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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】吸着器及び吸着器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/32 20060101AFI20240816BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20240816BHJP
   F25B 37/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B01J20/32
B01J20/10 D
F25B37/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506889
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022071550
(87)【国際公開番号】W WO2023012102
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】2108422
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513318548
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ロレーヌ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LORRAINE
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】スダニ,アラオウア
(72)【発明者】
【氏名】ベネルミア,リアド
【テーマコード(参考)】
4G066
【Fターム(参考)】
4G066AA22B
4G066AC02D
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA23
4G066BA28
4G066BA38
4G066DA01
4G066FA03
4G066FA14
4G066FA20
4G066FA35
4G066FA37
(57)【要約】
本発明は、多孔質吸着剤コーティングを製造するための方法であって、水と、粒が800μm未満の直径を有するメソ多孔性粒子と、補強材と、補強材と、を含む均質混合物を得る工程、均質混合物の層でコーティングされるコンポーネントの全部又は一部を被覆する工程と、10バールを超える圧力下で前記混合物の層を前記コーティングされるコンポーネント上に圧縮する工程と、を含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質吸着剤コーティングを製造するための方法であって、前記方法が、
水と、粒が800μm未満の直径を有するメソ多孔性粒子と、補強材と、を含む均質混合物を得る工程と、
均質混合物の層でコーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程と、
10バールを超える圧力下で前記混合物の層を前記コーティングされる部品上に圧縮する工程と、を含み、
前記混合物が、
50~98%(質量基準)の水と、
3~60%(質量基準)のメソ多孔性粒子と、
2~40%(質量基準)の補強材と、を含む、方法。
【請求項2】
前記補強材が、線状ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補強材が、分岐ポリマーである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記補強材が、セルロースである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記メソ多孔性粒子が、シリカゲルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティングされる部品が、スライスを介して接続された2つの面を含み、前記コーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程が、前記スライスと、前記部品の前記2つの面の各々の全部又は一部とを裏打ちすることからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程の前に、同時に、又はその後に、前記コーティングされる部品を金型内に配置する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程が、前記コーティングされる部品上に前記均質混合物を塗布、付着、鋳造、注入、噴霧又は気化させることによって行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
