(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ジトリルエーテルからクレゾールを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 37/055 20060101AFI20240816BHJP
B01J 23/30 20060101ALI20240816BHJP
B01J 29/18 20060101ALI20240816BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20240816BHJP
B01J 29/44 20060101ALI20240816BHJP
B01J 29/22 20060101ALI20240816BHJP
B01J 29/46 20060101ALI20240816BHJP
C07C 39/07 20060101ALI20240816BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240816BHJP
【FI】
C07C37/055
B01J23/30 Z
B01J29/18 Z
B01J29/40 Z
B01J29/44 Z
B01J29/22 Z
B01J29/46 Z
C07C39/07
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507126
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2022072585
(87)【国際公開番号】W WO2023017128
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パウル・シュプレンガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ケーゼ
(72)【発明者】
【氏名】オラフ・ハレ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ユルゲン・クエラ
(72)【発明者】
【氏名】アイリーン・ギレッセン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・カートハウス
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・ノータイス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA03A
4G169BA04A
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA20A
4G169BB04A
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4G169BC71B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB25
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4G169CB70
4G169DA06
4G169DA08
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FC08
4G169ZA02A
4G169ZA03A
4G169ZA06A
4G169ZA06B
4G169ZA11A
4G169ZA11B
4G169ZA19A
4G169ZC04
4G169ZD06
4G169ZE09
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC41
4H006BA09
4H006BA10
4H006BA26
4H006BA30
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006DA15
4H006FE13
4H039CA60
4H039CE20
(57)【要約】
本発明は、ジトリルエーテルからクレゾールを調製するための新規な方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下でジトリルエーテル及び水からクレゾールを製造する方法であって、酸化物の酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンの少なくとも2つからなる触媒、及び/又は酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンから選択される酸化物の少なくとも2つを少なくとも85重量%含有するゼオライトの群からの触媒が使用されることを特徴とする方法。
【請求項2】
ゼオライトの前記群からの前記触媒が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び/又は酸化ジルコニウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゼオライトの前記群からの前記触媒が、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含有し、ケイ素のアルミニウムに対するモル比が、3:1~300:1、好ましくは5:1~250:1、特に好ましくは30:1~90:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
使用される前記触媒が、LTA、MFI、MOR、BEA、FAU、特に好ましくはMFI、MORのタイプのゼオライトであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が、白金金属の群からの少なくとも1つの元素をさらに含有し、反応が水素の存在下で行われることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
