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特表2024-530651生物学的細胞採取のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】生物学的細胞採取のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20240816BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240816BHJP
   B04B 15/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C12M1/26
C12N5/071
B04B15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506942
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022074500
(87)【国際公開番号】W WO2023015228
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/260,033
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルンメル, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】アヒョウ, パトリック ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4D057
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029AA11
4B029BB11
4B029DG08
4B029HA05
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BD15
4B065CA60
4D057AA03
4D057AB01
4D057AC01
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF00
4D057BA13
(57)【要約】
本明細書では、遠心分離機を用いて生物学的細胞を採取するためのシステム、デバイスおよび方法が提供される。生物学的細胞採取遠心分離装置は、矩形状のベースと、21個の横方向に離隔した直立支持体とを備え得る。各直立支持体は、ベースから垂直上方に延在し、中空コアを有し得る。各直立支持体は、1つ、2つまたは4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つまたは4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成され得る。21個の直立支持体は、12個のバイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように、3×7アレイに配置され得る。直立支持体は、バイオリアクター容器の垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成され得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的細胞採取遠心分離装置であって、
矩形状のベースと、
21個の横方向に離隔した直立支持体であって、各直立支持体が前記ベースから垂直上方に延在し、各直立支持体が中空コアを有し、各直立支持体が、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成されており、前記21個の直立支持体は、それらが12個の前記バイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように3×7アレイに配置され、前記直立支持体が、前記バイオリアクター容器の前記垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成される、21個の横方向に離隔した直立支持体と
を備える、装置。
【請求項2】
前記装置が、単一の材料片を備える一体構造を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が熱可塑性樹脂から形成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が3D印刷プロセスによって形成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
各直立支持体が上端部および下端部を有し、前記装置の前記ベースが32個の水平支持セグメントを備え、前記水平支持セグメントのそれぞれが、2つの直立支持体の下端部の間にまたがり、前記水平支持セグメントのそれぞれが、前記装置が受け入れる前記12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を前記装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかの前記バイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記水平支持セグメントのそれぞれが、中空コアを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置の前記ベースが、前記バイオリアクターのレセプタクルのそれぞれの下方で且つ前記水平支持セグメントの間に開口部を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記バイオリアクター容器の縁部のみに接触し、前記容器の側面または底面の中央部分には接触しない、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
各直立支持体が上端部および下端部を有し、前記装置の外周に配置された少なくとも2対の直立支持体の上端部が、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置の角部に隣接して配置された4対の直立支持体の上端部が、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続され、残りの直立支持体の上端部が相互接続されていない、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ハンドルのそれぞれが、接続された前記直立支持体と協働して、前記ハンドルの下方にアーチを形成する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ベースが、一対のボスを備え、前記ボスのそれぞれが、前記ベースの両側から横方向に延在し、前記ボスのそれぞれが、前記装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、前記遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ボスのそれぞれが、少なくとも3つの直立支持体の間にまたがる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ベースが、2対のボスを備え、前記ボスの対のそれぞれが、前記ベースの両側から横方向に延在し、前記ボスの対のそれぞれが、前記装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、前記遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記ボスのそれぞれが、前記ベースの角部に隣接して配置される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
