(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】営農型太陽光発電のための透明ソーラーパネル
(51)【国際特許分類】
H01L 31/055 20140101AFI20240816BHJP
【FI】
H01L31/04 622
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506962
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2022039604
(87)【国際公開番号】W WO2023014990
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502243376
【氏名又は名称】ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ラント ザ サード,リチャード ロイヤル
(72)【発明者】
【氏名】エレーラ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ストールネクト,エリック,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャーキー,トーマス,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ランクル,エリック,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ,マシュー
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA11
5F251BA05
5F251JA09
5F251JA13
5F251JA21
5F251JA30
(57)【要約】
透明ソーラーパネルは、透明基板と、透明光活性材料と、を備える。前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上である。前記透明ソーラーパネルは、約10mol・m-2・d-1以上の日積算光量(DLI)で、植物を含む領域へ光を透過させるように構成されている。前記透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)または透明発光型太陽光集光器(TLSC)であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明ソーラーパネルであって、
透明基板と、
透明光活性材料と、
を備え、
前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上であり、
前記透明ソーラーパネルは、約10mol・m
-2・d
-1以上の日積算光量(DLI)で、植物を含む領域へ光を透過させるように構成されている、透明ソーラーパネル。
【請求項2】
前記透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)であり、
前記透明光電池(TPV)は、
前記透明基板上の第1透明電極と、
前記透明光活性材料と、
第2透明電極と、
を備え、
前記透明光活性材料は、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間にある、請求項1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項3】
前記透明ソーラーパネルは、透明発光型太陽光集光器(TLSC)であり、
前記透明発光型太陽光集光器(TLSC)は、
前記透明基板であって、
第1表面と、
前記第1表面の反対側の第2表面と、
エッジ表面と、
を含む前記透明基板と、
第1波長範囲内の光を吸収し、第2波長範囲内の光を放出するように構成された発光団であって、
(i)前記透明基板内、
(ii)前記第1表面上、前記第2表面上、もしくは前記第1表面と前記第2表面との両方の表面上の層内、または
(iii)(i)と(ii)との両方
に埋め込まれた発光団と、
前記エッジ表面に結合された太陽光発電デバイスであって、前記第2波長範囲内の光を吸収するように構成された太陽光発電デバイスと、
を備える、請求項1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項4】
前記透明ソーラーパネルは、約65%以上のAPTを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項5】
前記透明ソーラーパネルは、約12mol・m
-2・d
-1以上の拡張日積算光量(eDLI)で、前記領域へ光を透過させるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項6】
前記透明ソーラーパネルは、約9mol・m
-2・d
-1以上の収量光量子束密度(YPFD)で、前記領域へ光を透過させるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項7】
前記透明光活性材料は、約450nm未満または約725nm超のピーク吸収を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項8】
前記透明光活性材料は、700nmの波長カットオフを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項9】
前記透明ソーラーパネル全体は、470nmの波長の光に対して約65%以上透明である、請求項1~8のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項10】
前記透明ソーラーパネル全体は、530nmの波長の光に対して約65%以上透明である、請求項1~9のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項11】
前記透明ソーラーパネル全体は、500~550nmの全ての波長の光に対して約65%以上透明である、請求項1~10のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項12】
前記透明ソーラーパネル全体は、620nmの波長の光に対して約65%以上透明である、請求項1~11のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項13】
前記透明ソーラーパネル全体は、550~650nmの全ての波長の光に対して約65%以上透明である、請求項1~12のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項14】
前記透明ソーラーパネルは、約0.5以下の太陽熱利得係数(SHGC)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項15】
前記透明ソーラーパネルは、約0.9%以上の電力変換効率(PCE)を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項16】
前記透明ソーラーパネルは、当該透明ソーラーパネルの電力変換効率(PCE)と当該透明ソーラーパネルの平均光合成透過率(APT)との積である光利用効率(LUE
*)を有し、
前記LUE
*は、約1%以上である、請求項1~15のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項17】
前記透明ソーラーパネルは、両面型である、請求項1~16のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項18】
前記透明基板を少なくとも部分的に取り囲むフレームをさらに備え、
前記フレームの色は、R、G、Bの十進コードを有し、
Rは、約150以上約255以下であり、
Gは、約150以上約255以下であり、
Bは、約150以上約255以下である、請求項1~17のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項19】
支持構造物と、
請求項1~18のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネルであって、前記支持構造物に結合された透明ソーラーパネルと、
を備える、農業フィールドアレイ。
【請求項20】
構造物であって、
側壁と、
屋根と、
を備え、
前記側壁および前記屋根のうちの少なくとも一方は、請求項1~18のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネルを含み、
前記構造物は、十分に包囲されている、構造物。
【請求項21】
1つの農業機器と、
請求項1~18のいずれか一項に記載の透明ソーラーパネルであって、前記1つの機器に結合された透明ソーラーパネルと、
を備える、農業アセンブリ。
【請求項22】
前記1つの農業機器は、潅漑システム、肥料システム、播種システム、収穫システム、CO
2増加システム、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項21に記載の農業アセンブリ。
【請求項23】
複数の透明ソーラーパネルと、
植物を含むフィールド領域へ光を透過させるように構成されるよう前記複数の透明ソーラーパネルを支持する支持構造物と、
を備え、
前記複数の透明ソーラーパネルの各々は、
透明基板と、
透明光活性材料と、
を含み、
前記複数の透明ソーラーパネルの各々の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上である、農業フィールドアレイ。
【請求項24】
前記複数の透明ソーラーパネルは、線形アレイを定める、請求項23に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項25】
前記透明基板は、平坦な第1表面を定め、
前記平坦な第1表面と前記フィールド領域の第2表面との間の角度は、固定されている、請求項23または24に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項26】
前記角度は、約90°である、請求項25に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項27】
前記角度は、約0°である、請求項25に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項28】
前記角度は、前記農業フィールドアレイが配置された緯度から約5°以内である、請求項25に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項29】
前記透明基板は、平坦な第1表面を定め、
前記平坦な第1表面と前記フィールド領域の第2表面との間の角度は、調整可能であり、
前記角度は、太陽の位置を追跡するように構成されている、請求項23または24に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項30】
前記農業フィールドアレイは、前記フィールド領域を定める表面と、前記複数の透明ソーラーパネルの最も近いエッジとの間において、約4.5m以上の高さを定める、請求項23~29のいずれか一項に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項31】
前記支持構造物を含む複数の支持構造物であって、当該複数の支持構造物の各々が前記複数の透明ソーラーパネルの一部を含む複数の支持構造物と、
前記複数の支持構造物の各々であって、約10フィート以上約100フィート以下の距離だけ、当該複数の支持構造物のうちの他の支持構造物から離隔している前記複数の支持構造物の各々と、
をさらに備える、請求項23~30のいずれか一項に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項32】
前記複数の透明ソーラーパネルの各々は、約2mm以上約10cm以下の距離だけ離隔している、請求項29~31のいずれか一項に記載の農業フィールドアレイ。
【請求項33】
太陽光発電(PV)および潅漑システムであって、
透明ソーラーパネルであって、
透明基板と、
波長選択性透明光活性材料と、
を含む、透明ソーラーパネルと、
植物を含むフィールド領域へ光を透過させるように構成されるよう前記透明ソーラーパネルを支持する支持構造物であって、内部領域を定める支持構造物と、
少なくとも部分的に前記内部領域内にある電気配線と、
前記支持構造物に結合された配管であって、水源から前記植物へ水を移送するように構成された導管を定める配管と、
を備える、太陽光発電(PV)および潅漑システム。
【請求項34】
前記支持構造物は、前記内部領域における隔壁を含み、
前記隔壁は、前記内部領域を第1部分と第2部分とに分割し、
前記電気配線は、少なくとも部分的に前記第1部分内にあり、
前記配管は、少なくとも部分的に前記第2部分内にある、請求項33に記載のPVおよび灌漑システム。
【請求項35】
太陽光発電の方法であって、
波長選択性透明ソーラーパネルが光合成有機体を含む領域へ第1波長範囲内の光を透過させるように当該波長選択性透明ソーラーパネルを設置する工程と、
第2波長範囲内の光を吸収することによってパワーを生成する工程と、
を含む、方法。
【請求項36】
前記光合成有機体は、植物であり、
前記波長選択性透明ソーラーパネルによって透過される前記第1波長範囲内の前記光の下で栽培される前記植物の作物収量は、全スペクトル光の下で栽培される点以外は同一である条件下において栽培される植物と比較して、25%以下だけ減少する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記植物は、結果植物であり、
前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約65%以上であり、
前記波長選択性透明ソーラーパネルは、15mol・m
-2・d
-1の日積算光量で、光を透過させるように構成されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記植物は、葉植物または穀物植物であり、
前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上であり、
前記波長選択性透明ソーラーパネルは、10mol・m
-2・d
-1の日積算光量で、光を透過させるように構成されている、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
設置する前記工程よりも前に、前記透明ソーラーパネルの第1表面と前記領域の第2表面との間に定められる固定角度を緯度に基づいて決定する工程をさらに含む、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
設置する前記工程は、前記透明ソーラーパネルを含む複数の透明ソーラーパネルを設置する工程を含み、
前記方法は、夏至の間の影の低減もしくは最小化、隣り合う透明ソーラーパネル間の透水、またはこれらの組み合わせに基づいて、前記複数の透明ソーラーパネル間の間隔を決定する工程をさらに含む、請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記領域は、陸地を含む、請求項35~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記領域は、水を含む、請求項35~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
植物を含む領域において使用するための透明ソーラーパネルを作製する方法であって、
前記植物の所望の特性を達成するための日積算光量(DLI)を決定する工程と、
前記DLIに適合する光活性材料を選択する工程と、
前記光活性材料を含む前記透明ソーラーパネルであって、前記植物を含む前記領域へ光を透過させるように構成された前記透明ソーラーパネルを構成する工程と、
を含む、方法。
【請求項44】
構成する前記工程よりも前に、所望の太陽熱利得係数(SHGC)が達成されるように前記透明ソーラーパネルのための材料を選択する工程をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記透明ソーラーパネルは、透明発光型太陽光集光器(TLSC)であり、
前記光活性材料は、発光団であり、
前記方法は、前記DLIに適合する前記発光団の濃度を決定する工程をさらに含む、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)であり、
前記方法は、前記アクティブ層、前記TPV全体、または前記アクティブ層と前記TPVとの両方の厚さを、当該厚さが前記DLIに適合するように決定する工程をさらに含む、請求項43または44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2021年8月6日に出願された米国仮出願第63/230,319号の利益を主張するものである。上記出願の開示全体は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
〔政府の権利〕
本発明は、政府の支援を受けて成されたものである(国立科学財団による助成金番号第1702591号)。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
〔分野〕
本開示は、透明光電池(transparent photovoltaic:TPV)および透明発光型太陽光集光器(transparent luminescent solar concentrator:TLSC)を含む、植物等の光合成有機体の上で使用するための透明ソーラーパネルに関する。
【0004】
〔背景〕
このセクションでは、本開示に関連する背景情報が提供される。当該背景情報は、必ずしも従来技術であるとは限らない。
【0005】
建物一体型太陽光発電(building-integrated photovoltaic:BIPV)を農業に組み込むことによって、食料不安の増大とエネルギー需要の増大との両方に対処する実用的な解決策が提供される。営農型太陽光発電(agrivoltaics)は、植物生産と太陽エネルギー取り込みとの両方のための太陽光の利用である。これらの2つの分野はいずれも、太陽光利用を増大または最大化するよう多くの陸地面積を占め得るため、しばしば、協力的というよりも競合的であると見なされる。これにもかかわらず、太陽光発電は、温室およびオープンフィールドにおける農作物生産に関して、潜在的かつ相乗的な利点を有している。
【0006】
〔概要〕
このセクションは、本開示の全般的な概要が提供するものだが、その全範囲またはその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
【0007】
少なくとも1つの例示的実施形態では、本技術は、透明ソーラーパネルを提供する。前記透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)または透明発光型太陽光集光器(TLSC)を含む。前記TPVまたは前記TLSCは、波長に基づいて光を選択的に吸収および透過するように構成されている。前記TPVまたは前記TLSCは、1または複数の光合成有機体(例えば、植物)と光源(例えば、太陽)との間に配置されるように構成されている。
【0008】
少なくとも1つの例示的実施形態は、透明ソーラーパネルに関する。
【0009】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、透明基板と、透明光活性材料と、を備える。前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上である。前記透明ソーラーパネルは、約10mol・m-2・d-1以上の日積算光量(DLI)で、植物を含む領域へ光を透過させるように構成されている。
【0010】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)である。前記TPVは、第1透明電極と、前記透明光活性材料と、第2透明電極と、を備える。前記第1透明電極は、前記透明基板上にある。前記透明光活性材料は、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間にある。
【0011】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、透明発光型太陽光集光器(TLSC)である。前記TLSCは、前記透明基板と、発光団と、太陽光発電デバイスと、を備える。前記透明基板は、第1表面と、前記第1表面の反対側の第2表面と、エッジ表面と、を含む。前記発光団は、第1波長範囲内の光を吸収し、第2波長範囲内の光を放出するように構成されている。前記発光団は、(i)前記透明基板内、(ii)前記第1表面上、前記第2表面上、もしくは前記第1表面と前記第2表面との両方の表面上の層内、または(iii)(i)と(ii)との両方に埋め込まれている。前記太陽光発電デバイスは、前記エッジ表面に結合されている。前記太陽光発電デバイスは、前記第2波長範囲内の光を吸収するように構成されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、約65%以上のAPTを有する。
【0012】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、約12mol・m-2・d-1以上の拡張日積算光量(eDLI)で、前記領域へ光を透過させるように構成されている。
【0013】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、約9mol・m-2・d-1以上の収量光量子束密度(YPFD)で、前記領域へ光を透過させるように構成されている。
【0014】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明光活性材料は、約450nm未満または約725nm超のピーク吸収を有する。
【0015】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明光活性材料は、700nmの波長カットオフを有する。
【0016】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネル全体は、470nmの波長の光に対して約65%以上透明である。
【0017】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネル全体は、530nmの波長の光に対して約65%以上透明である。
【0018】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネル全体は、500~550nmの全ての波長の光に対して約65%以上透明である。
【0019】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネル全体は、620nmの波長の光に対して約65%以上透明である。
【0020】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネル全体は、550~650nmの全ての波長の光に対して約65%以上透明である。
【0021】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、約0.5以下の太陽熱利得係数(SHGC)を有する。
【0022】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、約0.9%以上の電力変換効率(PCE)を有する。
【0023】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、当該透明ソーラーパネルの電力変換効率(PCE)と当該透明ソーラーパネルの平均光合成透過率(APT)との積である光利用効率(light utilization efficiency:LUE*)を有する。前記LUE*は、約1%以上である。
【0024】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、両面型(bifacial)である。
【0025】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記ソーラーパネルは、フレームをさらに備える。前記フレームは、前記透明基板を少なくとも部分的に取り囲む。前記フレームの色は、R、G、Bの十進コードを有する。Rは、約150以上約255以下である。Gは、約150以上約255以下である。Bは、約150以上約255以下である。
【0026】
少なくとも1つの例示的実施形態は、農業フィールドアレイに関する。
【0027】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記農業フィールドアレイは、支持構造物、前記透明ソーラーパネルを備える。前記透明ソーラーパネルは、前記支持構造物に結合されている。
【0028】
少なくとも1つの例示的実施形態は、構造物に関する。
【0029】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記構造物は、側壁と、屋根と、を備える。前記側壁および前記屋根のうちの少なくとも一方は、前記透明ソーラーパネルを含む。前記構造物は、十分に包囲されている。
【0030】
少なくとも1つの例示的実施形態は、農業アセンブリに関する。前記農業アセンブリは、1つの農業機器と、前記透明ソーラーパネルと、を備える。前記透明ソーラーパネルは、前記1つの機器に結合されている。
【0031】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記1つの農業機器は、潅漑システム、肥料システム、播種システム、収穫システム、CO2増加システム、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0032】
少なくとも1つの例示的実施形態は、農業フィールドアレイに関する。前記農業フィールドアレイは、複数の透明ソーラーパネルと、支持構造物と、を備える。前記複数の透明ソーラーパネルの各々は、透明基板と、透明光活性材料と、を含む。前記支持構造物は、植物を含むフィールド領域へ光を透過させるように構成されるよう前記複数の透明ソーラーパネルを支持する。前記複数の透明ソーラーパネルの各々の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上である。
【0033】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記複数の透明ソーラーパネルは、線形アレイを定める。
【0034】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明基板は、平坦な第1表面を定める。前記平坦な第1表面と前記フィールド領域の第2表面との間の角度は、固定されている。
【0035】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記角度は、約90°である。
【0036】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記角度は、約0°である。
【0037】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記角度は、前記農業フィールドアレイが配置された緯度から約5°以内である。
【0038】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明基板は、平坦な第1表面を定める。前記平坦な第1表面と前記フィールド領域の第2表面との間の角度は、調整可能である。前記角度は、太陽の位置を追跡するように構成されている。
【0039】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記農業フィールドアレイは、前記フィールド領域を定める表面と、前記複数の透明ソーラーパネルの最も近いエッジとの間において、約4.5m以上の高さを定める。
【0040】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記農業フィールドアレイは、前記支持構造物を含む複数の支持構造物をさらに備える。当該複数の支持構造物の各々は、前記複数の透明ソーラーパネルの一部を含む。前記複数の支持構造物の各々は、約10フィート以上約100フィート以下の距離だけ、当該複数の支持構造物のうちの他の支持構造物から離隔している。
【0041】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記複数の透明ソーラーパネルの各々は、約2mm以上約10cm以下の距離だけ離隔している。
【0042】
少なくとも1つの例示的実施形態は、太陽光発電(PV)および潅漑システムに関する。
【0043】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記太陽光発電(PV)および潅漑システムは、
透明ソーラーパネルと、支持構造物と、電気配線と、配管と、を備える。前記透明ソーラーパネルは、透明基板と、波長選択性透明光活性材料と、を含む。前記支持構造物は、植物を含むフィールド領域へ光を透過させるように構成されるよう前記透明ソーラーパネルを支持する。前記支持構造物は、内部領域を定める。前記電気配線は、少なくとも部分的に前記内部領域内にある。前記配管は、前記支持構造物に結合されている。前記配管は、水源から前記植物へ水を移送するように構成された導管を定める。
【0044】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記支持構造物は、前記内部領域における隔壁を含む。前記隔壁は、前記内部領域を第1部分と第2部分とに分割する。前記電気配線は、少なくとも部分的に前記第1部分内にある。前記配管は、少なくとも部分的に前記第2部分内にある。
【0045】
少なくとも1つの例示的実施形態は、太陽光発電の方法に関する。
【0046】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記方法は、波長選択性透明ソーラーパネルが光合成有機体を含む領域へ第1波長範囲内の光を透過させるように当該波長選択性透明ソーラーパネルを設置する工程を含む。前記方法は、第2波長範囲内の光を吸収することによってパワーを生成する工程をさらに含む。
【0047】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記光合成有機体は、植物である。前記波長選択性透明ソーラーパネルによって透過される前記第1波長範囲内の前記光の下で栽培される前記植物の作物収量は、全スペクトル光の下で栽培される点以外は同一である条件下において栽培される植物と比較して、25%以下だけ減少する。
【0048】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記植物は、結果植物である。前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約65%以上である。前記波長選択性透明ソーラーパネルは、15mol・m-2・d-1の日積算光量で、光を透過させるように構成されている。
【0049】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記植物は、葉植物または穀物植物である。前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上である。前記波長選択性透明ソーラーパネルは、10mol・m-2・d-1の日積算光量で、光を透過させるように構成されている。
【0050】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記方法は、設置する前記工程よりも前に、前記透明ソーラーパネルの第1表面と前記領域の第2表面との間に定められる固定角度を緯度に基づいて決定する工程をさらに含む。
【0051】
少なくとも1つの例示的実施形態では、設置する前記工程は、前記透明ソーラーパネルを含む複数の透明ソーラーパネルを設置する工程を含む。前記方法は、夏至の間の影の低減もしくは最小化、隣り合う透明ソーラーパネル間の透水、またはこれらの組み合わせに基づいて、前記複数の透明ソーラーパネル間の間隔を決定する工程をさらに含む。
【0052】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記領域は、陸地を含む。
【0053】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記領域は、水を含む。
【0054】
少なくとも1つの例示的実施形態は、植物を含む領域において使用するための透明ソーラーパネルを作製する方法に関する。
【0055】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記方法は、前記植物の所望の特性を達成するための日積算光量(DLI)を決定する工程を含む。前記方法は、前記DLIに適合する光活性材料を選択する工程をさらに含む。前記方法は、前記光活性材料を含む前記透明ソーラーパネルを構成する工程をさらに含む。前記透明ソーラーパネルは、前記植物を含む前記領域へ光を透過させるように構成されている。
【0056】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記方法は、構成する前記工程よりも前に、所望の太陽熱利得係数(SHGC)が達成されるように前記透明ソーラーパネルのための材料を選択する工程をさらに含む。
【0057】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、透明発光型太陽光集光器(TLSC)であり、前記光活性材料は、発光団である。前記方法は、前記DLIに適合する前記発光団の濃度を決定する工程をさらに含む。
【0058】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)である。前記方法は、前記アクティブ層、前記TPV全体、または前記アクティブ層と前記TPVとの両方の厚さを、当該厚さが前記DLIに適合するように決定する工程をさらに含む。
【0059】
適用可能なさらなる領域は、本明細書に与えられる記載から明らかになるだろう。この概要における説明および特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0060】
〔図面〕
ここで説明される図面は、可能な全ての実装形態ではなく選択された実施形態の例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【0061】
図1Aは、少なくとも1つの例示的実施形態による、波長(nm)の関数としての太陽光量子束および相対的植物作用を示すグラフである。
【0062】
図1Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、植物に対するニュートラルデンシティ透過および波長選択的透過を変調する太陽光集光器板の設計の概略図である。少なくともこの例示的実施形態の焦点は、VISおよび近赤外波長帯のカットオフの関数として(に応じて)、またニュートラルデンシティ処理を用いる全透過率の関数として、植物の成長および生産性を見ることである。水平線は、上下にシフトできるニュートラルデンシティ吸収プロファイルによるDLIのシフトを表す。垂直線は、DLIを代替的にシフトできる波長選択吸収プロファイルの左右のシフトを表す。いったん選択的吸収が十分遠くIR内へシフトされると、それはもはやDLIをシフトしない。
【0063】
図2は、少なくとも1つの例示的実施形態による、透明光電池(TPV)の概略図である。
【0064】
図3A~
図3Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、透明発光型太陽光集光器(TLSC)の概略図である。
図3Aは、TLSCを示す。
図3Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、
図3AのTLSCと相互作用する光を示す。
【0065】
図4は、少なくとも1つの例示的実施形態による、透明ソーラーパネルを含む包囲構造物の概略図であり、当該構造物は、植物等の光合成有機体を栽培するための内部領域を含む。