白金金属の前記群からの前記元素の比率が、前記触媒の総量を基準として0.1~10重量%、特に好ましくは0.5~5重量%であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
白金金属の前記群からの前記金属が白金及び/又はロジウムであることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
250℃~450℃、好ましくは270℃~400℃、特に好ましくは300℃~370℃の温度で行われることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
0.5bar~300bar、特に好ましくは0.9bar~50bar、非常に特に好ましくは1bar~10barの圧力で行われることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジトリルエーテルからクレゾールを製造する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば((特許文献1))で、芳香族エーテルのC-O結合は、放射性酸化トリウムの存在下での加水分解又は水素化分解によって開裂可能なことが知られているが、これは工業用途では不可能である。
【0003】
NaOtBu又はカリウムヘキサメチルジシラジドなどの比較的多量の立体的に嵩高い強塩基の存在下でのジアリールエーテルのC-O結合の水素化分解における、炭素又は酸化アルミニウム/酸化ケイ素などの種々の基材上のニッケル/ニッケル化合物の使用も知られており、(非特許文献1)が参照される。この不都合な点としては、長い反応時間、遷移金属ニッケルの高い比率、及びさらには、費用がかかり複雑な分離を必要とする立体的に嵩高い強塩基を使用する必要性が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第A2604474号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Gao et al.Applied Chem.Int.Ed.2016,55,1474-1478
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的の1つは、高い収率及び高い選択性でクレゾールを簡単に製造することができる、ジトリルエーテルからクレゾールを製造するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで、驚くべきことに、この目的は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び/又は酸化タングステンから選択される酸化物の少なくとも2つを含有する触媒の存在下でジトリルエーテル及び水を反応させる場合に実現できることが分かった。
【0008】
発明の主題
本発明は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び/又は酸化タングステンから選択される酸化物の少なくとも2つの少なくとも85重量%におけるcatalystscontainingの存在下で、ジトリルエーテル及び水からクレゾールを製造する方法を提供する
【0009】
酸化物の酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンの少なくとも2つからなる触媒、及び/又は酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンから選択される酸化物の少なくとも2つを少なくとも85重量%含有するゼオライトの群からの触媒が使用される場合が好ましい。
【0010】
本発明の状況では、クレゾールは、o-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾールを個別の化合物として、及び混合物として含む。混合物は、あらゆる所望の比率のo-、m-、及びp-クレゾールを含むことができる。
【0011】
本発明の状況では、ジトリルエーテルは、2,2’-、2,3’-、2,4’-、3,3’-、3,4’-、及び/又は4,4’-ジトリルエーテルを個別の化合物として、及びこれらの個別の上記化合物の2つ以上の混合物として含む。
【0012】
例えばクロロトルエンのアルカリ加水分解において得られる2,2’-、2,3’-、2,4’-、3,3’-、3,4’-、及び4,4’-ジトリルエーテルの混合物の使用が好ましい(H.Fiege,Cresols and Xylenols,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,page 427,vol.10,Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,Weinheim,2012を参照されたい)。
【0013】
本発明の状況では、水は、好ましくは脱塩水を含む。
【0014】
本発明の状況では、触媒は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンから選択される酸化物の少なくとも2つを少なくとも85重量%、好ましくは90~100重量%含有する触媒が使用されることを意味するものと理解すべきである。
【0015】
好ましい一実施形態では、触媒は、酸化物の酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンの少なくとも2つからなる、及び/又は酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンから選択される酸化物の少なくとも2つを少なくとも85重量%含有するゼオライトの群からなる。