生物学的細胞採取遠心分離装置であって、
矩形状のベースと、
21個の横方向に離隔した直立支持体であって、各直立支持体が前記ベースから垂直上方に延在し、各直立支持体が中空コアを有し、各直立支持体が、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成されており、前記21個の直立支持体は、それらが12個の前記バイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように3×7アレイに配置され、前記直立支持体が、前記バイオリアクター容器の前記垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成される、21個の横方向に離隔した直立支持体と
を備え、
各直立支持体が上端部および下端部を有し、前記装置の前記ベースが32個の水平支持セグメントを備え、前記水平支持セグメントのそれぞれが、2つの直立支持体の下端部の間にまたがり、前記水平支持セグメントのそれぞれが、前記装置が受け入れる前記12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を前記装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかの前記バイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持し、
前記水平支持セグメントのそれぞれが、中空コアを備え、
前記装置の前記ベースが、前記バイオリアクターのレセプタクルのそれぞれの下方で且つ前記水平支持セグメントの間に開口部を備え、
前記装置が、前記バイオリアクター容器の縁部のみに接触し、前記容器の側面または底面の中央部分には接触せず、
各直立支持体が上端部および下端部を有し、前記装置の角部に隣接して配置された4対の直立支持体の上端部が、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続され、残りの直立支持体の上端部が相互接続されておらず、
前記ハンドルのそれぞれが、接続された前記直立支持体と協働して、前記ハンドルの下方にアーチを形成し、
前記ベースが、一対のボスを備え、前記ボスのそれぞれが、前記ベースの両側から横方向に延在し、前記ボスのそれぞれが、前記装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、前記遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成され、
前記装置が、単一のプラスチック片を備える一体構造を有する、装置。
【請求項17】
生物学的細胞を採取する方法であって、
複数の15mLマイクロバイオリアクター容器を提供することと、
前記複数の容器に生物学的材料を添加することと、
前記複数の容器内で前記生物学的材料を培養することと、
前記生物学的材料が内部に残っている前記複数の容器を容器保持装置内に挿入することと、
前記複数の容器を有する前記容器保持装置を遠心分離機の中に置くことと、
前記遠心分離機を用いて前記容器保持装置および前記容器を回転させることと、
前記容器から前記生物学的材料を除去して前記細胞を採取することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記容器保持装置が少なくとも12個のレセプタクルを備え、前記レセプタクルのそれぞれが、前記複数の容器のうちの1つを摺動可能に受け入れるように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記提供するステップが、24個の15mLマイクロバイオリアクター容器を提供することを含み、前記挿入するステップが、前記24個の容器を2つの容器保持装置に挿入することを含み、前記容器保持装置のそれぞれが12個の容器を保持し、前記置くステップが、前記容器保持装置の両方を前記遠心分離機の中に置くことを含み、前記回転させるステップが、前記2つの容器保持装置および前記遠心分離機内の前記24個の容器を同時に回転させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記提供するステップが、48個の15mLマイクロバイオリアクター容器を提供することを含み、前記挿入するステップが、前記48個の容器を4つの容器保持装置に挿入することを含み、前記容器保持装置のそれぞれが12個の容器を保持し、前記置くステップが、前記容器保持装置の4つ全てを前記遠心分離機内に置くことを含み、前記回転させるステップが、前記4つの容器保持装置および前記遠心分離機内の前記48個の容器を同時に回転させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記容器保持装置が、
矩形状のベースと、
21個の横方向に離隔した直立支持体であって、各直立支持体が前記ベースから垂直上方に延在し、各直立支持体が中空コアを有し、各直立支持体が、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成されており、前記21個の直立支持体は、それらが12個の前記バイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように3×7アレイに配置され、前記直立支持体が、前記バイオリアクター容器の前記垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成される、21個の横方向に離隔した直立支持体と
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記容器保持装置の各直立支持体が上端部および下端部を有し、前記装置の前記ベースが32個の水平支持セグメントを備え、前記水平支持セグメントのそれぞれが、2つの直立支持体の下端部の間にまたがり、前記水平支持セグメントのそれぞれが、前記装置が受け入れる前記12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を前記装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかの前記バイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記容器保持装置が、
矩形状のベースと、
