経路は、一定の角度で反対方向に交互に継続することによって中断した線によって描かれる形状である。
【0309】
(シリンダ本体の修復手順20001)
本発明はまた、シリンダ本体1の側面4から材料を除去するのに適したレーザビームを放射することによって、前述した装置10によって実行される、シリンダ本体1の側面4の修復手順2000に関する。後述する修復手順のステップは、装置の制御ユニット15によって制御され、互いに同期することができる。さらに、これらのステップは、レーザビームの作用によってシリンダ本体の側面を修復/是正するための相対的な方法を定義する。
【0310】
修復手順は、前のセクションで説明した内容に従って、また図5図6に概略的に示すように、輪郭検出器700を用いて、シリンダ本体1の検出された表面輪郭DSPを検出するステップを少なくとも含む検出手順2001を含む。シリンダ本体1の検出された表面輪郭DSPは、圧延機の許容範囲内に収まるように加工する必要がある、圧延シリンダの摩耗輪郭を定義する。
【0311】
制御ユニットは、検出軸Yに沿って輪郭検出器700を移動させ、同時に輪郭検出器700を使用して検出軸Yに沿って表面輪郭DSPを検出するように構成できる。制御ユニットはまた、シリンダ本体1の検出された表面輪郭DSPの幾何学的特徴を、検出軸Yに沿った個々の線形位置と関連付けて、シリンダ本体の表面輪郭マップを定義するように構成できる。こうして輪郭検出器700を検出軸Yに沿って移動させるステップにより、シリンダ本体の表面輪郭を実質的に直線的なラインに沿って検出することが可能になる。
【0312】
必要に応じて、制御ユニットは、シリンダ本体1を回転軸Kの周りに回転して移動させるように構成される。例えば、制御ユニットは、シリンダ本体に動作可能に接続された電気モータを駆動して、シリンダ本体1を予め定めた角速度で回転させてもよい。そして、制御ユニットは、輪郭検出器700を用いてDSP表面輪郭を検出するように構成でき、輪郭検出器700は、シリンダ本体が回転するにつれて、検出軸Yに沿って移動する。
【0313】
シリンダ本体の回転軸に対して平行な輪郭検出器700の移動と、シリンダ本体1の角運動との組合せにより、輪郭検出器700の直線位置に応じて表面輪郭の生成が可能になる。こうして表面輪郭は、シリンダ本体の側面の単一の長手方向部分の傾向によって影響されず、輪郭取得中にシリンダ本体の回転に沿って平均化される。換言すると、シリンダの完全な回転中に検出され、Y座標の適切な周囲に対応する様々な角度位置にある全てのポイントから平均値が選択され、シリンダテーブルに沿った真円度と偏心誤差の同時測定が可能になる。
【0314】
制御ユニットは、シリンダ本体がある角度位置に固定されている間に、輪郭検出器700を検出軸Yに沿って移動させ、そしてシリンダ本体を1ステップ回転移動させて、新しい角度位置を定義し、シリンダ本体が新しい角度位置に固定されながら、検出軸Yに沿って輪郭を検出するように構成できる。
【0315】
同様に、制御ユニットは、逆の手順を実行するように構成することも可能である。即ち、シリンダ本体を回転移動させ、同時に輪郭検出器700を使用して表面輪郭を検出し、そして、輪郭検出器700を検出軸Yに沿って1ステップ移動させて、検出器の新しい直線位置を定義することも可能である。
【0316】
代替の実施形態では、制御ユニットは、シリンダ本体がある角度位置に固定されている間に、最初に輪郭検出器700を検出軸Yに沿って移動させ、そしてシリンダ本体を予め定めた角速度で回転移動させ、同時に予め定めたY軸位置(例えば、テーブルの端部およびその中央部分など)において輪郭検出器700によって表面輪郭を検出するように構成できる。
【0317】
代替の実施形態では、制御ユニットは、シリンダ本体の回転およびY軸に沿った輪郭検出器700の直線運動が同時に起こるように命令できる。この場合、制御ユニットは、シリンダ本体のDSP-検出された表面輪郭の各幾何学的特徴を、輪郭検出器700の個々の線形位置、および必要に応じてシリンダ本体1の個々の角度位置と関連付けるように構成される。
【0318】
