(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】中枢血行動態評価のための小型鼻プローブを有するポイントオブケア経食道エコー酸素測定計
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240816BHJP
A61B 8/13 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B8/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506916
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022074744
(87)【国際公開番号】W WO2023019158
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ライ リー
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DD06
4C601DD07
4C601DD15
4C601DD27
4C601DE16
4C601EE30
4C601FE01
4C601GC13
4C601LL26
(57)【要約】
経食道エコー酸素測定用装置であって、内部に光ファイバが配置された挿入チューブ;挿入チューブの端部に配置されたプローブであって、音響トランスデューサ、および音響トランスデューサと光ファイバとを位置合わせする反射器を含むプローブ;音響トランスデューサと通信するコントローラであって、音響トランスデューサおよび反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成し、光ファイバからの光を反射器の方向およびサンプル内に向け、音響トランスデューサおよび反射器を用い、向けられた光に基づいてサンプルからの光音響信号を収集し、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定するように構成されたコントローラ;を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経食道エコー酸素測定用装置であって、
内部に光ファイバが配置された挿入チューブ;
前記挿入チューブの端部に配置されたプローブであって、
音響トランスデューサ、および
前記音響トランスデューサと前記光ファイバとを位置合せする反射器
を備えるプローブ;
前記音響トランスデューサと通信するコントローラであって、
前記音響トランスデューサおよび前記反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成する、
前記光ファイバからの光を前記反射器の方向および前記サンプル内に向ける、
前記音響トランスデューサおよび前記反射器を用い、前記向けられた光に基づいて前記サンプルから光音響信号を収集する、および
前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定する、
ように構成されるコントローラ、
を含む装置。
【請求項2】
前記プローブは、前記反射器に結合され、前記コントローラと通信するマイクロモータをさらに備え、
前記コントローラは、
前記マイクロモータを用いて前記反射器を回転させる、
前記音響トランスデューサおよび前記回転する反射器を用いて前記サンプルの超音波画像を生成する、
前記光ファイバからの光を前記回転する反射器の方向および前記サンプル内に向ける、
前記音響トランスデューサおよび前記回転する反射器を用い、前記向けられた光に基づいて前記サンプルからの光音響信号を収集する、および
前記回転する反射器を用い、収集された前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定する、
ようにさらに構成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光ファイバに結合され、かつ前記コントローラと通信するパルス光源をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記パルス光源は、少なくとも1nsで100ns以下のパルス持続時間を有する光パルスを発する請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記パルス光源は、近赤外光を含む光パルスを発する請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記パルス光源は、2つの異なる波長の光の間で切り替え可能である請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記パルス光源は、750nmから770nm、または900nmから1100nmの少なくとも1つの範囲の波長を含む光パルスを発する請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記パルス光源は、760nmまたは1053nmの少なくとも1つの波長を含む光パルスを発する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記パルス光源は、10mJを超えるエネルギーを有する光パルスを発する請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記パルス光源は、空冷式である請求項3に記載の装置。
【請求項11】
前記パルス光源は、バッテリを含む電源を備える請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記パルス光源は、マイクロレンズアレイおよび球面レンズを用いて前記光ファイバに結合され、前記パルス光源の出力を前記光ファイバの端部に投影する請求項3に記載の装置。
【請求項13】
前記パルス光源は、
一対のレーザーダイオードによって駆動される第1の共振空洞;
前記第1の光学空洞と光通信する第2の共振空洞;
電気光学変調器;および
光パルスを発するように構成される出力、
を備え、
前記電気光学変調器は、前記第1の共振空洞から前記出力へ光を伝送する第1の位置を有し、
前記電気光学変調器は、前記第1の共振空洞から前記第2の共振空洞に光を伝送する第2の位置を有し、
前記出力から発される前記光パルスは、前記電気光学変調器が前記第1の位置にあるとき、前記第1の共振空洞からの第1の波長を含み、
前記出力から発される前記光パルスは、前記電気光学変調器が前記第2の位置にあるとき、前記第1の波長と異なる前記第2の共振空洞からの第2の波長を含む請求項3に記載の装置。
【請求項14】
前記光ファイバは、前記音響トランスデューサの開口部を通して延出する請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記プローブは、前記反射器および前記音響トランスデューサが内部に配置された筐体を備え、かつ
前記筐体は、内部に配置される音響結合流体を含む請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記光音響信号に基づいて前記サンプル中の血中酸素濃度を決定するとき、毎秒、前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定するようにさらに構成される請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記コントローラは、前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定するとき、前記光音響信号および前記サンプルの超音波画像に基づいて前記サンプルの心拍数、血流、血圧、前負荷、後負荷、心拍出量、酸素供給量または酸素消費量の少なくとも1つを決定するようにさらに構成される請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記プローブの直径は、6mm以下である請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記プローブは、経鼻チューブを通して送達するように構成される請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プローブは、バルーン内に配置され、前記バルーンは流体を用いて膨張される請求項1に記載の装置。
【請求項21】
携帯電源をさらに備え、携帯ケースに格納されるように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項22】
経食道エコー酸素測定のための方法であって、
内部に光ファイバが配置された挿入チューブと、前記挿入チューブの端部に配置されたプローブとを準備することを含み、前記プローブは、
音響トランスデューサ、および
前記音響トランスデューサと前記光ファイバとを位置合わせする反射器
