(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】鳥ワクチン接種システム及び鳥ワクチン接種システムの少なくとも1つのアクチュエータを制御する方法
(51)【国際特許分類】
A61D 1/02 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61D1/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506975
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2022071952
(87)【国際公開番号】W WO2023012277
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517325582
【氏名又は名称】アグリ・アドヴァンスト・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・ハーリン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・グローセ・ブリンクハウス
(57)【要約】
鳥ワクチン接種システム(30)は、鳥(100)が搬送機構(20)上に保持され、第1の方向(101)に沿って搬送機構(20)によって搬送されている間に、鳥(100)のワクチン接種を実行するように動作する。鳥ワクチン接種システム(30)は、少なくとも1つのワクチン接種流体を鳥(100)に排出するように動作する流体排出開口部(61)と、少なくとも流体排出開口部(61)の変位をもたらすように動作する少なくとも1つのアクチュエータ(33)と、少なくとも1つのアクチュエータ(33)を制御するように動作する少なくとも1つの制御回路(36)と、搬送機構(20)上に保持された鳥(100)の画像データを取り込むように動作するデータ取得装置(37、50)とを備える流体排出装置を備える。少なくとも1つの制御回路(36)は、鳥(100)が搬送機構(20)によって移動されている間に、ワクチン接種を実行するための画像データに基づいて鳥(100)に対する流体排出開口部(61)の位置を調整するように少なくとも1つのアクチュエータ(33)を制御するように動作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥(100)が搬送機構(20)上に保持され、第1の方向(101)に沿って前記搬送機構(20)によって搬送されている間に、前記鳥(100)のワクチン接種を実行するように動作する鳥ワクチン接種システム(30)であって、
前記鳥ワクチン接種システム(30)は、
前記鳥(100)に少なくとも1つのワクチン接種流体を排出するように動作する流体排出開口部(61)を備える流体排出装置(60、62)と、
少なくとも前記流体排出開口部(61)の変位をもたらすように動作する少なくとも1つのアクチュエータ(33)と、
少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御するように動作する少なくとも1つの制御回路(36)と、
前記搬送機構(20)に保持された前記鳥(100)の画像データを取り込むように動作するデータ取得装置(37、50)と
を含み、
少なくとも1つの前記制御回路(36)は、前記鳥(100)が前記搬送機構(20)によって移動されている間に前記ワクチン接種を実行するための前記画像データに基づいて前記鳥(100)に対する前記流体排出開口部(61)の位置を調整するように少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御するように動作する、鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記制御回路(36)は、前記画像データに基づいて識別された目標位置(105)で前記流体排出開口部(61)が前記鳥(100)に衝突するように、前記画像データに基づいて前記流体排出開口部(61)の前記位置を調整するように動作する、請求項1に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項3】
前記データ取得装置(37、50)が、2Dカメラ、3Dカメラシステム(51、52)、または赤外線カメラを備える、請求項1または2に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項4】
前記データ取得装置(37、50)が、3Dカメラシステム(51、52)、特に構造化光イメージングシステムを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記データ取得装置(37、50)が、可視光または赤外光の線(56)を出力するように動作するプロジェクタ(52)及び前記鳥(100)に投影された前記線の画像を取り込むように動作する画像センサ(51)を備え、
任意選択で、前記画像センサ(51)は、前記搬送機構(20)が可視光または赤外光の前記線(56)を横切って前記鳥(100)を移動させている間に、一連のフレームを取り込むように動作し、さらに任意選択で、少なくとも1つの前記制御回路(36)は、前記一連のフレームのいくつかの時系列的に取り込まれたフレームに基づいて少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御するように動作し、及び/または
任意選択で、可視光または赤外光の前記線(56)は、前記流体排出装置(60、62)の前記第1の方向(101)に対して上流に位置決めされる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項6】
前記データ取得装置(37、50)または少なくとも1つの前記制御回路(36)が、前記鳥(100)の表面輪郭データ(78)を計算するように動作する少なくとも1つの集積回路を備え、少なくとも1つの前記制御回路(36)は、前記表面輪郭データ(78)に基づいて少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御するように動作し、任意選択で、前記表面輪郭データ(78)は3D表面輪郭データを含み、及び/または前記表面輪郭データ(78)は点群を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記制御回路(36)は、少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御して、少なくとも前記第1の方向(101)に沿って、任意選択で前記第1の方向(101)及び前記第1の方向(101)に直交する第2の方向(102、103)の両方に沿って、前記鳥(100)に対する前記流体排出開口部(61)の前記位置を調整するように動作する、請求項1から6のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項8】