【0066】
図5A~
図5Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に平坦な透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
図5Aは、固定角度水平アレイの正面上面斜視図である。
図5Bは、
図5Aの固定角度水平アレイの側面概略図である。
【0067】
図6A~
図6Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
図6Aは、固定角度アレイの正面図である。
図6Bは、
図6Aの固定角度アレイの側面概略図である。
【0068】
図7A~
図7Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度単一ポール支持体透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
図7Aは、複数のポールアセンブリの正面図である。
図7Bは、
図7Aのポールアセンブリのうちの1つの側面概略図である。
【0069】
図8A~
図8Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度垂直透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
図8Aは、垂直ポールアセンブリの正面図である。
図8Bは、
図8Aの垂直ポールアセンブリの側面概略図である。
【0070】
図9A~
図9Bは、少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に三軸追跡透明ソーラーパネルアセンブリを構成することの概略図である。
図9Aは、第1の向きのアセンブリを示す。
図9Bは、第1の向きとは異なる第2の向きにおける
図9Aのアセンブリを示す。
【0071】
図10は、少なくとも1つの例示的実施形態による、太陽光アルベドを取り込む両面型透明ソーラーアレイ地面設置の概略図である。
【0072】
【0073】
図12は、少なくとも1つの例示的実施形態による、ソーラーアレイおよび潅漑システムのための支持構造物の断面図である。
【0074】
図13は、少なくとも1つの例示的実施形態による、太陽光発電の方法を示すフローチャートである。
【0075】
図14は、透明ソーラーパネルを設計および作製する方法を示すフローチャートである。
【0076】
図15は、少なくとも1つの例示的実施形態による、様々な営農型太陽光発電アプローチの進展および展望の概略図である。
【0077】
図16A~
図16Bは、少なくとも実施例1の実施形態による、実験チャンバの設計および寸法に関する。
図16Aは、実験チャンバの寸法を示す概略図である。
図16Bは、温室の向きを示す概略図である。
【0078】
図17A~
図17Cは、少なくとも実施例1の実施形態による、温室内部のグレージング材料およびチャンバの視覚的表現である。
図17Aは、使用される異なる材料を示す概略図である。「ND」は、ニュートラルデンシティプロファイル(neutral density profile)を表し、「CO」は、波長選択カットオフ(wavelength selective cutoff)を表す。ND91(透過率91%、クリア)、ND58(透過率58%、明灰色)、およびND33(透過率33%、暗灰色)は、種々のPPFD透過率を有するアクリルシートであった。CO770(クリア)、CO700(淡青色)、およびCO550b(濃青色)は、種々の透過カットオフを有する実験用の波長選択性光活性層(例えば、TLSC)であった。CO550a(ピンク色/赤色)パネルは、青色光子および緑色光子を吸収して赤色光子および遠赤外光子を蛍光する蛍光色素を含有していた。
図17Bは、ミシガン州立大学の研究用温室内部の様々な実験用グレージング材料で屋根がつくられた実験チャンバを示す写真である。
【0079】
図18A~
図18Cは、少なくとも実施例1の実施形態による、様々な波長選択性(光選択性とも称される)グレージング材料およびニュートラル吸収グレージング材料の透過光子スペクトルを示すグラフである。波長選択性グレージング材料は、PAR(400nm~700nmの光子)および近赤外(near-infrared:NIR)の波長帯において、種々の波長透過カットオフを有する。晴れた日の太陽正午(solar noon)頃に、種々のスペクトル透過率を有する様々なグレージング材料で覆われたチャンバ内部において測定が行われた。
図16Aは、ND91(透過率91%)、ND58(透過率58%)、およびND33(透過率33%)を示す。
図16Bは、CO770、CO700を示す。
図16Cは、CO550aおよびCO550bを示す。
【0080】
図19A~
図19Mは、少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
図19Aは、凡例であり、
図19B~
図19Mは、種々のスペクトル透過率を有する様々なグレージング材料の下での成長パラメータを示す(
図18A~
図18C参照)。
図19Bは、日積算光量(DLI)の関数としてのバジルのシュート乾物重を示すグラフである。
図19Cは、DLIの関数としてのバジルの茎長を示すグラフである。
図19Dは、DLIの関数としてのバジルの総葉面積を示すグラフである。
図19Eは、DLIの関数としてのバジルの相対クロロフィル含量(SPAD)を示すグラフである。
図19Fは、DLIの関数としてのペチュニアのシュート乾物重を示すグラフである。
図19Gは、DLIの関数としてのペチュニアの茎長を示すグラフである。
図19Hは、DLIの関数としてのペチュニアの芽および花を示すグラフである。
図19Iは、DLIの関数としてのペチュニアの葉面積を示すグラフである。
図19Jは、DLIの関数としてのトマトの果実の新鮮重を示すグラフである。
図19Kは、DLIの関数としてのトマトの茎長を示すグラフである。
図19Lは、DLIの関数としてのトマトの総果実数を示すグラフである。
図19Mは、DLIの関数としてのトマトのシュート乾物重を示すグラフである。バジルおよびトマトのシュート乾物重は、葉と茎との両方についてのものである。データは、10サンプルの平均±SEを表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意である(P<0.05)。バジル、ペチュニア、およびトマトの回帰方程式を、それぞれ表S1~S3に示す。
【0081】
図20は、少なくとも実施例1の実施形態による、バジルの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としてのバジルの成長パラメータ(y)の回帰分析を示す表である。最も高いR
2値を有する回帰の種類を選択して、データを記述した。シグモイド回帰は、常にGompertz関数(以下の式5)であった。比葉面積(Specific leaf area:SLA)は、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算した。コンパクトさは、総地上乾物重(total above-ground dry mass)を茎長(cm)で割ることによって計算した。
【0082】
図21は、少なくとも実施例1の実施形態による、ペチュニアの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としてのペチュニアの成長パラメータ(y)の回帰分析を示す表である。最も高いR
2値を有する回帰の種類を選択して、データを記述した。シグモイド回帰は、常にGompertz関数(以下の式5)であった。開花までの時間(期間)を、播種から最初の開花までの日数として記録した。SLAは、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算される。コンパクトさは、総地上乾物重を中央茎長(cm)で割ることによって計算される。シグモイド回帰は、Gompertz関数(以下の式5)であった。
【0083】
図22は、少なくとも実施例1の実施形態による、トマトの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としての様々なトマトの成長パラメータ(y)についての回帰分析を示す表である。最も高いR
2値を有する回帰の種類を選択して、データを記述した。シグモイド回帰は、常にGompertz関数(以下の式5)であった。投影冠面積(Projected canopy area:PCA)は、冠(キャノピー、canopy)の頂部に対して垂直に測定した。開花までの時間を、播種から最初の開花までの日数として記録した。SLAは、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算した。各サンプルの代表的な葉からの複小葉(Compound leaflets)を葉柄から切り出した後、面積および乾物重を測定した。コンパクトさは、総地上乾物重を中央茎長(cm)で割ることによって計算した。シグモイド回帰は、Gompertz関数(以下の式5)であった。
【0084】
図23は、少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのバジルの成長を報告する表である。材料は、様々な光合成光量子束密度(photosynthetic photon flux density)(PPFD;400~700nm)透過率および光子分布を有していた。SLAは、代表的な葉について、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算した。コンパクトさは、総地上乾物重を茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、10サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。濃い網かけのセルは各パラメータの最高値に、薄い網かけのセルは最低値に対応しており、一対比較を反映する。
【0085】
図24は、実施例1の実施形態による、各グレージング材料の下の代表的な植物の写真を含むチャートである。様々な実験用グレージング材料の下で栽培されたものを代表するバジル、ペチュニア、およびトマトの苗の写真を、それぞれ2020年6月16日、2020年7月21日、および2020年10月13日に撮影した。種々のグレージング材料の透過スペクトルは、
図18A~
図18Cに示されている。
【0086】
図25は、少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのペチュニアの成長応答を報告する表である。グレージング材料は、様々な光合成光量子束密度(PPFD;400~700nm)透過率および光子分布を有する。開花までの時間を、播種から最初の開花までの日数として記録した。SLAは、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算される。コンパクトさは、総地上乾物重を中央茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、10サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。濃い網かけのセルは各パラメータの最高値に、薄い網かけのセルは最低値に対応しており、一対比較を反映する。
【0087】
図26は、少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのトマトの成長応答を報告する表である。グレージング材料は、様々な光合成光量子束密度(PPFD;400~700nm)透過率および光子分布を有していた。PCAは、冠の頂部に対して垂直に測定した。開花までの時間を、播種から最初の開花までの日数として記録した。SLAは、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算される。各サンプルの代表的な葉からの複小葉を葉柄から切り出した後、面積および乾物重を測定した。コンパクトさは、総地上乾物重を中央茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、10サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。濃い網かけのセルは各パラメータの最高値に、薄い網かけのセルは最低値に対応しており、一対比較を反映する。
【0088】
図27A~
図27Gは、少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。種々のスペクトル特性を有する様々なグレージング材料の下でのバジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長。種々のグレージング材料の透過スペクトルは、
図18A~
図18Cに示されている。各成長パラメータは、種に応じた最大観測値に対するものであり、10個のサンプルの平均を表す。
図27Aは、凡例である。
図27Bは、DLIの関数としての相対的な収量を示す。ここで、相対的な収量は、バジルおよびペチュニアのシュート乾物重(葉および茎)、ならびにトマトの果実新鮮重に関する。
図27Cは、DLIの関数としての相対的なSLAを示すグラフである。SLAは、葉面積(cm
2)を葉質量で割ることによって計算した。
図27Dは、DLIの関数としての相対的なSPADを示すグラフである。SPADは、葉の相対クロロフィル濃度を反映している。
図27Eは、相対的な茎長を示すグラフである。茎長は、培養土表面(substrate surface)から頂端分裂組織まで測定したものである。
図27Fは、相対的な茎直径を示すグラフである。茎直径は、培養土表面において測定したものである。
図27Gは、相対的なコンパクトさを示すグラフである。コンパクトさは、総地上乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算した。
【0089】
図28は、少なくとも実施例1の実施形態による、米国における営農型太陽光発電システムの潜在的なエネルギー出力に関する表である。営農型太陽光発電温室が米国における覆いのある栽培面積の50%を占める場合、および農地面積の1%が営農型太陽光発電の目的で覆われている場合の、陸地面積の利用可能性を概算した。米国における平均日太陽インソレーション(average daily solar insolation)(4.5kWh/m
2/日)を、TPVモジュールの入射パワーとして用い、現在のTPVベンチマークおよび将来見込まれるTPVベンチマークに基づく効率を割り当てた。
【0090】
図29は、少なくとも実施例1の実施形態による、営農型太陽光発電の潜在的なエネルギー出力に関するグラフである。米国の農地における営農型太陽光発電の潜在的なエネルギー出力は、屋上太陽光アプローチおよびその他の一体型太陽光アプローチのエネルギー生成を大きく上回っている。10%効率のパネルによる営農型太陽光発電では、米国の農地のカバー率がわずか10%であっても、米国のエネルギー消費量の2倍超のエネルギーが生成され、米国の農地のカバー率が100%であれば、世界のエネルギー消費量の4倍超のエネルギーが生成されることになるだろう。
【0091】
図30A~
図30Gは、少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
図30Aは、バジルのチャンバについての日毎の平均日空気温度を示すグラフである。30Bは、ペチュニアのチャンバについての日毎の平均日空気温度を示すグラフである。30Aは、トマトのチャンバについての日毎の平均日空気温度を示すグラフである。
図30Dは、
図30E~
図30Gに関する種々のグレージング材料の凡例である。
図30Eは、バジルのチャンバについてのDLI(400~700nm)を示すグラフである。
図30Fは、ペチュニアのチャンバについてのDLIを示すグラフである。
図30Gは、トマトのチャンバについてのDLIを示すグラフである。瞬間光合成光量子束密度(400~700nm)を冠高さで毎分測定し、24時間にわたって積算してDLIを計算した。チャンバDLI間の差は、チャンバ上方の直接的に入射する太陽光の91%(ND91)から34%(VIS550b)までの範囲の実験用グレージング透過率の間の差を反映している。
【0092】
図31は、少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバ内部の環境条件に関する表である。値は、各チャンバ内部で栽培されたバジル、ペチュニア、およびトマトについての日平均±SDを表す。
【0093】
図32A~
図32Eは、少なくとも実施例1の実施形態による、3つの予測変数の関数としてのバジルの成長パラメータに関する。すなわち、DLI(400~700nm)、拡張日積算光量(eDLI;400~750nm)および平均光合成透過率(APT;McCree、1972による収量光量子束密度と同義)である。平均処理DLIを、実験期間全体を通じて記録し、次いで、分光放射計データを用いて、eDLIおよびAPTに変換した。一般に、APT値はDLIよりも低く、eDLI値はDLIよりも大きい。
図32Aは、
図32B~
図32Eに関する凡例である。
図32Bは、上述した3つのパラメータの関数としてのシュート乾物重を示すグラフである。
図32Cは、上述した3つのパラメータの関数としての総葉面積を示すグラフである。
図32Dは、上述した3つのパラメータの関数としての茎長を示すグラフである。
図32Eは、上述したツリーのパラメータの関数としてのSPADを示すグラフである。
【0094】
図33は、少なくとも実施例2の実施形態による、様々なグレージング材料の下の代表的な苗の写真を含むチャートである。
【0095】
図34は、少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のレタス「Rouxai」の成長パラメータを報告する表である。
【0096】
図35は、少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のキンギョソウ「Snapshot yellow」の成長パラメータを報告する表である。
【0097】
図36は、少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のバジル「Genovese」の成長パラメータを報告する表である。
【0098】
図37は、少なくとも実施例2の実施形態による、2021年の間のダイズの成長パラメータを報告する表である。
【0099】
図38は、少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の各グレージング材料の下の代表的な植物の写真を含むチャートである。
【0100】
図39は、少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の間のバジル「Genovese」の成長を報告する表である。
【0101】
図40は、少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の間のダイズの成長を報告する表である。
【0102】
図41A~
図41Cは、少なくとも実施例1~3の実施形態による、2020年から2022年までの間に栽培された作物の相対的な成長応答を示す。
【0103】
図42は、少なくとも実施例4の実施形態による、一定のIEICO-4F厚さおよび表に示す可変のPTB7-Th厚さを有する二層(bilayer)TPVデバイスの実験的に決定された光学的値(APT)および電子的値(J
SC、V
OC、フィルファクタ(FF)、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【0104】
図43A~
図43Cは、少なくとも実施例4の実施形態による、異なるPTb7-Th厚さを有するTPVについてのポリマー厚さ最適化に関する。
図43Aは、電流-電圧(J-V)曲線を示すグラフである。
図43Bは、外部量子効率(EQE)を示すグラフである。
図43Cは、透過率を示すグラフである。
【0105】
図44は、少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウント(edge-mounted)GaAsを含むナノクラスタベースのデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【0106】
図45は、少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントGaAsを有するNIR吸収色素デバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【0107】
図46は、少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントSiセルを有する選ばれたデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【0108】
図47は、少なくとも実施例5の実施形態による、low-eスタックサンプルの透過率を示すグラフである。
【0109】
図48は、少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントSiセルを有しlow-eスタック1がデバイスの底面の下に配置された選ばれたデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【0110】
図49は、少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントSiセルを有しlow-eスタック2がデバイスの底面の下に配置された選ばれたデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を示すグラフである。
【0111】
図50A~
図50Dは、少なくとも実施例5の実施形態による、電流密度電圧およびEQEを示すグラフである。
図50Aは、示された濃度におけるNCおよびCOiについてのJ-V曲線を示すグラフである。
図50Bは、0.15mg/mLのCOi8DFICおよび0.2mg/mLのIR775-TPFBについてのJ-V曲線を示すグラフである。
図50Cは、示された濃度におけるNCおよびCOiについての波長の関数としてのEQEを示すグラフである。
図50Dは、0.15mg/mLのCOi8DFICおよび0.2mg/mLのIR775-TPFBについての波長の関数としてのEQEを示すグラフである。
【0112】
図面の複数の図の全体を通じて、対応する参照番号は対応する部分を示す。
【0113】
〔詳細な説明〕
例示的な実施形態は、本開示が十分なものとなり、かつその範囲が当業者に十分に伝えられるように提供されている。本開示の実施形態の十分な理解が提供されるように、特定の組成物、構成要素、デバイスおよび方法の例等の、多数の特定の詳細が記載される。特定の詳細を採用する必要がないこと、例示的な実施形態が種々の多くの形態で実施され得ること、および、いずれも本開示の範囲を限定するように解釈されるべきものではないことは、当業者には明らかであろう。一部の例示的な実施形態において、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は、詳細には説明しない。
【0114】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態の説明のみを目的とするものであり、限定を意図するものではない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段の定めのない限り、複数形も含むことが意図され得る。用語「備える(含む)(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(備える)(including)」、および「有する(having)」は、包含的であり、それゆえ、記載された特徴、要素、組成物、工程、整数、動作、および/または構成要素の存在を特定するが、1または複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/またはこれらの群の存在または追加を排除するものではない。「備える(含む)(comprising)」というオープンエンドの用語は、本明細書に記載された様々な実施形態を説明および特許請求するために使用される非限定的な用語として解されるべきであるが、或る態様では、当該用語は代替的に、「からなる(consisting of)」または「から実質的になる(consisting essentially of)」等の、むしろより限定的かつ制限的な用語であると解され得る。したがって、組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、および/または処理工程を列挙する任意の所与の実施形態について、本開示には、列挙された組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、および/または処理工程等からなり、またはから実質的になる実施形態が具体的に含まれる。「からなる」の場合にあっては、この代替的な実施形態は、任意の追加の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、および/または処理工程を除外し、一方、「から実質的になる」の場合にあっては、基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼす任意の追加の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、および/または処理工程はかかる一実施形態から除外されるものの、基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない任意の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、および/または処理工程は、当該実施形態に含まれ得る。
【0115】
本明細書で説明される任意の方法工程、プロセス、および動作は、実行の順序について具体的に特定されない限り、説明または図示された特定の順序でそれらを実行することが必ず求められるものとは解釈されるべきではない。また、別段の指示がない限り、追加的または代替的な工程が採用されてもよいことを理解されたい。
【0116】
構成要素、要素または層が別の要素または層の「の上にある(on)」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」、または「に結合される(coupled to)」と言及されるとき、当該構成要素、要素、または層は、当該別の構成要素、要素もしくは層の直接的に上にあり、係合され、接続され、もしくは結合されていてもよく、または、介在する要素もしくは層が存在していてもよい。対照的に、要素が別の要素または層の「の直接的に上にある(directly on)」、「に直接的に係合される(directly engaged to)」、「に直接的に接続される(directly connected to)」、または「に直接的に結合される(directly coupled to)」と言及される場合、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用されるその他の語は、同様に解釈されるべきである(例えば、「間に(between)」と「直接的に間に(directly between)」、「隣接する(adjacent)」と「直接的に隣接する(directly adjacent)」等)。本明細書で使用される場合、用語「および/または(and/or)」は、関連する列挙された項目のうちの1または複数の項目の任意かつ全ての組み合わせを含む。
【0117】
第1、第2、第3等の用語は、様々な工程、要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために本明細書で使用され得るが、これらの工程、要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、特に明記しない限り、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある工程、要素、構成要素、領域、層、またはセクションを、別の工程、要素、構成要素、領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用され得る。本明細書で使用されるときの「第1」、「第2」等の用語、およびその他の数に関する用語は、別段の定めのない限り、配列または順序を含意するものではない。したがって、後述する第1の工程、要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の工程、要素、構成要素、領域、層、またはセクションと称することもできる。
【0118】
本明細書において、「前」、「後」、「内」、「外」、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」等の空間的または時間的に相対的な用語は、図に示すある要素または特徴に対する別の(1以上の)要素または特徴との関係性を説明して説明を容易にするために、使用され得る。空間的または時間的に相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用中または動作中のデバイスまたはシステムの種々の向きを包含するよう意図され得る。
【0119】
本開示全体を通して、数値は、所与の値からのわずかな偏差、概ね言及された値を有する実施形態、および正確に言及された値を有する実施形態を包含する範囲に対する近似的な測定結果または限界を表す。詳細な説明の最後に提供される実施例以外にも、付属の特許請求の範囲を含めて本明細書におけるパラメータ(例えば、量または条件のパラメータ)の全ての数値は、数値の前に「約」が実際に出現するか否かにかかわらず、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものと理解されるべきである。「約」は、記載された数値がいくらかのわずかな不正確さ(正確な値にいくらか接近している;値に近似的または合理的に近い;近傍にある)を許容することを示す。「約」によってもたらされる不正確さが、当技術分野においてこの通常の意味でそれ以外の方法で理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、かかるパラメータを測定および使用する通常の方法から起こり得る最低限の変動を示す。例えば、「約」は、5%以下の変動、任意選択的に4%以下の変動、任意選択的に3%以下の変動、任意選択的に2%以下の変動、任意選択的に1%以下の変動、任意選択的に0.5%以下の変動を含み得、或る態様では、任意選択的に0.1%以下の変動を含み得る。
【0120】
加えて、範囲の開示には、範囲について与えられた端点および部分範囲を含めて、範囲全体内における全ての値およびさらなる分割された範囲の開示が含まれる。
【0121】
さて、例示的実施形態を、添付の図面を参照しつつより十分に説明する。
【0122】
本技術は、営農型太陽光発電システム等のシステムで使用するための透明ソーラーパネルを提供するものである。営農型太陽光発電システムは、包囲(enclosed)構造物(例えば、温室、ファイトトロン、ファイトバイオ、および/またはフープハウス)であってもよく、非包囲構造物(例えば、陸上および/または水上のアレイ)であってもよく、および/または農業機器等の機器に組み込まれていてもよい。透明ソーラーパネルは、1または複数の光合成有機体(例えば、植物)と、例えば当該光合成有機体の上方にある光源(例えば、太陽)との間に配置されるように構成されてもよい。
【0123】
局所負荷装置、光源、および/またはその他の機器に動力供給するための発電に加えて、当該ソーラーパネルは、到来する放射を減少させ、放射が過剰である期間の間の冷却の必要性を低減させ、その結果、水の使用を減少させることによって、温室環境を調節するのに役立ち得る。さらに、太陽光スペクトルをより十分に取り込んで効率的な作物成長および太陽光電気をもたらすため、大規模な温室、農業陸地領域、ならびに陸地および/または水を含むその他の領域をより良好に利用することができる。
【0124】
透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)または透明発光型太陽光集光器(TLSC)であってもよい。特に明記しない限り、本明細書で使用される「透明ソーラーパネル」または「ソーラーパネル」は、TPVおよび/またはTLSCを指す。透明ソーラーパネルは、波長に基づいて選択的かつ優先的に光を吸収および透過するように構成されている。より具体的には、ソーラーパネルは、例えば植物の場合における成長および/または品質等、光合成有機体にとって有益な光を透過させるように構成されてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、本技術において、透明ソーラーパネルを含む構造物および/または機器がさらに提供される。光合成有機体の応答とPV発電との両方が、本開示の原理によるシステムを設計する際に考慮される。少なくとも1つの例示的実施形態では、営農型太陽光発電システムは、植物にとって有益な波長を有する光子の透過に対するPVの影響を低減または最小化することによって、植物の収量および/または品質を維持するように構成されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、本技術において、400nm~700nmの波長(光合成有効放射(photosynthetically active radiation:PAR)としばしば称される)に対するPVの影響が低減または最小化される。
【0125】
上述したように、本開示の少なくとも1つの例示的実施形態による太陽電池は、植物および/またはその他の光合成有機体の栽培と併せて使用されてもよい。量子センサは、μmol・m-2・s-1の単位を有する光合成光量子束密度(photosynthetic photon flux density:PPFD)を測定するために使用される。植物の成長および生産性の観点からは、日平均積算値(日積算光量(daily light integral:DLI)と称され、mol・m-2・d-1の単位を有する)がより適切である。拡張日積算光量(extended daily light integral:eDLI)は、DLIに類似しており、同じくmol・m-2・d-1の単位を有するが、こちらはPARの波長ではなく、400~750nmの拡張PAR(extended PAR:ePAR)の波長を考慮するものである。
【0126】
PPFDおよびDLIの定義では、400nm~700nmの波長を有する任意の光子が、光合成に等しくパワーを供給する(すなわち、同じ量子収量を有する)ことが仮定される。しかしながら、光子は、相対作用(relative action)および葉吸収に基づいて、種々の量子効率を有し得る(例えば、
図1のYPFD曲線108参照)。そこで、Sager,J.C.、Smith,W.O.、Edwards,J.L.、およびCyr,K.L.、1988、Photosynthetic efficiency and phytochrome photoequilibria determination using spectral data、Transactions of the ASAE、31(6)、pp.1882-89(参照によって全体が本明細書に援用される)に記載されている通り、光源のスペクトル分布に基づく瞬間光合成率のより正確な表現を与えるために、重み付けしたPARの記述が生み出されており、収量光量子束密度(yield photo flux density:YPFD)と称される。この場合には、YPFDは、PARのみに限定されず、<400nmの光子、および、>700nmの光子が含まれる。しかしながら、光子波長が400nm未満に減少するにつれて、また光子波長が700nm超に増大するにつれて、その有効性は急速に減少する。
【0127】
