(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】新規Tim-4結合剤の作製及び特性決定
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20240816BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240816BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240816BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240816BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240816BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240816BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240816BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240816BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240816BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240816BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240816BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240816BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240816BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240816BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240816BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240816BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240816BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C07K16/00
C12N1/15 ZNA
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/13
C12N15/63 Z
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P1/04
A61P17/00
A61P21/00
A61P3/10
A61P25/00
A61P1/16
A61P7/06
A61P19/02
A61P21/04
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P25/08
A61P27/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507079
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 US2022074712
(87)【国際公開番号】W WO2023019137
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524046364
【氏名又は名称】ヒート バイオロジクス,インコーポレイテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フリーツェ,カーラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラマン,パドミニ
(72)【発明者】
【氏名】シーヴィー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】プレンダーガスト,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスタイン,ネイル
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4H045AA11
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、Tim-4に特異的に結合する組成物及び関連する使用方法に関する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有4(Tim-4)に特異的に結合する組成物であって、
(a)CDR1、CDR2、及びCDR3を含む一本鎖抗体またはその断片であって、
CDR1が、FWTEITDVNR(配列番号1)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号5)、もしくはWMPVHDFSNF(配列番号9)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号13)、またはそのバリアントであり、
CDR2が、YETTTPSWNL(配列番号2)、もしくはWPGLFYAYDS(配列番号6)、もしくはEKFNMNPSDN(配列番号10)、もしくはYETTTPSWNL(配列番号14)、またはそのバリアントであり、
CDR3が、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)、もしくはQTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)、もしくはKFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)、もしくはSAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)、またはそのバリアントである、前記一本鎖抗体またはその断片;あるいは
(b)ペプチドであって、
QCYANHMYCNDSIAVYHFQM(配列番号17)またはそのバリアント;LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG(配列番号22)またはそのバリアント;MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA(配列番号30)またはそのバリアント;IRLILRNQVYCVSWQLSVIN(配列番号23)またはそのバリアント;FLPRFFQWLCEPHWSADIVD(配列番号24)またはそのバリアント;VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG(配列番号25)またはそのバリアント;WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF(配列番号26)またはそのバリアント;YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ(配列番号27)またはそのバリアント;SARYSLQVLRQLHCFSIDLI(配列番号28)またはそのバリアント;RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV(配列番号29)またはそのバリアント;SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号35)またはそのバリアント;KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号36)またはそのバリアント;KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号37)またはそのバリアント;QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号38)またはそのバリアントから選択される、前記ペプチド
を含む、前記組成物。
【請求項2】
CDR1が、FWTEITDVNR(配列番号1)またはそのバリアントであり、
CDR2が、YETTTPSWNL(配列番号2)またはそのバリアントであり、
CDR3が、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)またはそのバリアントであり、
前記バリアントが、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異が、置換または欠失から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
CDR1が、FWTEITDVNR(配列番号5)またはそのバリアントであり、
CDR2が、WPGLFYAYDS(配列番号6)またはそのバリアントであり、
CDR3が、QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)またはそのバリアントであり、
前記バリアントが、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異が、置換または欠失から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
CDR1が、WMPVHDFSNF(配列番号9)またはそのバリアントであり、
CDR2が、EKFNMNPSDN(配列番号10)またはそのバリアントであり、
CDR3が、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)またはそのバリアントであり、
前記バリアントが、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異が、置換または欠失から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
CDR1が、FWTEITDVNR(配列番号13)またはそのバリアントであり、
CDR2が、YETTTPSWNL(配列番号14)またはそのバリアントであり、
CDR3が、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)またはそのバリアントであり、
前記バリアントが、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異が、置換または欠失から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記一本鎖抗体またはその断片が、式(FW1)-(CDR1)-(FW2)-(CDR2)-(FW3)-(CDR3)-(FW4)に従って前記CDR間に並置された可変領域フレームワーク(FW)配列を更に含み、重鎖可変領域の前記可変領域FW配列が、重鎖可変領域FW配列であり、軽鎖可変領域の前記可変領域FW配列が、軽鎖可変領域FW配列である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記可変領域FW配列が、ヒトである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記一本鎖抗体が、
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAYETTTPSWNLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARKVAVMTMAEANRRGTYSSWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号4)のアミノ酸配列、または
配列番号4と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
前記一本鎖抗体が、
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASWMPVHDFSNFWFRQAPGKEREFVAEKFNMNPSDNYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARKFNNHSMVPQWFHAIPLKWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号8)のアミノ酸配列、または
配列番号8と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項1または3に記載の組成物。
【請求項10】
前記一本鎖抗体が、
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAWPGLFYAYDSYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARQTLAFAYNDSDWFEVYKGWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号12)のアミノ酸配列、または
配列番号12と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項1または4に記載の組成物。
【請求項11】
前記一本鎖抗体が、
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAYETTTPSWNLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARSAELPDHHGDLFYVMKENWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号16)のアミノ酸配列、または
配列番号16と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む、請求項1または5に記載の組成物。
【請求項12】
前記ペプチドが、
QCYANHMYCNDSIAVYHFQM(配列番号17)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、
SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号35)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、または
KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号36)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、または
KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号37)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、または
QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号38)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ペプチドが、
LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG(配列番号22)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、または
MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA(配列番号30)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、または
IRLILRNQVYCVSWQLSVIN(配列番号23)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記ペプチドが、
FLPRFFQWLCEPHWSADIVD(配列番号24)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、または
VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG(配列番号25)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)であるか、または
WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF(配列番号26)もしくはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、もしくは約2つ、もしくは約3つ、もしくは約4つ、もしくは約5つの変異を含み、前記変異は、置換もしくは欠失から選択される)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ペプチドが、
YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ(配列番号27)またはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異は、置換または欠失から選択される)であり、
SARYSLQVLRQLHCFSIDLI(配列番号28)またはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異は、置換または欠失から選択される)であり、
RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV(配列番号29)またはそのバリアント(前記バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異は、置換または欠失から選択される)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ペプチドが、追加のペプチドを更に含む、請求項1または12~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、ペプチドの二量体を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、ペプチドの三量体を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記ペプチドが、グリシン残基及びセリン残基で実質的に構成されるリンカーで接続される、請求項16~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記リンカーが、(GGS)
nであり、
nが1、または2、または3、または4、または5である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記リンカーが、GGSGGSGGSG(配列番号21)またはそのバリアントであり、
前記バリアントが、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、前記変異が、置換または欠失から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
標的化部分を更に含む、上記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記標的化部分が、腫瘍細胞に向けられたものである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記標的化部分が、腫瘍関連抗原(TAA)に向けられたものである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記TAAが、HER2、PSA、TRP-2、EpCAM、GPC3、メソテリン(MSLN)、及びEGFRから選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
上記請求項のいずれかに記載の一本鎖抗体、もしくはその断片、またはペプチドをコードする核酸配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項27】
請求項26に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項28】
請求項27に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項29】
請求項1~28のいずれかに記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む医薬組成物。
【請求項30】
有効量の請求項1~28のいずれか1項に記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを治療または予防するための方法。
【請求項31】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記がんが、血液癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記がんが、血管の癌、眼腫瘍、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝細胞癌、肝癌、上皮内新生物、腎臓癌または腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(口唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫(例えば、カポジ肉腫)、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌または子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、及びメグズ症候群のうちの1つ以上から選択される、請求項30~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
有効量の請求項1~28のいずれか1項に記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、自己免疫疾患または障害を治療または予防するための方法。
【請求項35】
前記自己免疫疾患または障害が、移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶反応の防止)、多発性硬化症、真性糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆管硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群;悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、及びグレーブス病から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記自己免疫疾患または障害が、移植片対宿主病である、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有4(Tim-4)に特異的に結合する組成物ならびに関連する方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月10日に出願された米国仮特許出願第63/231,455号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この仮出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
電子的に提出されたテキストファイルの説明
本出願は、EFS-Webを介して電子的に本明細書とともに提出されたXML形式の配列表を含む。2021年8月9日に作成された当該XMLコピーは、SKX-002配列表と命名され、サイズは47,466バイトである。配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有4(Tim-4)は、とりわけ、例えば抗原提示細胞に選択的に発現されるホスファチジルセリン受容体である。Tim-4は、iNKT細胞、B1細胞、及び腫瘍細胞上に発現されることが実証されている。これまで、免疫関連疾患への関与を含む、この分子の種々の生物学的機能が研究により指摘されてきた。例えば、Tim-4は、ウイルス感染、アレルギー、自己免疫、及び腫瘍免疫を含む種々の免疫応答を制御することによって、ホメオスタシスの維持に実質的な役割を果たし得る。
【0005】
したがって、Tim-4の活性を調節する薬剤が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、種々の態様では、本開示は、Tim-4に特異的に結合する組成物に関する。更に、種々の態様では、本開示は、例えばがんまたは自己免疫疾患の治療または予防のための、Tim-4に特異的に結合する組成物の使用方法に関する。
【0007】
種々の態様では、本開示は、Tim-4に特異的に結合する組成物に関し、組成物は、(a)CDR1、CDR2、及びCDR3を含む一本鎖抗体またはその断片であって、CDR1が、FWTEITDVNR(配列番号1)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号5)、もしくはWMPVHDFSNF(配列番号9)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号13)、またはそのバリアントであり;CDR2が、YETTTPSWNL(配列番号2)、もしくはWPGLFYAYDS(配列番号6)、もしくはEKFNMNPSDN(配列番号10)、もしくはYETTTPSWNL(配列番号14)、またはそのバリアントであり;CDR3が、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)、もしくはQTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)、もしくはKFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)、もしくはSAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)、またはそのバリアントである、一本鎖抗体またはその断片;あるいは(b)ペプチドであって、QCYANHMYCNDSIAVYHFQM(配列番号17)またはそのバリアント;LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG(配列番号22)またはそのバリアント;MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA(配列番号30)またはそのバリアント、IRLILRNQVYCVSWQLSVIN(配列番号23)またはそのバリアント、FLPRFFQWLCEPHWSADIVD(配列番号24)またはそのバリアント、VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG(配列番号25)またはそのバリアント、WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF(配列番号26)またはそのバリアント、YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ(配列番号27)またはそのバリアント、SARYSLQVLRQLHCFSIDLI(配列番号28)またはそのバリアント、RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV(配列番号29)またはそのバリアント、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号35)またはそのバリアント、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号36)またはそのバリアント、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号37)またはそのバリアント、QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号38)またはそのバリアントから選択される、ペプチド、であるかあるいはそれを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号1)またはそのバリアントであり、CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号2)またはそのバリアントであり、CDR3は、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を有し、変異は、置換または欠失から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号5)またはそのバリアントであり、CDR2は、WPGLFYAYDS(配列番号6)またはそのバリアントであり、CDR3は、QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、CDR1は、WMPVHDFSNF(配列番号9)またはそのバリアントであり、CDR2は、EKFNMNPSDN(配列番号10)またはそのバリアントであり、CDR3は、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を有し、変異は、置換または欠失から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号13)またはそのバリアントであり、CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号14)またはそのバリアントであり、CDR3は、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体またはその断片は、式(FW1)-(CDR1)-(FW2)-(CDR2)-(FW3)-(CDR3)-(FW4)に従ってCDR間に並置された可変領域フレームワーク(FW)配列を更に含み、重鎖可変領域の可変領域FW配列は、重鎖可変領域FW配列であり、軽鎖可変領域の可変領域FW配列は、軽鎖可変領域FW配列である。