前記搬送機構(20)は、搬送速度で前記鳥(100)を前記第1の方向(101)に移動させるように動作し、少なくとも1つの前記制御回路(36)は、少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御するように動作し、
前記流体排出開口部(61)が前記鳥(100)に衝突する前に、前記流体排出開口部(61)は前記搬送速度とは異なる1以上の第1の速度で前記第1の方向(101)に沿って変位し、1以上の前記第1の速度が前記画像データに依存するように、及び/または
少なくとも1つの前記ワクチン接種流体が前記流体排出開口部(61)を介して排出されている間に、前記流体排出開口部(61)は前記搬送速度に等しい第2の速度で前記第1の方向(101)に沿って変位されるようにされる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項9】
支持体(31)と、前記支持体(31)上に移動可能に取り付けられたアプリケータキャリア(41)とをさらに備え、少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)は、前記流体排出開口部(61)を変位させるために前記支持体(31)に対して前記アプリケータキャリア(41)を変位させるように動作する、請求項1から8のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項10】
流体送達装置は、前記流体排出開口部(61)が前記アプリケータキャリア(41)に対して変位可能であるように取り付けられ、任意選択で、前記流体送達装置は、前記アプリケータキャリア(41)に変位可能に取り付けられ、さらに任意選択で、前記流体排出開口部(61)は、前記アプリケータキャリア(41)に対する旋回及び/または並進運動のために配置される、請求項9に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項11】
前記流体送達装置と前記アプリケータキャリア(41)との間にサスペンション(46)、特にカルダンサスペンション(46)をさらに備える、請求項9または請求項10に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項12】
前記鳥(100)に当接するように動作する当接部材(42)をさらに備え、前記当接部材(42)は、前記流体排出開口部(61)が前記ワクチン接種を実行するために位置決めされ、または位置決め可能である開口部を備え、
任意選択で、前記当接部材(42)及び/または前記アプリケータキャリア(41)は、前記アプリケータキャリア(41)への前記当接部材(42)の可逆的に解放可能な取り付けのための結合機構(45、46)を備え、ならびに/または
任意選択で、前記当接部材(42)は、少なくとも1つの追加の流体排出開口部が位置決めされ、または位置決め可能である少なくとも1つの追加の開口部を備える、
請求項1から11のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項13】
前記鳥ワクチン接種システム(30)が、
胸ワクチン接種と、
翼ワクチン接種と、
眼ワクチン接種と
のうちの1以上を実行するように動作し、
前記鳥(100)はその肩甲上腕骨関節によって前記搬送機構(20)上に保持されている間である、請求項1から12のいずれか一項に記載の鳥ワクチン接種システム(30)。
【請求項14】
鳥(100)ハンドリングシステムであって、
鳥(100)を搬送するように動作する搬送機構(20)と、
前記鳥(100)にワクチン接種させるための請求項1から13のいずれか一項に記載の前記鳥ワクチン接種システム(30)と
を備え、
任意選択で、前記搬送機構(20)は、前記鳥(100)を保持するように動作する保持ブラケット(22)を備え、少なくとも1つの前記制御回路(36)は、前記保持ブラケット(22)に対する前記鳥(100)の位置及び/または前記鳥(100)の生理学的特性を決定し、前記保持ブラケット(22)に対する前記鳥(100)の前記位置に基づいて、及び/または前記鳥(100)の前記生理学的特性に基づいて、前記流体排出開口部(61)の目標位置を決定し、前記目標位置(105)に基づいて少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御するように動作し、
さらに任意選択で、前記保持ブラケット(22)は、前記鳥の肩甲上腕骨関節によって前記鳥(100)を保持するように動作する、
鳥(100)ハンドリングシステム。
【請求項15】
鳥ワクチン接種システム(30)の少なくとも1つのアクチュエータ(33)を制御する方法であって、
前記鳥ワクチン接種システム(30)は、
少なくとも1つのワクチン接種流体を鳥(100)に排出するための流体排出開口部(61)を備える流体排出装置(60、62)と、少なくとも前記流体排出開口部(61)の変位をもたらすように動作する少なくとも1つのアクチュエータ(33)とを備え、
前記方法は、
少なくとも1つの制御回路(36)によって、データ取得装置(37、50)から前記鳥(100)の画像データを受信するステップと、
少なくとも1つの前記制御回路(36)によって、ワクチン接種を実行する前で、前記鳥(100)が搬送機構(20)によって移動されている間に、前記画像データに基づいて前記鳥(100)に対して前記流体排出開口部(61)を位置決めするように少なくとも1つの前記アクチュエータ(33)を制御するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を投与するための、特にワクチン接種流体を投与するためのシステム、及びそのようなシステムに関連して使用するための方法に関する。本発明は、鳥が搬送機構によって搬送されている間に自動化された方式で鳥にワクチン接種させることを可能にするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
鳥の繁殖は、農業技術の重要な分野である。ニワトリまたは他の家禽などの鳥は食物であり、有用な動物として飼育されている。動物の健康を保護し、疾患拡散のリスクを軽減するために、ワクチン接種流体などの流体を動物に投与する。
【0003】
流体の投与の効率、一貫性、及び正確さを高めるために、流体の投与は、半自動または完全自動の方式で行われることが望ましい。流体投与手順の自動化はまた、動物のストレスレベルを低下させることができる。
【0004】
特許文献1は、生きている鳥をハンドリングし、格付けし、ワクチン接種させるためのシステム及び方法を開示している。システムは、1以上のワクチン接種ステーションを含み得る。
【0005】
特許文献2は、鳥を提示するための位置決め装置及びワクチン接種システムを開示している。
【0006】