(Zhen,S.、およびBugbee,B.、2020a、Far-red photons have equivalent efficiency to traditional photosynthetic photons: Implications for redefining photosynthetically active radiation、Plant,cell&environment、43(5)、pp.1259-1272;ならびに、Zhen,S.、およびBugbee,B.、2020b、Substituting far-red for traditionally defined photosynthetic photons results in equal canopy quantum yield for CO2 fixation and increased photon capture during long-term studies: Implications for re-defining PAR、Frontiers in Plant Science、11、p.1433(これらの両者は、参照によって全体が本明細書に援用される)に記載されている通り、)近年、400~750nmの光子が考慮されるように、PARの定義変更が提案された。これは拡張PAR(extended PAR:ePAR)と称され得るだろう。ePARは、少なくとも1つの例示的実施形態に関連する。700nm付近または750nm近くでパネルがカットオフし始めるか否かが、植物成長およびエネルギー生成に影響を与え得るだろうからである。光電池材料の測光透過(photometric transmission)を記述するためにどの量子単位が使用されるか否かにかかわらず、植物環境(plant environment)を適切に特徴付けるため、また研究間の比較を有意義なものにするために、これらの植物中心的(plant-centric)パラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを報告することが必要となる。
【0128】
植物ベースの用途および農業ベースの用途等、半透明モジュールおよび透明モジュールを光合成生活有機体へ応用するには、重要な測定量を再定義する必要がある。典型的に、窓産業における透明ソーラーパネルの場合、報告される最も重要なものは、平均可視透明度(average visible transparency)である。平均可視透過率(Average visible transmittance:AVT)は、太陽光量子束およびヒトの目の平均応答(明所視応答(photopic response)としても知られる)によって定量化される、どれほど多くの光がパネルまたは窓を通過するかの尺度である。
【0129】
PVパネルが営農型太陽光発電システムにおいてどのように機能し得るのかという文脈を提供するために、本開示では、窓産業からのAVTに対して類似性を得る新たな測定量である平均光合成透過率(average photosynthetic transmittance:APT)を導入する。明所視応答に代えて、22種の植物の間で平均化された、現在まで最も広範な植物の量子効率研究であり続ける、光子ごとの瞬間CO2消費率として定義される植物の相対的量子効率を利用する(Mccree,K.J.、Action Spectrum, Absorptance and Quantum Yield of Photosynthesis in Crop Plants、Agric. Meteorol. 1972、9(3-4)、191-(参照によって全体が本明細書に援用される)に記載)。したがって、APTは、以下のように定義される。
【0130】
【0131】
ここで、S(λ)は、AM1.5G光量子束であり、T(λ)は、パネルの光子透過率であり、P(λ)は、平均光合成量子収量(average photosynthetic quantum yield)であり、上述したMcCreeによって定義されたものである。したがって、APTは、植物の上に配置されるパネルの性質である。これは最終的に、場所および位置に依存する太陽光束に基づく特定の量子単位(例えば、DLI、YPFD等)に影響し、付与される。
【0132】
図1Aを参照すると、正規化された光束が波長の関数として示されている。クロロフィルa(chlorophyll a:Chl a)が100で示され、クロロフィルb(chlorophyll b:Chl b)が102で示され、赤色吸収フィトクロム(red-absorbing phytochrome:Pr)が104で示され、遠赤外吸収フィトクロム(far-red-absorbing phytochrome:Pfr)が106で示され、波長の関数としての吸収されたモル光子ごとのモルCO
2固定における平均量子収量(McCreeと表記)が108で示されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、(白色で示された)第1範囲内の波長120の重要性が最も大きく、(明灰色で示された)第2範囲内の波長122の重要性は中程度であり、(暗灰色で示された)第3範囲内の波長124の重要性は最も小さい。光合成有効放射(PAR)の透過率が高いことが重要である。植物は、光合成のために、また光形態形成のための信号として、この波長帯からの光子を用いるからである。このウインドウ(window)を特徴付けるために、多くの植物について、クロロフィル(Chl)aおよびクロロフィル(Chl)b、赤色吸収フィトクロム(Pr)ならびに遠赤外吸収フィトクロム(Pfr)の吸収スペクトル、ならびに平均量子収量(波長の関数としての吸収されたモル光子ごとのモルCO
2固定;McCreeと表記)がプロットされる。VISを吸収することはBIPVパネルにとってエネルギー的に有利であろうが、温室作物の成長および発達(発生)に負の影響を及ぼす可能性があるだろう。
【0133】
PARは、青色光(400~500nm)、緑色光(500~600nm)、および赤色光(600~700nm)の3つの波長帯に分けることができる。
図1Aに示すように、各波長帯は、UV(280~400nm)および近赤外線(near-infrared:NIR)または遠赤外線(700~750nm)に由来する追加的な寄与とともに、植物の成長および発達を独立かつ相互作用的に調節する。これらのうち、青色光および遠赤外光は、植物の形態構造および発達を強力に調節し、葉面積、茎長、および開花等の特性を変更する。一部の場合において到来する太陽放射を減少させる(例えば、水消費量または土壌温度を低減する)利点があり得るが、このハイブリッドフィールドの採用は、特に温帯気候において、可能な限り多くのPARを透過させることにより、広範に適用可能であり得るだろう。
【0134】
一部の営農型太陽光発電アプローチにおいて、緑色光は、クロロフィルおよびカロテノイドによる吸収が小さいため、植物収量にごくわずかの影響しか及ぼさないと考えられている。そのため、緑色光は、温室でのPVにおける吸収のための標的波長である。しかしながら、
図1Aに示すように、相対作用(relative action)および量子収量等の測定量は、驚くべきことでありかつ予想外なことであるが、植物が光合成において緑色光を非常に効率的に利用していることを示している。緑色光は、高光条件(high-light condition)下でより深く葉に浸透し、他のものによって遮光された葉に到達する点で、特に有用である。したがって、PAR内の特定の波長帯を吸収することによるスペクトル操作(
図1B)によって、植物の成長および収量が変更されることになる。これは、異なる植物種間で様々となる。営農型太陽光発電の利益を提供しつつ、植物がどれほど成長および発達するかの制御を栽培者が維持できるようにすることは、将来的な採用の普及を促進するために重要なことだろう。
【0135】
少なくとも1つの例示的実施形態では、本開示によるソーラーパネルは、透明または半透明であってもよい。「透明」または「可視的に透明(visibly transparent)」という用語は、一般に、約45%以上(例えば、約50%以上、約60%以上、約75%以上、約80%以上、または約90%以上)のAVTを有するソーラーパネルを指す。「不透明」または「可視的に不透明」という用語は、一般に正透過(specular transmission)について10%以下の眼の明所視応答によって重み付けされた平均可視透明度を有するデバイスを指す。10%~50%の眼の明所視応答によって重み付けされたAVTを有するデバイスは、一般に、「半透明」であると称される。
【0136】
AVTは、植物視覚(plant vision)よりもヒト視覚に関連しているので、少なくとも1つの例示的実施形態では、上述したように、植物に関して、異なるパラメータであるAPTが使用される。本明細書で使用される場合、「透明」、「光合成透明(photosynthetically transparent)」、または「植物透明(plant transparent)」という用語は、約45%以上(例えば、約50%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、または約90%以上)のAPTを有するソーラーパネルを指す。本明細書で使用される場合、「半透明」、「光合成半透明(photosynthetically semitransparent)」、または「植物半透明(plant semitransparent)」という用語は、1~45%のAPTを有するソーラーパネルに関する。
【0137】
上述したように、透明ソーラーパネルは、TPVまたはTLSCを含んでもよい。本技術による透明ソーラーパネルは、少なくとも吸収および透過の波長範囲において、他の独立型または非営農型太陽光発電のTPVおよびTLSCとは異なり得る。より具体的には、本技術によるTPVおよびTLSCは、可視光よりもむしろ、植物等の光合成有機体の成長および/または品質を刺激するために使用される光を透過させ(ただし、透過される波長の範囲は部分的に重複し得る)、かつ有機体の成長および品質の刺激にはあまり有用ではない光をエネルギー生成のために取り込むように、調整または最適化される。
【0138】
少なくとも1つの例示的実施形態では、ソーラーパネルは、透明または半透明であってもよく、約20%以上(例えば、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、または約90%以上)のAPTを有してもよい。前記APTは、約100%以下(例えば、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、または約50%以下)であってもよい。
【0139】
ソーラーパネルは、1または複数の植物を含む領域へ光を透過させるように構成されてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記領域は、約5mol・m-2・d-1以上(例えば、約6mol・m-2・d-1以上、約7mol・m-2・d-1以上、約8mol・m-2・d-1以上、約9mol・m-2・d-1以上、約10mol・m-2・d-1以上、約11mol・m-2・d-1以上、約12mol・m-2・d-1以上、約13mol・m-2・d-1以上、約14mol・m-2・d-1以上、約15mol・m-2・d-1以上、約16mol・m-2・d-1以上、約17mol・m-2・d-1以上、約18mol・m-2・d-1以上、約19mol・m-2・d-1以上、約20mol・m-2・d-1以上、約21mol・m-2・d-1以上、約22mol・m-2・d-1以上、約23mol・m-2・d-1以上、約24mol・m-2・d-1以上、約25mol・m-2・d-1以上、約30mol・m-2・d-1以上、約35mol・m-2・d-1以上、約40mol・m-2・d-1以上、または約45mol・m-2・d-1以上)のDLIで、前記ソーラーパネルを介して光を受け取るように構成されてもよい。前記DLIは、約50mol・m-2・d-1以下(例えば、約45mol・m-2・d-1以下、約40mol・m-2・d-1以下、約35mol・m-2・d-1以下、約30mol・m-2・d-1以下、約25mol・m-2・d-1以下、または約20mol・m-2・d-1以下)であってもよい。
【0140】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記領域は、約5mol・m-2・d-1以上(例えば、約6mol・m-2・d-1以上、約7mol・m-2・d-1以上、約8mol・m-2・d-1以上、約9mol・m-2・d-1以上、約10mol・m-2・d-1以上、約11mol・m-2・d-1以上、約12mol・m-2・d-1以上、約13mol・m-2・d-1以上、約14mol・m-2・d-1以上、約15mol・m-2・d-1以上、約16mol・m-2・d-1以上、約17mol・m-2・d-1以上、約18mol・m-2・d-1以上、約19mol・m-2・d-1以上、約20mol・m-2・d-1以上、約21mol・m-2・d-1以上、約22mol・m-2・d-1以上、約23mol・m-2・d-1以上、約24mol・m-2・d-1以上、約25mol・m-2・d-1以上、約30mol・m-2・d-1以上、約35mol・m-2・d-1以上、約40mol・m-2・d-1以上、または約45mol・m-2・d-1以上、または約50mol・m-2・d-1以上、または約55mol・m-2・d-1以上)のeDLIで、前記ソーラーパネルを介して光を受け取るように構成されてもよい。前記eDLIは、約60mol・m-2・d-1以下(例えば、約55mol・m-2・d-1以下、約50mol・m-2・d-1以下、約45mol・m-2・d-1以下、約40mol・m-2・d-1以下、約35mol・m-2・d-1以下、約30mol・m-2・d-1以下、約25mol・m-2・d-1以下、または約20mol・m-2・d-1以下)であってもよい。
【0141】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記領域は、約2mol・m-2・d-1以上(例えば、約5mol・m-2・d-1以上、約10mol・m-2・d-1以上、約11mol・m-2・d-1以上、約12mol・m-2・d-1以上、約13mol・m-2・d-1以上、約14mol・m-2・d-1以上、約15mol・m-2・d-1以上、約16mol・m-2・d-1以上、約17mol・m-2・d-1以上、約18mol・m-2・d-1以上、約19mol・m-2・d-1以上、約20mol・m-2・d-1以上、約21mol・m-2・d-1以上、約22mol・m-2・d-1以上、約23mol・m-2・d-1以上、約24mol・m-2・d-1以上、約25mol・m-2・d-1以上、約30mol・m-2・d-1以上、約35mol・m-2・d-1以上、または約40mol・m-2・d-1以)のYPFDで、前記ソーラーパネルを介して光を受け取るように構成されてもよい。前記YPFDは、約45mol・m-2・d-1以下(例えば、約40mol・m-2・d-1以下、約35mol・m-2・d-1以下、約30mol・m-2・d-1以下、約25mol・m-2・d-1以下、または約20mol・m-2・d-1以下)であってもよい。
【0142】
本明細書で使用される場合、「実質的な吸収性を有する(実質的に吸収する、substantially absorbent)」は、光吸収材料(例えば、ソーラーパネル)が特定の波長の光の約50%以上(例えば、前記特定の波長を有する光の約60%以上、約70%以上、約80%以上、または約90%以上)を吸収することを意味する。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記太陽電池は、約700nm以上、約710nm以上、約720nm以上、約730nm以上、約740nm以上、約750nm以上、約760nm以上、約770nm以上、約780nm以上、約790nm以上、約800nm以上、約810nm以上、約820nm以上、約830nm以上、約840nm以上、約850nm以上、約860nm以上、約870nm以上、約880nm以上、約890nm以上、または約900nm以上の波長を有する光に対して、実質的な吸収性を有し得る。前記太陽電池は、約450nm以下、約440nm以下、約430nm以下、約420nm以下、約410nm以下、約400nm以下、約390nm以下、約380nm以下、約370nm以下、約360nm以下、約350nm以下、約340nm以下、約330nm以下、約320nm以下、約310nm以下、約300nm以下、約290nm以下、または約280nm以下の波長を有する光に対して、実質的な吸収性を有し得る。
【0143】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記太陽電池は、PAR(または、あるいは、ePAR)におけるいずれの吸収ピークよりも大きい最大ピーク吸収(「一次吸収ピーク」とも称される)を有し得る。前記最大ピーク吸収は、約700nm以上(例えば、約710nm以上、約720nm以上、約730nm以上、約740nm以上、約750nm以上、約760nm以上、約770nm以上、約760nm以上、約780nm以上、約790nm以上、約800nm以上、約810nm以上、約820nm以上、約830nm以上、約840nm以上、約850nm以上、約860nm以上、約870nm以上、約880nm以上、約890nm以上、または約900nm以上)の波長において生じ得る。前記最大ピーク吸収は、約1200nm以下(例えば、約1100nm以下、約1050nm以下、約1000nm以下、または約950nm以下)の波長において生じ得る。
【0144】
少なくとも1つの他の例示的実施形態では、前記太陽電池は、約450nm以下(例えば、約440nm以下、約430nm以下、約420nm以下、約410nm以下、約400nm以下、約390nm以下、約380nm以下、約370nm以下、約360nm以下、または約350nm以下、約340nm以下、約330nm以下、約320nm以下、約310nm以下、約300nm以下、約290nm以下、または約280nm以下)の波長において、最大ピーク吸収を有し得る。前記最大ピーク吸収は、約200nm以上(例えば、約250nm以上、約300nm以上、約350nm以上、または約400nm以上)の波長において生じ得る。
【0145】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記太陽電池は、第2最大ピーク吸収(「二次吸収ピーク」とも称される)を有し得る。前記二次吸収ピークは、約700nm以上(例えば、約710nm以上、約720nm以上、約730nm以上、約740nm以上、約750nm以上、約760nm以上、約770nm以上、約760nm以上、約780nm以上、約790nm以上、約800nm以上、約810nm以上、約820nm以上、約830nm以上、約840nm以上、約850nm以上、約860nm以上、約870nm以上、約880nm以上、約890nm以上、または約900nm以上)の波長において生じ得る。前記二次吸収ピークは、約1200nm以下(例えば、約1100nm以下、約1050nm以下、約1000nm以下、または約950nm以下)の波長において生じ得る。
【0146】
少なくとも1つの他の例示的実施形態では、前記太陽電池は、約450nm以下(例えば、約440nm以下、約430nm以下、約420nm以下、約410nm以下、約400nm以下、約390nm以下、約380nm以下、約370nm以下、約360nm以下、約350nm以下、約340nm以下、約330nm以下、約320nm以下、約310nm以下、約300nm以下、約290nm以下、または約280nm以下)の波長において、二次吸収ピークを有し得る。前記二次吸収ピークは、約200nm以上(例えば、約250nm以上、約300nm以上、約350nm以上、または約400nm以上)の波長において生じ得る。
【0147】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明太陽電池は、ピーク1-透過(1-transmission)(または、吸収)のおよそ5%、10%、または15%、または20%の1-透過(または、吸収)である透過カットオフ(「吸収カットオフ」または「波長カットオフ」とも称される)を有し得る。前記透過カットオフは、約700nm以上、約710nm以上、約720nm以上、約730nm以上、約740nm以上、約750nm以上、約760nm以上、約770nm以上、約760nm以上、約780nm以上、約790nm以上、約800nm以上、約810nm以上、約820nm以上、約830nm以上、約840nm以上、約850nm以上、約860nm以上、約870nm以上、約880nm以上、約890nm以上、または約900nm以上の波長におけるものであり得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記透明太陽電池は、約450nm以下(例えば、約440nm以下、約430nm以下、約420nm以下、約410nm以下、約400nm以下、約390nm以下、約380nm以下、約370nm以下、約360nm以下、約350nm以下、約340nm以下、約330nm以下、約320nm以下、約310nm以下、約300nm以下、約290nm以下、または約280nm以下)の透過カットオフを有し得る。
【0148】
前記ソーラーパネルは、青色光に対して少なくとも部分的に透明であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記ソーラーパネルは、約400~500nmの波長(例えば、400~450nmの全波長、425~475nmの全波長、450~480nmの全波長、および/または450~500nmの全波長、ならびに、410nm、420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm、および/または490nmの波長が含まれる)を有する青色光に対して、約50%以上(例えば、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、または約85%以上)透明である(透明性を有する)。前記ソーラーパネルは、約400~500nmの波長(例えば、400~450nmの全波長、425~475nmの全波長、450~480nmの全波長、および/または450~500nmの全波長、ならびに、410nm、420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm、および/または490nmの波長が含まれる)を有する青色光に対して、約100%以下(例えば、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、または約70%以下)透明であってもよい(透明性を有してもよい)。
【0149】
前記ソーラーパネルは、緑色光に対して少なくとも部分的に透明であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記ソーラーパネルは、500~600nmの波長(例えば、500~550nmの全波長、520~540nmの全波長、525~575nmの全波長、550~600nmの全波長、ならびに、510nm、520nm、530nm、540nm、550nm、560nm、570nm、580nm、および/または590nmの波長が含まれる)を有する緑色光に対して、約50%以上(例えば、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、または約85%以上)透明である(透明性を有する)。前記ソーラーパネルは、約500~600nmの波長(例えば、500~550nmの全波長、520~540nmの全波長、525~575nmの全波長、550~600nmの全波長、ならびに、510nm、520nm、530nm、540nm、550nm、560nm、570nm、580nm、および/または590nmの波長が含まれる)を有する緑色光に対して、約100%以下(例えば、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、または約70%以下)透明であってもよい(透明性を有してもよい)。
【0150】
前記ソーラーパネルは、赤色光に対して少なくとも部分的に透明であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記ソーラーパネルは、600~700nmの波長(例えば、600~650nmの全波長、620~640nmの全波長、625~675nmの全波長、および/または650~700nmの全波長、ならびに610nm、620nm、630nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、および/または690nmの波長が含まれる)を有する赤色光に対して、約50%以上(例えば、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、または約85%以上)透明である(透明性を有する)。前記ソーラーパネルは、約600~700nmの波長を有する赤色光(例えば、600~650nmの全波長、620~640nmの全波長、625~675nmの全波長、および/または650~700nmの全波長、ならびに610nm、620nm、630nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、および/または690nmの波長が含まれる)に対して、約100%以下(例えば、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、または約70%以下)透明であってもよい(透明性を有してもよい)。
【0151】
前記ソーラーパネルは、遠赤外光に対して少なくとも部分的に透明であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記ソーラーパネルは、700~750nmの波長を有する遠赤外光(例えば、700~725nmの全波長、700~720nmの全波長、700~710nmの全波長、および/または725~750nmの全波長、ならびに710、720、730、および/または740の波長が含まれる)に対して、約50%以上(例えば、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、または約85%以上)透明である(透明性を有する)。前記ソーラーパネルは、約700~750nmの波長を有する遠赤外光(例えば、700~725nmの全波長、700~720nmの全波長、700~710nmの全波長、および/または725~750nmの全波長、ならびに710、720、730、および/または740の全波長が含まれる)に対して、約100%以下(例えば、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、または約70%以下)透明であってもよい(透明性を有してもよい)。
【0152】
少なくとも1つの例示的実施形態における、他の明らかではないが重要な測定量は、太陽熱利得係数(solar heat gain coefficient:SHGC)である。SHGCは、ソーラーパネル全体またはデバイス全体の入射太陽放射に対する透過される太陽放射の比率である。SHGCは、(UV、VIS、NIR、およびIRを含む)太陽光によって引き起こされる熱を窓がどれほど遮断するのかを定量的に評価するために、窓産業において利用される。以下により詳細に説明するように、SHGCは、例えば、複合電極(compound electrode)(単一銀(single-silver)または多層銀(multilayer silver))としての電極における構造、導波路上の構造、および/または導波路に隣接する構造に基づいて(例えば、層の追加によって)制御される。
【0153】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記SHGCは、約0.7以下(例えば、約0.65以下、約0.6以下、約0.55以下、約0.5以下、約0.45以下、約0.4以下、約0.35以下、約0.3以下、約0.25以下、約0.2以下、または約0.15以下)であってもよい。
【0154】
SHGCは、建物にとって重要である。SHGCは、建物のエネルギー効率に影響を与え、必要となる冷却負荷を規定するからである。SHGCが低いほど、より多くの太陽熱が遮断される。SHGCは、以下のように定義される。
【0155】
【0156】
ここで、A*は、室内へ透過されるエネルギーの寄与からの透明営農型太陽光発電太陽電池の吸収スペクトルである(このエネルギーの一部は窓から外方へ放射されるため、吸収束全体ではない)。
【0157】
また、SHGCは、農業用途においても重要であるだろう。SHGCは、植物への熱負荷を低減させるために使用できるからである。それによって、水の蒸発速度が低減し、潅漑需要が低減し、作物の熱関連損失が低減し、および/または作物の弾力性が向上し、包囲された用途では、冷却の需要/負荷が低減する。オープンフィールド配備の場合、SHGCは以下のように修正することができる。
【0158】
【0159】
式中、吸収項が取り除かれている。吸収成分は、植物に直接的に移らず、パネルアレイの周り(上方および下方)に空気の自由流が存在するからである。
【0160】
low-eコーティングは、高いAVTを維持しつつ低いSHGCを達成するための1つのアプローチである。low-eコーティングは、UV光、NIR光、および/またはIR光の一部を反射(または、拒絶)する。コーティングされていないガラス片は通常、約0.818のSHGCを有するが、高品質のlow-e窓は通常、0.5~0.2のSHGCを有する。low-eコーティングは、Ag、Au、および/またはCu等の薄金属(thin metal)または極薄金属(ultrathin metal)を用いて形成できる。Ag系low-eコーティングには、3つの一般的なタイプがある:[MO/金属/]x/MO、[有機化合物/金属/]x/有機化合物、または[ベース(base)/シード(seed)/金属/ブロッカ(blocker)/シード]x最上層等の構成における単一銀(single-silver)、二重銀(double-silver)、または三重銀(triple-silver)である。ここで、x(繰り返し層の数)=1,2,3等である。
【0161】
金属酸化物(metal oxide:MO)の例として、MoO
3、Bi2O
3、SnO
2、ZnO、TiO
2、SiO
2、Zn
2SnO
4、Si
3N
4、インジウムドープ酸化スズ(indium-doped tin oxide:ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(aluminum-doped zinc oxide:AZO)、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。MOの厚さは、約10nm以上約50nm以下の範囲であり得る。有機化合物の例として、バソクプロイン(bathocuproine)、アルファ-NPD、Alq
3、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属の例として、Ag、Au、Cuが挙げられ、厚さは約2nm以上約20nm以下の範囲である。一例として、PPGプロダクト(PPG products)からの銀スタック配置は、Zn
2SnO
4のベースと、ZnOのシードと、Agの金属と、Tiのブロッカと、TiO
2の最上層と、をx=2で有し、中央におけるスズ酸亜鉛層は、単一銀の最上層およびベースの総厚にほぼ等しい厚さを有する。low-eスタックは、TPVまたはTLSCのデバイススタックのいずれかと一体化できるが、方法は異なる。TPV(例えば、
図2のTPV200を参照)の場合、頂部透明電極およびlow-e層および(薄金属の存在による)導電性透明電極としての機能が同時に置き換えられるように、low-eスタックを相乗的に利用することができる。この場合、Agの厚さが厚くなるにつれて、電極の抵抗が増大し、光透過率が減少するため、最適なAgの厚さ(例えば、5nm、7nm、10nm、または12nm)が存在する。TLSC(例えば、
図3A~
図3BのTLSC300を参照)の場合、low-eスタックは、導波路の後面上にモノリシックにコーティングでき、またはポリリシックに一体化できる。
【0162】
本明細書で使用される場合、「透過ヘイズ(transmission haze)」は、拡散透過率(すなわち、デバイス内で散乱されるものの透過する光の量)を総透過率(すなわち、散乱されるか否かにかかわらず、トラフ(trough)を得る光の総量)で割ったものを意味する。前記ソーラーパネルは、約20%、約18%、約16%、約14%、約12%、約10%、約8%、約6%、約4%、約2%、約1%、またはそれ以下のヘイズを含めて、約100%以下(例えば、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、または約1%以下)の透過ヘイズを有し得る。前記ソーラーパネルは、ヘイズが実質的になくてもよい。本明細書で使用される場合、「ヘイズが実質的にない(substantially free of haze)」という語は、デバイスが約20%以下のヘイズを有することを意味する。パネルは、可視ヘイズ、平均可視ヘイズ、もしくはPARヘイズを有してもよく、またはパネルには、可視ヘイズ、平均可視ヘイズ、もしくはPARヘイズが実質的になくてもよい。
【0163】
本明細書で使用される場合、演色評価数(color rendering index:CRI)は、知覚可能な可視光の範囲である。CRIは後に、可視的に透明な太陽電池の審美的限界を決定するために利用される。具体的には、CRIは、照明システムの品質を評価するための定量的な測定量であり、窓の高さまたは知覚可能な色付けを評価するために利用できる。CRIは、理想的な透過プロファイル(ステップ関数)に基づき、国際照明委員会(International Commission on Illumination:CIE)1976 3次元均一色空間(CIELUV)、CIE 1974 試験色サンプルと組み合わせて、必要に応じて色順応のための補正を加えて(非プランク軌跡(non-planckian-locus))、以下のように計算される。
【0164】
【0165】
ここで、ΔLi
*、Δui
*、およびΔvi
*は、透過源(T(λ)・AM1.5(λ))および固定基準太陽光スペクトル(AM1.5G)で「照射された(illuminated)」各色サンプルi(全部で8)間における明度(L*)および色度座標(u*、v*)の差異である。CRIおよびAVTは、Lunt、“Theoretical Limits for Visibly Transparent Photovoltaics.” Appl. Phys. Lett.、101、043902(2012)に詳細に説明されている。当該文献は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0166】
少なくとも1つの例示的実施形態では、ソーラーパネルは、エアマス(air mass)1.5グローバル(AM1.5G)太陽光スペクトルまたはPARスペクトルを基準として、約80以上(例えば、約85以上、約90以上、または約95以上)のCRIを有し得る。したがって、少なくとも1つの例示的実施形態では、観察者が太陽電池を通して見たときに、太陽電池の反対側の物体がその自然な「色」で、色付けまたはヘイズが実質的になく実質的に(または、完全に)現れるように、当該太陽電池は、可視的に透明、または植物透明である。照明委員会(CIE)光利用効率(light utilization efficiency:LUE)色測定量も、CRIの代替として利用することができる。
【0167】
電力変換効率(Power conversion efficiency:PCE)は、電流密度(J)-電圧(V)曲線から導出され、具体的には、生み出された電力を入射太陽光パワーで割ったものである。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記ソーラーパネルは、約0.3%以上(例えば、約0.5%以上、約0.6%以上、約0.65%以上、約0.7%以上、約0.75%以上、約0.8%以上、約0.9%以上、約1%以上、約1.5%以上、約2.0%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、または約7%以上、約8%以上、約9%以上、または約10%以上)のPCEを有する。
【0168】
少なくとも1つの例示的実施形態では、単一のソーラーパネルの表面積は、約0.01m2以上(例えば、約0.05m2以上、約0.1m2以上、約0.5m2以上、約1m2以上、約1.5m2以上、または約5m2以上)であってもよい。太陽電池面積は、約10m2以下(例えば、約5m2以下、約2m2以下、約1m2以下、約0.5m2以下、約0.1m2以下、または約0.05m2以下)であってもよい。
【0169】