検出手順はまた、検出されたDSP表面輪郭をシリンダ本体1のTSP目標表面輪郭と比較するステップを含む。TSP目標表面輪郭は、研削後に回復手順で取得することを目的とした輪郭である。一般には、TSP目標表面輪郭は、検出された表面輪郭DSPによって定義されるシリンダ本体1の個々の平均直径よりも小さいシリンダ本体1の平均直径を定義することに留意されよう。換言すると、TSP目標表面輪郭と検出された表面輪郭DSPとの間には除去すべき材料のある厚さが存在し、これは、修復手順がTSP目標表面輪郭が出現できるように除去する必要がある。
【0319】
制御ユニットは、TSP目標表面輪郭を計算するように構成してもよく、またはTSP目標表面輪郭を入力として受信するように構成してもよい。制御ユニットがTSP目標表面輪郭を計算するように構成される場合、制御ユニットは、初期表面輪郭を検出し、欠陥、亀裂、または局所的な表面損傷を点検し、側面に存在する欠陥または亀裂の最大深さよりも大きい、検出された表面輪郭に対するある深さでのTSP目標表面輪郭を定義するように構成される。図6aは、この概念を概略的に示しており、初期の軽微な欠陥CR1に応じて、制御ユニットは、破線で強調された一時的な目標表面輪郭TSDtempを定義するように構成される。一時的な目標表面輪郭TSDtempの深さにより、充分な材料を除去して表面欠陥CR1を排除できる。しかしながら、更なる検出ステップの間に、輪郭検出器は、第1欠陥CR1より深く、一時的な目標表面輪郭TSDtempと交差する第2欠陥CR2を検出することがある。その結果、一時的な目標表面輪郭TSDtempは、第2表面欠陥CR2を全部除去することができない。次に、制御ユニットは、目標輪郭を更新し、第2欠陥CR2によって定義される最大深さよりも大きい、検出された表面輪郭に対してある深さに配置される新しい目標輪郭TSPを定義するように構成される。こうして、検出された表面輪郭と新しい目標表面輪郭TSDとの間に介在する除去すべき材料の除去により、欠陥CR2も完全に除去することが可能である。
【0320】
換言すると、制御ユニットは、検出された表面輪郭に応じて目標表面輪郭を定義するように構成され、もし目標表面輪郭が、検出された表面輪郭と交差する場合、制御ユニットは、目標表面輪郭を定義しているシリンダ本体の直径を減少させるように構成される。
【0321】
目標表面輪郭は、輪郭検出器および欠陥検出器(存在する場合)がシリンダ本体の側面全体4に対する輪郭(存在する場合には欠陥)検出動作を完了した後にだけ、最終的なものと考えられる。
【0322】
シリンダ本体1の検出された表面輪郭DSPに関して説明した内容と同様に、シリンダ本体1の目標表面輪郭TSPは、シリンダ本体1の角度位置と、検出軸Yに沿った直線位置との間の少なくとも1つの関数として変化する少なくとも1つの幾何学的特徴を含む。目標表面輪郭TSPの幾何学的特徴は、シリンダ本体1の直径、および/または、シリンダ本体1の前記直径の変動、および/または、動作状態および後続の除去手順において、シリンダ本体1の側面4と輪郭検出器700との間に介在する距離を表す少なくとも1つの個々の目標高度パラメータを含む。
【0323】
検出された表面輪郭DSPと目標表面輪郭TSPとの間の比較により、差分パラメータDPを定義する。具体的には、図5図6aに概略的に示すように、差分パラメータは、検出された表面輪郭DSPの高度パラメータと目標表面輪郭TSPの高度パラメータとの比較によって定義される。差分輪郭パラメータDPは、図6aに示すように、検出された表面輪郭DSPと目標表面輪郭TSPとの間の差または比率を表す。換言すると、DP差分パラメータは、検出された表面輪郭DSPとTSP目標表面輪郭との間に介在する、除去すべき材料の量を表す。
【0324】
修復手順は、シリンダ本体1の側面4からの材料除去手順2002も含む。具体的には、除去手順は、レーザエミッタ600,600”を通してシリンダ本体1の側面4に向けてレーザビームを放射し、検出された表面輪郭DSPと目標表面輪郭TSPとの差が予め定めた許容範囲内になるまで、表面から材料を除去するステップを少なくとも含む。
【0325】
除去手順は、検出された表面輪郭DSPと目標表面輪郭TSPとの間の比較に従って、即ち、差分パラメータDPに従って実行される。従って、除去手順では、目標表面輪郭と検出表面輪郭との間に介在する除去すべき材料を除去するようになる。検出された表面輪郭は、実質的にランダムな変動を示す摩耗輪郭であることに留意する。従って、差分パラメータDPは、シリンダ本体の角度位置、および/または、輪郭検出器の位置の関数として変化ことがある。換言すると、除去すべき材料の部分は、シリンダ本体1の側面4の上で特定される位置が変化すると変化する。