ワクチン接種流体などの流体を鳥に効率的な方式で投与することは課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2017/125387号
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0144071号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、流体を鳥に投与するための流体排出開口部を位置決めするための向上したシステム及び方法を提供することである。特に、本発明の目的は、ワクチン接種流体などの流体を効率的な方式で鳥に投与することを可能にするそのようなシステムのためのシステム及び制御方法を提供することである。本発明の目的はまた、鳥が搬送機構によって保持及び移動されている間に、ワクチン接種流体などの流体を鳥に投与することを可能にするそのようなシステムのためのシステム及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、鳥が搬送機構によって連続的な方式で移動されている間に、ワクチン接種流体などの流体を投与するために鳥に対して流体排出開口部を位置決めするように動作するシステム及び方式が提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、画像データ取得は、鳥の画像データを取り込むために実行されてもよい。流体排出開口部は、取り込まれた画像データに基づいて鳥に対して自動的に位置決めされてもよい。画像データ取得及び鳥に対する流体排出開口部の位置決めは、鳥が搬送機構によって連続的に移動されている間に実行し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、流体排出開口部を備える流体送達装置は、アプリケータキャリア上に配置されてもよい。アプリケータキャリアは、支持体上に移動可能に取り付けられてもよい。流体排出開口部は、アプリケータキャリアに対して変位可能であるようにアプリケータキャリア上に配置されてもよい。流体排出開口部は、当接部材の開口部を通して配置または位置決め可能であってもよい。動作中、当接部材は、ワクチン接種を行うために鳥の体の一部に押し付けられてもよく、流体排出開口部は、当接部材の開口部を通して鳥に衝突する。
【0012】
一実施形態によれば、鳥が搬送機構上に保持され、第1の方向に沿って搬送機構によって搬送される間に、鳥に流体を投与するように動作するシステムが提供される。システムは、少なくとも1つの流体を鳥に排出するように動作する流体排出開口部と、少なくとも流体排出開口部の変位をもたらすように動作する少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作する少なくとも1つの制御回路と、搬送機構上に保持された鳥の画像データを取り込むように動作するデータ取得装置とを備える流体排出装置を備える。少なくとも1つの制御回路は、流体を投与するための画像データに基づいて鳥に対する流体排出開口部の位置を調整するように少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作する。
【0013】
システムは、鳥の移動を停止する必要なく、鳥が搬送機構によって移動されている間に流体を効率的な方式で投与することを可能にする。画像データに基づいて流体排出開口部の位置を制御することにより、搬送機構に対する異なる鳥の形状及び/または鳥の位置を自動的な方式で考慮に入れることができる。流体の正確な投与を確実にすることができる。
【0014】
少なくとも1つの制御回路は、鳥が搬送機構によって移動されている間に、流体を投与するための画像データに基づいて鳥に対する流体排出開口部の位置を調整するように少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0015】
流体は、治療用流体であってもよい。
【0016】
流体は、ワクチン接種流体であってもよい。
【0017】
システムは鳥ワクチン接種システムであってもよい。
【0018】
システムは、流体排出開口部と流体連通するワクチン接種流体リザーバを備えてもよい。
【0019】
流体排出装置は、流体排出開口部が設けられた先端を有する針を備えてもよい。
【0020】
少なくとも1つの制御回路は、画像データに基づいて識別された目標位置で流体排出開口部が鳥に衝突するように、画像データに基づいて流体排出開口部の位置を調整するように動作し得る。
【0021】
少なくとも1つの制御回路は、鳥が保持される保持ブラケットに対する鳥の位置を決定し、及び/または生理学的特性(鳥のサイズ及び/または鳥の胸のサイズなど)を決定し、保持ブラケットに対する鳥の位置及び/または生理学的特性に基づいて流体排出開口部の目標位置を決定し、保持ブラケットに対する鳥の位置に基づいて少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0022】
データ取得装置は、画像センサを備えてもよい。
【0023】
システムは、画像センサによって取り込まれた鳥の画像に基づいて特徴抽出を実行するように動作し得る。
【0024】
データ取得装置は、赤外線カメラを備えてもよい。
【0025】
データ取得装置は、3Dカメラシステムを備えてもよい。
【0026】
データ取得装置は、構造化光イメージングシステムを備えてもよい。
【0027】
データ取得装置は、ステレオカメラシステムを備えてもよい。
【0028】
データ取得装置は、画像データを受信するためのインターフェースを備えてもよい。少なくとも1つの制御回路は、インターフェースに動作可能に結合されてもよい。
【0029】
少なくとも1つのデータ取得装置は、可視光または赤外光の線を出力するように動作するプロジェクタと、鳥に投影された線の画像を取り込むように動作する画像センサとを備え得る。
【0030】
画像センサは、搬送機構が鳥を可視光または赤外光の線を横切って移動させている間に一連のフレームを取り込むように動作し得る。
【0031】
少なくとも1つの制御回路は、一連のフレームのいくつかの時系列的に取り込まれたフレームに基づいて少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0032】
可視光または赤外光の線は、流体排出装置の、第1の方向に対して上流に位置決めされてもよい。
【0033】
データ取得装置または少なくとも1つの制御回路は、鳥の表面輪郭データを計算するように動作する少なくとも1つの集積回路を備えてもよい。
【0034】
少なくとも1つの制御回路は、表面輪郭データに基づいて少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0035】
表面輪郭データは、3D表面輪郭データを含んでもよい。
【0036】
表面輪郭データは、点群を含んでもよい。
【0037】