本明細書で使用される場合、外部量子効率(external quantum efficiency:EQE)は、特定の波長の光子を電子に変換する効率である。少なくとも1つの例示的実施形態では、EQEは、約1%以上(例えば、約1.5%以上、約2%以上、約2.5%以上、約3%以上、約3.5%以上、約4%以上、約4.5%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、または約90%以上)であってもよい。EQEは、約95%以下であってもよい。
【0170】
従来、光利用率(light utilization factor:LUE)は、PCEとAVTとの積である。LUEは、光透過と発電との両方についてスペクトルがどれほど良好に利用されるかの尺度である。ここで、LUE*を、植物の成長と発電との両方についてスペクトルがどれほど良好に利用されるかの尺度となるように、PCEを(AVTの代わりに)APTに掛けたものとして定義する。LUE*は、約0.5以上(例えば、約0.7以上、約1以上、約1.5以上、約2以上、約3以上、約4以上、約5以上、約6以上、約7以上、約8以上、約9以上、または約10以上)であってもよい。LUE*は、約10以下(例えば、約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、または約1以下)であってもよい。
【0171】
本明細書に記載される太陽電池は、実質的に白色である、CIEによって定められるL*a*b*色空間、すなわちCIELAB色空間を有し得る。より具体的には、太陽電池は、約25以下(例えば、約20以下、約15以下、約10以下、または約5以下)の|a*|および|b*|の値、ならびに約10以上(例えば、約25以上、約50以上、約75以上、または約95以上)のL*の値を示す。L*の値には、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約15、および約10が含まれる。より具体的には、太陽電池は、約25以下(例えば、約20以下、約15以下、約10以下、約5以下、または約3以下)のsqrt(|a*|2+|b*|2)値を示す。
【0172】
上述したように、少なくとも1つの例示的実施形態では、ソーラーパネルは、光合成有機体へ光を透過させるように構成されている。本明細書で使用される場合、光合成有機体は、太陽光から利益を受ける有機体である(例えば、太陽エネルギーを捕捉して、有機化合物の生成のためにそれを利用することができる有機体等)。光合成有機体には、例えば、植物、細菌、原生生物(例えば、藻類およびユーグレナ)、サンゴ、またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。植物には、葉植物(leafy plants)と称される、葉および茎を目的として栽培される植物(例えば、バジル)、花卉(flowering plants)と称される、花を目的として栽培される植物(例えば、ペチュニア)、結果(結実)植物(fruit-bearing plants)と称される、果実を目的として栽培される植物(例えば、トマト、ダイズ)、穀物(例えば、コムギ、トウモロコシ)、飼料作物(例えば、アルファルファ)またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。一部の作物は、上述したグループのうちの2以上のグループに属し得る。例えば、栽培のために最適化されたソーラーパネルを用いた栽培に適した植物として、コメ、トウモロコシ、コムギ、ダイズ、ジャガイモ、トマト、サトウキビ、ブドウ、ワタ、リンゴ、タマネギ、キュウリ、ニンニク、バナナ、アブラヤシ、スイカ、マンゴー、マンゴスチン、グアバ、アメリカホドイモ、トウガラシ、コショウ、サツマイモ、オオムギ、オレンジ、ナス、オリーブ、ヒマワリ、タンジェリン、マンダリン、クレメンタイン、ウンシュウミカン、キャベツ、ホウレンソウ、イチゴ、モモ、ネクタリン、タバコ、アサ、コーヒー、レタス、チコリ、ゴムノキ、チャ、エンドウ、ササゲ、モロコシ、キビ、オートムギ、ライムギ、ソバ、キノア、キャッサバ、テンサイ、ナタネ、マメ、ピーナッツ、ヤムイモ、ココナッツ、オオバコ、セイヨウナシ、サクランボ、パイナップル、レモン、ライム、パパイヤ、プラム、グレープフルーツ、ポメロ、デーツ、アボカド、アプリコット、キウイフルーツ、クランベリー、ブルーベリー、イチジク、カラント、グーズベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ナス、ニンジン、カブ、カリフラワー、ブロッコリー、アスパラガス、マッシュルーム、トリュフ、リーキ、アーティチョーク、タロイモ、オクラ、ヒヨコマメ、キマメ、サヤエンドウ、ソラマメ、インゲンマメ、白インゲンマメ、カキ、カシューアップル、グーズベリー、亜麻仁、カカオ豆、ショウガ、チコリ、カシュー、クルミ、アーモンド、クリ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、竹、ハクサイ、ケール、ディル、フジマメ、ヤエナリ、タマリンド、黒コショウ、クローブ、ドリアン、サゴヤシ、ウコン、バジル、亜麻、ナツメ、赤チコリ、ベニバナ、ゴマ、トルコハシバミ、アルファルファ、アニス、サンザシ、ザクロ、カボチャ、カボチャ、スカッシュ、マルメロ、サフラン、セロリ、チャービル、エンダイブ、ホップ、ラベンダー、パセリ、ペパーミント、ダイオウ、ローズマリー、ルタバガ、セージ、ギシギシ、タイム、ササゲ、レンズマメ、テフ、アマランス、クズウコン、ツナサボテン、アガーベ、ハヤトウリ、チェリートマト、チョコレート、アリタソウ、グリーンサポテ、ライマメ、テキーラリュウゼツ、チェリモヤ、パッションフルーツ、モモミヤシ、ペピーノ、ブラジルナッツ、メロン、メキャベツ、サボテン、コラードの葉、カラシナの葉、フダンソウ、スプラウト、ゼラニウム、ベゴニア、ホウセンカ、ペチュニア、パンジー、スイートピー、キンギョソウ、ロベリア、ノコギリソウ、タチアオイ、ツルノゲイトウ、アリッサム、アネモネ、オダマキ、アルメリア、ヨモギ、ヤナギトウワタ、アスター、オーリニア、カンパニュラ、カンナ、ケイトウ、ベニカノコソウ、キク、ハルシャギク、デロスペルマ、デロスペルマ、デルフィニウム、ナデシコ、ジギタリス、ダスティーミラー、ムラサキバレンギク、ヒゴタイ、エゾスズシロ、ポインセチア、オーナメンタルグラス、エリシム、テンニンギク、ガウーラ、ガーベラ、ダイコンソウ、ムギワラギク、ツボサンゴ、ハイビスカス、オトギリソウ、ハルザキスノーフレーク、デイジー、リシアンサス(lisianthus)、観賞用キビ、セイヨウヤマハッカ、マツヨイグサ、オレガノ、ケシ、ペンステモン、ペンタス、フロックス、キキョウ、ユリ、サクラソウ、ルドベッキア、ギボウシ、マツムシソウ、ベンケイソウ、アラセイトウ、ヨモギギク、クワガタソウ、ビンカ、スミレ、ガマズミ、シモツケ、ナツツバキ、カエデ、シャクヤク、モクレン、アジサイ、アヤメ、ハナズオウ、フウチョウソウ、シーダー、コレウス、イカリソウ、ザイフリボク、クリスマスローズ、フォサーギラ、マンサク、アリウム、バラ、ツツジ、アザレア、ロシアンセージ、イチイ、ランタナ、クロッカス、マリーゴールド、トウダイグサ、カリブラコア(calibrachoa)、バーベナ、クサトベラ、カンゾウ、シネラリア、ヘリオトロープ、ミゾホオズキ、ネメシア、ヒャクニチソウ、オステオスペルマム、アルジランセマム(argyranthemum)、センダングサ、ルリマガリバナ、コスモス、ガザニア、キンレンカ、スターチス、チトニア、サボテン、コチョウラン、シンビジウム、カトレア、ジゴペタラム(zygopetalum)、ミルトニオプシス(miltoniopsis)、オンシジウム、デンドロビウム、アンスリウム、観葉植物、ニューギニアインパティエンス、シダ、テッポウユリ、スイセン、ヒヤシンス、チューリップ、マンデビラ、アフリカスミレ、カタバミ、スパティフィルム、ジャスミン、クンシラン、イースターカクタス、シャコバサボテン、クリスマスカクタス、グロキシニア、コエビソウ、ブロミリアド、カランコエ、シクラメン、アマリリス、オランダカイウ、ダリア、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0173】
本明細書で使用される場合、作物収量(crop yield)は、単位面積当たりの作物バイオマスを意味する。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記ソーラーパネルによって透過される第1波長範囲内の光の下で栽培される植物の作物収量は、全スペクトル(full spectrum)光の下で栽培される点以外は同一である条件下において栽培される植物と比較して、50%以下(例えば、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下)だけ減少する。
【0174】
少なくとも1つの例示的実施形態によるTPV200が
図2に示されている。TPV200は一般に、第1電極202と、第2電極204と、第1電極202と第2電極204との間のアクティブ層(活性層)206と、を含む。少なくとも1つの例示的実施形態では、第1電極202および第2電極204のうちの一方または両方は、透明基板208上に配置され得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、基板と電極との見分けがつかなくなるように、第1電極202は、透明基板208上に配置され、電極として働く材料を含んでもよい(図示せず)。
【0175】
TPV200(例えば、直接光を受け取る表面と光を透過させる表面との間のTPV200全体)は、上述した特性のうちの任意の特性を有し得る。これには、APT、DLI、eDLI、YPFD、実質的な吸収性を有する波長、最大ピーク吸収における波長、波長カットオフ、青色光透明度(transparency)、緑色光透明度、赤色光透明度、遠赤外光透明度、SHGC、透過ヘイズ、CRI、PCE、および/またはLUE*が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、TPV200は、上記の作物収量において上に列挙された光合成有機体のいずれかへ光を透過させるために使用されてもよい。
【0176】
アクティブ層206は、波長選択性光吸収材料を含む。波長選択性光吸収材料は、電子ドナーまたは電子アクセプタであってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、TPV200は、2つ以上のアクティブ層206を含んでもよい。波長選択性光吸収材料およびTPVデバイス200は、植物等の生活有機体の成長および/または収量の増大を促進する光を透過させるように構成されている。
【0177】
少なくとも1つの例示的実施形態では、波長選択性光吸収材料は、ポリマー、非フラーレンアクセプタ(non-fullerene acceptor:NFA)、またはポリマーとNFAとの両方である。例として、ポリマーには、D18、DPP2T(DT-PDPP2T-TT)、DPP-DTT、J52、PBDB-T、PBDB-T-2Cl、PBDB-T-2F、PBDD4T、PBDD4T-2F、PBDTT-DPP、PBDTTPD、PBDTTT-C-T、PBDTTTPD、PCDTBT、PDBD-T-SF、PDPP3T、PDPP4T、PDPP4T-2F、PffBT4T-2OD、PffBT4T-C9C13、PJ71、PMDPP3TPDBT-co-TT、PTB7、および/もしくはPTB7-Th(PCE10))、またはこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。例として、NFAには、6TIC、BODIPYBTP-4Cl-12、BTP-4F-12(Y6-BO)、BTP-eC9、COi8DFIC(O6T-4F)、COTIC-4Cl、COTIC-4F、DTY6、eC9-2Cl、FBR、IDIC-4F、IDT-2Br、IEICO-4Cl、IEICO-4F、IHIC、IO-4Cl、ITIC、ITIC-2F、ITIC-4Cl、ITIC-4F、ITIC-M、ITIC-Th、L8-BO、L8-BO-F、N3、o-IDTBR、TPT-10、TPT10-C8C12、Y6(BTP-4F)、Y7、ZY-4Cl、またはこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。
【0178】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記波長選択性光吸収材料には、2020年7月7日に出願された「UV Harvesting Transparent Photovoltaics」という名称の、Luntらの米国特許出願公開第2020/0343053号に記載された材料が含まれる。当該出願は、参照によってその全体が本明細書に援用される。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記波長選択性光吸収材料は、金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金、またはこれらの組み合わせである。前記金属ハロゲン化物には、PbI2、PbCl2、PbBr2、PbIXBr(1-X)、PbIXCl(1-X)、PbBrXCl(1-X)、SnI2、SnCl2、SnBr2、SnIXBr(1-X)、SnIXCl(1-X)、SnBrXCl(1-X)、GeI2、GeCl2、GeBr2、GeIXBr(1-X)、GeIXCl(1-X)、GeBrXCl(1-X)、InI3、InCl3、InBr3、TiI3、TiCl3、TiBr3、GaI3、GaBr3、GaCl3、AlCl3、AlBr3、AlI3、A2TiI6、A2TiCl6、およびA2TiBr6が含まれてもよい。ここで、Aは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、またはこれらの任意の組み合わせ)、有機カチオン(メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウム、またはこれらの任意の組み合わせ)、またはこれらの任意の組み合わせである;前記金属窒化物は、In(X)Ga(1-X)NおよびIn(X)Al(1-X)Nのうちの少なくとも一方を含む;前記金属硫化物は、ZnS(X)Se(1-X)を含む;金属セレン化物は、ZnSe、ZnO(X)Se(1-X)、およびZn(X)Mg(1-X)Seのうちの少なくとも1つを含む;前記金属テルル化物は、Zn(X)Mg(1-X)TeおよびBeSe(X)Te(1-X)のうちの少なくとも1つを含む。ここで、上式の全てについて、0≦X≦1である。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記波長選択性光吸収材料は、In(X)Ga(1-X)N(0.05≦X≦0.25)、In(X)Al(1-X)N(0.25≦X≦0.7)、ZnS(X)Se(1-X)(0.1≦X≦0.9)、Zn(X)Mg(1-X)SE(0.05≦X≦0.5)、Zn(X)Mg(1-X)Te(0.05≦X≦0.95)およびBeSe(X)Te(1-X)(0.6≦X≦1)を含む。
【0179】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記波長選択性光吸収材料には、2020年5月5日に出願された「Enhancing the Lifetime of Organic and Organic Salt Photovoltaics」という名称の、Luntらの米国特許出願公開第2020/0303667号に記載された材料が含まれる。当該出願は、参照によってその全体が本明細書に援用される。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記波長選択性光吸収材料には、中性有機分子または有機塩が含まれる。少なくとも1つの例示的実施形態では、光活性中性有機分子は、シアニン、フタロシアニン、ポルフィリン、チオフェン、ペリレン、ポリマー、これらの誘導体、またはこれらの任意の組み合わせである。例えば、フタロシアニンは、銅フタロシアニン、およびクロロアルミニウムフタロシアニン(ClAlPc)を含んでもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、光活性有機塩は、ポリメチン塩、シアニン塩、これらの誘導体、またはこれらの任意の組み合わせである。対イオンの存在下で有機塩を形成する適切な有機イオン(これらはその誘導体に対して「基礎イオン」である)の例として、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(1024nmにおけるピーク吸収)、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-クロロ-シクロヘキサ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(1014nmにおけるピーク吸収)、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘキサ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(997nmにおけるピーク吸収)、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(996nmにおけるピーク吸収)、1-ブチル-2-[7-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-ヘプタ-1,3,5-トリエニル]-ベンゾ[cd]インドリウム(973nmにおけるピーク吸収)、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-エチル-2H-ベンズ[e]インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3,3-ジメチル-1-エチル-1H-ベンズ[e]インドリウム(“Cy+”;820nmにおけるピーク吸収)、N,N,N’,N’-テトラキス-(p-ジ-n-ブチルアミノフェニル)-p-ベンゾキノン-ビス-インモニウム(1065nmにおけるピーク吸収)、4-[2-[2-クロロ-3-[(2,6-ジフェニル-4H-チオピラン-4-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-2,6-ジフェニルチオピリリウム、1-ブチル-2-[2-[3-[(1-ブチル-6-クロロベンズ[cd]インドール-2(1H)-イリデン)エチリデン]-2-クロロ-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-6-クロロベンズ[cd]インドリウム、1-ブチル-2-[2-[3-[(1-ブチル-6-クロロベンズ[cd]インドール-2(1H)-イリデン)エチリデン]-2-クロロ-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-6-クロロベンズ[cd]インドリウム、ジメチル{4-[1,7,7-トリス(4-ジメチルアミノフェニル)-2,4,6-ヘプタトリエニリデン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}アンモニウム、5,5’-ジクロロ-11-ジフェニルアミノ-3,3’-ジエチル-10,12-エチレンチアトリカルボシアニン、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-2H-ベンゾ[e]-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[e]インドリウム、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロペンテン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム、2-[2-[3-[(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2-イリデン)エチリデン]-2-(フェニルチオ)-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-3,3-ジメチル-1-プロピルインドリウム、1,1’,3,3,3’,3’-4,4’,5,5’-ジ-ベンゾ-2,2’-インドトリカルボシアニンパークロレート、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム、3,3’-ジエチルチアトリカルボシアニン、2-[[2-[2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン]メチル]-3-エチル、2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5-ヘプタトリエニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム、シアニン3(Cy3)、シアニン3.5(Cy3.5)、シアニン5(Cy5)、シアニン5.5(Cy5.5)、シアニン7(Cy7)、シアニン7.5(Cy7.5)、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書において使用される場合、有機イオンの「誘導体」は、基礎有機イオンに類似するが、例えば、様々なアルキル鎖長を有する可溶化基または他の可溶化基での置換にみられるような軽微な変化、バリエーション、または置換であって、バンドギャップまたは電子的特性、ならびに、様々なハロゲン化物または配位子を有する中央のメタンの位置における置換基(X、Y)を実質的に変化させない変化、バリエーション、または置換を含む有機イオンを指し、または当該有機イオンを含む。有機イオンと塩を形成する対イオン(これらはその誘導体に対して「基礎対イオン」である)の例として、ハロゲン化物、例えば、F-、Cl-、I-、およびBr-;アリールボレート、例えば、テトラフェニルボレート、テトラ(p-トリル)ボレート、テトラキス(4-ビフェニリル)ボレート、テトラキス(1-イミダゾリル)ボレート、テトラキス(2-チエニル)ボレート、テトラキス(4-クロロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-tert-ブチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TPFB)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート(TFM)、[4-[ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィノ]-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]ヒドロビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]ヒドロビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート;カルボラン、(Λ,R)-(1,1’-ビナフタレン-2,2’ジオラート)(ビス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V))(BINPHAT)、[Δ-トリス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V)](TRISPHAT);フルオロアンチモネート、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6
-);フルオロホスフェート、例えば、ヘキサフルオロホスフェート(PF6
-);フルオロボレート、例えば、テトラフルオロボレート(BF4);これらの誘導体;または、これらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書において使用される場合、対イオンの「誘導体」は、基礎対イオンに類似するが、有機イオンと塩を形成する対イオンの能力を実質的に変化させない、軽微な変化、バリエーション、または置換を含む対イオンまたはアニオンを指し、または当該対イオンまたはアニオンを含む。
【0180】
少なくとも1つの例示的実施形態では、TPV200は、任意選択的に、電子アクセプタを含む相補層210を含む。相補層210は、図示のように別個の層とすることができ、またはアクティブ層206に含めてもよい。したがって、アクティブ層206は、有機光活性成分および電子アクセプタを含み、有機光活性成分および電子アクセプタから実質的になり、もしくは有機光活性成分および電子アクセプタからなり得、または、アクティブ層16は、有機光活性成分を含み、有機光活性成分から実質的になり、もしくは有機光活性成分からなり得る。本明細書で使用される場合、「から実質的になる」という語は、電子ドナー(光活性成分)と電子アクセプタとのペアリング(pairing)によって生成される活性(activity)に実質的に影響を及ぼさない(すなわち、約10%未満の影響を及ぼす)、微量(すなわち、約10重量%以下)の追加的な不可避の不純物物質のみを層が含み得ることを意味する。
【0181】
アクティブ層またはドナー層206によって、第1厚さまたはドナー厚さ220が定められてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、第1厚さ220は、約3nm以上(例えば、約5nm以上、約10nm以上、約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約30nm以上、約40nm以上、約50nm以上、約60nm以上、約70nm以上、約80nm以上、または約90nm以上)である。第1厚さ220は、約100nm以下(例えば、約90nm以下、約80nm以下、約70nm以下、約60nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、または約5nm以下)であってもよい。
【0182】
相補層210によって、第2厚さまたはアクセプタ厚さ222が定められてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、第2厚さ222は、約3nm以上(例えば、約5nm以上、約10nm以上、約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約30nm以上、約40nm以上、約50nm以上、約60nm以上、約70nm以上、約80nm以上、または約90nm以上)である。第2厚さ222は、約100nm以下(例えば、約90nm以下、約80nm以下、約70nm以下、約60nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、または約5nm以下)であってもよい。
【0183】
TPV200によって、第3厚さまたは全体厚さ224が定められてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、全体厚さ224は、約10nm以上(例えば、約20nm以上、約30nm以上、約40nm以上、約50nm以上、約75nm以上、約125nm以上、約150nm以上、約175nm以上、約200nm以上、または約225nm以上)である。全体厚さ224は、約250以下(例えば、約225nm以下、約200nm以下、約175nm以下、約150nm以下、約125nm以下、約100nm以下、約75nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約30nm以下、または約20nm以下)であってもよい。
【0184】
図示されていないが、少なくとも1つの例示的実施形態では、TPVは、層206、層210および電極202、電極204のいずれかの間に配置された1または複数のバッファ層(図示せず)をさらに含む。バッファ層は、励起子を遮断し、仕事関数または収集障壁(collection barrier)を修正し、オーダリング(ordering)またはテンプレーティング(templating)を誘起し、かつ/または光学スペーサとして機能し得る。
【0185】
少なくとも1つの例示的実施形態では、電極202、電極204には、薄金属(例えば、Ag、Au、Al、および/またはCu)、インジウム酸化スズ(indium tin oxide:ITO)、酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、金属ナノチューブ、金属ナノワイヤ(例えば、Ag、Au、Al、および/またはCu)、導電性low-eスタック、low-e単一銀スタック、low-e二重銀スタック、low-e三重銀スタック、またはこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。
【0186】
少なくとも1つの例示的実施形態では、透明基板208には、ガラス、プラスチック(例えば、ポリテチレン(polythethylene)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、および/またはポリジメチルシロキサン)、またはこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。また、波長選択性光吸収材料に加えて、電極202、電極204および任意選択的な透明基板208が、光の透過を可能とする必要があり、TPV200またはデバイススタックの全体が、一体化されたとき、少なくとも1つの例示的実施形態では、デバイス全体を通した所望の波長選択性の吸収または透過の性質を示す必要がある。多機能TPVが形成されるように、複数のTPV200がモノリシックに(monolithically)、またはそれ以外の方法で積層され得る。
【0187】
少なくとも1つの例示的実施形態では、追加的または代替的に、TPV200は、2017年8月8日に発行された「Transparent Photovoltaic Cells」という名称の、Bulovicらの米国特許第9,728,735号に記載された材料、および/または、2020年10月27日に出願された「Flexible Inorganic Perovskite Solar Cells and Room-Temperature Processing Thereof」という名称の、Luntらの米国特許出願公開第2021/0233717号に記載された材料を含んでもよい(これらはいずれも、その全体が参照によって本明細書に援用される)。これらは、光合成有機体へ光を透過させるためのTPV200の使用のための所望の性能特性を満たすことができる。
【0188】
図3Aを参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態によるTLSC300が示されている。TLSC300は、導波路または基板302を備える。導波路302は、入射光等の光を受け取る第1表面304と、光を透過させる反対側の第2表面306と、を備える。導波路302はさらに、複数のエッジ308を含む。導波路302は、可視的に透明な材料を含む。
【0189】
TLSC300(例えば、直接光を受け取る表面と光を透過させる表面との間のTLSC300全体)は、上述した特性のうちの任意の特性を有し得る。これには、APT、DLI、eDLI、YPFD、実質的な吸収性を有する波長、最大ピーク吸収における波長、波長カットオフ、青色光透明度、緑色光透明度、赤色光透明度、遠赤外光透明度、SHGC、透過ヘイズ、CRI、PCE、および/またはLUE*が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、TLSC300は、上記の作物収量において上に列挙された光合成有機体のいずれかへ光を透過させるために使用されてもよい。
【0190】
以下により詳細に説明するように、導波路302は、発光団または導波路方向転換材料310(または、複数の発光団)と接触している。発光団310は、導波路302内に埋め込まれてもよく、導波路302上に直接的に配置されてもよく、導波路302上の層またはフィルム内に設けられてもよく、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。導波路302は、1または複数の異なる発光団を含んでもよい。TLSC300は、複数の導波路302であって、各々が同じ発光団310および/または異なる発光団310を有する複数の導波路302を含んでもよい。これらの複数の導波路は、同じPVセルまたは異なるPVセル(例えば、後述するPVセル326を参照)に結合させて、多接合デバイス(multi-junction device)を作製することができる。
【0191】
図3Bは、導波路302の第1表面304上において第1波長範囲内の光320と第2波長範囲内の光322とを受け取るTLSC300を示す。発光団310は、第2波長範囲の光322の少なくとも一部を吸収する。しかしながら、発光団310は、第1波長範囲内の光320を実質的に吸収せず、第1波長範囲内の光320は、導波路302の第2表面306を通過する。吸収された光322は、発光団310を励起し、発光団310は、異なる波長の光324を放出し、光324は、導波路302によって複数のエッジ308へ案内される。したがって、TLSC300は、光322を取り込み、導波路302は、発光団310から放出された光324を案内する。
【0192】
放出された光324は、表面304、表面306のうちの1または複数の表面に接続され(例えば、表面304、表面306の一部分の上に接続され、複数のエッジ308のうちの1または複数のエッジに隣接して接続され)、かつ/または複数のエッジ308に接続された太陽光発電(PV)セル326またはアレイへ方向付けられ、電気が生成される。追加的または代替的に、TLSC300は、第1表面304、第2表面306に接続され、かつ/または第1表面304と第2表面306との間の導波路302内に埋め込まれたPVセルまたはPVアレイを含み得る。
【0193】
少なくとも1つの例示的実施形態では、PVセル326は、ゲルマニウム(Ge);アモルファス(amorphous)ゲルマニウム(a-Ge);ガリウム(Ga);ガリウムヒ素(GaAs);シリコン(Si);アモルファスシリコン(a-Si);シリコン-ゲルマニウム(SiGe);アモルファスシリコン-ゲルマニウム(a-SiGe);ガリウムインジウムリン(gallium indium phosphide)(GaInP);セレン化銅インジウム(copper indium selenide)、硫化銅インジウム(copper indium sulfide)、またはこれらの組み合わせ(CIS);セレン化銅インジウムガリウム(copper indium gallium selenide)、硫化銅インジウムガリウム(copper indium gallium sulfide)、またはこれらの組み合わせ(CIGS);テルル化カドミウム(CdTe);ペロブスカイト(PV)、例えば、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbCl3およびCH3NH3PbBr3;または、これらの任意の組み合わせを含む。
【0194】
発光団310は、植物等の光合成有機体の成長の増大および/または品質の向上を促進する光を透過させるように波長選択性を有するよう構成されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、TLSC300は、主として生活有機体によって利用されない光を取り込む発光団であって、その後、より深く近赤外において光を放出する発光団を含む。追加的または代替的に、TLSC300は、(ダウンシフトまたはアップコンバージョンを介して)PARスペクトルの光を放出して、パワーを生成するとともに導波路から漏出した放射からの利用可能なDLIを高める発光団310を含み得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、放出された光の70~80%は、発電のためにエッジへ案内されるが、20~30%は、導波路の前部/後部から漏れ得、植物にとって有用となり得るだろう。
【0195】