【0326】
そして、制御ユニットは、除去手順の際に、輪郭の差分パラメータに応じて、レーザエミッタ600,600”によって放射されるレーザビームの少なくとも1つの制御パラメータを調節するように構成される。制御パラメータは、平均レーザビームパワー、ピークレーザビームパワー、レーザビームパルスの持続時間、レーザビームパルス間の間隔の持続時間、レーザビームサイズ、600,600”レーザエミッタとシリンダ本体1の外面との間の距離を含んでもよい。
【0327】
例えば、差分パラメータの値が増加すると、制御ユニットは、レーザビームのピークパワー、レーザビームの平均パワー、またはレーザビームに対する側面4の一部の露光時間のうちの1つ以上を増加させるように構成できる。さらに、差分パラメータの値が増加すると、制御ユニットは、シリンダ本体1の角速度、主方向Zに沿ったレーザエミッタ600,600”の変位速度、およびレーザビームのパルス持続時間のうちの少なくとも1つを減少させるように構成できる。
【0328】
逆に、差分パラメータの値が減少すると、制御ユニットは、露光持続時間、レーザビームのピークパワー、およびレーザビームの平均パワーのうちの少なくとも1つを減少させるように構成できる。
【0329】
さらに、差分パラメータの値が減少すると、制御ユニットは、シリンダ本体1の角速度、レーザエミッタ600,600”の主方向Zに沿った変位速度、およびレーザビームパルスの持続時間のうちの少なくとも1つを増加させるように構成できる。
【0330】
さらに、レーザビーム制御パラメータは、シリンダ本体1の外面に向けたレーザビーム放射の際に主方向Zに沿ったレーザエミッタ600,600”の変位速度、シリンダ本体1の外面に向けたレーザビーム放射の際に回転軸Kの周りのシリンダ本体1の角速度、レーザビームがシリンダ本体1の側面4の同じ部分に入射する通過回数を含んでもよい。さらに、レーザビームの制御パラメータは、前記レーザビームがシリンダ本体1の側面4の同じ部分に入射する露光持続時間を含んでもよい。露光持続時間は、シリンダ本体1の角速度およびレーザエミッタ600,600”の変位速度に依存することに留意する。
【0331】
レーザビーム制御パラメータはまた、シリンダ本体1の側面4の同じ部分においてレーザビームによって放射されるエネルギーを表すエネルギーパラメータを含んでもよい。エネルギーパラメータは、レーザエミッタ600,600”の制御パラメータ、主軸Zに沿ったレーザエミッタ600,600”の変位速度、シリンダ本体1のその回転軸K周りの角速度、露光持続時間、またはシリンダ本体の側面4の同じ部分におけるレーザビームの通過回数の間のグループ内の少なくとも2つの組み合わせに依存することがある。例えば、エネルギーパラメータは、レーザビームパルスのピークパワー、露光持続時間、およびレーザビームパルスの周波数の関数として計算できる。代替として、エネルギーパラメータは、平均パワーとレーザビームに対する表面の露光持続時間の関数として計算してもよい。
【0332】
そして、シリンダ本体の側面4に向けて放射されるレーザビームは、シリンダ本体1から金属材料を局所的に除去するように構成される。材料の除去を判断するために、そして逆に材料自体の溶融を回避するために、制御ユニット15は、除去手順中にパルスレーザビームを放射するように構成される。これらのパルスは、100fs~1000nsの間の持続時間または1fs~1000μsの間、および/または、1kW~10MWの間、特に10kW~2MWの間のピークパワーを有してもよい。材料除去のための平均レーザビームパワーは、5W~500W、具体的には10W~200Wの間である。
【0333】
材料の除去を決定するために、制御ユニットは、ピークパワーが個々の平均パワーより大きく、具体的には個々の平均パワーの10倍、100倍または1000倍より大きいパルスレーザビームを放射するように構成される。
【0334】