少なくとも1つの制御回路は、少なくとも第1の方向に沿って、任意選択で第1の方向及び第1の方向に直交する第2の方向の両方に沿って、鳥に対する流体排出開口部の位置を調整するように少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0038】
第2方向は、垂直方向であってもよい。
【0039】
搬送機構は、搬送速度で鳥を第1の方向に移動させるように動作し得る。
【0040】
少なくとも1つの制御回路は、流体排出開口部が鳥に衝突する前に、流体排出開口部が搬送速度とは異なる1以上の第1の速度で第1の方向に沿って変位することができるように、少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0041】
1以上の第1の速度は、画像データに依存し得る。
【0042】
少なくとも1つの制御回路は、少なくとも1つの流体が流体排出開口部を介して排出されている間に、流体排出開口部が搬送速度に等しくなり得る第2の速度で第1の方向に沿って変位され得るように、少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0043】
少なくとも1つの制御回路は、流体排出開口部が第1の方向に沿って往復運動するように少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0044】
システムは、支持体と、支持体に移動可能に取り付けられたアプリケータキャリアとをさらに備え得る。
【0045】
少なくとも1つのアクチュエータは、流体排出開口部を変位させるためにアプリケータキャリアを支持体に対して変位させるように動作し得る。
【0046】
流体送達装置は、流体排出開口部がアプリケータキャリアに対して変位可能であり得るように取り付けられてもよい。
【0047】
流体送達装置は、アプリケータキャリア上に変位可能に取り付けられてもよい。
【0048】
流体排出開口部は、アプリケータキャリアに対して旋回及び/または並進運動するように構成されてもよい。
【0049】
システムは、流体送達装置とアプリケータキャリアとの間にサスペンション、特にカルダンサスペンションをさらに備えてもよい。
【0050】
システムは、鳥に当接するように動作する当接部材をさらに備えてもよい。
【0051】
当接部材は、流体排出開口部がワクチン接種を実行するために位置決めされ、または位置決め可能であり得る開口部を備え得る。
【0052】
当接部材及び/またはアプリケータキャリアは、アプリケータキャリアへの当接部材の可逆的に解放可能な取り付けのための結合機構を備え得る。
【0053】
当接部材は、少なくとも1つの追加の流体排出開口部を位置決めされ、または位置決め可能であり得る少なくとも1つの追加の開口部を備え得る。
【0054】
システムは、1以上の追加の流体を鳥に送達するための1以上の追加の排出開口部を備える1以上の追加の流体排出装置をさらに備え得る。
【0055】
システムは、1以上の追加の交換用当接部材をさらに備えてもよく、各々は、アプリケータキャリアに可逆的に解放可能に取り付けるように動作する。
【0056】
当接部材及び少なくとも1つの交換用当接部材は、異なるサイズ及び/または形状を有し得る。
【0057】
システムは、鳥がその肩甲上腕骨関節によって搬送機構上に保持されている間に、胸ワクチン接種、翼ワクチン接種、眼ワクチン接種のうちの1以上を実行するように動作し得る。
【0058】
鳥を処理するための鳥ハンドリングシステムは、鳥を搬送するように動作する搬送機構と、鳥にワクチン接種させるためのシステムとを備え得る。
【0059】
搬送機構は、鳥を保持するように動作する保持ブラケットを備え得る。
【0060】
少なくとも1つの制御回路は、保持ブラケットに対する鳥の位置を決定し、保持ブラケットに対する鳥の位置に基づいて流体排出開口部の目標位置を決定し、保持ブラケットに対する鳥の位置に基づいて少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0061】
保持ブラケットは、その肩甲上腕骨関節によって鳥を保持するように動作し得る。
【0062】
システムは、1時間当たり少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも6000羽の鳥に流体を投与するように動作し得る。
【0063】
システムは、1時間当たり少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも6000羽の鳥にワクチン接種させるように動作し得る。
【0064】
別の実施形態によれば、システムの少なくとも1つのアクチュエータを制御する方法が提供される。システムは、少なくとも1つの流体を鳥に排出するための流体排出開口部と、少なくとも流体排出開口部の変位をもたらすように動作する少なくとも1つのアクチュエータとを備える流体排出装置を備える。本方法は、少なくとも1つの制御回路によって、データ取得装置から鳥の画像データを受信するステップと、少なくとも1つの制御回路によって、ワクチン接種を実行する前に、鳥が搬送機構によって移動されている間に、画像データに基づいて鳥に対して流体排出開口部を位置決めするように少なくとも1つのアクチュエータを制御するステップとを含み得る。
【0065】
流体は、治療用流体または非治療用流体であってもよい。
【0066】
流体は、ワクチン接種流体であってもよい。
【0067】
本方法は、鳥にワクチン接種させる前に実行され得る。
【0068】
本方法は、鳥にワクチン接種させる前に流体排出開口部を位置決めすることで終了し得る。すなわち、そのようなワクチン接種ステップは、本方法の一部を形成し得ない。
【0069】
本方法は、ワクチン接種を実行することを含み得る。
【0070】
本方法において実装され得る追加の任意選択の特徴は、特許請求されるシステムに関連して開示される任意選択の特徴に対応する。
【0071】
本方法は、一実施形態によるシステムを使用して自動的に実行されてもよい。
【0072】
別の実施形態によれば、鳥が搬送機構上に保持され、第1の方向に沿って搬送機構によって移動される間に、ワクチン接種流体などの流体を鳥に投与するためのシステムが提供される。システムは、支持体と、支持体上に移動可能に取り付けられたアプリケータキャリアと、アプリケータキャリア上に取り付けられ、少なくとも1つの流体を鳥に排出するための流体排出開口部を備える流体排出装置と、アプリケータキャリアの変位をもたらすように動作する少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作する少なくとも1つの制御回路とを備え得る。
【0073】
少なくとも1つの制御回路は、鳥の位置及び/またはサイズに応じて、アクチュエータを汎用的な方式で制御することを可能にする。
【0074】
少なくとも1つのアクチュエータは、鳥が搬送機構によって移動されている間に流体を投与するためにアプリケータキャリアを第1の方向に沿って変位させるように動作し得る。
【0075】