50~80%(質量基準)の、粒が800μm未満の直径を有するメソ多孔性粒子と、
3~50%(質量基準)の補強材と、
5~40%(質量基準)の吸着水と、
を含む、多孔質吸着剤コーティング。
【請求項10】
前記メソ多孔性粒子が、シリカゲルである、請求項9に記載のコーティング。
【請求項11】
全多孔度が、1nm~100μmである、請求項9又は10に記載のコーティング。
【請求項12】
0.1mm~20mmの厚さを有する、請求項9~11のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項13】
請求項9~12のいずれかに記載のコーティングを含む熱交換器。
【請求項14】
前記コーティングで少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つの部品を含み、前記少なくとも1つの部品は、1W/m/Kより大きい熱伝導率を有する、請求項13に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記コーティングが、前記少なくとも1つの部品に直接置かれる、請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記コーティングが、前記少なくとも1つの部品に接着している、請求項14又は15に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記少なくとも1つの部品が、2つの面と、前記2つの面を接続するスライスと、を備え、前記コーティングが、連続層を形成し、前記スライス及び前記2つの面の各々の少なくとも一部を裏打ちする、請求項14~16のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項18】
前記2つの面が、前記スライスを介して接続された略平面であり、前記スライスが、少なくとも1つの部品の環状部分を形成する、請求項17に記載の熱交換器。
【請求項19】
前記コーティングで少なくとも部分的にコーティングされた前記少なくとも1つの部品が取り付けられるヒートパイプを備える、請求項14~17のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコーティングされた部品が開口部を備え、
前記ヒートパイプが、管状であり、前記少なくとも1つの部品の開口部を貫通する、
請求項19に記載の熱交換器。
【請求項21】
請求項13~20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの熱交換器を備える、吸着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の技術分野に関する。
本発明は、特にコーティングの形態の吸着器、したがってそのような吸着器を製造するための方法に関する。
本発明は、吸着剤、すなわち吸着機用、特に吸着冷凍機用の吸着器を含む熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着剤を金属部品に接着することによる吸着器の製造は、先行技術において知られている。この接着層は、金属部品と吸着剤との間の熱伝達を低減する。さらに、接着剤は吸着剤中に拡散する傾向があり、したがってその熱伝導率及び吸着能力が低下する。
したがって、吸着機の場合、そのような吸着器は、吸着機の性能を低下させる効果を有する。
【0003】
本発明の1つの目的は、特に、
・吸着剤を置く部品と吸着剤との間の熱伝達が改善された吸着器を提供すること、及び/又は
・最新技術の吸着剤及び/又は吸着器よりもコンパクトな吸着剤及び/又は吸着器を提供すること、及び/又は
・最新技術の吸着剤よりも体積が小さく、吸着に関して最新技術の吸着剤と同等の性能を有する吸着剤及び/又は吸着器を提供すること、及び/又は
・最新技術の吸着器の熱伝導率と同等以上の熱伝導率を有する吸着器を提供すること、及び/又は
・最新技術の方法よりも速い吸着剤コーティングの製造方法を提供すること、である。
【発明の開示】
【0004】
この目的のために、多孔質吸着剤コーティングを製造するための方法であって、前記方法は、