を備えること;
前記音響トランスデューサと通信するコントローラを用い、前記音響トランスデューサと前記反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成すること;
前記コントローラを用いて、光ファイバからの光を前記反射器の方向および前記サンプル内に向けること;
前記コントローラを用い、前記音響トランスデューサおよび前記反射器を用いて、前記向けられた光に基づいて前記サンプルから光音響信号を収集すること;および
前記コントローラを用い、前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定すること、
を含む方法。
【請求項23】
前記プローブは、前記反射器に結合され、かつ前記コントローラと通信するマイクロモータをさらに備え、
前記方法は、
前記マイクロモータを用いて前記反射器を回転させること、
前記音響トランスデューサおよび前記回転する反射器を用いて前記サンプルの超音波画像を生成すること、
前記光ファイバからの光を前記回転する反射器の方向および前記サンプル内に向けること、
前記音響トランスデューサおよび前記回転する反射器を用い、前記向けられた光に基づいてサンプルから光音響信号を収集すること、および
前記回転する反射器を用い、収集された前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定すること、
をさらに含む請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記光ファイバに結合され、かつ前記コントローラと通信するパルス光源を準備することをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記パルス光源を用い、少なくとも1nsで100ns以下のパルス持続時間を有する光パルスを発することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記パルス光源を用い、近赤外光を含む光パルスを発することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
光パルスを発することは、前記パルス光源を用い、2つの異なる波長の光の間で切り換えることをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
光パルスを発することは、前記パルス光源を用い、750nmから770nm、または900nmから1100nmのうちの少なくとも1つの範囲の波長を含む光パルスを発することをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
光パルスを発することは、前記パルス光源を用い、760nmまたは1000nmの少なくとも1つの波長を含む光パルスを発することをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
光パルスを発することは、前記パルス光源を用い、20mJを超えるエネルギーを有する光パルスを発することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項31】
パルス光源を準備することは、空冷式である前記パルス光源を準備することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項32】
パルス光源を準備することは、バッテリを含む電源を備える前記パルス光源を準備することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項33】
マイクロレンズアレイおよび球面レンズを用いて前記パルス光源を前記光ファイバに結合すること、および
前記パルス光源を前記光ファイバに結合することに基づいて、前記パルス光源の出力を前記光ファイバの端部に投影すること、
をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項34】
内部に光ファイバが配置された挿入チューブを準備することは、前記光ファイバを前記音響トランスデューサの開口部を通して延出することをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項35】
内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび前記挿入チューブの端部に配置されるプローブを準備することは、前記反射器および前記音響トランスデューサが内部に配置された筐体を準備することをさらに含み、前記筐体は内部に配置された音響結合流体を有する請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定することは、毎秒、前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定することをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記光音響信号に基づいて前記サンプルの血中酸素濃度を決定することは、前記光音響信号および前記サンプルの超音波画像に基づいて前記サンプルの心拍数、血流、血圧、前負荷、後負荷、心拍出量、酸素供給量または酸素消費量の少なくとも1つを決定することをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項38】
内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび前記挿入チューブの端部に配置されるプローブを準備することは、6mm以下の直径を有するプローブを準備することをさらに含む請求項22記載の方法。
【請求項39】
内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび前記挿入チューブの端部に配置されるプローブを準備することは、経鼻チューブを通して送達するように構成されるプローブを準備することをさらに含む請求項38記載の方法。
【請求項40】
内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび前記挿入チューブの端部に配置されるプローブを準備することは、プローブをバルーン内に準備することさらに含み、前記バルーンは流体を用いて膨張される請求項22に記載の方法。
【請求項41】
携帯電源を準備すること、および
携帯ケース内に前記挿入チューブ、前記プローブ、前記コントローラおよび前記携帯電源を格納すること
をさらに含む請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によってその開示全体が本明細書に組み込まれる、2021年8月10日に出願された米国特許出願第63/231,607号に基づき、その優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、Uniform Services University of the Health Sciencesから授与された認可番号HU0001-17-2-0009の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
ポイントオブケアでの中枢血行動態のリアルタイム評価は、心血管、外傷、および集中治療患者の治療を向上させ得る。高侵襲的な肺カテーテルを使用する標準的なアプローチは、血行動態機能の包括的評価を提供するが、ポイントオブケアでは実用的でない。心エコー検査は、非侵襲的な選択肢として人気が高まっているが、例えば体内の酸素充実度などのパラメータに関する重要な疑問に答えるには不十分である。
【発明の概要】
【0004】
したがって、経食道エコー酸素測定のための新たなシステム、方法、および装置が望まれる。
【0005】
出血性ショックは予防可能であるが、時には致命的な状態である。肺動脈から測定される混合静脈酸素化(SvO2)は、失血および循環系ショックの高感度で即時的、かつ信頼性の高い指標である。現在の臨床診療において、SvO2測定には、重度の合併症の大きなリスクを伴う高侵襲的な処置によって肺動脈カテーテルを載置することが必要である。この処置は、殺菌環境および全身麻酔を必要とし、ポイントオブケアで行うことが実用的ではない。本明細書に開示されるTEOの実施形態は、光音響を用いてSvO2を継続的に監視することが可能である。酸素化血液および脱酸素化血液が異なる波長で異なる量の光を吸収し、異なる振幅の超音波を放出することにより、血液酸素化の評価を可能にすると同時に、TEOデバイスは、心臓構造のリアルタイム超音波画像を取得することができる。超音波構造情報と光音響情報とを組み合わせることにより、例えば心拍数、血流、血圧、前負荷、後負荷、心拍出量、動脈酸素化、静脈酸素化、酸素供給量、または酸素消費量などの包括的な血行動態情報セットを導出することが可能になる。本明細書に開示されるTEO技術は、中心線の配置を必要とせず、鎮静剤を投与されていない患者に使用することができる。