こうした特性を有するレーザビームは、シリンダ本体1から材料を除去することを可能にし、金属材料、特に鋼の粉末を生成する。こうしてレーザによる材料の除去は、レーザビームが入射した材料の昇華で構成され、材料は、気相でシリンダの表面から離れた後、数秒後に再凝縮して固化し、金属材料の粉塵を生成する。従って、吸引システム20は、人間の健康に対するリスクを減少させるために、金属粉塵を吸引するように構成される。
【0335】
回復手順は、ループ内で検出手順および除去手順を繰り返し実行して、閉ループ制御システムを定義することを含む。具体的には、このループは、レーザビーム通過の増分回数を定義する。これにより、制御ユニットは、レーザビームの各通過後、またはレーザビーム通過の所定回数の後に表面状態を検証することが可能である。いったん実際の表面状態が検証され、差分パラメータが更新されると、制御ユニットは、更新された差分パラメータに従って再びレーザエミッタを制御できる。例えば、更新された差分パラメータが以前に決定された差分パラメータと異なる場合、制御ユニットは、1つ以上のレーザビーム制御パラメータを変更するように構成できる。
【0336】
一実施形態に従って、シリンダ本体の修復手順のステップを以下に列挙する。
【0337】
制御ユニットは、除去手順の間に下記のように動作するように構成される。
・ワークステーションのモータに命令して、シリンダ本体1をその回転軸Kの周りに回転させる。
・レーザエミッタを主軸Zに沿って移動させる。
・レーザエミッタを通してレーザビームを作業場所の方向に放射して、シリンダ本体1の側面4から金属材料を除去する。
【0338】
シリンダ本体1を回転させ、レーザエミッタを移動させるステップは、シリンダ本体1の表面輪郭の完全カバーで実行される。除去手順中に、シリンダ本体をその回転軸Kの周りで回転させ、レーザエミッタを主軸Zに沿って移動させるステップは、連続的に実行できる。即ち、レーザエミッタを移動させるステップは、シリンダ本体1を回転させるステップの後または前、あるいは同時であり、即ち、主軸Zに沿ってレーザエミッタを移動させるステップは、シリンダ本体1を回転させるステップと部分的または全体的に同時である。
【0339】
除去手順は、シリンダ本体1の側面4の1つ以上の対象部分において、レーザビームの少なくとも1つの第1通過と1つの第2通過パス(必要に応じて「n」回通過(2<n<20))を行い、各通過の際に予め定めた量の材料を除去する。そして、制御ユニットは、シリンダ本体の表面の対象部分上にレーザビームを用いて第1通過を行い、対象部分におけるシリンダ本体1の更新された輪郭を検出し、更新された輪郭をTSP目標表面輪郭と比較し、更新された輪郭とTSP目標表面輪郭との間の比較に従って、レーザエミッタ600,600”によって放射されるレーザビームを変調することによって、レーザビームを用いて第2通過を行うように構成される。この手順により、差分パラメータを更新し、更新された差分パラメータに従ってレーザビームを変調することが可能である。
【0340】
除去手順は、粗加工手順(図6a~図6g)および半仕上げ手順(図6h~図6l)を含むことができる。具体的には、制御ユニットは、除去手順中に、下記のうちの少なくとも1つを含む粗加工手順を定義するように構成される。
・レーザエミッタ(600,600”)に、パルスレーザビームを発生するように命令すること。前記パルスの各々は、特に1ns~1000nsの間の大きさのオーダー以内の初期持続時間を有する。
・必要に応じて、レーザエミッタ(600,600”)に、50μm未満、具体的には20μm未満のサイズを有するレーザビームを発生するように命令する。前記サイズは、ビーム直径である。
【0341】
制御ユニットはまた、除去手順中に、レーザエミッタ600,600”に、パルスレーザビームを発生するように命令するステップを含む半仕上げ手順を定義するように構成され、前記パルスの各々は、第1持続時間よりも短い第2持続時間を有する。
【0342】
特に、第2持続時間は、第1持続時間よりも少なくとも10倍、100倍または1000倍小さい。例えば、第2持続時間は、1fs(フェムト秒)~1000ps(ピコ秒)の間のオーダー以内でもよく、好ましくは10ps未満である。
【0343】
半仕上げ手順はまた、600,600”レーザエミッタに、50μm未満、特に20μm未満のサイズを有するレーザビームを発生するように命令することを含んでもよく、サイズはビーム直径である。
【0344】