・水と、粒が800μm未満の直径を有するメソ多孔性粒子と、補強材と、を含む均質混合物を得る工程と、
・均質混合物の層でコーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程と、
・10バールを超える圧力下で前記混合物の層を前記コーティングされる部品上に圧縮する工程と、を含む方法に関する。
均質混合物は、液体、粘性又はペースト状であってもよい。
【0005】
好ましくは、均質層を圧縮するために加えられる圧力は、20バール以上、さらにより好ましくは30バール超、さらにより好ましくは40バール超、さらにより好ましくは50バール超、さらにより好ましくは60バール超、さらにより好ましくは70バール超、特に好ましくは80バール超、最も好ましくは90バール超である。
好ましくは、メソ多孔性粒子粒は、500μm未満、さらに好ましくは250μm未満、より好ましくは100μm未満の直径を有する。
【0006】
好ましくは、本発明による方法は、熱交換器用多孔質吸着剤コーティングの製造方法である。熱交換器とは、吸着器-交換器又は吸着剤熱交換器を意味し得る。好ましくは、本発明による方法は、吸着機の熱交換器を製造するための方法である。
水は、1種以上の添加剤及び/又は1種以上の塩を含んでもよい。
水は、他の溶媒で置換されていてもよい。溶媒は、有機溶媒であっても無機溶媒であってもよい。
【0007】
この方法は、部品を乾燥させる工程を含むことができる。乾燥は、周囲温度又は加熱下で行うことができる。乾燥は、空気中、すなわち大気条件下又は制御された雰囲気下で行うことができる。乾燥は、使用中、例えば、コーティングされた部品の最初の使用中又はコーティングされた部品の使用前に行うことができる。
好ましくは、混合物、好ましくは均質混合物は、接着剤を含まない。
メソ多孔性粒子とは、粒又は粒子を含むか又はそれからなる粉末を意味し得る。
【0008】
メソ多孔性粒子は、メソ多孔性アルミナ、メソ多孔性カーボン、メソ多孔性オキシド、特に金属酸化物、又はゼオライトを含み、好ましくはそれらからなり得る。
補強材は、線状ポリマーであってもよい。
補強材は、分岐ポリマーであってもよい。
好ましくは、補強材は、分岐した線状ポリマーである。
好ましくは、補強材は、セルロースである。
好ましくは、メソ多孔性粒子は、シリカゲルを含むか、又はシリカゲルである。
【0009】
混合物、好ましくは均質混合物は、
・30~98%、好ましくは50~95%(質量基準)の水と、
・3~60%、好ましくは25~35%(質量基準)メソ多孔性粒子と、
・2~40%、好ましくは8~15%(質量基準)の補強材と、を含み得る。
【0010】
好ましくは、水の質量百分率は、50%(質量基準)超、さらに好ましくは60%超、より好ましくは65%超及び/又は98%(質量基準)未満、より好ましくは95%未満である。
【0011】
好ましくは、補強材の質量百分率は、2%(質量基準)超、さらに好ましくは5%超、より好ましくは6%超、さらにより好ましくは8%超及び/又は40%(質量基準)未満、好ましくは25%未満、より好ましくは15%未満である。
【0012】
好ましくは、メソ多孔性粒子の質量百分率は、質量で3%(質量基準)超、好ましくは10%超、より好ましくは25%超及び/又は60%(質量基準)未満である。
【0013】
好ましくは、混合物中のメソ多孔性粒子及び補強材の質量百分率の範囲の上限の合計は、混合物中の水の質量百分率の範囲の下限に等しい。好ましくは、混合物中のメソ多孔性粒子及び補強材の質量百分率の範囲の下限の合計は、混合物中の水の質量百分率の範囲の上限に等しい。
【0014】
好ましくは、コーティングされる部品は、スライス又はエッジを介して接続された2つの面又は側面を含み、コーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程は、スライス及び部品の2つの面の各々の全部又は一部をコーティングすることからなる。
コーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程は、コーティング工程であってもよい。
スライス又はエッジは、曲面であってもよい。
【0015】
方法は、コーティングが製造された後に、混合物の層をコーティングされる部品上に圧縮する工程の前に、又はそれと同時に、部品上のコーティングを保持する、又は保持に関与するための1つ以上の保持要素を配置する工程を含むことができる。
【0016】