【0006】
従って、一実施形態において、本開示は内部に配置される光ファイバを有する挿入チューブと、挿入チューブの端部に配置されるプローブを含む経食道エコー酸素測定用装置を提供し、プローブは音響トランスデューサと、音響トランスデューサおよび光ファイバを位置合わせした反射器とを含む。この装置はまた、音響トランスデューサと通信するコントローラを含んでもよく、コントローラは音響トランスデューサおよび反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成し、光ファイバからの光を反射器の方向およびサンプル内に向け、音響変換器および反射器を用い、向けられた光に基づいてサンプルから光音響信号を収集し、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定するように構成され得る。
【0007】
装置の特定の実施形態において、プローブは反射器に結合され、かつコントローラと通信するマイクロモータをさらに含んでもよく、コントローラはマイクロモータを用いて反射器を回転させ、音響波トランスデューサおよび回転する反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成し、光ファイバからの光を回転する反射器の方向およびサンプル内に向け、音響トランスデューサおよび回転する反射器を用い、向けられた光に基づいてサンプルから光音響信号を収集し、そして回転する反射器を用い、収集された光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定するようにさらに構成され得る。
【0008】
装置のいくつかの実施形態は、光ファイバに結合され、コントローラと通信するパルス光源をさらに含んでもよい。装置の特定の実施形態において、パルス光源は少なくとも1nsで100ns以下のパルス持続期間を有する光パルスを発してもよい。装置の特定の実施形態において、パルス光源は近赤外光(600から2500nm)を含む光パルスを発してもよい。装置の様々な実施形態において、パルス光源は2つの異なる波長の光の間で切換え可能であってもよい。装置のいくつかの実施形態において、パルス光源は750nmから770nmまたは900nmから1100nmの少なくとも1つの範囲の波長を含む光パルスを発してもよい。装置の特定の実施形態において、パルス光源は760nmまたは1053nmの少なくとも1つの波長を含む光パルスを発してもよい。装置の他の実施形態において、パルス光源は760nmまたは1064nmの少なくとも1つの波長を含む光パルスを発してもよい。
【0009】
装置の様々な実施形態において、パルス光源は-10mJを超えるエネルギーを有する光パルスを発してもよい。装置のいくつかの実施形態において、パルス光源は空冷式であってもよい。装置の特定の実施形態において、パルス光源はバッテリを含む電源を含んでもよい。装置の様々な実施形態において、パルス光源はパルス光源の出力を光ファイバの端部に投影するためにマイクロレンズアレイおよび球面レンズを用いて光ファイバに結合され得る。
【0010】
装置の特定の実施形態において、パルス光源は一対のレーザダイオードによって駆動される第1の共振空洞と、第1の光学空洞と光通信する第2の共振空洞と、電気光学変調器と、光パルスを発するように構成された出力とを含んでもよい。電気光学変調器は、第1の共振空洞から出力へ光を伝送する第1の位置を有してもよく、電気光学変調器は第1の共振空洞から第2の共振空洞へ光を伝送する第2の位置を有してよく、出力から発せられる光パルスは、電気光学変調器が第1の位置にあるとき、第1の共振空洞からの第1の波長を含んでもよく、出力から発せられる光パルスは電気光学変調器が第2の位置にあるとき、第1の波長と異なる第2の共振空洞からの第2の波長を含み得る。
【0011】
装置のいくつかの実施形態において、光ファイバは、音響トランスデューサの開口部を通して延出してもよい。装置の特定の実施形態において、プローブは反射器および音響トランスデューサが内部に配置された筐体を含んでもよく、筐体は内部に配置された音響結合流体を含んでもよい。
【0012】
装置の特定の実施形態において、コントローラは光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定するとき、毎秒、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定するようにさらに構成され得る。装置の特定の実施形態において、コントローラは光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定するとき、光音響信号およびサンプルの超音波画像に基づいてサンプルの心拍数、血流、血圧、前負荷、後負荷、心拍出量、酸素供給量、または酸素消費量の少なくとも1つを決定するようにさらに構成され得る。
【0013】
装置の様々な実施形態において、プローブの直径は6mm以下であってもよい。装置の特定の実施形態において、プローブは経鼻チューブを通して送達されるように構成され得る。装置の特定の実施形態において、プローブはバルーン内に配置されてもよく、バルーンは、流体を用いて膨張され得る。装置のいくつかの実施形態は、携帯電源をさらに含み、装置は携帯ケース内に格納されるように構成され得る。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態は、内部に光ファイバが配置された挿入チューブと、挿入チューブの端部に配置されたプローブであって、音響トランスデューサと光ファイバとを位置合わせする反射器を備えるプローブ、を準備することを含む、経食道エコー酸素測定のための方法を提供する。この方法は、音響トランスデューサと通信するコントローラを用い、音響トランスデューサおよび反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成すること、コントローラを用いて光ファイバからの光を反射器の方向およびサンプル内に向けること、コントローラを用いて、音響変換器および反射器を用い、向けられた光に基づいてサンプルから光音響信号を収集すること、コントローラを用い、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定すること、を含み得る。
【0015】
この方法の特定の実施形態において、プローブは反射器に結合され、コントローラと通信するマイクロモータをさらに含むことができ、方法はマイクロモータを用いて反射器を回転させること、音響トランスデューサおよび回転する反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成すること、光ファイバからの光を回転する反射器の方向およびサンプル内に向けること、音響変換器と回転する反射器を用い、向けられた光に基づいてサンプルから光音響信号を収集すること、収集された光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定することをさらに含み得る。
【0016】
方法のいくつかの実施形態は、光ファイバに結合され、コントローラと通信するパルス光源を準備することをさらに含み得る。方法の特定の実施形態は、パルス光源を用いて、少なくとも1nsで100ns以下のパルス持続期間を有する光パルスを発することをさらに含み得る。方法の特定の実施形態は、パルス光源を用いて、遠赤外または近赤外光(600から2500nm)を含む光パルスを発することをさらに含み得る。方法の様々な実施形態において、光パルスを発することは、パルス光源を用いて、2つの異なる波長の光の間で切り換えることをさらに含み得る。方法のいくつかの実施形態において、光パルスを発することは、パルス光源を用いて、750nmから770nmまたは900nmから1100nmの少なくとも1つの範囲の波長を含む光パルスを発することをさらに含み得る。方法の様々な実施形態において、光パルスを発することは、パルス光源を用いて、760nmまたは1053nmの少なくとも1つの波長または760nmまたは1064nmの少なくとも1つの波長を含む光パルスを発することをさらに含み得る。
【0017】
方法のいくつかの実施形態において、光パルスを発することは、パルス光源を用いて、10mJを超えるエネルギーを有する光パルスを発することをさらに含み得る。方法の特定の実施形態において、パルス光源を準備することは、空冷式であるパルス光源を準備することをさらに含み得る。方法の特定の実施形態において、パルス光源を準備することは、バッテリを含む電源を備えるパルス光源を準備することをさらに含み得る。
【0018】
方法のいくつかの実施形態は、マイクロレンズアレイおよび球面レンズを用いてパルス光源を光ファイバに結合すること、パルス光源と光ファイバとの結合に基づいて、パルス光源の出力を光ファイバの端部に投影することをさらに含み得る。
【0019】