少なくとも1つの例示的実施形態では、導波路302は透明である。導波路302には、ガラス、プラスチック(例えば、ポリテチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、および/またはポリプロピレン、および/またはポリ塩化ビニル)、またはこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、導波路302によって、約50μm以上(例えば、約0.1mm以上、約0.3mm以上、約0.5mm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、約5mm以上、約10mm以上、または約15mm以上)の厚さ328が定められる。厚さ328は、約20mm以下(例えば、約15mm以下、約10mm以下、約5mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約0.5mm以下、約0.3mm以下、または約0.1mm以下)であってもよい。
【0196】
また、発光団310の組成、濃度、分子配向、および/またはホスト相互作用は、APT、AVT、CRI、DLI、a*b*、およびPCEに影響を及ぼす。少なくとも1つの例示的実施形態では、発光団310は、(1以上の)ナノクラスタ(nanocluster:NC)、(1以上の)シアニン、(1以上の)シアニン塩、(1以上の)ポルフィリン、(1以上の)BODIPY、(1以上の)スクアリン(squaraine)、(1以上の)ヘプタメチン、(1以上の)非フラーレンアクセプタ(non-fullerene acceptor:NFA)、(1以上の)ハライドペロブスカイト(halide perovskite)、(1以上の)量子ドット、またはこれらの任意の組み合わせを含む。少なくとも1つの実施形態では、発光団310は、1-ブチル-2-[7-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-ヘプタ-1,3,5-トリエニル]-3,3-ジメチル-3Hインドリウム;1-ブチル-2-[3-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-プロペニル]-ベンゾ[cd]インドリウム;2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム;2-(2-[2-クロロ-3-[2-(3-エチル-1,1-ジメチル-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[e]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-シクロヘキサ-1-エニル]-ビニル)-3-エチル-1,1-ジメチル-1H-ベンゾ[e]インドリウム;1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム2-[2-[2-クロロ-3-[2-[1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-(4-スルホブチル)-2H-インドール-2-イリデン]-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3,3-ジメチル-1-(4-スルホブチル)-3H-インドリウム;COi8DFIC;BODIPY;BODIPY誘導体;2-((E)-2-((E)-2-(ジエチルアミノ)-3-(2-((E)-1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)ビニル)-1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウムヨージド(Cy7-NEt2-I);2-((E)-2-((E)-2-(ジエチルアミノ)-3-((E)-2-(3-エチル-1,1-ジメチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e]インドール-2-イリデン)エチリデン)シクロヘキサ-1-エン-1-イル)ビニル)-3-エチル-1,1-ジメチル-1H-ベンゾ[e]インドール-3-イウムヨージド(Cy7.5-NEt2-I);六核金属ハロゲン化物ナノクラスタ;M6X12(例えば、M=Mo、Ta、Nb、W;X=F、Cl、Br、I);A2M6X14(例えば、A=Cs、Rb、K、Na;M=Mo、Ta、Nb、W;X=F、Cl、Br、I);A2M6X8L6(例えば、A=Cs、Rb、K、Na;M=Mo、Ta、Nb、W;X=F、Cl、Br、I;L=短鎖脂肪酸、例えば、アセタート(acetate)、プロピオナート(propionate)、ブチラート(butyrate)、トリフルオロアセタート(trifluoroacetate)、フルオロプロピオナート(fluoropropionate)、および/またはヘプタフルオロブチラート(heptafluorobutyrate))、またはこれらの組み合わせを含む。
【0197】
少なくとも1つの例示的実施形態では、発光団310は、2021年1月19日に出願された「High-Performance Near-Infrared Harvesting Transparent Luminescent Solar Concentrators」という名称の、LuntらのPCT特許出願公開WO2021/150504号に記載された発光団を含む。当該出願は、その全体が参照によって援用される。少なくとも1つの例示的実施形態では、発光団310は、非フラーレンアクセプタ(電子アクセプタ)(例えば、チオフェン、ポリチオフェン、またはこれらの組み合わせ)である。チオフェンおよびポリチオフェンの例として、2,2’-[[4,4,11,11-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-4,11-ジヒドロチエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3-d]チエノ[2’’’’,3’’’’:4’’’,5’’’]チエノ[2’’’,3’’’:4’’,5’’]ピラノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]ピラン-2,9-ジイル]ビス[メチリジン(5,6-ジフルオロ)(COi8DFIC)、3,9-ビス(2-メチレン-(3-(1,1-ジシアノメチレン)-インダノン))-5,5,11,11-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-ジチエノ[2,3-d:2’,3’-d’]-s-インダセノ[1,2-b:5,6-b’]ジチオフェン)(ITIC)、2,2’-[[4,4,9,9-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-4,9-ジヒドロ-s-インダセノ[1,2-b:5,6-b’]ジチオフェン-2,7-ジイル]ビス[[4-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-5,2-チオフェンジイル]メチリジン(5,6-ジフルオロ-3-オキソ-1H-インデン-2,1(3H)-ジイリデン)]]ビス[プロパンジニトリル](IEICO-4F)、約50%を超えて各分子量を変化させず、各チオフェン骨格を保持するこれらの誘導体、およびこれらの組み合わせが挙げられる。少なくとも1つの例示的実施形態では、発光団310は、ボロン-ジピロメテン(BODIPY)である。少なくとも1つの例示的実施形態では、以下のBODIPY骨格を維持するBODIPY誘導体、例えば、BOD-66、Keio Flours(KFL)、オリゴチエニル-BODIPY、4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン、「ジグザグ」エッジ融合(“zig-zag” edge-fused)BODIPY、アザ-BODIPY、[a]-融合BODIPY、[b]-融合BODIPY、およびこれらの組み合わせである。これらの化合物は、任意選択的に、BODIPYと組み合わせて使用できる。少なくとも1つの例示的実施形態では、発光団310は、チオフェン、ポリチオフェンおよびBODIPY’S任意の組み合わせであり得る。発光団310は、第1発光団および第2発光団を含み得る。当該第1発光団は、チオフェンまたはポリチオフェンであり、当該第2発光団は、BODIPYである。少なくとも1つの例示的実施形態では、発光団310は、発光ナノクラスタ(luminescent nanocluster)である。少なくとも1つの例示的実施形態では、発光ナノクラスタは、六核クラスタ、八面体クラスタ、四面体クラスタ、Chevralクラスタ、エッジキャップハロゲン化物クラスタ(edge-capped halide cluster)、金属クラスタ、またはカルコゲニドクラスタであり得る。当該六核クラスタは、燐光金属ハロゲン化物ナノクラスタまたは燐光金属ハロゲン化物ナノクラスタ塩を含み得る。金属ハロゲン化物または金属ハロゲン化物塩は、例えば、M6X12、M6X12
*nR、A2M6X14、A2M6X14
*nR、EM6C14、EM6X14
*nR、M6X8L6、A2M6X8L6、M6Y14、M6X14
*nR、A4M6X18、またはA4M6X18
*nRであり得る。ここで、Mは、金属を表し、Xは、ハロゲンを表し、AおよびEはそれぞれ、末端1+カチオンおよび末端2+カチオンを表し、Rは、第1配位子を表し、Lは、第2配位子、例えば、プロピオナートまたはペンタフルオロプロプリオナート(pentafluoroproprionate)を表し、nは、0~M+Xの値である。Mは、Mo、W、Cr、Mn、To、Re、Cu、Ti、V、Ta、Nb、Sn、Zn、Zr、またはGaである;Xは、F、Cl、Br、I、Atまたはこれらの混合物である;Aは、FT、H30+、K+、Na+、Li+、Rb+、Cu+、Cs+、アンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム(TBA)、またはNRVである。ここで、R’は、独立してアルキル基またはアリール基から選択され、R’は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アジド、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C1-10アルコキシ、C1-10アルコキシアルキル、C1-10アルカノイル、C1-10アルカノイルオキシ、N-(C1-10アルキル)アミノ、N,N-(Ci-ioアルキル)2アミノ、C1-10アルカノイルアミノ、N-(Ci-ioアルキル)カルバモイル、N,N-(Ci-ioアルキル)2カルバモイル、C1-10アルキル-S(0)a(aは、0、1または2)、Ci-ioアルコキシカルボニル、N-(Ci-ioアルキル)スルファモイル、N,N-(Ci-ioアルキル)2スルファモイル、H2NS(0)2NH-、N-(CI-IOアルキル)NHS(0)2NH- N,N-(Ci-ioアルキル)2NS(0)2NH-アリール、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル(C=0)-、ヘテロシクリルオキシおよびヘテロシクリルチオのうちの1以上によって任意選択的に置換される;Lは、F、Cl、Br、I、At、S、プロピオナート、ペンタフルオロプロプリオナート、またはこれらの混合物であり、Eは、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Cu2+、Ni2+、Ti2+、Ba2+またはこれらの混合物である;Rは、H2O、CH3CN、または他の任意の溶媒和物である。少なくとも1つの例示的実施形態では、金属ハロゲン化物クラスタ(例えば、燐光金属(II)ハロゲン化物クラスタ)は、配位子交換反応によって親塩化合物から修飾することができる。親イオンは、通常、M(V)X5の還元によって合成され、またはM(II)X2の形態で直接的に得られる。Mo系クラスタの場合、親化合物は、HCl塩への転化によって精製され、これは減圧下での熱処理によってM(II)X2またはM(II)X12に戻される。配位子交換はソックスレー抽出器中で、または酸性溶液中で遊離カチオンの存在下で直接反応させることによって実施することができ、それぞれ様々な錯体または塩を形成する。ここで合成される金属ハロゲン化物錯体(水和物および塩)の選択された範囲の特性は、約1%~約70%超の量子収率を示す。多くのアミンおよびチオール系配位子は、チオレートおよびアミン配位を介して、末端ハロゲン化物の周囲で置換され得る。M、XおよびLは、MX2.L2、AMX2.L2、M6X12.L2、A2M6X14、およびA2M6X14.L2において異なり、M=W、MoならびにX=Cl、Br、IならびにL=Cl、CFhCN、ベンゼンチオール、エタンチオール、H2O(水和物)、HCl、アセトニトリル(CAN)ならびにA=K、Na、テトラブチルアンモニウム(TBA)、およびその他のアンモニウム塩を含む。さらに、アミンおよびアンモニウム塩は、ポリマー鎖骨格に容易に固定されて、粒子分離を高め、量子収率を増加させることができる。燐光ナノクラスタの例として、K2MO6Cl14、TBA2M06Cl14、(H3O)2MO6Cl14、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0198】
少なくとも1つの例示的実施形態では、発光団310の濃度は、約0.001mg/mL以上(例えば、約0.002mg/mL以上、約0.005mg/mL以上、約0.01mg/mL以上、約0.05mg/mL以上、約0.1mg/mL以上、約0.2mg/mL以上、約0.5mg/mL以上、約1mg/mL以上、約2mg/mL以上、約5mg/mL以上、約10mg/mL以上、約15mg/mL以上、約20mg/mL以上、約30mg/mL以上、約40mg/mL以上、または約50mg/m以上)であってもよい。濃度は、約100mg/mL以下(例えば、約90mg/mL以下、約80mg/mL以下、約70mg/mL以下、約60mg/mL以下、約50mg/mL以下、約25mg/mL以下、約10mg/mL以下、約5mg/mL以下、約1mg/mL以下、約0.1mg/mL以下、または約0.01mg/mL以下)であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、APT、AVT、CRI、およびDLIは一般に、濃度が増大するにつれて低下し得る。ここで、低下の速度は、選択的スペクトル取り込み範囲に依存することとなる。少なくとも1つの例示的実施形態では、|a*||b*|は、濃度とともに増大してその後に飽和し、または濃度とともに増大してその後に濃度のさらなる増大に従い減少する。
【0199】
少なくとも1つの実施形態において、TLSC300は、2018年5月29日に発行された「Visibly Transparent, Luminescent Solar Concentrator」という名称の、Luntらの米国特許第9,985,158号に記載された材料;2021年3月19日に出願された「Transparent Luminescent Solar Concentrator」という名称の、Luntらの米国出願第17/277807号に記載された材料;および、2020年11月6日に出願された「Near-Infrared Harvesting Transparent Luminescent Solar Concentrators with Engineered Stokes Shift」という名称の、Luntらの米国特許出願公開第2021/0230427号に記載された材料を含んでもよい。これらの出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0200】
TPV200および/またはTLSC300は、フレームを含むデバイス(例えば、シングルデバイス(single device)、カプセル化デバイス(encapsulated device))および/またはモジュール(例えば、ミニモジュール(mini-module)、フルサイズモジュール(mini-module))であり得る。本明細書で使用される場合、モジュールは、直列(電圧を構成するため)および並列(電流を構成するため)のセルを用いて電圧および電流が構成されるように一緒に配列された個々のデバイスのアレイである。フレームは、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、および/または粉体塗装アルミニウム)、木材、もしくはプラスチック(例えば、ポリテチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、および/またはポリプロピレン、および/またはポリ塩化ビニル)、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい
【0201】
フレームは、フレームによって、光の吸収よりもむしろ(それぞれのTPV200および/またはTLSCにおける可能な透過または吸収のために)光の散乱および/または反射を促進する色を有し得る。フレーム色は、RGB十進コード(R、G、B)によって記述され得る。ここで、Rは赤色であり、Gは青色であり、Bは青である。少なくとも1つの例示的実施形態では、R、G、およびBは全て、約150以上(例えば、約170以上、約180以上、約190以上、約200以上、約210以上、約220以上、約230以上、約240以上、または約250以上)である。R、B、Gは各々、約255以下(例えば、約250以下、約240以下、約230以下、約220以下、約210以下、または約200以下)であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記フレーム色には、(255,255,255)のRGB十進コードを有する白色が含まれる。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記フレーム色には、(192,192,192)のRBG十進コードを有する銀色が含まれる。R、B、Gは、それらが同じものとなり、かつ/または異なるものとなるように、独立して選択され得る。追加的または代替的に、前記フレーム色は、CIE L*a*b*座標によって記述され得る。ここで、(0,0)は白である。少なくとも1つの実施形態において、a*およびb*はともに、-2以上2以下(例えば、-1.75以上1.75以下、-1.5以上1.5以下、-1.25以上1.25以下、-1以上1以下、-0.75以上0.75以下、-0.5以上0.5以下、または-0.25以上0.25以下)である。a*およびb*は、それらが同じものとなり、または異なるものとなるように、独立して選択され得る。
【0202】
少なくとも1つの他の例示的実施形態では、前記フレームは、PVセルを含む。PVセルは、ゲルマニウム(Ge);アモルファス(amorphous)ゲルマニウム(a-Ge);ガリウム(Ga);ガリウムヒ素(GaAs);シリコン(Si);アモルファスシリコン(a-Si);シリコン-ゲルマニウム(SiGe);アモルファスシリコン-ゲルマニウム(a-SiGe);ガリウムインジウムリン(GaInP);セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、またはこれらの組み合わせ(CIS);セレン化銅インジウムガリウム、硫化銅インジウムガリウム、またはこれらの組み合わせ(CIGS);テルル化カドミウム(CdTe);ペロブスカイト(PV)、例えば、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbCl3およびCH3NH3PbBr3;または、これらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0203】
ソーラーパネル(例えば、TPV200および/またはTLSC300)、ソーラーパネルを含むデバイス、および/またはソーラーパネルを含むモジュールは、構造物において使用され得る。当該構造物には、包囲構造物(例えば、
図4参照)および/または開放(非包囲)構造物(例えば、
図5A~
図12参照)が含まれる。例として、包囲構造物には、温室、ファイトバイオトロン、ファイトトロン、フープハウス、またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。開放システムには、独立した構造物としてのセルもしくはアレイ(例えば、
図5A~
図10参照)、または農業機器(設備)もしくはその他の機器と組み合わせられたセルもしくはアレイ(例えば、
図11A~
図12参照)が含まれ得る。例えば、開放システムは、陸地(例えば、野原、牧草地、農地)および/または水(例えば、河川、湖沼、海洋、湿地)の上に配置されてもよい。
【0204】
構造物は、支持体および/またはアレイフレームを含んでもよい(例えば、
図4のフレーム414、
図5A~
図5Bの支持構造物504、
図6A~
図6Bの支持構造物604、
図7A~
図7Bの支持構造物704、
図8A~
図8Bの支持構造物804、
図9A~
図9Bの支持構造物904、
図10の支持構造物1004、
図11A~
図11Bの支持構造物1104、および
図12の支柱1200を参照)。少なくとも1つの例示的実施形態では、支持体および/またはアレイフレームは、金属から構成されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、ソーラーパネル、デバイス、またはモジュールのための配線は、少なくとも部分的に、支持体および/またはアレイフレーム内にあってもよい(例えば、
図12および関連する説明を参照)。
【0205】
支持体および/またはアレイフレームは、支持体および/またはアレイフレームによって、光の吸収よりもむしろ(それぞれのTPV200および/またはTLSCにおける可能な透過または吸収のために)光の散乱および/または反射を促進する色を有し得る。支持体および/またはアレイフレームの色は、RGB十進コード(R、G、B)によって記述され得る。ここで、Rは赤色であり、Gは青色であり、Bは青である。少なくとも1つの例示的実施形態では、R、G、およびBは全て、約150以上(例えば、約170以上、約180以上、約190以上、約200以上、約210以上、約220以上、約230以上、約240以上、または約250以上)である。R、B、Gは各々、約255以下(例えば、約250以下、約240以下、約230以下、約220以下、約210以下、または約200以下)であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、支持体および/またはアレイフレームの前記色には、(255,255,255)のRGB十進コードを有する白色が含まれる。少なくとも1つの例示的実施形態では、支持体および/またはアレイフレームの前記色には、(192,192,192)のRBG十進コードを有する銀色が含まれる。R、B、Gは、それらが同じものとなり、かつ/または異なるものとなるように、独立して選択され得る。追加的または代替的に、支持体および/またはアレイフレームの前記色は、CIE L*a*b*座標によって記述され得る。ここで、(0,0)は白である。少なくとも1つの実施形態において、a*およびb*はともに、-2以上2以下(例えば、-1.75以上1.75以下、-1.5以上1.5以下、-1.25以上1.25以下、-1以上1以下、-0.75以上0.75以下、-0.5以上0.5以下、または-0.25以上0.25以下)である。a*およびb*は、それらが同じものとなり、または異なるものとなるように、独立して選択され得る。
【0206】
包囲構造物では、ソーラーパネルの構成および/または向きは、構造フレームの設計によって規定されるように固定され得る。例えば屋外の野原における開放構造物では、線形アレイ、0°または90°の固定角度、0°~90°の固定傾斜角度、固定傾斜ポール、および/または多軸追跡ポール等、任意の所望の構成において、PVアレイを配備することができる。寸法および角度は、特定の緯度における太陽軌道を考慮することによって最適化されてもよい。
【0207】
透明ソーラーパネルは、表面(例えば、地面)に対して任意の所望の角度で、例えば、0°(例えば、
図8A~
図8B参照)、90°(例えば、
図5A~
図5B参照)、または45°等の0°~90°の任意の角度(例えば、
図6A~
図7Bおよび
図9A~
図10参照)で、配置されてもよい。前記角度は、一定であっていてもよく、または調整可能であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記角度は、太陽の位置を追跡するように構成されている(例えば、
図9A~
図9Bを参照)。構造物は、単一の支持体(例えば、
図7A~
図7Bおよび
図9A~
図9Bを参照)または複数の支持体(例えば、
図5A~
図6B、
図8A~
図8B、および
図10を参照)を含め、任意の所望の構成を含んでもよい。ソーラーパネルは、両面型(例えば、
図10参照)であってもよい。
【0208】
包囲構造物および非包囲構造物では、隣り合うソーラーパネルは、所望の(あるいは、所定の)第1距離だけ離隔されていてもよい。例えば、前記第1距離によって、ソーラーパネル間の透水が促進されてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記第1距離は、約2mm以上(例えば、約5mm以上、約10mm以上、約25mm以上、約50mm以上、約75mm以上、約1cm以上、約2cm以上、約3cm以上、約4cm以上、約5cm以上、約6cm以上、約10cm以上、約15cm以上、または約20cm以上)である。前記第1距離は、約25cm以下(例えば、約21cm以下、約15cm以下、約7cm以下、約6cm以下、約5cm以下、約4cm以下、約3cm以下、約2cm以下、約1cm以下、約75mm以下、約50mm以下、約25mm以下、約10mm以下、または約5mm以下)であってもよい。
【0209】
隣り合う構造物は、所望の(あるいは、所定の)第2距離だけ離隔されていてもよい(例えば、
図6A~
図6Bを参照)。前記第2距離は、緯度、および/または構造物間を機器が通過するための所望のクリアランス(間隙)によって決定されてもよい。例えば、コンバイン収穫機は、最大モデルで、最大幅60フィート、高さ12~15フィートにもなり得る大型の農業機器である。そこで、パネル間隔(第2距離)および/またはフレーム幅を、これらの機械のために最適化することができ、また、パネル間隔(第2距離)および/またはフレーム幅には、横方向または垂直(縦)方向において衝突を低減または防止するための適切なバッファを与えることができるだろう。少なくとも1つの例示的実施形態では、第2距離は、約10フィート以上(例えば、約20フィート以上、約30フィート以上、約40フィート以上、約50フィート以上、約60フィート以上、約70フィート以上、約80フィート以上、約90フィート以上、または約100フィート以上)であってもよい。前記第2距離は、約100フィート以下(例えば、約90フィート以下、約80フィート以下、約70フィート以下、約60フィート以下、約50フィート以下、約40フィート以下、約30フィート以下、約20フィート以下、または約10フィート以下)であってもよい。
【0210】
少なくとも1つの例示的実施形態では、アレイフレーム離隔距離は、約10フィート以上(例えば、約20フィート以上、約30フィート以上、約40フィート以上、約50フィート以上、約60フィート以上、約70フィート以上、約80フィート以上、約90フィート以上、または約100フィート以上)であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、アレイフレーム離隔距離は、約100フィート以下(例えば、約90フィート以下、約80フィート以下、約70フィート以下、約60フィート以下、約50フィート以下、約40フィート以下、約30フィート以下、約20フィート以下、または約10フィート以下)であってもよい。
【0211】
図4を参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、構造物400(例えば、温室)が示されている。構造物400は、側壁402および屋根404を含む。側壁402および屋根404は協働して、少なくとも部分的に内部領域406を画定する。内部領域406は、外部環境に対して開放した部分を含まないように十分に包囲されている。側壁402および屋根404は平面的に図示されているが、側壁402および/または屋根404の全部または一部は湾曲していてもよい。少なくとも1つの他の例示的実施形態では、構造物は、側面と屋根との両方を形成するドーム状または半球状の形状を有する。
【0212】
側壁402および/または屋根404のうちの少なくとも一方は、TPV200(
図2に示す)および/またはTLSC300(
図3A~
図3Bに示す)等の、透明ソーラーパネル410を含む。内部領域406は、植物412等の1または複数の光合成有機体を含むように構成されている。当該1または複数の光合成有機体は、図示のように、地面に直接的に植え付けられていてもよく、または任意選択的に1もしくは複数のテーブルおよび/もしくは棚上に配置された容器(図示せず)内に植え付けられていてもよい。包囲構造物400は、フレーム414をさらに含む。フレーム414は、光散乱が促進されるよう、上述したような色を有してもよい。
【0213】
非包囲構造物は、所望の任意の高さを有し得る。後述する
図5B、
図6B、
図7B、および
図8Bに示すように、高さは、地面(または、水)と、ソーラーパネルの最も近いエッジもしくは点または底部のエッジもしくは点との間の距離として定義される。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記高さは、約3m以上(例えば、約3.5m以上、約4m以上、約4.5m以上、約5m以上、約5.5m以上、約6m以上、または約6.5m以上)である。前記高さは、約7m以下(例えば、約6.5m以下、約6m以下、約5.5m以下、約5m以下、約4.5m以下、約4m以下、または約3.5m以下)であってもよい。
【0214】
図5A~
図5Bを参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、非包囲構造物または線形フィールドアレイ500が設けられている。アレイ500は、TPV200(
図2に示す)および/またはTLSC300(
図3A~
図3Bに示す)等の、複数の透明ソーラーパネル502を含む。アレイ500は、支持構造物504をさらに含む。透明ソーラーパネル502は、植物508等の光合成有機体を含む領域506へ光を透過させるように構成されている。アレイ500は、ソーラーパネル502に電気的に結合された電子機器アセンブリ510をさらに含む。少なくとも1つの例示的実施形態では、電子機器アセンブリ510は、支持パッドとしても機能し得る。支持構造物504は、フレーム520および複数の支柱522を含んでもよい。フレーム520および/または複数の支柱522は、光散乱が促進されるよう、上述したような色を有してもよい。
【0215】
図5Bを参照すると、アレイ500は、地面等の環境表面526と、ソーラーパネル502の最も近いエッジまたは底部のエッジ528との間に定められる高さ524を有し得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、高さ524は、上述した範囲の内にある。角度は、ソーラーパネル502の表面530と環境表面526との間に定められ得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記角度は、環境表面526に対して実質的に平行となるように、約0°である。そのため、アレイ500は、水平アレイと称され得る。
【0216】
図6A~
図6Bを参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、非包囲構造物または線形フィールドアレイ600が設けられている。アレイ600は、TPV200(
図2に示す)および/またはTLSC300(
図3A~
図3Bに示す)等の、複数の透明ソーラーパネル602を含む。アレイ600は、支持構造物604をさらに含む。透明ソーラーパネル602は、植物608等の光合成有機体を含む領域606へ光を透過させるように構成されている。アレイ600は、ソーラーパネル602に電気的に結合された電子機器アセンブリ610をさらに含む。少なくとも1つの例示的実施形態では、電子機器アセンブリ610は、支持パッドとしても機能し得る。支持構造物604は、フレーム620および複数の支柱622を含んでもよい。フレーム620および/または複数の支柱622は、光散乱が促進されるよう、上述したような色を有してもよい。
【0217】
図6Bを参照すると、アレイ600は、地面等の環境表面626と、ソーラーパネル602の最も近いまたは底部のエッジ628との間に定められる高さ524を有し得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、高さ624は、上述した範囲の内にある。
【0218】
角度630は、ソーラーパネル602の表面632と環境表面626との間に定められ得る。角度630は、0°~90°であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、角度は固定されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、角度630は、約0°以上(例えば、約10°以上、約20°以上、約30°以上、約40°以上、約50°以上、約60°以上、約70°以上、約80°以上)である。角度630は、約90°以下(例えば、約80°以下、約70°以下、約60°以下、約50°以下、約40°以下、約30°以下、約20°以下、または約10°以下)であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、角度630は、図示のように、約45°である。
【0219】
少なくとも1つの例示的実施形態では、環境には、複数のアレイ600が含まれる。各アレイ600は、隣接するアレイから距離640だけ離隔され得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、距離640は、上述した第2距離の範囲内であってもよい。隣り合うアレイ間の水平方向および垂直方向の間隔は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0220】
図7A~
図7Bを参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、複数の非包囲構造物またはポールアセンブリ700が設けられている。複数のポールアセンブリ700の各々は、TPV200(
図2に示す)および/またはTLSC300(
図3A~
図3Bに示す)等の、複数の透明ソーラーパネル702を含む。複数のポールアセンブリ700の各々は、支持構造物704をさらに含む。
【0221】
透明ソーラーパネル702は、植物708等の光合成有機体を含む領域706へ光を透過させるように構成されている。ポールアセンブリ700の各々は、ソーラーパネル702に電気的に結合された電子機器アセンブリ710をさらに含む。少なくとも1つの例示的実施形態では、電子機器アセンブリ710は、支持パッドとしても機能し得る。支持構造物704は、フレーム720および単一の支柱722を含んでもよい。支柱722は、ポールアセンブリ700の中央にあってもよい。フレーム720および/または支柱722は、光散乱が促進されるよう、上述したような色を有してもよい。
【0222】
図7Bを参照すると、ポールアセンブリ700は、地面等の環境表面726と、ソーラーパネル702の最も近いエッジまたは底部のエッジ728との間に定められる高さ724を有し得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、高さ724は、上述した範囲の内にある。
【0223】
角度730は、ソーラーパネル702の表面732と環境表面726との間に定められ得る。角度730は、
図6Bに関連する説明において上述したように、0°~90°であってもよい。隣り合うポールアセンブリ700は、
図6Bに関連する説明において上述したように、離隔されていてもよい。
【0224】
図8A~
図8Bを参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、非包囲構造物またはポールアセンブリ800が設けられている。ポールアセンブリ800は、TPV200(
図2に示す)および/またはTLSC300(
図3A~
図3Bに示す)等の、複数の透明ソーラーパネル802を含む。ポールアセンブリ800は、支持構造物804をさらに含む。
【0225】