流体は、治療用流体であってもよい。
【0076】
流体は、ワクチン接種流体であってもよい。
【0077】
システムは鳥ワクチン接種システムであってもよい。
【0078】
システムは、流体排出開口部と流体連通するワクチン接種流体リザーバを備えてもよい。
【0079】
流体排出装置は、流体排出開口部が設けられた先端を有する針を備えてもよい。
【0080】
流体送達装置は、流体排出開口部がアプリケータキャリアに対して変位可能であるように、アプリケータキャリアに取り付けられてもよい。
【0081】
流体送達装置は、流体排出開口部が第1の方向に沿って及び/または第1の方向を横断する第2の方向に沿ってアプリケータキャリアに対して変位可能であるように、アプリケータキャリアに取り付けられ得る。
【0082】
第2方向は、垂直方向であってもよい。
【0083】
流体送達装置は、流体排出開口部がアプリケータキャリアに対して並進的な方式で旋回可能及び/または変位可能であるように、アプリケータキャリアに取り付けられてもよい。
【0084】
システムは、流体送達装置とアプリケータキャリアとの間にサスペンション、特にカルダンサスペンションをさらに備えてもよい。
【0085】
少なくとも1つの制御回路は、鳥の3次元表面輪郭データに基づいて、鳥に対する流体排出開口部の位置を制御するように動作し得る。
【0086】
システムは、鳥の3次元表面輪郭データを取得するためのデータ取得装置をさらに備え得る。
【0087】
データ取得装置は、画像センサを備えてもよい。
【0088】
システムは、画像センサによって取り込まれた鳥の画像に基づいて特徴抽出を実行するように動作し得る。
【0089】
データ取得装置は、赤外線カメラを備えてもよい。
【0090】
データ取得装置は、3Dカメラシステムを備えてもよい。
【0091】
データ取得装置は、構造化光イメージングシステムを備えてもよい。
【0092】
データ取得装置は、ステレオカメラシステムを備えてもよい。
【0093】
データ取得装置は、画像データを受信するためのインターフェースを備えてもよい。少なくとも1つの制御回路は、インターフェースに動作可能に結合されてもよい。
【0094】
システムは、鳥に当接するように動作する当接部材をさらに備えてもよく、当接部材は、流体排出開口部がワクチン接種を実行するために位置決めされ、または位置決め可能であり得る開口部を備える。
【0095】
当接部材は、少なくとも1つの追加の流体排出装置がワクチン接種を実施するために位置決め可能であり得る少なくとも1つの追加の開口部を備え得る。
【0096】
システムは、1以上の追加の流体を鳥に送達するための1以上の追加の排出開口部を備える1以上の追加の流体排出装置をさらに備え得る。
【0097】
システムは、1以上の追加の交換用当接部材をさらに備えてもよく、各々は、アプリケータキャリアに可逆的に解放可能に取り付けるように動作する。
【0098】
当接部材及び少なくとも1つの交換用当接部材は、異なるサイズ及び/または形状を有し得る。
【0099】
当接部材及び/またはアプリケータキャリアは、アプリケータキャリアへの当接部材の可逆的に解放可能な取り付けのための結合機構を備え得る。
【0100】
システムは、アプリケータキャリアに取り付けられ、1以上の追加の流体を鳥に送達するための1以上の追加の流体排出開口部を備える1以上の追加の流体排出装置をさらに備え得る。
【0101】
少なくとも1つの制御回路は、少なくとも1つの流体が流体排出開口部を介して排出されている間に、アプリケータキャリアが搬送機構の搬送速度に対応する搬送速度で第1の方向に沿って変位するように、少なくとも1つのアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0102】
システムは、鳥がその肩甲上腕骨関節によって搬送機構上に保持されている間に、胸ワクチン接種、翼ワクチン接種、眼ワクチン接種のうちの少なくとも1つを実行するように動作し得る。
【0103】
システムは、1時間当たり少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも6000羽の鳥に流体を投与するように動作し得る。
【0104】
システムは、1時間当たり少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、または少なくとも6000羽の鳥にワクチン接種させるように動作し得る。
【0105】
鳥をハンドリングするための鳥ハンドリングシステムは、鳥を搬送するように動作する搬送機構と、例えば鳥にワクチン接種させるために、鳥に流体を投与するために搬送機構に隣接して位置決めされるように動作する流体を投与するためのシステムとを備え得る。
【0106】
別の実施形態によれば、システムの少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する方法が提供され、システムは、アプリケータキャリアと、アプリケータキャリアに取り付けられ、少なくとも1つの流体を鳥に排出するための流体排出開口部を備える流体排出装置と、少なくとも1つのアクチュエータとを備える。本方法は、少なくとも1つの制御回路によって、搬送機構によって第1の方向に移動されている鳥に関する情報を受信するステップと、少なくとも1つの制御回路によって、鳥が搬送機構によって移動されている間に流体を投与するために第1の方向に沿ってアプリケータキャリアの変位をもたらすように少なくとも1つのアクチュエータを制御するステップとを含み得る。
【0107】
流体は、治療用流体または非治療用流体であってもよい。
【0108】
流体は、ワクチン接種流体であってもよい。
【0109】
本方法は、鳥にワクチン接種させる前に実行され得る。
【0110】
本方法は、鳥にワクチン接種させる前に流体排出開口部を位置決めすることで終了し得る。すなわち、そのようなワクチン接種ステップは、本方法の一部を形成し得ない。
【0111】
本方法は、ワクチン接種を実行することを含み得る。
【0112】
本方法において実装され得る追加の任意選択の特徴は、特許請求されるシステムに関連して開示される任意選択の特徴に対応する。
【0113】
本方法は、一実施形態によるシステムを使用して自動的に実行されてもよい。
【0114】
本発明により、種々の効果及び利点が得られる。本システム及び方法は、鳥が搬送機構上に保持されて移動されている間に、鳥に流体を投与するために流体排出開口部を位置決めすることを可能にする。例えば、保持部材上の鳥の位置及び/または搬送機構によって移動されている鳥のサイズを示す画像データに応じて流体排出開口部の位置を制御することによって、流体は、搬送機構の移動を停止する必要なく、高精度及び効率的な方式で投与され得る。
【0115】
本発明の実施形態が図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【
図4】システムによって鳥の近くに位置決めされた鳥及び流体送達装置の概略図である。
【