方法の様々な実施形態において、内部に光ファイバが配置された挿入チューブを準備することは、光ファイバを音響トランスデューサの開口部を通して延出させることをさらに含み得る。方法のいくつかの実施形態において、内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび挿入チューブの端部に配置されたプローブを準備することは、反射器および音響トランスデューサが内部に配置された筐体を準備することをさらに含んでもよく、筐体は内部に配置された音響結合流体を有してもよい。
【0020】
方法の特定の実施形態において、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定することは、毎秒、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定することをさらに含み得る。方法のいくつかの実施形態において、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定することは、光音響信号およびサンプルの超音波画像に基づいてサンプルの心拍数、血流、血圧、前負荷、後負荷、心拍出量、酸素供給量、または酸素消費量の少なくとも1つを決定することをさらに含み得る。
【0021】
方法の特定の実施形態において、内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび挿入チューブの端部に配置されたプローブを準備することは、6mm以下の直径を有するプローブを準備することをさらに含み得る。方法のいくつかの実施形態において、内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび挿入チューブの端部に配置されたプローブを準備することは、経鼻チューブを通して送達されるように構成されたプローブを準備することをさらに含み得る。
【0022】
方法の様々な実施形態において、内部に光ファイバが配置された挿入チューブおよび挿入チューブの端部に配置されたプローブを準備することは、バルーン内に配置されたプローブを準備することをさらに含み、バルーンは流体を用いて膨張される。方法のいくつかの実施形態は、携帯電源を準備すること、挿入チューブ、プローブ、コントローラ、および携帯電源を携帯ケース内に格納することをさらに含み得る。
【0023】
開示される主題事項の様々な目的、特徴、および利点は、類似の参照番号が類似の要素を示す以下の図面に関して考慮した場合、以下に示す開示される主題事項の詳細な説明を参照して、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、生体内適用のための携帯TEOコンソールを示す。(パネルA)システムの写真。(パネルB)システムの内部構成を示す技術図面。(パネルC)システム構成要素間の接続を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、小型2波長光源ユニットを示す。(パネルA)カスタマイズされたOPOレーザの技術図面。(パネルB)電気光学変調による高速波長同調。M:ミラー(例えばダイクロイックミラー)、EOM:電気光学変調器(例えばポッケルスセル)、ND:YLF:ネオジムドープフッ化イットリウムリチウム結晶、OC:出力カプラ、LD:レーザダイオード、SHG:第2の高調波発生器、PBS:偏光ビームスプリッタ、BD:ビームダンパ、BBO:ホウ酸バリウム結晶、W:レーザ窓。(パネルC)従来の方法を用いた(上)、および本開示の手順を用いた(下)、単一の光ファイバを介した効率的なナノ秒光結合であり、サブパネル(A)から(E)は、伝送中の指示点における光ビームの断面図を示す。
【
図3】
図3は、経鼻TEOプローブを示す。(パネルA)成人経鼻胃訓練マネキンにおけるプローブの経鼻展開を示す写真。(パネルB)プローブの内部構成を示す技術図面。(パネルC)収縮状態(上、直径6mm)および膨張状態(下、直径20mm)のバルーンを示す写真である。
【
図4】
図4は、経鼻TEOプローブを示す。(パネルA)近位コネクタおよび遠位測定先端の内部構成(挿入図)を示すプローブの技術図面。(パネルB)市販の経鼻胃チューブと並べたTEOプローブの写真。(パネルC)経鼻胃栄養訓練マネキンにおけるTEOプローブの経鼻載置である。
【
図5】
図5は、TEOによる生体内での血液酸素化変化の監視に関するデータを示す。(パネルA)大動脈の位置(黄色アスタリスク)および音響測定が行われる角度位置(赤色線)を示すリアルタイム超音波画像のフレーム。視野:10cm×10cm。(パネルB)吸入酸素の割合の変化(FiO
2)。(パネルC)FiO
2調整に応じた大動脈酸素飽和度(SaO
2)の変化。緑色線:血液酸素化の連続TEO測定値。赤色菱形:市販の血液ガス分析器による個別の血液サンプルから測定された血液酸素化。(パネルD)TEOおよび血液ガス分析器によって取得されたSaO
2測定値の比較であり、優れた相関性を示す。実線:線形回帰による最良適合線。破線:線形回帰の傾きに関する95%の信頼帯である。
【
図6】
図6は、TEO光に晒された食道組織のレーザ安全性調査を示す。(パネルA)露光領域を示す写真。中央領域(黒色破線の円および黒色矢印)は、OPOレーザからのフルパワーを受ける。2つのレジストレーション部位(赤色矢印)は、組織学的分析のための部位を示すために赤色組織インクでマークされた。(パネルBからD)異なる露光時間(それぞれ1分、10分、および30分)で露光された代表的なNTBC染色組織切片は、レーザ露光部位に組織損傷がないことを示す。
【
図7】
図7は、開示される主題事項のいくつかの実施形態に係る、経食道エコー酸素測定用システムの例を示す。
【
図8】
図8は、開示される主題事項のいくつかの実施形態に係る、コンピュータデバイスおよびサーバを実装するために使用され得るハードウェアの例を示す。
【
図9】
図9は、開示される主題事項のいくつかの実施形態に係る、経食道エコー酸素測定のための方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
開示される主題事項のいくつかの実施形態に従って、経食道エコー酸素測定のための機構(システム、方法、および装置を含み得る)が提供される。
【0026】
したがって、本明細書において、心臓からの超音波検査画像および分光光音響測定値を同時に生成するために小さなプローブが食道内に載置される、経食道エコー酸素測定(TEO)を実行するための手順の様々な実施形態が開示される。プローブは、咽頭反射を最小限に抑え、患者の耐性を向上させるために、鼻を通って食道内に導入され得る。様々な実施形態において、プローブは比較的小さな挿入径(例えば、6mm以下または18Fr以下)を有し得る。その結果、経鼻TEOプローブの載置は、市販の経鼻胃チューブで用いられる方法と類似するため、患者に鎮静剤を投与することなく最小限の訓練を受けた人間が実施することが可能である。
【0027】
開示されるTEOシステムは光音響学を利用するものであり、酸素化血液と脱酸素化血液とで異なるように吸収される波長の光パルスによって組織内に超音波が生成され、関心対象の血管または心室の血液酸素化を測定することが可能である。例えば、デバイスは心臓構造のリアルタイム超音波検査画像を取得することができる。また、デバイスは、超音波検査画像の解析によって決定された位置で、食道を通して肺動脈に光を照射し、肺動脈からの超音波を受信することもでき、肺カテーテルよりもはるかに低侵襲的に混合静脈酸素化の測定が行われる。超音波測定および光音響測定を組み合わせることによって、例えば心拍数、血流、血圧、前負荷、後負荷、心拍出量、酸素供給量、または酸素消費量などの包括的な血行動態情報セットの導出が実行可能である。したがって、TEOデバイスの様々な実施形態は、現在の高侵襲的なPACに代わって低リスクの包括的血行動態モニタを用いてもよく、ポイントオブケア付近での容易かつ信頼性の高い血行動態評価を可能にすることによって救命に役立ち得る。
【0028】
本明細書において、心臓からの超音波検査画像および分光光音響測定値を同時に生成するために小さなプローブが食道内に載置される、経食道エコー酸素測定(TEO)のための装置および方法の様々な実施形態が開示される。様々な実施形態において、この技術は光音響学を利用し、酸素化血液と脱酸素化血液とで異なるように吸収される波長の光パルスによって組織内に超音波が生成され、関心対象の血管または心室の血液酸素化を測定することが可能である。例えば、デバイスは食道を通して肺動脈に光を照射し、肺動脈からの超音波を受信することができ、肺カテーテルよりもはるかに低侵襲的に混合静脈酸素化の測定が行われる。また、開示されるデバイスの実施形態は、同時に、心臓構造のリアルタイム超音波検査画像を取得することができる。超音波測定および光音響測定を組み合わせることで、例えば心拍数、血流、血圧、前負荷、後負荷、心拍出量、酸素供給量、または酸素消費量などの包括的な血行動態情報セットの導出が実行可能である。したがって、TEOは高侵襲的なPACに代わって低リスクの包括的血行動態モニタを用い、ポイントオブケア付近での容易かつ信頼性の高い血行動態評価を可能にすることによって救命に役立ち得ることが期待される。