21個の横方向に離隔した直立支持体であって、各直立支持体が前記ベースから垂直上方に延在し、各直立支持体が中空コアを有し、各直立支持体が、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成されており、前記21個の直立支持体は、それらが12個の前記バイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように3×7アレイに配置され、前記直立支持体が、前記バイオリアクター容器の前記垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成される、21個の横方向に離隔した直立支持体と
を備え、
各直立支持体が上端部および下端部を有し、前記装置の前記ベースが32個の水平支持セグメントを備え、前記水平支持セグメントのそれぞれが、2つの直立支持体の下端部の間にまたがり、前記水平支持セグメントのそれぞれが、前記装置が受け入れる前記12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を前記装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかの前記バイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持し、
前記水平支持セグメントのそれぞれが、中空コアを備え、
前記装置の前記ベースが、前記バイオリアクターのレセプタクルのそれぞれの下方で且つ前記水平支持セグメントの間に開口部を備え、
前記装置が、前記バイオリアクター容器の縁部のみに接触し、前記容器の側面または底面の中央部分には接触せず、
各直立支持体が上端部および下端部を有し、前記装置の角部に隣接して配置された4対の直立支持体の上端部が、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続され、残りの直立支持体の上端部が相互接続されておらず、
前記ハンドルのそれぞれが、接続された前記直立支持体と協働して、前記ハンドルの下方にアーチを形成し、
前記ベースが、一対のボスを備え、前記ボスのそれぞれが、前記ベースの両側から横方向に延在し、前記ボスのそれぞれが、前記装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、前記遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成され、
前記装置が、単一のプラスチック片を備える一体構造を有する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
本明細書で述べられる全ての刊行物、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的且つ個別に示されるかのように、参照によってそれらの全体が同様に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
バイオテクノロジーおよび製薬会社は、生物学的および医学的な研究に使用される細胞培養物を増殖させることが多く、治療用タンパク質の大量生産において商業的に使用されることがある。様々な哺乳動物細胞培養物が、薬物開発、試験および製造の間に有用である。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、チャイニーズハムスターの卵巣に由来する上皮細胞株である。本発明者らは、特に組換えタンパク質を発現させるために、遺伝学、毒性スクリーニング、栄養および遺伝子発現の研究において広範な用途を見出している。CHO細胞は、組換えタンパク質治療薬の工業生産のための哺乳動物宿主として使用されることが多い。
【0003】
多くの場合、各細胞培養物のパラメータを変化させながら多数の小細胞培養物を並行して増殖させることが有利である。小細胞培養物は、それぞれ、10から15mLであることが多く、検査室規模のバイオリアクターの特性を模倣して、最適な細胞増殖、生産性および製品品質を可能にすることができる。
【0004】
独国、ゲッティンゲンのSartorius Stedim Biotechによって提供されるAmbr(登録商標)15細胞培養システムは、哺乳動物細胞培養のための業界標準の自動マイクロバイオリアクターシステムになっている。それは、業界全体にわたって、最も一般的には細胞株スクリーニングおよび培地/飼料開発のための用途を有する。各Ambr(登録商標)15ワークステーションでは、最大48×15mLのバイオリアクター内の条件を個別に制御することができ、一方、液体ハンドラは、プロセス中の液体の自動添加および自動除去を可能にする。統合された細胞計数、代謝産物分析およびpHオフセット補正も可能であり、それにより、必要とされるオペレータ相互作用を低減する。
【0005】
Ambr(登録商標)15細胞培養システムは長年にわたって使用されてきたが、このシステムを利用するプロセスは進化し続けている。したがって、従来技術によって必要とされ、提供されていないものは、既存のプロセスをより効率的にし、それによってコストを削減し、生物学的および医学的な研究の速度を増加させるための改善されたデバイス、システム、および方法である。本明細書に記載の技術革新は、これらの満たされていないニーズを解決し、追加の利点を提供する。
【発明の概要】
【0006】
開示の概要
本開示の態様によれば、生物学的細胞採取遠心分離装置は、矩形状のベースと、21個の横方向に離隔した直立支持体とを備え得る。いくつかの実施形態では、各直立支持体は、ベースから垂直上方に延在する。各直立支持体は、中空コアを有し得て、1つ、2つまたは4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれか垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、21個の直立支持体は、それらが12個のバイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように、3×7アレイに配置される。直立支持体は、バイオリアクター容器の垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、装置は、単一の材料片を備える一体構造を有する。装置は、熱可塑性樹脂から形成されてもよく、または3D印刷プロセスによって形成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、各直立支持体は、上端部および下端部を有し、装置のベースは、32個の水平支持セグメントを含む。水平支持セグメントのそれぞれは、2つの直立支持体の底端部の間にまたがり得る。いくつかの実施形態では、水平支持セグメントのそれぞれは、装置が受け入れる12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかのバイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持する。水平支持セグメントのそれぞれは、中空コアを含み得る。いくつかの実施形態では、装置のベースは、バイオリアクターのレセプタクルのそれぞれの下方で且つ水平支持セグメントの間に開口部を含む。いくつかの実施形態では、装置は、バイオリアクター容器の縁部のみに接触し、容器の側面または底面の中央部分には接触しない。