図5】流体排出開口部が変位する速度を示すグラフである。
【
図7】鳥ワクチン接種システムの構成要素の拡大部分図である。
【
図8】鳥ワクチン接種システムの構成要素の拡大部分図である。
【
図9】鳥ワクチン接種システムの構成要素の拡大部分図である。
【
図13】鳥ハンドリングシステムの保持部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
本発明の実施形態を、同一または類似の参照番号が同一または類似の構成要素を示す図面を参照して説明する。
【0118】
実施形態は、鳥ワクチン接種のための流体排出開口部の位置決めに関連して説明されているが、システム及び方法は、様々な異なる流体を鳥に投与するために使用され得る。
【0119】
図1は、鳥ハンドリングシステム10の概略図である。鳥ハンドリングシステム10は、搬送機構20及び鳥ワクチン接種システム30を備える。鳥ワクチン接種システム30は、搬送機構20に隣接して位置決めされるように動作する。搬送機構20は、鳥ワクチン接種システム30を過ぎて鳥100を第1の方向101に移動させるように動作する。
【0120】
搬送機構20は、保持部材22を備えてもよい。保持部材22は、鳥100を保持するように動作し得る。複数の保持部材22がコンベヤ上に設けられ得、各々は鳥を受け入れるように動作する。搬送機構20は、鳥を保持部材22に手動で位置決めし得る挿入セクションを有し得る。搬送機構20は、少なくとも3人、少なくとも5人、少なくとも7人、少なくとも9人の人間のオペレータが鳥を保持部材22に同時に配置することを可能にし得る。保持部材22は、搬送機構20のコンベヤと可逆的に解放可能に係合可能及び/またはコンベヤから解放可能であってもよく、あるいはコンベヤ上にしっかりと取り付けられてもよい。保持部材22は、鳥との係合及び鳥の解放のための1以上の可動構成要素を備え得る。
【0121】
鳥ワクチン接種システム30は、支持体31を備える。支持体31は、支持体31が搬送機構20に隣接して位置決めされることを可能にするキャスタ及び/またはローラ32を有し得る。鳥ワクチン接種システム30は、アプリケータキャリア41を備える。アプリケータキャリア41は、流体排出開口部61を有する1以上の流体排出装置を搬送する。流体排出開口部61は、ワクチンまたは他の流体の皮下、筋肉内、または他の投与を行うために鳥100の皮膚を穿刺するように動作する針または他の注射要素に設けられてもよい。流体排出開口部61は、当接部材42の開口部43内またはそれを通って位置決めされ、または位置決め可能であり得る。動作時には、当接部材42を鳥100に押し付け得、流体を、流体排出開口部61を介して鳥に排出することが可能である。
【0122】
流体送達装置が配置されたアクチュエータキャリア41及び当接部材42は、ワクチン接種ヘッド40を実装し得る。ワクチン接種ヘッド40は、ワクチン接種を実行するために支持体31に対して位置決め可能であり得る。
【0123】
鳥ワクチン接種システム30は、アクチュエータ33を備える。アクチュエータ33は、アプリケータキャリア41を変位させるように動作し得る。アクチュエータ33は、ドライブ34を備え得、これは、1以上のモータを含み得る。アクチュエータ33は、ドライブ34とアプリケータキャリア41との間に結合されたリンク機構35を備え得る。リンク機構35は、1つ、2つまたは3つ以上のレバーアームを備えてもよい。リンク機構の1つ、2つ、または3つ以上のレバーアームは、アプリケータキャリアに旋回可能に取り付けられてもよい。アクチュエータ33は、例えば2軸ロボットまたは3軸ロボットなどのロボットを備え得る。
【0124】
アクチュエータ33は、アクチュエータ33が動作するときにアプリケータキャリア41の位置が変更されるように動作し得、アプリケータキャリア41の向きは、アプリケータキャリア41がアクチュエータ33の作用下で変位するときに同じままであり得る。アクチュエータ33は、流体排出開口部61が設けられたアプリケータキャリア41を少なくとも第1の方向101に沿って変位させるように動作し得る。アクチュエータ33は、流体排出開口部61が設けられたアプリケータキャリア41を、垂直方向であり得る第2の方向102に沿って変位させるように動作し得る。アクチュエータ33は、流体排出開口部61が設けられたアプリケータキャリア41を、第1の方向101を横断する水平方向とし得る第3の方向103に沿って変位させるように動作し得る。
【0125】
鳥ワクチン接種システム30は、1以上の制御回路36を備える。制御回路36は、1以上の集積回路(IC)36’を備えてもよい。IC36’は、プロセッサ、コントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはこれらもしくは他の集積回路の任意の組み合わせのうちの任意の1つまたは任意の組み合わせを含み得る。制御回路36は、アクチュエータ33を制御するように動作し得る。制御回路36は、鳥100の少なくとも1つの画像に基づいてアクチュエータを制御するように動作し得る。
【0126】
例証のために、以下でより詳細に説明するように、制御回路36は、
-鳥100の3次元(3D)表面輪郭を示す、または鳥のIR画像を示す画像データを受信し、
-流体排出開口部61の鳥100への衝突のための目標位置を決定し、
-流体排出開口部61が目標位置で鳥100に衝突するようにアクチュエータ33を制御する、
ように動作し得、
その間、鳥100は、矢印104によって概略的に示される搬送速度で第1の方向101に連続的に移動している。制御回路36は、アプリケータキャリア41が画像データに依存する可変速度で搬送し、それによって流体排出開口部61を目標位置に近接して位置決めするように、画像データに応じてアクチュエータ33を制御し得る。
【0127】
鳥ワクチン接種システム30は、画像データ取得のためのカメラ50を備えてもよい。カメラ50は、2D画像、3D画像(すなわち、複数の画素の各々について深度情報を有する画像)、及び/または赤外線(IR)画像を取り込むように動作し得る。カメラ50は、画像センサ51を備え得る。画像センサ51は、インターフェース37を介して制御回路36に結合され得る。インターフェース37は、データインターフェースであってもよい。インターフェース37は、有線または無線インターフェースであってもよい。
【0128】
カメラ50は、支持体31とは別に設けられていてもよいし、支持体に取り付けられていてもよい。支持体31とは別にカメラ50を設けることで、汎用性が向上する。カメラ50を支持体31に取り付けることにより、ユーザの利便性が向上する。
【0129】
カメラ50は、アプリケータキャリア41の、第1の方向101に沿って、ほぼ上流に位置決めされている。すなわち、カメラ50及びアプリケータキャリア41は、鳥100がアプリケータキャリア41を通過する前にカメラ50を通過するように配置される。
【0130】