【0013】
いくつかの実施形態では、可変領域FW配列は、ヒトである。
【0014】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAYETTTPSWNLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARKVAVMTMAEANRRGTYSSWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号4)のアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASWMPVHDFSNFWFRQAPGKEREFVAEKFNMNPSDNYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARKFNNHSMVPQWFHAIPLKWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号8)のアミノ酸配列、または配列番号8と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAWPGLFYAYDSYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARQTLAFAYNDSDWFEVYKGWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号12)のアミノ酸配列、または配列番号12と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAYETTTPSWNLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARSAELPDHHGDLFYVMKENWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号16)のアミノ酸配列、または配列番号16と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、QCYANHMYCNDSIAVYHFQM(配列番号17)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号35)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号36)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号37)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号38)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG(配列番号22)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA(配列番号30)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、IRLILRNQVYCVSWQLSVIN(配列番号23)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、FLPRFFQWLCEPHWSADIVD(配列番号24)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG(配列番号25)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF(配列番号26)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ(配列番号27)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0030】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、SARYSLQVLRQLHCFSIDLI(配列番号28)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV(配列番号29)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0032】
種々の実施形態では、ペプチドは、追加のペプチドを更に含む。
【0033】
種々の実施形態では、組成物は、ペプチドの二量体を含み、いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドの三量体を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、グリシン残基及びセリン残基で実質的に構成されるリンカーで接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGS)nであるかまたはそれを含み、nは1、または2、または3、または4、または5である。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、GGSGGSGGSG(配列番号21)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0034】
種々の実施形態では、組成物は、標的化部分を更に含む。例えば、いくつかの実施形態では、標的化部分は、腫瘍細胞に向けられたものである。いくつかの実施形態では、標的化部分は、HER2、PSA、TRP-2、EpCAM、GPC3、メソテリン(MSLN)、及びEGFRなどの腫瘍関連抗原(TAA)に向けられたものである。
【0035】
種々の実施形態では、本開示は、一本鎖抗体、もしくはその断片、またはペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示は、一本鎖抗体、もしくはその断片、またはペプチドをコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドを含むベクターまたは宿主細胞を提供する。
【0037】
態様では、本開示は、先行実施形態のいずれかの組成物と、薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0038】
態様では、本開示は、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを治療または予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍または血液癌である。いくつかの実施形態では、がんは、血管の癌、眼腫瘍、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝細胞癌、肝癌、上皮内新生物、腎臓癌または腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(口唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫(例えば、カポジ肉腫)、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌または子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、及びメグズ症候群のうちの1つ以上から選択される。
【0039】
態様では、本開示は、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、自己免疫疾患または障害を治療または予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患または障害は、移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶反応の防止)、多発性硬化症、真性糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆管硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群;悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、及びグレーブス病から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患または障害は、移植片対宿主病である。
【0041】
態様では、本開示は、食作用、例えばアポトーシス細胞または腫瘍細胞の食作用を誘導するための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0042】
態様では、本開示は、食作用、例えばアポトーシス細胞及び/または腫瘍細胞の食作用を誘導するまたは増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0043】
態様では、本開示は、食作用、例えばアポトーシス細胞及び/または腫瘍細胞の食作用を阻害するまたは低減させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0044】
態様では、本開示は、オートファジー、例えばアポトーシス細胞及び/または腫瘍細胞のオートファジーを誘導するまたは増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0045】
態様では、本開示は、オートファジー、例えばアポトーシス細胞及び/または腫瘍細胞のオートファジーを阻害するまたは低減させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0046】
態様では、本開示は、T細胞増殖、例えばアポトーシス細胞または腫瘍細胞のT細胞増殖を誘導するまたは増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0047】
態様では、本開示は、1つ以上の結合パートナー(限定されないが、例えば、AMPKα1もしくはTim-1、またはホスファチジルセリン(PS)、または白血球単一免疫グロブリン(Ig)様受容体5(LMIR5))とのTim-4の結合を阻害するまたは低減させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0048】
態様では、本開示は、腫瘍増殖を阻害するもしくは低減させるため、及び/または免疫寛容を誘導するもしくは増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0049】
態様では、本開示は、T細胞、例えば活性化T細胞のTim-4への結合を阻害するもしくは低減させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0050】
態様では、本開示は、免疫寛容を増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と細胞を接触させることを含む、方法を提供する。実施形態では、免疫寛容の増加は、移植寛容を増加させる。
【0051】
態様では、本開示は、Th1媒介免疫応答を減少させる、阻害する、抑制する、改善する、または遅延させる方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と細胞を接触させることを含む、方法を提供する。実施形態では、免疫寛容の増加は、移植寛容を増加させる。
【0052】
本開示の1つ以上の実施例の詳細は、以降の説明において記述される。本開示の他の特徴または利点は、以下の図面、いくつかの実施例の詳細な説明、及びまた添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。本開示の詳細は、以降の付随する説明に記述される。本明細書に記載のものと同様または等価な方法及び材料が、本開示の実践または試験で使用され得るが、例示的な方法及び材料がここに記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、本説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、別途文脈が明示的に示さない限り、単数形は複数形も含む。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】Tim-4に結合した抗体のCDR3領域を示すCLUSTALアラインメントの画像である。
【
図2A】THP-1実験ワークフローの画像を示す。実験ワークフローの画像である。
【
図2B】食作用実験のデータを示すグラフを示す。食作用アッセイにおいて試験した抗体のCDR3領域に由来するペプチドのデータを示すグラフである。