方法は、コーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程、好ましくはコーティング工程の前に、それと同時に、又はそれに続いて、コーティングされる部品を金型、好ましくはプレス金型内に配置する工程を含み得る。
【0017】
この方法は、混合物の層をコーティングされる部品上に圧縮する工程の後に、乾燥工程の前に、それと同時に、又はそれに続いて、コーティングされる部品を離型する工程を含んでもよい。
【0018】
コーティングされる部品の全部又は一部を被覆する工程は、コーティングされる部品上に均質混合物を塗布、付着、鋳造、注入、噴霧又は気化することによって行うことができる。
本発明による方法によって得ることができる多孔質吸着剤コーティング。
好ましくは、多孔質吸着剤コーティングは、本発明による方法によって直接得られる。
【0019】
本発明によれば、
・50~80%(質量基準)の、粒が800μm未満の直径を有するメソ多孔性粒子と、
・3~50%(質量基準)の補強材と、
・5~40%(質量基準)の吸着水と、
を含む、多孔質吸着剤コーティングが提供される。
【0020】
好ましくは、水の質量百分率は、5%(質量基準)超、好ましくは7%超及び/又は40%(質量基準)未満、好ましくは25%未満、さらにより好ましくは10%未満である。
好ましくは、補強材の重量パーセントは、3%(重量基準)超、好ましくは10%超及び/又は50%未満、好ましくは20%(重量基準)未満である。
【0021】
好ましくは、メソ多孔性粒子の質量百分率は、50%(質量基準)超、好ましくは60%超及び/又は80%(質量基準)未満、好ましくは70%未満である。
好ましくは、混合物中のメソ多孔性粒子及び補強材の質量百分率の範囲の上限の合計は、混合物中の水の質量百分率の範囲の下限に等しい。
【0022】
好ましくは、コーティング中のメソ多孔性粒子及び補強材の質量百分率の範囲の下限の合計は、コーティング中の水の質量百分率の範囲の上限に等しい。本質的に、コーティングに吸着される水の量は変化し得ることに留意されたい。コーティング中に吸着される水の量は、コーティング時、好ましくは部品を被覆する時、使用時において、5~40%(質量基準)の間で変化し得る。
多孔質吸着剤コーティングは、特に、吸着剤と呼ばれる、又は吸着剤と言われる最新技術のものであってもよい。
【0023】
好ましくは、多孔質コーティングは吸着器のものである。好ましくは、吸着器は、コーティングされる部品及びコーティング又は吸着剤を含み、好ましくはこれらによって形成される。
【0024】
本出願において、単独で使用されるコーティング又は吸着剤コーティングという用語は、本発明による多孔質吸着剤コーティングを指す。
好ましくは、吸着剤コーティングは、接着剤を含まない。
好ましくは、メソ多孔性粒子は、シリカゲルを含むか、又はシリカゲルである。
【0025】
好ましくは、吸着剤コーティングの全多孔度は、1nmから100μmの間である。好ましくは、コーティングの全多孔度は、1nm超、さらにより好ましくは100nm超、好ましくは1μm超、さらにより好ましくは4μm超及び/又は100μm未満、好ましくは50μm未満である。
【0026】
好ましくは、コーティングは、0.1mm~20mmの厚さを有する。好ましくは、コーティングの厚さは、0.1mm超、好ましくは0.5mm超及び/又は20mm未満、好ましくは15mm未満である。
【0027】
コーティングの厚さは、コーティングされる部品の外面からコーティングされる部品の外側に垂直に延びる方向に沿ったコーティングの寸法として定義することができる。
本発明によれば、熱交換器、好ましくは吸着機の熱交換器における、本発明による多孔質吸着剤コーティングの使用も提供される。
本発明によれば、本発明によるコーティングを含む熱交換器も提供される。
【0028】
熱交換器は、特に最新技術では、吸着器-交換器又は吸着剤熱交換器と呼ばれるか、又は言われることがある。したがって、本出願では、熱交換器によって、吸着器-交換器又は吸着剤熱交換器と理解することができる。
【0029】
好ましくは、熱交換器の表面、好ましくは外面の少なくとも一部は、コーティングによって形成される。好ましくは、熱交換器の表面の一部のみが熱交換器によって形成される。
【0030】
本出願では、単独で使用される交換器という用語は、本発明による熱交換器(heat exchanger)又は熱交換器(thermal exchanger)を指す。
熱交換器は、吸着機の熱交換器であってもよい。
【0031】
熱交換器は、コーティングで少なくとも部分的にコーティング又は被覆又は裏打ちされた少なくとも1つの部品を備えてもよい。前記少なくとも1つの部品は、1W/m/Kより大きい熱伝導率を有する。