制御回路36は、インターフェース37で受信され、及び/またはカメラ50から受信された画像データに応答してアクチュエータ33を制御するように動作し得る。カメラ50及び/または制御回路36は、取り込まれた画像データを後処理するように動作し得る。例証のために、3D表面輪郭データは、画像センサ51によって取り込まれた画像データから導出されてもよい。
【0131】
図2は、構造化光3Dカメラとして実装されるカメラ50を備える鳥ハンドリングシステムを示す。カメラ50は、構造化光を出力するように動作するプロジェクタ51を備え得る。画像センサ51は、構造化光によって照明されている間に鳥100を示す1以上の時系列フレームを取り込む。プロジェクタ52は、レーザ光源であってもよい、光源54を備えてもよい。プロジェクタ52は、構造化光を生成するための光学素子54を備えてもよい。光学素子54は、1以上のスキャナ(ガルバノメータスキャナなど)、1以上の開口部、1以上のレンズ、及び/あるいは1以上のビームスプリッタを備え得る。
【0132】
代替的に、ステレオカメラを使用して3D画像データを取り込み得る。
【0133】
図2に示すように、プロジェクタ52は、可視光または赤外光の三角形または扇形55の光を出力し得る。光の線56は、鳥100に衝突し、線56を鳥100の表面輪郭に従って湾曲させ得る。画像センサ51によって時系列的な方式で取り込まれたいくつかの画像フレームは、鳥100が搬送機構20によって線56を越えて移動されるときに、線56が投影された鳥100を示し得る。制御回路36は、時系列画像フレームから導出された3D画像情報に応じてアクチュエータ33を制御し得る。
【0134】
図3は、方法70のフローチャートである。方法70は、鳥ワクチン接種システム30によって自動的に実行され得る。
【0135】
ステップ71において、画像データ取得が実行される。画像データを取得するステップは、3D及び/またはIR画像情報を取り込むステップを含み得る。画像データを取得するステップは、構造化光3Dカメラを使用して、鳥の3D表面輪郭情報を取り込むステップを含み得る。
【0136】
ステップ72において、流体排出開口部が鳥に衝突する目標位置が識別される。目標位置を識別するステップは、ステップ71で取得された画像データを使用して、鳥100が保持される保持ブラケットに対する鳥100の位置及び/または鳥100の生理学的特性を決定するステップと、保持ブラケット22に対する鳥100の位置及び/または鳥100の生理学的特性に応じて流体排出開口部の目標位置を識別するステップとのうちの1以上を含み得る。
【0137】
ステップ73において、アクチュエータ33は、ステップ72において識別された目標位置に応答して制御され得る。アクチュエータ33を制御するステップは、アプリケータキャリア41が第1の方向101に沿って変位する速度を制御するステップを含み得る。アクチュエータ33を制御するステップは、アクチュエータ33のモータの出力シャフトの回転速度を制御するステップ、及び/またはステップ72で識別された目標位置に応答してサーボドライブを制御するステップを含み得る。
【0138】
アクチュエータ33は、
-流体排出開口部61が鳥100と接触する前に、アプリケータキャリア41は、取得された画像データに依存する速度プロファイルで第1の方向101に沿って変位し、
-流体排出開口部61が鳥100と接触した後、アプリケータキャリア41は、取得された画像データに依存せず、鳥100が搬送機構20によって移動されている搬送速度に等しい速度プロファイルで第1の方向101に沿って変位される
ような方式で制御され得る。
【0139】
ステップ71~73は、流体(例えば、ワクチン接種流体)を鳥に連続的に投与するために反復的な方式で繰り返されてもよい。反復率は、例えば、1時間当たり、少なくとも1000羽、少なくとも2000羽、少なくとも3000羽、少なくとも4000羽、少なくとも5000羽、または少なくとも6000羽のワクチン接種に対応するためにかなり高くてもよい。
【0140】
図4は、鳥ワクチン接種システム30の動作を示す概略図である。流体排出開口部61が鳥100に衝突する目標位置105を識別するために、3D画像データまたはIR画像データが処理される。流体排出開口部61を伴う流体送達装置60は、鳥100自体が搬送速度104で移動される間に、鳥100に対するアプリケータキャリア41の相対変位をもたらすように変位される。アクチュエータ33は、流体排出開口部61が目標位置105で鳥100に衝突するように、画像データに応答して制御される。
【0141】
流体排出開口部61を伴う流体送達装置60は、ワクチン接種が完了すると流体送達装置60を初期位置に戻すために、第1の方向101に沿って往復運動106を実行し得る。
【0142】
図5は、アプリケータキャリア41の時間依存速度の概略図である。時間依存速度は、(a)第1の時間間隔75で鳥100に対して流体排出開口部61を正確に位置決めし、(b)第2の時間間隔76で流体排出開口部61を伴うアプリケータキャリア41を鳥と一緒に変位させ、(c)流体投与(例えば、ワクチン接種)が完了すると、第3の時間間隔77でアプリケータキャリア41を初期位置に戻すように実施し得る。
【0143】
第1の時間間隔75における速度プロファイルは、取得された画像データに依存する。例証のために、流体排出開口部61を伴うアプリケータキャリア41は、画像データによって反映されるように、流体排出開口部61が鳥の位置及び/またはサイズに応じた方式で位置決めされることを確実にするために、鳥が移動している移動速度vtよりも速くまたは遅く変位する必要があり得る。
【0144】
第2の時間間隔76における速度は、実質的に一定であり、鳥が搬送機構20によって移動されている移動速度vtに等しくてもよい。
【0145】
第3の時間間隔77の速度は、画像データとは無関係であってもよく、アプリケータキャリア41を次の動作サイクルが開始する前に初期位置に戻し得る。
【0146】
図6は、3Dラインカメラ50を使用して取り込まれた一連の画像フレームから導出された鳥の例示的な表面輪郭データ78を示す。表面輪郭データ78は、点群であってもよく、各点は鳥100の表面上の点を表す。表面輪郭データ78は、流体(例えば、ワクチン接種流体)を投与するために、鳥100の胸、鳥100の翼、鳥100の目のうちの1以上の位置を識別するために使用され得る。
【0147】
図7から
図9は、鳥ワクチン接種システムの部分図である。ワクチン接種ヘッド40は、アクチュエータ33によって変位するように動作する。ワクチン接種ヘッド40は、アプリケータキャリア41及び当接部材42を備える。当接部材42は、流体排出開口部が鳥100に流体を投与するために位置決めされ、または位置決め可能である、1以上の開口部43を有する。
【0148】
流体排出開口部61を伴う当接部材42及び流体送達装置は、アプリケータキャリア41が流体を投与するために必要に応じて位置決めされたときに、鳥100に対して能動的に押されてもよい。当接部材42は、鳥100の胸、翼、または頭などの鳥の体の一部を当接的に受け入れるように成形された起伏のある表面44を有し得る。