図2Bでは、x軸に沿って、「156-1G」は配列番号7を指し、「156-1H」は配列番号11を指し、「156-2B」は配列番号3を指し、「156-2F」は配列番号15を指す。このアッセイでは、示した処理で細胞を処理し、サイトカラシンD(20μM)を対照として使用して食作用不全を示した。Tim-4に結合した抗体由来のCDR3領域をペプチドとして合成し、続いて試験した。
図2Bに示すデータは、100μg/mLで試験したペプチドを表す。一元配置ANOVA、続いて各処理を「未処理」対照と比較する多重比較検定を使用して統計を実施した(p>.05=*、ns=有意ではない)。
【
図2C】食作用実験のデータを示すグラフを示す。食作用を受けているTHP-1細胞の代表的な顕微鏡画像を示す。ホスファチジルセリン(「PS」)脂質微粒子を示しており、THP-1細胞の明視野画像に重ね合わせている。156-2B及び156-1Gは、THP-1細胞における食作用を有意に阻害した。スケールバーは150μmを表す。
【
図3A】PSビーズ及びカルボキシレートビーズの両方を使用したTHP-1細胞における食作用アッセイの用量反応曲線を示すグラフである。ホスファチジルセリン微粒子(PSビーズ)を使用した、Tim-4に結合した抗体のCDR3に由来するペプチド配列番号17の用量反応曲線を示す。
【
図3B】PSビーズ及びカルボキシレートビーズの両方を使用したTHP-1細胞における食作用アッセイの用量反応曲線を示すグラフである。蛍光カルボキシレート修飾ミクロスフェア、1.0μm、深紅色蛍光(625/645)ビーズを使用した、Tim-4に結合した抗体のCDR3に由来するペプチド配列番号17の用量反応曲線を示す。
【
図4A】Tim4-Hek293-FT細胞株の検証を実証する画像を示す。レンチウイルスTim-4粒子に感染させたHEK293-FT細胞を示す。安定したTim-4の発現を、Tim-4 mRNA及びGapdh mRNA(対照)に対するプライマーを使用したRT-PCRによって確認した。
【
図4B】Tim4-Hek293-FT細胞株の検証を実証する画像を示す。カルボキシレートビーズを使用した、食作用を行うTim4-Hek293-FT細胞の能力の代表的な画像を示す。スケールバーは300μmを表す。
【
図5A】配列番号3のCDR3に由来するペプチドのグラフ、及び配列番号3がTim4-Hek293-FT細胞株において食作用を制限する能力を示す。
図5Aでは、Tim4-Hek293-FT細胞を96ウェルプレートにプレーティングし、続いて食作用アッセイを行った。t検定(p>.05=*)を使用して統計分析を実施した。相対蛍光単位(「RFU」)を、0時間での蛍光強度に対して正規化した。
【
図5B】配列番号3のCDR3に由来するペプチドの画像、及び配列番号3がTim4-Hek293-FT細胞株において食作用を制限する能力を示す。
図5Bでは、Tim4-Hek293-FT細胞を固定し、Tim-4に対して免疫標識し、DAPIで対比染色した。
図5Bは、配列番号17で処理した細胞におけるホスファチジルセリンビーズの食作用の能力低減を示す代表的な画像である。矢印はホスファチジルセリンビーズを示す。スケールバーは75μmを表す。
【
図6】Tim-4に結合した20量体ペプチドの同定を示すCLUSTALアラインメントの画像である。
【
図7A】Tim4に結合した20量体ペプチドを使用したTim4-Hek293-FT食作用アッセイのグラフを示す。
図7Aでは、細胞を96ウェルプレート上にプレーティングし、
図2Aと同様に処理を実施した。一元配置ANOVA、続いて各処理を「未処理」対照と比較する多重比較検定を使用して統計を実施した(p>.05=*、p>.01=**、p>.001=***)。更なる統計学的に有意な変化が処理間で実証されたが、見やすくするために、「未処理」と配列番号17との間の統計学的差異のみを
図7Aに示す。
図7Aでは、「116-117 1A」は配列番号30(MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA)であり、「116-117 2C」は配列番号23(IRLILRNQVYCVSWQLSVIN)であり、「116-117 2D」は配列番号24(FLPRFFQWLCEPHWSADIVD)であり、「116-117 2F」は配列番号25(VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG)であり、「116-117 3B」は配列番号26(WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF)であり、「116-117 3C」は配列番号27(YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ)であり、「116-117 3E」は配列番号17(QCYANHMYCNDSIAVYHFQM)であり、「116-117 3F」は配列番号28(SARYSLQVLRQLHCFSIDLI)であり、「116-117 4A」は配列番号22(LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG)であり、「116-117 4G」は配列番号29(RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV)である。
【
図7B】Tim4に結合した20量体ペプチドを使用したTim4-Hek293-FT食作用アッセイの画像を示す。抗TIM4及びDAPI対比染色で固定した細胞の免疫蛍光画像を示す。116-117 3Eは、Tim4-Hek293-FT細胞における食作用を阻害する。スケールバーは150μmを表す。
【
図8A】Tim4に結合した20量体ペプチド(配列番号17)を使用したTHP-1細胞食作用アッセイのグラフを示す。THP-1細胞食作用アッセイのグラフを示す。
図8Aでは、細胞を96ウェルプレート上にプレーティングし、カルボキシレートビーズを用いて処理を実施した。一元配置ANOVA、続いて各処理を「未処理」対照と比較する多重比較検定を使用して統計を実施した(p>.05=*、p>.01=**、p>.001=***、p>.0001=****)。
【
図8B】Tim4に結合した20量体ペプチド(配列番号17)を使用したTHP-1細胞食作用アッセイの画像を示す。食作用アッセイの代表的な画像である。116-117 3Eは、THP-1細胞における食作用を阻害する。スケールバーは150μmを表す。
【
図8C】Tim4に結合した20量体ペプチド(配列番号17)を使用したTHP-1細胞食作用アッセイの画像を示す。抗TIM4及びDAPI対比染色で固定した細胞で実施した免疫蛍光実験を示す。116-117 3Eは、THP-1細胞における食作用を阻害する。スケールバーは150μmを表す。
【
図8D】Tim4に結合した20量体ペプチド(配列番号17)を使用したTHP-1細胞食作用アッセイのグラフを示す。用量反応曲線のグラフである。
【
図9A】RAW 264.7細胞を使用したRAW食作用アッセイのグラフを示す。
図9Aでは、細胞を96ウェルプレート上にプレーティングし、カルボキシレートビーズを用いて処理を実施した。一元配置ANOVA、続いて各処理を「未処理」対照と比較する多重比較検定を使用して統計を実施した(p>.05=*、p>.01=**、p>.001=***、p>.0001=****)。
【
図9B】RAW食作用アッセイの用量反応曲線を示す。
図9Bでは、RAW食作用アッセイの用量反応曲線を、対照としてサイトカラシンDを用いてマウスマクロファージRAW細胞を使用して実施して、対数スケールでグラフ化した。
【
図10】Hek293FT-Tim4食作用アッセイ(A)、THP-1食作用アッセイ(B)、及びマウスマクロファージRAW264.7細胞を使用したRAW食作用アッセイ(C)のグラフを示す。A~Cでは、細胞を96ウェルプレート上にプレーティングし、カルボキシレートビーズを用いて処理を実施した。一元配置ANOVA、続いて各処理を「未処理」対照と比較する多重比較検定を使用して統計を実施した(p>.05=*、p>.01=**、p>.001=***、p>.0001=****)。
【
図11A】20量体ペプチド(配列番号17)がどのようにTHP-1細胞におけるオートファゴソーム形成を低減させるかに関する画像を示す。実験ワークフローを示す。
【
図11B】20量体ペプチド(配列番号17)がどのようにTHP-1細胞におけるオートファゴソーム形成を低減させるかに関する画像を示す。代表的な画像を示す。
図11Bでは、オートファゴソームを標識し、ヘキスト染色を核染色に使用する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、部分的には、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有4(Tim-4)に特異的に結合する組成物の驚くべき発見に基づいている。本明細書に開示される組成物は、Tim-4に結合する小タンパク質、またはペプチド、または抗体(例えば、一本鎖抗体)であり得る。本明細書に開示される組成物は、アゴニストまたはアンタゴニストとして機能することができる。加えて、本開示は、互換的であるペプチド、小タンパク質、及び抗体組成物を記載する。ペプチドまたは小タンパク質は、抗体(例えば、一本鎖抗体)の結合領域に由来し得、標的特異的ペプチド及び小タンパク質は、抗体(例えば、一本鎖抗体)の結合領域に組み込まれ得る。本明細書に開示される組成物は、がん(例えば、固形腫瘍もしくは血液癌)または自己免疫疾患(例えば、移植片対宿主病)を治療または予防する方法に使用され得る。
【0055】
種々の実施形態では、Tim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。
【0056】
種々の実施形態では、細胞の表面上のTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。種々の実施形態では、骨髄系細胞の表面上のTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。種々の実施形態では、抗原提示細胞の表面上のTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。種々の実施形態では、T細胞の表面上のTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。種々の実施形態では、樹状細胞の表面上のTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。種々の実施形態では、マクロファージの表面上のTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。
【0057】
種々の実施形態では、ヒトTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。
【0058】
種々の実施形態では、ネズミ科動物Tim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。
【0059】
種々の実施形態では、例えばTim-1またはTim-3よりも優先的にTim-4に特異的に結合する組成物が、本明細書に開示される。実施形態では、組成物は、Tim-1またはTim-3への結合よりも、約10倍大きい、または約50倍大きい、または約100倍大きい、または約300倍大きい、または約500倍大きい、または約1000倍大きい、または約3000倍大きい親和性で、Tim-4に特異的に結合する。
【0060】
種々の実施形態では、特定の抗原、例えばTim-4に、試料中のその抗原に結合する際に特異的に結合し、試料中の他の分子を認識せずかつそれらに結合しないか、またはそれらをより低い程度で認識しかつそれらにより低い程度で結合する、組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、リン酸塩緩衝生理食塩水中で、例えば、約1×10-6M以下(例えば、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、または約1×10-12M以下)の親和性(Kd)でエピトープに選択的に結合することができる。タンパク質エピトープに特異的に結合する本開示の組成物の能力は、当該技術分野で公知の方法または本明細書に記載の方法のいずれかを使用して(例えば、Biacore/表面プラズモン共鳴によって)決定され得る。これは、例えば、形質転換された生細胞においてカスパーゼ活性化を刺激する方法としての生細胞上のTim-4への結合、ELISA法を使用して検出されるヒトTim-4融合タンパク質を含む固定化された標的基質への結合、フローサイトメトリーによって検出される生細胞上のTim-4への結合、または表面プラズモン共鳴(ProteOnを含む)による固定化された基質への結合を含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、Tim-4に結合するペプチド、小タンパク質、または抗体(例えば、一本鎖抗体)である。
【0062】
実施形態では、一本鎖抗体は、一本鎖可変断片(scFv)である。
【0063】
実施形態では、本明細書に開示される組成物は、抗原に特異的に結合することができる少なくとも1つの可変結合ドメイン(例えば、哺乳動物の重鎖もしくは軽鎖免疫グロブリンの可変ドメイン、ラクダ科動物VHH、または軟骨魚類(例えばサメ)Ig-NARドメイン)を含有する一本鎖抗体、小タンパク質、または単一ポリペプチドである。一本鎖抗体の非限定的な例には、単一ドメイン抗体が含まれる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「単一ドメイン抗体」という用語は、抗原に特異的に結合することができる、1つのラクダ科動物VHHまたは少なくとも1つの軟骨魚類Ig-NARドメインを含有するポリペプチドを指す。単一ドメイン抗体の非限定的な例は、例えば、米国公開第2010/0092470号に記載されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、小タンパク質のサイズは、約2kDa~約4kDaの範囲である。いくつかの実施形態では、小タンパク質のサイズは、約2kDa~約3.5kDa、約2kDa~約3kDa、または約2kDa~約2.5kDaの範囲である。
【0066】