【0029】
本開示は、ポイントオブケアで使用され得る携帯バッテリ式携帯TEOシステムおよび小型経鼻TEOプローブのいくつかの実施形態を説明する。TEOシステムの実施形態は、生体内混合静脈酸素化監視に適したカスタマイズされた2波長光源を有するバッテリ式デバイスを含む(
図1Aおよび
図1B)。様々な実施形態において、デバイスは62×49×22cm
3の大きさの携帯スーツケースに収められ得る。
図1Cの実施形態に示すように、このシステムは光源ユニット、バッテリ電源ユニット、データ取得ユニット、モータ駆動ユニット、換気ユニット、およびユーザインタフェースユニットの6つのサブユニットを含む。
【0030】
血液酸素化の信頼性の高い光音響評価には、短いパルス持続期間(1から100ns)および十分なエネルギー(10mJを超える)を有する光パルスの生成が可能であり、かつ2つの選択された遠赤外または近赤外の波長(例えば600から2500nm)、好適にはそれぞれ760nm付近(例えば750nmから770nm)および1000nm付近(例えば900nmから1100nm)の間で切換え可能な光源が必要である。様々な実施形態において、各レーザパルスグループは各波長に少なくとも1つのパルスを含む。同じグループ内のレーザパルス間の時間間隔は、25msであってもよい(範囲:100nsから100ms、組織運動によって生じる測定誤差を低減または回避するためには、より短い時間間隔が好適である)。パルスグループの繰返しレートは、1Hz(範囲:0.1から100Hz)であってもよい。デバイス完成品を持ち運び可能にするために、特定の実施形態における光源は、小型サイズであること、バッテリ式であること、および空冷式であることが必要である。いくつかの実施形態において、光パルスは光パラメトリック発振器(OPO)レーザによって生成され、全ての光学部品および電子部品が、41×13×15cm
3の大きさの小型筐体に集積されている(
図2A)。
図2Bに示すように、レーザは2つの共振空洞を特徴とする。第1の空洞(M1とOC1との間)は、2つの高出力レーザダイオード(LD1およびLD2)によって供給されるシード光からネオジムドープフッ化イットリウムリチウム結晶(ND:YLF)によって効率的にエネルギーを抽出すること、並びに偏光子(P1)およびポッケルスセルなどの電気光学変調器(EOM1)によって供給されるアクティブQスイッチングによって、3から4nsの短い持続期間および90mJを超える高いエネルギーで1053nmの光パルスを生成するように設計された。第2の電気光学変調器(EOM2)は、1053nmの光の偏光を垂直方向と水平方向との間でシフトさせるために使用される。垂直の場合、第2の高調波発生器(SHG)は、これらの1053nmの光パルスを526.5nmの緑色光に変換する。第2のレーザ空洞(M6とOC2との間)は、非線形ホウ酸バリウム結晶(BBO)を用いてこれらの緑色パルスを760nmの光にさらに変換し、これは、ミラーM9からM11によって射出窓(W)に向けられ、1パルスあたり20mJを超えるエネルギーを有する。1053nmのパルスの偏光が水平である場合、それらは変換されずに直接射出窓(W)に向かい、1パルスあたり40mJを超えるエネルギーを有する。760nmおよび1053nmのパルス持続期間は、それぞれ2.65nsおよび3.25nsであることが測定された。外部トリガモードにおいて、レーザは25msのパルス間間隔で、毎秒、任意の組み合わせの2つの波長で2つの光パルスを発する。
【0031】
OPOレーザは、2つの独自の利点を有する。1)OPOレーザは、エネルギー効率の高いレーザダイオードによって励起される。典型的な光音響デバイスで使用されるフラッシュランプ励起レーザと比べて、OPOレーザはエネルギー変換効率が高く、嵩高い液体冷却システムを使用する必要がなく、発生するノイズが少ない。したがって、空冷によるシステム小型化および静かな動作が可能である。2)OPOレーザは、電気光学変調によって迅速なパルス間波長切換えを提供する独自の方式を実施する。機械的スイッチングを用いる(例えば光シャッタを用いる)従来の方法と比べて、OPOレーザははるかに高速であるだけではなく、長期の使用にわたり摩耗を最小限に抑える。したがって、光音響測定間のモーションアーチファクトを最小限に抑えることによって酸素化評価の精度を高め、システム寿命を延ばすために役立つ。
【0032】
mJレベルのナノ秒光パルスを遠隔から照射するには、通常、ファイバ端面の損傷を避けるために、多数の光ファイバを含む嵩高いファイバ束を用いて大きな入力表面積に光エネルギーを分散させることが必要である。いくつかの実施形態において、高い効率および堅牢性で高エネルギー光パルスを単一の光ファイバに結合することが可能な光学セットアップが
図2Cに示される。従来のファイバ結合セットアップは、1または複数のレンズを用いて、ファイバ表面上またはその手前で高いエネルギー密度を有する単一のスポットに光を集束させることにより、(一般的にOPOレーザで生じる)特に入光ビームにホットスポットが存在する場合、そこでファイバまたは空気の破壊がもたらされ得る。さらに、異なる波長の光は異なるサイズの焦点をもたらすので、高い光スループットを一貫して実現することも困難である。
【0033】
開示される手順の実施形態は、マイクロレンズアレイを用いて入光ビームを多数のサブビームに分割し、その後、球面レンズを用いて、ファイバ表面上の小さな矩形領域にそれらを重ね合わせる。このようにして、エネルギーの分散によってファイバまたは空気におけるレーザ起因の破壊が回避される。単一のマイクロレンズ素子(我々のセットアップでは0.5mm)のサイズよりも大きい入光ビームの不均一なエネルギーパターンは、ホットスポットによって生じるレーザ損傷を軽減するために均一化される。(
図2C、サブパネル(B)および(C)を比較)。
【0034】
最後に、ファイバ表面上の光ビームのサイズは、光学素子のパラメータによってのみ決定され、光波長とは無関係に保たれる。シミュレーションにより、このレンズアレイセットアップは、光経路内のピーク光エネルギー密度を20分の1未満に低減し、複数の光焦点にエネルギーを分散させることによって、ファイバまたは空気におけるレーザ起因の破壊を回避するために役立つことが示された(
図2C、サブパネル(D)および(E)を比較)。また、この方法の760nmおよび1053nmにおける結合効率は、従来の方法による87%と比べて11%しか差がない。さらに実験によると、このセットアップは760nmおよび1053nmの両方において70%を超えるスループットで、単一の550μmコアのシリカファイバを介してOPOレーザからの光を照射すること成功したことが示された。これまで、使用中にレーザ起因の光ファイバの損傷は観察されなかった。
【0035】
様々な実施形態において、血液酸素化は、毎秒1回(例えば約1Hzの速度で)評価され得るが、他の実施形態では血液酸素化はより頻度の高い、または低い時間間隔で、例えば0.1Hzから100Hzの範囲で評価され得る。各測定サイクルの間、最初に38の心臓超音波画像が取得され、その後、それぞれ1053nmおよび760nmで2つの光音響フレームが取得される。各画像/フレームについて、マイクロモータによって反射器を回転させることにより、円に沿った250の異なる角度位置で信号が取得される。混合静脈監視のために肺動脈からの光音響信号を測定するための最適な位置は、超音波画像から識別され得る。まず、関心対象、例えば肺動脈は、ユーザの注釈または(例えば機械学習を用いた)自動画像解析アルゴリズムのいずれかによって超音波画像(例えばフレーム1から38の少なくとも1つ)上で識別され得る。次に、2つの選択された波長の光が、例えばフレーム39および40において標的のほぼ中央を横断する角度位置で発せられ、2つの光音響測定値が得られた後、標的の血液酸素化が計算される。そのような手順に基づいて、これらの位置でレーザフィルタリングが自動的に作動し、関連位置からの光音響放出が得られる。モータ駆動ユニットにおいて、ステッパモータコントローラは、同じサイクル内の光音響信号が同じ角度位置から取得されることを確実にするために、1/32マイクロステッピングを用いて高い繰返し性でプローブマイクロモータを回転させるようにプログラムされた。データ取得ユニットにおいて、超音波撮像のための超音波を生成するために、カスタマイズされた高繰返し無線周波数パルサが使用される。タイミング信号生成回路は、レーザおよびパルサの発射と、超音波信号および光音響信号のデータ取得とを同期させるためのTTLパルスを生成する。その後、信号は高速デジタイザによってデジタル化され、ファンレスミニPCによって処理される。最後に、制御ソフトウェアはLabviewにおいて開発されており、計算集約的なデータ処理タスクはCで実装され、ダイナミックリンクライブラリとして含まれる。ユーザは、ユーザフレンドリなグラフィックインタフェースを用いてタッチスクリーンを介してリアルタイムでシステムを操作し、設定を調整し、結果を観察することができる。