【0016】
好ましい一実施形態では、ゼオライトの群からの触媒は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び/又は酸化ジルコニウムを含有する。
【0017】
触媒が好ましくは酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含有する場合、ケイ素のアルミニウムに対するモル比は、好ましくは3:1~300:1、特に好ましくは5:1~250:1、非常に特に好ましくは30:1~90:1であることが好ましい。
【0018】
特に好ましい一実施形態では、触媒はゼオライトの構造を有する。本発明の状況では、ゼオライトは、構造が、頂点で結合する四面体のフレームワークを特徴とする微孔質材料を意味するものと理解されるispreferably。それぞれの四面体は、一般に、1つのカチオンを取り囲む4つの酸素原子からなる。これらの四面体の好ましいカチオンは、好ましくはアルミニウム及びケイ素から選択される。ゼオライト構造は、好ましくは酸素-アルミニウム四面体及び酸素-ケイ素四面体からなる。
【0019】
周知のように、すべてのゼオライトのセル構造は、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)(IZA)の構造委員会による3文字コードによって特徴づけられる。
【0020】
ゼオライトは、特に好ましくはフレームワークタイプが:
LTA=LindeタイプA(例えば:ゼオライトA)、
MFI=Mobil Five(例えば:ZSM-5、Zeolite Socony Mobil-5)、
MOR=モルデナイト、
BEA=ベータゼオライト、及び/又は
FAU=ホージャサイト(例えば:ゼオライトX,Y)
の酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の混合物である。
【0021】
非常に特に好ましいフレームワークタイプは、MFI及びMORである。
【0022】
ゼオライトは、粉末として、又は成形体として使用することができる。成形体として成形される場合、ゼオライトは、好ましくは5~70重量%のアルミニウム又はケイ素をベースとするバインダー材料、並びに種々の無機及び有機助剤、例えば硝酸、クエン酸、酢酸、メチルセルロース、グリセロール、ポリエチレングリコール、糖、及び/又はデンプンと混合され処理される。本発明の場合の処理は、例えばプレスによる成形と、350℃~900℃の範囲内の温度での加熱とのステップを含む。
【0023】
本発明による方法では、好ましくはMFIゼオライトの群から、市販のZSM-5ゼオライト(Zeolite Socony Mobil-5)、及び例えばClariant Produkte(Deutschland)GmbHのMFIゼオライトが使用される。
【0024】
ZSM-5及びMFIのホスト構造は、好ましくは、3次元で交差する細孔系を形成する10員環を特徴とする。さらに、「ハイシリカ」ゼオライト及びペンタシルゼオライトには典型的なように、(少数の4、6、7、及び8員環に加えて)多数の5員環が存在する。
【0025】
ゼオライトの群の一般的な化学組成は、Al酸化物及びSi酸化物の場合、例えば:
Mn+
x/n[(AlO2)-
x(SiO2)y]・zH2O
の通りであり、Mn+は、カチオン、好ましくはH+、Na+及び/又はNH4
+であり、nは、カチオンの電荷を表し、好ましくは1又は2である。カチオンMn+は、一般に、構造を規定するアルミニウム-酸素四面体及びケイ素-酸素四面体の一部ではなく、電荷のバランスを取るためにゼオライトのチャネル又は空隙内に配置される。好ましい実施形態では、H-ZSM-5及びH-MFIの表記で特徴づけることができるように、H+がカチオンとして使用される。化学誘導体化によって、例えばイオン交換反応によって、カチオンの種類を可逆的に変更することができる。
【0026】
酸素-ケイ素四面体の酸素-アルミニウム四面体に対するモル比(略してSI/Al)は、モジュラスと呼ばれ、商y/xによって表される。好ましい形態では、y/xは、3~300であり、特に好ましくは30~90である。この商は、H-MFI-y/x、すなわち、例えばH-MFI-90という表記で特徴づけることができる。
【0027】
本発明による方法に使用可能な触媒としては、好ましくは球又は押出物の形態の市販の混合酸化物触媒が挙げられる。このような触媒は、例えば、Saint-Gobain Ceramic Materials GmbHのZrO2/WO3及びZrO2/SiO2、並びにShell Catalysts & Technologies Leuna GmbHのAl2O3/SiO2の混合物である。Al2O3/SiO2の使用可能な混合物としては、好ましくは球又は押出物の形態の市販のゼオライトがさらに挙げられる。市販のゼオライトの例は、例えばClariant Produkte(Deutschland)GmbH製などの押出物のMFIゼオライト、MORゼオライト、BEAゼオライト、及び例えばZeolyst International製などのFAUゼオライトである。
【0028】
本発明による方法は、好ましくは250℃~450℃、好ましくは270℃~400℃、特に好ましくは300℃~370℃の温度で行われる。
【0029】
本発明による方法は、好ましくは0.5bar~300bar、特に好ましくは0.9bar~50bar、非常に特に好ましくは1bar~10barの圧力で行われる。
【0030】
本発明による方法は、好ましくは反応器中で行われる。
【0031】