【0032】
好ましくは、コーティングでコーティングされた少なくとも1つの部品は、吸着器を形成する。
好ましくは、少なくとも1つのコーティングされた部品は、金属である。好ましくは、少なくとも1つのコーティングされた部品は、銅であり得る。
好ましくは、コーティングは、少なくとも1つの部品上に直接置かれる。
好ましくは、コーティングは、少なくとも1つの部品の表面、好ましくは外面と直接接触している。
【0033】
好ましくは、熱交換器は、コーティングと少なくとも1つの部品の表面、好ましくは外面との間に接着剤を含まない。接着剤とは、特に少なくとも1つの部品上のコーティングの間に位置し、コーティングを少なくとも1つの部品上に保持する効果を有する任意の化合物又は層を意味し得る。
好ましくは、コーティングは、少なくとも1つの部品に接着する。
【0034】
少なくとも1つの部品は、2つの面と、前記2つの面を接続するスライスとを備え得る。コーティングは、連続層を形成してもよく、前記スライス及び前記2つの面の各々の少なくとも一部を裏打ちしてもよい。
2つの面は、スライスを介して接続された略平面であってもよい。スライスは、少なくとも1つの部品の環状部分を形成してもよい。
【0035】
好ましくは、2つの平面は、互いに実質的に平行な2つの面である。
好ましくは、2つの平面は、少なくとも1つの部品の2つの対向する側面を形成する。
好ましくは、2つの平面は、2つの実質的に円形の表面である。
好ましくは、少なくとも1つの部品は、ディスクである。
【0036】
熱交換器は、コーティングで少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つの部品が取り付けられるヒートパイプを備えてもよい。
好ましくは、少なくとも1つの部品は、開口部を備える。好ましくは、ヒートパイプは、管状形状を有し、少なくとも1つの部品の開口部を貫通する。
開口部は、少なくとも1つの部品の中心に位置してもよい。
【0037】
熱交換器は、コーティングが製造された後に少なくとも1つの部品上のコーティングを保持するか、又は保持を補助するように配置された1つ以上の保持要素を備えることができる。
【0038】
保持要素は、コーティングと接触する、好ましくは直接接触する少なくとも1つの表面を含むことができる。保持要素は、少なくとも1つの部品と接触する、好ましくは直接接触する表面を含むことができる。
本発明によれば、吸着機における本発明に係る熱交換器の使用も提供される。
本発明によれば、本発明による少なくとも1つの熱交換器を備える吸着機も提供される。
【0039】
本発明による方法は、本発明によるコーティング及び/又は熱交換器を実施するために、特に適合され、さらに好ましくは特別に設計される。したがって、本発明による方法の任意の特徴を、本発明によるコーティング及び/又は熱交換器に組み込むことができ、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明のさらなる利点及び特徴は、決して限定するものではない実施態様及び実施形態の詳細な説明、並びに以下の添付図面を読むと明らかになるであろう。
図1】3つの吸着器を示す画像である。
図2】吸着器が装着されたヒートパイプを備える熱交換器を示す画像である。
図3】リングが取り付けられたディスクを備えるコーティングされる部品の画像である。
図4】銅ディスクの画像である。
図5】黄銅リングの画像である。
図6】プレス金型の画像である。
図7】銅ディスクが置かれるキャビティ内のプレス金型の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に記載される実施形態は決して限定的ではないので、特に、この特徴の選択が技術的利点を与えるか、又は本発明を先行技術と区別するのに十分である場合には、(この選択がこれらの他の特徴を含む文章内で分離されている場合であっても)、他の記載された特徴から分離された記載された特徴の選択のみを含む本発明の代替物を考慮することが可能であろう。この選択は、少なくとも1つの特徴、好ましくは構造的詳細なしで機能的な特徴、又は構造的詳細の一部のみが技術的利点を与えるか、又は本発明を先行技術と区別するのに十分である場合、この部分のみを有する特徴を含む。
【0042】