【0036】
コンソールの小型化は、携帯デバイスの開発のために重要である。発明者の知る限り、ここで開示されているバッテリ式携帯臨床グレード光音響システムは、この種のものとしては初である。全てのシステム構成要素は、300Whの再充電可能なリチウムイオンバッテリによって動く。酸素化を積極的に監視する場合、平均してシステムは70から90Wを消費する。フル充電によって3時間を超える動作時間が提供され得ると推定される。コンソールは、バッテリの再充電中、標準的な110Vのコンセントに差し込まれ、バッテリから独立して動作することもできる。システム構成要素によって生じる熱は、中央換気バレーへ導かれ、その後、バレーの両端に設置された換気ファンを通って環境に放散され得る。携帯使用中に振動から光源ユニットを保護するために、光源ユニットとケースとの間に振動吸収材(例えばソルボセイン)のシートが設置された。
【0037】
経鼻TEOプローブ
【0038】
さらに、鼻を通して食道に導入することが可能な小径TEOプローブが開発された(
図3A)。プローブは、6mm(または18Fr)以下の好適な挿入径を有する。経鼻TEOプローブの載置は、市販の経鼻胃チューブで用いられる方法と類似するため、患者に鎮静剤を投与することなく最小限に訓練された人間によって実行することができる。
【0039】
心臓の断面超音波画像を取得するために、音響検出経路および光励起経路は円形に回転される必要がある。可能な2つの回転方式が実施調査され、1つは遠位マイクロモータを使用したものであり、もう1つは近位トルク伝達コイルを使用したものであった。この研究により、マイクロモータベースの解決策でより良い測定繰返し性が可能であることが示された。
【0040】
図3Bは、遠位マイクロモータを特徴とするTEOプローブの実施形態を示す。プローブは、カスタマイズされた6.5MHzピエゾセラミックリングトランスデューサ(OD=5.5mm、孔径=1.5mm、アクティブ領域=5.0mm)によって音を生成および検出する。OPOレーザからの光は、最初、550μmのダブルクラッドシリカファイバによってトランスデューサの中央孔を通ってプローブの遠位端に照射され、次に、組織を横から照明するためにロッド反射器によって偏光される(例えば、反射器はプローブに隣接する組織が照明されるようにプローブの長軸に対して約40°から50°、好適には約45°の角度である)。反射器は、超音波撮像および光音響測定のための音響波も反射する。反射器は、マイクロステッピングモータに取り付けられる。トランスデューサ、反射器、およびマイクロモータは、CNC加工されたプラスティック筐体内で位置合わせされ、組み立てられ得る。適切な音響結合のために、筐体は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルペンテン(TPX)、または架橋ポリスチレン樹脂など、油、水、または組織と近い音響インピーダンスを有し得る材料から作られ得る。筐体は、例えば水、生理食塩水、シリコン油、コーン油、または鉱物油などの音響結合流体で充填されてもよい。油によるファイバおよびマイクロモータの汚染を防ぐために、トランスデューサの中央孔を封止するために光学窓が使用されてもよく、カスタマイズされたEPDMダイナミックシールが回転軸の周囲に取り付けられてもよい。プローブの遠位端は、生理食塩水または水によって直径20mmから25mmまで膨張し得るポリウレタンバルーンをさらに備えてもよい。特定の実施形態において、5ルーメンのペレセン(登録商標)挿入チューブは、光ファイバ、トランスデューサの信号ケーブル、モータの電気配線、およびバルーン膨張のための液体チャネルを収容するためにカスタム押出成形されている。
【0041】
図3Cに示すように、バルーンが収縮すると、完全に組み立てられた経鼻TEOプローブは、遠位端の最大外径が6mmの大きさになり、これは、市販の経鼻胃チューブ(例えばSalem Sump(登録商標)#8888265140、Cardinal社)のサイズに匹敵する。プローブは、遠位端において25mmの小さな剛性長さを有し、35mm未満の曲げ半径および110°未満の屈曲角度を有する可撓性シャフトを有する。これは、成人経鼻胃栄養訓練マネキン(Corman、Nasco社)での試験により鼻腔を通って食道に容易に挿入され、引き抜かれ得ることがわかった(
図3A)。食道内に載置すると、バルーンは水または生理食塩水によって最大20mmまで膨張させることができ(
図3C)、音響透過損失を最小限に抑えるために食道と空気を介さず接触する。肺動脈の位置を特定するために超音波画像が取得され、光音響測定が行われ、混合静脈酸素化の評価が可能になる。
【0042】
例
【0043】
以下は、本開示の実施形態の非限定的な例である。
【0044】
1つの実施形態において、小型単一素子超音波トランスデューサおよび回転光/音反射器を特徴とするTEOプローブが開発され、試験を行うために使用された(
図4Aから4C)。
図4Aは、近位コネクタと、遠位測定先端の内部構成(挿入図)とを示す、プローブの技術図面を示す。
図4Bは、市販の経鼻胃チューブと並べたTEOプローブの写真を示す。
図4Cは、経鼻胃栄養訓練マネキンへのTEOプローブの経鼻配置を示す。
図4Aの挿入図は、TEOプローブの典型的な寸法を提供するプローブの拡大図を示し、この実施形態において膨張したバルーンが直径約25mmであること、プローブが長さ約25mmであること、および挿入チューブが直径約5mmであり、プローブ本体が直径約6mmであることが示される。
図4Aの挿入図の断面図は、光ファイバが挿入される開口部を含む超音波トランスデューサの実施形態を示す。また、光(直線/拡大ビーム)および音(光ビームに垂直なドット群)が反射器からプローブの側面および組織内部に反射する様子も示される。
【0045】
反射器は、食道およびその周囲の大きな血管/心臓の断面超音波画像を取得するために回転され得る。様々な実施形態において、反射器は遠位マイクロモータを用いて、または近位金属トルク伝達コイルを用いて回転され得る。
図4Aから4Cの実施形態において、マイクロモータベースの解決策は、標的からの光音響測定を可能にするために必要な良好な回転繰返し性をもたらすことが研究によって示されたため、反射器を回転させるためにマイクロモータが使用される。
【0046】
使用前、プローブは組織に光を伝送するカスタマイズされた光ファイバコネクタ、超音波信号を送信および受信するためのSMAコネクタ、およびマイクロモータの回転を駆動する信号を送信するためのXLRコネクタを接続することによって、コンソールに取り付けられる。遠位測定先端は、超音波トランスデューサ、光ファイバ、マイクロモータ、反射器、筐体、バルーン、および可撓性挿入チューブを含む。6.5MHzのリング型ピエゾセラミックトランスデューサは、超音波を生成および検出する。550μmのダブルクラッドシリカファイバは、OPOレーザからの光を組織に伝送する。誘電ガラスロッド反射器は、光および超音波の両方を90度の角度で方向転換させる。ステッパマイクロモータは、良好な繰返し性で反射器を回転させる。精密加工された光および音透過性アクリル筐体は、マイクロモータ、反射器、およびトランスデューサを位置合わせするために役立つ。筐体は、音透過性を良くするために、例えばシリコンまたはコーン油などの流体で充填されてもよい。光ファイバ、トランスデューサの信号ケーブル、モータの電気配線、およびバルーン膨張および収縮のための液体チャネルは、カスタム押出成形された5ルーメンのペレセン挿入チューブを貫通する。ポリウレタンバルーンは、遠位端全体を包囲する。
【0047】
プローブが食道に導入された後、バルーンは水または生理食塩水によって膨張し、音響透過損失を最小限に抑えるために食道壁と空気を介さず接触状態になり得る。標的測定位置を識別するために、トランスデューサは反射器から組織に向かって跳ね返る高周波音波を伝送する。組織から部分的に反射された音波は、トランスデューサに戻る。トランスデューサは、音波を電気信号に変換し、それらをコンソールに伝送する。コンソールは、信号をデジタル化し、組織の断面超音波検査画像を再構成し、そこから関心対象の血管(例えば肺動脈または大動脈)が識別され得る。光音響測定のために、回転する反射器が所望の角度に到達すると、OPOレーザは光パルスを生成する。反射器は、標的血管を照明するために光をファイバから方向転換させる。生成された光音響信号は、トランスデューサによってピックアップされ、コンソールによって処理され、標的血管内の血液酸素化が決定される。
【0048】
図4Bは、TEOプローブと市販の経鼻胃チューブ(Salem Sump(登録商標)#8888265140、Cardinal社)との比較である。バルーンが収縮すると、TEOプローブは6mmの大きさの最大外径を有し、これは市販の18Fr経鼻胃チューブに匹敵するサイズである。またプローブは、25mmの小さな遠位側剛性長さ、20mm未満の曲げ半径、および110°未満の屈曲角度も有する。プローブは、市販の成人経鼻胃栄養訓練マネキン(Corman、Nasco社)で試験された。その結果、両方の鼻腔を通って容易に食道に挿入され、食道から引き抜かれ得ることが示された(