透明ソーラーパネル802は、植物808等の光合成有機体を含む領域806へ光を透過させるように構成されている。ポールアセンブリ800は、ソーラーパネル802に電気的に結合された電子機器アセンブリ810をさらに含む。少なくとも1つの例示的実施形態では、電子機器アセンブリ810は、支持パッドとしても機能し得る。支持構造物804は、フレーム820および単一の支柱822を含んでもよい。支柱822は、ポールアセンブリ800の中央にあってもよい。フレーム820および/または支柱822は、光散乱が促進されるよう、上述したような色を有してもよい。
【0226】
図8Bを参照すると、ポールアセンブリ800は、地面等の環境表面826と、ソーラーパネル802の最も近いエッジまたは底部のエッジ828との間に定められる高さ824を有し得る。少なくとも1つの例示的実施形態では、高さ824は、上述した範囲の内にある。
【0227】
角度830は、ソーラーパネル802の表面832と環境表面826との間に定められ得る。角度830は、ソーラーパネル802が環境表面826に対して実質的に垂直となるように、約90°であってもよい。ポールアセンブリ800は、垂直アセンブリと称され得る。このように垂直であることによって、水平アレイ(例えば、
図5A~
図5Bを参照)および/またはタイル張りアレイ(例えば、
図6A~
図8Bを参照)と比較して、降雨分布の改善、収量および/または品質の向上、冬季生産、間隔の増大、および/または農業機器のためのクリアランスの増大が促進され得る。さらに、垂直アレイを使用することで、一年を通じてほぼ一定または均一であるように、環状生産(annular production)のバランスがとられ得る。
【0228】
図9Aを参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、ポールアセンブリ900が設けられている。ポールアセンブリ900は、以下で別に説明される点以外は、
図7のポールアセンブリ700と同じであってもよい。ポールアセンブリ900は、概して、TPV200(
図2に示す)および/またはTLSC300(
図3A~
図3Bに示す)等の複数の透明ソーラーパネル902と、支持構造物904と、を含む。透明ソーラーパネル902は、植物908等の光合成有機体を含む領域906へ光を透過させるように構成されている。
【0229】
ポールアセンブリ900の向きは、1つの軸、2つの軸、または3つの軸に沿って調整可能であってもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、図示のように、ポールアセンブリ900は、第1軸920、第2軸922、および第3軸924の周りで調整可能である。第1軸920は、環境表面926に対して実質的に垂直である。第2軸および第3軸922、924は、互いに実質的に垂直であり、かつソーラーパネル902の表面928によって定められる平面内にある。図示の例示的実施形態において、ソーラーパネル902は、
図9Aでは、第2軸922の周りに約45°の第1角度940で配置されており、
図9Bでは、第2軸922の周りに約30°の第2角度942で配置されている。
【0230】
少なくとも1つの例示的実施形態では、アセンブリ900は、太陽の位置を自動的に追跡するように構成されている。一年の各日につき予想される太陽軌道に従うように、または、向き最適化および発電のアクティブモニタリングに基づいて太陽に従うように、かかる追跡を事前にプログラムすることができる。そのため、アセンブリ900では、太陽追跡が設けられていないアレイと比較して、発電の向上が可能となり得る。アレイを傾斜させることによって、光捕捉の増大を補助するために必要となる面積を減少させることができる。その結果、必要となるパネルの数が減少し、全体的なコストが減少し、降雨分布が改善し、支持体およびパネルの間/下を農業機器が通過できるようになる。それゆえ、アセンブリ900は、第1軸920、第2軸922、および/または第3軸924の周りのアセンブリ900の向きが自動的に修正されるように、モータおよび制御システム(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0231】
図10を参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、両面型アレイ1000が設けられている。以下で別に説明される点以外は、両面型アレイ1000は、
図6のアレイ600と同じであってもよい。両面型アレイ1000は、概して、
図2の透明ソーラーパネル200および/または
図3の透明ソーラーパネル300等の両面型透明ソーラーパネル1002と、支持構造物1004と、を含み得る。本明細書で使用される場合、「両面型(bifacial)」は、ソーラーパネルの後面への照射からのPCEが、前面の約50%以上(例えば、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、または約95%以上)であることを意味する。ソーラーパネル1002は、植物1008等の光合成有機体を含む領域1006へ光を透過させるように構成されている。少なくとも1つの例示的実施形態では、両面型透明ソーラーパネル1002は、後面の取り込みを最小限に抑え得るであろう自由low-eコーティングである。
【0232】
両面型アレイ1000は、第1面または頂面1022上の直接太陽光1020および第2面または底面1026上の間接太陽光1024(例えば、太陽光アルベド)を受け取るように構成されている。両面型構成は、特に、これらの地面据え付け用途において有益である。これらの地面据え付け用途では、太陽光アルベドを、パネルの後面によって効果的に捕捉して、性能を向上させることができる。本明細書に開示されたTPV(例えば、
図2のTPV200)およびTLSC(例えば、
図3A~
図3BのTLSC300)は、両面からの効率的な発電が可能となるように、両面型となるよう作製および最適化することができる。本明細書に開示されたアセンブリまたはアレイのうちの任意のものは、両面型であってもよい。
【0233】
少なくとも1つの例示的実施形態は、ソーラーパネル(例えば、
図2のTPV200および/または
図3A~
図3BのTLSC)が一体化した農業機器を含む。前記農業機器には、潅漑システム、肥料システム、播種システム、収穫システム、CO
2増加(enrichment)システム、その他の任意の適切な農業機器、またはこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。有利には、ソーラーパネルは、電気的インフラストラクチャおよび/または機械的インフラストラクチャを農業機器と共有してもよい。潅漑システムには、滴下潅漑システム(drip irrigation system)、地下潅漑システム、重力潅漑システム、中心旋回軸潅漑システム、移動ガム潅漑システム(traveling gum irrigation system)、リニアムーブシステム(linear move system)、またはこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。一部の実施例では、農業機器と一体化した太陽電池は、波長選択性を有してもよい。しかしながら、農業機器は、追加的または代替的に、非波長選択性太陽電池を含んでもよい。
【0234】
図11A~
図11Bを参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、ソーラーアレイおよび潅漑システム1100が設けられている。以下で別に説明される点以外は、システム1100は、
図7A~
図7Bのポールアセンブリと同じであり得る。システム1100は、単一ポール固定角度アセンブリとして図示されているものの、本明細書に記載されたもの等の他の任意の適切な構成を有してもよい。
【0235】
システム1100は、TPV200(
図2に示す)またはTLSC300(
図3に示す)等の、透明ソーラーパネル1102を含む。当該システムは、支持構造物1104、灌漑システム1106をさらに含む。透明ソーラーパネル1102は、植物1110等の光合成有機体を含む領域1108へ光を透過させるように構成されている。
【0236】
少なくとも1つの例示的実施形態では、灌漑システム1106は、可撓性配管1120を含む。可撓性配管1120は、供給源からの水を、導管を介して領域1108へ移送するように構成されている。可撓性配管1120は、領域1108内へ水を放出するように構成された複数のノズル1122に流体的に結合されていてもよい。追加的または代替的に、水は、導管を介して直接的に送出されてもよい。
【0237】
少なくとも1つの例示的実施形態では、支持構造物1104は、支柱1124およびフレーム1126を含む。図示の例示的実施形態では、可撓性配管1120は、支柱1124の外面1128およびフレーム1126の外面1130の周りに巻き付けられている。少なくとも1つの他の例示的実施形態では、可撓性配管は、
図12の場合のように、フレームの内側にあってもよい。
【0238】
少なくとも1つの例示的実施形態では、支持構造物1104(例えば、支柱1124および/またはフレーム1126)は、電気設備(配線)および/または灌漑設備(例えば、可撓性配管1120)が収容されるように、少なくとも部分的に中空であってもよい。
図11Bに示す例示的実施形態では、支柱1124は、内部領域1142を少なくとも部分的に画定する壁1140を含む。内部領域1142は、電子機器アセンブリ1144およびソーラーパネル1102に電気的に接続された電気配線を受け入れるように構成されてもよい。
【0239】
図12を参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、ソーラーアレイおよび潅漑システムのための支柱1200の断面が示されている。支柱1200は、内部領域1204を少なくとも部分的に画定する壁1202を含む。支柱1200は、軸方向隔壁1206をさらに含む。隔壁1206によって、内部領域1202が、第1部分1208と第2部分1210とに分割されている。第1部分1208および第2部分1210のうちの一方は、電気設備(配線)を少なくとも部分的に収容していてもよく、第1部分1208および第2部分1210のうちの他方は、灌漑設備(例えば、
図11A~
図11Bの可撓性配管1120を参照)を少なくとも部分的に収容していてもよい。
【0240】
図13を参照すると、少なくとも1つの例示的実施形態による、1または複数の透明ソーラーパネルまたは透明ソーラーアレイを含むシステムを介した太陽光発電の方法を示すフローチャートが示されている。当該方法は概して、S1300における、任意選択的に、固定角度を決定する工程と、S1302における、任意選択的に、隣り合うアセンブリ間の間隔を決定する工程と、S1304における、ソーラーパネルまたはソーラーアレイを設置する工程と、S1306における、パワーを生成する工程と、を含む。これらの工程の各々は、以下により詳細に説明される。当該方法は、上述したパネル(
図2~
図3B)またはアセンブリ(
図4~
図12)のうちの任意のものを使用して実施され得る。
【0241】
S1300において、当該方法は、任意選択的に、ソーラーパネルの第1表面と領域の第2表面との間に定められる固定角度を決定する工程を含む。当該角度は、緯度に基づいて決定されてもよい。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記角度は、透明ソーラーアレイが設置される緯度から約20°以内(例えば、約15°以内、約10°以内、約5°以内、または実質的に緯度に等しい)である。
【0242】
S1302において、システムが2つ以上の透明ソーラーアレイを含む場合、当該方法は、任意選択的に、隣り合うアレイ間の間隔を決定する工程を含む。当該間隔は、隣り合うデバイス間の所望の透水、デバイス間の所望の機器クリアランス、および/または夏至の間の影の低減もしくは最小化に基づいて決定されてもよい。
【0243】
S1304において、当該方法は、光合成有機体を含む領域へ第1波長範囲内の領域へ光をソーラーパネルが透過させるように当該ソーラーパネルを設置する工程を含む。少なくとも1つの例示的実施形態では、前記第1波長範囲は、光合成有機体の所望の特性を養うのに適するものである。前記領域は、陸地および/または水であってもよい。
【0244】
少なくとも1つの例示的実施形態では、光合成有機体は、植物である。少なくとも1つの例示的実施形態では、ソーラーパネルは、上述したように、全スペクトル光の下で栽培される点以外は同一である条件下において栽培される植物と比較して、植物の作物収量が減少するように(例えば、約10%以下)、第1波長範囲の光を植物へ透過させるように構成される。
【0245】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前記植物は、結果植物である。本明細書で使用される場合、「結果植物(fruit-bearing plant)」は、主にその果実を目的として栽培される植物を意味する。ソーラーパネルは、上述したような全体APT(例えば、約65%以上)を有するように構成されてもよい。ソーラーパネルは、上述したような任意のDLI(例えば、約15mol・m-2・d-1以上)で光を透過させるように構成されてもよい。
【0246】
少なくとも1つの例示的実施形態では、植物は、花卉である。本明細書で使用される場合、「花卉(flowering plant)」は、主にその花を目的として栽培される植物を意味する。ソーラーパネルは、上述したような全体APT(例えば、約50%以上)を有するように構成されてもよい。ソーラーパネルは、上述したような任意のDLI(例えば、約10mol・m-2・d-1以上)で光を透過させるように構成されてもよい。
【0247】
少なくとも1つの例示的実施形態では、植物は、葉植物(例えば、葉緑色植物(leafy green plant))である。本明細書で使用される場合、「葉植物(leafy plant)」は、主にその葉を目的として栽培される植物を意味する。ソーラーパネルは、上述したような全体APT(例えば、約50%以上)を有するように構成されてもよい。ソーラーパネルは、上述したような任意のDLI(例えば、約10mol・m-2・d-1以上)で光を透過させるように構成されてもよい。
【0248】
少なくとも1つの例示的実施形態では、植物は、穀物である。本明細書で使用される場合、「穀物」は、主にその穀果を目的として栽培される植物を意味する。穀物は、乾燥収穫され(dry harvested)てもよい。ソーラーパネルは、上述したような全体APT(例えば、約50%以上)を有するように構成されてもよい。ソーラーパネルは、上述したような任意のDLI(例えば、約10mol・m-2・d-1以上)で光を透過させるように構成されてもよい。
【0249】
少なくとも1つの例示的実施形態では、植物は、飼料作物である。本明細書で使用される場合、「飼料作物」は、動物による消費が意図される植物を意味する。ソーラーパネルは、上述したような全体APT(例えば、約45%以上)を有するように構成されてもよい。ソーラーパネルは、上述したような任意のDLI(例えば、約10mol・m-2・d-1以上)で光を透過させるように構成されてもよい。
【0250】
S1306において、当該方法は、第2波長範囲内の光を吸収することによってパワーを生成する(発電する)工程を含む。第2波長範囲は、第1波長範囲とは異なるものであってもよい。異なるというのは、同一の広がりを有しないことを意味するが、第1波長範囲と第2波長範囲とは重なり合っていてもよい。光は、透明光活性材料および/または発光団等の波長選択性光活性材料によって吸収される。
【0251】
図14を参照すると、透明ソーラーパネルを設計および作製する方法を示すフローチャートが示されている。当該方法は概して、S1400における、光合成有機体の特性を達成するためのDLIを特定する工程と、S1402における、光活性材料およびデバイス設計を選択する工程と、S1404における、任意選択的に、デバイス特性を最適化する工程と、S1406における、任意選択的に、デバイス層および材料を選択する工程と、S1408における、光活性材料を含む透明ソーラーパネルを構成する工程とを含む。
【0252】
S1400において、当該方法は、光合成有機体の所望の特性を達成するためのDLIを決定する工程を含む。追加的または代替的に、当該方法は、当該特性を達成するためのeDLI、APT、YPFD、波長範囲、および/または波長カットオフを決定する工程を含む。少なくとも1つの例示的実施形態では、光合成有機体は、植物である。当該所望の特性を達成する工程は、当該所望の特性を維持および/または改善する(例えば、増大/最大化または抑制/低減/最小化する)工程を含んでもよい。例えば、当該特性は、大きな葉サイズ、高い果実質量、糖含量、栄養、ファイトケミカル濃度、植物構造、収穫までの時間、果実数、シュート新鮮重、葉拡大(leaf expansion)、茎長、葉クロロフィル含量、乾物重、植物弾性、干ばつ耐性、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。当該所望の特性を達成するためのDLIを決定する工程は、上に開示された範囲を用いることを含んでもよい。
【0253】
S1402において、当該方法は、DLI(および/または、eDLI、APT、YPFD)に適合するように光活性材料を選択する工程を含む。すなわち、材料は、少なくとも一部の構成において、DLI(eDLI、APT、YPFD)を達成できる必要がある。光活性材料を選択する工程は、上に開示された光活性材料を用いることを含んでもよい。
【0254】
S1404において、当該方法は、任意選択的に、所望の性能が達成されるようにデバイス特性を最適化する工程を含む。
図2のTPV200等のTPVの場合、これらの特性には、全体デバイス厚さ(例えば、
図2に示す第3厚さ224)、ドナー厚さ(例えば、
図2に示す第1厚さ220)、および/またはアクセプタ厚さ222(例えば、
図2に示す第2厚さ222)が含まれ得る。
図3A~
図3BのTLSC300等のTLSCの場合、これらの特性には、導波路厚さ、発光団濃度、分子配向、および/または導波路-発光団ペアリングが含まれ得る。
【0255】
S1406において、当該方法は、任意選択的に、所望のSHGC*および/またはLUE*が達成されるようにデバイス層および材料を選択する工程を含む。例として、材料には、上述したような電極材料が含まれ得る。
【0256】
S1408において、当該方法は、光活性材料を含む透明ソーラーパネル(例えば、
図2のTPV200または
図3A~
図3BのTLSC300)を構成する工程を含む。
【0257】
本技術の実施形態を、以下の非限定的な実施例を通じてさらに説明する。
【0258】
(実施例1)
近年、(広帯域において、あるいは、選択的吸収材料の使用を通じて)PVセルの可視的透明度(visible transparency)を導入および改善して、より多数の表面への適用可能性を可能にする努力がなされている。不透明太陽電池の空間的セグメント化から波長選択性活性材料への営農型太陽光発電との関係において、これらのアプローチを評価することができる。これは重要な差異である。それらが透明度の関数として根本的に異なる理論限界を提供するからであり、空間的にセグメント化されたセルの理論限界(theoretical limit)は、透明度100%において0%であり、波長選択性透明光電池(TPV)については、透明度100%において約21%である。
【0259】
図15は、透明度の増大に基づく、本明細書に示す現在のアプローチを含む営農型太陽光発電アプローチの進展および展望を示す。不透明PVモジュールから始まり、PAR-透過PVデバイスへ移行している。営農型太陽光発電システムは、光合成有効放射(PAR;400~700nmの光子)について高い透過率を有することが理想的だろう。営農型太陽光発電の最も単純な実装は、作物の上または作物の付近に不透明モジュールを配備することによるものである。PARを吸収しない波長選択性モジュールへ移行することによって、より高いAPTが達成できる。
【0260】
本実施例は、3種の多様で非常に代表的かつ商業的に重要な植物種である、葉植物:調理用ハーブのバジル(Ocimum basilicum)、観賞用花卉:ペチュニア(Petunia ×hybrida)、および結果植物:トマト(Solanum lycopersicum)に対するニュートラル遮光および波長選択性遮光の影響を評価するものである。植物の成長および発達に影響を及ぼすことなくTPVのために光を吸収することが適切なところをより良好に理解するため、NIRエッジの付近に重点が置かれる。最終的に、全体DLIが、種間の形態構造、収量および成長に対して、特に重要な影響を及ぼすこと、そして、重み付けされたDLIが、これらの測定量にさらに影響を及ぼすことを示す。このことから、波長特異的な現象をさらに研究する必要があることがわかる。広範囲の作物タイプおよび異なる太陽光利用可能性を有する地域にわたって既存の農業インフラとのより高い適合性を保証する営農型太陽光発電アプローチの設計を可能にするために、本実施例は役立つだろう。
【0261】
営農型太陽光発電の分野は、比較的新しく、工学および植物科学における複数の興味深い分野によって追求されている。研究方法論と報告が文献によって大きく異なっているため、研究間の比較は困難である。特に、遮光および屋根被覆(roof cover)の割合の報告は曖昧かつ不十分である。入射太陽放射は地理的位置および季節に依存し、作物は多様な光応答を有するからである。本実施例では、まず、DLIに対する植物の応答を記載する。DLIは、光合成を駆動する量子単位であり、作物の収量および品質と強く相関し、広範囲の温室作物において応答が特徴付けられているからである。より広い波長帯の電磁放射にわたって積分される放射測定単位(ワットまたはジュール)は、営農型太陽光発電の分野にとって依然として重要である。作物の成長に最終的に影響を及ぼし得る、植物周囲の微気候(例えば、空気温度)または蒸散等の植物過程に対する被覆材料(BIPVパネル)の影響を、当該放射測定単位(ワットまたはジュール)によって、より良好に記述できるからである。
【0262】
(結果)
図16A~
図16Bおよび
図17A~
図17Bに示すように、7つの換気チャンバ(各々、~0.8m
2の屋根面積を有する)が各々、異なる実験用TPVグレージング材料で覆われていた。作物生産に対するPAR損失の影響を定量化するために、3種のニュートラル遮光処理が行われた:PARにわたって、透過率91%(ND91)、透過率58%(ND58)、および透過率33%(ND33)。
図19Aを参照すると、ND91が1800で示され、ND58が1802で示され、ND33が1804で示されている。特定の波長帯および全体DLIを除くことが、植物の成長、発達および収量にどのように影響するかを決定するために、種々のカットオフを有するよう設計された発光型太陽光集光器(LSC)分子プラットフォームに基づいて、4つの波長選択処理が行われた。
図18Bは、NIRにおける2つの処理を示す:CO700が1810で示され、CO770が1812で示されている。基準として、ND91が1800で示されている。
図18Cは、PAR波長帯における2つの処理を示す:CO550aが1820で示され、CO550bが1822で示されている。基準として、ND91が1800で示されている。
【0263】
図19A~
図19Mには、バジル、ペチュニア、およびトマトの選択された成長属性が、種々のグレージング処理を透過したDLIの関数として示されている。
図19Aは、凡例である。各々の収量または品質パラメータを、平均処理DLIの関数としてプロットする。DLIは、多くの温室作物について、植物の成長および収量と強く相関するためである。回帰方程式を、
図20~
図22に示す。これらの属性は、各作物の収量および品質にとって重要であり、また作物の種類によって異なるため、選択された。バジルの収量は、葉および茎のバイオマス集積(biomass accumulation)を反映し、一方、茎長、葉のサイズ、および色は、品質パラメータである(
図19B~
図19E)。ペチュニアのバイオマス集積を定量化することは重要であるが、花卉園芸作物の市場性の多くは、茎長(コンパクトさに対する選好)および花の数(花の展示)等の審美的品質に由来する(
図19F~
図19I)。バジルおよびペチュニアとは異なり、トマトの収量は、果実の新鮮重および数を反映している(
図19J~
図19M)。
【0264】
バジルの成長。測定されたバジルの成長および発達パラメータは、平均透過DLIと強く相関していた。バジルの収量は、苗ごとの平均シュート乾物重(葉+茎)として特徴付けられる。処理間のスペクトル透過率の差にかかわらず、バジルの収量と平均DLIとの間にはシグモイドの関係性があった(
図19B、
図22(式))。DLIが~6mol・m
-2・d
-1と~12mol・m
-2・d
-1との間にあるとき、収量は線形的に増大した。DLIが~12mol・m
-2・d
-1を超えると、収量はそれほど増大しなかった。ND91処理、CO770処理、およびCO700処理の下で栽培した場合に、バジルの収量が類似していたが、これは概して≧12mol・m
-2・d
-1の透過DLIによる処理に対応する(
図23を参照)。~10mol・m
-2・d
-1のDLIと~14mol・m
-2・d
-1のDLIとの間(すなわち、CO770、CO700、およびCO550a)で栽培されたバジルは、ND91処理(DLI=~20mol・m
-2・d
-1)と比較して統計的に類似する茎長を有していたが、節数がより少なく、培養土表面での茎がより細かった(
図19C、
図23)。バジルの茎が伸び、細くなったことで(
図24)、ND91処理と比較して、植物の直立性が次第に小さくなった。このことは、バジル消費者にとっての魅力または生産(すなわち、収穫および出荷)の容易さに負の影響を及ぼし得るだろう。収量に加えて、葉の形態構造がバジル栽培にとって重要である。バジルの収量および茎の形態構造と同様に、葉の形態構造が、処理DLIと相関していた(
図20)。平均DLIが≧12mol・m
-2・d
-1である場合に、バジルの葉の長さ、幅、および総表面積が類似していた。これは、典型的に、ND91処理、CO770処理、およびCO700処理において生じた(
図19D、
図23)。しかしながら、バジルの相対クロロフィル含量(土壌作物生育診断機器実用化事業(soil plant analysis development)、SPAD)は、遮光の量とともに減少し、その結果、葉の緑色がより薄くなった(
図19E)。着色(pigmentation)の減少は、バジル産物の審美的魅力に負の影響を及ぼし得るだろう。要約すると、DLIが≧12mol・m
-2・d
-1であるとき、バジルの収量は処理間で統計的に類似していたが、茎および葉の形態構造が変化する結果が得られた。
【0265】
ペチュニアの成長。ペチュニアの収量は、苗ごとの平均シュート乾物重(葉+茎)として特徴付けられる。処理間のスペクトル透過率の差にかかわらず、バイオマスと平均DLIとの間にはシグモイドの関係性があった(
図19F、
図21)。DLIが~6mol・m
-2・d
-1と~12mol・m
-2・d
-1との間にあるとき、収量は線形的に増大した。DLIが~12mol・m
-2・d
-1を超えると、収量応答は飽和または飽和に近い状態になった。したがって、透過DLIが概して≧12mol・m
-2・d
-1であるND91処理、CO770処理、CO700処理、およびCO550a処理の下での栽培時に、ペチュニアの収量が類似していた(
図25)。シュートバイオマスは花卉園芸作物にとって重要ではないが、多花性(floriferousness)、開花までの時間、および全体冠サイズ(overall canopy size)は、作物の市場性においてより大きな役割を有し得る。DLI>13mol・m
-2・d
-1(すなわち、CO770およびCO700)の下で栽培したペチュニアは、ND91処理(DLI=~20mol・m
-2・d
-1)と比較して、統計的に類似する中央茎長(central stem length)を有していた(
図19G、
図21)。
図24に示すように、DLIが<13mol・m
-2・d
-1の場合に、最小のDLI処理(CO550b、DLI=~7mol・m
-2・d
-1)において側枝が完全に抑制される点まで、頂芽優勢(apical dominance)が投量依存的に増大した。DLIが~10mol・m
-2・d
-1と~20mol・m
-2・d
-1との間にある処理の下では、ペチュニアの側枝長は統計的に類似していたが、ペチュニアの側枝は、ND91処理と比較して、CO550a(DLI=12.8mol・m
-2・d
-1)処理の下で有意に長かった。このことは、透過から青色光子および緑色光子の多くを除くCO550a波長選択性材料が、伸長成長(extension growth)を増大させることを示唆している。しかしながら、CO550a処理は、葉面積を同様には増大させず、~12mol・m
-2・d
-1と~20mol・m
-2・d
-1との間のDLIを受けたペチュニアは、統計的に類似する個葉サイズを有していた(
図19I)。移植後に初めて開花するまでの時間は、ND91処理、ND58処理、CO770処理、CO700処理、およびCO550a処理におけるペチュニアについて、統計的に類似していた。これらは全て、>7mol・m
-2・d
-1の平均DLIを有していた(
図25)。DLIが≦7mol・m
-2・d
-1であるとき、ペチュニアは、ND91処理のものよりも、~3日遅れて開花した。DLIが<12mol・m
-2・d
-1であるとき、ペチュニアの総花数はより少ないものとなった(
図19H)。
【0266】
トマトの成長。結果作物として、トマトは通常、バジルまたはペチュニアよりも長い生産時間を有する。トマトの収量は、単一の破壊的収穫(destructive harvest)での苗ごとの全ての果実(成熟および未成熟)の総新鮮重として特徴付けられる。バジルおよびペチュニアについての大部分の成長パラメータは、DLIのシグモイド関数として最もよく記述されたが、トマトの収量は、DLIとともに線形的に増大し、上側漸近線に近づくことはなかった(
図26)。このことから、PAR透過率のいかなる減少も、収量に負の影響を与え、最も高いPAR透過率を有するパネル(CO770およびCO700)でさえ、ND91処理よりも25%および37%、収量が少ないことがわかる(
図19J)。これら3つの処理における果実の総数および果実乾物重は類似している。これは、DLIの減少によって、果実サイズが減少し、果実成熟が遅延し、またはそれらの両方が起こることを示す(
図19L)。CO770処理およびCO700処理におけるトマトは、収穫時の成熟果実が、ND91処理よりも、それぞれ52%および74%少なかった(
図19J)。トマトの葉の形態構造は、平均DLIまたは比吸収帯域幅(specific absorption bandwidth)による影響を受けなかった。しかしながら、DLIの減少とともに、トマトの茎長は増大し、茎直径は減少した(
図19K、
図24)。その結果、トマトには、低DLI条件下で直立状態を維持するための物理的支持が必要となった。移植後に初めて開花するまでの時間は、ND91処理、ND58処理、CO770処理、CO700処理、およびCO550a処理におけるトマトについて、統計的に類似していた。これらは全て、≧6mol・m
-2・d
-1の平均DLIを有していた(
図26)。DLIが<6mol・m
-2・d
-1であるとき、トマトは、ND91処理のものよりも、~14日遅れて開花した。
【0267】
(考察)
作物の成長および収量。作物の収量(単位面積当たりの作物バイオマス)および品質(例えば、審美性の測定量または栄養密度)は、フィールド(畑)で栽培されるか、または温室等の管理環境で栽培されるかにかかわらず、園芸作物から生み出される収入に影響を及ぼす。収量は単純な数学的定義を有するが、作物の品質は主観的であり、農産物に対する消費者の選好、および農産物との相互作用が考慮され得る。例として、作物の管理、収穫、出荷、または取引をより容易にする作物の栄養および香味ならびに物理的品質が挙げられる。営農型太陽光発電システムは、発電を通じて受動的な収入を生み出しつつも、作物の収量または品質に負の影響を及ぼさないことが理想である。営農型太陽光発電システムを設計および使用するうえで避けられない課題は、植物ベースの農業で使用される多くの異なる作物および栽培システムを考慮することである。同じ陸地面積に対する利用の多様性は、柔軟な営農型太陽光発電システムが望ましいことを際立たせるはずである。各作物は、ある作物種内における多様性であっても、DLIの低減および/または放射の波長帯の除去に対して、特有の耐性を有し得るであろうからである。
【0268】
BIPVカバー、すなわち種々の作物の収量および品質への影響が無視できるほどであろうものを農業に広範に応用することを目指して、三種の経済的に重要な温室作物を栽培し、主に葉および茎を目的として栽培される植物(バジル)、花を目的として栽培される植物(ペチュニア)、ならびに果実を目的として栽培される植物(トマト)の間で、多様な比較ができるようにした。一般に、バジルおよびペチュニアは、中程度のDLIの下で商業的に栽培される。一方、トマト等の結果作物については通常、光が最大化される。しかしながら、例えば北緯>35°または南緯>35°のように、光が季節によって限定的である地域では、バジルおよびペチュニア等の作物でさえ、ほとんどの商業的な温室栽培者にとって、DLIがわずかに減少する以上のことは許容することができない。
【0269】
広範な比較のために、
図27A~
図27Fに示すように、3種の温室作物について、相対的な成長パラメータを、各処理における平均DLIの関数としてプロットする。これによって、温室栽培者によって一般に生産される3種の代表的な作物について、成長および収量(
図27B、バジルは、回帰直線2700および関連記号によって示され、ペチュニアは、2702および関連記号によって示され、トマトは、回帰直線2704および関連記号によって示されている)、葉の形態構造的応答(
図27C、バジルは、回帰直線2710および関連記号によって示され、ペチュニアは、2712および関連記号によって示され、トマトは、回帰直線2714および関連記号によって示されている。
図27D、バジルは、回帰直線2720および関連記号によって示され、ペチュニアは、2722および関連記号によって示され、トマトは、回帰直線2724および関連記号によって示されている)、茎の形態構造的応答(
図27E、バジルは、回帰直線2730および関連記号によって示され、ペチュニアは、回帰直線2732および関連記号によって示され、トマトは、回帰直線2734および関連記号によって示されている。
図27F、バジルは、回帰直線2740および関連記号によって示され、トマトは、回帰直線2744および関連記号で示されている)、ならびに苗の形態構造的応答(
図27G、バジルは、回帰直線2750および関連記号で示され、ペチュニアは、2752および関連記号で示され、トマトは、回帰直線2754および関連記号で示されている)に関して、より直接的な応答比較が容易になる。3種の作物は概して、DLIに対して同様に応答したが、2つの顕著な例外があった:1)バジルおよびペチュニアについては、相対的な収量は飽和DLIに近づき、または飽和DLIに達したが、トマトについてはそうではなかった;2)バジルについては、茎長がDLIとともに飽和値まで増大したが、ペチュニアおよびトマトについては、茎長はDLIとともに減少した。
【0270】
本実施例の結果と過去の営農型太陽光発電研究との間の直接的な比較は、これらの研究の多くが実験用BIPV材料の遮光率または屋根被覆率を報告しているので困難であるが、実際の光条件は、とりわけ地理的位置および時季に依存するだろう。例えば、PPFDを50%ほど減少させたPVパネルの下で栽培したレタスでは、一部の研究において、収量減少の限定が引き起こされた。対照的に、その他の研究では、PPFDを25~60%減少させたPVパネルの下で、バジル、ホウレンソウ、レタス、およびルッコラの収量が減少することが報告されている。量子束の減少だけでなく、共通の量子単位およびDLIを報告することは、研究の比較に役立つだろう。これらの研究の多くは、入射DLIが非常に高い夏に実施されている。その結果、収量損失が相対的に小さくなった可能性がある。しかしながら、DLIが10mol・m-2・d-1以下であり得る冬季の温室条件では、いかなる遮光によっても収量が低減し得るため、DLIの低下が許容されない場合がある。研究間の非一貫性、ならびに太陽放射の季節的および地理的な差異は、非結果作物について一貫して遮光の許容をもたらす課題を示すものである。それにもかかわらず、ある研究では、最大25%の遮光は作物にとって概して許容可能であるものの、これは依然として栽培される場所および作物に依存するであろうと結論付けられている。