いくつかの実施形態では、ペプチドまたは小タンパク質は、アゴニストである。いくつかの実施形態では、ペプチドまたは小タンパク質は、アンタゴニストである。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗体のサイズは、約5kDa~約30kDa、約5kDa~約25kDa、約5kDa~約20kDa、または約5kDa~約15kDaの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、一本鎖抗体)は、12kDaの断片である。
【0068】
いくつかの実施形態では、抗体は、親の全抗体の生物学的機能を保持している。いくつかの実施形態では、小タンパク質及び抗体組成物は、互換的である。いくつかの実施形態では、ペプチドまたは小タンパク質は、抗体の結合領域に由来する。いくつかの実施形態では、標的特異的小タンパク質は、抗体(例えば、一本鎖抗体)の結合領域に組み込まれる。
【0069】
実施形態では、一本鎖抗体は、一本鎖可変断片(scFv)である。実施形態では、本明細書に開示される組成物は、抗原に特異的に結合することができる少なくとも1つの可変結合ドメイン(例えば、哺乳動物の重鎖もしくは軽鎖免疫グロブリンの可変ドメイン、ラクダ科動物VHH、または軟骨魚類(例えばサメ)Ig-NARドメイン)を含有する一本鎖抗体、小タンパク質、または単一ポリペプチドである。一本鎖抗体の非限定的な例には、単一ドメイン抗体が含まれる。
【0070】
種々の実施形態では、組成物は、重鎖可変ドメインを有する一本鎖抗体またはその断片を含む。可変ドメインによって抗体の特異性が決定される。各可変領域は、4つの比較的保存されたフレームワーク領域(FR)に隣接する、相補性決定領域(CDR)としても知られる3つの超可変領域を含む。CDR1、CDR2、及びCDR3と称される3つのCDRは、抗体結合特異性に寄与する。いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、キメラ抗体である。いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、一本鎖抗体またはその断片は、CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、
CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号1)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号5)、もしくはWMPVHDFSNF(配列番号9)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号13)、またはそのバリアントであり;
CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号2)、もしくはWPGLFYAYDS(配列番号6)、もしくはEKFNMNPSDN(配列番号10)、もしくはYETTTPSWNL(配列番号14)、またはそのバリアントであり;
CDR3は、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)、もしくはQTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)、もしくはKFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)、もしくはSAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)、またはそのバリアントである。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物はペプチドを含み、ペプチドは、
QCYANHMYCNDSIAVYHFQM(配列番号17)またはそのバリアント;
LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG(配列番号22)またはそのバリアント;
MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA(配列番号30)またはそのバリアント;
IRLILRNQVYCVSWQLSVIN(配列番号23)またはそのバリアント;
FLPRFFQWLCEPHWSADIVD(配列番号24)またはそのバリアント;
VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG(配列番号25)またはそのバリアント;
WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF(配列番号26)またはそのバリアント;
YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ(配列番号27)またはそのバリアント;
SARYSLQVLRQLHCFSIDLI(配列番号28)またはそのバリアント;
RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV(配列番号29)またはそのバリアント;
SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号35)またはそのバリアント;
KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号36)またはそのバリアント;
KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号37)またはそのバリアント;及び
QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号38)またはそのバリアントから選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号1)またはそのバリアントであり、CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号2)またはそのバリアントであり、CDR3は、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を有し、変異は、置換または欠失から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号5)またはそのバリアントであり、CDR2は、WPGLFYAYDS(配列番号6)またはそのバリアントであり、CDR3は、QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、CDR1は、WMPVHDFSNF(配列番号9)またはそのバリアントであり、CDR2は、EKFNMNPSDN(配列番号10)またはそのバリアントであり、CDR3は、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を有し、変異は、置換または欠失から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号13)またはそのバリアントであり、CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号14)またはそのバリアントであり、CDR3は、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0076】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体またはその断片は、式(FW1)-(CDR1)-(FW2)-(CDR2)-(FW3)-(CDR3)-(FW4)に従ってCDR間に並置された可変領域フレームワーク(FW)配列を更に含み、重鎖可変領域の可変領域FW配列は、重鎖可変領域FW配列であり、軽鎖可変領域の可変領域FW配列は、軽鎖可変領域FW配列である。
【0077】
いくつかの実施形態では、可変領域FW配列は、ヒトである。
【0078】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAYETTTPSWNLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARKVAVMTMAEANRRGTYSSWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号4)のアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASWMPVHDFSNFWFRQAPGKEREFVAEKFNMNPSDNYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARKFNNHSMVPQWFHAIPLKWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号8)のアミノ酸配列、または配列番号8と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAWPGLFYAYDSYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARQTLAFAYNDSDWFEVYKGWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号12)のアミノ酸配列、または配列番号12と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASFWTEITDVNRWFRQAPGKEREFVAYETTTPSWNLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARSAELPDHHGDLFYVMKENWGQGTLVTVSSGPGGQ(配列番号16)のアミノ酸配列、または配列番号16と少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、QCYANHMYCNDSIAVYHFQM(配列番号17)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG(配列番号22)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA(配列番号30)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0085】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、IRLILRNQVYCVSWQLSVIN(配列番号23)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、FLPRFFQWLCEPHWSADIVD(配列番号24)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG(配列番号25)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0088】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF(配列番号26)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ(配列番号27)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0090】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、SARYSLQVLRQLHCFSIDLI(配列番号28)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0091】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV(配列番号29)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号35)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0093】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号36)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0094】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号37)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号38)もしくはそのバリアントであるかまたはそれを含み、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0096】
種々の実施形態では、ペプチドは、追加のペプチドを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドの二量体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドの三量体を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、グリシン残基及びセリン残基で実質的に構成されるリンカーで接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGS)nであり、nは1、または2、または3、または4、または5である。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGSGGSGGSG(配列番号21)もしくはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0098】
種々の実施形態では、本発明の組成物は、配列番号31、32、33、もしくは34のいずれか1つの核酸配列、またはそのコドン最適化バージョンと少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の類似性を有する核酸配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、アミノ酸変異は、アミノ酸置換であり、保存的置換及び/または非保存的置換を含み得る。
【0100】