使用可能なreactorsinclude、気体を加えることができ、触媒が固定床の形態であるすべての容器、例えば固定床反応器、及び触媒が反応物供給材料又は撹拌装置によって移動するもの、例えば噴流反応器、流動床反応器、又はバッチ反応器。反応物は、気体又は液体の形態で加えることができる。好ましい実施形態では、反応物は、固定触媒床を有する固定床反応器に気体として加えられる。本発明による方法は、連続的又は不連続に行うことができる。
【0032】
ジトリルエーテル(DTE)を基準とした触媒の総量は、連続的に操作される反応器、又は不連続に操作される反応器の希望通りに選択することができる。連続的に操作される反応器の場合、上記量は、好ましくは0.01~1000gDTE/(g触媒×h)、特に好ましくは0.01~100gDTE/(g触媒×h)である。不連続に操作される反応器の場合、上記量は好ましくは0.1~10000gDTE/g catである。
【0033】
ジトリルエーテルの水に対するモル比は、好ましくは10:1~1:40、特に好ましくは1:1~1:20、非常に特に好ましくは1:5~1:15である。
【0034】
ジトリルエーテル及び水に加えて、さらなるガス、好ましくは窒素又はアルゴンなどの不活性ガスを加えることができる。全体積を基準として0~95体積%、特に好ましくは0~40体積%の比率を実現するのに必要な量の標準リットルLnの窒素又はアルゴンを加えることが好ましい。
【0035】
本発明の状況における窒素は、好ましくは99体積%を超える純度を有する。
【0036】
この実施形態では、触媒の存在下でジトリルエーテル及び水からクレゾールを製造する方法は、ジトリルエーテルの加水開裂と呼ぶこともできる。
【0037】
本発明のこの好ましい実施形態では、以下の通りの連続方式でプロセスを行うことが好ましい:
最初に固定床反応器中に触媒を投入し、300℃~370℃に加熱する。少なくとも250℃に予熱した1:5~1:15の範囲内のモル比のジトリルエーテル及び水の混合物を、40体積%以下の窒素と混合したものを、触媒1g当たり1時間当たりに0.1g~5gのジトリルエーテルにおいて加える。高収率で形成されたクレゾールを含有するので、形成された反応生成物を回収する。
【0038】
本発明のさらに好ましい一実施形態では、ジトリルエーテルからのクレゾールの製造は、水と、水素と、白金金属の群(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)からの少なくとも1つの金属をさらに含有する触媒との存在下での反応による水素化分解によって行われる。
【0039】
ジトリルエーテルからのクレゾールの水素化分解製造の利点の1つは、トルエンの同時生成である。
【0040】
本発明のこの好ましい実施形態では、クレゾール、ジトリルエーテル、及び水に関する前述の定義及び実施形態が参照される。
【0041】
本発明の状況では、水素は、好ましくは99体積%を超える純度を有する。
【0042】
水素化分解に関する本発明の状況における触媒は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンから選択される酸化物の少なくとも2つを少なくとも85重量%、好ましくは90~99.9重量%含有し、さらに白金金属の群からの少なくとも1つの元素を含有する触媒が使用されることを意味するものと理解すべきである。
【0043】
好ましい一実施形態では、触媒は、酸化ケイ素及び酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウム及び酸化タングステンを含有し、さらに白金金属の群からの少なくとも1つの元素を含有する。
【0044】
酸化ケイ素の酸化アルミニウムに対するモル比が、好ましくは3:1~300:1、特に好ましくは5:1~250:1、非常に特に好ましくは30:1~90:1である場合が好ましい。
【0045】
特に好ましい一実施形態では、触媒はゼオライトの構造を有する。本発明の状況におけるゼオライトの定義に関しては、上記が参照される。
【0046】
ゼオライトは、特に好ましくはフレームワークタイプが:
LTA=LindeタイプA(例えば:ゼオライトA)、
MFI=Mobil Five(例えば:ZSM-5、Zeolite Socony Mobil-5)、
MOR=モルデナイト、
BEA=ベータゼオライト、及び/又は
FAU=ホージャサイト(例えば:ゼオライトX,Y)
の酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の混合物である。
【0047】
非常に特に好ましいフレームワークタイプは、MFI及びMORである。
【0048】
白金金属の群からの元素の場合、触媒の総量を基準として0.1~10重量%の比率が好ましい。白金金属の群からの元素の場合、0.5~5重量%の比率が特に好ましい。
【0049】
白金金属の群からの金属が、白金及び/又はロジウムである場合がさらに好ましい。
【0050】
白金金属含有触媒は、一般に用いられる貴金属含有触媒の製造プロセスによって製造することができる。これは、例えば、含浸又は吹き付けによる貴金属の金属塩溶液と触媒担体との接触によって行うことができる。含浸は、水溶液の体積が、コーティングされる触媒担体の液体吸収容積よりも大きい場合に浸漬-含浸として行うことができ、又は水溶液の体積が、コーティングされる触媒担体の液体吸収容積以下である場合に乾式含浸として行うことができる。同じことが、貴金属溶液の触媒担体へのスプレー塗布に適用される。貴金属の希釈金属塩溶液を触媒担体上に繰り返し加えることによって、貴金属を触媒に加えるためのイオン交換プロセスを行うことがさらに可能である。含浸、吹き付け、又はイオン交換に続いて、貴金属含有触媒の乾燥が、好ましくは高温、好ましくは60℃~200℃の気流中で0.5時間~10時間行われる。場合により、高温、好ましくは200℃~1000℃で10分~24時間の焼成を行うことも可能である。