吸着は、固体(吸着剤)の表面への気体(吸着剤)の付着を反映した現象である。本発明によれば、吸着剤は、完全に可逆的な反応である物理吸着に特に適合している。表面に付着した(吸着された)分子は、吸着剤の表面を加熱することによって、又は吸着剤の圧力を下げることによって除去(脱着)することができる。化学吸着の場合、条件ははるかに困難であり、場合によって反応は不可逆的である。ガスの吸着は発熱性であり、等立体熱は数十kJ/molである。化学吸着の場合、吸着の等立体熱は、数百KJ/molである。
【0043】
吸着機は、4つの要素(蒸発器、吸着器、凝縮器、脱着器)及び膨張システムから構成される。その機械は、脱着モードで動作する第1の床の温度を上昇させて維持する加熱回路と、吸着モードで動作する第2の床の温度を低下させて維持し、機械の凝縮器を冷却する冷却回路との2つの油圧回路によって駆動される。吸着剤回路は、蒸発器から吸着器への吸着剤の循環(低温生産)を確実にする2つの弁と、脱着器から凝縮器への循環(熱除去)を確実にする2つの弁とによって自動的に制御される。
【0044】
吸着機、特に吸着冷凍機に関して、吸着器及びその製造は重要な役割を果たす。実際、吸着器は、吸着冷凍機のエンジンと考えられ得る。吸着剤の孔径及び熱伝導率を最適化することにより、吸着機の効率が改善される。表面積が大きいほど吸着能力が大きくなる。孔直径と吸着剤との間の良好な一致は、吸着速度を改善する。より良好な熱伝導は、材料内の熱伝達を促進し、吸着冷凍機の出力の増加に直接つながる。
図1図7を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
【0045】
本発明による吸着剤コーティング1の製造方法は、その中に記載されている。この方法は、水と、粒が800μm未満の直径、実施形態による100μmの直径を有するメソ多孔性粒子と、補強材と、実施形態によるセルロース(非分岐線状ポリマー)とを含む均質混合物を得る工程を含む。この実施形態によれば、シリカゲルは、その低コスト、供給の容易さ、及び市場で提供される幅広い選択肢のためにメソ多孔性粒子として選択された。非限定的な例として前述したような他のメソ多孔性粒子を使用することができた。
【0046】
混合物は、ミルを用いて1~5mmのサイズのシリカゲル粒を粉砕することによって得られる。シリカゲルは、Humistoreによって販売されている。粉砕された粒は、100μm未満の直径を有する粒のみを保持するようにふるい分けされる。100μm未満の直径を有する20グラムの粒を5グラムのセルロースと混合して、固体混合物を得る。39グラムの水を固体混合物に添加し、得られた混合物を均質化して均質なペースト状混合物を得る。実施形態により得られた均質混合物は、ペースト状である。
【0047】
本実施形態によれば、吸着冷凍機に用いられる吸着器4及び熱交換器5の製造に適用される。この目的のために、コーティングされる部品6は、その中心に開口部7を有する直径90mmの銅ディスク61を備える。銅ディスク61の開口部7には、黄銅リング8が導入されている。リング8は、肩部9を含む。リング8は、肩部9がディスク61の面の一方に対して停止するまで開口部7に導入される。次いで、リング8は、例えばスズ半田付けによってディスク61に固定される。リング8とディスク61とで形成される集合体がコーティングされる部品6を構成する。
【0048】
次いで、この方法は、コーティングされる部品6の全部又は一部を均質混合物の層で被覆する工程を含む。特に、コーティングされる部品6は、均質混合物で少なくとも部分的に裏打ちされる。部品6の2つの面のそれぞれのスライス及び一部は、均質混合物の層でコーティングされる。実施形態によれば、この工程は、その形状が、コーティングされる部品6の形状に適合され、それと相補的であるキャビティ11を含む金型10内で実行される。厚さ数ミリメートル、典型的には2ミリメートルの均質混合物の第1の層がキャビティ11の底部に配置される。コーティングされる部品6は、均質混合物の第1の層上に付着される。コーティングされる部品6の面の一方は、均質混合物の第1の層と直接接触している。均質混合物が、金型10の円形壁12と、コーティングされる部品6のディスク61の2つの平行な平面を接続するディスク61のスライスとの間に延在するキャビティ11の環状容積2内に付着される。均質混合物の第2の層が、コーティングされる部品6上に付着される。均質混合物の第2の層は、コーティングされる部品6の他方の面と直接接触している。均質混合物の第2の層はまた、キャビティ11の環状容積2を充填する均質混合物と接触している。したがって、均質混合物は、ディスク61の両面の各々及びディスク61のスライスと接触している。均質混合物は、ディスク61を裏打ちする。均質混合物は、中央開口部7を除いて、コーティングされる部品6をコーティングする。環状容積2内に均質混合物を付着させることは、均質混合物の第2の層を付着させる前に、又はそれと同時に行われる。金型10の蓋13は、均質混合物の第2の層に直接当接し、キャビティ11を密閉する。