「保存的置換」は、例えば、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解性、疎水性、親水性、及び/または両親媒性の性質の類似性に基づいて行ってもよい。20個の天然アミノ酸は、以下の6つの標準的なアミノ酸グループに分類することができる:(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;及び(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0101】
本明細書で使用される場合、「保存的置換」とは、上記に示した6つの標準アミノ酸グループのアミノ酸から同じグループ内にリストされている別のアミノ酸への交換として定義される。例えば、GluによるAspの交換は、そのように修飾されたポリペプチド内に1つの負電荷を保持する。加えて、αヘリックスを破壊する能力に基づいて、グリシンとプロリンが互いに置換されることもある。
【0102】
本明細書で使用される場合、「非保存的置換」とは、上記に示した6つの標準アミノ酸グループ(1)~(6)のアミノ酸から異なるグループ内にリストされている別のアミノ酸への交換として定義される。
【0103】
種々の実施形態では、組成物は、標的化部分を更に含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、腫瘍細胞に向けられたものである。いくつかの実施形態では、標的化部分は、腫瘍関連抗原(TAA)に向けられたものである。いくつかの実施形態では、TAAは、HER2、PSA、TRP-2、EpCAM、GPC3、メソテリン(MSLN)、及びEGFRから選択される。
【0104】
いくつかの実施形態では、本開示は、先行実施形態のいずれかに記載の一本鎖抗体、もしくはその断片、またはペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0105】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)または修飾mRNAである。
【0106】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。いくつかの実施形態では、ベクターを含む宿主細胞が提供される。細胞は、例えば、in vitroで培養されてもよく、または遺伝子操作されてもよい。宿主細胞は、健康なヒト、がん患者、及び感染性疾患を有する患者を含む正常または罹患した対象、民間研究所の寄託、American Type Culture Collectionなどの公的なカルチャーコレクションから、または商業的供給業者から得ることができる。
【0107】
種々の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれかの組成物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0108】
疾患を治療または予防する方法
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、種々の疾患または障害の治療または予防に使用される。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、組成物を対象に投与した後に、マクロファージによるアポトーシス細胞の貪食を阻害する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、対象に対する炎症性サイトカイン投与を刺激するかまたは増加させる。いくつかの実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-1β、IL6、及びTNFαのうちの少なくとも1つを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、Tim-4に特異的に結合する有効量の組成物を投与することによって、がんを治療または予防する。種々の実施形態では、組成物は、重鎖可変ドメインを有する一本鎖抗体またはその断片を含む。いくつかの実施形態では、一本鎖抗体もしくはその断片は、CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号1)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号5)、もしくはWMPVHDFSNF(配列番号9)、もしくはFWTEITDVNR(配列番号13)、またはそのバリアントであり;CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号2)、もしくはWPGLFYAYDS(配列番号6)、もしくはEKFNMNPSDN(配列番号10)、もしくはYETTTPSWNL(配列番号14)、またはそのバリアントであり;CDR3は、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)、もしくはQTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)、もしくはKFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)、もしくはSAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)、またはそのバリアントである。
【0112】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドを含み、ペプチドは、QCYANHMYCNDSIAVYHFQM(配列番号17)またはそのバリアント;LSSRPIQCHGLPCVLTSGLG(配列番号22)またはそのバリアント;MHPQIHPDQTQFGNQGIRIA(配列番号30)またはそのバリアント、IRLILRNQVYCVSWQLSVIN(配列番号23)またはそのバリアント、FLPRFFQWLCEPHWSADIVD(配列番号24)またはそのバリアント、VYLDPCLVSLWTRSQVSIDG(配列番号25)またはそのバリアント、WGVNQNVSGCTKLVDQRLLF(配列番号26)またはそのバリアント、YIQGFRHMMVSDIPVVESFQ(配列番号27)またはそのバリアント、SARYSLQVLRQLHCFSIDLI(配列番号28)またはそのバリアント、RFCLGRYQFLINPQLHLTVYV(配列番号29)またはそのバリアント、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号35)またはそのバリアント、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号36)またはそのバリアント、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号37)またはそのバリアント、及びQTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号38)またはそのバリアントから選択される。
【0113】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号1)またはそのバリアントであり、CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号2)またはそのバリアントであり、CDR3は、KVAVMTMAEANRRGTYSS(配列番号3)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を有し、変異は、置換または欠失から選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号5)またはそのバリアントであり、CDR2は、WPGLFYAYDS(配列番号6)またはそのバリアントであり、CDR3は、QTLAFAYNDSDWFEVYKG(配列番号7)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0115】
いくつかの実施形態では、CDR1は、WMPVHDFSNF(配列番号9)またはそのバリアントであり、CDR2は、EKFNMNPSDN(配列番号10)またはそのバリアントであり、CDR3は、KFNNHSMVPQWFHAIPLK(配列番号11)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を有し、変異は、置換または欠失から選択される。
【0116】
いくつかの実施形態では、CDR1は、FWTEITDVNR(配列番号13)またはそのバリアントであり、CDR2は、YETTTPSWNL(配列番号14)またはそのバリアントであり、CDR3は、SAELPDHHGDLFYVMKEN(配列番号15)またはそのバリアントであり、バリアントは、約1つ、または約2つ、または約3つ、または約4つ、または約5つの変異を含み、変異は、置換または欠失から選択される。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、有効量の本明細書に開示される組成物(例えば、一本鎖抗体またはペプチド)を対象に投与することによって、がんの発症または進行を予防する。
【0118】
非限定的な例として、対象におけるがんの発症の予防、がんの存在、及び/またはがんの進行の評価は、Tumor/Nodes/Metastases(TNM)分類システム(International Union Against Cancer,6th edition,2002)、またはWhitmore-Jewett病期分類システム(American Urological Association)に従って評価することができる。典型的には、がんは、身体検査、血液検査、及び医用画像の組み合わせを使用して病期分類される。腫瘍組織が生検または手術によって得られるならば、顕微鏡下での組織の検査も病理学的病期分類を提供し得る。いくつかの実施形態では、がんの病期または悪性度は、がんの予後を決定し、適切な調節療法を選択する上で医師を支援する。
【0119】
いくつかの実施形態では、がんの発症または進行の予防は、全病期分類を使用して評価され、非限定的な例は次の通りである:ステージIのがんは、身体の一部、典型的には小さな領域に限局している;ステージIIのがんは、局所的に進行しており、ステージIIIのがんと同様に、周辺組織またはリンパ節中に増殖している。がんがステージIIまたはステージIIIのどちらに指定されるかは、がんの特定の種類に依存し得る。ステージII及びIIIの具体的な基準は、診断によって異なる場合がある。ステージIVのがんは、多くの場合、転移しているか、または他の臓器もしくは全身に広がっている。がんの発症または進行は、当業者に利用可能な従来の方法、例えば、身体検査、血液検査、及び画像スキャン(例えば、X線、MRI、CTスキャン、超音波など)を使用して評価することができる。
【0120】
本明細書に開示されるように、投与すること、または治療/療法を投与することは、対象が、がんまたはその症状の進展または進行の低減、減少、減弱、逓減、安定化、寛解、抑制、阻害、または停止などの有益効果を受ける治療/療法を指す。
【0121】
いくつかの実施形態では、対象が受ける治療/療法、またはがんの発症の予防は、以下の効果のうちの少なくとも1つ以上をもたらす:(1)がん及び/または遺伝性疾患もしくは障害、及び/またはそれらに関連する症状の重症度の低減または改善;(2)がん及び/または遺伝性疾患もしくは障害に関連する症状の持続期間の短縮;(3)がん及び/または遺伝性疾患もしくは障害に関連する症状の再発の予防;(4)がん及び/または遺伝性疾患もしくは障害、及び/またはそれらに関連する症状の退行;(5)対象の入院の低減;(6)入院の長さの短縮;(7)対象の生存率の増加;(8)がん及び/または遺伝性疾患もしくは障害及び/またはそれらに関連する症状の進行の阻害;(9)他の療法の治療効果の増強または向上;(10)がん細胞集団及び/または遺伝性疾患もしくは障害に関連する細胞集団の低減または排除;(11)腫瘍または新生物の増殖の低減;(12)腫瘍サイズの減少;(13)腫瘍の形成の低減;(14)原発性、局所性、及び/または転移性がんの根絶、除去、または制御;(15)転移の数またはサイズの減少;(16)死亡率の低減;(17)対象の無がん生存率の増加;(18)無再発生存率の増加;(19)寛解状態の対象の数の増加;(20)入院率の減少;(21)療法の投与後に、当業者に利用可能な従来の方法、例えば、X線、MRI、CATスキャン、超音波などによって測定したときに、腫瘍のサイズが維持されておりサイズが増加していないか、または腫瘍のサイズの増加が約5%未満または約10%未満である;(22)がん及び/または遺伝性疾患もしくは障害、及び/またはそれらに関連する症状の進展または発症の予防;(23)対象の寛解の長さの延長;(24)がん及び/または遺伝性疾患もしくは障害に関連する症状の数の低減;(25)がん対象及び/または遺伝性疾患もしくは障害に関連する対象の無症状生存率の増加;及び/または(26)転移の限定または低減。いくつかの実施形態では、対象が受ける治療/療法は、がんを治癒させないが、疾患の進行または悪化を予防する。ある特定の実施形態では、対象が受ける治療/療法は、がんの発症/進展を予防しないが、がんの症状の発症を予防し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、がんの発症または進行を、必要とする対象において「予防する」とは、がんまたは障害を阻害または阻止することである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、任意の量またはレベルで、がんまたは障害を予防または阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、がんまたは遺伝性疾患もしくは障害を、少なくとももしくは約10%阻害すること(例えば、少なくとももしくは約20%阻害すること、少なくとももしくは約30%阻害すること、少なくとももしくは約40%阻害すること、少なくとももしくは約50%阻害すること、少なくとももしくは約60%阻害すること、少なくとももしくは約70%阻害すること、少なくとももしくは約80%阻害すること、少なくとももしくは約90%阻害すること、少なくとももしくは約95%阻害すること、少なくとももしくは約98%阻害すること、または少なくとももしくは約100%阻害すること)によって予防または阻害する。
【0123】