【0009】
いくつかの実施形態では、各直立支持体は、上端部および下端部を有し、装置の周辺部に配置された少なくとも2対の直立支持体の上端部は、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続されている。装置の角部に隣接して配置された4対の直立支持体の上端部は、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続されてもよく、残りの直立支持体の上端部は、相互接続されなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハンドルのそれぞれは、接続された直立支持体と協働して、ハンドルの下方にアーチを形成する。
【0010】
いくつかの実施形態では、ベースは一対のボスを含み、ボスのそれぞれは、ベースの両側から横方向に延在する。ボスのそれぞれは、装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ボスのそれぞれは、少なくとも3つの直立支持体の間にまたがる。いくつかの実施形態では、ベースは、2対のボスを含み、各対のボスは、ベースの両側から横方向に延在する。ボスの対のそれぞれは、装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ボスのそれぞれは、ベースの角部に隣接して配置される。
【0011】
いくつかの実施形態では、生物学的細胞採取遠心分離装置は、矩形状のベースと、21個の横方向に離隔した直立支持体とを備える。各直立支持体は、ベースから垂直上方に延在し、中空コアを有し得る。いくつかの実施形態では、各直立支持体は、1つ、2つまたは4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれか垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成される。21個の直立支持体は、それらが12個のバイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように、3×7アレイに配置され得る。いくつかの実施形態では、直立支持体は、バイオリアクター容器の垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成される。各直立支持体は、上端部および下端部を有し得て、装置のベースは、32個の水平支持セグメントを含み得て、水平支持セグメントのそれぞれは、2つの直立支持体の下端部の間にまたがる。いくつかの実施形態では、水平支持セグメントのそれぞれは、装置が受け入れる12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかのバイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持する。水平支持セグメントのそれぞれは、中空コアを含み得る。いくつかの実施形態では、装置のベースは、バイオリアクターのレセプタクルのそれぞれの下方で且つ水平支持セグメントの間に開口部を含む。いくつかの実施形態では、装置は、バイオリアクター容器の縁部のみに接触し、容器の側面または底面の中央部分には接触しない。いくつかの実施形態では、各直立支持体は、上端部および下端部を有し、装置の角部に隣接して配置された4対の直立支持体の上端部は、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続されている。これらの実施形態では、残りの直立支持体の上端部は、相互接続されていない。ハンドルのそれぞれは、接続された直立支持体と協働して、ハンドルの下方にアーチを形成し得る。いくつかの実施形態では、ベースは一対のボスを含み、ボスのそれぞれはベースの両側から横方向に延在する。ボスのそれぞれは、装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成され得る。いくつかの実施形態では、装置は、単一のプラスチック片を備える一体構造を有する。
【0012】
本開示の態様によれば、生物学的細胞を採取する方法は、複数の15mLマイクロバイオリアクター容器を提供することと、複数の容器に生物学的材料を添加することと、を含み得る。次いで、複数の容器内で生物学的材料が培養され得る。いくつかの実施形態では、それらの生物学的材料が内部に残っている複数の容器は、容器保持装置の中に挿入される。複数の容器を有する容器保持装置は、遠心分離機の中に置き得る。本方法は、遠心分離機を用いて容器保持装置および容器を回転させることと、容器から生物学的材料を除去して細胞を採取することと、をさらに含み得る。
【0013】
上記の方法のいくつかの実施形態では、容器保持装置は、少なくとも12個のレセプタクルを含み、各レセプタクルは、複数の容器のうちの1つを摺動可能に受け入れるように構成される。提供するステップは、24個の15mLマイクロバイオリアクター容器を提供することを含み得て、挿入するステップは、24個の容器を2つの容器保持装置の中に挿入することを含み得て、各容器保持装置は、12個の容器を保持する。いくつかの実施形態では、置くステップは、両方の容器保持装置を遠心分離機の中に置くことを含み、回転させるステップは、2つの容器保持装置および遠心分離機内の24個の容器を同時に回転させることを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、提供するステップは、48個の15mLマイクロバイオリアクター容器を提供することを含み、挿入するステップは、48個の容器を4つの容器保持装置の中に挿入することを含む。各容器保持装置は、12個の容器を保持し得る。いくつかの実施形態では、置くステップは、4つ全ての容器保持装置を遠心分離機の中に置くことを含み、回転させるステップは、4つの容器保持装置および遠心分離機内の48個の容器を同時に回転させることを含む。
【0015】
上記の方法のいくつかの実施形態では、容器保持装置は、21個の横方向に離隔した直立支持体を含み、各直立支持体は、ベースから垂直上方に延在する。各直立支持体は、中空コアを有し得る。いくつかの実施形態では、各直立支持体は、1つ、2つまたは4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成される。21個の直立支持体は、それらが12個のバイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように、3×7アレイに配置され得る。いくつかの実施形態では、直立支持体は、バイオリアクター容器の垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、容器保持装置の各直立支持体は、上端部および下端部を有し、装置のベースは、32個の水平支持セグメントを含む。水平支持セグメントのそれぞれは、2つの直立支持体の底端部の間にまたがり得る。いくつかの実施形態では、水平支持セグメントのそれぞれは、装置が受け入れる12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかのバイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持する。