【0049】
次いで、この方法は、実施形態によれば、10バールを超える圧力下、70バールの圧力下で、混合物の層をコーティングされる部品6上に圧縮する工程を含む。金型10の蓋13に圧力を2分間加える。
【0050】
金型10の蓋13が、取り外される。金型10の内容物を、約20℃の温度で4時間、外気中に放置する。金型10の内容物、すなわち吸着器4を形成する吸着剤コーティング1でコーティングされたコーティングされる部品6が離型される。吸着剤コーティング1でコーティングされたコーティングされる部品6を含むアセンブリは、吸着器4を形成する。吸着器4は、フィン4と考えることができる。この方法は、熱乾燥工程を必要としない。さらに、最新技術の方法で使用されるこの加熱工程は、一般に少なくとも1日である。
【0051】
このようにして製造された多孔質吸着剤コーティング1は、粒が800μm未満の直径を有する20gのメソ多孔性粒子を含み、メソ多孔性粒子は、実施形態による粒が100μm未満の直径を有する20gのシリカゲルと、5gの補強材と、本発明による5gのセルロースと、5gの吸着水とからなる。
【0052】
コーティング1の水分吸着量は、通常の空気下におけるコーティング1の水分吸着量である。コーティング1の全多孔度は、1nm~50μmである。コーティング1の厚さは、0.1mm~20mmであり、実施形態によれば5mmである。吸着剤コーティング1は、部品6上に直接置かれる。コーティング1は、スライス及びディスク61の2つの面のそれぞれを裏打ちする。コーティング1は、中央開口部7を除いて、コーティングされる部品6を裏打ちする。コーティング1がコーティングされる部品6に接着していることが確認された。さらに、コーティング1が、コーティングされる部品6を裏打ちする連続層を形成するという事実は、部品6上のコーティング1を安定させ、コーティング1を補強することに寄与する。多孔質吸着剤コーティング1の熱伝導率は、0.12W/m/Kのオーダーである。したがって、より低い質量のシリカゲルに対して、本発明による多孔質コーティング1は、最新技術の多孔質コーティングの熱伝導率と少なくとも同等の熱伝導率を得ることを可能にする。
【0053】
本実施形態の熱交換器5は、ヒートパイプ14を備える。交換器5の各吸着器4は、交換器5のフィン4と考えることができる。いくつかの吸着器4は、それらの開口部7を介してヒートパイプ14に取り付けられている。ヒートパイプ14は、吸着器4の開口部7を貫通する。停止部と見なせる吸着器4のリング8を、互いに接触させる。交換器5の吸着器4は、ヒートパイプ14から放射状に延びている。交換器5の吸着器4は、互いに平行である。コーティング1とコーティングされる部品6との間に接着剤が存在しないことにより、冷却材と吸着器4との間の移動への抵抗が低減されることが観察されている。
【0054】
いくつかの熱交換器は、吸着機、特に冷凍機内に組み立てることができる。好ましくは、熱交換器5は、水平に並んで組み立てられる。
もちろん、本発明は、今説明した例に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例に対して多くの調整を行うことができる。
【0055】
したがって、前述の実施形態の組み合わせ可能な代替形態では、
・均質な(ペースト状の)混合物は、
・50~98%(質量基準)の水と、
・3~60%(質量基準)のメソ多孔性粒子と、
・2~40%(質量基準)の補強材と、を含み、及び/又は
・このように製造された多孔質吸着剤コーティング1は、
・50~80%(質量基準)の粒が800μm未満の直径を有するメソ多孔性粒子と、
・3~50%(質量基準)の補強材と、
・5~40%(質量基準)の吸着水と、を含み、及び/又は
・コーティングされる部品6は、1W/m/Kを超える熱伝導率を有し、及び/又は
・補強材が分岐ポリマーであり、及び/又は
・コーティングされる部品6の全部又は一部を被覆する工程は、均質混合物をコーティングされる部品6上に塗布、付着、流し込み、注入、噴霧又は気化することによって行われる。
【0056】
さらに、本発明の異なる特徴、形態、代替物及び実施形態は、それらが互いに不適合、又は排他的でない限り、様々な組み合わせに従って互いに関連付けられてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】