種々の実施形態では、有効量の上記請求項のいずれか1項に記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを治療または予防するための方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、血液癌である。いくつかの実施形態では、がんは、血管の癌、眼腫瘍、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝細胞癌、肝癌、上皮内新生物、腎臓癌または腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(口唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫(例えば、カポジ肉腫)、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌または子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病を含む)、ならびに他の癌腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、及びメグズ症候群のうちの1つ以上から選択される。
【0124】
態様では、本開示は、がんを有する対象における抗腫瘍免疫を増加させる方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0125】
実施形態では、抗腫瘍免疫には、放出された抗原の抗原提示細胞(APC)によるプロセシング及び提示、Tリンパ球との相互作用、それに続く免疫/T細胞活性化、抗原特異的エフェクター細胞の輸送、ならびに活性化エフェクターT細胞による標的腫瘍細胞への係合が含まれる。抗腫瘍免疫は、抗原特異的CD8+ T細胞及び殺腫瘍性マクロファージによって与えられ得る。抗原(Ag)、典型的には環境、ウイルス、または細菌起源の異物、体細胞性に変化したタンパク質の産物、または瀕死(アポトーシス)細胞の細片は、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞を含む(但しこれらに限定されない)抗原提示細胞上の主要組織適合複合体(MHC)によってプロセシングされ、提示される。CD8 +T細胞は、T細胞受容体(TCR)を利用してWIC提示ペプチドを認識し、続いて抗原特異的な細胞溶解性攻撃を開始する。特に、Ag-TCR係合は、最終的に、自己免疫、病原体に対する応答、及び腫瘍抑制において極めて重要な役割を果たすCD8+ T細胞の活性化及び増殖をもたらす。また、単球、好中球、及びマクロファージの種々のサブセットを含む骨髄系細胞は、T細胞抑制に関与する。
【0126】
実施形態では、抗腫瘍免疫の増加は、腫瘍浸潤リンパ球のうち、CD8+ T細胞の増加、CD4+ T細胞の増加、インターフェロンガンマを分泌するCD4+ T細胞もしくはCD8 +T細胞の増加、及び/またはIL10を分泌するCD4+ T細胞の減少、のうちの少なくとも1つを測定することによって同定され得る。
【0127】
実施形態では、対象は、骨髄系細胞の表面上のTim-4と相互作用するがんを有しており、それによりがんを有さない対象またはTim-4と相互作用しないがんを有する対象と比較して、抗腫瘍免疫が減少する。特定の実施形態では、Tim-4との相互作用またはTim-4活性は、腫瘍の微小環境において検出され得る。
【0128】
M2マクロファージ、N2好中球、及び骨髄由来抑制細胞(MDSC)を含む、腫瘍微小環境(TME)における骨髄系細胞は、細胞傷害性T細胞の機能的枯渇を直接的に引き起こすことによって、または制御性T細胞(Treg)の抑制力を間接的に増加させることによって、免疫抑制において極めて重要な役割を果たす。これは、TMEにおける免疫刺激と免疫抑制とのバランスの歪みにつながる。TMEの免疫刺激環境は、主に、細胞傷害性T細胞及びNK細胞、細胞溶解及び食作用を誘導するM1マクロファージ、細胞傷害性N1好中球、体液性応答誘導B細胞、ならびに抗原提示免疫原性樹状細胞(DC)の存在によって形成される。インターフェロンガンマ(IFN-γ)、インターロイキン-12(IL-12)、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)などの免疫刺激性サイトカイン及びケモカインは、免疫刺激活性の重要な調整因子(coordinator)である。TMEの免疫抑制的性質を偏らせる重要な分子は、抗炎症性Th2細胞、N2好中球、M2マクロファージ、Treg、及び寛容原性DCである。免疫抑制性サイトカイン及びケモカイン、例えば、形質転換増殖因子-ベータ(TGF-β)、インターロイキン-10(IL-10)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、インターロイキン-4(IL-4)などは、免疫抑制活性の重要な調整因子である。実施形態では、腫瘍微小環境におけるTh1応答は、本発明の組成物のうちの1つ以上の投与によって増加される。
【0129】
本明細書に記載される場合、「腫瘍微小環境」(TME)は、腫瘍細胞とその環境との間のクロストークを可能にする助けとなる、腫瘍細胞と常に相互作用する周囲の微小環境である。腫瘍微小環境は、がん免疫サイクルを妨害する役割を果たし、がん進行の複数の局面において極めて重要な役割を果たす。例えば、TMEは、薬物の透過を減少させ、増殖性及び抗アポトーシス性の利点を生存細胞に付与し、遺伝子変異及びエピジェネティック変化を引き起こすことなく耐性を促進し、疾患モダリティを集合的に改変し、臨床指標を歪ませ得る。限定するものではないが、腫瘍微小環境は、腫瘍の細胞環境、周囲血管、免疫細胞、線維芽細胞、骨髄由来炎症細胞、リンパ球、シグナル伝達分子、及び細胞外マトリックスを含み得る。腫瘍環境は、増殖及び生存を確実にするために腫瘍微小環境によって補助され、その影響を受ける腫瘍細胞または悪性細胞を含み得る。腫瘍微小環境は、抗腫瘍免疫応答を刺激または阻害することができるリンパ系細胞及び骨髄系細胞などの腫瘍浸潤免疫細胞、ならびに腫瘍の構造的完全性に寄与する腫瘍関連線維芽細胞及び内皮細胞などの間質細胞も含み得る。限定するものではないが、間質細胞は、構造的完全性に寄与する細胞(線維芽細胞)である、内皮細胞及び周皮細胞などの腫瘍関連血管を構成する細胞、ならびに腫瘍関連マクロファージ(TAM)ならびに浸潤免疫細胞(単球、好中球(PMN)、樹状細胞(DC)、T細胞及びB細胞、マスト細胞、ならびにナチュラルキラー(NK)細胞を含む)を含み得る。間質細胞は、腫瘍細胞密度(tumor cellularity)の大部分を構成し、一方、固形腫瘍において優勢な細胞タイプは、マクロファージである。
【0130】
実施形態では、骨髄系細胞の表面上のTim-4を遮断することは、M1マクロファージ極性化を増加させ得る。例えば、M1マクロファージの産生は、本発明の組成物のうちの1つ以上の投与前のM1マクロファージレベルと比較した場合、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約150%、約200%またはそれを超えて増加し得る。
【0131】
マクロファージは、古典的活性化マクロファージ(M1)または代替活性化マクロファージ(M2)というサブセットによって分類され得る(例えば、Laskin,Chem Res Toxicol.2009 Aug.17;22(8):1376-1385を参照されたく、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。理論に束縛されることを望まないが、M1マクロファージは、IFΝγ、LPS、及びTNFαなどの標準的機構によって活性化される一方で、M2マクロファージは、IL-4、IL-13、IL-10、及びTGFβなどの代替的機構によって活性化される。M1マクロファージは、細胞傷害性の炎症誘発性表現型を示し得る一方で、M2マクロファージは、免疫応答及び炎症応答のいくつかの局面を抑制し、創傷修復及び血管新生に関与する。実施形態では、本発明の組成物のうちの1つ以上の投与は、M1マクロファージのレベルを増加させる。実施形態では、本発明の組成物のうちの1つ以上の投与は、腫瘍微小環境におけるM1マクロファージのレベルを増加させる。
【0132】
具体的な実施形態では、アポトーシス細胞の取り込みは、本発明の組成物のうちの1つ以上の投与が増加した後に低減する。具体的な実施形態では、アポトーシス細胞の取り込みは、少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、約5~10%、約10~20%、約10~30%、約10~40%、約20~30%、約20~40%、約30~40%、約30~50%、約40~50%、約40~60%、約50~60%、約50~70%、約60~70%、約60~80%、約70~80%、約70~90%、約80~90%、約80~100%、約90~100%、または約95~100%低減する。
【0133】
実施形態では、Tim-4の遮断は、肺転移または微小転移を低減し得る。例えば、肺転移または微小転移は、本発明の組成物のうちの1つ以上の投与前の肺転移または微小転移のレベルと比較した場合、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約150%、約200%またはそれを超えて低減し得る。
【0134】
種々の実施形態では、有効量の上記請求項のいずれか1項に記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、自己免疫疾患または障害を治療または予防するための方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患または障害は、移植片対宿主病、移植拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶反応の防止)、多発性硬化症、真性糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆管硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群;悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、及びグレーブス病から選択される。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患または障害は、移植片対宿主病である。
【0135】
態様では、本開示は、食作用、例えばアポトーシス細胞または腫瘍細胞の食作用を誘導するための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0136】
態様では、本開示は、食作用、例えばアポトーシス細胞または腫瘍細胞の食作用を誘導するまたは増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0137】
態様では、本開示は、食作用、例えばアポトーシス細胞または腫瘍細胞の食作用を阻害するまたは低減させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0138】
態様では、本開示は、T細胞増殖、例えばアポトーシス細胞または腫瘍細胞のT細胞増殖を誘導するまたは増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0139】
態様では、本開示は、1つ以上の結合パートナー(限定されないが、例えば、AMPKα1もしくはTim-1、またはホスファチジルセリン(PS)、または白血球単一免疫グロブリン(Ig)様受容体5(LMIR5))とのTim-4の結合を阻害するまたは低減させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0140】
態様では、本開示は、腫瘍増殖を阻害するもしくは低減させるため、及び/または免疫寛容を誘導するもしくは増加させるための方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。
【0141】
態様では、本開示は、骨髄系細胞、例えばアポトーシス細胞、例えばマクロファージ、樹状細胞、または好中球による細胞の取り込みを低減させる方法であって、有効量の本発明の実施形態のいずれか1つの組成物を、それを必要とする患者に投与すること、または細胞を本発明の実施形態のいずれか1つの組成物と(例えばex vivoで、例えば同種細胞もしくは自家細胞と)接触させることを含む、方法を提供する。アポトーシス細胞の貪食の低減は、抗腫瘍免疫を促進及び増加させ、免疫原性細胞死を誘導し得る。貪食または食作用の低減または阻害とは、取り込み、貪食、または食作用の統計学的に有意な低減を指す。かかる減少または低減は、例えば、測定または観察された取り込み、貪食、または食作用のレベルの少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約100%またはそれを上回る減少を含み得る。
【0142】
加えて、本明細書は、本明細書に記載の組成物を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物も提供する。「薬学的に許容される担体」(「賦形剤」または「担体」とも称される)は、1つ以上の治療用化合物を対象(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、またはウサギなどの哺乳動物)に送達するための、薬学的に許容される溶媒、懸濁化剤、安定化剤、または任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルであり、これらは、用いられる投与量及び濃度でそれに曝露される細胞または対象に対して非毒性である。薬学的に許容される担体は、液体であっても固体であってもよく、1つ以上の治療用化合物及び所与の医薬組成物の任意の他の構成成分と組み合わせた場合に、所望の容積、粘稠性、ならびに他の関連する輸送特性及び化学的特性を提供するように計画された投与方法を考慮して選択することができる。アミノ酸と有害な反応を起こさない典型的な薬学的に許容される担体としては、例として、限定されるものではないが、水、生理食塩水溶液、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース及び他の糖、ゼラチン、または硫酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、デンプン、ポリエチレングリコール、または酢酸ナトリウム)、崩壊剤(disintegrates)(例えば、デンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、ならびに湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。薬学的に許容される担体は、水性pH緩衝溶液またはリポソーム(哺乳動物への薬物の送達に有用な種々のタイプの脂質、リン脂質、及び/または界面活性剤で構成される小胞)も含む。薬学的に許容される担体の更なる例としては、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝液、アスコルビン酸などの抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、及び/またはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0143】