【0017】
いくつかの実施形態では、容器保持装置は、矩形状のベースと、21個の横方向に離隔した直立支持体とを含む。各直立支持体は、ベースから垂直上方に延在し、各直立支持体は、中空コアを有し得る。いくつかの実施形態では、各直立支持体は、1つ、2つまたは4つのうちのいずれかの15mLのマイクロバイオリアクター容器の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成される。21個の直立支持体は、それらが12個のバイオリアクター容器を摺動可能に受け入れて支持するように構成されたレセプタクルの2×6アレイを形成するように、3×7アレイに配置され得る。いくつかの実施形態では、直立支持体は、バイオリアクター容器の垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成され、各直立支持体は、上端部および下端部を有する。装置のベースは、32個の水平支持セグメントを含み得て、水平支持セグメントのそれぞれは、2つの直立支持体の底端部の間にまたがる。いくつかの実施形態では、水平支持セグメントのそれぞれは、装置が受け入れる12個のバイオリアクター容器のそれぞれの8つの縁部を装置が支持するように、1つまたは2つのうちのいずれかのバイオリアクター容器の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持する。水平支持セグメントのそれぞれは、中空コアを含み得る。いくつかの実施形態では、装置のベースは、バイオリアクターのレセプタクルのそれぞれの下方で且つ水平支持セグメントの間に開口部を含む。いくつかの実施形態では、装置は、バイオリアクター容器の縁部のみに接触し、容器の側面または底面の中央部分には接触しない。各直立支持体は、上端部および下端部を有し得て、装置の角部に隣接して配置された4対の直立支持体の上端部は、それぞれ、上端部の間にまたがるハンドルに接続され得る。これらの実施形態では、残りの直立支持体の上端部は、相互接続されていない。ハンドルのそれぞれは、接続された直立支持体と協働して、ハンドルの下方にアーチを形成し得る。いくつかの実施形態では、ベースは、一対のボスを含み、ボスのそれぞれは、ベースの両側から横方向に延在する。ボスのそれぞれは、装置が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成され得る。これらの実施形態のいくつかでは、装置は、単一のプラスチック片を備ええる一体構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、およびその添付の図面を参照することによって得られるであろう:
【0019】
図1】従来技術の15mLマイクロバイオリアクター容器を示す斜視図である。
【0020】
図2】本開示の態様にしたがって構成された生物学的細胞採取遠心分離装置を示す斜視図である。
【0021】
図3図2の装置を示す上面図である。
【0022】
図4図2の装置を示す側面図である。
【0023】
図5図2の装置を示す端面図である。
【0024】
図6】本開示の態様にかかる、バイオリアクター容器によって充填され、遠心分離機に置かれた図2の装置のうちの2つを示す斜視図である。
【0025】
図7】バイオリアクター容器が挿入されていない図6の装置のうちの1つの一部を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本開示の背景技術の節で前述したように、独国、ゲッティンゲンのSartorius Stedim Biotechによって提供されるAmbr(登録商標)15細胞培養システムは、哺乳動物細胞培養のための業界標準の自動マイクロバイオリアクターシステムになっている。図1を参照すると、Ambr(登録商標)15システムによって使用するための標準的な15mLマイクロバイオリアクター容器100が提供されている。48個の使い捨てバイオリアクター100が、典型的には一度に一緒に使用される。各バイオリアクター100は、透明プラスチック本体110と、液体の添加およびサンプリングのための上部ポート112と、撹拌インペラ114と、ガススパージチューブ116と、pHセンサ118と、溶存酸素センサ120とを含む。バイオリアクター100は、インペラの高さにおいて28.1mmの幅を有する。
【0027】
いくつかの従来技術のプロセスでは、十分な細胞増殖が起こった後、各バイオリアクター100からの細胞培養液がバイオリアクターから吸引され、別個のFalcon(登録商標)チューブ(図示せず)の中に置かれる。次いで、48本のFalcon(登録商標)チューブが、標準的な深い96ウェルプレート(図示せず)などの1つまたは複数のラックに置かれる。次いで、ウェルプレートが遠心分離機に置かれ、回転されて、採取される細胞を分離する。
【0028】
本開示の態様によれば、出願人らは、遠心分離中、細胞培養液がバイオリアクター100内に留まることができ、バイオリアクター100の内容物を最初にFalcon(登録商標)チューブまたは他の容器に移送する必要なく、バイオリアクター自体を遠心分離機の中に装填して回転させることができることを発見した。しかしながら、これは、遠心分離中にバイオリアクターを確実に収容するための特別な装置を必要とする。遠心分離の前にバイオリアクターから細胞培養液を移送しないことは、以下を含むいくつかの利点を提供する。第一に、Falcon(登録商標)チューブ、ピペット、および流体を移送するために必要な他の供給はもはや必要とされない。第二に、流体を移送しないことによって、かなりのプロセス時間が節約される。第三に、余分な検査技師の人件費、および/または流体を移送するために自動化された機器を利用することに関連するコストが回避される。第四に、人間工学は、多くの容器の内容物の移送に関連する高度に反復的な動作を回避することによって改善される。これらおよび他の利点は、本発明の方法、システムおよび装置の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0029】
図2図5を参照すると、本開示の態様にしたがって構築された例示的な生物学的細胞採取遠心分離装置200が示されている。この例示的な実施形態では、装置200は、矩形状のベース210および21と、横方向に離隔した直立支持体212とを含む。各直立支持体212は、ベースから垂直上方に延在し、ベースと一体的に形成され得る。各直立支持体は、図示のように中空コアを有し得る。中空コア構成は、特に装置200が三次元印刷などの積層造形プロセスによって製造される実施形態において、装置200がより迅速に構築されることを可能にする。装置200が熱可塑性樹脂から成形される実施形態では、直立支持体212の中空コアは、支持体がより少ない収縮および/または反りで冷却することを可能にする。装置200がアルミニウム合金などの金属から形成される実施形態では、直立支持体212の中空コアは、押出管または鋳造プロセスから形成されて、遠心分離機において使用するためのより軽量の装置を提供し得る。