図4C)。
【0049】
生体豚モデルにおけるTEOデバイスの検証
【0050】
TEOデバイスは、制御された出血中の豚における肺動脈からの混合静脈酸素化(SvO2)を測定するために、豚の生体内での血液酸素化監視を試験するために使用された。この例では、デバイスは成人サイズの豚(60から100kgのヨークシャー)における大動脈からの動脈酸素化(SaO2)を測定することによって検証された。SaO2は、吸入ガス(FiO2)中の酸素割合を変更することによって調整された。豚の大動脈は、ヒトの肺動脈と同様の解剖学的位置にあり、解剖学的な違いにより豚の肺動脈は、TEOプローブを用いて測定を行うために十分なほど食道に近くないので、代わりに血液酸素化試験のために大動脈が選択された。参照のため、TEO測定値は市販のCO測定計(STAT PROFILE Prime+、Nova Biomedical社)によって取得された動脈血ガス分析の結果と比較された。動脈血は、TEO測定と同時に採取された。FiO2を調整することによって、より大きなSaO2変化が段階的に制御された方法でもたらされた。これにより、出血性ショックにおいてSvO2で見られる低い血中酸素濃度でデバイスの性能を検証することが可能であった。
【0051】
FiO
2の調整を示す豚の調査の結果は、
図5Aから5Dに示される。
図5Aに示すように、TEOデバイスによって取得された超音波画像を用いて、標的血管、すなわち大動脈を容易に識別することが可能であった(
図5A、大動脈は黄色アスタリスクを有する暗い空間)。赤色の線でマークされた角度位置で光音響測定が行われた(
図6A)。
図5Bは、動物が吸い込むガス中のO
2およびN
2の比率を調節することによってFiO
2を調整した場合、SaO
2がどのように変化したかを示す。予想通り、SaO
2は、FiO
2が100%から15%に減少した後、7分以内に100%から50%未満まで低下し、FiO
2が増加すると回復した(
図5Bから
図5C)。TEOによる血液SaO
2測定値(
図5C、緑色の線)は、同時に採取された血液サンプルからの血液ガスSaO
2読取り値(
図5C、赤色の菱形)と相関性が高いことが分かり、R2=0.91(
図5D)であった。
【0052】
TEO露光が食道組織に対し安全であることの検証
【0053】
レーザ安全ガイドライン(ANSI Z136.1-2014)には、皮膚および目に対する最大許容露光量(MPE)のみが記載される。皮膚MPEは、別の不透明な組織型に対する安全曝露限界の指導に使用される場合が多い。計算によると、TEOで使用される露光量は、皮膚MPEを下回ることが識別された(単発基準では760nmで99%、1053nmで51%、平均出力基準では760nmで10%、1053nmで5%)。
【0054】
TEO露光は、構造変化または細胞生存率の損失による食道組織の損傷を誘発するかを決定するためにさらに研究された。新鮮な豚の食道が屠殺の直後に採取され、37℃のCMRL細胞培養液に浸漬された。その後、食道の管腔表面上の領域が、1分、10分、および30分にわたりTEO光に晒された。組織学的切断をガイドするために、露光部位の側面に位置する2つのレジストレーション部位が赤色組織インクでマークされた(
図6A)。組織は、レジストレーションマークの近くで切り取られ、最適切削温度の培地に載置され、その後、凍結された。赤色インクの端から複数の組織学的レベル(n=14)が切断され、400μm間隔のスポットに切り分けられた。組織スライドは、ニトロテトラゾリウム青色塩化物(NBTC)で染色された。NBTCによる組織化学的染色は、標準的な組織学的染色よりも高い感度および特異度で組織生存率を評価する方法として定評がある。生存可能な組織は青色に染まるが、生存不可能な熱損傷組織は染まらない。全てのスライドが熟練の病理学者によって読み取られた。組織傷害は、明らかな物理的損傷について表面上皮およびその下の組織層を検査することによって評価された。細胞傷害は、露光領域にわたる濃い青色から無色への染色の不連続性に注目することによって評価された。
【0055】
1分、10分、および30分間露光された全層食道標本の代表的な組織診断がそれぞれ
図6Bから
図6Dに示される。全てのスライドは、TEOレーザに晒されていない部位では良好に染色されており(
図6Bから
図6D、赤色矢印)、組織が生存可能でありNBTC染色が作用していることが示された。熱損傷を示すNBTC染色の淡色化は露光部位全体で観察されず(
図6Bから
図6D、黒色矢印)、TEO露光が食道組織にとって安全であることが論証された。
【0056】
コンピュータおよび光学システム
【0057】
図7を参照すると、開示される主題事項のいくつかの実施形態に係る、経食道エコー酸素測定用システム(例えばデータ収集および処理システム)の例700が示される。いくつかの実施形態において、コンピュータデバイス710は、経食道エコー酸素測定用システム704の少なくとも一部を実行し、例えば開示されるTEOプローブなどのデータ収集装置702への制御信号を提供することができる。追加または代替として、いくつかの実施形態において、コンピュータデバイス710は、経食道エコー酸素測定用システム704の少なくとも一部を実行し得る制御信号に関する情報を、通信ネットワーク706を介してサーバ720へ、またはサーバ720から伝達することができる。いくつかのそのような実施形態において、サーバ720は経食道エコー酸素測定用システム704に関する制御信号に関連する情報をコンピュータデバイス710(および/または他の任意の適切なコンピュータデバイス)に返信することができる。この情報は、ユーザ(例えば研究者、オペレータ、臨床医など)に送信および/または提示されてよく、および/または(例えば研究データベースまたは被験者に関連する医療記録の一部として)格納され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、コンピュータデバイス710および/またはサーバ720は、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、装着型コンピュータ、サーバコンピュータ、物理コンピュータデバイスによって実行される仮想機械など、任意の適切なコンピュータデバイスまたはデバイスの組み合わせであってもよい。本明細書で説明されるように、経食道エコー酸素測定用システム704は、制御信号に関する情報をユーザ(例えば研究者および/または医師)に提示することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、通信ネットワーク706は任意の適切な通信ネットワークまたは通信ネットワークの組み合わせであってよい。例えば、通信ネットワーク706は(1または複数の無線ルータ、1または複数のスイッチなどを含み得る)Wi-Fi(登録商標)ネットワーク、ピアツーピアネットワーク(例えばBluetooth(登録商標)ネットワーク)、セルラネットワーク(例えばCDMA、GSM、LTE、LTEアドバンスド、WiMAXなどの任意の適切な規格に準拠する4Gネットワーク、5Gネットワークなど)、有線ネットワークなどを含み得る。いくつかの実施形態において、通信ネットワーク706はローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、公衆ネットワーク(例えばインターネット)、私設ネットワーク(例えば企業または大学イントラネット)、他の任意の適切な種類のネットワーク、またはネットワークの任意の適切な組み合わせであってよい。
図7に示す通信リンクの各々は、例えば有線リンク、光ファイバリンク、Wi-Fiリンク、Bluetoothリンク、セルラリンクなどの任意の適切な通信リンクまたは通信リンクの組み合わせであってよい。
【0060】
図8は、開示される主題事項のいくつかの実施形態に係る、コンピュータデバイス710およびサーバ720を実装するために使用され得るハードウェアの例800を示す。