医薬組成物は、1つ以上の活性薬剤を、1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、及び/またはアジュバントと、ならびに任意選択的に、移動、送達、耐性などの向上をもたらすために製剤に通常組み込まれる他の薬剤と混合することによって製剤化することができる。医薬組成物は、例えば、凍結乾燥製剤、水溶液、分散液、または錠剤、糖衣錠、もしくはカプセル剤などの固体調製物で製剤化することができる。多数の適切な製剤は、全ての薬剤師に公知である医薬品集、すなわちRemington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed,Mack Publishing Company,Easton,PA(1990))に、特にその中のBlock,Lawrenceによる第87章に見出すことができる。これらの製剤には、例えば、散剤、ペースト剤、軟膏、ゼリー剤、ワックス、油剤、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト剤、水中油型及び油中水型エマルション、エマルションカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカーボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。製剤中の活性薬剤が製剤化によって不活化されず、製剤が投与経路と生理学的に適合性があり、かつそれに耐容できる限り、前述の混合物のいずれも、本明細書に記載の治療及び療法において適切であり得る。Baldrick,Regul Toxicol Pharmacol 32:210-218,2000;Wang,Int J Pharm 203:1-60,2000;Charman J Pharm Sci 89:967-978,2000;及びPowell et al.PDA J Pharm Sci Technol 52:238-311,1998、ならびにそれらの中の薬剤師に周知の製剤、賦形剤、及び担体に関する追加の情報についての引用も参照されたい。
【0144】
医薬組成物には、溶液、エマルション、水性懸濁液、及びリポソーム含有製剤が含まれるが、これらに限定されない。これらの組成物は、例えば、予め形成された液体、自己乳化型固体、及び自己乳化型半固体を含む多様な構成成分から作製することができる。エマルションは、多くの場合、互いに密接に混合されかつ分散された2つの非混和性液相で構成される二相系である。一般に、エマルションは、油中水型(w/o)または水中油型(o/w)のいずれかの種類である。エマルション製剤は、製剤化の容易さ、ならびに可溶化、吸収、及びバイオアベイラビリティの有効性に起因して、治療薬の経口送達に広く使用されている。
【0145】
組成物及び製剤は、無菌水溶液を含有してもよく、無菌水溶液はまた、緩衝液、希釈剤、ならびに他の好適な添加剤(例えば、浸透促進剤、担体化合物、及び他の薬学的に許容される担体)も含有してもよい。組成物は、更に、医薬組成物中に従来見出される他の補助的な構成成分を含有することができる。したがって、組成物はまた、適合性があり薬学的に活性な材料、例えば、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬、もしくは抗炎症剤など、または本明細書に提供される組成物の種々の剤形を物理的に製剤化する際に有用な追加の材料、例えば、色素、香味剤、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、及び安定剤を含むことができる。更に、組成物を、補助剤、例えば、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色料、香味料、及び芳香物質と混合することができる。しかしながら、添加される場合、かかる材料は、本明細書に提供される組成物中のポリペプチド構成成分の生物学的活性に過度に干渉してはならない。製剤は、必要に応じて滅菌することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物を含有する組成物は、注射用懸濁液を作製するための希釈剤を含むまたは含まない、溶液または粉末の形態であってもよい。組成物は、例えば、生理食塩水、水、乳酸、マンニトール、またはそれらの組み合わせなどの薬学的に許容されるビヒクルを含むがこれらに限定されない追加の成分を含有してもよい。
【0147】
任意の適切な方法を使用して、本明細書に記載の組成物を哺乳動物に投与することができる。投与は、例えば、非経口(例えば、皮下注射、髄腔内注射、脳室内注射、筋肉内注射、もしくは腹腔内注射による、または静脈内点滴による)であり得る。投与は迅速(例えば、注射によるもの)であってよく、または一定期間にわたって(例えば、緩徐な注入もしくは徐放性製剤の投与によって)行うこともできる。いくつかの実施形態では、投与は、局所(例えば、経皮、舌下、眼内、または鼻腔内)、肺(例えば、粉末またはエアロゾルの吸入もしくは吹送による)、または経口であり得る。加えて、本明細書に記載の組成物を含有する組成物は、腫瘍の外科的切除の前、後、またはその代わりに投与することができる。
【0148】
本明細書で使用される場合、「含む(include)」という語及びその変形は、リスト内の項目の記載が、本技術の材料、組成物、デバイス、及び方法でも有用であり得る他の類似の項目を除外するものではないように、非限定的であることが意図される。同様に、「~ことができる」及び「~し得る」という用語及びそれらの変形は、実施形態がある特定の要素または特徴を含むことができるまたは含み得るという記載が、それらの要素または特徴を含有しない本技術の他の実施形態を除外するものではないように、非限定的であることが意図される。含む(including)、含有する、または有するなどの用語の同義語としての非制限用語「含む(comprising)」は、本明細書では本開示を説明及び特許請求するために使用されるが、本技術またはその実施形態は、代わりに、記載の成分「からなる」または「から本質的になる」などのより限定的な用語を使用して説明される場合がある。
【0149】
別途定義されない限り、本明細書における全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価な任意の方法及び材料を、本開示の実践または試験で使用することができるが、好ましい方法及び材料が本明細書に記載される。引用した全ての出版物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
本開示は、以下の非限定的な実施例によって更に説明される。
【実施例】
【0151】
実施例1:ペプチドによる食作用の阻害及びオートファジーの低減
本実施例の実験では、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有(Tim-4)に特異的に結合する、抗体のCDR3領域に基づくペプチドを開発した。これらの実験は、部分的に、合成ペプチドがどのように食作用を阻害し、かつオートファゴソーム形成を低減させるかを実証する。
【0152】
図1は、Tim-4に結合した抗体の同定されたCDR3領域のCLUSTALアラインメントを示す。次いで、抗体のCDR3領域をペプチド(配列番号7、配列番号11、配列番号3、及び配列番号15)へと合成し、続いて、合成ペプチドを食作用アッセイ及びオートファジーアッセイで使用して機能を評価した。合成ペプチドは、抗体(例えば、一本鎖抗体)のCDR3結合領域に組み込んで、Tim-4に特異的に結合させることができる。
【0153】
抗体のCDR3領域に由来する開発したペプチド(例えば、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38)ならびにTHP-1細胞を使用した食作用アッセイを、
図2Aに示す実験の概略に従って完了させた。これらの実験では、1×10
5細胞を96ウェルプレート上に播種し、次いで合成ペプチド(例えば、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38)を血清飢餓下で3時間、プレート上に添加した。次いで、ホスファチジルセリン脂質微粒子を、10%FBSを含有する培地中に添加した。次いで、細胞をPBSで3~5回洗浄し、次いで、蛍光のレベル(例えば、相対蛍光単位「RFU」)をプレートリーダーで分析した。これらの実験では、サイトカラシンD(20μΜ)を食作用不全を示す対照として使用した。
図2Bに示すように、配列番号3は、THP-1細胞における食作用を有意に阻害した。抗体のCDR3領域に由来するペプチド(例えば、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38)によるTHP-1細胞における食作用の阻害を、顕微鏡画像でも視覚的に示している(
図2C)。THP-1細胞において完了させた配列番号17の用量反応曲線及び食作用アッセイを、ホスファチジルセリン脂質微粒子(
図3A)及びカルボキシレートビーズ(
図3B)について示す。これらの実験において、Tim4に対する天然のリガンドを有するホスファチジルセリン脂質微粒子は、カルボキシレートビーズと比較して、THP-1細胞においてより大きな食作用の阻害を示した。これらの実験は、Tim-4に特異的に結合する抗体のCDR3領域に由来する合成ペプチドが、THP-1細胞において食作用を阻害することを実証する。
【0154】
合成ペプチドの機能を更に検証するために、Tim4-Hek293-FT細胞株を開発した(
図4A)。
図4Aは、レンチウイルスTim-4粒子に感染させたHEK293-FT細胞を示し、
図4Bは、カルボキシレートビーズを使用した、食作用を受けているTim4-Hek293-FT細胞の顕微鏡画像である。Tim4-Hek293-FT細胞株における食作用アッセイを、
図2Aに示すように実施した。これらの実験から、Tim-4に特異的に結合する抗体のCDR3領域に由来する配列番号3が、Tim4-Hek293-FT細胞株における食作用を阻害することが確認された(
図5A、
図5B)。総合すると、これらの実験は、合成ペプチドが、THP-1細胞とTim4-Hek293-FT細胞の両方において先の実験で実証されたように食作用を阻害することを実証する。
【0155】
Tim-4に特異的に結合する追加のペプチドも合成した。
図6は、20量体ペプチドのCLUSTALアラインメントを示しており、続いてこれらのペプチド(例えば、配列番号17)を、食作用アッセイ及びオートファジーアッセイで使用して機能を評価した。合成ペプチドは、抗体(例えば、一本鎖抗体)のCDR3結合領域に組み込んで、Tim-4に特異的に結合させることができる。
【0156】
図2Aの実験の概略に従って、前述の食作用アッセイをTim4-HEK293-FT細胞において実施した。これらの実験では、サイトカラシンD(20μΜ)を食作用不全を示す対照として使用した。
図7Aに示すように、配列番号17は、Tim4-Hek293-FT細胞における食作用を阻害した。配列番号17による食作用の阻害を、
図7Bの免疫蛍光画像にも示す。これらの実験は、Tim-4に特異的に結合する抗体のCDR3領域に由来する配列番号17が、Tim4-Hek293-FT細胞において食作用を阻害することを実証する。
【0157】
合成ペプチドである配列番号17の機能を更に検証するために、配列番号17を使用した食作用アッセイを、THP-1細胞(
図8A、
図8B、
図8C、及び
図8D)ならびにRAW 264.7細胞(
図9A及び
図9B)において実施した。
図8Aに示すように、配列番号17はTHP-1細胞における食作用を阻害した。これを
図8B及び
図8Cに視覚的に示す。THP-1細胞における配列番号17の用量反応曲線を作製した(
図8D)。更に、
図9Aに示すように、配列番号17は、一連の用量にわたってRAW 264.7細胞における食作用を阻害した。RAW 264.7細胞における配列番号17の用量反応曲線を作製した(
図9B)。これらの実験の各々に示されるように、配列番号17は、3つの独立した細胞株における食作用を阻害した:(1)Tim4-Hek293-FT細胞(
図10A)、THP-1細胞(
図10B)、及びRAW 264.7細胞(
図10C)。
【0158】
図11A及び
図11Bは、配列番号17がどのようにTHP-1細胞におけるオートファゴソーム形成を低減させるかを示す。
図11Aは、実験ワークフローを示し、
図11Bは、代表的な画像を示す。
【0159】
総合すると、これらの実験は、とりわけ、Tim-4に特異的に結合する本発明の抗体の本発明のCDR3領域に由来するペプチドが、食作用を阻害し、かつオートファゴソーム形成を低減させることを実証する。
【0160】
まとめると、上記の実施例に記載の実験は、Tim-4に特異的に結合する組成物の予想外の結果、及び合成ペプチドがどのように食作用を阻害し、かつオートファゴソーム形成を低減させるかを実証する。
【0161】
本明細書に開示される特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。本明細書に開示される各特徴は、同じ、同等、または同様の目的を果たす代替の特徴に置きかえられてもよい。したがって、別途明確に示されない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等または同様の特徴の一例にすぎない。
【0162】
上の説明から、当業者であれば、本開示の本質的な特徴を容易に確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の用途及び状況に適合するように、本開示の種々の変更及び修正を行うことができる。したがって、他の実施形態も特許請求の範囲内である。
【配列表】
【国際調査報告】