【0149】
当接部材42は、アプリケータキャリア41に可逆的に解放可能に取り付けられてもよい。鳥ワクチン接種システム30は、アプリケータキャリア41にすべて可逆的に解放可能に取り付け可能な1以上の追加の当接部材を備えてもよい。異なる当接部材は、ワクチン接種されている鳥(例えば、鳥の以下の格付け)に応じて、及び/または流体が投与される身体の部分(例えば、胸、翼、目)に応じて、鳥の異なるサイズ、形状、及び/または身体部分に対応し得る。
【0150】
当接部材42は、アプリケータキャリア41に対して変位可能に配置されてもよい。当接部材42は、(鳥100が鳥ワクチン接種システム30を通過して移動している)第1の方向101及び(垂直方向である)第2の方向102に直交する少なくとも第3の方向103に沿ってアプリケータキャリア41に対して変位可能であってもよい。当接部材42及び/またはアプリケータキャリア41は、管状セクションと、管状セクションに嵌合的に受容されたロッドとを含み得る直線ガイド機構45を備え得る。
【0151】
鳥ワクチン接種システム30は、当接部材42を休止位置に付勢する1以上の付勢部材46を備えてもよい。流体投与のために、当接部材42は、付勢部材46の付勢に抗して変位されなければならない。
【0152】
流体送達アセンブリ62がアプリケータキャリア41に取り付けられている。流体送達アセンブリ62は、流体を投与するための1以上のシリンジバレル及び/または1以上の針を含み得る。流体送達アセンブリ62は、サスペンション64を介してアプリケータキャリア41に取り付けられ得る。サスペンション64は、流体排出開口部61がアプリケータキャリア41に対して旋回することを可能にして、鳥の体によりよく適合し得る。サスペンション64は、流体排出開口部61が第1の旋回軸65を中心に、及び任意選択で第2の旋回軸を中心に旋回することを可能にし得る。サスペンション64はカルダンサスペンションであってもよい。
【0153】
流体送達アセンブリ62は、2つ以上の流体排出開口部(例えば、3つ以上の針先端)を含んでもよい。異なる流体排出開口部の各々は、いくつかの流体のうちの異なる1つを分配するように動作し得る。
【0154】
流体送達アセンブリ62は、ワクチン接種流体などの流体を受容及び/または分配するためのコネクタ66を含み得る。流体のためのリザーバは、流体送達アセンブリ62に局所的に、及び/またはワクチン接種ヘッド40とは別個に設けられてもよい。コネクタ66の異なるものは、流体排出開口部の異なるものと流体連通し得る。
【0155】
図10及び
図11は、鳥ワクチン接種システム30の斜視図である。鳥ワクチン接種システム30は、鳥ワクチン接種システム30を搬送機構20に近接した位置に固定的にロックするための1以上のロック機構39を含み得る。
【0156】
ハウジング38は、カメラ50の制御回路36、インターフェース(37)、ならびに任意選択で少なくとも画像センサ51及び/または構造化光プロジェクタ52などの様々な電子構成要素を収容するために支持体31上に配置されてもよい。
【0157】
図12は、鳥ハンドリングシステムの図である。鳥ハンドリングシステムは、搬送機構20及び鳥ワクチン接種システム30を備える。搬送機構20は、鳥が搬送機構20によって搬送されている間、鳥を保持する保持ブラケット22を備える。重み付けユニット及び/または格付けユニットなどの機能ユニットは、搬送機構20に組み込まれてもよい。
【0158】
搬送機構20のコンピュータは、鳥ワクチン接種システム10に通信可能に結合されてもよい。例えば、1羽以上の鳥の重量に関する情報は、投与量調整または他の目的のために、搬送機構20のコンピュータから鳥ワクチン接種システムの制御回路36に通信し得る。ワクチン接種に関する情報は、例えば、鳥が搬送機構20から解放される位置の格付けまたは決定に使用するために、ワクチン接種システム10から搬送機構20に通信され得る。
【0159】
図13は、搬送機構20の保持ブラケットの斜視図である。保持ブラケット22は、例えば特許文献1に記載されているように構成及び動作され得る。保持ブラケット22は、主部材26と、2つの略V字形部材23、24とを備え得る。各V字形部材23、24は、その肩甲上腕骨関節によって鳥と係合するように動作する頂点セグメント25を有する。V字形部材23、24は、鳥を受容及び/または解放するために主部材26に対して変位可能であってもよい。保持ブラケット22は、搬送機構20のコンベヤに係合するための係合セクション27を有し得る。
【0160】
様々な効果及び利点が、実施形態によるシステム及び方法によって達成される。システム及び方法は、流体を鳥に投与するための流体排出開口部の効率的な位置決めをもたらす。ワクチン接種流体などの流体は、効率的な方式で鳥に投与することができる。流体排出開口部を位置決めするためのアクチュエータを制御するときに、その保持ブラケットに対する鳥の位置の違い及び/または鳥の生理学の違いを考慮に入れ得る。アクチュエータの制御は、完全にまたは少なくとも部分的に自動化された方式で実行され得、高いスループット及び速い処理時間をもたらす。
【0161】
実施形態は、流体投与システムにおいて制御動作を実行するために3D表面輪郭情報を使用し得るが、システム及び方法は、流体排出開口部がどのように位置決めされるべきかを決定するためにIR画像を処理し得る。
【0162】
実施形態は、流体投与システムにおいて制御動作を実行するために3D表面輪郭情報を使用し得るが、システム及び方法は、流体排出開口部がどのように位置決めされるべきかを決定するために2Dまたは3D画像に基づいて特徴抽出を実行し得る。
【0163】
実施形態は、ワクチン接種システムに関連して使用され得るが、システム及び方法は、一般に、様々な治療用または非治療用流体を投与するために使用され得る。
【符号の説明】
【0164】
10 鳥ハンドリングシステム、20 搬送機構、22 保持部材,保持ブラケット、30 鳥ワクチン接種システム、31 支持体、32 キャスタ及び/またはローラ、33 アクチュエータ、34 ドライブ、35 リンク機構、36 制御回路、37 インターフェース、38 ハウジング、39 ロック機構、40 ワクチン接種ヘッド、41 アクチュエータキャリア、42 当接部材、43 開口部、44 起伏のある表面、45 直線ガイド機構,結合機構、46 付勢部材,サスペンション,結合機構、50 カメラ、51 画像センサ、3Dカメラシステム、52 プロジェクタ,3Dカメラシステム、54 光源,光学素子、55 三角形または扇形、56 可視光または赤外光の線、60 流体送達装置、61 流体排出開口部、62 流体送達アセンブリ、64 サスペンション、65 第1の旋回軸、66 コネクタ、75 第1の時間間隔、76 第2の時間間隔、77 第3の時間間隔、78 表面輪郭データ、100 鳥、101 第1の方向、102 第2の方向、103 第3の方向、104 矢印、105 目標位置
【国際調査報告】