図8に示すように、いくつかの実施形態において、コンピュータデバイス710はプロセッサ802、ディスプレイ804、1または複数の入力装置806、1または複数の通信システム808、および/またはメモリ810を含み得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ802は例えば中央処理ユニット、グラフィック処理ユニットなどの任意の適切なハードウェアプロセッサまたはプロセッサの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、ディスプレイ804は、例えばコンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示デバイスを含み得る。いくつかの実施形態において、入力装置806は、例えばキーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなど、ユーザ入力を受信するために使用され得る任意の適切な入力デバイスおよび/またはセンサを含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、通信システム808は通信ネットワーク706および/または他の任意の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアを含み得る。例えば、通信システム808は、1または複数のトランシーバ、1または複数の通信チップおよび/またはチップセットなどを含んでよい。特定の例において、通信システム808はWi-Fi接続、Bluetooth接続、セルラ接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用され得るハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアを含んでもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、メモリ810は、例えばプロセッサ802によって、ディスプレイ804を用いたコンテンツの提示、通信システム(複数も可)808を介したサーバ720との通信などに使用され得る命令、値などを格納するために使用され得る任意の適切なストレージデバイスまたは複数のデバイスを含み得る。メモリ810は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含んでもよい。例えば、メモリ810は、RAM、ROM、EEPROM、1または複数のフラッシュドライブ、1または複数のハードディスク、1または複数のソリッドステートドライブ、1または複数の光学ドライブなどを含み得る。いくつかの実施形態において、メモリ810はコンピュータデバイス710の動作を制御するためのコンピュータプログラムを符号化することができる。そのような実施形態において、プロセッサ802はコンテンツ(例えば画像、ユーザインタフェース、グラフィック、表など)の提示、サーバ720からのコンテンツの受信、サーバ720への情報の送信などのためにコンピュータプログラムの少なくとも一部を実行することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、サーバ720はプロセッサ812、ディスプレイ814、1または複数の入力装置816、1または複数の通信システム818、および/またはメモリ820を含み得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ812は、例えば中央処理ユニット、グラフィック処理ユニットなどの任意の適切なハードウェアプロセッサまたはプロセッサの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、ディスプレイ814は、例えばコンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示デバイスを含み得る。いくつかの実施形態において、入力装置816は、例えばキーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなど、ユーザ入力を受信するために使用され得る任意の適切な入力デバイスおよび/またはセンサを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、通信システム818は通信ネットワーク706および/または他の任意の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアを含み得る。例えば、通信システム818は、1または複数のトランシーバ、1または複数の通信チップおよび/またはチップセットなどを含み得る。より特定の例において、通信システム818はWi-Fi接続、Bluetooth接続、セルラ接続、イーサネット接続などを確立するために使用され得るハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアを含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、メモリ820は、例えばプロセッサ812によって、ディスプレイ814を用いたコンテンツの提示、1または複数のコンピュータデバイス710との通信などに使用され得る命令、値などを格納するために使用され得る任意の適切なストレージデバイスまたは複数のデバイスを含み得る。メモリ820は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。例えば、メモリ820は、RAM、ROM、EEPROM、1または複数のフラッシュドライブ、1または複数のハードディスク、1または複数のソリッドステートドライブ、1または複数の光学ドライブなどを含み得る。いくつかの実施形態において、メモリ820はサーバ720の動作を制御するためのサーバプログラムを符号化することができる。そのような実施形態において、プロセッサ812は1または複数のコンピュータデバイス710への情報および/またはコンテンツ(例えば、組織識別および/または分類の結果、ユーザインタフェースなど)の送信、1または複数のコンピュータデバイス710からの情報および/またはコンテンツの受信、1または複数のデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)からの命令の受信などのためにサーバプログラムの少なくとも一部を実行することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、任意の適切なコンピュータ可読媒体は本明細書で説明される機能および/または方法を実行するための命令を格納するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、コンピュータ可読媒体は一時的または非一時的であってよい。例えば非一時的コンピュータ可読媒体は、例えば磁気媒体(ハードディスク、フロッピーディスクなど)、光学媒体(コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスクなど)、半導体媒体(RAM、フラッシュメモリ、電気的プログラム可能読取専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読取専用メモリ(EEPROM)など)、一過性ではなく、または送信中の永続性との類似点が欠けていない任意の適切な媒体、および/または任意の適切な有形媒体などの媒体を含み得る。別の例として、一時的コンピュータ可読媒体は、ネットワーク上の信号、配線、導体、光ファイバ、回路、または一過性であり、送信中の永続性との類似点が欠けている任意の適切な媒体、および/または任意の適切な無形媒体を含み得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、メカニズムという用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の適切な組み合わせを包含し得ることに留意すべきである。
【0068】
図9は、開示される主題事項のいくつかの実施形態に係る、経食道エコー酸素測定のための方法の例900を示す。
図9に示すように、902において、方法900は内部に光ファイバが配置された挿入チューブと、挿入チューブの端部に配置されたプローブとを準備してもよく、プローブは音響トランスデューサ、および音響トランスデューサと光ファイバと位置合わせされた反射器とを含み得る。904において、方法900は音響トランスデューサと通信するコントローラを用い、音響トランスデューサおよび反射器を用いてサンプルの超音波画像を生成することができる。906において、方法900はコントローラを用いて、光ファイバからの光を反射器の方向およびサンプル内に向けることができる。908において、方法900はコントローラを用いて、音響トランスデューサおよび反射器を用いて向けられた光に基づいてサンプルからの光音響信号を収集することができる。最後に、910において、方法900はコントローラを用いて、光音響信号に基づいてサンプルの血中酸素濃度を決定することができる。
【0069】
図9の方法の前述したステップは、図に示され、説明された順序および順番に限定されない任意の順序または順番で実行または実施され得ることを理解すべきである。また、
図9の方法の前記ステップのいくつかは、適切な場合ほぼ同時に、または待ち時間および処理時間を低減するために並行して実行または実施され得る。
【0070】
したがって、本発明は特定の実施形態および例に関連して前述されたが、必ずしもそのように限定されるものではなく、多数の他の実施形態、例、用途、修正、および実施形態、例、および用途からの逸脱は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【国際調査報告】