【0030】
図2図5に示す例示的な実施形態では、直立支持体212は、図3に最もよく見られるように、支持体がレセプタクル214の2×6アレイを形成するように、3×7アレイに配置される(すなわち、3列に配置され、各列は7つの直立支持体212を有する)。各レセプタクル214は、1つのバイオリアクター容器100(図1に示す)を摺動可能に受け入れて支持するように構成される。各直立支持体212は、1つ、2つまたは4つのうちのいずれかのバイオリアクター容器100の、1つ、2つ、または4つのうちのいずれかの垂直縁部を摺動可能に受け入れて支持するように構成される。特に、ベース210の角部の近くに配置された4つの直立支持体212は、それぞれ、バイオリアクター容器100の一方の垂直縁部を支持するためのL字形断面によって構成され得る。角部の間のベース210の周縁近くに配置された12個の直立支持体212は、それぞれが2つの隣接するバイオリアクター容器100の2つの垂直縁部を支持するためのT字形断面を有して構成され得る。ベース210の中央部分に配置された5つの直立支持体212は、それぞれ、4つの隣接するバイオリアクター容器100の4つの垂直縁部を支持するためのX字形断面によって構成され得る。この例示的な実施形態では、バイオリアクター容器100は、容器100の垂直側面の縁部のみに接触する直立支持体212によって定位置にしっかりと保持される。換言すれば、装置200は、容器100の側面の中央部分に接触しない。
【0031】
この例示的な実施形態では、直立支持体212は、バイオリアクター容器100の垂直縁部の少なくとも80%を支持するように構成される。この実施形態では、容器100の高さの80%は、直立支持体212によって形成されたレセプタクル214内に存在し、高さの20%は、支持体212の上に延在する。他の実施形態(図示せず)では、直立支持体212は、バイオリアクター容器100の垂直縁部の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも90%または100%を支持するように構成される。
【0032】
他の実施形態(図示せず)では、直立支持体212は、支持体がレセプタクル214の4×3アレイを形成するように、5×4アレイに配置されてもよい(すなわち、5列に配置され、各列は4つの直立支持体212を有する)。そのような構成は、遠心分離機の区画の中に嵌合するための装置200の設置面積と同様の設置面積を有する。遠心分離機の構成に応じて、レセプタクル214の他の数および/または配置が可能である。
【0033】
図3に最もよく見られるように、例示的な装置200のベース210は、32個の水平支持セグメント216から形成される。水平支持セグメント216のそれぞれは、2つの直立支持体212の下端部の間にまたがっている。水平支持セグメント216のそれぞれは、1つまたは2つのうちのいずれかのバイオリアクター容器100の、1つまたは2つのうちのいずれかの水平下縁部を受け入れて支持する。特に、ベース210の周囲近くに配置された16個の水平支持セグメント216は、それぞれ、バイオリアクター容器100の1つの水平縁部を支持するためのL字形またはF字形の断面を有するように構成され得る。ベース210の中央部分に配置された16個の水平支持セグメント216は、それぞれが2つの隣接するバイオリアクター容器100の2つの水平縁部を支持するために、逆T字形断面によってそれぞれ構成され得る。この構成では、開口部218が、バイオリアクターのレセプタクル214のそれぞれの下方で且つ水平支持セグメント216の間に設けられる。この例示的な実施形態では、バイオリアクター容器100は、容器100の水平側面の縁部のみに接触する水平支持セグメント216によって定位置にしっかりと保持される。換言すれば、装置200は、容器100の底面の中央部分に接触しない。組み合わせて、直立支持体212および水平支持セグメント216は協働して、各容器100の12個の縁部のうちの8個を摺動可能に受け入れ、しっかりと支持する。各容器100の上の4つの縁部は接触していないため、容器100は、レセプタクル214の内外に容易に摺動され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、ベース210の周囲付近に配置された16個の水平支持セグメント216は、それぞれ、F字形断面によって構成され得る。F字形断面の凹部は、図示のように上方を向いてもよい。この配置は、前述したように、直立支持体を中空にすることによって提供される同じ利点を伝達しながら、装置200の周囲に強度を提供する。同様に、ベース210の中央部分に配置された16個の水平支持セグメント216には、それらの中心線に沿って下向きの凹部(図示せず)が設けられ得る。
【0035】
図2および図4に最もよく見られるように、一対のハンドル220が装置200の各端部に設けられ得る。ハンドル220は、装置200の周囲に配置された隣接する直立支持体212の上端部を接続することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、ハンドル220のそれぞれは、図示のように、接続された直立支持体212と協働して、ハンドル220の下方にアーチ222を形成する。この例示的な実施形態では、ハンドル220は、装置200の角部に隣接して配置され、残りの直立支持体212の上端部は、相互接続されていない。他の実施形態(図示せず)では、ハンドル220は、角部に配置されたハンドル220に加えて、またはその代わりに、装置200の1つまたは複数の側面の中央部分に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、1対、2対、3対、4対またはそれ以上のハンドルが設けられてもよく、またはハンドルが省略されてもよい。
【0036】
図2および図3に最もよく見られるように、ベース210の両側に横方向に延在するボス224が設けられ得る。2つのボス224のそれぞれは、装置200が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成される。この例示的な実施形態では、ボス224のそれぞれは、少なくとも3つの直立支持体212の下端部の間にまたがっている。ボス224に加えて、またはその代わりに、装置200はまた、図2および図3に示すように、2つの他の対のボス226を備えてもよい。ボス226の対のそれぞれは、ベース210の両側から横方向に延在してもよく、ボス226の対のそれぞれは、装置200が使用中に遠心分離機レセプタクル内で横方向に移動するのを防止するように、遠心分離機レセプタクルの内面に接触するように構成される。この例示的な実施形態では、ボス226のそれぞれは、ベース210の角部に隣接して配置される。
【0037】