【0271】
図27Bは、高品質のバジルおよびペチュニアの生産についてほぼ飽和のDLIが~12mol・m
-2・d
-1であることを示している。これは、バジルおよびペチュニア、ならびにホウセンカ(Impatiens wallerana)、ベゴニア(Begonia ×semperflorens-cultorum)、およびカッコウアザミ(Ageratum houstonianum)を含むその他の花卉園芸作物に関する以前の研究と一致している。このことは、DLIを最大40%低下させる(≧12mol・m
-2・d
-1のDLIを保つ)営農型太陽光発電パネルが、晩春および夏の間の温室システムにとって有用であり得ることを示している。しかしながら、冬および早春の間のように、周囲の太陽光DLIがより低いとき、これらの低減によって成長に負の影響が及ぼされるだろう。そのため、永続的な温室グレージングとして機能するBIPVパネルの場合、特定の地理的位置について、許容可能な透過率において、しばしば最適ではない季節条件をしっかりと考慮する必要がある。
【0272】
トマトは、収量または収穫時の成熟果実数の低下なしには、少しの遮光(例えば、DLI<12mol・m
-2・d
-1、または本実施例における4mol・m
-2・d
-1の低下)さえ許容するものではなかった(
図27B)。これは、トマトならびにコショウ(Capsicum annuum)およびキュウリ(Cucumis sativus)等のその他の結果作物に関する以前の文献と一致している。さらに、われわれの矮小トマト栽培変種は、DLI>20mol・m
-2・d
-1の温室で通常栽培されるはるかに大きな不定のトマト変種よりも、より少量の光についての耐性がより大きい可能性がある。BIPVおよび従来の遮光の結果として、収量の減少および成熟の遅延が以前に観察されている。それゆえ、トマトおよびその他の結果作物については、温帯地域では、温室用途に使用されるBIPVパネルはPARの透過率を増大または最大化させる必要があるが、亜熱帯地域、熱帯地域、および特に乾燥地域では、PAR透過率のある程度の低下が許容される可能性がある。
【0273】
(作物の形態構造および品質)
収量のほかに、遮光は作物の品質に負の影響を及ぼし得るが、かかる影響は、営農型太陽光発電研究において報告されないことが多い。多くの花卉園芸作物およびその他の観賞植物の市場性および品質は、バイオマス集積よりも、それらの外観および物理的品質(例えば、花の数およびサイズ)によって、より多くの影響を受ける。したがって、温室へのBIPV材料の応用は、作物の形態構造的順化(morphological acclimation)、葉および花の着色、分枝、開花までの時間、ならびに多花性も考慮する必要がある。BIPVパネルによって作物品質、収量、および発電の間のバランスをとるには、営農型太陽光発電システムにおける作物評価に対する包括的なアプローチが必要となる。
【0274】
葉の形態構造。葉の形態構造、着色、および場合により香味は、それらの栄養成長(vegetative growth)のために販売される温室作物にとって重要な品質属性である。部分的に、葉がより大きな比葉面積(specific leaf area:SLA)を有していた(すなわち、葉がより薄い)ため、ND91(DLI=16~20mol・m
-2・d
-1)の下でのDLIよりも小さなDLIにおいて、葉の表面積は一定のままであった。
図27Cは、各種、特にトマトについて、SLAが処理DLIに反比例的かつ線形的に関連していたことを示す。SLAの増大(すなわち、葉の厚さを犠牲にして葉の表面積が増大する)は、光遮断の増大に対する一般的な応答である。ある研究では、受光を増大させることで遮光に順化する或る種の植物種は、営農型太陽光発電システムにとってより望ましい可能性があるだろうことが示唆されている。しかしながら、葉が薄くなることで、葉はストレッサ(例えば、病原体)、ならびに生産および収穫の間の物理的損傷をより受けやすくなり得るだろう。相対クロロフィル含量(SPAD)測定によって定量化される葉の着色は、各作物について、平均DLIの関数として増大した(
図27D)。栽培された3種の作物の中でも、バジルの品質は、葉の外観に大きく依存するため、クロロフィル濃度がより低くなること(すなわち、より明るい緑色になること)によって、負の影響を最も受け得るだろう。形態構造および色に加えて、フラボノイドの濃度は、DLIが減少するにつれて減少した。それゆえ、バジル、ペチュニア、およびトマトの葉の形態構造および収量は、DLIが~20mol・m
-2・d
-1から~12mol・m
-2・d
-1へ減少するときに類似していたものの、植物の品質の測定量には、負の影響がいくらかあった。
【0275】
茎の形態構造。茎の形態構造(例えば、茎長および茎直径)は、温室作物の市場性に影響を及ぼし得る。ほとんどの場合、商業的栽培者は、出荷および取扱いが容易となるように、枝分かれしたコンパクトな(例えば、茎が短く太い)コンテナ輸送作物の生産に励んでいる。DLIの低下によって、トマトの茎伸長(stem elongation)が増大し、バジルおよびトマトの茎直径が低下した(
図27E~
図27F)。バジル苗およびトマト苗の茎がより細くより長くなったため、直立状態を保つための物理的支持が必要となった。このことは、通常は商業的な温室生産の間にストリングによって支持が提供されるためトマト生産には影響しない可能性があるが、バジル等の鉢植えの園芸作物の品質を低減させ、または支持なしで直立状態を維持する必要があるダイズ(Glycine max)等の耕種作物(agronomic crop)の倒伏を増大させる可能性がある。コンパクトさ(単位高さ当たりの植物体質量)または植物体の直径に対する植物体の高さの比率についての計算は、生産の間に個々の植物体が占める空間を推定することに役立つ。全ての作物種において、DLIが減少するにつれてコンパクトさが減少する(すなわち、各植物がより多くの空間を占める)。このことは、一部の営農型太陽光発電システムの下で、作付け密度の調整が必要である可能性があり、これによって、最終的に作物収量に影響が及ぼされ得るだろうことを示唆している(
図27G)。過剰な伸長成長は通常、花卉園芸作物にとって望ましいことではない。そのため、より低いDLIの下で茎伸長が増大し苗のコンパクトさが減少することによって、花卉園芸作物の品質が低下し、または、管理の際に植物成長抑制剤の使用を増やすことが必要となるだろう。葉の形態構造と同様に、温室作物の品質は、透過DLIとともに減少する。このことは、作物の収量と品質との間に存在する微妙なトレードオフ、およびPARの透過率が高いBIPVカバーの望ましさを際立たせるものである。
【0276】
流れ(flowing)および結果(結実、fruiting)。観賞植物の商業的温室栽培者は、最低限許容可能な植物品質を維持しつつ、可能な限り最短の時間で作物を生産することに励んでいる。一方、結果作物の栽培者は、単位面積および単位時間当たりの収量の増大または最大化を追求している。処理DLIが<7mol・m-2・d-1のとき、ペチュニアの開花遅延が観察され、処理DLIが<6mol・m-2・d-1のとき、トマトの開花遅延が観察された。重要なことに、DLIが<12mol・m-2・d-1のとき、形態構造的差異および多花性の減少が観察され始めた。本実施例は、ペチュニア、およびおそらく他の花卉園芸作物が、収量または品質を低下させることなく、適度な遮光を許容し得る可能性があること、そのため、温帯地域に位置する営農型太陽光発電システムについては、結果野菜作物よりも、観賞植物がより適切であることを示している。しかしながら、今日まで、営農型太陽光発電システムにおける観賞用作物に焦点を当てた研究はほとんどない。
【0277】
透明営農型太陽光発電の潜在的な電力出力。まず、APTとPARの定義を利用して、高い透明度または最大の透明度を有する営農型太陽光発電におけるTPVについての上限を定める。この例では、単一接合モジュール(single-junction module)、および透過率が395~715nm(95%のAPTを設定することによって規定される波長範囲)の間で1でありその範囲外で0である、完全に急激なカットオフを用いることが仮定される。Shockley-Queisser限界は、不透明単一接合モジュールについては33.7%であり、435~670nmの間の全ての光を透過させるモジュールについては20.6%である。範囲を395~715nmに拡張した場合、395~715nmの範囲からの寄与なしで、PARについて17.4%という理論限界が得られるが、実用限界は約9.5%となる(SQ電圧限界80%、最大外部量子効率85%、およびフィルファクタ80%を仮定)。ここに定める標準TPVモジュールについての熱力学的限界は、可視的に透明な発光型太陽光集光器(TLSC)についての限界と同等になる。TPVモジュールでは透明電極によって~80%のAPTに制限されることになるため、TLSCにおいてより高いAPT値(~90%)が可能であるものの、PCEでは、TPVに遅れをとっている。
【0278】
これらの限界を用いて、最大の透明度を維持して植物への影響を低減または最小にする営農型太陽光発電についての潜在的な総エネルギー出力を、性能の関数として推定する。米国では、保護表面(例えば、ガラスおよびプラスチックの温室)下にある総面積は、(調査した17州について、)果実、野菜、およびハーブの生産については約1.1×10
7m
2であり、花卉園芸作物の生産については約7.0×10
7m
2である。この覆いのある面積の50%が永続的な温室であると仮定すると、~4.0×10
7m
2という面積が得られる。米国全体の年間平均入射太陽インソレーションが4.5kWh・m
-2・d
-1であると仮定すると、計算限界までのベンチマーク効率が、潜在的な年間エネルギー出力を示すために用いられる(
図28)。5%効率のモジュールを仮定すると、年間で3TWhとなる。温室エネルギー出力値は、あまり大きくないが、それは、温室運転のエネルギー需要の多くをカバーするのに重要な発電を提供でき、高い太陽光束地域では過剰なエネルギーを生み出すことができる。植物の成長にとってあまり好ましくない地域での栽培を可能にするための温室の使用が拡大するにつれて、この効果がますます重要になる可能性があるだろう。対照的に、米国の農地(牧草地を含む)の総面積は、3.6×10
12m
2である。特に、提案するTPV設計アプローチによって植物の生産性と発電との間のトレードオフが最小化できれば、より広範に営農型太陽光発電をフィールドおよび農地に組み込むことがさらにできるだろう。この場合、運転機器(例えば、トラクタおよび潅漑システム)が必要に応じて作動できるようにするアレイ支持構造物が重要となるだろう。実際、PV据え付けシステムが地下潅漑、滴下潅漑、または噴霧潅漑のための導管として兼用されるように、かかる太陽光設備を潅漑システム(およびおそらく、肥料および農薬の液剤も)と同時にそして相乗的に設置できるだろう。理論限界では、総出力は、1.0×10
6TWh(~3,500千兆英国熱量単位(quadrillion British thermal unit)、クワッド)に近いものとなる。これは、全部門にわたる米国のエネルギー需要全体を上回る。TPV営農型太陽光発電パネルは、農地面積の1~10%超(この場合、最小でも3.6×10
10m
2となる)を合理的に覆うことができるだろうと推定される。1%の農地の上で5%効率のTPVモジュールを使用すれば、年間3,000TWhが得られる。これは、米国の電力消費量(~4000TWh)の75%を占めるのに十分なエネルギーである。10%効率のTPVでは、年間6,000TWhが得られることとなるだろうが、これは全電力消費量を上回る。10%の農地まで拡張して、実用上達成可能な10%効率のTPVを利用するならば、総電力出力は、60,000 TWh(~200クワッド)となり、2020年に全ての供給源から米国で生み出された総電力である27,000TWh(~93クワッド)の2倍を上回ることになるだろう(
図29)。このように、太陽光取り込みの際のPARの最小限の使用でさえ、国全体および世界に電力供給ができる効率的な二重の陸地利用を可能にする、営農型太陽光発電における発電の重要な機会が依然として存在する。
【0279】
(結論)
本実施例では、多様かつ経済的に重要な温室作物に対するTPV温室グレージングの適用可能性を決定するための、先行例のない包括的なアプローチを提示した。営農型太陽光発電温室システムに特有であるのは、一年を通じて多くの異なる作物を継続的に栽培することの必要性である。現状では、農業的慣行および地理的位置を考慮しつつ、温室で栽培される広範囲の作物に最も妥当な材料が何であるのかを理解するためには、より包括的な営農型太陽光発電研究が必要である。植物の成長、生産性、および収量に対する影響を低減または最小化するTPV材料を調査する本実施例は、新たな植物中心的焦点を提供するものである。
【0280】
PVパネル光子分布におけるしばしば劇的である差異にもかかわらず、パネル透過率が、作物の収量および品質の最も有意な予測因子であった。バジル、ペチュニア、およびダイズの収量および品質の応答は、平均DLIが>12mol・m-2・d-1のときに飽和したが、これは、~35-40%の遮光(~60%のAPT)に相当する。このことは、日射量が高い晩春から早秋にかけての営農型太陽光発電システムにおけるハーブおよび花卉園芸作物についての途方もないポテンシャルを示している。しかしながら、結果作物であるトマトは、中程度のBIPV遮光でも収量の低減を被るため、APT>65%であることがいっそう強く望まれる。吸収ピークをより深くNIR(>750nm)へ押し動かすことで、透過DLIが増大し、その結果、結果作物に対するTPVの影響が減少するはずである。結果として、生産性は、より単板ガラス(single-pane glass)の管理に匹敵するものとなる。最後に、本実施例によって、建物ベースであるにせよフィールドベースであるにせよ、将来の営農型太陽光発電システムのための研究の再現性および適用可能性の改善のために、営農型太陽光発電において一貫した量子単位を報告する必要性が特定されている。種々の種類の作物について適切なAPT、DLI、および波長カットオフを確立することは、ある種類の真に相乗的な営農型太陽光発電の実装のためのTPVの開発に向けた重要なステップである。
【0281】
(実験)
波長選択性パネル(CO550b、CO700、およびCO770)の準備。2-[2-[2-クロロ-3-[(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シルコヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-1H-インドリウムヨージド(IR775-I、Few Chemicals)、および2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-エチル-2H-ベンズ[e]インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3,3-ジメチル-1-エチル-1H-ベンズ[e]インドリウムヨージド(Cy-I、American Dye Source)。Cy-IおよびIR775-Clを、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(potassium tetrakis(pentafluorophenyl)borate)(K-TPFB)と混合して、Cy-TPFB(CO770)およびIR775-TPFB(CO700)を作出した。Lumogen F Red 305(CO550a)は、BASFから購入した。染料をエタノールに溶解し、Shandon封入剤(CAS#9990435、Thermo Fisher Scientific)と、1:2の溶液対封入剤体積比で混合した。この混合物を、アクリルシート上へドロップキャストし、換気フード内で6時間乾燥させた。乾燥したパネルを、窒素下でグローブボックス内へ移した。エポキシ樹脂(KATIOBOND)の層をフィルムの外縁に塗布し、ガラスシートをエポキシ樹脂層の上に置いた。実施例に先立って、硬化するまでエポキシ樹脂をUV光で処理し、パネルの活性(アクティブ)領域(active area)をマスクで覆いUV露出を低減した。
【0282】
CO550bの波長選択性パネルの準備:タングステンボートにおいて粉末CuPC(Sigma Aldrich)を蒸発させることにより、Angstrom Engineeringからのカスタムサーマルエバポレーターにおいて、銅(II)フタロシアニンブルー(CuPC)フィルムをアクリル板上に成長させた。当該アクリル板を、回転ステージ上に取り付けた。室温かつ3×10-6torr未満の圧力において、2Å/sの速度で5000Åの厚さにフィルムを成長させた。
【0283】
ニュートラルデンシティ処理の準備:Neutral Density Grayパネルを、ePlasticsから購入した。ND33処理が達成されるように、2つのピースを積み重ねた。
【0284】
チャンバの構成:7つのチャンバが構成された。それらの各々は、異なる発光型太陽光集光器パネルまたはNDパネルによって覆われた。これらのチャンバを、研究用温室のベンチ上に配置した(
図16A~
図17B)。各チャンバは、幅92cm、長さ98cmであり、総体積0.66m
3を有していた(
図16A)。チャンバフレームは、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride:PVC)管から構成され、パネルを通過した光のみが植物に到達することが保証されるよう、基部に垂直な4つの側面上が、厚さ1.3cmの不透明の断熱板で包囲された。さらに、光散乱が増大するように、断熱板の内側に白色のつや無し塗料を塗装した。各実験チャンバは、北向きの壁に多くの穿孔を設け、南向きの壁に120V、3.1m
3・min
-1のファン(Axial 1238, AC Infinity Inc., City of Industry, CA)を1つ設置することによって、絶えず換気されたが、これは研究用温室の空気流に沿っている(
図16B)。チャンバの屋根フレームは、鋼製のアングルバーから作製され、内部の植物への太陽光の透過が増大または最大化するように、南向きに20度の傾斜が付けられた。
【0285】
環境センシング:量子センサ(LI-190SA; LI-COR,Inc.、Lincoln、NE、またはSQ-500; Apogee Instruments,Inc.)によって、瞬間(instantaneous)PPFDが測定された。当該量子センサは、各チャンバの北向きの壁上に配置され、植物の冠の頂部の高さに保たれた(
図16B)。チャンバごとに1つの通風(aspirated)熱電対(Type E; Omega Engineering,Inc.、Stamford、CT)によって、空気温度が測定された。CR-1000データロガー(Campbell Scientific、Logan、UT)およびAM16/32Bマルチプレクサ(Campbell Scientific)によって、瞬間の空気温度およびPPFDの測定結果が毎分サンプリングされ、時間平均が記録された。
図30A~
図30Gに示すように、平均日温度およびDLI)が計算および記録された。
【0286】
図30Aは、ND91(3000で示す)、ND58(3002で示す)、ND33(3004で示す)、CO770(3006で示す)、CO700(3008で示す)、CO550a(3010で示す)、およびCO550b(3012で示す)についての、バジルの平均日チャンバ空気温度を示す。
図30Bは、ND91(3020で示す)、ND58(3022で示す)、ND33(3024で示す)、CO770(3026で示す)、CO700(3028で示す)、CO550a(3030で示す)、およびCO550b(3032で示す)についての、ペチュニアの平均日チャンバ空気温度を示す。
図30Cは、ND91(3040で示す)、ND58(3042で示す)、ND33(3044で示す)、CO770(3046で示す)、CO700(3048で示す)、CO550a(3050で示す)、およびCO550b(3052で示す)についての、トマトの平均日チャンバ空気温度を示す。
図30Dは、
図30E~
図30Fについての凡例である。
図30Eは、バジルのチャンバ内のDLIを示す。
図30Fは、ペチュニアのチャンバ内のDLIを示す。
図30Gは、トマトのチャンバ内のDLIを示す。
【0287】
温室環境:各チャンバは、ミシガン州立大学(北緯42.7°/西経84.5°)の東西方向を向いたガラス張り研究用温室内において、個々のアルミニウムベンチ上にあった。温室環境制御システム(Integro 725; Priva North America、Vineland Station、ON、Canada)によって、21℃の設定点に空気温度が調節された。放射蒸気加熱、屋根通気孔、排気ファン、および蒸発冷却パッドによって、空気温度が調節された。実験チャンバ内部の空気温度は、バジル、ペチュニア、およびトマトについて、それぞれ、平均25℃、平均27℃、および平均24℃であり、各チャンバ間の空気温度差は、最大2℃異なっていた(
図30A~
図30C、
図41)。
【0288】
バジル苗栽培:2020年5月12日に、ピートモス70%、パーライト21%、およびバーミキュライト9%からなる温室培地(Suremix; Michigan Grower Products,Inc.、Galesburg、MI)を充填した丸形4インチのポット(473mL)内へ、バジル種子(Johnny’s Selected Seeds、Winslow、ME)を直接的に播種し、実験チャンバ内部に配置した。各4インチポットは、7つのバジル苗を含んでいた。(単位をmg・L-1として)Nを125、Pを13、Kを120、Caを77、Mgを19、Feを1.7、CuおよびZnを0.4、Mnを0.8、BおよびMoを0.2含有する、13N-1.3P-12.5K水溶性肥料(MSU Orchid RO Water Special; GreenCare Fertilizers, Inc., Kankakee, IL)を添加した逆浸透水からなる溶液を用いて、必要に応じて灌漑を行った。
【0289】
ペチュニアおよびトマトの苗栽培:2020年5月29日に、管理環境の成長室において、前述した温室培地(Suremix; Michigan Grower Products,Inc.)50体積%とバーミキュライト50体積%とからなる育苗用混合物(propagation mix)を充填した288セル(個々のセル体積8mL)のプラグトレイ内へ、ペチュニア種子(Harris Seeds Co.、Rochester、NY)を播種した。2020年7月13日に、同じ成長室において、ペチュニアと同じ育苗用混合物を充填した128セル(個々のセル体積17.5mL)のプラグトレイ内へ、トマトの矮小変種の種子(Park Seed Co., Hodges, SC)を播種した。ペチュニアおよびトマトは、23℃一定かつ175μmol・m-2・s・-1のPPFDにおいて、それぞれ、10時間および18時間の光周期下で発芽した。単独光源(Sole source)電気照明には、白色発光ダイオード(LED)器具(RAY22;Fluence、Austin、TX)が設けられた。子葉が出現するまで(6日)、透明プラスチック湿気ドーム(humidity dome)で発芽苗が覆われた。以下の栄養分(単位:mg・L-1)を提供する脱イオン水、水耕水溶性肥料(12N-1.7P-13.3K RO Hydro FeED、JR Peters,Inc.、Allentown、PA)、および硫酸マグネシウム(Epsom salt, Pennington Seed Inc., Madison GA)の溶液を用いて、必要に応じて苗を潅漑した:N 125、P 18、K 138、Ca 73、Mg 49、S 37、Fe 1.6、Mn 0.5、Zn 0.4、BおよびCu 0.2、ならびにMo 0.01。ハンドヘルドメーター(HI9814;Hanna Instruments, Woonsocket、RI)を用いて、苗原液(Seedling stock solution)のpHおよび導電率を調合時に測定し、pH5.8および導電率1.2mS・cm-1に調整した。
【0290】
成熟作物栽培:10ポットのバジル、ペチュニア、トマト、およびダイズを、収穫できるようになるまで、各チャンバ内へ10ポットm-2の密度でランダムに配置した。バジル苗栽培について記載したものと同じピートベースの温室培地を、各ポットに充填した。バジルは、2020年6月16日に収穫されるまで、チャンバ内部で35日間栽培された。ペチュニアは、2020年6月20日に4.5インチの丸形ポットに移植し、2020年7月21日まで(31日)チャンバ内部で栽培された。2020年7月21日には、全ての苗が、少なくとも1つの完全に開いた花を有していた。トマト苗は、2020年7月30日に4.5インチの丸形ポストに移植した。トマト苗は、良好な根系を発達させたとき(17日)に移植され、ND91チャンバ内の苗が成熟果実を有した時である2020年10月13日に収穫されるまで75日間、実験チャンバ内部で栽培された。バジル、ペチュニア、およびトマトは、バジル苗栽培において記載されたものと同一の溶液を用いて、必要に応じて灌漑された。
【0291】
植物データ収集:収穫時に、バジル、ペチュニア、およびトマトについて、以下のデータを測定した:茎長(培養土から頂端分裂組織まで);地上(above-ground)新鮮バイオマスおよび地上乾燥バイオマス、スケール(GR-200 および GX-1000; A&D Store, Inc., Wood Dale, IL)を使用;最も若い完全展開葉の長さ、幅、面積、および相対クロロフィル含量、ルーラー、葉面積メーター(LI-3100 Area Meter; LI-COR, Inc.)を使用、ならびに、相対的なクロロフィル含量、ハンドヘルドメーター(MC-100; Apogee Instruments.Inc.、Logan、UT)を使用。バジル、ペチュニア、およびトマトの新鮮サンプルを、60 ℃の乾燥炉(Blue M, Blue Island, IL)内で、パーチメントバッグ中で少なくとも4日間乾燥させた後、乾物重を測定した。いずれの種についても行った測定のほかに、バジル、ペチュニア、およびトマトについて、独立した測定を行った。バジルについては、展開葉、展開節(expanded node)、および>5cmの長さの枝の総数;全ての展開葉の総葉面積;培養土高さでの茎直径、デジタルキャリパー(41101 DigiMax; Wiha Switzerland、Monticello、MN、USA)を使用;および、葉または茎のみの新鮮重および乾物重も測定した。各バジルポットは7つの苗を含んでいたので、2つの最も背の高い苗と2つの最も背の低い苗とを除いた3種の苗を各ポットから選択し、それらの成長測定量を平均した。ペチュニアについては、播種から芽が見えるまでの時間(time to visible bud)および開花するまでの時間、>10cmの枝数、花序数、および第一花の下の節数を数え、最長の側枝を測定した。トマトについては、果実数(成熟および未成熟)、果実の新鮮重および乾物重、ならびに第一花の花弁が完全に反り返った日付も測定した。Burnettらに従って、最も若い完全展開葉の面積をその乾物重で割ることによってSLAを計算し、地上乾物重(トマトについては果実を除く)をその茎長で割ることによって、苗のコンパクトさを計算した。二次元投影冠面積(projected canopy area:PCA)を、各トマト苗について頭上写真で記録し、ImageJソフトウェア(http://imagej.nih.gov/ij)で分析した。
【0292】
実験デザインおよび統計:処理(7レベル)および植物を研究用温室内部のランダムなチャンバ(実験単位)に割り当てる完全にランダム化されたデザインとして、実験が組織化された。分散分析(analysis of variance:ANOVA)およびα=0.05でのTukeyのhonestly significant difference検定を用いて、Rソフトウェア(Version 4.0.3、The R Foundation、Vienna、Austria)でデータを分析した。平均DLIの関数としてバジルおよびトマトの成長パラメータ(すなわち、乾物重、茎長、または葉面積)を比較する回帰分析は、まず、一次関数または二次関数として評価されたが、多くの場合、シグモイド型のトレンドが現れた。そこでは以下のGompertz関数を用いた。
【0293】
【0294】
ここで、y=応答変数(成長パラメータ)、a=漸近線、b=x軸上の変位、c=成長率、x=予測変数(DLI)である。Gompertz関数は、曲線の左側部分が下側漸近線に近づくよりも漸進的に曲線の右側部分が上側漸近線に近づく、非対称ロジスティック関数である。過去の研究では、Gompertz関数を使用して、生物学的有機体の成長が時間の関数として、そして植物成長応答が累積的な熱エネルギーおよびDLIの関数として、記述されてきた。曲線がより良好にデータに視覚的にフィットし、典型的にはより高いR2値を有するため、対称ロジスティック関数に優先してGompertz関数が選択された。
【0295】
(様々な量子単位による作物成長の評価)
作物成長を予測する際のYPFDおよびeDLI等の追加的な植物中心的量子単位の適用性を決定するために、分光放射計測定結果を用いてYPFDおよびePARを反映するように処理DLIを変換した。次いで、変換された予測変数を、バジルの成長測定量(シュート乾物重、茎長、総葉面積、および相対クロロフィル含量)のサブセットと比較して、あるパラメータが営農型太陽光発電報告に好ましいか否かを決定した(
図32A~
図32E)。
【0296】
図32Aは、
図32B~
図32Eについての凡例であり、グレージング材料の各々についての記号が含まれる。
図32Bでは、y軸上にシュート乾物重が報告されている。DLI曲線が3200で示され、eDLI曲線が3202で示され、YPFD曲線が3204で示される。
図32Cは、y軸上に総葉面積が報告されている。DLI曲線が3210で示され、eDLI曲線が3212で示され、YPFD曲線が3214で示される。
図32Dは、y軸上に茎長が報告されている。DLI曲線が3220で示され、eDLI曲線が3222で示され、YPFD曲線が3224で示される。
図32Eは、y軸上にSPADが報告されている。DLI曲線が3230で示され、eDLI曲線が3232で示され、YPFD曲線が3234で示される。
【0297】
DLIをYPFDに変換したとき、シグモイド曲線はより低いmol・m-2・d-1値にシフトするが、これは大部分のPAR波長に関して量子効率が1未満であることの結果である。eDLIに変換したとき、曲線はより高いmol・m-2・d-1にシフトするが、これはより広い波長帯からの光子が積分されることの結果である。変換された予測変数を用いた各回帰は、ほぼ同一のシグモイド形状を有し、選択されたバジルの成長測定量のサブセット全体について、DLIの予測変数と同様の能力を有していた。バジルについての観察された臨界照明閾値(ND91処理と同様の収量および品質を有する作物を栽培するのに必要なmol・m-2・d-1)は、~12mol・m-2・d-1という平均DLIであった。変換後、臨界照明閾値は、YPFDおよびeDLIについて、それぞれ、~10mol・m-2・d-1および~14mol・m-2・d-1になった。一般に、これらの値は、YPFDの不完全な量子効率(より低い値)、およびeDLIの拡張された波長帯積分(より高い値)を適切に反映する。しかしながら、x軸上の変化の大きさは必然的に、透過スペクトルおよび変換に依存する。例えば、CO700処理はFR光子の大部分を吸収するので、そのDLIおよびeDLIは、FR光子を吸収しないニュートラルデンシティTPV(変化の大きさがより大きい)と比較して、より近い(変化の大きさがより小さい)はずである。それにもかかわらず、変換の大きさが処理間に存在したとしても、処理DLI間の差の大きさがより大きいため、x軸変換の効果は最小化されている可能性が高い。
【0298】
これらの結果は、YPFDおよびeDLIが、営農型太陽光発電設計において利用されるスペクトル差にもかかわらず、植物の収量および成長を予測する際に、従来の重み付けされていないDLIの定義に匹敵することを示唆する。そこで、ZhenおよびBugbee(2020aおよび2020b)によって説明されているように、eDLI(400~750nmの間の光子の積分)をベンチマークの量子単位として使用することは、営農型太陽光発電の分野にとって有益であり得る。しかしながら、量子単位にかかわらず、これらの結果は、少なくとも1つの量子単位を営農型太陽光発電報告に用いる必要性を際立たせるものだが、PVパネルの下で栽培された作物に対しての当該PVパネルの透過について最も良好に記述する共通の量子測定量をさらに研究する余地が残されている。さらに、これらのようなDLI変換の使用は、平均パネル透過率がより類似している場合に、より重要かつより有意義であり得る。
【0299】
(実施例2)
種々のグレージング材料を備える屋根を有するチャンバ内で、4種の作物を栽培した。作物には、赤葉レタス(葉植物)、キンギョソウ(花卉)、ダイズ(結果植物)、およびバジル(葉植物)が含まれていた。グレージング材料には、ND91、CO850、CO770、CO700、ND58、CO575、CO475、およびND33が含まれていた。結果を以下に示す。
【0300】
図33は、様々な実験用グレージング材料の下で栽培されたものを代表する赤葉レタス「Rouxai」、キンギョソウ「Snapshot Yellow」、およびダイズの苗の写真を含むチャートである。
【0301】
図34は、2021年のレタス「Rouxai」の成長パラメータを報告する表である。SPADは、葉の相対クロロフィル含量を指す。SLAは、代表的な葉について、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算した。コンパクトさは、総地上乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。放射使用効率(Radiation use efficiency:RUE)は、総地上乾物重(g)を受光した光子のモル数で割ることによって計算される。コンパクトさは、乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、10サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。
【0302】
図35は、2021年のキンギョソウ「Snapshot yellow」のパラメータを報告する表である。SPADは、葉の相対クロロフィル含量を指す。SLAは、代表的な葉について、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算した。コンパクトさは、総地上乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。RUEは、総地上乾物重(g)を受光した光子のモル数で割ることによって計算される。コンパクトさは、乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、10サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。
【0303】
図36は、2021年のバジル「Genovese」の成長パラメータを報告する表である。SPADは、葉の相対クロロフィル含量を指す。SLAは、代表的な葉について、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算した。コンパクトさは、総地上乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。RUEは、総地上乾物重(g)を受光した光子のモル数で割ることによって計算される。コンパクトさは、乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、10サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。
【0304】
図37は、2021年の間のダイズの成長パラメータを報告する表である。SPADは、葉の相対クロロフィル含量を指す。SLAは、葉面積(cm
2)を代表的な葉の葉質量(g)で割ることによって計算した。コンパクトさは、総地上乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。RUEは、総地上乾物重(g)を受光した光子のモル数で割ることによって計算される。コンパクトさは、乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、10サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。