粗加工手順は、シリンダ本体1の側面4上に第1表面粗さを定義するように構成され、一方、半仕上げ手順は、シリンダ本体1の側面4上に第2表面粗さを定義するように構成される。即ち、第1表面粗さは第2表面粗さよりも大きく、特に第1表面粗さは、第2表面粗さより「n」倍(1.1<n<5)大きくてもよい。
【0345】
粗加工手順中のレーザエミッタ(600,600”)の平均パワーは、半仕上げ手順中の600,600”レーザエミッタの平均パワーと基本的に同じでもよい。
平均パワーは、0.5W~500Wの範囲、特に1W~200Wの範囲でもよい。
【0346】
##ガゼットp70
粗加工手順中に600,600”レーザエミッタによって放射されるレーザビームのピークパワーは、半仕上げ手順中に600,600”レーザエミッタによって放射されるレーザビームのピークパワーよりも低くてもよい。さらに、粗加工手順におけるレーザビームのピークパワーは、半仕上げ手順におけるレーザビームのピークパワーよりも10倍、100倍または1000倍低くてもよい。粗加工手順におけるレーザビームのピークパワーは、10kW~100KWの間でもよく、半仕上げ手順におけるレーザビームのピークパワーは、10kW~10MWの間でもよい。
【0347】
例えば、第1平均表面粗さ(Ra)は、0.8μm~2.0μmの間でもよく、第2平均表面粗さは、0.2μm~0.8μmの間でもよい。
【0348】
除去手順はさらに、粗加工手順および半仕上げ手順に続いて、レーザエミッタ600,600”に、連続タイプまたは、長い持続時間を有するパルスのレーザビームを発生するように命令するステップのうちの少なくとも1つを含む仕上げ手順を含んでもよい。特に、仕上げ手順におけるレーザビームパルスの持続時間は、粗加工手順および/または半仕上げ手順において放射されるレーザビームパルスの持続時間よりも長い。
【0349】
さらに、仕上げ手順において、レーザビームの個々のピークパワーは、粗加工および/または半仕上げ手順中に放射されるレーザビームのピークパワーよりも小さく、特に仕上げ手順のレーザビームのピークパワーは、粗加工および半仕上げ手順で放射されるレーザビームのピークパワーよりも10倍、100倍または1000倍小さい。制御ユニットはまた、仕上げ手順において、レーザエミッタ600,600”に、粗加工/または半仕上げ手順中に放射されるレーザビームの個々のサイズよりも大きいサイズ、例えば、直径を有するレーザビームを発生するように命令するように構成してもよい。
【0350】
仕上げ手順は、シリンダ本体1の側面4に、粗加工または半仕上げ手順の際に定義される表面粗さよりも小さい仕上げ表面粗さを定義するように構成される。仕上げ手順により得られる平均表面粗さ(Ra)は、0.5μm未満、具体的には0.4μm未満である。
【0351】
下記は、側面クリーニング操作、粗加工手順、半仕上げ手順、仕上げ手順に関連するレーザビーム制御パラメータの好ましい値を示す表である。これらの値は、限定することを意図したものではなく、逆に、様々な用途についてのレーザビーム制御パラメータの平均値、標準値、または好ましい値の大きさのオーダーを提供することを意図している。
【0352】
【表1】
【0353】
図13図14のフローチャートによって概略的に示される実施形態では、除去手順2002は、下記のような動作を含むことができる。
・シリンダ本体1とレーザエミッタ600,600”との間の少なくとも1つを移動させる(2002a)。
・少なくとも1つのレーザエミッタ600,600”に、パルスレーザビームを放射するように命令し、レーザパルスはシリンダ本体1から材料を除去する(2002b)。
【0354】
シリンダ本体1と600,600”レーザエミッタとの間の少なくとも1つを移動させるステップ2002aは、好ましくは、シリンダ本体1をその回転軸Kの周りに回転させることを含む。
【0355】
シリンダ本体1とレーザエミッタ600,600”の間の少なくとも1つを移動させるステップ2002aは、振動システムを制御して、レーザビームの振動を決定するステップをさらに含んでもよい。図12bの実施形態のように、レーザビームの振動とシリンダ本体の回転は、互いに同時のステップでもよい。
【0356】
シリンダ本体1および/または600,600”レーザエミッタを移動させるステップ2002aと、パルスレーザビームを放射するステップ2002bは、本質的に互いに同時である。換言すると、シリンダ本体の回転中に、レーザエミッタは、シリンダ本体の側面にレーザパルスを放射する。