この例示的な実施形態では、装置200は、幅85mm、深さ127mm、および高さ52mmである。いくつかの実施形態では、装置200は、単一の材料片を備える一体構造を有する。装置200は、熱可塑性樹脂、ポリマー、金属、セラミック、または他の適切な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、装置200は、三次元印刷などの積層造形プロセスによって形成される。他の実施形態では、装置200は、成形され、鋳造され、押出部品から組み立てられ、または他の適切なプロセスによって製造されてもよい。
【0038】
図6を参照すると、使用中の2つの生物学的細胞採取遠心分離装置200が示されており、それぞれが12個のバイオリアクター容器100によって充填され、本開示の態様にかかる遠心分離機600に置かれる。この例では、装置200は、ノースカロライナ州アッシュビルのKendro Laboratory Products(現在はマサチューセッツ州ウォルサムのThermoFisher Scientificによって所有されている)によって最初に提供されたSorvall Legend RT遠心分離機に置かれる。この遠心分離機は、4つのレセプタクルを有するロータを備える。一度に、1つ、2つ、3つ、または4つの装置200がロータに置かれ得て、任意の空のレセプタクルに適切な釣り合い錘が置かれる。他の遠心分離機、特に標準的な96ウェルプレートを受容するように構成されたレセプタクル/アダプタを有する遠心分離機が使用されてもよい。
【0039】
いくつかの実装形態では、独国、ゲッティンゲンのSartorius Stedim Biotechによって提供されるAmbr(登録商標)15細胞培養システム(図示せず)を使用して、12、24、36または48個の別個のバイオリアクター容器100内で14日間細胞培養物を増殖させる。次いで、バイオリアクター容器100がAmbr(登録商標)15システムから1つまたは複数の採取装置200の中に移動される(直接または標準的なバイオリアクターキャリアを用いて)。次いで、装填された装置200が遠心分離機600のロータの中に置かれ得る。いくつかの実装形態では、装置200は、それぞれ、4つのロータレセプタクルのうちの1つに嵌合するアダプタ内に着座し得る。いくつかの実装形態では、次いで、遠心分離機600が2000rpmで10分間運転される。次いで、遠心分離した各容器100から、標識した15mL Falcon(登録商標)チューブの中に上清が移され得る。内部に任意の沈殿物が残っている使用済みバイオリアクター容器100は、焼却ごみまたは生物学的に有害な廃棄物レセプタクルなどの中に廃棄され得る。装置200は、さらなる遠心分離細胞採取手順で繰り返し再使用され得る。
【0040】
図7を参照すると、遠心分離機600内の装置200のうちの1つの拡大図が示されている。明確にするために、バイオリアクター容器100(図7に示す)およびボス224(図2図4に示す)は省略されている。矢印Aは、ボス224が設けられていない場合に装置200と遠心分離機ロータレセプタクル/アダプタとの間に存在することができるギャップを示し、装置200と遠心分離機600のロータとの間の望ましくない移動を可能にする。
【0041】
代替的な実施形態(図示せず)では、生物学的細胞採取遠心分離装置200は、異なる数または構成のバイオリアクター容器に対応するように変更されてもよい。例えば、装置は、上記の15mLの容器ではなく、直径約4インチの250mLのバイオリアクター容器など、より少数のより大きな容器を摺動可能に受け入れるように変更されてもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクター容器は、長方形ではなく円形または正方形であってもよく、サイズおよび/または形状の組み合わせに対応させてもよい。いくつかの代替的な実施形態では、バイオリアクター容器の2つ以上のアレイが互いに積み重ねられてもよい。容器の複数の層は、遠心分離機ロータレセプタクル内に直接支持されなくても、遠心分離中に所定の位置に留まることができるように連結されてもよい。代替的な実施形態では、個別の直立支持体の代わりに中実仕切り壁が利用されてもよい。
【0042】
本開示の例示的な実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態は例として提供されているに過ぎないことは当業者には明らかであろう。ここで、当業者は、本開示から逸脱することなく、多数の変化形、変更および置換に想到するであろう。本明細書に記載されている本開示の実施形態に対する様々な代替形態が、本開示を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。本明細書に記載の実施形態の多数の異なる組み合わせが可能であり、そのような組み合わせは本開示の一部と見なされる。さらに、本明細書の任意の1つの実施形態に関連して説明した全ての特徴は、本明細書の他の実施形態での使用に容易に適合させることができる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの均等物を包含することが意図される。
【0043】
特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素「上」にあると言及される場合、それは、他の特徴または要素上に直接存在し得、または介在する特徴および/または要素も存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素の「直接上に」あると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が別の特徴または要素に「接続され」、「取り付けられ」または「結合され」と言及される場合、それは他の特徴または要素に直接接続され、取り付けられ、または結合されることも可能であり、または介在する特徴または要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接接続されている」、または「直接結合されている」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または示されているが、そのように説明または示されている特徴および要素は、他の実施形態に適用することができる。別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重複するか、またはその下にある部分を有し得ることも当業者にとって理解されるであろう。
【0044】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することは意図されていない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目の1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含み、「/」と省略され得る。
【0045】