【0305】
(実施例3)
種々のグレージング材料を備える屋根を有するチャンバ内で、2種の作物を栽培した。作物には、ダイズ(結果植物)およびバジル(葉植物)が含まれていた。グレージング材料には、ND91、CO850、CO770、CO700、ND58、CO575、CO475、およびND33が含まれていた。結果を以下に示す。
【0306】
図38は、様々な実験用グレージング材料の下で栽培されたものを代表するバジル「Genovese」およびダイズの苗の写真を含むチャートである。
【0307】
図39は、2022年のバジル「Genovese」の成長を報告する表である。SLAは、代表的な葉について、葉面積(cm
2)を葉質量(g)で割ることによって計算した。コンパクトさは、総地上乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。RUEは、総地上乾物重(g)を受光した光子のモル数で割ることによって計算される。コンパクトさは、乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算される。データは、20サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。
【0308】
図40は、2022年の間のダイズの成長を報告する表である。データは、20サンプルの平均を表す。種々の文字が付いた平均は、Tukeyのhonestly significant difference検定に従って有意であり(P<0.05)、各行に対応している。
【0309】
(実施例1-3 概観)
図41A~
図41Dは、実施例1の2020年の作物、実施例2の2021年の作物、および実施例3の2022年の作物を含む、2020年と2022年との間に栽培された作物の相対的な成長応答を示す。各成長パラメータは、種に応じた最大観測値に対して作成され、10個のサンプルの平均を表す。
図41Aは、
図41B~
図41Dについての凡例である。
【0310】
図41Bを参照すると、相対的な収量がDLIの関数として示されている。2020年の作物:バジルが4100で示され、ペチュニアが4102で示され、トマトが4104で示されている。2021年の作物:バジルが4110で示され、ダイズが4112で示され、キンギョソウが4114で示され、レタスが4116で示されている。2022年の作物:バジルが4120で示され、ダイズが4122で示されている。相対的な収量は、バジル、レタス、キンギョソウ、ダイズ、およびペチュニアのシュート乾物重(葉および茎)、ならびにトマトの果実新鮮重を指す。
【0311】
図41Cを参照すると、相対的な茎長がDLIの関数として示されている。2020年の作物:バジルが4130で示され、ペチュニアが4132で示され、トマトが4134で示されている。2021年の作物:バジルが4140で示され、ダイズが4141で示され、キンギョソウが4144で示され、レタスが4146で示されている。2022年の作物:バジルが4150で示されている。茎長は、土壌表面から頂端分裂組織までを測定したものである。
【0312】
図41Dを参照すると、相対的なコンパクトさがDLIの関数として示されている。2020年の作物:バジルが4160で示され、ペチュニアが4162で示され、トマトが4164で示されている。2021年の作物:バジルが4170で示され、ダイズが4172で示され、キンギョソウが4174で示され、レタスが4176で示されている。2022年の作物:バジルが4180で示されている。コンパクトさは、総地上乾物重(g)を茎長(cm)で割ることによって計算したものである。
【0313】
(実施例4(TPV))
本実施例では、近赤外吸収ポリマーのPTB7-ThおよびNFAのIEICO-4Fを電子受容材料および電子供与材料として用いて、インバート(inverted)LBL TPVを作製した。これは、典型的には非フラーレンアクセプタと考えられるNIR吸収ドナーIEICO-4Fと対になった非伝統的アクセプタポリマーである。
【0314】
図42を参照すると、種々の厚さを有するデバイスについて、APT、J
SC、開路電圧(open circuit voltage)(V
OC)、フィルファクタ(fill factor:FF)、PCE、およびLUE
*が報告されている。Ag/Alq
3電極をより透明度の高いITOに置き換えると、APTは約65%に増大すると予想される。さらに、PTB7-Th厚さとIEICO-4F厚さとの両方を20nm未満に低下させると、APTが約75%に増大すると予想される。
図43A~
図43Cは、種々のPTB7-Th厚さを有するTPVの特性を示すグラフである。
【0315】
TPV作製:PTB7-Th(1-Material)をo-キシレン(Sigma Aldrich)に1~10mg・mL-1で溶解させて、覆いをつけて70℃で一晩撹拌および加熱した。IEICO-4F(1-Material)を、75:25:0、74.25:24.75:1、73.5:24.5:2、72.75:24.25:3、72:24:4、71.25:23.75:5、および70.5:23.5:6のv/v比のo-キシレン:n-ブタノール:1-クロロナフタレン(Sigma Aldrich)に溶解させ、0~6%の1-クロロナフタレンドーピングとした。[13]次いで、IEICO-4F溶液を、覆いをつけて70℃で一晩撹拌および加熱した。1gの酢酸亜鉛二水和物(Sigma Aldrich)、0.277mLのエタノールアミン(Sigma Aldrich)、および10mLの2-メトキシエタノール(Sigma Aldrich)を用いてZnO溶液を調製し、換気フード中に覆い、一晩しっかりと撹拌した。
【0316】
デバイス作製:あらかじめパターニングされたITOコーティングされたガラス基板を、脱イオン水、アセトン、およびイソプロパノール中でそれぞれ10分間、逐次超音波処理によってクリーニングした。基板を135℃で1分間、ホットプレート上で乾燥させ、次いで、軽真空(light vacuum)下で10分間プラズマ洗浄した。4000rpm(50μL、加速度2000rpm/s)で30秒間プラズマ洗浄した直後に、ZnO層を基板上へスピンコーティングした。アクティブ層スピンコーティングのためにグローブボックスへ移動する前に、ZnOで覆われた基板を200℃で20分間、空気中でアニールした。PTB7-Thフィルムを、65μLを用いて、1000rpmで15秒間、2000rpmで5秒間、スピンさせて、5~85nmの範囲の厚さを得た。IEICO-4Fフィルムを、1500rpmで45秒間スピンさせて(溶液60μL)、約55nmのフィルムを得た(VASE)。逐次二層堆積(sequential bilayer deposition)の後、デバイスを、室温から150℃までの範囲の温度で、10~20分間アニールした。次いで、基板を高真空熱蒸着チャンバ(high vacuum thermal vapor deposition chamber)(Angstrom Engineering)に装填し、そこで7nmのMoO3を3×10-6torrで堆積させた。最後に、Ag(不透明デバイス-80nm)またはAg/Alq3(TPV)の頂部コンタクトを、4.43mm2の活性領域(active area)が定められるようにマスクを用いて堆積させた。TPVについては、Agの厚さは8~20nmの範囲であり、Alq3の厚さは0~50nmの範囲であった。
【0317】
デバイス試験:KG5フィルタを有するNREL較正Si基準セルを用いて1-sun強度に較正したXeアーク灯からの照明下において、Keithley 2420 SourceMeterにより電流-電圧(J-V)特性曲線を測定した。各条件について、最低5個のデバイスを試験した。200Hzでチョップした(断続した)タングステンハロゲンランプからの単色光を用いて、EQE測定を行った。EQE測定を行う前に、Newport較正Siダイオードを使用してシステムを較正した。
【0318】
(実施例5(TLSC))
2,2’-[[4,4,11,11-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-4,11-ジヒドロチエノ[2’,3’:4,5]チエノ[2,3-d]チエノ[2’’’’,3’’’’:4’’’,5’’’]チエノ[2’’’,3’’’:4’’,5’’]ピラノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]ピラン-2,9-ジイル]ビス[メチリジン(5,6-ジフルオロ(COi8DFIC)を、列挙された濃度でジクロロメタンに溶解した。ナノクラスタ(NC)(Cs
2Mo
6I
8(CF
3CF
2COO)
6)、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-エチル-2H-ベンズ[e]インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3,3-ジメチル-1-エチル-1H-ベンズ[e]インドリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(CyTPFB)、および2-[2-[2-クロロ-3-[(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シルコヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-1H-インドリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(IR775-TPFB)の塩を、
図44~
図50Dに列挙された濃度でエタノールに溶解した。COi8DFIC溶液を、1:1の体積測定比で封入剤と混合させ、エタノールベースの溶液を、1:2の体積測定比で封入剤と混合させた。次いで、混合物をホウケイ酸ガラス基板上へドロップキャストし、N
2雰囲気下で乾燥させた。Cs
2Mo
6I
8(CF
3CF
2CF
2COO)
6を有するナノクラスタデバイスに関して、色素フィルムを含む表面の外側エッジにエポキシ樹脂境界を適用し、追加のガラス基板をエポキシ樹脂上へ配置した。エポキシ樹脂をUV硬化させてシールを完成させた。試験のために、屈折率整合ゲル(index-matching gel)を用いて、デバイスの1つのエッジに太陽光発電セル(
図44~
図50Dに示すように、SiまたはGaAs)をマウントさせた。
【0319】
デバイス試験:KG5フィルタを有するNREL較正Si基準セルを用いて1-sun強度に較正したXeアーク灯からの照明下において、Keithley 2420 SourceMeterにより電流-電圧(J-V)特性曲線を測定した。200Hzでチョップしたタングステンハロゲンランプからの単色光を用いて、EQE測定を行った。EQE測定を行う前に、Newport較正Siダイオードを使用してシステムを較正した。
【0320】
【0321】
図50Aは、0.075mg/mLのCOiを有する様々な濃度のNCについてのJ-V曲線を示すグラフである。5mg/mLのNCは5000で示され、20mg/mLのNCは5002で示され、40mg/mLのNCは5004で示され、5mg/mLのNCは5006で示されている。
図50Bは、0.15mg/mLのCOi8DFICについてのJ-V曲線5010、および0.2mg/mLのIR775-TPFBについてのJ-V曲線5012を示すグラフである。
図50Cは、0.075mg/mLのCOiを有する様々な濃度のNCについて、波長の関数としてのEQEを示すグラフである。5mg/mLのNCは5020で示され、20mg/mLのNCは5022で示され、40mg/mLのNCは5024で示され、5mg/mLのNCは5026で示されている。
図50Dは、0.15mg/mLのCOi8DFICについてのEQE曲線5030、および0.2mg/mLのIR775-TPFBについてのEQE曲線5032を示すグラフである。
【0322】
上述した実施形態の説明は、例示および説明の目的のために提供されている。網羅的であること、または本開示を限定することは意図されていない。一般に、特定の実施形態の個々の要素または構成は、その特定の実施形態に限定されるものではなく、妥当な場合には交換可能であり、具体的に図示または説明されない場合であっても、選択された一実施形態において使用することができる。また、これらは多くの方法で変形され得る。かかる変形形態は、本開示からの逸脱とみなされるべきではなく、かかる全ての修正が本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0323】
【
図1A】少なくとも1つの例示的実施形態による、波長(nm)の関数としての太陽光量子束および相対的植物作用を示すグラフである。
【
図1B】なくとも1つの例示的実施形態による、植物に対するニュートラルデンシティ透過および波長選択的透過を変調する太陽光集光器板の設計の概略図である。
【
図2】少なくとも1つの例示的実施形態による、透明光電池(TPV)の概略図である。
【
図3A】少なくとも1つの例示的実施形態による、透明発光型太陽光集光器(TLSC)の概略図である。
【
図3B】少なくとも1つの例示的実施形態による、透明発光型太陽光集光器(TLSC)の概略図である。
【
図4】少なくとも1つの例示的実施形態による、透明ソーラーパネルを含む包囲構造物の概略図であり、当該構造物は、植物等の光合成有機体を栽培するための内部領域を含む。
【
図5A】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に平坦な透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図5B】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に平坦な透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図6A】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図6B】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図7A】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度単一ポール支持体透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図7B】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度単一ポール支持体透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図8A】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度垂直透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図8B】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に固定角度垂直透明ソーラーパネルを構成することの概略図である。
【
図9A】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に三軸追跡透明ソーラーパネルアセンブリを構成することの概略図である。
【
図9B】少なくとも1つの例示的実施形態による、陸地または水における植物等の光合成有機体の上方に三軸追跡透明ソーラーパネルアセンブリを構成することの概略図である。
【
図10】少なくとも1つの例示的実施形態による、太陽光アルベドを取り込む両面型透明ソーラーアレイ地面設置の概略図である。
【
図11A】灌漑(噴霧)システムと一体化した透明ソーラーアレイの概略図である。
【
図11B】灌漑(噴霧)システムと一体化した透明ソーラーアレイの概略図である。
【
図12】少なくとも1つの例示的実施形態による、ソーラーアレイおよび潅漑システムのための支持構造物の断面図である。
【
図13】少なくとも1つの例示的実施形態による、太陽光発電の方法を示すフローチャートである。
【
図14】透明ソーラーパネルを設計および作製する方法を示すフローチャートである。
【
図15】少なくとも1つの例示的実施形態による、様々な営農型太陽光発電アプローチの進展および展望の概略図である。
【
図16A】少なくとも実施例1の実施形態による、実験チャンバの設計および寸法に関する。
【
図16B】少なくとも実施例1の実施形態による、実験チャンバの設計および寸法に関する。
【
図17A】少なくとも実施例1の実施形態による、温室内部のグレージング材料およびチャンバの視覚的表現である。
【
図17B】少なくとも実施例1の実施形態による、温室内部のグレージング材料およびチャンバの視覚的表現である。
【
図18A】少なくとも実施例1の実施形態による、様々な波長選択性(光選択性とも称される)グレージング材料およびニュートラル吸収グレージング材料の透過光子スペクトルを示すグラフである。
【
図18B】少なくとも実施例1の実施形態による、様々な波長選択性(光選択性とも称される)グレージング材料およびニュートラル吸収グレージング材料の透過光子スペクトルを示すグラフである。
【
図18C】少なくとも実施例1の実施形態による、様々な波長選択性(光選択性とも称される)グレージング材料およびニュートラル吸収グレージング材料の透過光子スペクトルを示すグラフである。
【
図19A】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19B】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19C】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19D】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19E】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19F】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19G】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19H】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19I】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19J】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19K】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19L】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図19M】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトからの選択された成長応答回帰に関する。
【
図20A】少なくとも実施例1の実施形態による、バジルの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としてのバジルの成長パラメータ(y)の回帰分析を示す表である。
【
図20B】少なくとも実施例1の実施形態による、バジルの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としてのバジルの成長パラメータ(y)の回帰分析を示す表である。
【
図21A】少なくとも実施例1の実施形態による、ペチュニアの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としてのペチュニアの成長パラメータ(y)の回帰分析を示す表である。
【
図21B】少なくとも実施例1の実施形態による、ペチュニアの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としてのペチュニアの成長パラメータ(y)の回帰分析を示す表である。
【
図22A】少なくとも実施例1の実施形態による、トマトの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としての様々なトマトの成長パラメータ(y)についての回帰分析を示す表である。
【
図22B】少なくとも実施例1の実施形態による、トマトの成長応答回帰、具体的には、DLI(mol・m
-2・d
-1;400~700nm)(x)の関数としての様々なトマトの成長パラメータ(y)についての回帰分析を示す表である。
【
図23A】少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのバジルの成長を報告する表である。
【
図23B】少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのバジルの成長を報告する表である。
【
図24A】実施例1の実施形態による、各グレージング材料の下の代表的な植物の写真を含むチャートである。
【
図24B】実施例1の実施形態による、各グレージング材料の下の代表的な植物の写真を含むチャートである。
【
図24C】実施例1の実施形態による、各グレージング材料の下の代表的な植物の写真を含むチャートである。
【
図25A】少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのペチュニアの成長応答を報告する表である。
【
図25B】少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのペチュニアの成長応答を報告する表である。
【
図26A】少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのトマトの成長応答を報告する表である。
【
図26B】少なくとも実施例1の実施形態による、様々なグレージング材料の下でのトマトの成長応答を報告する表である。
【
図27A】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。
【
図27B】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。
【
図27C】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。
【
図27D】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。
【
図27E】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。
【
図27F】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。
【
図27G】少なくとも実施例1の実施形態による、バジル、ペチュニア、およびトマトの相対的な成長応答に関する。
【
図28】少なくとも実施例1の実施形態による、米国における営農型太陽光発電システムの潜在的なエネルギー出力に関する表である。
【
図29】少なくとも実施例1の実施形態による、営農型太陽光発電の潜在的なエネルギー出力に関するグラフである。
【
図30A】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
【
図30B】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
【
図30C】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
【
図30D】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
【
図30E】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
【
図30F】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
【
図30G】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバの環境条件に関する。
【
図31】少なくとも実施例1の実施形態による、実験用グレージング材料で屋根がつくられたチャンバ内部の環境条件に関する表である。
【
図32A】少なくとも実施例1の実施形態による、3つの予測変数の関数としてのバジルの成長パラメータに関する。
【
図32B】少なくとも実施例1の実施形態による、3つの予測変数の関数としてのバジルの成長パラメータに関する。
【
図32C】少なくとも実施例1の実施形態による、3つの予測変数の関数としてのバジルの成長パラメータに関する。
【
図32D】少なくとも実施例1の実施形態による、3つの予測変数の関数としてのバジルの成長パラメータに関する。
【
図32E】少なくとも実施例1の実施形態による、3つの予測変数の関数としてのバジルの成長パラメータに関する。
【
図33A】少なくとも実施例2の実施形態による、様々なグレージング材料の下の代表的な苗の写真を含むチャートである。
【
図33B】少なくとも実施例2の実施形態による、様々なグレージング材料の下の代表的な苗の写真を含むチャートである。
【
図33C】少なくとも実施例2の実施形態による、様々なグレージング材料の下の代表的な苗の写真を含むチャートである。
【
図34A】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のレタス「Rouxai」の成長パラメータを報告する表である。
【
図34B】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のレタス「Rouxai」の成長パラメータを報告する表である。
【
図35A】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のキンギョソウ「Snapshot yellow」の成長パラメータを報告する表である。
【
図35B】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のキンギョソウ「Snapshot yellow」の成長パラメータを報告する表である。
【
図36A】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のバジル「Genovese」の成長パラメータを報告する表である。
【
図36B】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年のバジル「Genovese」の成長パラメータを報告する表である。
【
図37A】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年の間のダイズの成長パラメータを報告する表である。
【
図37B】少なくとも実施例2の実施形態による、2021年の間のダイズの成長パラメータを報告する表である。
【
図38A】少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の各グレージング材料の下の代表的な植物の写真を含むチャートである。
【
図38B】少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の各グレージング材料の下の代表的な植物の写真を含むチャートである。
【
図39A】少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の間のバジル「Genovese」の成長を報告する表である。
【
図39B】少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の間のバジル「Genovese」の成長を報告する表である。
【
図40】少なくとも実施例3の実施形態による、2022年の間のダイズの成長を報告する表である。
【
図41A】少なくとも実施例1~3の実施形態による、2020年から2022年までの間に栽培された作物の相対的な成長応答を示す。
【
図41B】少なくとも実施例1~3の実施形態による、2020年から2022年までの間に栽培された作物の相対的な成長応答を示す。
【
図41C】少なくとも実施例1~3の実施形態による、2020年から2022年までの間に栽培された作物の相対的な成長応答を示す。
【
図41D】少なくとも実施例1~3の実施形態による、2020年から2022年までの間に栽培された作物の相対的な成長応答を示す。
【
図42】少なくとも実施例4の実施形態による、一定のIEICO-4F厚さおよび表に示す可変のPTB7-Th厚さを有する二層TPVデバイスの実験的に決定された光学的値(APT)および電子的値(J
SC、V
OC、フィルファクタ(FF)、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【
図43A】少なくとも実施例4の実施形態による、異なるPTb7-Th厚さを有するTPVについてのポリマー厚さ最適化に関する。
【
図43B】少なくとも実施例4の実施形態による、異なるPTb7-Th厚さを有するTPVについてのポリマー厚さ最適化に関する。
【
図43C】少なくとも実施例4の実施形態による、異なるPTb7-Th厚さを有するTPVについてのポリマー厚さ最適化に関する。
【
図44】少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントGaAsを含むナノクラスタベースのデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【
図45】少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントGaAsを有するNIR吸収色素デバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【
図46】少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントSiセルを有する選ばれたデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【
図47】少なくとも実施例5の実施形態による、low-eスタックサンプルの透過率を示すグラフである。
【
図48】少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントSiセルを有しlow-eスタック1がデバイスの底面の下に配置された選ばれたデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を報告する表である。
【
図49】少なくとも実施例5の実施形態による、エッジマウントSiセルを有しlow-eスタック2がデバイスの底面の下に配置された選ばれたデバイスの実験的に決定された光学的値(APT、SHGC
*)および電子的値(J
SC、V
OC、FF、PCE、LUE
*)を示すグラフである。
【
図50A】少なくとも実施例5の実施形態による、電流密度電圧およびEQEを示すグラフである。
【
図50B】少なくとも実施例5の実施形態による、電流密度電圧およびEQEを示すグラフである。
【
図50C】少なくとも実施例5の実施形態による、電流密度電圧およびEQEを示すグラフである。
【
図50D】少なくとも実施例5の実施形態による、電流密度電圧およびEQEを示すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明ソーラーパネルであって、
透明基板と、
透明光活性材料と、
を備え、
前記透明ソーラーパネル全体の平均光合成透過率(APT)は、約45%以上であり、
前記透明ソーラーパネルは、約10mol・m
-2・d
-1以上の日積算光量(DLI)で、植物を含む領域へ光を透過させるように構成されている、透明ソーラーパネル。
【請求項2】
前記透明ソーラーパネルは、透明光電池(TPV)であり、
前記透明光電池(TPV)は、
前記透明基板上の第1透明電極と、
前記透明光活性材料と、
第2透明電極と、
を備え、
前記透明光活性材料は、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間にある、請求項1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項3】
前記透明ソーラーパネルは、透明発光型太陽光集光器(TLSC)であり、
前記透明発光型太陽光集光器(TLSC)は、
前記透明基板であって、
第1表面と、
前記第1表面の反対側の第2表面と、
エッジ表面と、
を含む前記透明基板と、
第1波長範囲内の光を吸収し、第2波長範囲内の光を放出するように構成された発光団であって、
(i)前記透明基板内、
(ii)前記第1表面上、前記第2表面上、もしくは前記第1表面と前記第2表面との両方の表面上の層内、または
(iii)(i)と(ii)との両方
に埋め込まれた発光団と、
前記エッジ表面に結合された太陽光発電デバイスであって、前記第2波長範囲内の光を吸収するように構成された太陽光発電デバイスと、
を備える、請求項1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項4】
前記透明ソーラーパネルは、約65%以上のAPTを有する、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項5】
前記透明ソーラーパネルは、約12mol・m
-2・d
-1以上の拡張日積算光量(eDLI)で、前記領域へ光を透過させるように構成されている、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項6】
前記透明ソーラーパネルは、約9mol・m
-2・d
-1以上の収量光量子束密度(YPFD)で、前記領域へ光を透過させるように構成されている、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項7】
前記透明光活性材料は、約450nm未満または約725nm超のピーク吸収を有する、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項8】
前記透明光活性材料は、700nmの波長カットオフを有する、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項9】
前記透明ソーラーパネル全体は、470nmの波長の光に対して約65%以上透明である、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項10】
前記透明ソーラーパネル全体は、530nmの波長の光に対して約65%以上透明である、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項11】
前記透明ソーラーパネル全体は、500~550nmの全ての波長の光に対して約65%以上透明である、請求項
1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項12】
前記透明ソーラーパネルは、約0.5以下の太陽熱利得係数(SHGC)を有する、請求項1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項13】
前記透明基板を少なくとも部分的に取り囲むフレームをさらに備え、
前記フレームの色は、R、G、Bの十進コードを有し、
Rは、約150以上約255以下であり、
Gは、約150以上約255以下であり、
Bは、約150以上約255以下である、請求項1に記載の透明ソーラーパネル。
【請求項14】
植物を含む領域において使用するための透明ソーラーパネルを作製する方法であって、
前記植物の所望の特性を達成するための日積算光量(DLI)を決定する工程と、
前記DLIに適合する光活性材料を選択する工程と、
前記光活性材料を含む前記透明ソーラーパネルであって、前記植物を含む前記領域へ光を透過させるように構成された前記透明ソーラーパネルを構成する工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
構成する前記工程よりも前に、所望の太陽熱利得係数(SHGC)が達成されるように前記透明ソーラーパネルのための材料を選択する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】