【0051】
本発明による方法は、特に好ましくは250℃~450℃、好ましくは270℃~400℃、特に好ましくは300℃~370℃の温度で行われる。
【0052】
本発明による方法は、好ましくは0.5bar~300bar、特に好ましくは0.9bar~50bar、非常に特に好ましくは1bar~10barの圧力で行われる。
【0053】
本発明による方法は、好ましくは反応器中で行われる。
【0054】
使用可能なreactorsinclude、気体を加えることができ、触媒が固定床の形態であるすべての容器、例えば固定床反応器、及び触媒が反応物供給材料又は撹拌装置によって移動するもの、例えば噴流反応器、流動床反応器、又はバッチ反応器。反応物は、気体又は液体の形態で加えることができる。好ましい実施形態では、反応物は、固定触媒床を有する固定床反応器に気体として加えられる。本発明による方法は、連続的又は不連続に行うことができる。
【0055】
ジトリルエーテル(DTE)を基準とした触媒の総量は、連続的に操作される反応器、又は不連続に操作される反応器の希望通りに選択することができる。連続的に操作される反応器の場合、上記量は、好ましくは0.01~1000gDTE/(g触媒×h)、特に好ましくは0.01~100gDTE/(g触媒×h)である。不連続に操作される反応器の場合、上記量は好ましくは0.1~10000gDTE/g catである。
【0056】
ジトリルエーテルの水に対するモル比は、好ましくは10:1~1:40、特に好ましくは1:1~1:20、非常に特に好ましくは1:5~1:15である。
【0057】
ジトリルエーテルの水素に対するモル比は、好ましくは10:1~1:100、特に好ましくは1:1~1:50、非常に特に好ましくは1:5~1:40である。
【0058】
ジトリルエーテル、水、及び水素に加えて、さらなるガス、好ましくは窒素又はアルゴンなどの不活性ガスを加えることができる。全体積を基準として0~95体積%、特に好ましくは0~40体積%の比率を実現するのに必要な量の標準リットルLnの窒素又はアルゴンを加えることが好ましい。
【0059】
使用可能なreactorsinclude、気体を加えることができ、触媒が固定床の形態であるすべての容器、例えば固定床反応器、及び触媒が反応物供給材料又は撹拌装置によって移動するもの、例えば噴流反応器、流動床反応器、又はバッチ反応器。反応物は、気体又は液体の形態で加えることができる。好ましい実施形態では、反応物は、固定触媒床を有する固定床反応器に気体として加えられる。
【0060】
水素化分解としての本発明のこの好ましい実施形態では、連続方式での以下のプロセスを行うことが好ましい:
【0061】
最初に固定床反応器中に触媒を投入し、300℃~370℃に加熱する。少なくとも250℃に加熱したジトリルエーテルと水と水素との混合物であって、1:5~1:15の範囲内のジトリルエーテルの水に対するモル比、及び1:5~1:40の範囲内のジトリルエーテルの水素に対するモル比の混合物を、40体積%以下の窒素と混合したものを、触媒1g当たり1時間当たりに0.1g~5gのジトリルエーテルにおいて加える。高収率で形成されたクレゾールを含有するので、形成された反応生成物を回収する。
【0062】
本発明による方法が、以下の実施例に基づいて説明されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
反応器としての孔の開いた底板を有する鋼管内で、以下に明記される実験を行った。それぞれの実験の触媒の種類及び製造元の情報は、表1及び表2中に報告される。表3及び4中に報告される比率のジトリルエーテル、水、及び窒素及び/又は水素の気体混合物を反応器中に導入した。反応後、生成混合物を室温まで冷却し、アセトンを加えると単相混合物が得られ、これを炎イオン化を用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。結果を表3及び4中に列挙する。
【0064】
【0065】
貴金属含有触媒中の貴金属(実施例8(I)~15(I)参照)は、以下の説明のように、乾式含浸/イオン交換によって塗布した。量及び性質は、表2から明らかである。
【0066】
乾式含浸の場合、表2中に明記される貴金属源を脱塩水中に溶解させたものをキャリアに加えた。脱塩水の量は、それぞれのキャリアの吸収容量(表2参照)の98%に対応する。溶液が完全に吸収されてから、含浸させたキャリアを、熱気流中120℃で1時間乾燥させ、実施例16(C)を除いて、スタティックオーブン中300℃~500℃の温度で12~16時間焼成した。実施例16(C)の場合は、貴金属溶液の全量が塗布されるように、乾式含浸及び乾燥を3回繰り返した。
【0067】
イオン交換の場合、ガラスフリットの底部を有するガラス管中の担体に貴金属ドーピング溶液を加え、担体上で溶液を24時間再循環させた。この時間の間、キャリアは常に液体で覆われた。
【0068】
【0069】
【0070】
水を用いて本発明の方法により行った実験2~7は、比較例の実施例1(C)と比較して高い変換率、高い選択性、及び高い収率を示した。
【0071】
【0072】
白金含有触媒の場合の本発明の方法により行った実験8(I)~13(I)及び15(I)、並びにロジウム含有触媒の場合の実施例14(I)の場合は、比較例16(C)及び17(C)と比較して、ジトリルエーテルを基準として高い変換率、並びにクレゾール及びトルエンを基準として高い選択性及び収率を実現したことが分かった。
【0073】
比較例16(C)は、強塩基を加えないニッケルの従来技術の使用によって、非常に低い変換率、並びに白金族の少なくとも1つの元素を含有する本発明の触媒8(I)~15(I)よりもはるかに低い選択性及び収率が得られることも示している。
【国際調査報告】