「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、ある要素または特徴と別の要素または図に示されている特徴との関係を説明するために本明細書において使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる方向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図のデバイスが裏返されている場合、他の要素または特徴の「下(under)」または「下方(beneath)」として記述されている要素は、他の要素または特徴の「上方(over)」になる。したがって、「下(under)」という例示的な用語は、上と下の双方の方向を包含することができる。デバイスは、他の方法で方向付けられてもよく(例えば、90度回転または他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈されてもよい。同様に、「上向き(upwardly)」、「下向き(downwardly)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語は、特に明記しない限り、説明の目的でのみ本明細書で使用される。
【0046】
「第1」および「第2」という用語は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用され得るが、文脈が別段の指示をしない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用される場合がある。したがって、以下に記載される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下に記載される第2の特徴/要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0047】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の定めがない限り、「備える(comprise)」という語、および「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などの変形は、様々な構成要素が方法および物品(例えば、組成物ならびにデバイスおよび方法を含む装置)において共同で使用され得ることを意味する。例えば、用語「備える(comprising)」は、ここに記されるいずれの要素またはステップを含むことを暗示するが、いずれの他の要素またはステップを除外することを含まない、と理解される。
【0048】
一般に、本明細書に記載の装置および/または方法のいずれも包括的であると理解されるべきであるが、構成要素および/またはステップの全てまたはサブセットは、代替的に排他的であってもよく、様々な構成要素、ステップ、サブ構成要素またはサブステップ「からなる(consisting of)」または代替的に「から本質的になる(consisting essentially of)」として表現されてもよい。
【0049】
実施例で使用されるものを含め、ここで本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、特に明示的に指定されない限り、全ての数は、その用語が明示的に表示されない場合であっても、「約」または「およそ」という語で始まるかのように読まれ得る。「約」または「およそ」という句は、説明される値および/または位置が値および/または位置の合理的な予想範囲内にあることを示すために、大きさおよび/または位置を説明するときに使用され得る。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%の値、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などを有し得る。本明細書で与えられる数値はまた、文脈が別段の指示をしない限り、約その値またはおよそその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に記載される任意の数値範囲は、そこに含まれる全てのサブ範囲を含むことを意図している。また、当業者が適切に理解するように、値が「以下」であると開示される場合、「値以上」および値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示される。また、本特許出願全体で、データは多くの様々な形式で提供され、このデータは、終了点と開始点、およびデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10および15よりも大きい、それ以上、それよりも小さい、それ以下、およびそれに等しいことが、10から15の間とともに開示されていると見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されることも理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示される。
【0050】
様々な例示的な実施形態が上に記載されているが、特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態にいくつかの変更を加えてもよい。例えば、記載された様々な方法ステップが実行される順序は、代替の実施形態ではしばしば変更されてもよく、他の代替の実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全にスキップされてもよい。様々なデバイスおよびシステムの実施形態の任意の特徴は、いくつかの実施形態には含めてもよく、他の実施形態には含めなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示的な目的で提供されており、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。特徴が任意として記載されている場合、それは必ずしも任意として記載されていない他の特徴が必要であることを意味しない。
【0051】
本明細書に含まれる例および図は、限定ではなく例示として、主題が実施され得る特定の実施形態を示している。前述のように、他の実施形態を利用してそこから導き出してもよく、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行ってもよい。本発明の主題のそのような実施形態は、複数のものが実際に開示されている場合、単に便宜のために、そして本特許出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、本明細書において個別にまたは集合的に「発明」という用語によって言及され得る。したがって、特定の実施形態が本明細書で例示および説明されてきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成は、示された特定の実施形態の代わりに使用され得る。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変形を包含することを意図している。上記の実施形態、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を検討すると、当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】