【0357】
レーザビームパルスは、時間的に互いにずれて配列して、10kHz~10000kHzのレーザパルス周波数を定義する。
【0358】
シリンダ本体1の側面4に向けられた各パルスは、図10図12図12bに示すように、シリンダ本体1の側面4上に個々のレーザフットプリント40を画定する。レーザフットプリントは、円形、細長い円形、楕円形、および凸状の輪郭を有する曲線の間のグループ内の形状を有してもよい。レーザフットプリントの形状は、レーザフットプリントを画定するレーザビームパルスの持続時間、レーザパルスの放射中の回転軸Kの周りのシリンダ本体の回転速度、または、レーザビームとシリンダ本体の表面との間の相対速度の関数として変化してもよい。レーザフットプリントは、70μm~20000μmの間の表面範囲を有してもよい。
【0359】
各レーザパルス10は、シリンダ本体1の側面4上にクレータの形成をもたらすことに留意されよう。こうしたクレータは、レーザフットプリントの形状および/または表面範囲と実質的に等しい形状および/または表面範囲を有することがある。必要に応じて、クレータは、レーザフットプリントの表面範囲よりわずかに小さい表面範囲を有することがある。各クレータは、1μm~20μmの範囲の深さを有してもよい。
【0360】
同様に、第1レーザパルスと第2レーザパルスの部分的な重なりによって生成される重なり部分41も、シリンダ本体1の側面4上にクレータの形成をもたらす。こうしたクレータは、10μm~100μmの範囲の深さを有してもよい。
【0361】
除去手順2002の際、レーザパルスは、前記レーザフットプリント間に個々の重なり部分を形成することによって、互いに少なくとも部分的に重なり合うレーザフットプリントを画定する(2002c)。互いに少なくとも部分的に重なるレーザフットプリントを画定するステップ2002cは、上述したように、シリンダ本体の表面輪郭を検出するステップ2001と組み合わせてもよいことに留意されよう。こうした実施形態は、図14のフローチャートに概略的に示している。
【0362】
代替として、更なる実施形態によれば、修復手順2000は、除去手順2002を含んでもよく、この除去手順2002は、シリンダ本体の表面輪郭を検出するステップ2001を必ずしも含むことなく、互いに少なくとも部分的に重なり合うレーザフットプリントを画定するステップ2002cを含む。この実施形態は、図13のフローチャートに概略的に示している。
【0363】
各重なり部分は、レーザフットプリントの表面範囲の10%~95%の間、必要に応じて25%~75%の間の表面範囲に渡って延びてもよい。必要に応じて、重なり部分は、レーザフットプリントの表面範囲の50%に実質的に等しい表面範囲に渡って延びてもよい。
【0364】
シリンダ本体の表面修復の本発明方法は、前記シリンダ本体1の側面4を研削する方法である。具体的には、この研削方法は、シリンダ本体の半径方向に沿って測定して、10μm~100μmの間の厚さを有する表面層を圧延シリンダから除去する。
【0365】
これらの圧延シリンダの側面4は、金属材料、例えば、鋼や鋳鉄を含む材料で製作される。
【0366】
上述した方法、および図8図13および図14に示すフローチャートによって概略化された方法は、前述した装置10によって実行できることにも留意されよう。特に、修復手順2000、そして除去手順2002は、装置の制御ユニット15によって制御される。より詳細には、図14の実施形態によれば、装置の制御ユニット15は、検出手順2001および除去手順を実行し、後者は、シリンダ本体および/またはレーザエミッタを移動させるステップ2002aと、レーザビームをシリンダ本体の側面4に向けて放射するステップ2002bと、レーザフットプリント40間の重なり部分41を画定するステップ2002cとを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図6l
図6m
図6n
図6p
図7a
図7b
図8
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図10
図11
図12
図12b
図13
図14
【国際調査報告】